説明

アミノホスフィンリガンドを調製するための方法およびその金属触媒における使用

本出願は、i)アミノホスフィン(P,N)およびホスフィン-アミノホスフィン(P,N,P)リガンドを合成するための方法、ii)水素化触媒などの金属錯体の調製におけるそのようなリガンドの使用、およびiii)様々な構造のアミノホスフィン(P,N)およびホスフィン-アミノホスフィン(P,N,P)リガンドに向けられる。特に、i)の方法は、式(I)の保護された第3級アミンを式Y-PR8R9の金属ホスフィドと反応させ、式(II)のアミノホスフィンを得る工程を含み、これは、その後任意で、式(III)のホスフィンとさらに反応させて、式(IV)のホスフィン-アミノホスフィンが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野
本発明の開示は、広範囲のアキラルおよびキラルアミノホスフィンリガンドの合成のための一般手順、および、例えば、ケトン、アルデヒドおよびイミンの水素化のためのキラルおよびアキラル金属アミノホスフィン触媒の調製のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の背景
接触水素化は、化学における基礎反応であり、多数の化学過程において使用されている。ケトンおよびアルデヒドの接触水素化はアルコールの合成のための有用で、不可欠な過程であり、アルコールは薬剤、農薬、香味料、芳香剤、材料およびファインケミカル業界において重要な最終産物および前駆化学物質となる1
【0003】
ケトンおよびアルデヒドの還元における接触水素化変換を達成するには、分子水素(H2)が使用される。しかしながら、水素化過程を進行させるためには、分子水素を活性化させるために触媒または触媒系が必要である。
【0004】
ノヨリ(Noyori)およびその同僚は、ケトンの水素化のために非常に有用である、汎用RuCl2(PR3)2(ジアミン)およびRuCl2(ジホスフィン)(ジアミン)水素化触媒系を開発した2。その後、ノヨリ触媒はイミンのアミンへの還元的水素化のために有効であることが発見された3
【0005】
RuCl2(アミノホスフィン)2およびRuCl2(ジホスフィン)(アミノホスフィン)の型のルテニウムアミノホスフィン錯体もまた、キラル化合物の調製を含む、ケトン、アルデヒドおよびイミンの水素化に対して非常に有効な触媒であることもまた決定された4。このように、これらの触媒はノヨリ型触媒に対する汎用代替物である。
【0006】
現在、キラルおよびアキラルアミノホスフィンリガンドの入手可能性は著しく制限されており、これにより、接触水素化過程におけるRuCl2(アミノホスフィン)2およびRuCl2(ジホスフィン)(アミノホスフィン)触媒の開発および活用が制限されている。わずかに報告されているアミノホスフィンリガンドの合成は、収率が低いか、またはアジリジンの使用を含む5
【0007】
このように、高収率および高純度の、大規模適用に適している、キラルおよびアキラルアミノホスフィンリガンドの容易な合成が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の概要
今や、アキラルおよびキラルアミノホスフィンリガンドが高収率、高純度で合成することができ、容易に入手可能で、安価な開始材料から広範囲のリガンドが得られるようになったことが見出されている。
【0009】
したがって、本開示は、式Iの化合物

を、PG除去後に式IIの化合物を提供する条件下で、式Y-PR8R9の金属ホスフィド試薬と反応させる工程を含む、アミノホスフィンリガンドを調製するための方法を含む:

式中、
LG1は適した脱離基であり;
qは0または1であり;
pは1または2であり、ここで、pが1である場合、N原子はさらにR7またはR1、R2、R3、R4、R5、R6もしくはLGのいずれか1つに結合され、ならびに、NがR1、R2、R3、R4、R5、R6またはLGのいずれか1つに結合される場合、またはpが2である場合、qは0であり;
nは0、1、2、3または4であり;
PGは適したアミン保護基であり、pが2である場合、PGは同じかまたは異なっており;
Yはカチオンであり;
R1〜R6は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C3〜20シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、アミノ基の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル(geminal)基が共に結合され、3つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環もしくは多環の、金属化(metalated)、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し;
R7はC1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく;
R8およびR9は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR10およびN(R10)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R8およびR9基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R10はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR11、N(R11)2およびR11の1つまたは複数から選択され;ならびに
R11はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0010】
別の局面では、本開示は、式IIの化合物

を、式IIIの化合物

と、式IVの化合物を提供する条件下で反応させる工程を含む、アミノホスフィンリガンドを調製するための方法を含む:

式中、
LG2は適した脱離基であり;
qおよびrのうちの1つは1であり、もう1つは0であり;
nは0、1、2、3または4であり;
R1〜R6は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C3〜20シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、アミノ基の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル基が共に結合され、3つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環もしくは多環の、金属化、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し;
R7はC1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく;
R8およびR9は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR10およびN(R10)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R8およびR9基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R10はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR11、N(R11)2およびR11の1つまたは複数から選択され;ならびに
R11はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよく;ならびに
R12およびR13は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR10およびN(R10)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R12およびR13は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R12およびR13基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。
【0011】
本開示の別の局面では、アミノホスフィンリガンドは金属と共に錯化され、アミノホスフィン金属触媒を形成する。
【0012】
本開示の別の局面では、アミノホスフィン金属触媒はケトン、アルデヒドおよびイミンの水素化に有用である。
【0013】
本開示の別の局面では、式Vの新規アミノホスフィンリガンドが含まれる:

式中、
R14およびR15は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C3〜20シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく;
R16はH、C1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく、もしくはR16はPR19R20であり;または
R14、R15およびR16のうちの2つは結合され、3つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環もしくは多環の、金属化、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し;
R17およびR18はR17およびR18基に結合されたリン原子と共に結合され、置換されていてもよい下記式の多環式環を形成し、

式中、
多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい;
R19およびR20は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR21およびN(R21)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R19およびR20は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R19およびR20基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR22、N(R22)2およびR22の1つまたは複数から選択され;ならびに
R21およびR22は独立して、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0014】
本開示の態様では、式VIまたはVIIの新規アミノホスフィンリガンドが含まれる:

式中、
R23およびR24は同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく、またはR23およびR24のうちの1つはPR28R29であり;
R25およびR26は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR30およびN(R30)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R25およびR26は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R25およびR26基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R27は、OH、NH2、OR31、N(R31)2およびR31の1つまたは複数から選択される任意の置換基を示し、または、R27はHであり;
R28およびR29は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR32およびN(R32)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R28およびR29は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R28およびR29基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R30、R31およびR32は独立して、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR33、N(R33)2およびR33の1つまたは複数から選択され;ならびに
R33はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0015】
式II、IV、V、VIまたはVIIのリガンドを含む、金属錯体、適切には遷移金属錯体もまた、本開示に含まれる。
【0016】
本開示の別の特徴および利点は、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体例は開示の好ましい態様を示しているが、例示にすぎないことを理解すべきであり、というのは、本開示の精神および範囲内の様々な変更および改変が当業者にはこの詳細な説明から明らかになるからである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示について、以下、下記図面を参照にしてより詳細に記載する。
【0018】
【図1】本開示の1つの態様による、アミノホスフィンリガンドを製造する方法を示す概略図である。
【図2】本開示のある態様による、アミノホスフィンリガンドを製造する方法を示す概略図である。
【図3】本開示のある態様による、アミノホスフィンリガンドを製造する方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の詳細な説明
定義
本明細書で使用されるように、「C1〜nアルキル」という用語は、1〜「n」個の炭素原子を含む、直鎖および/または分枝鎖の飽和アルキル基を意味し、(nのアイデンティティによって、)メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2,2-ジメチルブチル、n-ペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、n-ヘキシルなどが含まれ、変数nはアルキルラジカル中の炭素原子の最も大きな数を示す整数である。
【0020】
本明細書で使用されるように、「C2〜nアルケニル」という用語は、1〜n個の炭素原子および1〜3つの二重結合を含む、直鎖および/または分枝鎖の不飽和アルキル基を意味し、(nのアイデンティティによって、)ビニル、アリル、2-メチルプロプ-1-エニル、ブト-1-エニル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニル、2-メチルブト-1-エニル、2-メチルペント-1-エニル、4-メチルペント-1-エニル、4-メチルペント-2-エニル、2-メチルペント-2-エニル、4-メチルペンタ-1,3-ジエニル、ヘキセン-1-イルなどが含まれ、変数nはアルケニルラジカル中の炭素原子の最も大きな数を示す整数である。
【0021】
本明細書で使用されるように、「C2〜nアルキニル」という用語は、1〜n個の炭素原子および1〜3つの三重結合を含む、直鎖および/または分枝鎖の不飽和アルキル基を意味し、(nのアイデンティティによって、)エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、2-メチルプロプ-1-イニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1,3-ブタジイニル、3-メチルブト-1-イニル、4-メチルブト-イニル、4-メチルブト-2-イニル、2-メチルブト-1-イニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1,3-ペンタジイニル、1,4-ペンタジイニル、3-メチルペント-1-イニル、4-メチルペント-2-イニル4-メチルペント-2-イニル、1-ヘキシニルなどが含まれ、変数nはアルキニルラジカル中の炭素原子の最も大きな数を示す整数である。
【0022】
本明細書で使用されるように、「C3〜20アルキル」という用語は、3〜20の炭素原子を含む単環または多環飽和炭素環基を意味し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロデシルなどが含まれる。
【0023】
本明細書で使用されるように、「アリール」という用語は、6〜14の炭素原子および少なくとも1つの芳香族基を含む単環または多環芳香族の環系を意味し、フェニル、ナフチル、アントラセニル、1,2-ジヒドロナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、フルオレニルなどが含まれる。
【0024】
本明細書で使用されるように、「ヘテロアリール」という用語は、1つまたは2つの芳香族環を含み、その5〜14原子から、特に記載がなければ、1、2、3、4または5つが、N、NH、N(C1〜6アルキル)、OおよびSから独立して選択されるヘテロ部分である、単環または多環の環系を意味し、チエニル、フリル、ピロリル、ピリジジル、インドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニルなどが含まれる。
【0025】
本明細書で使用されるように、「環系」という用語は、1つまたは複数の環および任意の型の飽和を含み、任意で、示された場合、ヘテロ部分または金属を含む、任意の型の環状構造を指す。2つのR基またはR基とヘテロ原子の間で形成される環系は、その系内に、R基および/またはヘテロ原子が付着された原子およびR基および/またはヘテロ原子が付着された原子を結合する任意の原子を含む。
【0026】
本明細書で使用されるように、任意の特定の基に対する「フルオロ置換された」という用語は、基内の水素原子の1つまたは複数、例えば全てが、フッ素で置換されていることを意味し、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フルオロメチルなどが含まれる。
【0027】
本明細書で使用されるように、「ハロ」という用語はハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードが含まれる。
【0028】
本明細書で開示した、および記載した一般式を有する全ての化合物および基は、特に記載がなければ、炭素原子を含み、構造式において置換が示されていない場合、炭素原子は炭素の原子価要求を満たすように水素原子を含む。ある態様では、示された場合、基内の炭素原子の全てではないが、1つまたは複数は別の原子で置換される。
【0029】
本開示の範囲を理解する際に、本明細書で使用されるように、「含む(comprising)」およびその派生語は、記載した特徴、要素、成分、基、整数、および/または工程の存在を特定するが、他の記載していない特徴、要素、成分、基、整数および/または工程の存在を排除しない、制約のない用語であることを意図する。前記はまた、「含む(including)」、「有する」という用語およびその派生語などの同様の意味を有する単語に当てはまる。最後に、本明細書で使用されるように「実質的に」、「約」および「おおよそ」などの、程度の用語は、最終結果が有意に変化しないような変更された用語の偏差の妥当な量を意味する。これらの程度の用語は、偏差が変更された用語の意味を否定しなければ、変更された用語の少なくとも±5%の偏差を含むものと解釈すべきである。
【0030】
開示の方法
アキラルおよびキラルアミノホスフィンリガンドが高収率、高純度で合成することができ、容易に入手可能で、安価な開始材料から広範囲のリガンドが得られるようになったことが見出されている。したがって、アキラルおよびキラルアミノホスフィンリガンドを製造するための方法を開示する。
【0031】
本開示の1つの態様では、アミノホスフィンリガンドを調製するための方法は、式Iの化合物

を、PG除去後に式IIの化合物を提供する条件下で、式Y-PR8R9の金属ホスフィド試薬と反応させる工程を含む:

式中、
LG1は適した脱離基であり;
qは0または1であり;
pは1または2であり、ここで、pが1である場合、N原子はさらにR7またはR1、R2、R3、R4、R5、R6またはLGのいずれか1つに結合され、ならびに、NがR1、R2、R3、R4、R5、R6またはLGのいずれか1つに結合された場合、またはpが2である場合、qは0であり;
nは0、1、2、3または4であり;
PGは適したアミン保護基であり、pが2である場合、PGは同じかまたは異なっており;
Yはカチオンであり;
R1〜R6は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C3〜20シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、アミノ基の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル基が共に結合され、3つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環もしくは多環の、金属化、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し;
R7はC1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく;
R8およびR9は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR10およびN(R10)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R8およびR9基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R10はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR11、N(R11)2およびR11の1つまたは複数から選択され;ならびに
R11はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0032】
本開示の1つの態様では、R1〜R6は同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、アミノ基の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル基が共に結合され、5つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環もしくは多環の、金属化、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成する。本開示の別の態様では、R1〜R6は同時にまたは独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、これらの基が付着された炭素および/またはアミノ基の窒素原子の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル基が共に結合され、5つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環もしくは多環の、金属化、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成する。本開示の別の態様では、R1〜R6は同時にまたは独立して、H、メチル、フェニルから選択され、または、2つの隣接する基もしくはジェミナル基、および前記基が付着された炭素および/またはアミノ基の窒素原子が共に結合され、フェニル、インダニルもしくはフェロセニル、またはピロリジニル環を形成する。
【0033】
本開示の態様では、nは0、1または2に等しい。本開示の別の態様では、nは0または1である。
【0034】
本開示の別の態様では、R7はC1〜4アルキルまたはフェニルであり、後者の2つの基は置換されていてもよい。別の態様では、R7はメチルである。
【0035】
本開示の別の態様では、R8およびR9は同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R8およびR9に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、この場合、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。本開示の別の態様では、R8およびR9は同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、フェニル、およびナフチルから選択され、後者の5つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9は結合され、4〜23個の原子を有し、R8およびR9に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環、縮合二環、縮合三環、縮合四環または縮合五環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、この場合、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。
【0036】
本開示の1つの態様では、R8およびR9は同時に、C1〜6アルキルまたはフェニル、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t-ブチル、sec-ブチルまたはフェニルである。別の態様では、R8およびR9は同時にまたは独立して、イソプロピル、t-ブチル、またはフェニルである。
【0037】
本開示の別の態様では、R8およびR9は結合され、23個の原子を有し、R8およびR9に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい縮合五環の環系を形成する。別の態様では、縮合五環の環系は下記である:


【0038】
本開示の別の態様では、R10はC1〜4アルキル、C2〜4アルケニルおよびフェニルから選択され、後者の3つの基はフルオロ置換されていてもよい。1つの態様では、R10はメチルおよびフェニルから選択され、後者の2つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0039】
本開示の別の態様によれば、任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR11、N(R11)2およびR11の1つまたは複数から選択され、この場合、R11はC1〜4アルキル、C2〜4アルケニルおよびフェニルから選択され、後者の3つの基はフルオロ置換されていてもよい。1つの態様では、R11はメチルおよびフェニルから選択され、後者の2つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0040】
本開示では、PGは適した保護基を意味する。「適した保護基」という用語は、当業者であれば、アミン官能基に結合された場合、アミン官能性が望ましくない副反応に関与しないように阻止し、かつ、分解し(degrade)、分解し(decompose)、またはそうでなければ開示のプロセスを妨害し、式IIの化合物の収率および純度を低下させることのない条件下で容易に除去することができる、任意の部分を意味することは理解されるであろう。適した保護基の選択は、十分当業者の能力の範囲内にある。例えば、当業者は、“Protective Groups in Organic Chemistry”McOmie, J.F.W. Ed., Plenum Press, 1973 and in Green、T.W. and Wuts, P.G.M., “Protective Groups in Organic Synthesis”John Wiley & Sons, 3rd Edition, 1999を参照してもよい。適した保護基の例としては、トリメチルシリル(TMS)、アセチル、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、tert-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ベンジルなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0041】
本開示では、LG1は、「脱離基」を意味する。LG1に当てはまる「適した脱離基」という用語は、当業者であれば、本開示の方法の条件下、金属ホスフィド試薬の求核リン原子により置換される可能性のある原子に付着された任意の基を意味することは理解されるであろう。LG1に対する適した脱離基としては、クロロ、ブロモおよびヨードを含むハロゲン化物、トシレート、メシレート、およびトリフレートなどが挙げられるが、それらに限定されない。別の態様では、LG1は、アミンの窒素原子を含む、式Iの化合物中の別の原子に結合された環状脱離基である。後者の場合、脱離基の一部が、金属ホスフィド試薬による求核置換後に、式Iの化合物の別の原子に結合したままであり、その残ったままの部分は、例えば、PGの除去中に除去されてもよく、式IIの化合物が提供される。例えば、環状脱離基はアミン窒素とLG1が付着された炭素との間で形成された環状スルファミデートを含む。
【0042】
本開示では、Yは任意の適したカチオンであり、例えば、求核ホスフィド試薬と錯化することができる任意の金属である。そのような金属としては、アルカリ金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、など、アルカリ土類金属が挙げられる。適した金属はアルカリ金属、リチウム、ナトリウムおよびカリウムである。本開示の態様では、YはLiまたはKである。
【0043】
本開示では、pは1または2であり、ここで、pが1である場合、N原子はさらにR7またはR1、R2、R3、R4、R5、R6もしくはLG1のいずれか1つに結合され、ならびに、NがR1、R2、R3、R4、R5、R6またはLG1のいずれか1つに結合された場合、またはpが2である場合、qは0である。本開示の1つの態様では、環状脱離基が用いられる場合、pは1である。別の態様では、pが1である場合、qは1である。本開示の別の態様では、pは2であり、保護基は同じかまたは異なるものとすることができる。
【0044】
本開示の1つの態様では、式IIの化合物を提供する条件は、当業者に公知の求核反応条件である。本方法の1つの態様では、式IIの化合物を提供する条件は、式Iの化合物を式Y-PR8R9の金属ホスフィド試薬に、約-50℃〜約0℃の温度で、約1時間〜約4時間の期間にわたり添加する工程を含む。開示の別の態様では、式Iの化合物および式Y-PR8R9の金属ホスフィド試薬の溶液を約10℃〜約70℃の温度で約2〜約24時間の期間の間撹拌する。当業者であれば、時間および温度を含む条件は、例えば、式Iの化合物の構造および金属ホスフィド試薬によって変動する可能性があることを理解するであろう。
【0045】
本開示の別の態様では、式IIの化合物を提供する条件は、無水条件下、不活性雰囲気中で(例えば、酸素が存在しない中で)の式Iの化合物と金属ホスフィド試薬の間の反応を含む。
【0046】
本方法の1つの態様では、式IIの化合物を提供する条件は、非プロトン溶媒中での式Iの化合物と金属ホスフィド試薬の間の反応を含む。方法のその後の態様では、式Iの化合物と金属ホスフィド試薬の間の反応は極性の、非プロトン溶媒中で実施される。方法の別の態様では、式Iの化合物と金属ホスフィド試薬の間の反応は、エーテル、例えば、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ジメチルホルムアミドなどを含む様々な溶媒中で実施される。本方法の適した態様では、式Iの化合物と金属ホスフィド試薬の間の反応はテトラヒドロフラン中で実施される。
【0047】
式Iの化合物は市販されているか、または当技術分野で公知の方法を用いて調製してもよい。例えば、式Iの化合物は、対応するアミノアルコールから調製してもよい。保護基をアミノ基に付着させるための方法は、当技術分野において、特に、ヒドロキシル基または潜在的なもしくは保護されたヒドロキシル基の存在下で公知である(例えば、“Protective Groups in Organic Chemistry”McOmie, J.F.W. Ed., Plenum Press, 1973 and in Green、T.W. and Wuts, P.G.M., “Protective Groups in Organic Synthesis”John Wiley & Sons, 3rd Edition, 1999を参照されたい)。ヒドロキシル基の脱離基への変換もまた、当技術分野において周知である(例えば、“March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms, and Structure, 5th Edition, December 2006, Smith M.B. and March, J. Authors, John Wiley & Sons, New Jersey, Publisherを参照されたい)。本開示の具体例では、アミノアルコールは、最初にアミン窒素を任意の適したPG、例えば、t-ブトキシカルボニル(t-BOC)で一保護し、続いて、得られた誘導体をQinら(J. Org. Chem. 2004, 69:8533-8536)により記載されている手順にしたがい反応させることにより、すなわち、塩化チオニル(SOCl2)と環状スルファミデートを提供する条件下で、反応させることにより、環状スルファミデート脱離基を含む式Iの化合物に変換してもよく、環状スルファミデートは、例えばRuCl3/NaIO4を用いた酸化により、対応するスルファミデートに変換される。この方法は図1に概略が示されている。
【0048】
金属ホスフィド試薬は市販されているか、または下記で記載されているように当技術分野において公知の方法を使用して調製してもよい。典型的には、金属ホスフィド試薬は、対応するホスフィン、Z-PR8R9(式中、ZはHまたはClである)、または対応するホスフェピンボランを、強塩基、例えば、アルキルリチウムまたはリチウム金属と、低温、例えば約-80℃〜約10℃で反応させることによりその場で調製される。
【0049】
別の態様では、方法は、さらに、上記で規定した式IIの化合物を、式IIIの化合物

と、式IVの化合物を提供する条件下で反応させる工程を含む:

式中、
R12およびR13は式IIにおいてR8およびR9に対し規定した通りであり、R1〜R9は式IIで規定した通りであり、LG2は適した脱離基であり、qおよびrのうちの1つは1であり、一方、qおよびrのうちのもう1つは0である。
【0050】
別の態様では、R12およびR13は同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基は置換されていてもよく、または、R12およびR13は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R12およびR13基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、この場合、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。別の態様では、R12およびR13は同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、フェニル、およびナフチルから選択され、後者の5つの基は置換されていてもよく、または、R12およびR13は結合され、4〜32個の原子を有し、R12およびR13に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環、縮合二環、縮合三環、縮合四環、縮合五環、縮合六環または縮合七環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、この場合、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ原子により置換されていてもよい。別の態様では、式IIIの化合物は下記である:

式中、
LG2は適した脱離基である。
【0051】
本開示の1つの態様では、アミノホスフィンリガンドを調製するための方法は、式IIの化合物

を、式IIIの化合物

と、式IVの化合物を提供する条件下で反応させる工程を含む:

式中、
LG2は適した脱離基であり;
qおよびrのうちの1つは1であり、もう1つは0であり;
nは0、1、2、3または4であり;
R1〜R6は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C3〜20シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、アミノ基の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル基が共に結合され、3つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環もしくは多環の、金属化、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し;
R7はC1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく;
R8およびR9は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR10およびN(R10)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R8およびR9基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R10はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR11、N(R11)2およびR11の1つまたは複数から選択され;ならびに
R11はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよく;ならびに
R12およびR13は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR10およびN(R10)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R12およびR13は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R12およびR13基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。
【0052】
別の態様では、R1〜R6は同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、アミノ基の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル基が共に結合され、5つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環もしくは多環の、金属化、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成する。別の態様では、R1〜R6は同時にまたは独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、これらの基が付着された炭素および/またはアミノ基の窒素原子の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル基が共に結合され、5つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環もしくは多環の、金属化、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成する。別の態様では、R1〜R6は同時にまたは独立して、H、メチル、もしくはフェニルから選択され、または、2つの隣接する基もしくはジェミナル基は、前記基が付着された炭素および/またはアミノ基の窒素原子と共に結合され、フェニル、インダニルもしくはフェロセニル環を形成する。
【0053】
本開示の別の態様では、nは0、1または2に等しい。別の態様では、nは0または1に等しい。
【0054】
本開示の別の態様では、R7はC1〜4アルキルまたはフェニルから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよい。別の態様では、R7はメチルである。
【0055】
本開示の別の態様では、R8およびR9は同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R8およびR9に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、この場合、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。別の態様では、R8およびR9は同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、フェニル、およびナフチルから選択され、後者の5つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9は結合され、4〜23個の原子を有し、R8およびR9に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環、縮合二環、縮合三環、縮合四環または縮合五環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、この場合、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。別の態様では、R8およびR9は同時にまたは独立して、イソプロピル、t-ブチル、またはフェニルである。本開示の別の態様では、R8およびR9は結合され、23個の原子を有し、R8およびR9に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい縮合五環の環系を形成する。別の態様では、縮合五環の環系は下記である:


【0056】
本開示では、R10はC1〜4アルキル、C2〜4アルケニルおよびフェニルから選択され、後者の3つの基はフルオロ置換されていてもよい。1つの態様では、R10はメチルおよびフェニルから選択され、後者の2つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0057】
本開示の態様では、任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR11、N(R11)2およびR11の1つまたは複数から選択され、この場合、R11はC1〜4アルキル、C2〜4アルケニルおよびフェニルからなる群より選択され、後者の3つの基はフルオロ置換されていてもよい。1つの態様では、R11はメチルおよびフェニルから選択され、後者の2つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0058】
別の態様では、R12およびR13は同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基は置換されていてもよく、または、R12およびR13は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R11およびR12に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、この場合、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。別の態様では、R12およびR13は同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、フェニル、およびナフチルから選択され、後者の5つの基は置換されていてもよく、または、R12およびR13は結合され、4〜32個の原子を有し、R12およびR13に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環、縮合二環、縮合三環、縮合四環、縮合五環、縮合六環または縮合七環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、この場合、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ原子により置換されていてもよい。別の態様では、式IIIの化合物は下記である:


【0059】
本開示では、式IIIの化合物におけるLG2は適した脱離基である。式IIIの化合物において「適した脱離基」という用語は、当業者であれば、式IIの化合物の求核窒素原子により置換される可能性のあるリン原子に付着された任意の基を意味することは理解されるであろう。適した脱離基としては、クロロ、ブロモおよびヨードを含むハロゲン化物、トシレート、メシレート、およびトリフレートなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0060】
本開示の1つの態様では、式IVの化合物を提供する条件は、当業者に公知の求核反応条件である。本方法の1つの態様では、式IVの化合物を提供する条件は、式IIIの化合物を式IIの化合物に大体室温で添加する工程を含む。開示の別の態様では、式IIおよび式IIIの化合物の溶液を大体室温で約2〜約24時間の期間の間撹拌する。当業者であれば、時間および温度を含む条件は、例えば、式IIおよび式IIIの化合物の構造によって変動する可能性があることを理解するであろう。
【0061】
本開示の別の態様では、式IVの化合物を提供する条件は、無水条件下、不活性雰囲気中で(例えば、酸素が存在しない中で)の式IIの化合物と式IIIの化合物との間の反応を含む。
【0062】
本方法の1つの態様では、式IVの化合物を提供する条件は、非プロトン溶媒中での式IIの化合物と式IIIの化合物との間の反応を含む。方法のその後の態様では、式IIの化合物と式IIIの化合物との間の反応は極性の、非プロトン溶媒中で実施される。方法の別の態様では、式IIの化合物と式IIIの化合物との間の反応は、塩素化溶媒、例えばジクロロメタン、エーテル、例えば、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ジメチルホルムアミドなどを含む様々な溶媒中で実施される。本方法の適した態様では、式IIの化合物と式IIIの化合物との間の反応はジクロロメタン中で実施される。
【0063】
本開示の1つの態様では、本開示の方法を用いて調製したアミノホスフィンリガンドは、触媒として使用するために、任意の金属と錯化される。本発明の1つの態様では、金属は周期表の3族〜12族、適切には4族〜10族の任意の遷移金属、加えてランタニドおよびアクチニドである。適した金属の例としては、Co、Rh、Ir、Ru、OsおよびReが挙げられるが、それらに限定されない。開示の1つの態様では、金属はRuである。本開示の別の態様では、式IIのアミノホスフィンリガンドはRuCl2基と錯化され、RuCl2(アミノホスフィン)2およびRuCl2(ジホスフィン)(アミノホスフィン)触媒を形成する。
【0064】
本開示の別の態様では、アミノホスフィン金属触媒はケトン、アルデヒドおよびイミンの水素化に対し有用なものである。
【0065】
本開示の別の態様では、式Vの新規アミノホスフェピン(aminophosphepine)リガンドが含まれる:

式中、
R14およびR15は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C3〜20シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく;
R16はH、C1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく、もしくはR16はPR19R20であり;または
R14、R15およびR16のうちの2つは結合され、3つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環もしくは多環の、金属化、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し;
R17およびR18はR17およびR18基に結合されたリン原子と共に結合され、置換されていてもよい下記式の多環式環を形成し、

式中、
多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい;
R19およびR20は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR21およびN(R21)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R19およびR20は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R19およびR20基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR22、N(R22)2およびR22の1つまたは複数から選択され;ならびに
R21およびR22は独立して、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0066】
本開示の別の態様では、R14およびR15は同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよい。別の態様では、R14およびR15は同時にまたは独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよい。別の態様では、R14およびR15は同時にまたは独立して、H、メチル、またはフェニルから選択される。
【0067】
本開示の別の態様では、R16はH、C1〜4アルキルおよびフェニルであり、後者の2つの基は置換されていてもよい。別の態様では、R16はHまたはメチルである。
【0068】
さらに別の態様では、R16はPR19R20であり、ここで、R19およびR20は同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR21およびN(R21)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R19およびR20は共に結合され、5〜23個の原子を有し、R19およびR20基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜4アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。別の態様では、R19およびR20は同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、フェニルおよびOR21から選択され、後者の3つの基は置換されていてもよく、または、R19およびR20は共に結合され、5〜23個の原子を有し、R19およびR20基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、Oにより置換されていてもよい。さらに別の態様では、R16は下記から選択される:


【0069】
別の態様では、R14、R15およびR16のうちの2つは結合され、5〜14個の原子を有する、単環、二環、三環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系が形成される。別の態様では、R15およびR16は結合され、5〜10個の原子を有する、置換されていてもよい単環または二環の、飽和、および/または芳香族の環系が形成される。
【0070】
本開示の別の態様では、式Vの化合物上の任意の置換基は、Cl、F、OR22およびN(R22)2およびR22の1つまたは複数から選択され、R22はC1〜6アルキルおよびフェニルから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい。さらに別の態様では、式Vの化合物上の任意の置換基はCH3、CF3、OCH3、およびOCF3の1つまたは複数から選択される。
【0071】
本開示のさらに別の態様では、式Vの化合物の立体化学は下記の通りである:


【0072】
本開示の1つの態様では、式VIまたはVIIの新規アミノホスフィンリガンドが含まれる:

式中、
R23およびR24は同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく、またはR23およびR24のうちの1つはPR28R29であり;
R25およびR26は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR30およびN(R30)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R25およびR26は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R25およびR26基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R27は、OH、NH2、OR31、N(R31)2およびR31の1つまたは複数から選択される任意の置換基を示し、または、R27はHであり;
R28およびR29は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR32およびN(R32)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R28およびR29は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R28およびR29基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R30、R31およびR32は独立して、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR33、N(R33)2およびR33の1つまたは複数から選択され;ならびに
R33はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0073】
本開示の1つの態様では、R23およびR24は同時にまたは独立して、H、C1〜4アルキル、フェニルおよびナフチルから選択される。さらに別の態様では、R23およびR24は同時にまたは独立して、H、メチルおよびフェニルから選択される。さらに別の態様では、R23およびR24は同時に、H、メチルおよびフェニルから選択される。
【0074】
さらに別の態様では、R23およびR24のうちの1つはPR28R29であり、R28およびR29は同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR32およびN(R32)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R28およびR29は共に結合され、5つまたはそれ以上の原子を有し、R28およびR29基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。別の態様では、R28およびR29は同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、フェニルおよびOR32から選択され、後者の3つの基は置換されていてもよく、または、R28およびR29は共に結合され、5〜23個の原子を有し、R28およびR29基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、Oにより置換されていてもよい。さらに別の態様では、PR28R29は下記から選択される:


【0075】
本開示の別の態様では、R25およびR26は同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR30およびN(R30)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R25およびR26は共に結合され、5つまたはそれ以上の原子を有し、R25およびR26基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい。別の態様では、R25およびR26は同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、フェニルおよびOR30から選択され、後者の3つの基は置換されていてもよく、または、R25およびR26は共に結合され、5〜23個の原子を有し、R25およびR26基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環もしくは多環の、飽和、不飽和および/または芳香族の環系を形成し、単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、Oにより置換されていてもよい。
【0076】
本開示の態様では、R27は、OR31、N(R31)2の1つまたは5つから選択される任意の置換基であり、R31は独立して、C1〜4アルキルおよびフェニルから選択され、後者の2つの基はフルオロ置換されていてもよい。別の態様では、R27はHである。
【0077】
本開示の別の態様では、R30およびR32は独立して、C1〜4アルキルおよびフェニルから選択され、後者の2つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0078】
本開示の別の態様では、任意の置換基は、Cl、F、OR33、N(R33)2およびR33の1つまたは5つから選択され、R33はC1〜4アルキルおよびフェニルから選択され、後者の2つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【0079】
本開示の別の態様では、式Vのアミノホスフィンリガンドは、

あるいは、ナフチル、フェニルまたはアルキル基上で、F、Cl、C1〜4アルキル、OCF3およびOC1〜4アルキルから独立して選択される1つまたは複数、適切には1つまたは3つ、より適切には1つまたは2つの置換基により置換された上記で示した化合物である。
【0080】
本開示の別の態様では、式VIのアミノホスフィンリガンドは、

あるいは、ナフチル、フェニルまたはアルキル基上で、F、Cl、C1〜4アルキル、OCF3およびOC1〜4アルキルから独立して選択される1つまたは複数、適切には1つまたは3つ、より適切には1つまたは2つの置換基により置換された上記で示した化合物である。
【0081】
別の態様では、式VIIのアミノホスフィンリガンドは、

あるいは、ナフチル、フェニルまたはアルキル基上で、F、Cl、C1〜4アルキル、OCF3およびOC1〜4アルキルから独立して選択される1つまたは複数、適切には1つまたは3つ、より適切には1つまたは2つの置換基により置換された上記で示した化合物である。
【0082】
本開示の態様として、金属錯体、適切には式II、IV、V、VIまたはVIIのリガンドを含む遷移金属錯体も含まれる。特に、遷移金属錯体はMCl2(アミノホスフィン)2およびMCl2(ジホスフィン)(アミノホスフィン)の型であり、ここで、アミノホスフィンは式IIa、IIb、IIcまたはIIdである。適切にはMはRuである。
【0083】
下記の非制限的な実施例は本開示を例示するものである。
【0084】
実施例
調製および操作は全て、水素またはアルゴン雰囲気下で、標準Schlenk、真空ラインおよびグローブボックス技術を用いて、無水の酸素を含まない溶媒中で実施した。テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルーエーテル(Et2O)およびヘキサンを精製し、Innovative Technologies溶媒精製システムを用いて精製、乾燥させた。重水素化溶媒を脱ガスし、乾燥させ、その後使用した。前駆体化学物質は、Aldrich Chemical Company, Dalchem, Digital Specialty Chemicals and ChemPacificにより供給された。NMRスペクトルはVarian Unity Inova 300MHzスペクトロメータ(1Hに対しては300MHz、13Cに対しては75MHzおよび31Pに対しては121.5)またはBruker Avance 500 MHz DRXスペクトロメータのいずれかで記録した。31P化学シフトは全て、外部基準として85% H3PO4に対して測定した。1Hおよび13C化学シフトは、部分重素化溶媒ピークに対して測定したが、テトラメチルシランに対して報告した。ケトンの接触水素化から得られたアルコール生成物を、それらの1Hおよび13C NMRスペクトルにより特徴づけした。
【0085】
実施例1:アミノホスフィンリガンドの調製
実施例1.1:2-(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン

ブチルリチウム(1.6Mのヘキサン溶液155ml)をTHF(200ml)に溶解したジフェニルホスフィン(45g、0.24モル)の冷溶液(0℃)に滴下した。混合物を2時間室温で撹拌し、N,N’-ビス(トリメチルシリル)-2-クロロエタンアミン(54g、0.24モル)の溶液を0℃で徐々に添加した。混合物を4時間還流させ、その後、室温まで冷却させた。水(50ml)、続いて2.0M H2SO4溶液(200ml)を添加した。1時間、室温で撹拌した後、4.0M NaOH溶液(220ml)の溶液をその後添加し、混合物を1時間撹拌した。ヘキサン(200ml)を添加し、水相を分離し、除去した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、シリカゲルパッドを通して濾過し、蒸発させると、アミノホスフィンが得られ、これを真空蒸溜により精製した。

【0086】
実施例1.2:2-(ジイソプロピルホスフィノ)エタンアミン

クロロジイソプロピルホスフィン(30g、0.20モル)のTHF(100ml)溶液を、THF(100ml)中に懸濁させたリチウム顆粒(5.0g、0.72モル)の懸濁液に滴下し、室温で維持し、混合物を72時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を0℃まで冷却し、N,N’-ビス(トリメチルシリル)-2-クロロエタンアミン(44.2g、0.20モル)の溶液を徐々に添加した。混合物を4時間還流させ、その後、室温まで冷却させた。水(50ml)、続いて2.0M H2SO4溶液(160ml)を添加した。1時間、室温で撹拌した後、4.0M NaOH溶液(180ml)の溶液をその後添加し、混合物を1時間撹拌した。ヘキサン(200ml)を添加し、水相を分離し、除去した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、シリカゲルパッドを通して濾過し、蒸発させると、アミノホスフィンが得られ、これを真空蒸溜により精製した。

【0087】
実施例1.3:2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)エタンアミン

クロロジ-tert-ブチルホスフィン(42g、0.23モル)のTHF(100ml)溶液を、THF(100ml)中に懸濁させたリチウム顆粒(5.0g、0.72モル)の懸濁液に滴下し、室温で維持し、混合物を72時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を0℃まで冷却し、N,N’-ビス(トリメチルシリル)-2-クロロエタンアミン(51.7g、0.23モル)の溶液を徐々に添加した。混合物を4時間還流させ、その後、室温まで冷却させた。水(50ml)、続いて2.0M H2SO4溶液(200ml)を添加した。1時間、室温で撹拌した後、4.0M NaOH溶液(220ml)の溶液をその後添加し、混合物を1時間撹拌した。ヘキサン(200ml)を添加し、水相を分離し、除去した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、シリカゲルパッドを通して濾過し、蒸発させると、アミノホスフィンが得られ、これを真空蒸溜により精製した。

【0088】
アミノアルコールからのアミノホスフィンリガンドの調製
実施例2:N-tert-ブトキシカルボニルアミノアルコールの調製のための一般手順
THF(50ml)に溶解した(Boc)2O(44mmol)の溶液を、0℃のTHF/H2O(1/1、300ml)に溶解したアミノアルコール(40mmol)および炭酸ナトリウム(80mmol)の混合物に添加した。混合物を0℃で1時間、その後、室温で、さらに2時間撹拌した(TLCを使用して反応をモニタした)。完了次第、水(200ml)を混合物に添加した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(200ml)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液(300ml)で洗浄し、無水MgSO4により1時間乾燥させた。これをその後濾過し、溶媒を真空下で除去すると、生成物が得られた(収率=90〜99%)。これは次の工程のために十分純粋であった。THFおよびヘキサンからの再結晶により、またはシリカゲルクロマトグラフィーを用いた精製により、純粋生成物が得られた。
【0089】
実施例2.1:tert-ブチル(1S,2R)-2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエチルカルバメート

【0090】
実施例2.2:tert-ブチル(1S,2R)-2-ヒドロキシ-1-フェニルプロピルカルバメート

【0091】
実施例2.3:tert-ブチル(1R,2S)-2-メチル-1-ヒドロキシ-1-フェニルエチルカルバメート

【0092】
実施例2.4:tert-ブチル(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメート

【0093】
実施例3:スルファミデートの調製のための一般手順
SOCl2(30mmol)のアリコートを、-45℃のCH2Cl2(200ml)に溶解したN-アルコキシカルボニルアミノアルコール(30mmol)およびジメチルアミノピリジン(DMAP、90mmol)の溶液に添加した。反応物を-45℃で1〜2時間撹拌し、その後、水(2ml)を添加し反応をクエンチした。別の部分の水(150ml)を添加し、混合物をRTで30分間撹拌した。有機層を分離し、水層をCH2Cl2(100ml×2)で抽出した。有機層を合わせ、水(150ml×2)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。これをシリカゲルパッドを通して濾過した(溶離剤:CH2Cl2)。濾過物を真空下で乾燥させると、スルファミデートが得られ、これは次の工程でさらに精製せずに使用するのに十分純粋であった。
【0094】
CH3CN(80ml)、CH2Cl2(20ml)および水(80ml)の混合物に溶解したスルファミデートの氷冷溶液に塩化ルテニウム(III)(20mg)およびNaIO4(40mmol)を添加した。混合物を0℃で2〜4時間撹拌し(TLCを用いて反応をモニタした)、水(50ml)を添加した。有機層を分離し、水相をエーテル(60ml×2)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液(150ml×2)で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。これを濾過し、溶媒を除去すると、粗生成物が得られ、これを再結晶(THF/ヘキサン)により、またはシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。2工程に対する全収率は40〜60%であった。
【0095】
実施例3.1:

2工程に対する全収率は86%である。

【0096】
実施例3.2:

【0097】
実施例3.3:

【0098】
実施例3.4:

【0099】
実施例4:スルファミデートからのアミノホスフィンリガンドの調製のための一般手順
カリウムジフェニルホスフィドの溶液(28ml、0.5Mのヘキサン溶液、14mmol)を、-50℃のTHF(100ml)に溶解したスルファミデート(12mmol)の溶液に徐々に添加し、混合物をその温度で2時間撹拌し、その後、混合物を徐々にRTまで温め、一晩中撹拌した。塩類溶液(50ml)中の脱ガスしたH2SO4溶液(2M、30ml)を添加し、混合物を1時間撹拌し、その後、脱ガスした飽和Na2CO3溶液(50ml)を添加し、酸を中和した。有機層を分離し、水層をCH2Cl2(100ml)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。これを濾過し、溶媒を真空下で除去すると、粗生成物が粘性油として得られ、これをCH2Cl2(50ml)に溶解した。氷冷溶液に、CF3CO2H(20ml)を添加し、混合物をRTで一晩中撹拌した。揮発物質を全て、真空下で除去し、残渣を脱ガスした飽和Na2CO3溶液(50ml)で中和した。生成物をCH2Cl2(100ml×2)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。これをシリカゲルパッド濾過した(溶離剤:不純物を除去するためにCH2Cl2、その後、生成物を溶離するためにCH2Cl2/THF)。溶媒を除去すると、純粋なアミノホスフィン生成物が得られた。収率は85〜90%である。
【0100】
実施例4.1:(1S,2S)-2-(ジフェニルホスフィノ)-1,2-ジフェニルエタンアミン

【0101】
実施例4.2:(1R,2R)-2-(ジフェニルホスフィノ)-1,2-ジフェニルエタンアミン

この化合物に対する1H NMRスペクトルは(1S,2S)-2-(ジフェニルホスフィノ)-1,2-ジフェニルエタンアミン(実施例4.1)のものと類似した。
【0102】
実施例4.3:(1S,2S)-2-(ジフェニルホスフィノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-アミン

【0103】
実施例4.4:(1R,2R)-2-(ジフェニルホスフィノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-アミン

この化合物に対する1H NMRスペクトルは(1S,2S)-2-(ジフェニルホスフィノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-アミン(実施例4.5)のものと類似した。
【0104】
実施例4.5:(S)-2-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピロリジン

1H NMRスペクトルはGuo et al., J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 516-517により報告されているのものと類似した。
【0105】
実施例4.6:(R)-2-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピロリジン

1H NMRスペクトルはGuo et al., J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 516-517により報告されているのものと類似した。
【0106】
実施例4.7:(1S,2S)-1-(ジフェニルホスフィノ)-1-フェニルプロパン-2-アミン

【0107】
実施例4.8:(1R,2R)-1-(ジフェニルホスフィノ)-1-フェニルプロパン-2-アミン

この化合物に対する1H NMRスペクトルは(1S,2S)-2-(ジフェニルホスフィノ)-1-フェニルプロパン-1-アミン(実施例4.7)のものと類似した。
【0108】
アミノホスフェフィンリガンドの調製
実施例5.1:2-((11bR)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)エタンアミン

ブチルリチウム(2.5Mのヘキサン溶液34ml)を、-78℃のTHF(250ml)に溶解した(11bR)-4,5-ジヒドロ-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピンボラン(28.0g、86mmol)の溶液に添加した。混合物を-78℃で1.5時間撹拌し、THF(20ml)に溶解したN,N’-ビス(トリメチルシリル)-2-クロロエタンアミン(19.2g、86mmol)の溶液を添加した。反応混合物を徐々に室温まで温め、24時間還流させた。混合物をH2SO4溶液で加水分解し、その後、NaOH溶液で中和した。徐々に進行させると、粗2-((11bR)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)エタンアミンボラン(36.6g)が得られ、これをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤=EA/CH2Cl2(1:8、その後、1:6))により精製すると、純粋な2-((11bR)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)エタンアミンボラン(17.5g)が得られた。アミノホスフェピンリガンドを生成する方法に対する一般手順を図2に示す。
【0109】
テトラフルオロホウ酸(HBF4.Et2O、3.4ml)を、0℃のCH2Cl2(50ml)に溶解した2-((11bR)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)エタンアミンボラン(2.0g)の溶液に添加した。混合物を室温で一晩中撹拌した。飽和NaHCO3溶液(2×100ml)を添加し、混合物を1時間撹拌した。水層をCH2Cl2(2×50ml)で抽出し、有機層を合わせ、4.0M NaOH溶液(2×100ml)および塩類溶液で洗浄し、その後乾燥させた(MgSO4)。混合物を濾過し、減圧下で蒸発させると、粗生成物が白色の泡状固体として得られた。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤=酢酸エチル(EA)/CH2Cl2(1:2))により精製すると純粋生成物が得られた。

【0110】
実施例5.2.1:(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピノエチレンアミン-N-Boc-P-ボラン錯体

n-ブチルリチウム溶液(2.5Mのヘキサン溶液、12ml)を、ドライアイス/アセトン浴中、THF(100ml)に溶解した(11bS)-4,5-ジヒドロ-3H-ジナフト[2,1-C:1’,2’-e]ホスフェピンボラン錯体(9.4g)の溶液に徐々に添加した。混合物を1時間ドライアイス/アセトン浴中で撹拌し、その後、ドライアイス/アセトン浴中で冷却したTHF(200ml)に懸濁させた(4S,5R)-4,5-ジフェニル-3-アルコキシカルボニル-1,2,3-オキサチアゾリジン-2-ジオキシド(10g)の懸濁液に添加した。混合物を1時間撹拌した。RTまで徐々に温め、24時間撹拌した。H2SO4溶液(20ml、2N)を、RTで1時間撹拌した混合物に添加した。塩類溶液(20%、100ml)に溶解したNa2CO3(飽和50ml)を添加し、混合物を中和し、溶液を塩基性とした。水層をCH2Cl2(50ml)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液(100ml×2)で洗浄し、無水MgSO4で2時間乾燥させた。これを濾過し、濾液をほとんど乾燥するまで濃縮すると、粗生成物が淡黄色固体(17g)として得られ、これをCH2Cl2(100ml)に溶解した。ヘキサン(400ml)を徐々に添加し、生成物を沈殿させた。得られたスラリーをRTで4時間撹拌した。固体を濾過し、ヘキサン(50ml)で洗浄した。真空下で乾燥させると、生成物が無色結晶固体(12.4g)として得られた。生成物の別の部分が母液から得られた(1.6g)。全収率は84.7%である。

【0111】
実施例5.2.2:(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピンエチレンアミン-N-Boc

DABCO(3.1g)を、トルエン(150ml)に懸濁させた(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピンエチレンアミン-N-Boc-P-ボラン錯体(13.5g)の懸濁液に添加した。混合物を90〜95℃でアルゴン下、一晩中撹拌した。揮発物質を全て真空下で除去した。残渣に、CH3CN/MeOH(1:1、80ml)を添加し、混合物を撹拌した。濾過し、固体をCH3CN/MeOH(1:1、30ml)で洗浄すると、純粋生成物が白色固体として得られた(12g、収率:90.9%)。

【0112】
実施例5.2.3:(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピンエチレンアミン

トリフルオロ酢酸(30ml)を、0℃のCH2Cl2(100ml)に溶解した(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピンエチレンアミン-N-Boc(12g)の溶液に添加した。混合物をRTで一晩中撹拌した。揮発物質を真空下で除去し、残渣をCH2Cl2(150ml)に溶解した。塩類溶液(20%、100ml)に溶解したNa2CO3(飽和、50ml)で中和した。水層をCH2Cl2(100ml)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液(20%)で洗浄し、MgSO4上で3時間乾燥させた。溶媒を除去すると、粗生成物が白色固体(9g)として得られ、これを、CH3CN/MeOH(1:1、80ml)に溶解することにより精製し、その後、水(100ml)を徐々に添加し生成物を沈殿させた。濾過し、乾燥させると、純粋生成物が白色固体として得られた(7.2g、収率:72%)。

【0113】
実施例5.3.1:(1S,2S)-1-メチル-2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピノエチレンアミン-N-Boc-P-ボラン錯体

n-ブチルリチウム溶液(2.5Mのヘキサン溶液、17ml)を、ドライアイス/アセトン浴中で冷却したTHF(100ml)に溶解した(11bS)-4,5-ジヒドロ-3H-ジナフト[2,1-C:1’,2’-e]-ホスフェピンボラン錯体(13.8g)の溶液に徐々に添加した。混合物を1時間ドライアイス/アセトン浴中で冷却しながら撹拌し、その後、ドライアイス/アセトン浴中で冷却したTHF(100ml)に懸濁させた(4S,5R)-4-メチル-5-フェニル-3-アルコキシカルボニル-1,2,3-オキサチアゾリジン-2,2-ジオキシド(12.1g)の懸濁液に添加した。混合物を1時間撹拌した。RTまで徐々に温め、24時間撹拌した。H2SO4溶液(20ml、2N)を、RTで1時間撹拌した混合物に添加した。塩類溶液(20%、100ml)に溶解したNa2CO3(飽和50ml)を添加し、混合物を中和し、溶液を塩基性とした。水層をCH2Cl2(50ml)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液(100ml×2)で洗浄し、無水MgSO4で2時間乾燥させた。これを濾過し、濾液をほとんど乾燥するまで濃縮すると、粗生成物が白色固体(20g)として得られ、これをCH2Cl2(80ml)に溶解し、ヘキサン(400ml)を徐々に添加し、生成物を沈殿させた。得られたスラリーをRTで4時間撹拌した。固体を濾過し、ヘキサン(50ml)で洗浄した。真空下で乾燥させると、生成物が無色結晶固体として得られた(15.5g、収率:71.8%)。

【0114】
実施例5.3.2:(1S,2S)-1-メチル-2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピノエチレンアミン-N-Boc

DABCO(6.4g)を、トルエン(250ml)に懸濁させた(1S,2S)-1-メチル-2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピノエチレンアミン-N-Boc-ホスフェピン-ボラン錯体(15.5g)の懸濁液に添加した。混合物を90〜95℃でアルゴン下、一晩中撹拌した。揮発物質を全て真空下で除去した。残渣に、CH3CN/MeOH(1:1、80ml)を添加し、混合物を6時間撹拌し、不純物を除去した。濾過し、固体をCH3CN/MeOH(1:1、30ml)で洗浄すると、純粋生成物が白色固体として得られた(10.7g、収率:70.1%)。

【0115】
実施例5.3.3:(1S,2S)-1-メチル-2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピノエチルアミン

トリフルオロ酢酸(30ml)を、0℃のCH2Cl2(100ml)に溶解した(1S,2S)-1-メチル-2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピノエチルアミン-N-Boc(10.7g)の溶液に添加した。混合物をRTで一晩中撹拌した。揮発物質を真空下で除去し、残渣をCH2Cl2(200ml)に溶解した。塩類溶液(20%、100ml)に溶解したNa2CO3(飽和、50ml)で中和した。水層をCH2Cl2(100ml)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液(20%)で洗浄し、MgSO4上で3時間乾燥させた。溶媒を除去すると、粗生成物が白色固体(8.3g)として得られ、これを、シリカゲルパッドを通して濾過することにより精製した(溶離剤:不純物を除去するためにはCH2Cl2/ヘキサン、1/1、300ml、生成物を溶離するためにはCH2Cl2/THF、9/1、200ml)。溶媒を濾液から除去すると、生成物が無色固体として得られた(7.2g、収率:82.4%)。

【0116】
実施例5.4.1:tert-ブチル-2-((11bS)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)エチルカルバメート-P-ボラン錯体

n-ブチルリチウム溶液(2.5Mのヘキサン溶液、2.1ml)を、-50℃のドライアイス/アセトン浴中のTHF(30ml)に溶解した(11bS)-4,5-ジヒドロ-3H-ジナフト[2,1-C:1’,2’-e]-ホスフェピンボラン錯体(1.6g)の溶液に添加した。混合物を20分間-50℃で撹拌し、その後、THF(20ml)に溶解した3-アルコキシカルボニル-1,2,3-オキサチアゾリジン-2,2-ジオキシド(1.0g)の溶液に添加した。混合物をRTまで徐々に温め、一晩中撹拌した。H2SO4溶液(5ml、2N)、続いて塩類溶液(10ml)を添加し、得られた溶液をRTで20分間撹拌した。Na2CO3溶液(飽和、10ml)を添加し、混合物を中和した。水層を、CH2Cl2(50ml)を用いて抽出し、有機層を合わせ、塩類溶液(100ml×2)で洗浄し、MgSO4上で2時間乾燥させた。溶液を濾過し、真空下で濃縮すると、粗残渣が得られた。これをCH2Cl2(50ml)に溶解し、シリカゲルパッドを使用し、溶離剤としてCH2Cl2(200ml)を用いて濾過した。溶媒を真空下で除去すると、純粋生成物が得られた(2.0g、収率:90%)。

【0117】
実施例5.4.2:tert-ブチル-2-((11bS)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)エチルカルバメート

DABCO(0.62g)を、トルエン(50ml)に溶解したtert-ブチル-2-((11bS)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)エチルカルバメート-P-ボラン錯体(2.0g)の溶液に添加した。溶液混合物を90℃で一晩中撹拌した。溶媒を全て真空下で除去すると、固体粗生成物が得られ、これをCH3CN/MeOH 1:1(30ml)に溶解した。水(20ml)を添加し、溶媒をデカントした。残りの残渣を真空下で乾燥させると、生成物が固体として得られた(1.6g、収率:82.4%)。

【0118】
実施例5.4.3:2-((11bS)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)エタンアミン

トリフルオロ酢酸(3.5ml)を、室温のCH2Cl2(30ml)に溶解したtert-ブチル-2-((11bS)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)エチルカルバメート(1.6g)の溶液に添加した。混合物をRTで一晩中撹拌し、その後、揮発物質全てを除去した。残渣をCH2Cl2(50ml)に溶解し、溶液を、塩類溶液(20%、50ml)に溶解したNa2CO3(飽和、50ml)で中和した。その後、水層をCH2Cl2(60ml)で抽出し、有機層を合わせ、塩類溶液(20%、150ml)で洗浄し、MgSO4上で2時間乾燥させた。有機溶液を濾過し、真空下で濃縮すると、粗白色固体生成物が得られた(1.1g、収率:88%)。生成物をヘキサン(100ml)で洗浄すると、純粋白色固体生成物が得られた(0.8g、収率:64.3%)。

【0119】
実施例6:N-((1S,2S)-2-((4R,11bS)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)-1,2-ジフェニルエチル)-1,2-ジフェニルホスフィンアミン

クロロジフェニルホスフィン(121mg)を、室温のトリエチルアミン(101mg)、DMAP(5mg)およびCH2Cl2(30ml)に溶解した(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピンエチレンアミン(254mg)の溶液に添加した。混合物をRTで一晩中撹拌した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルパッドを使用し、溶離剤としてCH2Cl2(60ml)を用いて濾過した。濾過した溶液を濃縮し、真空下で乾燥させると、無色の固体生成物が得られた(185mg、収率:53.5%)。

【0120】
実施例7:N-((1S,2S)-2-((4R,11bS)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)-1,2-ジフェニルエチル)-1,1-ビス(3,5-(トリフルオロメチルフェニル)ホスフィンアミン

クロロジ(3,5-トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン(270mg)を、室温のトリエチルアミン(101mg)、DMAP(5mg)およびCH2Cl2(30ml)に溶解した(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピンエチレンアミン(254mg)の溶液に添加した。混合物をRTで4時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、粗生成物をシリカゲルパッドを使用し、溶離剤としてCH2Cl2(60ml)を用いて精製した。濾過した溶液を濃縮し、真空下で乾燥させると、生成物が淡黄色固体として得られた(335mg、収率:69.6%)。31P NMR。
【0121】
実施例8:(11bS)-N-((1S,2S)-2-((4R,11bS)-3H-ジナフト[2,1-c:1’,2’-e]ホスフェピン-4(5H)-イル)-1,2-ジフェニルエチル)ジナフト[2,1-d:1’,2’-f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-4-アミン

(11bR)-4-クロロジナフト[2,1-d:1’,2’-f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(210mg)の一部分を、室温のトリエチルアミン(101mg)、DMAP(5mg)およびCH2Cl2(30ml)に溶解した(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピンエチレンアミン(254mg)の溶液に添加した。混合物をRTで3時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、粗生成物をシリカゲルパッドを使用し、溶離剤としてCH2Cl2(60ml)を用いて濾過した。濾過した溶液を真空下で乾燥させると、生成物が白色固体生成物として得られた(260mg、収率:64%)。

【0122】
実施例9:

クロロジ(3,5-トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン(270mg)を、室温のトリエチルアミン(101mg)、DMAP(5mg)およびCH2Cl2(30ml)に溶解した(1S,2S)-1-メチル-2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピノエチルアミン(223mg)の溶液に添加した。混合物をRTで4時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、粗生成物をシリカゲルパッドを使用し、溶離剤としてCH2Cl2(60ml)を用いて精製した。濾過した溶液を真空下で乾燥させると、生成物が淡黄色固体として得られた(320mg、収率:71%)。

【0123】
実施例10:

(11bS)-4-クロロジナフト[2,1-d:1’,2’-f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(210mg)の一部分を、室温のトリエチルアミン(101mg)、DMAP(5mg)およびCH2Cl2(30ml)に溶解した(1S,2S)-1-メチル-2-ジフェニル-2-(S)-ホスフェピノエチルアミン(223mg)の溶液に添加した。混合物をRTで3時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、粗生成物をシリカゲルパッドを使用し、溶離剤としてCH2Cl2(60ml)を用いて濾過した。濾過した溶液を真空下で乾燥させると、生成物が白色固体として得られた(230mg、収率:61.6%)。

【0124】
エフェドリンからのアミノホスフィンリガンドの調製
実施例11.1:(4S,5R)-3,4-ジメチル-5-フェニル-1,2,3-オキサチアゾリジン-2-オキシド

CH2Cl2(50ml)に溶解したSOCl2(7.2g)の溶液を、-40℃のCH2Cl2(300ml)に溶解した(1R,2S)-エフェドリン(8.3g)およびトリエチルアミン(20g)の溶液に添加した。混合物を-40℃で2時間撹拌した。水(50ml)を添加し、反応をクエンチした。混合物をRTまで温め、その後、水(500ml)を添加した。水層をCH2Cl2(100ml×2)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液(20%、800ml)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。シリカゲルパッド(溶離剤:CH2Cl2/酢酸エチル=1:1)を用いて濾過した。溶媒を除去すると、粗環状スルファミデートが褐色油として得られ、これを静置して固化させた(6.4g)。生成物は次の工程に対し十分純粋であった。エフェドリンからアミノホスフィンリガンドを製造する方法に対する一般手順を図3に示す。
【0125】
実施例11.2:(4S,5R)-3,4-ジメチル-5-フェニル-1,2,3-オキサチアゾリジン-2,2-ジオキシド

秤量した量のRuCl3・nH2O(20mg)を、CH3CN(150ml)、CH2Cl2(20ml)およびH2O(150ml)中の(4S,5R)-3,4-ジメチル-5-フェニル-1,2,3-オキサチアゾリジン-2-オキシド(6.4g)の混合物に添加した。続いて、0℃のNaIO4(8g)を添加した。混合物の色が黄色に変化した。0℃で1時間、その後、RTで1時間撹拌した。水層をエーテル(100ml×2)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液(200ml×3)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。濾液を濃縮し、ほとんど乾燥させた。残渣を酢酸エチル(15ml)およびヘキサン(300ml)から結晶化させた。結晶固体を濾過し、乾燥させると、生成物が得られた(6g、収率:52% 2工程)

【0126】
実施例11.3:(1S,2S)-1-メチル-2-フェニル-2-ジフェニルホスフィノ-N-メチルエチレンアミン

KPPh2溶液(54ml、0.5MのTHF溶液)をアセトン/ドライアイス浴で冷却したTHF(150ml)に懸濁させた(4S,5R)-3,4-ジメチル-5-フェニル-1,2,3-オキサチアゾリジン-2,2-ジオキシド(5.9g)の懸濁液に滴下した。混合物を-60℃で0.5時間撹拌した。徐々にRTまで温め、一晩中、撹拌した。塩類溶液(20%、100ml)に溶解したH2SO4(10ml、2N)溶液を混合物に添加し、RTで1時間撹拌した。Na2CO3(飽和、50ml)を添加して混合物を中和し、溶液を塩基性とした。水層をCH2Cl2(50ml×2)で抽出した。有機層を合わせ、塩類溶液(150ml×2)で洗浄し、MgSO4上で2時間乾燥させた。濾過し、濾液を濃縮し、ほとんど乾燥させた。残渣を、シリカゲルパッド(溶離剤:不純物を除去するためにはCH2Cl2/ヘキサン 1/1、その後、生成物を洗浄するためにCH2Cl2/THF 19/1)を用いて精製した。溶媒を除去すると、生成物が無色固体として得られた(7.3g、収率:84%)。

【0127】
実施例12:(11bS)-N-((1S,2S)-2-(ジフェニルホスフィノ)-1,2-ジフェニルエチル)ジナフト[2,1-d:1’,2’-f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-4-アミン

(11bR)-4-クロロジナフト[2,1-d:1’,2’-f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(210mg)の一部分を、室温のトリエチルアミン(101mg)、DMAP(5mg)およびCH2Cl2(30ml)に溶解した(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-ジフェニルホスフィノエチレンアミン(190mg)の溶液に添加した。混合物をRTで3時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、粗生成物残渣をシリカゲルパッドを使用し、溶離剤としてCH2Cl2(60ml)を用いて濾過した。濾過した溶液中の残った溶離剤を真空下で蒸発させると、白色固体生成物が得られた(251mg、収率:72.1%)。

【0128】
実施例13:新規アミノホスフィン触媒の調製のための一般手順
新規触媒(S-Binap)((1S,2S)-2-(ジフェニルホスフィノ)-1,2-ジフェニルエタンアミン)および(S-Binap)((1S,2S)-2-(ジフェニルホスフィノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-アミン)を、下記一般手順を用いて調製した。
【0129】
テトラヒドロフラン(20ml)をS-binapリガンド(0.5g、0.8mmol)および[RuCl2(ベンゼン)]2(200mg、0.4mmol)の混合物に添加し、続いて、DMF(0.5ml)を添加し、混合物を6時間、アルゴン下で還流させた。溶媒を減圧下で除去し、トルエン20に溶解したアミノホスフィン(0.8mmol)の溶液を添加した。混合物を4時間還流させ、溶媒を減圧下で除去した。その後、エーテル(10ml)を添加し、混合物を2時間アルゴン下で撹拌した。固体を濾過し、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させた。触媒をさらに精製せずに、アセトフェノンの水素化のために使用した。
【0130】
実施例14:新規触媒を使用したアセトフェノンの接触水素化

2-プロパノール(10ml)に溶解したアセトフェノン(1.0g、8.3mmol)の溶液を50mL Schlenkフラスコに添加した。脱ガスし、アルゴンを補充した後、触媒(0.01mmol)およびKtOBu(0.18mmol)の混合物を添加した。得られた混合物をその後、100mLオートクレーブ内に、H2ガス雰囲気下で、注入した。オートクレーブを200psigまで加圧し、反応混合物を周囲温度で撹拌した。反応が完了すると、溶媒を真空下で除去し、混合物をシリカゲルパッド(ca.6cm)により、3:1ヘキサン:酢酸エチルを用いて濾過した。溶媒を濾液から除去すると、生成物が無色液体として得られた。結果を表1に示す。
【0131】
実施例15:エナミド水素化のための一般手順

基質(1mmol)の溶液をオートクレーブに注入し、所望の溶媒(7ml)を添加した。得られた混合物を水素を用いて数回脱ガスした。対応する溶媒(1ml)に溶解したロジウム触媒(0.002mmol)を添加した。混合物を水素(100psi)で加圧し、周囲温度で10時間撹拌した。変換およびエナンチオマ過剰をGCにより決定した。結果を表2に示す。
【0132】
本開示について、現在好ましい例であると考えられるものを参照して記載してきたが、開示は、開示した例に限定されるものではないことを理解すべきである。対照的に、本開示は、添付の特許請求の範囲および精神に含まれる様々な改変および等価な配合を含むものである。
【0133】
全ての出版物、特許および特許出願は本明細書では、各々の出版物、特許および特許出願が具体的に、個別にその全体が参照により組み入れられることが示されているのと同じ程度まで、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。本出願における用語が、参照により本明細書に組み入れられた文書で異なって規定されていることが見出された場合、本明細書で提供した規定がその用語に対する規定となる。
【0134】
本明細書における好ましい文書に対する完全な引用

【0135】
(表1)アセトフェノンの水素化の結果

【0136】
(表2)エナミド水素化についての結果


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物

を、PG除去後に下記式IIの化合物を提供する条件下で、式Y-PR8R9の金属ホスフィド試薬と反応させる工程を含む、アミノホスフィンリガンドを調製するための方法:

式中、
LG1は適した脱離基であり;
qは0または1であり;
pは1または2であり、ここで、pが1である場合、N原子はさらにR7またはR1、R2、R3、R4、R5、R6もしくはLGのいずれか1つに結合され、ならびに、NがR1、R2、R3、R4、R5、R6またはLGのいずれか1つに結合される場合またはpが2である場合、qは0であり;
nは0、1、2、3または4であり;
PGは適したアミン保護基であり、かつ、pが2である場合、PGは同じかまたは異なっており;
Yはカチオンであり;
R1〜R6は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C3〜20シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、アミノ基の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル(geminal)基が共に結合され、3つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環または多環の、金属化(metalated)、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し;
R7はC1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく;
R8およびR9は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR10およびN(R10)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R8およびR9基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し、かつ該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R10はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR11、N(R11)2およびR11の1つまたは複数から選択され;ならびに
R11はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【請求項2】
R1〜R6が同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜10シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、アミノ基の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル基が共に結合され、5つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環または多環の、金属化、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
R1〜R6が同時にまたは独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく、または、これらの基が付着された炭素および/もしくはアミノ基の窒素原子を含む、2つの隣接する基もしくはジェミナル基が共に結合され、5つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環または多環の、金属化、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
R1〜R6が同時にまたは独立して、H、メチル、もしくはフェニルから選択され、または、2つの隣接する基もしくはジェミナル基が、前記基が付着された炭素および/もしくはアミノ基の窒素原子と共に結合され、フェニル、インダニル、フェロセニル、またはピロリジニル環を形成する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
nが0または1に等しい、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
R7がC1〜4アルキルまたはフェニルであり、後者の2つの基は置換されていてもよい、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
R7がメチルである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
R8およびR9が同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9が共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R8およびR9に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、かつ、この場合、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
R8およびR9が同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、フェニル、およびナフチルから選択され、後者の5つの基は置換されていてもよく、または、R8およびR9は結合され、4〜32個の原子を有し、R8およびR9に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環、縮合二環、縮合三環、縮合四環、縮合五環、縮合六環または縮合七環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、かつ、この場合、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい、請求項8記載の方法。
【請求項10】
R8およびR9が同時にまたは独立して、イソプロピル、t-ブチル、またはフェニルである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
R8およびR9が結合され、23個の原子を有し、R8およびR9に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい縮合五環の環系を形成する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
縮合五環の環系が下記を含む、請求項11記載の方法:


【請求項13】
R11がC1〜4アルキル、C2〜4アルケニルおよびフェニルから選択され、後者の3つの基はフルオロ置換されていてもよい、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
R11がメチルまたはフェニルを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
LG1が、ハロ、トリフレート、メシレートおよびトシレートから選択される、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
LG1が、クロロ、ブロモまたはヨードを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
LG1が、クロロを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
LG1が、環が式Iの化合物の別の原子と結合することにより形成された、環状脱離基である、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
環状脱離基が、アミンの窒素原子と結合することにより形成されたスルファミデートである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
PGが、トリメチルシリル(TMS)、アセチル、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、tert-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニルまたは9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)を含む、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
PGが、トリメチルシリル(TMS)またはtert-ブトキシカルボニル(BOC)である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
pが1を含む場合、脱離基が環状脱離基である、請求項1記載の方法。
【請求項23】
Yが、負に荷電されたホスフィド試薬と錯化することができる任意の金属である、請求項1記載の方法。
【請求項24】
金属が、任意のアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
金属がリチウムまたはカリウムである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
式Iの化合物が式Y-PR8R9の金属ホスフィド試薬に、約-50℃〜約0℃の温度で、約1時間〜約4時間の期間にわたって添加される、請求項1〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
式Iの化合物および式Y-PR8R9の金属ホスフィド試薬の溶液が、約10℃〜約70℃の温度で約2〜約24時間の期間の間撹拌される、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
式Iの化合物および式Y-PR8R9の金属ホスフィド試薬の間の反応が、非プロトン溶媒中、無水条件下、不活性雰囲気中で実施される、請求項1〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
非プロトン溶媒が、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはアセトニトリルである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
非プロトン溶媒が、テトラヒドロフランである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
請求項1で規定した式IIの化合物を、下記式IIIの化合物と反応させ、

下記式IVの化合物を提供する工程をさらに含む、請求項1〜30のいずれか一項記載の方法:

式中、
R12およびR13は式IIにおけるR8およびR9について規定した通りであり;
R1〜R9は式IIについて規定した通りであり;
LG2は適した脱離基であり;ならびに
qおよびrのうちの1つは1であり、もう1つは0である。
【請求項32】
R12およびR13が同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基は置換されていてもよく、または、R12およびR13が共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R12およびR13に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、かつ、この場合、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい、請求項31記載の方法。
【請求項33】
R12およびR13が同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、フェニル、およびナフチルから選択され、後者の5つの基は置換されていてもよく、または、R12およびR13が結合され、4〜23個の原子を有し、R12およびR13に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環、縮合二環、縮合三環、縮合四環または縮合五環の環系を形成し、この場合、環は飽和、不飽和および/または芳香族であり、かつ、この場合、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ原子により置換されていてもよい、請求項32記載の方法。
【請求項34】
式IIIの化合物が下記である、請求項31〜33のいずれか一項記載の方法:

式中、
LG2は脱離基である。
【請求項35】
LG2が、ハロ、トリフレート、メシレートおよびトシレートから選択される、請求項31〜34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
LG2が、クロロ、ブロモまたはヨードである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
LG2が、クロロである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
請求項1〜37のいずれか一項記載の方法を用いて調製したアミノホスフィンリガンドの、金属触媒を調製するための使用。
【請求項39】
触媒が、ケトン、アルデヒド、エナミドまたはイミンの水素化のために使用される、請求項38記載の使用。
【請求項40】
下記式Vのアミノホスフェピン(aminophosphepine)リガンド:

式中、
R14およびR15は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、C3〜20シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよく;
R16はH、C1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく、もしくはR16はPR19R20であり;または
R14、R15およびR16のうちの2つは結合され、3つまたはそれ以上の原子を有する、置換されていてもよい単環または多環の、金属化、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し;
R17およびR18はR17およびR18基に結合されたリン原子と共に結合され、置換されていてもよい下記式の多環式環を形成し、

式中、
該多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R19およびR20は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR21およびN(R21)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R19およびR20は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R19およびR20基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し、かつ、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR22、N(R22)2およびR22の1つまたは複数から選択され;ならびに
R21およびR22は独立して、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【請求項41】
R14およびR15が同時にまたは独立して、H、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜6シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、後者の6つの基は置換されていてもよい、請求項40記載のアミノホスフェピンリガンド。
【請求項42】
R14およびR15が同時にまたは独立して、H、メチル、またはフェニルから選択される、請求項40記載のアミノホスフェピンリガンド。
【請求項43】
R16がH、C1〜4アルキルまたはフェニルであり、後者の2つの基は置換されていてもよい、請求項40〜42のいずれか一項記載のアミノホスフェピンリガンド。
【請求項44】
R16がPR19R20であり、ここで、R19およびR20が同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR21およびN(R21)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R19およびR20が共に結合され、5〜23個の原子を有し、R19およびR20基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し、かつ、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜4アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい、請求項40〜42のいずれか一項記載のアミノホスフェピンリガンド。
【請求項45】
R19およびR20が同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、フェニルおよびOR21から選択され、後者の3つの基は置換されていてもよく、または、R19およびR20が共に結合され、5〜23個の原子を有し、R19およびR20基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し、かつ、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、Oにより置換されていてもよい、請求項44記載のアミノホスフェピンリガンド。
【請求項46】
R15およびR16が結合され、5〜10個の原子を有する、置換されていてもよい単環または二環の、飽和、および/もしくは芳香族の環系が形成される、請求項40〜42のいずれか一項記載のアミノホスフェピンリガンド。
【請求項47】
式Vの化合物上の任意の置換基が、Cl、F、OR22およびN(R22)2およびR22の1つまたは複数から選択され、R22がC1〜6アルキルおよびフェニルから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい、請求項40〜46のいずれか一項記載のアミノホスフェピンリガンド。
【請求項48】
式Vの化合物の立体化学が下記の通りである、請求項40記載のアミノホスフェピンリガンド:


【請求項49】
下記式VIまたはVIIのアミノホスフィンリガンド:

式中、
R23およびR24は同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキルおよびアリールから選択され、後者の2つの基は置換されていてもよく、またはR23およびR24のうちの1つはPR28R29であり;
R25およびR26は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR30およびN(R30)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R25およびR26は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R25およびR26基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し、かつ、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R27は、OH、NH2、OR31、N(R31)2およびR31の1つもしくは複数から選択される任意の置換基であるか、または、R27はHであり;
R28およびR29は同時にまたは独立して、H、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR32およびN(R32)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R28およびR29は共に結合され、4つまたはそれ以上の原子を有し、R28およびR29基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し、かつ、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよく;
R30、R31およびR32は独立して、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよく;
任意の置換基は、ハロ、OH、NH2、OR33、N(R33)2およびR33の1つまたは複数から選択され;ならびに
R33はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルおよびアリールから選択され、後者の4つの基はフルオロ置換されていてもよい。
【請求項50】
R23およびR24が同時にまたは独立して、H、C1〜4アルキル、フェニルおよびナフチルから選択される、請求項49記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項51】
R23およびR24のうちの1つがPR28R29であり、かつ、R28およびR29が同時にまたは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜20アルキニル、アリール、ヘテロアリール、OR32およびN(R32)2から選択され、後者の7つの基は置換されていてもよく、または、R28およびR29が共に結合され、5つまたはそれ以上の原子を有し、R28およびR29基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し、かつ、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、O、S、N、NHおよびNC1〜6アルキルから選択されるヘテロ部分により置換されていてもよい、請求項49または50記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項52】
R28およびR29が同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、フェニルおよびOR32から選択され、後者の3つの基は置換されていてもよく、または、R28およびR29が共に結合され、5〜23個の原子を有し、R28およびR29基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し、かつ、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、Oにより置換されていてもよい、請求項51記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項53】
R25およびR26が同時にまたは独立して、H、C1〜6アルキル、フェニルおよびOR32から選択され、後者の3つの基は置換されていてもよく、または、R25およびR26が共に結合され、5〜23個の原子を有し、R25およびR26基に結合されたリン原子を含む、置換されていてもよい単環または多環の、飽和、不飽和および/もしくは芳香族の環系を形成し、かつ、該単環もしくは多環の環系における1つまたは複数の炭素原子は、Oにより置換されていてもよい、請求項49〜52のいずれか一項記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項54】
R27が、OR31、N(R31)2の1つまたは5つから選択される任意の置換基であり、かつR31は独立して、C1〜4アルキルおよびフェニルから選択され、後者の2つの基はフルオロ置換されていてもよい、請求項49〜52のいずれか一項記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項55】
R27がHである、請求項49〜52のいずれか一項記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項56】
R30およびR32が独立して、C1〜4アルキルおよびフェニルから選択され、後者の2つの基はフルオロ置換されていてもよい、請求項49〜55のいずれか一項記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項57】
任意の置換基が、Cl、F、OR33、N(R33)2およびR33の1つまたは5つから選択され、かつ、R33はC1〜4アルキルおよびフェニルから選択され、後者の2つの基はフルオロ置換されていてもよい、請求項49〜52のいずれか一項記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項58】
式Vのアミノホスフィンリガンドが、

あるいは、ナフチル、フェニルまたはアルキル基上で、F、Cl、C1〜4アルキル、OCF3およびOC1〜4アルキルから独立して選択される1つまたは複数、適切には1つまたは3つ、より適切には1つまたは2つの置換基により置換された上記で示した化合物である、請求項40記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項59】
式VIのアミノホスフィンリガンドが、

あるいは、ナフチル、フェニルまたはアルキル基上で、F、Cl、C1〜4アルキル、OCF3およびOC1〜4アルキルから独立して選択される1つまたは複数、適切には1つまたは3つ、より適切には1つまたは2つの置換基により置換された上記で示した化合物である、請求項49記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項60】
式VIIのアミノホスフィンリガンドが、

あるいは、ナフチル、フェニルまたはアルキル基上で、F、Cl、C1〜4アルキル、OCF3およびOC1〜4アルキルから独立して選択される1つまたは複数、適切には1つまたは3つ、より適切には1つまたは2つの置換基により置換された上記で示した化合物である、請求項49記載のアミノホスフィンリガンド。
【請求項61】
請求項40〜60のいずれか一項記載の式V、VIまたはVIIのリガンドを含む、金属錯体。
【請求項62】
金属が、遷移金属である、請求項61記載の金属錯体。
【請求項63】
MCl2(アミノホスフィン)2およびMCl2(ジホスフィン)(アミノホスフィン)の型であり、ここで、Mは金属である、請求項61または62記載の金属錯体。
【請求項64】
金属、M、がRuである、請求項62または63記載の金属錯体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−529048(P2010−529048A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510624(P2010−510624)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001076
【国際公開番号】WO2008/148202
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(509317944)カナタ ケミカル テクノロジーズ インコーポレイティッド (2)
【Fターム(参考)】