説明

アジュガ・レプタンス細胞株由来の抽出物、その製造及び使用

【課題】フェニルプロパノイドの工業的量を取得することができる、アジュガ・レプタンス細胞からの抽出物を製造する方法;上記方法に従って取得される植物細胞株からの総抽出物又は単一物質;当該総抽出物又は単一物質の、ヒト又は動物及び家畜の医薬、化粧料又は栄養用途を。
【解決手段】本発明は、20%〜90%のテウポリオシド力価および80%〜10%の発色団を含まない分画を有する、抗酸化能を有するフェニルプロパノイドを含む、選択されかつ安定化されたアジュガ・レプタンス由来の細胞株抽出物に関する。このような抽出物は、ヒト及び家畜治療で使用のため、及び栄養及び化粧目的である。更に、本発明は、イソテウポリオシドと称される新規フェニルプロパノイド分子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、発酵槽中で得られるアジュガ・レプタンス植物細胞培養物由来の抽出物に関する。特に、本発明は、薬物又は栄養物質又は化粧物質の製造のための、当該抽出物の製造及び用途に関し、当該抽出物は、抗酸化活性のみならず他の重要な薬理学的性質を有する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
酸化的ストレスは、細胞死を招く生物的損傷を引き起こす、終始進行する現象であり、そして、リポタンパク質の過酸化関連する効果、及びアポトーシスに因る死に加えて縮退に因る死の原因となる現象である、ことが多数の研究によって確認されてきた。実際に、酸化ストレスは、Tリンパ球の活性化及びAIDSのCD4+ T細胞の減少の原因となる、プログラムされた細胞死のメディエイターとして理解されてきた(Buttke T.M., Sandstrom P.A. "Oxidative stress as a mediator of apotosis" Immunology today, 1994, 15(1): 7-10)。
【0003】
フェニルプロパノイドの抗酸化作用は十分に記載されており、文献では周知である(Seidel et al. Phenylpropanoids from Ballota nigra L. inhibit in vitro LDL peroxidation. Phytother. Res., 2000, 14 (2): 93-98; Chion et al. Acteoside protects endothelial cells against free radical-induced oxidative stress. J. Pharm. Pharmacol., 2004, 56 (6): 743-8; Lee et al. Protective effect of acteoside on carbon tetrachloride induces hepatotoxicity. Life Sci., 2004, 74 (8): 1051-64)が、植物組織に典型的に存在する非常に低量、及び精製方法に関連する高コストのために、その大量スケールの製造のためのソースは全く存在しない。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
従って、本発明の第一の目的は、フェニルプロパノイドの工業的量を取得することができる、アジュガ・レプタンス細胞からの抽出物を製造する方法である。
【0005】
本発明の第二の目的は、上記方法に従って取得される植物細胞株からの総抽出物又は単一物質である。
【0006】
第三の目的は、当該総抽出物又は単一物質の、ヒト又は動物及び家畜の医薬、化粧料又は栄養用途を提供することである。
【0007】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の「発明の詳細な説明」から明確に理解されることになる。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、所定の代謝物に基づく細胞培養選択の第一ステップを含む。
【0009】
簡単に言えば、この方法は、植物組織の回収、その洗浄、例えば流水下で、2〜5 cmの断片への切断、及びプレート上での殺菌、例えば約70%エタノールで約15分、2%次亜塩素酸ナトリウムで約5分及び0.05% HgCl2で約1分の連続処理による、を含む。処理中、典型的には3回以上殺菌蒸留水、植物断片を洗浄する。
【0010】
固体組織の各断片は、更に切り刻まれ(移植片)、アガーの添加により凝固し、抗生物質を含まず、成長ホルモンで補充した栄養培地を含むペトリ皿に置かれる。実施される移植片の数は、以下のステップの結果に影響を与える。一般的に、2000〜5000の汚染されていない移植片は、以下の選択ステップに進めるには十分である。
【0011】
好適な期間の後、識別不可能なカルス組織形態は、新鮮培地を用いるより大きな表面積上への移植後に増殖する。
【0012】
好ましくは、識別不可能なカルス組織から得られる植物細胞株は、好ましくは新鮮培地への多くの移動(サブカルチャー)によって安定化される。特に、安定な細胞株を取得するためには、少なくとも10のサブカルチャーを実施することが重要であることが明らかになっている。このような培地は本来固体であり、有利なことに、植物ペプトンが添加された標準培地に0.8〜1%のアガーを含み、アミノ酸のバランスのよい供給を可能にし、優れた細胞壁を完全に維持することができる。好ましくは、植物ペプトンは、培地の500〜4000mg/lの範囲の量で加えることになる。
【0013】
「安定な細胞株」とは、以下の性質を有する培養物と定義される:
−終始、高くかつ一定の増殖速度;
−様々なサブカルチャー(細胞の色、凝集破砕性、サイズ等)を通して、同一の表現型特性の維持;
−様々なサブカルチャーステップの過程での、質量単位当たりの一定の二次的代謝レベル
(二次的代謝定数は、抽出物の化学的分析によって評価される);
−単位質量当たりの一定の一次的代謝物(タンパク質、脂質及びポリサッカライド)。
【0014】
次に、安定化ステップでは、細胞株は、「クローン選択」に供せられる。このような選択は、好適な時間(典型的には、培養の10〜15日間)、安定化細胞を生育させることから成る。次に、個々の細胞凝集体は、固体培地から採取され、当該細胞凝集体のぞれぞれは、上記の液体培地に接種される。
【0015】
細胞凝集(以下、本明細書では、「クローン」と称する)の十分な増殖を得るために必要な時間の発酵に続いて、一般的に10〜15日間の期間、各クローンについて所定の代謝物の内容物が決定される。
【0016】
所定の代謝物の産生が最も高い時の植物細胞株クローンが選択されるまで、このような操作を反復してもよい。
【0017】
固体又は液体培地での培養期間の変更は、本発明のクローン選択方法には不可欠である、ことを記憶に留めておくべきである。従って、上記のクローン選択方法は、最も活性なクローンを結果的に同定しないが、表現型が同一の選択されたクローンを維持するように、常に反復される、ことが必要である。
【0018】
次いで、選択された植物細胞株は、産生発酵ステップを実施するために十分な量のバイオマスを取得するべく増殖される。当該量は、特定の産生要件、使用される植物細胞株類、及び産生するために望ましい代謝の種類に依拠することになる。
【0019】
このようにして得られたバイオマスは、最終発酵槽に直接投入され、中程度の体積で発酵しながら、液体培地での1以上の更なる増殖ステップに供せられる。
【0020】
好ましくは、例証されるこの方法は、以下のステップを含む:
a)所定の植物細胞株の増殖を可能にするために十分な期間、安定化された、当該細胞株を培養して、固体培地に、実質的に識別可能な細胞クラスターを与え;
b) 当該固体培地から当該実質的に識別可能な細胞クラスターを除去し、別個の液体培地にそれらの各々を置き;
c)当該液体培地で、当該実質的に識別可能な細胞クラスターの各々を、当該細胞クラスターの増殖及び製造された一次及び/又は二次代謝物の分析的測定を可能にするために十分な時間培養し;それによって
d)当該液体培地中で、当該細胞クラスターの各々によって製造された当該一次及び/又は二次代謝物の定性及び定量的測定を行い;
e)所定の当該代謝物を最も大量に製造することができる細胞クラスターを選択し;
f)選択された細胞クラスター及び更なる選択サイクルから得られる細胞クラスターによって製造される所定の当該代謝物の量が基本的に一定になるまでの十分な回数が、ステップe)に従って選択される、当該細胞クラスターに関するステップa)、b)、c)、d)及びe)に従う方法サイクルを反復する。
【0021】
加えて、その後の発酵は好ましくは、以下のステップから成る:
A)液体培地への当該植物クローンの接種、及び少なくとも300重量%の細胞質量の増加を得るために十分な期間の、その増殖;
B)場合により、ステップA)から得られる懸濁液の、新鮮液体培地への移動、及び少なくとも300重量%の細胞質量の増加を得るために十分な期間の、その増殖;
C)場合により、少なくとも1つの追加期間、ステップB)の反復;
D)バイオマを産生するための、ステップA)、B)又はC)で得られた懸濁液の、発酵槽中の新鮮液体培地への移動、及びこのような条件下及び当該バイオマス内に、当該少なくとも1つの所定の代謝物の産生を得るための十分な時間、発酵を行うこと;
E)当該少なくとも1つの所定の代謝物の、当該バイオマスからの分離。
【0022】
1つの好ましい実施態様に従い、発酵は、通常、15℃〜35℃お温度、典型的には約25℃で、通常7〜40日間の期間、好ましくは14〜21日間、行われることになる。バイオマスが十分に空気に触れ、同時に、発酵槽への外付け攪拌手段により攪拌し続ける、ことが必要である。実際に、植物バイオマスは、破裂に対して抵抗性が低い細胞壁を有する細胞からなる、ことが明らかになっている。バイオマス中に沈んだ攪拌器は細胞に機械的に働き、その溶解物を容易につくることができる。しかしながら、バイオマスの濃度が非常に高くなる場合に、何よりも最終発酵ステップでは弱いながら効果的でなければならない。本発明の目的のために、特に攪拌の好適な方法は、環状攪拌手段である。このような攪拌手段は、好ましくは、40〜200 pm、より好ましくは約120 pmで作動する。
【0023】
好適には、発酵が起こる容器(発酵槽)の体積が、バイオマスの体積よりもかなり大きい。典型的には、反応槽の体積は、バイオマス体積よりも50%〜200%大きいことになる。
【0024】
既に述べたように、効率的な発酵は、十分な酸化を必要とする。酸化は通常、バイオマスの10リットル体積につき、0.5〜4 l/分、より好ましくは2〜2.5 l/分の流速の殺菌空気を用いて実行される。あるいは、10%〜100% v/vの酸素を含むガス混合物が使用できる。
【0025】
攪拌に関連して先に述べたように、激しいバブリング方法による酸化は、細胞壁の破壊を引き起こすことができる。従って、例えば好適な拡散器によるバブリングにより、酸化が緩やかに実行されることを確実にすることが必要である。10 m/分〜600 m/分、より好ましくは50 m/分〜350 m/分のノズル送達流速を有する空気又は酸素拡散器の手段を使用することが好ましいだろう。
【0026】
加えて、発酵チャンバーの形状は重要である。実際に、滑らかかつ一定の表面、すなわち、縁、角又はバイオマスの細胞壁を破壊することができる他の部分がない表面を有することが推奨される。
【0027】
本発明の1つの具体的実施態様によれば、酸素の水溶解性(water oxygen solubility)を増加させる添加剤がバイオマスに加えられるだろう。このような添加剤は、好ましくは「人工血液」、例えばパーフルオロハイドロカーボン(PFC)と称される物質から選択されるだろう。
【0028】
特に、本発明の目的には、アジュガ・レプタンス由来の安定細胞株が、好適な質及び量でフェニルプロパノイド(FP)を産生する能力のため、選択された。
【0029】
次に、当該細胞株由来の物質は、前記方法で選択されるが、以下の方法によって抽出すされる。
【0030】
細胞株の形態学的性質
DSMZ((Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen, Braunschweig, D):DSM 16451,受入日時:31-03 2004)でIRBN 22と称されるアジュガ・レプタンス細胞株は、黄色っぽく、不透明であり、脆く見える細胞である。
【0031】
植物細胞株由来の抽出物の抽出方法
抽出方法は、以下のステップを順次含む:
a)当該植物細胞株の培養物から得られるバイオマスを、酵素不活性化処理に供し;
b)ステップa)に従って得られる生成物を均質化し;
c)重力濾過、遠心の加圧濾過の手段により、当該細胞残渣から水相を分離し;
d)疎水性作用樹脂を用いて、ステップc)に従って得られる水相の抽出を行い;及び
e)30体積%から100体積%未満まで変動する割合の水中の、5炭素原子以下のアルコールの混合物による溶出手段によって、当該樹脂から吸着物質(抽出物)を回収すること。
【0032】
本発明の1つの具体的局面によれば、発酵培地なしでバイオマスそのものを回収することを目的として、ステップc)で報告した同一の条件下で、ステップa)とb)との間に、バイオマス濾過ステップを行うことができる。
【0033】
特に、細胞株IRB22の懸濁培養物は、記載の方法に従って得られ、7〜21日間の年齢で採取される。酵素の不活性化処理は、例えば熱処理によって起こる。特に、当該熱処理は、全ての酵素を不活性化するために、50℃〜150℃、好ましくは60℃〜120℃の温度で、5分未満、バイオマスを加熱することにより行う。好ましくは、熱処理は蒸気の使用を含む。次いで、バイオマスは、上記のように、Ultra turraxを用いて均質化される。この均質化したバイオマスの濾過又は遠心後に得られた透明な水相中に存在する物質は、疎水性相互作用樹脂、好ましくはポリスチレン-ジビニルベンゼン又はアクリル系マトリックス樹脂から選ばれる樹脂でバッチ抽出され、吸着された生成物は、30体積%〜90体積%のエタノール水溶液を用いる1以上の溶出ステップの手段により樹脂から回収される。
【0034】
1つの具体的実施態様に従い、バイオマス全体は上記のように濾過され、5〜30分間の時間、120℃の熱処理に供される。
【0035】
留意されたいが、「抽出」とは、本明細書では、フェニルプロパノイド、テウポリオシド、メティルテウポリオシド、イソテウポリオシド(最後の物質は、従来技術では未知の化学物質である)の変動する重量パーセンテージを含む任意の方法から得られる、植物アジュガ・レプタンス(ラビアタエファミリー)の細胞培養物から得られる抽出物、及び、製造方法によって様々な量で存在する任意の特徴的な発色団を含まない分画であって、オリゴ-及びポリ-サッカライド、タンパク質及び脂質分子から主に成るが限定されない分画を意味する。
【0036】
この抽出物は、テウポリオシドとして表される下記一般式(I):
【0037】
【化1】

【0038】
[式中、
R1は、水素原子、又は5もしくは6炭素原子を有する単糖、又は10〜12炭素原子を有する二糖であり;
R2は、水素原子、又はカフェオイル(A)又はフェルロイル(B)基であり;
R3は、5もしくは6炭素原子を有する単糖、又は10〜12炭素原子を有する二糖、又はカフェオイル(A)又はフェルロイル(B)基であり;
R4は、水素原子、又は1〜3炭素原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基、及び好ましくは1炭素原子を有するアルキル基もしくはヒドロキシルであり;
R5は、水素原子、又は1〜3炭素原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基、及び好ましくは1炭素原子を有するアルキル基である
但し、R3はカフェオイル(A)又はフェルロイル(B)基:
【0039】
【化2】

【0040】
であり、R2は常に水素原子であり(この反対でもよい)、R4及びR5は同一又は異なってもよい。]
で表されるフェニルプロパノイドを含む。
【0041】
抽出は、均質化バイオマスの濾過又は遠心後に得られる透明溶液を好適な量の樹脂に接触させ、その樹脂を分離し、そして好適な溶出液でその樹脂を溶出することにより、行われる。
【0042】
抽出物の収量は、多数のパラメータの作用により変動する。濾過ステップでの、(発色団を含まない分画の一部を含み、かつ培養中に、細胞から放出される)発酵上清を使用すると、希釈効果により、フェニルプロパノイドを少し多く含むことになる。第二の要素は、抽出されるべき物質の量に関連して用いられる樹脂の量である。フェニルプロパノイドの選択的吸着を促進する樹脂が少ない場合には、結果として溶出物が多くなる。更に、種々の過剰は、樹脂上に吸着された化合物を回収するために使用されるEtOH/H2O比によって得られる。エタノールのパーセンテージがより低い溶出液は主に発色団を含まない分画を抽出し、一方、エタノールのパーセンテージのより高い溶出液はフェニルプロパノイドの好ましい抽出をもたらすからである。
【0043】
従って、20重量%〜90重量%、好ましくは30%〜60%のフェニルプロパノイドを含む抽出物を、オリゴ-及びポリ-サッカライド、タンパク質及び脂質種の分子を主に含むがこれらに限定されない、発色団を含まない分画を含む80〜10%、好ましくは70%〜40%の残余割合の分画と共に得ることができる。
【0044】
バイオマスで実行される熱処理がテウポリオシドからイソテウポリオシドへの異性化を引き起こし、その異性化の程度が処理温度及時間による、ことも驚くべことに明らかになった。50℃〜150℃、好ましくは60℃〜120℃の温度で、(先に報告したようにHPLC分析によって測定可能な)異性化を起こすために十分な時間、好ましくは5〜30分間が、最初に存在する40%〜60%の範囲のパーセンテージのテウポリオシドの、イソテウポリオシドへの変換を得るために採用される。それによって、濾過された透明溶液中のこのような物質の量も変化することになる。熱処理は、外的又は内的に加熱することにより、例えば蒸気のバイオマスへの吸入によって、実行することができる。
【0045】
非加熱処理バイオマスは、一般的に、フェニルプロパノイド質量に関して、5%〜25%のパーセンテージのイソテウポリオシドを含むことになる。熱処理後に、イソテウポリオシドのパーセンテージは、一般的に、フェニルプロパノイドの総質量の30%〜65%になる。
【0046】
蒸気異性化は、一般式I(ここで、R3は水素原子であり、R2は水素原子以外である。)のフェニルプロパノイドの全てについて起こる。ここで、R3は水素原子であり、R2は水素原子以外である。
【0047】
従って、一般式I(ここで、R3は水素原子であり、R2は水素原子以外である。)のフェニルプロパノイドの異性化工程は、上記のような当該フェニルプロパノイドの熱処理ステップを含み、本発明の更なる主題を構成する。
【0048】
FPDとして上で定義された具体的化合物は、当該工程によって得られるフェニルプロパノイドの内で同定された。この新規化合物は、イソテウポリオシドと称され、テウポリオシドに類似の態様で抗酸化剤として有効であることが判明した。更に、以下のような、他の重要な薬理学的、化粧的及び栄養的性質が観察された。
【0049】
植物細胞抽出物が前記の発色団を含まない分画と関連する場合に、場合によっては、フェニルプロパノイド類の各々、それらの任意の混合物の作用がかなり増加する、ことが驚くべきことに見出された。従って、フェニルプロパノイドと、フェニルプロパノイドの作用を亢進する発色団を含まない分画との間に、特定の活性に関する予測できない相乗効果が奏される、ことは明らかである。
【0050】
場合によっては、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、本発明の抽出物に匹敵する薬理活性を示すことが見出された。具体的には、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、血小板凝集、抗炎症及び抗リポキシゲナーゼ、抗-5アルファレダクターゼ、抗チロシナーゼ、抗菌及び金属キレート(Fe2+、Fe3+、Cu2+、Ni2+)活性を有する。
【0051】
非限定的例としていくつかの方法が報告されている。
【実施例】
【0052】
実施例1
固体培地(GAMBORG B5を含む、20 g/lのショ糖、2 g/lの植物ペプトン、1 mg/lのキネチン、1 mg/lのナフタレン酢酸、0.2 mg/lのインドール酢酸を補充した1%アガー、pH 6.5)で生育し、少なくとも3ケ月間サブカルチャーに供したカルスを、50 mlの液体培地(GAMBORG B5を含む、20 g/lのショ糖、2 g/lの植物ペプトン、1 mg/lのキネチン、1 mg/lのナフタレン酢酸、0.2 mg/lのインドール酢酸を補充した1%アガー、pH 6.5)を各々含む20×300 mlフラスコに接種した。7日間発酵後、14日後に非ロードする、各々、250 mlの液体培地をそれぞれ含む1000 mlフラスコに同様に接種するために、この培養物を用いた。バイオマスを混合し、100 μm孔のナイロン網目で濾過した。細胞を同量のH2Oに懸濁し、蒸気で短時間処理した(3〜4分)。懸濁液をUltra turraxを用いて均質化し、固体残渣を除くために遠心した。固体残渣を5倍容のH20に溶解し、均質化し、遠心した。上清を混合し、HPLCで分析した。
【0053】
分析は、18.6 gに匹敵するテウポリオシドとして示されるフェニルプロパノイド含有量を示した。この水溶液に、2 kgのダイヤイオンHP 2MG樹脂を添加し、スラリーを終夜攪拌した。濾過により水相を除いた後、樹脂を10リットルの水性アルコール混合物 EtOH:H20(20:80)の第一部分で洗浄し、次いで10リットルバッチのEtOH:H20混合物(80:20)で3回溶出した。減圧下、エバポレーターで、混合した溶出物を小体積まで濃縮した。凍結残渣水相は、14.5 gの黄色粉末を与えた。典型的には、このようにして得られた抽出物(抽出物1)は、テウポリオシドとして示される約90%のフェニルプロパノイド(13.06 g)、及び主にオリゴ-及びポリ-サッカライド、タンパク質及び脂質(サッカライド分画)種分子から成るがこれらに限定されない、約10 wt%の他の成分の滴定量を有した。
【0054】
実施例2
固体培地(GAMBORG B5を含む、20 g/lのショ糖、2 g/lの植物ペプトン、1 mg/lのキネチン、1 mg/lのナフタレン酢酸、0.2 mg/lのインドール酢酸を補充した1%アガー、pH 6.5)で生育したカルスから得られた250 mlの培養物を各々含む、40×1000 mlのフラスコを、14日間発酵後、1 lの液体培地(GAMBORG B5を含む、20 g/lのショ糖、2 g/lの植物ペプトン、1 mg/lのキネチン、1 mg/lのナフタレン酢酸、0.2 mg/lのインドール酢酸を補充した1%アガー、pH 6.5)を各々含む、3リットルフラスコに同様に接種するために使用した。更に14日間発酵後、次いで、20リットルの液体培地を各々含む、10〜30リットル発酵槽に接種した。更に14日後、600リットルの培地を含む1000リットル容量の発酵槽の接種材料(250リットルに等しい)として、この発酵槽を用いた。発酵中に順次、試料を採取することによって発酵を監視し、20日に達した時に止めた。最終生成物は、テウポリオシドとして表される総量2040 gのフェニルプロパノイド(600リットル+250リットルの接種材料)について、2.4 g/lに等しかった。120℃の蒸気を20分間、反応槽に吸入し、その後、バイオマスをそこから取り出し、均質化し、濾過した。その後、水相に、150 gのダイヤイオンHP 2MG樹脂を添加し、終夜攪拌した。当該期間の最後に、樹脂を径50 cm、高さ150 cmのカラムに充填した。使用した水相をカラムの底からゆっくりと流し、その後、大量の水(500リットル)で洗浄し、300 ml/分の流速で、200リットルの水性アルコール混合物EtOH:H2O(20:80)、500リットルのEtOH:H2O混合物(80:20)で溶出した。溶出物を減圧濃縮し、水溶性残渣を得、凍結乾燥させた。377 8gの凍結乾燥物を得た。典型的には、このようにして得られた抽出物(抽出物2)は、テウポリオシドとして表される約54 wt%のフェニルプロパノイド、並びに主にオリゴ-及びポリ-サッカライド、タンパク質及び脂質(発色団を含まない分画)型分子から構成されるがこれらに限定されない、約46%の他の成分、によって構成される。
【0055】
実施例3
実施例2で得られた粗生成物のHPLC分析から、テウポリオシド及びそのアナローグであるメティルテウポリオシドは、カフェイン誘導体のクラスに属する主な成分であり、典型的には、同一のクラスの属する少量の生成物が付随する。
【0056】
その活性を評価するために、所定の成分を精製する目的で、セファデックスLH20樹脂を詰め、8%EtOH水で平衡化した7×150 cmカラムを用いるクロマトグラフィー精製を使用した。カラムに、90 gの実施例2で得られた抽出物を装填し、同一の溶媒を用いて定組成的に溶出した。全ての分画を下記の方法を用いるHPLCで分析し、同一の生成物を含む分画を混合し、濃縮し、凍結乾燥した。特に、純粋分子すなわちテウポリオシド(22.8 g)、メティルテウポリオシド(0.80 g)及びイソテウポリオシド(12.75 g)を含む3群の分画を同定した。
【0057】
フェノメネックス(Phenomenex)4.6×150 mm C18(2)カラムを用いて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を行った。相A−水/0.01 N リン酸;相B−アセトニトリル/0.01 N リン酸;流速−0.8 ml/分。
【0058】
【表1】

【0059】
抽出物に存在する3種のフェニルプロパノイドの保持時間を表1に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
フェニルプロパノイドの構造は、質量分析(MS)及び核磁気共鳴スペクトル(NMR)によって確認し、これを以下の表2に示す。
【0062】
【表3】

【0063】
FPAとして符号化されるフェニルプロパノイドは、テウポリオシドとして既に公知の構造に相当し、FPBは、既に記載され(EP1118617)、メティルテウポリオシドとしてより簡単に定義される、b-(3,4-ジヒドロキシフェニル)エチル-O-a-L-ラムノピラノシル(1"-3')-O-b-D-ガラクトピラノシル(1'"-2'')-b-D-(4'-O-トランス-フェルロイル)グルコピラノシドである。これらの2つのフェニルプロパノイドの抗酸化活性は、記載されている。一方、FPDとして符号化されるフェニルプロパノイドは、これまで文献には記載されていない。
【0064】
下記表3は、抽出物1及び抽出物2の各成分のパーセンテージ濃度を報告する。
【0065】
【表4】

【0066】
非限定的例示として示される、本発明の抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドの薬理学的抗酸化、抗炎症、金属キレート化、血小板凝集-分解、抗-5アルファレダクターゼ、抗-リポキシゲナーゼ、抗-チロシナーゼ及び抗菌的活性のいくつかの例は、本明細書に以下に記載されている。
【0067】
実施例4
化学発光測定に基づく生化学的検定による、アジュガ・レプタンス抽出物及びイソテウポリオシドの抗酸化活性
実施例1及び2に記載のようにして調製したアジュガ・レプタンス抽出物1及び2、及びイソテウポリオシドは、特異的酸素ラジカル発生系、例えばスーパーオキシドアニオン(O2-)、ヒドロキシルラジカル(HO・)、ペルオキシニトリラジカル(ONOO-)を用いるin vitroでの抗酸化作用、及び脂質過酸化阻害を評価するために使用した。スーパーオキシドアニオンは、ルミナックス・スーパーオキシド・アニオン・デテクションキット(Stratagene, La Jolla, CA, USA)を用い、かつ製造者の教示に従う、ヒポキサンチン(HPX)/キサンチンオキシダーゼ(XOD)反応に基づく化学発光検定によって測定した。ヒドロキシルラジカル捕捉剤活性は、ヒドロキシルラジカルの生成のフェントン反応、及び(Victor3 化学発光計, Wallac, Finlandを用いる)ルミノールによる化学発光量によって測定した。ペルオキシニトリルイオンは、ぺルオキシニトリル(3-モルホリノシドノンイミン塩酸塩;SIN-1)の自然発生器、及び後に、Nipon Denshi JES-FR30を用いる電子スピン共鳴(ESR)によってdoseされるニトロオキシルイオン(2-(4-カルボキシフェニル)-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシ-3-オキシド・カリウム塩 PTIOスピントラップ)用の安定試薬を用いる吸収(dosage)手段によって測定した。脂質過酸化は、Fe2+誘起酸素反応種を用いて起こり、(Buege, JA & Aust, SD: Microsomal lipid peroxidation (Methods Enzymol.)に従い、チオバルビツール酸を用いて検出した。
【0068】
【表5】

【0069】
表4に記載の抽出物1及び抽出物2は、フェニルプロパノイドを各々90%及び54%で含むアジュガ・レプタンス細胞培養物から得た。結果を50%阻害活性濃度(IC50)として示し、これは6種の個々の検定を意味する。
【0070】
検定したアジュガ・レプタンス抽出物は、その純度の程度に関係なく、無酸素ラジカルの非常に効果的な捕捉剤であることが明らかになっている。スーパーオキシド、ヒドロキシル及びペルオキシニトリルラジカルに関しては、抽出物1及び抽出物2はいずれも、古典的フラボノイド、例えばルチン及びアロインよりも大きな能力を有する。スーパーオキシド及びペルオキシニトリル発生の検定では、ルチン及びアロインのIC50は、各々、10 μg/ml、7.6 μg/ml及び12.3 μg/mlであり、アジュガ・レプタンス抽出物1及び2よりも約6〜30倍高い濃度である。ヒドロキシルラジカルの生成阻害のためのルチン及びアロインのIC50は、各々、3.9 μg/ml及び2.9 μg/mlであり、アジュガ・レプタンス抽出物について測定した数値の5〜7倍高かった。当該抽出物は、鉄イオン誘導脂質過酸化を減少させる点で非常に有効であることが判明した。純粋テウポリオシドの抗酸化活性は、スーパーオキシド及びヒドロキシルラジカルに対する活性検定では、アジュガ・レプタンス抽出物1及び2に比べて非常に弱く、脂質ペルオキシダーゼの阻害においてもわずかであった。これは、純粋テウポリオシドよりも当該抽出物では高い抗酸化活性を示す傾向がある。イソテウポリオシドは、テウポリオシドに比べて若干有効であったが、抽出物1及び2よりは若干効果的でなかった。
【0071】
実施例5
全血及び白血球に対する、アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドの抗炎症活性
抗炎症活性は、全血及び白血球から放出されるフリーラジカルによって生成する、ルミノール依存的化学発光を測定することにより評価した。この検定は、以下のプロトコールを用いて行った:10 μlの新鮮ヒト血液を、5×10-5 Mルミノールを含む0.980 mlのハンクス(Hanks)生理食塩水及び(様々な濃度の)試験試料と混合した。化学発光反応は、37℃の温度で30分間、連続的に記録した。結果は、IC50(mg/ml)、すなわち、対照よりも50%化学発光を阻害する最小試料濃度として表わした。全血から白血球(WBC)を単離するために、以下の方法で行った:1mlの新鮮血液をHipaqueグラジュエント(p=1.119)に積み重ね、250×gで室温で60分間、遠心した。遠心後、大量の冷Hanks生理食塩水を用いて、白血球を含むペレットを2回洗浄した。最後に、ウシ胎児血清を含む0.1mlのdi HBSSで、洗浄したWBCを再懸濁した。106 WBCを化学発光キュベットに加えた。10 μlのPMA(最終濃度は10 nMに等しい)をフリーラジカルの形成を誘起するために加えた。化学発光反応を37℃の温度で室温で30分間、継続的に記録した。結果は、IC50(mg/ml)、すなわち、対照よりも50%化学発光を阻害する最小試料濃度として表わした。
【0072】
これらの測定は、アジュガ・レプタンス抽出物1及び2、テウポリオシド及びイソテウポリオシドについて実行した。
【0073】
表5に、これらの測定で得られた数値を示す。
【0074】
【表6】

【0075】
白血球によって放出されたフリーラジカルの生成阻害は、検定した基質の抗炎症活性と関連した。アジュガ・レプタンスの抽出物1及び2は、全血及び白血球からのフリーラジカルの生成の有効な阻害剤であることが明らかとなった。当該抽出物によって示される阻害能は、純粋なテウポリオシド及びイソテウポリオシドよりも高い。
【0076】
実施例6
アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドの血小板抗-凝集及び分解活性
血小板過剰ウサギ血漿を、テウポリオシド及びイソテウポリオシドに比べたアジュガ・レプタンス抽出物の抗-凝集及び分解特性を評価するために使用した。血小板過剰血漿は、ウサギ静脈血と3.8%クエン酸ナトリウム溶液(9:1 v/v)とを混合することにより、ウサギ静脈血から得た。当該溶液を460×gで20分間遠心した。上清を回収し、直ちに、凝集検定に使用した。血小板凝集は、Chronologの「イオン化カルシウム血小板凝集計」(Chrono-log Co., USA)を用いて記録した。全ての測定は、連続攪拌しながら、37℃で行った。1ミリリットルの血小板懸濁液を、(試験基質の存在又は非存在下で)キュベットに加え、37℃まで、細胞を平衡化するために5分間インキュベートした。次いで、10 μlのADP溶液(最終濃度 10μM)を加え、視感透過率を連続的に記録した。結果をDT/DTK比で示した(ここで、DTK及びDTは、それぞれ、抽出物の非存在及び存在下での視感透過率値である。)。
【0077】
血小板分解(予め形成された凝集体の消失)は、ADP添加後10分の、同一の視感透過率曲線を用いて決定した。結果をDR/DRk比で示した(ここで、DRkK及びDRは、それぞれ、抽出物の非存在及び存在下での視感透過率である。)。試験基質は、生理的溶液(等張生理食塩水)(pH 7.4)で希釈し、5〜40分間、血小板過剰血漿で予めインキュベートした。次いで、凝集測定を行った。生理的溶液担体を対照試料に加えた(1:10 v/v)。数値を表6及び7に示す。
【0078】
【表7】

【0079】
【表8】

【0080】
血小板凝集試験において、イソテウポリオシドは、テウポリオシドに類似の活性を示した。
【0081】
抽出物2は、0.01 mg/ml〜1 mg/mlの範囲の濃度で、血小板分解作用に非常に顕著な増加を示した。小血小板凝集の消失は、対照の1.5倍を越えて高く、一方、血小板調製に及ぼす顕著な抗-凝集効果は明らかではなかった。更に、分解ステップの開始のための潜在時間は、平均して5.3分(対照)〜平均して3.7分(抽出物2)、著しく減少した。テウポリオシドは、わずか1 mg/mlの濃度で、血小板凝集に僅かな阻害効果を及ぼしたが、抽出物は、血小板凝集の抑制には効果的でなかった。
【0082】
実施例7
アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドのFe2+、Fe3+、Cu2+及びNi2+金属キレート作用
Fe2+、Fe3+、Cu2+及びNi2+金属イオンについてのアジュガ・レプタンス抽出物のキレート活性を、Shimadzu 1770 UV用いる分光光度計測定よって決定した。キレート剤の活性は、下記式[1]に従う金属との反応の会合定数(平衡)に依拠する。
【0083】
【数1】

【0084】
式中、Keqは、複合体の平衡状態での濃度の、金属イオン及びキレーターの平衡濃度の生成物に対する比に匹敵する平衡定数である。
【0085】
【数2】

【0086】
キレート活性を決定するために用いられる方法は、文献に十分に記載されている(Korkina LG, Afarras'er IB. Antioxidant and chelating properties of flavonoids. Adv. Pharmacol., 1997, 38: 151-63)。結果を、純粋フェニルプロパノイドについて求めたKeq(M-1)で示す。この方法により、第一鉄(Fe II)、第二鉄(Fe III)、銅(Cu II)及びニッケルイオンに対するキレート活性を計算した。
【0087】
【表9】

【0088】
アジュガ・レプタンスからの抽出物1及び2、テウポリオシド及びイソテウポリオシドのFe2+及びNi2+金属イオンについてのキレート活性は、ルチン対照分子よりも約3〜4倍である。
【0089】
実施例8
若年性座瘡の治療及び脱毛の予防のために有用な、アジュガ・レプタンスからの抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドの抗-5アルファレダクターゼ及び抗-リポキシゲナーゼ活性
若年性座瘡は多面的原因を示し;基本的役割を果たす1因子は、以下のとおりである:思春期及び青年期では、ホルモンであるテストステロンの産生が増える。皮膚では、このホルモンは、酵素5-アルファレダクターゼによってホルモンであるジヒドロテストステロンに変化され、後者は、皮脂腺の拡大を引き起こし、皮脂分泌の増大を伴う。高レベルの酵素5-アルファレダクターゼは、脱毛の主な原因の1つでもある(Thiboutot D., Harris G., Iles V., Cimis G., Gillilaud K., Hagari S. Activity of the type 1,5 alpha reductase exhibits regional differences in isolated sebaceous glands and whole skin. J. Invest. Dermatol. 1995; 105: 209-14)。
【0090】
参考文献に記載データは、植物セレノア・レペンス(Serenoa repens)由来の抽出物は、抗-脱毛活性を有し、当該酵素は2種の酵素:5-アルファレダクターゼ及びリポキシゲナーゼに対して阻害活性を有する(Serenoa repens (Bartram) J. K. Small. Fitoterapia 1997; LXVIII (2): 99-113)。
【0091】
セレノア・レペンス抽出物に比べたアジュガ・レプタンス抽出物による、5-アルファレダクターゼ阻害活性の測定。当該決定は、遺伝子的に改変された酵母によって産生される酵素(5-アルファレダクターゼ、I型及びII型)を用いて行った。酵素活性は、アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド、イソテウポリオシド及びセレノア・レペンス抽出物の存在下で測定した。
【0092】
I型5-アルファレダクターゼ活性は、5 μM [14C]放射性同位体標識テストステロン(Amersham, Sweden)及び5 μM NADPH(Sigma)を最終体積5 μlで含む、0.1 Mトリス-クエン酸塩緩衝剤(pH 7.0)中で、当該酵素をインキュベートすることによって検定した。子のようにして得られた当該溶液を37℃で1時間インキュベートした。
【0093】
II型5-アルファレダクターゼ活性の測定は、0.1 Mトリス-クエン酸塩緩衝剤(pH 5.0)の異なったpH値を除いて、先に記載された方法と類似の方法で実行した。
【0094】
両検定では、ステロイドは、5 mlの塩化メチレンを用いて抽出した。その抽出物を窒素気流下で乾燥し、得られた乾燥残渣を20 μlのクロロホルム-メタノール混合物(2:1 v/v)で溶解した。当該混合物のアリコートをシリカゲルTLCプレート表面に置いた。TCLを展開するために用いた溶媒混合物は、乾燥残渣を溶解するために使用したものと同一であった。UV検出後のTLC展開の最後に、他の試料と同時にクロマトグラフィーに付した、代謝物のRf値を標準ステロイドのそれと比較した。結果の定量については、スポットをTLCプレートから剥がし、2mlの酢酸エチルで抽出した。Wallach β-カウンタによって、シンチレーション液を用いて、得られた抽出物を分析した。酵素活性を、基質の最終生成物へのパーセンテージ変換率(C%)から計算した:
C%=[計測生成物/(計測基質+生成物)]×100
結果を下記表7に示す。リポキシゲナーゼ活性の阻害測定。アジュガ・レプタンス抽出物によるリポキシゲナーゼ活性の阻害は、化学発光の測定に基づく方法を用いて実証した(Laakso S., Lilius EM, and Turunen P. Determination of cis-, cis-methylene interrupted polyunsaturated fatty acids in aqueous aolutions by lipoxygenase chemiluminescence. J. Biochem. Biophys. Methods 1984; 9(1): 61-68)。得られた結果を表9に纏めた。
【0095】
【表10】

【0096】
アジュガ・レプタンス抽出物1及び2、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、酵素5-アルファレダクターゼ(I型及びII型)及びリポキシゲナーゼに関して顕著な阻害能を有する。アジュガ・レプタンス抽出物1及び2、テウポリオシド及びイソテウポリオシドのこの阻害活性は、特に、座瘡及び男性型脱毛症の始まりの原因となる主な薬剤であり、前立腺疾患の重要な原因であるII型5-アルファレダクターゼに関して、セレノア・レペンス植物抽出物によって示されるよりも高い。
【0097】
実施例9
皮膚漂白に用いられる、アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドの抗-チロシナーゼ活性
酵素チロシナーゼは、チロシンからのメラニン生合成を導く反応を触媒する。L-チロシンは、酵素チロシナーゼの作用によって3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)に酸化され、再度、同一の酵素によって触媒される反応によって、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンは、DOPAキノンに変換される。チロシナーゼ活性を阻害する基質は、メラニン合成を遮断するため、皮膚に洗浄/漂白効果をもたらす。L-チロシナーゼからL-DOPAへの酸化反応におけるチロシナーゼ活性の阻害を決定するために使用される方法は、Kim他に記載されている(4,4'-Dihydroxybiphenyl as a new potent tyrosinase inhibitor. Biol. Pharm. Bull. 28 (2), 323-327, 2005)。DOPAからDOPAキノンへの変換においてチロシナーゼ活性の阻害の決定に利用される方法は、Masamoto他に記載されている(Mushroom tyrosinase inhibitory activity of esculetin isolated from seeds of Euphorbia lathyris L. Biosci. Biotechnol. Biochem., 67 (3), 631-634, 2003)。レゾルシノール及びコウジ酸に比べた、アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドによる、チロシナーゼ活性の阻害検定から得られた結果を表10及び11に纏めた。
【0098】
【表11】

【0099】
表10に纏めたデータから明らかなように、アジュガ・レプタンス抽出物1及び2、イソテウポリオシド及びテウポリオシドは、酵素チロキシナーゼに対して顕著な阻害活性を示す。
【0100】
【表12】

【0101】
表11は、酵素チロキシナーゼ活性に対する、抽出物1及び2、イソテウポリオシド及びテウポリオシドの高い阻害能を強調する。アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドの酵素阻害活性は、レゾルシノール参照分子のそれよりも高く、コウジさんのそれとほぼ等しい。
【0102】
実施例10
ヒト内皮細胞(A549)培養物に対する酸化性ストレス
説明には以下の略語を使用した:
BSO ブチオニン[S,R]スルホキシイミン
GSH 還元型グルタチオン
DCF ジクロロフルオレセイン
FCS ウシ胎児血清
MTT 3-(4,5-ジメチルチアゾール)-2,5-ジフェニル テトラゾールブロミド
【0103】
材料及び方法
試験モデル
10×105 A549細胞(ATCC-CCL185)を、10%FCSを含む、3 mlのDMEM/F12K HAM培地(Sigma-Aldrich)を用いて、各ウェルに播種し、5%CO2飽和水蒸気中で、37℃でインキュベートした。24時間後、培地をBSOで補充した培地で交換し、20時間細胞と接触させた。培地を再度、試験化合物の存在又は非存在下で、BSOを含む培地で交換した。4時間後、リン酸緩衝液で細胞を洗浄し、その後、緩衝剤中の30 μMのDCF-DAで細胞をインキュベートすることにより、ROS(ヒドロキシルラジカル)の定量測定を行った。15分インキュベーションの最後に、発光された蛍光を測定する前に、洗浄により、過剰のDCF-DAを細胞から除いた。
【0104】
パラメータ
蛍光光度法
励起波長488nm及び測定発光波長525nmで(Hitachi F3010)分光光度計を用いて、抗酸化活性測定を行った。数値は、公知のDCF量を用いて構成されるキャリブレーション曲線からの外挿により、総細胞タンパク質として、pmoleで示した。従って、数値は、BSO(対照)を100として、このBSO(対照)による処置に供した細胞のROS量について%で示した。
【0105】
試料調製
抽出物1及び2、テウポリオシド及びアスコルビン酸を、トロロックスを0.1%のジメチルスルホキシド及び培地に溶解した、pH 7.4の10 mMのリン酸緩衝液に溶解した。
【0106】
結果
アジュガ・レプタンス抽出物1及び2は、ROS濃度を顕著に減少させる。これは、これらが互いに等しく、そして単離されたテウポリオシドフェニルプロパノイドよりも効果的であるが、トロロックス及びアスコルビン酸よりも効果的であるからである。
【0107】
【表13】

【0108】
実施例11
繊維芽細胞培養物においてグルタチオン欠乏によって誘導される酸化性ストレスに対する保護活性の評価
培養物の調製
3T3繊維芽細胞(BALB/cマウス)を20%ウシ胎児血清(FCS)を含むDMEMで培養した;細胞を16mm-径、24ウェルのプレートに播き、50%コンフルエンスになるまで24時間生育した。次いで、細胞をBSO 200μMでインキュベートし:使用したBSO濃度は、24時間内に87%の細胞を越える細胞で死を誘導するために十分であった。生存細胞は、生細胞を青に着色するが死細胞又は溶解性残骸を着色しないMTTを用いて、比色分析により計算した。溶解反応生成物は、ELISA法によって測定した:生細胞の数に直接的に比例する値を得た。このMTT絶対値は、100%生細胞と考えられる対照培養物の値に関連する吸収に対して、小さな内部誤差によって標準化される。
【0109】
生成物の溶解
抽出物1及び2、テウポリオシド及びアスコルビン酸を、pH 7.4の10 mMリン酸緩衝液に溶解し、BSOと共に、所望の濃度で培養物に加えた。
【0110】
結果
BSOは、グルタチオン、すなわち抗酸化剤及びフリーラジカル捕捉剤の役割を果たす内因性細胞内物質の合成を付加逆的に阻害する:その欠乏は、様々な細胞種において酸化性ストレス及び細胞死を誘導する。抽出物は同等に活性であり、対照化合物と比べて高い活性を示し、更に、最高活性に近い濃度で細胞毒性効果を示さない。
【0111】
【表14】

【0112】
全ての試験で、相互に異なった割合のフェニルプロパノイドの抽出物は、重複した生物活性を示し、単離フェニルプロパノイドよりも高く、アスコルビン酸に比べてはるかに高い。
【0113】
実施例12
アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドによる抗菌活性の測定
アジュガ・レプタンス抽出物及び個々のフェニルプロパノイドイソテウポリオシド(FPD)及びテウポリオシド(FPA)の抗菌活性を検出する目的で、以下の微生物株を用いて、多段階希釈検定(multiple dilution assay)として一般的に知られている試験を行った:Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027; Candida albicans ATCC 2091。0.5 mg/ml、2 mg/ml及び5 mg/mlの濃度で、フェニルプロパノイドFPD、FPA及びアジュガ・レプタンスの抽出物2を試験した。試験のための微生物株を、上記の濃度で試験される物質を含む培養ブロス(トルプトファン大豆ブロス培地)に接種した。これらの試験と並行して、微生物株のみを含む培養ブロスを調製した(対照)。この培養ブロスを28日間、30℃でインキュベートした。固体培地に培養物を植え付けることにより、様々な菌株のCFU/mlの数を測ることを目的として、様々な培養ブロスの試料を0、7、14、21及び28日目に採取した。各培養ブロスの微生物ロードを測定するために、各試料について、ある数の段階希釈を行った。各希釈を、固体培地について3点測定で試験した。従って、表に示したCFU数は、3点測定試験で行ったカウントの平均である。得られた結果を下記表に示す。
【0114】
【表15】

【0115】
【表16】

【0116】
抗菌活性試験では、テウポリオシドは、イソテウポリオシドと同等の活性を示した。試験から得られたデータは、フェニルプロパノイドイソテウポリオシド及びテウポリオシドが5 mg/mlの濃度で、Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027及びCandida albicans ATCC 2091の増殖について顕著な阻害作用を示す、ことを推測させる。抽出物2は、この2種の微生物の増殖阻害に、イソテウポリオシド及びテウポリオシドの純粋分子ほどは顕著な効果を示さなかった。
【0117】
酸化性ストレスに対するその強力な効果について、本発明の抽出物及びイソテウポリオシドは、フリーラジカルによる損傷に関連する症状、例えば、神経系の酸素欠乏症、損傷及び炎症性疾患、例えば脳卒中、脳及び脊髄損傷、出血性ショック、癲癇、脳虚血及び虚血脊髄損傷、末梢ニューロパシー及び頭痛(B. Halliwell他, 1992);炎症性成分に基づく又はこれを有する、加齢又は自己免疫にも関連する神経系の変性症状、例えば筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー症、老人性痴呆症及びハンチング症(Olanow C.W. "A Radical Hypothesis for Nuerodegeneration", TINS, 1993, 16(11): 439-444; Dib M. Amyotrophic lateral sclerosis: progress and prospects for treatment. Drugs 2003; 63(3): 289-310);狭心症、経皮的冠動脈形成術(PTCA)、心筋梗塞及び血管症を含む、再潅流傷害及び心疾患(Bagchi D, Sen CK, Ray SD, Das DK, Bagchi M, Preuss HG, Vinson JA. Molecular mechanisms of cardioprotection by a novel grape seed proanthocyanidin extract. Mutat Res 2003 Feb-Mar; 523-524: 87-97)、アテローム性動脈硬化症及び筋肉損傷(Mertens A, Verhamme P, Bielicki JK, Phillips MC, Quarck R, Verreth W, Stengel D, Ninio E, Navab M, Mackness B, Mackness M, Holvoet P. Increased low-density lipoprotein antioxidant and impaired high -density lipoprotein antioxidant defence are associated with increased macrophage homing and atherosclerosis in dyslipidemic obese mice: LCAT gene transfer decreases atherosclerosis. Circulation 2003 Apr 1; 107(12): 1640-6);代謝異常疾患、例えば糖尿病、神経血管及びその眼科合併症(Yoshida K., Hirokawa J., Tagami S., Kawakami Y., Urata Y., Kondo T., "Weakened celluar scavengingcrivity against oxidative stress in diabetes mellitus: regulation f glutathione synthesis and efflux" Diabetologia, 1995 Feb., 38(2): 201-210);中毒症、例えば肝硬変を伴いアルコール中毒症及びその神経性合併症(Clot P., Tabone M., Arico S., Albano E., "Monitoring oxidative damage in patients with liver cirrhosis and different dairy alcohol intake" Glut., 1994 Nov., 35(11): 1637-43)、中毒ニューロパシーを含む末梢ニューロパシー(Leonettis C., Biroccio A., Gabellini C., Scarsella M., Maresca V., Flori E., Bove L., Pace A., Stoppacciaro A., Zupi G., Cognetti F., Picardo M., Alpha-tocopherol protects against cisplatin -induced toxicity without interfering with antitumor effiency Int J Cancer 2003 Mar 20; 104(2): 243-50);皮膚及び粘膜疾患、例えば光分解、光化学損傷、皮膚加齢、アトピー、ケラチンサイト過剰増殖に関連する疾患、例えば乾癬、乾皮症、皮膚腫瘍(Mittal A, Elmets CA, Katiyar SK CD11b+ cells are the major source of oxidative stress in UV rediation-irradiated skin: possible role in photoaging and photocarcinogenesis. Photochem Photbiol 2003 Mar; 77(3): 25-64; Pinnell SR. Cutaneous photo-damage, oxidative stress, and topical antioxidant protection. J Am Acad Dermatol 2003 Jan; 48(1): 1-19; Tsukahara H, Shibata R, Ohshima Y, Todoroki Y, Sato S, Ohta N, Hiraoka M, Yoshida A, Nishima S, Mayumi M. Oxidative stress and altered antioxidant defences in children with acute exacerbation of atopic dermatitis. Life Sci 2003 Apr 18; 72(22): 2509-16) ;細菌感染、歯肉炎を含む歯疾患;ウイルス感染、例えばHIV(Greenspan and Aruoma. 1994 ref,.cit);呼吸器組織疾患、例えば、嚢胞性線維症、喘息、アレルギーによる鼻炎、「呼吸器出血」及び新生児肺高血圧症(Fortoul TI, Valverde M, Lopez Mdel C, Lopez I, Sanchez I, Avila-Costa MR, Avila-Casado Mdel C, Mussali-Galante P, Soria E, Rojas E. Nasal cytology and genotoxic damage in nasal epithelium and luekocytes: asthmatics versus non-asthmatics. Int Arch Allergy Immunol 2003 Mar; 130(3): 232-5);リュウマチ様関節炎を含む関節疾患(Lee SH, Chang DK, Goel A, Boland CR, Bugbee W, Boyle DL, Firestein GS. Microsatellite instability and suppressed DNA repair enzyme expression in rheumatoid arthritis. J Immunol 2003 Feb 15; 170(4) 2214-20);腫瘍症状;眼疾患、例えば白内障、網膜変性(Organisciak DT, Darrow RM, Barsalou L, Kutty RK, Wiggert Susceptibility to retinal light damage in transgenic rats with rhodopsin mutations. Invest Ophthalmol Vis Sci 2003 Feb; 44(2): 486-92);聴覚組織損傷(Shi X, Nuttall AL. Up-regulated iNOS and oxidative damage to the cochlear stria vascularis due to noise stress. Brain Res 2003 Mar 28; 967(1-2): 1-10);減少した免疫応答(Halliwell B他, 1992 ref. cit.; Toyokuni S.他 "Persistent oxidative stress in cancer" FEBS Lett. ,1995 Jan. 16, 358(1): 16, 358(1): 1-3; Ames B. N., Shigenaga M. K.);胃、腸 (Yajima N., Hiraishi H., Harada T., "Protection of Cultured Rat gastric cells Against Oxidant Stress by Iron Chelation" Digestive Diseases and Sciences 1995, 40(4): 879-886) 及び小腸管損傷、例えばクーロン病及び潰瘍性大腸炎 (Geerling, B. J., Badart-Smook, A., van Deursen, C., van Houwelingen, A. C., Russel, M.G., Stockbrugger, R.W., Brummer, R.J. "Nutritional supplementation with N-3 fatty acids and antioxidants in patients with Crohn's disease in remission: effects on antioxidant status and fatty acid profile". Inflamm. Bowel Dis. 2000 May; 6(2): 77-84)、の予防及び治療に有効なツールである。
【0118】
更に、実施例6に記載の血小板凝集に対するその強力な効果に関連して、本発明の抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、血小板クロットの形成及びアテローム斑に関連する症状の予防及び治療に有効なツールであり、輸血使用のための精製血小板の保持及び安定化のための使用を見出した。
【0119】
実施例5に記載のその顕著な抗炎症活性、(実施例12に記載の)抗菌活性関連して、本発明のアジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、火傷、切傷又は外傷、及び物理的損傷、瘢痕形成薬及び組織修復プロセスの促進を伴う糖尿病性爛れ及び褥瘡、によって起こる皮膚及び皮膚外傷に関連する症状の予防及び治療に有効なツールである。先述の生物活性のため、当該抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、胃腸管及び膣粘膜の損傷及び潰瘍を含み粘膜及び内皮損傷及び潰瘍の場合に、組織修復プロセスの促進剤として使用することができる。更に、アジュガ・レプタンス抽出物、イソテウポリオシド及びテウポリオシドは、頭皮の変化を治療するために、及び毛髪生存サイクルに有利に働くために、局所的にかつ全身的に、有効に使用することができる。
【0120】
実施例7に示す高キレート活性の結果として、当該抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、全身性及び皮膚の(例えば、局所化粧及び医薬製品における、Ni2+に対するアレルギー性皮膚反応)多数のアレルギー関連病状の治療に使用することができる。当該活性は、過剰の重金属、例えば鉄及び銅の存在下で起こる危害、例えばサラセミア及び高鉄沈着症を伴う他の疾患、から身体を保護するために、利用することができる。ラジカル捕捉剤、抗酸化剤及びキレート活性の組み合わせは、過剰の重金属の存在によって起こるフリーラジカルにより引き起こされる疾患プロセスに対して、アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドの使用に基礎をなす。
【0121】
アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、実施例8で示される、I型及びII型の酵素5-アルファレダクターゼ、及びリポキシゲナーゼの活性に関連して高阻害能を有する。この阻害能は、男性ホルモン性脱毛症及び円形脱毛症の場合に、脱毛の治療及び予防に利用することができる。更に、この活性は、若年性座瘡の治療に、そして、5-アルファレダクターゼの活性による前立腺疾患に罹患した対象に利用することができる。
【0122】
実施例9で報告したように、アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、酵素チロシナーゼに関連して、高阻害活性を示す。この活性は、皮膚に対して漂白効果を及ぼすために利用することができる。
【0123】
テウポリオシド及びイソテウポリオシドを含む組成物は、酸化性ストレス条件の場合に、栄養補助食品としても有効である。
【0124】
組成物又は抽出物のいくつかの特定の実施例は、特定の活性に関連して上のように記載されるが、実施例とは無関係に、全ての抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、ヒト、家畜及び畜産用途に対して、1以上の当該治療的、化粧的又は栄養的活性を生じることができる、と理解される。
【0125】
治療の投与の用量、時間及び経路は、種類、段階、重度及び病状又は栄養状態の現れる場所に基づいて選択されることになる。記載した全ての病状に関して、全身性及び経口投与に加えて局所的及び経皮的が処方され、また、活性成分を最大限に利用できるようにするために任意の場合に処方される。
【0126】
経口調合物に関しては、錠剤、トローチ剤及びカプセル剤だけでなく、粉剤、懸濁剤及び発泡形態での投与が好ましい;局所治療に関しては、結膜嚢への投与のために眼洗浄に加えて、真皮及び粘膜使用に適合する、ゲル、クリーム、軟膏及び液剤が好ましい。注射形態は、静脈的、筋肉内及び皮下的投与と適合する、医薬用途のための溶媒を用いて調合される。
【0127】
治療的用量は、患者の年齢、体重、性別及び病気の種類によって1 mg〜2.5 g/日、好ましくは5〜250 mg/日で変動し、患者の治療的必要性によって、単一用量又は2〜4用量でかつ徐放形態が採用されるが、その期間は30日以上である。
【0128】
好適な濃度では、同一の抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、補助食品の形態で調合することができ、予防のために経口的に、又はヒトもしくは家畜医薬において無反応状態から起こる変化の治療において補助として採用することができる。好適な濃度及び好適な調合物での活性原理は、化粧的適用でも使用することができる。
【0129】
240 nm〜350 nmの範囲(UVB吸収範囲)のフェニルプロパノイドの吸収スペクトルにより、このような物質は、太陽光フィルタの調製物のために使用することができる。
【0130】
医薬的、化粧的及び栄養補助的調製物のいくつかの例は、非限定的例証の目的で、以下に報告される。
【0131】
実施例1:経口使用被覆錠剤
活性成分:総抽出物 500 mg
賦形剤 :微結晶性セルロース、カルボキシメチルアミド、ゼラチン、グリセリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、黄酸化鉄、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、白蝋。
【0132】
実施例2:注射使用調製物
活性成分:総抽出物 50 mg
賦形剤 :pH 7緩衝注射液、2 mlで十分
【0133】
実施例3:局所適用のゲル
活性成分:総抽出物 100 mg
賦形剤 :カルボキシポリメチレン、エチルアルコール、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、橙花油、保存剤、十分な水
【0134】
実施例4:溶解調製物−栄養補助食品
活性成分:総抽出物 100 mg
マグネシウム、セレニウム、葉酸
賦形剤 :抗凝結剤:二酸化ケイ素;甘味料:サッカリンナトリウム、アスパルテーム、内容保証酵母(guaranteed content yeast)
着色剤 :β-カロチン;酸味料:クエン酸;オレンジフレーバ
【0135】
アジュガ・レプタンス抽出物は、家畜部門での使用のため、及び畜産的使用のための栄養補助食品として、例えば非限定的例として家禽及び魚を飼育するため、に調合することができる。
【0136】
上記より、ヒト及び家畜の薬物、化粧料又は栄養的物質の調製において使用するための、アジュガ・レプタンス抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、場合によっては、任意の個々のフェニルプロパノイドに関して、予想できない程、高い抗酸化活性を有することができる化合物を有利に提供することができる。
【0137】
加えて、当該抽出物、テウポリオシド及びイソテウポリオシドは、瘢痕形成薬として及び粘膜組織修復に有利に使用することができる。
【0138】
明らかに、当業者は、条件付及び特定の必要性を満足する目的で、上記の用途のための植物細胞抽出物に対して多数の修飾及び変更を成し遂げることができるが、全て、先のクレームで特定した発明の範囲内であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】図1は、組成物のHPLC分析を報告する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジュガ・レプタンス(Ajuga reptans)IRBN22(DSM 16451)由来の植物細胞株抽出物の製造方法であって、以下のステップ:
a)当該植物細胞株の培養物から得られるバイオマスを、酵素不活性化処理に供し;
b)ステップa)に従って得られる生成物を均質化し;
c)重力濾過、遠心の加圧濾過の手段により、当該細胞残渣から水相を分離し;
d)疎水性作用樹脂を用いて、ステップc)に従って得られる水相の抽出を行い;及び
e)30体積%から100体積%未満まで変動する割合の水中の、5炭素原子以下のアルコールの混合物による溶出手段によって、当該樹脂から吸着物質(抽出物)を回収する、
を順に含む、前記方法。
【請求項2】
発酵槽培地なしで、バイオマスを回収する目的で、ステップa)とb)との間に、ステップc)で報告される同一の条件下で実行される、先行バイオマス濾過ステップを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記濾過ステップc)及び前記先行濾過が、好ましくは10 μm〜300 μm、より好ましくは50 μm〜150 μmの多孔質を有するナイロン、スチール又は綿網目等により実行される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記酵素不活性化処理ステップa)が、熱処理によって実行される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記熱処理が、5分未満の期間、かつ50℃〜150℃の温度で行われる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記熱処理が、蒸気を使用しながら行われる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記熱処理が、バイオマス中に最初から存在するテウポリオシドの40%〜60%をイソテウポリオシドに異性化する方法において、50℃〜150℃の温度、かつ5〜30分間の期間、実行される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記抽出ステップd)が、カラムクロマトグラフィー、又は好ましくはバッチで行われる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
樹脂に吸着される物質の前記回収ステップe)が、エタノールの水混合物の使用によって行われる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記細胞が7〜21日齢のときに、ステップa)が行われる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ポリスチレン-ジビニルベンゼン又はアクリル系マトリックス樹脂から選ばれる樹脂を用いて、ステップd)が行われる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記植物細胞株が以下のステップ:
a)所定の植物細胞株の増殖を可能にするために十分な期間、安定化された、当該細胞株を培養して、固体培地に、実質的に識別可能な細胞クラスターを与え;
b) 当該固体培地から当該実質的に識別可能な細胞クラスターを除去し、別個の液体培地にそれらの各々を置き;
c)当該液体培地で、当該実質的に識別可能な細胞クラスターの各々を、当該細胞クラスターの増殖及び製造された一次及び/又は二次代謝物の分析的測定を可能にするために十分な時間培養し;それによって
d)当該液体培地中で、当該細胞クラスターの各々によって製造された当該一次及び/又は二次代謝物の定性及び定量的測定を行い;
e)所定の当該代謝物を最も大量に製造することができる細胞クラスターを選択し;
f)選択された細胞クラスター及び更なる選択サイクルから得られる細胞クラスターによって製造される所定の当該代謝物の量が基本的に一定になるまでの十分な回数が、ステップe)に従って選択される、当該細胞クラスターに関するステップa)、b)、c)、d)及びe)に従う方法サイクルを反復すること、
を含む方法に従って、最初に安定化されかつ選択される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記安定化及び選択ステップの後及び抽出前に、前記植物細胞株が発酵に供せられる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項1に従って取得できる植物細胞株抽出物。
【請求項15】
20重量%〜90重量%のフェニルプロパノイド及び80重量%〜10重量%の発色団を含まない分画を含み、主に、オリゴ-及びポリサッカライド、タンパク質及び脂質分子を含まない、請求項14記載の植物細胞株抽出物。
【請求項16】
30重量%〜60重量%のフェニルプロパノイド及び70重量%〜40重量%の前記発色団を含まない分画を含む、請求項14記載の抽出物。
【請求項17】
前記フェニルプロパノイドが、フェニルプロパノイドの総量に関して、5%〜25%のイソテウポリオシドを含む、請求項14記載の抽出物。
【請求項18】
請求項7の補助となるときに、前記フェニルプロパノイドが、フェニルプロパノイドの総量に関して、30%〜65%のイソテウポリオシドを含む、請求項14記載の抽出物。
【請求項19】
前記フェニルプロパノイドが、一般式(I):
【化1】

[式中、
R1は、水素原子、又は5もしくは6炭素原子を有する単糖、又は10〜12炭素原子を有する二糖であり;
R2は、水素原子、又はカフェオイル(A)又はフェルロイル(B)基であり;
R3は、5もしくは6炭素原子を有する単糖、又は10〜12炭素原子を有する二糖、又はカフェオイル(A)又はフェルロイル(B)基であり;
R4は、水素原子、又は1〜3炭素原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基、及び好ましくは1炭素原子を有するアルキル基もしくはヒドロキシルであり;
R5は、水素原子、又は1〜3炭素原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基、及び好ましくは1炭素原子を有するアルキル基である
但し、R3はカフェオイル(A)又はフェルロイル(B)基:
【化2】

であり、R2は常に水素原子であり(この反対でもよい)、R4及びR5は同一又は異なってもよい。]
で表される、請求項14記載の抽出物。
【請求項20】
前記植物細胞株が、アジュガ・レプタンスの安定細胞株である、請求項14記載の抽出物。
【請求項21】
前記アジュガ・レプタンス細胞株が、IRBN22(DMS:16451)と称される細胞株である、請求項20記載の抽出物。
【請求項22】
医薬として使用するための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項23】
抗炎症活性又は抗酸化剤活性を有する医薬を製造するための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項24】
血小板抗凝結活性を有する医薬を製造するための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項25】
血小板非凝結活性を有する医薬を製造するための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項26】
金属イオンキレート活性を有する医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項27】
若年性座瘡の治療のための及び前立腺の疾患の治療における抜毛の予防のために、抗アルファレダクターゼ及び抗リポオキシゲナーゼ活性を有する医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項28】
皮膚を漂白する処置用の抗チロシナーゼ活性を有する医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項29】
抗菌活性を有する医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項30】
神経系の酸素欠乏症、損傷及び炎症型疾患、例えば脳卒中、脳及び脊髄損傷、脳出血ショック、癲癇、脳虚血及び虚血性脊髄傷害、末梢ニューロパシー及び頭痛、の治療用の医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項31】
神経系の変性疾患、例えば加齢に関連する疾患又は自己免疫及び炎症成分に基づく疾患、例えば筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチング症、アルツハイマー症、痴呆又は行動障害例えば統合失調症及び鬱病、の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項32】
狭心症、経皮的冠動脈形成術(PTCA)、心筋梗塞及び血管症を含む再潅流傷害及び心疾患による損傷、アテローム性動脈硬化症及び筋肉損傷の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項33】
代謝異常疾患(dismetabolic disorder)、例えば糖尿病及びその神経系、血管系及び眼系合併症の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項34】
有毒症、例えばアルコール中毒症及びその神経系合併症及び肝硬変の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項35】
中毒ニューロパシーを含む末梢神経系疾患の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項36】
皮膚及び粘膜疾患、例えば光分解、光化学的損傷、皮膚加齢、アトピー、ケラチンサイト過剰増殖に関連する疾患、例えば乾癬、乾皮症、皮膚腫瘍の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項37】
細菌感染、歯肉炎を含む歯疾患、ウイルス感染、例えばHIV、ヘルペス帯状疱疹、単純ヘルペス及びサイトメガウイルス、及び歯疾患を含む細菌感染の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項38】
呼吸器組織疾患、例えば、嚢胞性線維症、喘息、アレルギーによる鼻炎、「呼吸器出血」及び新生児肺高血圧症の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項39】
リウマチ様関節炎及び乾癬性関節炎を含む関節疾患の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項40】
低減された免疫応答に関連する腫瘍及び疾患の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項41】
感覚組織疾患、例えば白内障、網膜変性及び聴覚組織損傷の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項42】
中毒ニューロパシーを含む末梢神経疾患の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項43】
光分解、光化学損傷、皮膚加齢、アトピー、ケラチンサイト過剰増殖に関連する疾患、例えば乾癬、乾皮症、皮膚腫瘍、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎;皮膚損傷、例えば火傷、すり傷、切傷、傷跡、外科手術傷及び褥瘡、並びに潰瘍及び口腔粘膜、胃粘膜及び腸粘膜を含む粘膜の損傷、を含む皮膚及び粘膜疾患の治療用医薬の製造のための、請求項14記載の抽出物の使用。
【請求項44】
活性成分として請求項14に記載の抽出物を、薬学的に又は化粧学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む調合物。
【請求項45】
全身的、非経口的、経口的、直腸的、吸入的、局所的、経皮的、静脈内、筋肉内又は皮下的投与のための、請求項44記載の調合物。
【請求項46】
経口投与のための形態が、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、粉剤、液剤、懸濁剤又は噴霧剤によって提供される、請求項45記載の調合物。
【請求項47】
吸入による投与のための形態が、粉剤、液剤及び懸濁剤によって提供される、請求項45記載の調合物。
【請求項48】
局所投与のための形態が、経皮的及び粘膜的使用及び洗眼のためのエマルション、ゲル又は適合性液剤である、請求項45記載の調合物。
【請求項49】
ヒト治療用医薬の製造のための、請求項14記載の使用。
【請求項50】
動物治療用医薬の製造のための、請求項14記載の使用。
【請求項51】
治療サイクル当たりの抽出物の投与量が、1〜100日間に0.1〜100 mg/kgである、請求項14〜21のいずれか1項記載の使用。
【請求項52】
化粧料としての、前記抽出物の総乾燥重量を越える、20重量%〜90重量%のフェニルプロパノイド、及び80%〜10%の発色団を含まない分画を含む植物細胞抽出物の使用。
【請求項53】
栄養物としての、前記抽出物の総乾燥重量を越える、20重量%〜90重量%のフェニルプロパノイド、及び80%〜10%の発色団を含まない分画を含む植物細胞抽出物の使用。
【請求項54】
太陽光フィルタの製造のための、請求項13記載の抽出物の使用。
【請求項55】
下記一般式(I):
【化3】

[式中、R1はガラクトースであり、R2は水素原子であり、R3はコーヒー酸であり、R4及びR5は請求項14で定義したとおりである。]
で表される化合物。
【請求項56】
受入番号DMS:16451を有するアジュガ・レプタンスIRBN22の植物細胞株。
【請求項57】
血小板凝集に対して作用する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項58】
抗炎症作用を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項59】
抗リポオキシゲナーゼ作用を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項60】
抗5-アルファレダクターゼ作用を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項61】
抗チロシナーゼ作用を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項62】
抗菌活性を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項63】
Fe2+、Fe3+、Cu2+又はNi2+金属のキレート作用を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項64】
血小板クロット及びアテローム斑の形成に関連する疾患;火傷、切傷又は損傷及び物理的損傷によって起こる表皮及び皮膚の損傷、糖尿病傷及び褥瘡;全身性及び皮膚のアレルギー-関連病状;過剰の重金属の存在によって生じるフリーラジカルにより起こる疾患進行;胃腸管及び膣粘膜の損傷及び潰瘍を含む、粘膜及び内皮の損傷及び潰瘍;男性ホルモン性脱毛症及び円形脱毛症;若年性座瘡;5アルファレダクターゼの活性化による前立腺疾患;皮膚炎、特に脂漏性皮膚炎、爪甲真菌症、癜風、足白癬、須毛白癬及び体部白癬の予防及び治療に用いられる医薬の製造のための、請求項57記載の使用。
【請求項65】
医薬として使用するためのイソテウポリオシド。
【請求項66】
抗酸化活性を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項67】
血小板凝集に対して作用する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項68】
抗炎症作用を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項69】
抗リポキシゲナーゼ作用を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項70】
抗5-アルファレダクターゼ作用を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項71】
抗チロシナーゼ作用を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項72】
抗菌活性を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項73】
Fe2+、Fe3+、Cu2+又はNi2+金属のキレート作用を有する、ヒト又は動物用途の医薬を製造するためのテウポリオシドの使用。
【請求項74】
血小板クロット及びアテローム斑の形成に関連する疾患;火傷、切傷又は損傷及び物理的損傷によって起こる表皮及び皮膚の損傷、糖尿病傷及び褥瘡;全身性及び皮膚のアレルギー-関連病状;過剰の重金属の存在によって生じるフリーラジカルにより起こる疾患進行;胃腸管及び膣粘膜の損傷及び潰瘍を含む、粘膜及び内皮の損傷及び潰瘍;男性ホルモン性脱毛症及び円形脱毛症;若年性座瘡;5アルファレダクターゼの活性化による前立腺疾患;皮膚炎、特に脂漏性皮膚炎、爪甲真菌症、癜風、足白癬、須毛白癬及び体部白癬の予防及び治療に用いられる医薬の製造のための、請求項67記載の使用。
【請求項75】
神経系の酸素欠乏症、損傷及び炎症性疾患、例えば脳卒中、脳及び脊髄損傷、出血性ショック、癲癇、脳虚血及び虚血脊髄損傷、末梢ニューロパシー及び頭痛;炎症性成分に基づく又はこれを有する、加齢又は自己免疫にも関連する神経系の変性症状、例えば筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー症、老人性痴呆症及びハンチング症;狭心症、経皮的冠動脈形成術(PTCA)、心筋梗塞及び血管症、アテローム性動脈硬化症及び筋肉損傷を含む、再潅流傷害及び心疾患;中毒ニューロパシーを含む末梢ニューロパシー;皮膚及び粘膜疾患、例えば光分解、光化学損傷、皮膚加齢、アトピー、ケラチンサイト過剰増殖に関連する疾患、例えば乾癬、乾皮症、皮膚腫瘍;細菌感染、歯肉炎を含む歯疾患;ウイルス感染、例えばHIV;呼吸器組織疾患、例えば、嚢胞性線維症、喘息、アレルギーによる鼻炎、「呼吸器出血」及び新生児肺高血圧症;リュウマチ様関節炎を含む関節疾患;腫瘍症状;眼疾患、例えば白内障、網膜変性;聴覚組織損傷;減少した免疫応答;胃、腸及び小腸管損傷、例えばクーロン病及び潰瘍性大腸炎の治療及び予防のための医薬を製造するための、請求項66記載の使用。

【図1】
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【公開番号】特開2007−1977(P2007−1977A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−170554(P2006−170554)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(506211779)イ.エルレ.ビ. イスティトゥレ ディ リチェルケ ビオテチノロジケ ソチエタ レスポンサビリタ リミテ (1)
【Fターム(参考)】