説明

アクセス制御装置

【課題】伴連れを確実に防止しつつ管理領域に対する複数人のアクセス制御を一括して行うことができるアクセス制御装置を提供する。
【解決手段】アクセス制御装置は、ゲート3-0 と、電気錠付き扉3-15-1,3-15-2 と、カードリーダ3-6 と、生体認証端末3-5 を有する生体認証装置3-3 と、体重計3-12-1と、制御機3-1 を有する。複数人がゲート内に入ってICカード3-10-1〜3-10-4をリーダに翳す。各人について生体認証がされた後に、各ICカードからの体重データの合計と、体重計による合計体重データとが比較され、所定範囲内の誤差で一致した場合に扉を開いて全員がアクセス可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の出入りを管理しなければならない管理領域と、往来の自由な外部領域との間に設けられ、管理領域に対するアクセスを制御し、伴連れ(アクセス権を有する者に伴ってアクセス権のない者が管理領域に進入すること)を防止するためのアクセス制御装置に係る。特に、本発明は、アクセスしようとする人物が所持する各ICカードに記憶された当該人物の体重データを読み取り、またアクセスしようとする複数人の合計体重を測定して測定データを取得し、両データの比較結果に応じてアクセスの許可を行うことにより、管理領域に対する複数人のアクセスを一括管理して処理能力の増強を図ったアクセス制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のアクセス制御装置の構成図である。このアクセス制御装置は、人の出入りが管理される管理領域の出入口となる部分、すなわち管理領域と外部領域の間に設けられている。このアクセス制御装置は、管理領域と外部領域の間に伴連れ防止ゲート1-0 を有している。伴連れ防止ゲート1-0 は、その内部がゲート領域となる部屋乃至建物であり、外部領域側に電気錠制御機1-8-1 によって制御される電気錠付き扉1-7-1 が設けられ、その外側(外部領域側)には入室を要求するための押ボタン1-6-1 が設けられている。また管理領域側にも電気錠制御機1-8-2 によって制御される電気錠付き扉1-7-2 が設けられ、その外側(管理領域側)には入室を要求するための押ボタン1-6-2 が設けられている。これら電気錠制御機1-8-1,1-8-2 と押ボタン1-6-1,1-6-2 は、制御機1-1 に接続されて制御されるようになっており、進行方向1-11-1,1-11-2 について伴連れを防止するようになっている。
【0003】
伴連れ防止ゲート(ゲート)1-0 内のゲート領域には、床のほぼ全面を占める測定エリア1-4-2 に載った人の体重を測定する体重計1-4-1 が設けられている。体重計1-4-1 からのアナログ信号1-7 は、アクセスを許可するための条件となる体重の上限値及び下限値が設定された設定器1-5 に入り、そこでの比較の結果として出力される許可・不許可を表す接点信号1-9-5 が制御機1-1 に入力されるようになっている。
【0004】
また、ゲート1-0 内のゲート領域には、カードリーダ1-3 が設けられており、ゲート領域に入った人が所持しているICカード1-10のカードデータを読み取り、通信回路1-2 を経て制御機1-1 に送ることができる。カードデータとしては正規の所持者の管理領域に対するアクセス権についての情報、すなわちアクセス権情報が記憶されており、制御機1-1 はこのアクセス権情報に基づいて当該ICカードの所持者による管理領域へのアクセスの正当性を判断することができる。
【0005】
上記の構成において、進行方向1-11-1の外部領域から管理領域内に入ろうとするICカード1-10の所持者は押しボタン1-6-1 を押して、接点信号1-9-1 で制御装置1-1 に入室を要求する。制御装置1-1 は、ゲート1-0 内に人が存在していない事と、更に反対側の電気錠付き扉1-7-2 が開状態でないことを接点信号1-9-4 で確認して、電気錠付き扉1-7-1 を接点信号1-9-3 で電気錠制御機1-8-1 を操作して開錠する。
【0006】
ICカード1-10の所持者は電気錠付き扉1-7-1 を閉めて、ICカード1-10をカードリーダ1-3 に翳す。カードリーダ1-3 はICカード1-10のメモリ内のアクセス権情報を読み取り、通信回路1-2 を経由して制御機1-1 に送信する。制御機1-1 はこの受け取ったアクセス権情報に基づきICカード1-10の所持者の管理領域への入室の妥当性を検証すると同時に、体重の値が規定値を越えているか否か調べる。
【0007】
体重によるチェックは、体重計1-4-1 による体重の測定データ(アナログ値)が、設定器1-5 に設定された設定値による条件を満たしているか否かを、接点信号1-9-5 によって調べることにより行う。具体的には、体重計1-4-1 で測定した測定データであるアナログ信号1-7 の値が、設定器1-5 に上限値及び下限値で設定された許容範囲を超えた場合には、その旨を示すデジタル信号である接点信号1-9-5 が制御機1-1 に送られる。この接点信号1-9-5 により、制御機1-3 は体重の測定データが上限と下限の間にあることを知ることが出来る。
【0008】
中間にある場合には、制御機1-3 はICカード1-10のデータによって入室が許可されている人の入室を許可するために、進行方向1-11-2側の電気錠付き扉1-7-2 を開けるために、電気錠制御機1-8-2 に対して接点信号1-9-4 を用いて開錠を命じる。他方、設定器1-5 からの接点信号1-9-5 が、体重の測定データが許容範囲を越えていることを表している場合は、制御機1-3 は伴連れと判断して当該人物をゲート1-0 より退去させるために進行方向1-11-1側の電気錠付扉1-7-1 を開錠するために電気錠制御機1-8-1 に接点信号1-9-3 を与えて開錠を命じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来のアクセス制御装置によれば、ゲート1-0 は伴連れ防止のために一度に入れる人数が1人のみとされており、管理領域へのアクセスの許可・不許可を判断する一回の処理でアクセス希望者を1人しか処理できず、時間当たりの処理能力が制限されるという問題があった。
【0010】
また、上述した従来のアクセス制御装置によれば、体重でアクセス制御を判断するその手法において、設定器に設定されている設定値(アクセスしようとする人物の体重に関する条件、前記上限値及び下限値)は、一定であり、すべてのアクセス希望者について同一の基準が適用されていた。すなわち、同一の判断基準が複数のICカード(すなわち複数の人物)について共通に用いられるので、実際には個人の体重のように個々のICカードの所持者ごとに異なるはずの条件に対応していない。例えば、基準を50kg〜100kgなどとして1人のアクセス希望者を通過させようとしても、仮に体重が50kg未満の2人の人がゲート1-0 内に無理に入ってしまえば、伴連れを防ぐことはできない。このように、上述した従来のアクセス制御装置では、アクセス制御の緻密な運用が困難であり、伴連れを確実に防止することができなかった。
【0011】
本発明は、以上説明したような課題を解決するためになされたものであり、管理領域に対する複数人のアクセス制御を一括して行うことにより処理能力の増強を図ることができ、しかも伴連れを確実に防止することができるアクセス制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載されたアクセス制御装置は、
管理領域と外部領域の間に設けられて複数の者が進入可能なゲート領域と、
前記ゲート領域に設けられて前記外部領域と前記管理領域との間の通行を制御する通行制御手段と、
前記ゲート領域内に設けられて前記ゲート領域に進入した者の体重を測定して測定データとして出力する体重計と、
正規の所持者の体重データが記憶されているICカードと、
前記ゲート領域内に設けられて前記ゲート領域内に進入した者が所持する前記ICカードの体重データを読み取り体重データとして出力するカードリーダと、
前記カードリーダから送られる複数の体重データを合計して合計体重データを算出し、前記測定データと前記合計体重データを比較して両者が所定の誤差範囲内にある場合に、前記ゲート領域内に存在する複数の者が前記管理領域にアクセスできるように前記通行制御手段を制御する制御機と、
を具備することを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載されたアクセス制御装置は、請求項1記載のアクセス制御装置において、
前記ゲート領域内に進入した者の生体特徴情報を読み取る生体認証端末と、前記ICカードに書き込まれた正規の所持者のアドレスに対応して正規の所持者の生体特徴情報が予め記憶された記憶手段とを有し、前記生体認証端末が読み取った生体特徴情報と、前記カードリーダが読み取った前記ICカードのアドレスに対応して前記記憶手段から読み出した生体特徴情報とが一致した場合に許可信号を前記制御機に送る生体認証装置が前記ゲート領域に設けられており、
前記制御機は、前記ゲート領域に存在する複数の者について前記生体認証装置から前記許可信号が得られた場合に、前記測定データと前記合計体重データの比較による前記通行制御手段の制御を行うことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載されたアクセス制御装置は、請求項1記載のアクセス制御装置において、
正規の所持者の生体特徴情報が前記ICカードに記憶されており、
前記ゲート領域内に進入した者の生体特徴情報を読み取る生体認証端末を有し、前記生体認証端末が読み取った生体特徴情報と、前記カードリーダが読み取った前記ICカードの生体特徴情報とが一致した場合に許可信号を前記制御機に送る生体認証装置が前記ゲート領域に設けられており、
前記制御機は、前記ゲート領域に存在する複数の者について前記生体認証装置から前記許可信号が得られた場合に、前記測定データと前記合計体重データの比較による前記通行制御手段の制御を行うことを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載されたアクセス制御装置は、請求項2又は3に記載のアクセス制御装置において、
正規の所持者のアクセス権情報が前記ICカードに記憶されており、
前記カードリーダは、前記ゲート領域内に進入した者が所持する前記ICカードのアクセス権情報を読み取って前記制御機に出力し、
前記制御機は、前記アクセス権情報によってアクセス権を確認した後に、前記測定データと前記合計体重データの比較による前記通行制御手段の制御を行うことを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載されたアクセス制御装置は、請求項4記載のアクセス制御装置において、
同一の前記ICカードに係る前記制御機によるアクセス権の確認と、前記生体認証装置による生体認証が、並列して実行されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載されたアクセス制御装置によれば、ICカードを所持した任意の数の人間がゲート領域に存在することが許される。ゲート領域内に存在するすべての人の体重の合計は、体重計で計測されて測定データとして制御機に読み込まれる。また個々のICカードに書き込まれた各所持者の各体重データはカードリーダで読み出され、制御機に読み込まれて合計され、合計体重データとなる。制御機は、測定データと合計体重データを比較し、ICカードを持たない者がゲート領域内に存在していない場合にのみアクセス許可を出し、ゲート領域内の全員に管理領域へのアクセスを許可する。従って、管理領域に対する複数人のアクセス制御を一括して行うことにより処理能力の増強を図ることができる。
【0018】
請求項2に記載されたアクセス制御装置によれば、請求項1記載のアクセス制御装置による効果において、さらに次の効果が得られる。すなわち、ゲート領域内にいる者の生体特徴情報を生体認証端末が読み取り、生体認証装置に送る。また、ゲート領域内にいる者が所持するICカードからアドレスをカードリーダが読み取り、これを生体認証装置に送ると、生体認証装置はこのアドレスに対応する生体特徴情報を記憶手段から読み出す。生体認証装置は、記憶手段から読み出した生体特徴情報と、生体認証端末から送られた生体特徴情報を比較し、両者が一致した場合に制御機に許可信号を送る。ここで制御機は、ゲート領域に存在する複数の者すべてについて生体認証装置から許可信号が得られた場合にのみ、測定データと合計体重データの比較による通行制御手段の制御を行う。このように、ゲート領域内に存在する全員について生体認証による確認が完了した上で、全員の体重の測定データと、ICカードの体重データの合計との比較によるチェックを行うので、複数人のアクセス制御を一括して行いながら、しかも伴連れを確実に防止することができる効果が得られる。
【0019】
請求項3に記載されたアクセス制御装置によれば、請求項1記載のアクセス制御装置による効果において、さらに次の効果が得られる。すなわち、ゲート領域内にいる者の生体特徴情報を生体認証端末が読み取り、生体認証装置に送る。また、ゲート領域内にいる者が所持するICカードから生体特徴情報をカードリーダが読み取り、これを生体認証装置に送る。生体認証装置は、生体認証端末が読み取った生体特徴情報と、カードリーダがICカードから読み取った生体特徴情報とを比較し、両者が一致した場合に制御機に許可信号を送る。ここで制御機は、ゲート領域に存在する複数の者すべてについて生体認証装置から許可信号が得られた場合にのみ、測定データと合計体重データの比較による通行制御手段の制御を行う。このように、ゲート領域内に存在する全員について生体認証による確認が完了した上で、全員の体重の測定データと、ICカードの体重データの合計との比較によるチェックを行うので、複数人のアクセス制御を一括して行いながら、しかも伴連れを確実に防止することができる。
【0020】
請求項4に記載されたアクセス制御装置によれば、請求項2又は3に記載のアクセス制御装置による効果において、さらに次の効果が得られる。すなわち、制御機は、ICカードのアクセス権情報によって各人のアクセス権を確認した後に、体重による通行制御手段の制御を行うので、アクセス権のない者にアクセス許可を与えることがない。
【0021】
請求項5に記載されたアクセス制御装置によれば、請求項4記載のアクセス制御装置による効果において、さらに次の効果が得られる。すなわち、同一のICカードに係る制御機のアクセス権確認と生体認証装置の生体認証が並列して実行されるので、処理が速いという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本願発明者が出願時点において最良と考える本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、当然ながら本発明は、これら実施形態のみに限定されるものではなく、開示した実施形態を一例とする請求項記載の概念まで含むものである。
【0023】
1.第1実施形態(図2)
本実施形態の概略を説明する。本例では、ICカード2-5-1`2-5-4 内のメモリには、正規の所持者の体重データが書き込まれており、かかるICカード2-5-1`2-5-4 をそれぞれ所持する複数の者が、ゲート領域である体重の測定エリア2-4-2 内に存在することが許容されることとされている。そして、一方では体重計2-4-1 により、測定エリア2-4-2 内に存在する全員の合計体重を一回で測定してアナログ信号2-7 として制御機2-1 に読み込ませ、他方では個々のICカード2-5-1`2-5-4 内のメモリに書き込まれた体重データをカードリーダで個々に読み取って制御機2-1 で合計体重データを算出し、そして制御機2-1 が合計体重データとアナログ信号2-7 による測定データを比較し、ICカード2-5-1`2-5-4 を持たない者がゲート2-0 内に存在していない場合にのみ管理領域へのアクセスを許可するものである。
【0024】
本実施形態をさらに具体的に説明する。
図2は、本例のアクセス制御装置の構成図である。このアクセス制御装置は、人の出入りが管理される管理領域の出入口となる部分、すなわち管理領域と外部領域の間に設けられている。このアクセス制御装置は、管理領域と外部領域の間に伴連れ防止ゲート2-0 を有している。伴連れ防止ゲート2-0 は、その内部がゲート領域となる部屋乃至建物であり、外部領域側に、通行制御主手段として、電気錠制御機2-8-1 によって制御される電気錠付き扉2-7-1 が設けられ、その外側(外部領域側)には入室を要求するための押ボタン2-6-1 が設けられている。また管理領域側にも、通行制御主手段として、電気錠制御機2-8-2 によって制御される電気錠付き扉2-7-2 が設けられ、その外側(管理領域側)には入室を要求するための押ボタン2-6-2 が設けられている。これら電気錠制御機2-8-1,2-8-2 と押ボタン2-6-1,2-6-2 は、制御機2-1 に接続されて制御されるようになっており、進行方向2-11-1,2-11-2 について伴連れを防止するようになっている。
【0025】
伴連れ防止ゲート(ゲート)2-0 内のゲート領域には、床のほぼ全面を占める測定エリア2-4-2 に載った人の体重を測定する体重計2-4-1 が設けられている。体重計2-4-1 と制御機2-1 は直接結線されており、体重計2-4-1 からのアナログ信号2-7 は、制御機2-1 に直接入力され、制御機2-1 によって直接読み取られるようになっている。
【0026】
また、ゲート2-0 内のゲート領域には、カードリーダ2-3 が設けられており、ゲート領域に入った人が所持しているICカード2-5-1 〜2-5-4 のカードデータを読み取り、通信回路2-2 を経て制御機2-1 に送ることができる。カードデータとしては、まず正規の所持者の管理領域に対するアクセス権についての情報、すなわちアクセス権情報が記憶されており、制御機2-1 はこのアクセス権情報に基づいて当該ICカードの所持者による管理領域へのアクセスの正当性を判断することができる。また、他のカードデータとして、正規の所持者の体重データが記憶されており、制御機2-1 はカードリーダ2-3 から送られる複数の体重データを合計して、合計体重データを得ることができる。
【0027】
上記の構成によれば、ゲート2-0 内には任意の複数の者が立ち入ることが出来る。図2は、ICカード2-5-1`2-5-4 を所持する4人がゲート2-0 内に立ち入る例を示す(人は図示しない)。任意の複数の入室希望者は、押しボタン2-6-1 が押されて電気錠付き扉2-7-1 が開錠している間に測定エリア2-4-2 内に入り、電気錠付き扉2-7-1 を閉めてから(必ずしもこのタイミングで必ずしも閉める必要はない)、ICカード2-5-1`2-5-4 を次々とカードリーダ2-3 に翳す。
【0028】
なお、ゲート2-0 内への立ち入りは、電気錠付き扉2-7-1 の付近に設けられた人の通過を検知する図示しないセンサと、当該センサの検出出力の時間間隔をカウントするタイマ等によって管理しており、適当に設定された時間内に複数の入室希望者が入ることが許容されている。
【0029】
カードリーダ2-3 はICカード2-5-1`2-5-4 を読む毎に、通信回路2-2 を経由して制御機2-1 にICカード2-5-1`2-5-4 内のメモリに記載されているアクセス権の情報と所持者の体重データを送信する。
【0030】
これを受け取った制御機2-1 は複数の所持者の体重データを合算して合計体重データを得、また体重計2-4-1 のアナログデータ2-7 を読み取って測定データを得る。制御機2-1 は、合計体重データと測定データを比較し、両者の差異が許容範囲内であれば、各ICカード内のアクセス権の情報を調べて、全員が資格を持っている場合のみ、電気錠付き扉2-7-1 を閉めたことを確認した上で、進行方向2-11-2側(ゲート2-0 の管理領域側)の電気錠付き扉2-7-2 を開錠する。
【0031】
本方法によればゲート2-0 内に立ち入ることが出来る人数はICカードを所持する限り任意であり、電気錠付き扉2-7-1 、2-7-2 の各1回の動作で任意の人数の管理領域に対するアクセス希望を処理することができる。
【0032】
通常、電気錠付き扉の開閉は制御機の認証などに比べてはるかに時間がかかり、1回の開閉で約10秒程度かかる。そのため本例で4人のアクセス希望が同時に処理された場合は、電気錠付き扉2-7-1 の開閉で10秒、ICカード4枚の読取と体重の読取、認証で0.4秒、電気錠付き扉2-7-2 の開閉の開閉に10秒で、合計20.4秒で4名が通過できる。1人平均5.1秒となる。
【0033】
従来の技術では、1名ずつ処理するので、電気錠付き扉2-7-1 の開閉で10秒、ICカード1枚の読取と体重の読取、認証で0.1秒、電気錠付き扉2-7-2 の開閉の開閉に10秒で、合計20.1秒で1名が通過する。
【0034】
従って、本例は従来例に比べてほぼ4 倍の能力アップを達成できる。特に本例は、朝晩の出退勤時や昼食時のように大勢が短時間にゲートに集中し、重なり合ってアクセスする場合に特に有効である。
【0035】
2.第2実施形態(図3)
本実施例は、第1実施形態で行ったような体重による認証に加え、さらに生体認証を用いた場合の例である。
図3は、本例のアクセス制御装置の構成図である。このアクセス制御装置は、人の出入りが管理される管理領域の出入口となる部分、すなわち管理領域と外部領域の間に設けられている。このアクセス制御装置は、管理領域と外部領域の間に伴連れ防止ゲート3-0 を有している。伴連れ防止ゲート3-0 の外部領域側には、通行制御手段として、電気錠制御機3-14-1によって制御される電気錠付き扉3-15-1が設けられ、外側には入室を要求するための押ボタン3-7-1 が設けられている。また管理領域側にも通行制御手段として電気錠制御機3-14-2によって制御される電気錠付き扉3-15-2が設けられ、外側には入室を要求するための押ボタン3-7-2 が設けられている。これら電気錠制御機3-14-1,3-14-2 と押ボタン3-7-1,3-7-2 は、制御機3-1 に接続されて制御されるようになっており、進行方向3-13-1,3-13-2 について伴連れを防止するようになっている。
【0036】
伴連れ防止ゲート(ゲート)3-0 内のゲート領域には、床のほぼ全面を占める測定エリア3-12-2に載った人の体重を測定する体重計3-12-1が設けられている。体重計3-12-1は制御機3-1 に直接結線されており、体重計3-12-1からのアナログ信号3-8 は、制御機3-1 に直接入力され、制御機3-1 によって直接読み取られるようになっている。
【0037】
また、ゲート3-0 内のゲート領域には、カードリーダ3-6 が設けられており、ゲート領域に入った人が所持しているICカード3-10-1〜3-10-4のカードデータを読み取り、通信回路3-4-1,3-2 及び後述する生体認証装置3-3 を経て制御機3-1 に送ることができる。
カードデータとしては、まず正規の所持者の管理領域に対するアクセス権についての情報、すなわちアクセス権情報が記憶されており、制御機3-1 はこのアクセス権情報に基づいて当該ICカードの所持者による管理領域へのアクセスの正当性を判断することができる。また、他のカードデータとして、正規の所持者の体重データが記憶されており、制御機3-1 はカードリーダ3-6 から送られる複数の体重データを合計して、合計体重データを得ることができる。
【0038】
また、本例のアクセス制御装置は、アクセス希望者の生体認証を行うための生体認証装置3-3 を有している。
まず生体認証装置3-3 は、ゲート3-0 内に設けられてゲート領域内にいる者の生体特徴情報を読み取る生体認証端末3-5 を有しており、生体認証端末3-5 は通信回路3-4-2 を介して生体認証装置3-3 に接続されている。
【0039】
また、生体認証装置3-3 は、発行されているICカードの正規の所持者の生体特徴情報(生体特徴情報)が予め記憶された記憶手段3-16を有している。この記憶手段3-16中の生体特徴情報(生体特徴情報)は、ICカードごとに設定された正規の所持者のアドレスに対応するように記憶領域に格納されている。従って、ICカードに書き込まれた正規の所持者のアドレスがカードリーダ3-6 から読み込まれて生体認証装置3-3 に送られると、生体認証装置3-3 はこのアドレスによって記憶手段3-16から当該ICカードの正規の所持者の生体特徴情報(生体特徴情報)を読み出してくることができる。
【0040】
そして、生体認証装置3-3 は、生体認証端末3-5 が読み取った生体特徴情報と、カードリーダ3-6 が読み取ったICカードのアドレスに対応して記憶手段3-16から読み出した生体特徴情報とが一致した場合に、許可信号を通信回路3-2 を介して制御機3-1 に送るように構成されている。
【0041】
なお、本例では、アクセス権情報による認証と、生体特徴情報による認証が行われた場合にのみ、前述した体重による認証が行われる。
【0042】
上記の構成によれば、ICカードを所持し、アクセスしようとする人間(複数)は、押しボタン3-7-1 を押して測定エリア3-12-2に入り、それぞれのICカード3-10-1`3-10-4 をカードリーダ3-6 に翳す。カードリーダ3-6 は読み取ったICカード3-10-1`3-10-4 のメモリに格納されているカードデータを生体認証装置3-3 に通信回路3-4-1 を用いて送る。
【0043】
生体認証装置3-3 は、受信したICカード3-10-1`3-10-4 のカードデータ中のアドレスを参照してICカード3-10-1`3-10-4 の各所持者に該当する個々の生体特徴情報を記憶手段3-16から取り出すとともに、生体認証端末3-5 で読み取られた生体特徴情報を、通信回路3-4-2 を介して次々と受け取り、記憶手段3-16中の生体特徴情報とカードリーダ3-6 で読み取った生体特徴情報を比較して本人を認証する。
【0044】
このようにしてICカードを翳した全ての個人の生体を認証して、全てが正当な場合にはICカード3-10-1`3-10-4 のカードデータ中のアクセス権情報に生体認証による認証結果を添付して通信回路3-2 により制御機3-1 に送る。
【0045】
ICカードの情報を受信した制御機3-1 は、個々のICカードのアクセス権を調べ、全てが正当な場合には、送信されたICカード3-10-1`3-10-4 の体重データを合算して合計体重データを算出し、体重計3-12-1の測定データであるアナログ信号3-8 を読取り、合計体重データと測定データの差異が許容値の範囲内にある場合には、進行方向3-13-2にある電気錠付き扉3-15-2を開錠する。
【0046】
ICカードにアクセス権がない場合や、アナログ信号3-8 による測定データが合計体重データに対して許容範囲外にある場合には、ゲート3-0 の進入方向3-13-1側にある電気錠付扉3-15-1を解除してゲート3-0 からの退去を要求する。
【0047】
このように、本例によれば、ICカードには、カードデータ(ICカードのメモリに記憶されている情報)として、制御機3-1 が検証するアクセス権情報と、生体認証装置3-3 の記憶手段3-16における正規所持者の生体特徴情報の格納場所を示すアドレスと、正規所持者の体重データ及び認証の際の許容値がそれぞれ記憶されている。そして、制御機3-1 がアクセス権を検証し、生体認証装置3-3 が生体認証を行い、ゲート3-0 内にいる全員についてアクセス権と生体認証が確認されてから、初めて体重によるチェックが行われる。このように、本例によれば、多人数を一挙に認証してアクセス制御の効率を向上させることで効率をアップさせており、しかもこのように高い効率を達成しながら、体重と生体認証の両方でチェックをかけているので、体重に関する不正によって伴連れを見逃してしまうおそれが少ないという効果がある。
【0048】
3.第3実施形態(図4)
本実施例は、アクセス権による認証と、生体認証と、体重による認証を行う第2実施形態において、より高速化を図るための構成を付加した実施形態であり、その全体構成は図3を参照して説明した第2例の構成と略同様であり、共通部分についての概括的な説明は第2実施形態の説明と図面を援用して省略する。
以下に、本例の特徴である制御のタイミングについて、第2実施形態の説明及び図3を援用しつつ、図4を参照して説明する。
【0049】
図4は本例における各種認証の実行タイミングを示す図である。本例では、図3において、通信回線3-2 と通信回線3-4-1 を生体認証装置3-3 を介して直接接続し、カードリーダ3-6 からの情報を生体認証装置3-3 と制御機3-1 に並列に送信できるように構成しており、図4に示すように、生体認証装置3-3 での処理(生体認証)と、制御機3-1 での処理(アクセス権の確認)を同一時間帯で同時並行的に行うことができる。
【0050】
図4では、制御機でのアクセス権の認証と生体認証装置での生体認証が同時並行的にお行われる場合のタイミングフローを示しており、この方式では生体認証とカードのアクセス権の検証が各ICカード及び所持者(図4ではA,B,C)ごとに並行して行われ、それらが全て正当であった場合にのみ、伴連れを防止すためにICカード内の体重情報を合算した合計体重データと全員の体重の測定データとを比較して管理領域に対するアクセスの許否を決定し、電気錠付き扉の制御を行う。
【0051】
本例の場合も、扉の開閉は最初と最後の2回だけであり伴連れ防止のゲートにおける処理能力を大幅に向上させることが可能である。
【0052】
このように、本例によれば、ICカードには、カードデータ(ICカードのメモリに記憶されている情報)として、制御機3-1 が検証するアクセス権情報と、生体認証装置3-3 の記憶手段3-16における正規所持者の生体特徴情報の格納場所を示すアドレスと、正規所持者の体重データ及び認証の際の許容値がそれぞれ記憶されている。そして、制御機3-1 がアクセス権を検証するのと並行して生体認証装置3-3 が生体認証を行い、ゲート3-0 内にいる全員についてアクセス権と生体認証が確認されてから、初めて体重によるチェックが行われる。このように、本例によれば、多人数を一挙に認証してアクセス制御の効率を向上させると共に、多人数の認証処理自体においてもアクセス権の認証と生体認証を同時並行処理することで効率をアップさせている。そして、このように高い効率を達成しながら、体重と生体認証の両方でチェックをかけているので、体重に関する不正によって伴連れを見逃してしまうおそれが少ないという効果がある。
【0053】
以上説明した各実施形態において、ある管理領域についてアクセスが管理される対象は典型的には人間であるが、与えられた種々の目的に応じて自律的に行動可能であり、種類が多様で重量・形状等が一定しない存在(例えばロボット等)を多数混在して使用するような場合において、管理領域について特定の種類のロボットのみにアクセス制御を与える一つの手法として、本発明のアクセス制御を利用することもできる。すなわち、特許請求の範囲において記載されている「者」の定義には、自然人のみならずその他の能動的活動主体全般が含まれる。また、「者」についての上記定義に対応し、特許請求の範囲中の「体重」の語も、人間の重量を意味するだけでなく、より広く上述した本件における「者」の重量を示すものとする。
【0054】
またアクセス制御のために行う生体認証の対象である生体的特徴は、実施形態の記載中には特定しなかったが、指紋、顔、虹彩、網膜、指静脈、声紋、ハンドキーその他種々の生体的特徴を採用しうる。
【0055】
さらに、以上説明した各実施形態は、説明の便宜上、第1実施形態から第3実施形態までそれぞれ項分けして説明したが、本明細書の全趣旨及び特許請求の範囲に記載した本発明の内容に照らして可能な限り、各実施形態の一部又は各実施形態同士を適宜に組み合わせた構成も、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は従来のアクセス制御装置の全体構成図である。
【図2】図2は本発明の第1実施形態に係るアクセス制御装置の全体構成図である。
【図3】図3は本発明の第2実施形態に係るアクセス制御装置の全体構成図である。
【図4】図4は本発明の第3実施形態に係るアクセス制御装置における各種認証の実行タイミングを示す流れ図である。
【符号の説明】
【0057】
2-0,3-0 …その内部にゲート領域が設定された伴連れ防止ゲート(ゲート)
2-1,3-1 …制御機
2-3,3-6 …カードリーダ
2-4-1,3-12-1…体重計
2-5-1 〜2-5-4, 3-10-1 〜3-10-4…ICカード
2-7-1,2-7-2,3-15-1,3-15-2 …通行制御手段としての電気錠付き扉
2-8-1,2-8-2,3-14-1,3-14-2 …通行制御手段としての電気錠制御機
3-3 …生体認証装置
3-5 …生体認証端末
3-16…生体特徴情報を有する記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理領域と外部領域の間に設けられて複数の者が進入可能なゲート領域と、
前記ゲート領域に設けられて前記外部領域と前記管理領域との間の通行を制御する通行制御手段と、
前記ゲート領域内に設けられて前記ゲート領域に進入した者の体重を測定して測定データとして出力する体重計と、
正規の所持者の体重データが記憶されているICカードと、
前記ゲート領域内に設けられて前記ゲート領域内に進入した者が所持する前記ICカードの体重データを読み取り体重データとして出力するカードリーダと、
前記カードリーダから送られる複数の体重データを合計して合計体重データを算出し、前記測定データと前記合計体重データを比較して両者が所定の誤差範囲内にある場合に、前記ゲート領域内に存在する複数の者が前記管理領域にアクセスできるように前記通行制御手段を制御する制御機と、
を具備することを特徴とするアクセス制御装置。
【請求項2】
前記ゲート領域内に進入した者の生体特徴情報を読み取る生体認証端末と、前記ICカードに書き込まれた正規の所持者のアドレスに対応して正規の所持者の生体特徴情報が予め記憶された記憶手段とを有し、前記生体認証端末が読み取った生体特徴情報と、前記カードリーダが読み取った前記ICカードのアドレスに対応して前記記憶手段から読み出した生体特徴情報とが一致した場合に許可信号を前記制御機に送る生体認証装置が前記ゲート領域に設けられており、
前記制御機は、前記ゲート領域に存在する複数の者について前記生体認証装置から前記許可信号が得られた場合に、前記測定データと前記合計体重データの比較による前記通行制御手段の制御を行うことを特徴とする請求項1記載のアクセス制御装置。
【請求項3】
正規の所持者の生体特徴情報が前記ICカードに記憶されており、
前記ゲート領域内に進入した者の生体特徴情報を読み取る生体認証端末を有し、前記生体認証端末が読み取った生体特徴情報と、前記カードリーダが読み取った前記ICカードの生体特徴情報とが一致した場合に許可信号を前記制御機に送る生体認証装置が前記ゲート領域に設けられており、
前記制御機は、前記ゲート領域に存在する複数の者について前記生体認証装置から前記許可信号が得られた場合に、前記測定データと前記合計体重データの比較による前記通行制御手段の制御を行うことを特徴とする請求項1記載のアクセス制御装置。
【請求項4】
正規の所持者のアクセス権情報が前記ICカードに記憶されており、
前記カードリーダは、前記ゲート領域内に進入した者が所持する前記ICカードのアクセス権情報を読み取って前記制御機に出力し、
前記制御機は、前記アクセス権情報によってアクセス権を確認した後に、前記測定データと前記合計体重データの比較による前記通行制御手段の制御を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載のアクセス制御装置。
【請求項5】
同一の前記ICカードに係る前記制御機によるアクセス権の確認と、前記生体認証装置による生体認証が、並列して実行されることを特徴とする請求項4記載のアクセス制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−140331(P2009−140331A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317247(P2007−317247)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(396009654)
【出願人】(594128832)日本原子力防護システム株式会社 (7)
【Fターム(参考)】