説明

アザビシクロアルキルエーテルおよびそのα7−NACHRアゴニストとしての使用

【課題】新規な1−アザビシクロアルキル誘導体の提供。
【解決手段】式I;


[式中、XはCHまたは一重結合であり;Yは式:


で示される基であり;そしてRは置換もしくは非置換のC5〜C10アリールまたは置換もしくは非置換のヘテロ−C5〜C10アリール、N(R1)(R4)、またはN(R2)(CHR3R4)であり;ここにR1、R2およびR3は何れも独立してH、C1〜C4アルキルまたはCF3であり;そしてR4は置換もしくは非置換のC5〜C10アリールまたは置換もしくは非置換のヘテロ−C5〜C10アリールである]で示され、α7−ニコチン酸アセチルコリン受容体(nAChR)アゴニストである1−アザビシクロアルキル誘導体;その製造法;医薬としての使用;およびそれを含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な1−アザビシクロアルキル誘導体、その製法、その医薬としての使用およびそれを含む医薬組成物に関する。
【発明の概要】
【0002】
さらに具体的には本発明は第一の側面では式I:
【化1】

[式中、
XはCHまたは結合であり;
Yは式:
【化2】

で示される基であり;
Rは置換もしくは非置換のC〜C10アリールまたは置換もしくは非置換のヘテロ−C〜C10アリール、N(R)(R)またはN(R)(CHR)であり;ここにR、RおよびRの各々は独立にH、C〜CアルキルまたはCFであり;
は置換もしくは非置換のC〜C10アリールまたは置換もしくは非置換のヘテロ−C〜C10アリールである]
で示される化合物を遊離塩基または酸付加塩の形で提供する。
【0003】
本明細書で使用するC〜C10アリールおよびヘテロ−C〜C10アリールは、特に部分的にまたは完全に不飽和な残基、たとえば芳香族残基を意味し、要すればF、Cl、Br、Iなどのハロゲン;CN;メチル、エチルまたはプロピルのようなC〜Cアルキル、ビニルのようなC〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルから選択された置換基1個またはそれ以上、好ましくは3個までで置換されていてもよく、この置換基自体も非置換であるかまたはたとえばジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどのハロゲン;非置換またはたとえばトリフルオロメトキシなどハロゲンで置換されることができるC〜Cアルコキシ;ホルミル、アセチル;C〜Cアルコキシカルボニル;N,N−ジ(C〜Cアルキル)カルバモイル;フェニル、フェノキシで置換されていてもよく;またこの置換基は縮合してたとえばベンゾ[1,3]ジオキソールまたは2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシンおよび/または別のヘテロ環とすることもできる。ヘテロ−C〜C10アリールはN、O、Sから選択したヘテロ原子1個、2個または3個を有する芳香族ヘテロ環系、たとえば5または7員の芳香族ヘテロ環残基などであって、要すれば1個または2個のフェニル環におよび/または別のヘテロ環に縮合していてもよい。前記C〜C10アリールまたはヘテロ−C〜C10アリール残基の例はフェニル、ナフチル、テトラリニルのようなテトラヒドロナフチル、インダニル、チエニル、ベンゾチエニル、フラニル、ベンゾフラニルおよびイソベンゾフラニルを含む。
【0004】
好ましくは、本明細書で使用するC〜C10アリールおよびヘテロ−C〜C10アリールは部分的にまたは完全に不飽和な残基、たとえば芳香族残基を意味し、要すれば置換基1個またはそれ以上、好ましくは3個までの置換基で置換されていてもよいが、これはたとえばF、Cl、Br、Iなどのハロゲン;CN;メチル、エチルまたはプロピルのようなC〜Cアルキルから選択され、この残基自体は非置換であるかまたはたとえばジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどハロゲンで置換されていてもよく;C〜Cアルコキシであって、この残基自体は非置換であるかまたはたとえばトリフルオロメトキシなどハロゲンで置換されていてもよく;または各置換基は縮合してたとえばベンゾ[1,3]ジオキソールまたは2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシンおよび/または別なヘテロ環としてもよい。ヘテロ−C〜C10アリールはN、O、Sから選択したヘテロ原子1個、2個または3個を含む芳香族ヘテロ環システムであって、たとえば5または7員芳香族ヘテロ環残基などであり、要すればフェニル環1個または2個におよび/または別なヘテロ環などに縮合していてもよい。前記C〜C10アリールまたはヘテロ−C〜C10アリール残基の例はフェニル、ナフチル、インダニル、テトラリニル、チエニル、ベンゾチエニル、フラニル、ベンゾフラニルおよびイソベンゾフラニルを含む。
【0005】
酸付加塩は特に式Iで示される化合物の医薬的に許容される塩である。分離または精製の目的のためにはたとえばピクリン酸塩または過塩素酸塩などの医薬的に許容されない塩の使用も可能である。治療用には医薬的に許容される塩又遊離化合物のみが使用され(可能なら医薬製剤の形で)、それ故これらも好適である。
【0006】
式Iで示される化合物およびその塩に存在する不斉炭素原子のために、この化合物は光学的に活性な形でまたはラセミ混合物などの光学異性体混合物の形で存在することもある。光学異性体およびラセミ混合物を含む光学異性体の混合物は本発明の一部をなす。
【0007】
式Iにおいて適用可能ならば次の定義が全体としてまたは組合せまたは下位の組合せのいずれかにおいて独立に好適である:
(a)XがCHであり;
(b)Yが式:
【化3】

で示される;
(c)Yが式:
【化4】

で示される;
(d)Rが1−イソベンゾフラニルまたは非置換または、たとえば2、3または4位に塩素またはフッ素、2または3位にCF、2位にメトキシ;3位にトリフルオロメトキシ;ベンゾ[1.3]−ジオキソール;2,3−ジヒドロベンゾ[1.4]ジオキシン;シアノ;でモノ置換され;またはたとえば2位および5位、3位および5位にフッ素;または2位に塩素および6位にフッ素でジ置換された置換フェニルである。
【0008】
好適なものは式Iで示されるアザビシクロアルキル誘導体の遊離塩基または酸付加塩形であって、式中、
XはCHまたは一重結合であり;
Yは式:
【化5】

で示される基であり;そして
Rはフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、チエニル、ベンゾチエニル、フラニル、ベンゾフラニルおよびイソベンゾフラニルであるが、いずれの場合も非置換であるか、次の各基でモノ−、ジ−もしくはトリ置換されていることができる:
ハロゲン、シアノ、ホルミル、アセチル、C〜Cアルコキシカルボニル、N,N−ジ(C〜Cアルキル)カルバモイル、フェニル、フェノキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ;または
〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜CアルキニルまたはC〜Cアルコキシ、但し、この残基自体も非置換であるかまたはハロゲンでモノ−、ジ−もしくはトリ置換されていることができる。
【0009】
さらに好適なものは式Iで示されるアザビシクロアルキル誘導体であって、式中、
XはCHまたは一重結合であり;
Yは式:
【化6】

で示される基であり;そして
Rが
(a)非置換のフェニルであるかまたは
ハロゲン、シアノ、メチレンジオキシ、
非置換であるかまたはハロゲンでモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたC〜Cアルキル、または
非置換であるかまたはハロゲンでモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたC〜Cアルコキシ、
でモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたフェニルであるか;
(b)ナフチル、インダニル、テトラリニルであるか;または
(c)フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニルまたはチエニルであり;
化合物の遊離塩基または酸付加塩形である。
【0010】
なおさらに好適なものは式Iで示されるアザビシクロアルキル誘導体であって、式中、
XがCHまたは一重結合であり;
Yが式:
【化7】

で示される基であり;そして
Rが
(a)非置換フェニルまたはハロゲン、シアノ、メチレンジオキシ、
非置換またはハロゲンでモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたC〜Cアルキル、または
非置換またはハロゲンでモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたC〜Cアルコキシ、
でモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたフェニルであるか;
(b)ナフチルであるか;または
(c)フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニルまたはチエニルであり;
化合物の遊離塩基または酸付加塩形である。
【0011】
前記に加えて本発明は式Iで示される化合物の製法も提供するが、この製法は式II:
【化8】

[式中、YおよびRは前記定義の通りであり、zはたとえばF、Cl、Br、IまたはOSOCFなどの脱離基である]
で示される化合物と式III:
【化9】

[式中、Xは式Iで示される化合物について前に定義した通りである]
で示される化合物とを反応させる工程、および得られる遊離塩基または酸付加塩形にある式Iで示される化合物を回収する工程を含む。
【0012】
この反応は、たとえば実施例記載のような標準的な操作にしたがって実施できる。
【0013】
式IIで示される化合物は公知であるかまたは対応する公知化合物からたとえば実施例のようにして、たとえばCoates WJ, McKillop A (1992) Synthesis 334-342の記載に類似の方法で製造できる。式IIIで示される化合物は公知である。
【0014】
これとは別に、式I’:
【化10】

[式中、
XおよびRは前記と同意義であり、および
Y’は
【化11】

で示される基である]
で示される化合物は
式IV:
【化12】

[式中、Y’、zおよびXは前記と同意義]
で示される化合物と式V:
【化13】

[式中、Rは式Iで示される化合物での定義と同意義]
で示される化合物とを反応させ、生成する式I’で示される化合物の遊離塩基または酸付加塩形を回収する工程を含む製法によって製造できる。
【0015】
式IVで示される化合物は公知であるか、または対応する公知化合物から、たとえば実施例17に記載のように、式IIIで示される化合物と式II’:
【化14】

[式中、
Y’は
【化15】

であり、zは前記と同意義である]
で示される化合物とを反応させて製造できる。
式Vで示される化合物(たとえば非置換のまたは置換されたフェニルボロン酸)は公知であるかまたは対応する公知化合物から製造できる。たとえば、式VI:
【化16】

[式中、Rは式Iで示される化合物について提供された意義を有する]
で示される化合物とボロン酸トリアルキルとをベンゼン、トルエン、テトラヒドロフランまたはその混液のような不活性溶媒中、ブチルリチウムを添加して、約−78℃〜−25℃、たとえば約−40℃の温度で、約1〜6時間にわたって反応させて式Vで示される化合物を得る。
【0016】
前記製法で得られる反応混合物の後処理および得られた化合物の精製は公知操作で実施できる。
【0017】
酸付加塩は遊離塩基から公知方法にしたがって製造でき、逆方向も同様である。本発明による使用のための酸付加塩は、たとえば塩酸塩およびギ酸塩を含む。
【0018】
光学的に純粋な式Iで示される化合物は対応するラセミ体から、たとえばキラルなマトリックスを持つHPLCなどよく知られている操作法にしたがって製造できる。これとは別に光学的に純粋な出発物質も使用できる。
【0019】
立体異性体混合物、たとえばジアステレオマー混合物は、それ自体公知の適当な分離法によって対応する各異性体に分離できる。ジアステレオマー混合物はたとえば分別結晶化、クロマトグラフィー、溶媒分配および同様な操作によって個々のジアステレオマーに分離できる。この分離は出発原料の段階でまたは式Iで示される化合物自体の段階のいずれでも実施できる。エナンチオマーはたとえばエナンチオマー的に純粋なキラル酸との塩形成による、またはキラルリガンドを持つクロマト材料を用いるHPLCのようなクロマトグラフィーによる、ジアステレオマー塩の形成によっても分離できる。
【0020】
所望により実施される追加工程において、出発化合物の反応に関与すべきでない官能基は非保護型でまたは下記の保護基1個またはそれ以上で保護することもできる。その後、保護基をそこに記載する方法の一つにしたがって完全にまたは部分的に除去する。
【0021】
保護基は前駆体の段階で存在していてもよく、該当する官能基を望ましくない副反応から保護する。保護基がたとえば典型的には加溶媒分解、還元、光分解またはたとえば生理学的条件に類似の条件下での酵素活性により望ましくない副反応なしに容易に除去できることおよびそれが最終産物に存在しないことが保護基の特性である。専門家はどの保護基が本明細書に指摘する反応に適するかを知っているか、容易に確定できる。
【0022】
保護基によるそのような官能基の保護、保護基自体およびその除去反応はたとえば次のような標準的な著作に記載されている:J F W McOmie, Protective Groups in Organic Chemistry" Plenum Press, London and New York 1973; T. W. Greene, "Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York 1981; "The Peptides", Volume 3 (editors: E. Gross & J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981; "Methoden der organischen Chemie" (有機化学方法論), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/1, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974; H.-D. Jakubke, & H. Jescheit, "Aminosauren, Peptide, Proteine" (アミノ酸、ペプチド、蛋白質), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach & Basel 1982; Jochen Lehmann,"Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate" (炭水化物化学:単糖類および誘導体), Georg Thieme Verlag Stuttgart 1974。
【0023】
本明細書に記載する工程は全て、好ましくは特定的に記載した公知の反応条件下に、好ましくは使用する試薬に不活性で溶解能があるような溶媒または希釈剤の不在または通常は存在下に、触媒、縮合剤または、たとえばイオン交換剤、典型的にはH型でのカチオン交換剤など中和剤の不在または存在下に、反応および/または反応剤の型に依存して、低温、常温または高温、たとえば−100℃〜約190℃の範囲、好ましくは約−80℃〜150℃、たとえば−80〜−60℃、室温、−20〜40℃または使用する溶媒の沸点で、大気圧下または封管中、適当ならば圧力下におよび/または、たとえばアルゴンまたは窒素などの不活性雰囲気中で実施できる。
【0024】
本発明の化合物およびその医薬的に許容される酸付加塩は、本明細書では本発明の薬剤と総称するが、試験管内および動物体内で試験すると有益な薬理学的性質を示し、それ故、医薬として有用である。
【0025】
殊に、本発明の薬剤はα7−ニコチン酸アセチルコリン受容体(nAChR)のアゴニストである。
【0026】
機能検定では本発明の薬剤は次の各検定でα7−nAChRに高度な親和性を示す:
【0027】
a)α7−nAChRでの親和性についての機能検定は安定にα7−nAChRを発現するラット脳下垂体細胞系列を用いて実施する。読み出しには受容体刺激に際してのカルシウム流入を使用する。この検定で、本発明薬剤は約5〜約8のpEC50値を示す。
【0028】
b)本発明薬剤のヒトニューロンのnAChR・α4β2に対する活性を評価するために、ヒトのα4β2サブタイプを安定に発現するヒト上皮細胞系列を使用して同様な機能検定を行う。この検定では、本発明薬剤はこのα7−nAChRサブタイプに選択性を示す。
【0029】
c)本発明化合物のニコチン酸受容体の"ガングリオン・サブタイプ"および筋肉タイプに対する活性を評価するために、a)に記載のものと同様な機能検定をヒトのガングリオン・サブタイプを安定に発現するヒト上皮細胞系列またはニコチン酸受容体のヒト筋肉タイプを内因性に発現する細胞系列を用いて行う。この検定では、本発明の薬剤はガングリオン型および筋肉型のニコチン酸受容体サブタイプに対する活性を全くまたは殆ど示さない。
【0030】
文献に記載された知覚ゲート(sensory gating)欠陥を示すマウスモデル[DBN/2−マウス: S. Leonard et al. in Schizophrenia Bulletin 22, 431-445 (1996) ]では、本発明薬剤は約10〜約40μM濃度で有意な知覚通門を誘発する。
【0031】
本発明の薬剤はそれ故、たとえば統合不能症、躁病、鬱病および不安症のような精神疾患の予防および処置のためにおよびたとえば老人性痴呆症、アルツハイマー病のような神経変性疾患およびたとえば注意欠陥活動過剰疾患(ADHD);パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側策硬化症、多発性硬化症、癲癇、痙攣、トウーレット症候群、OCD(脅迫性障害)、神経障害的、術後および炎症性疼痛、幻影肢痛、認知、喫煙停止、記憶障害および記憶機能障害、学習障害、恐慌症、睡眠発作病、痛覚、AIDS痴呆症、老人性痴呆症、自閉症、晩発性運動異常、社会恐怖症、仮性痴呆その他の知能障害疾患の予防および処置のために有用である。神経変性疾患におけるα7−nAChRアゴニストの有用性は文献たとえばWang et al. J. Biol. Chem. 275, 5626-5632 (2000)に記載されている。
【0032】
前記適応症のための本発明薬剤の適当な用量は勿論たとえば対象、投与形態および処置すべき病状の性質および重症度ならびに採用する特定的本発明薬剤の相対的力価などに依存して変動する。たとえば、必要な活性薬剤の量は公知の試験管内および生体内技術に基づいて特定活性薬剤の血中濃度が治療効果を得るために許容される濃度がどの位の期間維持されるか決定してもよい。一般に、動物における満足な結果は日用量約0.01〜約20.0mg/kgの経口投与で得られることが示されている。ヒトでは、処方される日用量は経口投与で約0.7〜約1400mg/日の範囲内、たとえば約50〜200mg(70Kgのヒト)であって、これを適当に毎日1回または毎日4回までの分割投与でまたは維持放出剤型で投与する。したがって経口投与剤型は本発明薬剤約1.75または2.0〜約700または1400mgを適当な医薬的に許容される希釈剤または担体と適宜混合して含む。
【0033】
本発明の薬剤を含む組成物の例は、たとえば式Iで示される化合物の塩酸塩0.1〜1%の範囲、たとえば0.5%を含む固体分散剤、たとえば溶解剤を含む水溶液、ミクロエマルジョンおよび懸濁液などを包含する。この組成物は適当な緩衝剤でたとえばpH3.5〜9.5の範囲、たとえばpH4.5に緩衝できる。
【0034】
本発明の薬剤は研究用薬品としても有用である。
【0035】
本発明による使用のためには、本発明の薬剤を単一活性成分として、または本明細書に指摘する疾患の処置に通常採用される別な薬剤との併用で、いずれかの通常の様式、たとえば、錠剤またはカプセル剤の形で経口的に、またはたとえば注射用液剤または懸濁液の形で非経口的に、投与してもよい。
【0036】
併用成分の別々な投与のためおよび固定複合剤の投与のため(すなわち、併用成分少なくとも2種を含む単一製剤組成物)の本発明の医薬組成物はそれ自体公知の様式で製造でき、ヒトを含む哺乳類への経口投与または直腸投与のような経腸投与用および非経腸投与に適するものであって、治療的有効量の薬理学的に活性な併用成分少なくとも1種の単独でまたは医薬的に許容され、特に経腸投与または非経腸投与に適する担体1種またはそれ以上とを配合して含む。
【0037】
医薬組成物はたとえば約0.1%〜約99.9%、好ましくは約20%〜約60%の活性成分を含む。経腸投与または非経腸投与のための併用療法のための医薬製剤は、たとえば糖衣錠、錠剤、カプセル剤または坐剤およびさらにアンプル剤のような用量単位製剤である。別段の記載がない限り、これらはたとえば通常の混合、顆粒化、糖衣、溶解または凍結乾燥工程によるなどそれ自体公知の方法で製造される。各用量剤型中の個々の用量に含まれる併用成分の単位用量は必要な有効量が用量単位複数の投与によって達成できるのでそれ自体で有効量を構成する必要はないことは理解されよう。
【0038】
特に、各併用相手の治療的有効量は同時にまたは順次におよび如何なる順序で投与してもよく、各成分は別々にまたは固定された組合せで投与してもよい。たとえば本発明による増殖性疾患の進行遅延または処置法は次を含む:すなわち、(i)遊離または医薬的に許容される塩型における併用成分(a)の投与および(ii)同時的またはどの順序でもよいが、併用的治療上の有効量、好ましくは相乗的有効量の逐次的投与、たとえば本明細書に記載する量に対応する日用量投与における遊離または医薬的に許容される塩型における併用成分(b)の投与。個々の併用成分は治療中の異なる時点に別々に投与でき、また分割したまたは単一な組合せ型で同時に投与できる。さらに、投与という用語には生体内で併用成分自体に変換される併用成分のプロドラッグの使用も含む。本発明はそれ故同時的または交互の処置計画は全てを含むと理解すべきであっておよび用語「投与」はそのように理解すべきである。
【0039】
各併用成分の有効量は使用する特定化合物または医薬組成物、投与形態、処置すべき病状、処置すべき病状の重症度などに依存して変化する。そこで投与計画は投与経路および患者の腎および肝機能を含む様々な因子にしたがって選択される。通常の熟練度を持つ医師、臨床医または獣医師は病状の進行を予防し、逆転させまたは停止させるために必要な単一活性成分の有効量を容易に決定し、処方することができる。毒性なく効果を得る範囲内の活性成分の濃度を達成する最適な的確さは、標的部位への活性成分利用能の動態学に基づくレジメンを必要とする。
【0040】
前記にしたがって、本発明はまた次項も提供する:
【0041】
(1)たとえば本明細書に記載した特定の適応のいずれかに使用するα−7受容体アゴニストとしての使用するための本発明の薬剤。
【0042】
(2)本発明の薬剤を活性成分として医薬的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
【0043】
(2’)α7−受容体の活性化が関与するかまたは関連する疾患または病状を処置または予防するための本発明の薬剤および担体を含む医薬組成物。
【0044】
(3)必要とする対象に本発明薬剤の有効量を投与することを含む本明細書に記載の特定的な適応の何れかを処置する方法。
【0045】
(3’)本発明の薬剤の治療的有効量を必要とする哺乳類に投与することを含む、α7−受容体活性化が関与するかまたは関連する疾患または病状を処置または予防する方法。
【0046】
(4)α7−受容体活性化が関与するかまたは関連する疾患または病状を処置または予防する薬剤を製造するための、本発明の薬剤の使用。
【0047】
(5)α7−アゴニスト、たとえば本発明の薬剤とたとえば本明細書に記載した特定適応のいずれかに使用するための第二薬剤物質との治療的有効量の、たとえば同時的または順次的併用を含む前記方法である。
【0048】
(6)α7−アゴニスト、たとえば本発明の薬剤とたとえば本明細書に記載の特定的適応のいずれかのため第二の薬剤物質との治療的有効量を含む複合剤。
【0049】
以下の実施例で本発明を例証する。
【0050】
実施例で使用する略号は次の通り:
AcOEt=酢酸エチル
aq.=水性
DEAD=アゾジカルボン酸ジエチルエステル
DMF=ジメチルホルムアミド
EtOH=エタノール
FC=フラッシュクロマトグラフィー
h=時間
HV=高真空
MeOH=メタノール
RP−HPLC=逆相高速液体クロマトグラフィー
rt=室温
rac.=ラセミ体
soln.=溶液
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
【実施例】
【0051】
実施例1
(rac.)−3−[6−(4−フルオロフェニル)ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタンの製造
(rac.)−3−キヌクリジノール(0.007モル)のTHF乾燥溶液を窒素気流下に水素化ナトリウム(鉱油中60%、1.1当量)で処理する。室温で1時間後、3−クロロ−6−(4−フルオロフェニル)ピリダジン(1.0当量)のTHF(30mL)溶液を加え、反応混合物を6時間加熱還流する。室温に冷却後、THFを蒸発し、残渣を酢酸エチル(100mL)に溶解し、水(3×20mL)、続いて塩化ナトリウム溶液(20mL)で洗浄する。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固し、残留する油をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル−メタノール−トリエチルアミン(50:10:2))で精製して(rac.)−3−[6−(4−フルオロフェニル)ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタンを無色固体として得る。
1H-NMR (400MHz, CDCl3):δ= 8.00 (m, 2H), 7.75 (d, 1H), 7.17 (m, 2H), 7.1 (d, 1H), 5.35 (m, 1H), 3.5 (m, 1H), 2.99-2.83 (m, 5H), 2.32 (m, 1H), 1.98 (m, 1H), 1.76-1.68 (m, 2H), 1.46 (m, 1H)。
【0052】
式I[式中、Yは
【化17】

である]で示される次の各化合物は実施例1に準じて製造できる。
【表1】

【0053】
実施例17
(rac.)−3−(5−フェニルピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタンの製造
5−ブロモ−2−ヒドロキシピリミジン(400mg、2.29ミリモル)、(rac.)−3−キヌクリジノール(432mg、3.36ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(890mg、3.40ミリモル)をTHF(25mL)に溶解する。−10℃で10分間攪拌後、DEAD(522μL、3.36ミリモル)のTHF(20mL)溶液を滴下する。反応混合物室温まで温め、室温で16時間攪拌する。反応混合物を蒸発して橙色半固体(2.50g)を得、これをAcOEtとかき混ぜ、濾過して(rac.)−3−(5−ブロモピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタンを白色固体として得る。濾液をFC(シリカゲル、溶離液:AcOEt/MeOH9:1、次にAcOEt/MeOH/NEt=70:27:3)で精製する。(rac.)−3−(5−ブロモピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン(150mg、0.53ミリモル)、フェニルボロン酸(66mg、0.54ミリモル)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムとをトルエン:EtOH=9:1(15mL)に溶解する。NaCO(225mg、2.12ミリモル)を水(1.5mL)に溶解して反応混合物に加え、混合物を90℃に20時間加熱する。室温に冷却後、セライトで濾過し、トルエン層を分離して食塩水で洗浄する。水層はAcOEtで再抽出し、有機抽出物を集めてMgSOで乾燥し、濾過する。濾液を蒸発して明黄色ゴム状物(195mg)とし、これをFC(シリカゲル、溶離液、AcOEt/MeOH=9:1、次にAcOEt/MeOH/NEt=70:27:3)で精製して、未だに出発物質を含有する白色固体を得る。第二の精製はRP−HPLC(Phenomenex RP 18カラム、勾配0.08%HCOOH水/CHCN95:5→CHCN、20’)によって行い、(rac)−3−(5−フェニルピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタンをギ酸塩として得る。
HPLC rt (分): 5.4。mp ℃:108〜114。 M+H+: 282.2。
【0054】
実施例18
(R)−3−(5−フェニルピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタンの製造
5−ブロモ−2−クロロピリミジン(400mg、2.03ミリモル)、フェニルボロン酸(253mg、2.07ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(118mg、0.102ミリモル)をトルエン/EtOH=9:1(50mL)に溶解する。NaCO(861mg、8.12ミリモル)を水(4mL)に溶解し、反応混合物に加える。混合物を90℃で19時間攪拌し、室温まで冷却し、セライトで濾過する。トルエン層を分離し、食塩水で洗浄する。水層をAcOEtで再抽出し、有機抽出物を集め、MgSOで乾燥し、濾過する。濾液を蒸発して黄色固体(503mg)を得、これをFC(シリカゲル、溶離液:シクロヘキサン−AcOEt/シクロヘキサン=1:9)で精製して2−クロロ−5−フェニルピリミジンを得る。(R)−3−キヌクリジノール(478mg、3.76ミリモル)をNaH(164mg、60%鉱油分散液、4.09ミリモル)のDMF(10mL)懸濁液に加える。混合物を室温で1時間攪拌する。2−クロロ−5−フェニルピリミジン(177mg、0.93ミリモル)を加え、混合物を3.5時間90℃に加熱する。反応混合物をトルエンで希釈し、1M−NaOH水溶液および食塩水で洗浄する。水層はトルエン(3×)で再抽出する。有機抽出物を集め、MgSOで乾燥し、濾過する。濾液を蒸発して黄色固体(310mg)を得、これをFC(シリカゲル、溶離液:AcOEt次にAcOEt/MeOH/NEt=80:18:2)で精製する。第二の精製はRP−HPLC(Phenomenex RP18 カラム, 勾配0.08%ギ酸水→0.08%HCOOH水/CHCN=80:20、10'→CHCN、15')で行い、(R)−3−(5−フェニルピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタンをそのギ酸塩として得る。
HPLC rt (分): 5.4。mp ℃: 108-110。 [α]D rt +8.6 (1.03, MeOH)。 M+H+: 282.2。
【0055】
式I[式中、−O−Y−は
【化18】

である]
で示される次の各化合物は実施例17または18に準じて製造できる:
【表2】

【表3】

【0056】
実施例58
(R)−3−(6−p−トルイルピリジン−3−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタンの製造
臭素(18.0mL、353.7ミリモル)を2−アミノ−5−クロロピリジン(15.0g、116.7ミリモル)の47%HBr水(75.0mL)溶液に−10℃で徐々に加える。これにNaNO(28.1g、407.3ミリモル)の水溶液を徐々に加える。混合物を−10〜−5℃で1時間、次に5℃で1時間攪拌する。温度を25℃以下に維持しながら混合物を5M−NaOH水溶液で中和する。沈殿を濾取、ペンタンから再結晶して2−ブロモ−5−クロロピリジンを得る。2−ブロモ−5−クロロピリジン(5.0g、26.0ミリモル)、p−トルイルボロン酸(4.0g、29.4ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.44g、1.2ミリモル)をトルエン:EtOH=9:1(1375mL)に溶解する。2M−NaCO水溶液(62.5mL)を反応混合物に加える。混合物を90℃で24時間攪拌し、室温まで冷却し、セライトで濾過する。トルエン層を分離し、食塩水で洗浄する。水層をAcOEtで抽出する。有機抽出物を集め、MgSOで乾燥して濾過する。濾液を蒸発して褐色の固体を得、これをFC(シリカゲル、溶離液:トルエン)で精製して5−クロロ−2−p−トルイルピリジンを得る。(R)−3−キヌクリジノール(2.97g、23.4ミリモル)をNaH(0.96g、鉱油中60%分散液、22.8ミリモル)のDMF(90mL)懸濁液に加える。混合物を室温で1時間攪拌する。5−クロロ−2−p−トルイルピリジン(4.00g、19.6ミリモル)を混合物に加え、135℃に135時間加熱する。反応混合物をトルエンで希釈し、1M−NaOH水と食塩水で洗浄する。水層をトルエンで再抽出(3×)する。有機抽出物を集め、MgSOで乾燥し、濾過する。濾液を蒸発して褐色油状物を得、これをFC(シリカゲル、溶離液AcOEt、次にAcOEt/MeOH/NEt=87:10:3)で精製し、CHCNから再結晶して(R)−3−(6−p−トルイルピリジン−3−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタンを得る。
mp ℃: 110-112。[α]Drt = +21.2°(0.50, MeOH)。 M+H+: 295.2。
【0057】
式I
[式中、−O−Y−Rは
【化19】

である]
で示される次の各化合物は実施例58に準じて製造できる:
【表4】

【0058】
HPLCの条件
実施例1〜21、27〜29、32、33、35〜38、41〜46、48〜53用:
カラム:Phenomenex LunaまたはKingsorb C18, 30×4.6mm, 3μM。勾配:(A=HO+0.08%HCOOH。B=CHCN。):0〜5分/A:B=100:0〜80:20。5〜10分/A:B=80:20〜0:100。流速3.0mL/分。
実施例22〜26用:
カラム:Waters Xterra MS C18, 50×2.1mm, 2.5μM。勾配:(A=HO+0.02%TFA。B=CHCN+0.02%TFA。):0〜2分/A:B=90:10〜5:95。2〜4分/A:B=5:95。4〜5.5分/A:B=5:95〜10:90。5.5〜6分/A:B=10:90〜90:10。6〜7分/A:B=90:10。流速0.35mL/分。
【0059】
実施例30、31、34、39、40、47、54〜74用:
カラム:Waters Xterra MS C18, 150×2.1 mm, 3.5μM。
勾配:(A=HO+0.02%TFA。B=CHCN+0.02%TFA。):0〜3分/A:B=90:10〜10:90。3〜8分/A:B=10:90。8〜9分/A:B=10:90〜90:10。9〜15分/A:B=90:10。流速0.35mL/分。
【0060】
実施例75
R−3−(6−(2−フルオロ−4−メチルフェニル)ピリダジン−3−イルオキシ)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタンの製造
(R)−(−)−3−キヌクリジノール(0.742g、5.84ミリモル)の乾燥DMF(5mL)溶液を水素化ナトリウム(60%鉱油分散液、0.234g、5.84ミリモル)のDMF(5mL)懸濁液に徐々に加え、50℃で2時間攪拌する。反応混合物を室温まで冷却し、3−クロロ−6−(2−フルオロ−4−メチルフェニル)ピリダジン(1.05g、4.49ミリモル)のDMF(10mL)溶液を加える。得られる反応混合物を24時間攪拌し、HOを加えて反応を停止させ、高真空で蒸発させて橙色残渣を得る。この残渣にHO(100mL)を加え、EtOAc(3×50mL)で抽出する。有機抽出物を集め、HO(100mL)で洗い、MgSO(無水)で乾燥し、減圧濃縮して黄色固体を得、これをクロマトグラフィーで精製して標記生成物を得る。
HPLC rt (分):4.7。mp ℃:128〜130。[α]D rt=+37°(0.1%、MeOH)。
【0061】
工程75.1:2−フルオロ−4−メチルベンゼンボロン酸の製造
トルエン(160mL)とTHF(40mL)との混合物にホウ酸トリイソプロピル(13.56mL、58.42ミリモル)と3−フルオロ−4−ブロモトルエン(10.0g、48.69ミリモル)とを加える。この混合物を−40℃に冷却し、n−ブチルリチウム(2.5M−ヘキサン中)(23.4mL、58.42ミリモル)を1時間にわたって徐々に加え、温度を−40℃に保ちながら混合物をさらに1時間攪拌する。アセトン/ドライアイス浴を去り、反応混合物を−20℃まで温めた後、2.5M−HCl溶液(20mL)を加える。混合物が室温に達した時、水層をEtOAc(3×50mL)で抽出し、有機抽出物を集めMgSO(無水)で乾燥し、減圧濃縮して黄色固体を得、これをアセトニトリルから再結晶して標記生成物を得る。
【0062】
工程75.2:3−クロロ−6−(2−フルオロ−4−メチルフェニル)ピリダジンの製造
3,6−ジクロロピリダジン(2.0g、13.42ミリモル)の1,4−ジオキサン(20mL)溶液にPD(dba)(0.21g、0.2ミリモル)、P(tBu)(0.122g、0.6ミリモル)の1,4−ジオキサン(1mL)溶液、KF(2.57g、44.3ミリモル)および2−フルオロ−4−メチルベンゼンボロン酸(工程31.1、2.68g、17.45ミリモル)を加える。得られる混合物を120℃に48時間加熱する。反応混合物をセライトで濾過し、濾床をEtOAcで洗浄する。濾液をHOで洗い、MgSO(無水)で乾燥し、減圧濃縮して褐色固体を得、これをクロマトグラフィーで精製して標記生成物を得る。
【0063】
式I[式中、Yは
【化20】

である]で示される次の各化合物は実施例75に準じて製造できる:
【表5】

【0064】
実施例85
式I[式中、Yは
【化21】

である]で示される次の各化合物は実施例75に準じて製造できる:
【表6】

【0065】
実施例86
ソフトカプセル
活性成分として前記実施例に記載の式Iで示される化合物0.05gを含むソフトゼラチンカプセル5000個を次のようにして製造する:
組成物
活性成分 250g
ラウログリコール 2リットル
製造法:粉砕した活性成分をラウログリコール(登録商標)(プロピレングリコール・ラウレート、Gattefosse S.A., Saint Priest, France)に懸濁し、湿式粉砕機で摩砕して粒径を約1〜3μmとする。この混合物0.419gを各ソフトゼラチンカプセルにカプセル充填機で注入する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基またはその酸付加塩形にある式I:
【化1】

[式中、
XはCHまたは一重結合であり;
Yは式:
【化2】

で示される基であり;そして
Rは置換もしくは非置換のC〜C10アリールまたは置換もしくは非置換のヘテロ−C〜C10アリール、N(R)(R)、またはN(R)(CHR)であり;ここにR、RおよびRは何れも独立してH、C〜CアルキルまたはCFであり;そしてRは置換もしくは非置換のC〜C10アリールまたは置換もしくは非置換のヘテロ−C〜C10アリールである]
で示されるアザビシクロアルキル誘導体。
【請求項2】
遊離塩基またはその酸付加塩形にある請求項1に記載の式Iで示されるアザビシクロアルキル誘導体:
[式中、
XはCHまたは一重結合であり;
Yは式:
【化3】

で示される基であり;そして
Rはフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、チエニル、ベンゾチエニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニルであって、いずれも非置換であるかまたは次の基でモノ−、ジ−もしくはトリ置換されることができる:
ハロゲン、シアノ、ホルミル、アセチル、C〜Cアルコキシカルボニル、N,N−ジ(C〜Cアルキル)カルバモイル、フェニル、フェノキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ;または
〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜CアルキニルまたはC〜Cアルコキシであって、この残基自体も非置換であるかまたはハロゲンでモノ−、ジ−もしくはトリ置換されることができる]。
【請求項3】
遊離塩基またはその酸付加塩形にある請求項1に記載の式I:
[式中、
XはCHまたは一重結合であり;
Yは式:
【化4】

で示される基であり;そして
Rは
(a)非置換フェニルであるか、または
ハロゲン、シアノ、メチレンジオキシ、
非置換であるかハロゲンでモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたC〜Cアルキル、または
非置換であるかハロゲンでモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたC〜Cアルコキシ
でモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたフェニルであるか;
(b)ナフチル、インダニル、テトラリニルであるか;または
(c)フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニルまたはチエニルである]
で示されるアザビシクロアルキル誘導体。
【請求項4】
遊離塩基またはその酸付加塩形にある請求項1に記載の式I:
[式中、
XはCHまたは一重結合であり;
Yは式:
【化5】

で示される基であり;そして
Rは
(a)非置換のフェニルであるか、または
ハロゲン、シアノ、メチレンジオキシ、
非置換であるかハロゲンでモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたC〜Cアルキル、または
非置換であるかハロゲンでモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたC〜Cアルコキシ、
でモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたフェニルであるか;
(b)ナフチルであるか;または
(c)フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニルまたはチエニルである]
で示されるアザビシクロアルキル誘導体。
【請求項5】
式II:
【化6】

[式中、YおよびRは請求項1で定義したものと同意義であり;そして
zは脱離基である]
で示される化合物と式III:
【化7】

[式中、Xは請求項1で定義したものと同意義である]
で示される化合物とを反応させる段階、および生成した遊離塩基または酸付加塩の形にある式Iで示される化合物を回収することを含む請求項1に記載の式Iで示されるアザビシクロアルキル誘導体またはその塩の製法。
【請求項6】
医薬として使用するための遊離塩基形または医薬的に許容される酸付加塩形にある請求項1〜4のいずれかに記載のアザビシクロアルキル誘導体。
【請求項7】
精神疾患および神経変性疾患の予防および処置に使用するための、遊離塩基形または医薬的に許容される酸付加塩形にある請求項1〜4のいずれかに記載のアザビシクロアルキル誘導体。
【請求項8】
遊離塩基形または医薬的に許容される酸付加塩形にある請求項1〜4のいずれかに記載のアザビシクロアルキル誘導体を医薬的担体または希釈剤と共に含む医薬組成物。
【請求項9】
α7−nAChR活性化が関与するか関連する疾患および病状を処置または予防における使用のための遊離塩基形または医薬的に許容される酸付加塩形にある請求項1〜4のいずれかに記載のアザビシクロアルキル誘導体。

【公開番号】特開2009−143956(P2009−143956A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36918(P2009−36918)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【分割の表示】特願2004−533455(P2004−533455)の分割
【原出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】