アクチュエータ装置、このアクチュエータ装置用の保護カバー、このアクチュエータの製造方法、このアクチュエータ装置を用いた光偏向装置、二次元光走査装置及びこれを用いた画像投影装置
【課題】衝撃に対する故障発生の低減を図ることのできるアクチュエータ装置を提供する。
【解決手段】 本発明のアクチュエータ装置30は、枠部材1と、枠部材1に梁部材3を介して回動可能に支持された可動部2とを備え、両梁部材3を回動軸として可動部2を枠部材1に対して回動させるアクチュエータ装置において、両梁部材3の回動軸線上にダンパー部材4を設けた。
【解決手段】 本発明のアクチュエータ装置30は、枠部材1と、枠部材1に梁部材3を介して回動可能に支持された可動部2とを備え、両梁部材3を回動軸として可動部2を枠部材1に対して回動させるアクチュエータ装置において、両梁部材3の回動軸線上にダンパー部材4を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ装置、このアクチュエータ装置用の保護カバー、このアクチュエータの製造方法、このアクチュエータ装置を用いた光偏向装置、二次元光走査装置及びこれを用いた画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マイクロマシン技術を用いたアクチュエータ装置が、従来のアクチュエータ装置に較べて省電力化、小型化、高速化の可能性が高く、駆動部の形成もシリコンウエハーを素材として半導体微細加工技術を用いて大量かつ安価に形成できる可能性があるため、実用化が期待されている。
【0003】
図1はそのアクチュエータ装置30の一例を示している。その図1において、31は長方形状の枠部材、32は回転軸としての梁部材(トーションバー)、33は可動部である。
梁部材32は枠部材31に一対設けられ、可動部33はその一対の梁部材32を介して枠部材31に支持されている。その可動部33には、例えば、ミラー面33aが形成されている。
【0004】
この従来のアクチュエータ装置30は、図2、図3に示すように、一対の梁部材32に捩れ力を発生させると、可動部33が回動される。
この種のアクチュエータ装置30では、共振現象を利用して小さなエネルギーで、高速かつ大振幅の回転振動を得ることができる。
【0005】
また、図4、図5に示すように、アクチュエータ装置30には、梁部材32を折り返し部34aとこの折り返し部34aから折り返されて互いに反対方向に延びる直線部34bとからなる蛇行状支持部34に圧電膜を形成することにより構成したものが知られている。
この形態では、梁部材32の互いに隣り合う直線部34bを交互に反対方向に屈曲変形させることにより、バネ系の剛性を低くして大きな傾き角度を得ることができる(特許文献1参照。)。
【0006】
すなわち、このアクチュエータ装置30では、枠部材31の中に梁部材32を折り曲げることにより蛇行させて配置し、枠部材31を大型にすることなく、直線状の長いトーションで構成されるバネ系と等価のバネ系を有する構成としている。
従って、バネ剛性を下げることができ、低速駆動する場合に、バネ系の共振周波数を下げることもできるし、共振による振動を使わない場合も、小さな駆動力で大きな回動角を得ることができる。
【0007】
また、アクチュエータ装置には、蛇行形状振動子(ミアンダー形振動子)にドライブ素子を設け、ドライブ素子への供給エネルギー効率を改善する構成が開示されている(特許文献2参照。)。
【0008】
更に、可動部と、この可動部を枠部材に対して揺動可能に軸支する少なくともミアンダー形状の梁部材と、可動部の変位時にミアンダー形状の梁部材と隔間して噛み合わされる位置に配置される固定櫛歯状構造体(図示を略す)とを備えたアクチュエータ装置も開示されている(特許文献3参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この種のアクチュエータ装置30では、一般的に、回転軸(回動軸ともいう)に対して垂直方向の力が加わった場合、脆性材料であるシリコンから構成されるMEMSデバイスでは、故障が発生する可能性が大きい。
【0010】
また、例えば、二次元的に光線を走査して画像を形成する二次元光走査装置にこの種のアクチュエータ装置を用いる場合には副走査方向の共振周波数を下げたいためにバネ系の剛性を低くしたいという理由、更には、所望の振動周波数に対してバネ系の共振周波数が高くて共振駆動できない場合であっても、バネ系の剛性をできるだけ下げておけば、小さいエネルギーで駆動できるという理由から、支持系のバネ系の剛性を下げる形態が臨まれるが、支持系のバネ系の剛性を下げることにより、機械的な強度の低下を招き、より一層破損し易くなる。
【0011】
更に、特許文献1ないし特許文献3に開示されているように、梁部材32を蛇行形状(ミアンダー形状)に構成すると、限られたスペース内で、バネ系の剛性を低くできるが、直線状の支持系に較べて衝撃が加わったときに大きな変位が生じ易いため、故障の可能性が更に高まる可能性がある。
【0012】
すなわち、図6に模式的に示すように、可動部33が本来の回転軸(回動軸)Oの回りに整然と捩れている場合には、設計した通りの回動であり、可動部33の可動範囲が限られるため、アクチュエータ装置30が故障する可能性が小さい。
【0013】
ところが、例えば、図7、図8に示すように、梁部材32(蛇行状支持部34)がいびつに広がりかつねじれて、可動部33が本来の回転軸Oの回りから外れて可動した場合、設計上想定していない力が可動部33に加わって本来の回転軸Oの回りから外れて可動した場合、可動部33がアクチュエータ装置30が配設されている近傍の図示を略す回路部品等に衝突して、アクチュエータ装置30が故障するおそれがある。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、衝撃に対する故障発生の低減を図ることのできるアクチュエータ装置、このアクチュエータ装置用の保護カバー、このアクチュエータの製造方法、このアクチュエータ装置を用いた光偏向装置、二次元光走査装置及びこれを用いた画像投影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載のアクチュエータ装置は、枠部材と、該枠部材に梁部材を介して回動可能に支持された可動部と、前記両梁部材を回動軸として可動部を前記枠部材に対して回動させる駆動手段とを備え、前記両梁部材の回動軸線上にダンパー部材を設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載のアクチュエータ装置は、枠部材と、該枠部材に梁部材を介して回動可能に支持された可動部と、前記両梁部材を回動軸として可動部を前記枠部材に対して回動させる駆動手段とを備え、前記両梁部材が蛇行状支持部から構成され、該蛇行状支持部が折り返し部と、該折り返し部から折り返された複数の直線部と、前記枠部材に連結される連結軸部と、前記可動部に連結される連結軸部とを有し、前記両連結軸部を結ぶ直線を回動軸線として、前記ダンパー部材によって前記回動軸線上で前記蛇行状支持部の不連続な空間が繋げられていることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載のアクチュエータ装置は、前記各直線部に屈曲変形用の圧電膜と該圧電膜に駆動電圧を印加する電極とが形成され、前記駆動電圧の印加に基づく前記各直線部の屈曲変形の累積により、前記可動部が回動されることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載のアクチュエータ装置は、前記可動部に、前記ダンパー部材と同じ材料を用いて衝撃緩和部材を設けたことを特徴とする。
請求項5に記載のアクチュエータ装置は、前記可動部が平板部と補強用壁部とを有する可動部材から構成され、前記平板部に前記ダンパー部材と同じ材料を用いて衝撃緩和部材を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載のアクチュエータ装置は、前記両梁部材の裏面に、前記ダンパー部材が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載のアクチュエータ装置は、前記枠部材の壁部と前記可動部材の壁部とに、前記ダンパー部材を構成するゲル状材料塗布用ディスペンサ装置の吐出針の逃げ部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載のアクチュエータ装置は、前記蛇行状支持部の前記回動軸に相当する箇所に該回動軸をパターン認識させるための回動軸位置認識マークが形成されていることを特徴とする。
請求項9に記載のアクチュエータ装置は、前記回動軸位置認識マークが、前記駆動手段に駆動電力を供給するために前記蛇行状支持部に配設された配線を用いて形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載のアクチュエータ装置用の保護カバーは、請求項1ないし請求項9に記載のアクチュエータ装置を周囲から包囲する包囲壁と、前記ダンパー部材を支持する支持壁部とを有することを特徴とする。
請求項11に記載のアクチュエータ装置の製造方法は、前記枠部材を水平面に対して傾けた状態で、前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする。
【0022】
請求項12に記載のアクチュエータ装置の製造方法は、前記ダンパー部材の形成用の型枠部材を前記枠部材に当接させ、前記ダンパー部材形成用のゲル状材料を前記型枠部材に流し込み、前記ゲル状の材料の硬化後に前記型枠部材を前記枠部材から取り外すことにより、前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする。
【0023】
請求項13に記載のアクチュエータ装置の製造方法は、ゲル状の材料を硬化することにより形成されたダンパー素材を前記両梁部材に貼着することにより前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする。
【0024】
請求項14に記載のアクチュエータ装置の製造方法は、前記蛇行状支持部の前記回動軸線に相当する箇所の上方に隙間を開けて、かつ、前記回動軸線の延びる方向に直線部材を緊張させて配設し、前記ダンパー部材の形成用の材料を前記蛇行状支持部と前記直線部材とに接しさせかつ前記材料を硬化させて前記ダンパー部材を形成した後、該ダンパー部材から前記直線部材を引き離すことにより、請求項2から請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置を製造することを特徴とする。
【0025】
請求項15に記載の光偏向装置は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の可動部に反射面を形成し、前記可動部を回動させることにより、入射光線の反射方向を変化させることを特徴とする。
【0026】
請求項16に記載の二次元光走査装置は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置を入れ子上に設けて、前記アクチュエータ装置の可動部に反射面を設け、前記可動部を互いに直交する二軸方向の回りに回動させて、入射光線の反射方向を変化させることにより互いに直交する方向に光走査することを特徴とする。
請求項17に記載の画像投影装置は、請求項16に記載の二次元光走査装置を用いて投射面に画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、可動部を枠部材に回動可能に連結する両梁部材の回動軸線上にダンパー部材を設けたので、通常の駆動についてほとんど影響を与えることなく、衝撃を受けたときに可動部を支持する両梁部材が大きく変形するのを防止でき、その結果、アクチュエータ装置が破損する可能性を低減できる。
例えば、低周波、小駆動力で回転振幅できるように、両梁部材を細長くしてバネ剛性を下げた場合でも、衝撃を受けたときに両梁部材が大きく変形するのを防止できる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、低周波、小駆動力で回転振幅できるように、折り返し部とこの折り返し部から折り返された複数の直線部と枠部材に連結される連結軸部と可動部に連結される連結軸部とからなる蛇行状支持部により両梁部材を構成して、バネ剛性を下げたアクチュエータ装置でも、回動変位の小さい両梁部材の回動軸線上にダンパー部材を設けたので、通常の駆動にほとんど影響を与えることなく、衝撃を受けたときに、両梁部材が大きく変形するのを防止でき、その結果、アクチュエータ装置が破損する可能性を低減できる。
【0029】
すなわち、蛇行状支持部が図7、図8に示すようないびつに広がりかつ変形するのを防止することができるので、故障が発生するのを防止できる。また、ダンパー部材がバネの機能も果たすので、可動部の自重に起因する両梁部材の曲がり変形も抑制できる。
【0030】
特に、ダンパー部材を枠部材に連結される連結軸部から可動部に連結される連結軸部までに渡って連続的に回動軸線上に設けることにすれば、不連続的にダンパー部材を回動軸線上に形成するよりも効率的にダンパー部材を回動軸線上に形成することができ、作業効率を向上させることができると共に、梁部材とダンパー部材との接触面積を大きく確保できるので、ダンパー部材が梁部材から剥離する確率を低減できる。
【0031】
請求項3に記載の発明によれば、梁部材の表面に圧電膜を設け、この圧電膜によって梁部材を変形させることにしたので、可動部に回転振動を与えるアクチュエータ装置であっても、衝撃による故障を防止できる。
【0032】
請求項4、請求項5に記載の発明によれば、可動部に衝撃緩和部材を設けたので、何らかの原因で可動部が他の部材に衝突したときでも、その衝撃を吸収でき、アクチュエータ装置の故障の発生をより一層低減できる。
【0033】
請求項6に記載の発明によれば、両梁部材の裏面にダンパー部材を形成したので、ダンパー部材が表面から突出するのを防止でき、後工程での設計自由度や作業の自由度の向上を図ることができる。
【0034】
請求項7に記載の発明によれば、吐出針の逃げ部を枠部材の壁部と可動部材の壁部とに形成したので、梁部材の裏面にダンパー部材を設ける場合でも、アクチュエータ装置を大型化することなく、ダンパー部材を梁部材の裏面に形成できる。
【0035】
請求項8に記載の発明によれば、蛇行状支持部の回動軸に相当する箇所に回動軸をパターン認識させるための回動軸位置認識マークが形成されているので、回動軸に相当する箇所に正しくダンパー部材が配設されたか否か、蛇行状支持部の隙間の空間がダンパー部材により繋がっているかを容易に確認できる。
【0036】
また、蛇行状支持部に対するダンパー部材の塗布の自動化を図る場合にも、回動軸位置認識マークをパターン認識手段としての画像認識処理手段により認識できるので、そのダンパー部材の塗布の自動化を容易に行うことができる。
【0037】
請求項9に記載のアクチュエータ装置は、回動軸位置認識マークが、駆動手段に駆動電力を供給するために蛇行状支持部に配設された配線を用いて形成されているので、例えば、シリコン面に配線を形成する際に、この配線形成と同時に回動軸位置認識マークを蛇行状支持部に形成できることになり、回動軸位置認識マークの形成を効率的に行うことができる。
【0038】
請求項10に記載の発明によれば、アクチュエータ装置用の保護カバーが、請求項1ないし請求項9に記載のアクチュエータ装置を周囲から包囲する包囲壁と、ダンパー部材を支持する支持壁部とを有するので、ダンパー部材を支持壁部に保持させることができ、アクチュエータ装置の使用中に、ダンパー部材が回動軸からずれるのを防止できる。
【0039】
請求項11ないし請求項13に記載の発明によれば、ゲル状の材料を用いてダンパー部材を梁部材に正確に形成できる。
請求項14に記載の発明によれば、蛇行状支持部の回動軸線に相当する箇所の上方に隙間を開けて、かつ、回動軸線の延びる方向に直線部材を緊張させて配設し、ダンパー部材の形成用の材料を蛇行状支持部と直線部材とに接しさせ、ダンパー部材の形成用の材料の表面張力を利用して、ダンパー部材を形成した後、このダンパー部材から直線部材を引き離すことにしたので、ダンパー部材を蛇行状支持部の回動軸線に相当する箇所に形成する際に、ダンパー部材を形成する材料の垂れ流れを防止できる。
【0040】
請求項15に記載の発明によれば、小さな駆動力で低周波の回転振幅で光偏向装置を提供できる。
請求項16に記載の発明によれば、二次元光走査装置の低周波駆動する側の衝撃による故障を抑制でき、信頼性を向上させることができる。ほぼ、MEMS単体に近い状態で故障抑制対策ができるので、故障抑制のために大きなスペースを必要とせず、二次元光走査装置の設計自由度を上げることができる。
【0041】
請求項17に記載の発明によれば、組み込まれた光走査装置の信頼性の向上を図ることができるので、ひいては、画像投影装置の信頼性を改善させることができる。また、光走査装置の小型化を図ることができるので、その分、画像投影装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は従来のアクチュエータ装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示す可動部を一方向に回動させた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は図1に示す可動部を他方向に回動させた状態を示す斜視図である。
【図4】図4は従来のアクチュエータ装置の更に他の概略構成を示す斜視図であって、可動部と枠部材とを連結する梁部材を蛇行状支持部から構成した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は図4に示す蛇行状支持部の更に他の構成を示す斜視図である。
【図6】図6は可動部が回転軸の回りに設計で意図した通りに回動しているときの蛇行状支持部の状態を示す模式的説明図である。
【図7】図7は可動部が回転軸の回りに設計で意図した通りに回動していなくて、蛇行状支持部がいびつに広がり変形している状態の一例を示す模式的説明図である。
【図8】図8は可動部が回転軸の回りに設計で意図した通りに回動していなくて、蛇行状支持部がいびつに広がり変形している状態の他の例を示す模式的説明図である。
【図9】図9は本発明に係るアクチュエータ装置の第1実施例を示す斜視図であって、可動部を表面側から目視した図である。
【図10】図10は本発明に係るアクチュエータ装置の第1実施例を示す斜視図であって、図9に示す可動部を裏面側から目視した図である。
【図11】図11は本発明に係るアクチュエータ装置の第2実施例を示す斜視図であって、図9、図10に示す梁部材を蛇行状支持部により構成したアクチュエータ装置を示す図である。
【図12】図12は図11に示す蛇行状支持部の変形例を示すアクチュエータ装置の斜視図である。
【図13】図13は印加電圧の駆動周波数に対する振幅角度のグラフである。
【図14】図14は蛇行状支持部を可動部材に連結する連結軸部と、蛇行状支持部を枠部材に連結する連結軸部とが、回動軸から離間した位置に設けられているアクチュエータ装置の一例を示す斜視図である。
【図15】図15は図14に示すアクチュエータ装置の回動軸の軸線上にダンパー部材を不連続的にかつ直線部を横断するようにして形成した状態を示す斜視図である。
【図16】図16は本発明に係るアクチュエータ装置の第3実施例を示す斜視図であって、図11に示す蛇行状支持部にダンパー部材を連続的に形成した状態を示す図である。
【図17】図17は図12に示す蛇行状支持部にダンパー部材を連続的に形成した状態を示すアクチュエータ装置の斜視図である。
【図18】図18は図14に示すアクチュエータ装置の回動軸の軸線上にダンパー部材を連続的にかつ直線部を横断するようにして形成した状態を示す斜視図である。
【図19】図19は本発明に係るアクチュエータ装置の第4実施例を示す斜視図であって、梁部材の直線部に圧電膜を形成した状態を示す図である。
【図20】図20は図19に示すアクチュエータ装置に電圧を印加して梁部材を変位させた状態を説明するための仮想変位図である。
【図21】図21は本発明に係るアクチュエータ装置の第5実施例を示す斜視図であって、図19に示すアクチュエータ装置の平板部の四隅に衝撃緩和部材を設けた例を示す図である。
【図22】図22は本発明に係るアクチュエータ装置の第6実施例を示す斜視図であって、アクチュエータ装置を表面側から目視した状態を示す図である。
【図23】図23は図22に示すアクチュエータ装置を裏面側から目視した斜視図である。
【図24】図24は本発明に係るアクチュエータ装置の第7実施例を示す斜視図であって、裏面側にディスペンサ装置の吐出針の逃げ部が形成されたアクチュエータ装置を示す図である。
【図25】図25は本発明に係るアクチュエータ装置の製造方法の第1実施例の説明図であって、梁部材へのダンパー部材への形成方法の一例を示す斜視図である。
【図26】図26は本発明に係るアクチュエータ装置の製造方法の第2実施例の説明図であって、型枠部材とアクチュエータ装置とを分解して示す斜視図である。
【図27】図27は図26に示す型枠部材を枠部材にセットした状態を示す斜視図である。
【図28】図28は本発明に係るアクチュエータ装置の製造方法の第3実施例の説明図であって、型枠部材とアクチュエータ装置とを分解して示す斜視図である。
【図29】図29は図28に示す型枠部材を枠部材にセットした状態を示す斜視図である。
【図30】図30は本発明に係るアクチュエータ装置の製造方法の第4実施例の説明図であって、梁部材へのダンパー素材の貼着状態を示す斜視図である。
【図31】図31は本発明に係るアクチュエータ製造装置の製造方法の第5実施例の説明図であって、蛇行状支持部の回動軸に相当する箇所にこの回動軸をパターン認識させるための回動軸位置認識マークを形成するための説明図である。
【図32】図32は本発明に係るアクチュエータ製造装置の製造方法の第6実施例の説明図であって、直線部材を蛇行状支持部の回動軸線に相当する箇所の上方に隙間を開けて配設した状態を示す斜視図である。
【図33】図33は直線部材と蛇行状支持部との間にダンパー部材を設けた状態を示す部分拡大斜視図である。
【図34】図34は本発明に係るアクチュエータ装置を保護する保護カバーの説明図であって、図19に示すアクチュエータ装置が組み込まれた保護カバーの全体構成を示す斜視図である。
【図35】図35は図34に示す保護カバーの拡大斜視図である。
【図36】図36は図35に示すアクチュエータ装置と保護カバーとの分解斜視図である。
【図37】図37はアクチュエータ装置を保護カバーに組み込んだ状態で、蛇行状支持部の回動軸を横断する方向に断面した図であって、支持壁部に対する蛇行状支持部の支持状態を示す部分拡大断面図である。
【図38】図38は図37と同様にアクチュエータ装置を保護カバーに組み込んだ状態で、蛇行状支持部の回動軸を横断する方向に断面した図であって、支持壁部に対する蛇行状支持部の支持状態の別の実施例を示す部分拡大断面図である。
【図39】図39は図37と同様にアクチュエータ装置を保護カバーに組み込んだ状態で、蛇行状支持部の回動軸を横断する方向に断面した図であって、支持壁部に対する蛇行状支持部の支持状態の更に別の実施例を示す部分拡大断面図である。
【図40】図40はアクチュエータ装置を保護カバーに組み込んだ状態を示す平面図であって、ダンパー部材の配設箇所の他の例を示す平面図である。
【図41】図41はアクチュエータ装置を保護カバーに組み込んだ状態を示す平面図であって、ダンパー部材の配設箇所の更に他の例を示す平面図である。
【図42】図42は保護カバーに対してアクチュエータ装置を裏側から組み込んだ状態を示す斜視図である。
【図43】図43は本発明に係るアクチュエータ装置の平板部に反射面が形成された光偏向装置の斜視図である。
【図44】図44は本発明に係るアクチュエータ装置が入れ子状に配置されて形成された二次元光走査装置の平面図である。
【図45】図45は二次元光走査装置を構成するアクチュエータ装置の外側枠部材と内側枠部材とを連結する蛇行状支持部に形成された配線の一部を用いて回動軸位置認識マークを形成する例を説明するための説明図であって、その全体構成を示す平面図である。
【図46】図46は図45に示す配線部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図47】図47は図44に示す二次元光走査装置を用いた投影装置の概略構成を示す斜視図である。
【図48】図48は図44に示す二次元光走査装置を用いた投影装置の他の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0043】
(アクチュエータ装置の実施例1)
図9は本発明に係るマイクロアクチュエータ(MEMS)装置30の第1実施例を示す斜視図である。この図9において、1は長方形状の枠部材、2は可動部としての正方形状の可動部材である。枠部材1は長辺枠部1aと短辺枠部1bとを有する。可動部材2は一対の梁部材3を介して短辺枠部1bに支持されている。
【0044】
その可動部材2は、図9に示すようにその表面に平板部2aを有し、図10に示すようにその裏面に補強用壁部2bを有する。
一対の梁部材3は、長辺枠部1aの延びる方向に平行に延びている。その一対の梁部材3は枠部材1の長手方向を回動軸として、可動部材2を回転振幅可能に支持する機能を有する。
【0045】
その一対の梁部材3は、ここでは、低周波、小さな駆動力で所定の振幅で回転できるように、細長くすることによりバネの剛性の低減が図られている。この一対の梁部材3の回動軸線上には、その表面に短辺枠部1bから平板部2aの辺縁部2a’に渡って連続して延びるダンパー部材4が設けられている。
【0046】
ダンパー部材4の材料は、梁部材3等の材料としてのシリコンに比べて、弾性が極めて小さくて減衰特性を有するもの、力を吸収可能なものでなければならない。また、梁部材3の変形に抗するもの、梁部材3の回動速度に抗するものでなければならない。
【0047】
このダンパー部材4の材料としては、ダンパー部材4としての機能を果たすための形状を維持可能な粘度以上の粘度を有するゲル材料やゴム材料等が考えられる。
そのゲル材料には、シリコーンを主原料としたものが良く知られている。このゲル材料には、紫外線を照射したり、加熱したりすることにより、粘度が上昇する材料もある。
【0048】
また、粘度の小さい二種の材料の混合後、所定時間が経過することにより、高粘度に変化する材料も知られている。このものによれば、粘度が小さいときに所望の箇所にその二種の材料を迅速に混合して塗布することができ、所定時間経過後、その混合材料が高粘度になるので、その箇所に高粘度の材料を定着できることになり、その箇所に高粘度材料を効率的にかつ精度良く形成できる。
以下では、そのダンパー部材4には、主に、紫外線硬化型のゲル状の材料を用いるものとして説明する。
【0049】
ここでは、例えば、その梁部材3には圧電膜(図示を略す)が形成されている。可動部材2は、その圧電膜に適宜電圧を印加することにより、図9に矢印Kで示すように、梁部材3を回動軸として回転駆動される。
ここでは、このマイクロアクチュエータの駆動手段として、圧電膜を例に挙げて説明したが、電磁方式、静電方式等、各種の駆動手段を用いることができる。
【0050】
ダンパー部材4は、回動速度に比例しかつ動的変化に対して抗力を発生する性質を有するので、衝撃力等の瞬間的な力に対して梁部材3がこの力により大きく変形するのを抑制する機能を有し、その結果、アクチュエータ装置30の故障を防止できる。
【0051】
一方、このアクチュエータ装置30は、通常の回転駆動については、ダンパー部材の変位が小さいため、ダンパー部材4を設けたことによる回転振動に対する抵抗はほとんどない。
【0052】
従って、低周波、小駆動力で回転振幅できるように、回動軸としての梁部材3を細長くしてバネ剛性を下げた場合も、本来の回転振動に対する抵抗をほとんど増大させることなく、衝撃を受けたときに、梁部材3が大きく変形するのを防止でき、ひいては、アクチュエータ装置30が破損する可能性を低減できる。
【0053】
(アクチュエータ装置の実施例2)
図11は梁部材3を折り返し部3aとこの折り返し部3aから折り返されて互いに反対方向に延びる直線部3bとからなる蛇行状支持部3cを形成したものである。ここでは、折り返し部3aは長辺枠部1aに平行に延びる形状とされ、直線部3bは短辺枠部1bに平行に延びる形状とされている。
【0054】
その蛇行状支持部3cには可動部材2を枠部材1に回動可能に連結する連結軸部3d、3eを有する。その直線部3bはその連結軸部3d、3eを結ぶ回動軸Oに対して直交する方向に延びている。
その蛇行状支持部3cには、その表面に、ダンパー部材4が不連続的に配設されている。このダンパー部材4は、ここでは、連結軸部3d、3eを結ぶ回動軸Oの線上に設けられている。
【0055】
ここでは、このダンパー部材4は、連結軸部3dと直線部3bとを接続するダンパー部材4aと、直線部3bと直線部3bとを接続するダンパー部材4bと、直線部4bと連結軸部3eとを接続するダンパー部材4cとから構成されている。
すなわち、蛇行状支持部3cは、ダンパー部材4bによって回動軸Oの線上で蛇行状支持部3cの不連続な空間が繋げられている。
【0056】
図12は蛇行状支持部3cの変形例を示すもので、この変形例では、折り返し部3aが短辺枠部1bと平行な形状とされ、直線部3bが長辺枠部1aと平行な構成とされている。
その直線部3bはその連結軸部3d、3eを結ぶ回動軸Oに対しても平行である。
【0057】
ダンパー部材4は、図11と同様に、連結軸部3dと連結軸部3eとを結ぶ回動軸Oの線上に設けられ、連結軸部3dと折り返し部3aとを接続するダンパー部材4a’と、折り返し部3aと連結軸部3eとを接続するダンパー部材4b’とから構成されている。
【0058】
この図11、図12に示すアクチュエータ装置30のように、梁部材3を蛇行した形状とすると、捩れ方向のバネ定数の低減を図ることができ、低周波でかつ小さな駆動力で可動部材2を回転振動させることができる。
【0059】
ダンパー部材4の粘性が小さな材料を用いる場合、紫外線照射により粘性を上げることができ、ダンパー部材4が垂れ落ちるのを防止できる。なお、ダンパー部材4の材料に熱硬化性ゲル状の材料を用いる場合には、加熱することによって粘性を上げることができる。
【0060】
ダンパー部材4は、それ自体が若干のバネ性を有するので、可動部材2の自重により梁部材3が曲がるのを防止できる。
この実施例によれば、低周波でかつ小さな駆動力で回転振動できるように、梁部材3を蛇行させてバネ剛性を下げた場合でも、梁部材3の変位の小さい回動軸Oの線上にダンパー部材4を配置したので、実施例1と同様に、通常の回転駆動については、ダンパー部材4を設けたことによる回転振動に対する抵抗はほとんどなく、衝撃を受けたときに、梁部材3が大きく変形するのを防止でき、ひいては、アクチュエータ装置30が破損する可能性を低減できる。
【0061】
この図11に示す構造のアクチュエータ装置30において、ダンパー部材4が設けられているアクチュエータ装置30と、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30とを同一の衝撃試験機を用いて、耐衝撃性に関する試験を行ったところ、ダンパー部材4が設けられているアクチュエータ装置30は、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30に較べて約2倍の加速度に耐えられることが確認された。
【0062】
また、回転振幅駆動させた場合にダンパー部材4を設けたことによる悪影響がないか否かを確認するために、蛇行状支持部3cに圧電膜(例えば、図19参照)を形成し、圧電膜に対する印加電圧の振幅を一定とし、この印加電圧の駆動周波数を小さい方から高い方に変化させた場合の駆動周波数に対する可動部材2の振幅角度を測定した。
【0063】
図13は印加電圧の駆動周波数に対する振幅角度のグラフである。この図13において、振幅角度特性曲線Q1は、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30を示し、振幅角度特性曲線Q2は、ダンパー部材4が設けられているアクチュエータ装置30を示している。
【0064】
ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30の場合、振幅角度特性曲線Q1に見られるように、駆動周波数が高い周波数域f0で鋭い共振現象P1が生じ、かつ、この周波数域f0の約1/2の周波数域f1、約1/3の周波数域f2でも共振現象P2、P3が生じている。
【0065】
これに対して、ダンパー部材4が設けられたアクチュエータ装置30の場合、振幅角度特性曲線Q2に見られるように、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30の場合の周波数域f0に較べて、共振現象P4が生じる周波数域f0’が高い方にずれると共に、その共振現象P4の振幅のピークも低くなっている。
【0066】
その一方、このダンパー部材4が設けられたアクチュエータ装置30の場合、駆動周波数の低い周波数域では、ほとんど、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30の場合の振幅感度(単位印加電圧当たりの振幅角度をいう)と較べてその低下も見られない。
【0067】
また、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30の場合、振幅角度特性曲線Q1に見られるような周波数域f0の約1/2の周波数域f1、約1/3の周波数域f2でも共振現象P2、P3が生じるという現象も見られない。
【0068】
従って、このダンパー部材4が設けられたアクチュエータ装置30の場合、目的とする低周波駆動域では、その振幅感度低下は見られず、かつ、振幅角度特性曲線Q1に見られるような周波数域f0の約1/2の周波数域f1、約1/3の周波数域f2でも共振現象P2、P3が生じるという現象も見られないので、このダンパー部材4が設けられたアクチュエータ装置30を組み込んだ電子機器が、その振幅角度特性曲線Q1に見られるような周波数域f0の約1/2の周波数域f1、約1/3の周波数域f2で振動した場合でも、振幅角度が設計で予定した振幅角度から離脱するという現象も防止できる。
【0069】
その図11、図12では、蛇行状支持部3cを可動部材2に連結する連結軸部3dと
、蛇行状支持部3cを枠部材1に連結する連結軸部3eとが、回動軸Oの延びる方向に延びる構成となっているが、連結軸部3d、3eは、図14に示すように、回動軸Oから離間した位置に設けても良い。
【0070】
この図14には、一対の連結軸部3d、3dが正方形状の可動部材2の対角中心Oxを境にして反対側の角部に対称位置に配設され、一対の連結軸部3e、3eが矩形状の枠部材1の対角中心(可動部材2の対角中心に一致している)Oxを境に反対側の角部に対称位置に配設されている。
【0071】
この図14に示すアクチュエータ装置30の回動軸Oの軸線上にダンパー部材4を図15において符号4a”〜4i”に示すように不連続的にかつ直線部3bを横断するようにして形成する
この図15に示す構造のアクチュエータ装置30を用いても、図11に示すアクチュエータ装置30について図13を用いて説明したと同様の作用効果が生じる。
【0072】
この図14、図15に示すアクチュエータ装置30では、一対の連結軸部3d、3d、3e、3eが対角中心Oxを境に互いに反対側の角部でかつ対称位置に配設されているが、一対の連結軸部3d、3d、3e、3eの配設態様は、これに限られるものではない。
【0073】
(アクチュエータ装置の実施例3)
図16は図11に示すアクチュエータ装置30の連結軸部3dと連結軸部3eとを結ぶ回動軸Oの軸線上に直線部3bを横断するように連続的にダンパー部材4を配設したものであり、図17は図12に示すアクチュエータの連結軸部3dと連結軸部3eとを結ぶ回動軸線上に直線部3bの延びる方向に連続的にダンパー部材4を配設したものである。
【0074】
この図16、図17に示す構成のアクチュエータ装置30によれば、ダンパー部材4を連続的に梁部材3に形成したので、梁部材3を蛇行状支持部3cにより形成した場合でも、梁部材3とダンパー部材4との接触面積を大きくすることができ、ダンパー部材4が梁部材3から剥離するのを防止でき、ダンパー部材4の梁部材3に対する定着効果の向上を図ることができる。また、ダンパー部材4の梁部材3への塗布作業も効率よく行うことができる。
【0075】
なお、図14に示す一対の連結軸部3d、3dが正方形状の可動部材2の対角中心Oxを境にして反対側の角部に対称位置に配設され、一対の連結軸部3e、3eが矩形状の枠部材1の対角中心(可動部材2の対角中心に一致している)Oxを境に反対側の角部に対称位置に配設されているアクチュエータ装置30についても、図18に示すようにダンパー部材4を直線部3bを横断するようにして連続的に形成しても良い。
この構造のアクチュエータ装置30についても、図11、図12、図14に示すアクチュエータ装置30と同様の作用効果を奏する。
【0076】
(アクチュエータ装置の実施例4)
図19は蛇行状支持部3cの直線部3bに圧電膜5を直接形成し、この圧電膜5に反り方向の変位をそれぞれ与え、各梁部材3の直線部3bの個々に微小変位を生じさせ、この各直線部3bの微小変位を加算することにより、可動部材2に大きな振幅変位を与えることにしたものである。
【0077】
その連結軸部3dと連結軸部3eとの間には、この連結軸部3dと連結軸部3eとを結ぶ回動軸線上にその各直線部3bを横断するようにしてダンパー部材4が配設されている。
図20は可動部材2を傾き変位させたときの各直線部3bの傾き変位を仮想的に回転軸方向から見た模式図を示しており、可動部材2は個々の直線部3bの傾き変位の総和として結果的に枠部材1に対して大きく傾いている。
【0078】
ダンパー部材4には、捩れ応力が加わるが、大きな引っ張り力や圧縮応力は加わらないので、通常の駆動時に大きな抵抗力は生じず、従って、本来の回転振動に対する抵抗をほとんど増大させることなく、衝撃を受けたときに、梁部材が大きく変形するのを防止でき、ひいては、アクチュエータ装置30が破損する可能性を低減できる。
また、梁部材3に圧電膜を直接形成しているので、アクチュエータ装置30を大型化することなく製作できる。
【0079】
(アクチュエータ装置の実施例5)
図21は、図19に示す可動部材2の平板部2aに衝撃緩和部材6を設ける構成とし、可動枠部材2の大きな変位により図示を略す他部材に衝突して衝撃を受けた場合でも、この衝撃力を緩和する構成としたものである。衝撃緩和部材6の材料には、ダンパー部材4と同じゲル状の材料を用いる。
【0080】
可動部材2、梁部材3にシリコーン等の脆性材料を用いると、衝撃により可動部材2が割れて破損する可能性が高いが、平板部2aで連結軸部3d、3eから遠い位置に、柔軟性を有する衝撃緩和部材6を設けることにより、可動部材2が何らかの原因で図示を略す他部材に衝突した場合でも、衝撃をやわらげることができる。
【0081】
衝撃緩和部材6の材料とダンパー部材4とに同じ材料を用いれば、ダンパー部材4と衝撃緩和部材6とをアクチュエータ装置30に同時に形成することができ、紫外線照射や加熱等の各工程を一度に行うことができるので、アクチュエータ装置30の製作作業時間の短縮を図ることができる。
【0082】
(アクチュエータ装置の実施例6)
図22、図23は、梁部材3の裏面にダンパー部材4を配設する構成としたものである。図19、図21に示すように、梁部材3の表面側にダンパー部材4を配設することにすると、ダンパー部材4が枠部材1の表面側から外に向かって盛り上がり、表面から出っ張る構成となり、アクチュエータ装置30が取り付けられる相手側の部品(図示を略す)の設計の自由度が低下する。
【0083】
この実施例によれば、可動部材2の補強用壁部2bや枠部材1の壁部1a’が存在する裏面側にダンパー部材4を配設したので、ダンパー部材4が枠部材1の表面又は表面側から外部に向かって盛り上がるのを防止でき、従って、アクチュエータ装置30が取り付けられる相手側の部品の設計自由度を向上させることができる。
【0084】
(アクチュエータ装置の実施例7)
図23に示すように、梁部材3の裏面にダンパー部材4を形成する場合、図24に示すディスペンサー装置7を用いる。このディスペンサ装置7は、シリンダ7aと吐出針7bとを有する。シリンダ7aにはゲル状の材料が貯留されている。
【0085】
このディスペンサー装置7は、シリンダ7a内からゲル状の材料が吐出される。シリンダ7a内に押し込まれているゲル状の材料の量やシリンダ圧力、吐出時間を管理することにより、吐出針7bから吐出されるゲル状の材料の吐出量が一定になるようにされている。
【0086】
このように、ディスペンサ装置7を用いる場合、枠部材1の壁部1a’や可動部材2の補強用壁部2bが吐出針7bの邪魔になるので、可動部材2の補強用壁部2bの連結軸部3d、枠部材1の壁部1a’の連結軸部3eの所定箇所にゲル状の材料を供給できない不都合や供給に困難を伴う不都合がある。
【0087】
そこで、図24に示すように、枠部材1の壁部1a’に吐出針7bの案内用のガイド凹処部(逃げ部)8を形成し、可動部材2の補強用壁部2bに吐出針7bのガイド凹処部(逃げ部)9を形成する。このように、枠部材1の壁部1a’や可動部材2の補強用壁部2bにガイド凹処部8、9を形成したので、連結軸部3d、3eの所定位置に精確にダンパー部材4を形成することができる。
【0088】
(製造方法の実施例1)
ダンパー部材4の材料にゲル状の材料を用いると、加熱したり、紫外線を照射したりした場合、硬化過程の初期段階においてその粘性が低いため、梁部材3に塗布したとき、回動軸線上からはみ出て流出するおそれがある。
このようなことが起こると、ダンパー部材4によって、アクチュエータ装置30の正常な回転振動が妨げられる。
【0089】
そこで、図25に示すように、梁部材3にダンパー部材4を塗布する際、ダンパー部材4が回動軸線に沿って流れるように、MEMSデバイスとしてのアクチュエータ装置30を傾けた状態で、梁部材3にダンパー部材4を塗布する。
【0090】
そのダンパー部材4の塗布後、ダンパー部材4が硬化してその垂れた位置が、所定位置になるように、紫外線を照射したり、熱を加えたりして、ダンパー部材4を硬化させ、梁部材3に固着させる。
この実施例によれば、枠部材1を傾けてダンパー部材4を梁部材3に塗布するので、回動軸線上に細長いダンパー部材4を形成できる。
【0091】
(製造方法の実施例2)
梁部材3に粘度の非常に小さいゲル状の材料を用いてダンパー部材4を形成する場合には、図26に示す型枠部材10を用いる。この型枠部材10は、紫外線硬化型のゲル状の材料を用いる場合には、紫外線透過性(光透過性素材)の材料を用いて形成する。
【0092】
この型枠部材10には、回動軸線方向に延びて吐出針7bを案内する案内開口10a、10aが形成されている。
この型枠部材10は、図27に示すように、枠部材1の表面に押し当て、この状態でディスペンサ装置7を操作して、ダンパー部材4を形成するゲル状の材料を梁部材3に塗布する。
【0093】
その後、紫外線をこのゲル状の材料に照射して硬化させることによりダンパー部材4を硬化させる。
ダンパー部材4として熱硬化型のゲル状の材料を用いる場合には、熱伝導性の良好な材料を用いて型枠部材10を形成し、型枠部材10を直接加熱してゲル状の材料を加熱硬化させてダンパー部材4を形成すれば良い。
(製造方法の実施例3)
【0094】
ダンパー部材4に用いるゲル状の材料の粘性が非常に小さい場合には、図28に示すように、型枠部材10にアクチュエータ装置30の設置用凹処11を形成し、ダンパー部材4を形成すべき蛇行状支持部3cに対応する設置用凹処11にダンパー部材4に用いるゲル状の材料を貯留する貯留凹処12を形成する。
【0095】
ついで、貯留凹処12にダンパー部材4に用いるゲル状の材料を注入し、ついで、アクチュエータ装置30の表面が設置用凹処11に対面するようにして、アクチュエータ装置30を図29に示すように型枠部材10にセットする。
型枠部材10は紫外線透過型のゲル状の材料により形成し、下から紫外線を照射して、ゲル状の材料を硬化させて、ダンパー部材4を蛇行状支持部3cの表面に形成する。
【0096】
また、平板部2aで連結軸部3d、3eから遠い位置に、柔軟性を有する衝撃緩和部材6を設ける場合には、この平板部2aの設置用凹処11に衝撃緩和部材6の貯留凹処13を設けても良い。
【0097】
(製造方法の実施例4)
図30に示すように、予めゲル状の紫外線照射型のゲル状の材料を所望の形状、寸法に硬化させてダンパー素材4’を連結軸部3d、3eに貼着する構成とすることもできる。ダンパー素材4’と連結軸部3d、3eとの接着に用いる接着剤には、ダンパー部材4に用いるゲル状の材料を用いれば良い。
【0098】
熱効果型のゲル状の材料を用いる場合には、加熱硬化によりダンパー素材4’を蛇行状支持部3cに貼り付けることができる。
この実施例によれば、ダンパー部材4の製作作業の容易化を図ることができる。
【0099】
(製造方法の実施例5)
図31は蛇行状支持部3cの回動軸Oに相当する箇所にこの回動軸Oをパターン認識させるための回動軸位置認識マークを形成するための説明図であって、この実施例5では、回動軸Oの軸線上に、梁部材3の直線部3bを横断する方向に回動軸位置認識マークMaが形成されている。この回動位置認識マークMaは、例えば、蛇行状支持部3cに白線塗料を塗布することにより形成される。
【0100】
ダンパー部材4はこの回動軸位置認識マークMaを目印にして、この回動軸位置認識マークMaの配列方向に沿って、かつ、この回動軸位置認識マークMaを被覆するようにして配設される。
【0101】
このものによれば、蛇行状支持部3cの回動軸Oに相当する箇所に回動軸Oをパターン認識させるための回動軸位置認識マークMaが形成されているので、顕微鏡(図示を略す)を見ながら一部を拡大してダンパー部材4を蛇行状支持部3c配設する場合でも回動軸Oの位置を認識できることになり、回動軸Oの位置がどこに存在するかを塗布作業途中で顕微鏡の倍率を変えることなく行うことができ、迅速かつ精確に塗布作業を行うことができる。
【0102】
また、塗布後でも、回動軸Oに相当する箇所に正しくダンパー部材4が配設されたか否か、蛇行状支持部3cの隙間(空間)3c”がダンパー部材4により繋がっているかを容易に確認できる。
更に、蛇行状支持部3cに対するダンパー部材4の塗布の自動化を図る場合にも、回動軸位置認識マークMaをパターン認識手段としての画像認識処理手段により認識できるので、そのダンパー部材4の塗布の自動化を容易に行うことができる。
【0103】
(製造方法の実施例6)
図32、図33はダンパー部材4の垂れ流しを防止するために、直線部材Mzを蛇行状支持部3cの回動軸線Oに相当する箇所の上方に隙間Mgを開けて、かつ、回動軸線Oの延びる方向に直線部材Mzを緊張させて張り渡したものである。その図32、図33において、符号Mi、Miはその直線部材Mzの両端部を保持する保持部材である。
【0104】
ダンパー部材4の形成用の材料を蛇行状支持部3cと直線部材Mzとに接しさせると、このダンパー部材4の形成用の材料は、その表面張力により直線部材Mzに向かって引っ張れると共に、直線部材Mzの延びる方向に沿って流れる状態を呈する。
【0105】
従って、ダンパー部材4を蛇行状支持部3cの回動軸線Oに相当する箇所に形成する際に、ダンパー部材4を形成する材料の例えば紫外線照射による硬化途中に、この材料が蛇行状支持部3cの直線部3bと直線部3bとの間の空間から下方に向かって垂れ流れて落ちるのを防止できる。
【0106】
また、ダンパー部材4を形成する材料を直線部材Mzが存在する箇所に表面張力により凝集させることができるので、ダンパー部材4を形成する材料を蛇行状支持部3cの回動軸線Oに相当する箇所に集中させることができることになり、従って、そのダンパー部材4を形成する材料が蛇行状支持部3cの回動軸線Oに相当する箇所からその周囲に向かって拡散するのを防止できる。
【0107】
直線部材Mzは、そのダンパー部材4を形成する材料を硬化させて、蛇行状支持部3cの回動軸線Oに相当する箇所にダンパー部材4を形成した後、このダンパー部材4から引き離される。
【0108】
(保護カバーの実施例)
図34ないし図36は本発明に係るアクチュエータ装置30を保護する保護カバーの説明図であって、図34、図35はそのアクチュエータ装置30が組み込まれた保護カバー40の斜視図を示している。
【0109】
この保護カバー40は、長方形状の包囲壁40aと底壁40bとから構成され、包囲壁40aにより囲まれた空間は、図36に示すようにアクチュエータ装置30がセットされるセット空間40cとされている。
底壁40bには、図36に示すように、可動部材2が対向する箇所にその回動を許容する空間40dが形成されている。
【0110】
底壁40bには、その空間を挟んで互いに反対方向に延びる一対の支持壁部40e、40eが形成されている。この一対の支持壁部40e、40eはアクチュエータ装置30の回動軸Oの軸線上に対向する箇所に形成されている。
包囲壁40aの長辺部には、フレキシブルプリント基盤41を案内する切り欠き部40fが形成されている。
【0111】
その保護カバー40を構成する材料には、プラスチックス、アクリル樹脂が用いられる。
一対の支持壁部40e、40eの頂部40gには、アクチュエータ装置30を保護カバー40に組み付ける前にダンパー部材4を形成する材料を塗布し、ダンパー部材4を一対の支持壁部40e、40eと、アクチュエータ装置30の蛇行状支持部3cとにより図37に示すように挟持する。
【0112】
ダンパー部材4を形成する材料が紫外線硬化型のものの場合には、直線部3bと直線部3bとの間の隙間(空間)3c”から紫外線がダンパー部材4を形成する材料に照射されるので、ダンパー部材4を形成する材料が硬化する。
保護カバー40が紫外線透過型の材料により形成されている場合には、保護カバー40の底壁40bの面を介して紫外線を照射する。
【0113】
ダンパー部材4の粘着性が蛇行状支持部3cと一対の支持壁部40e、40eとの間の両方に作用するので、ダンパー部材4の位置決めが容易であり、かつ、アクチュエータ装置30の使用中にダンパー部材4が回動軸Oに相当する箇所からずれるのが防止される。
【0114】
一対の支持壁部40e、40eの頂部40gは、ダンパー部材4がこの一対の支持壁部40e、40eから垂れ流れ落ちないように、図38に示すように、凹面40hとする構成とすることもできる。
【0115】
また、一対の支持壁部40e、40eの幅が細すぎて、この一対の支持壁部40e、40eが使用中に破壊するおそれがある場合のように信頼性が懸念される場合には、図39に示すように、頂部40gの幅を狭くしかつ底壁40bに向かって幅が太くなるように工夫することにより、頂部40gの幅を管理でき、ひいては、回動軸線Oに相当する箇所にダンパー部材4を細長く配設することができる。
【0116】
この他、頂部40gの稜線40iを図37において破線で示すように面取りすることにより、頂部40gの幅を管理することもできる。
この種の一対の支持壁部40e、40eの形状は、例えば、保護カバー40を包囲壁40aと底壁40bとの要素に上下に分割する構成を採用し後から包囲壁40aと底壁40bとを接合して保護カバー40を製作する構成を採用すれば、支障なく作成できる。
【0117】
更に、蛇行状支持部3cは、この保護カバー40の一対の支持壁部40e、40eにダンパー部材4を介して柔らかく保持されているので、図15や図18に示すように、必ずしも、回転軸Oの軸線方向の蛇行状支持部3cの直線部3bの隙間(空間)3c”をダンパー部材4により連結する必要はなく、例えば、図40に示すように、ダンパー部材4を回動軸Oの軸線上に相当する箇所である直線部3bと支持壁部40e、40eとの交差箇所40jのみに間欠的に配設する構成としても良い。
【0118】
また、必ずしも直線部と支持壁部40e、40eとの交差箇所40jの全てにダンパー部材4を設ける必要はなく、例えば、図41に示すように、可動部材2と蛇行状支持部3cとの連結軸部3d、3dのみにダンパー部材4を配設する構成、すなわち、可動部材2の近傍の連結軸部3d、3d、又はこの連結軸部3d、3dの近傍の直線部3bと一対の支持壁部40e、40eとの交差箇所40jにダンパー部材4を設ける構成とすることもできる。
【0119】
以上の実施例では、図35に示すように、非活性層の側から保護カバー40にアクチュエータ装置30をセットする場合について説明したが、図42に示すように、アクチュエータ装置30の裏側、すなわち、活性層の側から保護カバー40にアクチュエータ装置30をセットする構成とすることもできる。
【0120】
このようにアクチュエータ装置用の保護カバー40を、アクチュエータ装置30を周囲から包囲する包囲壁40aと、ダンパー部材4を支持する支持壁部40e、40eとを有する構成としたので、アクチュエータ装置30の使用中に、ダンパー部材4が回動軸Oからずれるのを防止できる。
【0121】
(光偏向装置の実施例)
図43に示すように、可動部材2の平板部2aに アルミニウム物質を真空蒸着等の手段を用いて蒸着することにより反射ミラー14’を形成すれば、このアクチュエータ装置30を光偏向装置として用いることができる。
すなわち、可動部材2の回動によって、入射光線に対する反射方向が変更され、これにより、アクチュエータ装置30を光偏向装置、光走査装置として用いることができる。
【0122】
連結軸部3d、3eの回動軸Oの線上にダンパー部材4が設けられているので、衝撃力等の瞬間的な力に対して梁部材3がこの力により大きく変形するのを抑制する機能を有し、その結果、アクチュエータ装置30の故障を防止することができ、光偏向装置としても信頼性が向上する。
【0123】
(二次元光走査装置の実施例)
図44は本発明に係るアクチュエータ装置30を二次元光走査装置3Qに適用した実施例を示すものである。
この実施例では、枠部材1は長方形状の外側枠部材とされている。可動部材2は長方形状の内側枠部材14を有する。内側枠部材14は長辺枠部14aと短辺枠部14bとを有する。
【0124】
長辺枠部14aは短辺枠部1bと平行に延び、短辺枠部14bは長辺枠部1aと平行に延びる構成とされている。内側枠部材14には可動板15が設けられている。この可動板15は円盤形状とされ、この可動板15の表面には反射ミラー14’が形成されている。
【0125】
可動板15は直径方向に延びる梁部材16a、16aにより支持されている。この梁部材16a、16aの延びる方向をY軸とする。
この梁部材16a、16aの延びる方向先端部はカンチレバー部材17a〜17dと一体化されている。ここでは、カンチレバー部材17a〜17dは4個である。
【0126】
この4個のカンチレバー17a〜17dは梁部材16a、16aと直交する方向に延びており、このカンチレバー17a〜17dの延びる方向先端部は長辺枠部14aと一体化されている。
このカンチレバー17a〜17dにはバイモルフやモノモルフ、バイメタル、形状記憶合金を用いることができるが、ここでは、このカンチレバー17a〜17dには圧電膜5が用いられている。
【0127】
圧電膜5を駆動して、カンチレバー17a〜17dに曲げ力を発生させると、その曲げ力が梁部材16a、16aに伝達される。その結果、可動板15が梁部材16a、16aを回動軸としてY軸方向の回りに回動される。
【0128】
その長辺枠部14a、14aと短辺枠部1b、1bとの間には蛇行状支持部3cが形成されている。この蛇行状支持部3cは折り返し部3aとこの折り返し部3aから折り返されて互いに反対方向に延びる直線部3bとから構成されている。この直線部3bには圧電膜5’が形成されている。
【0129】
折り返し部3aは長辺枠部1aに平行に延びる形状とされ、直線部3bは短辺枠部1bに平行に延びる形状とされている。
蛇行状支持部3cは短辺枠部1bに蛇行状支持部3cを連結する連結軸部3e’と、長辺枠部14aに蛇行状支持部3cを連結する連結軸部3d’とを有する。
【0130】
連結軸部3d’と連結軸部3e’とを結ぶ直線は長辺枠部1aに平行とされ、かつY軸に対して直交しており、この直線の延びる方向をX軸とする。
その連結軸部3d’と連結軸部3e’とを結ぶ直線をX軸方向の回動軸としてその回動軸線上には、ダンパー部材4が設けられている。
【0131】
その直線部3bの圧電膜5を駆動すると、各直線部3bの個々に微小変位が生じ、この各直線部3bの微小変位を加算することにより、可動部材2のX軸回り方向に大きな回動変位が生じる。
【0132】
その可動部材2をX軸回りに回動させると、入射光がY軸方向に偏向され、可動板15をY軸回りに回動させると、入射光がX軸方向に偏向され、これにより、光が二次元方向に走査される。
【0133】
このように、可動部材2を入れ子状に配設し、Y軸周りの駆動は、高剛性のバネ系のカンチレバー17a〜17dにより支持して共振を利用し、高速振幅させ、X軸周りの駆動は低い剛性のバネ系の蛇行状支持部3cで支持して共振周波数を小さくし、X軸周り駆動とY軸周り駆動の周波数の差が十分に大きくなるようにするか、又は共振特性を利用できなかったとしても、バネの抗力を小さくして、より小さなエネルギー供給で、光線によるラスタ描画を可能とすることができる。
【0134】
この二次元光走査装置3Qについては、以下に説明する回動軸位置認識マークMaを用いてダンパー部材4を配設する。
例えば、回動軸位置認識マークMaは、図45に示すように、枠部材1としての外側枠部材と可動部材2としての内側枠部材14とを連結する蛇行状支持部3cに駆動手段としてのカンチレバー17a〜17dに設けられた圧電膜5に駆動電力を供給するための配線Mxの一部を用いて、配線と同時に形成することができる。
【0135】
図46はその図45の配線Mxの部分拡大図であり、蛇行状支持部3cに形成される配線Mxを互いに平行で隙間を開けて形成されたアルミニウム配線Mx1とアルミニウム配線Mx2とから構成する。
【0136】
この配線により、蛇行状支持部3cの連結軸部3d’、3e’に回動軸Oの軸線方向に延びる隙間線Mx3を形成すると共に、回動軸Oに相当する箇所であって、かつ、蛇行状支持部3cの直線部の延びる方向と直交する方向(回動軸Oの延びる方向)に向かって突出するマーク線部Mx4を形成する。
【0137】
この実施例によれば、回動軸位置認識マークMaが、駆動手段に駆動電力を供給するために蛇行状支持部3cに配設された配線Mxを用いて形成できるので、例えば、シリコン面に配線Mxを形成する際に、この配線Mxの形成と同時に回動軸位置認識マークMaを蛇行状支持部3cに形成できることになり、回動軸位置認識マークMaの形成を効率的に行うことができる。
【0138】
なお、ここでは、二次元光走査装置3Qを構成するアクチュエータ装置30について、配線Mxを用いて回動軸位置認識マークMaを形成することにしたが、本発明はこれに限られるものではない。
【0139】
(画像投影装置の実施例)
図47は図46に示す二次元光走査装置3Qを組み込んだ画像投影装置を示している。
画像投影装置は、赤色のレーザー光を射出する赤色光源装置1Rと、緑色のレーザー光を射出する緑色光源装置1Gと、青色のレーザー光を射出する青色光源装置1Bと、クロスダイクロイックプリズム2Qと、クロスダイクロイックプリズム2Qから射出されたレーザー光を走査する二次元光走査装置3Qとを備えている。投射面(スクリーン)4Qに投影する。この画像投影装置は投射面4Qと一体構成であっても良い。
【0140】
赤色光源装置1Rは、中心波長が630nm前後である半導体レーザー(LD)である。青色光源装置1Bは、中心波長が430nm前後である半導体レーザー(LD)である。緑色光源装置1Gは、中心波長が540nm前後である緑色のレーザー光を出射するレーザー装置である。
【0141】
また、二次元光走査装置3Qは、2軸周りに回動できる構造であり、入射レーザー光を投射面(スクリーン)4Qに向けて反射させる。
これらにより、二次元光走査装置3Qのミラーの投影面内で2方向に振動運動が可能となっており、投射面(スクリーン)4Qの水平方向及び垂直方向にレーザー光を走査することが可能となり、投影位置に応じて、各色の光源の発光量を調整することにより、所望の画像を表示することができる。
【0142】
画像投影装置は、図48に示すように、赤色光源装置1Rと、緑色光源装置1Gと、青色光源装置1Bとにより、光路合成を行わない構成であってもよい。
この実施例では、カラー画像を投影する例について述べているが、白黒画像を投影する場合にも、本発明に係る二次元光走査装置3Qを適用可能である。
【0143】
また、二次元光走査装置3Qとしては、図43に示すアクチュエータを入れ子状に配設した構成のものを用いたが、これに限らず、図9〜図24に示すアクチュエータ装置30を適宜組み合わせて入れ子状に配設する構成としても良い。
【符号の説明】
【0144】
1…枠部材
2…可動部材(可動部)
3…梁部材
4…ダンパー部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0145】
【特許文献1】特開2003−181800号公報
【特許文献2】特開2010−148265号公報
【特許文献3】特開2004−304856号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ装置、このアクチュエータ装置用の保護カバー、このアクチュエータの製造方法、このアクチュエータ装置を用いた光偏向装置、二次元光走査装置及びこれを用いた画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マイクロマシン技術を用いたアクチュエータ装置が、従来のアクチュエータ装置に較べて省電力化、小型化、高速化の可能性が高く、駆動部の形成もシリコンウエハーを素材として半導体微細加工技術を用いて大量かつ安価に形成できる可能性があるため、実用化が期待されている。
【0003】
図1はそのアクチュエータ装置30の一例を示している。その図1において、31は長方形状の枠部材、32は回転軸としての梁部材(トーションバー)、33は可動部である。
梁部材32は枠部材31に一対設けられ、可動部33はその一対の梁部材32を介して枠部材31に支持されている。その可動部33には、例えば、ミラー面33aが形成されている。
【0004】
この従来のアクチュエータ装置30は、図2、図3に示すように、一対の梁部材32に捩れ力を発生させると、可動部33が回動される。
この種のアクチュエータ装置30では、共振現象を利用して小さなエネルギーで、高速かつ大振幅の回転振動を得ることができる。
【0005】
また、図4、図5に示すように、アクチュエータ装置30には、梁部材32を折り返し部34aとこの折り返し部34aから折り返されて互いに反対方向に延びる直線部34bとからなる蛇行状支持部34に圧電膜を形成することにより構成したものが知られている。
この形態では、梁部材32の互いに隣り合う直線部34bを交互に反対方向に屈曲変形させることにより、バネ系の剛性を低くして大きな傾き角度を得ることができる(特許文献1参照。)。
【0006】
すなわち、このアクチュエータ装置30では、枠部材31の中に梁部材32を折り曲げることにより蛇行させて配置し、枠部材31を大型にすることなく、直線状の長いトーションで構成されるバネ系と等価のバネ系を有する構成としている。
従って、バネ剛性を下げることができ、低速駆動する場合に、バネ系の共振周波数を下げることもできるし、共振による振動を使わない場合も、小さな駆動力で大きな回動角を得ることができる。
【0007】
また、アクチュエータ装置には、蛇行形状振動子(ミアンダー形振動子)にドライブ素子を設け、ドライブ素子への供給エネルギー効率を改善する構成が開示されている(特許文献2参照。)。
【0008】
更に、可動部と、この可動部を枠部材に対して揺動可能に軸支する少なくともミアンダー形状の梁部材と、可動部の変位時にミアンダー形状の梁部材と隔間して噛み合わされる位置に配置される固定櫛歯状構造体(図示を略す)とを備えたアクチュエータ装置も開示されている(特許文献3参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この種のアクチュエータ装置30では、一般的に、回転軸(回動軸ともいう)に対して垂直方向の力が加わった場合、脆性材料であるシリコンから構成されるMEMSデバイスでは、故障が発生する可能性が大きい。
【0010】
また、例えば、二次元的に光線を走査して画像を形成する二次元光走査装置にこの種のアクチュエータ装置を用いる場合には副走査方向の共振周波数を下げたいためにバネ系の剛性を低くしたいという理由、更には、所望の振動周波数に対してバネ系の共振周波数が高くて共振駆動できない場合であっても、バネ系の剛性をできるだけ下げておけば、小さいエネルギーで駆動できるという理由から、支持系のバネ系の剛性を下げる形態が臨まれるが、支持系のバネ系の剛性を下げることにより、機械的な強度の低下を招き、より一層破損し易くなる。
【0011】
更に、特許文献1ないし特許文献3に開示されているように、梁部材32を蛇行形状(ミアンダー形状)に構成すると、限られたスペース内で、バネ系の剛性を低くできるが、直線状の支持系に較べて衝撃が加わったときに大きな変位が生じ易いため、故障の可能性が更に高まる可能性がある。
【0012】
すなわち、図6に模式的に示すように、可動部33が本来の回転軸(回動軸)Oの回りに整然と捩れている場合には、設計した通りの回動であり、可動部33の可動範囲が限られるため、アクチュエータ装置30が故障する可能性が小さい。
【0013】
ところが、例えば、図7、図8に示すように、梁部材32(蛇行状支持部34)がいびつに広がりかつねじれて、可動部33が本来の回転軸Oの回りから外れて可動した場合、設計上想定していない力が可動部33に加わって本来の回転軸Oの回りから外れて可動した場合、可動部33がアクチュエータ装置30が配設されている近傍の図示を略す回路部品等に衝突して、アクチュエータ装置30が故障するおそれがある。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、衝撃に対する故障発生の低減を図ることのできるアクチュエータ装置、このアクチュエータ装置用の保護カバー、このアクチュエータの製造方法、このアクチュエータ装置を用いた光偏向装置、二次元光走査装置及びこれを用いた画像投影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載のアクチュエータ装置は、枠部材と、該枠部材に梁部材を介して回動可能に支持された可動部と、前記両梁部材を回動軸として可動部を前記枠部材に対して回動させる駆動手段とを備え、前記両梁部材の回動軸線上にダンパー部材を設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載のアクチュエータ装置は、枠部材と、該枠部材に梁部材を介して回動可能に支持された可動部と、前記両梁部材を回動軸として可動部を前記枠部材に対して回動させる駆動手段とを備え、前記両梁部材が蛇行状支持部から構成され、該蛇行状支持部が折り返し部と、該折り返し部から折り返された複数の直線部と、前記枠部材に連結される連結軸部と、前記可動部に連結される連結軸部とを有し、前記両連結軸部を結ぶ直線を回動軸線として、前記ダンパー部材によって前記回動軸線上で前記蛇行状支持部の不連続な空間が繋げられていることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載のアクチュエータ装置は、前記各直線部に屈曲変形用の圧電膜と該圧電膜に駆動電圧を印加する電極とが形成され、前記駆動電圧の印加に基づく前記各直線部の屈曲変形の累積により、前記可動部が回動されることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載のアクチュエータ装置は、前記可動部に、前記ダンパー部材と同じ材料を用いて衝撃緩和部材を設けたことを特徴とする。
請求項5に記載のアクチュエータ装置は、前記可動部が平板部と補強用壁部とを有する可動部材から構成され、前記平板部に前記ダンパー部材と同じ材料を用いて衝撃緩和部材を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載のアクチュエータ装置は、前記両梁部材の裏面に、前記ダンパー部材が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載のアクチュエータ装置は、前記枠部材の壁部と前記可動部材の壁部とに、前記ダンパー部材を構成するゲル状材料塗布用ディスペンサ装置の吐出針の逃げ部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載のアクチュエータ装置は、前記蛇行状支持部の前記回動軸に相当する箇所に該回動軸をパターン認識させるための回動軸位置認識マークが形成されていることを特徴とする。
請求項9に記載のアクチュエータ装置は、前記回動軸位置認識マークが、前記駆動手段に駆動電力を供給するために前記蛇行状支持部に配設された配線を用いて形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載のアクチュエータ装置用の保護カバーは、請求項1ないし請求項9に記載のアクチュエータ装置を周囲から包囲する包囲壁と、前記ダンパー部材を支持する支持壁部とを有することを特徴とする。
請求項11に記載のアクチュエータ装置の製造方法は、前記枠部材を水平面に対して傾けた状態で、前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする。
【0022】
請求項12に記載のアクチュエータ装置の製造方法は、前記ダンパー部材の形成用の型枠部材を前記枠部材に当接させ、前記ダンパー部材形成用のゲル状材料を前記型枠部材に流し込み、前記ゲル状の材料の硬化後に前記型枠部材を前記枠部材から取り外すことにより、前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする。
【0023】
請求項13に記載のアクチュエータ装置の製造方法は、ゲル状の材料を硬化することにより形成されたダンパー素材を前記両梁部材に貼着することにより前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする。
【0024】
請求項14に記載のアクチュエータ装置の製造方法は、前記蛇行状支持部の前記回動軸線に相当する箇所の上方に隙間を開けて、かつ、前記回動軸線の延びる方向に直線部材を緊張させて配設し、前記ダンパー部材の形成用の材料を前記蛇行状支持部と前記直線部材とに接しさせかつ前記材料を硬化させて前記ダンパー部材を形成した後、該ダンパー部材から前記直線部材を引き離すことにより、請求項2から請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置を製造することを特徴とする。
【0025】
請求項15に記載の光偏向装置は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の可動部に反射面を形成し、前記可動部を回動させることにより、入射光線の反射方向を変化させることを特徴とする。
【0026】
請求項16に記載の二次元光走査装置は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置を入れ子上に設けて、前記アクチュエータ装置の可動部に反射面を設け、前記可動部を互いに直交する二軸方向の回りに回動させて、入射光線の反射方向を変化させることにより互いに直交する方向に光走査することを特徴とする。
請求項17に記載の画像投影装置は、請求項16に記載の二次元光走査装置を用いて投射面に画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、可動部を枠部材に回動可能に連結する両梁部材の回動軸線上にダンパー部材を設けたので、通常の駆動についてほとんど影響を与えることなく、衝撃を受けたときに可動部を支持する両梁部材が大きく変形するのを防止でき、その結果、アクチュエータ装置が破損する可能性を低減できる。
例えば、低周波、小駆動力で回転振幅できるように、両梁部材を細長くしてバネ剛性を下げた場合でも、衝撃を受けたときに両梁部材が大きく変形するのを防止できる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、低周波、小駆動力で回転振幅できるように、折り返し部とこの折り返し部から折り返された複数の直線部と枠部材に連結される連結軸部と可動部に連結される連結軸部とからなる蛇行状支持部により両梁部材を構成して、バネ剛性を下げたアクチュエータ装置でも、回動変位の小さい両梁部材の回動軸線上にダンパー部材を設けたので、通常の駆動にほとんど影響を与えることなく、衝撃を受けたときに、両梁部材が大きく変形するのを防止でき、その結果、アクチュエータ装置が破損する可能性を低減できる。
【0029】
すなわち、蛇行状支持部が図7、図8に示すようないびつに広がりかつ変形するのを防止することができるので、故障が発生するのを防止できる。また、ダンパー部材がバネの機能も果たすので、可動部の自重に起因する両梁部材の曲がり変形も抑制できる。
【0030】
特に、ダンパー部材を枠部材に連結される連結軸部から可動部に連結される連結軸部までに渡って連続的に回動軸線上に設けることにすれば、不連続的にダンパー部材を回動軸線上に形成するよりも効率的にダンパー部材を回動軸線上に形成することができ、作業効率を向上させることができると共に、梁部材とダンパー部材との接触面積を大きく確保できるので、ダンパー部材が梁部材から剥離する確率を低減できる。
【0031】
請求項3に記載の発明によれば、梁部材の表面に圧電膜を設け、この圧電膜によって梁部材を変形させることにしたので、可動部に回転振動を与えるアクチュエータ装置であっても、衝撃による故障を防止できる。
【0032】
請求項4、請求項5に記載の発明によれば、可動部に衝撃緩和部材を設けたので、何らかの原因で可動部が他の部材に衝突したときでも、その衝撃を吸収でき、アクチュエータ装置の故障の発生をより一層低減できる。
【0033】
請求項6に記載の発明によれば、両梁部材の裏面にダンパー部材を形成したので、ダンパー部材が表面から突出するのを防止でき、後工程での設計自由度や作業の自由度の向上を図ることができる。
【0034】
請求項7に記載の発明によれば、吐出針の逃げ部を枠部材の壁部と可動部材の壁部とに形成したので、梁部材の裏面にダンパー部材を設ける場合でも、アクチュエータ装置を大型化することなく、ダンパー部材を梁部材の裏面に形成できる。
【0035】
請求項8に記載の発明によれば、蛇行状支持部の回動軸に相当する箇所に回動軸をパターン認識させるための回動軸位置認識マークが形成されているので、回動軸に相当する箇所に正しくダンパー部材が配設されたか否か、蛇行状支持部の隙間の空間がダンパー部材により繋がっているかを容易に確認できる。
【0036】
また、蛇行状支持部に対するダンパー部材の塗布の自動化を図る場合にも、回動軸位置認識マークをパターン認識手段としての画像認識処理手段により認識できるので、そのダンパー部材の塗布の自動化を容易に行うことができる。
【0037】
請求項9に記載のアクチュエータ装置は、回動軸位置認識マークが、駆動手段に駆動電力を供給するために蛇行状支持部に配設された配線を用いて形成されているので、例えば、シリコン面に配線を形成する際に、この配線形成と同時に回動軸位置認識マークを蛇行状支持部に形成できることになり、回動軸位置認識マークの形成を効率的に行うことができる。
【0038】
請求項10に記載の発明によれば、アクチュエータ装置用の保護カバーが、請求項1ないし請求項9に記載のアクチュエータ装置を周囲から包囲する包囲壁と、ダンパー部材を支持する支持壁部とを有するので、ダンパー部材を支持壁部に保持させることができ、アクチュエータ装置の使用中に、ダンパー部材が回動軸からずれるのを防止できる。
【0039】
請求項11ないし請求項13に記載の発明によれば、ゲル状の材料を用いてダンパー部材を梁部材に正確に形成できる。
請求項14に記載の発明によれば、蛇行状支持部の回動軸線に相当する箇所の上方に隙間を開けて、かつ、回動軸線の延びる方向に直線部材を緊張させて配設し、ダンパー部材の形成用の材料を蛇行状支持部と直線部材とに接しさせ、ダンパー部材の形成用の材料の表面張力を利用して、ダンパー部材を形成した後、このダンパー部材から直線部材を引き離すことにしたので、ダンパー部材を蛇行状支持部の回動軸線に相当する箇所に形成する際に、ダンパー部材を形成する材料の垂れ流れを防止できる。
【0040】
請求項15に記載の発明によれば、小さな駆動力で低周波の回転振幅で光偏向装置を提供できる。
請求項16に記載の発明によれば、二次元光走査装置の低周波駆動する側の衝撃による故障を抑制でき、信頼性を向上させることができる。ほぼ、MEMS単体に近い状態で故障抑制対策ができるので、故障抑制のために大きなスペースを必要とせず、二次元光走査装置の設計自由度を上げることができる。
【0041】
請求項17に記載の発明によれば、組み込まれた光走査装置の信頼性の向上を図ることができるので、ひいては、画像投影装置の信頼性を改善させることができる。また、光走査装置の小型化を図ることができるので、その分、画像投影装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は従来のアクチュエータ装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示す可動部を一方向に回動させた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は図1に示す可動部を他方向に回動させた状態を示す斜視図である。
【図4】図4は従来のアクチュエータ装置の更に他の概略構成を示す斜視図であって、可動部と枠部材とを連結する梁部材を蛇行状支持部から構成した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は図4に示す蛇行状支持部の更に他の構成を示す斜視図である。
【図6】図6は可動部が回転軸の回りに設計で意図した通りに回動しているときの蛇行状支持部の状態を示す模式的説明図である。
【図7】図7は可動部が回転軸の回りに設計で意図した通りに回動していなくて、蛇行状支持部がいびつに広がり変形している状態の一例を示す模式的説明図である。
【図8】図8は可動部が回転軸の回りに設計で意図した通りに回動していなくて、蛇行状支持部がいびつに広がり変形している状態の他の例を示す模式的説明図である。
【図9】図9は本発明に係るアクチュエータ装置の第1実施例を示す斜視図であって、可動部を表面側から目視した図である。
【図10】図10は本発明に係るアクチュエータ装置の第1実施例を示す斜視図であって、図9に示す可動部を裏面側から目視した図である。
【図11】図11は本発明に係るアクチュエータ装置の第2実施例を示す斜視図であって、図9、図10に示す梁部材を蛇行状支持部により構成したアクチュエータ装置を示す図である。
【図12】図12は図11に示す蛇行状支持部の変形例を示すアクチュエータ装置の斜視図である。
【図13】図13は印加電圧の駆動周波数に対する振幅角度のグラフである。
【図14】図14は蛇行状支持部を可動部材に連結する連結軸部と、蛇行状支持部を枠部材に連結する連結軸部とが、回動軸から離間した位置に設けられているアクチュエータ装置の一例を示す斜視図である。
【図15】図15は図14に示すアクチュエータ装置の回動軸の軸線上にダンパー部材を不連続的にかつ直線部を横断するようにして形成した状態を示す斜視図である。
【図16】図16は本発明に係るアクチュエータ装置の第3実施例を示す斜視図であって、図11に示す蛇行状支持部にダンパー部材を連続的に形成した状態を示す図である。
【図17】図17は図12に示す蛇行状支持部にダンパー部材を連続的に形成した状態を示すアクチュエータ装置の斜視図である。
【図18】図18は図14に示すアクチュエータ装置の回動軸の軸線上にダンパー部材を連続的にかつ直線部を横断するようにして形成した状態を示す斜視図である。
【図19】図19は本発明に係るアクチュエータ装置の第4実施例を示す斜視図であって、梁部材の直線部に圧電膜を形成した状態を示す図である。
【図20】図20は図19に示すアクチュエータ装置に電圧を印加して梁部材を変位させた状態を説明するための仮想変位図である。
【図21】図21は本発明に係るアクチュエータ装置の第5実施例を示す斜視図であって、図19に示すアクチュエータ装置の平板部の四隅に衝撃緩和部材を設けた例を示す図である。
【図22】図22は本発明に係るアクチュエータ装置の第6実施例を示す斜視図であって、アクチュエータ装置を表面側から目視した状態を示す図である。
【図23】図23は図22に示すアクチュエータ装置を裏面側から目視した斜視図である。
【図24】図24は本発明に係るアクチュエータ装置の第7実施例を示す斜視図であって、裏面側にディスペンサ装置の吐出針の逃げ部が形成されたアクチュエータ装置を示す図である。
【図25】図25は本発明に係るアクチュエータ装置の製造方法の第1実施例の説明図であって、梁部材へのダンパー部材への形成方法の一例を示す斜視図である。
【図26】図26は本発明に係るアクチュエータ装置の製造方法の第2実施例の説明図であって、型枠部材とアクチュエータ装置とを分解して示す斜視図である。
【図27】図27は図26に示す型枠部材を枠部材にセットした状態を示す斜視図である。
【図28】図28は本発明に係るアクチュエータ装置の製造方法の第3実施例の説明図であって、型枠部材とアクチュエータ装置とを分解して示す斜視図である。
【図29】図29は図28に示す型枠部材を枠部材にセットした状態を示す斜視図である。
【図30】図30は本発明に係るアクチュエータ装置の製造方法の第4実施例の説明図であって、梁部材へのダンパー素材の貼着状態を示す斜視図である。
【図31】図31は本発明に係るアクチュエータ製造装置の製造方法の第5実施例の説明図であって、蛇行状支持部の回動軸に相当する箇所にこの回動軸をパターン認識させるための回動軸位置認識マークを形成するための説明図である。
【図32】図32は本発明に係るアクチュエータ製造装置の製造方法の第6実施例の説明図であって、直線部材を蛇行状支持部の回動軸線に相当する箇所の上方に隙間を開けて配設した状態を示す斜視図である。
【図33】図33は直線部材と蛇行状支持部との間にダンパー部材を設けた状態を示す部分拡大斜視図である。
【図34】図34は本発明に係るアクチュエータ装置を保護する保護カバーの説明図であって、図19に示すアクチュエータ装置が組み込まれた保護カバーの全体構成を示す斜視図である。
【図35】図35は図34に示す保護カバーの拡大斜視図である。
【図36】図36は図35に示すアクチュエータ装置と保護カバーとの分解斜視図である。
【図37】図37はアクチュエータ装置を保護カバーに組み込んだ状態で、蛇行状支持部の回動軸を横断する方向に断面した図であって、支持壁部に対する蛇行状支持部の支持状態を示す部分拡大断面図である。
【図38】図38は図37と同様にアクチュエータ装置を保護カバーに組み込んだ状態で、蛇行状支持部の回動軸を横断する方向に断面した図であって、支持壁部に対する蛇行状支持部の支持状態の別の実施例を示す部分拡大断面図である。
【図39】図39は図37と同様にアクチュエータ装置を保護カバーに組み込んだ状態で、蛇行状支持部の回動軸を横断する方向に断面した図であって、支持壁部に対する蛇行状支持部の支持状態の更に別の実施例を示す部分拡大断面図である。
【図40】図40はアクチュエータ装置を保護カバーに組み込んだ状態を示す平面図であって、ダンパー部材の配設箇所の他の例を示す平面図である。
【図41】図41はアクチュエータ装置を保護カバーに組み込んだ状態を示す平面図であって、ダンパー部材の配設箇所の更に他の例を示す平面図である。
【図42】図42は保護カバーに対してアクチュエータ装置を裏側から組み込んだ状態を示す斜視図である。
【図43】図43は本発明に係るアクチュエータ装置の平板部に反射面が形成された光偏向装置の斜視図である。
【図44】図44は本発明に係るアクチュエータ装置が入れ子状に配置されて形成された二次元光走査装置の平面図である。
【図45】図45は二次元光走査装置を構成するアクチュエータ装置の外側枠部材と内側枠部材とを連結する蛇行状支持部に形成された配線の一部を用いて回動軸位置認識マークを形成する例を説明するための説明図であって、その全体構成を示す平面図である。
【図46】図46は図45に示す配線部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図47】図47は図44に示す二次元光走査装置を用いた投影装置の概略構成を示す斜視図である。
【図48】図48は図44に示す二次元光走査装置を用いた投影装置の他の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0043】
(アクチュエータ装置の実施例1)
図9は本発明に係るマイクロアクチュエータ(MEMS)装置30の第1実施例を示す斜視図である。この図9において、1は長方形状の枠部材、2は可動部としての正方形状の可動部材である。枠部材1は長辺枠部1aと短辺枠部1bとを有する。可動部材2は一対の梁部材3を介して短辺枠部1bに支持されている。
【0044】
その可動部材2は、図9に示すようにその表面に平板部2aを有し、図10に示すようにその裏面に補強用壁部2bを有する。
一対の梁部材3は、長辺枠部1aの延びる方向に平行に延びている。その一対の梁部材3は枠部材1の長手方向を回動軸として、可動部材2を回転振幅可能に支持する機能を有する。
【0045】
その一対の梁部材3は、ここでは、低周波、小さな駆動力で所定の振幅で回転できるように、細長くすることによりバネの剛性の低減が図られている。この一対の梁部材3の回動軸線上には、その表面に短辺枠部1bから平板部2aの辺縁部2a’に渡って連続して延びるダンパー部材4が設けられている。
【0046】
ダンパー部材4の材料は、梁部材3等の材料としてのシリコンに比べて、弾性が極めて小さくて減衰特性を有するもの、力を吸収可能なものでなければならない。また、梁部材3の変形に抗するもの、梁部材3の回動速度に抗するものでなければならない。
【0047】
このダンパー部材4の材料としては、ダンパー部材4としての機能を果たすための形状を維持可能な粘度以上の粘度を有するゲル材料やゴム材料等が考えられる。
そのゲル材料には、シリコーンを主原料としたものが良く知られている。このゲル材料には、紫外線を照射したり、加熱したりすることにより、粘度が上昇する材料もある。
【0048】
また、粘度の小さい二種の材料の混合後、所定時間が経過することにより、高粘度に変化する材料も知られている。このものによれば、粘度が小さいときに所望の箇所にその二種の材料を迅速に混合して塗布することができ、所定時間経過後、その混合材料が高粘度になるので、その箇所に高粘度の材料を定着できることになり、その箇所に高粘度材料を効率的にかつ精度良く形成できる。
以下では、そのダンパー部材4には、主に、紫外線硬化型のゲル状の材料を用いるものとして説明する。
【0049】
ここでは、例えば、その梁部材3には圧電膜(図示を略す)が形成されている。可動部材2は、その圧電膜に適宜電圧を印加することにより、図9に矢印Kで示すように、梁部材3を回動軸として回転駆動される。
ここでは、このマイクロアクチュエータの駆動手段として、圧電膜を例に挙げて説明したが、電磁方式、静電方式等、各種の駆動手段を用いることができる。
【0050】
ダンパー部材4は、回動速度に比例しかつ動的変化に対して抗力を発生する性質を有するので、衝撃力等の瞬間的な力に対して梁部材3がこの力により大きく変形するのを抑制する機能を有し、その結果、アクチュエータ装置30の故障を防止できる。
【0051】
一方、このアクチュエータ装置30は、通常の回転駆動については、ダンパー部材の変位が小さいため、ダンパー部材4を設けたことによる回転振動に対する抵抗はほとんどない。
【0052】
従って、低周波、小駆動力で回転振幅できるように、回動軸としての梁部材3を細長くしてバネ剛性を下げた場合も、本来の回転振動に対する抵抗をほとんど増大させることなく、衝撃を受けたときに、梁部材3が大きく変形するのを防止でき、ひいては、アクチュエータ装置30が破損する可能性を低減できる。
【0053】
(アクチュエータ装置の実施例2)
図11は梁部材3を折り返し部3aとこの折り返し部3aから折り返されて互いに反対方向に延びる直線部3bとからなる蛇行状支持部3cを形成したものである。ここでは、折り返し部3aは長辺枠部1aに平行に延びる形状とされ、直線部3bは短辺枠部1bに平行に延びる形状とされている。
【0054】
その蛇行状支持部3cには可動部材2を枠部材1に回動可能に連結する連結軸部3d、3eを有する。その直線部3bはその連結軸部3d、3eを結ぶ回動軸Oに対して直交する方向に延びている。
その蛇行状支持部3cには、その表面に、ダンパー部材4が不連続的に配設されている。このダンパー部材4は、ここでは、連結軸部3d、3eを結ぶ回動軸Oの線上に設けられている。
【0055】
ここでは、このダンパー部材4は、連結軸部3dと直線部3bとを接続するダンパー部材4aと、直線部3bと直線部3bとを接続するダンパー部材4bと、直線部4bと連結軸部3eとを接続するダンパー部材4cとから構成されている。
すなわち、蛇行状支持部3cは、ダンパー部材4bによって回動軸Oの線上で蛇行状支持部3cの不連続な空間が繋げられている。
【0056】
図12は蛇行状支持部3cの変形例を示すもので、この変形例では、折り返し部3aが短辺枠部1bと平行な形状とされ、直線部3bが長辺枠部1aと平行な構成とされている。
その直線部3bはその連結軸部3d、3eを結ぶ回動軸Oに対しても平行である。
【0057】
ダンパー部材4は、図11と同様に、連結軸部3dと連結軸部3eとを結ぶ回動軸Oの線上に設けられ、連結軸部3dと折り返し部3aとを接続するダンパー部材4a’と、折り返し部3aと連結軸部3eとを接続するダンパー部材4b’とから構成されている。
【0058】
この図11、図12に示すアクチュエータ装置30のように、梁部材3を蛇行した形状とすると、捩れ方向のバネ定数の低減を図ることができ、低周波でかつ小さな駆動力で可動部材2を回転振動させることができる。
【0059】
ダンパー部材4の粘性が小さな材料を用いる場合、紫外線照射により粘性を上げることができ、ダンパー部材4が垂れ落ちるのを防止できる。なお、ダンパー部材4の材料に熱硬化性ゲル状の材料を用いる場合には、加熱することによって粘性を上げることができる。
【0060】
ダンパー部材4は、それ自体が若干のバネ性を有するので、可動部材2の自重により梁部材3が曲がるのを防止できる。
この実施例によれば、低周波でかつ小さな駆動力で回転振動できるように、梁部材3を蛇行させてバネ剛性を下げた場合でも、梁部材3の変位の小さい回動軸Oの線上にダンパー部材4を配置したので、実施例1と同様に、通常の回転駆動については、ダンパー部材4を設けたことによる回転振動に対する抵抗はほとんどなく、衝撃を受けたときに、梁部材3が大きく変形するのを防止でき、ひいては、アクチュエータ装置30が破損する可能性を低減できる。
【0061】
この図11に示す構造のアクチュエータ装置30において、ダンパー部材4が設けられているアクチュエータ装置30と、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30とを同一の衝撃試験機を用いて、耐衝撃性に関する試験を行ったところ、ダンパー部材4が設けられているアクチュエータ装置30は、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30に較べて約2倍の加速度に耐えられることが確認された。
【0062】
また、回転振幅駆動させた場合にダンパー部材4を設けたことによる悪影響がないか否かを確認するために、蛇行状支持部3cに圧電膜(例えば、図19参照)を形成し、圧電膜に対する印加電圧の振幅を一定とし、この印加電圧の駆動周波数を小さい方から高い方に変化させた場合の駆動周波数に対する可動部材2の振幅角度を測定した。
【0063】
図13は印加電圧の駆動周波数に対する振幅角度のグラフである。この図13において、振幅角度特性曲線Q1は、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30を示し、振幅角度特性曲線Q2は、ダンパー部材4が設けられているアクチュエータ装置30を示している。
【0064】
ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30の場合、振幅角度特性曲線Q1に見られるように、駆動周波数が高い周波数域f0で鋭い共振現象P1が生じ、かつ、この周波数域f0の約1/2の周波数域f1、約1/3の周波数域f2でも共振現象P2、P3が生じている。
【0065】
これに対して、ダンパー部材4が設けられたアクチュエータ装置30の場合、振幅角度特性曲線Q2に見られるように、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30の場合の周波数域f0に較べて、共振現象P4が生じる周波数域f0’が高い方にずれると共に、その共振現象P4の振幅のピークも低くなっている。
【0066】
その一方、このダンパー部材4が設けられたアクチュエータ装置30の場合、駆動周波数の低い周波数域では、ほとんど、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30の場合の振幅感度(単位印加電圧当たりの振幅角度をいう)と較べてその低下も見られない。
【0067】
また、ダンパー部材4が設けられていないアクチュエータ装置30の場合、振幅角度特性曲線Q1に見られるような周波数域f0の約1/2の周波数域f1、約1/3の周波数域f2でも共振現象P2、P3が生じるという現象も見られない。
【0068】
従って、このダンパー部材4が設けられたアクチュエータ装置30の場合、目的とする低周波駆動域では、その振幅感度低下は見られず、かつ、振幅角度特性曲線Q1に見られるような周波数域f0の約1/2の周波数域f1、約1/3の周波数域f2でも共振現象P2、P3が生じるという現象も見られないので、このダンパー部材4が設けられたアクチュエータ装置30を組み込んだ電子機器が、その振幅角度特性曲線Q1に見られるような周波数域f0の約1/2の周波数域f1、約1/3の周波数域f2で振動した場合でも、振幅角度が設計で予定した振幅角度から離脱するという現象も防止できる。
【0069】
その図11、図12では、蛇行状支持部3cを可動部材2に連結する連結軸部3dと
、蛇行状支持部3cを枠部材1に連結する連結軸部3eとが、回動軸Oの延びる方向に延びる構成となっているが、連結軸部3d、3eは、図14に示すように、回動軸Oから離間した位置に設けても良い。
【0070】
この図14には、一対の連結軸部3d、3dが正方形状の可動部材2の対角中心Oxを境にして反対側の角部に対称位置に配設され、一対の連結軸部3e、3eが矩形状の枠部材1の対角中心(可動部材2の対角中心に一致している)Oxを境に反対側の角部に対称位置に配設されている。
【0071】
この図14に示すアクチュエータ装置30の回動軸Oの軸線上にダンパー部材4を図15において符号4a”〜4i”に示すように不連続的にかつ直線部3bを横断するようにして形成する
この図15に示す構造のアクチュエータ装置30を用いても、図11に示すアクチュエータ装置30について図13を用いて説明したと同様の作用効果が生じる。
【0072】
この図14、図15に示すアクチュエータ装置30では、一対の連結軸部3d、3d、3e、3eが対角中心Oxを境に互いに反対側の角部でかつ対称位置に配設されているが、一対の連結軸部3d、3d、3e、3eの配設態様は、これに限られるものではない。
【0073】
(アクチュエータ装置の実施例3)
図16は図11に示すアクチュエータ装置30の連結軸部3dと連結軸部3eとを結ぶ回動軸Oの軸線上に直線部3bを横断するように連続的にダンパー部材4を配設したものであり、図17は図12に示すアクチュエータの連結軸部3dと連結軸部3eとを結ぶ回動軸線上に直線部3bの延びる方向に連続的にダンパー部材4を配設したものである。
【0074】
この図16、図17に示す構成のアクチュエータ装置30によれば、ダンパー部材4を連続的に梁部材3に形成したので、梁部材3を蛇行状支持部3cにより形成した場合でも、梁部材3とダンパー部材4との接触面積を大きくすることができ、ダンパー部材4が梁部材3から剥離するのを防止でき、ダンパー部材4の梁部材3に対する定着効果の向上を図ることができる。また、ダンパー部材4の梁部材3への塗布作業も効率よく行うことができる。
【0075】
なお、図14に示す一対の連結軸部3d、3dが正方形状の可動部材2の対角中心Oxを境にして反対側の角部に対称位置に配設され、一対の連結軸部3e、3eが矩形状の枠部材1の対角中心(可動部材2の対角中心に一致している)Oxを境に反対側の角部に対称位置に配設されているアクチュエータ装置30についても、図18に示すようにダンパー部材4を直線部3bを横断するようにして連続的に形成しても良い。
この構造のアクチュエータ装置30についても、図11、図12、図14に示すアクチュエータ装置30と同様の作用効果を奏する。
【0076】
(アクチュエータ装置の実施例4)
図19は蛇行状支持部3cの直線部3bに圧電膜5を直接形成し、この圧電膜5に反り方向の変位をそれぞれ与え、各梁部材3の直線部3bの個々に微小変位を生じさせ、この各直線部3bの微小変位を加算することにより、可動部材2に大きな振幅変位を与えることにしたものである。
【0077】
その連結軸部3dと連結軸部3eとの間には、この連結軸部3dと連結軸部3eとを結ぶ回動軸線上にその各直線部3bを横断するようにしてダンパー部材4が配設されている。
図20は可動部材2を傾き変位させたときの各直線部3bの傾き変位を仮想的に回転軸方向から見た模式図を示しており、可動部材2は個々の直線部3bの傾き変位の総和として結果的に枠部材1に対して大きく傾いている。
【0078】
ダンパー部材4には、捩れ応力が加わるが、大きな引っ張り力や圧縮応力は加わらないので、通常の駆動時に大きな抵抗力は生じず、従って、本来の回転振動に対する抵抗をほとんど増大させることなく、衝撃を受けたときに、梁部材が大きく変形するのを防止でき、ひいては、アクチュエータ装置30が破損する可能性を低減できる。
また、梁部材3に圧電膜を直接形成しているので、アクチュエータ装置30を大型化することなく製作できる。
【0079】
(アクチュエータ装置の実施例5)
図21は、図19に示す可動部材2の平板部2aに衝撃緩和部材6を設ける構成とし、可動枠部材2の大きな変位により図示を略す他部材に衝突して衝撃を受けた場合でも、この衝撃力を緩和する構成としたものである。衝撃緩和部材6の材料には、ダンパー部材4と同じゲル状の材料を用いる。
【0080】
可動部材2、梁部材3にシリコーン等の脆性材料を用いると、衝撃により可動部材2が割れて破損する可能性が高いが、平板部2aで連結軸部3d、3eから遠い位置に、柔軟性を有する衝撃緩和部材6を設けることにより、可動部材2が何らかの原因で図示を略す他部材に衝突した場合でも、衝撃をやわらげることができる。
【0081】
衝撃緩和部材6の材料とダンパー部材4とに同じ材料を用いれば、ダンパー部材4と衝撃緩和部材6とをアクチュエータ装置30に同時に形成することができ、紫外線照射や加熱等の各工程を一度に行うことができるので、アクチュエータ装置30の製作作業時間の短縮を図ることができる。
【0082】
(アクチュエータ装置の実施例6)
図22、図23は、梁部材3の裏面にダンパー部材4を配設する構成としたものである。図19、図21に示すように、梁部材3の表面側にダンパー部材4を配設することにすると、ダンパー部材4が枠部材1の表面側から外に向かって盛り上がり、表面から出っ張る構成となり、アクチュエータ装置30が取り付けられる相手側の部品(図示を略す)の設計の自由度が低下する。
【0083】
この実施例によれば、可動部材2の補強用壁部2bや枠部材1の壁部1a’が存在する裏面側にダンパー部材4を配設したので、ダンパー部材4が枠部材1の表面又は表面側から外部に向かって盛り上がるのを防止でき、従って、アクチュエータ装置30が取り付けられる相手側の部品の設計自由度を向上させることができる。
【0084】
(アクチュエータ装置の実施例7)
図23に示すように、梁部材3の裏面にダンパー部材4を形成する場合、図24に示すディスペンサー装置7を用いる。このディスペンサ装置7は、シリンダ7aと吐出針7bとを有する。シリンダ7aにはゲル状の材料が貯留されている。
【0085】
このディスペンサー装置7は、シリンダ7a内からゲル状の材料が吐出される。シリンダ7a内に押し込まれているゲル状の材料の量やシリンダ圧力、吐出時間を管理することにより、吐出針7bから吐出されるゲル状の材料の吐出量が一定になるようにされている。
【0086】
このように、ディスペンサ装置7を用いる場合、枠部材1の壁部1a’や可動部材2の補強用壁部2bが吐出針7bの邪魔になるので、可動部材2の補強用壁部2bの連結軸部3d、枠部材1の壁部1a’の連結軸部3eの所定箇所にゲル状の材料を供給できない不都合や供給に困難を伴う不都合がある。
【0087】
そこで、図24に示すように、枠部材1の壁部1a’に吐出針7bの案内用のガイド凹処部(逃げ部)8を形成し、可動部材2の補強用壁部2bに吐出針7bのガイド凹処部(逃げ部)9を形成する。このように、枠部材1の壁部1a’や可動部材2の補強用壁部2bにガイド凹処部8、9を形成したので、連結軸部3d、3eの所定位置に精確にダンパー部材4を形成することができる。
【0088】
(製造方法の実施例1)
ダンパー部材4の材料にゲル状の材料を用いると、加熱したり、紫外線を照射したりした場合、硬化過程の初期段階においてその粘性が低いため、梁部材3に塗布したとき、回動軸線上からはみ出て流出するおそれがある。
このようなことが起こると、ダンパー部材4によって、アクチュエータ装置30の正常な回転振動が妨げられる。
【0089】
そこで、図25に示すように、梁部材3にダンパー部材4を塗布する際、ダンパー部材4が回動軸線に沿って流れるように、MEMSデバイスとしてのアクチュエータ装置30を傾けた状態で、梁部材3にダンパー部材4を塗布する。
【0090】
そのダンパー部材4の塗布後、ダンパー部材4が硬化してその垂れた位置が、所定位置になるように、紫外線を照射したり、熱を加えたりして、ダンパー部材4を硬化させ、梁部材3に固着させる。
この実施例によれば、枠部材1を傾けてダンパー部材4を梁部材3に塗布するので、回動軸線上に細長いダンパー部材4を形成できる。
【0091】
(製造方法の実施例2)
梁部材3に粘度の非常に小さいゲル状の材料を用いてダンパー部材4を形成する場合には、図26に示す型枠部材10を用いる。この型枠部材10は、紫外線硬化型のゲル状の材料を用いる場合には、紫外線透過性(光透過性素材)の材料を用いて形成する。
【0092】
この型枠部材10には、回動軸線方向に延びて吐出針7bを案内する案内開口10a、10aが形成されている。
この型枠部材10は、図27に示すように、枠部材1の表面に押し当て、この状態でディスペンサ装置7を操作して、ダンパー部材4を形成するゲル状の材料を梁部材3に塗布する。
【0093】
その後、紫外線をこのゲル状の材料に照射して硬化させることによりダンパー部材4を硬化させる。
ダンパー部材4として熱硬化型のゲル状の材料を用いる場合には、熱伝導性の良好な材料を用いて型枠部材10を形成し、型枠部材10を直接加熱してゲル状の材料を加熱硬化させてダンパー部材4を形成すれば良い。
(製造方法の実施例3)
【0094】
ダンパー部材4に用いるゲル状の材料の粘性が非常に小さい場合には、図28に示すように、型枠部材10にアクチュエータ装置30の設置用凹処11を形成し、ダンパー部材4を形成すべき蛇行状支持部3cに対応する設置用凹処11にダンパー部材4に用いるゲル状の材料を貯留する貯留凹処12を形成する。
【0095】
ついで、貯留凹処12にダンパー部材4に用いるゲル状の材料を注入し、ついで、アクチュエータ装置30の表面が設置用凹処11に対面するようにして、アクチュエータ装置30を図29に示すように型枠部材10にセットする。
型枠部材10は紫外線透過型のゲル状の材料により形成し、下から紫外線を照射して、ゲル状の材料を硬化させて、ダンパー部材4を蛇行状支持部3cの表面に形成する。
【0096】
また、平板部2aで連結軸部3d、3eから遠い位置に、柔軟性を有する衝撃緩和部材6を設ける場合には、この平板部2aの設置用凹処11に衝撃緩和部材6の貯留凹処13を設けても良い。
【0097】
(製造方法の実施例4)
図30に示すように、予めゲル状の紫外線照射型のゲル状の材料を所望の形状、寸法に硬化させてダンパー素材4’を連結軸部3d、3eに貼着する構成とすることもできる。ダンパー素材4’と連結軸部3d、3eとの接着に用いる接着剤には、ダンパー部材4に用いるゲル状の材料を用いれば良い。
【0098】
熱効果型のゲル状の材料を用いる場合には、加熱硬化によりダンパー素材4’を蛇行状支持部3cに貼り付けることができる。
この実施例によれば、ダンパー部材4の製作作業の容易化を図ることができる。
【0099】
(製造方法の実施例5)
図31は蛇行状支持部3cの回動軸Oに相当する箇所にこの回動軸Oをパターン認識させるための回動軸位置認識マークを形成するための説明図であって、この実施例5では、回動軸Oの軸線上に、梁部材3の直線部3bを横断する方向に回動軸位置認識マークMaが形成されている。この回動位置認識マークMaは、例えば、蛇行状支持部3cに白線塗料を塗布することにより形成される。
【0100】
ダンパー部材4はこの回動軸位置認識マークMaを目印にして、この回動軸位置認識マークMaの配列方向に沿って、かつ、この回動軸位置認識マークMaを被覆するようにして配設される。
【0101】
このものによれば、蛇行状支持部3cの回動軸Oに相当する箇所に回動軸Oをパターン認識させるための回動軸位置認識マークMaが形成されているので、顕微鏡(図示を略す)を見ながら一部を拡大してダンパー部材4を蛇行状支持部3c配設する場合でも回動軸Oの位置を認識できることになり、回動軸Oの位置がどこに存在するかを塗布作業途中で顕微鏡の倍率を変えることなく行うことができ、迅速かつ精確に塗布作業を行うことができる。
【0102】
また、塗布後でも、回動軸Oに相当する箇所に正しくダンパー部材4が配設されたか否か、蛇行状支持部3cの隙間(空間)3c”がダンパー部材4により繋がっているかを容易に確認できる。
更に、蛇行状支持部3cに対するダンパー部材4の塗布の自動化を図る場合にも、回動軸位置認識マークMaをパターン認識手段としての画像認識処理手段により認識できるので、そのダンパー部材4の塗布の自動化を容易に行うことができる。
【0103】
(製造方法の実施例6)
図32、図33はダンパー部材4の垂れ流しを防止するために、直線部材Mzを蛇行状支持部3cの回動軸線Oに相当する箇所の上方に隙間Mgを開けて、かつ、回動軸線Oの延びる方向に直線部材Mzを緊張させて張り渡したものである。その図32、図33において、符号Mi、Miはその直線部材Mzの両端部を保持する保持部材である。
【0104】
ダンパー部材4の形成用の材料を蛇行状支持部3cと直線部材Mzとに接しさせると、このダンパー部材4の形成用の材料は、その表面張力により直線部材Mzに向かって引っ張れると共に、直線部材Mzの延びる方向に沿って流れる状態を呈する。
【0105】
従って、ダンパー部材4を蛇行状支持部3cの回動軸線Oに相当する箇所に形成する際に、ダンパー部材4を形成する材料の例えば紫外線照射による硬化途中に、この材料が蛇行状支持部3cの直線部3bと直線部3bとの間の空間から下方に向かって垂れ流れて落ちるのを防止できる。
【0106】
また、ダンパー部材4を形成する材料を直線部材Mzが存在する箇所に表面張力により凝集させることができるので、ダンパー部材4を形成する材料を蛇行状支持部3cの回動軸線Oに相当する箇所に集中させることができることになり、従って、そのダンパー部材4を形成する材料が蛇行状支持部3cの回動軸線Oに相当する箇所からその周囲に向かって拡散するのを防止できる。
【0107】
直線部材Mzは、そのダンパー部材4を形成する材料を硬化させて、蛇行状支持部3cの回動軸線Oに相当する箇所にダンパー部材4を形成した後、このダンパー部材4から引き離される。
【0108】
(保護カバーの実施例)
図34ないし図36は本発明に係るアクチュエータ装置30を保護する保護カバーの説明図であって、図34、図35はそのアクチュエータ装置30が組み込まれた保護カバー40の斜視図を示している。
【0109】
この保護カバー40は、長方形状の包囲壁40aと底壁40bとから構成され、包囲壁40aにより囲まれた空間は、図36に示すようにアクチュエータ装置30がセットされるセット空間40cとされている。
底壁40bには、図36に示すように、可動部材2が対向する箇所にその回動を許容する空間40dが形成されている。
【0110】
底壁40bには、その空間を挟んで互いに反対方向に延びる一対の支持壁部40e、40eが形成されている。この一対の支持壁部40e、40eはアクチュエータ装置30の回動軸Oの軸線上に対向する箇所に形成されている。
包囲壁40aの長辺部には、フレキシブルプリント基盤41を案内する切り欠き部40fが形成されている。
【0111】
その保護カバー40を構成する材料には、プラスチックス、アクリル樹脂が用いられる。
一対の支持壁部40e、40eの頂部40gには、アクチュエータ装置30を保護カバー40に組み付ける前にダンパー部材4を形成する材料を塗布し、ダンパー部材4を一対の支持壁部40e、40eと、アクチュエータ装置30の蛇行状支持部3cとにより図37に示すように挟持する。
【0112】
ダンパー部材4を形成する材料が紫外線硬化型のものの場合には、直線部3bと直線部3bとの間の隙間(空間)3c”から紫外線がダンパー部材4を形成する材料に照射されるので、ダンパー部材4を形成する材料が硬化する。
保護カバー40が紫外線透過型の材料により形成されている場合には、保護カバー40の底壁40bの面を介して紫外線を照射する。
【0113】
ダンパー部材4の粘着性が蛇行状支持部3cと一対の支持壁部40e、40eとの間の両方に作用するので、ダンパー部材4の位置決めが容易であり、かつ、アクチュエータ装置30の使用中にダンパー部材4が回動軸Oに相当する箇所からずれるのが防止される。
【0114】
一対の支持壁部40e、40eの頂部40gは、ダンパー部材4がこの一対の支持壁部40e、40eから垂れ流れ落ちないように、図38に示すように、凹面40hとする構成とすることもできる。
【0115】
また、一対の支持壁部40e、40eの幅が細すぎて、この一対の支持壁部40e、40eが使用中に破壊するおそれがある場合のように信頼性が懸念される場合には、図39に示すように、頂部40gの幅を狭くしかつ底壁40bに向かって幅が太くなるように工夫することにより、頂部40gの幅を管理でき、ひいては、回動軸線Oに相当する箇所にダンパー部材4を細長く配設することができる。
【0116】
この他、頂部40gの稜線40iを図37において破線で示すように面取りすることにより、頂部40gの幅を管理することもできる。
この種の一対の支持壁部40e、40eの形状は、例えば、保護カバー40を包囲壁40aと底壁40bとの要素に上下に分割する構成を採用し後から包囲壁40aと底壁40bとを接合して保護カバー40を製作する構成を採用すれば、支障なく作成できる。
【0117】
更に、蛇行状支持部3cは、この保護カバー40の一対の支持壁部40e、40eにダンパー部材4を介して柔らかく保持されているので、図15や図18に示すように、必ずしも、回転軸Oの軸線方向の蛇行状支持部3cの直線部3bの隙間(空間)3c”をダンパー部材4により連結する必要はなく、例えば、図40に示すように、ダンパー部材4を回動軸Oの軸線上に相当する箇所である直線部3bと支持壁部40e、40eとの交差箇所40jのみに間欠的に配設する構成としても良い。
【0118】
また、必ずしも直線部と支持壁部40e、40eとの交差箇所40jの全てにダンパー部材4を設ける必要はなく、例えば、図41に示すように、可動部材2と蛇行状支持部3cとの連結軸部3d、3dのみにダンパー部材4を配設する構成、すなわち、可動部材2の近傍の連結軸部3d、3d、又はこの連結軸部3d、3dの近傍の直線部3bと一対の支持壁部40e、40eとの交差箇所40jにダンパー部材4を設ける構成とすることもできる。
【0119】
以上の実施例では、図35に示すように、非活性層の側から保護カバー40にアクチュエータ装置30をセットする場合について説明したが、図42に示すように、アクチュエータ装置30の裏側、すなわち、活性層の側から保護カバー40にアクチュエータ装置30をセットする構成とすることもできる。
【0120】
このようにアクチュエータ装置用の保護カバー40を、アクチュエータ装置30を周囲から包囲する包囲壁40aと、ダンパー部材4を支持する支持壁部40e、40eとを有する構成としたので、アクチュエータ装置30の使用中に、ダンパー部材4が回動軸Oからずれるのを防止できる。
【0121】
(光偏向装置の実施例)
図43に示すように、可動部材2の平板部2aに アルミニウム物質を真空蒸着等の手段を用いて蒸着することにより反射ミラー14’を形成すれば、このアクチュエータ装置30を光偏向装置として用いることができる。
すなわち、可動部材2の回動によって、入射光線に対する反射方向が変更され、これにより、アクチュエータ装置30を光偏向装置、光走査装置として用いることができる。
【0122】
連結軸部3d、3eの回動軸Oの線上にダンパー部材4が設けられているので、衝撃力等の瞬間的な力に対して梁部材3がこの力により大きく変形するのを抑制する機能を有し、その結果、アクチュエータ装置30の故障を防止することができ、光偏向装置としても信頼性が向上する。
【0123】
(二次元光走査装置の実施例)
図44は本発明に係るアクチュエータ装置30を二次元光走査装置3Qに適用した実施例を示すものである。
この実施例では、枠部材1は長方形状の外側枠部材とされている。可動部材2は長方形状の内側枠部材14を有する。内側枠部材14は長辺枠部14aと短辺枠部14bとを有する。
【0124】
長辺枠部14aは短辺枠部1bと平行に延び、短辺枠部14bは長辺枠部1aと平行に延びる構成とされている。内側枠部材14には可動板15が設けられている。この可動板15は円盤形状とされ、この可動板15の表面には反射ミラー14’が形成されている。
【0125】
可動板15は直径方向に延びる梁部材16a、16aにより支持されている。この梁部材16a、16aの延びる方向をY軸とする。
この梁部材16a、16aの延びる方向先端部はカンチレバー部材17a〜17dと一体化されている。ここでは、カンチレバー部材17a〜17dは4個である。
【0126】
この4個のカンチレバー17a〜17dは梁部材16a、16aと直交する方向に延びており、このカンチレバー17a〜17dの延びる方向先端部は長辺枠部14aと一体化されている。
このカンチレバー17a〜17dにはバイモルフやモノモルフ、バイメタル、形状記憶合金を用いることができるが、ここでは、このカンチレバー17a〜17dには圧電膜5が用いられている。
【0127】
圧電膜5を駆動して、カンチレバー17a〜17dに曲げ力を発生させると、その曲げ力が梁部材16a、16aに伝達される。その結果、可動板15が梁部材16a、16aを回動軸としてY軸方向の回りに回動される。
【0128】
その長辺枠部14a、14aと短辺枠部1b、1bとの間には蛇行状支持部3cが形成されている。この蛇行状支持部3cは折り返し部3aとこの折り返し部3aから折り返されて互いに反対方向に延びる直線部3bとから構成されている。この直線部3bには圧電膜5’が形成されている。
【0129】
折り返し部3aは長辺枠部1aに平行に延びる形状とされ、直線部3bは短辺枠部1bに平行に延びる形状とされている。
蛇行状支持部3cは短辺枠部1bに蛇行状支持部3cを連結する連結軸部3e’と、長辺枠部14aに蛇行状支持部3cを連結する連結軸部3d’とを有する。
【0130】
連結軸部3d’と連結軸部3e’とを結ぶ直線は長辺枠部1aに平行とされ、かつY軸に対して直交しており、この直線の延びる方向をX軸とする。
その連結軸部3d’と連結軸部3e’とを結ぶ直線をX軸方向の回動軸としてその回動軸線上には、ダンパー部材4が設けられている。
【0131】
その直線部3bの圧電膜5を駆動すると、各直線部3bの個々に微小変位が生じ、この各直線部3bの微小変位を加算することにより、可動部材2のX軸回り方向に大きな回動変位が生じる。
【0132】
その可動部材2をX軸回りに回動させると、入射光がY軸方向に偏向され、可動板15をY軸回りに回動させると、入射光がX軸方向に偏向され、これにより、光が二次元方向に走査される。
【0133】
このように、可動部材2を入れ子状に配設し、Y軸周りの駆動は、高剛性のバネ系のカンチレバー17a〜17dにより支持して共振を利用し、高速振幅させ、X軸周りの駆動は低い剛性のバネ系の蛇行状支持部3cで支持して共振周波数を小さくし、X軸周り駆動とY軸周り駆動の周波数の差が十分に大きくなるようにするか、又は共振特性を利用できなかったとしても、バネの抗力を小さくして、より小さなエネルギー供給で、光線によるラスタ描画を可能とすることができる。
【0134】
この二次元光走査装置3Qについては、以下に説明する回動軸位置認識マークMaを用いてダンパー部材4を配設する。
例えば、回動軸位置認識マークMaは、図45に示すように、枠部材1としての外側枠部材と可動部材2としての内側枠部材14とを連結する蛇行状支持部3cに駆動手段としてのカンチレバー17a〜17dに設けられた圧電膜5に駆動電力を供給するための配線Mxの一部を用いて、配線と同時に形成することができる。
【0135】
図46はその図45の配線Mxの部分拡大図であり、蛇行状支持部3cに形成される配線Mxを互いに平行で隙間を開けて形成されたアルミニウム配線Mx1とアルミニウム配線Mx2とから構成する。
【0136】
この配線により、蛇行状支持部3cの連結軸部3d’、3e’に回動軸Oの軸線方向に延びる隙間線Mx3を形成すると共に、回動軸Oに相当する箇所であって、かつ、蛇行状支持部3cの直線部の延びる方向と直交する方向(回動軸Oの延びる方向)に向かって突出するマーク線部Mx4を形成する。
【0137】
この実施例によれば、回動軸位置認識マークMaが、駆動手段に駆動電力を供給するために蛇行状支持部3cに配設された配線Mxを用いて形成できるので、例えば、シリコン面に配線Mxを形成する際に、この配線Mxの形成と同時に回動軸位置認識マークMaを蛇行状支持部3cに形成できることになり、回動軸位置認識マークMaの形成を効率的に行うことができる。
【0138】
なお、ここでは、二次元光走査装置3Qを構成するアクチュエータ装置30について、配線Mxを用いて回動軸位置認識マークMaを形成することにしたが、本発明はこれに限られるものではない。
【0139】
(画像投影装置の実施例)
図47は図46に示す二次元光走査装置3Qを組み込んだ画像投影装置を示している。
画像投影装置は、赤色のレーザー光を射出する赤色光源装置1Rと、緑色のレーザー光を射出する緑色光源装置1Gと、青色のレーザー光を射出する青色光源装置1Bと、クロスダイクロイックプリズム2Qと、クロスダイクロイックプリズム2Qから射出されたレーザー光を走査する二次元光走査装置3Qとを備えている。投射面(スクリーン)4Qに投影する。この画像投影装置は投射面4Qと一体構成であっても良い。
【0140】
赤色光源装置1Rは、中心波長が630nm前後である半導体レーザー(LD)である。青色光源装置1Bは、中心波長が430nm前後である半導体レーザー(LD)である。緑色光源装置1Gは、中心波長が540nm前後である緑色のレーザー光を出射するレーザー装置である。
【0141】
また、二次元光走査装置3Qは、2軸周りに回動できる構造であり、入射レーザー光を投射面(スクリーン)4Qに向けて反射させる。
これらにより、二次元光走査装置3Qのミラーの投影面内で2方向に振動運動が可能となっており、投射面(スクリーン)4Qの水平方向及び垂直方向にレーザー光を走査することが可能となり、投影位置に応じて、各色の光源の発光量を調整することにより、所望の画像を表示することができる。
【0142】
画像投影装置は、図48に示すように、赤色光源装置1Rと、緑色光源装置1Gと、青色光源装置1Bとにより、光路合成を行わない構成であってもよい。
この実施例では、カラー画像を投影する例について述べているが、白黒画像を投影する場合にも、本発明に係る二次元光走査装置3Qを適用可能である。
【0143】
また、二次元光走査装置3Qとしては、図43に示すアクチュエータを入れ子状に配設した構成のものを用いたが、これに限らず、図9〜図24に示すアクチュエータ装置30を適宜組み合わせて入れ子状に配設する構成としても良い。
【符号の説明】
【0144】
1…枠部材
2…可動部材(可動部)
3…梁部材
4…ダンパー部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0145】
【特許文献1】特開2003−181800号公報
【特許文献2】特開2010−148265号公報
【特許文献3】特開2004−304856号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠部材と、該枠部材に梁部材を介して回動可能に支持された可動部と、前記両梁部材を回動軸として可動部を前記枠部材に対して回動させる駆動手段とを備えたアクチュエータ装置において、
前記両梁部材の回動軸線上にダンパー部材を設けたことを特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項2】
枠部材と、該枠部材に梁部材を介して回動可能に支持された可動部と、前記両梁部材を回動軸として可動部を前記枠部材に対して回動させる駆動手段とを備えたアクチュエータ装置において、
前記両梁部材が蛇行状支持部から構成され、該蛇行状支持部が折り返し部と、該折り返し部から折り返された複数の直線部と、前記枠部材に連結される連結軸部と、前記可動部に連結される連結軸部とを有し、前記両連結軸部を結ぶ直線を回動軸線として、前記ダンパー部材によって前記回動軸線上で前記蛇行状支持部の不連続な空間が繋げられていることを特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項3】
前記各直線部に屈曲変形用の圧電膜と該圧電膜に駆動電圧を印加する電極とが形成され、前記駆動電圧の印加に基づく前記各直線部の屈曲変形の累積により、前記可動部が回動されることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ装置。
【請求項4】
前記可動部に、前記ダンパー部材と同じ材料を用いて衝撃緩和部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項5】
前記可動部が平板部と補強用壁部とを有する可動部材から構成され、前記平板部に前記ダンパー部材と同じ材料を用いて衝撃緩和部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項6】
前記両梁部材の裏面に、前記ダンパー部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項7】
前記枠部材の壁部と前記可動部材の壁部とに、前記ダンパー部材を構成するゲル状材料塗布用ディスペンサ装置の吐出針の逃げ部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ装置。
【請求項8】
前記蛇行状支持部の前記回動軸に相当する箇所に該回動軸をパターン認識させるための回動軸位置認識マークが形成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項9】
前記回動軸位置認識マークが、前記駆動手段に駆動電力を供給するために前記蛇行状支持部に配設された配線を用いて形成されていることを特徴とする請求項8に記載のアクチュエータ装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9に記載のアクチュエータ装置を周囲から包囲する包囲壁と、前記ダンパー部材を支持する支持壁部とを有するアクチュエータ装置用の保護カバー。
【請求項11】
前記枠部材を水平面に対して傾けた状態で、前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
【請求項12】
前記ダンパー部材の形成用の型枠部材を前記枠部材に当接させ、前記ダンパー部材形成用のゲル状材料を前記型枠部材に流し込み、前記ゲル状の材料の硬化後に前記型枠部材を前記枠部材から取り外すことにより、前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
【請求項13】
ゲル状の材料を硬化することにより形成されたダンパー素材を前記両梁部材に貼着することにより前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
【請求項14】
前記蛇行状支持部の前記回動軸線に相当する箇所の上方に隙間を開けて、かつ、前記回動軸線の延びる方向に直線部材を緊張させて配設し、前記ダンパー部材の形成用の材料を前記蛇行状支持部と前記直線部材とに接しさせて前記材料を硬化させて前記ダンパー部材を形成した後、該ダンパー部材から前記直線部材を引き離すことにより、請求項2から請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の可動部に反射面を形成し、前記可動部を回動させることにより、入射光線の反射方向を変化させることを特徴とする光偏向装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置を入れ子上に設けて、前記アクチュエータ装置の可動部に反射面を設け、前記可動部を互いに直交する二軸方向の回りに回動させて、入射光線の反射方向を変化させることにより互いに直交する方向に光走査することを特徴とする二次元光走査装置。
【請求項17】
請求項16に記載の二次元光走査装置を用いて投射面に画像を形成することを特徴とする画像投影装置。
【請求項1】
枠部材と、該枠部材に梁部材を介して回動可能に支持された可動部と、前記両梁部材を回動軸として可動部を前記枠部材に対して回動させる駆動手段とを備えたアクチュエータ装置において、
前記両梁部材の回動軸線上にダンパー部材を設けたことを特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項2】
枠部材と、該枠部材に梁部材を介して回動可能に支持された可動部と、前記両梁部材を回動軸として可動部を前記枠部材に対して回動させる駆動手段とを備えたアクチュエータ装置において、
前記両梁部材が蛇行状支持部から構成され、該蛇行状支持部が折り返し部と、該折り返し部から折り返された複数の直線部と、前記枠部材に連結される連結軸部と、前記可動部に連結される連結軸部とを有し、前記両連結軸部を結ぶ直線を回動軸線として、前記ダンパー部材によって前記回動軸線上で前記蛇行状支持部の不連続な空間が繋げられていることを特徴とするアクチュエータ装置。
【請求項3】
前記各直線部に屈曲変形用の圧電膜と該圧電膜に駆動電圧を印加する電極とが形成され、前記駆動電圧の印加に基づく前記各直線部の屈曲変形の累積により、前記可動部が回動されることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ装置。
【請求項4】
前記可動部に、前記ダンパー部材と同じ材料を用いて衝撃緩和部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項5】
前記可動部が平板部と補強用壁部とを有する可動部材から構成され、前記平板部に前記ダンパー部材と同じ材料を用いて衝撃緩和部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項6】
前記両梁部材の裏面に、前記ダンパー部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項7】
前記枠部材の壁部と前記可動部材の壁部とに、前記ダンパー部材を構成するゲル状材料塗布用ディスペンサ装置の吐出針の逃げ部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ装置。
【請求項8】
前記蛇行状支持部の前記回動軸に相当する箇所に該回動軸をパターン認識させるための回動軸位置認識マークが形成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項9】
前記回動軸位置認識マークが、前記駆動手段に駆動電力を供給するために前記蛇行状支持部に配設された配線を用いて形成されていることを特徴とする請求項8に記載のアクチュエータ装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9に記載のアクチュエータ装置を周囲から包囲する包囲壁と、前記ダンパー部材を支持する支持壁部とを有するアクチュエータ装置用の保護カバー。
【請求項11】
前記枠部材を水平面に対して傾けた状態で、前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
【請求項12】
前記ダンパー部材の形成用の型枠部材を前記枠部材に当接させ、前記ダンパー部材形成用のゲル状材料を前記型枠部材に流し込み、前記ゲル状の材料の硬化後に前記型枠部材を前記枠部材から取り外すことにより、前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
【請求項13】
ゲル状の材料を硬化することにより形成されたダンパー素材を前記両梁部材に貼着することにより前記ダンパー部材を前記両梁部材に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
【請求項14】
前記蛇行状支持部の前記回動軸線に相当する箇所の上方に隙間を開けて、かつ、前記回動軸線の延びる方向に直線部材を緊張させて配設し、前記ダンパー部材の形成用の材料を前記蛇行状支持部と前記直線部材とに接しさせて前記材料を硬化させて前記ダンパー部材を形成した後、該ダンパー部材から前記直線部材を引き離すことにより、請求項2から請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の製造方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置の可動部に反射面を形成し、前記可動部を回動させることにより、入射光線の反射方向を変化させることを特徴とする光偏向装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアクチュエータ装置を入れ子上に設けて、前記アクチュエータ装置の可動部に反射面を設け、前記可動部を互いに直交する二軸方向の回りに回動させて、入射光線の反射方向を変化させることにより互いに直交する方向に光走査することを特徴とする二次元光走査装置。
【請求項17】
請求項16に記載の二次元光走査装置を用いて投射面に画像を形成することを特徴とする画像投影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図2】
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【図19】
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【図27】
【図28】
【図29】
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【図31】
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【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
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【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【公開番号】特開2012−123364(P2012−123364A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186951(P2011−186951)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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