説明

X線異物検出装置

【課題】 異物混入により搬送系から外部に排出される被検査物の排出量を極力最少量に抑えることのできるX線異物検出装置を提供する。
【解決手段】 管状搬送路11中を搬送される被検査物にX線を照射するX線照射手段12と、被検査物を透過したX線を検出するX線検出手段13と、検出された透過X線量に基づいて被検査物が異物を含むか否かを判定する判定手段31と、被検査物を搬送路外に排出可能な排出手段14と、判定手段の判定結果に基づいて排出指令信号を出力する排出制御手段32とを備えたX線異物検出装置において、搬送路中を搬送される被検査物の流速を計測する流速計測部21を設けて、排出制御手段32が、流速計測手段21の計測情報に基づいて、異物を含む被検査物を排出手段14により搬送路外に排出する排出タイミングを、制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物中の異物をX線を用いて検出するX線異物検出装置、特に、流動性のある食品等のように管状の搬送路中を搬送される被検査物における貝殻、骨片、金属片その他の異物を検出するのに好適なX線異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線を用いるX線異物検出装置には、流動性のある食品のような被検査物、あるいは水等の搬送用流体と混合して取り扱うようにした被検査物(例えば質量比1/5〜1/7で水に混ぜた貝の剥き身)を、管路により所定の搬送経路で搬送するとともに、その搬送経路中の被検査物にX線を照射してそのときの透過X線量の分布を把握し、その透過X線量分布状態から異物の存在を検出するものがある。
【0003】
従来のこの種のX線異物検出装置としては、例えば特許文献1に記載のように、複数のX線検出素子からなる1次元のマルチチャネルX線センサを搬送路と略直交するように配置し、被検査物の連続搬送中におけるこのX線センサの各チャネルの検出信号を異物検出用の閾値と比較して、異物の存在を所要の分解能で検出するようにしたものがある。また、この装置では、異物検出信号が出力されると、排出弁を作動させ、異物を含む被検査物を排出弁を通して外部に排出するようになっている。
【特許文献1】特許第2591171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようなX線異物検出装置では、異物を含む被検査物を排出弁を通して搬送路から外部に排出する際、異物が含まれる被検査物とその前後の被検査物を共に搬送系の外部に排出する必要があるが、被検査物の密度又は混合率の変動、供給タンクの液面高さ変動等に起因する被検査物の流速変動があるため、異物検出から排出位置までの搬送遅れの時間は短くし、排出時間は長く設定する必要があった。
【0005】
そのため、異物と共に系外に排出されてしまう前後の良品の被検査物の量が多くなってしまい、その無駄のために被検査物となる製品の生産効率を低下させてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題を解決すべくなされたもので、異物混入により搬送系から外部に排出される被検査物の排出量を極力最少量に抑えることのできるX線異物検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的達成のため、管状の搬送路の中を搬送される流動性の被検査物あるいは流体と混合した被検査物にX線を照射するX線照射手段と、前記X線照射手段から前記被検査物に照射され前記被検査物を透過したX線を検出するX線検出手段と、前記X線検出手段で検出された透過X線量に基づいて前記被検査物が異物を含むか否かを判定する判定手段と、前記被検査物を前記搬送路の所定排出位置から該搬送路外に排出する排出動作が可能な排出手段と、前記判定手段により前記被検査物が異物を含むと判定されたとき、該判定結果に基づいて、前記排出手段の排出動作を指令する排出指令信号を出力する排出制御手段と、を備えたX線異物検出装置において、前記搬送路中を搬送される被検査物の流速を計測する流速計測手段を設けて、前記異物を含む被検査物を前記搬送路外に排出する前記排出手段の排出タイミングを、前記流速計測手段の計測情報に基づいて、前記排出制御手段により制御することを特徴とするものである。
【0008】
この構成により、異物を検出すると、被検査物の流速に基づいて、その異物を含む被検査物の搬送路中における移動状態を把握することが可能になり、異物の排出位置への到達タイミングに対応して排出手段の動作を制御し、被検査物の排出量を無駄の少ない最少量に抑えることが可能となる。
【0009】
本発明のX線異物検出装置は、好ましくは、前記流速計測手段が、前記搬送路のうち、前記X線検出手段により前記被検査物を透過したX線を検出する位置と前記所定排出位置との間に配置されたものである。この構成により、異物を含む被検査物の流速を異物検出位置より排出手段側で正確に計測し、異物検出位置から排出手段による排出位置までの被検査物の移動状態をより正確に把握して、1回の排出量を最少量に抑えつつ、異物を確実に排出することが可能となる。
【0010】
本発明のX線異物検出装置においては、前記流速計測手段が、前記搬送路中の被検査物の流速を非接触で計測するのがよい。この構成により、食品等の被検査物に悪影響を与える恐れがなく、メンテナンス性もよくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、異物を検出すると、被検査物の流速に基づいて、その異物を含む被検査物の搬送路中における移動状態を把握し、異物の排出位置への到達タイミングに対応して排出手段の動作を制御することができ、被検査物の排出量を無駄の少ない最少量に抑えることができる。その結果、異物を含む被検査物の前後の良品を無駄に排出することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いながら説明する。
【0013】
[第1の実施の形態]
図1〜図4は本発明の第1の実施の形態に係るX線異物検出装置の概略構成を示す図である。
【0014】
まず、その構成について説明する。
【0015】
図1において、内部に管状の搬送路を構成するパイプ11は、図中の左方側から流動可能な被検査物(図示していない)が所定の流速および搬送方向(図中矢印Qで示す)で連続的に搬送されるようになっており、被検査物として、例えばレトルト食品等の具材や魚のすり身等の流動性若しくは伸展性のある食品や、貝の剥き身のような食品を水等の搬送用流体中に所定の希釈率で含んだものがパイプ11中を通して搬送される。なお、ここでの稀釈率は、容量比であるが、質量から容量換算した比率又はその質量比率自体のいずれかを使用する。
【0016】
このパイプ11の近傍には、パイプ11を通る被検査物にX線を照射するX線照射部12(X線照射手段)と、X線照射部12から被検査物に照射されその被検査物を透過したX線を検出するX線検出部13とが、パイプ11を挟んで対向配置されている。
【0017】
これらX線照射部12およびX線検出部13は、公知のものであるが、X線照射部12は、例えば陰極フィラメントからの熱電子をその陰極と陽極の間の高電圧により陽極ターゲットに衝突させ、X線を発生させる円筒状のX線管であり、その長手方向が搬送方向と直交するよう設けられている。そして、下方のX線検出部13に向けて、X線を長手方向に沿った不図示のスリットを介し略三角形状のスクリーン状にして照射するようになっている。また、X線検出部13は、例えば複数のX線検出素子をパイプ11の径方向に並設し所定解像度でのX線検出を行なうX線ラインセンサカメラで、画像処理可能な所定ビット数の検出信号を出力するようになっている。
【0018】
パイプ11により形成される搬送路のうちX線照射部12によるX線照射領域、すなわち搬送方向のX線検出位置より搬送方向下流側には、被検査物をX線検出位置から所定距離L1を隔てたパイプ11の所定排出位置から搬送路外に排出する動作(以下、この動作を排出動作という)が可能なバルブ型選別機14(排出手段)が設けられている。
【0019】
このバルブ型選別機14は、図2および図3に示すように、例えば空圧回動アクチュエータ14aおよびこれにより駆動される三方ボール弁14bで構成され、内部は詳細に図示していないが、T字形の通路を持つその弁体が通常動作位置にあるときにパイプ11内の検査領域側の搬送路をバルブ型選別機14より下流側の良品排出管部11c内の搬送路に連通させる良品搬送路と、前記弁体が通常動作位置から排出動作位置に回動するよう切り換えられたときにパイプ11内の検査領域側の搬送路をNG排出管部11d内の搬送路に連通させて外部に排出・開放する異物混入品搬送路とを有している。なお、本実施形態では、前記所定排出位置はボール弁体の中心位置に相当し、前記所定排出位置からのバルブ型選別機14の排出流路長L2は、そのボール弁体の半径となる。
【0020】
このバルブ型選別機14の切り換え制御は、制御回路30によって実行される。
【0021】
制御回路30は、X線検出部13からのX線検出信号(検査領域の各区域における被検査物を透過した透過X線量)に基づいて所定時間(被搬送物の搬送による移動距離が十分に小さい短時間)毎に被検査物が異物を含むか否かを判定し、異物が含まれると判定したとき異物検出信号を出力する判定部31と、異物を含む被検査物を搬送路外に排出するバルブ型選別機14の排出動作の開始タイミングおよび保持時間を決定し、それに対応する排出指令信号を出力する排出タイミング制御部32(排出タイミング制御手段)と、排出タイミング制御部32からの排出指令信号を入力しバルブ型選別機14の空圧回動アクチュエータ14aを駆動し、バルブ型選別機14の三方ボール弁14bを前記通常動作位置および排出動作位置のうちいずれか一方に切り換え若しくはその位置を保持させる駆動回路部33とを有している。
【0022】
判定部31は、X線検出部13のX線検出信号を取り込んで所定の透過X線量分布描画のための画像処理や、検査領域の各区域における被検査物を透過した透過X線量の閾値判定等の処理を実行し、その処理結果に応じて、被検査物中に異物が含まれているか否かを判別する。
【0023】
判定部31および排出タイミング制御部32は、具体的なハードウェア構成を図示していないが、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)および入出力インターフェース回路(以下、I/F回路という)を含んだ構成とすることができ、駆動回路部33は、例えばエアー切換え用の電磁弁やプログラマブルコントローラ等を含んでいる。
【0024】
一方、パイプ11内の搬送路における前記検査領域すなわちX線検出位置と、前記所定排出位置との間には、パイプ11内を搬送される被検査物の流速(流量から求められるものを含む)を所定時間毎に計測する流速計測部21(流速計測手段)が設けられている。ここで、所定時間は、例えばX線検出部13の検出信号の取り込み時間と同一の短い時間であるが、バルブ型選別機14の動作位置切換え中は流速計測しない(詳細は後述する)。
【0025】
この流速計測部21は、例えばパイプ11内部に測定部を持たず、パイプ11の外周部若しくはその近傍に設置される超音波式、光学式、電磁式等の非接触方式の流速計である。
【0026】
排出タイミング制御部32は、判定部31から異物検出信号を受けたとき、その判定結果出力と、その判定結果出力時点における流速計測部21の流速計測情報とに基づいて、前記X線検出位置から所定排出位置までの搬送等に基づく遅れ時間(搬送距離L1/流速V−排出動作位置への切換え時間)および排出に要する時間(排出流路長L2/流速V+通常動作位置側への切換え時間)等を考慮したタイミングにて、異物を含む被検査物の排出量(以下、NG排出量という)を規定する排出時間T1だけ排出指令信号を出力する。
【0027】
このときのNG排出量は、搬送路の断面積S×流速V×排出時間T1となるが、より具体的には、図4に示すように、バルブ型選別機14が通常動作位置から排出動作位置に切り換わる第1切換え時間taと、バルブ型選別機14が排出動作位置に保持される排出保持時間tbと、バルブ型選別機14が排出動作位置から通常動作位置に戻るよう第2切換え時間tcとを考慮し、例えば第1切換え時間taおよび第2切換え時間tcのそれぞれの1/2の時間と排出保持時間tbとを加え合わせた時間(ta/2+tc/2+tb)を、被検査物の排出時間T1に設定する。ここで、第1、第2切換え時間ta、tcをそれぞれ1/2とするのは、弁開閉時の実質的なNG排出量を算出するための処理であり、バルブ型選別機14の開閉特性に応じて適宜算出条件を設定できるのはいうまでもない。また、そのような設定、更には前記希釈率、搬送速度(流速)の設定等は、入力部15から手動で設定入力することができる。
【0028】
異物が混入した被検査物が検査領域を通過し、異物と判定されたときには、その通過時点からわずかながら判定処理時間(例えば数十〜百ミリ秒程度)が経過しているので、バルブ型選別機14は、判定結果出力としての異物検出信号の立ち上がり時点から所定排出位置までの被検査物(異物)の搬送に要する時間Tf(≒搬送距離L1/流速V)の経過時点を基準として、その時点から誤差時間teを考慮した所定時間(例えばte/2)前までに排出動作位置に切り換えられ、排出時間T1の経過後、通常動作位置に再度戻される。一方、異物が混入していない良品の被検査物が検査領域を通過するときは、被検査物に異物が混入していない限り、バルブ型選別機14は、通常動作位置に切り換えられる。
【0029】
ところで、図2および図3に示すように、被検査物は、製品受け箱41からモーター42aで駆動されるポンプ42により汲み出されてパイプ11内に吐出され、搬送路断面積が前後よりも絞られたパイプ11のX線検査部11aを通過し、さらに下流側に搬送され、異物混入の有無に応じてバルブ型選別機14によりパイプ11の良品排出管部11cあるいはNG排出管部11dのいずれかに分配排出される。また、制御回路30は、バルブ型選別機14が異物を含むNG品の被検査物をパイプ11の外部に排出するとき、その動作状態を所定表示形式の画面16への表示やプリント出力等の直接出力あるいは外部の表示器やプリンター類への情報出力(間接出力)を行なうようになっている。
【0030】
一方、X線照射部12およびX線検出部13による被検査物の検査領域とほぼ一致するパイプ11のX線検査部11aは、例えばプラスチックからなるパイプ11の一部をその弾性範囲内で上下から挟んで加圧し、図2に示すように、X線検査部11aの前後の所定搬送区間内で徐々に断面積を変化させ、検査領域で最小断面積の略小判型断面となるように扁平化した検査領域高さの一定化領域となっている。搬送中の被検査物は、パイプ11内の搬送路断面積の変化に応じて各搬送位置にて流量Q=流路断面積S×流速Vがほぼ一定となるため、X線検査部11aの付近で流速を増すが、その後徐々に減速して前記所定搬送区間外に到達する前の速度にもどる。なお、パイプ11のX線検査部11aは、前記扁平率を変えるように上下からの加圧高さを変え、その内部の搬送路断面積を可変設定することができる。また、搬送路断面積を可変設定しない仕様であれば、パイプ11のX線検査部11aを弾性変形させる必要はない。流速計測部21は、X線検査部11aとバルブ型選別機14の間で、前記所定搬送区間外のパイプ断面積変化がなくなり、パイプ断面積の流速がほぼ一様となる位置でかつバルブ型選別機14より所定量だけ上流側(良品搬送路又は異物混入品搬送路と連通状態のときに、バルブ型選別機14の弁体内通路形状(T字形)の影響を受け易い範囲より上流側)に配置されている。その設置位置は、X線異物検出装置の運転条件が決定される設置時又はメンテナンス時に、実際に被検出物をパイプ11内に流したり、X線検査部11aの上流側通路部11bに設けた図示しない開閉式サンプル投入口から異物サンプルを投入したりして、誤選別の生じない範囲内でNG排出量を最少にできる最適設置位置に設定されている。
【0031】
次に、動作について説明する。
【0032】
上述のように構成された本実施形態のX線異物検出装置では、被検査物が、製品受け箱41からポンプ42により汲み出されてパイプ11内に吐出され、パイプ11のX線検査部11a前後の断面積変化区間を通過し、さらに下流側に搬送され、安定した速度になったところで、流速計測部21により流速計測される。
【0033】
また、X線照射部12から検査領域内の被検査物に均一にX線が照射され、検査領域の幅方向の各区域において被検査物からの透過X線量がラインセンサであるX線検出部13によって検出され、その所定ビット数の検出信号に基づいて制御回路30内の判定部31の画像処理回路で所定の画像処理が実行され、異物混入の有無が判定される。
【0034】
そして、その判定結果に応じて、バルブ型選別機14の空圧アクチュエータが駆動され、異物混入のない被検査物はパイプ11の良品排出管部11cから良品受け箱43に搬出され、異物の混入した被検査物はNG排出管部11dから搬送系の外部に分配排出される。
【0035】
このような本実施形態では、判定部31の判定結果が異物混入ありで、判定部31から異物検出信号が出力されたとき、排出タイミング制御部32により、被検査物の流速計測情報に基づいて、その異物を含む被検査物の搬送路中におけるその流速が把握され、異物の排出位置までの搬送時間Tfから排出位置への到達タイミングが算出され、図4に示すように、例えば異物検出信号出力時から搬送時間Tfが経過するより所定時間te/2だけ前の時点より、確実な異物排出が可能であって最少のNG排出量を搬送路の断面積S×流速V×排出動作時間T1として規定するよう、排出指令信号が排出動作時間T1の間出力される。したがって、通常動作位置にあったバルブ型選別機14が排出指令信号の立ち上がり時点から排出動作位置側に切り換えられ始めて、第1切換え時間ta後に排出動作位置で開弁した状態となり、排出保持時間tbの間は排出動作位置に保持され、排出動作時間T1(=第1切換え時間ta+排出保持時間tb)の経過により排出指令信号がOFFとなった時点より、排出動作位置から通常動作位置に戻され始め、第2切換え時間tcの経過時に通常動作位置での開弁状態となる。なお、バルブ型選別機14のアクチュエータにもよるが、NG排出量を最小化する場合、バルブ切換えに要する時間ta,tcは比較的大きく、保持時間tbはそれより短い値になる場合が多いが、トータルの排出時間T1は数百ミリ秒程度内に抑えることができる。
【0036】
このように、本実施形態においては、確実な異物排出が可能な最少排出量を排出動作時間T1の制御により可変制御するので、被検査物のNG排出量を無駄の少ない最少量に抑えることができる。また、流速計測部21が、前記搬送路のうち、被検査物を透過したX線がX線検出部13により検出されるX線検出位置とバルブ型選別機14による所定排出位置との間に配置されているので、異物を含む被検査物の流速を異物検出位置よりバルブ型選別機14側で正確に計測することができ、異物検出位置から排出位置までの被検査物の移動状態をより正確に把握して、1回のNG排出量を最少量に抑えつつ、異物を確実に排出することができる。
【0037】
さらに、流速計測部21が、前記搬送路中の被検査物の流速を非接触で検出するので、食品等の被検査物に悪影響を与える恐れがなく、X線異物検出装置のメンテナンス性をよくすることができる。
【0038】
なお、上述の実施形態においては、第1切換え時間ta、第2切換え時間tcの間はそれぞれバルブ型選別機14の開度が小さくなる(排出動作位置と通常動作位置の中間ではバルブ型選別機14が閉止したブロック状態となる)ため、流速計測部21から排出タイミング制御部32への流速計測情報の取り込みはその間なされない。ただし、異物検出は常時継続され、第1切換え時間ta、第2切換え時間tcの間に、異物検出信号が出力された場合には、あるいは、今回の搬送時間Tf内に後続の異物が検出された場合には、その異物検出時点を基準にして排出指令信号をOFFとするタイミングが決定される。したがって、排出時間T1が延長される場合が生じ、その場合に、後続の異物を含む被検査物について流速計測情報が取り込めないときには、直前の被検査物についての流速計測情報を使って保持時間tbの延長時間が決定され、排出動作時間T1がその分だけ延長される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明は、異物を検出すると、被検査物の流速に基づいて、その異物を含む被検査物の搬送路中における移動状態を把握し、異物の排出位置への到達タイミングに対応して排出手段の動作を制御することができ、被検査物の排出量を無駄の少ない最少量に抑えることができるという効果を奏するものであり、流動性のある被検査物(伸展性のあるものを含む)中の異物を搬送路(流路)中でX線を用いて検出するX線異物検出装置全般に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るX線異物検出装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るX線異物検出装置を含む異物検査システムの全体概略構成を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るX線異物検出装置を含む異物検査システムの全体概略構成を示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るX線異物検出装置の異物から排出動作までの動作タイミングの設定条件を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0041】
11 パイプ(搬送路)
11a X線検査部
11c 良品排出管部
11d NG排出管部
12 X線照射部(X線照射手段)
13 X線検出部(X線検出手段)
14 バルブ型選別機(排出手段)
14a 空圧回動アクチュエータ
14b 三方ボール弁
15 入力部
16 表示・記録出力部
21 流速計測部(流速計測手段)
30 制御回路
31 判定部(判定手段)
32 排出タイミング制御部(排出制御手段)
33 駆動回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の搬送路(11)の中を搬送される流動性の被検査物あるいは流体と混合した被検査物にX線を照射するX線照射手段(12)と、
前記X線照射手段から前記被検査物に照射されて前記被検査物を透過したX線を検出するX線検出手段(13)と、
前記X線検出手段で検出された透過X線量に基づいて前記被検査物が異物を含むか否かを判定する判定手段(31)と、
前記被検査物を前記搬送路の所定排出位置から該搬送路外に排出する排出動作が可能な排出手段(14)と、
前記判定手段により前記被検査物が異物を含むと判定されたとき、該判定結果に基づいて、前記排出手段の排出動作を指令する排出指令信号を出力する排出制御手段(32)と、を備えたX線異物検出装置において、
前記搬送路中を搬送される被検査物の流速を計測する流速計測手段(21)を設けて、
前記排出制御手段が、前記流速計測手段の計測情報に基づいて、前記異物を含む被検査物を前記排出手段によって前記搬送路外に排出するタイミングを制御することを特徴とするX線異物検出装置。
【請求項2】
前記流速計測手段が、前記搬送路のうち、前記X線検出手段により前記被検査物を透過したX線を検出する位置と前記所定排出位置との間に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のX線異物検出装置。
【請求項3】
前記流速計測手段が、前記搬送路中の被検査物の流速を非接触で計測することを特徴とする請求項1又は2に記載のX線異物検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−98303(P2006−98303A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286883(P2004−286883)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】