説明

ころ軸受および風力発電機の主軸支持構造および間座

【課題】生産性が良好なころ軸受を提供する。
【解決手段】円錐ころ軸受は、外輪32と、内輪33と、外輪32と内輪33との間に配置される複数の円錐ころ34と、複数の円錐ころ34を保持するポケットを有し、外輪32と内輪33との間で周方向に順次連ねて配置される複数の保持器セグメント11a等と、周方向に連ねた最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間に配置される間座26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ころ軸受および風力発電機の主軸支持構造および間座に関し、特に、分割型の保持器を含むころ軸受およびこのようなころ軸受を備える風力発電機の主軸支持構造およびこのようなころ軸受に備えられる間座に関する。
【背景技術】
【0002】
ころ軸受は、一般的には、外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に配置される複数のころと、複数のころを保持する保持器とから構成される。ころを保持する保持器については、その材質や製造方法等により、樹脂製保持器、プレス保持器、削り保持器、溶接保持器等、様々な種類があり、それぞれ用途や特性に応じて使い分けられている。また、保持器は通常、一体型、すなわち、環状の一つの部品で構成されている。
【0003】
風を受けるためのブレードが取り付けられた風力発電機の主軸を支持するころ軸受については、大きな荷重を受ける必要があるため、ころ軸受自体も大型となる。そうすると、ころや保持器等、ころ軸受を構成する各構成部材も大型となり、部材の生産や組み立てが困難となる。このような場合、各部材を分割可能とすると、生産や組み立てが容易となる。
【0004】
ここで、ころ軸受に含まれる保持器を、軸に沿う方向に延びる分割線によって分割した分割型の保持器に関する技術が、ヨーロッパ特許公報1408248A2(特許文献1)に開示されている。図14は、特許文献1に開示された分割型の保持器である保持器セグメントを示す斜視図である。図14を参照して、保持器セグメント101aは、ころを収容する複数のポケット104を形成するように軸に沿う方向に延びる複数の柱部103a、103b、103c、103d、103eと、複数の柱部103a〜103eを連結するように周方向に延びる連結部102a、102bとを有する。
【0005】
図15は、図14に示した保持器セグメント101aを含むころ軸受の一部を示す断面図である。図14および図15を参照して、保持器セグメント101aを含むころ軸受111の構成を説明すると、ころ軸受111は、外輪112と、内輪113と、複数のころ114と、複数のころ114を保持する複数の保持器セグメント101a、101b、101c等とを有する。複数のころ114は、最もころの挙動が安定する位置であるPCD(Pitch Circle Diameter)105付近において、複数の保持器セグメント101a等によって保持されている。複数のころ114を保持する保持器セグメント101aは、周方向において隣接する同一形状の保持器セグメント101b、101cと、周方向のもっとも外側にある柱部103a、103eが当接するように連なって配置されている。複数の保持器セグメント101a、101b、101c等が連なって、ころ軸受111に組み込まれ、ころ軸受111に含まれる一つの環状の保持器が形成される。
【特許文献1】ヨーロッパ特許公報EP1408248A2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した一つの環状の保持器は、複数の保持器セグメントを周方向に連ねて配置させることにより形成される。複数の保持器セグメントを周方向に連ねて、一つの環状の保持器を形成するには、熱膨張等を考慮した周方向のすき間が必要である。
【0007】
ここで、この周方向のすき間が広すぎれば、保持器セグメントが周方向に大きく動き、隣接する保持器セグメント同士が衝突し、異音が発生したり、保持器セグメントが破損するおそれがある。また、保持器セグメントは、温度上昇に伴って熱膨張するが、この周方向のすき間が狭い場合には、熱膨張により、隣接する保持器セグメントとのすき間がなくなり、隣接する保持器セグメント同士が押し合うことになる。この熱膨張による周方向への応力は、保持器セグメントの摩擦や摩耗の原因となり、これも保持器セグメントの破損の要因となる。
【0008】
ここで、特許文献1によると、各保持器セグメントを当接させ、周方向に連ねて配置したときに、最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に生じる最後のすき間の寸法を、保持器セグメントの中央を通る円の円周の0.15%以上、かつ、1%未満と規定することにより、周方向のすき間の寸法を適正にする技術が開示されている。
【0009】
しかし、各保持器セグメントはそれぞれ単独で製造されるため、各保持器セグメントにおいて、周方向の寸法誤差を有する。このような寸法誤差を有する保持器セグメントを、周方向に連ねて配置した場合、寸法誤差も累積されていくことになる。したがって、周方向のすき間の寸法を上記した所定の範囲内にするには、各保持器セグメントを高精度で製造しなければならず、保持器セグメントの生産性が悪化し、引いては、ころ軸受の生産性も悪化することになる。
【0010】
この発明の目的は、生産性が良好なころ軸受を提供することである。
【0011】
この発明の他の目的は、生産性が良好な風力発電機の主軸支持構造を提供することである。
【0012】
この発明のさらに他の目的は、安定して配置される間座を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係るころ軸受は、外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に配置される複数のころと、ころを保持するポケットを有し、外輪と内輪との間で周方向に順次連ねて配置される複数の保持器セグメントと、周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置される間座とを備える。
【0014】
このように構成することにより、最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとのすき間に、間座を配置させることができる。そうすると、各保持器セグメントの周方向の寸法誤差に関わらず、最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとのすき間の寸法を、設定された範囲内にすることができる。したがって、各保持器セグメントを高精度で製造する必要はなくなり、保持器セグメントの生産性が向上する。また、これに伴い、ころ軸受の生産性も良好になる。なお、この場合、ころと間座を配置させてもよい。
【0015】
ここで、保持器セグメントとは、一つの環状の保持器を、少なくともころを収容する1つのポケットを有するように、軸に沿う方向に延びる分割線によって分割した単位体である。また、最初の保持器セグメントとは、保持器セグメントを周方向に順次連ねて配置する際に、最初に配置される保持器セグメントをいい、最後の保持器セグメントとは、隣接する保持器セグメントを当接させ、周方向に順次連ねて配置していった際に、最後に配置される保持器セグメントをいう。複数の保持器セグメントが周方向に連なってころ軸受に組み込まれ、一つの環状の保持器を形成する。保持器セグメントは、少なくともころを収容する1つのポケットを有するものであり、ころを収容するポケットを有しない間座とは、異なるものである。
【0016】
好ましくは、保持器セグメントには、軸方向の両端に位置し、周方向に突出する一対の突部が設けられており、間座は、最初の保持器セグメントに設けられた一対の突部の周方向の端面および最後の保持器セグメントに設けられた一対の突部の周方向の端面と当接する。このように構成することにより、間座からの周方向の荷重を、一対の突部によって受けることができる。そうすると、保持器セグメントに含まれるポケットを形成する柱部に、間座から周方向に荷重を加えられることはない。したがって、柱部の変形や破損およびポケットに保持されるころのロックを防止することができる。
【0017】
より好ましくは、間座は、軸方向の両端に位置し、最初および最後の保持器セグメントの突部に挟まれる端部と、この両端部間に位置する中央部とを有する。このように構成することにより、間座に含まれる両端部と、最初および最後の保持器セグメントの一対の突部とが当接することになる。そうすると、保持器セグメントの柱部と、間座の端部とが当接することはない。したがって、間座から柱部に荷重を加えられることはない。
【0018】
さらに好ましくは、間座の中央部は、周方向に膨出し、保持器セグメントの一対の突部の間に受入れられる周方向膨出部を有する。このように構成することにより、間座の軸方向の移動が、一対の突部に拘束され、軸方向の移動が規制される。したがって、間座の軸方向への変位を抑制することができる。
【0019】
さらに好ましくは、間座には、周方向に貫通する溝が設けられている。このように構成することにより、間座に設けられた溝によって、油やグリースの潤滑剤を周方向に円滑に潤滑させることができる。ここで、貫通とは、間座の中央部分を貫通する場合のみならず、内径側または外径側の面上を貫通する場合も含む。
【0020】
さらに好ましくは、最初の保持器セグメントと間座とのすき間の周方向の寸法は、周方向に連なった保持器セグメントの連結部を通る円の円周の0.15%以上であり、軸方向の最大ころ径未満である。このように構成することにより、保持器セグメント間のすき間寸法を適正に保つことができる。具体的には、円周の0.15%以上とすることにより、各保持器セグメントが熱膨張した場合でも、保持器セグメントが破損するおそれはない。ここで、より大荷重を受けるために、隣接する保持器セグメントの間にころを配置することが考えられるが、すき間の寸法を軸方向の最大ころ径未満とすることにより、隣接する保持器セグメントの間に配置されたころの案内を円滑に行うことができる。
【0021】
さらに好ましくは、ころは、円錐ころである。上記した風力発電機の主軸等に使用されるころ軸受は、大きなスラスト荷重やモーメント荷重、ラジアル荷重等を受ける必要がある。ここで、ころを円錐ころとすることにより、大きなスラスト荷重等を受けることができる。大きなスラスト荷重等を受けるために、円錐ころ軸受を大型とした場合でも、保持器が分割型の保持器セグメントであるため、組み込み易く、また、保持器セグメントの生産性が良好であるため、円錐ころ軸受の生産性も向上する。
【0022】
この発明のさらに他の局面においては、風力発電機の主軸支持構造は、風力を受けるブレードと、その一端がブレードに固定され、ブレードとともに回転する主軸と、固定部材に組み込まれ、主軸を回転自在に支持するころ軸受とを有する。ここで、ころ軸受は、外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に配置される複数のころと、ころを保持するポケットを有し、外輪と内輪との間で周方向に順次連ねて配置される複数の保持器セグメントと、周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置される間座とを備える。
【0023】
このような風力発電機の主軸支持構造は、生産性が良好なころ軸受を含むため、風力発電機の主軸支持構造自体の生産性も向上する。
【0024】
この発明のさらに他の局面においては、間座は、周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置され、最初の保持器セグメントまたは最後の保持器セグメントと当接する当接部を有する。間座は、独立した部材であり、ころ軸受内において、その配置が不安定であるが、このように構成することにより、間座の当接部を、最初の保持器セグメントまたは最後の保持器セグメントに当接させて配置することができる。したがって、ころ軸受内において、間座の配置を安定させることができる。
【0025】
さらに好ましくは、周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置され、自らの軸方向の移動を規制する移動規制手段を有する。このように構成することにより、間座自身の軸方向の移動を規制することができ、軸方向の配置を安定させることができる。
【0026】
さらに好ましくは、周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置され、潤滑剤を通油させる溝が設けられている。このように構成することにより、間座に設けられた溝を通じて、径方向や軸方向等に、潤滑剤を円滑に流動させることができる。そうすると、ころ軸受内において、潤滑剤を効率的に循環させることができる。したがって、ころを円滑に転動させることができる。
【0027】
さらに好ましくは、周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置され、軸方向に直交する平面で切断した場合において、2つの角部を通過する対角線の角部間の長さは、その断面におけるころ径よりも長い。上記したように、間座は、ころ軸受内において、その配置が不安定であり、周方向のすき間によって、間座が転倒してしまうおそれがある。しかし、このように構成することにより、間座が周方向の荷重を受けても、間座の角部が外輪等に引っ掛ることになる。したがって、間座の転倒を防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間の最後すき間に、間座を配置させることができる。そうすると、各保持器セグメントの寸法誤差に関わらず、最後すき間の寸法を、間座によって適正な範囲にすることができる。したがって、各保持器セグメントを高精度で製造する必要はなくなり、保持器セグメントの生産性が向上する。また、これに伴い、ころ軸受の生産性も良好になる。
【0029】
また、このような風力発電機の主軸支持構造は、生産性が良好なころ軸受を含むため、風力発電機の主軸支持構造自体の生産性も向上する。
【0030】
また、このような間座は、ころ軸受内において、安定して配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図2は、この発明の一実施形態に係る円錐ころ軸受に含まれる保持器セグメント11aを示す斜視図である。図3は、図2に示す保持器セグメント11aを、図2中の矢印III−IIIで、径方向に切断した場合の断面図である。また、図4は、保持器セグメント11aを、柱部14aを含む断面で、軸方向に切断した場合の断面図である。なお、理解の容易の観点から、図3および図4において、保持器セグメント11aが保持する複数の円錐ころ12a、12b、12cを点線で示している。
【0032】
図2、図3および図4を参照して、まず、円錐ころ軸受に含まれる保持器セグメント11aの構成について説明する。保持器セグメント11aは、円錐ころ12a、12b、12cを収容するポケット13a、13b、13cを形成するように、軸に沿う方向に延びる4つの柱部14a、14b、14c、14dと、軸方向の両端に位置し、4つの柱部14a、14b、14c、14dを連結するように周方向に延びる一対の連結部15a、15bと、軸方向の両端に位置し、周方向に突出する一対の突部16a、16bとを含む。
【0033】
一対の突部16a、16bは、一対の連結部15a、15bと連なって、周方向のもっとも外側に位置する柱部14a、14dから周方向に突出するように設けられている。すなわち、一対の突部16a、16bは、周方向において、連結部15a、15bが柱部14a、14dよりも周方向に延びた形状である。
【0034】
一対の連結部15a、15bおよび一対の突部16a、16bは、複数の保持器セグメント11a等が円錐ころ軸受に組み込まれた際に、周方向に連なって一つの環状の保持器を形成するように、周方向において所定の曲率半径を有している。一対の連結部15a、15bおよび一対の突部16a、16bのうち、円錐ころ12a等の小径側に位置する連結部15a、突部16aの曲率半径は、円錐ころ12a等の大径側に位置する連結部15b、突部16bの曲率半径よりも小さく構成されている。一対の突部16a、16bの周方向の端部には、複数の保持器セグメント11a等が周方向に連ねて配置されたときに、隣接する保持器セグメントと当接する端面21a、21bを有する。
【0035】
一対の突部16a、16bは、他の保持器セグメントと端面21a、21b同士を当接させて配置した場合に、保持器セグメント11aと他の保持器セグメントとの間に、円錐ころを収容するポケットを形成する。
【0036】
ポケット13aの周方向両側に位置する柱部14a、14bおよびポケット13cの周方向両側に位置する柱部14c、14dの内径側には、保持器セグメント11aの径方向外側への移動を規制する案内面17a、17b、17c、17dが設けられている。また、ポケット13bの周方向両側に位置する柱部14b、14cの外径側には、保持器セグメント11aの径方向内側への移動を規制する案内面18b、18cが設けられている。このような構成とすることにより、保持器セグメント11aは、いわゆるころ案内となり、保持器セグメント11aの径方向の位置を安定して配置することができる。
【0037】
また、もっとも周方向外側に位置する柱部14a、14dの周方向外側の外径側にも、案内面18a、18dが設けられている。この案内面18a、18dにより、隣接する保持器セグメントとの間に配置された円錐ころは、保持器セグメントを案内することができる。
【0038】
ここで、保持器セグメント11aは、独立しているため、円錐ころ軸受内に配置された場合、PCD22に対し、傾くおそれがある。しかし、保持器セグメント11aは、合計3つのポケット、具体的には、保持器セグメント11aの両端に2つの内径案内のポケット13a、13cおよび保持器セグメント11aの中央に1つの外径案内のポケット13bを有するため、保持器セグメント11aがPCD22に対して傾くおそれは少なくなり、安定性は良好である。
【0039】
柱部14a、14b、14c、14dの外径面側には、周方向に貫通する溝19が設けられており、内径面側には、周方向に貫通する溝20が設けられている。溝19は、軸方向の中央部分において、柱部14a〜14dの外径面から内径側に凹んだ形状であり、溝20は、軸方向の中央部分において、柱部14a〜14dの内径面から外径側に凹んだ形状である。このように構成することにより、潤滑剤を、周方向において、円滑に流動させることができる。
【0040】
次に、この発明の一実施形態に係る円錐ころ軸受に含まれる間座26について説明する。図5は、円錐ころ軸受に含まれる間座26の斜視図である。図5を参照して、間座26の構成について説明すると、間座26は、軸方向の両端に位置する端部27a、27bと、端部27a、27b間に位置する中央部28とを含む。端部27a、27bの軸方向の間隔は、上記した保持器セグメント11aに含まれる一対の突部16a、16bの軸方向の間隔と同じである。
【0041】
中央部28の周方向の寸法は、端部27a、27bの周方向の寸法よりも小さく構成されている。中央部28の径方向の寸法は、円錐ころ軸受に組み込まれたときの軌道面間の寸法よりも若干小さく構成されている。こうすることにより、間座26が円錐ころ軸受に組み込まれた際に、軌道輪案内となり、径方向の位置を安定させることができる。端部27a、27bの周方向の外側には、端面29a、29bを有する。中央部28の内径面側および外径面側には、周方向に貫通する溝30a、30bが設けられている。このように構成することにより、上記した保持器セグメント11aに設けられた溝19、20と同様、潤滑剤を、周方向において、円滑に流動させることができる。
【0042】
次に、上記した保持器セグメント11aおよび間座26を含む円錐ころ軸受の構成について説明する。図6は、複数の保持器セグメント11a、11b、11c、11d等および間座26を周方向に配置させた円錐ころ軸受31を、軸方向からみた概略断面図である。ここで、保持器セグメント11b、11c、11d等は、保持器セグメント11aと同一形状であるため、その説明を省略する。なお、図6においては、保持器セグメント11a等に保持される円錐ころ34を省略している。また、ここでは、複数の保持器セグメント11a〜11d等のうち、最初に配置される保持器セグメントを保持器セグメント11aとし、最後に配置される保持器セグメントを保持器セグメント11dとする。
【0043】
図6を参照して、円錐ころ軸受31は、外輪32と、内輪33と、複数の保持器セグメント11a〜11d等と、間座26とを備える。保持器セグメント11a〜11d等は、周方向において、順次連ねられて配置される。ここでは、まず、最初に保持器セグメント11aが配置され、次に、保持器セグメント11bが保持器セグメント11aと当接するように配置される。その後、保持器セグメント11cが保持器セグメント11bと当接するように配置され、順次、保持器セグメントが配置されていき、最後に、保持器セグメント11dが配置される。ここで、隣接する2つの保持器セグメント11a、11b等の間には、最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間を除いて、円錐ころ34が配置される。
【0044】
次に、保持器セグメント11a、11cと隣接する保持器セグメント11bの詳細について説明する。図7は、図6中においてVIIで示す部分の拡大断面図である。図7を参照して、保持器セグメント11bは、保持器セグメント11bの突部16cの端面21cと保持器セグメント11aの突部16aの端面21aとが当接し、保持器セグメント11bの突部16dの端面21dと保持器セグメント11cの突部16eの端面21eとが当接するように、配置されている。
【0045】
隣接する2つの保持器セグメント11b、11cの間には、円錐ころ34を収容するポケット35aが形成される。ポケット35aには、隣接する保持器セグメント11b、11cの間に配置される円錐ころ34が保持される。ここで、ポケット35aは、たとえば、保持器セグメント11bの突部16dおよび保持器セグメント11cの突部16eの突出量を、保持される円錐ころ34の径等に合わせて規定することにより、形成される。
【0046】
このように構成することにより、円錐ころ軸受31は、各保持器セグメント11a〜11d等に保持される円錐ころ34に加え、各保持器セグメント11b、11c等の間に配置された円錐ころ34によっても、荷重を受けることができる。そうすると、円錐ころ軸受31は、より大きな荷重を受けることができる。特に、円錐ころ軸受31に含まれる保持器セグメント11a〜11d等の数が多ければ、各保持器セグメント11b、11c等の間に配置される円錐ころ34の数も多くなるため、その効果は顕著である。
【0047】
また、保持器セグメント11bの周方向外側に位置する柱部37の外径側には、案内面36が設けられているため、保持器セグメント11bは、この案内面36によっても案内される。そうすると、保持器セグメント11bの径方向の位置をより安定させることができる。
【0048】
ここで、隣接する保持器セグメント11cの突部16eから保持器セグメント11bに対して、周方向、すなわち、図7中の矢印Dで示す方向に荷重が加わる場合がある。このような場合であっても、保持器セグメント11cの突部16eと保持器セグメント11bの突部16dとが当接するため、ポケット35a、35bを形成する柱部37に荷重が加わることはない。そうすると、柱部37の変形や破損、また、ポケット35bに保持する円錐ころ34のロックを防止することができる。
【0049】
次に、最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間に配置される間座26の配置状態について説明する。図1は、図6においてIで示す部分の拡大断面図である。また、図8は、図1に示す部分を径方向外側、すなわち、外輪32側からみた概略図である。図1および図8を参照して、保持器セグメント11a等を順次当接するように連なって配置していくと、保持器セグメント11aと保持器セグメント11dとの間には、すき間39が生じる。
【0050】
このすき間39の周方向の寸法は、温度上昇に伴う保持器セグメント11a〜11d等の熱膨張を考慮して、ある範囲内の寸法に設定されている。しかし、このようなすき間39の寸法は、各保持器セグメント11a〜11d等の周方向の寸法誤差が累積されている。したがって、すき間39の寸法を設定された範囲内とするのは、非常に困難である。
【0051】
ここで、保持器セグメント11dの突部16f、16g側の端面21f、21gと、間座26の端部27a、27bの一方側の端面29a、29bとが当接するように、間座26を配置させる。この場合、間座26の端部27a、27bは、保持器セグメント11aの突部16a、16bおよび保持器セグメント11dの突部16f、16gに挟まれた形になる。
【0052】
このように構成することにより、保持器セグメント11aと間座26との間に生じる周方向の最後すき間40の寸法を、容易に設定された範囲にすることができる。ここで、最後すき間とは、保持器セグメント11a〜11d等を円周上にすき間なしに配置し、さらに、最後の保持器セグメント11dと間座26とをすき間なしに配置したときに、最初の保持器セグメント11aと、最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間に配置された間座26との最大すき間をいう。保持器セグメント11aの連結部15aを通る円のうち、もっとも径の小さい円上のすき間39の寸法を寸法C、端部27aの寸法を寸法A、最後すき間40の寸法を寸法Bとすると、端部27aの寸法Aは、保持器セグメント11aと保持器セグメント11dとの間に間座26が配置されたときに、最後すき間40の寸法Bが、設定された範囲となるように、任意に定められる。ここで、寸法Bを設定された範囲にするには、たとえば、寸法Cに合わせて端部27aを周方向に削ってもよいし、様々な寸法Aを有する間座26を予め製造しておき、寸法Cに合わせて、間座26を選択して配置させるようにしてもよい。
【0053】
このように構成することにより、最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間に間座26が配置される円錐ころ軸受31は、保持器セグメント11a〜11d等の周方向の寸法誤差に関わらず、保持器セグメント11a、11dの間の最後すき間40を、設定された範囲にすることができる。そうすると、保持器セグメント11a〜11d等を高精度に製造する必要がなくなり、保持器セグメント11a〜11d等の生産性が向上する。また、これに伴って、円錐ころ軸受31の生産性も向上する。
【0054】
ここで、最適な最後すき間40の周方向の寸法は、保持器セグメント11aの連結部15aを通る円の円周の0.15%以上であり、円錐ころ34の軸方向の最大ころ径未満とする。
【0055】
最後すき間の周方向の寸法が、円周の0.15%以下であると、保持器セグメント11a〜11d等が熱膨張した場合に、保持器セグメント11aと間座26との間に設けられた最後すき間40がなくなり、保持器セグメント11a〜11d等に周方向の多大な応力が発生するおそれがあるためである。また、最後すき間の周方向の寸法が、円錐ころ34の軸方向の最大ころ径以上となると、隣接する保持器セグメント11a〜11d等の間に保持された円錐ころ34の軸方向の配置が不安定となり、案内不良を引き起こすおそれがあるためである。
【0056】
また、上記したように、間座26は、周方向に連ねた最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間に配置されるが、最初の保持器セグメント11aまたは最後の保持器セグメント11dと当接する当接部を有する。間座26は、独立した部材であり、円錐ころ軸受31内において、その配置が不安定であるが、このように構成することにより、間座26の当接部を、最初の保持器セグメント11aまたは最後の保持器セグメント11dに当接させて配置することができる。したがって、円錐ころ軸受31内において、間座26の配置を安定させることができる。
【0057】
ここで、上記したように、間座26の端面29a、29bを当接部として、最後の保持器セグメント11dの端面21f、21gに当接させることにより、配置を安定させることは、上記および図1、図8等により明らかである。ここで、他の実施形態によっても、間座26と最後の保持器セグメント11dとを当接させることもできる。たとえば、間座26の中央部28を、最後の保持器セグメント11dの柱部に当接させることにしてもよい。この場合、当接部は、間座26の中央部28となる。このように構成することによっても、間座26の配置を安定させることができる。なお、上記においては、理解の容易の観点から、間座26と最後の保持器セグメント11dとを当接させる場合について説明したが、間座26と最初の保持器セグメント11aとを当接させて、間座26の配置を安定させることにしてもよい。
【0058】
さらに上記と記載は重なるが、間座26は、周方向に連ねた最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間に配置される。ここで、間座26を、軸方向に直交する平面で切断した場合において、2つの角部を通過する対角線の角部間の長さは、その断面における円錐ころ34のころ径よりも長く構成されている。
【0059】
上記したように、間座26は、円錐ころ軸受31内において、その配置が不安定であり、保持器セグメント11a〜11d間に設けられた最後すき間40の寸法や間座26の形状によっては、間座26が周方向に転倒してしまうおそれがある。そうすると、周方向のすき間寸法を適切な範囲に保つことができなくなる。しかし、このように構成することにより、間座26の転倒を防止することができる。
【0060】
これを図16を参照して、説明する。図16は、最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間に間座26を配置した場合の拡大断面図であり、図1に対応する。図16を参照して、間座26の2つの角部46a、46bを通過する対角線47の2つの角部46a、46b間の長さをE、円錐ころ34のころ径をFとすると、E>Fとする。このように構成することにより、間座26が周方向に転倒しようとしても、角部46a、46bが外輪32や内輪33に引っ掛り、間座26の周方向の転倒を防止することができる。ここで、対角線47とは、間座26の有する2つの角部46a、46bを結ぶ線をいい、丸みを帯びている部分も角部46a、46bに含めるものである。
【0061】
ここで、上記した間座26に含まれる中央部28の周方向の寸法は、端部27a、27bの周方向の寸法よりも小さく構成されていたが、これに限らず、中央部28を周方向に膨出させ、中央部28の周方向の寸法を、端部27a、27bの周方向の寸法よりも大きくしてもよい。
【0062】
図9は、この場合における間座41の斜視図である。図9を参照して、間座41は、軸方向の両端に位置する端部42a、42bと、両端部42a、42b間に位置する中央部43とを有する。中央部43には、周方向両側から周方向に膨出し、保持器セグメント11aの一対の突部16a、16bおよび保持器セグメント11dの一対の突部16f、16gの間に受け入れられる形状の周方向膨出部44が設けられている。また、径方向の外径側および内径側の面上には、周方向に貫通する溝45a、45bが設けられている。
【0063】
図10は、間座41を保持器セグメント11a、11dの間に配置した場合の径方向外側からみた図である。図10を参照して、間座41は、最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間に配置される。ここで、間座41に設けられた周方向膨出部44は、保持器セグメント11aの突部16a、16bおよび保持器セグメント11dの一対の突部16f、16gの間に受け入れられる。
【0064】
このような構成の間座41は、軸方向に移動しようとしても、周方向膨出部44が一対の突部16a、16bおよび一対の突部16f、16gに拘束されて、軸方向の移動が規制される。したがって、間座41の軸方向の変位を抑制することができる。
【0065】
なお、ここで、周方向膨出部44は、中央部43の周方向の両側から膨出した形状としたが、これに限らず、中央部43の周方向の一方の側から、膨出した形状とすることにしてもよい。
【0066】
また、上記したように、間座41等は、周方向に連ねた最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間に配置されるが、間座41等は、自らの軸方向の移動を規制する移動規制手段を有する。
【0067】
間座26は、独立した部材であり、円錐ころ軸受31等内において、その配置が不安定である。このような間座41の中央部43に、周方向に膨出する周方向膨出部44を設け、一対の突部16f、16gに周方向膨出部44を受け入れるようにして、間座41の軸方向の移動を規制して、軸方向の変位を抑制し、軸方向の配置を安定させる。このことは、上記および図9、図10から明らかである。
【0068】
ここで、他の実施態様によっても、間座41等の軸方向の移動を規制することができる。たとえば、間座41の端部42a、42bに、最後の保持器セグメント11dと連結する連結手段を設ける。このように構成することにより、間座41が軸方向に移動しようとしても、端部42a、42bが、最後の保持器セグメント11dに連結されているため、保持器セグメント11dによって間座41の軸方向の移動が規制される。したがって、間座41の軸方向の位置を安定させることができる。この場合、たとえば、間座41の端部42a、42bに、最後の保持器セグメント11dの突部16f、16gに係合する係合部を設け、この係合部を係合させることにより、連結することにしてもよい。
【0069】
なお、上記の実施の形態においては、保持器セグメント11a等は、ころを収容するポケットを3つ有することにしたが、これに限らず、4つ以上のポケットを有することにしてもよい。図11(A)および図11(B)は、この場合における保持器セグメントの径方向断面図である。図11(A)を参照して、保持器セグメント51は、4つのポケット52a、52b、52c、52dを形成するように軸に沿う方向に延びる複数の柱部53と、柱部53を連結するように周方向に延びる一対の連結部54と、軸方向の両端に位置し、連結部54から連なって周方向に突出する一対の突部55a、55bとを含む。柱部53の内径側および外径側には、保持器セグメント51を案内するための案内面56が設けられている。また、図11(B)を参照して、保持器セグメント61は、5つのポケット62a、62b、62c、62d、62eを形成するように、軸に沿う方向に延びる複数の柱部63と、柱部63を連結するように周方向に延びる一対の連結部64と、軸方向の両端に位置し、連結部64から連なって周方向に突出する一対の突部65a、65bとを含む。柱部63の内径側および外径側には、保持器セグメント61を案内するための案内面66が設けられている。このような構成の保持器セグメント51、61は、案内面56、66が設けられたポケット52a等を多く有するため、より安定して径方向に配置される。
【0070】
なお、上記の実施の形態においては、間座26等の外径面および内径面上に、周方向に貫通する溝30a、30b等を設けたが、これに限らず、外径面または内径面上のいずれか一方の面上に溝30a等を設けることにしてもよいし、中央部28等の径方向の中央部を周方向に貫通することにしてもよい。この場合、保持器セグメント11a、11dに設けられた溝19、20等と間座26等に設けられる溝30a等との径方向の位置を合わせることにより、より効率的に潤滑剤を流動させることができる。
【0071】
また、上記したように、間座26等は、周方向に連ねた最初の保持器セグメント11aと最後の保持器セグメント11dとの間に配置されるが、間座26等には、潤滑剤を通油させる溝が設けられている。間座26等には、周方向に貫通する溝30a、30b等が設けられている。このことは、上記および図5、図8〜図10を参照すれば明らかである。ここで、周方向に限らず、軸方向に貫通した溝や径方向に貫通した溝を設けてもよい。
【0072】
このように構成することにより、軸方向および径方向において、潤滑剤を円滑に流動させることができる。そうすると、円錐ころ軸受31等内において、間座26に設けられた潤滑剤を通油させる溝を通じて、潤滑剤を効率的に循環させることができる。したがって、円錐ころ34を円滑に転動させることができる。この場合、上記したように、間座26等の表面を貫通することにしてもよいし、間座26等の中央部を貫通することにしてもよい。また、溝は、軸方向や径方向、周方向に複数設けてもよい。
【0073】
図12および図13は、この発明の一実施形態に係るころ軸受を主軸支持軸受75として適用した、風力発電機の主軸支持構造の一例を示している。主軸支持構造の主要部品を支持するナセル72のケーシング73は、高い位置で、旋回座軸受71を介して支持台70上に水平旋回自在に設置されている。風力を受けるブレード77を一端に固定する主軸76は、ナセル72のケーシング73内で、軸受ハウジング74に組み込まれた主軸支持軸受75を介して、回転自在に支持されている、主軸76の他端は増速機78に接続され、この増速機78の出力軸が発電機79のロータ軸に結合されている。ナセル72は、旋回用モータ80により、減速機81を介して任意の角度に旋回させられる。
【0074】
軸受ハウジング74に組み込まれた主軸支持軸受75は、この発明の一実施形態に係るころ軸受であって、外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に配置される複数のころと、ころを保持するポケットを有し、外輪と内輪との間で周方向に順次連ねて配置される複数の保持器セグメントと、周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置される間座とを備える。
【0075】
主軸支持軸受75は、大きな風力を受けるブレード77を一端に固定する主軸76を支持するため、大きな荷重がかかることになる。そうすると、主軸支持軸受75自体も大型にする必要がある。ここで、一つの環状の保持器を分割した形状の保持器セグメントを備えるころ軸受とすることにより、保持器の生産性、取扱い性、組み立て性が良好となるため、ころ軸受自体の生産性も良好となる。また、周方向に配置された保持器セグメントの間の最後すき間40は、間座により設定された範囲内であるため、温度上昇に伴う保持器セグメントの熱膨張や保持器セグメント同士の衝突による破損、異音発生のおそれは低減される。
【0076】
また、上記の実施の形態においては、保持器セグメントは、周方向に突出する突部を有することにしたが、これに限らず、突部を有さないタイプ、すなわち、周方向外側に柱部が配置される構成の保持器セグメントについても、適用される。
【0077】
なお、上記した円錐ころ軸受31に含まれる間座26等は、小型であり、かつ、単純形状であるため、その材質をエンジニアプラスチック等の樹脂製とし、射出成型等することによって、容易に製造することができる。こうすることにより、さらに生産性が良好となる。
【0078】
なお、上記の実施の形態においては、保持器セグメント11a等に収容されるころとして、円錐ころを用いたが、これに限らず、円筒ころや針状ころ、棒状ころ等を用いてもよい。
【0079】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
この発明に係るころ軸受は、保持器セグメントの寸法精度に関わらず、保持器セグメント間の最後すき間を設定された範囲内にすることができるため、生産性を向上したころ軸受に有効に利用される。
【0081】
また、この発明に係る風力発電機の主軸支持構造は、ころ軸受を容易に製造することができるため、生産性を向上した風力発電機の主軸支持構造に、有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に間座を配置した場合の拡大断面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る円錐ころ軸受に含まれる保持器セグメントの斜視図である。
【図3】図2に示す保持器セグメントを、径方向に切断した場合の断面図である。
【図4】図2に示す保持器セグメントを、軸方向に切断した場合の断面図である。
【図5】円錐ころ軸受に含まれる間座を示す斜視図である。
【図6】複数の保持器セグメントおよび間座を周方向に配置した場合の円錐ころ軸受の概略断面図である。
【図7】隣接する保持器セグメントを示す拡大断面図である。
【図8】図1に示す部分を径方向外側からみた概略図である。
【図9】周方向膨出部を含む間座の斜視図である。
【図10】図9に示す間座を径方向外側からみた図である。
【図11】円錐ころ軸受に含まれる保持器セグメントの他の実施態様であり、(A)4つのポケットを有する保持器セグメント、(B)5つのポケットを有する保持器セグメントの断面図である。
【図12】この発明に係る円錐ころ軸受を用いた風力発電機の主軸支持構造の一例を示す図である。
【図13】図12に示す風力発電機の主軸支持構造の図解的側面図である。
【図14】従来における保持器セグメントの斜視図である。
【図15】図14に示す保持器セグメントを、径方向に切断した場合の断面図である。
【図16】最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に間座を配置した場合の拡大断面図であって、2つの角部間の長さと、円錐ころのころ径との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
11a,11b,11c,11d,51,61 保持器セグメント、12a,12b,12c,34 円錐ころ、13a,13b,13c,35a,35b,52a,52b,52c,52d,62a,62b,62c,62d,62e ポケット、14a,14b,14c,14d,37,53,63 柱部、15a,15b,15c,15d,54,64 連結部、16a,16b,16c,16d,16e,16f,16g,55a,55b,65a,65b 突部、17a,17b,17c,17d,18a,18b,18c,18d,36,56,66 案内面、19,20,30a,30b,45a,45b 溝、21a,21b,21c,21d,21e,21f,21g,29a,29b 端面、22 PCD、26,41 間座、27a,27b,42a,42b 端部、28,43 中央部、31 円錐ころ軸受、32 外輪、33 内輪、39 すき間、40 最後すき間、44 周方向膨出部、70 支持台、71 旋回座軸受、72 ナセル、73 ケーシング、74 軸受ハウジング、75 主軸支持軸受、76 主軸、77 ブレード、78 増速機、79 発電機、80 旋回用モータ、81 減速機、46a,46b 角部、47 対角線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪と、
内輪と、
前記外輪と前記内輪との間に配置される複数のころと、
前記ころを保持するポケットを有し、前記外輪と前記内輪との間で周方向に順次連ねて配置される複数の保持器セグメントと、
周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置される間座とを備えるころ軸受。
【請求項2】
前記保持器セグメントには、軸方向の両端に位置し、周方向に突出する一対の突部が設けられており、
前記間座は、前記最初の保持器セグメントに設けられた一対の突部の周方向の端面および前記最後の保持器セグメントに設けられた一対の突部の周方向の端面と当接する、請求項1に記載のころ軸受。
【請求項3】
前記間座は、軸方向の両端に位置し、前記最初および最後の保持器セグメントの突部に挟まれる端部と、この両端部間に位置する中央部とを有する、請求項2に記載のころ軸受。
【請求項4】
前記間座の中央部は、周方向に膨出し、前記保持器セグメントの一対の突部の間に受入れられる周方向膨出部を有する、請求項3に記載のころ軸受。
【請求項5】
前記間座には、周方向に貫通する溝が設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載のころ軸受。
【請求項6】
前記最初の保持器セグメントと前記間座とのすき間の周方向の寸法は、周方向に連なった前記保持器セグメントの連結部を通る円の円周の0.15%以上であり、軸方向の最大ころ径未満である、請求項1〜5のいずれかに記載のころ軸受。
【請求項7】
前記ころは、円錐ころである、請求項1〜6のいずれかに記載のころ軸受。
【請求項8】
風力を受けるブレードと、
その一端が前記ブレードに固定され、ブレードとともに回転する主軸と、
固定部材に組み込まれ、前記主軸を回転自在に支持するころ軸受とを有する風力発電機の主軸支持構造であって、
前記ころ軸受は、外輪と、内輪と、前記外輪と前記内輪との間に配置される複数のころと、前記ころを保持するポケットを有し、前記外輪と前記内輪との間で周方向に順次連ねて配置される複数の保持器セグメントと、周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置される間座とを備える、風力発電機の主軸支持構造。
【請求項9】
周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置され、最初の保持器セグメントまたは最後の保持器セグメントと当接する当接部を有する、間座。
【請求項10】
周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置され、自らの軸方向の移動を規制する移動規制手段を有する、間座。
【請求項11】
周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置され、潤滑剤を通油させる溝が設けられている、間座。
【請求項12】
周方向に連ねた最初の保持器セグメントと最後の保持器セグメントとの間に配置され、軸方向に直交する平面で切断した場合において、2つの角部を通過する対角線の角部間の長さは、その断面におけるころ径よりも長い、間座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−187303(P2007−187303A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87829(P2006−87829)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】