説明

o−アセチルサリチル酸の塩基性アミノ酸との塩およびグリシンの安定な活性化合物複合体

本発明は、o−アセチルサリチル酸の塩基性アミノ酸との塩およびグリシンの安定な活性化合物複合体、それらの製造方法および医薬としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、o−アセチルサリチル酸の塩基性アミノ酸との塩およびグリシンの安定な活性化合物複合体、それらの製造方法および医薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
o−アセチルサリチル酸(アスピリン(登録商標))の鎮痛作用は、長期にわたり治療的に利用されてきた。かくして、o−アセチルサリチル酸は、鎮痛剤、解熱剤、抗リウマチ剤として、そしてまた、非ステロイド性抗炎症剤として、例えば関節炎、神経痛および筋肉痛の処置に使用されている。
【0003】
しかしながら、o−アセチルサリチル酸は、限られた程度でしか可溶性でなく、従って生体吸収率が限られている。特に、疼痛の場合、殊に偏頭痛の場合、急速な体内活性化合物濃度の上昇が望ましく、治療効果のために必要である。今日まで、これは、例えば緩衝化発泡錠(buffered effervescent)またはチュアブル錠などの適する投与形によってのみ達成できるものであった。
【0004】
活性化合物の高血中濃度を迅速に達成する一つの選択肢は、活性化合物自体の溶解速度を高めることである。これは、o−アセチルサリチル酸の塩を使用して達成できる。さらに、長期経口投与の場合、o−アセチルサリチル酸塩が十分に耐容性であることが強調されねばならない。
【0005】
アセチルサリチル酸の既知の塩は、とりわけ、アセチルサリチル酸の塩基性アミノ酸との塩である。使用される塩基性アミノ酸は、特に、L−リジン、D,L−リジンまたはアルギニンである。ある程度の量のグリシンを添加することも可能である。治療的に使用されるのは、アミノ酸リジンとのアセチルサリチル酸の塩(ASS)を含む。ASSリジン酸塩を含む最も繁用される医薬は、追加的にグリシンを含む非経腸投与用の投与形である。それは、商品名 Aspisol(登録商標)で購入できる(2005年の中頃まで)。ASSリジン酸塩とグリシンの混合物が存在するように、グリシンをASSリジン酸塩に固体の形態で添加する。
【0006】
現在までのo−アセチルサリチル酸塩のある欠点は、それらの不十分な安定性であった。一方で、これらの塩から製造される医薬製剤の貯蔵有効期間の制限が、これに起因して生じる。他方で、必要な場合がある活性化合物の滅菌が、これらの塩の不十分な熱安定性のために加熱滅菌を利用して実施できず、他の方法で、例えば、エチレンオキシドガスの導入により、実施しなければならない。
【0007】
o−アセチルサリチル酸塩の低い安定性は、本品のo−アセチルサリチル酸および当業者に公知の対応するアミノ酸への逆行反応に起因する。次いで、そのアミノ酸がo−アセチルサリチル酸と反応し、それはアセチル基の除去(アミド分解(amidolysis))およびサリチル酸の放出を伴う。しかしながら、医薬製剤中の遊離サリチル酸の存在は望ましくなく、従って低い許容し得る値に制限されるべきである(Arch. Pharm. 318, 120, 1985)。
【0008】
WO02/005782およびWO03/059323は、o−アセチルサリチル酸の塩基性アミノ酸との塩を記載しており、その塩は、高められた安定性を有し、従って保存および/または安定性に関する今日までに知られているo−アセチルサリチル酸塩の欠点を有さない。これらの塩は、特別な方法により製造され、Malvern 2600D 機器を使用して標準条件下で粒径分布を測定すると、粒径160μmを超える平均粒径を有し、60%より高い割合の粒子が100ないし200μmの範囲の粒径を有する。それらは、ある程度の量の添加されたグリシンを含み得る。さらに、WO02/005782およびWO03/059323は、グリシンの添加は必要ではなく、このタイプの添加はo−アセチルサリチル酸塩の特性に対して効果がなく;特に、グリシンの存在は、o−アセチルサリチル酸塩の安定性に対して効果がないと記載している。
【0009】
驚くべきことに、この度、o−アセチルサリチル酸塩の製造中にグリシンを添加する方法が、o−アセチルサリチル酸塩の特性に対してかなりの効果を有することが判明した。
【0010】
本発明は、o−アセチルサリチル酸の塩基性アミノ酸との塩およびグリシンの活性化合物複合体に関する。
【0011】
本発明による活性化合物複合体は、高い安定性により卓越しており、特徴的な結晶形を有する。これを、添付の図面により、より詳細に図解説明する:
図1:Aspisol(2005年中頃まで市販品)の結晶の電子顕微鏡写真
図2:実施例1によるo−アセチルサリチル酸のD,L−リジン酸塩とグリシンとの本発明による活性化合物複合体の結晶の電子顕微鏡写真
図3:Aspisol(2005年中頃まで市販品)および実施例1の安定性データ、保存条件:25℃/60%相対的大気湿度−測定されるものは、サリチル酸の形成である。
【0012】
図1は、Aspisol(2005年中頃まで市販品)の結晶を示し、ここではo−アセチルサリチル酸のD,L−リジン酸塩およびグリシンが混合物として隣り合って存在する。これは、グリシンおよびo−アセチルサリチル酸のD,L−リジン酸塩を、最後まで、相互に乾燥固体物質として混合する製造方法に起因する。対照的に、図2は、本発明による実施例1の明確に異なる結晶形を反映している。
【0013】
図3は、Aspisol(2005年中頃まで市販品)と比較してかなり改善された実施例1の安定性を示す。30ヶ月後、例えば、サリチル酸の放出は3分の1まで減少する。
【0014】
本発明によるとo−アセチルサリチル酸塩の形成に適する塩基性アミノ酸は、L−もしくはD−配置で、または、D−およびL−形態の混合物として存在できる。本発明によると、用語「アミノ酸」は、特に、天然産生のL−アミノ酸を表すが、例えば水和物などの溶媒和物、ホモログ、異性体およびこれらの誘導体も含む。言及し得る異性体の例は、エナンチオマーである。誘導体は、例えば、保護基を施されたアミノ酸であり得る。言及し得る塩基性アミノ酸の典型例は:リジン、アルギニン、オルニチン、ジアミノ酪酸である。o−アセチルサリチル酸のリジンとの塩は、好ましいものとして言及し得る。
【0015】
本発明による用語「活性化合物複合体」は、o−アセチルサリチル酸の塩基性アミノ酸との塩およびグリシンの結晶からなる生成物を意味し、その結晶は密に相互成長したものである。個々の成分o−アセチルサリチル酸塩およびグリシンの結晶混合物は存在しない。
【0016】
本発明による結晶中のグリシン含有量は、活性化合物複合体を基準として、8ないし12、好ましくは9ないし11、特に好ましくは10重量パーセントである。
【0017】
本発明の有利な特性は、本発明による活性化合物複合体の粒径とは無関係に観察される。従って、本発明による活性化合物複合体の粒径分布は、例えば、好ましくは100μmより小さい、特に好ましくは70μmより小さい平均粒径を有し得る。
【0018】
製造:
本発明によると、反応物、即ち、o−アセチルサリチル酸および適当なアミノ酸の溶液を、可能な限り迅速に大気圧下で、好ましくは20分より短い時間で、40℃以下、好ましくは20ないし35℃の温度で混和し、温度が40℃を超えないような方法で混合し、均一な相をもたらす。必要であれば、かくして製造された均一な混合物に種結晶を添加し、混合物を−5ないし10℃、好ましくは0ないし5℃に冷却し、溶液をこの温度で2ないし8時間、好ましくは3ないし5時間撹拌する。冷却したアセトンおよび必要量のグリシン(必要であれば冷却したもの)を添加する。結晶化を完了させるために、懸濁液を上記の条件下に少なくとも1時間維持すべきである。本発明によると好ましいのは、上述の条件下で1ないし10時間の結晶化時間であり、1ないし8時間の期間が特に好ましい。本発明によると、結晶化過程中の温度を比較的狭い限度内に維持するのが非常に重要である。温度は5℃を超えてはならず、好ましくは3℃より低く、特に好ましくは0ないし2℃に維持すべきである。使用する種結晶は、所望の生成物の結晶であり得る。結晶化は、好ましくは大気圧下で実施する。
【0019】
次いで、常套の方法で、例えば濾過または遠心分離により結晶を単離する。その固体を有機溶媒で繰り返し洗浄する。ここで、本発明によると、好ましいのは、例えばエタノールなどのアルコール類および/またはアセトンなどのケトン類またはアルコール類および/またはケトン類の混合物、例えばエタノールとアセトンの混合物であり、あるいは、異なるそのような溶媒の使用である。
【0020】
次いで、固体を減圧下で乾燥する。ここで、温度は50℃より低く、好ましくは40℃より低く、特に好ましくは35℃より低く維持するべきである。100mbarより低い、好ましくは50mbarより低い圧力を固体に適用すべきである。乾燥は、常套の条件下、例えば乾燥機器中で実施できる。
【0021】
これらの反応物に適する溶媒は、水および水と混和性の有機溶媒、例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールなどのアルコール類、特にエタノール、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類またはアセトンなどのケトン類、または、上述の溶媒の混合物である。好ましいのは、水、エタノールまたは両者の混合物である。
【0022】
o−アセチルサリチル酸は、好ましくはエタノールに溶解し、アミノ酸、好ましくはリジン、特に好ましくはD,L−リジン一水和物を水に溶解して添加する。
【0023】
o−アセチルサリチル酸のモル数を基準として、わずかに過剰の塩基性アミノ酸が存在するような量で反応物を用いる。好ましくは、本発明によると、o−アセチルサリチル酸のアミノ酸に対するモル比1:1.05ないし1:1.5であり、o−アセチルサリチル酸のアミノ酸に対する比1:1.05ないし1:1.2が特に好ましい。
【0024】
本発明によると、o−アセチルサリチル酸の溶液は、1ないし10重量%、好ましくは5ないし10重量%、特に好ましくは6ないし8重量%のo−アセチルサリチル酸含有量を有するべきである。塩基性アミノ酸の溶液は、10ないし40重量%、好ましくは15ないし35重量%、特に好ましくは20ないし30重量%のアミノ酸含有量を有するべきである。
【0025】
本発明によると、グリシンは、反応物の反応混合物に水または水混和性有機溶媒中の溶液として添加でき、ここで、上記の溶媒は、有機溶媒としての使用に適する。
【0026】
しかしながら、本発明によると、グリシンは、懸濁液の形態で添加することもできる。グリシン懸濁液は、常套の方法で製造できる。本発明によると好ましいのは、水とアルコール、例えばエタノールの溶媒混合物からグリシン懸濁液を製造することである。
【0027】
本発明による方法では、ある程度の撹拌エネルギーを結晶化の間に維持することも重要である。出発物質の均一な混合物の撹拌は、穏やかでなければならない。適用する撹拌エネルギーは、反応媒体1lにつき0.1Wを超えるべきではない。本発明によると、好ましいのは、反応媒体1lにつき0.04ないし0.06Wの撹拌エネルギーの適用である。適する撹拌機は、適当な方法で調節できる全ての常套の撹拌器具、例えばフロースポイラー(flow spoiler)を備えた混合容器などである。
【0028】
本発明による方法全体を、無菌条件下で実施することも可能である。この目的で必要とされる上記の方法の改変、例えば、出発物質および使用する器具の滅菌に関するものは、当業者によく知られている。
【0029】
医薬:
本発明は、また、非毒性、不活性の医薬的に許容し得る補助剤に加えて本発明による活性化合物複合体を含む医薬製剤、およびこれらの製剤の製造方法も含む。
【0030】
活性化合物複合体は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それを適する方法で、例えば経口または非経腸で投与し得る。これらの投与経路のために、活性化合物複合体を適する投与形で投与し得る。
【0031】
経口投与には、活性化合物複合体を迅速に、かつ/または、改変された形態で放出するための既知の投与形、例えば錠剤(非被覆および被覆錠剤、例えば腸溶性被覆、FDT(速溶性錠剤(fast-dissolve tablet))、発泡錠、チュアブル錠)、カプセル剤、被覆錠剤、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤および液剤が適する。
【0032】
非経腸投与は、生体吸収段階を避けて(静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内)、または、生体吸収を含めて(筋肉内、皮下、皮内または腹腔内)実施できる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤または乳剤の形態の注射および点滴用製剤である。
【0033】
好ましいのは、注射および点滴用の製剤としての投与である。これらは、液剤、懸濁剤または乳剤の形態の注射または点滴用の完成製剤、または、活性化合物複合体が、例えば凍結乾燥剤もしくは滅菌散剤として、注射または点滴用の溶媒とは別に存在し、注射または点滴用の完成された製剤は、溶媒、例えば水と混合することにより、投与の直前に調製できる投与形であり得る。
【0034】
坐剤または経皮システム(例えば、パッチ、ETSシステム)、並びにクリーム、軟膏、ゲル、スプレーの形態、または有機もしくは無機溶媒に溶解した形態での局所適用は、さらなる投与の可能性である。
【0035】
本発明による活性化合物複合体は、それ自体知られている方法で上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤を使用して実施する。これらには、とりわけ、担体(例えば微結晶性セルロース)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール)、乳化剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、分散剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然バイオポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えばアスコルビン酸などの抗酸化剤)、着色剤(例えば酸化鉄などの無機色素)または味および/または匂いの矯正剤が含まれる。
【0036】
一般に、ヒトの医学および獣医学の両方で、本発明による活性化合物複合体を、24時間につき全量で約0.5ないし約500、好ましくは5ないし100mg/体重kgで、必要に応じて数個の個別用量の形態で投与し、所望の結果を達成するのが有利であると明らかになった。本発明によると、個別用量は、活性化合物複合体を、好ましくは約1ないし約80、特に3ないし30mg/体重kgの量で含有する。
【0037】
用途:
本発明による医薬は、鎮痛剤、解熱剤、抗リウマチ剤として、そしてまた、非ステロイド性抗炎症剤として、例えばリウマチ型の疾患、関節炎の障害、神経痛、筋肉痛および/または偏頭痛の処置のために用いることができる。しかしながら、特に、それらは、心血管および脳血管の疾患の予防および治療において、例えば虚血性心臓病、卒中、安定および不安定狭心症、心筋梗塞(例えば、急性心筋梗塞)、バイパス術、PTCA(経皮経管冠動脈形成術)および/またはステント移植において、血小板凝集阻害剤として用いることもできる。さらなる適用領域は、HIV患者における免疫系の刺激および腫瘍の予防(例えば、結腸、食道または肺の癌腫)、認知症症候群(例えばアルツハイマー病)における認知衰退の低速化、胆石形成の間欠および糖尿病の処置である。
【0038】
さらに、本発明による活性化合物複合体は、吸入されると、抗喘息活性を示す。
【実施例】
【0039】
実施例:
実施例1:10%グリシンを含むD,L−リジンアセチルサリチル酸塩
滅菌フィルターを介して、パイロジェンを含まないエタノール500kg中のo−アセチルサリチル酸40.0kgの溶液を、無菌かつパイロジェンを含まないフロースポイラーを備えた混合容器に加える。20ないし30℃で、短時間のうちに(15分間より短い)、パイロジェンを含まない水110kg中のD,L−リジン一水和物36.4kgの濾過滅菌したパイロジェンを含まない溶液を、35℃の温度を超えないように撹拌および冷却しながら添加する。少なくとも20gの無菌種結晶を添加し、既に結晶化しつつある混合物を、低下した撹拌速度で、2℃に冷却する。次いで、パイロジェンを含まない、温度を調節したアセトン490kg、および、パイロジェンを含まない水25.0kgおよびエタノール90kg中のグリシン8.0kgの無菌の温度を調節した調製懸濁液を添加する。2℃でさらに冷却しながら、懸濁液をさらに1ないし8時間撹拌する。そのとき初めて、無菌条件下にてフィルターまたは遠心分離で結晶性の混合物を単離する。分離器具上で、湿った生成物を、パイロジェンを含まないエタノールおよびアセトンで洗浄し、50mbarまでの圧力および40℃を超えない温度で、無菌条件下で乾燥する。次いで、完成した生成物を、PEインライナー(PE inliner)を備えた容器に満たし、密閉する。得られるものは、残存水分<0.3%および平均粒径41μmを有する表題生成物60ないし70kg(理論値の75ないし87%)である。
【0040】
DSC(示差走査熱量測定)による融点の決定:
PerkinElmer の Pyris-1 装置を使用して、加熱速度20K/分でDSCによる融点決定を実施する。使用する保護気体は、乾燥窒素である。Aspisol(登録商標)(2005年中頃まで市販品)および実施例1による生成物の特徴的なDSC曲線は、吸熱性ピークおよび続く発熱性ピークの2つのピークを示す。吸熱性ピークは、融解過程によるものであり、一方、発熱性ピークは、溶融相における崩壊および崩壊産物(例えば、アセチルサリチル酸)の部分的結晶化の重複に起因する。
【0041】
表1
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、Aspisol(2005年中頃まで市販品)の結晶の電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、実施例1によるo−アセチルサリチル酸のD,L−リジン酸塩とグリシンとの本発明による活性化合物複合体の結晶の電子顕微鏡写真である。
【図3】図3:Aspisol(2005年中頃まで市販品)および実施例1の安定性データである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
o−アセチルサリチル酸の塩基性アミノ酸との塩およびグリシンからなる活性化合物複合体。
【請求項2】
活性化合物複合体が8ないし12重量パーセントのグリシンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の活性化合物複合体。
【請求項3】
塩基性アミノ酸としてのリジンを含む、請求項1または請求項2に記載の活性化合物複合体。
【請求項4】
塩基性アミノ酸としてのD,L−リジンを含む、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の活性化合物複合体。
【請求項5】
活性化合物複合体が10重量パーセントのグリシンを含み、活性化合物複合体の融解範囲が吸熱性ピーク温度148±2℃および発熱性ピーク温度153±2℃を有することを特徴とする、請求項4に記載の活性化合物複合体。
【請求項6】
粒径分布が100μmより小さい平均粒径を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の活性化合物複合体。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の活性化合物複合体の製造方法であって、o−アセチルサリチル酸および塩基性アミノ酸を迅速に水または水混和性有機溶媒中、40℃以下の温度で混和し、次いで、均一な混合物を−5ないし10℃に冷却し、アセトンおよびグリシンを添加し、撹拌を少なくとも1時間継続し、結晶を単離し、結晶化の間に温度が5℃を超えないようにすることを特徴とする方法。
【請求項8】
使用する塩基性アミノ酸がD,L−リジン一水和物であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
活性化合物複合体を基準として8ないし12重量パーセントのグリシンを用いることを特徴とする、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
グリシンを懸濁液として用いることを特徴とする、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
アセトンの添加に先立ち、種結晶を添加することを特徴とする、請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
種結晶の添加後、混合物を0ないし5℃で2ないし8時間撹拌することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
反応溶液中のo−アセチルサリチル酸のアミノ酸に対するモル当量の比が、1:1.05ないし1:1.2であることを特徴とする、請求項7ないし請求項12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
結晶化の間に、撹拌エネルギーが反応媒体1lにつき0.1Wを超えないことを特徴とする、請求項7ないし請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
該方法を無菌条件下で実施することを特徴とする、請求項7ないし請求項14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項7ないし請求項15のいずれかに記載の方法により得ることができる活性化合物複合体。
【請求項17】
請求項1ないし請求項5または請求項16のいずれかに記載の少なくとも1種の活性化合物複合体を含む医薬。
【請求項18】
非経腸投与形であることを特徴とする、請求項17に記載の医薬。
【請求項19】
液剤、懸濁剤または乳剤の形態の注射および点滴用製剤であることを特徴とする、請求項17または請求項18に記載の医薬。
【請求項20】
活性化合物複合体が、例えば凍結乾燥剤または滅菌散剤として、注射または点滴用の溶媒とは別に存在する投与形であり、注射または点滴用の完成された製剤が、溶媒と混合することにより投与の直前に初めて調製されることを特徴とする、請求項17または請求項18に記載の医薬。
【請求項21】
注射または点滴用の溶媒として水を用いる、請求項20に記載の医薬。
【請求項22】
静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内、腰椎内、筋肉内、皮下、皮内または腹腔内投与用の請求項17ないし請求項21のいずれかに記載の医薬。
【請求項23】
関節炎、神経痛、筋肉痛および/または偏頭痛の処置用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項5または請求項16のいずれかに記載の活性化合物複合体の使用。
【請求項24】
心筋梗塞、卒中、虚血性心臓病、狭心症、バイパス術、PTCAおよび/またはステント移植の処置用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項5または請求項16のいずれかに記載の活性化合物複合体の使用。
【請求項25】
活性化合物複合体の吸入による喘息の処置用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項5または請求項16のいずれかに記載の活性化合物複合体の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−542316(P2008−542316A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513970(P2008−513970)
【出願日】平成18年5月20日(2006.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004799
【国際公開番号】WO2006/128600
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】