説明

アシル化及び非−アシル化イミダゾ[2,1−b]−1,3,4−チアジアゾール−2−スルホンアミド及びその使用

本発明は化学式Iの新規化合物;中枢及び末梢神経系の神経疾患治療及び癌のような増殖性疾患の治療に使用される化学式Iの化合物の使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中枢や末梢神経系神経疾患の治療及び癌や炎症のような増殖性疾患の治療に有用なイミダゾ−チアジアゾール−スルホンアミド化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは選択された下記化学式Iの化合物がNGF禁断及びTaxol及びシスプラチンのような化学療法剤を使用した治療を含む、様々な神経毒性損傷からSCGニューロンを保護するということを証明したことがある:
【0003】
[化学式I]
【化1】

式において、R及びRは独立的にH又はC(1−4)のアルキルである。
前記の薬品を、TaxolTMで治療しているラットにTaxolTM投与期間の間に又はその後2週間投与した時、TaxolTMを単独で投与した動物に比べて全体的な健康状態、体重増加、歩行及び神経伝導性が顕著に向上することを観察した(PCT Application NO.CA02/01942(WO 03/051890))。このような種類の化合物ははまた、座骨神経の挫傷によって損傷された神経細胞の再生に役に立つ。また、皮質神経ニューロンはマロン酸塩誘導性死滅から保護される(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890))。
【0004】
化学式I(式において、R=R=H)で表される選択された化合物の他の用途は、抗−バクテリア剤(Gadad、A.K.Eur J.Med.Chem.,35(9),853−857,2000)及び炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase,CA)抑制剤(Barnish,I.T.,et.al.J.Med.Chem.,23(2),117−121,1980;Banish,I.T.et alGB 1464259,abandoned;Supuran,C,T.Met−Based Drugs2(6)、331−336,1995)を含む。出願人は、R及びRに小さいアルキル基が導入されれば、化合物が神経保護機能は維持しながら、これら化合物のCA活性は顕著に低くなることを実験(in vitro)で証明した(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890)。
【0005】
このような種類の中で特定の1個の化合物である5−ブロモ−6−フェニルイミダゾ[2,1−b]−1,3,4−チアジアゾール−2−スルホンアミド(R=R=H、R=Br、R=Ph、本願では5−Br−6−Ph−ITSと言う)が抗−増殖活性を持つということを発見した(Gadad,A.K.India.Arzneim.−Forsch.,49(10)、858−863,1999)。しかし、前記化合物はC5における活性臭素によって注目するほどの治療剤とはならない。さらに、出願人は前記化合物が微細小体で急速に分解されることによって、その治療的可能性が制限されるということを証明した。
【0006】
薬剤前駆体は生体内で活性形態に分解される活性形態薬品の前駆体である。COX−2抑制剤パレコクシブナトリウム及びセレコクシブに対する薬剤前駆体として単純なN−C(1−4)アシルスルホンアミドを使うことが提案された(Talley,J.J.,et.al.,J.Med.Chem.2000 May 4;43(9):1661−3and Mamidi,R.N.,et al.Biopharm.Drug Dispos.2002 Oct;23(7):273−82)。
【0007】
本発明は下記化学式Iで表されるイミダゾ[2,1−b]−1,3,4,−チアジアゾール−2−スルホンアミドに関するものである:
[化学式I]
【化2】

【0008】
具体的に、本発明はN−アシルスルホンアミド(式において、Rはアシル基(化学式I−b)で示される)及び前記化合物の神経退行性疾患及び増殖性疾患治療用使用に関するものである。本出願はまた、スルホンアミド(式において、R及びRは独立的にH又は(C1−4)アルキル([化学式I]−a))の増殖性疾患の治療用使用に関するものである。
【0009】
化学式I−bで示されるN−アシルスルホンアミドはその母化合物である化学式I−aのスルホンアミドと比較して、変化された溶解度及び薬物動態学的特性を示す。これは中性pHの水溶性調剤及び/又は向上した薬物動態学上の面において特徴がある。
【0010】
【化3】

化学式I−bで表される化合物は生体内でその母化合物であるスルホンアミドに転換され、母化合物であるスルホンアミドに対する薬剤前駆体として作用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は下記化学式Iで表されるイミダゾ[2,1−b]−1,3,4,−チアジアゾール−2−スルホンアミド又はその薬学的に許容可能な塩である:
【化4】

式において、
及びRはそれぞれ下記のように構成される群から選択される:
a)H及びC(1−4)−アルキル;
b)C(O)−R(式において、RはC(1−18)置換された又は置換されていないアルキル、置換された又は置換されていないアリール又は置換された又は置換されていないヘテロアリールから選択される);及び
c)C(O)−(CH−(C(O))−(OCHCHOR10(式において、n=0−6、p=0−1,m=0−22,及びR10はH、置換された又は置換されていないC(1−6)アルキル、置換された又は置換されていないアリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール);
d)C(O)−(CHR11−NR1213(式において、n=1−5、R11は水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリールで構成される群から選択され、R12及びR13はそれぞれ水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリール、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキルカルボニル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリールカルボニル、置換また置換されていないC(1−8)ヘテロアリールカルボニルで構成される群から選択されたり又はR12及びR13は組み合わせて5乃至7員の置換された又は置換されていないヘテロシクリック環システムの一員を形成する);
はH、メチル、及び置換された又は置換されていないベンジルで構成される群から選択され;
は下記のように構成される群から選択され:(I)フルオロC(1−6)−アルキル、置換された又は置換されていないC(6−16)−アリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール、置換された又は置換されていないビフェニル、置換された又は置換されていないジフェニルエーテル、置換された又は置換されていないクマリニル、及びアダマンチル;ここで、アリールもしくはヘテロアリールR置換体環システムの隣接した炭素又はアリール、ヘテロアリール、ビフェニル、ジフェニルエーテルもしくはクマリニルR6置換体の環システムの隣接した炭素は共に融合されたシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環で置換することができ、前記シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は1個以上のアルキル基又は互いに結合して環を形成した2個のアルキル基で更に置換することができ;
【0012】
(II)
【化5】

【0013】
(III)
【化6】

【0014】
式において、
Xは、O又はS(O)の結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり、環Aの2,3又は4位置で環Aに結合されており;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、ここで、任意の2個の隣接したR基は互いに組み合わせて融合されたアリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリール、環システムの一員を形成することができ;及び
【0015】
(IV)
【化7】

【0016】
式において、
Xは、O又はS(O)の結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;環A及びBのヘテロアリール環システムは1個以上のヘテロ原子を含み、置換又は非置換され;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され;式において、任意の2個の隣接したR基は互いに組み合わせて融合されたアリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリール、環システムの一員を形成することができる。
【0017】
化学式Iの基の定義において、C(1−8)アルキルは1乃至8個の炭素原子を有する直鎖又は分鎖アルキル基を意味し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソ−アミル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル及びオクチルである。前記C(1−8)アルコキシ、C(1−8)アルキルスルホニル、C(1−8)アルコキシカルボニル、C(1−8)アルキルアミノカルボニルのC(1−8)アルキル部分は前記定義したC(1−8)アルキルと同一な意味である。アシル及びアシルオキシ基のアシル部分は1乃至18炭素原子を有する直鎖又は分鎖のアルカノイル基を意味し、例えばアセチル、プロパノイル、ブチリル、バレリル、ピバロイル及びヘキサノイル、及び後述するアリールカルボニル基又はヘテロアリールカルボニル基である。アリール、アリールカルボニル及びアリールアミノカルボニル基のアリール部分は6乃至16炭素原子を有する基を意味し、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル又はピレニルがあるが、これに限定されるわけではない。ヘテロアリール及びヘテロアリールカルボニル基のヘテロアリール部分はO、N、及びSから由来した1個以上のヘテロ原子を含む基であり、例えばピリジル、ピリミジル、ピロレイル、フリル、ベンゾフリル、チエニル、ベンゾチエニル、イミダゾリル、トリアゾリル、キノリル、イソ−キノリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、及びインドリルがあるが、これに限定されるわけではない。7乃至15炭素原子を有するアラルキル及びアラルキルオキシ基のアラルキル部分は、例えば、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル及びナフチルメチルがあるが、これに限定されるわけではない。7乃至15炭素原子を有するヘテロアラルキル及びヘテロアラルキルオキシ基のヘテロアラルキル部分はピリジルメチル、キノリニルメティル及びイソ−キノリニルメチルがあるが、これに限定されるわけではない。置換されたC(1−8)アルキル基は1乃至3個の独立的な置換体、例えばヒドロキシル、C(1−8)アルキルオキシ、C(1−8)アルキルチオ、カルボキシル、C(1−8)アルキルカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C(1−8)アルキルアミノ、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン及びジチオンを有するが、これに限定されるわけではない。置換されたC(1−8)アルキルのC(1−8)アルキル部分、及びC(1−8)アルコキシ、C(1−8)アルコキシカルボニルのC(1−8)アルキル部分並びに置換されたC(1−8)アルキル基の置換体のモノ−及びジ−低級アルキルアミノは前記定義したC(1−8)アルキルと同一な意味を有する。置換されたアリール、置換されたヘテロアリール、置換されたアラルキル、及び置換されたヘテロアラルキル基それぞれは1乃至5個の独立的に選択した置換体、例えばC(1−8)アルキル、ヒドロキシ、C(1−8)アルコキシ、カルボキシ、C(1−8)アルコキシカルボニル、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C(1−8)アルキルアミノ、アジド及びハロゲンを持つが、これに限定されるわけではない。置換体の中でC(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシ、C(1−8)アルキルアミノ並びにモノ−及びジ−C(1−8)アルキルアミノ基のC(1−8)アルキル部分は上述したC(1−8)アルキルと同一な意味を有する。窒素原子と形成したヘテロシクリック基は、例えばピロリル、ピペリジニル、ピペリジノ、モルホリニル、モルホリノ、チオモルホリノ、n−メチルピペラジニル、インドリル及びイソインドリルのような環を含むが、これに限定されるわけではない。シクロアルキル部分は構造の任意の位置に1個以上の環を含む、提示した数の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味し、例えばシクロアルキル基はシクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−ノルボルニル、1−アダマンチルなどがある。前記フルオロアルキル部分は、上述したように、対応するC(1−8)アルキル基の1個以上の水素がフッ素原子で置換された低級フルオロアルキル基を意味し、例えばCHF、CHF,CF,CHCF及びCHCHCFがあるが、これに限定されるわけではない。
【0018】
置換体は好ましくは下記のように構成される群から選択する:
1)H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、C(1−8)アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アジド、B(OH)及びアダマンチル;
2)XR19(式において、X=O又はS及びR19はC(1−8)アルキル、ヒドロキシル、C(1−4)アルコキシ、フルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、低級アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、及びアリールアミノカルボニルであると定義される);及び
3)NR1415(式において、R14及びR15は独立的にC(1−8)アルキルとして定義されたり又はここで、R14及びR15は結合してアルキル又はヘテロアルキル環システムを形成する)、ここで、前記C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、C(1−8)アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、及びC(1−4)アルコキシは好ましくは上述した置換体1−3で更に置換することができる。
【0019】
本願で記述したいくつかの化合物は1個以上のキラル中心を含み、したがって、ジアステレオ異性体及び光学異性体を生成することができる。本発明はこのような可能な限りのジアステレオ異性体及びそのラセミ体、分離された純粋な鏡像異性体形態及びその薬学的に許容可能な塩を包括する。
【0020】
本明細書で使用された用語“対象体”又は“患者”は人間、霊長類、馬、牛、豚、羊、ヤギ、犬、猫、齧歯類などを含む哺乳類を称すことがある。
【0021】
本発明の薬学組成物は対象体に有効量で投与される。有効量は治療される特定疾患の発生の遅らせたり、進行を抑制したり又は発生又は進行を全て止めたり又は特定疾患の状態又は症状を診断するのに必要な量を意味する。
【0022】
神経疾患治療の有効量は疾患状態に対する任意の症状又は徴候に影響を与えたり、治療される特定疾患を発生させる細胞損失及び/又は神経退行を戻したり、止めたり又は安定化させるのに必要な量である。一般に、神経病症及び神経病症痛み治療の有効量は前記神経病症及び/又は神経病症痛みに肯定的影響を与えるのに必要な量であろう。例えば、アルツハイマー病のようなCNS神経退行性疾患治療の有効量は、これに制限するわけではないが、記憶力損失の予防、任意の症状の改善に有効な量である。同様に、パーキンソン病又はALS治療の有効量は筋肉機能及び/又は調節の損失に肯定的影響を与えるに要する量であるが、特定症状の改善に制限されるわけではない。緑内障及び黄斑変質治療の有効量は視力損失の予防に有効な量である。末梢神経病症治療の有効量は、PNS感覚又は運動神経機能障害発生の予防又はその進行を止めるのに有効な量であるが、前記症状及び効果に限定されるわけではない。
【0023】
一般に、哺乳類癌細胞増殖の治療に有効な量とは、或る症状又は症状の徴候に影響を与える量であり、及び/又は治療されべき特定症状に影響を与え、哺乳類癌細胞の増殖及び/又は移動停止もしくは安定化させることのできる量であって、その量でもって哺乳類癌の生態内増殖に好ましい影響を与えるに必要な量のことをいう。
【0024】
対象体に投与する時、有効量はもちろん治療される特定症状によって変わる即ち;症状の深刻性;年令、身体的状態、身長及び体重を含む患者個人が有する変数;同時に行われる治療;治療の頻度;及び投与方法である。これらの要因は技術分野の当業者によく知られていることで、これらの要因を考慮した有効量の決定に通常の実験以上を必要としない。一般に正常な医学的判断によって安全な最も高い投与量、つまり、最大投与量が好ましい。
【0025】
一方、多様な投与経路が可能である。選択される特定投与経路はもちろん、治療される特定症状、選択した特定薬品、治療される症状の深刻性及び治療的効能に必要な投与量により変わる。本発明の方法は、一般に医学的に許容される任意の投与方法、つまり、臨床的に許されない副作用を引き起こすことなく活性化合物を有効な濃度にすることができる任意の投与方法を使って実施される。
【0026】
このような投与方法は経口、直腸、舌下、局所、鼻腔、経皮、皮内又は非経口投与を含む。用語“非経口”は皮下、静脈内(IV)、筋肉内又は注入を含む。
【0027】
投与量は、局所又は全身の目的とする薬品濃度の達成のために適切に調整することができる。一般に活性化合物の一日経口投与量は約0.01mg/kg乃至1000mg/kgである。一日に約1乃至1000mg/kg範囲の静脈投与量が効果的であると考えられる。前記投与量で対象体における反応が十分でない場合、患者が耐えられる限度内で高投与量(又は相異なる、さらに局所的な伝達経路を通じた効果的な高投与量)を使用することができる。
【0028】
化合物は薬学技術分野の公知の任意の方法によって製造された、薬学的に許容可能な水性及び/又は非水性調剤の中に溶解又は懸濁された水溶液及び/又は非水溶液で投与することができる。このような水溶液及び/又は非水溶液は緩衝剤、補助溶媒、安定化剤、界面活性剤、補助溶媒及び/又はカプセル化剤を含むことができる。緩衝剤及び安定化剤は後述し、補助溶媒はHPCD又は当業界に公知のその他のカプセル化補助溶媒、PEGなどを含むことができる。
【0029】
l−a及びl−bの薬学的に許容可能な塩の溶解度は水溶性カプセル化剤を使って増加及び/又は安定化することができる。カプセル化剤の例としては、シクロデキストラン、例えばヒドロキシプロピルシクロデキストラン(HPCD)を含む。塩の例としては、有機及び無機塩、例えばナトリウム塩並びに有機塩基、例えばエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール及び4−アミノピリジンから形成された塩を含む。典型的に5〜45%wt/volのHPCD水溶液(水又は食塩水)の使用が水性媒質でこれら化合物の溶解度及び/又は安定化の向上のために好ましい。
【0030】
本発明の組成物は単位投与量形態で提供され、又は薬学技術分野の公知の任意の方法によって製造することができる。全ての方法は本発明の結合体を1個以上の補助成分を構成する担体と会合させる段階を含む。一般に、本発明の組成物は本発明の化合物を液体担体、微細に粉砕された固体担体又はこれら全てと均質に混合した後、次いで、必要に応じて前記産物を特定形態に作って製造される。
【0031】
適した経口投与用組成物はそれぞれ所定量の活性化合物を含むカプセル、カシエ剤、錠剤又はロゼンジのような個別的形態に製造することができる。他の組成物としては水性又は非水性液体、例えばシロップ、エリキシル又はエマルジョンを含む懸濁液がある。
【0032】
その他の伝達システムは時間−放出型、遅延放出又は持続放出伝達システムを含むことができる。このようなシステムは本発明の活性化合物の反復投与を避けることができるので対象体及び医師の便利性が増加する。
【0033】
多くの類型の放出伝達システムが使用可能であり、それらは技術分野の当業者に公知されている。これらは重合体を基本とするシステム、例えばポリ乳酸及びポリグリコール酸、ポリ無水物及びポリカプロラクトン;コレステロール、コレステロールエステル又は脂肪酸及び中性脂肪、例えばモノ−、ジ及びトリグリセリドのようなステロールを含む脂質である非重合体性システム;ヒドロゲル放出システム;シリコンシステム;ペプチドを基本とするシステム;ワックスコーチング、通常の結合剤及び賦形剤を使用した圧縮された錠剤、部分融合された移植物などを含む。さらに、ポンプに基本をおいたハードウェア伝達システムを使用してもよく、これらの中の一部は移植に適している。
【0034】
長期間持続性放出移植物をまた使用することができる。本明細書における用語“長期間”放出は移植物が治療濃度の活性成分を30日以上、好ましくは60日以上伝達するように構築且つ配置されたことを意味する。長期間持続性放出移植物は技術分野の当業者に公知されており、上述した一部放出システムを含む。前記移植物は特に、移植物を腫瘍に近接して又は腫瘍に直接配置することができるので、本発明化合物の濃度を局所的に高めることができ、特に固形癌の治療に有用である。
【0035】
投与する時、本発明の調剤は薬学的に許容可能な組成物で使用される。前記調剤は通常塩、緩衝剤、防腐剤、適した担体及び選択的にその他の治療剤を含むことができる。医薬として使用する時、前記塩は薬学的に許容可能でなければならないが、便利に薬学的に許容できない塩を使って、その薬学的に許容可能な塩を製造することができるので、薬学的に許容できない塩が本発明の範囲外に排除されるわけではない。このような塩は下記の酸から製造されるものを含むが、これに制限されるわけではない:即ち塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ホルム酸、マロン酸、琥珀酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸等である。
【0036】
また、薬学的に許容可能な塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、ポタシウム又はカルシウム塩から製造したり又は当業界に公知の有機酸、これに制限するわけではないが、例えばジメチルアミノエタノール、エタノールアミンアルギニン及びリジンから製造することができる。
【0037】
適した緩衝剤は燐酸緩衝液、酢酸及び塩(1〜2%W/V);クエン酸及び塩(1〜3%W/V);及び燐酸及び塩(0.8−2%W/V)、及びその他の当業界に公知されたものを含む。
【0038】
適した防腐剤は塩化ベンズアルコニウム(0.003〜0.03%W/V);クロロブタノール(0.3〜0.9%W/V);パラベン(0.01〜0.25%W/V)及びチメロサル(0.004〜0.02%W/V)、及びその他の当業界に公知されたものを含む。
【0039】
適した担体は薬学的に許容可能な担体である。用語“薬学的に許容可能な担体”とは人間又はその他の動物投与に適した、1個以上の適した固体又は液体充填剤、希釈剤又はカプセル化物質を意味する。用語“担体”は有機又は無機成分、天然又は合成成分であって、これは活性成分と組合わせられて適用を容易にする。薬学的組成物の成分は好ましい薬学的効能を実質的に害する相互作用が発生しない方式で、本発明の分子と混合することができ、互いに混合できる。経口、皮下、静脈及び筋肉内投与などに適した担体調剤は当業界に知られたものである。
【0040】
本発明の化合物はその他の治療剤と一緒に伝達できる。本発明は付加的に本発明の化合物1と神経退行性又は増殖性疾患の治療に有用なものとして知られた他の化合物との共同投与を含む。神経退行性疾患の場合、典型的な例はCOX−2抑制剤、NSAIDS、AD治療用アセチルコリンエステラーゼ抑制剤、例えばタクリン、ドネプリジル及びリバスチグミン、及びPD治療用L−ドーパ、及び糖尿病治療用ACE抑制剤及びインシュリン等があるが、これに限定されるわけではない。癌のような増殖性疾患の場合、典型的な例は化学療法剤、例えばTaxol、シスプラチン及びビンカアルカロイドがある。
【0041】
有毒性薬品によって誘導される末梢神経病症の場合、化合物1は前記有毒性薬品投与前、有毒性薬品投与と同時に(つまり、独立的に又は抗−癌カクテルの形態で)又は有毒性薬品投与後に個別的に伝達される。好ましくは、化合物1及び化学療法剤は神経毒性又は化合療法剤による神経機能の少なくとも一部が破壊されることを予防したり又は壊れた神経機能の少なくとも一部の回復のために治療器間を重複させながら、それぞれ有効な時間間隔をおいて投与される。化学療法剤は神経毒性を誘発する任意の化学療法剤、例えばジデオキシイノシン、デオキシシチジン、D4T、シスプラチン、エトポシド、ビンクリスチン、エピチローンもしくはその誘導体又はTaxolTM/TaxoterTM及びその誘導体であってもよく、これらは神経病症を誘発する部類の代表的な化学療法剤である。
【0042】
“有毒性剤”又は“神経毒性剤”とは、その化学的作用によって神経系の活性成分を損傷させたり、神経系成分の活動に障害を起こしたり、抑制する物質を意味する。このような神経毒性剤は抗新生物質、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、シスプラチン、TaxolTM、D4Tもしくはその他の抗ウイルス剤又はジデオキシ化合物、例えば、ジデオキシイノシン;アルコール;金属;職業的又は環境的露出により生じる産業性有毒物質;食物もしくは医薬品の汚染物質;又はビタミンもしくは治療薬物の過剰服用、例えば、例えばペニシリンもしくはクロラムフェニコールのような抗生剤の過剰服用又は非常に多い投与量のビタミンA、D又はB6を含むが、これらに制限されるわけではない。
【0043】
化学式Iで表される化合物は生体内における癌細胞死滅用の抗細胞死滅剤として使用される場合、化合物Iは単独で、TaxolTM、TaxoterTM、シスプラチン、ビンカアルカロイド及び5−フルオロウラシルのような伝統的化学療法剤治療前に、これと同時に(つまり、独立的に又は抗癌カクテルの形態で)又は前記化学療法剤後に、別途に伝達される。
【実施例】
【0044】
化学式Iで表される化合物の例は下記表1に記載されている。置換体を示すために使用した略語は次の通りである:
【化8】

(表1)化学式Iで示される化合物の例
【0045】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0046】
化学式I−aで表される化合物の追加例は下記表2に記載されている。
(表2)化学式I−aで示される化合物の例
【0047】
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【0048】
選択された数のインドール及びビフェニル誘導体は下記の化合物を含む:
【化9】

【0049】
化合物1のPEG400−セバコイルアミド誘導体は下記の通りである:
【化10】

【0050】
化学式I−aで表される化合物の神経保護効果
【0051】
数個の神経毒性剤及びプロトコルを使ってSuperior Cervical Ganglion(SCG)ニューロンで細胞死滅を誘導することができる。それらは成長源(trophic support)(例えば、神経成長因子(NGF))の除去、神経毒性化学療法剤、例えばTaxolTM、シスプラチン、ビンクリスチン又はビンブラスチンでの治療及び神経毒性抗ウイルス剤での治療を含む。選択された化学式Iで表される化合物は前記神経毒性剤によって誘導された細胞死滅を抑制することが確認された。
【0052】
本出願人は従来化学式I−a(式において、R及びRはH及びC(1−4)アルキルから選択される)で表される選択された化合物が多様な神経毒性物質による損傷からCNS及びPNSニューロンを保護するということを発見した(PCT ApplicationNO.CA02/01942(WO03/051890))。このような神経毒性物質による損傷は試験管内でSCGニューロンを抗−NGF抗体、TaxolTM、シスプラチン及びピンクリスチンで処理することを含む。表3は以前に報告された一部神経保護を要約したものである。
[表3]
【0053】
抗−NGF、Taxol、シスプラチン及びビンクリスチン誘導された細胞死滅からSCGニューロンの保護
【表15】

【0054】
前記データは化学式I−aで表される化合物の多様な神経毒性剤で処理されたニューロンに対する神経保護効果を示す。
【0055】
数個の神経退行性疾患がCNS及びPNS運動ニューロンの細胞性又は機能的損失と関連している。ALSはミトコンドリア機能不全の結果生じた運動ニューロン損失で特徴づけられ、これは器官型的脳切片にマロン酸塩を添加して培養物上で再現することができる。P1ラット運動皮質脳切片を2週間培養し、薬品及びマロン酸塩を添加した。更に2週間培養した後、前記切片を固定して皮質V層で発見される運動ニューロンを選択的に染色するSMI−32抗体で染色した。化合物13は1μM濃度でこれら標識された運動ニューロンの80%以上を保護した(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890))。
【0056】
TaxolTMは通常癌を治療する間に投与量依存的な神経病症を誘発する。Sprague DawleyラットをTaxolTM(Cremophor EL及びエタノール中に9mg/kg)で一週間に2回ずつ3週間治療する時、前記ラットは食欲減退、体重減少、歩行障害(TaxolTM誘導された末梢神経病症の一般的マーカ)、及び全体的健康悪化が特徴である急性化学毒性症状を示す(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890))。例えば、13日の間に対照群動物は体重が平均50g増加しており、反面TaxolTM処理された動物は体重が増加しなかった。TaxolTMで処理されたすべての動物は‘つま先歩き’が特徴である末梢神経病症を示した。このような神経病症の程度は動物がガラス板を歩く時に生じる反射光をビデオカメラで撮影し、これを定量分析して決めた。前記データはNorthern Eclipseソフトウェアで分析した。前記TaxolTMで処理された動物は対照群動物と比較してガラス板との足−パッド接触において46%減少を示した。化合物1で処理(10mg/kg)された場合は、対照群と比較して正常的体重増加及び末梢神経病症の深刻性減少がみられた;TaxolTM単独で処理された動物における46%減少と比較して、23%のフット−パッド接触減少が観察された(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890))。
【0057】
座骨神経挫傷は軸索回復及び再生の代表的モデルである。前記座骨神経を中間大腿部で鉗子を使って物理的に挫傷する;右足のみを損傷させ、左足は対照群として残す。軸索は挫傷地点からその神経分布地点まで死ぬ。軸索機能損失は動物がその右足を引き摺って、右足の足の指がそれ以上広がらないことから速かに観察される。回復は動物が右足を再び使用する約28日目に観察される。さらに定量的な回復測定は1及び5番目足の指の間、及び2及び4番目足の指の間の足の開き測定、足の指から損傷部位までの歩行分析及び電気伝導度を含む(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890))。
【0058】
ラットに挫傷損傷を加えた後、媒体対照群又は化合物1及び9、化合物2及び10それぞれ(1及び10mg/kg)のナトリウム塩で処理した。機能的回復は前記のように測定しており、動物を化合物で処置した時、回復における向上を観察した。例えば、足の指開きが化合物で処理された動物で増加することが観察された(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890))。
【0059】
視力損失を招く多様な疾患は増加した眼圧及び眼球発作又は眼球虚血と関連している。後根ガングリオン(dorsal root ganglion(RG))の損失は虚血の間及び糖尿病及び緑内障のような疾患で現れる。眼球虚血モデルは中央網膜動脈虚脱を招く侵襲性眼圧増加を含む。網膜性虚血は紅彩の白化及び赤色反射の損失として確認される。眼圧は30分後に正常化される。本方法は右目に行われ、残された左目は対照群として機能する。化合物1を10mg/kgの濃度でSC注射又はガラス体内注射で投与した(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890))。RGニューロンの健康は網膜切片の組織学的染色及び網膜電位度(ERG)記録を使って評価した。対照群動物の組織染色はRG層がほとんど完全に損失されたことを示しており、反面化合物1で処理された動物はRG層が損傷されなかった。同様に、化合物で処置された動物の場合、媒体対照群で処置された動物と比較してERGが非常に向上したことを観察した。このような保護はガラス体内注射及び全身投与(SC)された動物全てから観察された(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890))。
【0060】
本出願人は本願で化学式I−aで表される化合物がシスプラチンで処理されたラットにおける末梢神経病症状の発生を防止するということを報告する。数個の化学式I−aで表される一次スルホンアミド、例えば化合物2,6、10、12及び14はこのような末梢神経病症モデルで効能を現わした。データ及び引続いての論議(実施例151及び図1参照)は本明細書後半部に提示される。
【0061】
化学式I−aで表される一次スルホンアミドの改善された調剤
化合物1、3、5、7、9、11、13及び52乃至140で示される一次スルホンアミドは制限された水溶解度を有する(<0.5mg/mL)。母スルホンアミドを1当量のNaOHで処理して製造した化合物2、4、6、8、10、12及び14で表される化合物1、3、5、7、9及び11のナトリウム塩は許容可能な水溶解度(1−10mg/mL)を現わした。このようなナトリウム塩の使用で前記動物モデルにおける検査(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890))及び経皮投与;静脈(IV)、腹腔内(IP)、皮下(SC)等による多様な薬物動態学的研究が可能であった。このような溶液の適切な溶解度及び長期間の安全性は化合物が時々時間の経過に伴い沈殿するために問題となることがある。
【0062】
5〜45%wt/volのHPCD水溶液(水又は食塩水)の使用は表4に表したように水性媒質中のこれらナトリウム塩の溶解度及び/又は安全性を非常に増加させた。
【0063】
[表4]
10wt/volのHPCD水溶液中のNa塩の溶解度の改良
【表16】

【0064】
HDPCの存在の中で、例えば、化合物6の向上した溶解度が示されている。化合物6は水で2.3mg/mLの濃度で可溶性である。これが補助溶媒として10wt/vol%の水性HPCDを使って>10mg/mLに顕著に増加しており、室温における安定性も>14日に増加した。化合物2、10、12及び14に対しても同様な傾向が観察された。このような結果は補助溶媒としてHPCDの使用が化学式I−aで表されるナトリウム塩の水溶液溶解度及び安全性を顕著に増加させるということを示す。このような結果は表4のすべての化合物に対して同一であり、本願で化合物53乃至140までも同様な結果を得た。
【0065】
化学式Iで表される化合物のHPCD調剤はまた、水に溶解された化合物と比較して向上した薬物動態学的特性を示す。例えば、化合物1は0.5wt/vol%CMC/0.5wt/vol%Tween80TM水懸濁液であって、10mg/kgの濃度で胃管投与する時、適当な経口生物学的利用度を示す(Cmax=0.2μg/mL)。類似な化合物2の半懸濁液(化合物1のナトリウム塩)はさらに向上した経口生物学的利用度を提供するが、動物間の変動が非常に大きかった(Cmax=0.56μg/mL、C1/2=0.9hrs)。
【0066】
このような向上した調剤は経皮投与経路を使用した化合物2の投与を可能にし、これは優れた血しょう薬品濃度を提供する。化合物2をSC経路の10mg/kg濃度で投与する時、顕著に優れた血しょう薬品濃度が観察された(Cmax=2.0μg/mL、C1/2=0.8hrs)。同様に、化合物6、8、9、12、11及び13も10wt/vol%HPCD溶液としてSC経路の10mg/kg濃度で投与する時、優れた薬物動態学的変数(血しょうCmax=0.8乃至3.0μg/mL)を示す。
【0067】
このような向上した調剤は、従来は水性媒質で不溶性又は不安定であった多様な一次スルホンアミドの生物学的評価を可能にした。このような調剤はまた、0乃至45%wt/vol濃度のHPDC単独で又は薬学技術分野に知られたその他の賦形剤及び界面活性剤と組合わせて人間で薬学的に許容可能な調剤であることを示す。
【0068】
表2に記載された化合物は以前にPCT出願NO.CA02/01942(WO03/051890)に公表されたものである。これらそれぞれのナトリウム塩及びそのHPCD調剤は本発明に含まれる。
【0069】
一次スルホンアミドの抗癌活性
【0070】
化学式I−aで表される化合物は乳癌、肺ガン、神経芽細胞腫及び髄芽腫細胞株を含む多数の癌細胞株に対して相当な抗−細胞死滅活性を示す。化学式I−aで表される選択された化合物は優れた微細小体安全性(表5参照)及び治療の可能性を示す。
【0071】
化学式I−aで表される化合物の抗癌の可能性を調査するために、15N神経芽細胞腫細胞株を化合物で処理し、48時間後に細胞生活度を分析した。化合物1、5、6、11及び13(DMSO中に溶解)で処理された15N神経芽細胞腫細胞株の細胞生活度を表5に要約する(化合物152参照)。
【0072】
[表5]
化合物1、5、9、11、13及び5−Br−6−Ph−ITSの抗癌活性及び微細小体安定性
【表17】

【0073】
相当な構造的活性関係(SAR)が観察される。化合物1及び5はIC50が約20μMで軽い抗癌効果を示した。Rにおける疏水性置換の増加は抗−細胞死滅活性に3〜10倍の増加をもたらした。化合物9及び13はそれぞれ5μM及び10μMのIC50を示す。化合物11は母化合物の化合物1に対してIC50が2μMで10倍増加したことを示す。
【0074】
化学式I−aで表される化合物の神経保護活性と抗癌活性の間に相当な関連性があることが分かる。つまり、より強力な効能を有する神経保護剤化合物、例えば、化合物9、11及び13がまたより強力な抗癌剤であるという関係、及びその逆の関係が成立する。
【0075】
従来報告によれば、5−ブロモ−6−フェニルイミダゾ[2,1−β]−1,3,4,−チアジアゾール−2−スルホンアミド(R=R=H、R=Br、R=Ph;5−Br−6−Ph−ITS)が抗増殖活性を示す(Gadad、A.K.India.Arzneim.−Forsch.,49(10)、858−863,1999)。本出願人は本発明を通じて化合物11が5−Br−6−Ph−ITSよりさらに強力な効能を持つことを証明した。
【0076】
化学式I−aで表される化合物は薬学的に許容可能な微細小体安定性を示す。これと対照的に、5−Br−6−Ph−ITSは微細小体分画物によって急速に消費され、これは前記化合物の制限された臨床適用の可能性を暗示するものである。したがって、化学式I−aで表される選択した化合物の使用は、これに制限するわけではないが、多様な癌、例えば神経芽細胞腫のような癌の治療に対する新たな接近法であることを示す。
【0077】
前記分析はこれら化合物の抗−細胞死滅の可能性を示す;しかし、死んでいく細胞も依然として陽性で染色できるために、前記化合物の全体的な効能が低評価されることもある。本出願人は化学式I−aで表される化合物の抗癌効能を更に証明するために、これら及びその他の細胞株に対するクローン原性分析法を開発した。前記方法で、Du145前立腺癌、HCT116大腸癌、15N神経芽細胞腫、IMR32神経芽細胞腫、Daoy髄芽腫及びMDAMB231乳癌細胞をそれぞれプレートに播種し、48時間増殖させる。化合物を前記培養物に入れて24時間放置をした後、化合物及び死んだ細胞を洗い落としてプレートから除去する。新鮮な培地を添加し、細胞を更に7乃至10日間成長させる。残っている健康な細胞は増殖して局地的なコロニーを形成する。これらコロニーの数を数えて非−処理対照群に対するEC50値を決める。前記結果は表6に要約する(化合物153参照)。
【0078】
[表6]
化合物1、11及び13のクローン原性分析
【表18】

【0079】
本方法で化合物1、11及び13をテストした場合、化合物1、11及び13の効能順位において同様な傾向を観察した。化合物1は5乃至12μM範囲のIC50を示す。一般に化合物11及び13のIC50は0.75乃至8μMで化合物1よりさらに良好な効能を示す;一般に1乃至5μMを超える濃度ではコロニーが観察されない。このような結果は化学式I−aで表される選択された化合物が多様な範囲の癌細胞類型に対して相当な抗癌効能があることを証明するものである。
【0080】
5−Br−6−Ph−ITSも化合物1と比較して相当な活性を示したが、これは微細小体安定性において急激な損失を伴う。例えば、化合物9、11及び13のようにさらに疏水性である化合物1の誘導体は5−Br−6−Ph−ITSと比較して同程度か、さらに良い細胞活性を示す。化合物9、11及び13は低いミクロモルのIC50、癌細胞に対する抗−細胞死滅活性、安全性、そのナトリウム塩の溶解度及び薬物動態学的特性を示し、これは広範囲でこれに限定されるわけではないが、前立腺癌、大腸癌、神経芽細胞腫、髄芽腫及び乳癌のような多様な類型のガン治療用として使用可能な化合物であることを示す。これらの癌は癌の誘発源、腫瘍形態、増殖速度及び転移の可能性が非常に多様であり、これは化学式I−aで表される化合物が広範囲な類型の癌治療に有用であることを示すものである。
【0081】
表2に記載された化合物は以前PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890)に開示された。前記化合物それぞれのナトリウム塩及び化合物141乃至149のナトリウム塩、及びそのHPCD調剤は癌の治療用として本発明に含まれる。
【0082】
N−アシルスルホンアミド
【0083】
化学式I−aで表される化合物は神経保護及び抗癌活性全てを示す。これら化合物は制限された水溶解度(<1mg/mL)を示すが、そのナトリウム塩及びそのHPCD調剤は5−25mg/mL範囲の溶解度及び安定性を示す。補助溶媒としてHPCDを使用して調剤された溶液は向上した溶解度及び安全性を示す。前記調剤のpHは一般に7.6〜9.2範囲である。薬学的に許容可能なpH範囲は約4.5乃至8.6である。
【0084】
化学式I−bで表されるN−アシルスルホンアミドは中性pHに近くで調剤することができる。化学式I−bで表される化合物は優れた薬物動態学的(PK)プロファイルを示し、生体内で脱アシル化されて化学式I−aで表される一次スルホンアミドになる。遊離の一次スルホンアミドのPKプロファイルは同一投与量で投与する時、一次スルホンアミドのNa−塩のPKプロファイルと類似している。このような方式で、化学式I−bで表されるN−アシルスルホンアミドは化学式I−aで表される一次スルホンアミドのための薬剤前駆体として作用する。
【0085】
単純なN−アセチル、N−プロピオニル及びN−ブタノスルホンアミドの薬剤前駆体としての使用はCOX−2抑制剤パレコクシブソジウム及びセレコクシブと関連して以前に報告された(Talley,J.J.,et.al.,J.Med.Chem.2000 May 4;43(9):1661−3及びMamidi,R.N.,et al. Biopharm. Drug Dispos. 2002 Oct;23(7):273−82)。上述したように、選択されたN−アシルスルホンアミドは生体内で相応する一次スルホンアミド及びカルボン酸に転換される。N−アシルスルホンアミドは相応する一次スルホンアミドと比較して変化された溶解度及び薬物動態学的変数を示す。
【0086】
化学式I−bで表される広範囲な一次スルホンアミドのN−アシルスルホンアミド誘導体の合成及び生物学的評価を開示する。選択された化合物は化合物15乃至51で表1に要約する。一定範囲のN−アセチル官能基を導入して、胃及び/又は細胞吸収性を調節した。N−アセチル鎖長さを水溶解度、脂質親和性及び一次スルホンアミドへの代謝速度の観点で研究した。前記N−アシル部分は長さにおいてはアセチル(C2)からパルマトイル(C16)までの範囲である。前記N−アセチル基は複雑性においては、アミノ酸誘導体からポリエーテルまでの範囲である。これらそれぞれの官能基有用性は非常に相異なる。短鎖のN−アシル基又は極性/塩基性官能基は経口及び/又は経皮投与経路において水溶解度を容易にするものと考えられる。中鎖乃至長鎖のN−アシル基は経口及び/又は経皮/局所投与経路において脂肪溶解度を容易にするものと考えられる。多様なジ−及びトリ−アミノ酸受容体が胃及び癌細胞株のような細胞類型で化合物の活動的輸送を容易にすることが知られている。したがって、N−アシル部分の変化によって化学式I−bで表される化合物の伝達、薬物動態学的特性及び転換率が影響を受ける。
【0087】
1当量のNaOHと、前記遊離酸、化学式I−bで表される選択されたN−アセチルスルホンアミドの脱陽子化に相応するナトリウム塩を収得する。代案として、前記ナトリウム塩は遊離酸をpH7.4に合せた燐酸緩衝食塩水(PBS)に溶解して元の位置に製造することができる。これら溶液の溶解度及び安全性は水溶性補助溶媒、例えば、これに制限するわけではないが、HPCDの使用によって向上できる。前記溶解度はPEG400のような界面活性剤を添加して更に向上することができる。一般に、遊離酸を10wt/vol%のHPDC(100mLの水に10g溶解)に懸濁した後、0.5MのPBS(pH7.4)で処理して体積の比を75:25にする。1乃至10分間渦動及び/又は超音波処理すれば、透明な溶液になる(粒子性物質のろ過が必要なこともある)。これを表7に化合物15について示す。
【0088】
[表7]化合物15の調剤
【表19】

【0089】
化合物15は水性HPDC又はPEG400に直接溶解しないが、0.5MのPBS(pH7.4)では多少溶解する。PBS及びHPCDの組み合わせ(25:75)はその溶解度を10mg/mLまで増加させる。前記溶液は4週間以上安定である。上述したように、水性PBS、HPDC及びPEG400を使用して溶解度を2倍増加させることができる。Na−15の水溶解度はカプセル化剤HPDCを使用する場合に顕著に増加し、このような溶解度は、例えばPEG400のようなその他の賦形剤を使用して更に増加できる。
【0090】
化学式I−bで表される選択した化合物の溶解に有用なPBS/HPCD(25:75)の一般的プロトコルを表8に要約する。
【0091】
[表8] PBS/HPCD溶液における化学式I−bで表される化合物の溶解度
【表20】

【0092】
一般に、前記N−アセチル誘導体は10mg/mLで可溶性である反面、N−ブタノイル誘導体は4〜5mg/mLでも可溶性が低い。このような溶解度の減少はN−アセチル基と関連があると見られ、前記化合物のlogPとは関連性があまりない。化合物32及び38はこのような調剤を使用しても可溶性にならない。このような溶解度不足の理由は前記化合物のlogPとは関連性がないためにその理由が不明確であるが、プロピオニル基のHPCDとの不良な相互作用に起因するかも知れない。
【0093】
前記調剤にPEG400を混入して化合物38の溶解度を更に調査した。結果は次の通りである。
【表21】

【0094】
化合物38は二性分PBS/HPCD又はPBS/PEG400調剤で可溶性がないが、PBS、10%HPCD、及び20%PEG400の組み合わせを使用すれば、4週以上安定な4mg/mLの溶解度を得る。化合物38はまた、50:50 PEG400及びエタノールで構成された非−水溶性調剤で10mg/mLの溶解度を有する。
【0095】
化合物31.MeS0Hは10%のHPCDに可溶性がないが、ジメチルアセトアミド(DMAc)には完全に可溶性であり、これを25:75のDMAc/水の比率で希釈してpH5.4の5mg/mL溶液を作ることができる。TFA塩24及び26は水又は10%のHPCDに可溶性がないが、PBS/10wt/vol%のHPCD(25:75)を使用して中和される場合、4〜5mg/mLの溶解度を有する。これら化合物はまた、N−アシルポリ−アミノ酸側鎖のさらなる変形のための開始物質である。
【0096】
薬学的に許容可能な有機塩、例えば、これに限定されるわけではないが、エタノールアミン、ジメチルアミノエタノール及び4−アミノピリジンをN−アシルスルホンアミド脱陽子化に使用して水溶性調剤を作ることができる。このような方式で、1当量のエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール又は4−アミノピリジンを10wt/vol%HPCDの化合物15の懸濁液に添加して5〜10mg/mLの透明溶液を収得する。
【0097】
同様に、1mLのPEG400/エタノール(50:50)に懸濁された25mgの化合物15又は37の懸濁液にエタノールアミン(20μl)を添加して透明な溶液を得る。これは沈澱なく更に水に5倍希釈できる。
【0098】
化合物150はエタノールのようなアルコール類に完全に可溶性であり、上述した調剤中に10〜20mg/mLで溶解できる(250μlPBS、250μl10%HPCD、及び500μl20%PEG400)。
【0099】
したがって、開示された化学式I−bで表される化合物及び/又はその有機又は無機塩は水性及び非水性媒質中で良好な溶解度を示し、薬学技術分野の当業者に公知の多様な投与経路を通じて使用することができる。
【0100】
化合物15はCresteil,T.,et al.(Cresteil,T.,et al.Am.Soc.Pharm.Exper.Therapeutics,2002,30,438−445)によって報告された方法を利用して肝微細小体の存在中で化合物1に転換される。60分後には50%を上回る転換率が観察される。ラットの一次肝細胞と培養する時、化合物15、37、及び44のそれぞれの一次スルホンアミド1、11及び13への転換が観察される。90分の培養後に化合物15、27及び44に対してそれぞれ6、18及び12%の転換率を観察した。
【0101】
ラットに皮下投与する時、化合物15(10mg/mL)はよく分布される(血しょうのCmax=20μg/mL)。化合物15の化合物1への転換で化合物1の血しょう濃度はCmaxが0.5〜1μg/mLに達することが観察される。化合物16の化合物1への転換で化合物1の血しょう濃度はCmaxが3μg/mLに達することが観察される。表5に記載された選択した化合物の場合も10wt/vol%のHPCD水溶液中の同一投与量で投与された化学式I−aで表される、それぞれの一次スルホンアミドナトリウム塩と類似な全血薬品濃度と同様な生体内転換率が観察される。
【0102】
Taxol及びシスプラチンのような化学療法剤で処理する時、ラットは多様な症状の末梢神経病症を示す。化学式I−a及び1−bで表される化合物はシスプラチンによって誘導された感覚神経伝導速度(SNCV)の減少を予防する。
【0103】
雄のSprague−Dawleyラットに毎日2.5mg/kgのシスプラチンを5日間連続投与して、最終累積投与量は12.5mg/kgであった。最終シスプラチン注射後3日目に前記ラットに化合物をSC投与した(濃度は3,10及び30mg/kg)。月曜日から金曜日まで3週連続投与し続けた。末梢神経機能に与えるシスプラチンの効果及び前記化合物が前記シスプラチンの効果を弱化させる能力を薬品処理3週後に尻尾にある神経の感覚神経伝導速度(SNCV)を測定して決めた。刺激用電極を使用して1秒当たり一度の2mAパルスを1.5分間伝達した。得られた化合物の感覚神経活動電位の平均を求めて、前記平均反応から平均反応開始時間を測定した。2個の平均反応時間を決めたが、第2地点は最初の地点から2mm後方にあった。前記2個の記録間の開始時間の差を決めて電導速度を計算した。
【0104】
一般にシスプラチンで処理されたラットは対照群動物と比較してSNCVが減少した。このようなSNCVの減少は化合物14(10及び30mg/kg)での処理によって予防された。同様に、化合物2,6、10、12は10〜30mg/mg(結果は示さなかった)で保護性がある。これら化合物のN−アシル誘導体45、39、及び31(30mg/kg)はこれらモデルでまた保護活性を示し、これはN−アシル薬剤前駆体が末梢神経病症の生体内モデルで転換されて活性があることを証明することである。したがって、化学式I−bで表される化合物は神経退行性疾患、これに制限するわけではないが、例えば末梢神経病症(化合物151及び図1参照)のような疾患の治療に有用である。
【0105】
これら全てを考慮すれば、化学式I−bで表される化合物は化学式I−aで表される一次スルホンアミドの新規な水溶性薬剤前駆体である。これら薬剤前駆体は試験管内で切断でき、生体内で目的とする一次スルホンアミドを生産することができる。
【0106】
化学式I−aで表される一次スルホンアミドは神経退行性疾患の治療(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890)に例示される)及び本明細書に示したように、癌のような増殖性疾患の治療において潜在的治療の可能性を示す。化学式I−bで表される新規な化合物は化学式I−aで表される化合物の有効な薬剤前駆体である。これら化合物は中性に近いpHで水溶解度を有し、これは一次スルホンアミドに対する代替できる伝達システムを示す。化学式Iで表される化合物は神経退行性疾患及び癌のような増殖性疾患の治療に有用である。
【0107】
合成方法
本発明の化合物を次の方法によって合成することができる。
イミダゾ[2、1−b]−1,3,4,−チアジアゾール−2−スルホンアミドは公知の方法を使用して2−アミノ−1、3、4−チアジアゾール−5−スルホンアミドの多様なα−ブロモアセトフェノンとの縮合反応で製造することができる(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890)及び本願の参照文献参照)。
THFのような溶媒で、適切なアシル無水物又はアシル塩化物との一次スルホンアミドのアシル化で目的とするN−アシルスルホンアミドを生産する。
【化11】

【0108】
2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨー化物を使用してスルホンアミドを適切に保護されたα−アミノ酸又はペプチド断片とカップリングすれば、下記のように目的とするN−(2−保護された−アミノ)アシルスルホンアミド誘導体を得る。
【化12】

【0109】
適切な試薬を使用した脱保護というのは、この場合、Boc基をTFAのような酸を使用して除去しTFA塩を収得することである。得られるN−(2−アミノ)アシルスルホンアミドは当業界の知られた方法を使用して更に変更することができる;この場合、適切な塩化アシルによるアシル化である。このようなカップリング反応は多様な活性化アミノ酸、例えば琥珀酸及びペンタフルオロフェニルエステルともよく起こるが、DIC/HOBtカップリングは収率が低い。本明細書に記述された方法は目的とするN−アシルスルホンアミドを生産する当業界に知られたすべての他のカップリングプロトコール及び当業界に知られた多様な保護基の使用及びプロトコルまで含む。
【0110】
一次スルホンアミドの多様なカルボン酸とのカップリングはカップリング剤として2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨー化物を使用してよく行われる。
化合物1、3、5、7、9、11及び13は従来通りに製造された(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890)及び本願の参照文献参照)。
【0111】
化学式I−aで表される化合物のNa塩の一般的製造方法
化合物2、4、6、8、10、12及び14を、化合物1、3、5、7、9、11及び13それぞれを3:2:1THF/EtOH/水溶液に懸濁した後、最少量の水に溶解した1当量のNaOHを添加してそれぞれを製造した。30分後、揮発性物質を従来通りに(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890))減圧下で除去して目的とするナトリウム塩を収得した。
【0112】
化合物15:
化合物1(500mg、1.8mmol)をTHF(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(532μl、3.90mmol)及び塩化酢酸(140mL、1.96mmol)で処理した。前記溶液を16時間攪拌した後1MのHClを添加した(20mL)。収得した固体をろ過してMeOH(3X5mL)と共に磨砕し、白色固体として化合物15を収得した(95%収率)。
【0113】
HNMR(200MHz、DMSO−d)δ8.67(s,1H)、7.89(d,2H)、7.43(t,2H)、7.36(t,1H)、2.00(s,3H)。MS(API−ES、positive scan,m/z)M+1=323.1
【0114】
化合物16:
酪酸無水物を使用して化合物15の方法通りに製造してMeOHと共に磨砕後、白色固体として化合物16を収得した。
H NMR(200MHz、DMSO−d)δ8.87(s,1H)、7.89(d,2H)、7.43(t,2H)、7.36(t,1H)、3.38(q,J=7.8Hz、2H)、1.43(sept,J=7.8z,2H)、1.06(t,J=7.8Hz、3H)。
【0115】
化合物17:
化合物15(2.20g、7.92mmol)をTHF(120mL)中に懸濁し、BocO(2.03g、9.3mmol)及びトリエチルアミン(1.10mL、7.9mmol)で処理した。前記溶液を36時間攪拌した。飽和した水性NHCl(5mL)及びエチルアセテート(20mL)を添加し、有機層を食塩水(2X10mL)で洗浄し、無水MgS0上で乾燥及びろ過して溶媒を減圧下で除去した。収得した固体を40:60のTHF/ヘキサンで溶出してシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、オイルを収得してこれを高真空下で一晩乾燥して白色固体として化合物17を収得した(3.00g)。
H NMR(200MHz、DMSO−d)δ8.71(s,1H)、7.87(d,J=8.3Hz,2H)、7.40(m,2H)、7.29(m,1H)、1.24(s,9H)。
【0116】
化合物18:
化合物15(3.60g、10.0mmol)をTHF(5mL)中に懸濁し、Boc−Gly−OSu(1.60g、16.0mmol)及びトリエチルアミン(3.0mL、22.0mmol)で処理した。前記溶液を36時間攪拌した。飽和した水性NHCl(5mL)及びエチルアセテート(20mL)を添加し、有機層を食塩水(2X10mL)で洗浄して無水MgS0上で乾燥及びろ過して溶媒を減圧下で除去した。収得した固体を冷エチルアセテートから結晶化して灰色を帯びる白色固体を収得した(1.80g、41%)。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.67(s,1H)、7.86(s,J=7.3Hz,2H)、7.40(t,J=7.3Hz,2H)、7.30(t,J=7.3Hz,1H)、6.47(br t,1H)、3.45(br d、2H)、1.33(s,3H)。
【0117】
化合物19:
化合物19(0.39g)をトリフルオロ酢酸(3mL)中に懸濁し、3滴の水を添加した。前記溶液を30分間の攪拌して揮発性物質は減圧下で除去し、定量可能な量の化合物19を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.70(s,1H)、7.86(d、J=7.0Hz、2H)、7.79(br s,1H)、7.40(t,J=7.0Hz,2H)、7.28(t,J=7.0Hz,1H)、3.44(m,2H)。
【0118】
化合物22:
化合物15(360mg、1.0mmol)をTHF(5mL)中に懸濁し、琥珀酸無水物(160mg、1.6mmol)及びトリエチルアミン(306μl、2.2mmol)で処理した。前記溶液を一晩攪拌した。飽和した水性NHCl(5mL)及びエチルアセテート(20mL)を添加して有機層を食塩水(2X10mL)で洗浄し、無水MgS0上で乾燥及びろ過して溶媒を減圧下で除去した。収得した固体をMeOH(10mL)と共に磨砕して白色の固体を収得した(192mg)。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.87(s,1H)、7.88(d、J=7.4Hz,2H)、7.42(t,J=7.4Hz,2H)、7.31(t,J=7.3Hz,1H)、2.54−2.35(m,4H)。
【0119】
化合物23:
Boc−Gly−OSuの代わりにBoc−Met−OSuを使用して化合物18で記載の方法通りに製造した。未精製反応混合物を線形勾配の0〜75%MeOH/CHClで溶出してシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、白色固体として化合物23を収得した(280mg)。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.16(s,1H)、7.72(d,J=7.3Hz,2H)、7.40−7.20(m,3H)、5.61(br s,1H)、4.23(m,1H)、2.63(m,2H)、1.92(s,3H)、1.95−1.90(m,2H)、1.32(s,9H)。
【0120】
化合物24:
化合物26をトリフルオロ酢酸(3mL)に懸濁し、3滴の水を添加した。前記溶液を30分間攪拌して揮発性物質を減圧下で除去し、定量可能な収率の化合物24を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.73(s,1H)、7.94(br s,2H)、7.91(d,J=7.9Hz,2H)、7.38(t,J=7.1Hz,2H)、7.27(t,J=7.2Hz,1H)、3.67(br d,1H)、2.60(s,3H)、2.58(m,2H)、2.04(m,2H).LCMS M+1=412.1.
【0121】
化合物25:
化合物25をBoc−Gly−OSuの代わりにBoc−PRO−OSuを使用して化合物18で記載の方法通りに製造し、化合物25及び1の1.5:1の分離不可能な(シリカゲル又はC18クロマトグラフィー)混合物を収得した。前記未精製混合物を精製せず次の段階で使用した(化合物25)。
【0122】
化合物26:
化合物25由来の半未精製反応混合物をトリフルオロ酢酸(5mL)に懸濁し、3滴の水を添加した。前記溶液を30分間攪拌して揮発性物質を減圧下で除去した。収得した固体を熱いエチルアセテート(10mL)と共に磨砕して灰色を帯びる白色固体として化合物26を収得した(210mg)。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ9.01(br s,1H)、8.72(s,1H)、8.30(br s,1H)、7.86(d,J=7.3Hz,2H)、7.37(t,J=7.3Hz,2H)、7.27(t,J=7.3Hz,1H)、4.02(m,1H)、3.11(m,2H)、2.18(m,1H)、1.84(m,3H)。
【0123】
化合物27:
N,N−ジメチルグリジン(506mg、4.91mmol)をCHCl(5mL)に懸濁し、塩化オキサリル(430mL、4.91mmol)及び2滴のDMFで処理した。1時間後に、前記溶液の温度を室温に上げて1時間攪拌した。化合物3(450mg、1.55mmol)のTHF(5mL)溶液及びトリエチルアミン(1.37mL、9.83mmol)を添加して収得した懸濁液を一晩攪拌した。水(10mL)を添加して固体をろ過した後、水(2X5mL)及びエチルアセテート(2X5mL)で洗浄して化合物27(267mg)を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ9.14(br s,1H)、8.70(br s,1H)、7.87(m,2H)、7.24(m,2H)、3.77(s,2H)、2.71(s,6H).MS(API−ES、positive scan,m/z)M+1=384.1.
【0124】
化合物28:
塩化アセチルの代わりに化合物5を酢酸無水物及び触媒作用をするDMAPで処理し、化合物15に記載の方法通りに製造してMeOHと共に磨砕した後、黄色固体として化合物28を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.79(s,1H)、7.48(s,1H)、7.45(d,J=8.5Hz,1H)、6.99(d,J=8.5Hz,1H)、4.14(m,4H)、2.09(m,2H)、2.01(s,3H).MS(API−ES、positive scan,m/z)M+1=395.1.
【0125】
化合物29:
塩化アセチルの代わりに化合物5を2−メトキシ塩化アセチル及び触媒作用をするDMAPで処理し、化合物15に記載の製造方法通りに製造した。飽和した水性NHCl(5mL)及びエチルアセテート(20mL)を添加して有機層を食塩水(2X10mL)で洗浄し、無水MgS0上で乾燥及びろ過した後、溶媒を減圧下で除去して白色固体として化合物29を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.74(s,1H)、7.47(s,1H)、7.46(d,J=8.2Hz,1H)、6.99(d,J=8.2Hz,1H)、4.13(m,4H)、3.90(s,2H)、2.23(s,3H)、2.10(m,2H)。
【0126】
化合物30:
塩化アセチルの代わりに化合物6を酢酸無水物及び触媒作用をするDMAPで処理し、化合物15に記載の方法通りに製造した。飽和した水性NHCl(5mL)及びエチルアセテート(20mL)を添加して有機層を食塩水(2X10mL)で洗浄し、無水MgS0上で乾燥及びろ過した後、溶媒を減圧下で除去して黄色固体として化合物30を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ1.95(s,3H)、3.14(t,J=4.3Hz,4H)、3.73(t,J=4.0Hz,4H)、6.98(d,J=8.9Hz,2H)、7.75(d,J=8.8Hz,2H)、8.65(s,1H)。
【0127】
化合物33:
化合物6を酪酸無水物及び触媒作用をするDMAPで処理し、化合物15に記載の方法通りに製造した。飽和した水性NHCl(5mL)及びエチルアセテート(20mL)を添加して有機層を食塩水(2X10mL)で洗浄し、無水MgS0上で乾燥及びろ過した後、溶媒を減圧下で除去して黄色固体として化合物33を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.79(s,1H)、7.48(s,1H)、7.46(d,J=8.8Hz,1H)、7.00(d,J=8.8Hz,1H)、4.13(m,4H)、2.25(t,J=7.0Hz,2H)、2.15(m,2H)、1.48(t,J=7.0Hz,1H)、1.45(q、J=7.0Hz,2H)、0。80(t,J=7.0Hz,3H)。
【0128】
化合物34:
化合物15に記載の方法通りに製造してMeOHと共に磨砕した後、白色固体として化合物34を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.92(s,1H)、7.98(d,J=8.2Hz,2H)、7.75(d,J=8.2Hz,2H)、7.40−7.20(m,3H)、6.92(d,J=6.5Hz,1H)、3.92(s,3H)、2.02(s,3H)。
【0129】
化合物35:
塩化アセチルの代わりに2−メトキシ塩化アセチルを使用して化合物15に記載の方法通りに製造しMeOHと共に磨砕した後、白色固体として化合物35を収得した(95%収率)。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.89(s,1H)、7.96(d,J=8.4Hz,2H)、7.75(d,J=8.4Hz,2H)、7.32(m,3H)、6.93(m,1H)、3.91(s,2H)、3.82(s,3H)、3.24(s,3H)。
【0130】
化合物37:
化合物15に記載の方法通りに製造してMeOHと共に磨砕した後、黄色固体として化合物37を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.98(s,1H)、8.19−7.90(m,4H)、7.83(d,J=8.5Hz,2H)、7.72(m,2H)、2.01(s,3H)。
【0131】
化合物40:
酪酸無水物を使用して化合物15に記載の方法通りに製造しMeOHと共に磨砕した後、白色固体として化合物40を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.99(s,1H)、8.04(m,4H)、7.84(d,J=8.3Hz,2H)、7.72(m,2H)、3.38(t,J=7.3Hz,2H)、1.5(m,2H)、0.81(t,J=7.7.4Hz,3H)。
【0132】
化合物41:
化合物11(250mg、0.5mmol)、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨー化物(140mg、0.55mmol)、DMAP(10Mg)、及びトリエチルアミン(252μl、1.81mmol)をTHF(10mL)中に懸濁した。2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(73μl、0.55mmol)を前記混合物に添加して室温で3日間攪拌した。前記溶液をエチルアセテート及び水を使用して抽出した。前記溶液を1MのHCl(10mL)で処理し、エチルアセテート(50mL)で抽出した。有機層を分離し、無水MgS0上で乾燥及びろ過した後、溶媒を減圧下で除去した。収得した固体をアセトン(105mg)と共に磨砕して精製した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.79(s,1H)、8.01(m,4H)、7.81(m,2H)、7.05(m,2H)、3.79(s,2H)、3.50(m,2H)、3.42(m,2H)、3.20(s,3H)。
【0133】
化合物42:
化合物42を2−[−2−(メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(93mg、0.6mmol)を使用して化合物41に記載の方法通りに製造した。メタノールと共に磨砕して精製して淡黄色固体を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.61(s,1H0、8.0−7.92(m,4H)、7.78−7.66(m,4H)、3.72(s,3H)、3.72−3.58(m,4H)、3.53(m,2H)、3.29(m,2H)。
【0134】
化合物43:
化合物15(2.20g、7.92mmol)をTHF(120mL)中に懸濁し、BocO(2.03G、9.3mmol)及びトリエチルアミン(1.10mL、7.9mmol)で処理した。前記溶液を36時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、収得した固体をエチルアセテート(200mL)と水(100mL)間に分配した。有機層を水(2X100mL)、10%のクエン酸(50mL)、及び水(2X50mL)で洗浄し、無水MgS0上で乾燥及びろ過した後、揮発性物質を減圧下で除去して黄色固体として化合物43を収得した(5.90g、収率100%)。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ9.00(s,1H)、8.03(m,4H)、7.85(m,2H)、7.72(m,2H)、1.35(s,9H)。
【0135】
化合物44:
化合物44を化合物15に記載の方法通りに製造してMeOHと共に磨砕した後、白色固体を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.73(s,1H)、7.88(d,J=8.2Hz,2H)、7.49(d,J=8.2Hz,2H)、7.08−7.02(m,4H)、1.90(s,3H)。
【0136】
化合物45:
化合物45をメトキシ塩化アセチルを使用して化合物15に記載の方法通りに製造してMeOHと共に磨砕した後、白色固体を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.77(s,1H)、7.90(d,J=8.2Hz,2H)、7.42(d,J=8.2Hz,2H)、7.06(m,4H)、3.89(s,2H)、3.22(s,3H)。
【0137】
化合物46:
化合物46を酪酸無水物を使用して化合物15に記載の方法通りに製造してMeOHと共に磨砕した後、白色固体を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.80(s,1H)、7.92(d,8.0Hz,2H)、7.45(d,J=8.0Hz,2H)、7.07(m,4H)、2.20(t,2H)、1.46(q、2H)、0.80(t,3H)。
【0138】
化合物47:
化合物47を塩化ピバボイルを使用して化合物15に記載の方法通りに製造してMeOHと共に磨砕した後、白色固体を収得した。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.74(s,1H)、7.89(d,J=8.2Hz,2H)、7.42(d,J=8.0Hz,2H)、7.05(m,4H)、2.13(m,2H)、1.41(m,4H)、1.25−1.08(m,22H)、0.82(br t,3H)。
【0139】
化合物48:
化合物13(200mg、0.466mmol)をTHF(10mL)中に懸濁し、クロロ蟻酸ベンジル(2.0当量)及びトリエチルアミン(2.5当量)で処理した。前記反応混合物を加熱及び還流し、一晩攪拌した。前記溶液を1MのHCl(10mL)で処理し、エチルアセテート(50mL)で抽出した。有機層を分離し、無水MgS0上で乾燥及びろ過した後、溶媒を減圧下で除去した。収得した固体を5〜100%のEtOAc/ヘキサン勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィー(Flash Master Solo LC)で精製して黄色粉末として化合物48を収得した(110mg、44%)。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.67(s,1H)、7.90(d,2H、J=8.9Hz)、7.42(d,2H、J=8.9Hz)、7.26(m,5H)、7.07(q、4H、J=2.1Hz,J=8.9Hz)、4.85(s,2H)。
【0140】
化合物49:
化合物13(300mg、0.7mmol)、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨー化物(1.5当量)、DMAP(0.15当量)、及びトリエチルアミン(4当量)をTHF(10mL)中に懸濁した。Boc−Val−OH(1.5当量)を添加し、前記混合物を40分間加熱して還流した。前記溶液をエチルアセテート及び水を使用して抽出した。前記溶液を1MのHCl(10mL)で処理し、エチルアセテート(50mL)で抽出した。有機層を分離して無水MgS0上で乾燥及びろ過した後、溶媒を減圧下で除去した。収得した固体を5〜100%のEtOAc/ヘキサン勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィー(Flash Master Solo LC)で精製して淡褐色固体として化合物49を収得した(35mg、8%収率)。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.67(s,1H)、7.90(d,2H、J=8.9Hz)、7.43(d,2H、J=8.9Hz)、7.06(d,4H、J=7.6Hz)、5.97(br d,1H)、3.66(m,1H)、1.34(s,9H)、0.78(q、6H、J=6.4Hz,J=15.6Hz)
【0141】
化合物50:
化合物50をBoc−Phg−OHを使用して化合物49に記載の方法通りに製造し、黄色粉末を収得した(118mg、26%収率)。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.67(s,1H)、7.90(d,2H、J=8.5Hz)、7.43(d,2H、J=9.2Hz)、7.29(m,5H)、7.07(m,4H)、6.79(br d,1H)、4.90(br d,1H)、1.33(s,9H)
【0142】
化合物51:
化合物51をBoc−Arg−OHを使用して化合物49の方法通りに製造した。収得した固体を10〜50%のMeOH/CHCl勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィー(Flash Master Solo LC)で精製して淡褐色固体として化合物51を収得した(15mg、3%収率)。
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.64(s,1H)、7.89(d,2H、J=8.5Hz)、7.43(d,2H、J=8.5Hz)、7.07(q、4H、J=2.6Hz,J=8.7Hz)、6.27(d,1H、J=8.2Hz)、3.86(m,1H)、3.05(m,2H)、1.71(br s,1H)、1.46(m,4H)、1.35(s,9H)。
【0143】
化合物53乃至140:
化合物53乃至140を従来技術通りに製造した(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890)参照)。
化合物141乃至149をPCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890)に記載された方法と同様な方法で製造した。
【0144】
化合物141:
H NMR(DMSO d、200MHz)δ8.95(s,1H)、8.73(s,2H)、8.32(d,J=6.7Hz,1H)、8.02(s,1h)、7.89(d,J=7.3Hz,1H)、7.45−7.39(m,2H)、3.65(d,J=6.7Hz,2H)、1.50−1.45(m,2H)、1.31−1.24(m,2H)、0.73(t,J=7.0Hz,3H);13C NMR(DMSO d、50MHz)δ163.9、145.0、140.3、135.1、127.1、124.9、123.7、123.5、121.6、114.9、113.0、111.3.
【0145】
化合物142:
H NMR(DMSO d、200MHz)δ8.88(s,1H)、8.73(s,2H)、8.27(d,J=6.4Hz,1H)、7.75(s,1H)、7.66(d,J=7.9Hz,1H)、7.35−7.17(m,5H)、7.05(s,1H)、7.02(d,J=6.7Hz,1H)、5.03(s,2H);13C NMR(DMSO d、50MHz)δ164.0、145.0、140.4、135.5、130.8、129.0、128.5、127.5、126.8、124.8、124.0、123.4、121.4、114.8、113.1、111.3、58.9.
【0146】
化合物143:
H NMR(200MHz,DMSO−d、)δ8.95(s,1H)、8.75(s,2H)、8.26−8.21(m,4H)、8.03−7.93(m,3H)、7.45−7.38(m,2H)。
【0147】
化合物144:
H NMR(DMSO d、200MHz)δ8.92(s,1H)、8.75(s,2H)、8.35−8.23(m,3H)、8.27(s,1H)、8.07−8.04(m,2H)、7.38(t,J=7.9Hz,1H)、7.49−7.33(m,2H);13C NMR(DMSO d、50MHz)δ164.3、145.2、139.9、137.9、134.7、131.8、130.9、130.2、127.8、125.7、124.4、123.4、121.9、120.3、117.3、113.4、111.9、96.0。
【0148】
化合物145:
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.95(s,1H)、8.75(s,2H)、8.37−8.26(m,6H)、8.02(d,J=7.3Hz,1H)、7.45−7.37(m,2H)。
【0149】
化合物146:
H NMR(DMSO d、200MHz)δ8.93(s,1H)、8.75(s,2H)、8.24(d,J=8.9Hz,1H)、8.22(s,1H)、8.14−8.07(m,2H)、8.01(d,J=7.9Hz,1H)、7.46−7.37(m,4H)。
【0150】
化合物147:
H NMR(200MHz,DMSO−d)δ8.93(s,1H)、8.74(s,2H)、8.25−8.19(m,2H)、7.95−7.92(m,3H)、7.37−7.39(m,2H)、7.05(d,J=8.2Hz,2H)。
【0151】
化合物148:
H NMR(DMSO d、200MHz)δ8.94(s,1H)、8.77(s,2H)、8.32(d,J=7.0Hz,1H)、8.02(s,1H)、7.88(d,J=7.3Hz,1H)、7.46−7.37(m,2H)、3.49(s,3H);13C NMR(DMSO d、50MHz)δ164.1、145.1、140.5、134.9、127.3、125.1、123.7、123.6、121.7、115.2、113.2、111.5。
【0152】
化合物149:
H NMR(DMSO d、200MHz)δ8.99(s,1H)、8.74(s,2H)、8.17(s,1H)、7.89(d,J=6.7Hz,1H)、7.61−7.24(m,5H)、6.94(d,J=7.3Hz,1H)、3.82(s,3H);13C NMR(DMSO d、50MHz)δ189.3、184.9、171.7、170.3、166.5、165.7、158.9、155.1、154.5、151.4、149.2、148.4、144.2、138.2、137.4、136.5。
【0153】
化合物150:
化合物1(1.50g、4.15mmol)をTHF(180mL)中に溶解し、トリエチルアミン(2.52mL、24.9mmol)及び塩化セバコイル(2.98g、12.4mmol)で処理した。前記混合物を2時間攪拌した後、PEG400(5.32g、13.2mmol)を添加した。前記溶液を更に1時間攪拌した後、1MのHCl(20mL)及びエチルアセテート(10mL)を添加した。有機層を水(2X50mL)で洗浄し、無水MgS0上で乾燥及びろ過した後、揮発性物質を減圧下で除去した。収得した半−固体を最少量のメタノールに溶解した後、5〜100%のアセトニトリル/水勾配で溶出してC18逆相クロマトグラフィーで精製し、黄色半−固体として化合物150を収得した。
H NMR(200MHz,CD0D)δ8.52(s,1H)、7.83(m,2H)、7.49−7.30(m,3H)、4.17(m,1H)、3.63(m,14H)、2.40−2.20(m,4H)、1.58(m,5H)、1.40−1.20(m,9H)。
【0154】
実施例:シスプラチン誘導の神経病症のラットモデル
雄のSprague−Dawleyラット(到着時体重200〜225g)に毎日2.5mg/kgのシスプラチンを5日連続腹腔投与し、最終累積投与量は12.5mg/kgであった。最終シスプラチン注射後3日目に、動物に3、10及び30mg/kg濃度の化合物をSC投与した。3週連続月曜日から金曜日まで投与し続けた。
末梢神経機能に与えるシスプラチンの効果及び前記化合物が前記シスプラチンの効果を弱化させる能力を薬品処理3週後に尻尾にある神経の感覚神経伝導速度(SNCV)を測定して決めた。刺激用電極を使用して1秒当たり一度の2mAパルスを1.5分間伝達した。得られる化合物の感覚神経活動電位の平均を求めて、前記平均反応から平均反応開始時間を測定した。2個の平均反応時間を決定したが、第2位置は最初の位置から20mm後方にあった。前記2個の記録間の開始時間の差を決めて電導速度を計算した。
SNCV=距離(20mm)/後方開始−前方開始(msec)
前記実験の結果を合わせてANOVAを行った後、Fisher LSDテストを行った。
【0155】
実施例:抗癌活性
Alamarブルー生活度分析法を使用して化合物の抗癌特性をテストした。
15N神経芽細胞腫細胞のDaoy人間髄芽腫細胞を96ウォールプレートにウォール当り5000個細胞で播種し、5%ウシ胎児血清及び抗生剤で補充されたRPMI培地中で培養した。
【0156】
培地中の細胞を化合物と共に48時間培養した後、Alamarブルーを前記培養培地に添加した。4時間後に、培地を不透明な白色プレートに移し、変形されたAlamarブルーの蛍光を励起波長535/放出波長595で測定した。A1は髄芽細胞腫細胞の生活力において投与量依存的減少を招いた。
【0157】
実施例:クローン原性分析
Du145前立腺癌、HCT116大腸癌、15N神経芽細胞腫、IMR32神経芽細胞腫、Daoy髄芽腫、及びMDAMB231乳癌細胞を6ウォールプレートに播種し、5日間育つように放置した。細胞を24時間化合物に露出させた後、培養培地を除去して新鮮な培地に交換した。細胞を7〜10日間継続して培養した後、コロニーの数を数えて非−処理対照群に対するEC50値を決めた。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】化合物14、45、39及び31がシスプラチンによって誘導されたSNCVを弱化させる効果を示す。シスプラチンで処置されたラットは対照群ラットと比較してSNCVの増加が減少したことを示す。このようなSNCVの損失は化合物14(10mg/kg)で処置した時に防止される。N−アシル誘導体45、39及び31(3、10及び30mg/kg)もこのような末梢神経病症モデルで30mg/kgで同様な効能を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iで表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
[化学式I]
【化1】

は下記のように構成される群から選択され:
a)C(O)−R(式において、RはC(1−18)置換された又は置換されていないアルキル、置換された又は置換されていないアリール、置換された又は置換されていないヘテロアリールから選択される)と;
b)C(O)−(CH)n−(C(O))−(OCHCHOR10(式において、n=0−6、p=0−1、m=0−22、及びR10はH、置換された又は置換されていないC(1−6)アルキル、置換された又は置換されていないアリール、置換された又は置換されていないヘテロアリールである)と;
c)C(O)−(CHR11−NR1213(式において、n=1−5、R11は水素、置換又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリールで構成される群から選択され、R12及びR13はそれぞれ水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリール、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキルカルボニル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリールカルボニル、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリールカルボニルで構成される群から選択されたり又はR12及びR13を組み合わせて5乃至7員の置換された又は置換されていないヘテロシクリック環システムの一員を形成する)と;
はHであり;
はH、メチル、及び置換された又は置換されていないベンジルで構成される群から選択され;
は下記のように構成される群から選択され;
(I)フルオロC(1−6)−アルキル、置換された又は置換されていないC(6−16)−アリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール、置換された又は置換されていないビフェニル、置換された又は置換されていないジフェニルエーテル、置換された又は置換されていないクマリニル及びアダマンチル;
ここで、アリールもしくはヘテロアリールR置換体環システムにおける隣接した炭素又はアリール、ヘテロアリール、ビフェニル、ジフェニルエーテルもしくはクマリニルR置換体の環システムにおける隣接した炭素は共に融合されたシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環で置換することができ、前記シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は一個以上のアルキル基で更に置換したり又は互いに結合して環を形成した2個のアルキル基で追加的に置換することができ;
(II)
【化2】

(III)
【化3】

式において、Xは、O又はS(O)の結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり、環Aの2、3又は4位置で環Aに結合されており;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、
ここで、任意の隣接した2個のR基は互いに組み合わせて融合されたアリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール、環システムの一員を形成することができ;及び
(IV)
【化4】

式において、
Xは、O又はS(O)nの結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環A及びBのヘテロアリール環システムは1個以上のヘテロ原子を含み、置換又は非置換され;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され;
ここで、任意の2個の隣接したR基は互いに組み合わせて融合されたアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール、環システムの一員を形成することができる。
【請求項2】
はC(O)R(式において、RはC(2−4)アルキル)であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
はC(O)R(式において、RはC(5−18)アルキル)であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
はC(O)−(CHR11−NR1213であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
はC(O)CHCH−(−O−CHCH−)OR10(式において、n=1−6及びR10はH又はCH)であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
はC(O)−(CH−C(O)−(OCHCHOH(式において、n=2−5及びm=1−22)であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
はC(O)−(CHCH−(O)OR10(式において、n=1−8であり、R10は水素、C(1−6)置換された又は置換されていないアルキル、置換された又は置換されていないアリール、及び置換された又は置換されていないヘテロアリールから選択される)であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
はC(O)OR10であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
はC(O)CHCHCOHであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
前記置換体は下記のように構成される群から選択されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
1)H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、C(1−8)アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アジド、B(OH)、及びアダマンチル;
2)XR19(式において、X=O又はSであり、R19はC(1−8)アルキル、ヒドロキシル、C(1−4)アルコキシ、フルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、低級アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、及びアリールアミノカルボニルである);
3)NR1415(式において、R14及びR15は独立的にC(1−8)アルキルであり又はR14及びR15は互いに結合してアルキル又はヘテロアルキル環システムを形成し;
前記C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、C(1−8)アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル及びC(1−4)アルコキシは更に前記置換体1−3で置換することができる。
【請求項11】
化合物15乃至51及び化合物150。
【請求項12】
塩の形態であり、カプセル化剤でカプセル化されたことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
前記カプセル化剤はシクロデキストランであることを特徴とする、請求項12に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
前記カプセル化剤はヒドロキシプロピルシクロデキストランであることを特徴とする、請求項12に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
前記塩はエタノールアミン塩、ジメチルアミノエタノール塩、及び4−アミノピリジン塩で構成される群から選択される塩であることを特徴とする、請求項12乃至14のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
前記塩はナトリウム塩であることを特徴とする、請求項12乃至14のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項17】
神経退行性症状の治療に使用する、請求項1乃至16のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項18】
軸索成長及び/又は治療に使用されることを特徴をする、請求項17に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項19】
信号伝達変更の誘導に使用されることを特徴をする、請求項17に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項20】
前記神経退行性疾患は下記のように構成される群から選択されることを特徴とする、請求項17乃至19のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用:
アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮症、糖尿病、HIV、虚血、急性眼球発作又は緑内障後の網膜神経節損失、ウイルス感染後の神経退行性症状、及びHIVの治療用化学療法剤の使用によって生じる神経障碍。
【請求項21】
前記神経退行性症状は目の退行性疾患であることを特徴とする、請求項17乃至19のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項22】
増殖性症状の治療に使用される請求項1項乃16のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項23】
前記増殖性疾患は癌であることを特徴とする、請求項22に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項24】
前記癌は前立腺癌、大腸癌、神経芽細胞腫、髄芽腫及び乳癌で構成される群から選択されることを特徴とする、請求項23に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項25】
前記化合物は前記症状の治療用であって、当業界に知られた他の化合物と共に使用されることを特徴とする、請求項17乃至24のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項26】
カプセル化剤でカプセル化された下記化学式Iで表される化合物及びその薬学的に許容可能な塩:
[化学式I]
【化5】

はH又はC(1−4)アルキルであり;
はHであり;
はH、メチル、置換された又は置換されていないベンジルで構成される群から選択され;
は下記のように構成される群から選択され:
(I)フルオロC(1−6)−アルキル、置換された又は置換されていないC(6−16)−アリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール、置換された又は置換されていないビフェニル、置換された又は置換されていないジフェニルエーテル、置換された又は置換されていないクマリニル、及びアダマンチル;
ここで、アリールもしくはヘテロアリールR置換体環システムにおける隣接した炭素又はアリール、ヘテロアリール、ビフェニル、ジフェニルエーテルもしくはクマリニルR置換体の環システムにおける隣接した炭素は共に融合されたシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環で置換することができ、前記シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は1個以上のアルキル基で更に置換したり又は互いに結合して環を形成した2個のアルキル基で更に置換することができ;
(II)
【化6】

(III)
【化7】

式において、
Xは、O又はS(O)の結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり、環Aの2、3又は4位置で環Aに結合されており;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、
ここで、任意の2個の隣接したR基は互いに組み合わせて融合されたアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール、環システムの一員を形成し;及び
(IV)
【化8】

式において、Xは、O又はS(O)の結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環A及びBのヘテロアリール環システムは1個以上のヘテロ原子を含み、置換又は非置換され;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され;
式において、任意の2個の隣接したR基は互いに組み合わせて融合されたアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール、環システムの一員を形成することができる。
【請求項27】
前記カプセル化剤はシクロデキストランであることを特徴とする、請求項26に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩。
【請求項28】
前記カプセル化剤はヒドロキシプロピルシクロデキストラン(HPCD)であることを特徴とする、請求項26に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩 。
【請求項29】
増殖性症状の治療に使用される、請求項26乃至28のいずれかに記載の化合物の薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項30】
前記増殖性症状は癌であることを特徴とする、請求項29に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項31】
前記癌は前立腺癌、大腸癌、神経芽細胞腫、髄芽腫及び乳癌で構成される群から選択されることを特徴とする、請求項30に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項32】
前記化合物は増殖性症状の治療用であって、当業界に知られた他の化合物と共に使用されることを特徴とする、請求項29乃至31のいずれかに記載の化合物の薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項33】
増殖性症状の治療に使用される、下記化学式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用:
[化学式I]
【化9】

式において、RはH又はC(1−4)アルキルであり;
はHであり;
はH、メチル、置換された又は置換されていないベンジルで構成される群から選択され;
は下記のように構成される群から選択され:
(I)フルオロC(1−6)−アルキル、置換された又は置換されていないC(6−16)のアリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール、置換された又は置換されていないビフェニル、置換された又は置換されていないジフェニルエーテル、置換された又は置換されていないクマリニル、及びアダマンチル;
ここで、アリールもしくはヘテロアリールR置換体の環システムの隣接した炭素原子又はアリール、ヘテロアリール、ビフェニル、ジフェニルエーテルもしくはクマリニルR6置換体の環システムにおける隣接した炭素原子は共に融合されたシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環で置換することができ、前記シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は1個以上のアルキル基又は互いに結合して環を形成した2個のアルキル基によって更に置換することができ;
(II)
【化10】

(III)
【化11】

式において、Xは、O又はS(O)nの結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり、環Aの位置2、3又は4に結合されており;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、
ここで、任意の2個の隣接したR基は互いに組み合わせて融合されたアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール、環システムの一員を形成し;及び
(IV)
【化12】

式において、
Xは、O又はS(O)nの結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環A及びBのヘテロアリール環システムは1個以上のヘテロ原子を含み、置換又は非置換され;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され;
ここで任意の2個の隣接したR基は互いに組み合わせて融合されたアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール、環システムの一員を形成することができる。
【請求項34】
前記増殖性症状は癌であることを特徴とする、請求項33に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項35】
前記癌は前記癌は前立腺癌、大腸癌、神経芽細胞腫、髄芽腫及び乳癌で構成される群から選択されることを特徴とする、請求項34に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項36】
前記化合物は増殖性症状の治療用であって、当業界に知られた他の化合物と共に使用されることを特徴とする、請求項33乃至35のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項37】
は請求項2乃至9で定義したものと同一であり、R=R=Hであり、Rは下記から選択されることを特徴とする、請求項2乃至9のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
【化13】

【請求項38】
神経退行性疾患又は増殖性疾患の治療に使用される、請求項37に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項39】
前記増殖性疾患は癌であることを特徴とする、請求項38に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iで表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
[化学式I]
【化1】

式において、
は下記のように構成される群から選択され:
a)C(O)−R(式において、Rは置換された又は置換されていないC(1−18)アルキル、置換された又は置換されていないアリール、置換された又は置換されていないヘテロアリールから選択される);
b)C(O)−(CH−(C(O))−(OCHCHOR10(式において、n=0−6、p=0−1、m=0−22、及びR10はH、置換された又は置換されていないC(1−6)アルキル、置換された又は置換されていないアリール、置換された又は置換されていないヘテロアリールである);及び
c)C(O)−(CHR11−NR1213(式において、n=1−5、R11は水素、置換又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリールで構成される群から選択され、R12及びR13それぞれ別個に水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリール、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキルカルボニル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリールカルボニル、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリールカルボニルで構成される群から選択されるか;又はR12及びR13は組み合わせて5乃至7員の置換された又は置換されていないヘテロシクリック環システムを形成する)
はH又はC(1−4)アルキルであり;
はH、メチル、及び置換された又は置換されていないベンジルで構成される群から選択され;
は下記のように構成される群から選択され;
(i)フルオロC(1−6)−アルキル、置換された又は置換されていないC(6−16)−アリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール、置換された又は置換されていないクマリニル、及びアダマンチル;
(ii)
【化2】

(iii)
【化3】

式において、Xは結合、O又はS(O)を示し、ここで、n=0、1又は2であり、環Aの2、3又は4位置で環Aに付着されており;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、
ここで、任意の2個の隣接したR24乃至R28基は互いに組み合わされて縮合されたアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール環システムを形成することができ;及び
(iv)
【化4】

式において、
XはO又はS(O)の結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され;
ここで、任意の2個の隣接した24乃至R28基は互いに組み合わされて縮合されたアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール環システムを形成することができ、ここで前記環A及びBのヘテロアリール環システムは1個以上のヘテロ原子を含み、置換又は非置換されている。
【請求項2】
はC(O)R式において、Rは置換された又は置換されていないC(1−18)アルキルから選択される)であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
はC(O)R式において、Rは置換された又は置換されていないC(1−18)アルキルから選択される)であることを特徴とする、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
はC(O)−(CH−(C(O))−(OCHCHOR10(式において、n=0−6、p=0−1、m=0−22;及びR10はH、置換された又は置換されていないC(1−6)アルキルである)であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
10はH又はCHであることを特徴とする、請求項4に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
はC(O)−(CHR11−NR1213であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
式において、n=1−5;R11は水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリールで構成される群から選択され;
12及びR13はそれぞれ別個に水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリール、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキルカルボニル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリールカルボニル、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリールカルボニルで構成される群から選択されるか;又は
12及びR13は組み合わされて5乃至6員の置換された又は置換されていないヘテロシクリック環システムを形成する。
【請求項7】
n=1であることを特徴とする、請求項6に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
11は水素及び置換された又は置換されていないC(1−8)アルキルから選択されることを特徴とする、請求項6に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
12及びR13はそれぞれ別個に水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキルから選択されることを特徴とする、請求項6に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
12及びR13は組み合わされて、5乃至6員の置換された又は置換されていないヘテロシクリック環システムを形成することを特徴とする、請求項6に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
はH又はメチルであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
はHであることを特徴とする、請求項11に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
はHであるであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
は下記のように構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
(i)フルオロC(1−6)−アルキル、置換された又は置換されていないC(6−16)−アリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール、置換された又は置換されていないクマリニル、及びアダマンチル;
(ii)
【化5】

(iii)
【化6】

式において、
Xは結合、O又はS(O)を示し、ここで、n=0、1又は2であり、環Aの2、3又は4位置で環Aに付着されており;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され;ここで、任意の2個の隣接したR24乃至R28基は互いに組み合わされて縮合されたアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、又は置換されたヘテロアリール環システムを形成することができる。
【請求項15】
は下記のように構成される群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
(i)置換された又は置換されていないC(6−16)−アリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール;
(ii)
【化7】

(iii)
【化8】

式において、
Xは結合、Oを示し、環Aの2、3又は4位置で環Aに付着されており;
環A上のR23はHであり;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択される。
【請求項16】
は下記から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【化9】

【請求項17】
前記置換体は下記のように構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
1)H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、C(1−8)アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アジド、B(OH)、及びアダマンチル;
2)XR19(式において、X=O又はS、及びR19はC(1−8)アルキル、ヒドロキシル、C(1−4)アルコキシ、フルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、低級アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、及びアリールアミノカルボニルである);及び
3)NR1415(式において、R14及びR15は独立的にC(1−8)アルキルであるか、又はここで、R14及びR15は結合してアルキル又はヘテロアルキル環システムを形成する)、
ここで、前記C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、C(1−8)アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、及びC(1−4)アルコキシは前記列挙した置換体1)、2)及び3)で更に置換することができる。
【請求項18】
下記化合物で構成される群から選択される化学式Iで表される化合物:
[化合物I]
【化10】

【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【請求項19】
下記化学式の化合物:
【化11】

【請求項20】
前記化合物は、カプセル化剤にカプセル化された塩であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項21】
前記カプセル化剤はシクロデキストランであることを特徴とする、請求項20に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項22】
前記カプセル化剤はヒドロキシプロピルシクロデキストラン(HPCD)であることを特徴とする、請求項20に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項23】
前記塩はナトリウム塩、エタノールアミン塩、ジメチルアミノエタノール塩、及び4−アミノピリジン塩で構成される群から選択される塩であることを特徴とする、請求項20に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項24】
前記塩はナトリウム塩であることを特徴とする、請求項23に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項25】
前記化合物はプロドラッグであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項26】
下記化学式Iで表されるプロドラッグ又はその薬学的に許容可能な塩
[化学式I]
【化12】

式において、
は;下記のように構成される群から選択される:
d)C(O)R(式において、Rは置換された又は置換されていないC(1−18)アルキル、置換された又は置換されていないアリール、置換された又は置換されていないヘテロアリールから選択される);
e)C(O)−(CH−(C(O))−(OCHCHOR10(式において、n=0−6、p=0−1、m=0−22、及びR10はH、置換された又は置換されていないC(1−6)アルキル、置換された又は置換されていないアリール、置換された又は置換されていないヘテロアリールである);及び
f)C(O)−(CHR11−NR1213(式において、n=1−5、R11は水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、及び置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリールで構成される群から選択され、R12及びR13はそれぞれ別個に水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリール、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキルカルボニル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリールカルボニル、及び置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリールカルボニルで構成される群から選択されるか;又はR12及びR13は組み合わされて、5乃至7員の置換された又は置換されていないヘテロシクリック環システムを形成する);
はH又はC(1−4)アルキルであり
はH、メチル、及び置換された又は置換されていないベンジルで構成される群から選択され;
は下記のように構成される群から選択され;
(i)フルオロC(1−6)−アルキル、置換された又は置換されていないC(6−16)−アリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール、置換された又は置換されていないクマリニル、及びアダマンチル
(ii)
【化13】

(iii)
【化14】

式において、
XはO又はS(O)の結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり、環Aの2、3又は4位置で環Aに付着されており;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され;
ここで、任意の2個の隣接したR24乃至R28基は互いに組み合わせて融合されたアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、又は置換されたヘテロアリール環システムを形成し;
(iv)
【化15】

式において、
XはO又はS(O)の結合を示し、ここで、n=0、1又は2であり;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
;環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され;
ここで、任意の2個の隣接したR24乃至R28基は互いに組み合わせて融合されたアリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、又は置換されたヘテロアリール環システムを形成することができ、ここで、前記環A及び環Bのヘテロアリール環システムは1個以上のヘテロ原子を含み、置換又は非置換され、
前記プロドラッグはin vivo 又は in vitro で下記化学式I−aで表される化合物に転換されることができる:
[化学式I−a]
【化16】

式において、R及びRは前記定義の通りである。
【請求項27】
化合物を担体と共に含むことを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項28】
末梢神経病症の予防又は治療の必要な対象体に、治療的に有効な量の請求項27による化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与する段階を含む、対象体の末梢神経病症の予防又は治療方法 。
【請求項29】
前記末梢神経病症は、有毒性剤によって誘導されることを特徴とする、請求項28に記載の対象体の末梢神経病症の予防又は治療方法。
【請求項30】
前記有毒性剤は、神経毒性剤又は化学療法剤であることを特徴とする、請求項29に記載の対象体の末梢神経病症の予防又は治療方法。
【請求項31】
前記化学療法剤は、ジデオキシイノシン、デオキシシチジン、D4T、シスプラチン、エトポシド、ビンクリスチン、エピチローンもしくはその誘導体、又はTaxolTM/TaxoterTM及びその誘導体であることを特徴とする、請求項30に記載の対象体の末梢神経病症の予防又は治療方法。
【請求項32】
前記神経毒性剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シスプラチン、TaxolTM、D4Tもしくはその他の抗ウイルス剤、又はジデオキシ化合物、アルコール、金属、産業性有毒物質、ビタミンA、D、もしくはB6の過剰服用、ペニシリンもしくはクロラムフェニコールであることを特徴とする、請求項31に記載の対象体の末梢神経病症の予防又は治療方法。
【請求項33】
神経退行性疾患の治療の必要な対象体に、治療的に有効な量の請求項27による化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与する段階を含む、対象体の神経退行性疾患の治療方法。
【請求項34】
前記神経退行性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、ハンチントン病、筋萎縮症、糖尿病、HIV、虚血、急性眼球発作又は緑内障後の網膜神経節損失、ウイルス感染後の神経退行性症状、及びHIVの治療用化学療法剤の使用によって生じる神経障碍であることを特徴とする、請求項33に記載の対象体の神経退行性疾患の治療方法。
【請求項35】
前記神経退行性疾患は、目の退行性疾患であることを特徴とする、請求項33に記載の対象体の神経退行性疾患の治療方法。
【請求項36】
神経退行性疾患の治療の必要な対象体に、請求項27による化合物と共にCOX−2抑制剤、NSAIDS、アセチルコリンエステラーゼ抑制剤、L−ドーパ、ACE抑制剤又はインシュリンを共同投与する段階を含む、対象体の神経退行性疾患の治療方法。
【請求項37】
軸索成長及び/又は軸索回復の必要な対象体に、治療的に有効な量の請求項27による化合物を投与する段階を含む、対象体の軸索成長及び/又は軸索回復の誘導方法。
【請求項38】
軸索成長及び/又は軸索回復の必要な対象体に、請求項27による化合物を投与する段階を含む、対象体の軸索成長及び/又は軸索回復の誘導方法。
【請求項39】
信号伝達変更の必要な対象体に、請求項27による化合物を投与する段階を含む、対象体の信号伝達変更方法。
【請求項40】
増殖性疾患の治療の必要な対象体に、治療的に有効な量の請求項27による化合物を投与する段階を含む、対象体の増殖性疾患の治療方法。
【請求項41】
増殖性疾患は癌であることを特徴とする、請求項40に記載の対象体の増殖性疾患の治療方法。
【請求項42】
前記癌は、前立腺癌、大腸癌、神経芽細胞腫、髄芽腫及び乳癌で構成される群から選択されることを特徴とする、請求項41に記載の対象体の増殖性疾患の治療方法。
【請求項43】
増殖性疾患の治療の必要な対象体に、請求項27による化合物と共に化学療法剤を共同投与する段階を含む、対象体の増殖性疾患の治療方法。
【請求項44】
前記化学療法剤は、Taxol、シスプラチン又はビンカアルカロイドであることを特徴とする、請求項43に記載の対象体の増殖性疾患の治療方法。
【請求項45】
下記段階を含む請求項1による化学式Iの化合物の製造方法:
スルホンアミド
【化17】

とRCOCl又は(RCO)Oを溶媒及び塩基中でカップリングして下記の化合物を生産する段階:
【化18】

式において、R、R、R、及びRは前記定義の通りである。
【請求項46】
記段階を含む請求項1による化学式Iの化合物の製造方法:
スルホンアミド
【化19】

とRCOCl又は(RCO)Oを溶媒及び塩基中でカップリングして下記の化合物を生産する段階:
【化20】

式において、R、R、R、及びRは前記定義の通りである。

【図1】
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【誤訳訂正書】
【提出日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0006
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0006】
プロドラッグin vivoで活性形態に分解される活性形態薬品の前駆体である。COX−2抑制剤パレコクシブナトリウム及びセレコクシブに対するプロドラッグとして単純なN−C(1−4)アシルスルホンアミドを使うことが提案された(Talley,J.J.,et.al.,J.Med.Chem.2000 May 4;43(9):1661−3and Mamidi,R.N.,et al.Biopharm.Drug Dispos.2002 Oct;23(7):273−82)。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0010
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0010】
【化3】
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化学式I−bで表される化合物はin vivoでその母化合物であるスルホンアミドに転換され、母化合物であるスルホンアミドに対するプロドラッグとして作用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【誤訳訂正3】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0011
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0011】
本発明は下記化学式Iで表されるイミダゾ[2,1−b]−1,3,4,−チアジアゾール−2−スルホンアミド又はその薬学的に許容可能な塩である:
【化4】
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式において、
及びRそれぞれ別個に下記のように構成される群から選択される:
a)H及びC(1−4)−アルキル;
b)C(O)−R(式において、RはC(1−18)置換された又は置換されていないアルキル、置換された又は置換されていないアリール又は置換された又は置換されていないヘテロアリールから選択される);及び
c)C(O)−(CH−(C(O))−(OCHCHOR10(式において、n=0−6、p=0−1,m=0−22,及びR10はH、置換された又は置換されていないC(1−6)アルキル、置換された又は置換されていないアリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール);
d)C(O)−(CHR11−NR1213(式において、n=1−5、R11は水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリールで構成される群から選択され、R12及びR13それぞれ別個に水素、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アラルキル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリール、置換された又は置換されていないC(1−8)ヘテロアリール、置換された又は置換されていないC(1−8)アルキルカルボニル、置換された又は置換されていないC(1−8)アリールカルボニル、置換また置換されていないC(1−8)ヘテロアリールカルボニルで構成される群から選択されたり又はR12及びR13は組み合わされて5乃至7員の置換された又は置換されていないヘテロシクリック環システムの一員を形成する);
はH、メチル、及び置換された又は置換されていないベンジルで構成される群から選択され;
は下記のように構成される群から選択され:(I)フルオロC(1−6)−アルキル、置換された又は置換されていないC(6−16)−アリール、置換された又は置換されていないヘテロアリール、置換された又は置換されていないビフェニル、置換された又は置換されていないジフェニルエーテル、置換された又は置換されていないクマリニル、及びアダマンチル;ここで、アリールもしくはヘテロアリールR置換体環システムの隣接した炭素又はアリール、ヘテロアリール、ビフェニル、ジフェニルエーテルもしくはクマリニルR6置換体の環システムの隣接した炭素は共に縮合されたシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環で置換することができ、前記シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環は1個以上のアルキル基又は互いに結合して環を形成した2個のアルキル基で更に置換することができ;
【誤訳訂正4】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0014
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0014】
式において、
Xは、結合、O又はS(O)を示し、ここで、n=0、1又は2であり、環Aの2,3又は4位置で環Aに結合されており;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、ここで、任意の2個の隣接したR基は互いに組み合わされて縮合されたアリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリール、環システムの一員を形成することができ;及び
【誤訳訂正5】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0016
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0016】
式において、
Xは、結合、O又はS(O)を示し、ここで、n=0、1又は2であり;
環A上のR23はH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され、4個以下の置換を示し;環A及びBのヘテロアリール環システムは1個以上のヘテロ原子を含み、置換又は非置換され;
環BのR24乃至R28は独立的にH、ハロゲン、C(1−8)アルキル、C(1−8)フルオロアルキル、C(1−8)アルコキシで構成される群から選択され;式において、任意の2個の隣接したR基は互いに組み合わされて縮合されたアリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリール、環システムの一員を形成することができる。
【誤訳訂正6】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0052
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0052】
本出願人は従来化学式I−a(式において、R及びRはH及びC(1−4)アルキルから選択される)で表される選択された化合物が多様な神経毒性物質による損傷からCNS及びPNSニューロンを保護するということを発見した(PCT ApplicationNO.CA02/01942(WO03/051890))。このような神経毒性物質による損傷はin vitroでSCGニューロンを抗−NGF抗体、TaxolTM、シスプラチン及びピンクリスチンで処理することを含む。表3は以前に報告された一部神経保護を要約したものである。
[表3]
【誤訳訂正7】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0085
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0085】
化学式I−bで表されるN−アシルスルホンアミドは中性pHに近くで調剤することができる。化学式I−bで表される化合物は優れた薬物動態学的(PK)プロファイルを示し、in vivoで脱アシル化されて化学式I−aで表される一次スルホンアミドになる。遊離の一次スルホンアミドのPKプロファイルは同一投与量で投与する時、一次スルホンアミドのNa−塩のPKプロファイルと類似している。このような方式で、化学式I−bで表されるN−アシルスルホンアミドは化学式I−aで表される一次スルホンアミドのためのプロドラッグとして作用する。
【誤訳訂正8】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0086
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0086】
単純なN−アセチル、N−プロピオニル及びN−ブタノスルホンアミドのプロドラッグとしての使用はCOX−2抑制剤パレコクシブソジウム及びセレコクシブと関連して以前に報告された(Talley,J.J.,et.al.,J.Med.Chem.2000 May 4;43(9):1661−3及びMamidi,R.N.,et al. Biopharm. Drug Dispos. 2002 Oct;23(7):273−82)。上述したように、選択されたN−アシルスルホンアミドはin vivoで相応する一次スルホンアミド及びカルボン酸に転換される。N−アシルスルホンアミドは相応する一次スルホンアミドと比較して変化された溶解度及び薬物動態学的変数を示す。
【誤訳訂正9】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0102
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0102】
ラットに皮下投与する時、化合物15(10mg/mL)はよく分布される(血しょうのCmax=20μg/mL)。化合物15の化合物1への転換で化合物1の血しょう濃度はCmaxが0.5〜1μg/mLに達することが観察される。化合物16の化合物1への転換で化合物1の血しょう濃度はCmaxが3μg/mLに達することが観察される。表5に記載された選択した化合物の場合も10wt/vol%のHPCD水溶液中の同一投与量で投与された化学式I−aで表される、それぞれの一次スルホンアミドナトリウム塩と類似な全血薬品濃度と同様なin vivo転換率が観察される。
【誤訳訂正10】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0105
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0105】
一般にシスプラチンで処理されたラットは対照群動物と比較してSNCVが減少した。このようなSNCVの減少は化合物14(10及び30mg/kg)での処理によって予防された。同様に、化合物2,6、10、12は10〜30mg/mg(結果は示さなかった)で保護性がある。これら化合物のN−アシル誘導体45、39、及び31(30mg/kg)はこれらモデルでまた保護活性を示し、これはN−アシルプロドラッグが末梢神経病症のin vivoモデルで転換されて活性があることを証明することである。したがって、化学式I−bで表される化合物は神経退行性疾患、これに制限するわけではないが、例えば末梢神経病症(化合物151及び図1参照)のような疾患の治療に有用である。
【誤訳訂正11】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0106
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0106】
これら全てを考慮すれば、化学式I−bで表される化合物は化学式I−aで表される一次スルホンアミドの新規な水溶性プロドラッグである。これらプロドラッグin vitroで切断でき、in vivoで目的とする一次スルホンアミドを生産することができる。
【誤訳訂正12】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0107
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0107】
化学式I−aで表される一次スルホンアミドは神経退行性疾患の治療(PCT Application NO.CA02/01942(WO03/051890)に例示される)及び本明細書に示したように、癌のような増殖性疾患の治療において潜在的治療の可能性を示す。化学式I−bで表される新規な化合物は化学式I−aで表される化合物の有効なプロドラッグである。これら化合物は中性に近いpHで水溶解度を有し、これは一次スルホンアミドに対する代替できる伝達システムを示す。化学式Iで表される化合物は神経退行性疾患及び癌のような増殖性疾患の治療に有用である。

【公表番号】特表2006−527209(P2006−527209A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515592(P2006−515592)
【出願日】平成16年6月14日(2004.6.14)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000873
【国際公開番号】WO2004/111061
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505459183)アエジェラ・セラピューティクス・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】