説明

アジン誘導体および農園芸用殺菌剤

【課題】工業的に有利に製造でき、効果が確実で安全に使用できる農園芸用殺菌剤となりうる、新規アジン誘導体及びその塩を含有する農園芸用殺菌剤を提供する。
【解決手段】式(I)で表されるアジン誘導体又はその塩。


(式中、Xはアルキル基等を、R、Rはアルキル基、フェニル基、ヘテロ環基等を、RおよびRは、アルキル基等を、Rは水素原子等を、YおよびZは酸素原子等を、nは整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアジン誘導体およびその塩、並びにこれらの化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
農園芸作物の栽培に当り、作物の病害に対して多数の防除薬剤が使用されているが、その防除効力が不十分であったり、薬剤耐性の病原菌の出現によりその使用が制限されたり、また植物体に薬害や汚染を生じたり、あるいは人畜魚類に対する毒性や環境への影響の観点から、必ずしも満足すべき防除薬とは言い難いものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない安全に使用できる薬剤の出現が強く要請されている。
【0003】
本発明に関連して、特許文献1には、下記に示す、本発明化合物と類似の化学構造を有するイミノオキシメチルピリジン化合物(A)、及びそれを有効成分として含有する農園芸用殺菌剤が開示されている。
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、X’は酸素原子あるいは直結を表し、Y’およびZ’は、それぞれ独立にフェニル基、あるいは酸素原子、硫黄原子又は窒素原子からなる群から選ばれた1個又は2個以上の原子を含有する複素環を示す。)
【特許文献1】特開2007−137852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、工業的に有利に製造でき、効果が確実で安全に使用できる農園芸用殺菌剤となりうる、新規アジン誘導体及びその塩、並びにこれらの化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明は第1に、下記式(I)で表されるアジン誘導体又はその塩を提供する。
【0008】
【化2】

【0009】
[式中、Xはハロゲン原子、C1〜20アルキル基、C1〜20アルコキシ基、C1〜20ハロアルキル基、又はC1〜20ハロアルコキシ基を表し、
、Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、C1〜20アルコキシ基、C2〜20アルケニルオキシ基、C2〜20アルキニルオキシ基、C1〜20ハロアルコキシ基、C2〜20ハロアルケニルオキシ基、C2〜20ハロアルキニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、シアノ基、ニトロ基、C1〜20アルキルチオ基、又は無置換若しくは置換基を有するヘテロ環基を表す。但し、RとRが共に水素原子であることはない。また、RとRは一緒になって結合して環を形成してもよい。
は、水素原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、又は無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基を表し、
は、水素原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、又はC1〜20アルキルチオ基を表し、
は、水素原子、C1〜20アルキル基、アシル基、ホルミル基、C1〜20アルコキシC1〜20アルキル基、C1〜20アルキルスルホニル基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基を表し、
Yは、酸素原子又は硫黄原子を表し、
Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又はNR(Rは、水素原子若しくはC1〜30のアルキル基を表す。)で示される基を表し、
nは0〜4のいずれかの整数を表す。〕
【0010】
本発明は第2に、下記式(II)で表される化合物を提供する。
【0011】
【化3】

【0012】
〔式中、Xはハロゲン原子、C1〜20アルキル基、C1〜20アルコキシ基、C1〜20ハロアルキル基、またはC1〜20ハロアルコキシ基を表し、
は、水素原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、または無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基を表し、
は、水素原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、またはC1〜20アルキルチオ基を表し、
は、水素原子、C1〜20アルキル基、アシル基、ホルミル基、C1〜20アルコキシC1〜20アルキル基、C1〜20アルキルスルホニル基、または無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基を表す。
Yは、酸素原子または硫黄原子を表し、
Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子、またはNR(Rは、水素原子若しくはC1〜30のアルキル基を表す。)で示される基を表し、
nは0〜4のいずれかの整数を表す。〕
本発明は第3に、前記式(I)で表されるアジン誘導体又はその塩の少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアジン誘導体及びその塩は新規化合物であり、優れた殺菌活性を有し、農園芸用殺菌剤の活性成分として有用である。
本発明の農園芸用殺菌剤は優れた防除効果を有し、植物体に薬害や汚染を生じることがなく、人畜魚類に対する毒性や環境への影響が少ない薬剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、前記式(I)で表されるアジン誘導体又はその塩、及びこれらの化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤である。
【0015】
1)式(I)で表されるアジン誘導体又はその塩
本発明の第1は、前記式(1)で表されるアジン誘導体又はその塩である。
式(1)中、Xはハロゲン原子、C1〜20アルキル基、C1〜20アルコキシ基、C1〜20ハロアルキル基、又はC1〜20ハロアルコキシ基を表し、ハロゲン原子又はC1〜20アルキル基であるのが好ましい。
【0016】
Xのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
C1〜20アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0017】
C1〜20アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0018】
C1〜20ハロアルキル基としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、2,2,2−トルフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0019】
C1〜20ハロアルコキシ基としては、クロロメトキシ基、ジクロロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、1−フルオロエトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基等が挙げられる。
【0020】
、Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、C1〜20アルコキシ基、C2〜20アルケニルオキシ基、C2〜20アルキニルオキシ基、C1〜20ハロアルコキシ基、C2〜20ハロアルケニルオキシ基、C2〜20ハロアルキニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、シアノ基、ニトロ基、C1〜20アルキルチオ基、又は無置換若しくは置換基を有するヘテロ環基を表す。但し、RとRが共に水素原子であることはない。
【0021】
前記R、Rの、ハロゲン原子、C1〜20アルキル基、C1〜20ハロアルキル基、C1〜20アルコキシ基、C1〜20ハロアルコキシ基の具体例としては、前記Xの、ハロゲン原子、C1〜20アルキル基、C1〜20ハロアルキル基、C1〜20アルコキシ基、C1〜20ハロアルコキシ基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。
【0022】
前記R、RのC2〜20アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0023】
C2〜20アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等が挙げられる。
【0024】
C2〜20ハロアルケニル基としては、3−クロロ−2−プロペニル基、4−クロロ−2−ブテニル基、4,4−ジクロロ−3−ブテニル基、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル基、3,3−ジクロロ−2−プロペニル基等が挙げられる。
【0025】
C2〜20ハロアルキニル基としては、3−クロロ−1−プロピニル基、3−クロロ−1−ブチニル基、3−ブロモ−1−ブチニル基、3−ブロモ−2−プロピニル基、3−ヨード−2−プロピニル基等が挙げられる。
【0026】
C2〜20アルケニルオキシ基としては、アリルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、2−メチル−3−プロペニルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
C2〜20アルキニルオキシ基としては、2−プロピニルオキシ基、2−ブチニルオキシ基、1−メチル−2−プロピニルオキシ基等が挙げられる。
【0028】
C2〜20ハロアルケニルオキシ基としては、3−クロロ−2−プロペニルオキシ基、3,3−ジクロロ−2−プロペニルオキシ基、4−クロロ−2−ブテニルオキシ基、4,4−ジクロロ−3−ブテニルオキシ基、4,4−ジフルオロ−3−ブテニルオキシ基等が挙げられる。
【0029】
C2〜20ハロアルキニルオキシ基としては、2−クロロエチニルオキシ基、3−クロロ−2−プロピニルオキシ基、3−フロロ−2−プロピニルオキシ基等が挙げられる。
【0030】
無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基のC3〜10シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0031】
前記C3〜10シクロアルキル基の置換基としては、メチル基、エチル基等のC1〜6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のC1〜6アルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;等が挙げられる。
【0032】
C1〜20アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等が挙げられる。
【0033】
無置換若しくは置換基を有するヘテロ環基のヘテロ環基は、環内に、ヘテロ原子を有するものであれば、特に制限されないが、N、O若しくはS原子を1〜4個含有する、飽和あるいは不飽和5〜6員複素環基が好ましい。
【0034】
複素環基の具体例としては、2−フリル基、3−フリル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、イソオキサゾール−3−イル基、イソオキサゾール−4−イル基、イソオキサゾール−5−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソチアゾール−5−イル基、1,2,4−チアジアゾール−3−イル基、1,2,4−チアジアゾール−5−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、イミダゾ−ル−2−イル基、イミダゾ−ル−4−イル基、2−チエニル基、3−チエニル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、テトラゾール−5−イル基、4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル基、4,5−ジヒドロイソオキサゾール−4−イル基、4,5−ジヒドロイソオキサゾール−5−イル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられる。
【0035】
前記フェニル基およびヘテロ環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−シクロプロピルエチル基、3,3−ジメチルプロピル基等のC1〜6アルキル基;
シクロプロピル基等のC3〜7シクロアルキル基;
【0036】
ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基等のC2〜10アルケニル基;
エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−ペンチニル基、2−シクロプロピルエチニル基、2−t−ブチルエチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等のC2〜10アルキニル基;
【0037】
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のC1〜6アルコキシ基;
フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、1−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トルフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1〜6ハロアルキル基;
クロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基等のC1〜6ハロアルコキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のC2〜7アルコキシカルボニル基;
【0038】
メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等のC1〜6アルキルチオ基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基等のC1〜6アルキルスルホニル基;
メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、n−プロピルスルホニルオキシ基、t−ブチルスルホニルオキシ基等のC1〜6アルキルスルホニルオキシ基;
シアノ基;ジメチルアミノ基等の無置換若しくは置換基を有するアミノ基;
フェニル基、4−フルオロフェニル等の無置換若しくは置換基を有するフェニル基;
ピロリジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、3−フルオロ−アゼチジン−1−イル基等の無置換若しくは置換基を有するヘテロ環基;等が挙げられる。
【0039】
これらの置換基は、任意の位置に同一又は相異なって複数個が置換していてもよく、隣接する2つの置換基が一緒になって結合して、2,3−メチレンジオキシ基、2,3−ジフルオロメチレンジオキシ基等の環を形成してもよい。
これらの中でも、前記フェニル基およびヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、C1〜6ハロアルキル基、又はC1〜6ハロアルコキシ基が好ましい。
【0040】
また、前記RとRは一緒になって結合して環を形成してもよい。かかる環としては、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の単環;インダン、テトラヒドロナフタレン等の縮合環;が挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよい。
【0041】
これらの中でも、R、Rとしては、C1〜20アルキル基又はC1〜20ハロアルキル基であるか、R、Rとが一緒になって結合して環を形成しているか、一方がC1〜20アルキル基であり、他方が、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有するヘテロ環基であるのが好ましい。
【0042】
は、水素原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基を表す。
【0043】
の、C1〜20アルキル基、C1〜20ハロアルキル基の具体例としては、前記Xの、C1〜20アルキル基、C1〜20ハロアルキル基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。
【0044】
前記Rの、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基の具体例としては、前記R、Rの、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。
【0045】
は、水素原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、C1〜20アルキルチオ基を表し、C1〜20アルキル基であるのが好ましい。
【0046】
の、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、C1〜20アルキルチオ基の具体例としては、前記R、Rの、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、C1〜20アルキルチオ基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。
【0047】
は、水素原子、C1〜20アルキル基、アシル基、ホルミル基、C1〜20アルコキシC1〜20アルキル基、C1〜20アルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基を表し、水素原子であるのが好ましい。
【0048】
前記RのC1〜20アルキル基の具体例としては、前記XのC1〜20アルキル基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。
【0049】
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、ベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基等の、式:−C(=O)R(Rは、C1〜20アルキル基、C1〜20ハロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基等を表す。)が挙げられる。
【0050】
のC1〜20アルコキシC1〜20アルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基、1−メトキシ−n−プロピル基、2-メトキシ−n−プロピル基、3−メトキシ−n−プロピル基等が挙げられる。
【0051】
のC1〜20アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、i−プロピルスルホニル基等が挙げられる。
【0052】
の無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニル基等が挙げられる。
Yは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0053】
Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又はNRで示される基を表す。
は、水素原子、又は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のC1〜30のアルキル基を表す。
nは0〜4のいずれかの整数を表す。
【0054】
本発明においては、これらの中でも、前記式(I)で表されるアジン誘導体が、下記式(Ia)
【0055】
【化4】

【0056】
(式中、R〜R、X、Y、Z及びnは前記と同じ意味を表す。)で表される化合物であることが好ましく、式(Ib)
【0057】
【化5】

【0058】
(式中、R〜R、X、Z及びnは前記と同じ意味を表す。)で表される化合物であることがより好ましく、式(Ic)
【0059】
【化6】

【0060】
(式中、R〜R、X、Z及びnは前記と同じ意味を表し、R11は、C1〜20アルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。)で表される化合物であることが特に好ましい。
11の、C1〜C20アルキル基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基の具体例としては、X、R、Rの、C1〜C20アルキル基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0061】
なお、本発明の前記式(I)で表されるアジン誘導体には、炭素−窒素二重結合に基づくシス−トランスの幾何異性体が存在し得るが、これらの異性体はすべて本発明化合物に含まれる。
【0062】
(製造方法)
本発明化合物は、例えば、下記のようにして製造することができる。
【0063】
【化7】

【0064】
すなわち、式(1)で表されるヒドラジン化合物と、式(II)で表される化合物とを縮合させることにより、目的とする式(I)で表される化合物を得ることができる。
【0065】
式(2)で表されるケトン化合物の使用量は、式(1)で表されるヒドラジン化合物に対して、通常0.5〜2倍モル、好ましくは0.7〜1.5倍モルである。
【0066】
この反応は、酸触媒又は塩基触媒の存在下に行うことが好ましく、酸触媒の存在下に行うことがより好ましい。用いる酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸1水和物、メタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホネート、塩酸、硫酸などが挙げられる。塩基触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどが挙げられる。
また、反応系に無水硫酸ナトリムなどの脱水剤を添加してもよい。
触媒の使用量は、式(1)で表されるヒドラジン化合物に対して、通常0.0001〜1倍モルである。
【0067】
この反応は適当な溶媒の中で行うことができる。用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。例えば、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系溶媒;及びこれらの二種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(1)で表されるヒドラジン化合物1gに対して、通常、1〜100mlである。
【0068】
反応温度は、室温から用いる溶媒の沸点までの温度範囲である。反応時間は、通常数分から数十時間である。
【0069】
前記式(1)で表されるヒドラジン化合物は、例えば、下記に示すように、式(2)で表されるケトン化合物に、式(3)で表されるヒドラジン(又はヒドラジン一水和物)を反応させることにより得ることができる。
【0070】
【化8】

【0071】
前記式(I)で表される誘導体の製造中間体である式(II)
【0072】
【化9】

【0073】
(式中、X、n、R〜R、YおよびZは、前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物(以下、「化合物(II)」ということがある。)は、新規化合物である。
化合物(II)としては、下記式(II−1)
【0074】
【化10】

【0075】
(式中、X、n、R〜R、YおよびZは、前記と同じ意味を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(II−2)
【0076】
【化11】

【0077】
(式中、X、n、R〜R、およびZは、前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物がより好ましい。
化合物(II)は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0078】
【化12】

【0079】
(式中、X、n、R〜R、YおよびZは、前記と同じ意味を表す。)
すなわち、先ず、式(4)で表されるフルオリド化合物(以下、「化合物(4)」ということがある。)に、塩基の存在下、式(5)で表されるオキシアミン化合物(以下、「化合物(5)」ということがある。)を反応させることにより、式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6)」ということがある。)を得る。次いで、化合物(6)に、式(7)で表されるアミド化合物(以下、「化合物(7)」ということがある。)及び塩基を反応させることにより、目的とするケトン化合物(II)を得ることができる。
【0080】
化合物(6)を得る反応において、化合物(5)の使用量は、化合物(4)1モルに対して、通常0.8〜5倍モル、好ましくは1〜3倍モルである。
【0081】
化合物(6)を得る反応に用いる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどの有機塩基;が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(4)1モルに対して、通常1〜20倍モルである。
【0082】
この反応は、適当な有機溶媒中で行うことができる。用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒;ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;及びこれらの二種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、化合物(4)1gに対して、通常、1〜100mlである。
【0083】
化合物(6)を得る反応は、0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。
反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作、及び所望によりカラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段を施すことにより、目的物を得ることができる。
【0084】
化合物(II)を得る反応に用いる化合物(7)の具体例としては、N,N−ジメチルアセタミド、N,N−ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
【0085】
化合物(7)の使用量は、化合物(6)1モルに対して、通常0.8〜5倍モル、好ましくは1〜3倍モルである。
【0086】
化合物(II)を得る反応に用いる塩基としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドなどの有機リチウム化合物;金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;などが挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(6)1モルに対して、通常1〜20倍モルである。
【0087】
この反応は、適当な有機溶媒中で行うことができる。用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。例えば、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
【0088】
化合物(II)を得る反応は、−100℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。
反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作、及び所望によりカラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段を施すことにより、目的物を得ることができる。
【0089】
また、以上にようにして得られた化合物(II)のうち、Y、Zが酸素原子である化合物(II−a)は、公知のエステル交換方法により、置換基Rを他の置換基R’に変換することができる(下記反応式)。
【0090】
【化13】

【0091】
(式中、X、n、R〜Rは、前記と同じ意味を表す。)
本発明化合物の塩としては、農園芸学的に許容される塩であれば、特に制限されない。例えば、塩酸、硫酸等の無機酸の塩;酢酸、乳酸等の有機酸の塩;等が挙げられる。これらの塩は、前記式(I)で表されるアジン誘導体と対応する酸を使用して、従来公知の方法により製造することができる。
【0092】
いずれの反応においても、反応終了後は、通常の後処理操作、及び所望により蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の公知慣用の精製手段により精製して、目的物を単離することができる。
目的物の構造は、IRスペクトル、NMRスペクトル、マススペクトル、元素分析等の公知の分析手段により、同定、確認することができる。
【0093】
本発明化合物(式(I)で表されるアジン誘導体又はその塩)は、広範囲の種類の糸状菌、例えば、藻菌類(Oomycetes)、子のう(嚢)菌類(Ascomycetes),不完全菌類(Deuteromycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)に属する菌に対し優れた殺菌力を有する。したがって、後述するように、本発明化合物は農園芸用殺菌剤の有効成分として有用である。
【0094】
2)農園芸用殺菌剤
本発明の第2は、本発明の式(I)で表されるアジン誘導体又はその塩の少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤(以下、「本発明殺菌剤」ということがある。)である。
【0095】
本発明殺菌剤は本発明化合物を有効成分として含有し、広範囲の種類の糸状菌、例えば、藻菌類(Oomycetes)、子のう(嚢)菌類(Ascomycetes),不完全菌類(Deuteromycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)に属する菌に対し優れた殺菌力を有する。
【0096】
本発明殺菌剤は、花卉、芝、牧草を含む農園芸作物の栽培に際し発生する種々の病害の防除に、種子処理、茎葉散布、土壌施用又は水面施用等により使用することができる。
【0097】
例えば、
テンサイ 褐斑病(Cercospora beticola)
ラッカセイ 褐斑病(Mycosphaerella arachidis)
黒渋病(Mycosphaerella berkeleyi)
キュウリ うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)
つる枯病(Mycosphaerella melonis)
菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
黒星病(Cladosporium cucumerinum)
褐斑病(Corynespora cassicola)
苗立枯病(Pythium debaryanam、Rhizoctonia solani Kuhn)
斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv.Lecrymans)
トマト 灰色かび病(Botrytis cinerea)
葉かび病(Cladosporium fulvum)
ナス 灰色かび病(Botrytis cinerea)
黒枯病(Corynespora melongenae)
うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)
すすかび病(Mycovellosiella nattrassii)
イチゴ 灰色かび病(Botrytis cinerea)
うどんこ病(Sohaerotheca humuli)
炭そ病(Colletotrichum acutatum、Colletotrichum fragariae)
タマネギ 灰色腐敗病(Botrytis allii)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
白斑葉枯病(Botrytis squamosa)
キャベツ 根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)
軟腐病(Erwinia carotovora)
インゲン 菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
りんご うどんこ病(Podosphaera leucotricha)
黒星病(Venturia inaequalis)
モニリア病(Monilinia mali)
腐らん病(Valsa mali)
斑点落葉病(Alternaria mali)
赤星病(Gymnosporangium yamadae)
輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)
炭そ病(Colletotrichum gloeosprioides)
褐斑病(Diplocarpon mali)
カキ うどんこ病(Phyllactinia kakicola)
炭そ病(Gloeosporium kaki)
角斑落葉病(Cercospora kaki)
【0098】
モモ・オウトウ 灰星病(Monilinia fructicola)
ブドウ 灰色かび病(Botrytis cinerea)
うどんこ病(Uncinula necator)
晩腐病(Glomerella cingulata)
ナシ 黒星病(Venturia nashicola)
赤星病(Gymnosporangium asiaticum)
黒斑病(Alternaria kikuchiana)
チャ 輪斑病(Pestalotia theae)
炭そ病(Colletotrichum theae−sinensis)
カンキツ そうか病(Elsinoe fawcetti)
青かび病(Penicillium italicum)
緑かび病(Penicillium digitatum)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
黒点病(Diaporthe citri)
かいよう病(Xanthomonas campestris pv.Citri)
コムギ うどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.tritici)
赤かび病(Gibberella zeae)
赤さび病(Puccinia recondita)
褐色雪腐病(Pythium iwayamai)
紅色雪腐病(Monographella nivalis)
眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)
葉枯病(Septoria tritici)
ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)
雪腐小粒菌核病(Typhula incarnata)
雪腐大粒菌核病(Myriosclerotinia borealis)
立枯病(Gaeumanomyces graminis)
【0099】
オオムギ 斑葉病(Pyrenophora graminea)
雲形病(Rhynchosporium secalis)
裸黒穂病(Ustilago tritici、U.nuda)
イネ いもち病(Pyricularia oryzae)
紋枯病(Rhizoctonia solani)
馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)
ごま葉枯病(Cochliobolus niyabeanus)
タバコ 菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)
チューリップ 灰色かび病(Botrytis cinerea)
ベントグラス 雪腐大粒菌核病(Sclerotinia borealis)
オーチャードグラス うどんこ病(Erysiphe graminis)
ダイズ 紫斑病(Cercospora kikuchii)
ジャガイモ・トマト 疫病(Phytophthora infestans)
キュウリ べと病(Pseudoperonospora cubensis)
ブドウ べと病(Plasmopara viticola)
等の防除に使用することができる。
【0100】
また、近年種々の病原菌においてベンズイミダゾール系殺菌剤やジカルボキシイミド系殺菌剤等に対する耐性が発達し、それらの薬剤の効力不足を生じており、耐性菌にも有効な薬剤が望まれている。本発明殺菌剤は、それら薬剤に対し感受性の病原菌のみならず、耐性菌にも優れた殺菌効果を有する。
【0101】
例えば、チオファネートメチル、ベノミル、カルベンダジム等のベンズイミダゾール系殺菌剤に耐性を示す灰色かび病菌(Botrytis cinerea)やテンサイ褐斑病菌(Cercospora beticola)、リンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis)、ナシ黒星病菌(Venturia nashicola)に対しても感受性菌と同様に、本発明殺菌剤は有効である。
【0102】
さらに、ジカルボキシイミド系殺菌剤(例えば、ビンクロゾリン、プロシミドン、イプロジオン)に耐性を示す灰色かび病菌(Botrytis cinerea)に対しても感受性菌と同様に、本発明殺菌剤は有効である。
【0103】
適用がより好ましい病害としては、テンサイの褐斑病、コムギのうどんこ病、イネのいもち病、リンゴ黒星病、キュウリの灰色かび病、ラッカセイの褐斑病等が挙げられる。
【0104】
また本発明殺菌剤は薬害が少なく、魚類や温血動物への毒性が低く、安全性の高い薬剤である。
本発明殺菌剤を実際に施用する際には、本発明化合物を他成分を加えることなく純粋な形で使用するものであっても、農薬として使用する目的で一般の農薬のとり得る形態、即ち、水和剤、粒剤、粉剤、乳剤、水溶剤、懸濁剤、顆粒水和剤等の農薬製剤の形態で使用するものであってもよい。
【0105】
農薬製剤中に添加することのできる添加剤及び担体としては、固体の剤型を目的とする場合は、大豆粉、小麦粉等の植物性粉末、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレー等の鉱物性微粉末、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機及び無機化合物が使用される。
【0106】
また、液体の剤型を目的とする場合は、ケロシン、キシレン及び石油系の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、トリクロロエチレン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水等を溶剤として使用することができる。
【0107】
さらに、これらの製剤において均一かつ安定な形態をとるために、必要に応じ界面活性剤を添加することもできる。
添加することができる界面活性剤としては特に限定はないが、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0108】
このようにして得られた水和剤、乳剤、フロアブル剤、水溶剤、顆粒水和剤は水で所定の濃度に希釈して、溶解液、懸濁液あるいは乳濁液として、粉剤・粒剤はそのまま植物に散布する方法で使用される。
【0109】
本発明殺菌剤中における有効成分量は、通常、組成物(製剤)全体に対して、好ましくは0.01〜90重量%、より好ましくは0.05〜85重量%である。
【0110】
本発明殺菌剤の施用量は、気象条件、製剤形態、施用磁気、施用方法、施用場所、防除対象病害、対象作物等により異なるが、通常1ヘクタール当たり有効成分化合物量にして1〜1,000g、好ましくは10〜100gである。
【0111】
水和剤、乳剤、懸濁剤、水溶剤、顆粒水和剤等を水で希釈して施用する場合、その施用濃度は1〜1000ppm、好ましくは10〜250ppmである。
【0112】
本発明殺菌剤には、本発明化合物のほかに、各種の殺菌剤や殺虫・殺ダニ剤、共力剤の1種又は2種以上を混合することもできる。
【0113】
本発明化合物と混合して使用できる殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、植物生長調節剤の代表例を以下に示す。
【0114】
殺菌剤:
キャプタン、フォルペット、チウラム、ジラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、プロピネブ、ポリカーバメート、クロロタロニル、キントーゼン、キャプタホル、イプロジオン、プロサイミドン、ビンクロゾリン、フルオロイミド、サイモキサニル、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、オキシカルボキシン、ホセチルアルミニウム、プロパモカーブ、トリアジメホン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジクロブトラゾール、ビテルタノール、ヘキサコナゾール、マイクロブタニル、フルシラゾール、メトコナゾール、エタコナゾール、フルオトリマゾール、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルトリアフェン、ベンコナゾール、ジニコナゾール、サイプロコナゾーズ、フェナリモール、トリフルミゾール、プロクロラズ、イマザリル、ペフラゾエート、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、トリホリン、ブチオベート、ピリフェノックス、アニラジン、ポリオキシン、メタラキシル、オキサジキシル、フララキシル、イソプロチオラン、プロベナゾール、ピロールニトリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ベノミル、カルベンダジム、チオファネートメチル、ヒメキサゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、フェンチンアセテート、水酸化トリフェニル錫、ジエトフェンカルブ、メタスルホカルブ、キノメチオナート、ビナパクリル、レシチン、重曹、ジチアノン、ジノカップ、フェナミノスルフ、ジクロメジン、グアザチン、ドジン、IBP、エディフェンホス、メパニピリム、フェルムゾン、トリクラミド、メタスルホカルブ、フルアジナム、エトキノラック、ジメトモルフ、ピロキロン、テクロフタラム、フサライド、フェナジンオキシド、チアベンダゾール、トリシクラゾール、ビンクロゾリン、シモキサニル、シクロブタニル、グアザチン、プロパモカルブ塩酸塩、オキソリニック酸、ヒドロキシイソオキサゾール、イミノクタジン酢酸塩等。
【0115】
殺虫・殺ダニ剤:
有機燐及びカーバメート系殺虫剤:
フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキシジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIPC、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、フェノキシカルブ、EDDP等。
ピレスロイド系殺虫剤:
ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメスリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレトリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フルシトリネート、エトフェンプロクス、シクロプロトリン、トロラメトリン、シラフルオフェン、ブロフェンプロクス、アクリナスリン等。
ベンゾイルウレア系その他の殺虫剤:
ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、テトラベンズロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエピン、ジアフェンチウロン、アセタミプリド、イミダクロプリド、ニテンピラム、フィプロニル、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、機械油、BTや昆虫病原ウイルス等の微生物農薬等。
【0116】
殺線虫剤:
フェナミホス、ホスチアゼート等。
殺ダニ剤:
クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル等。
植物生長調節剤:
ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベレリンA4、ジベレリンA7)、IAA、NAA等。
【実施例】
【0117】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されることはない。
【0118】
(実施例1)
(1)N−(5−ブロモ−2−クロロフェノキシ)カルバミン酸t−ブチルの製造
【0119】
【化14】

【0120】
4−ブロモ−1−クロロ−2−フルオロベンゼン5.00g、N−Boc−ヒドロキシルアミン4.14gをジメチルスルホキシド50mlに溶解させた溶液に、水酸化カリウム12.34gを室温にて加え、60℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水で3回洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、目的とするN−(5−ブロモ−2−クロロフェノキシ)カルバミン酸t−ブチル7.39g(収率96%)を得た。
【0121】
H−NMR(CDCl/TMS,δppm):7.60(bs,1H),7.47(d,1H),7.20(d,1H),7.10(dd,1H),1.52(s,9H)
【0122】
(2)N−(5−アセチル−2−クロロフェノキシ)カルバミン酸t−ブチルの製造
【0123】
【化15】

【0124】
窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン(THF)500mlを−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(2.77mol/L)198mlを加え、THF170mlに溶解したN−(5−ブロモ−2−クロロフェノキシ)カルバミン酸t−ブチル67.43gを滴下した。−78℃で10分撹拌した後、ジメチルアセトアミド54.63gを滴下し、−78℃にて1時間撹拌した。反応終了後、−78℃にて塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、目的とするN−(5−アセチル−2−クロロフェノキシ)カルバミン酸t−ブチル29.18g(収率49%、融点:120〜123℃)を得た。
【0125】
(3)N−(5−アセチル−2−クロロフェノキシ)カルバミン酸メチルの製造
【0126】
【化16】

【0127】
N−(5−アセチル−2−クロロフェノキシ)カルバミン酸t−ブチル28.93gを塩化メチレン380mlに溶解し、氷冷下トリエチルアミン15.37gを加え、クロロギ酸メチル12.44gを滴下した。室温にて1時間撹拌した後、氷冷下で水を加え塩化メチレン層を分離し、これに無水硫酸マグネシウムを加え乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に塩化メチレン250mlを加え、氷冷下、トリフルオロ酢酸64mlを滴下し、室温にて1.5時間撹拌した。反応終了後、反応液を飽和重曹水にあけ、塩化メチレンを加えて抽出し、得られた塩化メチレン層に硫酸マグネシウムを加え乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた結晶をn−ヘキサンで洗浄し、目的とするN−(5−アセチル−2−クロロフェノキシ)カルバミン酸メチル23.28g(収率94%、融点:154〜155℃)を得た。
【0128】
(4)[1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチリデン]ヒドラジンの製造
【0129】
【化17】

【0130】
2,4−ジフルオロアセトフェノン1.88gをエタノール20mlに溶解し、ヒドラジン一水和物0.75gを加え、1時間還流させた。室温に冷却後、塩化メチレン、水を加え、有機層を分離し、これに硫酸マグネシウムを加え乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去し、目的とする[1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチリデン]ヒドラジン1.64g(収率96%)を得た。
【0131】
H−NMR(CDCl/TMS,δppm):7.53〜7.45(m,1H),6.88〜6.75(m,2H),5.40(bs,2H),2.13(d,3H)
【0132】
(5)N−[2−クロロ−5−(1−{[1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチリデン]ヒドラゾノ}エチル)フェノキシ]カルバミン酸メチル
【0133】
【化18】

【0134】
N−(5−アセチル−2−クロロフェノキシ)カルバミン酸メチル0.30gをジオキサン15mlに溶解し、この溶液に[1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチリデン]ヒドラジン0.27g、硫酸ナトリウム3g、p−トルエンスルホン酸一水和物23mgを加え、3時間還流した。室温に冷却後、酢酸エチル、水を加え、有機層を分離し、これに硫酸マグネシウムを加え乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をNHゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、目的とするN−[2−クロロ−5−(1−{[1−(2,4−ジフルオロフェニル)エチリデン]ヒドラゾノ}エチル)フェノキシ]カルバミン酸メチル0.20g(収率41%、融点133〜135℃)を得た。
【0135】
以上のようにして得られる本発明のアジン誘導体の例を、実施例の化合物を含め下記第1表〜第15表に示す。下記表中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、c−Prはシクロプロピル基を、c−Penはシクロペンチル基を、c−Hexはシクロヘキシル基を、i−Amはイソアミル基をそれぞれ表し、[ ]は融点(℃)を示す。
また、化合物番号の前に*が付された化合物は異性体である。
第1表中、R、Rの欄における、化合物中の「*」は、R、Rが結合する炭素原子と結合する窒素原子の位置を表す。該欄においては、R、Rが結合する炭素原子を含めて表示している。また、表中、(X)nの置換位置は、第1表の式(I−1)に記載した番号に対応する。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

【0138】
【表3】

【0139】
【表4】

【0140】
【表5】

【0141】
【表6】

【0142】
【表7】

【0143】
【表8】

【0144】
【表9】

【0145】
【表10】

【0146】
【表11】

【0147】
【表12】

【0148】
【表13】

【0149】
【表14】

【0150】
【表15】

【0151】
【表16】

【0152】
【表17】

【0153】
【表18】

【0154】
【表19】

【0155】
【表20】

【0156】
【表21】

【0157】
【表22】

【0158】
【表23】

【0159】
【表24】

【0160】
【表25】

【0161】
【表26】

【0162】
【表27】

【0163】
【表28】

【0164】
【表29】

【0165】
次に、本発明の組成物の実施例を若干示すが、添加物及び添加割合は、これら実施例に限定されるべきものではなく、広範囲に変化させることが可能である。また、製剤実施例中の部は重量部を示す。
【0166】
製剤実施例1 水和剤
本発明化合物 40部
クレー 48部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 4部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
以上を均一に混合して微細に粉砕し、有効成分40%の水和剤を得る。
【0167】
製剤実施例2 乳剤
本発明化合物 10部
ソルベッソ200 53部
シクロヘキサノン 26部
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩 1部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 10部
以上を混合溶解し、有効成分10%の乳剤を得る。
【0168】
製剤実施例3 粉剤
本発明化合物 10部
クレー 90部
以上を均一に混合して微細に粉砕し、有効成分10%の粉剤を得る。
【0169】
製剤実施例4 粒剤
本発明化合物 5部
クレー 73部
ベントナイト 20部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 1部
リン酸カリウム 1部
以上をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
【0170】
製剤実施例5 懸濁剤
本発明化合物 10部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 4部
ポリカルボン酸ナトリウム塩 2部
グリセリン 10部
キサンタンガム 0.2部
水 73.8部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕し、有効成分10%の懸濁剤を得る。
【0171】
製剤実施例6 顆粒水和剤
本発明化合物 40部
クレー 36部
塩化カリウム 10部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 1部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩のホルムアルデヒド縮合物
5部
以上を均一に混合して微細に粉砕後,適量の水を加えてから練り込んで粘土状にする。粘土状物を造粒した後乾燥し、有効成分40%の水和剤を得る。
【0172】
以上のようにして得られた本発明の有害生物防除剤の試験例を以下に示す。
(試験例1)リンゴ黒星病防除試験
素焼きポットで栽培したリンゴ幼苗(品種「国光」、3〜4葉期)に、本発明化合物の乳剤を有効成分100ppmの濃度で散布した。室温で自然乾燥した後、リンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis)の分生胞子を接種し、明暗を12時間毎に繰り返す、20℃、高湿度の室内に2週間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果を求めた。
【0173】
その結果、以下の化合物が75%以上の優れた防除価を示した。
化合物番号(化合物番号は、上記第1表〜第15表中の化合物番号に対応する。以下にて同じ。):
1−13、1−24〜1−26、2−1〜2−7、2−15、2−26〜2−52、2−54〜2−63、2−241〜2−248、3−1〜3−3、3−8、3−10〜3−16、3−18〜3−20、3−30、3−78、7−1、9−3、9−4、9−13,9−14、11−5、11−7〜11−14、11−16、11−17、11−52、11−56、11−71、11−81〜11−93、11−95〜11−98、11−100〜11−109、14−1、15−1
【0174】
(試験例2)コムギうどんこ病防除試験
素焼きポットで栽培したコムギ幼苗(品種「チホク」、1.0〜1.2葉期)に、本発明化合物の水和剤を100ppmの濃度で散布した。葉を風乾させた後、コムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis f.sp.tritici)の分生胞子を振り払い接種し、22〜25℃の温室で7日間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果を求めた。
【0175】
その結果、以下の化合物が75%以上の優れた防除価を示した。
化合物番号:
1−24〜1−26、2−1〜2−7、2−15、2−26、2−27、2−31〜2−40、2−44〜2−52、2−54、2−55、2−57〜2−63、2−241〜2−243、2−246〜2−248、3−1〜3−3、3−8、3−10〜3−16、3−18〜3−20、3−30、3−78、9−13,9−14、11−5、11−7、11−8、11−10〜11−14、11−16、11−17、11−52、11−56、11−71、11−81〜11−93、11−95〜11−98、11−100〜11−104、11−106〜11−109、14−1
【0176】
(試験例3)コムギ赤さび病防除試験
素焼きポットで栽培したコムギ幼苗(品種「農林61号」、1.0〜1.2葉期)に本発明化合物の水和剤を100ppmの濃度で散布した。葉を風乾させた後、コムギ赤さび病菌(Puccinia recondita)の夏胞子を振り払い接種し、22〜25℃の温室で10日間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果を求めた。
【0177】
その結果、以下の化合物が75%以上の優れた防除価を示した。
化合物番号:
1−13、1−24〜1−26、2−1〜2−7、2−26、2−27、2−29、2−31、2−32、2−34〜2−38、2−40、2−42、2−44、2−45、2−49、2−51、2−54、2−55、2−57〜2−63、2−241〜2−243、2−246〜2−248、3−1〜3−3、3−8、3−10〜3−16、3−18〜3−20、3−30、3−78、11−5、11−7、11−8、11−10〜11−14、3−16,3−17、3−52、3−56、11−71、11−81〜11−86、11−88〜11−93、11−95〜11−98、11−100〜11−102、11−104〜11−109、14−1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるアジン誘導体またはその塩。
【化1】

〔式中、Xはハロゲン原子、C1〜20アルキル基、C1〜20アルコキシ基、C1〜20ハロアルキル基、またはC1〜20ハロアルコキシ基を表し、
、Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、C1〜20アルコキシ基、C2〜20アルケニルオキシ基、C2〜20アルキニルオキシ基、C1〜20ハロアルコキシ基、C2〜20ハロアルケニルオキシ基、C2〜20ハロアルキニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、シアノ基、ニトロ基、C1〜20アルキルチオ基、または無置換若しくは置換基を有するヘテロ環基を表す。但し、RとRが共に水素原子であることはない。また、RとRは一緒になって結合して環を形成してもよい。
は、水素原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、または無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基を表し、
は、水素原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、またはC1〜20アルキルチオ基を表し、
は、水素原子、C1〜20アルキル基、アシル基、ホルミル基、C1〜20アルコキシC1〜20アルキル基、C1〜20アルキルスルホニル基、または無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基を表す。
Yは、酸素原子または硫黄原子を表し、
Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子、またはNR(Rは、水素原子若しくはC1〜30のアルキル基を表す。)で示される基を表し、
nは0〜4のいずれかの整数を表す。〕
【請求項2】
下記式(II)で表される化合物。
【化2】

〔式中、Xはハロゲン原子、C1〜20アルキル基、C1〜20アルコキシ基、C1〜20ハロアルキル基、またはC1〜20ハロアルコキシ基を表し、
は、水素原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、または無置換若しくは置換基を有するC3〜10シクロアルキル基を表し、
は、水素原子、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C2〜20アルキニル基、C1〜20ハロアルキル基、C2〜20ハロアルケニル基、C2〜20ハロアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、またはC1〜20アルキルチオ基を表し、
は、水素原子、C1〜20アルキル基、アシル基、ホルミル基、C1〜20アルコキシC1〜20アルキル基、C1〜20アルキルスルホニル基、または無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基を表す。
Yは、酸素原子または硫黄原子を表し、
Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子、またはNR(Rは、水素原子若しくはC1〜30のアルキル基を表す。)で示される基を表し、
nは0〜4のいずれかの整数を表す。〕
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)で表されるアジン誘導体またはその塩の少なくとも1種を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤。

【公開番号】特開2009−149598(P2009−149598A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179351(P2008−179351)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】