説明

α7nAChRのインドール誘導体モジュレータ

本発明は、式(I):


(ここで、R1はイミダゾリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、これらのいずれもがC1-3アルキルおよびC1-3アルコキシから独立して選択される1つの基により任意に置換されていてもよい)
の化合物またはその塩によるα7ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)のモジュレーションに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)のモジュレーション活性を有する新規なインドール誘導体に関する。本発明はまた、α7 nAChR のモジュレーションにより媒介される疾患および状態の治療における前記誘導体の使用に関する。さらに、本発明は、前記誘導体を含む組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経伝達物質アセチルコリン(ACh)は、コリン作動性受容体への結合により、哺乳動物系におけるイオンチャネルの開口を引き起こす。中枢神経系(CNS)は、2つのタイプのACh受容体、ムスカリン受容体およびnAChRを含む。nAChRは、5つのサブユニットを含むリガンド開口型イオンチャネルである(総説に関して、Colquhonら(1997) Advances in Pharmacology 39, 191-220; Williamsら(1994) Drug News & Perspectives 7, 205-223; Dohertyら(1995) Annual reports in Medicinal Chemistry 30, 41-50を参照されたい)。nAChR遺伝子ファミリは、2つのグループ:βサブユニットをコードするものおよびαサブユニットをコードするものに分けることができる(総説に関して、KarlinおよびAkabas (1995) Neuron 15, 1231-1244; Sargent, (1993) Annu. Rev. Neurosci. 16, 403-443を参照されたい)。3つのαサブユニットα7、α8およびα9は、単独で発現されるときに機能的な受容体を形成でき、ホモオリゴマー受容体を形成する。
【0003】
研究により、ニューロンのニコチン性受容体が、神経伝達、認知、感覚ゲーティングおよび不安の調節に重要な役割を果たすことが示されている(Zareiら、Neuroscience 1999, 88, 755-764, Frazier ら、J. Neurosci. 1998, 18, 8228-8235, Radcliffe ら、J. Neurosci. 1998, 18, 7075-7083, Minana ら、Neuropharmacology 1998, 37, 847-857, Albuquerque ら、Toxicol. Lett. 1998, 102-103, 211-218, Neubauerら、Neurology 1998, 51, 1608-1612, Stevens ら、Psychopharmacology 1998, 136, 320-327, Adler ら、Schizophrenia Bull. 1998, 24, 189-202.)。よって、CNS疾患を治療するためにこれら受容体を調節する化合物の使用に関心が向けられている。
【0004】
統合失調症の病因におけるα7受容体の役割は、主要な統合失調症の中間形質を表す、α7座と感覚ゲーティング欠乏(deficit)との関連を証明する連関研究(Freedman ら、Psychopharmacology (2004), 174(1), 54-64)により示唆されている。患者におけるこのようなゲーティング欠乏は、α7を介する作用と一致した薬理学的技術を用いてニコチンにより一過的に逆転されている。さらに動物モデルにおいて、前脳コリン作動性求心性線維の損傷またはα7受容体の薬理学的遮断は類似の感覚ゲーティング欠乏を誘発し、これはα7受容体レベルの減少を示している近交マウス系においても見られる。ニコチンは、またもα7受容体における活性に対応する薬理学的技術を用いて、損傷動物および近交マウス系の両方において欠乏を正常化させることが報告されている。α7受容体の薬理学的遮断は、げっ歯類の短期作業記憶を害することが報告されている一方、受容体活性化は、同一のパラダイムにおける性能を増強させること、したがって認知向上のための標的としてα7受容体に影響を与えることが報告されている。
【0005】
α7 nAChRは、その他のサブタイプと比較して急速な活性化動態および高いCa2+透過性によって特徴付けられ(Delbono ら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 1997, 280, 428-438.)、作動薬への曝露後に迅速な脱感作を示す(Castro ら、Neurosci. Lett. 1993, 164, 137-140, Couturier ら、Neuron 1990, 5, 847-856, Alkondon ら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 1994, 271, 494-506)。α7作動薬を用いる治療は、したがって、アセチルコリンおよびニコチンの両方が、受容体の活性化後の遮断および/または脱感作の両方を示し、それゆえ作動薬を用いる慢性的治療がおそらく見かけの拮抗作用をもたらすので問題となり得る。さらに、作動薬は、受容体の脱感作状態に対し最も高い親和性を示し、したがって、受容体活性化のための閾値よりも低い濃度にて受容体の脱感作を媒介できることが示されている(BriggsおよびMcKenna, Neuropharmacology 1998 37,1095-1102)。
【0006】
この問題は、ポジティブアロステリックモジュレータ(PAM; positive allosteric modulator)を用いる治療により克服され得る。PAMは、内因性作動薬または外因性作動薬により媒介されるα7 nAChRの活性化を、受容体を活性化することなくそれ自身の能力によって、すなわち作動薬が存在しなくても増強する。多数のPAMが報告されている(Lightfoot ら、Progress in Medicinal Chemistry 46:131-71, 2008)。
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、式(I):
【化1】

(ここで、
R1はイミダゾリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、これらのいずれもがC1-3アルキルおよびC1-3アルコキシから独立して選択される1つの基により任意に置換されていてもよい)
の化合物またはその塩を提供する。
【0008】
本明細書で用いられるように、C1-3アルキル置換基は、非環式C1-3アルカンからの水素原子の除去により派生する一価の基である。このようなC1-3アルキル 置換基はメチルおよびエチルを含み、直鎖 (すなわち n-プロピル)または分枝鎖(例えばイソプロピル)であり得る。
【0009】
本明細書で用いられるように、C1-3アルコキシ置換基は、Rが上記に定義したC1-3アルキルである式「R-O-」の基である。このようなアルコキシ置換基はメトキシおよびエトキシを含み、直鎖(すなわちn-プロポキシ)または分枝鎖(例えばイソプロポキシ)であり得る。
【0010】
ある実施態様においては、R1はイミダゾリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、これらのいずれもがメチルおよびメトキシから独立して選択される1つの基により任意に置換されていてもよい。
【0011】
さらなる実施態様においては、R1はピリジニルまたはピリミジニルであり、これらのいずれもがメチルおよびメトキシから独立して選択される1つの基により任意に置換されていてもよい。
【0012】
さらなる実施態様においては、R1は、メチルおよびメトキシから独立して選択される1つの基により任意に置換されたピリジニルである。
【0013】
ある実施態様においては、化合物は:
N-[[7-[2-(メチルオキシ)-3-ピリジニル]-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(2-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(3-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(4-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(5-ピリミジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(2-メチル-3-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(4-メチル-3-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-[6-(メチルオキシ)-3-ピリジニル]-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;および
N-[[7-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
の化合物またはその塩から選択される。
【0014】
本発明は、前記に記載される実施態様の全ての組合せを有する化合物を含むことを意図すると理解される。
【0015】
疑義の回避のために、そうでないと示されない限り、用語「置換された」は、1以上の定義した基により置換されたことを意図する。基が多数の選択可能な基から選択され得る場合、選択された基は同一であるか、または異なっていてもよい。
【0016】
疑義の回避のために、用語「独立して」は、1より多い置換基が多数の適当な置換基から選択される場合を意味し、これら置換基は同一であるか、または異なっていてもよい。
【0017】
式(I)の化合物は、医薬的に許容される塩、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸および燐酸のような無機酸を用いて、カルボン酸を用いて、または有機スルホン酸を用いて形成される非毒性の酸付加塩を形成し得る。例として、HCl、HBr、HI、スルフェートまたはビスルフェート、ナイトレート、ホスフェートまたは ハイドロジェンホスフェート、アセテート、ベンゾエート、スクシネート, サッカレート、フマレート、マレエート、ラクテート、シトレート、タートレート、グルコネート、カムシレート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネートおよびパモネート塩を含む。好適な医薬的塩についての総説として、Berge ら、J. Pharm, Sci., 66, 1-19, 1977; P L Gould, International Journal of Pharmaceutics, 33 (1986), 201-217およびBighley ら、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, Marcel Dekker Inc, New York 1996, Volume 13, page 453-497を参照されたい。
【0018】
ある実施態様においては、式(I)の化合物の塩は医薬的に許容される塩である。
後述するが、式 (I)の化合物およびその医薬的に許容される塩は、「本発明の化合物」とも呼ばれる。
【0019】
最後の脱保護のステージの前に製造され得る、本発明の化合物のある保護された誘導体は、それ自体が薬理学的活性を有さなくてもよいが、ある事例において、経口的または非経口的に投与され、その後体内で代謝されて、薬理学的に活性である第1の態様に記載される化合物を形成し得ると当業者に理解される。このような誘導体は、したがって、「プロドラッグ」として記載され得る。第1の態様に記載される化合物の全ての保護された誘導体およびプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。本発明の化合物についての好適なプロドラッグの例は、Drugs of Today, Volume 19, Number 9, 1983, pp 499 - 538およびTopics in Chemistry、第31章、pp 306 - 316および H. Bundgaardによる "Design of Prodrugs" , Elsevier, 1985, 第1章 (これら書物における開示は、参照により本明細書中に組み込まれる)に記載される。さらに、例えばH. Bundgaardにより"Design of Prodrugs" (この書物における開示は、参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されるように、「プロ成分」として当業者に公知のある成分は、適切な官能基を第1の態様に記載される化合物が有するときに、このような官能基に取り付けられると当業者に理解される。
【0020】
本発明の化合物は、溶媒和形態または水和形態で存在し得る。
本発明の化合物または該化合物若しくは塩の溶媒和物/水和物は、1以上の多形形態で存在し得る。
したがって、さらなる態様によれば、本発明は、本発明の化合物の溶媒和物、水和物またはプロドラッグを提供する。
【0021】
本発明のある化合物は、1以上の互変体形態で存在し得る。
全ての互変体およびその混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0022】
本発明のある化合物は1以上の立体中心を有し、それゆえ多数の立体異性体形態で存在し得る。1つの立体中心を有する化合物は、エナンチオマーまたはエナンチオマーを含むラセミ混合物として存在し得る。2以上の立体中心を有する化合物は、ジアステレオアイソマーまたはエナンチオマーとして存在し得る。全ての立体異性体(例えばエナンチオマーおよびジアステレオアイソマー)およびその混合物は、本発明の範囲内に含まれる。ラセミ混合物は、キラル固定相を有するカラムを用いて分離され、分取HPLCを用いて個々のエナンチオマーを与え得るか、または当業者に公知の方法を利用して分割され、個々のエナンチオマーを産生し得る。さらに、キラル中間体化合物は、個々のエナンチオマーを製造するために分割され、用いられ得る。
【0023】
本発明はまた、本発明の化合物の全ての適当なアイソトープ変形物を含む。本発明の化合物のアイソトープ変形物は、少なくとも1つの原子が、同一の原子数を有するが、自然界において通常見出される原子量とは異なる原子量を有する原子で置き換えられているものとして定義される。本発明の化合物に組み込むことができるアイソトープの例として、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素および塩素のアイソトープ、例えばそれぞれ2H、3H、13C、14C、15N、17O、18O、35S、18Fおよび36Clを含む。例えば3Hまたは14Cのような放射活性アイソトープが組み込まれている本発明のあるアイソトープ変形物は、医薬および/または基質の組織分布研究に有用である。トリチウム、すなわち3Hおよび炭素14、すなわち14Cアイソトープは、その製造および検出の容易性のために特に好ましい。さらに、ジューテリウム、すなわち2H のようなアイソトープを用いる置換は、より優れた代謝安定性、例えばインビボ半減期の増加または必要線量の減少に起因するある治療上の利点を与え、それゆえ状況によっては好まれ得る。本発明の化合物のアイソトープ変形物は、慣用の手順によって、例えば例証する方法によって、または適当な試薬の適切なアイソトープ変形物を用いる下記の実施例および製造例に記載される製造方法によって、一般に製造できる。
【0024】
本発明の化合物は、多様な手段で製造され得る。以下の反応スキームおよび下記において、そうでないと記述しない限り、R1〜R3は第1の態様に記載されるとおりである。これらのプロセスは、本発明のさらなる態様を形成する。
【0025】
本明細書を通して、一般式は、ローマ数字(I)、(II)、(III)、(IV)などにより表される。これら一般式のサブセットは、(Ia)、(Ib)、(Ic)など…(IVa)、(IVb)、(IVc)などとして記載される。
【0026】
式(I)の化合物は、スキーム1に従って、式(II)の化合物を、Zがボロン酸、ボロン酸エステルまたはトリアルキルスズ誘導体である式(III)の化合物とカップリングさせることにより製造され得る。典型的な条件は、好適な溶媒、例えばトルエン中の好適な触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いることを含む。
【0027】
【化2】

【0028】
式(II)の化合物は、スキーム2に従って、式(IV)の化合物を式(V)の化合物とカップリングさせることにより製造され得る。好適な溶媒、例えばDCMまたはDMF中の好適なカップリング剤、例えばHATU、HOBt、DCCを用いる処理を含む典型的な条件を用いることができる。代替条件は、好適な塩基(例えばトリエチルアミン)を有する好適な溶媒(例えばTHFまたはDCM)中の塩化オキサリルを用いる、対応する塩化アシルへのカルボン酸(IV)の変換を含む。
【0029】
【化3】

【0030】
式(V)の化合物は、スキーム3に従って製造され得る。好適な溶媒(例えばDCM)中の塩基(例えばトリエチルアミン)存在下における無水トリフルオロ酢酸を用いる式(VI)の化合物の処理により、式(VII)の化合物が生じる。好適な溶媒(例えば四塩化炭素)中の好適なラジカルハロゲン源、例えばスルフリルクロリド またはN-ブロモスクシンイミドを用いる式(VII)の化合物のハロゲン化により、式(VIII)の化合物が生じる。ホスフィン誘導体(例えばトリフェニルホスフィン)を用いて式(VIII)の化合物を処理することにより式(IX)の化合物が生じ、これを次いでブロモ誘導体(例えばN-ブロモスクシンイミド)を用いて処理することにより式(X)の化合物が生じ得る。式(X)の化合物を環化して、式(XI)の化合物が生じ得る。典型的な環化条件は、好適な溶媒(例えばDMF)中で100℃を超える温度まで加熱することを含む。式(V)の化合物は、水素化ホウ素または水素化ホウ素ニッケルを用いる式(XI)の化合物の還元により得られる。
【0031】
【化4】

【0032】
塩は、適切な酸または酸誘導体を用いる反応により慣用的に製造され得る。
【0033】
本発明の化合物は、α7 nAChRのポジティブアロステリックモジュレーション(positive allosteric modulation)により媒介される疾患および状態またはα7 nAChRのモジュレーションに関連する疾患および状態の治療に有用であり得る。α7 nAChRのポジティブアロステリックモジュレーションにより媒介される疾患若しくは状態またはα7 nAChRのモジュレーションに関連する疾患および状態は下記に列挙される疾患を含み、その後の括弧内の数字は、American Psychiatric Association (DSM-IV)により出版されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders第4版および/またはthe International Classification of Diseases, 第10版(ICD-10)中の分類コードを示す。
【0034】
i) 精神病性障害、例えば統合失調症(サブタイプ妄想型(295.30)、破瓜型(295.10)、緊張型(295.20)、未分化型(295.90)および残遺型(295.60)を含む);統合失調様障害(295.40);統合失調感情障害(295.70)(サブタイプ双極型および抑鬱型を含む);妄想性障害(297.1)(サブタイプ色情型、誇大型、 嫉妬型、被害型、身体型、混合型および特定不能型を含む);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);一般身体疾患による精神病性障害(妄想を伴うサブタイプおよび幻覚を伴うサブタイプを含む);物質誘発精神病性障害(妄想を伴うサブタイプ(293.81)および幻覚を伴うサブタイプ(293.82)を含む);および特定不能の精神病性障害 (298.9)。
【0035】
ii) 注意障害、見当識障害、学習障害を含む認知機能障害、記憶障害(すなわち記憶障害、健忘、健忘障害、一過性全健忘症候群および老年性記憶障害)および言語機能障害を含む認知障害;並びに脳卒中の結果としての認知障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、AIDS関連痴呆またはその他の痴呆状態、例えば多発梗塞性痴呆、アルコール痴呆、甲状腺機能低下症関連痴呆並びにその他の変性疾患、例えば小脳萎縮および筋委縮性側索硬化症に関連する痴呆; 認知低下を起こし得るその他の急性または亜急性状態、例えば譫妄若しくは鬱病(仮性痴呆状態)、外傷、脳外傷、老年性認知低下、脳卒中、神経変性、薬物誘導性状態、神経毒性物質、軽度認知障害、老年性認知障害、自閉症関連認知障害、ダウン症候群、その他の疾患、例えば統合失調症、双極性障害、鬱病およびその他の精神障害に関連する認知障害並びに電撃痙攣療法後の関連する認知障害;並びにジスキネジー障害、例えばパーキンソン病、神経遮断薬誘導性パーキンソン症候群および遅発性ジスキネジー。
【0036】
iii) 鬱病および気分障害、例えば鬱病エピソード(大鬱病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードおよび軽躁病エピソードを含む);鬱病性障害(大鬱病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能の鬱病性障害(311)を含む);双極性障害(双極性I型障害、双極性II型障害(すなわち軽躁病エピソードを伴う再発性大鬱病エピソード) (296.89)、気分循環性障害(301.13)および特定不能の双極性障害(296.80)を含む);その他の気分障害(鬱病の特徴を伴うサブタイプ、大鬱病様エピソードを伴うサブタイプ、躁病の特徴を伴うサブタイプおよび混合性の特徴を伴うサブタイプを含む、一般身体疾患による気分障害(293.83)を含む);物質誘導性気分障害(鬱病の特徴を伴うサブタイプ、躁病の特徴を伴うサブタイプおよび混合性の特徴を伴うサブタイプを含む);並びに特定不能の気分障害(296.90)。
【0037】
iv) 不安障害、例えば社交不安障害;パニック発作;広場恐怖症、パニック障害;パニック障害の病歴を伴わない広場恐怖症(300.22);単一恐怖(300.29)(サブタイプ動物型、自然環境型、血液‐注射‐損傷型、状況型およびその他の型を含む);社会恐怖(300.23);強迫性障害(300.3);心的外傷後ストレス障害(309.81);急性ストレス障害(308.3);全般性不安障害(300.02);一般身体疾患による不安障害(293.84);物質誘導性不安障害;並びに特定不能の不安障害(300.00)。
【0038】
v) 物質関連障害、例えば物質使用障害(物質依存、物質渇望および物質乱用を含む);物質誘発性障害(物質中毒、物質離脱、物質誘発性譫妄、物質誘発性持続性痴呆、物質誘発性持続性健忘障害、物質誘発性精神障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能不全、物質誘発性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)を含む); アルコール関連障害(アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒譫妄、アルコール離脱譫妄、アルコール誘発性持続性痴呆、アルコール誘発性持続性健忘障害、アルコール誘発性精神障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性機能不全、アルコール誘発性睡眠障害および特定不能のアルコール関連障害(291.9)を含む);
【0039】
アンフェタミン(またはアンフェタミン類似物)関連障害(例えばアンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒譫妄、アンフェタミン誘発性精神障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性機能不全、アンフェタミン誘発性睡眠障害および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9));カフェイン関連障害(カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)を含む);カナビス関連障害(カナビス依存(304.30)、カナビス乱用(305.20)、カナビス中毒(292.89)、カナビス中毒譫妄、カナビス誘発性精神障害、カナビス誘発性不安障害および特定不能のカナビス関連障害(292.9)を含む);コカイン関連障害(コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒譫妄、コカイン誘発性精神障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性機能不全、コカイン誘発性睡眠障害および特定不能のコカイン関連障害(292.9)を含む);
【0040】
幻覚剤関連障害(幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒譫妄、幻覚剤誘発性精神障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)を含む);吸入剤関連障害(吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒譫妄、吸入剤誘発性持続性痴呆、吸入剤誘発性精神障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)を含む);ニコチン関連障害(ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および特定不能のニコチン関連障害(292.9)を含む);オピオイド関連障害(オピオイド依存(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒譫妄、オピオイド誘発性精神障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性機能不全、オピオイド誘発性睡眠障害および特定不能のオピオイド関連障害(292.9)を含む);
【0041】
フェンサイクリジン(またはフェンサイクリジン類似物)関連障害(フェンサイクリジン依存(304.60)、フェンサイクリジン乱用(305.90)、フェンサイクリジン中毒(292.89)、フェンサイクリジン中毒譫妄、フェンサイクリジン誘発性精神障害、フェンサイクリジン誘発性気分障害、フェンサイクリジン誘発性不安障害および特定不能のフェンサイクリジン関連障害(292.9)を含む);鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤関連障害(鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤依存(304.10)、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤乱用(305.40)、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤中毒(292.89)、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤離脱(292.0)、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤中毒譫妄、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤離脱譫妄、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤持続性痴呆、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤持続性健忘障害、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤誘発性精神障害、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤気分障害、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤誘発性不安障害、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤誘発性性機能不全、鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤誘発性睡眠障害および特定不能の鎮痛剤、催眠剤または抗不安剤関連障害(292.9)を含む);多物質関連障害(多物質依存(304.80)を含む);並びにその他の(または未知の)物質関連障害(アナボリックステロイド、硝酸系吸入剤および亜酸化窒素を含む)。
【0042】
vi) 睡眠障害、例えば睡眠異常のような原発性睡眠障害(原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および特定不能の睡眠異常(307.47)を含む);睡眠時随伴症のような原発性睡眠障害(悪夢障害(307.47)、睡眠驚愕症(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)および特定不能の睡眠時随伴症(307.47)を含む);他の精神疾患に関連した睡眠障害(他の精神疾患に関連した不眠症(307.42)および他の精神疾患に関連した過眠症(307.44)を含む);一般身体疾患による睡眠障害;および物質誘発性睡眠障害(サブタイプ不眠症型、過眠症型、睡眠時随伴症型および混合型を含む)。
【0043】
vii) 摂食障害、例えば拒食症(307.1)(サブタイプ制限型およびむちゃ食い/排出型を含む);過食症(307.51)(サブタイプ排出型および非排出型を含む);肥満;強迫性摂食障害(Compulsive Eating Disorder);むちゃ食い障害;および特定不能の摂食障害(307.50)。
【0044】
viii) 自閉症スペクトラム障害、自閉症性障害(299.00)、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害および特定不能の広汎性発達障害を含む。
【0045】
ix) 注意欠陥/多動性障害(サブタイプ注意欠陥/多動性障害混合型(314.01)、注意欠陥/多動性障害不注意優性型(314.00)、注意欠陥/多動性障害多動性‐衝動性型(314.01)および特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)を含む);多動性障害;破壊的行動障害、例えば行為障害(サブタイプ小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および発症年齢不詳型(312.89)を含む)、反抗挑戦性障害(313.81) および特定不能の破壊的行動障害;並びにチック障害、例えばトゥレット障害(307.23)。
【0046】
x) 人格障害、サブタイプ妄想性人格障害(301.0)、統合失調質人格障害(301.20)、統合失調型人格障害(301,22)、反社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301,83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301,81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および特定不能の人格障害(301.9)を含む。
【0047】
xi) 性機能不全、例えば性的欲求障害(性的欲求低下障害(302.71)および性嫌悪障害(302.79)を含む);性的興奮の障害(女性の性的興奮の障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72)を含む);オルガズム障害(女性オルガズム障害(302.73)、男性オルガズム障害(302.74)および早漏(302.75)を含む);性交疼痛障害(性交疼痛症(302.76)および膣痙攣(306.51)を含む);特定不能の性機能不全(302.70);性嗜好異常(露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯的フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および特定不能の性嗜好異常(302.9)を含む);性同一性障害(小児の性同一性障害(302.6)および青年または成人の性同一性障害(302.85)を含む);並びに特定不能の性機能不全(302.9)。
【0048】
本発明の化合物はまた、炎症、炎症性疼痛、慢性関節リウマチおよび敗血症の治療に有用である。
ある実施態様においては、患者はヒトである。用語「治療」は、関連する状況に適切である場合に予防を含む。
【0049】
したがって、ある態様においては、本発明は、医薬として用いるための前記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
ある態様においては、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の機能低下に関連する疾患の治療への使用のための前記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
ある態様においては、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブアロステリックモジュレーションの恩恵を受ける疾患の治療に用いるための前記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0050】
ある態様においては、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブアロステリックモジュレータとして用いるための前記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
別の態様においては、本発明は、精神病性障害の治療に用いるための前記式(I)の化合物またはその塩を提供する。ある態様においては、本発明は、統合失調症の治療に用いるための前記式(I)の化合物またはその塩を提供する。ある態様においては、本発明は、不安症または鬱病の治療に用いるための前記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0051】
本発明はまた、認知障害の治療に用いるための前記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
本発明はまた、アルツハイマー病の治療に用いるための前記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0052】
別の態様においては、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の機能低下に関連する疾患の治療用医薬の製造における前記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
別の態様においては、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブアロステリックモジュレーションの恩恵を受ける疾患の治療用医薬の製造における前記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0053】
別の実施態様においては、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブアロステリックモジュレーションのための医薬の製造のための前記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
別の態様においては、本発明は、精神病性障害の治療用医薬の製造における前記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。別の態様においては、本発明は、統合失調症の治療用医薬の製造における前記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。別の態様においては、本発明は、不安症または鬱病の治療用医薬の製造における前記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0054】
別の態様においては、本発明は、認知障害の治療用医薬の製造における前記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
別の態様においては、本発明は、アルツハイマー病の治療用医薬の製造における前記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0055】
別の態様においては、本発明は、それを必要とするヒトに前記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の機能低下に関連する疾患の治療方法を提供する。
ある態様においては、本発明は、それを必要とするヒトに前記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブアロステリックモジュレーションの恩恵を受ける疾患の治療方法を提供する。
【0056】
ある態様においては、本発明は、ヒトに前記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブアロステリックモジュレーションのための方法を提供する。
別の態様においては、本発明は、それを必要とするヒトに前記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、精神病性障害の治療への使用方法を提供する。
【0057】
ある実施態様においては、本発明は、それを必要とするヒトに前記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、統合失調症の治療方法を提供する。
ある実施態様においては、本発明は、それを必要とするヒトに前記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、不安症または鬱病の治療方法を提供する。
【0058】
本発明はまた、それを必要とするヒトに前記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、認知障害の治療方法を提供する。
本発明はまた、それを必要とするヒトに前記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含む、アルツハイマー病の治療方法を提供する。
【0059】
一般に、式(I)の化合物またはその塩は、1日当たり約0.1 mgから約1000 mgまでの範囲の用量で、単回投与または分割投与により(すなわち1日当たり1〜4回投与)投与され得るが、人種、体重、年齢および治療される患者の状態並びに選択される特定の投与経路によって変化を余儀なくされる。ある実施態様においては、投与は1日当たり1回である。ある実施態様においては、投与量のレベルは、1日当たり約0.1 mg/kg体重から約500 mg/kg体重までの範囲にある。さらなる実施態様においては、投与量のレベルは、1日当たり約0.1 mg/kg体重から約100 mg/kg 体重の範囲にある。
【0060】
式(I)の化合物およびその塩はまた、その他の活性成分、例えば定型または非定型抗精神病薬、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬と組み合わせて、精神病性障害の改善された治療を提供するのに好適であり得る。
【0061】
本発明の併用療法は、例えば補助的に(adjunctively)投与される。補助的投与により、別々の医薬組成物または医薬デバイスの形態にある各構成成分の逐次的投与または時間的に重複した投与を意味する。2以上の治療薬のこの治療投与レジームは、一般に当業者によって、そして本明細書中においては補助的治療投与として言及される。補助的治療投与は、アドオン治療投与としても知られている。患者が式(I)の化合物またはその塩と、少なくとも1つの抗精神病薬、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬とを、別々であるが逐次的な治療または時間的に重複した治療により投与される任意の治療レジームおよび全ての治療レジームは、本発明の範囲内である。本明細書中に記載される補助的治療投与についてのある実施態様においては、一般的に、患者は1以上の構成成分のある期間の治療投与で安定させられ、次いで別の構成成分を投与される。式(I)の化合物またはその塩は、少なくとも1つの抗精神病薬、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬または向知性薬を投与される患者に、補助的療法による治療として投与され得るが、本発明の範囲はまた、式(I)の化合物またはその塩を投与される患者への少なくとも1つの抗精神病薬、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬または向知性薬の補助的治療投与を含む。
【0062】
本発明の併用により、同時投与もされ得る。同時投与により、個々の構成成分が、両方の構成成分を含む(comprising)かまたは含有する(containing)単一の医薬組成物または単一の医薬デバイスのいずれかの形態で一緒に投与されるか、或いは1つの構成成分をそれぞれ含む別個の医薬組成物または別個の医薬デバイスとして同時に投与される治療レジームを意味する。同時併用のための別個の個々の構成成分のこのような組合せは、キットオブパーツ(kit-of-parts)の形態で提供され得る。
【0063】
したがって、さらなる態様においては、本発明は、少なくとも1つの抗精神病薬を治療投与される患者への式(I)の化合物またはその塩の補助的治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。さらなる態様においては、本発明は、少なくとも1つの抗精神病薬を治療投与される患者において精神病性障害を治療する補助的治療投与のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。本発明は、少なくとも1つの抗精神病薬を治療投与される患者における精神病性障害の治療において、補助的治療投与に用いるための式(I)の化合物またはその塩をさらに提供する。
【0064】
さらなる態様においては、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を治療投与される患者への少なくとも1つの抗精神病薬の補助的治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。さらなる態様においては、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を治療投与される患者において精神病性障害を治療する補助的治療投与のための医薬の製造における少なくとも1つの抗精神病薬の使用を提供する。本発明は、式(I)の化合物またはその塩を治療投与される患者における精神病性障害の治療において、補助的治療投与のための少なくとも1つの抗精神病薬をさらに提供する。
【0065】
さらなる態様においては、本発明は、少なくとも1つの抗精神病薬と組み合わせる式(I)の化合物またはその塩の同時治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。本発明は、精神病性障害の治療において同時治療投与される医薬の製造における式(I)の化合物またはその塩および少なくとも1つの抗精神病薬の組合せの使用をさらに提供する。本発明は、精神病性障害の治療において少なくとも1つの抗精神病薬と同時治療投与される医薬の製造のための式(I)の化合物またはその塩の使用をさらに提供する。本発明は、精神病性障害の治療のための少なくとも1つの抗精神病薬との同時治療投与において使用される式(I)の化合物またはその塩をさらに提供する。本発明は、精神病性障害の治療において式(I)の化合物またはその塩と同時治療投与される医薬の製造における少なくとも1つの抗精神病薬の使用をさらに提供する。
【0066】
さらなる態様においては、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を含む第1投与剤形と、抗精神病薬をいずれも含む1以上のさらなる剤形とを含む精神病性障害の治療に用いるための同時治療投与用キットオブパーツを提供する。
【0067】
別の態様においては、本発明は、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分を治療投与される患者への本発明の化合物の補助的治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。
【0068】
さらなる態様においては、本発明は、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分を治療投与される患者において精神病性障害の治療のために補助的治療投与される医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0069】
本発明はまた、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分を治療投与される患者において精神病性障害の治療のための補助的治療投与される本発明の化合物の使用を提供する。
【0070】
本発明は、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分を治療投与される患者における精神病性障害の治療のために補助的治療投与に使用される本発明の化合物の使用をさらに提供する。
【0071】
さらなる態様においては、本発明は、本発明の化合物を治療投与される患者への気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分の補助的治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。
【0072】
さらなる態様においては、本発明は、本発明の化合物を治療投与される患者の精神病性障害の治療のために補助的治療投与される医薬の製造における気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用を提供する。
【0073】
本発明はまた、本発明の化合物を治療投与される患者の精神病性障害の治療のために補助的治療投与される気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用を提供する。
【0074】
さらなる態様においては、本発明は、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分と組み合わせる本発明の化合物の同時治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。
【0075】
本発明は、精神病性障害の治療における同時治療投与のための医薬の製造において、本発明の化合物と気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分との組合せの使用をさらに提供する。
【0076】
本発明は、精神病性障害の治療における同時治療投与のための、本発明の化合物と気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分との組合せの使用をさらに提供する。
【0077】
本発明は、精神病性障害の治療における気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分との同時治療投与のための医薬の製造における本発明の化合物の使用をさらに提供する。
【0078】
本発明は、精神病性障害の治療における気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分との同時治療投与のための本発明の化合物の使用をさらに提供する。
【0079】
本発明は、精神病性障害の治療における気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分との同時治療投与に用いられる本発明の化合物をさらに提供する。
【0080】
本発明は、精神病性障害の治療において本発明の化合物と同時治療投与するための医薬の製造における気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用をさらに提供する。
【0081】
本発明は、精神病性障害の治療において本発明の化合物と同時治療投与するための、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用をさらに提供する。
【0082】
さらなる態様によれば、本発明は、本発明の化合物を含む第1剤形と、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、錐体外路の副作用の医薬および向知性薬からなる群より選択される活性成分を含む1以上のさらなる剤形とを含む精神病性障害の治療に用いるための、同時治療投与用キットオブパーツを提供する。
【0083】
本発明において有用であり得る抗精神病薬の例としては、以下を含むが制限されない:ナトリウムチャネル遮断薬;混合型5HT/ドーパミン受容体拮抗薬(mixed 5HT/dopamine receptor antagonists);mGluR5ポジティブモジュレータ;D3拮抗薬;5HT6拮抗薬;ニコチン性α7モジュレータ;グリシン輸送体GlyT1阻害薬;D2部分作動薬/D3拮抗薬/H3拮抗薬; AMPAモジュレータ;NK3拮抗薬、例えばオサネタントおよびタルネタント;非定型抗精神病薬、例えばクロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドンおよびアミスルプリド;ブチロフェノン類、例えばハロペリドール、ピモジドおよびドロペリドール;フェノチアジン類、例えばクロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジン、フルフェナジン、トリフルプロマジン(thiflupromazine)、プロクロルペラジンおよびアセトフェナジン;チオキサンテン類、例えばチオチキセンおよびクロルプロチキセン;チエノベンゾジアゼピン類;ジベンゾジアゼピン類;ベンズイソオキサゾール類;ジベンゾチアゼピン類;イミダゾリジノン類;ベンズイソチアゾリル‐ピペラジン類;トリアジン、例えばラモトリジン;ジベンズオキサゼピン類、例えばロクサピン;ジヒドロインドロン類、例えばモリンドン;アリピプラゾール;および抗精神病活性を有するその誘導体。
【0084】
本発明における使用に好適であり得る選択される抗精神病薬の商品名および供給者の例は、以下のとおりである:クロザピン(商品名CLOZARIL(商標)の下入手可能、 Mylan, Zenith Goldline, UDL, Novartisより);オランザピン(商品名ZYPREXA(商標)の下入手可能、Lillyより);ジプラシドン(商品名GEODON(商標)の下入手可能、Pfizerより);リスペリドン(商品名RISPERDAL(商標)の下入手可能、Janssenより);クエチアピンフマレート(商品名 SEROQUEL(商標)の下入手可能、AstraZenecaより);セルチンドール(商品名 SERLECT(商標)の下入手可能);アミスルプリド(商品名 SOLION(商標)の下入手可能、Sanofi-Synthelaboより);ハロペリドール(商品名 HALDOL(商標)の下入手可能、Ortho-McNeilより);ハロペリドールデカノエート(商品名HALDOL decanoate(商標)の下入手可能); ハロペリドールラクテート(商品名HALDOL(商標)およびINTENSOL(商標)の下入手可能);クロルプロマジン(商品名 THORAZINE(商標)の下入手可能、SmithKline Beecham (GSK)より);フルフェナジン(商品名 PROLIXIN(商標)の下入手可能、Apothecon, Copley, Schering, TevaおよびAmerican Pharmaceutical Partners, Pasadenaより);フルフェナジンデカノエート(商品名 PROLIXIN decanoate(商標)の下入手可能);フルフェナジンエナンタート(商品名 PROLIXIN(商標)の下入手可能);フルフェナジンヒドロクロリド(商品名 PROLIXIN(商標)の下入手可能);チオチキセン(商品名 NAVANE(商標)の下入手可能、Pfizerより);チオチキセンヒドロクロリド(商品名 NAVANE(商標)の下入手可能);トリフルオペラジン(10-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル]-2-(トリフルオロメチル)フェノチアジンジヒドロクロリド、商品名 STELAZINE(商標)の下入手可能、SmithKline Beckmanより);ペルフェナジン(商品名 TRILAFON(商標)の下入手可能、Scheringより);ペルフェナジンおよびアミトリプチリンヒドロクロリド(商品名 ETRAFON TRILAFON(商標)の下入手可能);チオリダジン(商品名 MELLARIL(商標)の下入手可能、Novartis, Roxane, HiTech, TevaおよびAlpharmaより);モリンドン(商品名 MOBAN(商標)の下入手可能、Endoより);モリンドンヒドロクロリド(商品名 MOBAN(商標)の下入手可能); ロクサピン(商品名 LOXITANE(商標)の下入手可能、Watsonより);ロクサピンヒドロクロリド(商品名 LOXITANE(商標)の下入手可能);およびロクサピンスクシネート(商品名 LOXITANE(商標)の下入手可能)。さらに、ベンペリドール(Glianimon(商標))、ペラジン(Taxilan(商標))またはメルペロン(Eunerpan(商標))が用いられ得る。
【0085】
その他の好適な抗精神病薬は、プロマジン(商品名SPARINE(商標)の下入手可能)、トリフルプロマジン(商品名VESPRIN(商標)の下入手可能)、クロルプロチキセン(商品名TARACTAN(商標)の下入手可能)、ドロペリドール(商品名INAPSINE(商標)の下入手可能)、アセトフェナジン(商品名TINDAL(商標)の下入手可能)、プロクロルペラジン(商品名COMPAZINE(商標)の下入手可能)、メトトリメプラジン(商品名NOZINAN(商標)の下入手可能)、ピポチアジン(商品名PIPOTRIL(商標)の下入手可能)、イロペリドン、ピモジドおよびフルペンチキソールを含む。
【0086】
商品名により上記に列挙される抗精神病薬は、その他の供給者から異なる商品名の下入手することも可能である。
【0087】
本発明のさらなる態様においては、好適な抗精神病薬は、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ハロペリドール、クロザピン、ジプラシドン、タルネタントおよびオサネタントを含む。
【0088】
本発明の治療に用いられ得る気分安定薬は、リチウム、ナトリウムバルプロエート/バルプロ酸/ジバルプロエクス、カルバマゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、トピラメート、オキスカルバゼピンおよびチアガビンを含む。
【0089】
本発明の治療に用いられ得る抗鬱薬は、セロトニン拮抗薬、CRF-1拮抗薬、Cox-2阻害薬/SSRIデュアル拮抗薬;ドーパミン/ノルアドレナリン/セロトニントリプル再取込み阻害薬;NK1拮抗薬;NK1およびNK2デュアル拮抗薬;NK1/SSRI デュアル拮抗薬;NK2拮抗薬;セロトニン作動薬(例えばラウオルシン、ヨヒンビンおよびメトクロプラミド);セロトニン再取込み阻害薬(例えばシタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、フェモキセチン、インダルピン、ジメルジン、パロキセチンおよびセルトラリン); デュアルセロトニン/ノルアドレナリン再取込み阻害薬(例えばベンラファキシン、レボキセチン、デュロキセチンおよびミルナシプラン); ノルアドレナリン再取込み阻害薬(例えばレボキセチン);三環式抗鬱薬(例えばアミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびトリミプラミン);モノアミンオキシダーゼ阻害薬(例えばイソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジンおよびトラニルシプロミン); 5HT3拮抗薬(例えばオンダンセトロンおよびグラニセトロン); およびその他(例えばブプロピオン、アミネプチン、ラダファキシン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドンおよびトラゾドン)を含む。
【0090】
本発明の治療に用いられ得る抗不安薬は、V1b拮抗薬、5HT7拮抗薬およびベンゾジアゼピン類、例えばアルプラゾラムおよびロラゼパムを含む。
【0091】
本発明の治療に用いられ得る錐体外路の副作用の医薬は、抗コリン作動薬(例えばベンズトロピン、ビペリデン、プロシクリジンおよびトリヘキシフェニジル); 抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン)およびドーパミン作動薬(例えばアマンタジン)を含む。
【0092】
本発明の治療に用いられ得る向知性薬は、例えばコリンエステラーゼ阻害薬(例えばタクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミン)、 H3 拮抗薬およびムスカリン性M1作動薬(例えばセビメリン)を含む。
【0093】
ある実施態様においては、本発明の化合物と組み合わせて用いるための活性成分は、非定型抗精神病薬、例えばクロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドンまたはアミスルプリドである。
【0094】
ある実施態様においては、本発明の化合物と組み合わせて用いるための活性成分は、定型抗精神病薬、例えばクロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、チオチキシン、ハロペリドール、トリフルルプロマジン、ピモジド、ドロペリドール、クロルプロチキセン、モリンドンまたはロクサピンである。
【0095】
別の実施態様においては、本発明の化合物と組み合わせて用いるための活性成分は、気分安定薬、例えばリチウム、ナトリウムバルプロエート/バルプロ酸/ジバルプロエクス、カルバマゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、トピラメート、オキスカルバゼピンおよびチアガビンである。
【0096】
別の実施態様においては、本発明の化合物と組み合わせて用いるための活性成分は、抗鬱剤、例えばセロトニン作動薬(例えばラウオルシン、ヨヒンビンまたはメトクロプラミド);セロトニン再取込み阻害薬(例えばシタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、フェモキセチン、インダルピン、ジメルジン、パロキセチンまたはセルトラリン); デュアルセロトニン/ノルアドレナリン再取込み阻害薬(例えばベンラファキシン、レボキセチン、デュロキセチンまたはミルナシプラン); ノルアドレナリン再取込み阻害薬(例えばレボキセチン);三環式抗鬱薬(例えばアミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンまたはトリミプラミン);モノアミンオキシダーゼ阻害薬(例えばイソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジンまたはトラニルシプロミン); またはその他(例えばブプロピオン、アミネプチン、ラダファキシン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドンまたはトラゾドン)である。
別の実施態様においては、本発明の化合物と組み合わせて用いるための活性成分は、抗不安薬、例えばアルプラゾラムまたはロラゼパムのようなベンゾジアゼピンである。
【0097】
医薬としての使用に関して、本発明の化合物は、標準的な医薬組成物として通常投与される。本発明は、したがって、さらなる態様において、前記式(I)の化合物またはその塩と、医薬的に許容される担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、全ての前記状態の治療に用いることができる。
【0098】
本発明の化合物は、任意の好都合な方法により、例えば経口投与、非経口投与(例えば静脈内投与)、頬側投与、舌下投与、経鼻投与、直腸内投与または経皮投与により投与することができ、医薬組成物は、投与方法に合うように適合される。
【0099】
経口投与されるときに活性である本発明の化合物は、液剤または固形剤、例えばシロップ剤、懸濁剤またはエマルジョン、錠剤、カプセル剤およびトローチ剤として製剤できる。
【0100】
液体製剤は、一般に、水性溶媒、例えば水、エタノール若しくはグリセリンまたは非水性溶媒、例えばポリエチレングリコール若しくは油剤のような適当な液体担体中の本発明の化合物またはその塩の懸濁液または溶液からなる。製剤はまた、懸濁化剤、防腐剤、着香剤または着色剤を含み得る。
【0101】
錠剤の形態にある組成物は、固形製剤の製造に慣用的に用いられる任意の適当な医薬担体を用いて製造できる。このような担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、スターチ、ラクトース、スクロースおよびセルロースを含む。
【0102】
カプセル剤の形態にある組成物は、慣用のカプセル化手順を用いて製造できる。例えば、活性成分を含むペレットは、標準的な担体を用いて製造され、次いで硬ゼラチンカプセルに充填される。一方、分散剤または懸濁剤は、任意の適当な医薬担体、例えば水性ガム、セルロース、珪酸塩または油剤を用いて製造でき、前記分散剤または懸濁剤は、次いで軟ゼラチンカプセルに充填される。
【0103】
典型的な非経口用組成物は、無菌の水性担体または非経口的に許容される油剤、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油または胡麻油中の本発明の化合物またはその塩の溶液または懸濁液からなる。一方、前記溶液は凍結乾燥させ、次いで投与直前に適当な溶媒で元に戻すことができる。
【0104】
経鼻投与用組成物は、エアロゾル、滴剤、ゲルおよび粉末として好都合に製剤化され得る。エアロゾル製剤は、一般に、医薬的に許容される水性溶媒または非水性溶媒中の活性物質の溶液または微粒子懸濁液を含み、噴霧デバイスと共に用いるためのカートリッジまたは詰替え品の形態を取ることができる密封容器中に無菌形態にある単回用量または複数回用量で通常存在する。一方、密封容器は、一度で容器の内容物を使い切る使い捨てを意図する単位分配デバイス、例えば単回用量経鼻吸入器または絞り弁を取り付けたエアロゾル散布機であり得る。投与形態としてエアロゾル散布機を含む場合に、該エアロゾル散布機は、圧縮ガス、例えば圧縮空気であり得る推進剤またはフルオロクロロヒドロカーボンのような有機推進剤を含有する。エアロゾル投与の形態として、ポンプ式噴霧器の形態を取ることもできる。
【0105】
頬側投与または舌下投与に好適な組成物は、活性成分が担体、例えば糖およびアカシア、トラガカントまたはゼラチン並びにグリセリンと共に製剤化される錠剤、トローチ剤および香錠を含む。
【0106】
直腸内投与用組成物は、好都合には、ココアバターのような慣用の坐剤基剤を含む坐剤の形態にある。
【0107】
経皮投与に好適な組成物は、軟膏剤、ゲル剤およびパッチ剤を含む。
【0108】
組成物は、錠剤、カプセル剤またはアンプルのような単位用量形態にあり得る。経口投与についての各投与単位は、式(I)の化合物またはその塩を、遊離塩基として計算して例えば1〜500 mg含み、非経口投与については例えば0.1〜50 mg含む。ある実施態様においては、経口投与のための単位用量は、50〜450 mgを含む。さらなる実施態様においては、単位用量は100〜400 mgを含む。
【0109】
補助投与との一貫性を得るために、それぞれの構成成分の組成物または構成成分の組合せは、例えば単位用量の形態にある。
【0110】
サポート化合物
多数の本発明の化合物の製造を以下に例証する。
以下の工程においては、それぞれの開始物質の後に、中間体についての言及を多くの場合に提供する。これは、単に当業者への助力のために提供される。開始物質を、言及されるバッチから製造する必要はない。
本発明の化合物および中間体は、ACD/Name PRO 6.02化合物命名ソフトウェア(Advanced Chemistry Development Inc., Toronto, Ontario, M5H2L3, Canada)を用いて命名される。
【0111】
略語
LC/MS 液体クロマトグラフィー / 質量分析
NMR 核磁気共鳴
THF テトラヒドロフラン
DMSO ジメチルスルホキシド
DMF ジメチルホルムアミド
DCM ジクロロメタン / メチレンジクロリド
MeCN アセトニトリル
MDAP 質量分析自動精製法(mass-directed auto-preparation)
EtOAc 酢酸エチル
ES エレクトロスプレー
ES-API エレクトロスプレー − 大気圧イオン化
Min 分
Me メチル
Et エチル
h 時間
NBS N-ブロモスクシンイミド
HATU O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム
ヘキサフルオロホスフェート
HOBt 1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール
DCC ジクロロヘキシカルボジイミド
TFAA 無水トリフルオロ酢酸
【0112】
開始物質を商業供給者から入手し、そうでないと記述しない限りさらに精製をせずに用いた。フラッシュクロマトグラフィ−を、そうでないと記述しない限り、固定相としてのプレパックIsolute Flash(商標)またはBiotage(商標)シリカゲルカラムおよび溶離剤としての分析グレード溶媒を用いて行った。
【0113】
NMRスペクトルを298K、303.2Kまたは300Kにて、記述された周波数においてBruker(商標)DPX400またはAV400マシンのいずれかを用いて得て、そうでないと記述しない限りCDCl3希釈溶液として実行した。すべてのNMRスペクトルについてテトラメチルシラン (TMS δH 0, δC 0)を参照した。全てのカップリング定数をヘルツ(Hz)で示し、多重度としてs(シングル)、bs(ブロードシングル)、d(ダブル)、t(トリプル)、q(クアルテット)、dd(ダブルダブル)、dt(ダブルトリプル)およびm(マルチプル)を付した。
【0114】
以下の方法を、LC/MS解析に用いた。
カラム: Waters Acquity BEH UPLC C18, 2.1 mm x 50 mm。固定相の粒子サイズは1.7μmである。
溶媒
A:水性溶媒 = 水 + 0.05% ギ酸
B:有機溶媒 = アセトニトリル + 0.05% ギ酸
弱洗浄 = 1:1 メタノール:水
強洗浄 = 水
用いられる一般的方法では、2分の実行時間とした。
【0115】
【表1】

【0116】
・上記の方法では、1 ml/分の流速とした。
・一般的方法についての注入容量は0.5 ulである。
・カラムの温度は40℃である。
・UV検出範囲は20〜330 nmである。
【0117】
全イオン電流トレース(total ion current traces)は、エレクトロスプレー陽イオン化および陰イオン化(ES+ / ES-)並びに大気圧化学的陽イオン化および陰イオン化(AP+ / AP-)について得た。
【0118】
全ての引用される滞留時間は、LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)を用いて測定される。適切である場合には、これら滞留時間は、質量分析自動精製法(MDAP; mass-directed auto-purification)を用いる精製のための規準として用いた。
【0119】
精製
多数の化合物を、HPLC技術および適切な質量分析器、例えばWaters(登録商標)ZQ 質量分析器を組み込まれている質量分析自動精製(MDAP)システムを用いて精製した。
【0120】
中間体 1:N-(4-シアノ-2-メチルフェニル)-2,2,2-トリフルオロアセタミド
【0121】
【化5】

【0122】
丸底フラスコ中で、 4-アミノ-3-メチルベンゾニトリル(Alfa Aesar, Avocado, Lancaster; 10.88 g, 82 mmol)およびEt3N(22.95 ml, 165 mmol)をDCM (200 ml) 中で0℃にて撹拌した。TFAA (13.95 ml, 99 mmol) を滴下漏斗を介してゆっくり加え、混合物を室温にて30分間撹拌した。反応混合物を2M HCl (150 mL)中に注ぎ込んだ。有機層を次いで回収し、次いで重炭酸ナトリウムの飽和溶液(150 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去して暗黄色固体(19.37 g)を得た。
m/z (ES-) 227 (M-1);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.43 (1H, d), 7.91 (1H, br s), 7.59 (1H, dd), 7.56 (1H, s), 2.37 (3H, s).
【0123】
中間体 2: ([5-シアノ-2-[(トリフルオロアセチル)アミノ]フェニル]メチル)(トリフェニル)ホスホニウムクロリド
【0124】
【化6】

【0125】
丸底フラスコ中で、N-(4-シアノ-2-メチルフェニル)-2,2,2-トリフルオロアセタミド(中間体 1、19.37 g、85 mmol)、スルフリルジクロリド(27.6 ml、340 mmol)およびジフェニルペルオキシアンヒドリド(1.028 g, 4.24 mmol)を四塩化炭素(210 ml)中で100℃にて3時間熱した。混合物を室温になるまで冷却し、次いで反応混合物を2M HCl(350 mL)中に注ぎ込んだ。有機層を次いで回収し、溶媒を除去してN-[2-(クロロメチル)-4-シアノフェニル]-2,2,2-トリフルオロアセタミドを橙色油(25.54 g)として得て、これを次なるステップにおいて、さらなる精製をせずに用いた。この油をトリフェニルホスフィン(26.2 g、100 mmol)に加え、混合物をトルエン(300 ml)中で110℃にて3時間熱した。混合物を室温になるまで一晩冷却し、沈殿物を濾過し、少量のトルエンおよびジエチルエーテルで洗浄して、題目の化合物をオフホワイト色固体(29.91 g)として得た。
m/z (ES+) 489;1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 12.32 (1H, s), 7.79-7.57 (16H, m), 7.50 (1H, d), 7.38 (1H, s), 6.18 (2H, d).
【0126】
中間体 3 : ([3-ブロモ-5-シアノ-2-[(トリフルオロアセチル)アミノ]フェニル]メチル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド
【0127】
【化7】

【0128】
([5-シアノ-2-[(トリフルオロアセチル)アミノ]フェニル]メチル)(トリフェニル)ホスホニウムクロリド(中間体2、32 g)をDMF(150 mL)中に溶解させ、脱色用チャコール(32 g)を加えた。反応混合物を室温にて2時間撹拌した。反応混合物を次いで濾過し、DMF(100 mL)で洗浄した。 N-ブロモスクシンイミド(34.9 g)を次いで濾液に加え、反応混合物を次いで室温にて一晩撹拌した。反応混合物をメタ重亜硫酸ナトリウムの飽和溶液(500 mL)でクエンチ(quenched)し、室温にて30分間撹拌した。反応混合物を次いで酢酸エチル(2 x 400 mL)で抽出し、有機抽出物を混合し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去し、題目の化合物を粗生成物(37.2 g)として得て、次いでこれを次なる反応において、さらなる精製をせずに用いた。
m/z (ES+) 568 & 570 (M+1).
【0129】
中間体 4: 2-(トリフルオロメチル)-5-シアノ-7-ブロモ-1H-インドール
【0130】
【化8】

【0131】
([3-ブロモ-5-シアノ-2-[(トリフルオロアセチル)アミノ]フェニル]メチル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(中間体3、37.2 g)をDMF(150 mL)中に溶解させ、反応混合物を3時間撹拌しながら130℃になるまで熱した。反応混合物を室温になるままに冷却し、次いで水(400 mL)を用いてクエンチした。反応混合物を次いで酢酸エチル(3 x 300 mL)を用いて抽出した。有機抽出物を水:塩水の1:1混合物(2 x 600 mL)を用いて洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去した。得られた残渣を次いで2〜10%のEtOAc:イソヘキサンを用いて溶離するシリカゲルのパッドを通過させる濾過により精製した。フラクション1〜4を混合し、溶媒を除去して題目の化合物をオフホワイト色固体(6 g)として得た。
m/z (ES-) 287 + 289 (M-1); 1H NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ 13.15 (1H, s), 8.32 (1H, s), 8.01 (1H, s), 7.34 (1H, s).
【0132】
中間体 5: [(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]アミン
【0133】
【化9】

【0134】
THF(10 mL)中の2-(トリフルオロメチル)-5-シアノ-7-ブロモ-1H-インドール(中間体4、200 mg)溶液をアイスウォーターバス中で冷却し、シリンジを介するボランテトラヒドロフラン錯体(1.52 mL)の滴下により処理し、アルゴン下に室温になるままに18時間撹拌した。反応混合物を次いでメタノール(5 mL)でクエンチし、室温にて10分間撹拌した。反応混合物を次いで蒸発により乾燥させ、題目の化合物を白色泡状物質として得て(230 mg)、これを次なるステップにおいて、さらなる精製をせずに用いた。
m/z 290/292 (M-H). LCMS Rt 0.61分.
【0135】
中間体 6: N-[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボキサミド
【0136】
【化10】

【0137】
DCM (10 mL)中に[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]アミン(中間体5、230 mg)を溶解し、6-(トリフルオロメチル)ニコチノイルクロリド (ABCR; 181 mg)を加えた。Et3N (0.22 mL)を加え、反応混合物を次いで室温にて30分間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、次いで有機層を回収し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、蒸発により乾燥させた。得られた残渣をMDAPにより精製し、題目の化合物を得た(200 mg)。
m/z (ES+) 466 & 468 (M+1);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 9.08 (1H, d), 8.58 (1H, s), 8.33 (1H, dd), 7.82-7.76 (1H, m), 7.64 (1H, s), 7.52 (1H, s), 6.99 (1H, s), 6.53 (1H, m), 4.76 (2H, d).
【0138】
化合物1:N-[[7-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド
【0139】
【化11】

【0140】
5 mLマイクロ波反応器バイアル中で、N-[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボキサミド (中間体6、80 mg)、1-メチル-2-トリブチルスタンニル-1H-イミダゾール(Synthonix, 80 mg)、塩化リチウム(72.8 mg)、ヨウ化銅(I) (3.27 mg)およびPd(Ph3P)4 (19.83 mg)をトルエン (2 mL)中で撹拌し、アルゴンガスを用いて脱気した。反応混合物を次いでマイクロ波中で140℃にて3時間熱した。反応混合物を水(10 mL)中に注ぎ込み、酢酸エチル (20 mL)で抽出した。有機抽出物を次いで乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去した。得られた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させ、題目の化合物を白色固体(15 mg)として得た。
m/z (ES+) 468 (M+1);1H NMR (400 MHz, d4-MeOD): δ 9.13 (1H, d), 8.44 (1H, dd), 7.92 (1H, dd), 7.82 (1H, s), 7.50 (1H, s), 7.26 (1H, s), 7.15 (1H, s), 7.01 (1H, s), 4.76 (2H, s), 3.69 (3H, s).
【0141】
化合物2:N-[[7-(2-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド
【0142】
【化12】

【0143】
2 mLマイクロ波反応器バイアル中で、N-[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボキサミド(中間体6、50 mg)、2-トリ-n-ブチルスタンニルピリジン (Frontier Scientific Inc., 79 mg)、塩化リチウム(45.5 mg)、ヨウ化銅(I) (2.04 mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (12.39 mg)をトルエン(2 mL)中で撹拌し、アルゴンガスを用いて脱気した。反応混合物を次いでマイクロ波反応器中で140℃にて3時間熱した。反応混合物を水(20 mL)中に注ぎ込み、酢酸エチル (40 mL)を用いて抽出した。有機抽出物を次いで水(2 x 20 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去した。得られた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させ、題目の化合物をオフホワイト色固体(25.7 mg)として得た。
m/z (ES+) 465 (M+1); 1H NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ 12.09 (1H, s), 9.51 (1H, t), 9.21 (1H, d), 8.80 (1H, dd), 8.51 (1H, dd), 8.13 (1H, dd), 8.08 (1H, dd), 8.00 (1H, d), 7.98 (1H, m), 7.78 (1H, d), 7.44-7.41 (1H, m), 7.15 (1H, s), 4.72 (2H, d).
【0144】
化合物3:N-[[7-(3-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド
【0145】
【化13】

【0146】
2 mLマイクロ波反応器バイアル中で、N-[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボキサミド(中間体6、100 mg)、ピリジン-3-ボロン酸(Frontier Scientific Inc., 52.7 mg)、炭酸ナトリウム(114 mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (24.79 mg)を1,4-ジオキサン(2 mL)/水(0.5 mL)中で撹拌し、アルゴンガスを用いて脱気した。反応混合物を次いでマイクロ波反応器中で100℃にて3時間熱した。反応混合物を水(20 mL)に注ぎ込み、酢酸エチル(40 mL)で抽出した。有機抽出物を次いで水(2 x 20 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去した。得られた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させ、題目の化合物をオフホワイト色固体(36.9 mg)として得た。
m/z (ES+) 465 (M+1); 1H NMR (400 MHz, d4-MeOD): δ 9.15 (1H, s), 8.78 (1H, d), 8.59 (1H, dd), 8.42 (1H, dd), 8.08 (1H, m), 7.89 (1H, dd), 7.75 (1H, d), 7.6-7.52 (1H, m), 7.32 (1H, d), 6.99 (1H, s), 4.74 (2H, s).
【0147】
化合物4:N-[[7-(4-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド
【0148】
【化14】

【0149】
2 mlマイクロ波反応器バイアル中で、N-[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボキサミド(中間体6、100 mg)、ピリジン-4-ボロン酸(Frontier Scientific Inc., 79 mg)、炭酸ナトリウム(114mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (49.6 mg)を1,4-ジオキサン(2 mL)/水(0.5 mL)中で撹拌し、アルゴンガスを用いて脱気した。反応混合物を次いでマイクロ波反応器中で100℃にて3時間熱した。反応混合物を水(20 mL)に注ぎ込み、酢酸エチル(40 mL)で抽出した。有機抽出物を次いで水(2 x 20 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去した。得られた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させ、題目の化合物をオフホワイト色固体(47.4 mg)として得た。
m/z (ES+) 465 (M+1); 1H NMR (400 MHz, d4-MeOD): δ 9.12 (1H, d), 8.65 (2H, dd), 8.42 (1H, dd), 7.91 (1H, dd), 7.78 (1H, d), 7.70 (2H, dd), 7.48 (1H, d), 7.01 (1H, s), 4.75 (2H, s).
【0150】
化合物5:N-[[7-(5-ピリミジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド
【0151】
【化15】

【0152】
2 mLマイクロ波バイアル中で、N-[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボキサミド(中間体6、100 mg)、5-ピリミジンボロン酸(Frontier Scientific Inc., 80 mg)、炭酸ナトリウム(114 mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (49.6 mg)を1,4-ジオキサン(2 mL)/水(0.5 mL)中で撹拌し、アルゴンガスを用いて脱気した。反応混合物を次いでマイクロ波反応器中で100℃にて3時間熱した。反応混合物を水(20 mL)に注ぎ込み、酢酸エチル (40 mL)で抽出した。有機抽出物を次いで水(2 x 20 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去した。得られた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させ、題目の化合物をブラウン色固体(34.0 mg)として得た。
m/z (ES+) 466 (M+1); 1H NMR (400 MHz, d4-MeOD): δ 9.21 (1H, s), 9.13 (1H, s), 9.03 (2H, s), 8.44 (1H, dd), 7.91 (1H, dd), 7.81 (1H, s), 7.40 (1H, s), 7.03 (1H, s), 4.76 (2H, s).
【0153】
化合物6:N-[[7-(2-メチル-3-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド
【0154】
【化16】

【0155】
2 mLマイクロ波バイアル中で、N-[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボキサミド(中間体6、100 mg)、2 メチルピリジン-3-ボロン酸(Apollo Scientific Ltd., 88 mg)、炭酸ナトリウム(114 mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (24.79mg)を1,4-ジオキサン(2 mL)/水(0.5 mL)中で撹拌し、アルゴンガスを用いて脱気した。反応混合物を次いでマイクロ波反応器中で100℃にて3時間熱した。反応混合物を水(20 mL)に注ぎ込み、酢酸エチル(40 mL)で抽出した。有機抽出物を次いで水(2 x 20 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去した。得られた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させ、題目の化合物を白色固体(59 mg)として得た。
m/z (ES+) 479 (M+1); 1H NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ 11.98 (1H, s), 9.50 (1H, t), 9.21 (1H, s), 8.58 (1H, m), 8.51 (1H, dd), 8.07 (1H, d), 7.70 (1H, s), 7.65 (1H, dd), 7.39-7.32 (1H, m), 7.16 (1H, s), 7.09 (1H, s), 4.69 (2H, d), 2.24 (3H, s).
【0156】
化合物7:N-[[7-(4-メチル-3-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド
【0157】
【化17】

【0158】
2 mLマイクロ波バイアル中で、N-[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボキサミド(中間体6、100 mg)、4 メチルピリジン-3-ボロン酸(Frontier Scientific Inc., 58.8 mg)、炭酸ナトリウム(114 mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (24.79mg)を1,4-ジオキサン(2 mL)/水(0.5 mL)中で撹拌し、アルゴンガスを用いて脱気した。反応混合物を次いでマイクロ波反応器中で100℃にて3時間熱した。反応混合物を水(20 mL)に注ぎ込み、酢酸エチル (40 mL)で抽出した。有機抽出物を次いで水(2 x 20 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去した。得られた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させ、題目の化合物をブラウン色固体(25 mg)として得た。
m/z (ES+) 479 (M+1); 1H NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ 12.00 (1H, s), 9.49 (1H, t), 9.20 (1H, d), 8.53-8.49 (2H, m), 8.43 (1H, m), 8.05 (1H, d), 7.72 (1H, s), 7.41 (1H, d), 7.18 (1H, d), 7.10 (1H, s), 4.67 (2H, d), 2.09 (3H, s).
【0159】
化合物8:N-[[7-[6-(メチルオキシ)-3-ピリジニル]-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド
【0160】
【化18】

【0161】
2 mLマイクロ波バイアル中で、N-[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボキサミド(中間体6、100 mg)、6-(メチルオキシ)-3-ピリジニル]ボロン酸(ABCR, 32.8 mg, 0.215 mmol)、炭酸ナトリウム(114 mg, 1.073 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (24.79 mg)を1,4-ジオキサン(2 mL)/水(0.5 mL)中で撹拌し、アルゴンガスを用いて脱気した。反応混合物を次いでマイクロ波反応器中で100℃にて3時間熱した。 反応混合物を水(20 mL)に注ぎ込み、酢酸エチル(40 mL)で抽出した。有機抽出物を次いで水(2 x 20 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去した。得られた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させ、題目の化合物をオフホワイト色固体(91.1 mg)として得た。
m/z (ES+) 495 (M+1); 1H NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ 12.10 (1H, s), 9.48 (1H, t), 9.20 (1H, d), 8.51 (1H, dd), 8.39 (1H, d), 8.05 (1H, d), 7.91 (1H, dd), 7.67 (1H, s), 7.29 (1H, d), 7.11 (1H, s), 6.99 (1H, dd), 4.66 (2H, d), 3.94 (3H, s).
【0162】
化合物9:N-[[7-[2-(メチルオキシ)-3-ピリジニル]-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド
【0163】
【化19】

【0164】
2 mLマイクロ波バイアル中で、N-[(2-トリフルオロメチル-7-ブロモ-1H-インドール-5-イル)メチル]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボキサミド(中間体 6、100 mg)、2-(メチルオキシ)-3-ピリジニル]ボロン酸(Frontier Scientific Inc., 65.6 mg)、炭酸ナトリウム(114 mg, 1.073 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (24.79 mg)を1,4-ジオキサン(2 mL)/水(0.5 mL)中で撹拌し、アルゴンガスを用いて脱気した。反応混合物を次いでマイクロ波反応器中で100℃にて3時間熱した。反応混合物を水(20 mL)に注ぎ込み、酢酸エチル(40 mL)で抽出した。有機抽出物を次いで水(2 x 20 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を除去した。得られた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させ、題目の化合物をオフホワイト色固体(91.2 mg)として得た。
m/z (ES+) 495 (M+1); 1H NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ 11.88 (1H, s), 9.47 (1H, t), 9.19 (1H, d), 8.50 (1H, dd), 8.29 (1H, dd), 8.05 (1H, d), 7.73 (1H, dd), 7.67 (1H, s), 7.21 (1H, d), 7.13 (1H, dd), 7.04 (1H, s), 4.64 (2H, d), 3.80 (3H, s).
【0165】
生物学的アッセイ
本発明の化合物のα7 nAChRにおけるPAM活性は、Fluorimetric Image Plate Reader (FLIPR) (Schroeder ら、J. Biomolecular Screening, 1(2), p75-80, 1996を参照されたい)を用いる以下の細胞ベースのカルシウムフラックスアッセイを用いて測定され得る。
【0166】
ヒトα7 nAChRで安定的に形質転換されたGH4C1細胞系を384ウェルプレート中に懸濁し、30℃にて48時間5%二酸化炭素雰囲気中でインキュベートした。生育培地を除去し、細胞をハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、20 mM HEPESおよび2.5 mMプロベネシドの溶液で3回洗浄し、20 μlの洗浄溶液を各ウェル中に残した。HBSS、プロベネシド、1〜4μM Fluo4 AM(カルシウムインジケータ染料)およびプルロニック酸を含むローディング溶液(20 μl)を加え、プレートを45分間37℃にて二酸化炭素のない雰囲気下にインキュベートした。細胞を3回洗浄し、30 μlを各ウェル中に残した。細胞およびカルシウムインジケータ染料を含むプレートを、次いでFLIPRに移した。アッセイを、10秒間隔でベースラインデータ点を採ることにより開始し、緩衝溶液(0.33% DMSO)中の試験化合物を添加し、10 μMの最終濃度になるまで希釈し、すべてのウェルについて1:2または1:3と段階的に希釈し、<1 nMの低濃度を得た。続いてさらに 5〜10分、10 μlの50 μMニコチンを添加し、データを2〜3分間採った。ニコチンは、急速、一過的および再生可能なカルシウムフラックスを産生し、これは、ポジティブアロステリックモジュレータ試験化合物を用いて強化できた。
【0167】
サポート化合物を、上記のアッセイを用いてスクリーニングし、ニコチンコントロールと比較しておよそ1200%の応答領域の最大薬効を有する、6.0に等しいかまたは6.0よりも大きいpEC50を得た。
【0168】
ニコチン性α7受容体ポジティブモジュレータの活性の評価に利用性を有するインビボアッセイは、制限されないが、以下を含む:遅延位置合わせおよび位置合わせ不能(delayed matching and non-matching to position)、受動的回避、新奇形態認識(novel object recognition)、モーリス水迷路(またはその変化形)、放射状(アーム)迷路、5-選択反応時間課題、手がかり/文脈恐怖条件付け(cued / contextual fear conditioning)を含む未処理動物および薬理学的損傷動物における認知アッセイ;並びに驚愕反射プレパルス抑制(pre-pulse inhibition of the startle reflex)および聴覚ゲーティング(auditory gating)を含む未処理動物および薬理学的損傷動物における感覚ゲーティングアッセイ;並びに医薬(例えばアンフェタミン、モルフィン、フェンサイクリジン)誘導性自発運動活性のアッセイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(ここで、
R1はイミダゾリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、これらのいずれもがC1-3アルキルおよびC1-3アルコキシから独立して選択される1つの基により任意に置換されていてもよい)
の化合物またはその塩。
【請求項2】
R1がイミダゾリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、これらのいずれもがメチルおよびメトキシから独立して選択される1つの基により任意に置換されていてもよい請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
R1がピリジニルまたはピリミジニルであり、これらのいずれもがメチルおよびメトキシから独立して選択される1つの基により任意に置換されていてもよい請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
R1が、メチルおよびメトキシから独立して選択される1つの基により任意に置換されていてもよいピリジニルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
N-[[7-[2-(メチルオキシ)-3-ピリジニル]-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(2-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(3-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(4-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(5-ピリミジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(2-メチル-3-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-(4-メチル-3-ピリジニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
N-[[7-[6-(メチルオキシ)-3-ピリジニル]-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;および
N-[[7-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジンカルボキサミド;
から選択される化合物またはその塩。
【請求項6】
上記の塩が医薬的に許容される塩である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塩。
【請求項7】
医薬として用いるための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
精神病性障害の治療に用いるための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
精神病性障害が統合失調症である、請求項8に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
認知障害の治療に用いるための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
精神病性障害の治療用医薬の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項12】
精神病性障害が統合失調症である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
認知障害の治療用医薬の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含むヒトにおける精神病性障害の治療方法。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含むヒトにおける統合失調症の治療方法。
【請求項16】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含むヒトにおける認知障害の治療方法。
【請求項17】
a) 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩およびb)1以上の医薬的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2012−524043(P2012−524043A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505160(P2012−505160)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054910
【国際公開番号】WO2010/119078
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(507277930)プロキシマジェン エルティーディー (10)
【氏名又は名称原語表記】PROXIMAGEN LTD.
【住所又は居所原語表記】91−93 Farringdon Road, London EC1M 3LN, United Kingdom
【Fターム(参考)】