説明

アルギン酸含有多孔性物品の調製プロセス

【課題】本発明の目的は、比較的大きく均質性の高い成形品をアルギン酸および多価金属イオンの化合物ベースで提供することである。
【解決手段】本発明は、多孔性またはスポンジ形成されたアルギン酸を含む物体を製造するための方法に関し、このようにして得られた形成体およびこの形成体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルギン酸含有多孔質および/またはスポンジ様の成形品の調製プロセスに関し、さらにこの調整方法により調整された後に使用することが可能な成形品およびその使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸アルカリ金属塩類は水溶性であるが、アルギン酸カルシウムなどのアルギン酸アルカリ土類金属塩類は不溶性であることは既知である。したがって薄い不溶性皮膜は、たとえばCaCl溶液を薄いアルギン酸ナトリウム膜に噴射することにより生産することが可能である。しかしながら、より薄い層を生産しようとする場合には溶液の粘度が高くなるため、遊離カルシウムイオンをアルギン酸ナトリウム溶液に均一に取り込むことが難しくなるという困難が生じる。このため、均一な生成物ではなく、分離したアルギン酸カルシウムの凝集塊が生成されることになる。
【0003】
この問題を克服するために、米国特許第5,718,916号明細書ではたとえば、クエン酸ナトリウムなどの水溶性錯化剤をアルギン酸塩混合物の水溶液に添加することを提案している。たとえば塩化カルシウムなどの容易に水に溶けるカルシウム塩が次いで添加されると、錯化剤が存在することにより、アルギン酸カルシウムが即座に沈殿することが防止され、生成物内の不溶性アルギン酸カルシウム塊の形成を抑えるものと想定される。しかしながら、米国での刊行物での例は数ミリメートル規模のものを基礎としている。アルギン酸塩溶液のゲル化時間は、ほんの30秒から60秒のスパンである。このプロセスをより大きい規模にしようとしても、アルギン酸ナトリウム溶液に錯化剤を添加することにより意図される減速度は、充分なものではなく、さらに、高度の均一性を有する比較的大型の生成物を得ることは不可能であることが明らかとなろう。そのうえ上述されたプロセスにおいて、かかる成分を充分に分散させたい場合には界面活性剤を使用することは必須である。しかしながら、このような界面活性剤を使用することにより、たとえば皮膚にかかった際には過敏症を引き起こす場合もある。英国特許第2357765号明細書では同発明者らが、米国特許第5,718,916号明細書のプロセスにより錯化剤を事前に添加することによって、沈殿時に十分な減速度を得られることはないという事実を証明している。かかる明細書において米国特許第5,718,916号明細書のプロセスは不都合なものであると記述している。英国特許第2357765号明細書は粘着性創傷絆創膏または医療用製品類の調製用の水に溶けないアルギン酸スポンジまたは発泡生成物の調製プロセスを開示している。ここにおいてもまた水溶性アルギン酸は、発泡剤の存在下で多価金属イオンを添加することにより架橋される。錯化剤は意図して存在させていない。好ましい変形例として、水酸化アンモニウムを存在させ、アルギン酸カルシウムの粘度を低下させることができる。実施例においては、酸を添加したのちにたとえばカルシウムが添加されている。かかるプロセスにもまた不都合な点がある。それは、カルシウムイオンにより架橋されたアルギン酸塩の形成は、酸が添加されたのち比較的早く進行するために、均一な厚い層を得ることが不可能であるということである。さらに、かかるプロセスでは上述されたアンモニウム化合物だけでなく、発泡剤、界面活性剤、硼酸緩衝液を存在させることが必要である。このことはプロセスの制御を困難なものにしており、得られた生成物は、その生理学的な影響を考慮に入れなければならない複数の成分を含む。
【0004】
独国実用新案第20219666号明細書において、皮膚科で使用するための、重合体ベース、特にアルギン酸ベースの担体物質を含むパッドが説明されている。かかる実用新案からこのパッドの調製に関する具体例を得ることはできない。
【0005】
さらに、独国特許第4328329号明細書は、皮膚に潤いを与えるための凍結乾燥バイオマトリックス、および天然多糖類と、修飾した多糖類とを含有する美容上有効な医療用の成分を局所的に経皮に塗布することについて開示する。この刊行物はさらに、カルシウムイオンを添加することによりアルギン酸カルシウム骨格を形成して、バイオマトリックス安定化させることを述べている。均一に厚いアルギン酸塩の層をいかに生成するかについてはこの刊行物では明らかにされていない。
【0006】
水溶性カルシウム塩(グルコン酸カルシウム)をアルギン酸ナトリウム溶液に添加することにより、口腔内に用いる小型のアルギン酸スポンジを調製する方法が国際公開第01/11377号パンフレットに説明されている。しかしながら、上述された理由(カルシウムイオンを均一に取り込むことができないこと)により、このプロセスもまた、大きい型のアルギン酸スポンジの調製には適切なものではない。ここで提案されている有効成分を使用することもまた、不均質性が生じるために困難なものとされる。
【0007】
特にアルギン酸ベースの、多糖類発泡体を調製するためのプロセスは国際公開第94/00512号パンフレットで既知である。かかる特許明細書はまた、一実施形態において変形例を開示している。不溶性の炭酸塩または炭酸水素塩は、発泡した多糖類の中で多価金属カチオンにより分散される。この発泡体は次いで強酸処理されるが、これは寸法の安定な発泡構造が形成されるまで、二酸化炭素を放出しかつ形成されるカチオンにより多糖類を架橋する目的でなされる。この刊行物によると、最大で5mmの厚みを有する発泡体はこのような態様で安定化することができる。しかしながらこれらの厚みは特に、発泡体で調製された成形品を、次に、より薄い層に切断することを意図する場合には充分なものではない。さらには、調製中に形成されるガス類により、孔の寸法を制御することが困難なものとなり、発泡体が不均質になる。
【0008】
米国特許第3,653,383号明細書に記載されているアルギン酸スポンジ調製のための他のプロセスは既知である。この場合、アルギン酸カルシウムはまず、アルギン酸および炭酸カルシウムから生成される。形成されたアルギン酸カルシウムは次いで粉砕され、得られたゲルは凍結乾燥に供される。比較的大きい型のスポンジ様の材料はこのような態様で生成することが可能である。しかしながら、ここで得られた生成物は水中で比較的早くばらばらになる。したがって、このアルギン酸スポンジは薄い層に切断されたときは特に、美容用または医療用のパッドでは不十分な濡れに対する強さ、特に濡れによる破壊に対する強さしか有さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の目的は、比較的大きく均質性の高い成形品をアルギン酸塩および多価金属イオンの化合物ベースで提供することである。この成形品は、高度の濡れに対する強さ、特に濡れによる破壊に対する強さを有し、かつ通常使用されている切断器具を用いて薄い層に切断することができる。そのうえ外観も魅力のあるものであり、すなわち特に白色度が高く、このため美容用肌パッドまたは医療用創傷絆創膏その他の美容用途または医療用途に用いることが可能である。さらに、この方法によれば可能な限り均質な厚みの多孔質のアルギン酸塩の層の用意をすることができるだろう。これにより、経口投与することもまた可能で、圧縮および/または穿孔によって、美容または医療用途に適したものが容易に調製できる。例としては、インプラント用成形品、飽和するまで圧縮された成形品、有効成分またはこれらに類するものの放出を制御、特に遅延するための手段などがあげられる。
【0010】
本願明細書の発明者らは驚くべきことに、均質の比較的厚みのある大きい型の成形品をアルギン酸塩の多価金属塩ベースで提供することに成功した。かかる成形品は本発明の主題でもある特別のプロセスにより得ることができる。これは先行技術の成形品の上述された諸問題を解決するものであり、したがって美容または医療製品の調製に著しく適したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
したがって本発明の特許出願は、以下のステップを含むアルギン酸塩含有多孔質成形品を調製するためのプロセスを提供する。
a)水溶性アルギン酸塩水溶液を調製し、
b1)1または複数の多価金属イオンと多座配位の錯化アニオンとの塩を、水溶性アルギン酸塩の水溶液に添加し、多価金属イオンおよび多座配位の錯化アニオンの錯形成平衡をシフトし、ついでアルギン酸塩の溶液内の多価金属イオンの有効な濃度をあげて、これにより上述されたアルギン酸塩と多価金属イオンとの塩の形成を行ない、あるいは
b2)多価金属イオンに対する多座配位の錯化剤を水溶性アルギン酸塩水溶液に添加し、ほとんど水に溶けない多価金属イオンの1または複数の塩を混合し、
c)(まだ)流動性のある水溶性のアルギン酸塩混合物を型に流し込み、
d)多孔質アルギン酸塩含有成形品が形成されている間に水溶性のアルギン酸塩混合物を乾燥させるステップを含む。
【0012】
[ステップa)]
ステップa)で用いられる水溶性アルギン酸塩は好ましくは、ナトリウム、カリウム、その他のアルギン酸塩などのアルギン酸アルカリ金属塩である。
【0013】
根底をなすアルギン酸は、当初、いわゆる褐藻類(Phaeophyceae)から抽出され、30,000Daから200,000Daの間で変動する高分子量を持ち、D−マンヌロン酸およびL−グルロン酸から形成された鎖を含む天然の酸の多糖である。重合度は、抽出に用いられる藻の種類、藻が収集された季節、藻の地理的起源および植齢に依存して変化する。アルギン酸が得られる褐藻類の主な種類はたとえば、マクロサイスティス フィリフェラ(Macrocystis pyrifera)、ラミナリア クロウストニ(Laminaria cloustoni)、ラミナリア ハイパーボレア(Laminaria hyperborea)、ラミナリア フレクシカウリス(Laminaria flexicaulis)、ラミナリア ディジタタ(Laminaria digitata)、アスコフィラム ノドサム(Ascophyllum nodosum)およびフカス セラタス(Fucus serratus)などがあげられる。しかしながら、アルギン酸またはアルギン酸アルカリ金属塩類はたとえば、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)またはシュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)の突然変異体、シュードモナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、またはシュードモナス メンドシナ(Pseudomonas mendocina)で発酵させることにより微生物学的に得ることができる。(たとえば、欧州特許出願公開第251905号明細書およびRoempp Chemie Lexikon “Naturstoffe” Thieme Verlag(1997年)およびその中で引用された文書を参照のこと)。
【0014】
本発明によると、平均粒径が最大で約0.2mmであり、かつ水溶液中で粘性を有するアルギン酸塩が好ましい(1%溶液、pH7、20度、300から800mPas)。
【0015】
本発明によると、アルギン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0016】
ステップa)で用いられる水溶性アルギン酸塩の水溶液は、好ましくは、ステップb)にしたがって形成された水溶性の懸濁液で、アルギン酸塩の濃度が、用いられる水の量に対して0.2質量%から3質量%に、より好ましくは、0.3質量%から2.5質量%に、さらに好ましくは、0.4質量%から1.2質量%に形成されるような濃度になる。この溶液は所望の量のアルギン酸塩をたとえば、蒸溜水に懸濁することにより調製されてもよい。水溶性の懸濁液中のアルギン酸塩の濃度は、形成される多孔質成形品の硬度に影響を及ぼす。濃度が2質量%を超える場合には、比較的硬くてもろい成形品となるが、これは、好ましいことではない。濃度が2質量%未満である場合には、成形品の脆性が低くなり、より好ましい。
【0017】
[ステップb1)]
ステップb1)において、多価金属イオンと多座配位の錯化アニオンとの1または複数の塩は、ステップa)で得られた水溶性アルギン酸の水溶液に添加される。
【0018】
アルギン酸塩とほとんど水に溶けない化合物を形成する、すなわち架橋する作用のある金属イオンである多価金属イオンが適している。
【0019】
かかる多価金属イオンにはたとえば、アルギン酸塩とほとんど水に溶けない化合物を形成するアルカリ土類金属イオン類や遷移金属イオン類が挙げられる。ベリリウム、マグネシウムまたはカルシウムなどのアルカリ土類金属イオン類が好ましい。カルシウムは特に好ましい。ベリリウムおよびマグネシウムはそれほど好ましくない。というのもベリリウムは美容上の観点から許容できるものではなく、一方マグネシウムは架橋の効果が小さいからである。したがって本発明によるとカルシウム塩が特に好ましい。生理学上および特に美容上許容できるものであり、アルギン酸塩の中でも強い架橋および/またはゲル化効果を有するからである。さらに、たとえば、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、マンガン、鉄、アルミニウムを用いてもよい。本発明にしたがうと、多価金属イオンの錯塩中の多座配位の錯化アニオンは、ポリカルボン酸を含む酸のカルボン酸塩であることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸から脂肪族テトラカルボン酸のカルボン酸塩が好ましく、たとえばクエン酸(2−ヒドロキシルプロパン−1,2,3−トリカルボン酸)、リンゴ酸、シュウ酸、1,3−プロパントリカルボン酸、アガリシン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,2,3−プロパントリカルボン酸その他が好ましい。
【0020】
生理学的に許容できるポリカルボン酸、とりわけ皮膚に対して許容できる酸が特に好ましい。これらには特に、クエン酸を含むα−ヒドロキシポリカルボン酸のカルボン酸塩があげられる。
【0021】
クエン酸塩、リンゴ酸塩、そしてEDTAのアニオンは、多座配位の錯化アニオンとして特に好ましい。クエン酸はこれらのなかでも特に好ましい。
【0022】
本発明によると、クエン酸カルシウム(化学量論:Ca(Citrate))はステップ1b)で添加される多座配位の錯化アニオンと多価金属イオンとの錯塩として特に好ましい。
【0023】
固体または溶解した形のものを混合することによって、ステップb1)の多座配位の錯化アニオンと多価金属イオンとの錯塩の添加を行なってもよい。
【0024】
錯塩のアルギン酸塩溶液中への添加は、5℃から80℃の間の温度範囲で適宜行なうことが好ましいが、室温(20℃)で行なってもよい。
【0025】
ステップ1b)で添加される錯塩の量は、得られる溶液中の錯塩の濃度が約0.1mmol/Lから500mmol/Lとなるように適宜選択される。
【0026】
溶液中のアルギン酸の量に対する添加された錯塩の量は、錯塩とアルギン酸とのモル比率が約0.001から0.1となるように選択されることが好ましい。
【0027】
錯塩添加に引き続いて、アルギン酸水溶液中の多価金属イオンと多座配位の錯化アニオンとの錯形成平衡のシフトが行なわれる。
【0028】
【化1】

【0029】
適切な化学量論であるならば、クエン酸カルシウムのシステムのように、金属イオンおよび錯化アニオンが不均等な電荷を持つことは当然可能である。
【0030】
この平衡状態は通常、いわゆる錯形成定数により説明される。
【0031】
【数1】

【0032】
上式において、[M]、[A]、[錯体]はそれぞれ溶液中の多価金属イオン、多座配位の錯化アニオン、錯体の濃度(活量)である。錯形成定数は解離定数の逆数である。
【0033】
錯形成定数はそれぞれの化学的環境における錯体の安定性についての情報をもたらし、このため、錯体の安定定数ともいわれる。定数の値が大きければ大きいほど、錯体はより安定的なものとなる。
【0034】
本発明にしたがってなされたステップ1b)における上述された平衡状態のシフトは、たとえば溶液中の錯化アニオンの濃度を低減させることにより行なわれる。したがって、平衡定数によれば、溶液中の錯形成していない多価金属イオンの濃度は高くなる。平衡シフトは何らかの変化により、特に温度上昇により影響を受けることがある。これは平衡定数が他の何よりも温度に依存しているためである。また、不溶性アルギン酸を生成することなく、錯形成したアニオン/遊離型アニオンの平衡反応に影響を及ぼす可能性がある他の金属塩を添加することも考えられる。
【0035】
しかしながら、均衡状態のシフトは、溶液中の遊離の錯化アニオンの濃度を低減することによりなされることが好ましく、少なくとも1種の酸を添加することによりなされることが特に好ましい。
【0036】
【化2】

【0037】
添加される酸は、錯化アニオンの共役酸より強い酸であることが好ましく、すなわち錯化アニオンをプロトン化できるものが好ましい。しかしながら、アニオンとしてのクエン酸塩の場合のクエン酸などの共役酸自体もまた添加されてもよい。Caなどの多価カチオンの塩の解離に起因するクエン酸塩は(クエン酸塩)3−の形で形成されるため、クエン酸を水溶液中に添加することによりプロトン化がなされ、クエン酸水素が形成されて、これにより錯形成平衡から除かれる。
【0038】

【化3】

【0039】
好ましい酸としてはたとえば、塩化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸、または酢酸その他などの脂肪族カルボン酸があげられる。
【0040】
添加される酸の量は、用いられる錯塩および水溶液中の錯形成定数に依存する。たとえば、錯塩の濃度の0.1倍から20倍(mol/mol)になる可能性がある。特に、クエン酸のような酸に対するクエン酸カルシウムのモル比率は、0.1から20の間が好ましく、0.5から10の間がより好ましい。
【0041】
概して、pHを約pH6.0未満に調節することは、溶解したアルギン酸塩が大過剰になる、すなわち、多価金属塩の不溶性のアルギン酸塩が沈澱、あるいは溶液がゲル化するのに充分な程度にまで、多価金属塩の濃度を増加させるのに大いに十分なほど錯形成定数をシフトさせるのに充分である。
【0042】
このステップで調節されたpH値は、驚くべきことに、得られた多孔質成形品の破壊に対する強さに影響をおよぼすことが見いだされている。より強い破壊に対する強さを得るためには、pH値はpH6未満であることが好ましく、pH5未満であることがより好ましい。このような低いpH値は、懸濁液全体で、ステップb)で調節された2質量%未満の低いアルギン酸塩の濃度との組み合わせにおいて特に好ましい。
【0043】
不溶性アルギン酸塩の形成速度および、アルギン酸溶液または懸濁液の流動性または注入性は、酸を添加する量および比率により極めて正確かつ容易に制御することが可能であり、必要であれば温度制御によっても制御することができる。これが可能なのは、水溶液中のプロトンが高速で拡散するためである。したがって乾燥させたあと、少なくとも約1cmもの厚みを有する均質な成形品を得ることもまた可能である。これらの成形品は、充分な濡れに対する強さ、特に濡れによる破壊に対する強さを有する。このため、後述するように、必要ならば次いでより薄い層に切断または圧縮および/または穿孔したのち、美容用または医療用のスポンジ様の濡れに対する強さを有する材料として用いることもできる。
【0044】
[ステップb2)]
本発明によるプロセスのさらなる実施形態(ステップb2))において、先行技術と比較して、アルギン酸塩溶液中の不溶性アルギン酸塩の形成をさらに減速することができる。これにより、多価金属塩がアルギン酸溶液に、より均質に取り込まれるのを助け、したがって多孔質成形品が均一な品質となることを助ける。この形成の遅延は(先行技術で行なわれるように)アルギン酸塩と、水に溶けにくい塩を形成する多価金属イオンの水溶性塩(例えば塩化カルシウムなど)を、ステップa)のアルギン酸溶液に添加することによりなされるのではなく、これらの多価金属塩の水に溶けにくい塩(たとえばCaSOなど)を添加することによりなされる。
【0045】
まず、ステップb2)で、多価金属イオン用の多座配位の錯化剤を水溶性アルギン酸塩の水溶液に添加する。当然のことながら、多座配位の錯化剤をイオン性化合物の態様でまたは共有結合性化合物として、たとえば共役酸の態様で添加する。多座配位の錯化剤は固体物または溶解物の形でアルギン酸塩溶液に添加されてもよい。原則的に上述された錯化剤は、水に溶けにくいアルギン酸塩を形成する多価金属イオンと塩を形成しうる。またさらに、アルギン酸塩と水に溶けにくい化合物を形成しない一価または多価の金属イオンと塩を形成しうる。このような金属塩の混合物をまた用いてもよい。(クエン酸ナトリウムなど、またはその共役酸類、たとえばクエン酸など)アルギン酸塩と水に溶けにくい化合物を形成しない一価または多価の金属イオン類の塩が好ましい。なぜならば、多座配位のアニオンによる、水に溶けにくいアルギン酸の形成に供せられる遊離型多価金属イオンを形成することを遅らせる効果がより顕著になるからである。しかしながら原則的に、たとえばクエン酸カルシウムなど、ステップb1)で用いられる多価金属イオンと多座配位の錯化アニオンとの塩を添加してもよい。
【0046】
この、または他の変形例においては、たとえば硫酸カルシウムなどの多価金属イオンの水に溶けにくい金属塩を混合したのち、または混合中に、アルギン酸と水に溶けにくい化合物を形成する遊離型金属イオンの濃度をあげるため、そしてアルギン酸の均質な架橋を促進するために、必要であれば酸を添加してもよい。好ましい酸類としてはたとえば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、またはたとえば酢酸などの脂肪族カルボン酸があげられる。塩酸は特に好ましい。
【0047】
さらにステップb2)の変形例において、設定されたpH値が得られた多孔質成形品の破壊に対する強さに影響を及ぼすことが見受けられる。したがって、より大きい破壊に対する強さを得るためには、ステップb2)でもまたpH値はpH6未満であることが好ましく、pH5未満であることがさらに好ましい。そして、繰り返しになるがこれらの低いpH値は、懸濁液全体で、ステップb)にて調節された2質量%未満の低いアルギン酸塩の濃度との組み合わせにおいて特に好ましい。pH値の調節は原則的に、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸などの錯化剤が添加されたアルギン酸塩溶液にHCIなどの酸を事前に添加することによりなされてもよい。これに続いて、CaSOなどの水に溶けにくい金属塩を添加する。
【0048】
多価金属イオン用に添加された多座配位の錯化剤の濃度は約0.0001mol/Lから1mol/Lまでとなるが、0.001mol/Lから0.5mol/Lまでであることが好ましい。多価金属イオン用に添加された多座配位の錯化剤のモル量に対する水溶性アルギン酸のモル比率は、0.0001から1であることが好ましく、さらには0.001から0.5であることが好ましい。
【0049】
ステップb2)の第2の添加ステップで水に溶けにくい塩の形態で添加された多価金属イオンは、アルギン酸塩または架橋アルギン酸塩と水に溶けにくい塩を形成する金属イオンである。この点については、ステップb1)で説明された塩を参照してもよい。原則的に対応するアニオンは任意に選択されてもよい。しかしながら水中においてこれらのアニオンは、多価金属イオンすなわちカチオンと、水に溶けにくい塩を形成する必要がある。ここでもカルシウム塩、特に硫酸カルシウムが好ましい。他の炭酸塩のようにCaCOもまた、あまり好ましくない。なぜならば好ましい酸性条件下での水に溶けにくいアルギン酸塩の調製においてCOが発生するからであり、これにより反応およびアルギン酸塩を含有のする成形体の品質の制御を困難にするからである。
【0050】
ステップb2)で添加される多価金属イオンの水に溶けにくい塩の20℃の水における溶解度は10g/L未満となることが好ましく、5g/Lとなることがより好ましく、0.1g/Lから3g/Lとなることがさらに好ましい。溶解度がより高い場合には、水に溶けにくいアルギン酸塩の形成がより早くなる場合があるため、これにより考えられる反応時間が低下して、結果的に不均質な生成物を生じることになる。一方、溶解度が上述の範囲より低い場合には、水に溶けにくいまたは架橋されたアルギン酸塩の形成があまりにも遅くなり、これもまた望ましいものではない。
【0051】
特に、水に溶けにくいアルギン酸塩を形成しない塩、例えば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの塩をさらに混合することにより、多価金属イオンの水に溶けにくい塩の溶解度をさらに低減させることができ、これにより加工性または均質性を高めることができる。
【0052】
多価金属イオンの溶けにくい塩の量は、結果として得られる溶液中の塩の濃度が約0.1mmol/Lから500mmol/Lの間になるように適宜選択される。この場合には、当該濃度は、たとえ塩が完全に溶解しないとしても、溶液量に対する塩の全体量を意味する。
【0053】
水溶性アルギン酸塩の量に対する添加された多価金属イオンの溶けにくい塩の量は、多価金属イオンの溶けにくい塩に対するアルギン酸塩のモル比率が0.001から1の間となるように選択することが好ましい。
【0054】
添加された多座配位の錯化剤の量に対する添加された多価金属イオンの溶けにくい塩の量は、多価金属イオンの溶けにくい塩と多座配位の錯化剤とのモル率が、0.1と10との間になるように選択されることが好ましい。
【0055】
2種類のプロセスb1)およびb2)によると、錯形成していない二価金属イオンの濃度上昇が低くなるため、溶けにくいアルギン酸の形成は適切に制御される。これにより、室温(20℃)で約1000mPas以下の粘度であることによりで示されるアルギン酸塩溶液の流動容易性を保つことが、少なくとも1分、好ましくは、約2分、さらに好ましくは、約3分の間、可能となる。
【0056】
ステップb1)およびb2)によると、アルギン酸塩ゲルまたはその混合物の形成はそれぞれ、たとえばコロイドミルなどの固定子/回転子システムを有する混合装置で行なわれることが好ましい。
【0057】
[ステップc)]
(まだ)流動性のあるアルギン酸塩混合物をのちの乾燥に望ましい型に既知の態様で注入する。ここで流動性のあるアルギン酸塩混合物の層の厚みは、最大で50cmまで可能である。好ましい形状は、長方形の配置をした箱型である。プロセスの任意の段階で注入をすることができる。たとえば、ステップa)の水溶性アルギン酸塩の溶液は、のちの乾燥に用いられる型の中で充分に完全に混合されることが確実な場合には、この型の中に既に注入されていてもよい。しかしながら、ステップb1)またはb2)で水に溶けにくいアルギン酸塩の架橋または沈殿の形成が開始されたのちに、注入がなされることが好ましい。
【0058】
[ステップd)]
ステップd)の乾燥は既知の態様で行なう。凍結乾燥法が特に好ましい。凍結乾燥法もまた既知の態様で行なってもよいが、たとえば本発明の状況においては独国特許第4328329号明細書または独国特許第4028622号明細書が参照されてもよい。これらの特許文献は本発明によるプロセスのステップd)に関して明白に参照されるものであり、本発明によるプロセスの一部である。
【0059】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態において、ステップd)に先立って、特にステップc)に先立って、少なくとも1つの他の成分が加えられる。この成分は、美容上または医療用の有効成分、さらに天然または合成のハイドロコロイド形成重合体および美容上または医療用の補助剤または添加剤からなる群から選択される。
【0060】
さらに天然または合成のハイドロコロイド形成重合体は、水溶液内でゲルまたは粘性溶液を形成する、(部分的に)水溶性の天然または合成の重合体を含む。重合体は、さらなる天然多糖類、人工的に修飾されたそれらの誘導体または合成重合体から適宜選択される。さらなる多糖類にはたとえば、ホモグリカン類またはヘテログリカン類で、たとえばカラゲニン、ペクチン、トラガカント、グアーガム、ガロブビーンガム、寒天、アラビアガム、キサンタンガム、天然のおよび修飾したでんぷん、デキストラン、デキストリン、マルトデキストリン、キトサン、β−1,3−グルカン、β−1,4−グルカン(セルロースなど)などのグルカン、特にヒアロン酸他などのムコ多糖類があげられる。合成重合体にはたとえば、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンや、メチルセルロース、カルボキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩などの合成セルロース誘導体や、セルロースエステル、特にヒドロオキプロピルセルロースなどのセルロースエーテルや、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリエチレグリコールその他があげられる。これらの高重合体の混合物もまた用いられてもよい。しかしながら、たとえばコラーゲンなどのハイドロコロイド形成タンパク質類は好ましくない。なぜならば消費者は特に化粧品においては、純粋に植物由来の製品の使用をより好む場合があるからである。
【0061】
本発明によると、ヒアルロン酸および/またはその塩および/またはそれらの誘導体が添加されることは特に好ましい。ヒアルロン酸は、β1−3グルクロン酸とβ1−4グルコサミンの部分とがひとつおきに配列された、極めて粘性の高いグリコサミングリカンである。その分子量は50000から数百万の間である。ヒアルロン酸はしばしばナトリウム塩として用いられ、たとえば主に眼科における療法、外科手術、および化粧品において用いられる。ヒアルロン酸の塩は、アルカリ金属イオン類、アルカリ土類金属イオン類、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、アンモニウムイオンまたは置換アンモニウムイオンとの塩として形成されるが、これらのヒアルロン酸の塩は薬剤の吸収を高めるための担体として用いることができる。(Roempp Chemie Lexikon、“Naturstoffe” Thieme Verlag(1997年)およびその中で引用された文書を参照のこと)。本発明によれば、約1,000,000Daから2,500,000Daの分子重量を有するヒアルロン酸ナトリウムは特に好ましい。本発明にしたがうと全く驚くべきことに、ヒアルロン酸をプロセスに加えることにより、特にプロセスb1)において、しかしプロセスb2)においてもまた、得られたアルギン酸塩含有多孔質成形品の白色度が高められる。審美的な理由から、このことは特に美容用の用途において極めて好ましい。さらに、ヒアルロン酸はまた、たとえば皮膚への加湿、傷口の治癒方法として、特に局所的な使用においてその治療上の効果を高める。
【0062】
ヒアルロン酸またはその塩は、本発明によるアルギン酸塩含有多孔質成形品に、乾燥成形品に対して約0.1質量%から90質量%で、好ましくは最大で約70質量%で添加される。
【0063】
さらに好ましい実施形態においては、本発明による多孔質成形品はカルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を含む。カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を添加することにより、驚くべきことに成形品の硬度または脆弱性を高めることなく、本発明よる多孔質成形品の光学密度を改善する。逆にカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の添加により、得られた多孔質成形品の柔軟性の向上につながる。さらにはカルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を添加することにより、成形品の安定性につながる。カルボキシメチルセルロース含有成形品の調製中に、カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩は驚くべきことに、水に溶けにくい塩、特にCaSOの沈降を防止する。カルボキシメチルセルロース、特にカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩は、本発明による成形品の中に、乾燥成形品に対して最大で90質量%存在してもよい。この存在量は水溶性の懸濁液中で設定された、最大で3質量%、好ましくは、0.2質量%から3質量%の好ましい範囲に対応するものである。
【0064】
本発明による成形品の好ましい実施形態は、カルボキシメチルセルロース特にカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩と、ヒアルロン酸および/またはそれらの塩および/またはそれらの誘導体とを含む。
【0065】
特に添加された有効成分は、美容上または治療上の、または医薬用の有効成分、特に外用に適した有効成分を含む。本発明にしたがって調製された成形品は少なくとも美容上および/または医薬用の有効成分を含むことが好ましい。したがって本発明による好ましい成形品は、美容上または治療上の有効成分であることが好ましい。美容上の成形品、または本発明の趣旨の範囲内で美容上の有効成分を用いて調製された成形品は本質的に、ドイツ食品日用品法(LMBG)の趣旨の範囲内での有効成分である。すなわち、これらは物質類または物質由来の製剤であり、洗浄、身だしなみの目的、あるいは、外見または体臭に影響をあたえる目的、または香りの印象を与えるなどの種々の目的で人間に外用されるように意図されたもので、これらの目的には疾病、不調、身体的欠陥、病的な不満を緩和したり取り除いたりするようにあらかじめ意図されたものは含まれるものではない。この観点において、本発明により調製された美容成形品は、たとえば顔面マスクその他などの化粧品用途のものであって、これらは皮膚洗浄剤および皮膚クレンジング剤として機能することが可能であり、特に顔用の皮膚保護製品、目用化粧品、唇保護製品、爪保護製品、脚用保護製品として、さらには毛髪保護または歯保護製品として機能することが可能である。
【0066】
美容上効果的な化合物または任意で用いることができる、たとえば、皮膚科的に治療上効果的な化合物の例としては以下のものがあげられる。:抗にきび剤、抗菌剤、制汗剤、収斂剤、脱臭剤、脱毛剤、皮膚用のコンディショニング剤、皮膚用スムージング剤、グリセリンまたは尿素などの皮膚保湿するための薬剤、日焼け止め、角質溶解剤、遊離型ラジカルのためのラジカル捕捉剤、消毒剤、皮膚の加齢の兆候を治療するための作用剤および/または皮膚の細胞分化および/または細胞増殖および/または色素沈着を調製するための薬剤、ビタミンCなどのビタミン類、炎症を起こす副作用を有する薬剤、たとえばα−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、β−ケト酸、レチノイド類(レチノール、レチナール、レチノイン酸)、アントラリン類(ジオキシアントラノール)、アントラノイド、過酸化物(特に過酸化ベンゾイル)、ミノキシジル、リチウム塩、代謝拮抗物質、ビタミンDおよびその誘導体;カテコール、フラボノイド、セラミド、脂肪性物質、たとえばミネラルオイル、たとえばパラフィンオイル、シリコーンオイルや、たとえばココナッツオイル、スイートアーモンドオイル、アプリコットオイル、トウモロコシ油、ジョジョバオイル、オリーブオイル、アボガドオイル、ごま油、パーム油、ユーカリオイル、ローズマリーオイル、ラベンダーオイル、パインオイル、タイムオイル、ミントオイル、カルダモンオイル、オレンジブロッサムオイル、大豆油、ブランオイル、米油、なたね油およびひまし油、小麦胚芽油などの植物油、およびこれらから分離されたビタミンE、アカバナ油、植物レシチン、(たとえば大豆レシチン)、スフィンゴ脂質/セラミド、植物油、牛脂、ラノリン、バターオイルなどの動物油または脂肪、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、皮膚温度に対応した融点を有する蝋類、(たとえば、蜜蝋、カルナバ蝋、カンデリラ蝋などの動物性の蝋、たとえばマイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、たとえばポリエチレンワックスまたはシリコーンワックスなどのミネラルワックス)、さらには美容上の目的に適した全てのオイル類、たとえばワシントン、The Cosmetic,Toiletry and Fragrance Association社刊(1988年)第1刷であるCosmetic Ingredient Handbookという題名のCTFAの論文で挙げられているもの、多不飽和脂肪酸、本質的には脂肪酸(たとえばγ−リノレン酸)、酵素、補酵素、酵素阻害剤、水和剤、皮膚スムージング剤、洗剤または発泡剤、無機または合成のつや消し添加剤、研磨剤などがあげられる。その上、これらより得られた植物活性物質の抽出液またはエッセンス、あるいはそれぞれの物質が挙げられる。これらは本発明による多孔質成形体に添加されてもよい。一般に、植物活性物質の抽出物は概して、固体の植物抽出物、液体の植物抽出物、親水性の植物抽出物、脂肪親和性の植物抽出物、それぞれの植物成分、および、たとえばフラボノイドおよびそのアグリコンなど、これらの混合物を含む群から選択される。たとえば、ルチン、クエルセチン、ジオスミン、ハイパーオシド(hyperoside)、(ネオ)ヘスペリジン、ヘスペリチン、ギンクゴ ビロバ(Ginkgo biloba)(たとえばイチョウのフラボン配糖体)、サンザシ属(Crataegus)の抽出物(たとえばオリゴマー化したプロシアニジン)、ソバ(たとえばルチン)、ソフォラ ジャポニカ(Sophora japonica)(たとえばルチン)、カバノキの葉(たとえばクエルセチン配糖体、ハイパーオシド(hyperoside)およびルチン)、エルダーフラワー(たとえばルチン)、ライムの花(たとえばクエルセチンおよびファルネソールを含むエーテルオイル)、ヒペリカム属(Hypericum)のオイル(たとえばオリーブオイルエッセンス)、キンセンカ属(Calendula)、ウサギギク属(Arnica)(たとえばエーテルオイルを含有する花の油性エッセンス、フラボノイドを含有する極性エッセンス)、メリッサ属(Melissa)(たとえばフラボン、エーテルオイル)など。免疫賦活剤、たとえばエキネシア パープレア(Echinacea purpurea)(たとえばアルコール性エッセンス、新鮮な植物絞汁、圧搾絞汁)エロイスロコッカス センティコサス(Eleutherococcus senticosus)など。アルカロイド、たとえばラウウォルフィア属(Rauwolfia)(たとえばプラジマリン)、ミルテ(たとえばビンカミン)など。他の植物由来の薬剤、たとえばアロエ、セイヨウトチノキ(たとえばエスシン)、ニンニク(たとえばニンニクオイル)、パイナップル(たとえばブロメライン)、チョウセンニンジン(たとえばジンセノサイド)、ノゲシの果実(たとえばシリマリンについて標準化された抽出物)、ルスカスの根(たとえばルスコゲニン(ruscogenin))、カノコソウ(たとえばバレポトリエート(valepotriate)、tct、バレリアナ(valerianae))カバカバ(たとえばカバラクトン)、ホップフラワー(たとえばホップビター)、パッションフラワー(extr. passi−florae)、ゲンチアナ(たとえばエタノール抽出物)、アントラキノン含有チンキ剤、たとえばアロイン含有アロエベラ絞汁、花粉抽出物、海藻抽出物、リコッシュ根抽出物、パーム抽出物、ガルフィミア属(Galphimia)(たとえばチンキ剤原液)、セイヨウヤドリギ(たとえば水溶性のエタノールエッセンス)、植物ステロール(たとえばβ−シトステロール)、モウズイカの花(たとえば水溶性アルコール抽出物)、ドロセラ属(Drosera)(たとえばリキュールワイン抽出物)、サジーの果実(たとえばサジーから得られた絞汁またはサジーオイル)ウスベニタチアオイの根、サクラソウの根の抽出物、ゼニアオイ属(Mallow)、ヒレハリソウ、ツタ、トクサ、ノコギリソウ、ヘラオオバコ(たとえば圧搾液)、イラクサ、クサノオウ、パセリなどの新鮮な植物性抽出物)など。ノロラエナ ラバタ(Norolaena lavata)、タゲテス ルチダ(Tagetes lucida)、ティーオマ シエムス(Teeoma siems)、モモルディカ カラティア(Momordica charatia)およびアロエベラの抽出物などである。
【0067】
好ましい美容上の有効成分は、天然および合成の保湿ファクター(たとえばグリセリン、尿素およびセラミド)、皮膚保護剤、皮膚に明るさをもたらす薬剤、ビタミン、加齢を抑えるといわれる酸化防止剤、抗炎症剤、日焼け止め、その他である。
【0068】
さらに好ましい美容上の有効成分は天然脂肪およびオイルであり、すなわち、例えば皮膚の保湿効果のための天然脂肪酸のトリグリセリドである。
【0069】
特に好ましい美容上の有効成分は尿素であり、局部麻酔効果を有すると考えられている。
【0070】
上述された基本的に化粧品の分野で主に用いられてきた成形品とは異なり、治療上(薬剤として)用いられている成形品の場合には、薬用のまたは治療上の、特にまた皮膚科学上の有効成分を少なくとも一つ含むか、あるいは、ドイツ薬事法の意図する趣旨の範囲内で、とりわけ疾病、不調、身体的欠陥、病的な不満を治療し、緩和し又は防止することを意図しているのかが問題となる。このような薬剤または有効成分は外用に意図されたものであるが、これらの場合においては皮膚に対する有効成分であるかまたは経皮的に有効な成分であるかが問題となる場合もある。これらの薬剤または有効成分にはたとえば、皮膚疾病の治療用薬剤、外用可能な鎮痛剤(例えば、デキストロプロポクシフェン、ペンタゾシン、ペチジン、ブプレノルフィン)、抗リウマチ剤/抗炎症薬(NSAR)(例えばインドメタシン、ジクロフェナック、ナプロキセン、ケトプロフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、サリチル酸およびアセチルサリチル酸、オキシカムなどのサリチル酸誘導体)、ステロイドホルモン(例えばベタメタゾン、デキサメサゾン、メチルプレドニゾロン、エチニルエストラジオール、メドロエルゴタミン、ジヒドロエルゴトキシン)、痛風治療(例えばベンズブロマロン、アロプリノール)、外用皮膚剤(抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス性有効成分、抗炎症性有効成分、かゆみ止めの有効成分、麻酔有効成分(例えばベンゾカイン、コルチコイド)、抗にきび剤、駆虫性有効成分を含む)、外用可能なホルモン、静脈治療剤、免疫抑制剤、その他全ての外用薬剤を含む。
【0071】
好ましい治療剤は鎮痛剤、例えば、免疫抑制剤、ホルモン剤や、神経皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾病の治療薬剤、その他および抗ヘルペス剤などである。
【0072】
さらに本発明にしたがって調製される多孔質成形品は1または複数の補助物質を含んでもよい。補助物質は、充填剤、緩衝剤などのpH調節剤、安定剤、共溶媒、薬学上または美容上慣習的に用いられているあるいはその他の染料および顔料、防腐剤、可塑剤、潤滑剤および滑らかにする薬剤その他を含む。スクアランは特に好ましい補助物質である。スクアランは肌のほてりをおさえて滑らかにする効果を有する。
【0073】
さらに本発明は、多価金属イオンと多座配位の錯化アニオンとの塩を用いて、多孔質アルギン酸塩含有成形品を調製することに関する。これはつまり、かかる成形品の形成中に塩が添加され、調製のいかなる段階においてもかかる成形品が部分的または完全に形成されることはないことを意味する。
【0074】
本発明により、多価金属イオンのアルギン酸塩を含有する多孔質成形品が調製されてもよいが、この成形品はその厚みが少なくとも1cm、好ましくは、少なくとも2cmであり、アルギン酸塩と多価金属イオンの塩を含有する水溶液を架橋し(または沈降させ)、ついでこれにより得られる架橋されたアルギン酸の水溶性懸濁液を乾燥することにより得られる。ここで成形品の厚みはかかる成形品間の2点の間のもっとも短い距離を意味する。所望の濡れに対する強さ、特に所望の濡れによる破壊に対する強さ、切断されることが可能である特性などを備えた、このように厚みのある大きい型の成形品を調製することはこれまで、従来技術においても不可能なことであった。これらの多孔質成形品は、本発明によるプロセスを介して得られることが好ましい。粉砕した不溶性アルギン酸塩を凍結乾燥する工程からなるプロセスは、ここで意図される使用法には適さないような、容易にばらばらになってしまう多孔質またはスポンジ様材料を提供する。
【0075】
20℃の水100gの中に成形品1グラムを懸濁すると、発明による多孔質成形品はpH7未満のpH値を有し、好ましくはpH6未満のpH値を有する。このような酸性のpH値は皮膚への化粧用の用途において特に好ましい。
【0076】
本発明による多孔質成形品は、好ましくは0.005g/cmから1g/cmの密度を有し、好ましくは0.01g/cmから0.5g/cmの密度を有する(ドイツ連邦規格53420により測定)。
【0077】
本発明による多孔質成形品は、好ましくは少なくとも層の厚みに対して約10mN/mmの濡れに対する強さを有する(ドイツ連邦規格53328により測定)。
【0078】
本発明による多孔質成形品は、たとえばアルギン酸カルシウム繊維などの糸状のアルギン酸繊維を含まない、あるいは本質的に含まない。
【0079】
上述された本発明による多孔質成形品は、上述されたように、化粧品または医療上の有効成分、さらに天然または合成ハイドロコロイド形成重合体、および化粧品または医療上の補助剤または添加剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含んでもよい。これらは本発明による多孔質成形品中に、最大量で多孔質成形品に対して重量で075g/g、好ましくは、0.5g/g未満、含まれてもよい。
【0080】
上述された本発明による多孔質成形品は、本発明による多孔質成形品を既知の態様で切断することによって層状になった成形品を調製するのに極めて適している。たとえばこれは、粉砕した不溶性アルギン酸を結乾燥する事により得られるスポンジ様材料では可能なことではない。本発明による多孔質成形品を切断することにより、0.5mmから20mmの厚さを有する層が得られる。本発明はまたこのようにして得られた層状の多孔質成形品に関する。このような層状の多孔質成形品は特に、包帯に用いる材料、傷の応急手当用の包帯に用いる材料、インプラント材料、細胞培養マトリックスなどの為の材料のような美容用または医療用のパッドなど、外用の用途に適している。
【0081】
またさらに、本発明による多孔質成形品は、たとえば、コラーゲンをもとにしたものについて本願出願人の欧州特許第0901792号明細書で記載されているように、圧縮され、膨張可能なスポンジ様成形品の調製に極めて適している。それらは大きい型の多孔質成形品から、特に凍結乾燥後、穿孔および/または圧縮により、特に工業的な規模で容易に調製されうる。これは、従来技術のプロセスにでは諸々の問題があり、これまで不可能であった。
【0082】
このような圧縮された成形品は口腔、頬、鼻腔での使用に適しており、たとえば有効成分、栄養補助食またはビタミン類をさらに含んでいてもよい、飽和圧縮成形品などが挙げられる(独国特許第19942417号明細書参照)。
【0083】
さらに本発明による多孔質成形品が水に溶けにくい性質を有しているために、これらの成形品は有効成分をしみこませた発泡体の調製に適しており、この発泡体において有効成分は制御された態様で、特に遅延された態様で放出される。このような発泡体は、有効成分を含有するスポンジ様材料、たとえばインプラント、膣坐剤、経口投与可能な発泡体を含む。口腔内に利用可能な発泡体は、特に圧縮された成形品である場合は、保湿状態においては圧縮された体積の何倍にも膨張し、かつ含有する有効成分をスポンジ様マトリックスから放出する。(国際公開第98/09617号パンフレット)
【0084】
さらに本発明は、多価金属イオンのアルギン酸塩およびヒアルロン酸および/またはその塩および/またはその誘導体を含む多孔質成形品に関する。上記に説明されるように、これらの成形品は完全に驚くべきことに、高い度合いの白色度を有しており、これは特に化粧品の分野での利用において極めて好ましいものであるが、また医療用の利用においても好ましい。このようなヒアルロン酸含有多孔質成形品の組成に関しては上述された説明を参照されたい。ヒアルロン酸含有多孔質成形品は、本発明によるプロセスにより調製されることが好ましい。
【0085】
さらに本発明は、本発明による多孔質成形品、または本発明よるプロセスにより得られた成形品の化粧品剤としての使用に関する。多孔性成形品は、美容用の用途としては、多価金属イオンのアルギン酸塩と、ヒドロキシ酸、特にヒドロキシポリカルボン酸とを含むことが好ましい。ヒドロキシポリカルボン酸としては、たとえば特に、クエン酸が挙げられるが、本発明による多孔質成形品の調製中に、上述された多座配位の錯化剤のとして添加されてもよい。
【0086】
本発明による多孔質成形品の美容用の使用は、好ましくは、美容用皮膚用パッドとして行なわれる。このパットは保湿された状態で皮膚に使用され、たとえば含有する有効成分が吸収された後など、一定の曝露時間を経たのちに取り除かれる。アルギン酸塩自体もまた、皮膚に水分を補給する、皮膚を滑らかにするといったような美容効果を有する。
【0087】
さらに、本発明は医療用製品を調製するための、本発明による多孔質成形品または本発明によるプロセスにより得られた成形品の利用に関する。これらの医療用製品はたとえば、包帯、経皮性の包帯、創傷絆創膏、インプラント、細胞培養のための基質、固形のインプラントの形態で有効成分の投与を制御する、特に遅延させる手段、または経口的に投与できる遅延できる調製としての手段、または胃の中の圧縮された多孔質成形品が膨張するために飽和効果を有する飽和圧縮物と称される手段を含む。飽和圧縮物はまた栄養補助食、ビタミン類、ミネラル類または他の有効成分を含んでもよい。
【0088】
本発明による多孔質成形品または本発明によるプロセスにより得られた成形品は、特に化粧用または医療用パッドなど外用を目的に供することが好ましい。さらに上述されてきたように、口腔、頬、膣、鼻腔での使用などが可能である。前述されてきたように、本発明により提供されるアルギン酸塩から作られた均質な厚みを有する多孔質成形品により、切断、プレス、圧縮および/または穿孔などの既知のプロセスによる工業的な規模でのこれらの利用分野の態様のいかなる調製も可能となる。
【0089】
特に好ましい成形品は乾燥物質、すなわち残留の水分なしの乾燥物質に対して、約6質量%から100質量%のアルギン酸塩と、0質量%から約90質量%のカルボキシメチルセルロース、特にそのナトリウム塩と、0質量%から約70質量%のヒアルロン酸および/またはその塩および/またはその誘導体と、0質量%から約90質量%の天然または合成オイルと、0質量%から約70質量%のクエン酸またはその塩とを含む。次に挙げる範囲は、後に凍結乾燥される、ステップc)の水溶性懸濁液での好ましい範囲に対応したものであり、約0.2質量%から3質量%のアルギン酸塩と、0質量%から約3質量%のカルボキシメチルセルロース、特にそのナトリウム塩と、0質量%から約1質量%のヒアルロン酸および/またはその塩および/またはその誘導体と、0質量%から約3質量%の天然または合成オイルと、0質量%から約1質量%クエン酸またはその塩と、を含む。
【0090】
本発明による成形品は、層の形状をしていることが好ましく、すなわちその成形品の長さおよび幅は成形品の厚みの少なくとも10倍、好ましくは、20倍である。これらの層はまた、たとえば顔面マスクなどの特定の形状に切断されてもよい。これらの層は少なくとも25cm、より好ましくは少なくとも50cm、さらに好ましくは少なくとも約100cmの面積を有することが好ましい。
【0091】
本発明はまた上述された少なくとも1つの層を含む積層物に関する。かかる積層物は、少なくとも1つのさらなる担体層を少なくとも一方の側面に積層されている。本発明にしたがった層は一方の側面のみに積層されることが好ましく、1つの担体層のみを有することが好ましい。担体層はレーヨン織物(ビスコース)からなることが好ましい。かる積層物は包帯や創傷用絆創膏として、特に化粧マスクとして用いられることが好ましい。
【0092】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つの成形品および少なくとも1つの水溶液を含む組み合わせに関する。水溶液は組み合わせた空間的配置(使用パッケージ、セット、パーツキット、その他)を有する1または複数の有効成分および/または補助剤を含む。有効成分の溶液はたとえば容易に揮発する有効成分または補助剤の溶液でもよい。このような有効成分、たとえば特定量の精オイル、香水などは、成形品の調製プロセスが凍結乾燥によるものであるため、成形品に当初から組み込んではならないし、また組み込むことはできない。さらに、溶液はまた製薬上のまたは美容上の有効成分を含んでもよい。以下の例を参照にしながら、本発明のさらなる詳細を述べる。
【実施例】
【0093】
[実施例1]
(調製方法1:カルシウムを多座配位子と錯形成させ、その後クエン酸の添加により平衡状態をシフトする)
【0094】
ステップ1:
2500g 逆浸透水(逆浸透圧法による脱イオン水)
32.5g アルギン酸ナトリウム
10.0g クエン酸カルシウム
アルギン酸塩の粉末を逆浸透水に入れ混合装置で均質な混合物が得られるまで混合する。次にクエン酸カルシウムを混ぜながら添加する(この段階で必要であれば、美容および/または医療用有効成分および/またはオイル類または他の物質を溶液中で適宜添加してもよい)。
【0095】
ステップ2:
100g 逆浸透水
12.5g クエン酸
クエン酸をかき混ぜながら100mlの逆浸透水に添加する。
【0096】
ステップ3:
ステップ1および2の溶液を約30秒間、均質に混合する。
【0097】
ステップ4:
ステップ3で得られた混合物を型に注入し、約2時間そのままにして反応させる。
【0098】
ステップ5:
ゲル化した成形品を急速冷凍させるとともに凍結乾燥させる。
【0099】
ステップ6:
凍結乾燥された大きい型の多孔質またはスポンジ様の成形品は、必要であれば、さらに追加の物質を添加し、さらに上述の態様で調製してもよい。
【0100】
[実施例2]
(調製方法2:多価の錯化剤を加え、その後で水に解けにくいカルシウム塩を添加する調整法の例)
【0101】
ステップ1:
2500g 逆浸透水(逆浸透圧法による脱イオン水)
32.5g アルギン酸ナトリウム
12.5g クエン酸
アルギン酸塩の粉末を逆浸透水に入れ混合装置で均質な混合物が得られるまで混合する。次にクエン酸をかき混ぜながら添加する。(この段階で必要であれば、美容および/または医療用有効成分および/またはオイル類または他の物質を適宜、溶液中に添加してもよい。)
【0102】
ステップ2:
50g 逆浸透水
10.0g 硫酸カルシウム
硫酸カルシウムをかき混ぜながら50mlの逆浸透水に添加する。
【0103】
ステップ3:
ステップ1および2の溶液を約30秒間、均質に混合する。
【0104】
ステップ4:
ステップ3で得られた混合物を型に注入し、約1時間そのままにして反応させる。
【0105】
ステップ5:
ゲル化した成形品を急速冷凍させるとともに凍結乾燥させる。
【0106】
ステップ6:
凍結乾燥された大きい型の多孔質またはスポンジ様の成形品は、必要であれば、さらに追加の物質を添加して、さらに上述の態様で調製してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸塩含有多孔質成形品を調製するためのプロセスであって、
a)水溶性アルギン酸塩の水溶液を用意するステップと、
bl)多価金属イオンと多座配位の錯化アニオンとの1または複数の塩を前記水溶性アルギン酸塩の水溶液に添加し、前記多価金属イオンと前記多座配位の錯化アニオンとの錯形成平衡をシフトし、そしてアルギン酸塩の溶液内の前記多価金属イオンの有効濃度をあげ、これによりアルギン酸塩と前記多価金属イオンとの塩を形成するステップと、
または、
b2)前記水溶性アルギン酸塩の水溶液に多価金属イオンに対する多座配位の錯化剤を添加し、
かつ、
1または複数の前記多価金属イオンの水に溶けにくい塩を添加するステップと、
c)流動可能な水溶性のアルギン酸塩の混合物を型内に注入するステップと、
d)前記アルギン酸塩含有多孔質成形品の形成している前記水溶性アルギン酸塩の混合物を乾燥させるステップと、を含む前記アルギン酸塩含有多孔質成形品を調製するためのプロセス。
【請求項2】
ステップa)による前記水溶性アルギン酸塩はアルギン酸アルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記多価金属イオンはアルカリ土類金属イオンから選択されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記多価金属イオンはカルシウムイオンであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記多座配位の錯化アニオンまたは錯化剤はそれぞれ、ポリカルボン酸のカルボン酸塩であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記多座配位の錯化アニオンまたは錯化剤はそれぞれ、α−ヒドロキシポリカルボン酸のカルボン酸塩であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記多座配位の錯化アニオンまたは錯化剤はそれぞれ、クエン酸およびリンゴ酸から選択されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記多座配位の錯化アニオンまたは錯化剤はそれぞれ、クエン酸であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップb1)における前記多価金属イオンと前記多座配位の錯化アニオンとの前記錯形成平衡の調節は少なくとも1つの酸を添加することにより達成されることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
添加された、ステップb2)の前記多価金属イオンの水に溶けにくい塩は、20℃で10g/L未満の水に対する溶解度を示すことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
添加された、前記多価金属イオンの水に溶けにくい塩は硫酸カルシウムであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
ステップd)による乾燥方法は凍結乾燥法であることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
美容用物質または医療用物質、さらに天然ハイドロコロイド−形成重合体または合成ハイドロコロイド−形成重合体、あるいは美容用補助剤または医療用補助剤または美容用添加剤または医療用添加剤からなる群から選択される、少なくとも1つのさらなる構成成分をステップd)を行なう前に、さらに添加することを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記さらなる構成成分は少なくとも天然の多糖類または修飾した多糖類であることを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記さらなる構成成分はヒアルロン酸またはその塩であることを特徴とする請求項13または請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記さらなる構成成分として、カルボキシメチルセルロースまたはその塩を添加することを特徴とする請求項13ないし請求項15のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記さらなる構成成分として、尿素を添加することを特徴とする請求項13ないし請求項16のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記さらなる構成成分として、スクアランを添加することを特徴とする請求項13ないし請求項17のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項19】
多孔質アルギン酸塩含有成形品を調製するための、多価金属イオンと多座配位の錯化アニオンとの塩の使用法。
【請求項20】
多価金属イオンのアルギン酸塩を含有する多孔質成形品であって、少なくとも1cmの厚みを有し、かつ架橋したアルギン酸塩は、アルギン酸含有水溶液を前記多価金属イオンの塩で架橋し、次いで水溶性の懸濁液を乾燥して得られる、前記多価金属イオンのアルギン酸塩を含有する前記多孔質成形品。
【請求項21】
請求項1ないし18のいずれか1項に記載のプロセスにしたがって得られた請求項20に記載の前記多孔質成形品。
【請求項22】
20℃で100gの水に1gの成形品を懸濁させた懸濁液がpH7未満のpH値に達する請求項20または請求項21に記載の前記多孔質成形品。
【請求項23】
ドイツ連邦規格53420によれば、0.005g/cmから1g/cmの密度を示す請求項20から請求項22のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品。
【請求項24】
ドイツ連邦規格53328によれば、層の厚みに対して少なくとも10mN/mmの濡れによる破壊に対する強さを示す請求項20から請求項23のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品。
【請求項25】
美容用物質または医療用物質、さらに天然合成ハイドロコロイド−形成重合体または合成ハイドロコロイド−形成高重合体、ならびに美容用補助剤または医療用補助剤または美容用添加剤または医療用添加剤からなる群から選択される、少なくとも1つの前記さらなる構成成分を添加することを特徴とする請求項20ないし請求項24のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品。
【請求項26】
ヒアルロン酸またはその塩を含むことを特徴とする請求項20ないし請求項25のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品。
【請求項27】
カルボキシメチルセルロースまたはその塩を含むことを特徴とする請求項20ないし請求項26のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品。
【請求項28】
尿素を含むことを特徴とする請求項20ないし請求項27のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品。
【請求項29】
スクアランを含むことを特徴とする請求項20ないし請求項28のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品。
【請求項30】
層状の成形品を作成するためのプロセスであって、請求項20ないし請求項29のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品を切断するか、あるいは請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載のプロセスにより得られた前記アルギン酸塩含有多孔質成形品を切断することにより、前記層状の成形品を作成するためのプロセス。
【請求項31】
圧縮された成形品を作成するためのプロセスであって、請求項20ないし請求項29のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品を圧縮するか、あるいは請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載のプロセスにより得られた前記アルギン酸塩含有多孔質成形品を圧縮することにより、前記圧縮された成形品を作成するためのプロセス。
【請求項32】
経口投与される調剤を作成するための請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
経口投与される飽和圧縮物を作成するための請求項31または32に記載のプロセス。
【請求項34】
有効成分の放出を制御する、経口投与される調剤を作成するための請求項31に記載のプロセス。
【請求項35】
請求項30ないし34のいずれか1項に記載のプロセスにより得られる前記多孔質成形品。
【請求項36】
多孔質成形品であって、アルギン酸塩、多価金属イオンおよびヒアルロン酸および/またはその塩および/またはその誘導体を含む前記多孔質成形品。
【請求項37】
多孔質成形品であって、多価金属イオンのアルギン酸塩およびカルボキシメチルセルロースおよび/またはその塩を含む前記多孔質成形品。
【請求項38】
多孔質成形品であって、多価金属イオンのアルギン酸塩および尿素を含む前記多孔質成形品。
【請求項39】
多孔質成形品であって、多価金属イオンのアルギン酸塩およびスクアランを含む前記多孔質成形品。
【請求項40】
前記多孔質成形品であって、前記多価金属イオンの前記アルギン酸塩、ヒアルロン酸および/またはその塩および/またはその誘導体ならびにカルボキシメチルセルロースおよび/またはその塩を含む請求項35ないし請求項39のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品。
【請求項41】
前記多孔質成形品であって、請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載のプロセスにより得られうる請求項35ないし請求項40のいずれか1項に記載の前記多孔質成形品。
【請求項42】
請求項1ないし請求項18のいずれか1項にしたがって美容用調剤として得られる、請求項20ないし請求項29、請求項35ないし請求項40のいずれか1項、またはそれぞれに記載の前記多孔質成形品の使用法。
【請求項43】
アルギン酸塩、多価金属イオン、ヒドロキシ酸を含有する多孔質成形品の化粧品としての使用法。
【請求項44】
医療用製品の製造のために請求項1ないし請求項18のいずれか1項にしたがって得られる、請求項20ないし請求項29、請求項35ないし請求項40のいずれか1項、またはそれぞれに記載の前記多孔質成形品の使用法。
【請求項45】
局所、口腔、ほお、鼻腔での利用、あるいはインプラントとしてまたは包帯や創傷用絆創膏としての利用、あるいは有効成分絆創膏での利用のための請求項42ないし請求項44のいずれか1項に記載の使用法。
【請求項46】
インプラントまたは創傷用包帯の作成のための請求項44に記載の使用法。
【請求項47】
請求項20ないし請求項29、請求項35ないし請求項40のいずれか1項に記載され、かつ請求項1ないし請求項18のいずれか1項にしたがって得られた前記多孔質成形品であって、層の形態である前記多孔質成形品。
【請求項48】
請求項47に記載の層を少なくとも1つ含む積層物であって、前記積層物は少なくとも1つの担体層を少なくとも1つの側面に積層されることを特徴とする前記積層物。
【請求項49】
請求項48に記載の前記積層物の使用法であって、包帯または創傷用絆創膏として、あるいは美容用マスクとしての使用法。
【請求項50】
請求項20ないし請求項29、請求項35ないし請求項40のいずれか1項で定められ、かつ請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載のプロセスにより得れた少なくとも1つの成形品と、1または複数の有効成分および/または補助剤を、組み合わされた空間的配置をもって含む少なくとも1つの水溶液と、を含む組み合わせ。
【請求項51】
美容または薬用の製剤を製造するための請求項50にしたがった前記組み合わせの使用法。

【公表番号】特表2007−505197(P2007−505197A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530214(P2006−530214)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050883
【国際公開番号】WO2004/104076
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(598119832)ドクトル ズベラック スキン アンド ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】