説明

pinダイオードを備えた集積回路構造の製造方法

【課題】簡単に設計された、感度の高い、無線周波数の使用に適した、pinダイオード、を備えた集積回路構造を提供する。
【解決手段】集積回路構造において、保護される材料82が隣接している少なくとも1つの段を含んだ形状を形成し、段をも覆う保護層を形成し、上記保護層を形成した後、スペーサ素子層を形成し、スペーサ素子層に異方性エッチングを行い、段に少なくとも1つのスペーサ素子を形成し、スペーサ素子によって覆われていない領域において、保護層を薄膜化するか、または、完全に除去し、上記保護される材料82に沿って、保護層の少なくとも1つの残余領域150が残っており、保護層を薄膜化または除去した後、有効層を形成し、有効層をパターン形成すると同時に、スペーサ素子を除去して、保護される材料82を、残余領域150によって保護する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特に、pinダイオードを含んだ集積回路構造に関するものである。pinダイオードとは、積層p、i、nを備えたダイオードのことである。pは、p型に高ドープされた領域である。iは、真性の伝導性の、または、真性の、または、単にn型またはp型に弱くドープされた中間領域である。nは、n型に高ドープされた領域である。pin接合は、特に、真性の、または、弱くドープされた中間領域に関して、pn接合とは異なっている。pinダイオードの逆電流は、主にi域での電荷の生成に依存しているので、このダイオードは、例えば核技術における放射線検出器として、または、特に約400ナノメートルから約1マイクロメートルまでの波長領域において光を検出するためのpinフォトダイオードとして用いられている。特に、pinダイオードの感度は高く、その検出速度は速い。
【0002】
集積されたpinダイオードは、集積回路と直接一体的に接続されているので、単一の半導体素子よりも広い周波数帯域幅を有している。特に、pinダイオードとプリアンプとの間に、ボンディングワイヤは必要ではない。これにより、例えばガラス繊維または合成樹脂繊維を用いた光通信、または、光データ記憶装置において、シリコンを用いて、500メガヘルツよりも高い周波数、または、1ギガヘルツよりも高い周波数で無線周波数を使用することができる。このpinダイオードは、特に、BICMOS回路(Bipolar Complementary Metal Oxide Silicon)に集積されている。該pinダイオードは、特に、400ナノメートル〜800ナノメートルの範囲において感光性であり、したがって、広い帯域幅に対して感光性である。
【0003】
本発明の目的は、簡単に設計された、特に感度の高い、無線周波数の使用に適した、pinダイオード、を備えた集積回路構造を提供することにある。さらに、本発明は、pinダイオードの製造方法を提供する。
【0004】
本発明は、フォトダイオードの帯域幅を広くすることが、主に以下のようにして達成されるという考察に基づいている。
【0005】
‐直列抵抗Rsと接合容量Cpdとの積が小さい。Rs×Cpdの積が小さいほど、帯域幅は広くなる。
【0006】
‐電荷担体が移動する主な原因は、ドリフトであるに違いない。つまり、電界による加速である。したがって、空間電荷帯は、吸収帯、または、pinダイオードの中間領域を完全に突き抜けている必要がある。pinダイオードでは、空間電荷帯を、比較的小さな逆電圧によって形成できる。中間領域において電界のない領域が生じると、電荷担体は、ドリフトと比べて非常にゆっくりと拡散する。この電荷担体の拡散により、電気信号のエッジの峻度が低くなり、したがって、切り替え時間が短くなる。
【0007】
この感光性を、中間領域の深さを深くする(例えば10マイクロメートル以上にする)ことと、反射防止コーティング、および、pinダイオードに入射する光の割合を増やすための他の方法とによって、上げることができる。
【0008】
混合信号(つまり、アナログ信号処理およびデジタル信号処理)を有する無線周波数を用いるために、この製造プロセスによって、とりわけ、集積回路の以下の素子の製造を実現させる必要がある。上記素子とは、
‐15GHzよりも大きい遮断周波数を有する垂直NPNトランジスタと、‐垂直PNPトランジスタと、
‐CMOSトランジスタと、
‐抵抗およびキャパシタといった受動素子とである。
【0009】
この製造プロセスには、各素子に最も適した方法を用いる。さらに、全体の工程数を低減するために、タイプの異なる素子を同時に形成するプロセス工程を、できる限り多く用いる必要がある。RF(無線周波数)バイポーラトランジスタには、高ドープされ埋設されたコレクタ接続層と、比較的薄いエピタキシ層とを用いる必要がある。他方、pinダイオードの中間層には、RFバイポーラトランジスタに必要なエピタキシ層よりも著しく厚い、ハイインピーダンスのエピタキシ層が必要である。
【0010】
中間の厚さのエピタキシ層を選択することが考えられるが、pinダイオードの感光性、および、バイポーラトランジスタの動作特性(例えば遷移周波数)が妨げられるだろう。
【0011】
また、コレクタ接続層を浅く形成してからエピタキシを続けるために、該エピタキシを中断することも考えられる。これにより、二重エピタキシ層が生じる。深い中間帯では、pinダイオードの感光性は高い。さらに、バイポーラトランジスタの動作特性は、悪化しない。しかし、該エピタキシが続いている間に、オートドーピングプロセスが生じる。このオートドーピングプロセスは、高ドープされ埋設された接続領域からドーパントがpinダイオードの中間層に達して該pinダイオードの無線周波数特性を著しく妨げる。
【0012】
したがって本発明では、一段階のエピタキシプロセスによって形成された厚いエピタキシ層を用いる。全ての中間領域に1つのエピタキシ層を形成した後、埋設された接続領域を打ち込み方法によって形成する。高エネルギーによる打ち込みによって、その後、この接続領域を、700ナノメートルまたは1マイクロメートルよりも深く埋設することができる。しかし、この接続領域は、1マイクロメートルまたは2マイクロメートルよりも浅いところから始まっている。この打ち込みのエネルギーは、一形態では、500KeV〜1500KeVである。
【0013】
本発明は、さらに、集積回路構造の簡単な製造方法、特に本発明の回路構造またはその複数の形態のうちの1つの簡単な製造方法に関するものである。第2の側面にかかる方法は、以下の工程を含んでいる。なお、工程が以下の順序で行われるわけではない。集積回路構造を製造するとき、
‐保護される材料が隣接している少なくとも1つの段を含んだ形状を形成する。
‐この段をも覆う保護層を形成する。
‐該保護層を形成した後、スペーサ素子層を形成する。
‐該スペーサ素子層に異方性エッチングを行い、この段にスペーサ素子またはスペーサを形成する。
‐該スペーサ素子によって覆われていない領域において、保護層を薄膜化するか、または、完全に除去する。ここで、該保護される材料に沿って、保護層の少なくとも1つの残余領域が残っている。
‐保護層を薄膜化または除去した後、有効層を形成する。
‐該有効層をパターン形成すると同時に、スペーサ素子を除去する。ここで、該保護される材料は、残余領域によって保護される。
【0014】
この方法は、有効層をパターン形成する前に段に沿って保護される材料を保護層によって適切に覆う多くの用途に用いられる。特に、まだ薄膜化または除去されていない残余領域が保護層によって十分に保護されているので、パターン形成している間にスペーサを除去できる。
【0015】
本発明にかかる方法の一形態では、保護層の薄膜化が終了した後、保護層の部分層が、スペーサ素子によって覆われていない領域に残っている。この部分層に対して選択的にパターン形成を行う。これにより、部分層をエッチング停止層として用いることができ、保護層の下に位置する層は破損されなくなる。
【0016】
本発明にかかる方法の次の一形態では、保護される材料と、スペーサ素子層の材料と、有効層の材料とは、少なくとも1つの同じ材料組成(特に、結合した窒素、例えば窒化珪素または酸窒化膜)を含んでいる。あるいは、上記の材料は、互いに同じ材料であってもよく、特に窒化珪素であってもよい。これら2つの形態では、複雑なパターン形成プロセスを、ほんのわずかな材料または同様の材料を用いて、特に少ないプロセス工程によって簡単に行うことができる。
【0017】
次の一形態では、保護層は酸化物層(特に、熱酸化物層またはTEOS層といった酸化珪素層)である。酸化物層に対する選択的なパターン形成は制御しやすい。したがって、特に保護層が薄い場合に、歩留まりの高いこの方法を行うことができる。
【0018】
次の一形態では、有効層を、好ましくはハードマスクおよび/またはリン酸を用いてウェット化学によってパターン形成する。これにより、エッチング速度を速く、設備コストをかけずに、ウェハーが破損(例えばプラズマによって生じる恐れのある)せずに、有効層をパターン形成することができる。
【0019】
他の複数の形態では、保護される材料は、
‐キャパシタの誘電体、特に、1つの電極または2つの電極が多結晶シリコンからなるか、または、多結晶シリコンを含有している、キャパシタ、または、
‐メモリトランジスタの電荷蓄積層、特に、至る所で電気的に絶縁された層、または、
‐電界効果トランジスタのゲート電極の側面に位置するスペーサ素子、または、電界効果トランジスタのゲート誘電体、に含まれている。
【0020】
これら全ての3つの形態に関して、一形態では、この保護される材料は、ONO積層(酸化物‐窒化物‐酸化物または酸窒化膜)の素子、特に、窒化物を含有した層またはこのような堆積物からなる層の素子である。しかし、他の複数の形態では、窒化物単層をも、上記の3つの素子においてエッチング侵食から保護することができる。
【0021】
次の一形態では、有効層は、感光素子(特に、pinダイオード、pnフォトダイオード、または、CCD素子(電荷結合素子))を被覆している。この有効層は、一形態では、反射防止層として形成されている。一形態では、窒化物を含有した材料は、反射防止層として用いられる。パターン形成の間、窒化物を含有した部分領域、または、窒化物からなる部分領域、を備えた他の素子を、保護層によって効果的に保護する。このことは、スペーサ素子が同様に窒化物を含有しているか、または、窒化物からなる場合にも有効である。
【0022】
他の形態では、この感光素子は、熱酸化物層と、堆積された酸化物層と、有効層とを、該感光素子に近い順に含んだ積層によって覆われている。
【0023】
この積層は、非常に多くの入射光線が入射されるので、感度の高いフォト素子になる。
【0024】
以下では、本発明の模範的な複数の実施形態について、添付図面に基づいて詳述する。図1は、pinダイオードを備えた集積回路構造を示す図である。
【0025】
図2A〜2Fは、集積回路構造を製造する間の製造段階を示す図である。
【0026】
図1は、例えば1立方センチメートル当たり2 1015ドーピング原子のドーパント濃度を有するp型にドープされた基板領域12と、pinフォトダイオード14と、回路領域18とを含んだ、集積回路構造10を示している。この基板領域12は、例えば、半導体ウェハー(例えば、シリコンウェハーまたはシリコン小板またはシリコンチップ)に含まれている。該基板およびエピタキシ層19には、例えば、以下で詳述する方法によって埋設されたn領域20が形成されている。ここで、nは、ドーパント(つまり、例えばヒ素またはリン)のドーパント濃度が高いことを示している。このドーパントによって、n型の伝導型が得られるのである。この領域20は、基板領域に隣接しており、例えば1マイクロメートルの厚さを有している。回路領域18の下の、領域20と同じ平面には、埋設されたp領域28が位置している。この領域28は、基板領域12と領域20とに隣接している。同様に、領域28は、該基板およびエピタキシ層19に位置している。この模範的な実施形態では、領域28は、領域20よりも厚く、例えば数マイクロメートル(例えば、少なくとも2マイクロメートル)の厚さを有している。
【0027】
領域20は、横寸法が例えば50マイクロメートルであるフォトダイオード14に位置している。領域20の上には、フォトダイオード14の中間領域30が、該領域20に隣接して位置している。該中間領域は、n型に弱くドープされており(つまり、n)、例えば1立方センチメートル当たり1 1013ドーパント原子のドーパント濃度を有している。中間領域30は、エピタキシ層19に形成されており、5マイクロメートルよりも厚い。それに代わるものとして、p型に弱くドープされた領域30、または、ドープされていない領域30を用いてもよい。中間領域30は、例えば、図1では2つの部分領域32aおよび32bとして示した環状の接続領域によって、側面から完全に取り囲まれている。この接続領域、つまり部分領域32a、32bは、n型にドープされているが、中間領域30よりも高いドーパント濃度を有している。
【0028】
該接続領域は、基板から離れた部分において、同様に環状の高ドープされた領域(図1では、2つの部分34a、34b)に隣接している。この高ドープされた領域、つまり部分34a、34bは、接続領域に対する接触抵抗を低減できるように、nドープされている。図示していない配線が、集積回路構造10の1つまたは複数の金属薄膜層を突き抜け、接続領域の部分34aまたは34bに達する。
【0029】
中間領域30では、基板12から離れた中間領域30の面に沿って、pドープされた領域42が隣接している。この領域は、フォトダイオード14のアノードを構成している。領域42には、配線(図示せず)が接続されている。
【0030】
該領域42上の金属薄膜層には、凹部(図示せず)がある。この凹部を介して、光がフォトダイオード14に達する。これは、フォトダイオードの電気特性に影響を与えるためである。入射する光ができる限り完全にフォトダイオード14に入り込むことができるように、pinダイオード14上の凹部の領域に、適切な積層を形成する。該積層は、例えば、
‐領域42に隣接した、層厚が例えば数ナノメートル(例えば、3〜10ナノメートル、ここでは4.5ナノメートル)である熱酸化物層44と、
‐熱酸化物層44に隣接した、厚さが3〜15ナノメートルであり、特に5ナノメートルである、TEOS酸化物層領域46と、
‐熱酸化物層44に隣接している、厚さが例えば30〜50ナノメートルであり、特に40ナノメートルである、窒化物層領域48とを含む、3重の積層からなる。
【0031】
熱酸化物層44は、表面再結合を低減することによって領域42の表面特性を改善する。酸化物層領域46および窒化物層領域48は、光学効果を有しており、pinダイオード14に入射した光の反射を低減する。
【0032】
中間領域30と並んで、エピタキシ層19には、p型に弱くドープされた領域54が配置されている。この領域54は、領域28に隣接しており、エピタキシ層19の表面まで延びている。したがって、領域28は、領域54を基板12に導電接続している。
【0033】
エピタキシ層19の回路領域18には、複数の能動素子および受動素子が配置されている。これらの素子によって、図1では、npnトランジスタ58と、キャパシタ59と、nチャネルトランジスタ60と、pチャネルトランジスタ61とを示している。npnトランジスタ58は、n型に強くドープされた(つまり、n)埋設されたコレクタ接続領域62を含んでおり、SICコレクタ領域64(選択的に打ち込まれたコレクタ(つまり、エミッタ開口部の下に位置する、打ち込むことによって自己整合的に形成されたコレクタ))に続いている。それに代わるものとして、より幅の広いコレクタ領域64を用いてもよい。該コレクタ領域64は、それを取り囲んでいる弱くドープされた(つまり、nドープされた)領域65よりも強くn型にドープされている。このコレクタ領域64は、例えば、接続領域62と同じように強くドープされていてもよいし、この接続領域62よりも弱くドープされていてもよい。コレクタ領域64の上には、p型に強くドープされたベース領域66と、n型に強くドープされたエミッタ領域68とが位置している。
【0034】
酸化物層44またはTEOS層46、および、窒化物層領域70は、エミッタ領域68の上に、それぞれ1つの凹部を有している。この凹部を介して、エミッタ領域68の接続に用いられる多結晶のエミッタ接続電極72が延びている。接続電極72の上には、酸化物領域74が隣接していてもよい。この酸化物領域は、接続電極72をパターン形成する際にハードマスクとして用いられ、他の模範的な実施形態では除去される。この酸化物領域と、接続電極72と、窒化物層領域70とは、フォトリソグラフィー方法および共通のエッチング工程によってパターン形成されている。
【0035】
キャパシタ59は、フィールド酸化物領域76またはSTI(トレンチ分離)の上に配置されており、フィールド酸化物領域76から近い順に、
‐シリコンを含んだ多結晶の下部電極78と、
‐酸化物層44と、
‐TEOS層46の一部と、
‐(70に相当する)窒化物層領域82と、
‐シリコンを含んだ多結晶の被覆電極84と、
‐例えば二酸化珪素を含んだ任意の酸化物領域86と、を含んでいる。
【0036】
下部電極78の側面には、それを取り囲む酸化物スペーサのスペーサ領域88a、88bが配置されている。酸化物領域86と、被覆電極84と、窒化物層領域82とは、同じフォトリソグラフィー方法によってパターン形成されている。このフォトリソグラフィー方法によって、酸化物領域74、接続電極72、および、窒化物層領域70もパターン形成されている。
【0037】
電界効果トランジスタ60は、p型ウェルに配置されており、通常の構成をしている。例えば、ゲート電極90、および、その側面に配置された酸化物スペーサ92a、92bを参照符号によって示す。これに対して、電界効果トランジスタ61は、n型ウェルに配置されており、同様に、通常の構成をしている。例えば、ゲート電極94、および、その側面に配置された酸化物スペーサ96a、96bを参照符号によって示す。ゲート電極90、94、および、スペーサ92a、92b、96a、96bは、TEOS層46によって覆われている。
【0038】
下部電極78およびゲート電極90、94は、回路構造10を形成するために供給された、第1の多結晶層Poly1から形成されている。これに対して、接続電極72および被覆電極84は、第2の多結晶層Poly2から形成されている。この第2の多結晶層は、第1の多結晶層Poly1を供給およびパターン形成し、スペーサ88a、88b、92a、92b、96a、96bを形成し、酸化物層44を形成し、窒化物層領域70および窒化物層領域82を形成している窒化物層を形成した後に、形成された。
【0039】
さらに、図1に、例えば二酸化珪素(またはTEOS)を含み、個々の素子または素子の機能ユニットを互いに電気的に絶縁している、他のフィールド酸化物領域(またはSTI)100〜116を示す。
【0040】
回路構造10の製造に関して、例えば、p型にドープされた基板12から始める。n型にドープされた埋設された層20は、フォトダイオード14の領域にカソードとして打ち込まれている。回路領域18には、p型にドープされた層28を打ち込む。ここで、自己整合的なプロセスを用いることが好ましい。その後、エピタキシ層19を形成するための一段階のエピタキシを行う。ここで、1立方センチメートル当たり例えば1013ドーパント原子のドーパント濃度を、低くインシチュ(in-situ)生成する。このエピタキシ層19を、5マイクロメートルよりも厚く、しかし好ましくは30マイクロメートルよりも薄く、中断せずに形成する。これにより、中間領域30またはpinダイオード14のi領域が形成される。
【0041】
エピタキシャルの厚さが15マイクロメートルまでである模範的な実施形態では、カソード接触部32a、32bにリンを打ち込み、続いて、該接触部を、セ氏1000度〜セ氏1200度という高温で、150分〜500分の間、拡散によって形成する。
【0042】
本模範的な実施形態では、領域54(つまりエピタキシ層19の回路領域18)において同じ高温工程を用い、弱いp型ドーピングが生じるようにする。これにより、回路領域18の表面近傍に、P型基板12と同じドーパント濃度が生じる。
【0043】
あるいは、該カソード接触部を、ここではトレンチを用いて形成してもよい。接続領域32a、32bを、拡散ではなく、深いトレンチの中に形成する。該トレンチの障壁には、絶縁層(例えば、二酸化珪素層)を形成し、次に、ドープされたポリシリコンまたは金属を埋設する。このような代替的な模範的な実施形態では、エピタキシ層をさらに厚く(例えば、15マイクロメートルよりも厚く)することができる。これにより、無線周波数特性がほぼ同じである場合、pinダイオードの感度が上がる。
【0044】
その後にようやく、コレクタ接続領域62に対して高エネルギーによる打ち込みを行う。これにより、中間層の中間領域において、オートドーピングを回避することができる。本模範的な実施形態では、CMOS素子60、61および受動素子59を形成するための方法工程、および、バイポーラトランジスタ58を形成するための方法工程も、知られている方法工程であるか、または、基準に従って行われる方法工程である。
【0045】
図2A〜2Fは、特に反射防止層として用いられる窒化物層領域48の形成に関して、集積回路構造10を製造している間の製造段階を示している。
【0046】
FEOLプロセス(全工程)(つまり、半導体素子58、60、61の製造)の終わりであり、第1の金属薄膜層の形成前に、反射防止層44/46、48をフォトダイオード14上に形成する。このフォトダイオードは、下部酸化物層領域44、46と、それに隣接した上部窒化物層領域48とを含んでいる。本模範的な実施形態では、表面再結合を低減するために、熱酸化物層44を界面層として用いる。
【0047】
酸化物/窒化物二重層44/46、48の厚さは、感光性であるpinダイオード用の光の波長のために反射を最小限にするように最適化される。また、窒化珪素を、直接堆積してパターン形成することができない。なぜなら、さらに他の露出している窒化物領域(例えば、窒化物層領域70または82)があるからである。さらに、熱酸化物層44は、下部電極78、ゲート電極90、94、および、それらに隣接したスペーサを十分には保護しない。これは、特に、スペーサが窒化珪素を含んでいるからである。したがって、以下に述べる方法工程を行う。
【0048】
図2Aは、pinダイオードのアノード領域42と、キャパシタ59とを示している。ここでは、それらの間に位置する領域を図示していない(破線の垂直な線120によってそのことを示している)。図2Aでは、多結晶シリコンPoly2をパターン形成した直後の回路構造10を示している。アノード領域42は、熱酸化物層44と、厚さが例えば12ナノメートルである二酸化珪素層とによって覆われている。
【0049】
続いて、図2Bに示したように、保護層46b(例えば二酸化珪素層)を、TEOS方法(Tetra Ethylene Ortho Silicate)を用いて、30〜60ナノメートルの層厚(ここでは、例えば40ナノメートルの層厚)に均一に堆積する。保護層46bは、とりわけ、窒化物領域82を水平方向および垂直方向に保護する。さらに、保護層46bは、さらに以下に述べる方法工程が作用する前に、キャパシタ59の領域において酸化物層44、46aを保護する。
【0050】
図2Bに示したように、保護層46bを全平面に形成した後、(LP)CVD方法(低圧化学気相成長)によって、層厚が100ナノメートル〜200ナノメートル(ここでは、例えば150ナノメートル)のスペーサ素子層122(例えば、窒化珪素層)を形成する。
【0051】
さらに続いて、図2Cに示したように、スペーサ素子層122を、異方性エッチング方法(例えば、RIE方法(反応性イオンエッチング))によってエッチングする。ここで、段に沿って、スペーサ素子またはスペーサが形成される(参照:例えば、スペーサ素子130)。異方性エッチングを行う間、保護層46bは停止層として用いられ、平坦な領域に露出し、例えば40ナノメートルから20ナノメートルに薄膜化される。より小さな段に沿って、スペーサ素子層122の残余物132が残る。該残余物は、しかし、以下の説明から分かるようにこれ以上妨害しない。
【0052】
図2Dに示したように、その後、スペーサ素子130によって覆われていない領域、または、スペーサ素子130に直接隣接していない領域において、保護層46bを除去する。本模範的な実施形態では、保護層46bを除去した後の酸化物層44/46の厚さは、例えば9.5ナノメートルである。したがって、スペーサ素子130は、酸化物領域86において、基板12に対して平行に位置する酸化物層46の表面より上に、例えば30ナノメートルよりも多く突き出ている。保護層46bの除去を、例えば異方性に(特にウェット化学によって)例えばフッ化水素酸HFを用いて行う。スペーサ素子130をある範囲内でアンダーカットする。なぜなら、スペーサ素子の裾部の横寸法が、保護層46bの層厚よりも厚い(特に、2倍以上厚い)からである。
【0053】
これに対して、他の模範的な実施形態では、保護層46bを、スペーサ素子130に対して選択的に、例えば元の厚さの半分以上薄膜化するだけである。しかし、保護層46bのどの箇所もエッチングしていない。薄膜化の目標の厚さは、5〜15ナノメートルである。
【0054】
これに対して、スペーサ素子130の下、および、スペーサ素子130と被覆電極84または窒化物領域との間において、保護層46bの厚さは、除去後または薄膜化後にも、元のまま(例えば40ナノメートル)である。これにより、該スペーサ素子130を除去する必要があるとはいえ、該スペーサ素子は、ここでは、特によい保護効果を有している。保護層46bを除去している間に、さらに、酸化物層46aを例えば2ナノメートルだけ薄膜化する。ここで、層46が生じる。pinダイオードに入射している間の光の反射を最小限にするように、酸化物層44/46の厚さを調整する。
【0055】
図2Eに示したように、層46bの露出領域を除去した後、層48bを堆積する。この層から、反射防止層または窒化物層領域48が形成される。層48bは、本模範的な実施形態では、窒化珪素を含んでいる。この層の厚さを、光の波長に関して使用に適合させる。層48bの層厚は、例えば30ナノメートル〜60ナノメートルである。層48bを、薄膜化された酸化物層44/46の上に堆積する。本模範的な実施形態では、窒化珪素層48bの層厚は、40ナノメートルである。したがって、スペーサ素子130は、層48bと同じ材料を含んでおり、この層48bの一部になる。
【0056】
層48bを堆積した後、ハードマスク層(例えば、TEOSハードマスク層)を供給し、パターン形成する。ここで、ハードマスク140は領域42上に形成される。ハードマスク140を、フォトリソグラフィー方法およびエッチングプロセスを用いて、ハードマスク層から形成する。例えば、ハードマスク層48は、二酸化珪素を含んでいる。ハードマスク層をパターン形成している間、このプロセスを層48bの上で停止する。ハードマスク層の厚さを、このプロセスにおいて該ハードマスクを完全にエッチングせずに層48bを完全にパターン形成できるように、選択する。
【0057】
図2Fは、例えばリン酸を用いて例えばウェット化学プロセスしたがって等方性プロセスにおいてハードマスク140を用いて層48bをパターン形成し、ハードマスク140を除去した後の、製造段階を示している。ハードマスク140が位置していた領域下に、反射防止層として機能している窒化物層領域48が位置している。窒化物層48bをパターン形成している間にスペーサ素子130も除去するが、例えばL字型の厚くなった、酸化物層46の領域150が、窒化物層領域82をエッチング槽から十分に保護することができる。L字型の領域150は、スペーサ素子130が配置されていた段の底部と側面とを覆っている。ウェット化学エッチングプロセスの間、このプロセスは、酸化物層46でも停止する。
【0058】
BEOLプロセス(後工程)の終わりに(つまり、金属薄膜層の形成後)、pinダイオード14上に位置する最後に形成された窒化物パッシベーション層を除去する。これにより、使用時に、光の干渉効果を最小限に抑えることができる。さらに、接続パッドのパターン形成にも用いられるマスクと同じマスクを使用する。これにより、ここでも他のマスクを用いる必要がない。
【0059】
帯域幅が1ギガヘルツであり、作動電圧が2.5ボルトであり、入射光の波長が650ナノメートルである、pinダイオードが生じる。得られた感光度は、波長が405ナノメートルである場合、0.25A/W(1ワット当たりのアンペア)であり、波長が650ナノメートルである場合、0.4A/Wであり、波長が780ナノメートルである場合、0.35A/Wである。
【0060】
以下の技術的効果が得られる。
‐エピタキシプロセスが一度のみ必要であり、pinダイオードを形成するために他のフォトマスクが4つだけ必要であり、無線周波数npnトランジスタ58を形成するために他のフォトマスクがたった3つだけ必要である、簡単な制御方法。
‐pinダイオード14の作動電圧が小さい(例えば、3ボルト未満、特に2.5ボルト)。
‐pinダイオードのp/n接合容量が少ない(例えば、1立方ミリメートル当たり約15ピコファラッドだけ)。
‐pinダイオードの直列抵抗が小さい。
‐pinダイオードの特に中間領域に、オートドーピング層が存在しない。これにより、ゆっくりした電荷担体拡散効果が生じない。
‐該中間領域の下に位置する、層20と層12との間のn/pフォトダイオードを短絡する。これにより、基板からのゆっくりした電荷担体拡散効果を回避できる。
【0061】
また、本発明は、以下の発明を包含する。
【0062】
以下を備えた集積回路構造を形成する。この集積回路構造は、
‐pinダイオードと、
‐このpinダイオードに含まれている、表面近傍に位置する一伝導型にドープされた領域(例えば、p型領域)と、
‐該pinダイオードに含まれている、表面近傍に位置する該pinダイオードの該領域(例えば、埋設されたn型領域)の伝導型とは異なる伝導型にドープされた、表面から離れた領域と、
‐該pinダイオード(14)に含まれ、該表面近傍に位置する領域と該表面から離れた領域との間に配置された、ドープされていないまたはpinダイオードの表面近傍に位置する領域よりも弱くドープされた、中間領域と、
‐該表面近傍に位置するバイポーラトランジスタと、
‐npnトランジスタの場合はp型にドープされており、pnpトランジスタの場合はn型にドープされている、該バイポーラトランジスタに含まれたベース領域と、
‐該バイポーラトランジスタに含まれ、該ベース領域に隣接した、表面近傍の縁領域(例えば、エミッタ領域)と、
‐該バイポーラトランジスタに含まれ、該ベース領域に隣接した、該表面から離れた縁領域(例えば、コレクタ領域)と、
‐該バイポーラトランジスタの、表面から離れた縁領域よりも強くドープされており、該表面から離れた該縁領域の該表面から離れた側に配置された、接続領域とを備えている。
‐ここで、該中間領域は、該接続領域が始まる深さで始まり該接続領域が終わる深さで終わる部分において一定のドーパント濃度特性を有しているか、または、1桁未満だけ変わるドーパント濃度特性を有している。
【0063】
一形態では、pinダイオードの、表面から離れた領域と、中間領域との境界は、表面から少なくとも8マイクロメートルまたは少なくとも10マイクロメートルの深さである。トランジスタの、表面から離れた縁領域は、表面から、最大で、該深さの1/3未満またはその1/5未満の深さまで延びている。エピタキシ層が比較的厚いにもかかわらず、優れた動作特性(特に、コレクタ接続抵抗の値が低く、コレクタ容量が少ない)を有するバイポーラトランジスタが形成される。一形態では、接続領域の表面近傍の境界は、1.5マイクロメートルよりも浅い。
【0064】
他の形態では、中間層および接続領域は、基板とは異なるドーパント濃度で形成され、特に縁領域を除いて均一のドーパント濃度で形成された単結晶層(特にエピタキシ層)の中に配置されている。深さについて言及する際に引き合いに出される表面とは、単結晶層の界面であることが好ましい。
【0065】
他の形態では、この回路構造は、ドーパント濃度が均一である基板、または、ドープされていない基板(特に、シリコン基板)を含んでいる。次の一形態では、エピタキシ層は、製造プロセスの終わりには、pinダイオードの領域において、基板とは異なるドーパント濃度および/または該基板とは異なる伝導型を有している。
【0066】
本発明は、さらに、本発明の回路構造の製造方法、または、その複数の形態の中の1つの製造方法に関するものである。これにより、上記の技術的な効果がこの方法にも適用される。この方法は、以下の工程を含んでいる。なお、工程が以下の順序で行われるわけではない。
‐pinダイオードのドープされた領域を基板に形成する。
‐pinダイオードの該領域を形成した後、厚さが少なくとも5マイクロメートルまたは少なくとも8マイクロメートルであるエピタキシ層を、特にエピタキシを中断せず、他のエピタキシを実行せずに、形成する。
‐このエピタキシ層を形成した後、バイポーラトランジスタのコレクタ接続領域の埋設された層を打ち込む。
‐pinダイオードの他のドープされた領域を形成する。
‐該エピタキシ層に、コレクタ接続領域に隣接したコレクタ領域を含むバイポーラトランジスタを、形成する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】pinダイオードを備えた集積回路構造を示す図である。
【図2A】集積回路構造を製造する間の製造段階を示す図である。
【図2B】集積回路構造を製造する間の製造段階を示す図である。
【図2C】集積回路構造を製造する間の製造段階を示す図である。
【図2D】集積回路構造を製造する間の製造段階を示す図である。
【図2E】集積回路構造を製造する間の製造段階を示す図である。
【図2F】集積回路構造を製造する間の製造段階を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路構造(10)の製造方法であって、
集積回路構造(10)を製造するとき、
保護される材料(82)が隣接している少なくとも1つの段を含んだ形状を形成し、
上記段をも覆う保護層(46b)を形成し、
上記保護層(46b)を形成した後、スペーサ素子層(122)を形成し、
上記スペーサ素子層(122)に異方性エッチングを行い、上記段に少なくとも1つのスペーサ素子(130)を形成し、
上記スペーサ素子(130)によって覆われていない領域において、上記保護層(46b)を薄膜化するか、または、完全に除去し、上記保護される材料(82)に沿って、上記保護層(46b)の少なくとも1つの残余領域(150)が残っており、
上記保護層(46b)を薄膜化または除去した後、有効層(48b)を形成し、
上記有効層をパターン形成すると同時に、スペーサ素子(130)を除去し、上記保護される材料(82)は、残余領域(150)によって保護される、製造方法。
【請求項2】
上記保護層(46b)の薄膜化が終了した後、上記保護層(46b)の部分層が、スペーサ素子(130)によって覆われていない領域に残っており、
上記部分層に対して選択的にパターン形成を行うか、または、
上記スペーサ素子(130)によって覆われていない領域において上記保護層(46b)を完全に除去し、上記保護層(46b)と同じ材料を含んだ層(46a)が上記保護層(46b)の下に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
保護される材料(82)と、スペーサ素子層(122)の材料と、有効層(48、48b)の材料とは、少なくとも1つの同じ材料組成、特に、結合した窒素からなるか、または、同じ材料、特に窒化珪素からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記保護層(46b)は酸化物層、特に酸化珪素層であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
上記有効層(48b)を、好ましくはハードマスク(140)および/またはリン酸を用いて、ウェット化学によってパターン形成することを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記保護される材料(82)は、キャパシタ(59)の誘電体、特に、1つの電極(78、84)または2つの電極(78、84)が多結晶シリコンからなるか、または、多結晶シリコンを含有している、キャパシタ(59)に含まれているか、または、
メモリトランジスタの電荷蓄積層、特に、至る所で電気的に絶縁された層に含まれているか、または、
電界効果トランジスタ(60)のゲート電極(90)の側面に位置するスペーサ素子(92a)に含まれているか、または、電界効果トランジスタ(60)のゲート誘電体に含まれていることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
上記有効層(48)は、感光素子、特に、pinダイオード(14)を被覆しており、上記有効層(48)を、反射防止層として用いることが好ましいことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記感光素子(14)は、上記感光素子に近い順に、熱酸化物層(44)と、堆積された酸化物層(46)と、有効層(48)とを含んだ積層によって覆われていることを特徴とする、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【公開番号】特開2011−18920(P2011−18920A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193888(P2010−193888)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【分割の表示】特願2007−518581(P2007−518581)の分割
【原出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】