説明

α−アミラーゼ変異型

本発明は、親α-アミラーゼに関して変更された性質、特に増加したデンプンアフィニティー示す、親ターマミル様α-アミラーゼの変異型に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、なかでも、親ターマミル様α-アミラーゼの新規な変異型、とりわけ、変異型の用途、特に工業的加工 (例えば、デンプンの液化または糖化) に関して有利である、変更された性質、特に変更されたデンプンアフィニティー (親に関して) を示す変異型に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
α-アミラーゼ (α-1,4-グルカン-4-グルカノヒドロラーゼ、EC 3.2.1.1) は、デンプンおよび他の直鎖状また分枝鎖状の1,4-グリコシドオリゴ糖および多糖の加水分解を触媒する酵素の1グループである。
【0003】
この工業的に非常に重要なクラスの酵素に関して、非常に広範な多数の特許および科学文献が存在する。多数のα-アミラーゼ、例えば、ターマミル様α-アミラーゼ変異型は、例えば、下記の文献から知られている: WO 90/11352、WO 95/10603、WO 95/26397、WO 96/23873、WO 96/23874およびWO 97/41213。
【0004】
α-アミラーゼに関する最近の開示の中で、WO 96/23874はターマミル様α-アミラーゼ (BA2と呼ぶ) についての三次元X線結晶構造のデータを提供し、これは本明細書における配列番号6に示すアミノ酸配列を含んでなるバシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) α-アミラーゼの300 N-末端アミノ酸残基、および本明細書における配列番号4に示すアミノ酸配列を含んでなるバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼの301〜483 C-末端アミノ酸残基から成り (後者は商品名TermamylTMで商業的に入手可能である) 、こうして工業的に重要なバシラス (Bacillus) α-アミラーゼに密接に関係する (これは本発明の関係において、用語 「ターマミル様α-アミラーゼ」 の意味に含まれ、そして、なかでも、バシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) 、バシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) およびバシラス・ステアロサーモフィラス (Bacillus stearothermophilus) α-アミラーゼを包含する) 。WO 96/23874には、さらに、親ターマミル様α-アミラーゼの構造の分析に基づいて、親に関して変更された性質を示す親ターマミル様α-アミラーゼの変異型を設計する方法が記載されている。
【発明の開示】
【0005】
発明の詳細な説明
本発明は、ターマミル様α-アミラーゼの新規なα-アミラーゼ変異型 (突然変異体) 、特に変更されたデンプンアフィニティー (親に関して) を示す変異型に関する。この変更されたデンプンアフィニティーは、デンプンの工業的加工 (デンプンの液化、糖化およびその他) に関して利点を有する。
変更された性質、特に変更されたデンプンアフィニティーを有する変異型は、親ターマミル様α-アミラーゼに比較してデンプンの転化を改良することを本発明者らは発見した。
【0006】
本発明は、さらに、本発明の変異型をコードするDNA構築物、本発明の変異型を含んでなる組成物、本発明の変異型を製造する方法、および種々の工業的プロセス、例えば、デンプンの液化、および洗剤組成物、例えば、洗濯、皿洗浄および硬質表面のクリーニング組成物; エタノール製造、例えば、燃料用、飲用および工業的エタノール製造; 繊維材料、例えば、布帛または被服およびその他における、本発明の変異型および組成物単独、またはそれと他のα-アミラーゼ酵素との組合わせの使用に関する。
【0007】
命名法
本発明の説明および特許請求の範囲において、アミノ酸残基について慣用の1文字コードおよび3文字コードを使用する。言及を容易にするために、本発明のα-アミラーゼ変異型は下記の命名法を使用することによって記載される:
1または2以上のもとのアミノ酸: 1または2以上の位置: 1または2以上の置換アミノ酸
この命名法に従い、例えば、位置30におけるアラニンのアスパラギンの置換は次のように示される:
Ala30Asn または A30N
【0008】
同一位置におけるアラニンの欠失は次のように示される:
Ala30* または A30*
および追加のアミノ酸残基、例えば、リシンの挿入は次のように示される:
Ala30AlaLys または A30AK
アミノ酸残基の保存的ストレッチ、例えば、アミノ酸残基30〜33の欠失は (30-33)* または△(A30-N33) として示される。
【0009】
特定のα-アミラーゼが他のα-アミラーゼと比較して 「欠失」 を含有しかつ挿入がこのような位置になされている場合、これは位置36におけるアスパラギン酸の挿入について次のように示される:
*36Asp または *36D
多重突然変異はプラス符号により分離される、すなわち:
Ala30Asn + Glu34Ser または A30N + E34S
は位置30および34における突然変異、それぞれアラニンおよびグルタミン酸のアスパラギンおよびセリンによる置換を表す。
【0010】
1または2以上の選択的アミノ酸残基が所定の位置に挿入されるとき、それは次のように示される:
A30N,Eまたは
A30NまたはA30E
さらに、示唆される特定の変更なしに、変更に適当な位置が本明細書において同定されるとき、その位置に存在するアミノ酸残基を任意のアミノ酸残基で置換できることを理解すべきである。こうして、例えば、位置30におけるアラニンの変更を記載するが、特定しないとき、このアラニンは欠失させるか、あるいは任意の他のアミノ酸、すなわち、下記の任意の1つで置換できることを理解すべきである: R、N、D、A、C、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y、V。
【0011】
さらに、 「A30X」 は下記の置換の1つを意味する:
A30R、A30N、A30D、A30C、A30Q、A30E、A30G、A30H、A30I、A30L、A30K、A30M、A30F、A30P、A30S、A30T、A30W、A30YまたはA30V; または簡単に述べると、A30R、N、D、C、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y、V。
親酵素 - ナンバリングに使用する - がその位置における置換について示唆された問題のアミノ酸残基を既に有する場合、下記の命名法を使用する:
例えば、NまたはVの1つが野生型で存在する場合、「X30N」 または 「X30N、V」。
こうして、他の対応する親酵素を位置30において 「Asn」 または 「Val」 に対して置換されることを意味する。
【0012】
アミノ酸残基の特性
帯電したアミノ酸:
Asp、Glu、Arg、Lys、His
負に帯電したアミノ酸 (最初にほとんどのマイナスの残基):
Asp、Glu
正に帯電したアミノ酸 (最初にほとんどのプラスの残基):
Arg、Lys、His
【0013】
中性アミノ酸:
Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Met、Cys、Asn、Gln、Ser、Thr、Pro
疎水性アミノ酸残基 (最後に列挙したほとんどの疎水性残基):
Gly、Ala、Val、Pro、Met、Leu、Ile、Tyr、Phe、Trp
親水性アミノ酸残基 (最後に列挙したほとんどの親水性残基):
Thr、Ser、Cys、Gln、Asn
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明の詳細な説明
ターマミル様α-アミラーゼ
バシラス (Bacillus) 種により産生される多数のα-アミラーゼはアミノ酸レベルで高度に相同的であることは、この分野においてよく知られている。例えば、配列番号4に示すアミノ酸配列を含んでなるバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼ (TermamylTMとして商業的に入手可能である) は、配列番号6に示すアミノ酸配列を含んでなるバシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) α-アミラーゼと約89%相同性であり、そして配列番号8に示すアミノ酸配列を含んでなるバシラス・ステアロサーモフィラス (Bacillus stearothermophilus) α-アミラーゼと約79%相同性であることが発見された。
【0015】
それ以上の相同的α-アミラーゼは下記を包含する: バシラス (Bacillus) 種NCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513またはDSM 9375の菌株に由来するα-アミラーゼ (それらのすべてはWO 95/26397に詳述されている) および下記の文献に記載されている#707α-アミラーゼ: Tsukamoto 他、Biochemical and Biophysical Research Communications、151 (1988) 、pp. 25-31。
【0016】
なおそれ以上のα-アミラーゼは下記を包含する: EP 0252666に記載されているバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) 菌株 (ATCC 27811) により産生されたα-アミラーゼ、およびWO 91/00353およびWO 94/18314において同定されているα-アミラーゼ。他の商用ターマミル様α-アミラーゼは下記の商品名で販売されている製品である: OptithermTMおよびTakathermTM (入手先: Solvay); MaxamyTM (入手先:Gist-brocades/Genencor) 、Spezym AATMおよびSpezym Delta AATM (入手先:Genencor) 、およびKeistaseTM (入手先:Daiwa) 、およびPurastarTM ST 5000E、PURASTRATM (入手先:Genencor Int.) 。
【0017】
これらのα-アミラーゼ間に見出される実質的な相同性のために、それらはα-アミラーゼの同一クラス、すなわち、 「ターマミル様α-アミラーゼ」 のクラスに属すると考えられる。
【0018】
したがって、本発明の関係において、用語 「ターマミル様α-アミラーゼ」 は、アミノ酸レベルでTermamylTM、すなわち、本明細書において配列番号4に示すアミノ酸配列を有するバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼに対して実質的な相同性を示す、α-アミラーゼを示すことを意図する。
【0019】
換言すると、ターマミル様α-アミラーゼは、本明細書において配列番号2、4または6に示すアミノ酸配列、およびWO 95/26397の配列番号1または2またはTsukamoto 他、1988中に示すアミノ酸配列を有するか、あるいはi) 前記アミノ酸配列の少なくとも1つに対して少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも90%、さらに特に好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、さらにより好ましくは少なくとも99%の同一性を表示する、および/またはii) 前記α-アミラーゼの少なくとも1つに対して発生させた抗体と免疫学的交差反応性を表示する、および/またはiii) それぞれこの出願の配列番号1、3および5およびWO 95/26397の配列番号4および5から明らかである上に特定したα-アミラーゼをコードするDNA配列に対してハイブリダイゼーションするDNA配列によりコードされる、α-アミラーゼである。
【0020】
相同性 (同一性)
相同性は、第1配列から第2 配列への偏差を示す2つの配列間の同一性の程度として決定できる。相同性は、適当にはこの分野において知られているコンピュータプログラム、例えば、GCGプログラムパッケージで提供されるGAP (前述した) により決定できる。こうして、Gap GCGv8を同一性についてデフォルトスコアリングマトリックスおよび下記のデフォルトパラメーターとともに使用できる: それぞれ核酸配列の比較のために、5.0のGAP発生ペナルティーおよび0.3のギャップエクステンションペナルティー、およびそれぞれタンパク質配列の比較のために、3.0のGAP発生ペナルティーおよび0.1のギャップエクステンションペナルティー。GAPにおいて、下記の文献に記載されている方法を使用して、アラインメントをつくり、同一性を計算する: NeedlemanおよびWunsch、(1970) 、J. Mol. Biol. 48、p. 443-453。
【0021】
ターマミルとターマミル様α-アミラーゼとの間の構造的アラインメントを使用して、他のターマミル様α-アミラーゼ中で同等の/対応する位置を同定することができる。前記構造的アラインメントを得る1つ方法は、ギャップペナルティーのデフォルト値、すなわち、3.0のGAP発生ペナルティーおよび0.1のギャップエクステンションペナルティーとともにGCGパッケージからのPile Upプログラムを使用することである。他の構造的アラインメント法は下記を包含する: 疎水性クラスター分析 (Gaboriaud 他、(1987) 、FEBS LETTERS 224、pp. 142-149 (1998) 。
【0022】
α-アミラーゼの性質 ii) 、すなわち、免疫学的交差反応性は、関係するターマミル様α-アミラーゼの少なくとも1つのエピトープに対して発生させたまたはそれと反応性の抗体を使用してアッセイすることができる。抗体は、モノクローナルまたはポリクロナールであることができ、この分野において知られている方法、例えば、下記の文献に記載されている方法により産生することができる: Hudson 他、Practical Immunology、第3版 (1989) 、Black-Well Scientific Publications。免疫学的交差反応性は、この分野において知られているアッセイ、例えば、下記の文献に記載されているアッセイにより決定することができる: ウェスタンブロッティングまたはラジオイムノアッセイ: Hudson 他、1989。これに関して、それぞれ配列番号2、4、6または8のアミノ酸配列を有するα-アミラーゼ間の免疫学的交差反応性が発見された。
【0023】
ハイブリダイゼーション
上記性質iii) に従うターマミル様α-アミラーゼの特性決定において使用するオリゴヌクレオチドプローブは、問題のα-アミラーゼの完全なまたは部分的ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に基づいて調製できる。
【0024】
ハイブリダイゼーションを試験するために適当な条件は次の通りである: 5×SSC中の前ソーキング、および20%のホルムアミド、5×デンハルト溶液、50 mMのリン酸ナトリウム、pH 6.8および50 mgの変性超音波処理仔ウシ胸腺DNAの溶液中の約4℃における1時間のプレハイブリダイゼーション、引き続く100 mMのATPを補充した同一溶液中の約40℃における18時間のハイブリダイゼーション、引き続く2×SSC、0.2%のSDS中の30分間の40℃ (低いストリンジェンシイ) 、好ましくは50℃ (中程度のストリンジェンシイ) 、より好ましくは65℃ (高いストリンジェンシイ) 、さらにより好ましくは約75℃ (非常に高いストリンジェンシイ) における3回のフィルターの洗浄。ハイブリダイゼーション法のより詳細ついては下記の文献を参照のこと: Sambrook 他、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、1989。
【0025】
本発明の関係において、 「に由来する」 は問題の生物の菌株により産生されたまたは産生可能なα-アミラーゼばかりでなく、かつまたこのような菌株から単離されたDNA配列によりコードされ、前記DNA配列で形質転換された宿主生物中で産生されたα-アミラーゼを示すことを意図する。最後に、この用語は合成および/またはcDNA由来のDNA配列によりコードされ、そして問題のα-アミラーゼの同定特性を有するα-アミラーゼを示すことを意図する。また、この用語は、親α-アミラーゼが天然に存在するα-アミラーゼの変異型、すなわち、天然に存在するα-アミラーゼの1または2以上のアミノ酸残基の変更 (挿入、置換、欠失) の結果である変異型であることができることを示すことを意図する。
【0026】
親ハイブリッドα-アミラーゼ
親α-アミラーゼはハイブリッドα-アミラーゼ、すなわち、少なくとも2つのα-アミラーゼに由来する部分的アミノ酸配列を含んでなるα-アミラーゼであることができる。
【0027】
親ハイブリッドα-アミラーゼは、アミノ酸相同性および/または免疫学的交差反応性および/またはDNAハイブリダイゼーション (上に定義した) に基づいて、ターマミル様α-アミラーゼファミリーに属することを決定できるものであることができる。この場合において、ハイブリッドα-アミラーゼは、典型的には、ターマミル様α-アミラーゼの少なくとも1つの部分、および微生物 (細菌または真菌) および/または哺乳動物由来のターマミル様α-アミラーゼまたは非ターマミル様α-アミラーゼから選択される1または2以上の他のα-アミラーゼの1または2以上の部分から構成される。
【0028】
こうして、親ハイブリッドα-アミラーゼは、少なくとも2つのターマミル様α-アミラーゼに由来し、または少なくとも1つのターマミル様および非ターマミル様細菌α-アミラーゼに由来し、または少なくとも1つのターマミル様および少なくとも1つの真菌α-アミラーゼに由来する部分的アミノ酸配列の組合わせを含んでなることができる。部分的アミノ酸配列が由来するターマミル様α-アミラーゼは、例えば、本明細書において言及する特定のターマミル様α-アミラーゼの任意のものであることができる。
【0029】
例えば、親α-アミラーゼは、バシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) の菌株に由来するα-アミラーゼのC-末端部分、およびバシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) の菌株またはバシラス・ステアロサーモフィラス (B. stearothermophilus) の菌株に由来するN-末端部分を含んでなることができる。
【0030】
例えば、親α-アミラーゼは、バシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼのC-末端部分の少なくとも430アミノ酸残基を含んでなることができ、そして、例えば、a) 配列番号6に示すアミノ酸配列を有するバシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) α-アミラーゼの37 N-末端アミノ酸残基に対応するアミノ酸セグメントおよび配列番号4に示すアミノ酸配列を有するバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼの445 C-末端アミノ酸残基に対応するアミノ酸セグメントを含んでなるか、あるいはb) 配列番号8に示すアミノ酸配列を有するバシラス・ステアロサーモフィラス (B. stearothermophilus) α-アミラーゼの68 N-末端アミノ酸残基に対応するアミノ酸セグメントおよび配列番号4に示すアミノ酸配列を有するバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼの415 C-末端アミノ酸残基に対応するアミノ酸セグメントを含んでなることができる。
【0031】
好ましい態様において、親ターマミル様α-アミラーゼは、N-末端の35アミノ酸 (成熟タンパク質の) が配列番号6に示すバシラス・アミロリクファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens) α-アミラーゼ (BAN) の成熟タンパク質のN-末端の33アミノ酸残基で置換されている以外、配列番号4に示すバシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) と同一であるハイブリッドターマミル様α-アミラーゼである。前記ハイブリッドは下記の突然変異をさらに有する: H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264S (配列番号4におけるナンバリングを使用する) 、LE174と呼ぶ。
【0032】
他の好ましい親ハイブリッドα-アミラーゼは配列番号2に示すLE429である。
非ターマミル様α-アミラーゼは、例えば、真菌α-アミラーゼ、哺乳動物または植物α-アミラーゼまたは細菌α-アミラーゼ (ターマミル様α-アミラーゼと異なる) であることができる。このようなα-アミラーゼの特定の例は次の通りである: アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAα-アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (A. niger) 酸性α-アミラーゼ、バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) α-アミラーゼ、ブタ膵臓α-アミラーゼおよびオオムギα-アミラーゼ。これらのα-アミラーゼのすべては、本明細書において言及する典型的なターマミル様α-アミラーゼの構造と顕著に異なる、解明された構造を有する。
【0033】
前述の真菌α-アミラーゼ、すなわち、アスペルギルス・ニガー (A. niger) およびアスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) に由来するα-アミラーゼは、同一ファミリーのα-アミラーゼに対してアミノ酸レベルで高度に相同的であり、そのファミリーに属すると一般に考えられる。アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) に由来する真菌α-アミラーゼは、商品名FungamylTMで商業的に入手可能である。
【0034】
さらに、慣用法において、特定のターマミル様α-アミラーゼのアミノ酸配列中の特定のアミノ酸残基の変更 (例えば、欠失または置換) を参照してターマミル様α-アミラーゼの特定の変異型 (本発明の変異型) を言及するとき、1または2以上の同等の位置 (それぞれアミノ酸配列間の最良の可能なアミノ酸配列のアラインメントから決定される) において修飾された他のターマミル様α-アミラーゼの変異型がこれにより包含されることを理解すべきである。
【0035】
本発明の変異型の好ましい態様は、バシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼ (親ターマミル様α-アミラーゼとして) 、例えば、前述のもの、例えば、配列番号4に示すアミノ酸配列を有するバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼに由来するものである。
【0036】
本発明の変異型の構築
問題の変異型の構築は、変異型の産生を促進する条件下に変異型をコードするDNA配列を含んでなる微生物を培養することによって達成することができる。次いで、変異型は生ずる培養ブロスから回収することができる。これは下記において詳細に説明される。
【0037】
変更された性質
本発明の変異型中に存在する突然変異間の関係、およびそれから生じうる性質の必要な変更 (親ターマミル様α-アミラーゼの性質に関する) を下記において論ずる。
第1の面において、本発明は、α-アミラーゼ活性を有し、置換R437Wを含んでなり、ここで位置が配列番号4のアミノ酸配列を有する親ターマミル様α-アミラーゼのアミノ酸配列の位置に対応する、親ターマミル様α-アミラーゼの変異型に関する。
【0038】
デンプン液化プロセスにおいて、α-アミラーゼが関係する他のプロセスにおけるように、α-アミラーゼのデンプンアフィニティーを増加させ、これにより、例えば、生デンプンの加水分解 (RSH) を増加させることが有益である。
2つのトリプトファンのうちの1つのみを有するα-アミラーゼのC-末端ドメイン中にトリプトファン残基を導入し、これにより 1対のトリプトファンをつくることによって、推定上のデンプン結合部位が形成され、この部位はデンプンに対する吸着において主要な役割を有し、こうして高いデンプン転化速度のために重大であることを本発明者らは発見した。
【0039】
詳しく後述するターマミル様α-アミラーゼのみを使用できるわけではないことを強調すべきである。また、他の商用ターマミル様α-アミラーゼを使用できる。このようなα-アミラーゼの限定的ではないリストは次の通りである:
EP 0252666に記載されているバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) 菌株 (ATCC 27811) により産生されたα-アミラーゼ、およびWO 91/00353およびWO 94/18314において同定されているα-アミラーゼ。他の商用ターマミル様α-アミラーゼは、下記の商品名で販売されている製品である: OptithermTMおよびTakathermTM (入手先: Solvay); MaxamyTM (入手先:Gist-brocades/Genencor) 、Spezym AATMおよびSpezym Delta AATM (入手先:Genencor) 、およびKeistaseTM (入手先:Daiwa) 。
【0040】
しかしながら、C-末端に2つのトリプトファンをもたないターマミル様α-アミラーゼのみを本発明の変異型の製造に主鎖として適当に使用できる。
本発明の好ましい態様において、親ターマミル様α-アミラーゼは配列番号4および配列番号6のα-アミラーゼまたはそれらの変異型である。
特定の態様において、変異型は下記の追加の突然変異の1または2以上を含んでなる: R176*、G177*、N190F、E469N、より特にR176* + G177* + N190F、さらにより特にR176* + G177* + N190F + E469N (配列番号6におけるナンバリングを使用する) 。
【0041】
本発明の他の好ましい態様において、親ターマミル様α-アミラーゼは配列番号4および配列番号6のハイブリッドα-アミラーゼである。詳しくは、親ハイブリッドターマミル様α-アミラーゼは、配列番号4に示すバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼの445 C末端アミノ酸残基および配列番号6に示すバシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) に由来する37 N-末端アミノ酸残基を含んでなるハイブリッドα-アミラーゼであることができ、これは適当には下記の突然変異をさらに有することができる: H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264S (配列番号4におけるナンバリングを使用する) 。
【0042】
このハイブリッドはLE174と呼ぶ。LE174ハイブリッドをそれ以上の突然変異I201Fと組合わせて下記の突然変異を有する親ハイブリッドターマミル様α-アミラーゼを形成することができる: H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264S + I201F (ナンバリングのために配列番号4を使用する) 。このハイブリッド変異型を配列番号2に示し、下記の実施例において使用し、そしてLE429と呼ぶ。
【0043】
LE429 (配列番号2に示す) を主鎖として (すなわち、親ターマミル様α-アミラーゼとして) 使用するとき、LE174を突然変異I201F (配列番号4のナンバリング) と組合わせることによって、突然変異/変更、特に置換、欠失および挿入を本発明に従い下記の位置の1または2以上においてつくることができる: R176*、G177*、E469N (配列番号6におけるナンバリングを使用する) 。特定の態様において、変異型は追加の突然変異を含んでなる: E469N (配列番号6におけるナンバリングを使用する) 。さらに特定の態様において、変異型は追加の突然変異を含んでなる: R176* + G177* + E469N (配列番号6におけるナンバリングを使用する) 。
【0044】
本発明の変異型中の一般的突然変異
本発明の変異型は、上に概説したものに加えて、1種または2種以上の変更を含んでなることが好ましいことがある。
α-アミラーゼ変異型を製造する方法
遺伝子の中に突然変異を導入するいくつかの方法がこの分野において知られている。α-アミラーゼをコードするDNA配列のクローニングを簡単に論じた後、α-アミラーゼをコードする配列内の特定の部位において突然変異を発生させる方法を論ずる。
【0045】
α-アミラーゼをコードするDNA配列のクローニング
親α-アミラーゼをコードするDNA配列は、この分野において知られている種々の方法に従い、問題のα-アミラーゼを産生する任意の細胞または微生物から単離することができる。まず、研究すべきα-アミラーゼを産生する生物からの染色体DNAまたはメッセンジャーDNAを使用して、ゲノムDNAおよび/またはcDNAライブラリーを構築する。次いで、α-アミラーゼのアミノ酸配列が既知である場合、相同的標識化オリゴヌクレオチドプローブを合成し、問題の生物から調製したゲノムライブラリーからα-アミラーゼエンコーディングクローンを同定するために使用できる。選択的に、既知のα-アミラーゼ遺伝子に対して相同的である配列を含有する標識化オリゴヌクレオチドプローブを、より低いストリンジェンシイのハイブリダイゼーションおよび洗浄条件下に、プローブとして使用してα-アミラーゼエンコーディングクローンを同定することができる。
【0046】
α-アミラーゼエンコーディングクローンを同定するなお他の方法は、ゲノムDNAのフラグメントを発現ベクター、例えば、プラスミド中に挿入し、生ずるゲノムDNAライブラリーでα-アミラーゼ陰性細菌を形質転換し、次いでα-アミラーゼのための基質を含有する寒天上に形質転換された細菌をプレーティングし、α-アミラーゼを発現するクローンの同定を可能とする。
【0047】
選択的に、この酵素をコードするDNA配列を確立された標準的方法、例えば、S. L. BeaucageおよびM. H. Caruthers (1981) に記載されているホスホロアミダイト法またはMatthes 他 (1984) に記載されている方法により合成できる。ホスホロアミダイト法において、オリゴヌクレオチドを、例えば、自動的DNA合成装置において合成し、精製し、アニリーングし、結合し、そして適当なベクター中でクローニングする。
【0048】
最後に、DNA配列は混合ゲノムおよび合成由来、混合合成およびcDNA由来または混合ゲノムおよびcDNA由来であることができ、これらは標準的技術に従い合成、ゲノムまたはcDNA由来のフラグメント (適当なものとして、全DNA配列の種々の部分に対応するフラグメント) を結合することによって調製される。また、DNA配列は、例えば、米国特許第4,883,202号およびR. K. Saiki 他 (1988) に記載されているように、ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) により特異的プライマーを使用して製造することができる。
【0049】
位置指定突然変異誘発
いったんα-アミラーゼエンコーディングDNA配列が単離され、突然変異に望ましい部位が同定されると、合成オリゴヌクレオチドを使用して突然変異を導入することができる。これらのオリゴヌクレオチドは、必要な突然変異部位をフランクする核酸配列を含有する; 突然変異体ヌクレオチドはオリゴヌクレオチド合成中に挿入される。特定の方法において、α-アミラーゼ遺伝子を担持するベクター中に、α-アミラーゼエンコーディング配列を架橋するDNAの一本鎖ギャップをつくる。
【0050】
次いで、必要な突然変異を有する合成ヌクレオチドを、一本鎖DNAの相同的部分にアニリーングする。次いで残りのギャップをDNAポリメラーゼI (クレノウフラグメント) で充填し、この構築物をT4リガーゼで結合する。この方法の特定の例はMorinaga 他 (1984) に記載されている。米国特許第4,760,025号には、カセットの小さい変更を実施することによって、多重突然変異をコードするオリゴヌクレオチドを導入することが開示されている。しかしながら、種々の長さの多数のオリゴヌクレオチドを導入ことができるので、なおより大きい種類の突然変異をMorinaga法により1回で導入することができる。
【0051】
α-アミラーゼエンコーディングDNA配列中に突然変異を導入する他の方法は、NelsonおよびLong (1989) に記載されている。その方法は、PCR反応におけるプライマーの1つとして化学的に合成されたDNAストランドを使用することによって、必要な突然変異を含有するPCRフラグメントを3工程で発生させることを含む。PCR発生フラグメントから、突然変異を有するDNAフラグメントを制限エンドヌクレアーゼで切断することによって単離し、発現プラスミド中に再挿入することができる。
【0052】
ランダム突然変異誘発
ランダム突然変異誘発は、問題の示すアミノ酸配列に翻訳される遺伝子の少なくとも3つの部分における、または全遺伝子内における、局在化または領域特異的ランダム突然変異誘発として適当に実施される。
親α-アミラーゼをコードするDNA配列のランダム突然変異誘発は、当業者に知られている方法を使用することによって好都合に実施することができる。
【0053】
前述に関して、本発明のそれ以上の面は、親α-アミラーゼの変異型を発生させる方法に関し、例えば、ここで変異型は親に関して変更されたデンプンアフィニティーを示し、この方法は下記の工程を含んでなる:
(a) 親α-アミラーゼをコードするDNA配列をランダム突然変異誘発に付し、
(b) 工程 (a) において得られた突然変異したDNA配列を宿主細胞中で発現させ、そして
(c) 親α-アミラーゼに関して変更されたデンプンアフィニティーを有するα-アミラーゼ変異型を発現する宿主細胞をスクリーニングする。
【0054】
本発明の前述の方法の工程 (a) は、ドープドプライマーを使用して実施することが好ましい。例えば、ランダム突然変異誘発は、適当な物理的または化学的突然変異誘発因子を使用して、適当なオリゴヌクレオチドを使用して、またはDNA配列をPCR発生突然変異誘発に付して、実施することができる。さらに、ランダム突然変異誘発は、これらの突然変異誘発因子の組合わせを使用して実施することができる。突然変異誘発因子は、例えば、トランジション、トランスバージョン、逆位、スクランブリング、欠失および/または挿入を誘導する因子である。
【0055】
この目的に適当な物理的または化学的突然変異誘発因子の例は、紫外線 (UV) 照射、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトログアニジン (MNNG) 、O-メチルヒドロキシルアミン、亜硝酸、エチルメタンスルホネート (EMS) 、重亜硫酸ナトリウム、ギ酸およびヌクレオチドアナローグである。このような因子を使用するとき、突然変異誘発は、典型的には、選択した突然変異誘発因子の存在下に、突然変異誘発を起こすために適当な条件下に突然変異誘発すべき親酵素をコードするDNA配列をインキュベートし、そして必要な性質を有する突然変異したDNAについて選択することによって実施する。
【0056】
オリゴヌクレオチドを使用して突然変異誘発を実施するとき、オリゴヌクレオチドの合成中に変化すべき位置において3つの非親ヌクレオチドでオリゴヌクレオチドをドーピングまたはスパイクすることができる。不適当なアミノ酸のコドンが回避されるように、ドーピングまたはスパイキングを実施することができる。発表された技術により、例えば、PCR、LCRまたは適当であると思われるDNAポリメラーゼおよびリガーゼを使用して、α-アミラーゼ酵素をコードするDNA中にドープドまたはスパイクドオリゴヌクレオチドを組込むことができる。
【0057】
好ましくは、ドーピングは 「コンスタントランダムドーピング」 により実施し、ここで各位置における野生型および突然変異の百分率を前もって定める。さらに、ドーピングはある種のヌクレオチドの導入の優先性に対して向けることができ、これにより1または2以上の特異的アミノ酸残基の導入の優先性に対して向けることができる。ドーピングは、例えば、各位置において90%の野生型および10%の突然変異を可能とするように実施できる。ドーピングスキームの選択における追加の考慮は、遺伝的ならびにタンパク質-構造的拘束に基づく。ドーピングスキームはDOPEプログラムを使用して実施することができ、このプログラムは、なかでも、停止コドンの導入の回避を保証する。
【0058】
PCR発生突然変異誘発を使用するとき、親α-アミラーゼをコードする化学的に処理したまたは処理しない遺伝子を、ヌクレオチドの取込み違いを増加する条件下に、PCRに付す (Deshier 1992; Leung 他、Technique、Vol. 1、1989、pp. 11-15) 。大腸菌 (E. coli) (Fowier 他、Molec. Gen. Genet. 133、1974、pp. 179-191) 、サッカロマイセス・セレビシエ (S. cerevisiae) または他の微生物のミューテーター菌株は、例えば、親グリコシダーゼを含有するプラスミドをミューテーター菌株中に形質転換し、プラスミドを有するミューテーター菌株を増殖させ、突然変異したプラスミドをミューテーター菌株から単離することによって、α-アミラーゼをコードするDNAのランダム突然変異誘発のために使用することができる。
【0059】
突然変異したプラスミドを引き続いて発現生物中に形質転換することができる。突然変異誘発すべきDNA配列は、親α-アミラーゼを発現する生物から調製したゲノムまたはcDNAライブラリー中に存在することが好都合であることがある。選択的に、DNA配列は適当なベクター、例えば、プラスミドまたはバクテリオファージ上に存在することができ、それらはそれら自体突然変異誘発因子とともにインキュベートするか、あるいはそうでなければ突然変異誘発因子に対して暴露することができる。突然変異誘発すべきDNAは、また、宿主細胞のゲノム中に組込まれることによって、または細胞中に収容されたベクター上に存在することによって、宿主細胞中に存在することができる。最後に、突然変異誘発すべきDNAは単離された形態であることができる。
【0060】
ランダム突然変異誘発すべきDNA配列はcDNAまたはゲノムDNAであることが好ましいことが理解されるであろう。ある場合において、発現工程b) またはスクリーニング工程c) を実施する前に、突然変異したDNA配列を増幅することが好都合であることがある。このような増幅はこの分野において知られている方法に従い実施することができ、現在好ましい方法はPCR発生した増幅であり、ここで親酵素のDNAまたはアミノ酸配列に基づいて調製されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用する。突然変異誘発因子とのインキュベーションまたは突然変異誘発因子に対する暴露に引き続いて、発現を可能とする条件下にDNA配列を有する適当な宿主細胞を培養することによって、突然変異したDNAを発現させる。
【0061】
この目的に使用する宿主細胞は、必要に応じてベクター上に存在する、突然変異したDNA配列で形質転換された宿主細胞であるか、あるいは突然変異誘発処理間に親酵素をコードするDNA配列を有した宿主細胞であることができる。適当な宿主細胞の例は次の通りである:
【0062】
グラム陰性細菌、例えば、バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) 、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) 、バシラス・レンツス (Bacillus lentus) 、バシラス・ブレビス (Bacillus brevis) 、バシラス・ステアロサーモフィラス (Bacillus stearothermophilus) 、バシラス・アルカロフィルス (Bacillus alkalophillus) 、バシラス・アミロリクファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens) 、バシラス・コアギュランス (Bacillus coagulans) 、バシラス・サーキュランス (Bacillus circulans) 、バシラス・ラウツス (Bacillus lautus) 、バシラス・メガテリウム (Bacillus megaterium) 、バシラス・スリンジェンシス (Bacillus thuringiensis) 、ストレプトマイセス・リビダンス (Streptomyces lividans) またはストレプトマイセス・ムリヌス (Streptomyces murinus); およびグラム陰性細菌、例えば、大腸菌 (E. coli) 。突然変異したDNAは、突然変異したDNA配列の発現を可能とする機能をコードするDNA配列をさらに含んでなることができる。
【0063】
局在化ランダム突然変異誘発
ランダム突然変異誘発は、問題の親α-アミラーゼの一部分に好都合に局在化することができる。これは、例えば、酵素のある領域が酵素の所定の性質のために特に重要なであると同定されたとき、そして変更が改良された性質を有する変異型を生ずることが期待されるとき、好都合であることがある。このような領域は、通常、親酵素の第3構造が解明され、酵素の機能に関係づけられたとき、同定することができる。
【0064】
局在化または領域特異的ランダム突然変異誘発は、前述したPCR発生突然変異誘発技術またはこの分野において知られている他の適当な技術を使用することによって、好都合に実施される。選択的に、修飾すべきDNA配列の部分をコードするDNAは、例えば、適当なベクターを挿入することによって単離することができ、そして前記部分は引き続いて前述の突然変異誘発法のいずれかを使用して突然変異誘発することができる。
【0065】
α-アミラーゼ変異型を提供する別法
本発明のα-アミラーゼ変異型を提供する別法は、この分野において知られている遺伝子シャフリング法、例えば、下記の文献に記載されている方法を包含する: WO 95/22625 (Affymax Technologies N. V.) およびWO 96/00343 (Novo Nordisk A/S) 。
【0066】
α-アミラーゼ変異型の発現
本発明によれば、前述の方法またはこの分野において知られている別法により製造された変異型をコードするDNA配列は、発現ベクターおよび必要に応じて、リプレッサー遺伝子または種々の活性遺伝子を使用して、酵素中で発現させることができ、ここで発現ベクターは典型的にはプロモーター、オペレーター、リボソーム、翻訳開始シグナルをコードする制御配列を包含する。
【0067】
本発明のα-アミラーゼ変異型をコードするDNA配列を担持する組換え発現ベクターは、組であることができ、そしてその選択はそれを導入する宿主細胞にしばしば依存するであろう。こうして、ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外実在物として存在し、その複製が染色体の複製に対して独立であるベクター、例えば、プラスミド、バクテリオファージまたは染色体外因子、ミニクロモソームまたは人工染色体であることができる。選択的に、ベクターは、宿主細胞の中に導入したとき、宿主細胞ゲノム中に組込まれ、それが組込まれている1または2以上の染色体と一緒に複製するベクターであることができる。
【0068】
ベクターにおいて、DNA配列は適当なプロモーター配列に作用可能に接続されているべきである。プロモーターは、選択した宿主細胞において転写活性を示し、宿主細胞に対して相同的または異種的においてタンパク質をコードする遺伝子に由来することができる、任意のDNA配列であることができる。特に細菌宿主細胞において、本発明のα-アミラーゼ変異型をコードするDNA配列の転写を指令する適当なプロモーターの例は次の通りである:
【0069】
大腸菌 (E. coli) のlacオペロンのプロモーター、ストレプトマイセス・ケリコロル (Streptomyces coelicolor) アガロース遺伝子dagAのプロモーター、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) α-アミラーゼ遺伝子 (amyL) のプロモーター、バシラス・ステアロサーモフィラス (Bacillus stearothermophilus) マルトジェニックアミラーゼ遺伝子 (amyM) のプロモーター、バシラス・アミロリクファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens) α-アミラーゼ (amyQ) のプロモーター、バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) xylAおよびxylB遺伝子のプロモーターおよびその他。
【0070】
真菌宿主における転写のために有効なプロモーターの例は下記をコードする遺伝子に由来するプロモーターである: アスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) TAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー (A. niger) 中性α-アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (A. niger) 酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (A. niger) グルコアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) リパーゼ、アスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) アルカリ性プロテアーゼ、アスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) トリオースリン酸イソメラーゼおよびアスペルギルス・ニヅランス (A. nidulans) アセトアミダーゼ。
【0071】
本発明の発現ベクターは、また、適当な転写ターミネーターおよび、真核生物において、本発明のα-アミラーゼ変異型をコードするDNA配列に作用可能に接続されたポリアデニル化配列を含んでなる。停止配列およびポリアデニル化配列は、プロモーターと同一源に適当に由来することができる。
ベクターは、さらに、問題の宿主細胞におけるベクターの発現を可能とするDNA配列を含んでなることができる。このような配列の例は下記のプラスミドの複製起点である: pUC19、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1およびpIJ702。
【0072】
ベクターは、また、選択可能なマーカー、例えば、その産物が宿主細胞における欠陥を補足する遺伝子、例えば、バシラス・サチリス (B. subtilis) またはバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) からのdal遺伝子、または抗生物質耐性、例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールまたはテトラサイクリン耐性を与える遺伝子を含んでなることができる。さらに、ベクターはアスペルギルス (Aspergillus) の選択マーカー、例えば、amdS、argB、niaDおよびsC、ヒグロマイシン耐性を生ずるマーカーを含んでなることができるか、あるいは選択は、例えば、WO 91/17243に記載されているように、共形質転換により達成することができる。
【0073】
細胞内発現はある関係において、例えば、宿主細胞としてある細菌を使用するとき、好都合であることがあるが、一般に、発現は細胞外であることが好ましい。一般に、本明細書に記載するバシラス (Bacillus) α-アミラーゼは、発現されたプロテアーゼの培地中への分泌を可能とする前領域を含んでなる。必要に応じて、この前領域は異なる前領域またはシグナル配列と置換することができ、これはそれぞれの前領域をコードするDNA配列の置換により好都合に達成される。
【0074】
それぞれα-アミラーゼ変異型をコードする本発明のDNA構築物、プロモーター、ターミネーターおよび他の因子を結合し、そして複製に必要な情報を含有する適当なベクター中にそれらを挿入するために使用する手順はこの分野においてよく知られている (例えば、下記の文献を参照のこと: Sambrook 他、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、1989) 。
【0075】
上に定義した本発明のDNA構築物または発現ベクターを含んでなる本発明の細胞は、本発明のα-アミラーゼ変異型の組換え産生における宿主細胞として好都合に使用される。細胞は変異型をコードする本発明のDNA構築物で形質転換することができ、これは宿主細胞染色体中にDNA構築物 (1または2以上のコピーで) を組込むことによって好都合に達成される。一般に、この組込みは、DNA配列が細胞中で安定に維持される傾向が強いので、有利であると考えられる。宿主染色体中へのDNA構築物の組込みは、慣用法に従い、例えば、相同的または異種的組換えにより実施することができる。選択的に、細胞は異なる型の宿主細胞と組合わせて前述の発現ベクターで形質転換することができる。
【0076】
本発明の細胞は、高等生物、例えば、哺乳動物または昆虫の細胞であることができるが、微生物細胞、例えば、細菌または真菌 (酵母) 細胞であることができる。
【0077】
適当な細菌の例は次の通りである: グラム陰性細菌、例えば、バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) 、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) 、バシラス・レンツス (Bacillus lentus) 、バシラス・ブレビス (Bacillus brevis) 、バシラス・ステアロサーモフィラス (Bacillus stearothermophilus) 、バシラス・アルカロフィルス (Bacillus alkalophillus) 、バシラス・アミロリクファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens) 、バシラス・コアギュランス (Bacillus coagulans) 、バシラス・サーキュランス (Bacillus circulans) 、バシラス・ラウツス (Bacillus lautus) 、バシラス・メガテリウム (Bacillus megaterium) 、バシラス・スリンジェンシス (Bacillus thuringiensis) 、ストレプトマイセス・リビダンス (Streptomyces lividans) またはストレプトマイセス・ムリヌス (Streptomyces murinus) 、またはグラム陰性細菌、例えば、大腸菌 (E. coli) 。細菌の形質転換は、例えば、プロトプラスト形質転換により、またはそれ自体知られている方法においてコンピテント細胞を使用することによって、実施することができる。
【0078】
酵母生物は、サッカロマイセス (Saccharomyces) またはシゾサッカロマイセス (Schizosaccharomyces) の種、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) から好適に選択することができる。フィラメント状真菌は好都合にはアスペルギルス (Aspergillus) 種、例えば、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) またはアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) に属することができる。真菌細胞は下記を包含するプロセスにより形質転換することができる: プロトプラストの形成およびプロトプラストの形質転換および引き続くそれ自体知られている方法における細胞壁の再生。アスペルギルス (Aspergillus) 宿主細胞の形質転換の適当な手順はEP 238,023に記載されている。
【0079】
なおそれ以上の面において、本発明は、本発明のα-アミラーゼ変異型を製造する方法に関し、ここでこの方法は変異型の産生を促進する条件下に前述の宿主細胞を培養し、そして細胞および/または培地から変異型を回収することを含んでなる。
細胞を培養するために使用する培地は、問題の細胞を増殖させ、そして本発明のα-アミラーゼ変異型を発現させるために適当な慣用培地であることができる。適当な培地は商業的供給会社から入手可能であるか、あるいは発表された調製法に従い調製することができる (例えば、American Type Culture Collectionのカタログに記載されている) 。
【0080】
宿主細胞から分泌されたα-アミラーゼ変異型は、よく知られている手順により、例えば、遠心または濾過により細胞を培地から分離し、塩、例えば、硫酸アンモニウムにより培地のタンパク質成分を沈殿させ、次いでクロマトグラフィー手順、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーまたはその他を使用することによって、培地から好都合に回収することができる。
【0081】
工業的用途
本発明のα-アミラーゼ変異型は、種々の工業的用途を可能とする有益な性質を有する。特に、本発明の酵素変異型は、洗濯、皿洗浄および硬質表面のクリーニング洗剤組成物中の成分として適用可能である。
【0082】
本発明の変更された性質を有する変異型は、デンプンプロセス、特にデンプン転化、ことにデンプン液化に使用することができる (例えば、下記の文献を参照のこと: 米国特許第3, 912,590号、EP 252,730、EP 63,909、WO 99/19467およびWO 96/28567、すべての参考文献は引用することによって本明細書の一部とされる) 。また、デンプン転化の目的の組成物が考えられ、これは本発明の変異型のほかに、また、グルコアミラーゼ、プルラナーゼおよび他のα-アミラーゼを含んでなる。
【0083】
さらに、本発明の変異型は、また、デンプンまたは全穀粒からの甘味剤およびエタノールの製造 (例えば、下記の文献を参照のこと: 米国特許第5,231,017号、引用することによって本明細書の一部とされる) 、例えば、燃料用、飲用および工業用エタノールの製造において特に有効である。
本発明の変異型は、また、繊維材料、布帛または被服の糊抜き (例えば、下記の文献を参照のこと: WO 95/21247、米国特許第4,643,736号およびEP 119,920、引用することによって本明細書の一部とされる) 、ビール製造または醸造、パルプおよび紙の製造、および飼料および食品の製造において有効である。
【0084】
デンプンの転化
慣用のデンプン転化プロセス、例えば、液化および糖化プロセスは、例えば、下記の文献に記載されている: 米国特許第3,912,590号およびEP 252,730およびEP 63,909、引用することによって本明細書の一部とされる。
ある態様において、デンプンを低分子量炭水化物、例えば、糖または脂肪代替物に分解するデンプン転化プロセスは脱分枝工程を含む。
【0085】
デンプンの糖への転化
デンプンを糖に転化する場合において、デンプンを解重合させる。このような解重合プロセスは、前処理工程および2つの連続的プロセス工程、すなわち、液化プロセス、糖化プロセスから成り、必要な最終生成物、必要に応じて異性化プロセスに依存する。
【0086】
天然のデンプンの前処理
天然のデンプンは、室温において水中に可溶性である微視的粒体から成る。水性デンプンスラリーを加熱し、粒体は膨潤し、究極的に破裂し、デンプン分子は溶液中に分散する。 「糊化」 プロセス間に、粘度の劇的増加が存在する。典型的な工業的プロセスにおいて固形分レベルは30〜40%であるので、デンプンは減粘または 「液化」 して、取扱い可能としなくてはならない。今日、この粘度減少はほとんど酵素的分解により達成される。
【0087】
液化
液化工程の間、長鎖デンプンはα-アミラーゼにより分岐鎖状および線状のより短い単位 (マルトデキストリン) に分解される。液化プロセスは105〜110℃において5〜10分間実施し、次いで95℃において1〜2時間実施する。pHは5.5〜6.2である。これらの条件下に酵素安定性を最適にするために、1 mMのカルシウムを添加する (40 ppmの遊離カルシウムイオン) 。この処理後、液化されたデンプンは10〜15の 「デキシトロース当量」 (DE) を有するであろう。
【0088】
糖化
液化プロセス後、グルコアミラーゼ (例えば、AMG) および脱分枝酵素、例えば、イソアミラーゼ (米国特許第4,335,208号) およびプルラナーゼ (例えば、PromozymeTM) (米国特許第4,560,651号) の添加により、マルトデキストリンをデキシトロースに転化する。この工程前に、pHを4.5以下の値に減少させ、高い温度 (95℃以上) を維持して液化性α-アミラーゼを不活性化し、脱分枝酵素により適切に加水分解できない 「パノース前駆体」 と呼ぶ短いオリゴ糖の形成を減少させる。
【0089】
温度を60℃に低下させ、グルコアミラーゼおよび脱分枝酵素を添加する。糖化プロセスを24〜72時間進行させる。
通常、液化工程後、α-アミラーゼを変性するとき、糖化生成物の約0.2〜0.5%は分岐鎖状62-α-グリコシルマルトース (パノース) であり、これはプルラナーゼで分解することができない。液化工程からの活性アミラーゼが糖化間に存在する (すなわち、変性なし) 場合、このレベルは1〜2%程度に高いことがあり、これは糖化収率を有意に低下させるので、高度に望ましくない。
【0090】
異性化
必要な最終糖生成物が、例えば、高フルクトースシロップであるとき、デキシトロースシロップはフルクトースに転化することがある。糖化プロセス後、pHは6〜8の範囲、好ましくは7.5の値に増加させ、カルシウムをイオン交換により除去する。次いで、例えば、固定化グルコースイソメラーゼ (例えば、SweetzymeTM IT) を使用して、デキシトロースシロップを高フルクトースシロップに転化する。
【0091】
エタノールの製造
一般に、全穀粒からのアルコール製造 (エタノール) は4つの主要な工程に分割することができる:
- 微粉砕
- 液化
- 糖化
- 発酵
【0092】
微粉砕
穀粒を微粉砕して構造を開き、それ以上の加工を可能とする。2つのプロセス、すなわち、湿式微粉砕および乾式微粉砕を使用する。湿式微粉砕において、全仁を微粉砕し、このプロセスの残りの部分において使用する。湿式微粉砕は胚芽および粉末 (デンプンの粒子およびタンパク質) を非常に良好に分離し、シロップの並行製造である位置において適用される例外が少ない。
【0093】
液化
液化プロセスにおいて、デンプン粒子を加水分解により主として4より高いDPのマルトデキストリンに可溶化する。加水分解は酸処理により、または酵素的にα-アミラーゼにより実施することができる。酸加水分解は制限された基礎に基づいて使用される。原料は全穀粒微粉砕物またはデンプン加工からの側流であることができる。
【0094】
酵素的液化は典型的には3工程のホットスラリープロセスとして実施される。スラリーは60〜95℃、好ましくは80〜85℃に加熱し、そして1種または2種以上の酵素を添加する。次いでスラリーを95〜140℃、好ましくは105〜125℃においてジェット煮沸し、60〜95℃に冷却し、そしてさらに1種または2種以上の酵素を添加して最終の加水分解を実施する。液化プロセスはpH 4.5〜6.5、典型的にはpH 5〜6において実施する。微粉砕および液化された穀粒は、また、マッシュとして知られている。
【0095】
糖化
酵母により代謝可能な低分子量糖DP1-3を製造するために、液化からのマルトデキストリンをさらに加水分解しなくてはならない。この加水分解は典型的には酵素的にグルコアミラーゼにより実施し、選択的にα-グルコシダーゼまたは酸性α-アミラーゼを使用できる。完全な糖化工程は72時間まで持続することがあるが、前糖化を典型的には40〜90分間実施し、次いで発酵間に糖化を完結すること (SSF) が普通である。糖化は典型的には30〜65℃、典型的には約60℃の温度およびpH 4.5において実施する。
【0096】
発酵
典型的にはサッカロマイセス (Saccharomyces) 種からの酵母をマッシュに添加し、発酵を24〜96時間、例えば、典型的には35〜60時間進行させる。温度は26〜34℃、典型的には約32℃であり、そしてpHはpH 3〜6、好ましくはpH 4〜5である。
最も広く使用されているプロセスは同時の糖化および発酵 (SSF) プロセスであり、ここで保持段階が存在せず、これは酵母および酵素が一緒に添加されることに注意すべきである。SSFを実施するとき、発酵直前に50℃以上の温度における前糖化工程を導入することが普通である。
【0097】
蒸留
発酵後、マッシュを蒸留してエタノールを抽出する。
本発明のプロセスに従い得られたエタノールは、例えば、燃料用エタノール; 飲用エタノール、すなわち、飲用中性スピリット: または工業用エタノールとして使用できる。
【0098】
副生物
穀粒が発酵から残留し、これは典型的には液状形態または乾燥した形態で動物飼料に使用される。
液化、糖化、発酵、蒸留およびエタノールの回収を実施する方法についてのそれ以上の詳細は当業者によく知られている。
本発明のプロセスによれば、糖化および発酵は同時にまたは別々に実施できる。
【0099】
パルプおよび紙の製造
本発明の酸性α-アミラーゼは、また、デンプン強化紙屑および廃棄厚紙からのリグノセルロース材料、例えば、パルプ、紙および厚紙の製造において、ことにpH 7以上において再パルプ化が起こる場合、およびアミラーゼが強化用デンプンの分解に通して廃棄物の崩壊を促進する場合において使用できる。本発明のα-アミラーゼは、デンプン被覆印刷紙から製紙用パルプを製造するプロセスにおいて特に有効である。
【0100】
このプロセスは、下記の工程を含んでなり、WO 95/14807に記載されているように実施できる:
a) 紙を崩壊してパルプを製造し、
b) 工程a) の前、間または後に、デンプン分解酵素で処理し、そして
c) 工程a) およびb) 後に、パルプからインク粒子を分離する。
【0101】
本発明のα-アミラーゼは、また、デンプンの変性において有効であり、ここで酵素的に変性したデンプンをアルカリ性充填剤、例えば、炭酸カルシウム、カオリンおよび粘土と一緒に使用する。本発明のアルカリ性α-アミラーゼを使用すると、充填剤の存在下にデンプンの変性が可能となり、こうして組込まれたプロセスをより簡単にすることができる。
【0102】
繊維材料、布帛および被服の糊抜き
本発明のα-アミラーゼは、また、繊維材料、布帛および被服の糊抜きにおいて非常に有効である。紡織加工産業において、デンプン含有糊剤は製織間によこ糸上の保護被膜として働き、α-アミラーゼはこのデンプン含有糊剤の除去を促進する補助剤として糊抜きプロセスにおいて伝統的に使用されている。製織後の糊剤の完全な除去は、布帛を精練し、漂白し、そして染色する、引き続くプロセスにおいて最適な結果を保証するために重要である。酵素的デンプン破壊は、繊維材料に有害な作用を与えないので、好ましい。
【0103】
加工費用を減少し、かつ微粉砕処理量を増加するために、糊抜きプロセスは時には精練および漂白工程と組合わされる。このような場合において、デンプンを破壊するために、典型的には、非酵素的補助剤、例えば、アルカリおよび酸化剤が使用される。なぜなら、伝統的α-アミラーゼはpHレベルおよび漂白剤と非常には適合性でないからである。デンプン糊剤の非酵素的破壊は、使用する化学物質がむしろ攻撃的であるので、多少の繊維の損傷に事実導く。したがって、本発明のα-アミラーゼは、アルカリ性溶液中で改良された性能を有するので、本発明のα-アミラーゼを使用することが望ましいであろう。セルロース含有布帛または繊維材料を糊抜きするとき、α-アミラーゼは単独でまたはセルラーゼと組合わせて使用できる。
【0104】
糊抜きおよび漂白プロセスはこの分野においてよく知られている。例えば、このようなプロセスは下記の文献に記載されている: WO 95/21247、米国特許第4,643,736号およびEP 119,920、引用することによって本明細書の一部とされる。
商業的に入手可能な糊抜き用製品は、例えば、AQUAZYME(商標)およびAQUAZYME(商標)ULTRA (入手先: Novozymes A/S) である。
【0105】
ビール製造
本発明のα-アミラーゼは、また、ビール製造プロセスにおいて非常に有効であり、α-アミラーゼは典型的にはマッシュ製造間に添加されるであろう。
【0106】
洗剤組成物
本発明のα-アミラーゼは洗剤組成物に添加し、こうして洗剤組成物の1成分となる。
本発明の洗剤組成物は、例えば、手によるまたは機械的洗濯洗剤組成物、例えば、汚れた布帛の前処理に適当な洗濯添加組成物およびリンス添加布帛柔軟剤組成物として配合することができ、または一般に家庭の硬質表面のクリーニング操作において使用する洗剤組成物として配合することができ、または手によるまたは機械的皿洗浄操作のために配合することができる。
【0107】
特定の面において、本発明は、本発明の酵素を含んでなる洗浄添加剤を提供する。洗浄添加剤ならびに洗剤組成物は下記の1種または2種以上の他の酵素を含んでなる: 例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、他のデンプン加水分解酵素、例えば、他のα-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、マルトジェニックアミラーゼ、CGTアーゼおよび/またはセルラーゼ、マンナナーゼ (例えば、MANNAWAYTM、Novozymes、デンマーク) 、ペクチナーゼ、ペクチンリアーゼ、クチナーゼおよび/またはラッカーゼ。
【0108】
一般に、選択した1種または2種以上の酵素の性質は、選択した洗剤と適合性 (すなわち、pH-最適、他の酵素的または非酵素的成分、およびその他) であるべきであり、そして1種または2種以上の酵素は有効量で存在すべきである。
【0109】
プロテアーゼ: 適当なプロテアーゼは、動物、植物または微生物由来のプロテアーゼを包含する。微生物由来は好ましい。化学的または遺伝的に修飾された突然変異体が包含される。プロテアーゼはセリンプロテアーゼまたはメタロプロテアーゼ、好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼまたはトリプシン様プロテアーゼであることができる。アルカリ性プロテアーゼの例は、スブチリシン、特にバシラス (Bacillus) に由来するもの、例えば、スブチリシンNovo、スブチリシンCarlsberg、スブチリシン309、スブチリシン147およびスブチリシン168 (WO 89/06279に記載されている) である。トリプシン様プロテアーゼの例はトリプシン (例えば、ブタまたはウシ由来) およびWO 89/06270およびWO 94/25583に記載されているフザリウム (Fusarium) プロテアーゼである。
【0110】
有効なプロテアーゼの例はWO 92/19729、WO 98/20115、WO 98/20116およびWO 98/34946に記載されている変異型、特に下記の位置の1または2以上において置換を有する変異型である: 27、36、56、76、87、97、101、104、120、123、167、170、194、206、218、222、224、235および274。
【0111】
好ましい商業的に入手可能なプロテアーゼ酵素は下記を包含する: ALCALASE(商標)、SAVINASE(商標)、PRIMASE(商標)、DURALASE(商標)、ESPERASE(商標)およびKANNASE(商標) (Novozymes A/S) 、MAXATASE(商標)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、PROPERASE(商標)、PURAFECT(商標)、PURAFECT OXP(商標)、FN2(商標)、FN3(商標)およびFN4(商標) (Genencor International) 。
【0112】
リパーゼ: 適当なリパーゼは細菌または真菌由来である。化学的に修飾されたまたはタンパク質操作された突然変異体が包含される。有効なリパーゼの例は下記からのリパーゼを包含する: フミコラ (Humicola) (同義語Thermomyces) 、例えば、EP 258 068およびEP 305 216に記載されているフミコラ・ラヌギノサ (H. lanuginosa) (T. lanuginosa) またはWO 96/13580に記載されているフミコラ・インソレンス (H. insolens) 、シュードモナス (Pseudomonas) リパーゼ、例えば、シュードモナス・アルカリゲネス (P. alcaligenes) またはシュードモナス・シュードアルカリゲネス (P. pseudoalcaligenes) (EP 218 272) 、シュードモナス・セパシア (P. cepacia) (EP 331 376) 、シュードモナス・スツゼリ (P. stutzeri) (GB 1,372,034) 、シュードモナス・フルオレセンス (P. fluorescens) 、シュードモナス (Pseudomonas) 種の菌株SD 705 (WO 95/06720およびWO 96/207002) 、シュードモナス・ウィスコンシネンシス (P. wisconsinensis) (WO 96/12012) 、バシラス (Bacillus) リパーゼ、例えば、バシラス・サチリス (B. subtilis) (Dartois 他 (1993) 、Biochimica et Biophysica Acta 1131、253-360) 、バシラス・ステアロサーモフィラス (B. stearothermophilus) (JP 64/744992) またはバシラス・ピュミルス (B. pumilus) (WO 92/16422) 。
【0113】
他の例はリパーゼ変異型、例えば、下記の文献に記載されている変異型である: WO 92/05249、WO 94/01541、EP 407 225、EP 260 105、WO 95/35381、WO 96/00292、WO 95/30744、WO 94/25578、WO 95/14783、WO 95/22615、WO 97/04079およびWO 97/07202。
好ましい商業的に入手可能なリパーゼ酵素は、LIPOLASETMおよびLIPOLASE ULTRATM (Novozymes A/S) である。
【0114】
アミラーゼ: 適当なアミラーゼ (α-および/またはβ-) は細菌または真菌由来のものを包含する。化学的に修飾されたまたはタンパク質操作された突然変異体が包含される。アミラーゼは、例えば、バシラス (Bacillus) 、例えば、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) の特別の菌株から得られるα-アミラーゼを包含する (GB 1,296,839にいっそう詳細に記載されている) 。有効なアミラーゼの例は次の通りである: WO 94/02597、WO 94/18314、WO 96/23873、WO 97/43424に記載されている変異型、特に下記の位置の1または2以上に置換をもつ変異型: 15、23、105、106、124、128、133、154、156、181、188、190、197、202、208、209、243、264、304、305、391、408および444。
【0115】
商業的に入手可能なα-アミラーゼは下記のものを包含する: DURAMYLTM、LIQUEZYMETM、TERMAMYLTM、NATALASETM、SUPRAMYLTM、STAINZYMETM、FUNGAMYLTMおよびBANTM (Novozymes A/S) 、RAPIDASETM、PURASTARTMおよびPURASTAR OXAMTM (Genencor International Inc.) 。
【0116】
セルラーゼ: 適当なセルラーゼは細菌または真菌由来のものを包含する。化学的に修飾されたまたはタンパク質操作された突然変異体が包含される。適当なセルラーゼは下記からのセルラーゼを包含する:バシラス (Bacillus) 属、シュードモナス (Pseudomonas) 属、フミコラ (Humicola) 属、フザリウム (Fusarium) 属、チエラビア (Thielavia) 属、アクレモニウム (Acremonium) 属、例えば、米国特許第4,435,307号、米国特許第5,648,263号、米国特許第5,691,178号、米国特許第5,776,757号およびWO 89/09259に開示されているフミコラ・インソレンス (Humicola insolens) 、ミセリオフトラ・サーモフィラ (Myceliophthora thermophila) およびフザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum) から産生された真菌セルラーゼ。
【0117】
特に適当なセルラーゼは色ケアー利益を有するアルカリ性または中性のセルラーゼである。このようなセルラーゼの例は、EP 0 495 257、EP 0 531 372、WO 96/11262、WO 96/29397、WO 98/08940に記載されているセルラーゼである。他の例はセルラーゼ変異型、例えば、WO 94/07998、EP 0 531 315、米国特許第5,457,046号、米国特許第5,686,593号、米国特許第5,763,254号、WO 95/24471、WO 98/12307、WO 99/01544およびPCT/DK 98/00299に記載されている変異型である。
【0118】
商業的に入手可能なセルラーゼは下記のものを包含する:CELLUZYME(商標)およびCAREZYME(商標) (Novozymes A/S) 、CLAZINASE(商標)およびPURADAX HA(商標) (Genencor International Inc.) およびKAC-500(B) (商標) (Kao Corporation) 。
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ: 適当なペルオキシダーゼ/オキシダーゼは細菌または真菌由来のものを包含する。化学的に修飾されたまたはタンパク質操作された突然変異体が包含される。有効なペルオキシダーゼの例は、コプリヌス (Coprinus) 、例えば、コプリヌス・シネレウス (C. cinereus) からのペルオキシダーゼおよびそれらの変異型、例えば、WO 93/24618、WO 95/10602およびWO 98/15257に記載されているものを包含する。
商業的に入手可能なペルオキシダーゼはGUARDZYME(商標) (Novozymes A/S) を包含する。
【0119】
1種または2種以上の洗剤酵素は、1種または2種以上の酵素を含有する別々の添加剤を添加するか、あるいはこれらの酵素のすべてを含んでなる組合わせた添加剤を添加することによって、洗剤組成物の中に含めることができる。本発明の洗剤添加剤、すなわち、別々の添加剤または組合わせた添加剤は、例えば、粒体、液体、スラリーおよびその他として配合することができる。好ましい洗剤添加剤配合物は、粒体、特に非ダスチング粒体、特に安定化液体またはスラリーである。
【0120】
非ダスチング粒体は、例えば、米国特許第4,106,991および米国特許第4,661,452に記載されているようにして製造することができ、そして必要に応じてこの分野において知られている方法により被覆することができる。蝋状被覆物質の例は次の通りである: 平均分子量1000〜20000のポリ(エチレンオキシド) 生成物 (ポリエチレングリコール、PEG); 16〜50エチレンオキシド単位を有するエトキシル化ノニルフェノール; 12〜20個の炭素原子を含有しかつ18〜80エチレンオキシド単位が存在するエトキシル化脂肪族アルコール; 脂肪族アルコール; 脂肪酸; および脂肪酸のモノ-およびジ-およびトリグリセリド。流動床技術による適用に適当な皮膜形成被覆物質の例はGB 1483591に記載されている。
【0121】
液状酵素調製物は、例えば、確立された方法に従い、ポリオール、例えば、ポリエチレングリコール、糖または糖アルコール、乳酸またはホウ酸の添加により安定化することができる。保護された酵素は、EP 238,216に開示されている方法に従い製造することができる。
【0122】
本発明の洗剤組成物は、任意の便利な形態、例えば、棒、タブレット、粉末、粒体、ペーストまたは液体であることができる。液状洗剤は、典型的には70%までの水および0〜30%の有機溶媒を含有する水性であるか、あるいは非水性であることができる。
洗剤組成物は、非イオン性であることができ、半極性および/またはアニオン性および/または双生イオンを包含する、1種または2種以上の界面活性剤を含んでなる。典型的には、界面活性剤は0.1〜60重量%のレベルで存在する。
【0123】
その中に含めるとき、洗剤は通常約1%〜約40%のアニオン界面活性剤、例えば、線状アルキルベンゼンスルホネート、α-オレフィンスルホネート、アルキルサルフェート (脂肪族アルコールサルフェート) 、アルコールエトキシサルフェート、第二級アルカンスルホネート、α-スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル-またはアルケニルコハク酸または石鹸を含有するであろう。
【0124】
その中に含めるとき、洗剤は通常約0.2%〜約40%の非イオン界面活性剤、例えば、アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドまたはグルコサミンのN-アシルN-アルキル誘導体 (「グルコサミド」)を含有するであろう。
【0125】
洗剤は0〜65%の洗剤ビルダーまたは錯化剤、例えば、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アルキル-またはアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩または層状化ケイ酸塩 (例えば、SKS-6、Hoechst) を含有することができる。
【0126】
洗剤は1種または2種以上のポリマーを含んでなることができる。それらの例は次の通りである: カルボキシメチルセルロース、ポリ (ビニルピロリドン) 、ポリ (エチレングリコール) 、ポリ (ビニルアルコール) 、ポリ (ビニルピリジン-N-オキシド) 、ポリ (ビニルイミダゾール) 、ポリカルボキシレート、例えば、ポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマーおよびラウリルメトアクリレート/アクリル酸コポリマー。
【0127】
洗剤は漂白系を含有することができる。漂白系は過酸化水素源、例えば、過ホウ素酸塩または過炭酸塩を含んでなり、これらは過酸生成漂白アクチベーター、例えば、テトラアセチルエチレンジアミンまたはノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩と組合わせることができる。選択的に、漂白系は、例えば、アミド、イミドまたはスルホン型のペルオキシ酸を含んでなることができる。
【0128】
本発明の洗剤組成物の1種または2種以上の酵素は、慣用の安定剤、例えば、ポリオール、例えば、プロピレングリコールまたはグリセロール、糖または糖アルコール、乳酸、ホウ酸またはホウ酸誘導体、例えば、芳香族ホウ酸エステルまたはフェニルホウ酸誘導体、例えば、4-ホルミルフェニルホウ酸を使用して安定化することができ、そして組成物はWO 92/19709およびWO 92/19708に記載されているようにして配合することができる。
【0129】
また、洗剤は他の慣用の洗剤成分、例えば、布帛コンディショナー、例えば、粘土、発泡ブースター、泡抑制剤、腐蝕防止剤、汚れ懸濁剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、蛍光増白剤、ハイドロトープ、曇り抑制剤または香料を含有することができる。
現在、洗剤組成物において、酵素、特に本発明の酵素は0.001〜100 mgの酵素タンパク質/リットルの洗浄液、好ましくは0.005〜5 mgの酵素タンパク質/リットルの洗浄液、より好ましくは0.01〜1 mgの酵素タンパク質/リットルの洗浄液、特に0.1〜1 mgの酵素タンパク質/リットルの洗浄液に相当する量で添加することができることが考えられる。
【0130】
さらに、本発明の酵素は、WO 97/07202 (これは引用することによって本明細書の一部とされる) に開示されている洗剤配合物中に添加できる。
皿洗浄洗剤組成物
本発明の酵素は、また、下記の成分を含有する皿洗浄洗剤組成物において使用することができる:
【0131】
【表1】

【0132】
【表2】

【0133】
【表3】

【0134】
【表4】

【0135】
【表5】

【0136】
【表6】

【0137】
【表7】

【0138】
【表8】

【0139】
【表9】

【0140】
【表10】

【0141】
【表11】

【0142】
12) 過臭素酸塩が過炭酸塩に置き換わった1)、2)、3)、4)、6) および10) に記載する自動皿洗浄組成物。
13) マンガン触媒をさらに含有する1) 〜6) に記載する自動皿洗浄組成物。マンガン触媒は、例えば、下記の文献に記載されている化合物の1つであることができる: “Efficient manganese catalysts for low-temperature bleaching”、Nature、369、1994、pp. 637-639。
【0143】
材料および方法
酵素:
LE174: ハイブリッドα-アミラーゼ変異型
LE174は、N-末端の35アミノ酸残基 (成熟タンパク質の) がBAN (成熟タンパク質) 、すなわち、配列番号6に示すバシラス・アミロリクファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens) α-アミラーゼの33アミノ酸残基で置換されている以外、ターマミル配列、すなわち、配列番号4に示すバシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) α-アミラーゼと同一であるハイブリッドターマミル様α-アミラーゼであり、下記の突然変異をさらに有する: H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264S (配列番号4) 。
【0144】
LE429: ハイブリッドα-アミラーゼ変異型
LE429は、N-末端の35アミノ酸残基 (成熟タンパク質の) がBAN (成熟タンパク質) 、すなわち、配列番号6に示すバシラス・アミロリクファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens) α-アミラーゼの33アミノ酸残基で置換されている以外、ターマミル配列、すなわち、配列番号4に示すバシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) α-アミラーゼと同一であるハイブリッドターマミル様α-アミラーゼであり、下記の突然変異をさらに有する: H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264S + I201F (配列番号4) 。LE429は配列番号2として示され、そしてSOE-PCRにより構築された (Higuchi 他、1988、Nucleic Acids Research 16:7351) 。
【0145】
グルコアミラーゼはアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) に由来し、WO 00/04136中に配列番号2として示されているアミノ酸配列または開示されている変異型の1つを有する。
酸性真菌α-アミラーゼはアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) に由来する。
【0146】
基質:
コムギデンプン (S-5127) はシグマ-アルドリッヒ (Sigma-Aldrich) から入手した。
α-アミラーゼ変異型の発酵および精製
-80℃のストックからの10 μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天平板上に、関係する発現プラスミドを収容するバシラス・サチリス (B. subtilis) 菌株をストリークし、37℃において一夜増殖させた。500 mlの震蘯フラスコ中の10 μg/mlのカナマイシンを補充した100 mlのBPX培地に、コロニーを移した。
【0147】
BPX培地の組成:
ジャガイモデンプン 100 g/l
オオムギ粉 50 g/l
BAN 5000 SKB 0.1 g/l
ナトリウムカゼイネート 10 g/l
大豆粉 20 g/l
Na2HPO4・12H2O 9 g/l
PluronicTM 0.1 g/l
【0148】
培養物を37℃、270 rpmにおいて5日間震蘯する。
4500 rpmにおいて20〜25分間遠心することによって、細胞および細胞破片を発酵ブロスから除去する。次いで、上清を濾過して、完全に透明な溶液を得た。濾液を濃縮し、UF-フィルター (10000のカットオフ膜) 上で洗浄し、緩衝液を20 mMの酢酸塩 pH 5.5に変える。UF濾液をS-セファローズF. F. 上に適用し、同一緩衝液中の0.2 MのNaClで段階的に溶離する。溶離液を10 mMのTris pH 9.0に対して透析し、Q-セファローズF. F. 上に適用し、0〜0.3 MのHClの線形勾配で6カラム体積にわたって溶離する。活性成分を含有する分画 (ファデバス (Phadebas) アッセイにより測定する) をプールし、pH 7.5に調節し、0.5 w/v%の活性炭で5分以内に処理することによって、残留する色を除去する。
【0149】
活性の決定 (KNU)
基質としてジャガイモデンプンを使用して、デンプン分解活性を決定することができる。この方法は変性されたジャガイモデンプンの酵素による破壊に基づき、反応後、デンプン/酵素溶液の試料をヨウ素溶液と混合する。最初に、黒みがかった青色が形成するが、デンプンの破壊間に青色は弱くなり、徐々に赤みがかった褐色になり、これを着色したガラス標準と比較する。
【0150】
1キロノボのα-アミラーゼ単位 (KNU) は、標準条件 (すなわち、37℃±0.05℃; 0.0003 MのCa2+; およびpH 5.6) 下に5.26 gのデンプン乾燥物質 (Merck Amylum可溶性) をデキストリン化する酵素の量として定義される。
この分析法をいっそう詳細に記載するフォルダーAF 9/6はノボザイムス (Novozymes A/S、デンマーク) から要求に応じて入手可能であり、このフォルダーは引用することによって本明細書の一部とされる。
【0151】
グルコアミラーゼ活性 (AGU)
ノボグルコアミラーゼ単位 (AGU) は、37℃およびpH 4.3において1 μmのマルトース/分を加水分解する酵素の量として定義される。
【0152】
この活性は、変更された方法 (AEL-SM-0131、ノボザイムス (Novozymes) から要求に応じて入手可能である) によりキット (Glucose GOD-Peridキット、Boehringer Mannheim、124036、標準: AMG標準、バッチ7-1195、195 AGU/ml) を使用して、AGU/mlとして決定される。375 μlの基質 (50 mMの酢酸ナトリウム、pH 4.3中の1%のマルトース) を37℃において5分間インキュベートする。
【0153】
25 μlの酢酸ナトリウム中に希釈した酵素を添加する。10分後100 μlの0.25 MのNaOHを添加することによって、反応を停止させる。20 μlを96ウェルのマイクロタイタープレートに移し、200 μlのGOD-Perid溶液 (124036、Boehringer Mannheim) を添加する。室温において30分後、吸収を650 nmにおいて測定し、AMG標準から活性 (AGU/ml) を計算する。この分析法をいっそう詳細に記載するフォルダー (AEL-SM-0131) はノボザイムス (Novozymes A/S、デンマーク) から要求に応じて入手可能であり、このフォルダーは引用することによって本明細書の一部とされる。
【0154】
酸性α-アミラーゼ活性 (AFAU)
酸性α-アミラーゼ活性をAFAU (酸性真菌α-アミラーゼ単位) で測定することができ、これは酵素標準に関して決定される。
使用する標準はAMG 300 L (Novozymes A/S、グルコアミラーゼ野生型アスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) G1、また、下記の文献に記載されている: Boel 他 (1984) 、EMBO J. 3 (5) 、p. 1097-1102およびWO 92/00381) である。このAMGにおける中性α-アミラーゼは、3数週貯蔵した後、ほぼ1 FAU/mlから0.05 FAU/mlに低下する。
このAMG標準における酸性α-アミラーゼ活性は下記の説明に従い決定される。この方法において、1 AFAUは標準条件下に5.26 mg/時間のデンプン乾燥固体を分解する酵素の量として定義される。
【0155】
ヨウ素はデンプンと青色複合体を形成するが、分解生成物とそれを形成しない。したがって、色の強度はデンプン濃度に直接比例する。アミラーゼ活性は、特定した分析条件下にデンプン濃度が減少するとき、逆比色法により決定される。
α-アミラーゼ
デンプン + ヨウ素 → デキストリン + オリゴ糖
40℃、pH 2.5
青色/紫色 t = 23秒 脱色
【0156】
標準条件/反応条件: (/分)
基質: デンプン、ほぼ0.17 g/l
緩衝液: クエン酸塩、ほぼ0.03 M
ヨウ素 (I2): 0.03 g/l
CaCl2: 1.85 mM
pH: 2.50〜0.05
インキュベーション温度: 40℃
反応時間: 23秒
波長: λ= 590 nm
酵素濃度: 0.025 AFAU/ml
酵素重量範囲: 0.01〜0.04 AFAU/ml
【0157】
それ以上の詳細はEB-SM-0259.02/01に記載されており、これ はノボザイムス (Novozymes A/S) から要求に応じて入手可能であり、これは引用することによって本明細書の一部とされる。
【0158】
糖分布および可溶化乾燥固形分の決定
デンプン加水分解物の糖組成はHPLCにより決定し、引き続いてグルコース収率をDX.°BRIXとして計算し、デンプン加水分解物の可溶化 (可溶性) 乾燥固形分を屈折率の測定により決定した。
【0159】
α-アミラーゼ活性のアッセイ
基質としてファデバス (Phadebas(商標)) タブレットを使用する方法により、α-アミラーゼ活性を決定する。ファデバスタブレット (Phadebas(商標)Amylase Test、供給会社: Pharmacia Diagnostic) は、ウシ血清アルブミンと混合した架橋された不溶性青色デンプンポリマーおよび緩衝物質を含有し、タブレット化されている。
【0160】
すべての単一の測定について、5 mlの50 mMのブリットン-ロビンソン (Britton-Robinson) 緩衝液 (50 mMの酢酸、50 mMのリン酸、50 mMのホウ酸、0.1 mMのCaCl2、NaOHで問題のpH値に調節する) を含有する管中に、1つのタブレットを懸濁させる。この試験は問題の温度の水浴中で実施する。試験すべきα-アミラーゼをx mlの50 mMのブリットン-ロビンソン緩衝液中に希釈し、1 mlのこのα-アミラーゼ溶液を5 mlの50 mMのブリットン-ロビンソン緩衝液に添加する。デンプンはα-アミラーゼにより加水分解されて、可溶性青色フラグメントが生成する。生ずる青色溶液の吸収 (620 nmにおいて分光光度測定的に測定する) は、α-アミラーゼ活性の関数である。
【0161】
10または15分間のインキュベーション (試験時間) 後に測定した620 nmの吸収は、620 nmにおいて0.2〜2.0単位であることが重要である。この吸収範囲において、活性と吸収との間に線形性が存在する (ランバート-ベールの法則) 。したがって、酵素の希釈はこの基準に適合するように調節しなくてはならない。特定した組の条件 (温度、pH、反応時間、緩衝条件) 下に、1 mgの所定のα-アミラーゼはある量の基質を加水分解し、青色が生成するであろう。色強度を620 nmにおいて測定する。測定された吸収は、所定の組の条件下に問題のα-アミラーゼの比活性 (純粋なα-アミラーゼタンパク質の活性/mg) に直接比例する。
【0162】
比活性の決定
比活性は、ファデバス (Phadebas)アッセイ (Pharmacia) により活性/mg酵素として決定する。
【0163】
pH活性分布 (pH安定性) の測定
変異型を20 mMのTris pH 7.5、0.1 mMのCaCl2中で貯蔵し、30℃において50 mMのブリットン-ロビンソン (Britton-Robinson) 、0.1 mMのCaCl2中で試験する。pH活性をpH 4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、7.0、8.0、9.0、9.5、10および10.5において前述のファデバス (Phadebas)アッセイにより測定する。
【実施例】
【0164】
実施例1ターマミル変異型LE429の構築
ターマミル (バシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼ、配列番号4) をバシラス・サチリス (B. subtilis) 中でpDN1528と表示するプラスミドから発現させる。このプラスミドはターマミルをコードする遺伝子amyLを含んでなり、その発現はそれ自身のプロモーターにより指令される。さらに、プラスミドはプラスミドpUB110からの複製起点、ori、およびクロラムフェニコールに向かう耐性を与えるプラスミドpC194からのcat遺伝子を含有する。pDN1528はWO 96/23874の第9図に示されている。配列番号3のコーディング領域の主要部分を含有する特異的突然変異誘発ベクターを調製した。
【0165】
このベクター (pJeEN1と表示する) の重要な特徴は、pUCプラスミドに由来する複製起点、クロラムフェニコールに向かう耐性を与えるcat遺伝子、およびbla遺伝子のフレームシフト含有バージョンを含み、その野生型は通常アンピシリンに向かう耐性を与える (ampR表現型) 。この突然変異したバージョンはampS表現型を生ずる。プラスミドpJeEN1はWO 96/23874の第10図に示されており、そして大腸菌 (E. coli) 複製起点、ori、bla、cat、ターマミルアミラーゼ遺伝子の5’-トランケーテッドバージョン、および選択した制限部位はプラスミド上に示されている。
【0166】
突然変異はDengおよびNickoloff、1992、Anal. Biochem. 200、pp. 81-88に記載されている方法によりamyL中に導入し、ただし前述のDengおよびNickoloffに概説されている制限酵素消化による選択を使用する代わりに、修復されたbla遺伝子をもつプラスミドを収容する形質転換された大腸菌 (E. coli) 細胞のampR表現型に基づいて、「選択プライマー」 (プライマー#6616; 下記参照) が組込まれているプラスミドを選択した。突然変異誘発に使用した化学物質および酵素は、突然変異誘発キット (Chameleon(商標)突然変異誘発キット、Stratagene、カタログNo. 200509) から得た。
【0167】
変異型プラスミド中のDNA配列を確認した後、必要な変更を含有するトランケーテッド遺伝子をpDN1528中にPstI-EcoRIフラグメントとしてサブクローニングし、そして変異型酵素を発現させるために、プロテアーゼ欠失およびアミラーゼ欠失バシラス・サチリス (B. subtilis) SHA273菌株 (WO 92/11357およびWO 95/10603に記載されている) 中に形質転換した。
【0168】
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型V54Wを構築した (記載5’→3’、左→右):
PG GTC GTA GGC ACC GTA GCC CCA ATC CGC TTG (配列番号9)
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型A52W + V54Wを構築した (記載5’→3’、左→右):
PG GTC GTA GGC ACC GTA GCC CCA ATC CCA TTG GCT CG (配列番号10)
プライマー#6616 (記載5’→3’、左→右; Pは5’ホスフェートを意味する):
P CTG TGA CTG GTG AGT ACT CAA CCA AGT C (配列番号11)
【0169】
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型V54Eを構築した (記載5’→3’、左→右):
PGG TCG TAG GCA CCG TAG CCC TCA TCC GCT TG (配列番号12)
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型V54Mを構築した (記載5’→3’、左→右):
PGG TCG TAG GCA CCG TAG CCC ATA TCC GCT TG (配列番号13)
【0170】
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型V54Iを構築した (記載5’→3’、左→右):
PGG TCG TAG GCA CCG TAG CCA ATA TCC GCT TG (配列番号14)
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型Y290EおよびY290Kを構築した (記載5’→3’、左→右):
PGC AGC ATG GAA CTG CTY ATG AAG AGG CAC GTC AAA (配列番号15)
YはCおよびTの等しい混合物を表す。位置290におけるグルタメートまたはリシンをコードするコドンの存在はDNA配列決定により確認された。
【0171】
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型N190Fを構築した (記載5’→3’、左→右):
PCA TAG TTG CCG AAT TCA TTG GAA ACT TCC C (配列番号16)
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型N188P + N190Fを構築した (記載5’→3’、左→右):
PCA TAG TTG CCG AAT TCA GGG GAA ACT TCC CAA TC (配列番号17)
【0172】
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型H140K + H142Dを構築した (記載5’→3’、左→右):
PCC GCG CCC CGG GAA ATC AAA TTT TGT CCA GGC TTT AAT TAG (配列番号18)
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型H156Yを構築した (記載5’→3’、左→右):
PCA AAA TGG TAC CAA TAC CAC TTA AAA TCG CTG (配列番号19)
【0173】
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型A181Tを構築した (記載5’→3’、左→右):
PCT TCC CAA TCC CAA GTC TTC CCT TGA AAC (配列番号20)
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型A209Vを構築した (記載5’→3’、左→右):
PCTT AAT TTC TGC TAC GAC GTC AGG ATG GTC ATA ATC (配列番号21)
【0174】
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型Q264Sを構築した (記載5’→3’、左→右):
PCG CCC AAG TCA TTC GAC CAG TAC TCA GCT ACC GTA AAC (配列番号22)
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型S187Dを構築した (記載5’→3’、左→右):
PGC CGT TTT CAT TGT CGA CTT CCC AAT CCC (配列番号23)
【0175】
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型DELTA (K370-G371-D372) (すなわち、アミノ酸番号370、371および372) を構築した (記載5’→3’、左→右):
PGG AAT TTC GCG CTG ACT AGT CCC GTA CAT ATC CCC (配列番号24)
下記の突然変異誘発プライマーを使用して、ターマミル変異型DELTA (D372-S373-Q374) を構築した (記載5’→3’、左→右):
PGG CAG GAA TTT CGC GAC CTT TCG TCC CGT ACA TAT C (配列番号25)
【0176】
A181T 含有pDN1528様プラスミド (すなわち、A181T変更を生ずる突然変異をamyL内に含有するpDN1528) およびA209V 含有pDN1528様プラスミド (すなわち、A209V変更を生ずる突然変異をamyL内に含有するpDN1528) を制限酵素ClaIで消化することによって、ターマミル変異型A181TおよびA209Vを組合わせてA181T + A209Vとし、ここで制限酵素ClaIはpDN1528様プラスミドを2回切断して1116 bpのフラグメントおよび3850 bpのベクター部分 (すなわち、プラスミドの複製起点を含有する) を生成した。
【0177】
アガロースゲル上に分離した後、A209V突然変異を含有するフラグメントおよびA181Tを含有するベクター部分をゲル抽出キット (QIAquickゲル抽出キット、QIAGEN) により精製した。フラグメントおよびベクターを結合し、前述のプロテアーゼ欠失およびアミラーゼ欠失バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) 菌株中に形質転換した。amy+からのプラスミド (デンプン含有寒天平板上の透明化ゾーン) およびクロラムフェニコール耐性形質転換体をプラスミド上の両方の突然変異の存在について分析した。
【0178】
前述と同様な方法において、制限エンドヌクレアーゼAcc65IおよびEcoRIを使用してH156YおよびA209Vを組合わせて、H156Y + A209Vを構築した。
制限エンドヌクレアーゼAcc65IおよびHindIIIを使用してH156Y + A209VおよびA181T + A209Vを組合わせて、H156Y + A181T + A209Vを構築した。
【0179】
ターマミル変異型H156Y + A181T + A209Vの成熟部分の35 N-末端残基を、次のようなSOE-PCRアプローチ (Higuchi 他、1988、Nucleic Acids Research 16: 7351) により、バシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) α-アミラーゼ (配列番号4) (これは本発明の関係においてBAN) の35 N-末端残基と置換した:
プライマー19364 (配列5’-3’): CCT CAT TCT GCA GCA GCA GCC GTA AAT GGC ACG CTG (配列番号26)
プライマー19362: CCA GAC GGC AGT AAT ACC GAT ATC CGA TAA ATG TTC CG (配列番号27)
プライマー19363: CGG ATA TCG GTA TTA CTG CCG TCT GGA TTC (配列番号28)
プライマー1C: CTC GTC CCA ATG GGT TCC GTC (配列番号29)
【0180】
Pwo熱安定性ポリメラーゼ (Boehringer Mannheim) を製造業者の使用説明書に従い使用しかつ下記の温度サイクルを使用して、標準的PCR、ポリメラーゼ連鎖反応を実施した: 94℃において5分間; 25サイクルの94℃において30秒間、50℃において45秒間、72℃において1分間; 72℃において10分間。
バシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) α-アミラーゼをコードする遺伝子を含有するDNAフラグメントに対してプライマー19364および19362を使用する第1 PCR (PCR1と表示する) において、ほぼ130 bpのフラグメントを増幅した。
【0181】
テンプレートpDN1528に対してプライマー19363を使用する他のPCR (PCR2と表示する) において、ほぼ400 bpのフラグメントを増幅した。
PCR1およびPCR2をアガロースゲルから精製し、プライマー19364および1Cを使用するPCR3においてテンプレートとして使用し、これによりほぼ520 bpのフラグメントが得られた。こうして、このフラグメントは、第35のアミノ酸からのターマミルをコードするDNAの部分に融合したBANからのN-末端をコードするDNAの1つの部分を含有する。
【0182】
上に記載したようにバシラス・サチリス (Bacillus subtilis) 菌株の制限エンドヌクレアーゼPstIおよびSacIIを使用する消化、結合および形質転換により、520 bpのフラグメントをpDN1528様プラスミド (ターマミル変異型H156Y + A181T + A209Vをコードする遺伝子を含有する) 中にサブクローニングした。抽出したamy+からのプラスミドおよびクロラムフェニコール耐性形質転換体におけるDNA配列決定により、制限部位PstIとSacIIとの間のDNA配列を確認した。
【0183】
BANおよびH156Y + A181T + A209Vからの正しいN-末端を含有する最終構築物をBAN(1-35) + H156Y + A181T + A209Vと表示した。
ターマミル変異型BAN(1-35) + H156Y + A181T + A209VをコードするDNA配列でpJeEN1中のamyLの配列を置換する以外、前述した突然変異誘発を実施することによって、N190FをBAN(1-35) + H156Y + A181T + A209Vと組合わせてBAN(1-35) + H156Y + A181T + N190F + A209Vを構築した。
【0184】
ターマミル変異型BAN(1-35) + H156Y + A181T + A209VをコードするDNA配列でpJeEN1中のamyLの配列を置換する以外、前述した突然変異誘発を実施することによって、Q264SをBAN(1-35) + H156Y + A181T + A209Vと組合わせてBAN(1-35) + H156Y + A181T + A209V + Q264Sを構築した。
制限エンドヌクレアーゼBamHI (BamHI部位はA209V突然変異に密接して導入された) およびPstIを使用して、BAN(1-35) + H156Y + A181T + A209V + Q264SおよびBAN(1-35) + H156Y + A181T + N190F + A209Vを組合わせて、BAN(1-35) + H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264Sを構築した。
【0185】
上に記載した突然変異誘発を実施することによって、I201FをBAN(1-35) + H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264Sと組合わせてBAN(1-35) + H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264S + I201F (配列番号2) を構築した。突然変異誘発プライマーAM100を使用し、I201F置換を導入し、同時にClaI制限部位を除去し、これにより容易なピンポインティングが促進された。
プライマーAM100:
5’ GATGTATGCCGACTTCGATTATGACC 3’ (配列番号30)
【0186】
実施例2変更されたデンプンアフィニティーを有するターマミル様α-アミラーゼ変異型の構築
LE1153 (LE429 + R437W) の構築:
pDN1528様プラスミド (配列番号4からのアミラーゼをコードする遺伝子中のBAN(1-35) + H156Y + A181T + N190F + I201F + A209V + Q264S突然変異を収容する) からのほぼ450 bpのフラグメントをPCRにより増幅するために、アミラーゼ遺伝子の下流に結合するベクタープライマーCAAX37および突然変異誘発プライマーCAAX447を使用する。
【0187】
450 bpのフラグメントをアガロースゲルから精製し、同一テンプレートについて実施する第2 PCRにおいてプライマー1Bと一緒に、メガ (Mega) -プライマーとして使用する。
生ずるほぼ1800 bpのフラグメントを制限酵素PstIおよびAvrIIで消化し、生ずるほぼ1600 bpのDNAフラグメントを精製し、同一酵素で消化したpDN1528様プラスミドと結合した。コンピテントバシラス・サチリス (Bacillus subtilis) SHA273 (低アミラーゼおよびプロテアーゼ) 細胞を前記結合物で形質転換し、クロラムフェニコール耐性形質転換細胞をDNA配列決定によりチェックして、プラスミド上の正しい突然変異の存在を確認する。
【0188】
プライマーCAAX37:
5’ CTCATGTTTGACAGCTTATCATCGATAAGC 3’ (配列番号31)
プライマー1B:
5’ CCGATTGCTGACGCTGTTATTTGC 3’ (配列番号32)
プライマーCAAX447:
5’ CCCGGTGGGGCAAAGTGGATGTATGTCGGCCGG 3’ (配列番号33)
【0189】
LE1154の構築:
BAN/ターマミルハイブリッド + H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264S + [R437W + E469N] を同様な方法において実施するが、ただしプライマーCAAX447およびCAAX448を使用する。
プライマーCAAX448:
5’ CGGAAGGCTGGGGAAATTTTCACGTAAACGGC 3’ (配列番号34)
【0190】
実施例3変更されたデンプンに対するアフィニティーを有するBAN様α-アミラーゼ変異型の構築: (R176* + G177*)
BAN (バシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) α-アミラーゼ、配列番号6) を、バシラス・サチリス (B. subtilis) において、実施例1に記載するpDN1528と同様にプラスミドから発現させる。このBANプラスミド (pCA330-BANと表示する) は、配列番号4中のアミノ酸1〜483として定義されるバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼの成熟部分をコードする遺伝子と置換して、配列番号6中のアミノ酸1〜483として定義されるBANの成熟部分をコードする遺伝子を含有する。
【0191】
配列番号2に示すバシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) α-アミラーゼの変異型は、R176およびG177の2つのアミノ酸の欠失およびN190F置換 (配列番号6におけるナンバリングを使用する) を含んでなり、野生型バシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) α-アミラーゼに比較して改良された安定性を有する。この変異型を以下においてBAN-var003と呼ぶ。
前記α-アミラーゼ変異型のデンプンのアフィニティーおよび加水分解可能性を改良するために、下記の文献に記載されているようにメガ-プライマー法を使用して位置指定突然変異誘発を実施する: SarkarおよびSommer、1990、Bio Techniques 8: 404-407。
【0192】
BE1001: BAN-var003 + R437Wの構築:
アミラーゼ遺伝子の下流に結合するベクタープライマーCAAX37および突然変異誘発プライマーCABX437を使用して、pCA330-BANプラスミド (配列番号6からのアミラーゼをコードする遺伝子中にBAN-var003突然変異を収容する) からのほぼ450 bpのDNAフラグメントをPCRにより増幅する。
この450 bpのDNAフラグメントをアガロースゲルから精製し、同一テンプレートについて実施する第2 PCRにおいてプライマー1Bと一緒にメガ (Mega) -プライマーとして使用する。
【0193】
生ずるほぼ1800 bpのフラグメントを制限酵素PstIおよびAvrIIで消化し、生ずるほぼ1600 bpのDNAフラグメントを精製し、同一酵素で消化したpCA330様プラスミドと結合させる。コンピテントバシラス・サチリス (Bacillus subtilis) SHA273 (低アミラーゼおよびプロテアーゼ) 細胞を前記結合物で形質転換し、クロラムフェニコール耐性形質転換細胞をDNA配列決定によりチェックして、プラスミド上の正しい突然変異の存在を確認する。
プライマーCABX437:
5’ GGTGGGGCAAAGTGGATGTATGTCGGC 3’ (配列番号35)
【0194】
BE1004の構築:
BAN-var003アミラーゼ + [R437W + E469N] を同様な方法において実施するが、ただしプライマーCABX437およびCABX438を使用する。
プライマーCABX438:
5’ GGAAGGCTGGGGAAACTTTCACGTAAACG 3’ (配列番号36)
【0195】
実施例4ターマミルLC対LE1153およびLE1154
この実施例において、ターマミルLCと比較して本発明による細菌α-アミラーゼ (LE1153およびLE1154) を使用して、粒状コムギデンプンをグルコースに転化することを例示する。
【0196】
247.5 gのコムギデンプンを攪拌しながら502.5 mlの水に添加することによって、33%の乾燥固形分 (DS) の粒状デンプンのスラリーを調製した。HClでpHを4.5に調節した。この粒状デンプンを各フラスコに75 gずつ100 mlのエルレンマイヤーフラスに分配した。フラスコを磁気的に攪拌しながら60℃の水浴中でインキュベートした。0時間において、表12に記載する酵素活性成分をフラスコに投与した。24、48、73および94時間後に、試料を抜出した。
【0197】
【表12】

【0198】
下記の方法を使用して、全乾燥固形分のデンプンを決定した。過剰量のα-アミラーゼ (300 KNU/kg 乾燥固形分) を添加し、そして試料を95℃の油浴中に45分間入れることによって、デンプンを完全に加水分解した。引き続いて、試料を60℃に冷却し、過剰量のグルコアミラーゼ (600 AGU/kg DS) を添加し、次いで60℃において2時間インキュベートした。
【0199】
0.22 μmのフィルターに通して濾過した後、試料の屈折率を測定することによって、デンプン加水分解物中の可溶性乾燥固形分を決定した。糖構造をHPLCにより決定した。グルコースの量をDXとして計算した。結果を表13および表14に示す。
【0200】
【表13】

【0201】
【表14】

【0202】
実施例5BAN対R437W変異型
この実施例において、BAN WTと比較して本発明による細菌α-アミラーゼ BAN R437Wを使用して、粒状コムギデンプンをグルコースに転化することを例示する。
【0203】
247.5 gのコムギデンプンを攪拌しながら502.5 mlの水に添加することによって、33%の乾燥固形分 (DS) の粒状デンプンのスラリーを調製した。HClでpHを4.5に調節した。この粒状デンプンを各フラスコに75 gずつ100 mlのエルレンマイヤーフラスに分配した。フラスコを磁気的に攪拌しながら60℃の水浴中でインキュベートした。0時間において、表15に記載する酵素活性成分をフラスコに投与した。24、48、73および94時間後に、試料を抜出した。
【0204】
【表15】

【0205】
下記の方法を使用して、全乾燥固形分のデンプンを決定した。過剰量のα-アミラーゼ (300 KNU/kg 乾燥固形分) を添加し、そして試料を95℃の油浴中に45分間入れることによって、デンプンを完全に加水分解した。引き続いて、試料を60℃に冷却し、過剰量のグルコアミラーゼ (600 AGU/kg DS) を添加し、次いで60℃において2時間インキュベートした。
【0206】
0.22 μmのフィルターに通して濾過した後、試料の屈折率を測定することによって、デンプン加水分解物中の可溶性乾燥固形分を決定した。糖構造をHPLCにより決定した。グルコースの量をDXとして計算した。結果を表16および表17に示す。
【0207】
【表16】

【0208】
【表17】

【0209】
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Boei 他、Biochemistry 29、pp. 6244-6249、
SarkarおよびSommer、1990、Bio Techniques 8、pp. 404-407。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α-アミラーゼ活性を有し、置換R437Wを含んでなり、ここで当該位置が配列番号4のアミノ酸配列を有する親ターマミル様α-アミラーゼのアミノ酸配列の位置に対応する、親ターマミル様α-アミラーゼの変異型。
【請求項2】
親α-アミラーゼが配列番号4および配列番号6のハイブリッドα-アミラーゼである、請求項1に記載の変異型。
【請求項3】
親ハイブリッドα-アミラーゼが配列番号4に示すバシラス・リヘニフォルミス (B. licheniformis) α-アミラーゼの445 C末端アミノ酸残基および配列番号6に示すバシラス・アミロリクファシエンス (B. amyloliquefaciens) に由来する37 N-末端アミノ酸残基を含んでなるハイブリッドα-アミラーゼである、請求項1〜2のいずれかに記載の変異型。
【請求項4】
親ハイブリッドターマミル様α-アミラーゼが下記の突然変異をさらに有するか、あるいはLE174である請求項1〜3のいずれかに記載の変異型: H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264S (配列番号4におけるナンバリングを使用する) 。
【請求項5】
親ハイブリッドターマミル様α-アミラーゼが下記の突然変異をさらに有するか、あるいはLE429である請求項1〜3のいずれかに記載の変異型: H156Y + A181T + N190F + A209V + Q264S + I201F (配列番号4におけるナンバリングを使用する) 。
【請求項6】
変異型が下記の追加の突然変異の1または2以上を含んでなる、請求項1〜5のいずれかに記載の変異型: R176*、G177*、E469N (配列番号6におけるナンバリングを使用する) 。
【請求項7】
変異型が追加の突然変異を含んでなる、請求項1〜6のいずれかに記載の変異型: E469N (配列番号6におけるナンバリングを使用する) 。
【請求項8】
変異型が追加の突然変異を含んでなる、請求項1〜6のいずれかに記載の変異型: R176* + G177* + E469N (配列番号6におけるナンバリングを使用する) 。
【請求項9】
親α-アミラーゼが配列番号4または配列番号6のα-アミラーゼである、請求項1に記載の変異型。
【請求項10】
変異型が下記の追加の突然変異の1または2以上を含んでなる、請求項9に記載の変異型: R176*、G177*、N190F、E469N (配列番号6におけるナンバリングを使用する) 。
【請求項11】
変異型が下記の追加の突然変異を含んでなる、請求項10に記載の変異型: R176* + G177* + N190F (配列番号6におけるナンバリングを使用する) 。
【請求項12】
変異型が下記の追加の突然変異を含んでなる、請求項11に記載の変異型: E469N (配列番号6におけるナンバリングを使用する) 。
【請求項13】
親ターマミル様α-アミラーゼが配列番号4に対して少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも97%、さらにより好ましくは少なくとも99%の同一性の程度を有するアミノ酸配列を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の変異型。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のα-アミラーゼ変異型をコードするDNA配列を含んでなるDNA構築物。
【請求項15】
請求項14に記載のDNA構築物を担持する組換え発現ベクター。
【請求項16】
請求項14に記載のDNA構築物または請求項15に記載のベクターで形質転換された細胞。
【請求項17】
微生物、特に細菌または真菌、例えば、グラム陰性細菌、例えば、バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) 、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) 、バシラス・レンツス (Bacillus lentus) 、バシラス・ブレビス (Bacillus brevis) 、バシラス・ステアロサーモフィラス (Bacillus stearothermophilus) 、バシラス・アルカロフィルス (Bacillus alkalophillus) 、バシラス・アミロリクファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens) 、バシラス・コアギュランス (Bacillus coagulans) 、バシラス・サーキュラン (Bacillus circulans) 、バシラス・ラウツス (Bacillus lautus) またはバシラス・スリンジェンシス (Bacillus thuringiensis) である、請求項16に記載の細胞。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれかに記載のα-アミラーゼ変異型を含んでなる組成物。
【請求項19】
請求項16〜17のいずれかに記載の細胞を変異型の産生を促進する条件下に培養し、引き続いて変異型を培養物から回収する、請求項1〜13のいずれかに記載の変異型を製造する方法。
【請求項20】
デンプンの液化; 洗剤組成物、例えば、洗濯、皿洗浄および硬質表面のクリーニング組成物; エタノール製造、例えば、燃料用、飲用および工業用エタノールの製造; 繊維材料、布帛または被服の糊抜きのための請求項1〜13のいずれかに記載のα-アミラーゼ変異型または請求項18に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2008−524995(P2008−524995A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547183(P2007−547183)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000817
【国際公開番号】WO2006/066594
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】