説明

アモルファス皮膜の形成装置および形成方法

【課題】 高融点で過冷却温度領域がせまい金属を含む多種類の金属についてアモルファス皮膜の形成ができることに加え、設備的にコンパクトで酸化物の生成が少ないといった利点を有する、アモルファス皮膜の形成装置および形成方法を提供する。
【解決手段】 アモルファス皮膜形成装置1は、材料粒子を含む火炎Fを母材Mに向けて溶射ガン10より噴射させ、当該材料粒子を火炎Fによって溶融させたうえ、材料粒子および火炎Fを母材Mに達する前から冷却ガスGにて冷却する。装置1において、溶射ガン10による火炎Fの噴射経路のうち材料粒子を溶融させる領域に、火炎Fと外気とを隔てる筒状体20を設け、その筒状体20と一体的に上記冷却ガスの流路を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求項に係る発明は、母材(基材)の表面に溶射によってアモルファス(非晶質)の皮膜を形成する、アモルファス皮膜の形成装置および形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
母材の表面にアモルファス相を形成する手段として、高速フレーム溶射(HVOF)がある。高速フレーム溶射では、溶射ガンの基部から燃料および酸素を供給して前部に高速の火炎(ガスフレーム)を形成し、そのフレーム中に、搬送ガスを用いて溶射材料の粒子(粉末)を供給する。供給された材料粒子はフレーム中で加速されながら加熱され、火炎とともに母材の表面に衝突し、その表面で冷却されて凝固する。材料粒子の成分によって決まる金属の種類や凝固の際の冷却速度によっては、母材上にアモルファス皮膜が形成されるわけである。高速フレーム溶射については、下に示す特許文献1および2などに記載がある。
【0003】
高速フレーム溶射の場合、材料粒子がフレーム中に滞在する時間が短いために材料粒子が完全溶融することが難しく、また、母材温度が上昇するために冷却速度が遅くなりやすいことから、アモルファス皮膜の形成ができるのは、低融点であるうえに非晶質形成能の大きな金属に限られていた。たとえば、融点が1200K程度以下であって過冷却温度領域が50K以上ある金属ガラスに限定されている。
【0004】
金属ガラス等に限定されることなくアモルファス皮膜の形成ができる装置は、下記の特許文献3に記載されている。その装置は図12に例示されるもので、溶射ガン10’により、材料粒子を含む火炎Fを母材Mに向けて噴射し、その火炎Fの回りに冷却ガスGを吹き付ける。冷却ガスGとしては、溶射ガン10’のノズル11’に沿って吹くとともに、火炎Fの外側に配置した複数の導管20’からも火炎Fに近づくように噴射する。こうした溶射装置では、母材Mに達するよりも前に火炎Fを冷却するためアモルファス化が容易であり、したがって高融点であって過冷却温度領域がせまい金属についても、アモルファス皮膜として母材M上に形成することができる。
【特許文献1】特開2006−159108号公報
【特許文献2】特開2006−214000号公報
【特許文献3】特開2008−43869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3に記載の装置には、下記の点でさらに改良の余地がある。すなわち、
a) 図12に示す導管20’のそれぞれの間に隙間があるため、材料粒子が溶融する段階(冷却ガスにて冷却される前の段階)で火炎Fの一部が外気にさらされ、結果として材料粒子が酸化されやすい。
b) 火炎Fの噴射経路の周囲に複数の導管20’が突き出ていて装置が大きいため、現場施工が可能とはいえその取扱いが容易でない。
【0006】
請求項に係る発明は、そのような点を改善すべく行ったものである。すなわち、高融点で過冷却温度領域がせまい金属を含む多種類の金属についてアモルファス皮膜の形成ができることに加え、設備的にコンパクトで、酸化物の生成が少ないといった利点を有する、アモルファス皮膜の形成装置および形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明によるアモルファス皮膜の形成装置は、材料粒子(粉末)を含む火炎を母材に向けて溶射ガンより噴射させ、当該材料粒子を火炎によって溶融させたうえ、材料粒子および火炎を母材に達する前から冷却ガスにて冷却する装置において、溶射ガンによる火炎の噴射経路のうち材料粒子を溶融させる領域(火炎の概ね前半部分)に、火炎と外気とを隔てる筒状体を設け、その筒状体に沿って筒状体と一体的に上記冷却ガスの流路を形成したことを特徴とする。溶射ガンとしては、粉末式フレーム溶射用と同様のものを使用できる。また、冷却ガスとしては、後述する窒素や不活性ガス、空気、液体ミスト混合気体、その他の気体を使用できる。
こうした特徴をもつアモルファス皮膜の形成装置にはつぎのような作用がある。すなわち、
a) 上記のとおり火炎の噴射経路の一部に筒状体を設け、それによって火炎と外気とを隔てることから、溶融する段階で材料粒子が酸化されにくく、したがってアモルファス皮膜中に酸化物の発生することが抑制される。
b) 上記冷却ガスの流路を上記筒状体に沿って筒状体と一体的に形成しているので、火炎の噴射経路の周囲に導管等が広がらず、装置がコンパクトに形成される。それによって装置が取り扱いやすくなり、現場でのアモルファス皮膜の形成が容易になる。
【0008】
上記流路から吹き出す冷却ガスは、火炎(冷却領域である概ね後半の部分)の全周を囲んで筒状に流れるようにするのがよい。上記の筒状体から途切れることなく、この冷却ガスの流れが続くのがとくに好ましい。
上記のようにすると、材料粒子および火炎を冷却する領域において、冷却が周囲から均一に行われるほか、使用する冷却ガスの種類によっては材料粒子の酸化がとくに確実に防止される。それにより、アモルファス皮膜として耐食性等の優れたとくに高品位のものが形成される。
【0009】
上記の筒状体は、二重の筒を同心に有していて先端部が開放された構造とし、冷却ガスを上記二重の筒の間に流して先端部(またはその付近)より(たとえば火炎と平行に)噴射することとするのが好ましい。
そのようにすると、二重の筒の内部を流れる冷却ガスの作用によって筒状体自体が適切に冷却されるため、特殊な耐熱金属類を使用しなくとも筒状体が火炎による熱影響で損傷することが避けられる。また、冷却ガスを上記二重の筒の間に流して先端部より噴射するため、筒状体と冷却ガスの流路とがきわめてコンパクトに一体化され、装置が小型化してその取扱いがとくに容易になる。上記のように火炎の全周を囲んで筒状に冷却ガスを流せることにもなる。
【0010】
上記の筒状体は、二重の筒の間の開口断面積よりも上記先端部の開口断面積を小さくするとよい。先端部の開口断面積を小さくするには、たとえば仕切り部材を設けて噴射ノズルをスリット状に形成することも可能である。
先端部の開口断面積を上記のように小さくすると、冷却ガスの噴射速度を高めることができる。噴射速度が高いと、火炎によって経路を大きくは曲げられることなく冷却ガスが進み、火炎を強く効果的に冷却することが可能になる。
【0011】
上記の冷却ガスとして、窒素または不活性ガス(アルゴンガス等)を使用するととくに好ましい。
反応性の乏しい上記のようなガスを冷却ガスとすると、材料粒子の溶融後にそれを冷却させる領域においても酸素との接触を妨げることができ、アモルファス皮膜中に酸化物の発生することを抑制できる。酸化物の発生が少ない方が、耐食性能等に優れた高品位のアモルファス皮膜が形成される。
【0012】
上記の筒状体は、溶射ガンに接続された側の端部(基端部)またはその付近を着火のために開放(外気に通じるように開くことをさす)し、かつ閉鎖し得る構造のものにするとよい。
溶射ガンの前部に上記のように筒状体を設けると、火炎の噴射開始時に燃料ガスに着火させることが容易でない。筒状体の内部に燃料と空気(酸素)とが適正な混合比率で存在するとは限らないからである。筒状体の基端部またはその付近を上記のように開放できるようにしておくと、燃料を少量ずつ吹き出させるときそれが外気と適度に混合され、容易に着火させられるようになる。開放できる上記端部付近に(上記筒状体もしくは溶射ガンまたは両者の間に)たとえば点火プラグを設けると、着火はさらに容易になる。着火させたのちは、筒状体の基端部を閉鎖し、溶射ガンより別途供給される酸素によって燃料を燃焼させる。
【0013】
上記の筒状体は、長さの異なるものに取り替えられるよう設けるのがよい。
筒状体の長さは、アモルファス皮膜とする金属の融点等に応じて最適値が定められる。融点の高いものは、材料粒子を溶融させるのに多めに時間がかかるため、筒状体を長くしておくのが適している。上記のように、長さの異なるものに取り替えられるように筒状体を設けるなら、アモルファス皮膜とする金属に応じて最適な長さの筒状体を使用することができる。
【0014】
上記筒状体の内部における負圧発生を抑制するため、上記筒状体から溶射ガンまでの位置に外気の取入れ口または不活性ガスの供給口を設けるのがよい。
発明者らのテストによると、筒状体の内部に負圧が発生するとその内部におけるガスや火炎の流れが乱れ、筒状体の内面に材料粒子が付着して装置の連続使用ができなくなる。上記のように筒状体または溶射ガンに外気の取入れ口(または不活性ガスの供給口)を設けると、筒状体の内部の圧力に応じて(または何らかの制御を受けて)適量の空気(または不活性ガス)が流入し、負圧の発生が抑制される。そのため、材料粒子の付着によって装置の連続使用ができなくなるおそれがなくなり、円滑な連続使用が可能になる。
【0015】
母材に達する時点での火炎の温度が、中心部の直径10mmの領域よりも外側の範囲では、上記材料粒子による金属のガラス化温度以下となるようにするのがよい。
一般的な粉末式フレーム溶射では、十分に火炎を冷却することがないので、母材に達する時点においても火炎の温度は全域的に高い。すなわち、当該時点の火炎の温度は、中心部を含むたとえば直径30mm程度以上の広い領域において材料粒子による金属のガラス化温度を超える。したがって、一般的な粉末式フレーム溶射の場合、母材上の一定箇所に火炎を当てておくと母材の温度が速やかに上昇し、十秒程度未満の間にガラス化温度を超えてしまう。そのため、よほど低融点で非晶質形成能の大きな金属に限るか、または装置(溶射ガン)を母材表面と平行な方向にかなりの速さで相対移動させるか等しないとアモルファス皮膜は形成できない。しかも、移動の速度が高いと、アモルファス皮膜が形成できるとしても膜厚を厚くすることは容易でない。
その点、冷却ガスを用いて、上記のように直径10mmの領域よりも外側では火炎の温度がガラス化温度以下となるようにするなら、高融点で非晶質形成能の小さい(つまり過冷却温度領域がせまい)金属のアモルファス化も可能になる。周囲に広がる低温域の作用により母材の温度上昇が抑制されるため、たとえば上記方向への装置・母材間の相対移動の速度をかなり遅くすることができ(場合によっては相対移動を止めてもよくなり)、現場での施工作業もきわめて容易になる。
【0016】
発明によるアモルファス皮膜の形成方法は、上のいずれかに記載したアモルファス皮膜の形成装置を使用して上記材料粒子および火炎を母材の一定箇所に当てる(移動させないで同じ箇所に当てる)とき、当該箇所(直径10mmの中心部領域を含む)の表面温度が上記材料粒子による金属のガラス化温度以下に10秒以上(望ましくは30秒以上)保たれるように、上記冷却ガスによる冷却を行うことを特徴とする。
このようにすると、高融点で非晶質形成能の小さい金属についてもアモルファス皮膜とすることが容易になる。火炎の噴射を受けることによる母材の温度上昇が十分に抑制されるため、たとえば上記相対移動の速度をかなり遅くすることができ、現場での施工作業もきわめて容易になる。
【0017】
上記した形成方法において、母材上の上記箇所(一定箇所)の表面温度が上記材料粒子による金属のガラス化温度以下に10秒以上(望ましくは30秒以上)保たれるように、上記冷却ガスによる冷却を行うとともに母材を冷却するようにするのも好ましい。
冷却ガスにより火炎を冷却することと併せて母材をも冷却し、もって母材の温度上昇を抑制するわけである。そうする場合にも、高融点で非晶質形成能の小さい金属についてアモルファス皮膜の形成が容易になる。たとえば、上記相対移動の速度をかなり遅くすることができ、現場での施工作業もきわめて容易になる。
【0018】
冷却を行いながら、母材と上記形成装置との間に母材表面と平行な方向への相対移動をもたらすことにより、母材におけるいずれの箇所の表面温度も上記材料粒子による金属のガラス化温度を超えないようにするとよい。
上記のように、火炎の冷却(またはさらに母材の冷却)を行うこととすると、上記相対移動の速度を遅くすることができる。その場合、冷却の強さと相対移動の速度とを適切に設定することにより母材上のいずれの箇所の表面温度も上記材料粒子による金属のガラス化温度を超えないようにすると、当該母材上へのアモルファス皮膜の形成はとくに容易になる。すなわち、火炎とともに噴射され溶融したうえ母材に当たる金属が効果的に冷却されるため、高融点で非晶質形成能の小さい金属についても、容易にアモルファス皮膜とすることができる。母材の温度上昇が低いので、高温における機械的性質等の低い材料を母材とすることが可能になる、という利点もある。
【0019】
上記の形成装置を使用するとともに、上記の火炎として、アセチレンを増量し酸素を減量して形成する還元炎を用いるのがとくに好ましい。
そのようにすると、アモルファス皮膜中への酸化物の発生を抑制することができる。酸化物の発生が少ない方が、耐食性能等に優れた高品位のアモルファス皮膜が形成される。なお、このように還元炎を用いるとともに、前述のように冷却ガスとして窒素または不活性ガスを使用するのがさらに好ましい。
【0020】
上記の形成装置を使用する際、火炎を冷却する領域での上記冷却ガスの速度を火炎の速度と同等(火炎の速度の2割減〜2割増程度)にするのがよい。
火炎および材料粒子に対する冷却を強めるうえでは、一般的には冷却ガスの速度を上げる方がよい。しかし、発明者らのテストによると、冷却ガスの圧力を高めてその速度を上げすぎると筒状体の内部が負圧になり、当該内部でガス流れが乱れる結果、前記のように装置の連続使用が困難になる。その場合、筒状体の内部に外気を多量に取り入れるようにすると、筒状体内が負圧になることによる課題は解消するが、多めに流入する外気に起因して酸化物の発生が増大しがちになる。そこで、冷却ガスの速度を上記のとおり火炎の速度に近いものにするのが好ましい。そうすれば、筒状体の内部が強い負圧になることが避けられ、また外気が多量に流入する不都合も生じない。
【発明の効果】
【0021】
発明によるアモルファス皮膜の形成装置では、溶射される材料粒子の酸化が抑制されるために高品位のアモルファス皮膜が形成されるうえ、装置がコンパクトとなって取り扱いやすくなる。
筒状体の基端部またはその付近を開放可能な構造にすると、火炎の噴射開始時における着火操作が容易になる。
筒状体から溶射ガンまでの適所に外気の取入れ口を設けると、筒状体の内部での負圧発生を抑制でき、筒状体内面への材料粒子の付着を防止して装置の連続使用が可能になる。
母材に達する時点での火炎の温度が、外側の広い範囲で金属のガラス化温度以下となるようにするなら、母材の温度上昇が抑制され、高融点で非晶質形成能の小さい金属についてもアモルファス化が容易になる。
【0022】
発明によるアモルファス皮膜の形成方法は、上記形成装置を使用し、母材の表面温度の上昇が遅くなるようにするので、高融点で非晶質形成能の小さい金属をアモルファス皮膜とする上で有利である。
とくに、火炎として還元炎を用いると、アモルファス皮膜中への酸化物の発生を抑制することができ、高品位のアモルファス皮膜が形成される。
さらに、冷却ガスの速度を火炎の速度と同等にするなら、装置の連続使用が妨げられないうえ、アモルファス皮膜中の酸化物の発生も抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1〜図11に発明の実施の形態を示す。図1はアモルファス皮膜形成装置1の全体構造を示す図で、図1(a)は一部を断面で示した側面図、同(b)は筒状体20をスライドさせてその基部を開放した状態の平面図である。図2(a)は図1(a)におけるIIa−IIa矢視図、図2(b)は図1(a)におけるIIb−IIb矢視図である。図3は、アモルファス皮膜形成装置1の使用状態を示す側面図。図4は、図3におけるIV−IV断面図であり、母材に達する時点での火炎の温度分布等を示す図である。また、図5〜図11は、各種テストによって得た知見を示す図である。
【0024】
アモルファス皮膜の形成装置1は、図1のように、粉末式フレーム溶射ガン10の前部に、外部冷却装置ともいえる筒状体20等を取り付けたものである。溶射ガン10は、図示は省略したが、溶射する材料粉末を搬送ガス(たとえば窒素)とともに供給する管と、燃料とするアセチレンおよび酸素の各供給管、ならびに内部冷却ガス(たとえば窒素)の供給管とが接続されている。溶射ガン10の前端にはノズル11があり、それより図3のように火炎Fと溶融材料(上記粉末の溶融したもの)とを噴射する。上記の内部冷却ガスは、ノズル11の周囲に接する位置から吹き出してノズル11の冷却と火炎Fの温度調節をする。溶射ガン10には、その前端付近であってノズル11の周囲にフランジ状の前部プレート12を固定し、筒状体20は、そうした前部プレート12を介して溶射ガン10に取り付けている。
【0025】
図1に示す筒状体20は、溶射ガン10が噴射する火炎F(図3参照)の前半部分、すなわち材料粉末を溶融させる溶融領域において火炎Fと外気とを隔てるとともに、先端部23より火炎Fの後半部分に冷却ガス(たとえば窒素)Gを吹き出すためのものである。この例ではステンレス製の二重円管を使用し、外管21と内管22とを同心に配置して両者間に隙間を設け、その隙間を冷却ガスの流路にするとともに先端部23を同ガスの噴射口としている。二重円管(外管21と内管22)の間に冷却ガスを流すので内管22の温度上昇が抑制される。先端部23では内管22に対して外管21の先端を突き出させることにより、冷却ガスが外管21の先端付近に案内されて火炎Fと平行に、円筒状に連続する流れとなって噴出するようにしている。当該先端部23には、二重円管を同心に保つ役目をも有する仕切り部材23aを取り付けて複数のスリット状開口23bを形成している(図2(b)参照)ため、二重円管の間の開口断面積よりも先端部23での開口断面積が小さくなっており、冷却ガスの流速が増す作用がある。
【0026】
筒状体20の外筒21と内筒22は、それぞれの基端部に設けたネジによってホルダー24に接続している。ホルダー24はステンレスにて中空に構成したもので、先端部に外筒21用の結合部と内筒22用の結合部を設け、前者には外筒21の雄ネジを結合させ、後者には内筒22の雌ネジを結合させている。そのようにすると、ネジ部から多少の冷却ガスが漏れるとしてもその方向が火炎の向きに一致し、漏洩ガスが火炎の流れを乱すことがないからである。
そしてホルダー24の後部(図1の左側)の板には、ステンレス製の管26を複数接続し、それを介して基端部側から、冷却ガスである窒素ガスを供給する。冷却ガスGは、管26からホルダー24内に入ったうえ、筒状体20の外筒21と内筒22との間を通って先端部23から噴出するわけである。
上記ホルダー24の後部には円筒形のカバー25を取り付けていて、図1(a)のようにそのカバー25によって溶射ガン10と筒状体20との間をつなぎ、内部空間を閉じている。溶射ガン10と筒状体20とをつないだときには、図示の連結金具(錠)13によって連結状態が保たれるようにする。なお、カバー25は、火炎Fが外気と接触することを防止し、また外気を円滑に導入するための空間を設けるという役目をはたす。
【0027】
ただし、溶射ガン10と筒状体20とをつないで内部空間を閉じた状態では、溶射の開始時に火炎を着火させることが難しいため、筒状体20の基端部付近を開放可能にしている。具体的には、上記の連結金具を外したうえで、図1(b)のように、カバー25を含む筒状体20が溶射ガン10から前方へ離れる向きに移動できるようにしている。これには、前記した管26を、溶射ガン10の前部プレート12に設けた穴にそれぞれ摺動可能に挿通し、その管26を案内部材にして筒状体20等がスライドするようにした。つまり4本の管26は、冷却ガスである窒素ガスの供給をするとともに、筒状体20等の前後への移動案内をなすわけである。筒状体20を前方へ移動させ、冷却ガスを少量流しながらライターを近づける(または溶射ガン10の前部に設けた点火プラグを利用する)ことによって燃料に着火させたのち、火炎Fを本格的に噴射させ、冷却ガスの量も増やし、さらに筒状体20を後方へ戻して内部を閉じ、連結金具13を締める。
なお、溶射する材料によって金属の融点が異なり、したがって溶融領域(図3参照)の長さも異なることから、筒状体20として長さの異なるものを複数用意しておく。筒状体20の外筒21と内筒22は、前述のとおり基端部のネジによってホルダー24に接続しているので、特定方向に回すことによって容易にホルダー24から取り外し、別のものを取り付けることができる。
【0028】
冷却ガスGを高速で噴射すると、溶射ガン10のノズル11の付近や筒状体20の内部に負圧が発生し、流れが乱れて溶射材料が筒状体20の内面等に付着し、連続運転ができなくなることがある。そこで、形成装置1では、図2のように溶射ガン10の前部プレート12に外気の取入れ口14を設けている。これがあると、筒状体20内の圧力に応じて適量の空気が流入し、負圧の発生が抑制される。
【0029】
図1・図2の装置1を使用するとき、母材Mの表面に図3のようにアモルファス皮膜を形成することができる。溶射ガン10のノズル11から噴射される火炎Fは、筒状体20とそれより噴出される冷却ガス(窒素)に囲まれて母材Mに達するため、アモルファス皮膜中に酸化物の介在する量が少ない。
【0030】
図3のIV−IV断面における火炎Fの温度分布を図4の(a−1)に示す。図4(b−1)は、従来の一般的な粉末式フレーム溶射における、同じ場所での火炎の温度分布である。図1〜図3の装置1による場合は、図4(a−1)のように中心部(直径10mm程度以内の領域)に高温部H(溶射する金属のガラス化温度を超える部分)ができ、その外側に低温部L(上記ガラス化温度以下の部分)が広がる。一方、従来の粉末式フレーム溶射による場合には、図4(b−1)のように中心部を含む直径30mm程度以上の領域に上記ガラス化温度を超える高温部Hが広がる。
【0031】
図4(a−1)のように高温部Hの外側に低温部Lが広がっているなら、その火炎Fを母材M錠の一定箇所に当てた場合、図4(a−2)のように母材Mの温度上昇は緩やかであり、火炎Fを当てた中心部の温度も30秒程度は上記金属のガラス化温度に達しない。しかし、図4(b−1)のように広い範囲が高温部Hであるなら、その火炎Fを母材M上の一定箇所に当てた場合、図4(b−2)のように母材Mの温度は急速に上昇し、中心部等で数秒以内に上記ガラス化温度を超えてしまう。そのため、従来の粉末式フレーム溶射にてアモルファス皮膜を形成するには、母材Mを強烈に冷却するか、母材Mと装置(溶射ガン)との間に母材Mの表面と平行な方向への高速度の相対移動をさせるか、または、低融点で非晶質形成能の大きい金属に限定して溶射する必要がある。これに対し、図1〜図3の装置1を使用する場合には、そのような制約がないか、または大幅に緩和されることになる。
【0032】
以下、上記した形成装置1の使用テストによって得た知見を示す。
1.図5は、溶射ガン(10)の先端に取り付けた外部冷却装置(筒状体20)の円筒ノズル筒先から、溶射対象物(母材M)に至るまでの火炎(F)の温度勾配を示す。図中の0mmは火炎中心部の温度勾配であり、また、5mm及び10mmは火炎中心から外れた位置の温度勾配である。この図でわかる通り、火炎中心部では、1000℃近い温度で溶射対象物に当たっているが、そこから僅かにそれた位置では、火炎温度が急激に300℃から500℃近傍まで低下しており、ドーナツ状の温度勾配で溶射対象物に当たっていることがわかる。
【0033】
2.図6は、溶射ガン(10)の先端に取り付けた外部冷却装置(20)の筒先から、20mm及び70mmの位置での燃焼ガスの性状を示す。図中の「エアブロー」は外部冷却にエアを使ったときの燃焼ガスの性状であり、また「N2ブロー」は外部冷却に窒素ガスを使ったときの燃焼ガスの性状である。火炎の燃焼条件は、燃料リッチで且つO2を絞った所謂還元炎でテストしている。エアブローでは、筒先20mm及び70mmでは、O2及びCO2を多く含む燃焼ガス性状となっている。これに対し、N2ブローの筒先20mmでは、COが多く、O2が極端に少ない燃焼ガス性状であり、70mmでは、N2及びCO2を多く含み、O2の少ない燃焼ガス性状となっている。このことから、N2ブローで溶射を行えば、O2の少ない燃焼ガスで溶射材料がシールドされるため、酸化物の発生を抑制できることがわかる。
【0034】
3.図7は、溶射対象物(M)に熱電対を埋め込み、溶射ガン(10)の先端に取り付けた外部冷却装置(20)を使って溶射したときの、溶射対象物温度勾配を示す。図中の「溶射ガン固定」は、溶射ガンを固定して溶射対象物の1点に集中して連続溶射したときの溶射対象物温度勾配を示す。また、「溶射ガン移動」は、溶射ガンを移動(スピードは280mm/s)しながら溶射対象に連続溶射したときの溶射対象物温度勾配を示す。「溶射ガン固定」では、1項で示したとおり、火炎中心部に高温部が生じているため、溶射時間の経過と共に温度が上昇し、60s付近では500℃を上回る。これに対し、「溶射ガン移動」では溶射ガンの高速移動により、火炎が低温部→高温部→低温部の順に当たるため、溶射対象物の昇温を抑える効果があり、180s経過後でも300℃以下に抑えられていることがわかる。
【0035】
4.図8は、溶射ガン(10)の先端に取り付けた外部冷却装置(20)の筒先から、溶射対象物(M)に至るまでの冷却ガス(G)の圧力別流速を示す。溶射火炎(F)の流速は30〜40m/sであるが、冷却効果とガス流れを円滑にするためには、冷却ガスのスピードはこれ以上に設定する必要があり、この図でわかる通り、冷却ガス圧力設定は0.25MPa以上であることが望ましい。ただし、圧力を上げすぎると円筒内部が負圧となるため、ガス流れの乱れが生じ、円筒内面に溶射粒子が付着し、連続使用ができなくなる。これを回避するには、ガスバランスを保つために外気取り込み量を増やす必要があるが、これは逆に酸化物発生を増長することになる。そのため、適正風量は溶射火炎流速に近いガス流速を生じる0.25MPa付近にあることがわかる。
【0036】
5.図9(a−1)〜(a−3)は、図12に示す従来の装置で導管ノズル(20’)を使って作製したアモルファス溶射皮膜のシュウ酸電解腐食試験結果を、また図9(b−1)〜(b−3)は、本方式による外部冷却装置(20)を使って作製したアモルファス溶射皮膜のシュウ酸電解腐食試験結果を示す。導管ノズルを使った場合、外気との接触が生じ、酸化物や未溶融粒子が介在していることがわかる。これに対し、本方式の密閉式円筒型外部冷却装置(20)を用いる場合、未溶融粒子の介在はなく、酸化物も抑制された高品質の溶射皮膜となっていることがわかる。
【0037】
6.表1は、アモルファス溶射皮膜バルク(皮膜のみを剥離したもの)と比較材としてハステロイC及びチタンを各種腐食液に同時浸漬して、4週間後の重量変化を測定した結果を示す。化学プラントの耐食性評価基準では、重量減が0〜-0.5g/m2dayであれば「よく耐える」評価となるが、アモルファス溶射皮膜は、酸化皮膜の発生による初期増加が生じた後、腐食はほとんど進行しない。これに対して、ハステロイC及びチタンは腐食が見られることから、アモルファス溶射皮膜はハステロイC及びチタンの耐食性能を上回っていることがわかる。
【表1】

【0038】
7.本方式の外部冷却装置(20)を使って化学肥料メーカ製造ラインの攪拌機インペラにアモルファス溶射皮膜を施工し、その攪拌機インペラについて実証テストを行った。テスト条件およびテスト結果を下記に示し、従来品インペラと、本方式の装置にてアモルファス溶射皮膜を施工したものとの一定期間使用後の外観を図10に示す。図10のうち(a)は、pH2のスラリーピット攪拌機におけるインペラの摩耗状況を示す写真であり、また(b)は同様の攪拌機のインペラに適用したアモルファス溶射皮膜等の摩耗状況を示す写真である。
[テスト仕様] 表面:高耐食性材料Fe70Cr10P13C7 300μm
[テスト環境] 化学肥料メーカ製造ライン攪拌機
[要求性能] pH2スラリー中での耐食性、耐摩耗性
[従来品材質] SUS316L
重量減耗率
・従来品SUS316L
11ヶ月経過後 62%
(5ヶ月換算 28%)
・アモルファス溶射品
5ヶ月経過後 2%
従来品であるSUS316L製インペラの重量減耗率は、上記のとおり11ヶ月経過後で62%(5ヶ月換算で28%)であった。一方、アモルファス溶射施工をしたインペラの重量減耗率は、5ヶ月経過後で2%であり、14倍の耐食・耐摩耗性があることが分かる。
【0039】
8.また、本方式の外部冷却装置(20)を使って、化学肥料メーカ製造ラインのスラリーポンプの軸スリーブにアモルファス溶射皮膜を施工して、実証テストを行った。テスト条件は下記の通り。摩耗等の状況は図11に示す。
[テスト仕様] 下地:NiCr 50μm
表面:高耐食性材料Fe70Cr10P13C7 150μm
[テスト環境] 化学肥料メーカ製造ラインスラリーポンプ
[要求性能] pH2スラリー中での耐食性、耐摩耗性
[従来品材質] チタン、ハステロイ、デュリメット20、SUS316L
本テスト品は、SUS304で軸スリーブを新作し、その表面にアモルファス溶射施工し、表面をダイヤモンド研摩したものであり、これを従来のスラリーポンプにセットして実証テストを行った。図11に示すように、従来のデュリメット製軸スリーブは、パッキンとスラリーによる摩耗及び腐食で2ヶ月経過後に4μmの摩耗痕が見られるが、アモルファス溶射施工の軸スリーブには、2ヶ月経過後も摩耗痕は見られない。これから判断すると、アモルファス溶射軸スリーブは、従来のデュリメット製軸スリーブに比較して耐食・耐摩耗性能が高いことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】発明の実施の形態としてアモルファス皮膜形成装置1の全体構造を示す図である。図1(a)は一部を断面で示した側面図、同(b)は筒状体20をスライドさせてその基部を開放した状態の平面図である。
【図2】図2(a)は図1(a)におけるIIa−IIa矢視図、図2(b)は図1(a)におけるIIb−IIb矢視図である。
【図3】アモルファス皮膜形成装置1の使用状態を示す側面図。
【図4】図4(a−1)は、図3のIV−IV断面における火炎Fの温度分布を示し、図4(b−1)は、従来の一般的な粉末式フレーム溶射における同じ場所での火炎の温度分布を示す。また、図4(a−2)は同(a−1)の場合の、図4(b−2)は同(b−1)の場合の、それぞれ母材Mの温度上昇を示す線図である。
【図5】筒状体20の筒先から母材Mに至るまでの火炎Fの温度勾配を示す線図である。
【図6】筒状体20先の位置での燃焼ガスの性状(成分比率)を示す図である。
【図7】溶射皮膜を形成される際の母材Mの温度上昇勾配を示す線図である。
【図8】筒状体20の筒先から母材Mに至るまでの冷却ガスGの圧力別流速を示す線図である。
【図9】図9(a−1)〜(a−3)は、従来の装置で作製したアモルファス溶射皮膜についてのシュウ酸電解腐食試験結果を示す顕微鏡写真である。また、図9(b−1)〜(b−3)は、発明の装置を使って作製したアモルファス溶射皮膜についての同腐食試験結果を示す顕微鏡写真である。
【図10】化学肥料メーカの攪拌機にて実施した耐食・耐摩耗性テストに関し、図10(a)・(b)に、従来品インペラと、本方式の装置にてアモルファス溶射皮膜を施工したものとについて、一定期間使用後の外観を示す。
【図11】pH2スラリーのポンプ軸スリーブに適用したアモルファス溶射皮膜等の摩耗状況を示す図および写真である。
【図12】従来のアモルファス皮膜形成装置の概要を示す側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 アモルファス皮膜形成装置
10 溶射ガン
20 筒状体(外部冷却装置)
F 火炎
G 冷却ガス
M 母材(溶射板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料粒子を含む火炎を母材に向けて溶射ガンより噴射し、当該材料粒子を火炎によって溶融させたうえ、当該材料粒子および火炎を母材に達する前から冷却ガスにて冷却するアモルファス皮膜の形成装置であって、
溶射ガンによる火炎の噴射経路のうち材料粒子を溶融させる領域に火炎と外気とを隔てる筒状体を有し、その筒状体に沿って筒状体と一体的に上記冷却ガスの流路が形成されていることを特徴とするアモルファス皮膜の形成装置。
【請求項2】
上記流路から吹き出される冷却ガスが、火炎の全周を囲んで筒状に流れるものであることを特徴とする請求項1に記載したアモルファス皮膜の形成装置。
【請求項3】
上記筒状体が、二重の筒を同心に有していて先端部が開放された構造を有し、冷却ガスを上記二重の筒の間に流して先端部より噴射するものであることを特徴とする請求項2に記載したアモルファス皮膜の形成装置。
【請求項4】
上記筒状体が、二重の筒の間の開口断面積よりも上記先端部の開口断面積を小さくされたものであることを特徴とする請求項3に記載したアモルファス皮膜の形成装置。
【請求項5】
上記冷却ガスとして、窒素または不活性ガスを使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載したアモルファス皮膜の形成装置。
【請求項6】
上記筒状体が、溶射ガンに接続された側の端部またはその付近を着火のために開放し、かつ閉鎖し得る構造のものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載したアモルファス皮膜の形成装置。
【請求項7】
上記筒状体が、長さの異なるものに取り替えられるよう設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載したアモルファス皮膜の形成装置。
【請求項8】
上記筒状体の内部における負圧発生を抑制するため、上記筒状体から溶射ガンまでの位置に外気の取入れ口または不活性ガスの供給口が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載したアモルファス皮膜の形成装置。
【請求項9】
母材に達する時点での火炎の温度が、中心部の直径10mmの領域よりも外側の範囲では、上記材料粒子による金属のガラス化温度以下となることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載したアモルファス皮膜の形成装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載したアモルファス皮膜の形成装置を使用して上記材料粒子および火炎を母材の一定箇所に当てるとき、当該箇所の表面温度が、上記材料粒子による金属のガラス化温度以下に10秒以上保たれるように、上記冷却ガスによる冷却を行うことを特徴とするアモルファス皮膜の形成方法。
【請求項11】
母材上の上記箇所の表面温度が、上記材料粒子による金属のガラス化温度以下に10秒以上保たれるように、上記冷却ガスによる冷却を行うとともに母材を冷却することを特徴とする請求項10に記載したアモルファス皮膜の形成方法。
【請求項12】
上記冷却を行いながら、母材と上記アモルファス皮膜の形成装置との間に母材表面と平行な方向への相対移動をもたらすことにより、母材におけるいずれの箇所の表面温度も上記材料粒子による金属のガラス化温度を超えないようにすることを特徴とする請求項10または11に記載したアモルファス皮膜の形成方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載したアモルファス皮膜の形成装置を使用するとともに、上記の火炎として、アセチレンを増量し酸素を減量して形成する還元炎を用いることを特徴とするアモルファス皮膜の形成方法。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれかに記載したアモルファス皮膜の形成装置を使用するとともに、火炎を冷却する領域での上記冷却ガスの速度を、火炎の速度と同等にすることを特徴とするアモルファス皮膜の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−22895(P2010−22895A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184230(P2008−184230)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000150280)株式会社中山製鋼所 (26)
【Fターム(参考)】