説明

アクリル系ポリマー

本発明は、残留モノマー含有量が非常に低いアクリル系ポリマービーズおよび特にスタイリング剤としてのヘアケア製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、残留モノマー含有量が非常に低いアクリル系ポリマービーズおよびこれらのヘアケア製剤、特にスタイリング剤における使用に関する。
【0002】
アクリル酸エステル共重合体、例えば、ルビマー(Luvimer)(登録商標)(BASF)、Balance(登録商標)(アクゾ・ノーベル(Akzo Nobel))、アキュダイン(Acudyne)(登録商標)(ローム・ウント・ハース(Rohm und Haas))等は、エアゾール式および非エアゾール式スプレーのセット用ポリマーとしてヘアケア産業に幅広く使用されている。これらのポリマーは乳化重合技術を用いて調製され、こうすることにより、分子量、ナノメートルオーダー(典型的には50〜300nm)の粒度、残留モノマー含有量といったポリマーの重要なパラメータを適切に制御することが可能になる。しかしながら、乳化重合ではミクロンサイズの粒子は得られない。エマルジョンポリマーを乾燥すると粒度が細かくなるため、懸濁重合によって得られるポリマービーズの乾燥物と比較するとはるかに飛散性の高いものになる。他方、飛散の問題を回避するべくポリマーエマルジョンをそのまま使用する場合は細菌や真菌の増殖を防ぐために防腐処理を施す必要がある。
【0003】
乾燥したエマルジョンポリマーの飛散性の問題はビーズ型懸濁重合によって克服することができる。これは、ミクロンサイズの球状ビーズまたはパールとして形成されたポリマーが得られる周知の重合法である。しかしながら、たとえ最終的に脱水および洗浄サイクルを行って固定水相と一緒に水溶性の副生成物を除去することができたとしても、水に不溶な副生成物、特に未反応モノマー等がポリマービーズ内部に留まってしまい、特にモノマーがアクリル酸/メタクリル酸およびこれらのエステル由来である場合は、特徴的な異臭、ガラス転移温度(T)の低下、および毒性の問題を引き起こす。
【0004】
したがって、アクリル系ポリマービーズが着色剤、写真用途、インク、またはプラスチックの分野に幅広く用いられているとは言っても、残留モノマー含有量に由来する毒性の問題のため、パーソナルケア製品、特にヘアケア製剤等の用途は依然として限られている。
【0005】
したがって、化粧料用途、特にヘアケア製剤等に用いるための、残留モノマー含有量が250ppm未満、特に100ppm未満等と非常に低いアクリル系ポリマービーズを調製する方法が絶えず望まれ続けている。
【0006】
さらにこの種のアクリル系ポリマービーズは、加工および保管中にビーズ同士が付着するのを防ぐために、Tが十分に高く、少なくとも45℃、特に80〜120℃であることが必要である。工業的に実用的であるためには、ビーズを得るための方法が、モノマー含有量を低くするための複雑な精製工程を必要とせず、効率的かつ経済的に魅力的であるべきである。さらに、ビーズは防腐剤を含まず、飛散せず、自由流動性であり、かつ容易に溶解し、たとえ分離剤を添加しなくても凝塊を生じないことが必要である。
【0007】
さらに、アクリル系ポリマービーズは、慣用の化粧料成分との混和性を有するとともに、ポンプまたはエアゾール式スプレーとして溶剤または溶剤混合物中に容易に配合されるべきである。毛髪に適用されたアクリル系ポリマービーズは、たとえ大気中の湿度が高くても速やかに乾燥し、毛髪を十分にセットするとともに長時間保持し(例えば、良好なカール保持性など)、かつ良好な洗髪性を有するべきである。さらに、処理された毛髪は良好な触感、例えば、べとつきのない良好な手触り等を有するべきである。
【0008】
驚くべきことに、メタクリル酸、メタクリル酸n−ブチル、およびアクリル酸エチルの混合物を懸濁重合することにより得ることができるアクリル系ポリマービーズの残留モノマー含有量を、メタクリル酸エチルを添加することによって大幅に低下させることが可能であることが見出された。
【0009】
したがって、第1の実施形態において、本発明は、メタクリル酸(MAA)、メタクリル酸n−ブチル(BMA)、アクリル酸エチル(EA)、およびメタクリル酸エチル(EMA)の混合物からなるモノマー組成物を懸濁重合させることを含む、アクリル系ポリマービーズの調製方法に関連する。
【0010】
本発明に関連する「ポリマービーズ」という用語は、例えば濾過または遠心分離によって簡単に単離されるポリマー粒子を意味する。本発明に関連するポリマービーズは、典型的には、平均径が少なくとも50μm、好ましくは少なくとも150μmである。通常、ビーズの直径は50〜1500μm、特に150〜400μm等である。
【0011】
特定の実施形態においては、モノマー組成物は、メタクリル酸を10〜30重量%、メタクリル酸n−ブチルを35〜65重量%、アクリル酸エチルを5〜15重量%、およびメタクリル酸エチルを10〜35重量%、特に、メタクリル酸を15〜25重量%、メタクリル酸n−ブチルを38〜60重量%、アクリル酸エチルを8〜15重量%、およびメタクリル酸エチルを15〜25重量%等、その中でも特に、メタクリル酸を17〜22重量%、メタクリル酸n−ブチルを44〜56重量%、アクリル酸エチルを9〜15重量%、およびメタクリル酸エチルを15〜25重量%等の混合物からなる。
【0012】
メタクリル酸を15〜22重量%、メタクリル酸n−ブチルを44〜56重量%、アクリル酸エチルを9〜15重量%、およびメタクリル酸エチルを18〜22重量%からなるモノマー混合物を用いることによって特にモノマー含有量が低くなる。
【0013】
本発明に従い用いられる「からなる(consisting of)」という用語は、モノマーの総量が理想的には合計100重量%になることを意味する。しかしながら、例えば、各原料に由来する少量の不純物や添加剤が、例えば、5重量%未満、好ましくは3重量%未満等の量で存在する可能性を除外するものではない。
【0014】
好ましくは、上に概要を述べた本発明によるモノマー組成物中のメタクリル酸エチル(EMA)対アクリル酸エチル(EA)の比(w/w)は、4:1〜1:1の範囲、好ましくは2:1〜1:1の範囲、特に2:1〜1.3:1.0の範囲から選択される。これはEMA/EAの比率として表すこともでき、これに従えば、好ましくは、4〜1の範囲、好ましくは2〜1の範囲、特に約2.0〜1.3の範囲等から選択されるべきである。
【0015】
さらに好ましくは、本発明によるモノマー組成物中に使用されるメタクリル酸の量は、残留モノマー含有量をさらに低下させることを目的として、モノマーの総量を基準として25重量%未満、例えば約15〜22重量%、特に約17〜22重量%、その中でも特に約20重量%である。
【0016】
特に好ましくは、ポリマーが水またはアルコールおよびこれらの混合物中に十分に溶解すると同時に残留モノマー含有量が極めて低くなるように、モノマー組成物のMAA含有量は、約15〜22重量%、特に17〜22重量%の範囲から選択され、EMA/EAの比率は約2.0〜1.3の範囲から選択される。
【0017】
他の実施形態においては、本発明は、本発明による方法により得ることができるアクリル系ポリマービーズに関する。特に、本発明によるアクリル系ポリマービーズの残留モノマー含有量は、250ppm未満、特に100ppm未満等である。
【0018】
本発明によるアクリル系ポリマービーズは、実施例に例示するように、当該技術分野において周知の方法に従い懸濁重合(結果として得られるポリマー粒子の形状から、粒状、ビーズ、またはパール重合としても周知である)により調製される。
【0019】
本発明のアクリル系ポリマービーズを得るためのモノマー重合用開始剤は、一般にアクリレートモノマーのラジカル重合に適しており、油溶性であり、かつ水溶性が低いもの、例えば、有機過酸化物、有機パーオキシエステル、有機アゾ開始剤等である。開始剤は、通常、モノマーの総含有量を基準として約0.01〜1重量%の量で使用される。
【0020】
有用な連鎖移動剤としては、メルカプタン、四臭化炭素、およびこれらの混合物が挙げられる。ドデシルメルカプタンが好ましい。連鎖移動剤は、通常、モノマーの総含有量を基準として約0.01〜1.0重量%の量、好ましくは0.01〜0.5重量%の量で使用される。
【0021】
場合により、水相における重合を禁止する水溶性禁止剤を添加することができ、こうすることによって、ビーズの凝集に至る可能性のあるポリマーの過剰な形成を引き起こす水相中での乳化および/もしくは溶液重合または乳化型重合が阻止される。好適な禁止剤としては、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、水溶性ヒドロキノン、および亜硝酸塩から選択されるものが挙げられる。これを使用する場合、水溶性禁止剤は、通常、モノマーの総含有量100部を基準として約0.01〜約1重量部の量で添加される。
【0022】
さらに、懸濁液を安定化させて安定なビーズを得るために、水溶性または水分散性高分子安定剤が必要である。好ましくは、安定剤は、水溶性または水分散性の合成ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、スターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸およびこれらのナトリウム塩等である。安定剤は、好ましくは、モノマーの総含有量を基準として約0.001〜10重量%の量、より好ましくは約0.01〜1重量%の量で使用される。
【0023】
場合により他の添加剤、例えば、1、2、および3価の金属塩、ホウ砂、尿素、グリオキサル、および尿素ホルムアルデヒド樹脂等を使用することができる。最終生成物中およびその使用中における微生物の増殖を抑制するために殺生物剤(抗細菌および真菌剤のいずれも)も添加することができる。
【0024】
モノマー、ラジカル開始剤、および任意的な材料を前述した比率で混合することによりプレミックスを形成することができる。安定剤を、水、次いでプレミックスと合一することにより水中油滴型懸濁液を形成することができる。結果として得られた懸濁液は、典型的には、モノマープレミックスを約10〜約50重量パーセントおよび水相を約90〜約50重量パーセントを含む。本発明によるビーズ型懸濁重合は、典型的には熱的に開始される重合であり、好ましくは約40℃〜90℃の温度で撹拌しながら約2〜約16時間実施される。ビーズを濾過や遠心分離等の標準的な方法に従い単離した後、残留モノマー含有量をさらに250ppm未満、特に100ppm未満等の量に低減するために、ビーズを好ましくは長時間、好ましくは約40〜100℃以上、好ましくは約80〜100℃で乾燥させる。乾燥は当業者に一般に周知の手段で、例えば、流動床乾燥機や従来型オーブン等で実施することができる。乾燥時間は当業者によって容易に調整することができ、通常は3〜40時間、例えば約8〜20時間等、特に約8〜10時間で実施される。
【0025】
したがって、さらなる実施形態においては、本発明は、本発明による方法に関連し、上記方法は、ビーズを単離した後、40〜100℃、特に80〜100℃等で長時間乾燥するステップをさらに含む。好ましくは、乾燥ステップは、3〜40時間、その中でも特に8〜20時間、例えば8〜10時間等で実施される。
【0026】
本発明に従い作製されるアクリル系ポリマービーズは、典型的には分子量が約100キロダルトンであり、ガラス転移温度が約80〜120℃であり、粒度が約50〜500μm、例えば200〜500μm(X50)等である。このアクリル系ポリマービーズはTが高いので、保管中におけるビーズの接着を防ぐためのケーキング防止剤はたとえ高温であっても不要である。さらに、乾燥前の残留モノマー含有量は、約80〜100℃、例えば90℃等で長時間乾燥ステップを行った後、パーソナルケア用途に求められる上限を十分に下回るほど低い、すなわち250ppm未満、特に100ppmさえ下回る。
【0027】
本発明によるアクリル系ポリマービーズは、典型的には、酸価が約125〜145mgKOH/gである。
【0028】
ガラス転移温度Tは、G.Kanig(Kolloid−Zeitschrift & Zeitschrift fur Polymere,第190巻,p.1,式1)によれば、ポリマーがガラス状の脆い状態からゴム状態に変化する境界点である。ポリマーのT値は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)等の技法を用いて実験的に測定することができる。
【0029】
本発明によるアクリル系ポリマービーズは、例えば、DSM Nutritional products Ltd.よりTILAMAR(登録商標)Fix A1000の商品名で入手可能である(INCI:Acrylates Copolymer(アクリレーツコポリマー)、化学名:2−メチル−2−プロペン酸、2−メチル−2−プロペン酸ブチル、2−メチル−2−プロペン酸エチル、および2−プロペン酸エチルの重合体、CAS Number:1070166−98−1)。
【0030】
本発明によるアクリル系ポリマービーズを、例えば2−アミノ−2−メチルプロパノール(AMP)を用いて中和すると、水、エタノール、および両者の混合物に完全に溶解し、幅広い用途に適したものとなる。特に、本発明によるアクリル系ポリマービーズは化粧料成分との混和性に優れ、化粧料用途、特にヘアケア用途等に特に適したものとなる。
【0031】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、本発明によるアクリル系ポリマービーズおよび化粧料に許容される担体を含む化粧料組成物に関する。本明細書において用いられる「化粧料組成物」という用語は、特に哺乳動物の角質組織、例えば人間の皮膚や頭皮等に局所的に適用することができる化粧料組成物を指す。本出願に用いられる「化粧料組成物」という用語は、Roempp Lexikon Chemie,第10版,1997,Georg Thieme Verlag,シュトットガルト(Stuttgart),ニューヨーク(New York)に収録されている表題「Kosmetika」に定義されている化粧料組成物およびA.Domsch,「Cosmetic Compositions」,Verlag fuer chemische Industrie,H.Ziolkowsky編,第4版,1992に開示されている化粧料組成物を指す。
【0032】
化粧料に許容される担体とは、化粧料組成物に従来使用されているあらゆる担体および/または賦形剤および/または希釈剤を指す。
【0033】
化粧料組成物、特に本発明によるヘアケア製剤中における本発明によるアクリル系ポリマービーズの量は、所望の用途に適した量を当業者により容易に選択することができる。好ましくは、化粧料組成物の総重量の0.01〜20重量%、最も好ましくは0.05〜10重量%、特に約5重量%等の濃度で使用される。
【0034】
本発明によるアクリル系ポリマービーズは、水、アルコール、およびこれらの混合物中への溶解性が良好であることに加えて、極めて優れたスタイリング性、例えば、高湿度下における極めて優れたカール保持性等を示す。したがって、本発明によるアクリル系ポリマービーズは特に整髪用途に適している。
【0035】
したがって、他の実施形態において、本発明は、ヘアケア製剤、特に本発明によるアクリル系ポリマービーズを含む整髪剤等(例えば、水性整髪剤)に関する。
【0036】
本発明によるヘアケア製剤は、(エアゾール式)スプレー、(エアゾール式)フォーム、ジェル、ジェルスプレー、クリーム、ローション、リキッド、またはワックスの形態であってもよい。ヘアスプレーには、エアゾール式スプレーだけでなく噴射剤を含まないポンプスプレーも包含される。ヘアフォームには、エアゾール式フォームだけでなく噴射剤を含まないポンプフォームも含まれる。ヘアスプレーおよびヘアフォームは、主として水溶性もしくは水分散性成分を含むかまたは水溶性もしくは水分散性成分のみを含む。本発明のヘアスプレーまたはヘアフォームに使用される成分が水分散性である場合、これらは粒度が通常は1〜350nm、好ましくは1〜250nmの微分散液の形態にあってもよい。このような製剤の固形分は、典型的には製剤の総重量の0.5〜20重量%の範囲にある。通常、このような微分散液は、これらを安定化させるためのさらなる乳化剤または界面活性剤を必要としない。特に、本発明による整髪剤は、スタイリングクリーム、スタイリングジェル、リキッドヘアセット剤、ヘアフォーム、またはヘアスプレーの形態にある。
【0037】
さらに本発明によるアクリル系ポリマービーズは、ヘアスプレー等の整髪剤の配合に不可欠な、エタノールまたは水およびこれらの混合物中への極めて優れた溶解性を有している。さらに、本発明によるアクリル系ポリマービーズを含むエタノール溶液の、市販の噴射剤(プロパン/ブタン、DME)との混和性は、ルビマー(登録商標)アクリレートエマルジョンポリマーに匹敵し、したがってこのビーズは特にエアゾール式ヘアスプレーに使用するのに適している。
【0038】
ヘアケア製剤、特に整髪剤等は、他の毛髪固定用樹脂、中和剤、界面活性剤、溶剤、噴射剤、他の防腐剤、増粘剤、UV遮蔽剤、およびこの種の製剤に通常用いられる他の添加剤も含んでいてもよい。
【0039】
整髪剤中の本発明によるアクリル系ポリマービーズの量は、好ましくは、整髪剤の総重量を基準として、0.01〜20重量%の濃度範囲、より好ましくは0.1〜10重量%の濃度範囲、特に1〜10重量%の濃度範囲、例えば約5重量%等から選択される。
【0040】
処方者が例えば毛髪を「より強固に」保持するなどの他の特性を付与することを所望する場合があり、その際は場合により他の毛髪固定用樹脂をヘアケア製剤に添加することができる。この、他の毛髪固定用樹脂は、整髪剤中に可溶であっても不溶であってもよい。この、他の毛髪固定樹脂は、整髪剤中に、整髪剤の総重量を基準として0.5〜6.0重量パーセント、好ましくは1.0〜3.0重量パーセントの濃度で存在してもよい。
【0041】
ヘアケア製剤に好適な他の毛髪固定用樹脂としては、例えば、アクリル酸ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸コポリマー;ポリビニルピロリドン;ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;オクチルアクリルアミド/アクリル酸アルキル/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー;ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー;メタクリロイルエチルベタイン/メタクリル酸エステルコポリマー;メタクリル酸/メタクリル酸エステルコポリマー;メタクリル酸/アクリル酸エステルコポリマー;ビニルメチルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマーのアルキルエステル;ジアリルジメチルアンモニウムクロリド四級化ヒドロキシエチルセルロース;四級化ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー;またはこれらの組合せが挙げられる。
【0042】
毛髪固定用樹脂がカルボン酸基等の酸性基を含む場合は、好ましくはヘアケア製剤中に中和剤を存在させることによって、この樹脂の水性整髪用組成物中への溶解性を高くする。例えば、アクリル系毛髪固定用樹脂は、好ましくは完全に中和されている。
【0043】
毛髪固定用樹脂を中和するであろう塩基としては、例えば、アミン、アルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物、水酸化アンモニウム、またはこれらの組合せが挙げられる。好適なアミン中和剤としては、例えば、2−アミノ−2−メチルプロパンジオール、2−アミノ2−メチルプロパノール、N,N−ジメチル−2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、またはこれらの組合せが挙げられる。好適なアルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウム、またはこれらの組合せが挙げられる。好ましくは、中和剤は、2−アミノ2−メチルプロパンジオール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、N,Nジメチル2−アミノ2−メチルプロパノール、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、またはこれらの組合せからなる群から選択される。
【0044】
ヘアケア製剤に添加される中和剤の量は、好ましくは、整髪用組成物中の毛髪固定用樹脂に溶解性を付与する量である。好ましくは、35重量パーセント以下のVOCを含む整髪剤においては、毛髪固定用樹脂の酸基の40〜100モルパーセントが中和されている。35重量パーセントを超えるVOCを含むVOC整髪用組成物の場合は、好ましくは毛髪固定用樹脂の酸基の50モルパーセント超が中和されている。
【0045】
1種またはそれ以上の界面活性剤をヘアケア製剤に添加してもよい。ヘアケア製剤中に界面活性剤が存在する場合は、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.001〜1.0重量%の濃度で存在する。ヘアケア製剤に使用することができる界面活性剤としては、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、または両性界面活性剤が挙げられる。例えば、好適な界面活性剤としては、PPG−28ブテス(Buteth)35、PEG−75ラノリン、パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル、オクトキシノール−9、PEG−25水添ヒマシ油、ポリエチレンテレフタレート、トリオレイン酸ポリエチレングリコール−25グリセリル、オレス−3リン酸、PPG−5−セテス−10リン酸、PEG−20メチルグルコースエーテル、トリ酢酸グリセレス−7、安息香酸グリセレス−7、ポリソルベート(トゥイーン(TWEEN))等の脂肪酸エステル、もしくはn−オクチルピロリドン等のn−アルキル置換ラクタム、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0046】
1種またはそれ以上のシロキサン誘導体をヘアケア製剤中に存在させてもよい。これらを使用する場合、これらは好ましくは組成物の総重量を基準として0.001〜1.0重量%の濃度で存在する。シロキサン誘導体としては、例えば、ジメチコン、フェニルトリメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン、アルコキシル化ジメチコン、例えば、PEG−12ジメチコンまたはメトキシPEG/PPG−7/3アミノプロピルジメチコンが挙げられる。
【0047】
1種またはそれ以上の溶剤を本発明のヘアケア製剤に添加してもよい。溶剤はVOCであってもVOCでなくてもよい。ヘアケア製剤に添加される溶剤の量は、ヘアケア製剤の総重量を基準として約100重量%以下の範囲、特に55重量%以下の範囲等から選択することができる。好適な溶剤としては、例えば、C〜C12直鎖または分岐鎖のアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはプロパノール、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0048】
エアゾール式スプレーを用いるヘアケア製剤には、1種またはそれ以上の噴射剤が使用される。噴射剤はVOCであってもVOCでなくてもよい。好ましくは、噴射剤は、ヘアケア製剤の総重量を基準として10〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%の総濃度で使用される。噴射剤としては、例えば、n−ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、ジフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、クロロジフルオロメタン、他のクロロフルオロカーボン、またはこれらの組合せが挙げられる。好ましい噴射剤はジメチルエーテル、1,1−ジフルオロエタン、n−ブタン、イソブタン、またはこれらの組合せである。これらの噴射剤は市販されている。
【0049】
ヘアケア製剤中に使用することができる他の防腐剤としては、例えば、イソチアゾロン、ベンジルアルコール、またはイミダゾリジニル尿素が挙げられる。他の防腐剤は、好ましくは、ヘアケア製剤の総重量を基準として約0.001〜1.0重量%の量で使用される。
【0050】
ムースまたはスタイリングジェルの形態で毛髪に適用されるヘアケア製剤に1種またはそれ以上の増粘剤を用いることが望ましい場合がある。好適な増粘剤としては、例えば、多価カルボン酸増粘剤、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー、カルボマー、アクリレーツコポリマー、または(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、ポリエトキシル化ウレタン増粘剤、ポリアミド増粘剤等が挙げられる。他の好適な増粘剤は、多糖類やポリアミド等の天然高分子をベースとし、化学変性が可能なものである。このような増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キタンサンガム、ゼラチン、寒天、カラギーナン、アルギン酸塩、またはこれらの混合物が挙げられる。増粘剤は、好ましくは、ヘアケア製剤の総量を基準として約0.001〜5.0重量%の量で使用される。
【0051】
1種またはそれ以上の光遮蔽剤が本発明によるヘアケア製剤に望ましい場合がある。光遮蔽剤は、UV−A、UV−B、UV−C、および/または広帯域遮蔽剤から、特に市販の幅広く使用されているUV遮蔽物質である、オクトクリレン(パーソル(PARSOL)(登録商標)340)、4−メチルベンジリデンカンファー(パーソル(登録商標)5000)、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(パーソル(登録商標)MCX)、エチルヘキシルトリアゾン(ユビヌル(Uvinul)(登録商標)T−150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(ユバソーブ(Uvasorb)(登録商標)HEB)、2,2’−メチレンビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール(チノソーブ(Tinosorb)(登録商標)M)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(チノソーブ(登録商標)S)、2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸(ネオヘリオパン(NeoHeliopan)(登録商標)AP)、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(ユビヌル(登録商標)A plus)、ポリシリコーン−15(パーソル(登録商標)SLX)、2−フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(パーソル(登録商標)HS)、サリチル酸エチルヘキシル(パーソル(登録商標)EHS)、サリチル酸ホモメンチル(パーソル(登録商標)HMS)、ベンゾフェノン−3(ユビヌル(登録商標)M 40)、ベンゾフェノン−4(ユビヌル(登録商標)MS 40)、PEG−25 PABA、これらの混合物等から有利に選択される。
【0052】
光遮蔽剤は、通常、本発明による組成物中に、組成物の総重量に対し0.001〜5重量%の範囲、好ましくは0.01〜1重量%の範囲、最も好ましくは0.02〜0.5重量%の範囲の比率で存在する。
【0053】
さらに、当業者に慣用されているものなどの他の添加剤を本発明によるヘアケア製剤に添加してもよい。ヘアケア製剤に使用される他の添加剤は、所望のヘアケア製剤の種類に応じて異なるであろう。他の添加剤としては、例えば、香料;ソルビトール、プロパンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、加水分解シルク蛋白、加水分解コムギ蛋白等の保湿剤;パンテノール等の絡まり防止剤(detangling aid);米国特許第5,164,177号明細書に開示されているものなどのコンディショニング剤;乳化剤;帯電防止剤;抽出物;蛋白質;ビタミン;染料;毛髪染料;着色剤;またはこれらの組合せが挙げられる。この、他の添加剤は、典型的には、ヘアケア製剤の総重量を基準として0.005〜5重量%、より好ましくは0.01〜1重量%で存在する。
【0054】
ヘアケア用組成物に好適となり得るさらなる他の添加剤ならびにさらなる界面活性剤、溶剤、他の防腐剤、および増粘剤は、International Cosmetic Ingredients Dictionary(第5版,1993,CTFA(ワシントンDC(Washington D.C.))発行)に記載されている。
【0055】
本発明の方法および組成物をさらに例示する目的で以下に実施例を示す。これらの実施例は例示のみを目的とするものであって、本発明の範囲を何らかの形で制限することを意図するものではない。
【0056】
[実施例1]
窒素導入口を備えたガラス製3ッ口反応フラスコ内でステンレス鋼製バッフルよびスターラーを用いて重合反応を実施した。
【0057】
ヒドロキシルエチルセルロース(安定剤)(2.4g)を蒸留水(1105g)を含む反応フラスコに計量した。過酸化ジラウロイル(連鎖開始剤(chain starter))(3.6g)およびドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)(1.9g)を含む別個の撹拌型供給槽に、以下に示す比率のメタクリル酸n−ブチル(BMA)、メタクリル酸エチル(EMA)、アクリル酸エチル(EA)、およびメタクリル酸(MMA)からなるモノマー混合物480gを計量した。供給槽を均質化した後、窒素置換を継続しながら混合物を反応フラスコに移し替え、徐々に75℃まで加熱した。この温度を4時間維持して硬質ビーズ段階(hard bead stage)に到達させた。硬質ビーズ段階を確立した後、反応フラスコの内容物を85℃に加熱し、この温度でさらに2時間静置した。その後反応器の内容物を冷却し、最終懸濁液を濾過して洗浄し、40〜50℃で14〜16時間乾燥させることにより各ポリマービーズを90〜95%の収率で得た。指示がある場合は、得られたアクリル系ポリマービーズをさらに90℃で14〜16時間の長時間乾燥工程に付し、こうすることによって210ppmを下回るかまたは100ppmさえ下回る残留モノマー含有量を得た。
【0058】
残留モノマー含有量をヘッドスペースガスクロマトグラフィーで分析し、分子量(MW)をゲル浸透クロマトグラフィーで測定し、Tを示差走査熱量測定(DSC)で、粒度(PS)をいわゆるマルバーン・ハイドロ2000マスターサイザー(Malvern Hydro 2000 Mastersizer)で測定する。この装置は水中環境に曝された試料の体積分布を光学的に(レーザー回折により)測定するものである。ここに述べるX50は、測定した体積分布全体の平均粒度である。
【0059】
【表1】



【0060】
【表2】



【0061】
表2から読み取れるように、EMA対EA(w/w)の比を1.3〜2の範囲から選択し、かつMAAを15〜22%の量で使用した場合に最適な結果が得られる。
【0062】
[比較試験]
上に概要を記載した実験を、以下に示すようにEMAをメタクリル酸メチル(MMA)またはイタコン酸(ITA)に置き換えて行った。ところが、表2aから読み取れるように、この置換を行ったことによって、モノマーが凝集して反応が完全に失敗に終わったために生成物が全く得られなかった(登録番号2)か、または収率が大幅に低下(71%)するだけでなくITAがポリマーに組み込まれなかったために残留モノマー含有量が大幅に上昇した(7058ppm)(登録番号3)かのいずれかとなった。
【0063】
【表3】



【0064】
この結果から、EMAを共重合させることによって本発明によるアクリル系ポリマービーズのモノマー含有量を大幅に低減させることが可能であることがわかる。さらに、EMAに替えて他のモノマー構成単位を用いた場合と比較すると、本発明によるアクリル系ポリマービーズは良好な収率および高純度で得ることができる。さらに、本発明によるアクリル系ポリマービーズは、整髪用途の市場基準である、例えば、上述の方法に従い測定された総モノマー含有量が425ppmであるルビマー(登録商標)100P(メタクリル酸、アクリル酸tert−ブチル、およびアクリル酸エチルからなるアクリレートエマルジョンポリマー)等と比較しても、総モノマー含有量は非常に低い。
【0065】
[実施例2]:アクリル系ポリマービーズのエタノール、水、およびこれらの混合物への[溶解性]
表2のビーズを使用し、米国のVOCガイドラインに準拠した「VOC 80」および「VOC 55」配合として、エタノール/水の混合物に関する試験を行った。アクリル系ポリマービーズはVOC配合のエタノールまたは水相のいずれかに容易に混合することができる。
【0066】
[エタノールへの溶解性]
表2に従うアクリル系ポリマービーズ(5重量%)は、各VOC配合に必要なエタノール量の20重量%に容易に分散した。その後、AMP(90〜100%の中和度を達成するのに十分な量)を添加し、分散液を10〜15分間撹拌してそれぞれビーズを溶解させた。エタノールおよび水(VOC 80および55の場合)の残分を100%まで添加して配合を完了させる。
【0067】
[水への溶解性]
各VOC配合に必要な水の量の計算値の30%を60℃に加熱する。次いで、表2に従うアクリル系ポリマービーズ5重量%を分散させ、AMP(90〜100%の中和度を達成するのに十分な量)を添加し、分散液を60℃で撹拌することによりビーズを完全に溶解させる(10〜15分間)。次いで、水および/またはエタノールの残分を添加する。
【0068】
表2に従う各ビーズを含むVOC 80配合もVOC 55配合もすべて透明であり、沈殿を一切含まなかった(目視による判定)。
【0069】
[実施例3:溶解性の評価]
表3に示す配合物を標準的な手順に従って調製し、標準的なヘアケア製剤中へのアクリル系ポリマービーズ(5重量%)の溶解性を測定し、また、ISO 7027に準拠して、HACH 2100 N IS濁度計115 Vacを用いて濁度を測定した(濁度の閾値はNTU≧5(NTU<5は目視で透明な溶液を意味する))。さらに、溶液を目視で評価した。
【0070】
【表4】



【0071】
ここからわかるように、どの値も閾値である「水晶のように透明な」NTU=5を大幅に下回り、配合物は透明である。
【0072】
[実施例4:高湿度カール保持性試験]
毛束(Kerling;Art.Nr.826 500)を2cm幅の付け毛(switch)にカットする。各付け毛を洗髪用シャンプー0.5mL(ラウレス硫酸ナトリウム10%/塩化ナトリウム4%)を用いて30秒間泡立て、90秒間温水で濯ぐことにより2回洗浄する。付け毛を櫛で5回梳かし、20℃、相対湿度65%の環境調整室で少なくとも4時間乾燥させる。この条件下で付け毛の重量を毛髪に関し2g±0.2g(ゴム被覆を除く)となるよう標準化する。付け毛を水1gで湿らせ、ポリマー溶液(EtOH中5重量%のTILAMAR(登録商標)Fix A1000をAMP−95で100%中和したもの)0.3gを根元から毛先に向けてシリンジで適用することにより均一に湿らせた後、櫛で5回梳かす。次いで、付け毛を直径12mmのスパイラルカーラー(Basler Haarkosmetik Art. 12939)でカールさせる。
【0073】
毛髪とカーラーとを一緒に45℃で40分間乾燥させる。次いで、カーラーを20℃/相対湿度65%の環境調整室に一夜静置する。カールした毛髪をカーラーから慎重に外し、テーブルに載せて初期長Lを測定する。次いで、20℃/相対湿度90%の環境調整室にこのカールした毛髪をゴム被覆部から吊り下げ、以下の時点で長さLを測定する:0分、15分、30分、45分、60分、90分、120分、240分、および360分。各試料毎に3本の付け毛を準備する。カール保持性の数値を以下のように求める:
【数1】



L=カールさせる前の毛髪の長さ(230mm)
=テーブルで乾燥させた後のカールの長さ
=吊り下げたカールの時間t後の長さ
【0074】
1種類の試料につき3本の付け毛のカール保持性の値を平均し、この値をカール保持性とする。
【0075】
それぞれのカール保持性を、市販のポリマーから選択した基準と一緒に測定する。
【0076】
結果を表4にまとめる。
【0077】
【表5】



【0078】
本発明によるアクリル系ポリマービーズが、特に長時間において、市販の基準すなわちMAA、アクリル酸tert−ブチル、およびEAを含むアクリレートエマルジョンポリマー(ルビマー(登録商標)P100)よりも性能が高いことが明白である。
【0079】
[実施例5:サロン試験]
表5に列挙した成分を含む原液(bulk solution)を調製し、この原液をエアゾール式ヘアスプレーとして標準的な手順に従い表6に概要を示すように容器に充填した。
【0080】
【表6】



【0081】
【表7】



【0082】
[一般的な試験設計]
一般的な設備を持つ標準的な美容室において10人のパネルに対しすべての試験を実施する。通常の手順に従い、モデルに洗髪、カット、染毛、ブリーチ、パーマ、乾燥(自然乾燥またはブロー乾燥)等の処置を施す。モデルの個々の希望に添ってスタイリングする。最後にヘアスプレーを目や顔に直接かからないようにして毛髪全体に20〜30cm(ミディアム〜ロングヘアーは約15cm)の距離から片側が5秒間(ロングヘアーは長めに)となる速度でかける。
【0083】
適用が終了したら、スタイリストが自身の指、手、櫛、ブラシ、および目で製品性能の評価を開始する。
【0084】
[結果]
左右比較試験(half side test)によりヘアスプレー「A」を基準であるヘアスプレー「B]に対し評価した。表6から読み取れるように、本発明のビーズを含むヘアスプレー「A」の性能は、保持力、架橋性(crosslinking)、ツヤ、および整髪性に関する評点が全体的に大きく上回っていた。
【0085】
【表8】



【0086】
[実施例6:噴射剤の混和性]
TILAMAR(登録商標)Fix A1000ポリマーの5%エタノール溶液20mLを試験管に加える。ガラスを密閉する。エアゾールバルブを介して噴射剤を充填する(容器から容器へ)。
噴射剤:プロパン/ブタン(2.5バール)、またはDME
試験評価基準:1相か2相か
透明であること、濁りがないこと、沈殿がないこと
結果:プロパン/ブタンの曇り点:47%(固形分5%)。DMEは32%まで透明(固形分5%)。沈殿を認めず。
【0087】
これらの結果から、本発明によるアクリル系ポリマービーズは様々な噴射剤と混和性を有していることがわかる。
【0088】
[実施例7:配合]
本発明によるアクリル系ビーズ、特にTILAMAR(登録商標)Fix A1000(INCI:Acrylates Copolymer(アクリレーツコポリマー)、化学名:2−メチル−2−プロペン酸、2−メチル−2−プロペン酸ブチル、2−メチル−2−プロペン酸エチル、および2−プロペン酸エチルを含むポリマー、CAS Number:1070166−98−1)等は、独特の製品形態を呈し、高湿度下におけるカール保持性に優れ、噴射剤との混和性に優れ、取扱いが容易であり、毛髪に自然な手触りを与える。したがって、本発明によるアクリル系ビーズ、特にTILAMAR(登録商標)Fix A1000は、以下に例示するように(これらに限定されるものではないが)、多種多様な製品形態に混合することが可能である。
【0089】
【表9】



【0090】
手順:成分(Pos.)1〜成分10を混合する。
【0091】
【表10】



【0092】
手順:成分1および成分8を混合し、これを60℃に加熱する。成分4を加えて透明な溶液が形成されるまで撹拌する。成分9を成分6に加熱しながら溶解させる。成分2、3、5、7と、成分9のグリセリン溶液とをポリマー溶液に加え、この溶液を80℃に加熱する。10分後、40℃に冷却し、撹拌しながら香料を加え、全量を容器に詰める。数時間後、固形ワックスが形成される。
【0093】
【表11】



【0094】
【表12】



【0095】
【表13】



【0096】
手順:成分9を用いてpHを7.7に調整し、粘度を2000mPasにする。水を加えて全量を100%にする。
【0097】
【表14】



【0098】
手順:この溶液を適当な缶に充填し(アルミニウム、ブリキ)、エアゾールバルブをカシメ付けし、噴射剤を添加する。噴射剤、有効液:噴射剤の比率、およびアクチュエータは、噴霧速度、噴霧様式、粒度、および粒度分布に関する製品の要件に応じて選択する。典型的な組成は、有効液60%:プロパン/ブタン(2.5バール)40%(高VOC)または有効液55%:HF 152A45%(非水系VOC55ヘアスプレーの場合)であろう。
【0099】
【表15】



【0100】
手順:A部:撹拌しながら、エタノールをAMP PC 2000と混合する。TILAMAR(登録商標)Fix A1000を加え、均一になるまで撹拌する。この部分は透明になるはずである。B部:撹拌しながら、エタノール(II部)を溶液に加える。他のすべての成分を段階的に加え、撹拌する。C部:撹拌しながら、水を溶液に加える。溶液は透明になるはずである。
【0101】
【表16】



【0102】
手順:A部:撹拌しながら、エタノールをAMP PC 2000 1000と混合する。TILAMAR(登録商標)Fix A1000を加え、均一になるまで撹拌する。この部分は透明になるはずである。
B部:撹拌しながら、エタノールII部を溶液に加える。他のすべての成分を段階的に加え、撹拌する。C部:プロパン/ブタンを加える。
【0103】
【表17】



【0104】
手順:A部:撹拌しながら、水(I部)をAMP PC 2000と混合する。TILAMAR(登録商標)Fix A1000を加えて均一になるまで撹拌する。80℃に加熱する。この部分は透明になるはずである。B部:撹拌しながら、別の容器でセチオールHE、オイムルギンB3、およびテゴソフトMを合一する。同一温度まで加熱する。十分に混合したらステップ2をステップ1に加え、80℃で3〜5分間維持する。C部の成分を段階的に加える。混合速度を減速し、室温に冷却する。香料、防腐剤、およびビタミンEを50℃〜55℃で加え、冷却を継続する。
【0105】
【表18】



【0106】
手順:A部:撹拌しながら、エタノールをAMP PC 2000と混合する。TILAMAR(登録商標)Fix A1000を加えて均一になるまで撹拌する。この部分は透明になるはずである。B部:撹拌しながら、エタノール(II部)を溶液に加える。他の成分を段階的に加え、撹拌する。
【0107】
【表19】



【0108】
手順:A部:撹拌しながら、エタノールをAMP PC 2000と混合し、均一になるまで撹拌する。TILAMAR(登録商標)Fix A1000を加えて均一になるまで撹拌する。この部分は透明になるはずである。B部:撹拌しながら、エタノール(II部)を溶液に加える。他のすべての成分を段階的に加え、撹拌する。
【0109】
【表20】



【0110】
手順:A部:撹拌しながら、エタノールをAMP PC 2000と混合する。TILAMAR(登録商標)Fix A1000を加えて均一になるまで撹拌する。この部分は透明になるはずである。B部:撹拌しながら、エタノール(II部)を溶液に加える。他のすべての成分を段階的に加え、撹拌する。C部:プロパン/ブタンを加える。
【0111】
【表21】



【0112】
手順:A部:撹拌しながら、エタノールをAMP PC 2000と混合する。TILAMAR(登録商標)Fix A1000を加えて均一になるまで撹拌する。この部分は透明になるはずである。B部:撹拌しながら、エタノール(II部)を溶液に加える。他のすべての成分を段階的に加え、撹拌する。C部:容器に充填してカシメ付けした後にプロパン/ブタンを加える。
【0113】
【表22】



【0114】
手順:A部:撹拌しながら、エタノールをAMP PC 2000と混合する。TILAMAR(登録商標)Fix A1000を加えて均一になるまで撹拌する。この部分は透明になるはずである。B部:撹拌しながら、エタノール(II部)を溶液に加える。他のすべての成分を段階的に加え、撹拌する。C部:容器に充填してカシメ付けした後にDMEを加える。
【0115】
[実施例8]
レセント(resent)発明によるポリマー、特にTILAMAR(登録商標)Fix A1000等は、さらに性能を改善するために他の市販の整髪用ポリマーと容易に組み合わせることもできる。以下の部分に幾つかの基本的な配合例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0116】
[8.1.ダウより入手可能な整髪用ポリマーとの併用:]
以下に示す濃度は例示的なものであり、要求に応じて1〜10%の範囲で変化させることができる。
【0117】
【表23】



【0118】
[8.2.BASFより入手可能な整髪用ポリマーとの併用:]
以下に示す濃度は例示的なものであり、要求に応じて1〜10%の範囲で変化させることができる。
【0119】
【表24】



【0120】
[8.2.続き]
以下に示す濃度は例示的なものであり、要求に応じて1〜10%の範囲で変化させることができる。
【0121】
【表25】



【0122】
[8.3.アクゾ・ノーベルより入手可能な整髪用ポリマーとの併用:]
以下に示す濃度は例示的なものであり、要求に応じて1〜10%の範囲で変化させることができる。
【0123】
【表26】



【0124】
[8.4.ルーブリゾール(Lubrizol)より入手可能な整髪ポリマーとの併用:]
以下に示す濃度は例示的なものであり、要求に応じて1〜10%の範囲で変化させることができる。
【0125】
【表27】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル酸、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、およびメタクリル酸エチルの混合物からなるモノマー組成物を懸濁重合に付すことを含む、アクリル系ポリマービーズの調製方法。
【請求項2】
前記モノマー組成物が、メタクリル酸を10〜30重量%と、メタクリル酸n−ブチルを35〜65重量%と、アクリル酸エチルを5〜15重量%と、メタクリル酸エチルを10〜35重量%との混合物からなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モノマー組成物が、メタクリル酸を17〜22重量%と、メタクリル酸n−ブチルを44〜56重量%と、アクリル酸エチルを9〜15重量%と、メタクリル酸エチルを15〜25重量%との混合物からなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記モノマー組成物中のメタクリル酸エチル(EMA)およびアクリル酸エチル(EA)の量が、EMA対EAの比率(w/w)が4〜1の範囲、好ましくは2〜1の範囲、最も好ましくは約2.0〜1.3の範囲になる量であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記モノマー組成物中のメタクリル酸の量が25重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記ビーズを単離した後に、40〜100℃、特に80〜100℃で乾燥するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記乾燥ステップが、3〜40時間実施されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法により得ることができるアクリル系ポリマービーズ。
【請求項9】
前記ビーズの残留モノマー含有量が250ppm未満、特に100ppm未満であることを特徴とする、請求項8に記載のアクリル系ポリマービーズ。
【請求項10】
請求項8または9に記載のアクリル系ポリマービーズおよび化粧料に許容される担体を含む化粧料組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記アクリル系ポリマービーズを、前記化粧料組成物の総重量を基準として0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%の量で含むことを特徴とする、請求項10に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
整髪剤であることを特徴とする、請求項11に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
スタイリングクリーム、スタイリングジェル、リキッドヘアセット剤、ヘアフォーム、またはヘアスプレーの形態にあり、好ましくは、エアゾール式ヘアスプレーであることを特徴とする、請求項12に記載の整髪剤。
【請求項14】
少なくとも1種のさらなる毛髪固定用樹脂をさらに含むことを特徴とする、請求項12および13に記載の整髪剤。
【請求項15】
請求項8または9に記載のアクリル系ポリマービーズの整髪用ポリマーとしての使用。

【公表番号】特表2013−510913(P2013−510913A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538266(P2012−538266)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065744
【国際公開番号】WO2011/057882
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】