説明

アブソーバ層の候補および塗布技術

【課題】増大して安定した熱吸収係数を具備する炭素に基づく材料を用いたアブソーバ層およびそのようなアブソーバ層を生成するための経済的な方法を提供する。
【解決手段】一実施形態は、基板300の上面にアブソーバ層312を堆積し、基板は第1の温度の下で維持されるステップと、加熱処理チャンバにおいて基板をアニーリングし、基板は第2の温度まで加熱され、第2の温度は第1の温度より高いステップと、基板からアブソーバ層を除去するステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は一般に、集積回路の作製に関する。さらに詳細には、本発明の実施形態は、基板上に層を堆積するための工程および次に基板をアニーリングするためのプロセスに関する。
【従来技術の説明】
【0002】
[0002]集積回路作製における多くのプロセスは、シリコンを包含する基板などの半導体基板上の層の堆積または半導体基板の上に既に堆積された層のアニーリングのための急速の高温処理ステップを必要とする。たとえば、ホウ素、リンまたはヒ素などのドーパントイオンが半導体基板に移植される後、基板は通常、ドーピングプロセス中に分裂された基板の結晶構造を修復し、ドーパントを活性化するために、アニーリングが施される。
【0003】
[0003]アニーリングステップ中、基板への望ましくない拡散および損傷の原因となりうる高温に基板がさらされる時間量を最小限に抑えるために、基板を急速に加熱および冷却することが通常、好ましい。アニーリングステップは、急速加熱処理(RTP)、動的面アニーリング(DSA:Dynamic Surface Annealing)またはバッチ炉における加熱によって行われてもよい。RTPプロセスは、基板の全体厚さを加熱し、約200〜400℃/秒程度の速度で基板温度を上昇させることができる。DSA法は、電磁放射線を用いて基板を走査し、基板の上面を加熱してアニーリングするだけである。基板の上層は、1100℃〜約1410℃の温度まで加熱し、1ミリ秒程度の時間で周囲温度付近まで冷却されることができる。バッチ炉によって提供される加熱は通常、約5〜15℃/分の速度で基板温度を上昇させる。したがって、RTPおよびDSAは、バッチ炉加熱より望ましい。
【0004】
[0004]基板の面にわたる一様でない加熱は、基板におけるパターンが原因で、RTP、DSAまたは他の従来の基板加熱プロセスによって直面されることが多い。今日の集積回路は一般に、基板の面にわたって変化する密度で離隔され、異なるサイズ、形状および材料を有する複数のデバイスを含むため、基板面は、基板面の異なる領域にわたってきわめて異なる熱吸収特性を有することができる。たとえば、その上により低い密度のデバイスを有する基板の第1の領域は通常、その上に第1の領域より高い密度のデバイスを有する基板の第2の領域より高速で加熱される。基板面の異なる領域にわたって変化する反射率もまた、基板面の均一な加熱を困難にする可能性がある。
【0005】
[0005]アブソーバ層は一般に、パターン形成された基板面にわたって、均一な反射率および/または熱吸収係数を提供するために用いられる。最新技術のアブソーバ層は、低温化学気相堆積(CVD)によって堆積されるアモルファス炭素層であってもよい。しかし、このアモルファス炭素層には問題がある。たとえば、アモルファス炭素層が低温で形成される場合には、温度が増大されると、アモルファス炭素層の特性は普通、アニーリングプロセス中に変化する。その上、より急速な加熱処理の場合には、アモルファス層の光吸収係数が増大する可能性がある。
【0006】
[0006]したがって、改良したアブソーバ層およびアニーリングプロセス中に基板の面にわたって均一な加熱を達成するために、改良したアブソーバ層を形成するための方法に対する需要が依然としてある。
【発明の開示】
【0007】
[0007]本発明は一般に、増大して安定した熱吸収係数を具備する炭素に基づく材料を用いたアブソーバ層およびそのようなアブソーバ層を作製するための経済的な方法を提供する。
【0008】
[0008]本発明の一実施形態は、基板の上面にアブソーバ層を堆積し、基板は第1の温度の下で維持されるステップと、加熱処理チャンバにおいて基板をアニーリングし、基板は第2の温度まで加熱され、第2の温度は第1の温度より高いステップと、基板からアブソーバ層を除去するステップと、を備える基板を処理するための方法を提供する。
【0009】
[0009]本発明の別の実施形態は、基板の上に、アニーリング温度より低い低温でアブソーバ層を堆積し、アブソーバ層がアニーリング温度より高い高温に耐える炭素を備えるステップと、基板の少なくとも一部をアニーリング温度まで急速に加熱し、基板からアブソーバ層を除去するステップと、を含む基板にアニーリングを施すための方法を提供する。
【0010】
[0010]本発明のさらに別の実施形態は、高温炭素を備える基板を処理するためのアブソーバ層を提供する。
【0011】
[0011]本発明の上記に記載した特徴は詳細に理解されることができるように、上記で簡単に概略を述べた本発明のさらに具体的な説明は、実施形態を参照することによって得られると考えられ、実施形態の一部は添付図面に示されている。しかし、添付図面は、本発明の代表的な実施形態に過ぎず、したがって、本発明は他の等しく有効な実施形態を認めうることから、その範囲を限定するものと考えるべきではないことを留意すべきである。
【詳細な説明】
【0012】
[0016]本発明は、加熱アニーリングプロセスに用いられる改良したアブソーバ層のための材料候補および改良したアブソーバ層を塗布するための方法を提供する。特に、本発明のアブソーバ層は、アニーリング温度より低い温度で基板に塗布される高温材料を備える。
【0013】
加熱アニーリングの装置
[0017]図1は、本願明細書に記載された実施形態によれば、ディスク形状の半導体基板12にアニーリングを施すための処理チャンバ14を含む例示の急速加熱処理(RTP)システム10を図示する。処理チャンバ14は、加熱灯アセンブリ16によって水冷式石英窓18を介して放射加熱される。基板12の周縁部は、支持構造20によって支持され、この支持構造20は、任意に(図示せず)約240rpm(毎分回転数)までの速度で回転されることができる。基板12の下には、ニッケルメッキのアルミニウム反射体板アセンブリ22があり、この反射体板アセンブリ22は、基板12の有効放射率を強化するために、基板12の後面に面している光学反射性コーティングを有する。反射体板アセンブリ22は、水冷基部23に取り付けられる。基板12の冷却は、水冷基部23の冷却能力を増大させ、水冷基部23のより近くに反射体板アセンブリ22を位置付けることによって強化されてもよい。さらに、光学コーティングは、加熱灯アセンブリ16が消灯されると、放射されたエネルギを吸収するように強化されてもよい。反射体板アセンブリ22の上面と基板12の後面との間には、反射キャビティ15がある。
【0014】
[0018]アニーリングプロセス中に、アニーリング用の周囲のガスが、周囲ガス入口30を通って処理チャンバ14に導入される。周囲ガスは、基板12の上面にわたって流れ、加熱された基板12と反応してもよい。過剰な周囲ガスのほか、任意の反応副生成物は、ポンプシステム34によって処理チャンバ14から周囲ガス出口32を通って回収される。その上、パージガスが、フィルタ86に接続される入口46を通って、処理チャンバ14に導入されてもよい。
【0015】
[0019]図2は、以下に記載されるDSAプロセスのための例示のレーザ装置200を概略的に図示する。レーザ装置200は、連続波電磁放射線モジュール201、その上に基板214を収容するように構成されたステージ216および並進機構218を備える。連続波電磁放射線モジュール201は、連続波電磁放射線源202と、連続波電磁放射線源202とステージ216との間に配置された集光光学素子220と、を備える。
【0016】
[0020]集光光学素子220は好ましくは、1つ以上のコリメータ206を備え、連続波電磁放射線源202からの放射線204を実質的に平行なビーム208に平行光線化する。この平行光線化された放射線204は次に、少なくとも1つのレンズ210によって、一筋の放射線222となり、基板214の上面224に集光される。
【0017】
[0021]レンズ210は、放射線を一筋に集光することができる任意の適切なレンズまたは一連のレンズである。好ましい実施形態において、レンズ210は、円筒形レンズである。あるいは、レンズ210は、1つ以上の凹レンズ、凸レンズ、平面鏡、凹面鏡、凸面鏡、反射レンズ、拡散レンズ、フレネルレンズ、勾配屈折率レンズなどであってもよい。
【0018】
[0022]ステージ216は、以下に説明するように、並進中、基板214を確実に保持することができる任意のプラットホームまたはチャックである。好ましい実施形態において、ステージ216は、摩擦システム、重力システム、機械システムまたは電気システムなどの基板を把持するための手段を含む。把持するための適切な手段の例としては、機械的締め付け、静電チャックまたは真空チャックなどが挙げられる。
【0019】
[0023]レーザ装置200はまた、ステージ216および一筋の放射線222を互いに対して並進するように構成される並進機構218も備える。並進機構218は、ステージ216を連続波電磁放射線源202および/または集光光学素子220に対して移動させるために、ステージ216に連結されてもよい。あるいは、並進機構218は、連続波電磁放射線源202および/または集光光学素子220をステージ216に対して移動させるために、連続波電磁放射線源202および/または集光光学素子220に連結されてもよい。並進機構218はまた、連続波電磁放射線源202および/または集光光学素子220と、ステージ216との両方を移動させてもよい。コンベヤシステム、ラックアンドピニオンシステムまたは類似のものなどの任意の並進機構が、用いられてもよい。
【0020】
[0024]並進機構218は好ましくは、制御装置226に連結され、ステージ216および一筋の放射線222が互いに対して移動する走査速度を制御する。加えて、ステージ216および一筋の放射線222の互いに対する並進は好ましくは、一筋の放射線222に対して垂直であり、かつ基板214の上面224に対して平行である経路に沿って行われる。好ましい実施形態において、並進機構218は、一定の速度で移動する。好ましくは、この一定の速度は、35ミクロン幅のラインの場合は、約2cm/秒である。別の実施形態において、ステージ216および一筋の放射線222の互いに対する並進は、一筋の放射線222に対して垂直な経路に沿っていない。
【0021】
加熱アニーリングの工程
[0025]図3A〜図3Fは、本発明の実施形態による基板処理シーケンスを概略的に図示する。図3Aに示されるように、シリコンを備える基板300が、提供される。図3Bに示されているように、基板300にゲートソース領域303およびドレインソース領域305を形成するために、フィールド酸化物層302、ゲート誘電体304、ゲート電極306が、従来の方法に基づいて、基板300の上に堆積されてパターン形成される。図3Cに示されているように、ゲートソース308およびゲートドレイン310を形成するために、ドーパントイオンが次に、基板300に移植される。
【0022】
[0026]図3Dに示されているように、本発明の実施形態によれば、アブソーバ層312が、基板300の上に堆積される。アブソーバ層312は、フィールド酸化物層302、ゲート電極306、ゲートソース308およびゲートドレイン310の中の差に関係なく、基板300にわたって均一な熱吸収係数を提供するように構成される。一実施形態において、アブソーバ層312は、炭素を備える。アブソーバ層312における炭素は、全体的な光吸収係数を増大する。一実施形態において、アブソーバ層312は、たとえばカーボンブラックおよび黒鉛化カーボンブラックなどの高温炭素を備える。アブソーバ層312における高温炭素の特性は、次に行われることになっているアニーリングプロセス中、依然として安定している。一実施形態において、アブソーバ層312を堆積している間、基板300は、約450℃未満などの低温の中に保たれる。スピンオン、煤を生じる火炎、物理気相堆積、電気泳動堆積および静電堆積などの種々の方法が、アブソーバ層312を堆積するために用いられてもよい。これらの方法の詳細な説明は、以下の通りである。
【0023】
[0027]図3Eに示されているように、本発明の実施形態によれば、基板300が次に、アニーリングされる。アニーリングプロセスは、プロセス要件に応じて、DSAまたはRTPによって行われてもよい。一般に、アブソーバ層312は、DSAプロセスの場合には相対的に薄く、アブソーバ層312は、RTPプロセスの場合には相対的に厚い。
【0024】
[0028]図3Fに示されているように、アブソーバ層312は次に、基板300から除去される。一実施形態において、アブソーバ層312は、オゾンまたは遠隔プラズマ源において生成される酸素プラズマなどの酸化剤をアニーリングチャンバに提供することによって、除去されてもよい。一実施形態において、アブソーバ層312は、約450℃未満の温度などの低温で酸化剤を用いて、除去されてもよい。低温酸化剤は、オゾンおよび低温酸素プラズマを含んでもよい。別の実施形態において、アブソーバ層312は、超音波源を用いて除去されてもよい。別の実施形態において、アブソーバ層312は、超音波源を用いて、その後過酸化水素(H)などの液体酸化剤を用いて除去されてもよい。
【0025】
[0029]図3A〜図3Fは、基板上に1つのみのゲートデバイスを示しているが、本願明細書に記載される層は通常、異なるサイズ、タイプおよび材料からなり、基板の面にわたって変化する密度で離隔される複数のデバイスを含む基板上に形成される。この層は、基板の面にわたって地形的に変化するデバイスにもかかわらず、基板のアニーリング中に、基板の面にわたって均一な加熱を促進すると考えられる。
【0026】
アブソーバ層の候補
[0030]一般に、アニーリングなどの加熱処理ステップにおいて、基板が急速かつ一様に加熱されることができるように、図3Dにおけるアブソーバ層312などのアブソーバ層は、基板、特にパターン形成された基板にわたって増大され、かつ均一な光吸収係数を提供するように構成される。本発明の一実施形態において、アブソーバ層の熱特性は、アブソーバ層の堆積を含む処理ステップと堆積ステップの後の加熱処理ステップ中、依然として安定である。一実施形態において、アブソーバ層は、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、フラーレンまたは改質フラーレンなどの高温材料を備える。カーボンブラックまたは黒鉛化カーボンブラックなどの高温材料は、高温に耐えることができるため、本発明のアブソーバ層は、加熱処理における加熱および冷却される基板として依然として安定である。
【0027】
アブソーバ層に用いられるカーボンブラック
[0031]アモルファス炭素は、不活性環境において、石油コークス、油およびコールタールピッチなどの炭素化前駆物質を加熱することによって得られてもよい。カーボンブラックは、アモルファス炭素の一形態である。カーボンブラックは、冷却基板を用いて、煤を生じる火炎などの燃料の豊富な火炎から収集されてもよい。カーボンブラックは、サイズにおいて微細である。アブソーバ層において、カーボンブラックを用いることにはいくつかの利点がある。
【0028】
[0032]第一に、カーボンブラックは、最新技術のアブソーバ層における低温プラズマ化学気相堆積によって堆積されるアモルファス炭素より高い光吸収係数を有する。
【0029】
[0033]第二に、カーボンブラックは、天然の形態で見つけられてもよく、半導体処理において、約450℃より低い加熱処理温度よりはるかに高い温度で生成されてもよい。したがって、熱吸収係数などの特性は、加熱処理中、安定のままである。低温プラズマ化学気相堆積から形成される最新技術のアブソーバ層の熱吸収係数は、処理中に層が加熱されると増大する。それゆえに、カーボンブラックを具備するアブソーバ層は、加熱処理を制御しやすい。
【0030】
[0034]第三に、カーボンブラックの小さな粒子サイズは、アブソーバ層を高い真空でなくても方法を用いるために十分なほど薄くすることを可能にする。カーボンブラックは一般に、50nm未満の粒子サイズを有する。以下に記載するように、カーボンブラックは、アブソーバ層の薄膜を生成するために、スピンオン方法によって基板面上に堆積されてもよい。
【0031】
アブソーバ層に用いられる黒鉛化カーボンブラック
[0035]黒鉛化カーボンブラックは、本発明のアブソーバ層に関する別の候補である。黒鉛化カーボンブラックは、不活性環境において約2時間、2800℃以上で一定の炭素化前駆物質を加熱することによって生成されてもよい。黒鉛化カーボンブラックは、個別の層平面にあってもよい黒鉛構造を有する。
【0032】
[0036]カーボンブラックに比べて、黒鉛化カーボンブラックは、より高温に耐えることから、基板がDSA中に1100℃〜約1410℃の温度まで加熱されてもよいため、DSA処理の場合には望ましい。
【0033】
アブソーバ層に用いられる粉砕された黒鉛
[0037]微粉砕された黒鉛は、アブソーバ層に関する別の候補である。黒鉛は、六方晶構造に結合される炭素原子からなる層である。炭素原子の異なる層は、ファンデルワールス力によって共に接続される。微粉砕された黒鉛層は、約10分の1ミクロンの粒子サイズを有してもよい。微粉砕された黒鉛は、アブソーバ層を形成するために、基板上に懸濁剤を懸濁させて、基板上に塗布してもよい。AQUADAG(登録商標)は、水中で懸濁された市販の微粉砕された黒鉛であり、アブソーバ層を形成するために直接的に用いてもよい。
【0034】
アブソーバ層に用いられるフラーレン
[0038]本発明の一実施形態において、アブソーバ層は、フラーレンまたは改質フラーレンを備える。フラーレンは、炭素の珍しい結晶構造である。フラーレンは、面上に配置された20個の六角形および13個の五角形からなる球状の構造に60個の炭素原子を包含する代表的構造を有する。高い熱吸収係数および安定した熱特性を具備するアブソーバ層を形成するために、フラーレンの変形例が、溶解または懸濁させて、基板上に塗布されてもよい。
【0035】
[0039]その上、本発明のアブソーバ層は、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、フラーレン、改質フラーレンの1つおよびそれらの組み合わせを備えてもよい。
【0036】
アブソーバ層を塗布するための方法
[0040]本発明の実施形態によるアブソーバ層は、種々の方法によって基板に塗布されてもよい。
【0037】
スピンオン塗布
[0041]本発明の一実施形態において、本発明のアブソーバ層は、半導体基板におけるフォトレジストの塗布と同様に、スピンオン法を通して基板上に塗布されてもよい。スピンオン塗布は、大気圧で行われてもよい。アブソーバ層のCVD塗布に比べて、スピンオン塗布は、はるかに安価で高速であり、したがって、維持費を増大する。
【0038】
[0042]本発明の一実施形態において、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、フラーレンまたは改質フラーレンなどのアブソーバ層用の材料は、懸濁を形成するために、最初に、懸濁剤に懸濁される。懸濁剤は、約100℃〜約150℃の温度などの低温で除去可能であってもよい任意の匹敵する薬剤であってもよい。一実施形態において、懸濁剤は、たとえば、ポリビニルアルコールなどのアルコールに基づいている。懸濁は、次に、懸濁の層を形成するために、旋回中の基板上に滴下される。アブソーバ層は、懸濁剤の除去時に形成されてもよい。
【0039】
[0043]別の実施形態において、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、フラーレンまたは改質フラーレンなどのアブソーバ層用材料のコロイド溶液は、コロイド溶液の被膜を形成するために旋回中の基板上に形成され、分散されてもよい。アブソーバ層は、アニーリング温度より低い温度でコロイド溶液を硬化することによって形成されてもよい。
【0040】
[0044]図4は、アブソーバ層のスピンオン塗布に適したコータ(coater)400を概略的に図示する。コータ400はまた、基板上のフォトレジストの塗布にも用いられてもよい。コータ400は、上部分414および下部分416を有するハウジングによって形成される制御可能な加圧プロセスチャンバ412を含む。上部分414は、たとえば、Oリング418によって下部分416に対して封止される。封止されたプロセスチャンバ412は、改良したプロセスの均一性のために制御された環境を提供する。
【0041】
[0045]プロセスチャンバ412において、基板420は、チャック422のチャッキング面424上に支持される。チャック422は、基板420を回転するために回転モータに連結される。基板420は、スピンオンコーティングステップ中に、10,000rpmまで回転されてもよい。rpmの設定は、プロセスチャンバ412における圧力、塗布されることになっているコーティングのタイプなどの種々のプロセス変数に左右される。
【0042】
[0046]下部分416の垂直位置は、1つ以上の空気シリンダ484によって制御されてもよい。プロセスチャンバ412からの基板420の出し入れを行うために、空気シリンダ484は、ロボットアーム488によってアクセス可能にするために、下部分416を下げる。
【0043】
[0047]シャワーヘッドアセンブリ430は、プロセスチャンバ412に溶剤の蒸気を導入するために、上部分414に形成される。プロセスチャンバ412にシャワーヘッドアセンブリ430によって導入される溶剤の蒸気は、排気システム438によって排気されてもよい。蒸気送出システムおよび排気システムを用いて、溶剤の蒸気の圧力を制御することによって、コーティングにおける溶剤の気化の速度が制御されてもよく、それによって硬化の速度を制御する。
【0044】
[0048]アブソーバ層材料の懸濁溶液またはコロイド溶液などのコーティングの均一な層は、分散システム440によって基板420上に噴射される。分散システム440は、枢動可能な分散アーム442を含む。分散ヘッド450は、分散アーム442の縁部に位置付けられる。分散ヘッド450は、ノズルを装備する。コーティング源454は、制御可能な流速および圧力でコーティングを行うポンプに接続されてもよい。
【0045】
煤が出る火炎の塗布
[0049]本発明の一実施形態において、カーボンブラックを備えるアブソーバ層は、煤が出る火炎を用いて堆積されてもよい。本発明の一実施形態において、アブソーバ層は、リボンバーナを通じてアセチレン(C)の豊富な空気を用いて煤が出る火炎をあてることによって、および基板を走査することによって、堆積されてもよい。
【0046】
炭素のPVD塗布
[0050]本発明の一実施形態において、アブソーバ層は、物理気相堆積(PVD)プロセスによって形成されてもよい。一実施形態において、物理気相堆積工程は、炭素を気化させて、処理されることになっている基板上に炭素蒸気を凝結するために、低圧PVDシステムにおいて炭素アークをあてるステップを備える。凝結された炭素蒸気は、アブソーバ層を形成する。PVDによって形成されるアブソーバ層は一般に、アモルファス炭素を備える。
【0047】
電気泳動堆積塗布
[0051]本発明の一実施形態において、アブソーバ層は、電気泳動堆積を用いて形成されてもよい。電気泳動堆積中、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラックまたはフラーレンなどのアブソーバ層用の候補は、液体媒体中に懸濁される。電界(電気泳動)は、液体媒体に印加される。アブソーバ層用の候補は、導電面が液体媒体と接触しているときには、基板の導電面上に堆積されてもよい。
【0048】
静電堆積塗布
[0052]本発明の一実施形態において、アブソーバ層は、静電堆積を用いて形成されてもよい。本発明の一実施形態において、アブソーバ層は、粉末コーティングによって堆積されてもよい。粉末コーティング中、カーボンブラックまたは黒鉛化カーボンブラックの粉末が、静電銃を介して、電気的に接地された基板面に向かって噴射される。
【0049】
[0053]一実施形態において、静電力は、アニールプロセス中、アブソーバ層上で維持されてもよい。静電力は、基板面に対して垂直な方向において急速な面の削り直しの延長による傾きの原因となる急速加熱および冷却の間中、アブソーバ層における粒子が、「消え失せる」ことがないようにしてもよい。一実施形態において、静電力は、静電チャック上に基板を位置付けること、加熱アニーリングプロセス中、基板をチャックされた状態に保つことによって、アブソーバ層に印加されてもよい。静電力は、温度勾配が垂直方向において相対的に大きいDSAにおいて特に利点となる可能性がある。
【0050】
[0054]本発明のアブソーバ層は、放射線によってパターン形成された基板を均一に加熱しようとする場合には常に、適用可能であることを留意すべきである。アブソーバ層はまた、透明な基板または低い吸収係数を有する基板を放射線によって加熱する場合にも適用可能である。
【0051】
[0055]前述の内容は本発明の実施形態に指向しているが、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態は、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく考案されてもよく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による例示の急速加熱処理システムを概略的に図示する。
【図2】本発明による例示の動的面アニーリングシステムを概略的に図示する。
【図3A】本発明の一実施形態による基板処理シーケンスを概略的に図示する。
【図3B】本発明の一実施形態による基板処理シーケンスを概略的に図示する。
【図3C】本発明の一実施形態による基板処理シーケンスを概略的に図示する。
【図3D】本発明の一実施形態による基板処理シーケンスを概略的に図示する。
【図3E】本発明の一実施形態による基板処理シーケンスを概略的に図示する。
【図3F】本発明の一実施形態による基板処理シーケンスを概略的に図示する。
【図4】本発明のアブソーバ層の塗布に適した例示のコータを概略的に図示する。
【符号の説明】
【0053】
10…急速加熱処理システム、12…基板、14…処理チャンバ、15…反射キャビティ、16…加熱灯アセンブリ、18…窓、20…支持構造、22…反射体板アセンブリ、23…水冷基部、30…ガス入口、32…ガス出口、34…ポンプシステム、46…入口、86…フィルタ、200…レーザ装置、201…放射線モジュール、202…放射線源、204…平行光線化するための放射線、206…コリメータ、208…平行ビーム、210…レンズ、214…基板、216…ステージ、218…並進機構、220…集光光学素子、222…放射線、224…上面、226…制御装置、300…基板、302…酸化物層、303…ゲートソース領域、304…ゲート誘電体、305…ゲートドレイン領域、306…ゲート電極、308…ゲートソース、310…ゲートドレイン、312…アブソーバ層、400…コータ、412…プロセスチャンバ、414…上部分、416…下部分、418…Oリング、420…基板、422…チャック、424…チャッキング面、426…モータ、430…シャワーヘッドアセンブリ、438…排気システム、440…分散システム、442…分散アーム、448…ノズル、450…分散ヘッド、454…コーティング源、484…空気シリンダ、488…ロボットアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための方法であって、
前記基板の上面にアブソーバ層を堆積し、前記基板が第1の温度の下で維持されるステップと、
加熱処理チャンバにおいて前記基板をアニーリングし、前記基板が第2の温度まで加熱され、前記第2の温度が前記第1の温度より高いステップと、
前記基板から前記アブソーバ層を除去するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記アブソーバ層が、アモルファス炭素、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、微粉砕された黒鉛、フラーレン、改質フラーレンまたはその組み合わせを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アブソーバ層を堆積するステップが、
懸濁を形成するために、懸濁剤においてアモルファス炭素、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、微粉砕された黒鉛、フラーレン、改質フラーレンの1つまたはその組み合わせを懸濁する工程と、
前記基板にわたって前記懸濁の被膜を形成するために前記基板を旋回している間、前記基板の上面に前記懸濁を分散する工程と、
前記懸濁の被膜から前記懸濁剤を除去する工程と、
を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アブソーバ層を堆積するステップが、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、フラーレンまたは改質フラーレンの1つまたはその組み合わせを前記基板の前記上面に電気泳動によって堆積させる工程を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記アブソーバ層を堆積するステップが、物理気相堆積を用いて、前記基板の前記上面にアモルファス炭素を堆積する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アブソーバ層を除去するステップが、酸化剤を加熱処理チャンバに提供する工程を含み、前記酸化剤が、オゾンまたは遠隔プラズマ源からの酸素プラズマを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アブソーバ層を除去するステップが、超音波源を用いて前記基板を洗浄する工程と、前記基板に液体酸化剤を塗布する工程と、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板をアニーリングするステップが、急速加熱処理、動的面アニーリングプロセスまたは急速加熱処理および動的面アニーリングプロセスの組み合わせによって、前記基板を加熱する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板をアニーリングするための方法であって、
前記基板上に、アニーリング温度より低い低温でアブソーバ層を堆積し、前記アブソーバ層が前記アニーリング温度より高い高温に耐える炭素を備えるステップと、
前記アニーリング温度まで前記基板の少なくとも一部を急速に加熱するステップと、
前記基板から前記アブソーバ層を除去するステップと、を備える方法。
【請求項10】
前記アブソーバ層が、黒鉛化カーボンブラックを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アブソーバ層を堆積するステップが、
液体媒体に前記高温炭素を懸濁する工程と、
中に懸濁される前記高温炭素を有する前記液体媒体を用いて、前記基板上に被膜を形成する工程と、
前記基板上の前記被膜から前記液体媒体を除去する工程と、
を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記アブソーバ層を堆積するステップが、物理気相堆積を用いてアモルファス炭素の層を堆積する工程を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記アブソーバ層を堆積するステップが、前記基板上に前記高温炭素の層を電気泳動によって堆積する工程を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記アブソーバ層を堆積するステップが、前記基板上に前記高温炭素の層を静電気によって堆積する工程を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記アニーリング温度まで前記基板の少なくとも一部を急速に加熱する間、前記基板に静電力を印加するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−270746(P2008−270746A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−52417(P2008−52417)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】