説明

単相シリコーンアクリレート製剤

【課題】相分離に抵抗し、(A)シリコーン、アクリレートおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む単相シリコーンアクリレート製剤を提供する。
【解決手段】単相シリコーンアクリレート製剤はまた、(B)シリコーン官能性および(メタ)アクリレート官能性を有し、シリコン含有感圧接着剤組成物、(メタ)アクリレートおよび開始剤の反応生成物であるシリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤を含む。単相シリコーンアクリレート製剤の相分離を最小限にする方法は、(A)および(B)を組み合わせて単相シリコーンアクリレート製剤を形成する工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に単相シリコーンアクリレート製剤と、単相シリコーンアクリレート製剤の相分離を低減する方法とに関する。より具体的には、単相シリコーンアクリレート製剤は、シリコン含有感圧接着剤組成物、(メタ)アクリレートモノマーおよび開始剤の反応生成物であるシリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤を含む。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤は、「PSA」とも称され、当技術分野において既知で、市販されている。より一般的なタイプのPSAのいくつかは、アクリレート、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴムおよびシリコーンをベースにした製剤である。これらPSAは、通常最終用途のために処方され、テープ、ラベル、包帯、経皮薬物送達システム(例えば、パッチ)、貼合わせ用接着剤および転写接着剤を含む幅広い用途に利用される。
【0003】
アクリレート系PSAは、全体を通してアクリレートPSAとも称され、他のPSAと比べて比較的コストが低く、経皮パッチ用の多くのタイプの作用薬を溶解し、さまざまな異なる表面に十分に接着し、必要に応じてある表面への接着性を強化するように処方することができることにより、これらの用途に広く用いられている。アクリレート系PSAの不利な点としては、貧弱な高温性能、貧弱な低温性能、低表面エネルギーを有する表面への接着不能、医療テープ用途において使用者に疼痛除去をもたらし得る皮膚への過剰接着を増加させる可能性が挙げられる。こうしたアクリレート系PSAの例が米国特許第RE24,906号に開示されている。
【0004】
シリコーン系PSAは、全体を通してシリコーンPSAとも称され、通常シリコーン樹脂と、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のようなシリコーンポリマーとを一緒に混合または縮合するいずれかにより生成される。シリコーン物質はもともと高温で非常に安定であり、PDMSの低ガラス転移温度(Tg)(−115℃未満)は最終的に−100℃〜265℃の範囲内の温度で用いることができるPSAをもたらす。シリコーン系PSAはまた、優れた化学的不活性、電気絶縁特性、生物適合性ならびにシリコーン剥離ライナー、ポリテトラフルオロエチレンおよびフルオロハロカーボン物質のような低表面エネルギー基質への接着性を有する。シリコーン系PSAの主な不利点は、他の技術と比べてそのコストが高いことである。他の制限としては、アクリレート系PSAと比べてより低い粘着性および限られた接着性強化(必要に応じて)が挙げられる。こうしたシリコーン系PSAの例が米国特許第2,736,721号;第2,814,601号;第2,857,356号;および第3,528,940号に開示されている。
【0005】
アクリレートPSAおよびシリコーンPSAを組み合わせて両技術の利点を得ようとする多くの試みがなされてきた。1つの特定の用途のより具体的な例として、シリコーン感圧接着剤が経皮薬物送達システムにしばしば適用されている。周知のように、これらシステムは通常活性薬剤およびシリコーン感圧接着剤を含む。活性薬剤、例えば医薬品は、システムの使用者の皮膚のような基質へ制御経皮送達または放出するためのものである。感圧接着剤は、活性薬剤を基質へ送達し得るようにシステムと基質との間の長期の接触を維持するように機能する。こうしたシステムの例を米国特許第3,731,683号;第3,797,494号;第4,031,894号;および第4,336,243号に見ることができる。用いる特定のシリコーン感圧接着剤のため、この先行技術の経皮薬物送達システムは活性薬剤の感圧接着剤への溶解性を十分に最適化しない。その結果、活性薬剤を基質への送達のためシステムから放出する速度、およびまた基質へ最終的に放出、送達する活性薬剤の総量は、この先行技術において最適化されない。
【0006】
すべてNoven Pharmaceuticals,Inc.の米国特許第5,474,783号;第5,656,286号;第6,024,976号;第6,221,383号;第6,235,306号;第6,465,004号;および第6,638,528号において、活性薬剤の経皮薬物送達システム中での溶解性は、アクリレート感圧接着剤と、シリコーン感圧接着剤とを異なる比で単純に混合することにより最適化される。しかしながら、2つの別々のPSAが一緒に実際化学的に反応しないため、一方のPSAのドメインが他方のPSAの連続相内に形成する。本質的には、全体的な相分離が液体形態および乾燥時の両方でシリコーン系PSAとアクリレート系PSAとの間に起こる。当業界で既知なように、相分離は一般に簡単な例で油および水のような2つの類似しない物質の非相溶性により起こる。この特定の例では、シリコーンPSAの低表面エネルギーがアクリレートPSAの高表面エネルギーと非相溶性となり、相分離が起こる。相分離は、一般に不安定性とも称する。この不安定性は、相分離が起こる前にアクリレート感圧接着剤/シリコーン感圧接着剤混合物の適用前および適用中の有効使用時間を制限する。また、乾燥により且つ混合物が時間の経過とともに老化するにつれて、2つの異なるPSAが平衡状態に到達しようとするので、ドメインの大きさが潜在的に変化し得る。これは、粘着性、皮膚接着性および時間に伴うライナーからの剥離のような特性の変化をもたらし得る。
【0007】
別の例では、豊田合成株式会社の特開昭62−295982号は、モールと、シリコーン系PSA、アクリレート系PSAならびにポリウレタンおよび/またはポリイソシアネート架橋剤をともに混合することにより作成したPSAとからなる自動車用途の取り付けシステムを開示する。この取り付けシステムの目的は、モールを自動車のメインフレームに取り付けるための組成物を提供することである。シリコーン系PSAおよびアクリレート系PSAをともに組み合わせるため、第3のポリマー種、具体的にはポリウレタンおよび/またはポリイソシアネート架橋剤を用いて、異なる相を一緒に反応させなければならない。このシステムの不利な点としては、第3のポリマー種の必要性、架橋剤の即時反応による制限された製剤ポットライフ、およびシステムが老化、すなわち時間とともに架橋し続けることによる被覆製品の不安定な貯蔵寿命安定性が挙げられる。
【0008】
ゼネラルエレクトリック社の米国特許第4,791,163号は、(a)100重量部の水;(b)(i)約50〜99重量%の有機PSAと(ii)1〜約50重量%のシリコーンPSAとを含む10〜400重量部のPSA;ならびに(c)エマルジョンを維持するのに有効な量の乳化剤を含むエマルジョンを開示する。シリコーン系PSAをまず溶剤で乳化し、その後有機PSAに添加して最終組成物をもたらす。この例では、乾燥工程前およびその間にエマルジョンの早期相分離を防ぐため、乳化剤および乾燥条件を注意深く制御することが必要である。エマルジョンを乾燥すると、シリコーンPSAと有機PSAとの間に化学反応は実際起こらない。
【0009】
別の例、すなわちゼネラルエレクトリック社の欧州特許第EP0289929B1号は、シリコーン相内での架橋によりエマルジョンのせん断強度を増大するのに効果的な量の有機過酸化物またはアルコキシシラン架橋剤を添加した前記米国特許‘163号と同じエマルジョンを記載する。また、該エマルジョンは、乾燥工程前およびその間にエマルジョンの全体的な相分離を防ぐために乳化剤の注意深い制御を要する。
【0010】
別の例、日東電気工業株式会社の特開昭63−291971号は、シリコーンPSA、アクリレートPSAおよびシリコーン−アクリルグラフトコポリマーの混合物を含む接着剤を記載する。シリコーン−アクリルグラフトコポリマーは、重合反応中のシリコーンマクロモノマーとアクリルモノマーとの反応により形成される。次いで、シリコーン−アクリルグラフトコポリマーをシリコーンPSAおよびアクリルPSA組成の混合物に添加し、2つの異なるPSA相間の相溶化剤として作用させる。PSA間に実際の化学反応はないので、相分離の可能性は依然として残る。
【0011】
Minnesota Mining and Manufacturing Company(3M)の国際公開第WO92/20751号において、感圧接着剤組成物は好適にはアクリルモノマー、シリコーン感圧接着剤、任意の光開始剤および任意の架橋剤からなる。振動減衰に関する別のシリーズの3M特許はこの同じ組成物を開示する(国際公開第WO92/20752号ならびに米国特許第5,464,659および第5,624,763号参照)。これら組成物の目的は、PSAまたは振動減衰用途に用いる無溶剤放射線硬化性組成物を提供することである。市販のシリコーンPSAをまずすべての溶剤で乾燥する。次いで、固体シリコーンPSAの塊を所望のモノマーに溶解し、続いて光開始剤および架橋剤を添加する。組成物を次に基質上に塗布し、UV放射線への曝露により最終製品に硬化する。架橋剤を添加することができるが、組成物は本質的にアクリルモノマーが予備成形したシリコーンPSA網内で分散しながら反応する浸透網である。この組成物の利点は、最終用途特性に応じてシリコーンPSA対アクリレート比およびまたアクリレート自体内のアクリレートモノマーの比を制御する能力である。これら特許全体を通して明記されているように、組成物の成分は、シリコーンPSAをモノマーに分散して均質な混合物を形成した場合、成分が室温で12時間放置した際に相分離を示さないように選択される。これは依然として、物質が時間とともに最終的には相分離するという点で不利である。別の異なる不利な点は、このシステムが通常実質的に酸素を含まない雰囲気または窒素雰囲気中で硬化されることである。したがって、取り扱いがより複雑となり、製剤物質のポットライフが制限される。最後に、UV硬化性組成物における光開始剤およびその潜在的な副産物の使用は、こうした環境中で反応または分解し得る活性薬剤を含む経皮薬物送達システムのような用途における使用をほぼ確実に不可能にする。上述したように、先行技術の感圧接着剤を向上させる必要性が残る。
【発明の概要】
【0012】
相分離に抵抗する単相シリコーンアクリレート製剤は、(A)シリコーン、アクリレートおよびその組み合わせの少なくとも1つを含む。該製剤はまた、(B)シリコーン官能性および(メタ)アクリレート官能性を有するシリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤を含み、シリコン含有感圧接着剤組成物、(メタ)アクリレートモノマーおよび開始剤の反応生成物である。単相シリコーンアクリレート製剤の相分離を最小限にする方法は、(A)および(B)を組み合わせて単相シリコーンアクリレート製剤を形成する工程を含む。シリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤は、アクリレートおよびシリコーンの両方の化学的性質に関する有利な官能基を相分離に抵抗する単相シリコーンアクリレート製剤に取り入れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、単相シリコーンアクリレート製剤(以下単相製剤と称する)を提供する。単相製剤は相分離に抵抗し、単相であり、二相性または二相系ではない。換言すると、単相製剤は相分離していない。もっとも一般的には、単相製剤はほぼ室温で1時間、24時間、3〜7日、1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間放置した後、目視評価を用いて測定して相分離しない。単相製剤は相分離に抵抗し、室温で2、3、4、5、6ヶ月間、又は6ヶ月〜1年放置した後または1年後以降相分離し得ないと考えられる。
【0014】
一般に、単相製剤は(A)シリコーン、アクリレートおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つと、(B)シリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤(以下相溶化剤と称する)との均質または分散混合物または組み合わせである。一実施形態では、(A)は(B)より大きい重量または体積パーセントで存在する。あるいはまた、(B)は(A)より大きい重量または体積パーセントで存在し得る。種々の実施形態において、(A)は製剤全体の約10〜約90、約20〜約80、約30〜約70、約40〜約60または約50重量パーセントの量で存在する。他の実施形態では、(B)が製剤全体の約10〜約90、約20〜約80、約30〜約70、約40〜約60、または約50重量パーセントの量で存在する。
【0015】
(A)はとくに限定されず、当業界で既知のあらゆるシリコーンまたはアクリレートを含むことができる。(A)のシリコーンの適切な非限定的な例としては、PDMSのようなポリシロキサン、1つ以上のM、D、Tおよび/またはQ単位を含むシリコーン、シラノール末端ブロックPDMSおよびシリケート樹脂の(縮合)反応生成物、これらのトリメチルシロキシでキャップした誘導体、ならびにその組み合わせが挙げられる。一実施形態では、(A)のシリコーンが当業界で既知の感圧接着剤である。(A)のアクリレートは、一般に1つ以上のアクリレートモノマーの重合から形成されるポリマーである。アクリレートモノマーはとくに限定されず、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート等のような当業界で既知のいずれかであってもよい。一実施形態では、(A)のアクリレートとして2−エチルヘキシルアクリレートおよびメタクリレートが挙げられる。
【0016】
適切な(A)のシリコーンおよびアクリレートの追加の非限定的な例としては、シリコーン感圧接着剤組成物、アクリル感圧接着剤組成物およびこれらの物理的混合物が挙げられる。かかる混合物の1つは、アクリルおよびゴム感圧接着剤組成物のブレンドである。さらに追加の非限定的な例は、米国特許第5,474,783号;第5,656,286号;第6,024,976号;第6,221,383号;第6,235,306号;第6,465,004号;第6,638,528号;第5,464,659号;および第5,624,763号に開示され、その全開示を本明細書に参照して援用する。
【0017】
戻ると、(B)の相溶化剤はシリコーン官能性および(メタ)アクリレート官能性を含む。或いは又、シリコーンおよび/または(メタ)アクリレート官能性はシリコーンおよび/または(メタ)アクリレート含有量として、若しくは(B)の相溶化剤のシリコーンおよび/または(メタ)アクリレートポリマーもしくは重合基として表すことができる。シリコーン官能性は、通常当業界で既知なように、M、D、TまたはQ単位とし得る−Si−O−Si−結合/基として相溶化剤中で表される。相溶化剤はアクリレート官能性、メタクリレート官能性、またはアクリレート官能性およびメタクリレート官能性の両方を含むことができることを理解すべきである。
【0018】
(B)の相溶化剤は、シリコン含有感圧接着剤組成物、(メタ)アクリレートモノマーおよび開始剤(すなわち、開始剤の存在下)の反応生成物である(またはこれを含む)。すなわち、(B)の相溶化剤は、これら反応体(シリコン含有感圧接着剤組成物、(メタ)アクリレートモノマーおよび開始剤)間の化学反応の生成物である。本発明の(B)の相溶化剤は、アクリレートおよびアクリルの語が本明細書を通して一般に互換的に用いられるので、シリコーンアクリル相溶化剤と称することもできる。本発明の明細書に用いるように、シリコーンアクリレートおよびシリコーンアクリルの語は、シリコーン系亜種およびアクリレート系亜種の単純なブレンド以上を表すことを意図している。代わりに、これらの語はともに重合されたシリコーン系亜種およびアクリレート系亜種を含む重合ハイブリッド種を表す。
【0019】
「感圧接着剤」の語およびその頭字語「PSA」は、本明細書を通して互換的に用いられる。1つの例として、シリコン含有感圧接着剤組成物はシリコン含有PSA組成物と称することもできる。シリコン含有感圧接着剤組成物を通常(メタ)アクリレートモノマーと反応させて、(B)の相溶化剤100重量部に対し5〜95、より一般的には25〜75重量部の量で(B)の相溶化剤を形成する。
【0020】
一実施形態において、シリコン含有感圧接着剤組成物自体は、感圧接着剤およびシリコン含有キャッピング剤の縮合反応生成物を含む。以下にも追加で説明するように、シリコン含有キャッピング剤は、アクリレートまたはメタクリレート官能性をシリコン含有感圧接着剤にもたらすことができる。本発明の明細書の文脈では、「感圧接着剤」の語が「シリコン含有感圧接着剤組成物」の語と区別されることを理解すべきである。
【0021】
シリコン含有感圧接着剤組成物は、上述したように、感圧接着剤およびシリコン含有キャッピング剤の反応生成物またはシリコーン樹脂、シリコーンポリマーならびに第1および/または第2シリコン含有キャッピング剤の縮合反応生成物とすることができる。シリコン含有感圧接着剤組成物は、本明細書に記載したキャッピング剤または複数の作用剤でキャップまたは末端ブロックした感圧接着剤であってもよい。キャッピング剤および感圧接着剤を反応させて、シリコン含有感圧接着剤組成物を形成することができる。
【0022】
一実施形態において、感圧接着剤(キャッピング剤との反応前)は、縮合触媒、例えば酸または塩基触媒のような触媒の存在下で任意に反応し得るシリコーン樹脂およびシリコーンポリマーの縮合反応生成物を含む。あるいはまた、キャッピング剤は、現場での反応による触媒を、例えばクロロシランから発生したHClとしてもたらすことができる。この実施形態では、独立した触媒を用いてもよく、また省略してもよい。一般に、シリコーン樹脂は30〜80重量部の量で反応して感圧接着剤を形成し、シリコーンポリマーは20〜70重量部の量で反応して感圧接着剤を形成する。これらの重量部はともに感圧接着剤100重量部に基づく。必要ではないが、感圧接着剤は触媒量の縮合触媒を含むことができる。
【0023】
幅広い適切なシリコーン樹脂およびシリコーンポリマーがある。適切なシリコーン樹脂およびシリコーンポリマーとしては、限定しないが、その全開示をここに参照して援用するKanios他の米国特許第6,337,086号に開示および説明されるものが挙げられる。
【0024】
1つのシリコーン樹脂は、式RSiO1/2のトリオルガノシロキシ単位および式SiO4/2の四官能性シロキシ単位を各四官能性シロキシ単位に対し約0.6〜0.9のトリオルガノシロキシ単位の比で有するコポリマーを含み、式中の各Rは独立して炭素原子1〜6個の一価炭化水素基を表し、代表的なシリコーンポリマーは末端ブロッキングTRASiO1/2単位で終端させたARSiO単位を有する少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンを含み、ここでポリジオルガノシロキサンは25℃で約100センチポイズ〜約30,000,000センチポイズの粘度を有し、各A基は独立してRまたは1〜6個の炭素原子を有するハロ炭化水素基から選択され、各T基は独立してR、OH、HまたはORからなる群から選択され、各Rは独立して1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0025】
このシリコーン樹脂およびシリコーンポリマーの形態を用いる例として、1つのタイプの感圧接着剤は、(i)シリコン結合ヒドロキシル基を含有し、存在する各SiO4/2単位に対し0.6〜0.9のRSiO1/2単位のモル比でRSiO1/2単位およびSiO4/2単位から主としてなる30〜80重量部の少なくとも1つの樹脂コポリマーと、(ii)末端ブロッキングTRASiO1/2単位で終端させたARSiO単位を含む約20〜約70重量部の少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンで、25℃で約100センチポイズ〜約30,000,000センチポイズの粘度を有し、各Rが炭素原子1〜6個の炭化水素基からなる群から選択される一価有機基であり、各A基が独立してRまたは1〜6個の炭素原子を有するハロ炭化水素基から選択され、各T基が独立してR、OH、HまたはORからなる群から選択され、各Rが独立して炭素原子1〜4個のアルキル基であるポリジオルガノシロキサンと、(iii)十分な量の、全体を通して末端ブロッキング剤とも称し、後述し、また5,000〜15,000、より一般的には8,000〜13,000ppmの範囲内のシラノール含有量または濃度をもたらすことができる少なくとも1つのシリコン含有キャッピング剤と、(iv)所望に応じて(ii)によりもたらされない場合の追加触媒量のマイルドなシラノール縮合触媒と、(v)必要に応じて(i)、(ii)、(iii)および(iv)に対して不活性で、(i)、(ii)、(iii)および(iv)の混合物の粘度を低減するのに効果的な量の有機溶剤とを混合し;(i)、(ii)、(iii)および(iv)の混合物を少なくともかなりの量のシリコン含有キャッピング剤がシリコン結合ヒドロキシル基ならびに(i)および(ii)のT基と反応するまで縮合することにより製造される。追加の有機シリコン末端ブロッキング剤を本発明のシリコン含有キャッピング剤又は複数の作用剤(iii)と併用することができる。かかる追加の有機シリコン末端ブロッキング剤は、本明細書において第2シリコン含有キャッピング剤とも称し、以下に追加で記載する。
【0026】
感圧接着剤は、通常本発明に従い、30〜80重量部のシリコーンコポリマー樹脂(i)と、20〜70重量部の従来かかる接着剤を作成するのに用いたタイプのポリジオルガノシロキサン(ii)とを用いて製造される。より一般的には、40〜75重量部の樹脂コポリマー(i)および25〜60重量部のポリジオルガノシロキサン(ii)を用いる組成物である。
【0027】
シリコーン樹脂コポリマー(i)は、シリコン結合ヒドロキシル基を通常約1〜4重量パーセントの範囲内の量で含有し、式RSiO1/2のトリオルガノシロキシ単位および式SiO4/2の四官能性シロキシ単位を存在する各SiO4/2単位に対し0.6〜0.9のRSiO1/2単位のモル比で含む。2つ以上のかかるコポリマーの混合物を用いることもできる。ポリジオルガノシロキサン成分をコポリマー樹脂と共重合させるか、および/または感圧接着剤を化学的に処理するために添加した末端ブロッキング剤と反応させることができる少なくともいくら、通常少なくとも0.5%のシリコン結合ヒドロキシル含有量が存在しなければならない。一般に、これら樹脂コポリマーは通常室温で固体であり、有機溶剤中の溶液として調製されるが必ずしも溶液として用いないベンゼン可溶性樹脂状物質である。樹脂コポリマー(i)を溶解するのに用いる代表的な有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、ペルクロロエチレン、ナフサミネラルスピリットおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
樹脂コポリマー(i)は、コポリマー中の各SiO4/2単位に対し0.6〜0.9のRSiO1/2単位から主としてなる。コポリマー中に数モルパーセントのRSiO単位が存在していてもよいが、ただしかかる単位の存在はこのプロセスの最終生成物がPSAとして機能する能力を損なわせない。各Rは、独立してメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビニル、アリル、プロペニルおよびフェニルのような1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表す。一般に、RSiO1/2単位はMeSiO1/2単位および/またはMeSiO1/2単位であり、式中のRはビニル(「Vi」)またはフェニル(「Ph」)基である。より一般的には、樹脂コポリマー(i)中に存在するRSiO1/2単位の10モルパーセント以下はMeSiO1/2単位であり、残りの単位はMeSiO1/2単位であり、式中の各Rはビニル基である。もっとも一般的には、RSiO1/2単位はMeSiO1/2単位である。
【0029】
SiO1/2およびSiO4/2単位のモル比は、RSiO1/2単位中のR基の同定の知識および樹脂コポリマーの炭素分析パーセントから簡単に求めることができる。各SiO4/2単位に対し0.6〜0.9のMeSiO1/2単位からなる代表的な樹脂コポリマーにおいて、炭素分析は19.8〜24.4重量パーセントの値を有する。
【0030】
樹脂コポリマー(i)は、Daudt等の米国特許第2,676,182号(1954年4月20日発行、本明細書に参照して援用する)に従って調製することができ、シリカヒドロゾルをMeSiOSiMe、ViMeSiOSiMeViもしくはMeViPhSiOSiPhViMeのようなヘキサオルガノシロキサンまたはMeSiCl、MeViSiClもしくはMeViPhSiClのようなトリオルガノシランのようなRSiO1/2単位の供給源を用いて低pHで処理する。かかるコポリマー樹脂は、通常コポリマー樹脂が約1〜4重量パーセントのシリコン結合ヒドロキシル基を含有するように製造される。あるいはまた、R基を含まない適当な加水分解性シランの混合物を共加水分解および縮合してもよい。この代替手順では、コポリマー生成物をヘキサメチルジシラザンまたはジビニルテトラメチルジシラザンのような適当なシリル化剤でさらに処理して、コポリマー生成物のシリコン結合ヒドロキシル含有量を1重量パーセント未満まで低減することが一般的な実施方法である。この工程は必要ではないが、ここで記載するプロセスにおいて用いることができる。一般に、用いる樹脂コポリマーは約1〜4重量パーセントのシリコン結合ヒドロキシル基を含有する。
【0031】
成分(ii)は、末端ブロッキングTRASiO1/2単位で終端したARSiO単位を含む1つ以上のポリジオルガノシロキサンであり、該ポリジオルガノシロキサンはそれぞれ25℃で100センチポイズ〜30,000,000センチポイズ(1センチポイズが1ミリパスカル秒に等しい場合100ミリパスカル秒〜30,000パスカル秒(Pa.s))の粘度を有する。周知のように、粘度は、同じ末端ブロッキング単位を有する異なる分子量の一連のポリジオルガノシロキサンについて存在するジオルガノシロキサン単位の平均数に直接関連する。25℃で約100〜100,000センチポイズの粘度を有するポリジオルガノシロキサンは、流体からいくらか粘性のポリマーの範囲内である。これらポリジオルガノシロキサンは、さらに後述するように、末端ブロッキング剤(iii)の存在下での縮合前に通常樹脂コポリマー(i)と予備反応させて、生成する感圧接着剤の粘着性および接着特性を向上させる。通常、100,000センチポイズを超える粘度を有するポリジオルガノシロキサンに予備反応なしに縮合/末端ブロッキング工程を施すことができる。1,000,000センチポイズを超える粘度を有するポリジオルガノシロキサンは、ガムと称されることが多い高粘性生成物であり、粘度はしばしばウィリアムス可塑度値を単位として表される(約10,000,000センチポイズ粘度のポリジメチルシロキサンガムは通常25℃で約50ミル(1.27mm)以上のウィリアムス可塑度値を有する)。
【0032】
(ii)のポリジオルガノシロキサンはARSiO単位から主としてなり、式中の各Rは上で定義したとおりである。各A基は、Rまたは炭素原子1〜6個のハロヒドロ−炭素基、例えばクロロメチル、クロロプロピル、1−クロロ−2−メチルプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルおよびFC(CH基のような基から選択される。従って、ポリジオルガノシロキサンはMeSiO単位、PhMeSiO単位、MeViSiO単位、PhSiO単位、メチルエチルシロキシ単位、3,3,3−トリフルオロプロピル単位、1−クロロ、2―メチルプロピル単位等を含有することができる。通常、ARSiO単位はRSiORSiO単位、PhSiO単位および両方の組み合わせからなる群から選択され、式中のRおよびRは上記のとおりであり、ポリジオルガノシロキサン(ii)中に存在するR基の少なくとも50モルパーセントはメチル基であり、(ii)の各ポリジオルガノシロキサン中に存在するARSiO単位の総モルの50モルパーセント以下はPhSiO単位である。より一般的には、各ポリジオルガノシロキサン(ii)中に存在するARSiO単位の10モルパーセント以下はMeRSiO単位であり、式中のRは上で定義したとおりであり、各ポリジオルガノシロキサン中に存在する残りのARSiO単位はMeSiO単位である。もっとも一般的には、実質上すべてのARSiO単位がMeSiO単位である。
【0033】
各ポリジオルガノシロキサン(ii)は単位式TRASiO1/2の末端ブロッキング単位で終端させ、式中のRおよびAは上で定義したとおりであり、各T基はR、OH、HまたはOR基であり、ここで各Rはメチル、エチル、n−プロピルおよびイソブチル基のような炭素原子1〜4個のアルキル基である。H、OHおよびORはアクリレートまたはメタクリレート官能性シリコン含有キャッピング剤との反応用の部位をもたらし、またポリジオルガノシロキサン(ii)上の他のこうした基若しくは樹脂コポリマー(i)中に存在するシリコン結合ヒドロキシル基との縮合用の部位をもたらす。ポリジオルガノシロキサン(ii)を次に樹脂コポリマー(i)で容易に共重合し得るので、TがOHであるポリジオルガノシロキサンの使用がもっとも一般的である。クロロシランを用いると発生するHCl、またはオルガノシラザンを末端ブロッキング剤として用いると発生するアンモニアのような適当な触媒を用いる場合、縮合反応を加熱しながら行う際にトリオルガノシロキシ単位のいくつかが開裂し得るので、トリオルガノシロキシ(例えば、(CHSiO1/2またはCHCH(CHSiO1/2のようなRSiO1/2)単位末端ポリジオルガノシロキサンを用いることができる。開裂はシリコン結合ヒドロキシル基を露出させ、これを次にコポリマー樹脂中のシリコン結合ヒドロキシル基、末端ブロッキングトリオルガノシリル単位、またはH、OH、OR基もしくは開裂反応により露出したシリコン結合ヒドロキシル基を含有する他のポリジオルガノシロキサンで縮合ですることができる。異なる置換基を含有するポリジオルガノシロキサンの混合物を用いることもできる。
【0034】
かかるポリジオルガノシロキサンの製造方法は、本明細書に参照して援用する以下の米国特許:第2,490,357号(Hyde);第2,542,334号(Hyde);第2,927,907号(Polmanteer);第3,002,951号(Johannson);第3,161,614号(Brown他);第3,186,967号(Nitzche等他);第3,509,191号(Atwell);および第3,697,473号(Polmanteer他)により例示されるように周知である。
【0035】
過酸化物によるか、または樹脂コポリマー(i)もしくはポリジオルガノシロキサン(ii)中に存在する脂肪族不飽和基により硬化すべき感圧接着剤を得るためには、樹脂コポリマー(i)が脂肪族不飽和基を含有する場合、ポリジオルガノシロキサン(ii)はかかる基を含むべきではなく、その逆も同様である。両方の成分が脂肪族不飽和基を含有する場合、こうした基による硬化は感圧接着剤として作用しない生成物をもたらし得る。
【0036】
上述したように、感圧接着剤はある濃度のシリコン結合ヒドロキシル基(すなわちシラノール)を含むことができ、シリコン含有キャッピング剤は末端ブロッキング剤である。また、末端ブロッキング剤およびキャッピング剤の語は当技術分野を通して、および本明細書において互換的に用いられる。末端ブロッキング剤および感圧接着剤を縮合して、シリコン含有感圧接着剤組成物を生成することができる。より具体的には、末端ブロッキング剤をある濃度のシリコン結合ヒドロキシル基と反応させて、感圧接着剤をキャップすることができる。一般的に上述したように、末端ブロッキング剤が感圧接着剤と反応する場合、組成物中のシラノールの濃度は5,000〜15,000、より一般的には8,000〜13,000ppmである。
【0037】
必要ではないが、感圧接着剤は通常シリコン含有感圧接着剤組成物中に感圧接着剤の固体重量%に対し85.0〜99.9重量部の量で存在し、シリコン含有キャッピング剤は通常シリコン含有感圧接着剤組成物中に感圧接着剤の固体重量%に対し0.1〜15重量部の量で存在する。より一般的には、感圧接着剤はシリコン含有感圧接着剤組成物中に感圧接着剤の固体重量%に対し90.0〜99.8重量部の量で存在し、シリコン含有キャッピング剤は通常シリコン含有感圧接着剤組成物中に感圧接着剤の固体重量%に対し0.2〜10重量部の量で存在する。一般に、感圧接着剤は50〜65%、より一般的には60%の固体重量%を有する。
【0038】
感圧接着剤をすでに形成した後、すなわち感圧接着剤を構成するシリコーン樹脂およびシリコーンポリマーが反応した後、末端ブロッキング剤を導入して感圧接着剤と反応させることができる。この場合、シリコーン樹脂およびシリコーンポリマーを縮合反応させて感圧接着剤を形成した後、シリコン含有キャッピング剤が感圧接着剤と反応する。
【0039】
あるいはまた、末端ブロッキング剤をシリコーン樹脂および/またはシリコーンポリマーと現場で反応させることができ、シリコーン樹脂およびシリコーンポリマーが反応している間末端ブロッキング剤が存在する。すなわち、この現場シナリオでは、末端ブロッキング剤をシリコーン樹脂およびシリコーンポリマーの反応前または反応中のいずれかで導入することができる。いずれにしても、この現場シナリオでは、シリコーン樹脂およびシリコーンポリマーをシリコン含有キャッピング剤の存在下で反応させ、シリコーン樹脂およびシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を形成するとともに、シリコン含有キャッピング剤をシリコーン樹脂およびシリコーンポリマーと現場で反応させる。
【0040】
本発明の一実施形態では、シリコン含有キャッピング剤をアクリレート官能性シラン、アクリレート官能性シラザン、アクリレート官能性ジシラザン、アクリレート官能性ジシロキサン、メタクリレート官能性シラン、メタクリレート官能性シラザン、メタクリレート官能性ジシラザン、メタクリレート官能性ジシロキサンおよびこれらの組み合わせの群から選択する。
【0041】
あるいはまた、末端ブロッキング剤は一般式(XYRSi)Dで表すことができ、式中のXは一般式AE−の一価基であり、ここでEは−O−または−NH−であり、Aはアクリル基またはメタクリル基であり、Yは1〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり、Rはメチルまたはフェニル基であり、Dは二価または三価の有機加水分解性基である。一般的には、Dは−O−または−NH−である。もっとも一般的には、この特定の末端ブロッキング剤は、ビス(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシラザン、ビス(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルジシラザン、ビス(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサンおよびこれらの組み合わせの群から選択される。
【0042】
アクリル基はアクリレート官能性を有するシリコン含有キャッピング剤をもたらし、メタクリル基はメタクリレート官能性を有するシリコン含有キャッピング剤をもたらす。当業者であれば、アクリル基は一般的には
【化1】


と表すことができることを認識する。
【0043】
メタクリル基は一般的には
【化2】


と表すことができる。
【0044】
またさらに、末端ブロッキング剤は一般式XYR’SiZ3−bで表すことができ、式中のXは一般式AE−の一価基であり、ここでEは−O−または−NH−であり、Aは上述したようにアクリル基またはメタクリル基であり、Yは1〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり、R’はメチルまたはフェニル基であり、Zは一価加水分解性有機基またはハロゲンであり、bは0、1または2である。一般的には、一価加水分解性有機基は一般式R”O−であり、式中のR”はアルキレン基である。もっとも一般的には、この特定の末端ブロッキング剤は、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)トリメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルシラザン、3−アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3−アクリロキシプロピルジクロロシラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルシラザンおよびこれらの組み合わせの群から選択される。
【0045】
上述したように、第2シリコン含有キャッピング剤を本発明のシリコン含有キャッピング剤または末端ブロッキング剤と併用することができる。この第2シリコン含有キャッピング剤は、シリコン含有キャッピング剤と第2シリコン含有キャッピング剤が通常アクリレートおよびメタクリレート官能性を含まないという点で区別し得る。もし第2シリコン含有キャッピング剤が含まれる場合、有機シリコン末端ブロッキング剤はシリコン含有キャッピング剤および感圧接着剤とともに組成物を形成する反応生成物である。第2シリコン含有キャッピング剤は、通常末端ブロッキングトリオルガノシリル単位を発生することができる。適当な第2シリコン含有キャッピング剤としては、限定しないが、その全開示をすでに本明細書に参照して援用したKanios他の米国特許第6,337,086号に記載されるものが挙げられる。
【0046】
戻ると、(メタ)アクリレートモノマーは、シリコン含有感圧接着剤および開始剤とともに反応して(B)の相溶化剤を形成する反応体である。一般に、(メタ)アクリレートモノマーおよびシリコン含有感圧接着剤組成物を開始剤の存在下で重合する。通常、(メタ)アクリレートモノマーを反応させて、(B)の相溶化剤100重量部に対し5〜95、より一般的には25〜75重量部の量で(B)の相溶化剤を形成する。本発明を主に1つの(メタ)アクリレートモノマーの文脈で説明するが、2つ以上の(メタ)アクリレートモノマー、すなわち(メタ)アクリレートモノマーの組み合わせを重合、より具体的にはシリコン含有感圧接着剤および開始剤とともに共重合することができることを理解すべきである。一般に、(メタ)アクリレートモノマーおよびシリコン含有感圧接着剤の反応によって形成した当該(B)の相溶化剤のアクリル部分は、通常主モノマーとしてと、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology,Third Edition,Donatas Satas,Satas&Associates,1999,Warwick,Rhode Islandの第19章に広く記載されるような変性モノマーとの組み合わせを有するアクリレート系PSAと同様に形成される。
【0047】
(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも1つのアクリレート官能基および/または少なくとも1つのメタクリレート官能基を有する任意のモノマーとすることができる。換言すると、「(メタ)」の語は「メタ」基が任意で、必要ではないことを表す。従って、モノマーはアクリレートモノマーまたはメタクリレートモノマーとすることができる。本発明に用いる(メタ)アクリレートモノマーは脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレートおよびこれらの組み合わせの群から選択された化合物であることが一般的である。化合物、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレートおよび脂環式メタクリレートのそれぞれはアルキル基を含むことを理解すべきである。これら化合物のアルキル基は最大20個の炭素原子を含むことができる。
【0048】
(メタ)アクリレートモノマーの1つとして選択し得る脂肪族アクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソペンチルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される。(メタ)アクリレートモノマーの1つとして選択し得る脂肪族メタクリレートは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソペンチルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される。(メタ)アクリレートモノマーの1つとして選択し得る脂環式アクリレートはシクロヘキシルアクリレートであり、(メタ)アクリレートモノマーの1つとして選択し得る脂環式メタクリレートはシクロヘキシルメタクリレートである。
【0049】
本明細書に極性モノマーとして表す特定の他のモノマーは、(メタ)アクリレートモノマーとして用いることができ、ヒドロキシル官能性のような追加官能性を含むことができる。ここで用いる極性モノマーは、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノおよびアルケニル複素環のような少なくとも1つの極性基を有するアクリルまたはメタクリルモノマーである。本発明に有用なこれら極性モノマーの例としては、限定しないが、ラジカル重合により重合可能である両性、アニオン性またはカチオン性性質の親水性(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。これら極性モノマーのより具体的な例としては、限定しないが、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、2−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアクリレート、2−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートまたはこれらの塩等が挙げられる。
【0050】
(メタ)アクリレートモノマーおよびシリコン含有感圧接着剤組成物を通常開始剤の存在下で重合する。(メタ)アクリレートモノマーおよびシリコン含有感圧接着剤組成物の開始剤の存在下での重合は50〜100℃、より一般的には65〜90℃の温度で行われるのが通常一般的である。本発明の方法をバッチプロセス、半連続プロセスまたは連続プロセスで用いることができることを理解すべきである。本発明の方法はまた、(メタ)アクリレートモノマー又は複数のモノマーの律速添加を説明するという点で「柔軟」であり、これは後述するシリコーン対アクリル比を制御する能力にも貢献する。
【0051】
必要ではないが、重合工程前にシリコン含有感圧接着剤組成物、(メタ)アクリレートモノマーおよび開始剤を混合して予備反応混合物を形成することができ、この予備反応混合物を重合工程前に溶剤と組み合わせることができる。これら任意の工程を行う場合、予備反応混合物を溶剤と組み合わせた後、予備反応混合物中の成で重合が起こることは明らかである。
【0052】
本発明においてシリコン含有感圧接着剤組成物および(メタ)アクリレートモノマーの重合を開始するために用いると考えられる多くの異なる開始メカニズムがあることを理解すべきである。しかしながら、典型的な開始剤は、フリーラジカル開始剤として当技術分野を通して知られているものであり、Principles of Polymerization,Fourth Edition,George Odian,Wiley−Interscience,2004,New Jerseyの第3章において詳述されている。一般に、フリーラジカル開始剤としては、過酸化物、アゾ化合物、レドックス開始剤および光開始剤が挙げられる。本発明の用途にもっとも一般的なフリーラジカル開始剤は、過酸化物、アゾ化合物およびその組み合わせの群から選択される。開始剤は通常(B)の相溶化剤中に該(B)の相溶化剤100重量部に対し0.005〜3、より一般的には0.01〜2重量部の量で存在する。とくに、(B)の相溶化剤が形成されると、過酸化物は本発明の文脈において開始に関連しない追加の機能を果たすことができる。具体的には、過酸化物は以下に追加で説明するように架橋剤として機能することができる。
【0053】
説明の目的のためのみに、本発明の相溶化剤(B)を製造するためのシリコン含有感圧接着剤および(メタ)アクリレートモノマーの開始剤の存在下での重合を例示するための一般的な表示を以下に含める。
【化3】

【0054】
(メタ)アクリレートモノマーおよびシリコン含有感圧接着剤の重合中、シリコーン対アクリル比を十分に制御し、所望のとおり最適化することができる。相溶化剤(B)の最終用途に応じて(B)の相溶化剤を最適化することができるので、シリコーン対アクリル比を制御することが望ましい。シリコーン対アクリル比は、本方法においてさまざまなメカニズムにより制御することができる。かかるメカニズムの例示的な一例は、(メタ)アクリレートモノマー又は複数のモノマーのシリコン含有感圧接着剤組成物への律速添加である。特定の用途では、アクリレート系亜種または総アクリル含有量を超えるシリコーン系亜種または総シリコーン含有量を有することが望ましい場合がある。他の用途では、その逆であることが望ましい場合がある。最終用途にかかわらず、シリコン含有感圧接着剤組成物は通常(B)の相溶化剤中に該相溶化剤(B)100重量部に対し5〜95、より一般的には25〜75重量部の量で存在する。
【0055】
一般に、溶剤を(B)相溶化剤を製造する重合中に用いて、適当な混合および熱伝達を可能にする反応混合物の粘度を低下させる。溶剤は、反応成分に対して不活性で、反応そのものを妨げない任意適当な物質とすることができる。適当な溶剤としては、限定しないが、ヘキサンおよびヘプタンのような脂肪族炭化水素;メタノール、エタノールおよびブタノールのようなアルコール;アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンのようなケトン;酢酸エチル、酢酸n−ブチルおよび酢酸i−ブチルのようなエステル;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンおよびヘキサメチルジシロキサンのような250℃未満の沸点および100センチストーク未満の粘度を有する線状、環状または分岐構造を有する低粘性シリコーン油;ならびに上記溶剤の2つ以上の混合物が挙げられる。用いる場合、溶剤の量は通常反応体および溶剤の総量に対し30〜95、より一般的には40〜70重量部の量で存在する。
【0056】
重合物の分子量を制御または制限すべき場合、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤は当業界で既知であり、1−ブタンチオールおよびドデカンチオールのようなメルカプタンを含むことができる。用いる場合、連鎖移動剤の量は通常相溶化剤(B)100重量部当たり約0〜0.5重量部である。
【0057】
本明細書に記載した相溶化剤(B)をそのまま用いて、周知の被覆または塗布技術に従ってテープまたは経皮薬物送達システムとして用いるためのPSA膜を調製することができる。随意に塗布がニートな(B)の相溶化剤により与えられるよりも高いせん断強度(すなわち、凝集強度)を要する場合、(B)の相溶化剤から得る膜の架橋密度は、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology,Third Edition,Donatas Satas,Satas&Associates,1999,Warwick,Rhode Islandのそれぞれ第19章および第21章に記載される純粋なアクリレート系PSAおよび純粋なシリコーン系PSAの両方についての周知の手順に従って増加させることができる。
【0058】
従来のアクリレートPSAについて既知の架橋技術を本発明の(B)相溶化剤に用いる場合、ある量のヒドロキシまたはカルボキシル官能性モノマーを(B)の相溶化剤用の初期重合工程に組み込むことを確実にするのが重要である。この官能性モノマーの量は、モノマーの総量に対して0.5〜20重量部でなければならない。例えば、これら官能性モノマーの組み込みに起因する官能性基が(B)の相溶化剤で入手し得る場合、注型、すなわち被覆前に各種金属アセチルアセトネートおよびオルトアルキルチタネートを添加する際に架橋密度が増加する。当業界で理解されるように、架橋密度は静的せん断および凝集強度の指標である。かかる金属アセチルアセトネートおよびオルトアルキルチタネートは当業界でしばしば架橋剤と称する。かかる架橋剤の1つの具体的に適切な例はアルミニウムアセチルアセトネート(AlAcAc)である。AlAcAcは以下実施例29において用いる。
【0059】
従来のシリコーンPSAを硬化、すなわち架橋する技術を本発明の(B)の相溶化剤に対し用いて静的せん断を向上させる場合、相溶化剤(B)の不揮発分に対して約0.25〜3.0重量%の過酸化ジベンゾイル(BPO)または2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシドのような過酸化物架橋剤を注型前に該相溶化剤(B)に添加することができる。注型後、膜を110℃〜175℃で1〜10分間硬化することができる。当業界で既知のように、過酸化物架橋剤は、相溶化剤(B)の1つの鎖から水素を、また相溶化剤(B)の別の鎖から別の水素を効果的に抽出し、これらの2つの鎖がその後化学的に反応する。過酸化物架橋剤の1つの具体的に適当な例はBPOである。BPOを以下実施例30において用いる。
【0060】
本発明に記載したテープ、ラベルおよび経皮薬物送達システムを含む多くの用途では、裏打ち層および剥離層を用いることがしばしば必要である。裏打ち層は、ポリマー膜(例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリウレタン、PTFE等)、金属箔、ガラス布、PTFE被覆ガラス布、紙(例えばクレープ、スーパーカレンダークラフト等)、布、不織物質、発泡体(例えばポリウレタン、アクリレート、シリコーン、ネオプレン等)およびゴム(例えばシリコーン、ブチル等)から選択されたもののようなテープに用いる典型的な基質のいずれかとすることができる。一般に、剥離ライナーを紙または膜のような裏打ちに供給し、乾燥および/または硬化工程が完了した後に(B)の相溶化剤に塗布する。シリコーン系PSAおよびアクリレート系PSA両方とともに、また本発明の(B)の相溶化剤とともに用いるのに適した3つの一般的なタイプの剥離コーティングが当業界で既知で、市販されている:シリコーン系剥離ライナー(例えばDow Corning(登録商標)Syl−off(商標)7680)、ペルフルオロポリエーテル系剥離ライナー(例えば3M SCOTCH−PAK(登録商標)1022剥離ライナー)およびフルオロシリコーン系剥離ライナー(例えばDow Corning(登録商標)Syl−off(商標)Q2−7785)。特定の用途に対する剥離ライナーは、(B)の相溶化剤中のシリコーン対アクリレートの比に左右されるだろう。(メタ)アクリレートモノマーと比べて低レベルのシリコン含有PSAを含有する(B)の相溶化剤(例えば20部のシリコン含有PSAおよび80部の(メタ)アクリレートモノマー)に対して、シリコーン系剥離ライナーを用いることができる。(B)の相溶化剤が(メタ)アクリレートモノマーと比べて高レベルのシリコーン含有PSAを含有する(例えば80部のシリコン含有PSAおよび20部の(メタ)アクリレートモノマー)場合、ペルフルオロポリエーテル系またはフルオロシリコーン系ライナーのいずれかを選択すべきである。
【0061】
本発明の相溶化剤(B)の1つのとくに重要な用途は経皮または局所薬物送達システムである。該システムは、活性薬剤および感圧接着剤として機能する本発明の(B)の相溶化剤を含む。システムの文脈における活性薬剤およびその(B)相溶化剤との関係について以下に詳述する。当業者が理解するように、システムは構造的であり、限定しないが、パッチ、膜、多層包帯、貯蔵器システムおよびこれらの組み合わせを含む多くの形態とすることができる。活性薬剤は基質への制御経皮送達用のシステムに用いられる。必要ではないが、該システムに対し、活性薬剤の基質への制御経皮送達前に(B)の相溶化剤を支持するための裏打ち層および/または(B)の相溶化剤および/もしくは活性薬剤を保護するための剥離ライナーを含むことも可能である。本発明の経皮薬物送達システムの1つの典型的な用途は、使用者または患者を活性薬剤で治療することである。その結果、基質は通常使用者の皮膚であり、この典型的な用途では使用者がシステムを皮膚上に塗布および装着する。
【0062】
活性薬剤は、基質への経皮送達に適したあらゆる成分とすることができる。適当な活性薬剤としては、限定しないが、ここに開示を参照して援用するMiranda他の米国特許第5,474,783号に開示および説明される活性薬剤が挙げられる。これら活性薬剤としては、限定しないが、心臓作用薬、アンドロゲンステロイド、エストロゲン、ホルモン、プロゲステロン作用薬、中枢神経系に対する作用を有する薬物、栄養剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン、呼吸器作用薬、交感神経作用薬、縮瞳薬、コリン作動薬、抗ムスカリン性またはムスカリン性抗コリン薬、散瞳薬、精神賦活剤、抗感染剤、外皮用薬、体液性剤、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、食欲抑制薬、抗アレルギー薬、精神安定剤、抗精神病薬、うっ血除去薬、解熱薬、抗片頭痛薬、悪心および嘔吐の治療薬、抗マラリア薬、抗潰瘍薬、ペプチド、パーキンソン病の治療薬、痙縮の治療薬、急性筋痙攣の治療薬、抗エストロゲン、抗ホルモン剤、治療剤ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
本発明における活性薬剤としての使用に適した上述の活性薬剤のより具体的な例としては:
心臓作用薬、例えば、ニトログリセリン、二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビドのような有機硝酸塩;硫酸キニジン;プロカインアミド;ベンドロフルメチアジド、クロロチアジドおよびヒドロクロロチアジドのようなチアジド;ニフェジピン;ニカルジピン;チモロールおよびプロプラノロールのような抗アドレナリン薬;ベラパミル;ジルチアゼム;カプトプリル;クロニジンおよびプラゾシン;
テストステロン、メチルテストステロンおよびフルオキシメステロンのようなアンドロゲンステロイド;
共役エストロゲン、エステル化エストロゲン、キネストロール、エストロピペート、17−βエストラジオール、吉草酸17−βエストラジオール、エクイリン、メストラノール、エストロン、エストリオール、17−βエチニルエストラジオールおよびジエチルスチルベストロールのようなエストロゲン;
プロゲステロン、19−ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、メレンゲストロール、クロルマジノン、エチステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、二酢酸エチノジオール、ノルエチノドレル、17−α−ヒドロキシプロゲステロン、ジドロゲステロン、ジメチステロン、エチニルエストレノール、ノルゲストレル、デメゲストン、プロメゲストンおよび酢酸メゲストロールのようなプロゲステロン作用薬;
中枢神経系に対する作用を有する薬物、例えば、鎮静薬、催眠薬、抗不安薬、鎮痛薬および麻酔薬、例えば、クロラール、ブプレノルフィン、ナロキソン、ハロペリドール、フルフェナジン、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、コデイン、リドカイン、テトラカイン、ジクロニン、ジブカイン、コカイン、プロカイン、メピバカイン、ブピバカイン、エチドカイン、プリロカイン、ベンゾカイン、フェンタニル、およびニコチン;
ビタミン(例えばナイアシンアミド)、必須アミノ酸および必須脂肪のような栄養剤;
抗炎症剤、例えば、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾロン、フルランドレノリド、プレドニゾン、ハルシノニド、メチルプレドニゾロン、フルドロコルチゾン、コルチコステロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、フェンブフェン、フルルビプロフェン、アセトアミノフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、インドメタシン、ピロキシカム、アスピリン、サリチル酸、ジフルニサル、サリチル酸メチル、フェニルブタゾン、スリンダック、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、ナプロキセン等;
カンファー、メントール、トウガラシ抽出物、乳香、緑茶、ジュニパー茶およびカフェインのような外部鎮痛薬;
ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、ペルフェナジン、トリプロリジン、ピリラミン、クロルシクリジン、プロメタジン、カルビノキサミン、トリペレナミン、ブロムフェニラミン、ヒドロキシジン、シクリジン、メクリジン、テルレナジンおよびクロルフェニラミンのような抗ヒスタミン;
テオフィリンのような呼吸器作用薬およびβ−アドレナリン作動薬、例えばアルブテロール、テルブタリン、メタプロテレノール、リトドリン、カルブテロール、フェノテロール、キンテレノール、リミテロール、ソルメファモール、ソテレノール、およびトレトキノール;
ドーパミン、ノルエピネフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、アンフェタミン、プロピルヘキセドリンおよびエピネフリンのような交感神経作用薬;
ピロカルピン等のような縮瞳薬;
コリン、アセチルコリン、メタコリン、カルバコール、ベタネコール、ピロカルピン、ムスカリンおよびアレコリンのようなコリン作動薬;
抗ムスカリン性またはムスカリン性抗コリン剤、例えばアトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、メトスコポラミン、ホマトロピンメチルブロミド、メタンテリン、シクロペントレート、トロピカミド、プロパンテリン、アニソトロピン、ジシクロミン、およびユーカトロピン;
アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピンおよびヒドロキシアンフェタミンのような散瞳薬;
3−(2−アミノプロピル)インドール、3−(2−アミノブチル)インドール等のような精神賦活剤;
抗感染剤、例えばペニシリン、テトラシクリン、クロランフェニコール、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファメトキサゾールおよびスルフィソキサゾールを含む抗生物質;イドクスウリジンを含む抗ウィルス剤;エリスロマイシンおよびクラリスロマイシンのような抗菌剤;ケトコナゾールのような抗真菌剤;ならびニトロフラゾン、シクロピロクス、テルバフィン、ウィッチヘーゼル等を含む他の抗感染剤;
外皮用薬、例えばレチノイド;ビタミンCおよびE;過酸化ベンゾイル(BPO)(一般的には過酸化ジベンゾイルとも称される);ならびにダプソン;
天然および合成プロスタグランジンのような体液性剤、例えばPGEl、PGE2−α、PGF2−αおよびPGEl類似体ミソプロストール;
アトロピン、メタンテリン、パパベリン、シンナメドリン、およびメタスコポラミンのような抗痙攣薬;
パロキセチン、フェネルジン、トラニルシプロミン、イミプラミン、アミトリプチリン、トリミプラミン、ドキセピン、デシプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、マプロチリンおよびトラゾドンのような抗うつ薬;
インスリンのような抗糖尿病薬、ならびにタモキシフェンおよびメトトレキセートのような抗癌薬;
デキストロアンフェタミン、メタンフェタミン、フェニルプロパノールアミン、フェンフルラミン、ジエチルプロピオン、マジンドールおよびフェンテルミンのような食欲抑制薬;
アンタゾリン、メタピリレン、クロルフェニラミン、ピリラミンおよびフェニラミンのような抗アレルギー薬;
レセルピン、クロルプロマジンのような精神安定剤、および抗不安ベンゾジアゼピン、例えば、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロラゼプテート、ハラゼパム、オキサゼパム、パラゼパム、クロナゼパム、フルラゼパム、トリアゾラム、ロラゼパムおよびジアゼパム;
チオプロパゼート、クロロプロマジン、トリフルプロマジン、メソリダジン、ピペラセタジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、トリフルオペラジン、クロロプロチキセン、チオチキセン、ハロペリドール、ブロムペリドール、ロキサピンおよびモリンドンのような抗精神病薬;
フェニルエフリン、エフェドリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリンのようなうっ血除去薬;
アスピリン、サリチルアミド等のような解熱薬;
ジヒドロエルゴタミンおよびピゾチリンのような抗片頭痛薬;
悪心および嘔吐の治療薬、例えばクロロプロマジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、プロメタジン、トリエチルペラジン、トリフルプロマジン、およびトリメプラジン;
4−アミノキノリン、αアミノキノリン、クロロキンおよびピリメタミンのような抗マラリア薬;
ミソプロストール、オメプラゾールおよびエンプロスチルのような抗潰瘍薬;
成長ホルモン放出因子のようなペプチド;
パーキンソン病、痙縮、および急性筋痙攣の治療薬、例えば、レボドパ、カルビドパ、アマンタジン、アポモルフィン、ブロモクリプチン、セレギリン(デプレニル)、トリへキシフェニジル、ヒドロクロリド、ベンズトロピンメシレート、塩酸プロシクリジン、バクロフェン、ジアゼパムおよびダントロレン;ならびに
タモキシフェンまたはヒト絨毛性ゴナドトロピンのような抗エストロゲンまたは抗ホルモン剤が挙げられる。
【0064】
一実施形態では、活性薬剤をケトプロフェン、エストラジオール、クロニジンおよびこれらの組み合わせの群から選択する。
【0065】
上で示したように、特定の活性薬剤は上に挙げたものに限定されない。本システムに用いるのに適した活性薬剤の他の例は当業者にとって明らかであるだろう(例えば、Drugs and the Pharmaceutical Sciences,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.10016(1982)のVolume 14にあるYie Chienの論文「Novel Drug Delivery System」の149〜217頁参照)。
【0066】
当業者であれば理解するように、活性薬剤は、後述するように、どの形態が最適な送達特性、例えば放出速度および放出総量をもたらすかに応じてシステム中に異なる形態で存在することができる。例えば、薬物の場合、薬物はその遊離塩基もしくは酸形態、塩、エステルもしくはその他の薬理学的に許容可能な誘導体の形態、または分子錯体の成分とすることもできる。
【0067】
システム中に組み込まれる活性薬剤の量は、限定しないが、特定の活性薬剤、所望の治療効果およびシステムが治療をもたらす時間帯を含む多くの要因に応じて異なる。ほとんどの活性薬剤にとって、皮膚への活性薬剤の通過は経皮送達における速度限定工程である。従って、活性薬剤の量および放出速度は、通常長時間のゼロ次時間依存性により特徴づけられる経皮送達をもたらすように選択される。システム中の活性薬剤の最小量は、システムが治療をもたらす時間帯で皮膚または他の基質を通過する活性薬剤の量に基づいて選択される。一般に、システム中の活性薬剤の量は、システムの約0.1〜約60重量%、より一般的にはシステムの約0.3〜約50重量%、本発明により許容されるより低い薬物用量については、もっとも一般的にシステムの約1.0〜約30重量%である。システムの重量は、最小で活性薬剤および相溶化剤(B)の総量である。システム中の活性薬剤の量に関するこれら重量%範囲の具体例は、3つの典型的な活性薬剤、具体的には17−βエストラジオール、ナイアシンアミドおよびケトコナゾールの文脈においてすぐ下に提供される。
【0068】
活性薬剤が17−βエストラジオールを含む場合、17−βエストラジオールは通常所望の特定の薬物用量に応じてシステム100重量部に対し1.5〜2.5、4〜6または7〜13重量部の量で存在する。同じ基準で2、5または10重量部は、活性薬剤としての17−βエストラジオールのより一般的な値である。
【0069】
活性薬剤がナイアシンアミドを含む場合、ナイアシンアミドは通常所望の特定の薬物用量に応じてシステム100重量部に対し1.5〜2.5、4〜6または7〜13重量部の量で存在する。同じ基準で2、5、または10重量部は、活性薬剤としてのナイアシンアミドのより一般的な値である。
【0070】
活性薬剤がケトコナゾールを含む場合、ケトコナゾールは通常所望の特定の薬物用量に応じてシステム100重量部に対し1.5〜2.5、4〜6または7〜13重量部の量で存在する。同じ基準で2、5、または10重量部は、活性薬剤としてのケトコナゾールのより一般的な値である。
【0071】
前記重量割合は限定的ではなく、いずれか1つ以上の活性薬剤の重量割合を当業者により選択し得る。各種活性薬剤の追加の典型的だが非限定的な重量割合は、製剤100重量部当たり約0.1〜約20、約1〜約10、約2〜約8、約3〜約9、約4〜約6または約5重量部である。
【0072】
さらに、活性薬剤について、該活性薬剤をもっとも一般的には相溶化剤(B)中に入れることを認識すべきである。しかしながら、活性薬剤および相溶化剤(B)がシステム中に別々の層で共存し得ることも理解すべきである。すなわち、特定の実施形態では、活性薬剤を相溶化剤(B)中に入れないか、または直接組み込まない。
【0073】
もちろん、経皮薬物送達システムは、皮膚または他の基質を通る活性薬剤の送達を促進することが知られる他の作用剤を含有することもできる。これらの他の作用剤は、当業界で皮膚浸透促進剤、賦形剤、促進剤、補助剤および吸着促進剤とも称され、本明細書ではまとめて簡単に「促進剤」と称する。これら促進剤としては、(B)の相溶化剤中での活性薬剤の溶解性および拡散性を向上させる機能を有するもの、ならびに、例えば水分を保持することができるように上皮角質層を変える、皮膚を軟化させる、皮膚の浸透性を向上させる、浸透助剤または毛包開放剤として機能する、または境界層を含む皮膚の状態を変えることにより経皮吸収を向上させるものを含むさまざまな作用メカニズムを有するものが挙げられる。これら促進剤のいくつかは2つ以上の作用メカニズムを有するが、本質的には活性薬剤の基質への送達を促進するように機能する。
【0074】
促進剤のいくつかの例は、活性薬剤の溶解性を向上させるジプロピレングリコール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのような多価アルコール;オリーブ油、スクアレンおよびラノリンような油;セチルエーテルおよびオレイルエーテルのような脂肪エーテル;活性薬剤の拡散性を向上させるミリスチン酸イソプロピルのような脂肪酸エステル;角質が水分を保持する能力に影響を及ぼすアラントインのようなウレアおよびウレア誘導体;角質浸透性に影響を及ぼすジメチルデシルホスホキシド、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルラウリルアミド、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトニド、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドのような極性溶剤;角質を軟化させるサリチル酸;浸透助剤であるアミノ酸;毛包開放剤であるニコチン酸ベンジル;ならびに基質、例えば皮膚および投与した活性薬剤の表面状態を変えるラウリル硫酸塩のような高分子量脂肪族界面活性薬剤である。他の作用剤としては、オレインおよびリノレン酸、アスコルビン酸、パンテノール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、オレイン酸プロピルおよびパルミチン酸イソプロピルが挙げられる。
【0075】
本発明の特定の実施形態では、可塑剤または粘着付与剤をシステム、通常組成物中に組み込み、(B)の相溶化剤の接着特性を向上させることができる。粘着付与剤は、活性薬剤がシリコーンポリマーを可塑化しない実施形態においてとくに有用である。適当な粘着付与剤は、(1)脂肪族炭化水素、(2)混合脂肪族および芳香族炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)置換芳香族炭化水素、(5)水素化エステル、(6)ポリテルペンおよび(7)水素化ウッドロジンを含む当業界で既知のものである。用いる粘着付与剤は、通常組成物中の他の成分と相溶性である。適当な粘着付与剤の例はシリコーン流体(例えば、ミシガン州ミッドランドのDow Corning Corporationから市販のQ7−9120Silicone Fluid)、シリコーン樹脂(例えば、ミシガン州ミッドランドのDow Corning Corporationから市販のQ2−7466INT)または鉱油である。シリコーン流体およびシリコーン樹脂は、主成分としてポリシロキサンを含むブレンドに有用である。他の実施形態では、例えば合成ゴムが主成分である場合、鉱油が有用な粘着付与剤である。
【0076】
とくに、血管拡張薬ニトログリセリンのようないくつかの活性薬剤は組成物において可塑剤として機能する。その理由は、これらがある程度組成物の成分に可溶性であるからである。該成分中に容易に溶解しない活性薬剤には、活性薬剤および他の成分の共溶剤を添加することができる。レシチン、レチノール誘導体、トコフェロール、ジプロピレングリコール、トリアセチン、プロピレングリコール、飽和および不飽和脂肪酸、鉱油、シリコーン流体、アルコール、ブチルベンジルフタレート等のような共溶剤は、活性薬剤の組成物中での溶解性に応じて本発明の実施に有用である。
【0077】
粘着付与剤とは独立して、またはこれと併用して、(B)の相溶化剤はシステムと基質との間の接触を維持することができる。(B)の相溶化剤は、中程度の圧力で接着し、また外し、再度接着(同じまたは別の場所に)することができる十分な粘着および凝集強度を有する接着剤とすることができる。
【0078】
上述の可塑剤および粘着付与剤に加えて、(B)の相溶化剤は当業界で既知のさまざまな他の製剤添加剤を含むことができる。これら添加剤は、通常選択物性に影響を及ぼすか、または(B)の相溶化剤の特定の性能特性を向上させるために少量で含まれる。これら添加剤の例としては、限定しないが、シリカまたは炭酸カルシウムのような充填剤、顔料、抗酸化剤、消泡剤、湿潤剤および粘度調節剤が挙げられる。これら添加剤は、本発明の相溶化剤(B)が経皮薬物送達システムに用いられているかどうかにかかわらず、適用可能である。
【0079】
一実施形態において、相分離に抵抗する単相製剤は、(A)のシリコーン、アクリレートおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む。この実施形態では、製剤はまた、(B)シリコーン官能性および(メタ)アクリレート官能性を有し、シリコン含有感圧接着剤組成物および(メタ)アクリレートモノマーの開始剤の存在下での反応生成物である(またはこれを含む)シリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤も含む。なお、この実施形態では、シリコン含有感圧接着剤組成物が、上述のように触媒、例えば縮合触媒の任意での存在下でのシリコーン樹脂、シリコーンポリマーおよびシリコン含有キャッピング剤の縮合反応生成物を含む。さらに、この実施形態では、シリコーン樹脂およびシリコーンポリマーを反応させて感圧接着剤を形成し、ここでシリコーン樹脂およびシリコーンポリマーが反応する前、反応中または反応後にシリコン含有キャッピング剤を導入する。加えて、この実施形態では、シリコン含有キャッピング剤がシリコーン樹脂およびシリコーンポリマーを縮合反応させて感圧接着剤を形成した後に感圧接着剤と反応するか、またはシリコン含有キャッピング剤がシリコーン樹脂およびシリコーンポリマーと現場で反応する。
【0080】
追加の実施形態において、製剤は約10〜約90、約20〜約80、約30〜約70、約40〜約60または約50重量パーセントのアクリレートを含む。換言すると、製剤は、全体として、ある重量パーセントのアクリレート官能性、アクリレート含有量および/または前記範囲の1つの内の重量パーセントを有するアクリレート基を有することができる。あるいは、または加えて、製剤は約10〜約90、約20〜約80、約30〜約70、約40〜約60または約50重量パーセントのシリコーンを含むことができる。換言すると、製剤は、全体として、ある重量パーセントのシリコーン官能性、シリコーン含有量および/または前記範囲の1つの内の重量パーセントを有するシリコーン基(例えばM、D、T、および/またはQ単位)を有することができる。また別の実施形態において、製剤は、全体として、ある重量パーセントのシリコーン官能性および/または約50重量パーセントのシリコーン基、ならびにある重量パーセントのアクリレート官能性および/または約50重量パーセントのアクリレート基を有する。
【0081】
相溶化剤(B)そのものに戻ると、この成分はまた、上述のように、約10〜約90、約20〜約80、約30〜約70、約40〜約60または約50重量パーセントのアクリレートを含むことができる。同様に、この成分は、上述のように、約10〜約90、約20〜約80、約30〜約70、約40〜約60または約50重量パーセントのシリコーンを含むこともできる。一実施形態において、相溶化剤(B)そのものは約25重量パーセントのシリコーンおよび約75重量パーセントのアクリレートを有する。別の実施形態において、相溶化剤(B)そのものは約25重量パーセントのアクリレートおよび約75重量パーセントのシリコーンを有する。また別の実施形態において、相溶化剤(B)そのものは約50重量パーセントのシリコーンおよび約50重量パーセントのアクリレートを有する。他の実施形態において、製剤は賦形剤、例えばジプロピレングリコール、オレイン酸、オレイルアルコール、鉱油およびこれらの組み合わせの群から選択したものを含む。さらに他の実施形態において、製剤は医薬活性薬剤、例えばケトプロフェン、エストラジオール、クロニジンおよびこれらの組み合わせの群から選択したものを含む。
【0082】
相溶化剤(B)を用いる上述の経皮薬物送達システムのほか、幅広い用途においてこの(B)相溶化剤に付随したシリコーン系PSAまたはアクリレート系PSAを単独で用いることによっては見られない幅広い利点がある。かかる利点のいくつかとしては、限定しないが、幅広い範囲の表面エネルギーを有する基質への効果的な接着性、幅広い範囲の薬物の向上した溶解性、純粋なアクリレート系PSAと比べてより大きな有効温度使用範囲、純粋なシリコーン系PSAと比べてより低い潜在的なコストが挙げられる。
【0083】
相溶化剤(B)の他の用途としては、限定しないが、テープ、ラベル、ノート、包帯、経皮薬物送達システム(例えばパッチ)、リップスティック、ヘアスプレー、毛髪固定剤、他の化粧品製品、転写接着剤、ラミネート接着剤、表面プライミングおよび振動減衰が挙げられる。
【0084】
限定しないが、感圧接着剤(i)、シリコン含有キャッピング剤(ii)、第2シリコン含有キャッピング剤を含む本発明のいくつかの特性、および経皮薬物送達システムの特性は、ともに全開示を本明細書に参照して援用した「TRANSDERMAL DRUG DELIVERY SYSTEM WITH ACRYLATE OR METHACRYLATE FUNCTIONAL PRESSURE SENSITIVE ADHESIVE COMPOSITION」の名称の2005年10月25日に出願された米国仮特許出願第60/730,070号および2006年10月24日に出願されたPCT国際出願第PCT/US2006/041430号にも記載されている。
【実施例】
【0085】
一連の単相製剤(実施例1〜60)を本発明に従って形成する。相分離する一連の比較製剤(比較例1〜54)も形成する。これら比較製剤は本発明のシリコーンアクリレートハイブリッド組成物のいずれも含まない。
【0086】
形成後、実施例および比較例のそれぞれを室温で約1ヶ月間放置する。この期間中、相分離が起こるかどうかバイアルを周期的に目視評価する。以下の実施例では、相分離を示す場合、該相分離は1時間〜7日間の時間に起こった。相分離が起こらないと示す場合、1ヶ月後に評価を行う。換言すると、相分離しない以下の実施例は、バイアル中に室温で1ヶ月の放置後単相のままである。
【0087】
実施例には以下の成分の1つ以上を用い得る。
【0088】
ハイブリッド1:
ハイブリッド1は以下の方法を用いて形成する。16オンスのジャーに74.58gの2−EHAと、60.97gのMAと、214.01gのシリコン含有感圧接着剤組成物と、32.72gの酢酸エチル溶剤と、0.196gのVazo(登録商標)67とを添加して、予備反応混合物を形成する。
【0089】
本明細書に用いるシリコン含有感圧接着剤組成物は、酢酸エチル中60重量%の固体であり、シリコン含有キャッピング剤で末端ブロックされたシラノール末端ブロックポリジメチルシロキサン(PDMS)とシリケート樹脂との縮合反応によって生成する。2−EHAはエチレン性不飽和モノマー、具体的にはAldrichから市販された2−エチルヘキシルアクリレートである。MAはエチレン性不飽和モノマー、具体的にはAldrichから市販されたメチルアクリレートである。Vazo(登録商標)67はフリーラジカル開始剤、具体的にはDuPontから市販された2,2’−アゾビス(メチルブチロニトリル)である。
【0090】
予備反応混合物中の物質を十分に均質になるまで15分撹拌する。混合後、86.93gの予備反応混合物および263.0gの酢酸エチル溶剤を、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に添加する。予備反応混合物の残りの部分を別の梨型ガラス貯蔵器に添加する。次いで、加熱および混合を反応器中の混合物に対して開始する。反応温度を78℃に設定する。反応温度に達してすぐに、混合物を65分間反応させた後、さらに予備反応混合物を反応器に添加する。65分経過後、貯蔵器中の混合物がなくなるまで、貯蔵器中の混合物を定量ポンプを用いて1.69グラム/分の速度で175分間添加する。次いで、反応器中の混合物を78℃でさらに498分間反応させて、ハイブリッドを形成する。完了後、ハイブリッドを室温まで冷却した後、ハイブリッドを反応器から取り出す。最終生成物は不透明である。
【0091】
ハイブリッド2:
ハイブリッド2は以下の方法を用いて形成する。16オンスのジャーに75.93gの2−EHAと、50.55gのMAと、201.5gの後述する第1キャップ化合物と、28.5gの酢酸エチル溶剤と、0.183gのVazo(登録商標)67とを添加して、予備反応混合物を形成する。2−EHA、MA、およびVazo(登録商標)67は上述のとおりである。
【0092】
予備反応混合物中の物質を十分に均質になるまで15分撹拌する。混合後、85.4gの予備反応混合物および245.0gの酢酸エチル溶剤を、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に添加する。予備反応混合物の残りの部分を別の梨型ガラス貯蔵器に添加する。次いで、加熱および混合を反応器中の混合物に対して開始する。反応温度を78℃に設定する。反応温度に達してすぐに、混合物を60分間反応させた後、さらに予備反応混合物を反応器に添加する。60分経過後、貯蔵器中の混合物がなくなるまで、貯蔵器中の混合物を定量ポンプを用いて1.51グラム/分の速度で180分間添加する。反応器中の混合物を78℃でさらに1140分間反応させて、ハイブリッドを形成する。完了後、ハイブリッドを室温まで冷却した後、ハイブリッドを反応器から取り出す。最終生成物は不透明である。
【0093】
ハイブリッド3:
ハイブリッド3は以下の方法を用いて形成する。16オンスのジャーに44.0gの2−EHAと、44.0gのMAと、140.51gの同様に後述する第2キャップ化合物と、13.9gの酢酸エチル溶剤と、0.126gのVazo(登録商標)67とを添加して、予備反応混合物を形成する。2−EHA、MA、およびVazo(登録商標)67は上述のとおりである。
【0094】
予備反応混合物中の物質を十分に均質になるまで15分撹拌する。混合後、56.03gの予備反応混合物および162.5gの酢酸エチル溶剤を、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に添加する。予備反応混合物の残りの部分を別の梨型ガラス貯蔵器に添加する。次いで、加熱および混合を反応器中の混合物に対して開始する。反応温度を78℃に設定する。反応温度に達してすぐに、混合物を60分間反応させた後、さらに予備反応混合物を反応器に添加する。60分経過後、貯蔵器中の混合物がなくなるまで、貯蔵器中の混合物を定量ポンプを用いて1.43グラム/分の速度で130分間添加する。反応器中の混合物を78℃でさらに570分間反応させて、ハイブリッドを形成する。完了後、ハイブリッドを室温まで冷却した後、ハイブリッドを反応器から取り出す。最終生成物は不透明である。
【0095】
ハイブリッド4:
ハイブリッド4は以下の方法を用いて形成する。16オンスのジャーに75.62gの2−EHAと、51.4gのMAと、198.01gの同様に後述する第3キャップ化合物と、31.02gの酢酸エチル溶剤と、0.183gのVazo(登録商標)67とを添加して、予備反応混合物を形成する。2−EHA、MA、およびVazo(登録商標)67は上述のとおりである。
【0096】
予備反応混合物中の物質を十分に均質になるまで15分撹拌する。混合後、90.06gの予備反応混合物および245.0gの酢酸エチル溶剤を、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に添加する。予備反応混合物の残りの部分を別の梨型ガラス貯蔵器に添加する。次いで、加熱および混合を反応器中の混合物に対して開始する。反応温度を78℃に設定する。反応温度に達してすぐに、混合物を60分間反応させた後、さらに予備反応混合物を反応器に添加する。60分経過後、貯蔵器中の混合物がなくなるまで、貯蔵器中の混合物を定量ポンプを用いて1.48グラム/分の速度で180分間添加する。反応器中の混合物を78℃でさらに1140分間反応させて、ハイブリッドを形成する。完了後、ハイブリッドを室温まで冷却した後、ハイブリッドを反応器から取り出す。最終生成物は不透明である。
【0097】
ハイブリッド5:
ハイブリッド5は以下の方法を用いて形成する。16オンスのジャーに63.4gの2−EHAと、42.4gのMAと、150.3gの同様に後述する第4キャップ化合物と、26.6gの酢酸エチル溶剤と、0.152gのVazo(登録商標)67とを添加して、予備反応混合物を形成する。2−EHA、MA、およびVazo(登録商標)67は上述のとおりである。
【0098】
上述の予備反応混合物に戻ると、該予備反応混合物中の物質を十分に均質になるまで15分撹拌する。混合後、67.48gの予備反応混合物および204.09gの酢酸エチル溶剤を、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に添加する。予備反応混合物の残りの部分を別の梨型ガラス貯蔵器に添加する。次いで、加熱および混合を反応器中の混合物に対して開始する。反応温度を78℃に設定する。反応温度に達してすぐに、混合物を60分間反応させた後、さらに予備反応混合物を反応器に添加する。60分経過後、貯蔵器中の混合物がなくなるまで、貯蔵器中の混合物を定量ポンプを用いて1.27グラム/分の速度で170分間添加する。反応器中の混合物を78℃でさらに1150分間反応させて、ハイブリッドを形成する。完了後、ハイブリッドを室温まで冷却した後、ハイブリッドを反応器から取り出す。最終生成物は不透明である。
【0099】
ハイブリッド6:
ハイブリッド6は、シリコン含有PSA、2−エチルヘキシルアクリレートおよびメチルアクリレートのラジカル重合によって生成したシリコーンアクリレートハイブリッドであり、酢酸エチル中42%の固体である。より具体的には、ハイブリッド6は32.91%のシリコン含有PSAと、14.00%の2−EHAと、7.54%のメチルアクリレートと、0.03%のVazo67と、45.52%の酢酸エチルとを用いて形成する。
【0100】
ハイブリッド7:
ハイブリッド7は以下の方法を用いて形成する。16オンスのジャーに88.5gの2−EHAと、48.0gのMAと、213.53gのハイブリッド1を形成するのに用いるシリコン含有感圧接着剤組成物と、32.72gの酢酸エチル溶剤と、0.197gのVazo(登録商標)67とを添加して、予備反応混合物を形成する。2−EHA、MA、およびVazo(登録商標)67は上述のとおりである。
【0101】
予備反応混合物中の物質を十分に均質になるまで15分撹拌する。混合後、90.3gの予備反応混合物および263.9gの酢酸エチル溶剤を、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に添加する。予備反応混合物の残りの部分を別の梨型ガラス貯蔵器に添加する。次いで、加熱および混合を反応器中の混合物に対して開始する。反応温度を78℃に設定する。反応温度に達してすぐに、混合物を63分間反応させた後、さらに予備反応混合物を反応器に添加する。63分経過後、貯蔵器中の混合物がなくなるまで、貯蔵器中の混合物を定量ポンプを用いて1.49グラム/分の速度で197分間添加する。反応器中の混合物を78℃でさらに447分間反応させて、ハイブリッドを形成する。完了後、ハイブリッドを室温まで冷却した後、ハイブリッドを反応器から取り出す。最終生成物は不透明である。
【0102】
ハイブリッド8:
ハイブリッド8は以下の方法を用いて形成する。16オンスのジャーに81.36gの2−EHAと、87.02gのMAと、213.9gのハイブリッド1を形成するのに用いるシリコン含有感圧接着剤組成物と、32.77gの酢酸エチル溶剤と、0.195gのVazo(登録商標)67とを添加して、予備反応混合物を形成する。予備反応混合物中の物質を十分に均質になるまで15分撹拌する。混合後、92.1gの予備反応混合物および263.4gの酢酸エチル溶剤を、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に添加する。予備反応混合物の残りの部分を別の梨型ガラス貯蔵器に添加する。次いで、加熱および混合を反応器中の混合物に対して開始する。反応温度を78℃に設定する。反応温度に達してすぐに、混合物を60分間反応させた後、さらに予備反応混合物を反応器に添加する。60分経過後、貯蔵器中の混合物がなくなるまで、貯蔵器中の混合物を定量ポンプを用いて1.27グラム/分の速度で255分間添加する。反応器中の混合物を78℃でさらに437分間反応させて、ハイブリッドを形成する。完了後、ハイブリッドを室温まで冷却した後、ハイブリッドを反応器から取り出す。最終生成物は不透明である。
【0103】
ハイブリッド9:
ハイブリッド9は以下の方法を用いて形成する。32オンスのジャーに682.9gの2−EHAと、682.6gのMAと、2128.4gのハイブリッド1を形成するのに用いるシリコン含有感圧接着剤組成物と、353.6gの酢酸エチル溶剤とを添加して、予備反応混合物Aを形成する。32オンスのジャーに1.987gのVazo(登録商標)67および822.41gの酢酸エチル溶剤を添加して、予備反応混合物Bを形成する。2−EHA、MA、ハイブリッド1を形成するのに用いるシリコン含有感圧接着剤組成物、およびVazo(登録商標)67は上述したとおりである。AおよびB両方を十分に均質になるまで15分撹拌する。混合後、1047.0gのA、206.0gのBおよび1831.2gの酢酸エチル溶剤を、加熱ジャケット、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に添加する。AおよびBの残りの部分を別の梨型ガラス貯蔵器に添加する。次いで、加熱および混合を反応器中の混合物に対して開始する。反応温度を78℃に設定する。反応温度に達してすぐに、混合物を60分間反応させた後、さらに予備反応混合物を反応器に添加する。60分経過後、貯蔵器が空になるまで、定量ポンプを用いて貯蔵器中の混合物をAについて11.38グラム/分、Bについて3.16グラム/分の速度で添加する。反応器中の混合物を78℃でさらに1200分間反応させる。次いで、79.69gのHMDZおよび2.49gのトリフルオロ酢酸を反応器に添加し、混合物を78℃でさらに240分間反応させる。406.25gの水および82.1gのイソプロピルアルコールを次に反応器に添加し、混合物を78℃でさらに60分間反応させる。最終反応の60分後、水およびイソプロピルアルコールをディーンスタークトラップ中での回収により混合物から除去する。完了後、ハイブリッドを室温まで冷却した後、反応器から取り出す。最終生成物は不透明である。
【0104】
第1キャップ化合物の形成:
第1キャップ化合物は以下の方法を用いて形成する。約700グラムの後述するシリコーン1を150℃の強制空気炉で120分間乾燥して、酢酸エチル溶剤を除去する。次いで、360.0グラムのシリコーン1および240.0グラムのキシレンを、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に入れる。これら成分を十分に均質になるまで混合する。次いで、19.47グラムのHMDZを反応器に添加し、システムの加熱を行う。反応温度を115℃に設定する。目標温度に達すると、混合物を11.25時間反応させて、反応の完了を確実にする。反応の内容物を室温まで冷却した後、反応器から取り出す。次いで、反応の内容物を200℃の強制空気炉で2時間乾燥して、キシレン溶剤を除去する。314.0グラムの反応の内容物および190.0グラムの酢酸エチルを32オンスのジャーに添加し、均質になるまで混合ホイール上で一晩混合する。470.0グラムの溶液および2.89グラムのCAを16オンスのジャーに添加し、物質を混合ホイール上で一晩混合する。pH紙の色変化により示されるように、すぐにHClが発生する。翌日、35.0グラムの重炭酸ナトリウムを添加して、HClの中和を補助する。試料を一晩混合する。次いで、試料を加圧ろ過して、微粒子を除去する。最終生成物は透明である。本例において、HMDZはトリメチルシロキシ官能性をもたらすシリコン含有キャッピング剤、より具体的にはヘキサメチルジシラザンである。また、この例において、CAはシリコン含有キャッピング剤、より具体的にはGelestから市販された3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシランである。
【0105】
第2キャップ化合物の形成:
第2キャップ化合物は以下の方法を用いて形成する。約500グラムの上述および後述するシリコーン1を150℃の強制空気炉で120分間乾燥して、酢酸エチル溶剤を除去する。次に、180.71グラムの乾燥シリコーンおよび120.47グラムのキシレンを、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に入れる。これら成分を十分に均質になるまで混合する。次いで、9.74グラムの同様に上述したHMDZを反応器に添加し、システムの加熱を行う。反応温度を115℃に設定する。目標温度に達すると、混合物を491分間反応させ、反応の完了を確実にする。反応の内容物を室温まで冷却した後、反応器から取り出す。次いで、反応の内容物を200℃の強制空気炉で1.5時間乾燥して、キシレン溶剤を除去する。174.33グラムの反応の内容物および116.30グラムの酢酸エチルを16オンスのジャーに添加し、均質になるまで混合ホイール上で一晩混合する。259.71グラムの溶液および1.58グラムの同様に上述したCAを、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた三つ口フラスコに添加し、24時間混合する。pH紙の色変化により示されるように、すぐにHClが発生する。50.0グラムの重炭酸ナトリウムをフラスコに添加して、HClの中和を補助する。試料を21時間混合する。次いで、試料を加圧ろ過して、微粒子を除去する。最終生成物は透明である。
【0106】
第3キャップ化合物の形成:
第3キャップ化合物は以下の方法を用いて形成する。約700グラムの上述および後述するシリコーン1を150℃の強制空気炉で120分間乾燥して、酢酸エチル溶剤を除去する。次に、360.0グラムの乾燥シリコーンおよび240.0グラムのキシレンを、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に入れる。これら成分を十分に均質になるまで混合する。次いで、23.76グラムのHMDZを反応器に添加し、システムの加熱を行う。反応温度を115℃に設定する。目標温度に達すると、混合物を11.25時間反応させ、反応の完了を確実にする。反応の内容物を室温まで冷却した後、反応器から取り出す。次いで、反応の内容物を200℃の強制空気炉で2時間乾燥して、キシレン溶剤を除去する。300.87グラムの反応の内容物および178.0グラムの酢酸エチルを32オンスのジャーに添加し、均質になるまで混合ホイール上で一晩混合する。429.0グラムの溶液および2.61グラムのCAを16オンスのジャーに添加し、物質を混合ホイール上で一晩混合する。pH紙の色変化により示されるように、すぐにHClが発生する。翌日、35.0グラムの重炭酸ナトリウムを添加して、HClの中和を補助する。試料を一晩混合する。次いで、試料を加圧ろ過して、微粒子を除去する。最終生成物は透明である。HMDZおよびCAは上述のとおりである。
【0107】
第4キャップ化合物の形成:
第4キャップ化合物は以下の方法を用いて形成する。約700グラムの上述および後述するシリコーン1を150℃の強制空気炉で120分間乾燥して、酢酸エチル溶剤を除去する。次に、360.0グラムの乾燥シリコーンおよび240.0グラムのキシレンを、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に入れる。これら成分を十分に均質になるまで混合する。次いで、15.20グラムのHMDZを反応器に添加し、システムの加熱を行う。反応温度を115℃に設定する。目標温度に達すると、混合物を11.25時間反応させ、反応の完了を確実にする。反応の内容物を室温まで冷却した後、反応器から取り出す。次いで、反応の内容物を200℃の強制空気炉で2時間乾燥して、キシレン溶剤を除去する。308.0グラムの反応の内容物および185.0グラムの酢酸エチルを32オンスのジャーに添加し、均質になるまで混合ホイール上で一晩混合する。459.0グラムの溶液および2.79グラムのCAを16オンスのジャーに添加し、物質を混合ホイール上で一晩混合する。pH紙の色変化により示されるように、すぐにHClが発生する。翌日、35.0グラムの重炭酸ナトリウムを添加して、HClの中和を補助する。試料を一晩混合する。次いで、試料を加圧ろ過して、微粒子を除去する。最終生成物は透明である。HMDZおよびCAは上述のとおりである。
【0108】
上でまず導入したシリコーン1は、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサン(PDMS)とシリケート樹脂との縮合反応によって生成した従来の、すなわち非キャップシリコーンPSAであり、酢酸エチル中60重量%の固体である。
【0109】
以下の実施例に用いるシリコーン2は以下の方法を用いて形成する。約1000グラムのシリコーン1を150℃の強制空気炉で120分間乾燥して、酢酸エチル溶剤を除去する。次に、506.2グラムの乾燥シリコーン1および338.3グラムのキシレンを、加熱マントル、撹拌ブレード/シャフト、窒素パージ、水冷冷却器および熱電対を備えた四つ口ガラス反応器に入れる。これら成分を十分に均質になるまで混合する。次いで、111.0グラムのHMDZを反応器に添加し、システムの加熱を行う。反応温度を145℃に設定する。溶剤還流を達成してすぐに、混合物を15時間還流して反応の完了を確実にする。接着剤を室温まで冷却した後、反応器から取り出す。次いで、接着剤を80℃の強制空気炉で11.5時間乾燥して、キシレン溶剤を除去する。次いで、生成した接着剤固体を60%固体で酢酸エチル溶剤中に再溶解する。最終生成物は透明である。
【0110】
以下の実施例でも用いるアクリレート1は、ニュージャージー州ウッドランドパークのCytec Industries Incから市販されたGelva3083である。
【0111】
コポリマーはBASF Corporationから市販されたVA64である。
【0112】
実施例1〜60および比較例1〜54の形成:
実施例1〜60のそれぞれは、前述のハイブリッドの1つをバイアル中に添加することにより形成する。その後、シリコーン1および/もしくは2またはアクリレート1もバイアルに添加する。1つ以上の賦形剤および/または医薬活性薬剤も実施例に応じて添加する。さらに、酢酸エチルを必要に応じて添加して、45%〜50%固体に調整する。次に、各バイアルを、プロセス回転炉を用いてブレンドし、確実に混合する。ハイブリッド、シリコーンおよびアクリレート、賦形剤、ならびに医薬活性薬剤の重量パーセントを以下の表に記載する。
【0113】
比較例1〜54のそれぞれは、シリコーン1および/もしくは2またはアクリレート1をバイアルにいずれのハイブリッド無しに添加することにより形成する。同じ1つ以上の賦形剤および/または医薬活性薬剤も例に応じて添加する。次いで、酢酸エチルを必要に応じて添加して、45%〜50%固体に調整する。次に、各バイアルを、プロセス回転炉を用いてブレンドし、確実に混合する。ハイブリッド、シリコーンおよびアクリレート、賦形剤、ならびに医薬活性薬剤の重量パーセントを以下の表に記載する。
【0114】
形成後、実施例および比較例のそれぞれを上述したように放置し、その後それぞれを目視評価し、相分離が起こるかどうかを求める。目視評価に関するデータを以下の表に記載する。
【0115】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【表2−5】

【表2−6】

【表2−7】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7−1】

【表7−2】

【表8】

【表9】

【0116】
上述のデータは、本発明の単相製剤が比較例と比べて相分離に抵抗することを示す。より具体的には、比較例のそれぞれは短期間(例えば1時間〜7日)後に相分離するが、本発明例は室温で1か月放置した後も相分離に抵抗する傾向がある。さらにより具体的には、本発明例は複数の医薬活性薬剤および賦形剤を用いても単相のままである。反対に、比較例は、上述したように、製剤の製造、保存および使用中に多くの問題を引き起こし得る相分離の傾向がある。
【0117】
上述した1つ以上の値は、変化が本開示の範囲内である限り、±5%、±10%、±15%、±20%、±25%等で変動し得る。予期せぬ結果が、マーカッシュ群の各要素からすべての他の要素から独立して得ることができる。各要素は、独立してまたは組み合わされて、添付の特許請求の範囲内で特定の実施形態に適切な支持をもたらす。独立項、ならびに単独および複合的に従属した従属項のすべての組み合わせの主題は本明細書において明確に考慮されている。本開示は、記載の用語を含み、限定的ではなく例示的である。上記教示を踏まえ、本開示の多くの変更および変形が可能であり、本開示は本明細書に具体的に説明した以外に実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相分離に抵抗し、
A.シリコーン、アクリレートおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つと、
B.シリコーン官能性および(メタ)アクリレート官能性を有し、(1)シリコン含有感圧接着剤組成物および(2)(メタ)アクリレートモノマーの(3)開始剤の存在下での反応生成物であるシリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤とを含み、
前記(1)シリコン含有感圧接着剤組成物が任意の触媒の存在下での(a)シリコーン樹脂と、(b)シリコーンポリマーと、(c)シリコン含有キャッピング剤との縮合反応生成物を含み、
ここで前記(a)シリコーン樹脂および(b)シリコーンポリマーを反応させて感圧接着剤を形成し、
前記(c)シリコン含有キャッピング剤を(a)シリコーン樹脂および(b)シリコーンポリマーの反応前、反応中または反応後に導入し、
前記(a)シリコーン樹脂および(b)シリコーンポリマーを縮合反応させて前記感圧接着剤を形成した後に、前記(c)シリコン含有キャッピング剤が該感圧接着剤と反応するか、または
前記(c)シリコン含有キャッピング剤が前記(a)シリコーン樹脂および(b)シリコーンポリマーと現場で反応し、
前記(A)のアクリレートが任意に2−エチルヘキシルアクリレートおよびメタクリレートの組み合わせを含むことを特徴とする単相シリコーンアクリレート製剤。
【請求項2】
約10〜約90重量パーセントのアクリレート含有量を有する請求項1に記載の単相製剤。
【請求項3】
約10〜約90重量パーセントのシリコーン含有量を有する請求項1または2に記載の単相製剤。
【請求項4】
前記シリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤が、約50重量パーセントのシリコーン含有量および約50重量パーセントの(メタ)アクリレート含有量を有する請求項1に記載の単相製剤。
【請求項5】
前記シリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤が、約25重量パーセントのシリコーン含有量および約75重量パーセントの(メタ)アクリレート含有量を有する請求項1に記載の単相製剤。
【請求項6】
前記シリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤が、約75重量パーセントのシリコーン含有量および約25重量パーセントの(メタ)アクリレート含有量を有する請求項1に記載の単相製剤。
【請求項7】
賦形剤をさらに含み、該賦形剤が任意にジプロピレングリコール、オレイン酸、オレイルアルコール、鉱油およびこれらの組み合わせの群から選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の単相製剤。
【請求項8】
医薬活性薬剤をさらに含み、該医薬活性薬剤が任意にケトプロフェン、エストラジオール、クロニジンおよびこれらの組み合わせの群から選択される請求項1〜7のいずれか1項に記載の単相製剤。
【請求項9】
前記(A)のシリコーンが、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサンおよびシリケート樹脂の縮合反応生成物であり、該ポリジメチルシロキサンおよび/またはシリケート樹脂を任意にトリメチルシロキシ官能基でキャップする請求項1〜8のいずれか1項に記載の単相製剤。
【請求項10】
(A)シリコーン、アクリレートおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つと、(B)シリコーン官能性および(メタ)アクリレート官能性を有するシリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤とを含む単相シリコーンアクリレート製剤の相分離を最小限にする方法であって、(A)および(B)を組み合わせて単相シリコーンアクリレート製剤を形成する工程を備え、該(B)シリコーンアクリレートハイブリッド相溶化剤が(1)シリコン含有感圧接着剤組成物および(2)(メタ)アクリレートモノマーの(3)開始剤の存在下での反応生成物であり、
前記(1)シリコン含有感圧接着剤組成物が、任意の触媒の存在下での(a)シリコーン樹脂と、(b)シリコーンポリマーと、(c)シリコン含有キャッピング剤との縮合反応生成物を含み、
ここで前記(a)シリコーン樹脂および(b)シリコーンポリマーを反応させて感圧接着剤を形成し、
前記(a)シリコーン樹脂および(b)シリコーンポリマーの反応前、反応中または反応後に前記(c)シリコン含有キャッピング剤を導入し、
前記(a)シリコーン樹脂および(b)シリコーンポリマーを縮合反応させて前記感圧接着剤を形成した後に、前記(c)シリコン含有キャッピング剤が該感圧接着剤と反応するか、または
前記(c)シリコン含有キャッピング剤が前記(a)シリコーン樹脂および(b)シリコーンポリマーと現場で反応することを特徴とする方法。

【公開番号】特開2013−87289(P2013−87289A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−233020(P2012−233020)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【出願人】(511262902)ダウ コーニング フランス エスエイエス (3)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING FRANCE SAS
【Fターム(参考)】