説明

弾性舗装材及び弾性舗装方法

【課題】 良好な施工性を維持しながら、クッション性に優れ、走行感が良く、同時に経済性に優れた弾性舗装、特に各種運動施設等に好適な弾性舗装を提供することである。
【解決手段】 ポリウレタン樹脂または発泡ポリウレタン樹脂中に、粒径1.0mm以下のゴム、例えばジエン系の合成ゴム(タイヤ屑等)やエチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR,EPDM,EPT)等の粉末を含有せしめて得られる弾性舗装材、およびこの弾性舗装材を、基盤上に塗布することを特徴とする弾性舗装方法及び更にその上に公知のポリウレタン弾性舗装材を積層する弾性舗装方法によって優れた弾性舗装が得られる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリウレタン弾性舗装材及び弾性舗装方法に関し、詳しくはグランドやテニスコート、ジョギング走路、学校のグランドや校庭等において、圧縮強度が充分に高く、耐荷重性に優れ、適度な弾力性と走行感に優れ、品質的に安定した、経済性が良く、且つ衝撃吸収性、断熱性等の各種機能性に優れた舗装材、およびそれを用いる舗装方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、グランドやテニスコート、ジョギング走路、学校グランドや校庭等に使用されている弾性舗装材には、ポリウレタン系、ゴムアスファルト系、SBR(スチレンブタジエンゴム)系等の材料が用いられてきたが、なかでもポリウレタン弾性舗装材は物性が卓越している上に施工が容易なため、特にすぐれたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、グランドやテニスコート、ジョギング走路、学校グランドや校庭等においてポリウレタン舗装材が使用される場合、一般的に硬さ(Shore A)が40〜75のものが使用される。これらのポリウレタン弾性舗装材は、用途によっては競技者の筋肉疲労を軽減する、或いは競技者が転倒しても怪我をしないようなクッション性(衝撃吸収性)と適度な弾力性を有するものが望まれている。
【0004】この目的で、ポリウレタン弾性舗装材中に粒径0.5〜5mmのポリウレタン発泡体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(以下EVAという)発泡体、ポリオレフィン発泡体、各種合成ゴムの発泡体等の軟質発泡体のチップをクッション材として混入せしめる方法が行われているが、この方法では、物性、反発弾性が低下し、更に耐久性が劣る等の問題が発生する。また、クッション材の添加により、舗装材料の流動性が悪くなり、施工時の作業性が低下するという問題もあった。
【0005】ポリウレタン弾性舗装材としては、通常、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを主成分とする主剤と、活性水素化合物、無機充填剤及び触媒を含有する硬化剤とを混合したのち常温で硬化させるものが用いられるが、特公平2−10180号公報に記載されている、主剤とシリコーン整泡剤を添加した硬化剤とを混合時、発泡倍率が1.5〜3倍(密度0.4〜0.9g/cm3 )になるよう、該混合物に機械的に不活性ガスを均一に混合分散せしめたのち常温硬化させる、いわゆるメカニカルな発泡ポリウレタン樹脂(メカフロ処方)の舗装材はとりわけクッション性が大きく、経済的にも優れたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ウレタン樹脂の優れた物性を損なうことなく、クッション性に優れ、適度な弾力性と走行感に優れた弾性舗装材を得る方法について鋭意研究を行った結果、ポリウレタン樹脂ないし発泡ポリウレタン樹脂中に、粒径1.0mm以下のゴムの粉末、即ち天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR、EPDM、EPT等の総称、以下EPDMという)、ポリウレタンゴム等の粉末を含有せしめることにより、施工時の作業性を低下させることなく、経済性に優れると同時に、機械物性とクッション性に優れ、かつ衝撃吸収性、断熱性の各種機能性にも優れた弾性舗装材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】ポリウレタン樹脂中に異種の樹脂のチップないし粉末を混合すると、ブランクと比較して諸物性が顕著に低下するのが従来の常識であり、粒径1.0mm以下のゴムの粉末を添加した場合に、気泡の巻き込み効果が大で弾性が向上すると同時に経済性が向上し、特に粒径1.0mm以下のEPDMを混合した場合には物性、特に引張強度、伸び率も同時に向上するという効果は全く予想に反した驚くべきことである。また、クッション材の添加により、舗装材料の流動性が悪くなり、施工時の作業性が低下するという従来の常識に反して粒径1.0mm以下のゴムの粉末を添加した場合には適度の流動性が保たれ、作業性が殆ど低下しないことが判明した。
【0008】即ち、本発明は次の(1)〜(5)の通りである。
(1)末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを主成分とする主剤と、活性水素化合物、無機充填剤、触媒及びその他の助剤よりなる硬化剤とを混合して得られる、ポリウレタン樹脂中に、粒径1.0mm以下のゴムの粉末を含有せしめて得られる弾性舗装材。
(2)末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを主成分とする主剤と、活性水素化合物、無機充填剤、触媒及びその他の助剤よりなる硬化剤とを混合する際に、シリコーン整泡剤の存在下に該混合物に機械的に不活性ガスを均一に混合分散させて得られる、大部分が独立気泡で、発泡倍率が1.05〜3.0倍、密度0.4〜1.2g/cm3 の発泡ポリウレタン樹脂中に、粒径1.0mm以下のゴムの粉末を含有せしめて得られる弾性舗装材。
(3)ゴムが、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR、EPDM、EPT)である(1)又は(2)記載の弾性舗装材。
(4)(1)、(2)又は(3)記載の弾性舗装材を、基盤上に塗布することを特徴とする弾性舗装方法。
(5)(1)、(2)又は(3)記載の弾性舗装材を、基盤上に塗布して下層とし、その上に公知のポリウレタン弾性舗装材を積層することを特徴とする弾性舗装方法。
【0009】粒径1.0mm以下のゴムの粉末とは、加硫天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NR、NBR)、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、環化ゴム、アルフィンゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体ゴム(EVA)、塩化ビニル・アクリル共重合体ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン・プロピレンゴム(EPR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(EPDM)、EPTゴム、ポリウレタンゴム等及びこれらの各種変性物、例えばポリメチルメタクリレートのグラフト共重合体等の粉末を指す。具体的には、タイヤ、バンパー、ソール等各種ゴム製品の粉砕物が好適に用いられる。なお粒径1.0mmを超えるゴム粒子を含んだものも使用できるが、作業性の低下をもたらすため得策ではない。少なくともゴムの粉末全体の80重量%以上は粒径1.0mm以下であることが好ましい。
【0010】本発明の末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーは、有機ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる。原料有機ポリイソシアネートは、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート及びその混合物(以下、TDIと略称する。)、特に2,4−異性体/2,6−異性体が重量比80/20のもの(TDI−80)及び65/35のもの(TDI−65)、粗トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(粗MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等であり、これらを単独でまたは混合して用いる。
【0011】ポリオールとしては、各種ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ひまし油、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が使用できるが、水、プロピレングリコールなどにプロピレンオキサイド又はプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを付加したポリオキシアルキレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどにプロピレンオキサイド又はプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを付加したポリオキシアルキレントリオールは特に好ましい。また、低分子のグリコールを併用することもできる。低分子グリコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール等がある。これらポリオールは単独又は2種以上混合して使用される。ポリオールの平均分子量は75〜10000が好ましい。
【0012】ウレタンプレポリマーは、有機ポリイソシアネートとポリオールとを常法に従って、窒素気流中80〜100℃で数時間加熱する方法により製造することができる。ウレタンプレポリマーを製造する際のイソシアネート基とポリエーテルまたはポリエステルポリオール中のヒドロキシル基の当量比(NCO/OH)は、通常2〜20であり、ウレタンプレポリマー中に含まれる遊離イソシアネート基は1〜15重量%(以下%は重量を示す。)である。
【0013】本発明におけるポリウレタン樹脂または発泡ポリウレタン樹脂において、硬化剤は、活性水素化合物としてポリアミンおよび/またはポリオールであり、ポリアミンとしてはエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジクロル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が用いられる。またポリオールは公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはポリマーポリオール等を用いる。活性水素化合物の使用量(当量比)はNCO/H(活性水素)=0.95〜2.0になる量である。
【0014】触媒としては、例えば公知のアミン類、有機金属化合物(錫、鉛)が適当で、例えば錫オクトエート、ジブチル錫ジラウレートや鉛オクトエート、鉛ナフテネート等を単独又は混合して用いられる。その使用量は硬化剤の総量に対し0.1〜5重量%が好ましい。
【0015】無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレー、カーボンブラック、無水ケイ酸(ホワイトカーボン)、ゼオライトまたは二酸化チタンが好ましい。これらの充填剤は、単独で又は混合して使用することができる。その使用量は硬化剤の総量に対し2〜50重量%が好ましい。
【0016】その他助剤としては、可塑剤、顔料等が用いられる。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、リン酸トリクレジル(TCP)、塩素化パラフィン、U−レックス(脂環族重合体変性天然樹脂エステル、東京樹脂工業社製)等である。顔料の例としては酸化クロム、ベンガラ等の無機顔料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料等の有機顔料が挙げられる。
【0017】本発明におけるポリウレタン樹脂または発泡ポリウレタン樹脂において、ポリウレタン樹脂または発泡ポリウレタン樹脂は、上記のウレタンプレポリマー主剤と、活性水素化合物、無機充填剤、触媒及びその他の助剤よりなる硬化剤とを混合して得られる。
【0018】メカニカルな発泡ポリウレタン樹脂(メカフロ処方)に使用するシリコーン整泡剤としては、市販のもの、例えば日本ユニカー社製L−5420等が用いられる。その使用量はウレタンプレポリマーと硬化剤の総和100重量部(以下部は重量部を示す。)当たり0.1〜10重量部であり、好ましくは0.3〜5重量部である。不活性ガスは空気、窒素などであるが、特に空気が好ましく、その使用量は発泡倍率が1.05〜3.0倍に、密度が0.4〜1.2g/cm3 になる量である。このような、シリコーン整泡剤の存在下に機械的に不活性ガスを均一に混合分散させて得られる発泡ポリウレタン樹脂においては、大部分が独立気泡であり、含有させる粒径1.0mm以下のゴムの粉末との相乗効果で優れたクッション性が得られる。
【0019】本発明の弾性舗装材に含有せしめる粒径1.0mm以下のゴムの粉末の配合量は、ポリウレタン樹脂または発泡ポリウレタン樹脂100重量部に対して5〜70重量部、好ましくは10〜40重量部である。5重量部未満では配合の効果が小さく、70重量部を超えると材料が増粘しすぎて、施工性が悪くなる。
【0020】本発明の弾性舗装方法は、上記の弾性舗装材を舗装基盤上に塗布することを特徴とするものであり、必要により塗布した弾性舗装材層の上に公知のポリウレタン弾性舗装材を舗装する。基盤としては、アスファルトコンクリート(アスコンと略称する)、コンクリート、モルタル等の公知の基盤である。アスコン、コンクリートまたはモルタル等の基盤には、通常適切なプライマーが塗布されるが、プライマーとしては、一般的には一液湿気硬化型のウレタン系プライマーが使用される。なお基盤がアスコンの場合、使用するプライマーはプライマー中の溶剤がアスコンを侵さないものが使用される。また場合によっては、ポリマーセメント層としての下地調整剤も使用され、その上にプライマー処理することもできる。
【0021】基盤上に塗布した本発明のゴム粉末含有ポリウレタン樹脂ないし発泡ポリウレタン樹脂の弾性舗装材の上に、必要によりさらに積層するポリウレタン弾性舗装材としては、例えば、公知の2液の常温硬化型の材料に必要に応じてチクソ材等を配合したものが使用される。また、特開昭63−304804号等に記載の速硬化型ウレタンエラストマーを2液高圧スプレーマシンでスプレーして得られるポリウレタン(商品名RIMスプレー、三井化学社製品)は、特に好適に用いられるものの1つである。
【0022】本発明の弾性舗装方法を例示して説明する。
(1)アスコン、コンクリート、モルタルなどの基盤上に、下地調整剤を塗布する。必要に応じてプライマーを塗布する。ポリウレタン主剤と、活性水素化合物、無機充填剤、触媒及びその他助剤よりなる硬化剤とを混合したのち、ゴム粉末を加え、均一に混合する。これをウレタン処方と称する。この混合液を下地調整剤を塗布した基盤上にコテ、櫛目コテ、レーキ等を用いて厚み5〜15mmになるように塗布し下層とする。1夜常温で硬化させ、この上にゴム粉末を加えないウレタン舗装材を厚み2〜4mmに塗布する、(2)基盤上に、下地調整剤を塗布する。必要に応じてプライマーを塗布する。次に、実公平4−35466号公報記載の攪拌発泡装置(泡立て羽根付き:ミキスタ工業社製)或いは泡立て機ハードミキサー(自社製)を用いて、主剤と活性水素化合物、無機充填剤、触媒及びその他助剤よりなる硬化剤との混合時に、シリコーン整泡剤を攪拌混合し,発泡ウレタン樹脂を得る。次いでゴム粉末を加え、均一に混合する。これをメカフロ処方と称する。この混合液を下地調整剤を塗布した基盤上にコテ、櫛目コテ、レーキ等を用いて厚み5〜15mmになるように塗布し下層とする。1夜常温で硬化させ、この上に非発泡のウレタン弾性材を厚み2〜4mmに塗布する、等の方法で、本発明の弾性舗装材を用いて弾性舗装をする方法が挙げられる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。例中の部は重量部を表わす。
[ウレタンプレポリマーの製造]平均分子量2000のポリオキシプロピレンジオール430部、平均分子量5000のポリオキシプロピレントリオール400部、TDI−65 123部を均一に混合したのち、窒素気流中で80℃で2時間、ついで100℃2時間反応させた。NCO基含有量2.9重量%、粘度 6,000cps/25℃のウレタンプレポリマーを得た。
[硬化剤の製造]MOCA7.5部、平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオール20部、平均分子量5000のポリオキシプロピレントリオール20部、DOP 6部、炭酸カルシウム39.5部、触媒オクチル酸鉛(pb含有量25% )2部、顔料ベンガラ5.0部を加え、ディゾルバーで均一に混練して硬化剤を得た。
【0024】[ゴム粉末]使用したゴム粉末は次表の通りである。
【表1】


【0025】実施例1主剤100部と硬化剤100部を約3分間混合したのち、EPDM粉末■(粒径0.3mm以下、嵩比重0.20、白色)40部を加え、1分間均一に攪拌混合して本発明の弾性舗装材(ウレタン処方)を得た。ポットライフは約50分であった。これをアスファルトコンクリートの基盤上に流し、8mm厚になるようレーキを用い表面を平滑に仕上げて下層を得た。施工作業性は良好であった。常温で1夜放置後、この下層の上にポリウレタン表層として上記の主剤と硬化剤を1:1の配合で混合し、消泡剤を添加したものを4mm厚に塗布し、更にこの上に約1mm厚の凹凸仕上げを行い、全体の厚さを13mmとした。
【0026】実施例2主剤100部と硬化剤100部及びL−5420(日本ユニカー社製整泡剤)4部を泡立て機付きハードミキサー(自社製)を用いて、約3分間機械的に混合し、空気を混入して発泡ウレタン樹脂を得た。この発泡ウレタン樹脂の発泡倍率は1.5倍で密度は0.80g/cm3 であった。この発泡ウレタン樹脂にEPDM粉末■(粒径0.3mm以下、嵩比重0.20、赤色)40部を加え、泡立て機をはずしてハードミキサーだけで1分間均一に攪拌混合して本発明の弾性舗装材(メカフロ処方)を得た。ポットライフは約50分であった。このものをアスファルトコンクリートの基盤上に流し、8mm厚になるようレーキを用い表面を平滑に仕上げて下層を得た。施工作業性は良好であった。常温で1夜放置後、この下層の上にポリウレタン表層として上記の主剤と硬化剤を1:1の配合で混合し、消泡剤を添加したものを4mm厚に塗布し、更にこの上に約1mm厚の凹凸仕上げを行い、全体の厚さを13mmとした。
【0027】実施例3実施例1に準じて行い、ポリウレタン表層として実施例1のものの代わりに、以下に述べる速硬化型ウレタンエラストマーを用いた。純MDI(三井化学社製MDI−PH)700部、カルボジイミド変性液状MDI(三井化学社製MDI−LK、NCO含量28.5%)300部にポリプロピレングリコールPPG−Diol−1000(三井化学社製、OH価112)750部を加え、窒素気流下80℃で3時間反応させた後、希釈剤としてDOP(ジオクチルフタレート)190部を加えて、NCO含量13.2%、粘度600CPS(25℃)の主剤を得た。硬化剤としては末端がエチレンオキサイドでキャップされた3官能のポリプロピレントリオールEP−330(三井化学社製、OH価35、分子量5100)50部、末端がエチレンオキサイドでキャップされた2官能のポリプロピレングリコールED−37A(三井化学社製、OH価38、分子量3000)22部、鎖延長剤としてDETDA(ジエチルトルエンジアミン)23部、有機金属触媒としてナフテン酸鉛(Pb含量24%)1部及び緑色トーナー4部を加えたものを用いた。両液を50℃に保存し、容量比1/1で下記のマシンを使用し、吹き付けを行った。スプレーマシンはグラス−クラフト社T−3Hを用い、静止時圧力約140kgf/cm2 、動作時圧力105〜119kgf/cm2 で使用した。スプレーガンはプロプラーガンにフラットチャンバーを取り付け使用した。第1層目は目止めを行うため若干厚めに1回で約1kg/mk2 をスプレーした。表面には僅かにピンホールが残ることもあるが、2層目に約0.5kg/mk2 を塗布すると完全に平滑な表面となった。3層目に約0.5kg/mk2 を塗布したのちスプレーガンをほぼ水平の角度に保ち、施工面全体にミストをかけノンスリップ加工を施した。
【0028】実施例4実施例1において、EPDM粉末■(粒径0.3mm以下、嵩比重0.20、白色)20部の代わりに黒色ゴム粉末■(SBR、NBRを主成分とする廃タイヤの粉砕品、粒径0.6mm以下、嵩比重0.46、黒色)40部を用いた以外は同様とした。施工作業性は良好であった。
【0029】実施例5実施例2において、EPDM粉末■(粒径0.3mm以下、嵩比重0.20、赤色)20部の代わりに黒色ゴム粉末■(SBRを主成分とする廃タイヤの粉砕品、粒径0.7mm以下、嵩比重0.51、黒色)40部を用いた以外は同様とした。施工作業性は良好であった。
【0030】実施例6実施例1において、EPDM粉末■(粒径0.3mm以下、嵩比重0.20、白色)20部の代わりに黒色ゴム粉末■(SBR、NBRを主成分とする廃タイヤの粉砕品、粒径0.5mm以下、嵩比重0.46、黒色)80部を用いた以外は同様とした。
【0031】実施例7実施例2において、EPDM粉末■(粒径0.3mm以下、嵩比重0.20、白色)20部の代わりに黒色ゴム粉末■(SBRを主成分とする廃タイヤの粉砕品、粒径0.7mm以下、嵩比重0.51、黒色)80部を用いた以外は同様とした。
【0032】実施例8実施例1において、EPDM粉末(粒径0.3mm以下、嵩比重0.20、白色)20部の代わりにポリウレタンゴム粉末(粒径0.4mm以下、嵩比重0.40、ベンガラ色)40部を用いた以外は同様とした。
【0033】比較例1実施例1において、EPDM粉末の添加を省略した以外は同様に行った。
比較例2実施例2において、EPDM粉末の添加を省略した以外は同様に行った。
【0034】比較例3実施例1において、EPDM粉末■40部の代わりにエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の発泡体チップ(粒径1〜2mm)20部を用いた以外は同様に行った。容易にレベリングせず、施工作業性が劣った。
【0035】このようにして得られた実施例1〜8及び比較例1〜3について、弾性舗装材の各種物性を測定した。結果をまとめて表2〜3に示す。
【0036】
【表2】


【0037】
【表3】


【0038】上記の表2〜3の結果から、実施例1〜8は、ブランク(比較例1、2)に比べて施工作業性が殆ど低下せず、弾性(クッション性)が向上すると同時に経済性が向上し、特に粒径1.0mm以下のEPDMを混合した場合には物性、特に引張強度、伸び率も同時に向上することがわかる。これらの積層体は走行感(走り易さ)も良く、同時に経済性にも優れる。なおEVA発泡体を添加した比較例3は施工作業性が顕著に低下する。
【0039】
【発明の効果】本発明により、クッション性に優れ、走行感が良く、かつ経済性に優れた弾性舗装が得られ、各種運動施設用の路面、特に陸上競技場用の弾性舗装として優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを主成分とする主剤と、活性水素化合物、無機充填剤、触媒及びその他の助剤よりなる硬化剤とを混合して得られる、ポリウレタン樹脂中に、粒径1.0mm以下のゴムの粉末を含有せしめて得られる弾性舗装材。
【請求項2】 末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを主成分とする主剤と、活性水素化合物、無機充填剤、触媒及びその他の助剤よりなる硬化剤とを混合する際に、シリコーン整泡剤の存在下に該混合物に機械的に不活性ガスを均一に混合分散させて得られる、大部分が独立気泡で、発泡倍率が1.05〜3.0倍、密度0.4〜1.2g/cm3 の発泡ポリウレタン樹脂中に、粒径1.0mm以下のゴムの粉末を含有せしめて得られる弾性舗装材。
【請求項3】 ゴムが、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR、EPDM、EPT)である請求項1又は2記載の弾性舗装材。
【請求項4】 請求項1、2又は3記載の弾性舗装材を、基盤上に塗布することを特徴とする弾性舗装方法。
【請求項5】 請求項1、2又は3記載の弾性舗装材を、基盤上に塗布して下層とし、その上に公知のポリウレタン弾性舗装材を積層することを特徴とする弾性舗装方法。

【公開番号】特開2000−44789(P2000−44789A)
【公開日】平成12年2月15日(2000.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−214077
【出願日】平成10年7月29日(1998.7.29)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【出願人】(597000906)東洋スポーツ施設株式会社 (6)
【Fターム(参考)】