説明

アクリル酸及び水吸収性ポリマー構造をベースとする再生可能な原料、及び脱水反応によるそれらの製造方法

【課題】新規な、アクリル酸の調製方法、アクリル酸の重合によるポリマー、好ましくは水吸収性ポリマーの調製方法、このプロセスによって得られる水吸収性ポリマー、少なくとも部分的に中和されたアクリル酸25重量%をベースとする水吸収性ポリマー、コンポジット、コンポジットの調製方法、このプロセス(水吸収性ポリマー構造の製造のためのアクリル酸の使用)によって得られるコンポジット、アクリル酸の調製用の装置、アクリル酸の調製方法、及びこのプロセスによって得られるアクリル酸の提供。
【解決手段】少なくとも次の工程を有してなるアクリル酸の調製方法:グリセリンを脱水反応してアクロレイン含有脱水反応生成物を得るステップと、上記脱水反応生成物を気相酸化してアクリル酸含有モノマーガスを得るステップと、上記モノマーガスをクエンチ剤と接触させてアクリル酸含有クエンチ相を得るステップと、上記クエンチ相を精製し、アクリル酸含有モノマー相を得るステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクリル酸の調製方法、アクリル酸の重合によるポリマーの調製方法、好ましくは水吸収性ポリマーの調製方法、このプロセスによって得られる水吸収性ポリマー、少なくとも部分的に中和されたアクリル酸25重量%をベースとする水吸収性ポリマー、コンポジット、コンポジットの調製方法、このプロセス(水吸収性ポリマー構造の製造のためのアクリル酸の使用)によって得られるコンポジット、アクリル酸の調製用の装置、アクリル酸の調製方法、及びこのプロセスによって得られるアクリル酸に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー化合物の調製に用いられるアクリル酸は、高純度であることが求められる。特にポリマーがいわゆる超吸収体(損傷ドレッシング又は衛生物品に使用される)である場合にそうである。これらのポリマーは水性液体を吸収して結合を形成し、ヒドロゲルを形成させる。超吸収体はしたがって、特に衛生用品に用いられ、例えばおむつ、失禁吸収体、女性用の衛生用品などの体液の吸収用に用いられる。超吸収体の概要、アプリケーション及び製造方法は、F.L.Buchholz and A.T.Graham(editor) in “Modern Superabsorbent Polymer Technology”,Wiley−VCH,New York,1998(非特許文献1)に記載されている。
【0003】
超吸収ポリマーの調製においては通常アクリル酸が用いられ、それはプロピレンのアクロレインへの触媒気相酸化、更に触媒気相酸化においてアクリル酸に変化させることによって得られ、次にガス状の反応混合物を水に吸収させ、更にこのように得られたアクリル酸水溶液を蒸留して粗製アクリル酸を更に蒸留又は結晶化によって精製し、純粋なアクリル酸を得る。
【0004】
このアクリル酸の調製方法の欠点は、使用する原料(プロピレン)が原油という、変化しやすい原料から得られるということである。それは経済的に決して有利ではなく、特に長期的に考えると、原油の調達が次第に困難となり、更には高価になることが考えられる。
【0005】
公知の超吸収体には欠点が存在する。すなわち、それらが少なくとも部分的に天然ポリマー(例えばセルロース)から調製されるものでない限り、それらが再生可能な原料をベースとするものではなくなるということである。使い捨てのおむつ(特に衛生用品)の製造に使用する成分の多くを、生物的開始材料から調製することは不可能ではないが、天然超吸収ポリマーによる架橋ポリアクリレートを主成分とする超吸収体を、例えば架橋、誘導体化澱粉又はセルロースで置換することにより、通常、吸収特性が顕著に低下する。ゆえにほどんどの場合、衛生用品において同等の吸収特性を得るため、必要となる天然ポリマーベースの吸収体の量が増加する。これは、衛生用品の大きさ及び重量が更に増加するため不利である。またそれにより、着用時の快適さが著しく減少し、廃棄物の増量にもつながり、廃棄物処理の空間若しくは燃料の支出、更には廃棄物の除去のための輸送コストも増加する。これらは全て、天然ポリマーを主成分とする吸収体の環境許容度に不利な影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】F.L.Buchholz and A.T.Graham(editor) in “Modern Superabsorbent Polymer Technology”,Wiley−VCH,New York,1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術に起因する欠点を軽減又は克服することである。
【0008】
本発明の目的は、再生可能な開始原料から得られ、更には産業アプリケーションへの応用可能性のある、アクリル酸の調製方法を提供することである。本発明においては、ほとんどダウンタイム(例えば反応器中における、分解残渣又はポリマー残渣などの固体沈着物に起因する)のない、最も長いラン時間の提供が可能となり、意義深い。
【0009】
本発明の目的は、固体(例えばアクロレインの調製工程の間に生じるカーボン又は重合沈殿物)の量を減らすことであり、それにより混乱のない動作が可能となる。
【0010】
更に本発明の目的は、できるだけ長く、混乱のない動作時間の他に、良好な選択性を伴う高収率な生産を可能にすることである。
【0011】
本発明の目的はまた、抽出可能な(おそらく毒性を有する)化合物の含量が特に低いポリマー(特に超吸収体)を提供することである。
【0012】
更に、本発明の目的は、環境への適合性を有し、優れた応用可能性を有するポリマー(特に超吸収体)を提供することである。すなわち、吸収特性を同等に維持しつつ、改良された環境適合性を有する超吸収体を提供することが特に望ましい。
【0013】
更に、本発明の目的は、所望の機能(例えば吸収能力、着用の快適さ、及び製品の調製の単純性)を損なうことなく、本発明に係るポリマーを含んでなる更なる製品(例えば一般的にはコンポジット、特に衛生用品)の環境適合性を高めることである。
【0014】
本発明の目的はまた、かかるポリマーの製造方法、並びにそれらの製造に適するモノマーの製造方法を提供することである。
【0015】
更に、本発明の目的は、モノマー及び/又はポリマーの製造方法及びそのための装置を提案することであり、それにより、既存の大規模な製造プロセス及び装置をほとんど改造することなく、一体化することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の課題を解決するための手段は、添付の特許請求の範囲の独立及び従属請求項に記載されており、またそれらの従属的な下位概念の請求項は、本発明の好ましい実施形態を表す。
【0017】
本発明の課題の解決は、少なくとも次の工程を有してなるアクリル酸の調製方法によって可能となる:
a.グリセリンを脱水反応してアクロレイン含有脱水反応生成物を得るステップと、
b.上記脱水反応生成物を気相酸化してアクリル酸含有モノマーガスを得るステップと、
c.上記モノマーガスをクエンチ剤と接触させてアクリル酸含有クエンチ相を得るステップと、
d.上記クエンチ相を精製し、アクリル酸含有モノマー相を得るステップ。
それにより、脱水反応の間、液相a1及び気相a2が生じ、液相a1において複数のガス泡が発生する。
【0018】
上記の課題の解決は更に、少なくとも次の工程を有してなる、アクリル酸の重合によるポリマーの調製方法によって可能となる:
A.グリセリンを脱水反応してアクロレイン含有脱水反応生成物を得るステップと、
B.上記脱水反応生成物を気相酸化してアクリル酸含有モノマーガスを得るステップと、
C.上記モノマーガスをクエンチ剤と接触させてアクリル酸含有クエンチ相を得るステップと、
D.上記クエンチ相を精製し、アクリル酸含有モノマー相を得るステップと、
E.上記モノマー相を重合、好ましくはラジカル重合させるステップ。
それにより、脱水反応の間、液相a1及び気相a2が生じ、液相a1において複数のガス泡が発生する。
【0019】
好ましくは、本発明に係る上記ステップが、少なくとも1回、好ましくは少なくとも2回連続的に行われ、連続的な中断や、添加毎(charge−wise)の転換再開がなされない。好ましくは、ステップa若しくはAと、ステップb若しくはB、特に好ましくはすべてのステップが連続的になされる。
【0020】
一般に液相からのガス泡発生は、例えば当業者に公知のいかなる手段によっても実施でき、一実施形態では、ガス泡は0.01〜5mmの範囲のサイズ、好ましくは0.05〜1.5mm、より好ましくは0.1〜1.2mmの範囲のサイズである。泡サイズは、脱水反応において使用する泡発生器からの、標準圧力における水へのジェットインにおける平均値として算出される。すなわち、反応器に提供されるガラスシートを通じて、泡発生器から20cm離れたところのガス泡と共に流動する、液相a1の10cm×10cmの領域の、少なくとも10のスナップショットを調製し、このスナップショットに表される個々のガス泡の直径を測定し、直径の合計を、測定されたガス泡の数で除算することにより算出される。
【0021】
本発明に係る方法の一実施形態では、複数のガス泡の少なくとも一部が、液相a1中で移動する。上記の発生は、液相a1の外側においてのみ移動してはならず、液相範囲内の空間内においても移動する必要がある。ガス泡の移動においては、少なくとも一部(好ましくは少なくともガス泡の30%、特に好ましくは少なくとも70%)のガス泡が、各々の体積を増加させないのが好ましい。
【0022】
本発明に係る方法の他の実施形態では、液相a1中の複数のガス泡の少なくとも一部が分割される。例えば、この分割は、最初の1つのガス泡から、2、3若しくはそれ以上のガス泡が形成されることにより生じ、それらは最初のガス泡より小さい体積である。
【0023】
更に、本発明に係る方法の他の実施形態では、液相a1中の複数のガス泡の少なくとも一部は、液相a1によって更に遅くなる。液体のガス泡の移動速度は通常、他の要因に加えて、特に液体の粘性に依存する。本発明では、適切な処置がとられることにより、ガス泡は更に、それらが液相a1中を上方へ移動するときに、これらの手段によって遅くなる。液相a1に存在する手段によってなされる、ガス泡の減速の程度は、他の条件を同一として、ガス泡を当該液体中において最初に発生させ、更なる実験において、計測器により提供される液体中を通すことにより測定される。このようにして、液体a1中のガス泡の移動速度に加えて、ガス泡の上昇を減速させる影響度を測定できる。
【0024】
移動、分割若しくは減速、又はまた、その少なくとも2つの組合せを可能にする適切な方法としては、原則、当業者に公知のあらゆる適切な方法が使用できる。液相a1中を流動でき、そこに位置することができるインサートは、これらの手段のうちの1つとして用いられる。これらのインサートは、液相a1及びガス泡中を流動することが可能である。最適に選択された手段によって、液相a1中のガス泡の移動速度と調整でき、変化させることができる。これらのインサートは、液相a1及びガス泡中を流動することが可能である。本発明に係る方法においては、ガス泡の移動速度は0.01〜10m/sの範囲、好ましくは0.1〜5m/sの範囲、特に好ましくは0.1〜2.5m/sの範囲であることが好ましい。ガス泡の移動速度は平均移動速度としての意味を有する。これは、液相a1を有するガラスシリンダ中における対応するガス泡の発生に基づき測定でき、例えば100個の個々のガス泡の移動速度を、個々の移動速度の合計をガス泡の数で除算することにより算出される。
【0025】
ガス泡の滞留時間の制御のための上記した手段は、脱水反応器からのアクロレインの発生をできるだけ高いレベルとすることや、ガス泡中のアクロレインの飽和をできるだけ高いレベルにすることにおいて有用である。更に、インサートが運転中の脱水反応器の範囲内での逆混合の減少にも関与することが望ましい。上記の手段は、それ自身でも本発明にとり有用であり、またその少なくとも2の組合せも同様である。反対の効果を有する2つ以上の手段を各々と結合することが、本発明における、脱水反応器の構造設計にとり望ましい場合もある。
【0026】
本発明の一実施形態では、ガス泡の発生は、液相a1への不活性ガスの導入によって生じる。不活性ガスとしては、原則として、当業者に公知の全ての不活性ガスが考慮される。不活性ガスは、可能であれば、脱水反応に関与する化学物質とほとんど反応性を有さないものを選択するべきである。更に、選択においては、脱水反応生成物及び好ましくはアクロレインが、ガス泡のガス又は添加ガスを発生させるためのガスを十分吸収できることに留意すべきである。ガス泡の発生のためのガスとしては、少なくとも10体積%、好ましくは少なくとも50体積%、特に好ましくは少なくとも80体積%の添加ガス(空気、CO2、N2若しくは水蒸気又はそれらの少なくとも2つの混合物、好ましくはN2及び水蒸気、更に好ましくはN2)含量を有するガスが好ましい。可能であれば、液相a1中をガス泡が流動するのが好ましい。この場合、脱水反応生成物が液相a1から気相a2に移動することが可能となる。これは、「ストリッピング」として知られているプロセスによって生じうる。その後、脱水反応生成物はガス(キャリアガスとして記載する)により、ガス泡に取り込まれ、また液相a1の外に移動されて気相a2に入り、必要に応じて、脱水反応生成物が液体状態に戻される。この場合、気相中の脱水反応生成物の濃度が液相よりも高くなる。気相中のグリセリン含量は、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも3倍、特に好ましくは少なくとも5倍、液相のそれよりも高いことが好ましい。
【0027】
ガス泡に脱水反応生成物を取り込ませること、及びできるだけ急速に液相a1からガス泡が移動することによって、できるだけ少ない逆混合で、液相a1からの脱水反応生成物の放出が可能となる。この場合、複数のガス泡によって、脱水反応において発生したアクロレインが液相a1から気相a2に輸送される。これを、ガスの状態のまま、気相酸化に供することができる。これは一般に、1〜30分の範囲、好ましくは2〜20分の範囲、特に好ましくは5〜15分の範囲の、反応器中での滞留時間(滞留時間=流動体積/反応器体積)の後に発生する。
【0028】
本発明に係る方法の一実施形態では、グリセリンは脂肪のケン化によって得られることが好ましい。これらの脂肪は、植物性の脂肪であっても、動物性の脂肪であってもよい。動物性脂肪は、特に動物体内に蓄積するものである。植物性脂肪は、油脂含有植物(例えばアブラナ、大豆、ゴマ、オリーブ及びヒマワリの種)からの油分抽出により得られる。大量のグリセリンは特に、国際公開第2004/029016号に記載の、菜種油からのいわゆる「バイオディーゼル」調製により得られる。したがって、本発明のプロセスでは、天然原料からの液体燃料の調製の際に、グリセリンを蓄積させるのが好ましい。これは特に、オイルミルの後に連結させたケン化装置の使用により可能となる。
【0029】
本発明のプロセスでは、脱水反応が、グリセリン濃度が減少する経路に沿って発生することが更に好ましい。経路としては通常、脱水反応に使用する反応器の長手方向が好ましい。一般に、当該経路は、反応器への反応物質の入口から始まり、反応器からの生成物の放出口で終わる。本発明では、そのプロセスにおいて、この経路に沿って圧力変化がなされるのが更に好ましい。場合によっては、反応物質の入口における圧力は、反応物質の出口の圧力より高い。反応物質の入口圧は、これらの場合、生成物出口の圧力より、好ましくは1〜300mbarの範囲、好ましくは10〜200mbarの範囲、特に好ましくは20〜120mbarの範囲で高い。本発明のプロセスでは、グリセリン濃度が減少する経路に沿って脱水反応が発生することが更に好ましく、それにより、この経路に沿って流速が変化するのが好ましい。即ち、反応物質の入口の流速が生成物出口より低いことが好ましい。上記の手段は、本発明に係る方法の連続動作において有利である。
【0030】
本発明に係る方法の一実施形態では、脱水反応が少なくとも部分的に液相で生じることが好ましい。液相として、特に水性システムが好ましい。脱水反応が液相において、少なくとも部分的に、又は完全に実施される場合、特に高いグリセリン濃度を有する水性相においては、水性相のアクロレイン濃度を高くすることが可能となり、それはできるだけ急速にガス泡により放出されることができるという意味で、効果的である。高いアクロレイン濃度を有するこれらの水性相は、次の気相酸化のステップで直接使用できる。液相脱水反応の更なる効果は、リンス効果が液相によって得られるということであり、それにより、反応器内の沈着物の形成が減少するため好ましく、またそれにより反応器を長いラン時間で作動させることが可能となり、更に反応器を再生する必要性も少なくなる。
【0031】
一般に、脱水反応は、100〜400℃の範囲、好ましくは130〜350℃の範囲、特に好ましくは150〜330℃の範囲の温度で生じうる。液相脱水反応の更なる効果としては、160〜310℃の範囲、好ましくは200〜300℃の範囲、より好ましくは250〜290℃の範囲の、比較的緩やかな温度条件で実施できるということである。これらの温度範囲は大部分において、増加した圧力によって、標準圧力で決定されるグリセリンの分解及び沸騰温度(290℃)と一致し、それにより、気相酸化の操作期間に不利な影響を及ぼす分解残渣及びポリマー、並びに他の不純物の生成が減少する。これは周期的な液相脱水反応において好ましく、その際、グリセリン含有液体相が、ポンプによって、圧力システムとして設計された反応器に輸送され、触媒が添加される。この場合、穏やかな方法で、より高い選択性に加え、より高い回転率及びより少ない副産物の発生が可能となる。
【0032】
本発明に係る方法の他の一実施形態では、少なくとも、反応器のガス泡の発生のために使用されるガスが、反応器から出た後に、例えば少なくとも1体積%、好ましくは少なくとも10体積%、特に好ましくは少なくとも30体積%で、少なくとも部分的に反応器にフィードバックされ、ガス泡の再度の発生のために供されるのが好ましい。これは循環ガス動作モードによって実施でき、その場合、脱水反応生成物としてのアクロレインを少なくとも部分的に分離した後、当該ガスを再び脱水反応の反応器に添加する。独立に、又はこのガスと共に、脱水反応において変化しなかったグリセリンを、少なくとも一部(例えば少なくとも1体積%、好ましくは少なくとも10体積%、特に好ましくは少なくとも30体積%)、脱水反応の反応器に再び添加することができる。更に、少なくとも部分的に脱水反応生成物を除去された水性相を、例えば少なくとも1体積%、好ましくは少なくとも10体積%、特に好ましくは少なくとも30体積%で、再び脱水反応の反応器に添加し、循環させるのが好ましい。更に、上記の反応器へフィードバックする操作は、それ単独で、又は少なくとも2つの組み合わせで実施してもよいが、上記の3つのフィードバック操作を全て実施することが好ましい。
【0033】
本発明に係る方法の更なる一実施形態では、当該脱水反応を、少なくとも部分的に、又は完全に、気相において生じさせることも更に可能である。気相における脱水反応はそれ自体、脂肪のケン化に由来するグリセリンとの相互作用により明らかである。このグリセリンは通常、高い塩濃度により高度に荷電しており、それは気相における脱水反応の蒸発工程によって十分に分離できる。液相における脱水反応と同様、気相における脱水反応は、水の存在下で実施するのが好ましい。
【0034】
その結果、本発明プロセスにおいては、グリセリンが水性相において用いられることが好ましい。液相における脱水反応の場合、この液体は一般に、水性相に対してそれぞれ0〜30重量%の範囲、好ましくは0〜20重量%の範囲、特に好ましくは0〜10重量%の範囲の水を含有する。気相における脱水反応の場合、水性グリセリン相は、水性グリセリン相に対してそれぞれ、30以上〜97重量%の範囲、好ましくは60〜95重量%の範囲、より好ましくは70〜90重量%の範囲の水を含有する。グリセリン相の更なる主要成分は、グリセリンである。
【0035】
脱水反応は原則として、当業者にとり自明と考えられるいかなる圧力条件下でも生じる。しかしながら、脱水反応は、2〜200bar、好ましくは10〜150bar、特に好ましくは15〜70barの範囲の圧力で生じるのが好ましい。更に、脱水反応の特定の温度及び圧力範囲を維持することが好ましい。
【0036】
本発明に係る方法の他の実施形態では、液相での脱水反応と、気相での脱水反応とを、各々組み合わせるのが好ましい。本発明に係る方法によれば、グリセリンは最初に、気相における脱水反応に供され、更に液相脱水反応又はその他の工程に供されうる。最初に述べた順序において、塩を多量に添加された脂肪のケン化に起因するグリセリンの荷電が、気相における脱水反応の蒸発によって、この塩の添加から最初に自由になるという効果があり、それにより、循環式の動作モードによる液相脱水反応において、その後更に変換され、副産物をほとんど含有しない、高い収率及び選択性での製造が可能となる。
【0037】
本発明に係る方法の他の実施形態では、このプロセスで脱水反応触媒が用いられる。脱水反応触媒として、アルカリ性若しくは酸性の触媒を両方使用できる。オリゴマを形成する可能性が低いという理由から、酸触媒が特に好ましい。同種の及び異質の触媒として、脱水反応触媒が使用可能である。脱水反応触媒が異質な触媒である場合、脱水反応触媒とキャリアxとを接触させることが好ましい。キャリアxと同様に、当業者にとり自明であるが、全ての固体が使用可能である。本発明では、これらの固体が適切な気孔体積を有することが好ましく、それは脱水反応触媒との良好な結合及びそれの分離に適するものである。更に、0.01〜3ml/gの範囲の、特に好ましくは0.1〜1.5ml/gの範囲のDIN66133に従う総気孔体積が好ましい。。更に、キャリアxとして適切な固体は好ましくは、DIN66131に従うBET試験において、0.01〜1000m2/g、好ましくは0.005〜450m2/g、最も好ましくは0.01〜300m2/gの範囲の表面積を有する。脱水反応触媒のためのキャリアとして、一方では、0.1〜40mmの範囲、好ましくは1〜10mmの範囲、好ましくは1.5〜5mmの範囲の平均粒径を有するバルク材料を用いてもよい。更に、脱水反応器の壁を、キャリアとして利用してもよい。更に、キャリアはそれ自身で酸性若しくは塩基性であってもよく、又は酸性若しくは塩基性の脱水反応触媒を内側キャリアに塗布してもよい。応用技術としては、特定の浸漬及び/又は担体マトリックス中における飽和又は取り込みが挙げられる。
【0038】
キャリアxとしては、特に天然若しくは合成シリケート材(例えば特にモルデナイト、モンモリロナイト、酸性ゼオライト)などの、脱水反応触媒特性を有する物質、例えば、リン酸又はAl23、TiO2などの無機酸の酸化物又はシリケート材料の酸性塩のモノ−、ジ−若しくはそれ以上の多塩基無機酸を含有するキャリア部材;例えばγ−Al23とZnO−Al23との混合酸化物、又はヘテロポリ酸などの酸化物及び混合酸化物が特に適切である。
【0039】
本発明の他の実施形態では、キャリアxは少なくとも部分的に、酸化化合物を含んでなる。かかる酸化化合物は、元素Si、Ti、Zr、A、P又はその少なくとも2の組合せのうちの少なくとも1つを含有するべきである。かかるキャリアは、それらの酸性若しくは塩基性の特性に基づき、脱水反応用の触媒としても機能できる。キャリアx及び脱水反応触媒の両方ともに対して有効な化合物の好適なクラスとしては、シリコーン酸化物、アルミニウム酸化物、リン酸化物が挙げられる。脱水反応触媒及びキャリアxとして機能する、好適な塩基性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタン、ランタノイド金属又はそれらの酸化物の少なくとも2つ以上の組合せが挙げられる。かかる酸性若しくは塩基性の脱水反応触媒は、Degussa AG、及びSudchemie AGから市販されている。更なるクラスとして、イオン交換物質が使用できる。これらは塩基性及び酸性の両方の形態であってもよい。
【0040】
かかるの脱水反応触媒としては、特に無機酸、好ましくはリン含有酸、より好ましくはリン酸である。これらの無機酸は、浸漬及び/又は飽和によってキャリアxに固定されてもよい。他の使用可能なかかる触媒としては、亜硫酸又は硫酸などの、硫黄含有酸又はその混合物である。
【0041】
特に気相における脱水反応については、その他の触媒を使用してもよい。しかしながら、液相脱水反応においては、同様の触媒を用いてもよく、あるいは異なる触媒を、脱水反応触媒として用いてもよい。
【0042】
更に本発明のプロセスでは、+1から−10の範囲、好ましくは+2から−8.2、より好ましくは。液相における脱水反応においては+2から−3の範囲、また気相における脱水反応においては−3から−8.2の範囲のH0値を有する脱水反応触媒を用いることが好ましい。H0値はハメット酸関数を指し、いわゆるアミン滴定及びインジケータの使用により、又はガス状の塩基の吸収により測定でき、“Studies in Surface Science and Catalytics”,vol.51,1989:“New solid Acids and Bases,their catalytic Properties”(K.Tannabeら)に記載されている。グリセリンからのアクロレインの調製に関する詳細は更に、独国特許第4238493C1号公報に記載されている。
【0043】
本発明に係る方法の更なる一実施形態では、本発明に係るプロセスのステップb)の気相酸化は、1つ以上の酸化触媒(遷移金属の担体若しくは化合物、又はその両方)の存在下で生じる。酸化触媒については、これらは、少なくとも部分的に酸化された形態のモリブデン、タングステンのうちの少なくとも1つ、又はその2つの組合せを含有するのが好ましい。かかる酸化触媒は好ましくは、キャリアyと接触する異質な触媒として用いられる。この場合、酸化触媒がキャリアyに組み込まれることが好ましい。適切なキャリアyとしては、原則、キャリアxに関して記載した化合物が好適であり、すなわち、シリコン酸化物又はアルミニウム酸化物又はアルミニウム−シリコン酸化物が特にキャリアとして好適である。かかる酸化触媒は様々な文献に記載されている。例えば、独国特許出願公開第2626887号、欧州特許出願公開第0534294号、及び米国特許出願公開第2002/0198406号が挙げられる。アクロレインのアクリル酸への転換に使用するかかる酸化触媒は、例えば三菱商事(日本)から市販されている。
【0044】
本発明のプロセスでは、水性相の脱水反応生成物が気相酸化へ供されることが更に好ましい。脱水反応生成物は好ましくは、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、更に好ましくは少なくとも40重量%のアクロレインを含有する。水量は、0.1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは12〜20重量%の範囲であるのが好ましい(なお、上記の重量%の詳細は気相酸化に供される相に対する重量を指す)。
【0045】
気相酸化は好ましくは、200〜400℃の温度範囲、より好ましくは250〜350℃、更に好ましくは280〜340℃の範囲で実施される。
【0046】
本発明のプロセスでは、モノマーガスが、モノマーガスに対して5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%の範囲のアクリル酸を含有することが更に好ましい。
【0047】
本発明に係る方法の更なる一実施形態では、水、又は50〜250℃の範囲、好ましくは70〜180℃の範囲、より好ましくは105〜150℃の範囲の沸点を有する有機化合物を使用するのが好ましく、水及びこの有機化合物は、本発明に係る方法のプロセスステップc)においてクエンチ剤として機能する。かかる有機化合物としては、芳香族化合物、特にアルキル化された芳香族化合物が好ましい。通常、かかるクエンチ剤は、適切なカラム中、好ましくは逆流中においてモノマーガスと接触させる。その場合、クエンチ剤は水に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%で含まれ、好ましくは、アクリル酸と共にロードされるクエンチ剤の水溶液を、更なるステップにおいて、分離剤(好ましく水溶性が低い)を用いて分離する。アクリル酸が最も豊富な相を、蒸留又は結晶化工程に、又はその両方に供し、好ましくは最初に結晶化工程に供する。当該結晶化工程は、層結晶化であってもよく、あるいは懸濁液における結晶化であってもよい。適切な層結晶化装置は、Sulzer AG社から市販されている。適切な懸濁結晶化装置では通常、洗浄カラムを下流側に配した結晶発生装置を使用する。かかる装置及び方法は、Nitro Prozesstechnologie BV社から市販されている。抽出/精製試薬としては、芳香族化合物、好ましくはアルキル化芳香族化合物、より好ましくはトルエンを用いる。有機化合物を分離剤として使用すべきであり、このアクリル酸と共に添加される有機化合物は同様にに、蒸留若しくは結晶化、又はその両方の組合せに供される。好適な結晶化方法は、欧州特許出願公開第1015410号に開示されている。
【0048】
更に、本発明に係る好ましいプロセスでは、クエンチ相は、モノマー相に対して、30〜90重量%、好ましくは35〜85重量%、より好ましくは45〜75重量%の範囲のアクリル酸を含有する。
【0049】
本発明に係るプロセスの更なる一実施形態では、好ましいクエンチ相は、アクリル酸の沸点以下の温度で行われる。このための適切な手段は、40℃以下の温度を有する対応する冷却済みのクエンチ剤の使用である。このように温度制御されたクエンチ相を使用することにより、抽出若しくは結晶又はその両方を、−40〜40℃、好ましくは−20〜39℃、特に好ましくは−10〜35℃の範囲の温度で実施することが可能となる。
【0050】
本発明に係る方法の他の実施形態では、モノマー相は、当該モノマー相中に99〜99.98重量%の範囲のアクリル酸を含有することが好ましい。特に蒸留による精製を行う場合、モノマー相中におけるかかるアクリル酸含量が可能となる。抽出及び結晶化による精製を行う場合、モノマー相中に30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%、より好ましくは45〜65重量%の範囲のアクリル酸含量であるのが好ましく、水、更には水及びアクリル酸とは異なる不純物を、モノマー相に対して0.02重量%以下で含有するのが好ましい。この水性のモノマー相は、更なる希釈剤ステップなしで使用できるという利点がある。なぜなら、モノマー相の水溶液中における重合においては、高濃度のモノマー相が必要となるからである。
【0051】
本発明に係る方法の他の実施形態では、複数のガス泡を発生させるガスの量を変化させる。この変化は、時間とともに生じる。すなわち、1秒につき少なくとも1回ガス量をチェックし、本発明に係る方法における必要性に従い、少なくとも1体積%のレベルで増減されることが好ましい。一定のプロセス操作において、当該変化の間隔を長く、例えば1〜100分の間隔で行うことができる。ガス量の変化(例えばガス泡密度及びサイズの変化)によって、収率を制御することができる。更に、この変化によって、使用する反応物質の組成、タイプ及び品質を柔軟に調整することができる。更に、ガス量の変化によって、気相酸化反応器において更に変化するアクロレインの濃度を制御し、それにより最適反応条件に設定することもできる。
【0052】
本発明に係る方法の更なる実施態様では、グリセリンを脱水反応の前に加温する。好ましくは、グリセリンを脱水反応器への添加前に加温する。この加温は好ましくは、予め加温されたグリセリンを脱水反応器に添加することにより実施する。グリセリンを、150〜350℃、好ましくは250〜310℃、特に好ましくは270〜290℃の範囲の温度に加温するのが好ましい。グリセリンを事前に加温する場合のみならず、本発明に係るプロセス全般に関しても、液体状の脱水反応触媒、好ましくはリン酸又は硫黄を含有する酸を使用するのが好ましい。本発明に係るプロセスの他の一実施形態では、更に、液体状の脱水反応触媒が脱水反応の前に加温されるのが好ましい。これはグリセリンと共に行うのが好ましいが、液体状の脱水反応触媒を、グリセリンとは別に加温してもよい。液体脱水反応触媒は好ましくは、150〜350℃、好ましくは250〜310℃、特に好ましくは270〜290℃の範囲の温度に加温される。
【0053】
本発明は更に、以下の装置の組み合わせを特徴とする、液体を各々反応させるための、アクリル酸の調製装置に関する:
1a.脱水反応器、
2a.気相酸化反応器、
3a.クエンチ装置、
4a.精製装置。
当該脱水反応器はガス泡発生器を有してなる。
【0054】
本発明は更に、ポリマー調製装置の提供に関し、それは、上記の1a〜4aの組み合わせによる、流体中での反応コネクションに加えて、更に重合装置5bを有することを特徴とする。
【0055】
流体の移動とは、個々の成分を、ガス及び液体のための配管システム又は他の輸送手段(例えばタンク輸送)を介して移動させることを意味する。
【0056】
本発明に係る装置では、脱水反応器が、グリセリンの受容に適する反応物質容器と、それに続く触媒の受容のために設計された反応領域と、更にそれに続く気相酸化反応器への放出口を有する、熱交換器として形成された冷却器とを有するのが好ましく、その際、放出口と気相酸化反応器との間に、ガス状成分と液体成分の分離のためのセパレータ、並びに任意に、セパレータの液相中の蓄積物の浄化のための蒸留カラムを、分離装置として設けるのが好ましい。これらの構成要素は化学工業において通常用いられるものからなり、また反応条件による影響を受けない材料(例えばステンレス鋼又はガラス)から形成される。反応器の下流側部分では、1つ又は2つ以上のガス泡発生器を設け、好ましくはフリットとして形成され、大部分は金属から構成される。反応領域にバルク生成物としての触媒が含まれる場合、これは対応する容器から構成される。他の実施形態では、当該反応領域は触媒として機能する壁から構成されてもよい。固体触媒に加えて、又はその代わりに液体触媒が使用される場合、これをタンクに保存するのが好ましい。本発明に係る方法の好ましい実施形態では、脱水反応器を熱交換器と連結し、脱水反応器から供給されたガスを冷却する。更なる実施形態では、脱水反応器の後、かつ気相酸化反応器の前に、相分離容器を間接的又は直接的に連結し、それにより、気相と比較してより多くのアクロレインを含有する液相をそこに蓄積させる。このアクロレイン含量の低い気相を、ガス量の調節、すなわち濃度比率の調節のため、気相酸化反応器に添加してもよい。それは更に、脱水反応器と気相酸化反応器との間に熱分離装置を配置した実施態様に対応し、それは好ましくは蒸留カラムとして構成される。この熱分離装置において、低沸点のアクロレインは高沸点(更にはグリセリン)から分離され、それによりグリセリンが再び脱水反応器へ導入される。このようにして精製された、気相としてのアクロレイン(任意にそれと共に更なる他のガスの成分を輸送する)は更に気相酸化反応器へ導入される。他の実施形態では、脱水反応器の下流に、熱交換器及び相分離容器及び熱分離装置を、気相酸化反応器の前に配置する。本発明に係る装置の他の一実施形態では、これは不活性ガス導管を構成し、それにより、一方では、脱水反応器でのガス泡の発生のためにガスが送り込まれ、他方では、ガスが気相酸化反応器に導入される。
【0057】
本発明に係る装置の更なる一実施形態では、脱水反応器中の少なくとも一部の領域の中で流動しうる、少なくとも1つのインサートを提供するのが好ましい。流動性インサートは、その一部の領域において、星型、十字型、板状、球状、ループ状、リング状若しくはパイプ状、又はこれらの形状のうちの2つ以上の組み合わせで形成されるのが更に好ましく、板状及びパイプ状がより好ましく、特にパイプ状が好ましい。流動性インサートとは、本発明においては、ガス泡を輸送、分割及び減速するものを意味する。
【0058】
更に、当該流動性インサートは、当業者に公知の形態(例えばプレート、ハネコム、リング、メッシュ、管又はそれらの組み合わせ)として適切に設計されてもよい。当該インサートは、構成要素として形成されてもよく、また、脱水反応器における1部品として固定されてもよい。更に、本発明にとり好適な流動性インサートは、脱水反応器の反応器壁から形成されてもよい。これは例えば、脱水反応器の内的空間中へ突き出ている反応器壁の突出部により構成されてもよい。当該インサートの流れ空間のデザイン及びサイズの両方を調節することにより、液相a1中のガス泡のサイズ及び流動速度を制御することが可能となる。通常、ガス泡のサイズは、流動性インサートが流動する空間の、それぞれの流動断面により決定される。これは、脱水反応器の断面に対応するインサートの断面において、ガス泡の横断面に最も近い円が、その円がインサートの断面の少なくとも3つの場所でわずかに接触する程度で、また流動断面がこの円の倍の半径である態様で配置される。一般に、インサートの流動断面は、少なくとも設定されたガス泡の直径と同じ大きさとなるように選択される。したがって、少なくとも流動空間の領域においては、流動断面は0.1〜100mm、好ましくは1〜70mm、より好ましくは5〜40mmの範囲であることが好ましい。
【0059】
更に、液相a1におけるガス泡の移動速度(すなわち滞留時間)及びそれによるガス量は、流動可能である装置の表面特性により影響されることもあり、特にこれがガス泡と液相a1と接触する場合がそうである。このため、特に凸凹表面を有することが好適であり、その際、表面の粗さを、液相a1の組成及びガス泡に含まれるガスに適するものとするのが好ましい。
【0060】
流動性インサートは反応器中において、分離プレートの形状、特にパラレル、クロス、ダッシュ若しくは星型、2本以上のパイプ、メッシュ、インタレース材料、リング、チェーン、ボウル(特に中空ボウル)若しくはブラシ(好ましくは束状)、又は上記のうちの2つ以上の組合せが、インサートの形状の変形例として挙げられる。流動性インサートは原則として、当業者に公知の全ての材料から形成されてもよい。材料は特にセラミック、ガラス及び鋼が好ましい。これはすなわち、脱水反応反応の間の反応条件に対する抵抗性を有する適切な材料を選択するのが重要であることを意味する。したがって、例えば、キャル・ギャビン社から市販されている、ブラシのように形成された縦型のワイヤメッシュ状の鋼管の束、メッシュや、Rashigリングとして公知の、蒸留カラムで使用される、例えばセラミック及び/又はガラスリングなどが特に好ましい。
【0061】
本発明による更なる実施態様に対応して、流動性インサートは脱水反応器の一部としてのみ取り込まれる。好ましくは、それは液相a1が反応の際に存在する部分の一部をなす。更に、流動性インサートがガス泡発生器とタイミングをずらして提供されることが好ましい。流動性インサートは、脱水反応器の長手方向の中央軸線に対して、5〜95%、好ましくは50〜90%、特に好ましくは、この軸をベースとする脱水反応器の全長に対して70〜85%の長さで配置されるのが好ましい。反応領域が、脱水反応器の流入口と流出領域との間に設置される場合、流れ方向としての縦軸に対して、流動可能な装置を、脱水反応器の流入口、並びに流出領域に提供するのが更に好ましい。
【0062】
本発明に係る装置の更なる一実施形態では、脱水反応器が、放出口に向かって狭小化している上方領域を有するのが好ましい。この狭小部は、直線的若しくは曲線的であってもよく、又は直線と曲線の両方の組合せであってもよい。曲線的な狭小部の場合、この曲げは凹型であってもよく、凸型であってもよい。狭小部は通常、円錐形に形成されてもよく、部分的に球状であってもよい。円錐での実施態様の場合、当該狭小部は実質的に鈍い円錐形である。当業者は原則として、反応器の動作の際に、狭小な部分の下に存在する液相から発生するガスが、狭い口の中を加速されて流動できるように、狭小度合いを設計する。ガスに加えて、狭小部を経てることにより、放出される液体も同様に加速される。更なる態様では、狭小の後、再び拡張されるのが好ましく、それにより流通ガスが減速される。
【0063】
更なる本発明に係る装置の一実施形態では、熱交換器が脱水反応器の前に配置されることが好ましい。熱交換器又は熱交換は、重要な冷却が熱交換器及び脱水反応器との間で行われない程の距離で、脱水反応器の近くに配列されることが好ましい。好ましくは、少なくとも1つの熱交換器が、反応物質としてのグリセリン、及び液体触媒のために提供される。液体触媒を用いない場合は、本発明にかかる装置において、熱交換器をグリセリンに提供すれば十分である。
【0064】
本発明に係る装置の更なる応用形態では、反応物質容器の後、及び反応領域の前に、蒸発器を有する。これらの実施態様は、特に気相における脱水反応に適している。高い塩負荷を有するケン化脂肪酸からのグリセリンが用いられる場合には、蒸発器が塩セパレータを有することが好ましい。
【0065】
ガス泡発生器としては、当業者に公知のいかなる適切な装置を用いてもよい。ガス泡発生器は反応器の下流半分に配置するのが好ましく、それにより、できるだけ好適かつ完全であるように、脱水反応器中の液相の流通が形成される。適切なガス泡発生器は例えば、ガスを発生させる金属又はガラス製のフリット、イジェクタ(そらせ板に向けてもよい)又はヴェントゥーリ−原理に従って動くインジェクタが挙げられる。インジェクタは静止ミキサーと組み合わせてもよく、それはインジェクタからの気体流を小さいガス泡に分解し、反応器中にできるだけ均一となるようにこれらを分配する。
【0066】
本発明の方法に適する、気相酸化反応器としての当業者に公知の全ての反応器は、アクリル酸に気相酸化によってアクロレインを変化させるものであればよい。本発明の好ましい態様では、冷却剤によって、好ましくは融解した塩によって冷却されるマルチチューブ反応器又はプレート反応器を用いる。これらのマルチチューブ又はプレート反応器は、冷却剤とは反対側において、適切な触媒を受容する。これは一方では粉層として設けてもよく、他方ではパイプの及び/又はプレートの表面を触媒でコーティングしてもよい。
【0067】
クエンチ装置としては、大規模なアクロレインのアクリル酸への気相酸化に用いられる一般的なタイプが好ましくは使用される。かかるクエンチ装置はカラム又はタワーとして形成され、例えば、Deggendorfer Werft社から市販されている。精製装置としては、全ての公知の蒸留及び結晶化方法と同様、大規模なアクロレインの気相酸化を経たアクリル酸の合成に使用できる、当業者に公知の抽出装置を使用してもよい。
【0068】
モノマー相の重合プロセスEにおいて使用される重合装置は、一方では、不連続的に撹拌器の容器を作動し、一方では連続的にシステム(例えば重合装置)を作動する。押出機などが適切である。粉砕及び乾燥が、これらの重合反応器に続く。このように得られた超吸収体前駆は、表面架橋又は架橋後処理に更に供することができる。より多くの詳細は、Graham及びBuchholzらの文献を参照。架橋され部分的に中和されたポリアクリレートポリマーである場合、その調製は、 “Modern Superabsorbent Polymer Technology”,F.L.Buchholz及びA.T.Graham(編)、Wiley−VCH,New York,1998(3章(p69から))に詳細が記載されている。
【0069】
更に、本発明に係る方法におけるアクリル酸の調製、及び本発明に係る方法におけるポリマーの調製は、上記で詳細に例示された手段を用いて実施され、図において例示されるように行われるのが好ましい。
【0070】
このようにして、特に適切な超吸収体としての水吸収性ポリマー構造を調製することができる。
【0071】
上記の課題の解決はまた、上記の合成過程により得られるアクリル酸の、架橋剤の存在下でのラジカル重合によって得られる水吸収性ポリマー構造によって可能となる。
【0072】
上記の課題の解決はまた、アクリル酸に対して少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%の水吸収性ポリマー構造によっても可能となり、その際、水吸収性ポリマー構造は、少なくとも80%の持続性指数を有することを特徴とする。
【0073】
持続性指数とは、ポリマー構造が、化石燃料に由来しない、再生可能な有機材料を主成分とした材料である際、その占める割合を示す指数である。持続性指数100とは、そのポリマー構造が完全に、化石燃料に由来しない、再生可能な有機材料からなることを意味する。
【0074】
本発明による他の実施態様は、アクリル酸に対して少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%の水吸収性ポリマー構造の使用に関し、その際、水吸収性ポリマー構造の製造に使用するアクリル酸性モノマーの少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも95重量%が、非化石燃料の、再生可能な有機材料を開始材料とする合成プロセスにより得られる。非化石燃料の再生可能な有機材料は特に、石油、又は石炭及び/若しくは褐色石炭、又は天然ガスから得られた材料ではない。これらの非化石燃料由来の再生可能な有機材料はむしろ、農業及び林業における生成物、特にグリセリン及び脂肪酸から得られる脂肪及び油である。
【0075】
好ましくは、これらの水吸収性ポリマー構造は、以下のステップからなる方法によって得られる:
i)架橋剤の存在下でアクリル酸を重合させ、ポリマーゲルを形成するステップと、
ii)任意にポリマーゲルを粉砕するステップと、
iii)任意に粉砕されたポリマーゲルを乾燥させ、水吸収性ポリマー構造を得るステップと、
iv)任意に水吸収性ポリマー構造の表層を後処理するステップ。
【0076】
本発明に係る水吸収性ポリマー構造の具体例では、天然、生物分解可能なポリマー、好ましくは炭水化物(例えばセルロース又は澱粉)を、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも35重量%、最も好ましくは少なくとも45重量%含有する。
【0077】
本発明に係る水吸収性ポリマー構造は、以下の特性を有するのが好ましい:
(A):本願明細書に記載されている試験方法により測定したとき、30×10-7cm3s/g以上の、好ましくは60×10-7cm3s/g以上の、より好ましくは90×10-7cm3s/g以上の、更に好ましくは130×10-7cm3s/g以上の、より更に好ましくは120×10-7cm3s/g以上の、最も好ましくは140×10-7cm3s/g以上の食塩水流れ誘導性(Saline Flow Conductivity(SFC))を有し、
(B):ERT 442.2−02に従って測定したとき、15g/g以上の、好ましくは16g/g以上の、より好ましくは17g/g以上の、更に好ましくは19g/g以上の、より更に好ましくは22g/g以上の、最も好ましくは20g/g以上の0.7psiの圧力に対する吸収力(AAP0.7)を有し、
(C):ERT 441.2−02に従って測定したとき、20g/g以上の、好ましくは21g/g以上の、より好ましくは22g/g以上の、更に好ましくは23g/g以上の、より更に好ましくは27g/g.以上の、最も好ましくは25g/g以上の吸収倍率(CRC)を有する。
【0078】
SFC、AAP及びCRCなどの特性に上限を設定することも可能である。かかる上限としては、例えば180×10-7cm3s/g又は200×10-7cm3s/gのSFC、あるいは250×10-7cm3s/g又は350×10-7cm3s/g又は500の×10-7cm3s/gのSFCである。AAPの上限は、30g/g、あるいは35g/g、更には45g/gとしてもよい。CRCの上限は、45g/g、あるいは35g/g、更には50g/gとしてもよい。
【0079】
本発明に係る水吸収性ポリマー構造は、上記の特性AからCに加えて、更に以下の特性を有するのが更に好ましい:
(D):ガイドライン67/548/EEC の附則Vによる修飾Sturm−試験に従い測定したときの生分解性が、28日後に少なくとも25%、好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%である(但し一般には、上限が最大75〜95%の値を上回らない)。
【0080】
本発明に係る水吸収性ポリマー構造は、複数の無機微粒子を含むのが更に好ましい。無機微粒子として、全ての水不溶性無機化合物が使用可能であり、特に安定なコロイド溶液、好ましくは単相の水溶液を調製することができ、それは20℃及び標準圧力条件で、少なくとも6時間、好ましくは少なくとも24時間、特に好ましくは少なくとも72時間、最高6ヵ月の期間、相分離(例えば固体の無機沈殿物の発生)を示さない。
【0081】
コロイド溶液とは、100〜1000Å(10-4〜10-5cm)の粒子直径を有する粒子を含有する溶液のことを指す。これらの溶液は溶液を通過する光を全方向に散乱させる特性を有し、それにより、コロイド溶液中を走る光線を見ることができる(チンダル現象、Hollemann−Wilberg,Lehrbuch der anorganischen Chemie,91−100.de Gruyter−Verlag編、p765)。
【0082】
本発明に係る水吸収性ポリマー構造は、無機微粒子が酸素を含有するのが好ましい。無機微粒子が金属を含有するのが更に好ましい。
【0083】
特に好適なコロイド分散液中の無機化合物として、本発明のプロセスでは、ポリケイ素酸を含有する粒子が用いられる。かかる粒子(シリカゾル)を含有するコロイド溶液は、例えば、加水分解の結果、アルカリとして反応するケイ酸ナトリウム溶液の慎重な酸性化によって、又は、分子状のケイ酸を水に溶解させ、それにより生じるコロイド溶液を任意に安定化させることにより、得ることができる。かかるシリカゾルの製造は当業者にとり周知であり、例えばJander−Blasius、“Lehrbuch der analystischen und praparativen anorganischen Chemie”(S.Hirzel Verlag、シュツットガルト)に記載されている。本発明に係るコロイド状のケイ酸の他に、酸化鉄(III)の水和ゾル、酸化スズ(IV)の水和ゾル、又はハロゲン化銀を主成分とするゾル(特に塩化銀)が、コロイド分散無機化合物として更に好適である。
【0084】
本発明に係る水吸収性ポリマー構造は、好ましくは架橋された外側領域を含む。このタイプの水吸収性ポリマー構造は通常、中心シェルを有する形態である。好ましくは、無機の微細な粒子を、外側領域の外部若しくは内部、又はそれらの両方に存在させる。
【0085】
本発明にとり好ましいポリマー構造は繊維状、フォーム状又は粒子状であり、より好ましくは繊維及び粒子であり、特に粒子状が好ましい。
【0086】
本発明にとり好ましいポリマー繊維は、織物の糸として使用できる、又は直接織物中に組み込まれうるのに必要なサイズに加工させる。上記ポリマー繊維は、1〜500、好ましくは2〜500、特に好ましくは5〜100mmの範囲の長さ、並びに、1〜200、好ましくは3〜100、より好ましくは5〜60デニールの範囲の直径を有するのが、本発明にとり好ましい。
【0087】
本発明にとり好ましいポリマー粒子は、ERT 420.2−02に従って測定したとき、10〜3000μm、好ましくは20〜2000μm、特に好ましくは150〜850μmの範囲の平均粒径を有するように加工される。300〜600μmの範囲の粒径を有する粒子の量が、少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%の割合であることが更に好ましい。
【0088】
上記の課題の解決は更に、本発明に係る水吸収性ポリマー構造、又は水吸収性ポリマー構造を含有するコンポジットにより可能となる。かかるコンポジットは、架橋剤及び基質の存在下で、上記の合成プロセスで得られるアクリル酸のラジカル重合によって得られる。本発明に係るポリマー構造と基質とが、各々強固に結合するのが好ましい。当該基質は好適にはポリマー(例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリアミド)、金属、不織布、けば、組織、織された生地、天然若しくは合成繊維又は他のフォーム状の物質から調製されるシートである。当該ポリマー構造は、ポリマー構造と基質との合計重量に対して、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、更に好ましくは少なくとも90重量%の量のコンポジットを含有するのが、本発明においては好ましい。
【0089】
本発明に係るコンポジットの特に好適な一実施形態では、国際公開第02/056812号「吸収材」にて説明したような、シート状のコンポジットである。国際公開第02/056812号の中の開示(特にコンポジットの構造に関する記載で、その厚と同様にその成分の面積あたりの量)は、参照により本発明の一部をなす。
【0090】
上記の課題の解決は更に、コンポジットの調製方法により可能となる。詳細には、本発明に係る水吸収性ポリマー構造、又は、架橋剤及び基質、及び任意に添加物の存在下で、上記の合成プロセスにより得られるアクリル酸のラジカル重合によって得られる水吸収性ポリマーを各々接触させる方法である。基質としては、好ましくは、本発明のコンポジットに関して上記した基質が使用される。
【0091】
上記の課題の解決はまた、上記の方法に従って得られるコンポジットによって可能となる。
【0092】
上記の課題の解決は更に、本発明によって、本発明に係る水吸収性ポリマー構造、又はコンポジットを含有する化学生成物によって可能となる。好適な化学生成物としては、特にフォーム、鋳型成形品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シーリング材料、液体吸収性の衛生用品(特におむつ及び女性の衛生用品)、並びに植物又は真菌の成長制御剤のキャリア、又は農薬、建設材料用の添加物、パッケージ材又は土壌添加物などが挙げられる。好適な化学生成物は衛生用品であり、上部シート、下部シート、並びに上部シートと下部シートの間に配置された、本発明に係る水吸収性ポリマー構造を含有する中間シートを有してなる。
【0093】
更に、本発明はアクロレインの製造方法に関する。当該方法の特徴としては、本願明細書に記載された、グリセリンを脱水反応に供してアクロレインを含有する脱水反応生成物を得る方法、並びにこの脱水反応の好適な実施態様を有することが挙げられる。
【0094】
更に本発明は、本発明の方法に従って得られるアクリル酸、その誘導体若しくは塩を主成分とする、繊維、シート、接着剤、化粧品、鋳型成形材料、織物及び革製品への添加物、凝集剤、コーティング又はニスの提供に関する。アクリル酸の誘導体としては、特に、そのエステル(好ましくはそのアルキルエステル、更に好ましくは、そのC1−C10、より好ましくはC2−C5、更に好ましくはC3−C4アルキルエステル)が挙げられる。塩としては、アクリル酸のアンモニウム塩、及びアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0095】
更には、本発明による方法によって得られたアクリル酸、又はその誘導体若しくは塩の、繊維、シート、接着剤、化粧品、鋳型成形材料、織物及び革製品への添加物、凝集剤、コーティング又はニスへの使用に関する。
【0096】
本発明は、図及び非限定的な実施例により、詳細に例示される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る方法の個々のステージ及びステップの模式的な操作、並びに本発明に係る装置を図式的に示す。
【図2】脱水反応装置、及びそれに続く気相酸化装置を図式的に示す。
【図3】脱水反応器の長手方向断面図としての断面Bを示す。
【図4】更なる脱水反応装置、及びそれに続く気相酸化装置を図式的に示す。
【図5】本発明に係る脱水反応器の長手方向断面図を図式的に示す。
【図6】本発明に係る実施態様a)及びb)の、流動性インサートの長手方向断面図を示す。
【図7】本発明に係る実施態様a)からc)の、インサートの横断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
図1において、最初に、油又は脂肪をケン化装置1に供給し、ここでソーダ又はアルカリとアルコールとの化合物によるアルカリケン化が行われる。ケン化装置において得られたグリセリンを、更に脱水反応器2を有する脱水反応装置へ導入され、グリセリンからアクロレインが得られる。このように得られたアクロレインを更に、次のステップである気相式反応器3へ供給し、気相酸化反応によってアクリル酸に変化させる。気相式反応器3に続いてクエンチ装置4に供給し、気相式反応器3から生じたアクリル酸を含有するガスを、液体相に供給し、クエンチ剤と接触させる。クエンチ剤及びアクリル酸の液体中混合物を更に、クエンチ装置4の次の精製装置5へ供給する。そこでアクリル酸を、結晶化若しくは蒸留又はこれらの2つのステップの組合せ、抽出又は抽出及び結晶の組合せ、抽出及び蒸留の組合せ、あるいは抽出蒸留及び蒸留の組合せにより精製し、純粋なアクリル酸(少なくとも99.98%のアクリル酸)を得る。それは純粋なアクリル酸そのもの、又はその水性相として得られる。このように得られたアクリル酸を更に重合装置6へ供給する。重合装置6において得られたポリマーは、以降の使用に従って製造できる。重合装置6の後、例えばおむつの製造装置、又は包帯及び傷害の治療器具の製造用装置などの更なる処理ユニットで加工してもよい。
【0099】
図2において、反応物質貯蔵部7(ケン化装置1と、ラインを介して接続されてもよく、又はタンク輸送装置などの輸送手段を介して間接的にこのケン化装置1と連結されてもよい)から、大部分のグリセリン水溶液を、脱水反応器2の下流領域の脱水反応器2に供給する。液体触媒を用いる場合、液体触媒容器8を設け、同様に反応器2と、ラインを介して連結し、それにより、グリセリン及び/又はグリセリン水溶液及び液体触媒を、反応器2にフィードされる前に一緒に輸送するのが好ましい。これは例えば、当業者に公知の静的混合器又は他の混合装置(図示せず)を介して、反応物質容器7及び液触媒容器8の2つのラインを事前に連結させることによって実施できる。更に、脱水反応器は、金属フリットとして形成したガス泡発生器9をその下部領域に有し、それは泡の発生に適するガスと共にガス導管10から供給される。ガス導管10は、脱水反応器2のみならず気相酸化反応器3と連結させてもよい。脱水反応器2は、加熱装置11によって更に加熱してもよい。加熱装置11によって、供給されるガスに加えて、対応する圧力が脱水反応器2において生じ、それにより、一方では液体、他方ではガスの表面が、脱水反応器2に形成される。ガス泡発生器9が下流領域15にある液相によって覆われるべきことに留意する。圧力容器として設計される脱水反応器の上流領域に熱交換器12を連結し、そこにおいて、脱水反応器2の上流領域16から供給されるガスが圧力により縮小し、冷却される。熱交換器12において、分離容器13が連結され、熱交換器12から出たガス及び液体成分が分離される。液体を分離する分離容器13の領域に、蒸留カラム14を連結する。そこで、ヘッドを経たガス成分としてのアクロレイン及び高沸点物質(また、グリセリンが大部分を占める)が底部において分離される。高沸点物質及びグリセリンは、蒸留カラムの底部からパイプを通じて分離され、グリセリンは更に脱水反応器2へ供給され、「HS」と示される高沸点物質は更なる使用へ供給される。蒸留カラム14のオーバーヘッド部を出たガスのアクロレインは、気相酸化のために必要な空気及び水と共に、気相酸化反応器3に供給される。気相酸化において形成されるアクリル酸を含有する混合ガスをは更にクエンチ装置4に供給され、精製装置5において、アクリル酸が所望の純度となるように調製される。重合させる場合、これを重合装置6へ供給してもよい。
【0100】
脱水反応器2の上流領域16の断面B、円錐形に形成された狭小部17を設け、放出口18に連結させ、気相酸化反応器の方向に向ける。更に、固体触媒19を用いた操作のための、本発明に係る装置の実施態様を示す。これは、ペレット状で用いる場合、固体触媒レシーバ20により保持保持する。
【0101】
図4において、図2(気相酸化装置が続く)において、例示される脱水反応装置の更なる実施態様(以下の違いを有する)を示す。以下の違いを除いて、図2に関する詳細も同様に適応される。図2と異なって、反応物質とは別に、触媒熱交換器19(触媒ライン20行に設けられ、触媒が事前に加温される)を介して、液触媒容器8からの液体触媒を脱水反応器2に供給する。反応物質は同様に触媒とは別に、反応物質ライン22を用いた加温により、反応物質熱交換器21を介して脱水反応器2に供給される。これらの手段によって、反応物質と液体触媒との混合が最初に脱水反応器で行われる。
【0102】
図5には、脱水反応器2の長手方向断面図が示されている。ガス泡はガス泡発生器9によって発生する。ここで、ガス泡発生器9を設置する際は、ガス泡23が、ガス泡発生器9の上流に供給された、流動性のインサート24の方へできるだけ均一に流れるように留意すべきである。ガス泡発生器9によって発生するガス泡23は、インサート24(流動可能であり、ここではマルチチューブとして設計されている)によって移動し、減速領域25(ここではマルチチューブパイプのパイプ内側の粗面として描写されている)との接触によって減速する。更にパイプの横断面は、流動性インサートを通って移動するガス泡の平均サイズを決定し、それらはインサート24から出て、気相28へ供給される前に、フェーズ境界27の下の液相26中を流れる。
【0103】
脱水反応器は、流動性インサート24としてのマルチチューブの直立パイプを伴って、床29に配置される。
【0104】
図6a及び図6bは、流動性インサートの2つの異なる実施態様を示す。図6aにおいては、各々連結されたリング30を、流動性インサートとして設けている。図6bにおいては、各々織られたループ31を、流動性インサートとして設けている。
【0105】
図7a、b及びcは、パイプ脱水反応器を通って流動可能である、それぞれ異なるインサートを示す。図7aにおいては、星型に配置されたそらせ板を星型インサート32として設け、またそらせ板は反応器壁の一方から反対側まで伸びる。更に、減速領域25を、一例として、これらのそらせ板内部の粗表面として描写される。図7bは、十字インサート33として設けられた、そらせ板7aに相当する装置を示す。図7cは図7a及び7bと同等の構造を示す。その場合、そらせ板の代わりに、マルチチューブインサート34が設けられる。マルチチューブの個々のパイプは、空間37の断面中の、マルチチューブのパイプのうちの1本に関して、流動断面36として示す。図7bでは、流動断面の決定の一例を示す。横断面円38(点線により示す)を、反応器横断面で表されるインサートの領域に挿入し、円がわずかに少なくとも3点で触れる程度に配置する。インサートにより形成される流動断面36は、この円の半径の2倍のガス泡を流通させる。
【実施例】
【0106】
実施例1:液相脱水反応:
実施例1a:
図2の断面A(点線により構成される)を有する装置において、グリセリン水溶液(5%)(事前にリン酸でpH2.3に調整)を液相脱水反応に供給した。58bar及び9分の平均滞留時間、283℃で、溶液を反応器において加熱した。金属フリットを用いて、窒素を反応器中でバブリングさせた。反応器ボリュームに対する窒素ガスの添加量及び時間は、41Nmlであった。グリセリン転換は61%であり、アクロレインに対する選択性は85.6%であった。
【0107】
実施例1b:
図2の断面Aを有する装置において、グリセリン水溶液(5%)(事前にリン酸でpH2.3に調整)を液相脱水反応に供給した。61bar、9分の平均滞留時間、285℃で、溶液を反応器において加熱した。金属フリットを用いて、窒素を反応器中でバブリングさせた。反応器ボリュームに対する窒素ガスの添加量及び時間は、41Nmlであった。グリセリン転換は72.1%であり、アクロレインに対する選択性は74.8%であった。
【0108】
実施例1c:
実施例1bは、310時間以上にわたり、窒素供給なしで実施したが、今回は、460時間以上にわたる窒素供給下で実施した。脱水反応器を掃除すると、窒素なしにおける動作の場合には21gの固体状の重合残留物が得られたが、窒素ありにおける動作では、これらの残留物は8gであった。
【0109】
実施例1d:
図4の断面A(点線により構成される)を有する装置において、グリセリン(5%)及びリン酸の水溶液(それぞれ別の熱交換器(19、21)で、283℃の温度の熱油で加熱した)を、液相脱水反応に供給し、またその際、リン酸とグリセリンとの混合物がpH2.3となるように、リン酸の量を調整した。58bar及び9分の平均滞留時間、283℃で、溶液を反応器において加熱した。金属フリットを用いて、窒素を反応器中でバブリングさせた。反応器ボリュームに対する窒素ガスの添加量及び時間は、41Nmlであった。グリセリン転換は61%であり、アクロレインに対する選択性は85%であった。熱交換器は、400時間後においても完全に機能し、妨害物は存在しなかった。
【0110】
実施例1e:
実施例1dを繰り返したが、但し、リン酸及びグリセリン溶液を、混合物として、熱交換器を通し、そこで加熱した点で異なる。グリセリン転換は63.5%であり、アクロレインに対する選択性は61.3%であった。
【0111】
実施例2:気相酸化
アクロレイン合成の後に、実施例1a〜1eにおいて生じたアクロレインの気相酸化を市販の気相酸化反応器で行い、更にクエンチ装置内で水に吸収させた。気相酸化においては、1.5kg/時の事前加熱した空気中の、国際公開第03/051809A1号と同様の15重量%アクロレイン、82重量%水蒸気、及び残りの他の低沸点成分の組成を有する蒸気形態の180〜220℃の高温ガス相を、気相酸化反応器(1.8Lの市販のV−Mo−マルチ酸化物触媒で充填)に供給した。
【0112】
実施例1a及び1bにおいて得られたアクリル酸−水混合物を、0.5部のトルエンを有する、0℃に冷却したガラス製の分離漏斗で混合した。混合物を激しく撹拌し、60分間静置し、相分離させた。生じた2つの相を各々単離した。トルエン含有相を共沸蒸留に供し、得られたアクリル酸を、重合させる前に再度精製した。
【0113】
実施例3:重合
実施例3.0:表面に反応後架橋を有さないポリマー構造 粉Aの製造:
上記で生成し、蒸留して得たアクリル酸280gを含有するモノマー溶液(70mol%の水酸化ナトリウム、466.8gの水、1.4gのポリエチレングリコール−300−ジアクリレート及び1.68gのアリルオキシポリエチレングリコールアクリル酸エステルで中和済み)を、窒素パージして溶存酸素を除去し、4℃の開始温度となるまで冷却した。開始温度に達した後、反応開始溶液(10gのH2O中の0.1gの2,2’−アゾビス−2−アミジンプロパン−二塩化水素化物、10gのH2O中の0.3gのナトリウム過酸化二硫酸塩、1gのH2O中の0.07gの30%の過酸化水素溶液、及び2gのH2O中の0.015gのアスコルビン酸)を添加した。約100℃の最終温度に達したあと、形成されるゲルを粉砕し、150℃で90分間乾燥させた。乾燥ポリマーは、150〜850μmの粒径を有する粉末となるまで粗く切断し、機械加工し、篩にかけた。ERT 441.2−02に従って測定した結果、粉Aは28.8g/gの吸収倍率を示した。
【0114】
実施例3.1:シリカゾルの存在下で、表層を架橋処理されたポリマー構造の調製:
粉A50gを、Krups−Kitchen−Mixerを用いて、0.5gの炭酸エチレン溶液、0.42gのシリカゾル(バイエル社製の生成物Levasil(登録商標)200(30重量%の固体含量))、及び1.08gの水と十分に混合し、更に180℃にセットされたオーブン中で30分間加熱した。このように得られた粉の特性を、以下の表に示す。
【0115】
実施例3.2:シリカゾルの存在下で、表層を架橋処理されたポリマー構造の調製:
粉A50gを、Krups−Kitchen−Mixerを用いて、0.5gの炭酸エチレン溶液、0.84gのシリカゾル(バイエル社製の生成物Levasil(登録商標)200(30重量%の固体含量))、及び0.66gの水と十分に混合し、更に180℃にセットされたオーブン中で30分間加熱した。このように得られた粉の特性を、以下の表に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
実施例3.3:生分解性ポリマーの製造:
実施例3.1において、得られたポリマーを、水溶性小麦デンプン(Roquette社、Lestrem、フランスから市販されているForalys(登録商標)380)と共に、ポリマー:澱粉の重量比=4:1で、乾燥条件下で混合し、Frobel社(ドイツ)製のロールミキサー タイプBTR10で45分間更にホモジナイズした。
【0118】
実施例4:流動性インサートを用いた液相脱水反応:
実施例4a:
図2の断面A(破線の領域)で示す、脱水反応器としての流動パイプとして設計された装置中に、グリセリン水溶液(5%)とリン酸水溶液(50%)(各溶液を事前に56bar、250℃で熱交換器により加熱)を供給した。脱水反応器において、全反応混合物中ののグリセリン濃度が7重量%となるように、材料流を調整した。反応混合物のリン酸濃度を、pH2となるように調整した。加熱した油を用いて、反応器の外壁から反応器内側に向けて、280℃の温度に加熱し、この温度に維持した。反応混合物を反応器から出した後、室温に冷却し、更に圧力を常圧に低下させ、サンプルのガスクロマトグラフィによる分析を可能とした。反応器に、毎時6Lで反応混合物を添加した(反応容積:2L)。
【0119】
実施例4b:
インサート添加なしで、実施例4aの反応器を用いて操作した。8%の転換率で、またアクロレインに対する選択性は79%であった。
【0120】
実施例4c:
実施例4aの反応器において、プレートを流動パイプに導入し、それにより、流動パイプにより形成されるフローチャネルを4つの部分(図7bと比較)に分割した。転換効率を24%に向上でき、またアクロレインに対する選択性は79%であった。
【0121】
実施例4d:
実施例4の反応器の流動パイプに、16本のパイプを有するパイプ束(マルチチューブ)を設けた。このように形成された反応器の回転率は60%であり、またアクロレインに対する選択性は79%であった。
【0122】
試験方法:SFC値の測定:
膨潤状態における透過性(生理食塩水流動導電率(Fluid Conductivity)=SFC)の測定は、国際公開第95/22356号に記載の方法に従い実施した。0.9gの超吸収体材料(粒子状、全ての粒子フラクション)を、篩床を有するシリンダ内で秤量し、篩面上に慎重に分配した。超吸収体材料を、0.7psiの圧力で、JAYCO合成尿を用いて1時間膨張させた。超吸収体の膨張高さを測定した後、一定の静水圧で、目盛をつけた貯蔵部から0.118MのNaCl溶液を、膨潤したゲルシート中を流動させた。測定値の間、膨潤したゲルシートを特別な篩シリンダで覆い、それにより、ゲル層の特性に関する測定値の間、ゲルに対する0.118MのNaCl溶液の均一な供給、及び一定の条件(測定温度20〜25℃)を維持した。膨潤した超吸収体に作用する圧力は0.7psiであった。コンピュータ及びバランスを使用して、ゲルシートを通過する液体の量を、時間の関数として、10分間、20秒の間隔において測定した。膨潤したゲルシート中の流速(g/s)は、勾配及び2〜10分以内の流量の、時点t=0における中心点の推定に基づく回帰分析により算出した。SFC値(K)をcm3・s・g-1で、以下の通りに算出した。
【数1】

式中:FS(t=0)はg/sの流速であり、
0はゲルシートの厚(cm)であり、
RはNaCl溶液(1.003g/cm3)の密度であり、
Aは測定シリンダのゲル層の上側の表面積(28.27cm2)であり、
ΔPはゲルシートに作用する静水圧(4920ダイン/cm2)であり、
並びにKはSFC値[cm3s g-1]である。
【0123】
吸収倍率の測定:
CRCとして表される吸収倍率はERT441.2−02により測定され、“ERT”は“EDANA推奨試験(EDANA recommemded Test)”のことを指し、“EDANA”とは欧州不織布協会のことを指す。
【0124】
圧力に対する吸収力の測定:
AAPと表される0.7psiの圧力に対する吸収は、ERT442.2−02に従って測定する。
【0125】
生分解性の測定:
生分解性の測定は、ガイドライン67/548/EECの附則Vによる、Sturm試験に従い実施する。
【符号の説明】
【0126】
1:ケン化装置
2:脱水反応器
3:気相式反応器
4:クエンチ装置
5:精製装置
6:重合
7:反応物質容器
8:液触媒容器
9:ガス泡発生器
10:ガス導管
11:加熱装置
12:熱交換器
13:分離容器
14:蒸留カラム
15:下部領域
16:上方領域
17:狭小部
18:放出口
19:触媒熱交換器
20:触媒導管
21:反応物質熱交換器
22:反応物質ライン
23:ガス泡
24:流動性インサート
25:減速領域
26:液相
27:相境界
28:気相
29:床
30:リング
31:ループ
32:星型インサート
33:十字インサート
34:マルチチューブインサート
35:反応器壁
36:流動断面
37:流動枠の断面
38:横断円

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸の調製方法であって、少なくとも、
a.グリセリンを脱水反応に供し、アクロレイン含有脱水反応生成物を得るステップと、
b.前記脱水反応生成物を気相酸化し、アクリル酸含有モノマーガスを得るステップと、
c.前記モノマーガスをクエンチ剤と接触させ、アクリル酸含有クエンチ相を得るステップと、
d.前記クエンチ相を精製し、アクリル酸含有モノマー相を得るステップと、
を有してなり、前記脱水反応の間、液相a1及び気相a2が存在し、前記液相a1において複数のガス泡が発生する、前記調製方法。
【請求項2】
アクリル酸の重合によるポリマーの調製方法であって、少なくとも、
A.グリセリンを脱水反応に供し、アクロレイン含有脱水反応生成物を得るステップと、
B.前記脱水反応生成物を気相酸化し、アクリル酸含有モノマーガスを得るステップと、C.前記モノマーガスをクエンチ剤と接触させ、アクリル酸含有クエンチ相を得るステップと、
D.前記クエンチ相を精製し、アクリル酸含有モノマー相を得るステップと、
E.モノマー相を重合させるステップと、
を有してなり、前記脱水反応の間、液相a1及び気相a2が存在し、前記液相a1において複数のガス泡が発生する、前記調製方法。
【請求項3】
前記ポリマーが水吸収性ポリマー構造である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記水吸収性ポリマー構造が、以下のステップを有する方法によって得られる、請求項3記載の方法:
i)架橋剤の存在下でアクリル酸を重合させ、ポリマーゲルを形成するステップと、
ii)任意にポリマーゲルを粉砕するステップと、
iii)任意に粉砕された前記ポリマーゲルを乾燥させ、水吸収性ポリマー構造を得るステップと、
iv)前記水吸収性ポリマー構造を任意に表層後処理するステップ。
【請求項5】
前記モノマーに対して、塩としてのアクリル酸が少なくとも20mol%で存在する、請求項2から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記液相a1中の複数のガス泡の少なくとも一部が輸送される、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記液相a1中の複数のガス泡の少なくとも一部が分割される、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記グリセリンが脂肪のケン化によって得られる、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記脱水反応が、グリセリン濃度が減少する経路に沿って生じる、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記経路に沿って圧力変化が生じる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記経路に沿って異なる流速となる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記グリセリンが天然原料からの液体燃料の調製において生じる、請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記脱水反応が少なくとも部分的に液相で生じる、請求項1から12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記脱水反応が100〜400℃の範囲の温度で生じる、請求項1から13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記脱水反応が2〜200barの範囲の圧力で生じる、請求項1から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記脱水反応が1〜30分の範囲の平均的な反応器中の滞留時間において生じる、請求項1から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記脱水反応に起因するアクロレインが、複数のガス泡により前記液相a1から前記気相a2に輸送される、請求項1から16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記液相a1中の複数のガス泡が、添加ガスの導入によって生じる、請求項1から17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記グリセリンが水性相において用いられる、請求項1から18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
脱水反応触媒が用いられる、請求項1から19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記脱水反応触媒が+2〜−10の範囲のH値を有する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記気相酸化が、遷移金属の担体若しくはその化学的に結合した形、又はそれらの両方をを含有する酸化触媒の存在下で生じる、請求項1から21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
水性相中の前記脱水反応生成物が、気相酸化へ供給される、請求項1から22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記気相酸化が200〜400℃の温度範囲で生じる、請求項1から23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記モノマーガスが、モノマーガスに対して5〜50重量%の範囲のアクリル酸を含有する請求項1から24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記クエンチ剤が、水若しくは50〜250℃の沸点を有する有機化合物を、又は水及び前記有機化合物を含有する、請求項1から25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記クエンチ相が、モノマー相に対して30〜90重量%の範囲のアクリル酸を含有する請求項1から26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記精製が、アクリル酸の沸点以下の温度で行われる、請求項1から27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記精製が、抽出若しくは結晶化、又はそれらの両方により行われる、請求項1から28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記モノマー相が、モノマー相に対して25〜90重量%の範囲のモノマーを含有する、請求項1から29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
複数のガス泡を生成させるガスの量が変化する、請求項1から30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記グリセリンが脱水反応の前に加温される、請求項1から31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記グリセリンが150〜350℃まで範囲の温度に加温される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
液体脱水反応触媒が用いられる、請求項32又は33記載の方法。
【請求項35】
前記液体脱水反応触媒が、脱水反応の前に加温される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記液体脱水反応触媒が、150〜350℃の範囲の温度に加温される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記液体脱水反応触媒が、グリセリンとは別に加温される、請求項34から36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
アクリル酸の調製装置であって、
1a.脱水反応器(2)と、
2a.気相酸化反応器(3)と、
3a.クエンチ装置(4)と、
4a.精製装置(5)と、
を、各々流体連結された状態で有してなり、前記脱水反応器(2)がガス泡発生器(9)を有してなる、前記調製装置。
【請求項39】
ポリマーの調製装置であって、
1b.脱水反応器(2)と、
2b.気相酸化反応器(3)と、
3b.クエンチ装置(4)と、
4b.精製装置(5)と、
5b.重合装置(6)と、
を、各々流体連結された状態で有してなり、前記脱水反応器(2)がガス泡発生器(9)を有してなる、前記調製装置。
【請求項40】
前記脱水反応器(2)中の少なくとも部分的な領域中で、少なくとも1つの流動可能なインサート(24)が提供される、請求項38又は39記載の装置。
【請求項41】
前記流動可能なインサート(24)が、少なくとも部分的な領域において、星型、十字型、プレート型、ボール型、ループ型、リング型又はパイプ型、又はこれらの少なくとも2つの形状において形成されている、請求項40記載の装置。
【請求項42】
前記脱水反応器(2)が下流領域(15)にガス泡発生器を有する、請求項38又は41記載の装置。
【請求項43】
脱水反応器(2)が、放出口(18)に向けて狭小化している上方領域(16)を有する、請求項38から42のいずれか1項記載の装置。
【請求項44】
少なくとも1つの熱交換器(19、21)が、脱水反応器(2)の前に配置されている、請求項38から43のいずれか1項記載の装置。
【請求項45】
請求項38、又は請求項40から44のいずれか1項記載の装置を用いて実施される、請求項1、又は請求項5から37のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
請求項39から44のいずれか1項記載の装置を用いて実施される、請求項2から37のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
請求項2から38のいずれか1項、又は請求項46のいずれか1項記載の方法により得られる水吸収性ポリマー構造。
【請求項48】
少なくとも25重量%の、任意に部分的に中和されたアクリル酸をベースとして形成された水吸収性ポリマー構造であって、前記水吸収性ポリマー構造が、少なくとも80%の持続性係数を有する、水吸収性ポリマー構造。
【請求項49】
以下の特性のうちの少なくとも1つを有する、請求項48記載の水吸収性ポリマー構造:
(A):30×10−7cms/g以上の、食塩水流れ誘導性(Saline Flow Conductivity(SFC))であること、
(B):ERT 442.2−02に従って測定したとき、15g/g以上の0.7psiの圧力に対する吸収力(AAP0.7)であること、及び
(C):ERT 441.2−02に従って測定したとき、20g/g以上の吸収倍率(CRC)であること。
【請求項50】
ポリマー構造が、水吸収性ポリマー構造の合計量に対して、少なくとも20重量%の量の、天然の生物分解可能なポリマーを含有する、請求項48又は49記載の水吸収性ポリマー構造。
【請求項51】
複数の無機微粒子を含有する、請求項47から50のいずれか1項記載の水吸収性ポリマー構造。
【請求項52】
前記無機微粒子が酸素を含有する、請求項51記載の水吸収性ポリマー構造。
【請求項53】
前記無機微粒子が金属を含有する、請求項51又は52記載の水吸収性ポリマー構造。
【請求項54】
水吸収性ポリマー構造が架橋された外側領域を有してなる、請求項48から53のいずれか1項記載の水吸収性ポリマー構造。
【請求項55】
細粒化された前記無機粒子が、前記外側領域の上若しくは内部、又は前記外部領域の上及び内部に存在する、請求項54記載の水吸収性ポリマー構造。
【請求項56】
請求項48から55のいずれか1項記載の水吸収性ポリマー構造と、基質と、を含有するコンポジット。
【請求項57】
請求項48から55のいずれか1項記載の水吸収性ポリマー構造と、基質とを、各々接触させることを特徴とする、請求項56記載のコンポジットの調製方法。
【請求項58】
上部シート、下部シート、並びに、請求項48から55のいずれか1項記載の水吸収性ポリマー構造を含有する、上部シートと下部シートとの間の中間シートからなる衛生用品。
【請求項59】
請求項1、又は請求項6から37、又は請求項45のいずれか1項記載の方法によって得られるアクリル酸、又はその誘導体若しくは塩を原料とする、繊維、シート、鋳造品、織物及び革の添加物、凝集剤、コーティング又はニス。
【請求項60】
請求項1、又は請求項6から37、又は請求項45のいずれか1項記載の方法によって得られるアクリル酸、又はその誘導体若しくは塩の、繊維、シート、鋳造品、織物及び革の添加物、凝集剤、コーティング又はニスへの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−501527(P2010−501527A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525071(P2009−525071)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058745
【国際公開番号】WO2008/023040
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(508004236)エボニック・シュトックハウゼン・ゲーエムベーハー (8)
【Fターム(参考)】