説明

アゾ又はトリ(ヘテロ)アリールメタン型の少なくとも1つの発色団をベースとした混合染料を含有する組成物、染色方法及び混合染料

【課題】アゾ型又はトリ(ヘテロ)アリールメタン型の少なくとも1つの発色団をベースとした混合染料を含有する染色用組成物の提供。
【解決手段】ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色に適した媒体に、少なくとも2つの異なる発色団を含む、1つの混合染料を含有した染色用組成物。該混合染料は、少なくとも1つの発色団がアゾ化合物ファミリーの発色団又はトリ(ヘテロ)アリールメタンファミリーの発色団から選択され、発色団が、それぞれの発色団の電子の非局在化を停止する少なくとも1つのリンカーを介して互いに結合している。例えば下記式で示される化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アゾ型又はトリ(ヘテロ)アリールメタン型の少なくとも1つの発色団を含む一又は複数の混合染料を含有する染色用組成物、及び該組成物を使用するケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色方法に関する。同様に、本発明は混合染料それ自体に関する。
【背景技術】
【0002】
直接染料を含有する染色用組成物を用いて、ケラチン繊維、特にヒトの毛髪を染色することは知られた実務である。これらの化合物は、繊維に対する親和性を有する着色した又は着色する分子である。例えば、ニトロベンゼン型の直接染料、アントラキノン染料、ニトロピリジン類、又はアゾ、キサンテン、アクリジン、アジン又はトリアリールメタン型の染料を使用することも知られている。
これらの染料は、繊維の艶出しを同時に行おうと所望するならば、場合によっては酸化剤の存在下で、繊維に適用されるのが一般的である。作用時間が経過したら、繊維をすすぎ、場合によっては洗浄して乾燥させる。
【0003】
直接染料とケラチン繊維とを結合させる相互作用の性質、また繊維の表面及び/又は中心部からの脱着度合いが、それらの染色力の弱さ、及び洗浄に対する堅牢性、又は発汗に対する堅牢性が比較的乏しいことの原因であるため、直接染料を使用して得られた着色は、一時的又は半永久的な着色となる。
また、全てのケースでではないが、多くのケースで必要とされている特定の色調を得るために、いくつかの染料を混合するといった事実に関連した、さらなる困難も生じている。しかしながら、それぞれの染料は繊維に対して同様な親和性を有しているわけではなく、このことは、例えば繊維を一又は複数回洗浄したり日光に暴露された後等の、経時的な色調変化、又は不均質な着色に表れる。
【特許文献1】欧州特許出願第850636号公報
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、直接染料に存在する欠点を有することのない直接染料を提供することにある。
特に本発明の目的の一つは、経時的な色調変化の問題を何ら有さず、多様な色調を付与可能な直接染料を提供することにある。
【0005】
これらの目的他は本発明により達成され、本発明の主題の一つは、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色に適した媒体に、少なくとも2つの異なる発色団を含む、少なくとも1つの混合染料を含有せしめてなる染色用組成物にあり;該少なくとも1つの発色団はアゾ化合物ファミリーの発色団又はトリ(ヘテロ)アリールメタンファミリーの発色団から選択され;発色団は、それぞれの発色団の電子の非局在化を停止させる少なくとも1つのリンカーを介して互いに結合しており;その発色団が全てアゾ型のものである混合染料は本発明の一部を形成しない。
【0006】
同様に、本発明の主題は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色方法にあり、上述した染色用組成物を、場合によっては少なくとも1つの酸化剤の存在下で適用し、所望の着色が得られるのに十分な時間作用させて放置し、場合によっては繊維をすすぎ、さらに場合によってはそれらを洗浄してすすぎ、ついでそれらを乾燥させるか、又は乾燥するまで放置する。
【0007】
さらに本発明の主題は、少なくとも2つの異なる発色団を含む混合染料にあり;該少なくとも1つの発色団は、アゾ化合物ファミリーの発色団又はトリ(ヘテロ)アリールメタンファミリーの発色団から選択され;発色団は、それぞれの発色団の電子の非局在化を停止する少なくとも1つのリンカーを介して互いに結合しており;その発色団が全てアゾ型のものである混合染料は本発明の一部を形成せず;さらに次の化合物は除かれる。
【化1】


【0008】
本発明の染色用組成物により、悪天候、洗浄及び発汗に対する耐性があり、経時的に良好な堅牢性を示す、強い、光安定性のある着色を得ることができることが見出された。
しかしながら、本発明の他の特徴及び利点は、提示する記載及び実施例を読むことにより、さらに明らかになるであろう。
【0009】
以下の記載において、特に示さない限りは、「置換されたアルキル、置換されたアリール(又は芳香族)又は置換されたヘテロアリール(又は複素環式芳香族)基」なる表現は、ヒドロキシル基;ハロゲン原子、好ましくは塩素、及び分枝状で置換された又は未置換のモノヒドロキシアルコキシ基で、アルキル部分がC1-Cの、好ましくはアルコキシ基であるもの;直鎖状又はフッ素;直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-C、好ましくはC-C-C;直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-C、好ましくはC-Cポリヒドロキシアルコキシ基;一又は複数の置換されていてもよい、好ましくはCアリール基、及び/又は同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-C、好ましくはC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;チオール基;直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-C、好ましくはC-Cアルキルチオ基;酸又は塩の形態(好ましくはアルカリ金属又は置換されたもしくは未置換のアンモニウムによる)のカルボキシル基;直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のアルコキシカルボニル基で、アルキル部分がC-C、好ましくはC-Cであるもの;アルキルアミド基で、アルキル部分が直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-C、好ましくはC-Cであるもの;アルキルカルバミル基で、アルキル部分が直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-C、好ましくはC-Cであるもの;ニトロ基;スルホニル基;直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-C、好ましくはC-Cアルキルスルホニル基;スルホニルアミノ基;アルキルスルホニルアミノ基で、アルキル部分が直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-C、好ましくはC-Cであるものから選択される一又は複数の基を担持するアルキル、アリール又はヘテロアリール基を意味する。
【0010】
複素環式芳香族又はヘテロアリール基は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子、特に窒素、酸素又は硫黄で置き換えられた芳香族基に相当することを思い起こすべきである。
【0011】
さらに、アルキル又はアリール基、もしくは他の基で置換される基のアルキル又はアリール部分が、それ自体置換されていることが示されている場合、これは、ヒドロキシル基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;一又は複数のヒドロキシル基を担持していてもよい、直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基から選択される一又は複数の置換基を有していることを意味する。
【0012】
置換されていてもよいアルキル基から選択される2つの置換基を担持しているアミノ基が挙げられる場合、該アルキル基は、それらが結合している窒素原子と共同して、5-又は6員環を形成可能であり、その少なくとも1つの炭素原子は一又は複数の窒素、酸素又は硫黄原子と置き換えられ得ると理解される。
さらに、特に示さない限りは、数値の範囲には、値の範囲を定める境界値が含まれる。
【0013】
さらに、本発明の混合染料はカチオン性であるため、それらの対イオン(類)は、無機又は有機で化粧品的に許容可能なアニオンから選択される。挙げることのできる無機アニオンの例には、特にハロゲン化物、例えば塩化物又は臭化物;水酸化物;スルファート類;硫酸水素塩;カルボナート類;炭酸水素塩が含まれる。
適切な有機アニオンの例には、例えばアセタート類;シタラート類;タータラート類;メトスルファート又はエトスルファートイオン等の、直鎖状又は分枝状のアルキル部分がC-Cであるアルキルスルファート類;直鎖状又は分枝状のアルキル部分がC-Cであるアルキルスルホナート類;アリール部分、好ましくはフェニルが一又は複数のC-Cアルキル基で置換されていてもよいアリールスルホナート類等のアニオン類が含まれる。
【0014】
まず、本発明の組成物に存在している混合染料について記載する。
上述したように、混合染料は少なくとも2つの異なる発色団を含み;該発色団の少なくとも一方は、アゾ化合物ファミリーの発色団又はトリ(ヘテロ)アリールメタンファミリーの発色団から選択され;発色団は、それぞれの発色団の電子の非局在化を停止する少なくとも1つのリンカーを介して互いに結合している。最後に、その発色団が全てアゾ型のものである混合染料は本発明の一部を形成しない。
好ましくは、混合染料の少なくとも1つの発色団は、一又は複数のカチオン電荷を担持している。
【0015】
「発色団」なる用語は染料から誘導される基、すなわち400〜800nmの可視領域に吸収する分子の基を意味する。この染料の吸光度には、染料の事前酸化又は他の化学種との結合を何ら必要とすることがないことを、さらに記しておくべきである。
発色団が異なると記載されている場合、これは、それらの少なくとも2つ、好ましくはそれらの全てが、それらの化学構造の点で異なることを意味している。このような発色団は、異なる化学構造を提供する同じファミリー、又は異なるファミリーから誘導される発色団であってよい。例えば、発色団は同じファミリーの染料から選択されてよいが、それらを構成する基の化学構造は異なる。
【0016】
本発明の特定の一実施態様において、混合染料は2乃至4の発色団、有利には2乃至3の発色団を含む。
染料が2以上の発色団を含む場合、これらの発色団の少なくとも1つは、他のものとは異なっていることを記しておくべきである。
本発明の好ましい一実施態様において、混合染料は2つの発色団を含む。
【0017】
本発明の特定の一変形例において、カチオン性発色団(類)は、少なくとも1つの第4級化窒素原子を有する発色団である。
さらにカチオン電荷は、環に結合していてもしていなくてもよい。
また上述したように、混合染料の少なくとも1つの発色団は、少なくとも1つのカチオン電荷、特に唯一のカチオン電荷を有する。
好ましくは、この変形例において、それぞれの発色団は少なくとも1つのカチオン電荷、非常に有利には唯一のカチオン電荷を有する。
本発明の特定の一実施態様において、混合染料は、この混合染料を使用する条件下で、全体的にカチオン電荷を有している。
【0018】
このように、本発明の組成物に存在する混合染料は、少なくとも1つのアゾ化合物ファミリーの発色団、又は少なくとも1つのトリ(ヘテロ)アリールメタンファミリーの発色団を含む。
アゾ化合物ファミリーの発色団は少なくとも1つの-N=N-配列を有する化合物から選択され、その二の窒素原子は同時に環に結合しない。しかしながら、-N=N-配列の二の窒素原子の一方が環に結合することは除かない。
【0019】
一変形例において、混合染料はカチオン性のアゾ発色団を含有する。
このような発色団は、例えばEP850636、FR2788433、EP920856、WO99/48465、FR2757385、EP850637、EP918053、WO97/44004、FR2570946、FR2285851、DE2538363、FR2189006、FR1560664、FR1540423、FR1567219、FR1516943、FR1221122、DE4220388、DE4137005、WO01/66646、US5708151、WO95/01772、WO95/15144、GB1195386、US3524842、US5879413、EP1062940、EP1133976、GB738585、DE2527638、FR2275462、GB1974-27645、Acta Histochem.(1978), 61(1), 48-52;Tsitologiya(1968), 10(3), 403-5;Zh. Obshch. Khim. (1970), 40(1), 195-202;Ann. Chim. (Rome)(1975), 65(5-6), 305-14;Journal of the Chinese Chemical Society(Taipei)(1998), 45(1), 209-211;Rev. Roum. Chim. (1988), 33(4), 37783;Text. Res. J. (1984), 54(2), 105-7;Chim. Ind. (Milan)(1974), 56(9), 600-3;Khim. Tekhnol. (1979), 22(5), 54853;Ger. Monatsh. Chem. (1975), 106(3), 6438;MRL Bull. Res. Dev. (1992), 6(2), 21-7;Lihua Jianyan, Huaxue Fence(1993), 29(4), 2334;Ann. Chim. (Rome)(1975), 65(5-6), 305-14;Dyes Pigm. (1992), 19(1), 69-79;Dyes Pigm. (1989), 11(3), 163-72に記載されている。
【0020】
特に有利な実施例としては、次の式(I):
-[N=N-(A)]-A (I)
[上式中:
− xは1〜3の整数であり;
− yは0又は1であり;
好ましくはyが0に等しい場合に、xは1に等しく;
− A及びAは同一でも異なっていてもよく、窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する、5-乃至30員の複素環式芳香族基、又はC-C30芳香族基を表し、A及びA基の少なくとも1つは置換されており;
− A及びAは混合染料のリンカーに結合しており;
− Aは、カルボキシル基;アルキル部分がC-C12であるアルコキシカルボニル基;アルキル部分がC-C12であるアシルオキシ、C-C12アルキルスルファモイル(アルキル-NH-SO-)、C-C12アルキルスルホンアミド(アルキル-SO-NH-)、ハロゲン原子の一又は複数で;又はニトロ基;ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;アミノ基;ヒドロキシル基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基から選択される、同一でも異なっていてもよい一又は複数の基で好ましくは置換されていてもよい、モノ芳香族又はポリ芳香族でC-C30の二価の基を表す]
に相当するアゾ化合物ファミリー、及びその互変異性体の発色団(類)を挙げることができる。
【0021】
好ましくは、A及びAは同一でも異なっていてもよく、窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する、5-乃至30員の複素環式芳香族基、又はC-C30芳香族基を表し;該基は、シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;アミノ基;ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;アミノ基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基の一又は複数で置換された又は未置換である、少なくとも1つのC又はC(複素環式)芳香族基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-Cアルキル基で置換されていてもよい。
好ましくは、A及びA基の少なくとも1つはカチオン性である。
【0022】
特に有利な一実施態様において、アゾ化合物ファミリーの発色団(類)は、xが1であり、yが0である、式(I)に相当するものである。
本発明のさらなる特定の一実施態様において、アゾ化合物ファミリーの発色団(類)は、x=1であり、y=0である、式(I)に相当するもの、及びその互変異性体であり、ここでAは:
【化2】

[結合aは、環又はN、Z、Z、Z、Z、R、R又はRを介してアゾ基に結合しており;
は酸素又は硫黄原子、NR基又はCR基を表し、
は窒素原子又はCR基を表し、
は窒素原子又はCR基を表し、
は窒素原子又はCR基を表し、
及びRは共同して芳香環を形成可能で、
Anは化粧品的に許容可能なアニオンを表す]
を表し、
は、該環又はその置換基の一つを介してアゾ基に結合する、置換されていてもよく、カチオン性であってもよい、C-C30の芳香族又は5-乃至30員の複素環式芳香族基を表す。
【0023】
好ましくは、Aは次の式:
【化3】

[上式中:
結合bは環を介してアゾ基に結合しており;
は窒素原子又はCR10基を表し、
、R、R、R、R、R、R、R及びR10は同一でも異なっていてもよく、水素原子;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基;置換されていてもよい5-又は6員の(ヘテロ)アリール基;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルコキシ基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;ニトロ基;シアノ基;C-C12アルキルスルホンアミド(アルキル-SO-NH-);C-C12アルキルスルファモイル(アルキル-NH-SO-);アルキル部分がC-C12であるアシルオキシ;アルキル部分がC-C12であるアルコキシカルボニル;カルボキシル基を表し;
は、直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基を表し;
とR及びRとRは芳香環を形成してよく;
係数b'は4に等しく;
Anは有機又は無機で化粧品的に許容可能なアニオンを表す]
の炭素ベースの芳香族基又はピリジン基を表す。
【0024】
好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;アミノ基;;直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;ヒドロキシル基;C-Cアルコキシ基、アミド基(-CONH)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子の少なくとも1つで置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基、水素原子を表す。
好ましくは、Rは、直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基を表す。
【0025】
本発明の有利な第1の実施態様において、ZはNR基を表す。さらに、この実施態様において、Zは、より好ましくはCRを表す。
本発明の他の有利な実施態様において、ZはNR基を表し、ZはCR基を表す。
本発明のこれら2つの実施態様において、アゾ基は、環を介して式(II)の基に結合している。
本発明の他の有利な変形例において、A基は式(III)又は(IV)の一方に相当し、アゾ基は環又はZを介して結合しており、ここでZは好ましくはCR基を表す。
【0026】
さらに、発色団はA基又はA基を介してリンカーに結合している。
発色団とリンカーとが、A基又はA基を介してリンカーに結合していてもそうでなくても、好ましくは式(V)の基等の、(複素環式)芳香族基A、又は式(II)乃至(IV)の基の環の環メンバーの一つを介して、又は上述した環の環メンバーにより担持される置換基の一つを介して、結合がなされてもよい。
より好ましくは、発色団とリンカーとがA基を介して結合しているならば、有利には窒素原子N、R、R、R、R、R、R、R及びR基を介して結合し得る。有利には、窒素原子Nを介して結合が生じる。
発色団とリンカーとが窒素原子Nを介して結合していない場合においては、窒素原子Nは、同一又は異なっている、R乃至R10基の一つの基を、好ましくは直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基を介して担持していてもよい。
【0027】
本発明の第1の実施態様において、発色団とリンカーとがA基、特に式(V)のA基を介して結合している場合、発色団とリンカーとは、R又はR10基の一方、又は環を介して結合していてもよく、好ましくは後者のケースにおいては、芳香環に直接結合する酸素又は窒素原子の存在下でなされる。本発明の好ましい一変形例において、発色団とリンカーとは、R基を介して結合している。特にRは窒素又は酸素原子を介して環に結合している。
【0028】
本発明の第2の実施態様において、発色団とリンカーとは、A基、特に窒素原子Nを介して結合している。
本発明の第3の実施態様において、発色団とリンカーとは、A基、特に有利にはC-Rを表すZを介して、好ましくはこの炭素原子を介して直接結合している。この実施態様において、R及びRは互いに6員の芳香環を形成してよい。
【0029】
発色団がA基を介してリンカーに結合している場合においては、式(II)乃至(IV)の窒素原子の少なくとも1つは、少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基、アミノ基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシル基の少なくとも1つで置換されていてもよい、直鎖状、分枝状又は環状のC-C12アルキル基を担持していてもよい。
【0030】
トリ(ヘテロ)アリールメタンファミリーに関し、その化合物は、特に次の式(VI)乃至(VIII):
【化4】

[上式中:
− Arは同一でも異なっていてもよく、フェニル又はナフチル等の置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよい複素環を表し;
− Aは、ヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;アミノ基;C-Cアルコキシ基、アミド基(-CONH);ヒドロキシルの少なくとも1つで好ましくは置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基、水素原子を互いに独立して表すR15及びR16であるN-N(R15、R16)、Oを表し;
− R14は同一でも異なっていてもよく、水素原子;好ましくは塩素又はフッ素等のハロゲン原子;スルホニルアミノ基;ヒドロキシル;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルコキシ基;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキルチオ基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;複素環基;ニトロ基;シアノ基;置換されていてもよいアリール基、好ましくはCのもの;アシル基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシカルボニル基;カルボキシアミド基;-COH;-SOH;-PO;-POを表し;
− vは4に等しく;v'は2に等しい]
に相当する。
【0031】
好ましくは、Arは複素環を表し、この複素環は、置換された又は未置換の型の複素環、例えばチオフェン、ベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、インドール、インドリン、カルバゾール、ピリジン、デヒドロキノリン、クロモン、ジュロジニン、チアジアゾール、トリアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアジン、チアジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピリジン、ジアゼピン、オキサゼピン(oxazepine)、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、モルホリン、ピペリジン、ピペロニル、ピペラジン、アゼチジン、ピロリジン又はアジリジンから選択され得る。
さらにAr基は、特に一又は複数のハロゲン原子、好ましくは塩素又はフッ素;スルホニルアミノ基;ヒドロキシル;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルコキシ基;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキルチオ基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;複素環基;ニトロ基;シアノ基;置換されていてもよいアリール基、好ましくはCのもの;アシル基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシカルボニル基;カルボキシアミド基;-COH;-SOH;-PO;-POで置換されていてもよい。
【0032】
発色団は、A、R14、R15、R16又はAr基の一つを介して、又は環を介して、リンカーに結合していてもよいことを記しておくべきである。この場合において、環により担持される基は発色団とリンカーとの間の単結合を表す。
【0033】
同様に、本発明の混合染料は、少なくとも1つのメチンファミリーの発色団を含んでよい。
これらの発色団は、>C=C<及び-N=C<から選択される少なくとも1つの配列を含み、その二の原子が環に同時に結合しない、特定の化合物である。しかしながら、配列の窒素又は炭素原子の一方は、環に結合していてもよいことを示しておく。
特にこのファミリーの発色団は、メチン、アゾメチン、モノ-及びジ-アリールメタン、インダミン(又はジフェニルアミン)、インドフェノール、インドアニリン、カルボシアニン、アザカルボシアニン、及びそれらの異性体、ジアザカルボシアニン及びその異性体、テトラアザカルボシアニン又はヘミシアニン型の発色団から誘導される。
【0034】
特に、メチンファミリーの発色団としては、次の式(IX):
【化5】

[上式(IX)中:
− R17及びR18は同一でも異なっていてもよく、水素原子;C-C30アリール基、(C-C)アルキルアリール基で、アリール部分が、塩素等のハロゲン原子、ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基、アミノ基、直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-Cアルコキシ基、ヒドロキシル基から好ましくは選択される、同一でも異なっていてもよい一又は複数の基で置換されていてもよいもの;チオフェン、フラン、ピペロニル、インドール、インドリン、ピリジン、カルバゾール、デヒドロキノリン及びクロモン複素環から特に選択される複素環基を表し;
− R17及びR18は、同時に芳香族基又は複素環式芳香族基を表すことができず;
− R19は同一でも異なっていてもよく、水素原子;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基;置換されていてもよいC-C30アリール基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;ヒドロキシル基;C-Cアルコキシ基、ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよい、直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;好ましくは塩素等のハロゲン原子を表し;
− Xは窒素原子又は炭素原子を表し;
− 係数nは、Xが窒素原子である場合に0を表し、Xが炭素原子である場合に1を表し;
− 係数n'は4に等しく;
− Aは、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル又はヒドロキシアルキル基で置換された又は未置換のアミノ基、直鎖状又は分枝状のC-Cポリヒドロキシアルコキシ基、直鎖状又は分枝状のC-Cモノヒドロキシアルコキシ基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、好ましくは塩素又はフッ素等のハロゲン原子、ヒドロキシルの一又は複数で好ましくは置換されていてもよいCアリール基;R20が同一でも異なっていてもよく、置換されていてもよいC-Cアルキル基を表すアンモニウム基N(R20)、ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよい、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;アミノ基を表す]
に相当する発色団、及びその互変異性体を挙げることができる。
【0035】
さらに、発色団は、A基、又はR17、R18、R19及びR20基の一つを介してリンカーに、又は(複素環式)芳香環に直接結合している。後者のケースにおいて、関連したR19基は、発色団とリンカーとの間の単結合を表す。
【0036】
好ましくは、R17又はR18がCアリール基を表す場合、この基は、好ましくは少なくとも1つのヒドロキシル基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;一又は複数のハロゲン原子;少なくとも1つのC-C12アルキルスルホンアミド基(アルキル-SO-NH-);少なくとも1つのC-C12アルキルスルファモイル基(アルキル-NH-SO-);アルキル部分がC-C12である、少なくとも1つのアシルオキシ基;アルキル部分がC-C12であるアルコキシカルボニル基;少なくとも1つのカルボキシル基で置換されていてもよい。
【0037】
適切な発色団は、次の式(X):
【化6】

[上式中、
B、D、E及びFは同一でも異なっていてもよく、窒素原子又はC-R22基を表し、R22は同一でも異なっていてもよく、水素原子、好ましくは少なくとも1つのヒドロキシルで置換されていてもよいC-Cアルキル基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;置換されていてもよいCアリール基;置換されていてもよい5-乃至12-員のヘテロアリール基を表し;
n=0又は1;
Gは、環4、又は次の残基を表し:
【化7】

ここで:
21及びR24は互いに独立して、直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基;置換されていてもよいベンジル基を表し;
23は水素原子、好ましくは少なくとも1つのヒドロキシルで置換されていてもよいC-Cアルキル基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基、アミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;置換されていてもよいCアリール基;置換されていてもよいC-C12ヘテロアリール基を表し;
Jは窒素原子又はC-R25基を表し;R25はR22と同様の意味を有し;
環1は、窒素原子上に少なくとも1つのカチオン電荷を担持しており、窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つの他のヘテロ原子を含有していてもよい、5-乃至12員の複素環式芳香族基から選択され;該基は、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-Cアルキル基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのC-C芳香族基;少なくとも1つのヒドロキシル基;アルコキシカルボニル基;ニトロ基;シアノ基;C-C12アルキルスルホンアミド基(アルキル-SO-NH-);C-C12アルキルスルファモイル基(アルキル-NH-SO-)で置換されていてもよく;
環2は、C-C12芳香族基;窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する5-乃至12員の複素環式芳香族基から選択され;該基は、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;好ましくは5-乃至6員である少なくとも1つの(複素環式)芳香族基;少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく;好ましくは、環2は、上述したように置換されていてもよいC-C30芳香族基を表し;
環3は、窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する5-又は6員の複素環式芳香族基から選択され;該基は、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのC-C芳香族基;少なくとも1つのヒドロキシル基;アルコキシカルボニル基;ニトロ基;シアノ基;C-C12アルキルスルホンアミド基(アルキル-SO-NH-);C-C12アルキルスルファモイル基(アルキル-NH-SO-)で置換されていてもよく;
環4は、C-C12芳香族基;窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する5-乃至12員の複素環式芳香族基から選択され;該基は、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;好ましくは5-乃至6員である少なくとも1つの(複素環式)芳香族基;少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく;
但し、nが1であり、Gが環を表す場合、B、D、E及びFは同時に窒素原子を表すことができず;nが0であり、Gが環を表す場合、B及びDは同時に窒素原子を表さない]
のもの、及び適切であるならばそれらの互変異性体である。
【0038】
さらに、発色団は、R21、R22、R23、R24及びR25基の一つ、又は環を介してリンカーに結合している。このケースにおいて、環により担持される基は、発色団とリンカーとの間の単結合を表す。
【0039】
式(X)には、第4級化窒素原子に対して、環1におけるBの結合の挿入の種々の可能性に相当する位置異性体が含まれる。
【0040】
本発明の特に有利な一実施態様において、メチンファミリーの発色団は、次の式の化合物、及びその互変異性体から選択される:
【化8】

上式中:
26は同一でも異なっていてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル又はヒドロキシアルキル基で置換された又は未置換であってよいアミノ基、直鎖状又は分枝状のC-Cポリヒドロキシアルコキシ基、直鎖状又は分枝状のC-Cモノヒドロキシアルコキシ基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、好ましくは塩素又はフッ素等のハロゲン原子、ヒドロキシルの一又は複数で好ましくは置換されていてもよいCアリール基;置換されていてもよいC-Cアルキル基、水素原子を表し;
基(groups and radicals)R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、環1、環2、環3及び環4は上述したものである。
【0041】
好ましくは、環1基は、上述したように置換されていてもよいイミダゾリウム、ピリジニウム又はインドリニウム環を表す。
好ましくは、環3基は、上述したように置換されていてもよいイミダゾール、ピリジン又はインドリン環を表す。
好ましくは、環2基は、上述したように置換されていてもよいC芳香族基を表す。
好ましくは、環4基は、上述したように置換されていてもよいC芳香族基を表す。
【0042】
発色団は、R19、R20、R21、R22、R23、R24及びR25基の一つ、又は芳香環もしくは複素環式芳香環を介してリンカーに結合していてよいことを指摘すべきである。環を介した結合のケースにおいて、該環に担持される基は、発色団とリンカーとの間の単結合を表す。
【0043】
本発明の特定の一実施態様において、発色団は式(X)の化合物、好ましくはジアザカルボシアニン類及びその異性体、及びヘミシアニン類から選択される。特にR22は同一でも異なっていてもよく、水素原子、少なくとも1つのヒドロキシルで好ましくは置換されていてもよいC-Cアルキル基;置換されていてもよいCアリール基を表し;n=0;Gは環4、又はR23が少なくとも1つのヒドロキシルで好ましくは置換されていてもよいC-Cアルキル基、水素原子を表す-N(R23)-環2を表し;環2及び環4は同一でも異なっていてもよく、置換されていてもよいC芳香族基を表すものである。
【0044】
本発明のこの特定の実施態様において、発色団及びリンカーはR21基を介して結合している。
【0045】
上述した発色団は次の特許出願及び特許:GB822846;DE1254118;GB1047796;US3652556;US3423427;BE702239;GB702240;US3995088;US4054718;US4670385;US5094688;US5097034の教示に従い調製され得ることを記しておくべきである。
【0046】
同様に、混合染料は少なくとも1つのカルボニルファミリーの発色団を含んでいてよい。
この型の発色団として挙げることのできる例には、アクリドン、ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノン、ベンズアントロン、アントラントロン(anthranthrone)、ピラントロン(pyranthrone)、ピラゾールアントロン(pyrazolanthrone)、ピリミジノアントロン(pyrimidinoanthrone)、フラバントロン(flavanthrone)、イダントロン(idanthrone)、フラボン、(イソ)ビオラントロン(violanthrone)、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、イソキノリノン、アントラピリドン、ピラゾロキナゾロン(pyrazoloquinazolone)、ペリノン(perinone)、キナクリドン、キノフタロン(quinophthalone)、インジゴイド、チオインジゴ、ナフタリミド、アントラピリミジン、ジケトピロロピロール及びクマリンから選択される染料から誘導される発色団が含まれる。
【0047】
特に、カルボニルファミリーの発色団は、次の式(XI):
【化9】

[上式中、環は5-又は6員環を表し、その環のメンバーの少なくとも1つは付加的なカルボニル官能基、又は酸素、窒素及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられていてもよく;該環は、ニトロ、シアノ、アミノ又はアルキルアミノ基;好ましくは塩素等のハロゲン原子;ヒドロキシル基の一又は複数で;置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;該環は一又は複数のC芳香環と縮合していてもよく、これ又はこれらの環は、それら自身、一又は複数の芳香環と縮合可能で、その少なくとも1つの炭素原子は、酸素、窒素及び硫黄から選択される一又は複数のヘテロ原子で置き換えられていてもよい]
で表される。
【0048】
さらに、発色団は、環を置換する基の一つ、又は環を介してリンカーに結合する。後者のケースにおいて、環により担持される基は、発色団とリンカーとの間の単結合を表す。
【0049】
本発明の好ましい一実施態様において、カルボニルファミリーの発色団は、次の式の一つ、及びその互変異性体により表される:
【化10】

上式中:
27、R28、R30及びR31は同一でも異なっていてもよく、水素原子;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基;ヒドロキシル基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;好ましくは塩素又はフッ素等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基を表し;
29は、水素原子又は直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基を表し;
31は同一でも異なっていてもよく、少なくとも1つのシアノ基、少なくとも1つのニトロ基、好ましくは塩素又はフッ素等の少なくとも1つのハロゲン原子、少なくとも1つのヒドロキシルを担持していてもよい、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基、少なくとも1つのヒドロキシルを担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ、少なくとも1つのアミノ、少なくとも1つのヒドロキシルで好ましくは置換されていてもよいCアリール基を表し;
pは4に等しく;qは3に等しく;rは5に等しく;sは2に等しい。
【0050】
発色団はR27、R28、R29、R30又はR31基の一つ、又は芳香環もしくは複素環式芳香環の一つを介してリンカーに結合していてよい。このケースにおいて、環により担持される基は、発色団とリンカーとの間の単結合を表す。
【0051】
本発明の混合染料は、少なくとも1つの環状アジンファミリーの発色団を含んでいてよい。
特に、環状アジンファミリーの発色団は、アジン、キサンテン、チオキサンテン、フルオリンジン(fluorindine)、アクリジン、(ジ)オキサジン、(ジ)チアジン及びピロニンから選択される染料から誘導される基から選択される。
【0052】
環状アジンファミリーの発色団としては、次の式(XII):
【化11】

[上式中:
Lは、好ましくは酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子;NH基;N-R34基を表し、
Mは、好ましくは酸素、硫黄及び窒素から選択されるヘテロ原子;N-R34基;CH基;C-R35基を表し、
Q及びKは同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル基;アミノ基;置換されていてもよい(C-C)アルキルアリール基、置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;tがKにおいては2に等しく、Qにおいては3に等しく、R36が同一でも異なっていてもよく、水素原子を表す、N(R36)型のアンモニウム基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよい、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;置換されていてもよいアリール基、(C-C)アルキルアリール基で、アリール部分が置換されていてもよいもの;置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基、置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基を表し;
Q及びKが同時にN(R36)型のアンモニウム基を表さない条件で;
32及びR33は同一でも異なっていてもよく、水素原子;置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;アミノ基;置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいC-Cアルキル基で直鎖状又は分枝状のものから選択される、同一でも異なっていてもよい一又は複数の基で置換されていてもよいアミノ基;ハロゲン原子、好ましくは塩素又はフッ素を表し;
Qが置換された又は未置換のアミノ基、又はヒドロキシル基を表すケースにおいて、R32はJ基の窒素又は酸素原子と共に、芳香族基と縮合していてもよい6員環を形成するアルキルアミノ又はアルコキシ基を表してよく、該芳香族基は、置換されていてもよいフェニル基、及び置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基から選択される、同一でも異なっていてもよい一又は複数の基で置換された又は未置換のアミノ基、又はアミノ基の少なくとも1つで置換されていてもよく;
34及びR35は同一でも異なっていてもよく、少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのヒドロキシルで好ましくは置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表し;
34及びR35は同一でも異なっていてもよく、少なくとも1つのシアノ基;少なくとも1つのニトロ基;ハロゲン原子、好ましくは塩素又はフッ素;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのヒドロキシル基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で好ましくは置換されていてもよい、好ましくはCのアリール基を表してもよい]
の化合物、及びそれらの互変異性体を挙げることができる。好ましくは、R34及びR35は同一でも異なっていてもよく、直鎖状のC-Cアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を表す。
【0053】
さらに、発色団は、特にR32、R33、R34、R35又はR36基の一つ、又は環を介してリンカーに結合している。このケースにおいて、環により担持される基は、発色団とリンカーとの間の単結合を表す。
【0054】
好ましい一実施態様において、環状アジンファミリーの発色団は、次の式により表され、また適切であるならばその互変変異体である。
【化12】

式の基及び係数u及びwは先に記載されている。
【0055】
さらに、発色団は、R33、R34、R35又はR36基の一つ、又は環を介してリンカーに結合している。このケースにおいて、環により担持される基は、発色団とリンカーとの間の単結合を表す。
【0056】
可能な発色団の例として、混合染料は(複素環式)芳香族ニトロ化合物のファミリーの少なくとも1つの発色団を含んでよい。
特に、挙げることのできる例には、次の式(XIII)及び(XIV)に相当する化合物、さらにその互変異性体が含まれる:
【化13】

上式中、
37は同一でも異なっていてもよく、水素原子;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよい、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;置換されていてもよいアリール基、(C-C)アルキルアリール基で、アリール部分が置換されていてもよいもの;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基、直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルコキシ基を表し;
38は同一でも異なっていてもよく、水素原子;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルコキシ基;置換されていてもよいCアリール基;アミノ基;置換されていてもよい5-又は6員のヘテロアリール基、置換されていてもよいCアリール基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキルスルホンアミド基、直鎖状又は分枝状のC-Cチオアルキル基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基、ヒドロキシル基の少なくとも1つで好ましくは置換されていてもよく、同一でも異なっていてもよい直鎖状又は分枝状のC-C、好ましくはC-Cアルキル基から選択される、一又は複数の基で置換されたアミノ基;ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基を表し;
係数zは4に等しく、係数z'は3に等しい。
【0057】
さらに、発色団は、R37又はR38、又は環を介してリンカーに結合している。このケースにおいて、環により担持される基は、発色団とリンカーとの間の単結合を表す。
【0058】
よって、2つの発色団を含む混合染料の例として、次の混合染料:
アゾ-リンカー-アジン
アゾ-リンカー-メチン
アゾ-リンカー-カルボニル
アゾ-リンカー-ニトロ
アゾ-リンカー-トリ(ヘテロ)アリールメタン
トリ(ヘテロ)アリールメタン-リンカー-アジン
トリ(ヘテロ)アリールメタン-リンカー-メチン
トリ(ヘテロ)アリールメタン-リンカー-カルボニル
トリ(ヘテロ)アリールメタン-リンカー-ニトロ
トリ(ヘテロ)アリールメタン-リンカー-トリ(ヘテロ)アリールメタン
を挙げることができる。
【0059】
上述したように、混合染料の発色団は、それぞれの発色団の電子の非局在化を停止する少なくとも1つのリンカーにより互いに結合している。
よって、リンカーは、混合染料のそれぞれの発色団を単離する原子又は原子群を含む。
好ましくは、基とリンカーとの間の結合は、窒素又は酸素原子によりなされる。
リンカーはカチオン性又は非カチオン性であってよいことは、記しておくべきである。
さらに、リンカーは二価、三価又は四価であってよい。
【0060】
本発明の有利な一実施態様において、リンカーは、直鎖状又は分枝状のC-C20、好ましくはC-C12炭化水素ベース鎖、好ましくはアルキル鎖で、該鎖の一又は複数の炭素原子が、硫黄、窒素又は酸素等のヘテロ原子で置き換えることができるもの、但し鎖は2つの隣接したヘテロ原子を含有せず、また飽和又は不飽和で、好ましくは少なくとも2つの窒素原子を有する5-又は6員の複素環で置き換えることができるもの;特に炭化水素ベース鎖が不飽和であるか、又はアリーレン基を含有可能なもの;アリーレン基;二価のテレフタルアミド基;二価又は三価の基、例えばトリアジン型のものから選択される。
好ましくは、リンカーは直鎖状又は分枝状のC-C20、好ましくはC-C12アルキル鎖に相当し、その少なくとも1つの炭素原子は、好ましくは少なくとも2つの窒素原子を含有する、飽和又は不飽和で5-又は6員の複素環で置き換えられてもよい。
【0061】
本発明の混合染料は、選択されたリンカーと反応可能な官能化された発色団を用いて出発し、それ自体既知の化学反応に従って調製されてもよい。
例えば、リンカーがトリアジン基である場合、発色団は反応性アミノ、OH又はSH基を有し、その合成は、例えば次のスキームに従って実施される。
【化14】

【0062】
第1工程において、第1の発色団を、リンカーを形成可能な化合物、例えばトリクロロトリアジンと混合する。この反応が完了した時に、第2の発色団を反応媒体に添加する。この手順は、リンカーを形成可能な化合物上に反応基がある場合、何回も繰り返してよい。
混合染料、染料1-リンカー-染料2を調製するために、染料1に対するリンカーのモル比は、一般的に10:1〜0.5:1であり、好ましくは1:1に等しい。この比率は、一以上のリンカー又はいくつかの発色団が使用される場合には加減してもよい。
反応温度は、一般的に−100℃〜+130℃、好ましくは−5℃〜100℃である。反応時間は、存在する種の反応性及び反応温度に依存する。一般的に、反応時間は10分〜8時間、好ましくは30分〜4時間である。
有利には、反応混合物のpHは2〜12である。
また反応は水及び/又は一又は複数の有機溶媒中で実施され得る。
【0063】
いくつかの文献には、2つの同一の発色団の間の化学的組合せについての反応が記載されている。挙げることのできる例には、公報ISBN0901956759、WO02/78596、DE19845640及びUS5708151が含まれる。
さらに、反応、又は染料であってもなくてもよい2つの異なる化合物とリンカーとの反応は、文献、例えばWO03/029359、DE3335956、WO03/30909、WO03/18021、Journal of Medicinal Chemistry 43(9), 2000, 1892-97;Chemiker Zeitung 117(7-8), 1987, 241-5に記載されている。
【0064】
他の可能性において、混合染料は次の反応概略式に従い得ることができる:
【化15】

【0065】
第1工程において、第1の発色団を、リンカーを形成可能な化合物、例えばジブロモプロパンと混合する。この反応が完了した時に、第2の発色団を反応媒体に添加する。この手順は、リンカーを形成可能な化合物上に反応基がある場合、何回も繰り返してよい。
混合染料、染料1-リンカー-染料2を調製するために、染料1に対するリンカーのモル比は、一般的に10:1〜0.1:1であり、好ましくは0.5:1に等しい。この比率は、一以上のリンカー又はいくつかの発色団が使用される場合には加減してもよい。
反応温度は、一般的に−100℃〜+30℃、好ましくは−5℃〜100℃である。反応時間は、存在する種の反応性及び反応温度に依存する。一般的に、反応時間は10分〜24時間、好ましくは30分〜4時間である。
また反応は水及び/又は一又は複数の有機溶媒中で実施され得る。
有利には、反応混合物のpHは2〜12である。
【0066】
本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、通常は0.001重量%〜20重量%、特に0.005重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲の含有量の混合染料を含有する。
【0067】
好ましくは、本発明の染色用組成物は、次の化合物から選択される任意の混合染料を含有しない。
【化16】


【0068】
本発明の染色用組成物は、上述した混合染料以外の、1又は複数の付加的な直接染料を含有してよい。
ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維を染色する分野で従来から使用されている直接染料を使用してよい。
この点に関し、特にニトロベンゼン染料、付加的なアゾ直接染料及びメチン直接染料を挙げることができる。これらの直接染料は、非イオン性、アニオン性又はカチオン性であってよい。これらの付加的な直接染料は、好ましくはカチオン性である。
本発明の特定の一実施態様において、染色用組成物は、染色用組成物の全重量に対して、0.001重量%〜10重量%の範囲の含有量の直接染料をそれぞれ含有する。
【0069】
また本発明の染色用組成物は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維を染色するのに従来から使用されている一又は複数の酸化ベース及び/又は一又は複数のカップラーをさらに含有してよい。
酸化ベースの中で、パラ-フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ-アミノフェノール類、エオルト-アミノフェノール類、及び複素環ベース、及びそれらの付加塩を挙げることができる。
本発明の組成物に存在する酸化ベース(類)は、染色用組成物の全重量に対して0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.005重量%〜6重量%の量で、一般的に使用されている。
【0070】
使用され得るカップラーの中で、特にメタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、ナフタレンベースのカップラー及び複素環カップラー類、及びそれらの付加塩を挙げることができる。
本発明の組成物において、カップラー(類)は、染色用組成物の全重量に対して0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.005重量%〜6重量%の量で、一般的に存在している。
【0071】
一般的に、本発明において使用され得る酸化ベース及びカップラーの付加塩は、例えば酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩及び酢酸塩、さらに例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン類又はアルカノールアミン等の塩基との付加塩から選択される。
【0072】
染色用支持体としても公知の染色に適した媒体は、一般に、水、又は水には十分に溶解しない化合物を溶解させるための少なくとも1つの有機溶媒と水との混合物からなる化粧品用媒体である。
挙げることのできる有機溶媒の例には、直鎖状又は分枝状、好ましくは飽和しており、2〜10の炭素原子を有するモノアルコール類、例えばエタノール及びイソプロパノール;芳香族アルコール類、例えばベンジルアルコール又はフェニルエチルアルコール;ポリオール又はポリオールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル又はモノブチルエーテル、プロピレングリコール又はそのエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、ネオペンチルグリコール及び3-メチル-1,5-ペンタンジオール;及びジエチレングリコールアルキルエーテル、特にC-Cアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル又はモノブチルエーテルの単独物又は混合物が含まれる。
溶媒は、染色用組成物の全重量に対して、好ましくは約1重量%〜40重量%、より好ましくは約5重量%〜30重量%の割合で存在している。
【0073】
本発明の染色用組成物は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、中でも毛髪の染色用組成物に従来より使用されている種々のアジュバント、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性の界面活性剤又はそれらの混合物;アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性のポリマー類又はそれらの混合物;無機又は有機増粘剤、特にアニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の会合性増粘ポリマー;酸化防止剤;浸透剤;金属イオン封鎖剤;香料;バッファー;分散剤;コンディショニング剤、例えば揮発性又は非揮発性で、変性又は未変性のシリコーン類;皮膜形成剤;セラミド類、擬似セラミド類;防腐剤;乳白剤をさらに含有していてもよい。
上述したアジュバントは、それぞれ組成物の重量に対して、一般的に0.01重量%〜20重量%の量で存在している。
【0074】
本発明の組成物は、少なくとも1つの酸化剤をさらに含有していてもよい。
ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維を酸化染色するために従来から使用されている酸化剤は、例えば過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩又はフェリシアニド類、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム又はマグネシウムの過ホウ素酸塩及び過硫酸塩等の過酸塩の単独物又は混合物、過酸類及び酸化酵素、特にペルオキシダーゼ類が挙げられ、さらに2-電子オキシドレダクターゼ類、例えばウリカーゼ、及び4-電子オキシゲナーゼ類、例えばラッカーゼである。過酸化水素が特に好ましい。
【0075】
本発明の組成物は、化粧品に従来から使用されているものから選択され得る、少なくとも1つのアルカリ性剤をさらに含有していてもよい。
これらのアルカリ性剤として挙げることのできる例には、アンモニア水、アルカリ性の炭酸塩、アルカノールアミン類、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンとその誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び次の式(A):
【化17】

[Wは、C-Cアルキル基又はヒドロキシル基で置換されていてもよいプロピレン残基であり;R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はC-Cアルキル又はC-Cヒドロキシアルキル基を表す]
の化合物が含まれる。
【0076】
本発明の染色用組成物のpHは、好ましくは8〜11である。
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の組成物に固有の有利な特性が、考慮される添加により悪影響を受けないか、又は実質的に受けないように留意して、これ又はこれらの任意の付加的な化合物(類)を選択するであろう。
【0077】
本発明の染色用組成物は種々の形態、例えば、液体、クリーム又はゲルの形態、又はケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維の染色に適した任意の他の形態であってよい。
【0078】
本発明の方法は、上述した本発明の組成物を、湿った又は乾燥した繊維に適用する方法である。
第1の変形例において、ケラチン繊維に適用される組成物は、何の酸化剤も含有しない。この変形例は、染色用組成物が、少なくとも1つの本発明の混合染料と、場合によっては少なくとも1つの付加的な直接染料を含有している場合に特に適切である。
本発明の第2の変形例において、本方法は少なくとも1つの酸化剤を用いて実施される。この第2の変形例は、存在する染料の種類(混合染料、付加的な直接染料、酸化ベース及び/又はカップラー)にかかわらず適切である。このような方法により、処理された繊維に艶出し効果を得ることができる。
この第2の変形例において、酸化剤は、使用時に染色用組成物に添加してもよく、又は混合染料を含有する染色用組成物と同時に又は逐次適応される、酸化剤を含有する酸化組成物を用いて出発して使用されてもよい。この後者のケースにおいて、酸化剤は混合染料を含有するものとは異なる組成物に存在する。
【0079】
特定の一実施態様において、混合染料を含有する組成物は、好ましくは使用時に、染色に適した媒体に少なくとも1つの酸化剤を含有せしめてなる組成物と混合され、この酸化剤は、所望の艶出し効果を得るのに十分な量で存在する。
ついで、得られた混合物をケラチン繊維に適用する。
所望の着色が得られるのに十分な作用時間、通常は約3〜50分、好ましくは約5〜30分の後、好ましくはケラチン繊維をすすぎ、ついでシャンプーで洗浄し、再度すすいで、乾燥させるか又は乾燥するまで放置する。
さらに、組成物は15〜80℃、好ましくは15〜40℃の範囲の温度で、便宜的に作用させる。
【0080】
また酸化組成物は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色用組成物に従来から使用されており、上述したような種々のアジュバントをさらに含有していてもよい。
酸化剤を含有する酸化組成物のpHは、染色用組成物と混合した後に得られ、ケラチン繊維に適用される組成物(換言すれば使用準備が整った組成物)のpHが約7〜12、好ましくは8〜11になるようなpHである。それは酸性化剤又は塩基性化剤により、所望の値に調節され得る。
【0081】
酸性化剤の中で挙げることのできる例には、無機酸又は有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸又は酢酸が含まれる。
塩基性化合物に関しては、上述にて付与されたリストが参照される。
使用準備が整った組成物、すなわち換言すれば最終的にケラチン繊維に適用される組成物は、種々の形態、例えば、液体、クリーム又はゲルの形態、又はケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維の染色に適した任意の他の形態であってよい。
【0082】
また本発明の主題は多区画染色具にもあり、少なくとも1つの第1の区画部は、上述した少なくとも1つの混合染料と、場合によっては混合染料とは異なる少なくとも1つの直接染料、場合によっては少なくとも1つの酸化ベース、場合によっては少なくとも1つのカップラーを含む染色用組成物を収容し、他の区画部は酸化剤を収容する。
混合染料、場合によっては付加的な直接染料、酸化ベース(類)及びカップラー(類)は、同一の区画部又はいくつかの区画部にあってよく;同一の区画部は唯一の種類の染料(混合染料、付加的な直接染料又は酸化染料)、又はこれらいくつかの染料の組合せを収容することができる。
この染色具は、処理された繊維に所望の混合物を塗布する手段、例えばFR2586913に記載されている染色具を具備したものであってよい。
【0083】
本発明の最後の主題は、次の3つの化合物:
【化18】


を除く、まさにここで記載した混合染料、及びその付加塩からなる。
【0084】
本発明は特に、2つの発色団を含有する混合染料に関する。好ましくは、2つの発色団の少なくとも1つ方が少なくとも1つのカチオン電荷を担持しており、有利には双方の発色団が少なくとも1つのカチオン電荷を担持している。さらに、少なくとも1つの発色団は、アゾ型染料のファミリーから選択され、他方は、ジアザカルボシアニン又はその異性体、ヘミシアニン又はニトロ(複素環式)芳香族化合物等の型の染料のファミリーから選択される。さらに有利には、リンカーは直鎖状又は分枝状のC-C20、好ましくはC-C12アルキル鎖に相当し、その少なくとも1つの炭素原子は、好ましくは少なくとも2つの窒素原子を有する、飽和又は不飽和の5-又は6-員の複素環で置き換えられてもよい。リンカーは、場合によっては少なくとも1つのカチオン電荷を担持していてもよい。
【0085】
挙げることのできるこのような混合染料の例には、次の式に相当するものが挙げられる。
【化19】





具体的ではあるが本発明を限定するものではない実施例を以下に与える。
【実施例】
【0086】
実施例1:混合染料の合成
【化20】

反応スキーム:
【化21】

方法:
1.06当量のヒドラゾン染料(3g)と約100mgのKIを、2mlのDMFが入った三口フラスコに攪拌しながら配し、混合物を95℃まで加熱する。
ついで、5mlのDMFに溶解した1当量のアゾ染料(1.49g)を添加し、混合物を24時間反応させる。
酢酸エチル(50ml)から沈殿させることによって生成物を回収し、濾過して乾燥させる;生成物は黒色パウダーの形態をしている。
生成物をジクロロメタンに溶解させることにより精製し、イソプロパノール/酢酸エチルの混合物(1/4)において沈殿させ、ついで濾過する。
13C及びH NMRスペクトルは、所望の生成物の構造と一致する。
【0087】
実施例2:染色への適用
1/艶出し及び非艶出し染色
先の実施例で得られた混合染料を、4.7・10−4mol%で、以下の染色用組成物Aに処方する。
【表1】

【0088】
使用時に、組成物Aを40容量の水性過酸化水素水(同量、pH3.5)、又は酸性水(pH=3.5)と混合する。
混合した後の染色用組成物のpHは9.5〜10である。
ついで、混合物を、白髪を90%含有するナチュラルなグレイの毛髪(NG)又はパーマネントウエーブがかかったグレイの毛髪(PWG)の束に適用する。
毛髪の束における作用時間は室温で20分である。
ついで、毛髪の束をシャンプーで染色する。
双方のケースにおいて染色された毛髪の束が得られる。
【0089】
2/シャンプー-堅牢性
本発明の染色用組成物を、混合染料(4.7・10−4mol%)と染色用支持体Aを使用して調製した。
また別に、混合染料が、該混合染料を構成する二のモノカチオン性モノアゾ直接染料の同モルと置き換えられることを除けば、同じ実験条件下で比較染色用組成物を調製した。
【化22】

【0090】
使用時に、上述した組成物を40容量の水性過酸化水素水(同量、pH3.5)と混合する。
混合した後の染色用組成物のpHは9.5〜10である。
ついで、混合物を、白髪を90%含有するパーマネントウエーブがかかったグレイの毛髪(PWG)の束に適用する。
毛髪の束における作用時間は室温で20分である。
染色された毛髪の束を6回シャンプーし、2回のシャンプー洗浄の間に中間の乾燥を行う。
6回のシャンプー洗浄の後の色調を、視覚的に、及び比色測定により、染色された毛髪の束の当初の色調と比較する。
シャンプー堅牢性を、染色されたパーマネントウエーブがかかった毛髪において、6回のシャンプー洗浄前Lと洗浄後Lに測定されたL値を使用し、以下の△E式に従い測定する(ミノルタCM2002比色計、光源D65-10°CSI)。
【数1】

【0091】
比色結果を表2にまとめる。
【表2】

これらの表には、本発明の組成物がシャンプーに対し良好な堅牢度があることが示されている。
さらに、その保持力は染料の混合物よりも大きい。
【0092】
実施例2
【化23】

反応スキーム:
【化24】

方法:
アゾ化合物(5g)、100mlのDMF及びヒドラゾン化合物(2g)を三口フラスコに入れる。混合物を100℃で4時間反応させる。ジイソプロピルエーテル(250ml)からの沈殿により、生成物を回収する。生成物を濾過して乾燥させる;それは黒色パウダー(2g)の形態をしている。
NMR及び質量分析は所望の生成物の構造と一致する。
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、この実施例で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、染色された毛髪の束を得ることができる。
【0093】
実施例3
【化25】

反応スキーム:
【化26】

方法:
ヒドラゾン化合物(98mg)、10mlのDMF及びアゾ化合物(200mg)を三口フラスコに入れる。混合物を100℃で4時間反応させる。酢酸エチル(100ml)からの沈殿により、生成物を回収する。生成物を濾過して乾燥させる;それは黒色パウダー(200mg)の形態をしている。
NMR及び質量分析は所望の生成物の構造と一致する。
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、この実施例で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、染色された毛髪の束を得ることができる。
【0094】
実施例4
【化27】

反応スキーム:
【化28】

方法:
ニトロ化合物(3.33g)、100mlのDMF及びアゾ化合物(6.16g)を三口フラスコに入れる。混合物を100℃で4時間反応させ、ついで、所定の乾燥度になるまで蒸発させる。
生成物をジイソプロピルエーテルに溶解させる。濾過して、真空下で乾燥させる。黒色パウダー(6g)が得られる。
NMR及び質量分析は所望の生成物の構造と一致する。
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、この実施例で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、染色された毛髪の束を得ることができる。
【0095】
実施例5
【化29】

反応スキーム:
【化30】

方法:
アゾ化合物(1.628g)とヒドラゾン化合物(2.53g)を10mlの乾燥アセトニトリルに懸濁させ、10mgのヨウ化カリウムと1滴のDMFを添加する。
反応混合物を60℃で3時間維持し、ついで、アセトニトリル分画を蒸留により除去する。
反応混合物を60℃で、さらに14時間維持する。
冷却後、生成物(0.5g)を、アセトンからの沈殿により単離する。
NMR及び質量分析は所望の生成物の構造と一致する。
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、この実施例で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、染色された毛髪の束を得ることができる。
【0096】
実施例6
【化31】

反応概略式:
【化32】

方法:
200mgの実施例5で得られた化合物を2mlのメタノールに溶解し、ついで17mgのエタノールアミンを含有する1mlのメタノール溶液を添加する。
反応混合物を60℃で1時間維持し、冷却し、ついでアセトンで希釈する。
沈殿物が形成される。濾過後、110mgの生成物が収集される。
NMR及び質量分析は所望の生成物の構造と一致する。
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、この実施例で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、着色された毛髪の束を得ることができる。
【0097】
実施例7
【化33】

反応スキーム:
【化34】

方法:
アゾ化合物(0.63g)とヒドラゾン化合物(1.0g)を10mlの乾燥DMFに懸濁させ、224mgのヨウ化カリウムを添加し、反応混合物を80℃で18時間維持する。
生成物(0.441g)を、酢酸エチルからの沈殿により単離する。
NMR及び質量分析は所望の生成物の構造と一致する。
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、この実施例で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、着色された毛髪の束を得ることができる。
【0098】
実施例8
【化35】

反応スキーム:
【化36】

方法:
アゾ化合物(1.0g)、ピコリン(2モル当量)及び30mlの2-プロパノールを三口フラスコに入れる。
85℃で24時間、ついで92℃で3日間、攪拌しつつ混合物を反応させる。反応混合物を所定の乾燥度になるまで蒸発させる。
生成物を水に溶解し、ジクロロメタンで洗浄する。
水相を所定の乾燥度になるまで蒸発させる。パウダーを酢酸エチルに溶解する。生成物を濾過し、真空下で乾燥させる。
黒色パウダー(0.566g)が得られる。
NMR及び質量分析は中間生成物の構造と一致する。
得られた中間生成物(0.25g)、N,N-ジメチル-4-ベンズアルデヒド(0.112g)、ピロリジン(0.043ml)及びメタノール(7ml)を三口フラスコに入れる。
混合物を室温で3日間攪拌しつつ反応させる。
反応混合物を所定の乾燥度になるまで蒸発させる。残留物をジイソプロピルエーテル、ついで酢酸エチルで洗浄する。
得られた残留物をジクロロメタン(10ml)に溶解し、2-プロパノール(10ml)と酢酸エチル(90ml)の溶液を添加することにより、生成物を沈殿させる。
生成物を濾過し、真空下で乾燥させる。
黒色パウダー(0.17g)が得られる。
NMR及び質量分析は生成物の構造と一致する。
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、この実施例で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、着色された毛髪の束を得ることができる。
【0099】
実施例9
【化37】

反応スキーム:
【化38】

方法:
アゾ化合物(1.0g)、7mlのペンタノール、及びニトロ化合物(0.6g)をバイアルに入れる。
攪拌しつつ、混合物を85℃で18時間反応させる。
酢酸エチルを添加することにより、生成物を沈殿させる。生成物を濾過し、真空下で乾燥させる。
黒色パウダー(1.3g)が得られる。
NMR及び質量分析は所望の生成物の構造と一致する。
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、この実施例で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、染色された毛髪の束を得ることができる。
【0100】
実施例10
【化39】

反応スキーム:
【化40】

方法:
アゾ化合物(1.0g)、7mlのペンタノール、及びニトロ化合物(0.85g)をバイアルに入れる。攪拌しつつ、混合物を85℃で18時間反応させる。
ついでニトロ化合物(0.42g)を添加し、攪拌しつつ、混合物を90℃で3時間反応させる。最後に、ニトロ化合物(0.85g)を添加する。
攪拌しつつ、混合物を90℃で2日間反応させる。
酢酸エチルを添加することにより、生成物を沈殿させる。生成物を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、真空下で乾燥させる。
黒色パウダー(0.84g)が得られる。
NMR及び質量分析は所望の生成物の構造と一致する。
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、この実施例で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、染色された毛髪の束を得ることができる。
【0101】
実施例11
【化41】

反応スキーム:
【化42】

方法:
アゾ生成物(1g)、KI(100mg)及び5mlのジメチルホルムアミド(DMF)を三口フラスコに入れる。
混合物を攪拌し、90℃で5分間加熱する。
5mlのDMFに溶解したヒドラゾン化合物(1.79g)を添加する。攪拌しつつ、混合物を90℃で16時間反応させる。
生成物を酢酸エチル(250ml)から沈殿させる。
生成物を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、真空下で乾燥させる。
黒色パウダー(2.0g)が得られる。
NMR及び質量分析は所望の生成物の構造と一致する。
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、この実施例で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、染色された毛髪の束を得ることができる。
【0102】
実施例12乃至23は、適当な量で、DMFをN-メチルピロリドン(NMP)又はDMPUで置き換えることにより、実施例11に記載された手順に従い得たものである。
実施例12
【化43】

反応スキーム:
【化44】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク m/z=289
最大吸収波長:λmax:420nm;566nm;250nm
【0103】
実施例13
【化45】

反応スキーム:
【化46】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=303
最大吸収波長:λmax:566nm;420nm;252nm
【0104】
実施例14
【化47】

反応スキーム:
【化48】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=247
最大吸収波長:λmax:424nm;518nm;258nm
【0105】
実施例15
【化49】

反応スキーム:
【化50】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=261
最大吸収波長:λmax:422nm;538nm;256nm
【0106】
実施例16
【化51】

反応スキーム:
【化52】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=277
最大吸収波長:λmax:558nm;416nm;254nm
【0107】
実施例17
【化53】

反応スキーム:
【化54】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=275
最大吸収波長:λmax:418nm;552nm;256nm
【0108】
実施例18
【化55】

反応スキーム:
【化56】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=313
最大吸収波長:λmax:418nm;568nm;256nm
【0109】
実施例19
【化57】

反応スキーム:
【化58】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=268
最大吸収波長:λmax:574nm;420nm;256nm
【0110】
実施例20
【化59】

反応スキーム:
【化60】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=290
最大吸収波長:λmax:556nm;420nm;254nm
【0111】
実施例21
【化61】

反応スキーム:
【化62】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=275
最大吸収波長:λmax:426nm;562nm;256nm
【0112】
実施例22
【化63】

反応スキーム:
【化64】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=298
最大吸収波長:λmax:424nm;572nm;256nm
【0113】
実施例23
【化65】

反応スキーム:
【化66】

生成物の構造をLCMS分析により確認する:分子イオンピーク:m/z=279
最大吸収波長:λmax:424nm;590nm
実施例1で記載されたものと同じタイプではあるが、実施例12乃至23で得られた染料を含有する染色用組成物を使用することにより、染色された毛髪の束を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の染色に適した媒体に、少なくとも2つの異なる発色団を含む、少なくとも1つの混合染料を含有せしめてなる染色用組成物において;
該少なくとも1つの発色団がアゾ化合物ファミリーの発色団又はトリ(ヘテロ)アリールメタンファミリーの発色団から選択され;発色団が、それぞれの発色団の電子の非局在化を停止する少なくとも1つのリンカーを介して互いに結合しており;その発色団が全てアゾ型のものである混合染料を除く組成物。
【請求項2】
混合染料が少なくとも2つの異なる発色団を含み、その少なくとも一方が1又は複数のカチオン性電荷を担持していることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
発色団が400〜800nmの可視領域で吸収することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
混合染料が2乃至4の発色団、好ましくは2乃至3の発色団を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
混合染料が2つの発色団を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
カチオン性発色団が、少なくとも1つの第4級化窒素原子を有する発色団であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
アゾ型の発色団が少なくとも1つの-N=N-配列を有する化合物から選択され、その2つの窒素原子は同時に環に結合しないが;-N=N-配列の2つの窒素原子の一方が環内に結合することは除かれないことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
アゾ型の発色団が、次の式(I):
-[N=N-(A)]-A (I)
[上式中:
− xは1〜3の整数であり;
− yは0又は1であり;
好ましくはyが0に等しい場合に、xは1に等しく;
− A及びAは同一でも異なっていてもよく、窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する、5-乃至30員の複素環式芳香族基、又はC-C30芳香族基を表し、A及びA基の少なくとも1つは置換されており;
− A又はAは混合染料のリンカーに結合しており;
− Aは、カルボキシル基;アルキル部分がC-C12であるアルコキシカルボニル基;アルキル部分がC-C12であるアシルオキシ、C-C12アルキルスルファモイル(アルキル-NH-SO-)、C-C12アルキルスルホンアミド(アルキル-SO-NH-)、ハロゲン原子の一又は複数で;又はニトロ基;ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;アミノ基;ヒドロキシル基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基から選択される、同一でも異なっていてもよい一又は複数の基で好ましくは置換されていてもよい、モノ芳香族又はポリ芳香族でC-C30の二価の基を表す]
に相当するアゾ化合物ファミリー、及びその互変異性体の発色団(類)を挙げることができる。
【請求項9】
アゾ化合物ファミリーの発色団が、x=1であり、y=0である、式(I)に相当するもの、及びその互変異性体であり、ここでAは:
【化1】

[結合aは、環又はN、Z、Z、Z、Z、R、R又はRを介してアゾ基に結合しており;
は酸素又は硫黄原子、NR基又はCR基を表し、
は窒素原子又はCR基を表し、
は窒素原子又はCR基を表し、
は窒素原子又はCR基を表し、
及びRは共同して芳香環を形成可能で、
Anは化粧品的に許容可能なアニオンを表す]
ものを表し、
は、該環又はその置換基の一つを介してアゾ基に結合する、置換されていてもよく、カチオン性であってもよい、C-C30の芳香族又は5-乃至30員の複素環式芳香族基を表し、好ましくはAは次の式:
【化2】

[上式中:
結合bは環を介してアゾ基に結合しており;
は窒素原子又はCR10基を表し;
、R、R、R、R、R、R、R及びR10は同一でも異なっていてもよく、水素原子;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基;置換されていてもよい5-又は6員の(ヘテロ)アリール基;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;ニトロ基;シアノ基;C-C12アルキルスルホンアミド(アルキル-SO-NH-);C-C12アルキルスルファモイル(アルキル-NH-SO-);アルキル部分がC-C12であるアシルオキシ;アルキル部分がC-C12であるアルコキシカルボニル;カルボキシル基を表し;
は、直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基を表し;
とR及びRとRは芳香環を形成してよく;
係数b'は4に等しく;
Anは有機又は無機で化粧品的に許容可能なアニオンを表す]
の炭素ベースの芳香族基又はピリジン基を表すことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
トリ(ヘテロ)アリールメタン型の発色団が次の式(VI)乃至(VIII):
【化3】

[上式中:
− Arは同一でも異なっていてもよく、フェニル又はナフチル等の置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよい複素環を表し;
− Aは、ヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;アミノ基;C-Cアルコキシ基、アミド基(-CONH);ヒドロキシルの少なくとも1つで好ましくは置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基、水素原子を互いに独立して表すR15及びR16であるN-N(R15、R16)、Oを表し;
− R14は同一でも異なっていてもよく、水素原子;好ましくは塩素又はフッ素等のハロゲン原子;スルホニルアミノ基;ヒドロキシル;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルコキシ基;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキルチオ基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;複素環基;ニトロ基;シアノ基;置換されていてもよいアリール基、好ましくはCのもの;アシル基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシカルボニル基;カルボキシアミド基;-COH;-SOH;-PO;-POを表し;
− vは4に等しく;v'は2に等しい]
の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
発色団がメチン、カルボニル又は環状アジン型、及び(複素環式)芳香族ニトロ化合物の発色団から選択され得ることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
メチン型の発色団が、>C=C<及び-N=C<から選択される少なくとも1つの配列を含み、その2つの原子が環内に同時に結合しない化合物から選択され;配列の窒素又は炭素原子の一方が環内に結合したものは除かないことを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
メチン型の発色団が、メチン類、アゾメチン類、モノ-及びジアリールメタン類、インダミン類、インドフェノール類、インドアニリン類、カルボシアニン類、アザカルボシアニン類及びそれらの異性体、ジアザカルボシアニン類及びそれらの異性体、テトラアザカルボシアニン類及びヘミシアニン類、適切な場合はその異性体のファミリーの発色団から誘導される基であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
メチン型の発色団が、次の式(IX):
【化4】

[上式(IX)中:
− R17及びR18は同一でも異なっていてもよく、水素原子;C-C30アリール基、(C-C)アルキルアリール基で、アリール部分が、ハロゲン原子好ましくは塩素、ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基、アミノ基、直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-Cアルコキシ基、ヒドロキシル基から好ましくは選択される、同一でも異なっていてもよい一又は複数の基で置換されていてもよいもの;チオフェン、フラン、ピペロニル、インドール、インドリン、ピリジン、カルバゾール、デヒドロキノリン及びクロモン複素環から特に選択される複素環基を表し;
− R17及びR18は、同時に芳香族基又は複素環式芳香族基を表すことができず;
− R19は同一でも異なっていてもよく、水素原子;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基;置換されていてもよいC-C30アリール基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;ヒドロキシル基;C-Cアルコキシ基、ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよい、直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;好ましくは塩素等のハロゲン原子を表し;
− Xは窒素原子又は炭素原子を表し;
− 係数nは、Xが窒素原子である場合に0を表し、Xが炭素原子である場合に1を表し;
− 係数n'は4に等しく;
− Aは、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル又はヒドロキシアルキル基で置換された又は未置換のアミノ基、直鎖状又は分枝状のC-Cポリヒドロキシアルコキシ基、直鎖状又は分枝状のC-Cモノヒドロキシアルコキシ基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、好ましくは塩素又はフッ素等のハロゲン原子、ヒドロキシルの一又は複数で好ましくは置換されていてもよいCアリール基;R20が同一でも異なっていてもよく、置換されていてもよいC-Cアルキル基を表すアンモニウム基N(R20)、ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;アミノ基を表す]
の発色団、及びそれらの互変異性体から誘導される基、及び次の式(X):
【化5】

[上式中、
B、D、E及びFは同一でも異なっていてもよく、窒素原子又はC-R22基を表し、
22は同一でも異なっていてもよく、水素原子、好ましくは少なくとも1つのヒドロキシルで置換されていてもよいC-Cアルキル基;直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;アミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;置換されていてもよいCアリール基;置換されていてもよい5-乃至12員のヘテロアリール基を表し;
n=0又は1;
Gは、環4、又は次の残基を表し:
【化6】

ここで:
21及びR24は互いに独立して、直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基;置換されていてもよいベンジル基を表し;
23は水素原子、好ましくは少なくとも1つのヒドロキシルで置換されていてもよいC-Cアルキル基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基、アミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;置換されていてもよいCアリール基;置換されていてもよいC-C12ヘテロアリール基を表し;
Jは窒素原子又はC-R25基を表し;R25はR22と同様の意味を有し;
環1は、窒素原子上に少なくとも1つのカチオン電荷を担持しており、窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つの他のヘテロ原子を有していてもよい、5-乃至12-員の複素環式芳香族基から選択され;該基は、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-Cアルキル基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状で置換された又は未置換のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのC-C芳香族基;少なくとも1つのヒドロキシル基;アルコキシカルボニル基;ニトロ基;シアノ基;C-C12アルキルスルホンアミド基(アルキル-SO-NH-);C-C12アルキルスルファモイル基(アルキル-NH-SO-)で置換されていてもよく;
環2は、C-C12芳香族基;窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する5-乃至12-員の複素環式芳香族基から選択され;該基は、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;好ましくは5-乃至6-員である少なくとも1つの(複素環式)芳香族基;少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく;
環3は、窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する5-又は6-員の複素環式芳香族基から選択され;該基は、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのC-C芳香族基;少なくとも1つのヒドロキシル基;アルコキシカルボニル基;ニトロ基;シアノ基;C-C12アルキルスルホンアミド基(アルキル-SO-NH-);C-C12アルキルスルファモイル基(アルキル-NH-SO-)で置換されていてもよく;
環4は、C-C12芳香族基;窒素、酸素及び/又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する5-乃至12-員の複素環式芳香族基から選択され;該基は、少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;好ましくは5-乃至6-員である少なくとも1つの(複素環式)芳香族基;少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく;
但し、nが1であり、Gが環を表す場合、B、D、E及びFは同時に窒素原子を表すことができず;nが0であり、Gが環を表す場合、B及びDは同時に窒素原子を表さない]
のもの、及び適切であるならばそれらの互変異性体から誘導されるものであることを特徴とする、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
カルボニルファミリーの発色団が、アクリドン類、ベンゾキノン類、アントラキノン類、ナフトキノン類、ベンズアントロン類、アントラントロン類、ピラントロン類、ピラゾールアントロン類、ピリミジノアントロン類、フラバントロン類、イダントロン類、フラボン類、(イソ)ビオラントロン類、イソインドリノン類、ベンズイミダゾロン類、イソキノリノン類、アントラピリドン類、ピラゾロキナゾロン類、ペリノン類、キナクリドン類、キノフタロン類、インジゴイド類、チオインジゴ類、ナフタリミド類、アントラピリミジン類、ジケトピロロピロール類及びクマリン類のファミリーの染料から誘導される基であることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
カルボニルファミリーの発色団が、次の式(XI):
【化7】

[上式中、環は5-又は6員環を表し、その環のメンバーの少なくとも1つは付加的なカルボニル官能基、又は酸素、窒素及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられていてもよく;該環は、ニトロ、シアノ、アミノ又はアルキルアミノ基;好ましくは塩素等のハロゲン原子;ヒドロキシル基の一又は複数で;置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;該環は一又は複数のC芳香環と縮合していてもよく、これ又はこれらの環は、それら自身、一又は複数の芳香環と縮合可能で、その少なくとも1つの炭素原子は、酸素、窒素及び硫黄から選択される一又は複数のヘテロ原子で置き換えられていてもよい]
の染料から誘導される基であることを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
環状アジンファミリーの発色団が、アジン、キサンテン、チオキサンテン、フルオリンジン、アクリジン、(ジ)オキサジン、(ジ)チアジン又はピロニン型の染料から誘導される基から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
環状アジンファミリーの発色団としては、次の式(XII):
【化8】

[上式中:
Lは、好ましくは酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子;NH基;N-R34基を表し、
Mは、好ましくは酸素、硫黄及び窒素から選択されるヘテロ原子;N-R34基;CH基;C-R35基を表し;
Q及びKは同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル基;アミノ基;置換されていてもよい(C-C)アルキルアリール基、置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル基の少なくとも1つを担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換されたアミノ基;tがKにおいては2に等しく、Qにおいては3に等しく、R36が同一でも異なっていてもよく、水素原子を表す、N(R36)型のアンモニウム基;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよい、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;置換されていてもよいアリール基、(C-C)アルキルアリール基で、アリール部分が置換されていてもよいもの;置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基、置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基を表し;
Q及びKが同時にN(R36)型のアンモニウム基を表さない条件で;
32及びR33は同一でも異なっていてもよく、水素原子;置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;アミノ基;置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいC-Cアルキル基で直鎖状又は分枝状のものから選択される、同一でも異なっていてもよい一又は複数の基で置換されていてもよいアミノ基;好ましくは塩素又はフッ素等のハロゲン原子を表し;
Qが置換された又は未置換のアミノ基、又はヒドロキシル基を表すケースにおいて、R32はJ基の窒素又は酸素原子と共に、芳香族基と縮合していてもよい6員環を形成するアルキルアミノ又はアルコキシ基を表してよく、該芳香族基は、置換されていてもよいフェニル基、及び置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基から選択される、同一でも異なっていてもよい一又は複数の基で置換された又は未置換のアミノ基、又はアミノ基の少なくとも1つで置換されていてもよく;
34及びR35は同一でも異なっていてもよく、少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのヒドロキシルで好ましくは置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表し;
34及びR35は同一でも異なっていてもよく、少なくとも1つのシアノ基;少なくとも1つのニトロ基;好ましくは塩素又はフッ素等のハロゲン原子;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよく、同一でも異なっていてもよい、一又は複数の直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で置換された少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つのアミノ基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基;少なくとも1つのヒドロキシル基;少なくとも1つの直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基で好ましくは置換されていてもよい、好ましくはCのアリール基を表してもよい]
染料、及びそれらの互変異性体から誘導される基であることを特徴とする、請求項10乃至17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
(複素環式)芳香族ニトロ化合物ファミリーの発色団が、次の式(XIII)及び(XIV)に相当するもの、さらにその互変異性体:
【化9】

であり、ここで上式中、
37は同一でも異なっていてもよく、水素原子;少なくとも1つのヒドロキシル基を担持していてもよい、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基;置換されていてもよいアリール基、(C-C)アルキルアリール基で、アリール部分が置換されていてもよいもの;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル基、直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルコキシ基を表し;
38は同一でも異なっていてもよく、水素原子;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルキル;直鎖状又は分枝状で置換されていてもよいC-Cアルコキシ基;置換されていてもよいCアリール基;アミノ基;置換されていてもよい5-又は6員のヘテロアリール基、置換されていてもよいCアリール基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキルスルホンアミド基、直鎖状又は分枝状のC-Cチオアルキル基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルコキシ基、ヒドロキシル基の少なくとも1つで好ましくは置換されていてもよく、同一でも異なっていてもよい、直鎖状又は分枝状のC-C、好ましくはC-Cアルキル基から選択される、一又は複数の基で置換されたアミノ基;ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基を表し;
係数zは4に等しく、係数z'は3に等しいことを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項20】
リンカーがカチオン性又は非カチオン性であることを特徴とする、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
リンカーが、二価、三価又は四価の化合物、好ましくは直鎖状又は分枝状のC-C20、好ましくはC-C12炭化水素ベース鎖、好ましくはアルキル鎖で、該鎖の一又は複数の炭素原子が、硫黄、窒素又は酸素等のヘテロ原子で置き換えることができるもの、飽和又は不飽和で、好ましくは少なくとも2つの窒素原子を有するC-Cの複素環で置き換えることができるもの;該炭化水素ベース鎖が不飽和であるか、又はアリーレン基を含有可能なもの;アリーレン基;二価のテレフタルアミド基;二価又は三価の基、特にトリアジン型のものから選択されることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
混合染料の含有量が、組成物の全重量に対して0.001重量%〜20重量%、特に0.005重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記混合染料以外の、一又は複数の付加的な直接染料を含有していることを特徴とする、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
それぞれの付加的な直接染料の含有量が、染色用組成物の全重量に対して、0.001重量%〜10重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
パラ-フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ-アミノフェノール類、オルト-アミノフェノール類、及び複素環ベース、及びそれらの付加塩から選択される少なくとも1つの酸化ベースを含有していることを特徴とする、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
メタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、ナフタレンベースのカップラー及び複素環カップラー類、及びそれらの付加塩から選択される少なくとも1つのカップラーを含有していることを特徴とする、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
それぞれの酸化ベースの含有量が、染色用組成物の全重量に対して0.001重量%〜10重量%の範囲にあり、それぞれのカップラーの含有量が、染色用組成物の全重量に対して0.001重量%〜10重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項25又は26に記載の組成物。
【請求項28】
組成物が少なくとも1つの酸化剤を含有していることを特徴とする、請求項1乃至27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
酸化剤が、過酸化水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の過酸化物、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩又はフェリシアニド類、過酸塩、ペルオキシダーゼ類、及び2-電子又は4-電子オキシドレダクターゼ類等の酵素、好ましくは過酸化水素から選択されることを特徴とする、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
pHが8〜11であることを特徴とする、請求項1乃至29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
次の工程:
a)請求項1乃至27のいずれか1項に記載の組成物を、場合によっては少なくとも1つの酸化剤の存在下で、湿った又は乾燥した繊維に適用し、
b)組成物を、所望の着色が得られるのに十分な時間作用させ、
c)繊維を場合によってはすすぎ、
d)繊維を洗浄してすすぎ、
e)繊維を乾燥させるか、又は乾燥するまで放置する、
ことを実施することからなる、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維を染色するための方法。
【請求項32】
少なくとも1つの第1の区画部が、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の少なくとも1つの混合染料と、場合によっては混合染料とは異なる少なくとも1つの付加的な直接染料、場合によっては少なくとも1つの酸化ベース、及び場合によっては少なくとも1つのカップラーを含む染色用組成物を収容し、他の区画部が酸化剤を収容している多区画染色具。
【請求項33】
次の化合物:
【化10】


を除く、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の混合染料。
【請求項34】
次の式:
【化11】






の一つ、及びその付加塩に相当する、請求項33に記載の混合染料。

【公開番号】特開2008−115390(P2008−115390A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−282869(P2007−282869)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【分割の表示】特願2005−53334(P2005−53334)の分割
【原出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】