説明

アルミ被覆電線及びそのハンダ付け方法

【課題】複数のアルミ素線が撚り合わされた芯線の外側に絶縁被覆を有するアルミ被覆電線において、ハンダを芯線内部にまで浸透させる。
【解決手段】アルミ被覆電線10は、複数のアルミ素線14が撚り合わされた芯線12の外側に絶縁被覆16を有する。このアルミ被覆電線10にハンダ付けする際には、絶縁被覆16が除去されて芯線12が露出したアルミ被覆電線10の一端を溶融ハンダ42に浸し、溶融ハンダ42に超音波振動を印加し、アルミ被覆電線10の他端からアルミ被覆電線10の絶縁被覆16内側の空気を吸引する。これによって、溶融ハンダ42を芯線12の外周に付着させることができるとともに、溶融ハンダ42を芯線12の内部にまで浸透させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミ被覆電線及びそのハンダ付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気配線等に用いる被覆電線では、高い柔軟性及び耐曲性を実現するために、複数の金属素線が撚り合われて形成される撚り線を芯線として用いることがある。また、近年、軽量化等を目的として芯線にアルミ線が用いられることがあり、アルミ素線が撚り合われて形成されるアルミ撚り線を芯線として用いたアルミ被覆電線が知られている。
【0003】
被覆電線を端子金具に圧着する場合、端子金具のかしめ片によって芯線の外側を包み込むようにして圧着する。芯線が撚り線である場合、端子金具とできるだけ良好な接続状態を得るために、芯線に端子金具を圧着するに先立って、芯線を構成する複数の金属素線が撚り合わされた状態のままでハンダを浸透させておくことがある。これにより、金属素線のばらけが防止できるだけでなく、金属素線間の電気的な接続が確保され、芯線の外表面にかしめられた端子金具がハンダを介して芯線内部の金属素線と確実に導通することができる。例えば、特許文献1には被覆電線をハンダ付けする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−51982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、アルミ撚り線を芯線として用いたアルミ被覆電線の場合、(1)銅線等に比べて、芯線の表面に酸化膜が形成されやすく、(2)銅線等に比べて、スズ−亜鉛系のハンダ(いわゆる、鉛フリーハンダ)との濡れ性が悪い。そのため、芯線に十分にハンダを付着させることができないという問題が存在している。
【0006】
図8ないし図10に、従来から使用されている方法でアルミ撚り線にスズ−亜鉛系のハンダをハンダ付けした結果を示す。芯線112をそのまま溶融ハンダに浸漬させた場合には、図8に示すように芯線の表面にほとんどハンダ120を付着させることができない。フラックスを塗布した芯線112を溶融ハンダに浸漬させた場合、あるいは超音波振動を印加した溶融ハンダに芯線112を浸漬させた場合には、フラックスや超音波振動によって芯線112の表面に形成された酸化膜が除去されるため、図9及び図10にそれぞれ示すように芯線112の表面にハンダ120を付着させることができる。しかし、フラックスを用いるとハンダ浸漬工程後にフラックスの洗浄工程が必須となり、また超音波振動付与のみでは、ハンダを芯線内部112Bにまで十分に浸透させることができず、絶縁被覆の端部から先端側に露出している芯線112の内部では、ハンダが浸透していない空隙ができることがある。そのようなアルミ被覆電線では、ハンダが浸透していない芯線内部に水蒸気等が浸入した場合、芯線内部でアルミ素線の酸化が進行し、ハンダ付け又は配線後に被覆電線の電気抵抗が増大してしまうおそれがある。このため、アルミ撚り線を芯線として用いたアルミ被覆電線において、ハンダを芯線内部にまで十分に浸透させることができる技術が求められている。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、絶縁被覆の端部から露出している芯線の内部に水分が浸透することを防止できるアルミ被覆電線及びそのような絶縁被覆アルミ被覆電線を製造するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のアルミ素線が撚り合わされた芯線の外側に絶縁被覆を有するアルミ被覆電線のハンダ付け方法に関する。この方法は、以下の工程を含むことを特徴とする。
(1)絶縁被覆が除去されて芯線が露出したアルミ被覆電線の一端を溶融ハンダに浸す浸漬工程。
(2)アルミ被覆電線の芯線が溶融ハンダに浸された状態で溶融ハンダに超音波振動を印加する振動印加工程。
(3)振動印加工程中にアルミ被覆電線の他端からアルミ被覆電線の絶縁被覆の内側の空気を吸引する吸引工程。
【0009】
このハンダ付け方法では、振動印加工程中にアルミ被覆電線の他端からアルミ被覆電線の絶縁被覆の内側の空気を吸引する。これによって、アルミ被覆電線の一端が浸されている範囲の溶融ハンダが芯線内部に吸引され、ハンダを芯線内部にまで浸透させることができる。
【0010】
吸引工程では、溶融ハンダがアルミ被覆電線の一端側の絶縁被覆端部よりも内側に浸透するまで吸引することが好ましい。これによって、絶縁被覆端部に隣接する範囲の芯線にまでハンダが付着する。この結果、付着したハンダと絶縁被覆の間に芯線の表面が露出することがなく、芯線の表面に酸化被膜が形成されることを防止することができる。また、付着したハンダと絶縁被覆の間から水蒸気等が芯線内部に入り込むことがより確実に防止される。
【0011】
溶融ハンダがアルミ被覆電線の一端側の絶縁被覆端部よりも内側に浸透した場合に、浸漬工程及び吸引工程を終了し、アルミ被覆電線の一端を溶融ハンダから引き上げることが好ましい。
【0012】
一般に、絶縁被覆の溶融温度は溶融ハンダに比べて低く、溶融ハンダが絶縁被覆に接した状態が一定程度続いた場合には、絶縁被覆が溶融し、あるいは劣化して容易に除去されてしまい、内部の芯線が露出してしまう。本発明では、溶融ハンダがアルミ被覆電線の一端側の絶縁被覆端部よりも内側に浸透した場合に、アルミ被覆電線の一端を溶融ハンダから引き上げる。これによって、芯線に付着したハンダは冷却され、絶縁被覆を溶融させることがない。絶縁被覆の溶融により、芯線が露出することを防止することができる。
【0013】
本発明は、上記ハンダ付け方法によりハンダ処理が施されているアルミ被覆電線にも具現化される。すなわち、本発明のアルミ被覆電線は、複数のアルミ素線が撚り合わされた芯線の外側に絶縁被覆を有するアルミ被覆電線であり、アルミ被覆電線の一端の絶縁被覆が除去されて、露出した芯線にハンダ処理が施されている。このアルミ被覆電線では、一端に付着しているハンダが、アルミ被覆電線の一端側の絶縁被覆端部よりも内側まで浸透していることを特徴とする。
【0014】
このアルミ被覆電線では、一端に付着しているハンダが、アルミ被覆電線の一端側の絶縁被覆端部よりも内側まで浸透している。これによって、ハンダ付け又は配線後にハンダが付着したアルミ被覆電線の一端側から水蒸気等が芯線内部に入り込むことが防止され、芯線の酸化等により、アルミ被覆電線の電気抵抗が後発的に増大することが防止される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数のアルミ素線が撚り合わされた芯線の外側に絶縁被覆を有するアルミ被覆電線において、絶縁被覆の端部から露出している芯線の内部に水分が浸透することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るアルミ被覆電線10を表す断面図
【図2】端子金具30をかしめたアルミ被覆電線10を表す断面図
【図3】図2のIII−III断面図
【図4】アルミ被覆電線10のハンダ付けのフローチャート
【図5】アルミ被覆電線10のハンダ付けを説明する断面図
【図6】吸引装置50・圧力制御盤52・真空ポンプ54を表す斜視図
【図7】本実施形態のハンダ付け工程により製造したアルミ被覆電線の実験結果を示す表
【図8】従来のハンダ付け工程により製造したアルミ被覆電線を説明する断面図
【図9】従来のハンダ付け工程により製造したアルミ被覆電線を説明する断面図
【図10】従来のハンダ付け工程により製造したアルミ被覆電線を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
1.アルミ被覆電線10の構成
図1に示すように、本実施形態のアルミ被覆電線10は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のアルミ素線14を複数本撚り合せた撚り線によって芯線12が形成され、この芯線12の周りが合成樹脂製の絶縁被覆16で覆われた構造となっている。
【0018】
このアルミ被覆電線10では、絶縁被覆16の一端を皮剥加工することで露出した芯線12の表面及び内部にハンダ20が付着している。ハンダ20には、いわゆる「鉛フリーハンダ」が用いられており、本実施形態では、その成分割合が、Sn:約80%、Zn:約20%のものが適用されている。ハンダ20は、露出した芯線12の表面の全周に亘って付着しており、皮剥加工によって形成された絶縁被覆16の端部16Aに隣接する範囲の芯線12の表面にも付着している。またハンダ20は、芯線12を構成するアルミ素線14の内部に浸透しており、アルミ被覆電線10の軸方向において、絶縁被覆16の端部16A(一点鎖線L参照)よりも内部にまで浸透している。
【0019】
2.アルミ被覆電線10の用途
図2に示すように、本実施形態のアルミ被覆電線10は、芯線12に端子金具30をかしめ圧着することで、他の装置に取り付けられた相手側端子(図示されていない)に電気的に接続され、電気配線として用いられる。図2のIII−III断面図を図3に示す。本実施形態のアルミ被覆電線10では、図3に示すように、芯線12に端子金具30をかしめ圧着する場合に、芯線12に付着したハンダ20の外側を端子金具30のかしめ片30Aによって包み込むようにして端子金具30をかしめ圧着する。これによって、芯線12に圧着された端子金具30が、ハンダ20を介して芯線12を構成するアルミ素線14の各々と導通する。これによって、電気配線として用いられるアルミ被覆電線10に電流を流す場合に、芯線12を構成するアルミ素線14の全てを用いて電流を流すことができる。
【0020】
3.アルミ被覆電線10のハンダ付け工程
次に、図4ないし図6を参照して、アルミ被覆電線10のハンダ付け工程を説明する。
作業者は、絶縁被覆16の一端を皮剥きし、芯線12の一端を予め定められた長さに亘って露出させる(ステップS2)。ここで、「予め定められた長さ」とは、例えば端子金具30のかしめ片30Aによるかしめ圧着に必要な長さを意味している。
【0021】
次に、作業者は、アルミ被覆電線10の他端を吸引装置50のゴム栓50A内に挿入し、アルミ被覆電線10の他端から絶縁被覆16の内側の空気を吸引する(ステップS4)。図6に、吸引装置50を示す。吸引装置50の前面には、円筒状の複数のゴム栓50Aが設けられている。各ゴム栓50Aは、図示されていない内蓋によって吸引装置50の内側から閉じられている。ゴム栓50Aにアルミ被覆電線10が挿入されると、アルミ被覆電線10の周囲がシールされたまま、アルミ被覆電線10の先端部により内蓋が押し開かれる。吸引装置50は、圧力制御盤52を介して真空ポンプ54に接続されている。真空ポンプ54は、作業者がアルミ被覆電線10の他端を吸引装置50のゴム栓50Aに挿入するに先立って稼働しており、圧力制御盤52を介して吸引装置50の内側の空気を吸引している。作業者が、アルミ被覆電線10の他端を吸引装置50のゴム栓50Aに挿入すると、絶縁被覆16の内側の空気が吸引装置50内から真空ポンプ54真空ポンプ54に吸引される。
【0022】
次に、作業者は、露出した芯線12の一端をハンダ槽40に貯留された溶融ハンダ42に浸す(ステップS6)。図5に示すように、ハンダ槽40には、溶融した「鉛フリーハンダ」が貯留されている。溶融ハンダ42には、振動板48の一端が浸されている。振動板48の他端は、ハンダ槽40の外部に伸びており、ハンダ槽40の外部において振動発生器46と接続されている。振動発生器46は、作業者が芯線12の一端を溶融ハンダ42に浸すに先立って稼働しており、振動板48を介して溶融ハンダ42に20kHzの超音波振動を印加している。ハンダ槽40の下部には、ヒータ44が配置されており、ヒータ44の出力が制御されることで、溶融ハンダ42が所定温度に維持されている。
【0023】
本実施形態では、溶融ハンダ42に超音波振動が印加されているので、溶融ハンダ42の超音波振動によってアルミ素線14の表面の酸化膜が破壊されて新しい金属表面が露出するようになり、アルミ素線14の表面に溶融ハンダ42が濡れ性良く付着する。
【0024】
また、本実施形態では、アルミ被覆電線10の絶縁被覆16の内側の空気が吸引(図5矢印32参照)されているので、溶融ハンダ42がアルミ素線14の間に吸引され、アルミ素線14の内部に溶融ハンダ42が浸透する。
【0025】
この結果、図5に示すように、芯線12の表面においては、皮剥加工によって形成された絶縁被覆16の端部16Aに隣接する範囲の芯線12の表面にまで溶融ハンダ42が付着する。また、芯線12の内部においては、絶縁被覆16の端部16A(一点鎖線L参照)よりも内部にまで溶融ハンダ42が浸透する。
【0026】
なお、本実施形態では、図5に示すように、絶縁被覆16の端部16Aと溶融ハンダ42の間に一定の距離Dが確保されている。一般に、絶縁被覆16の溶融温度は、溶融ハンダ42の設定温度よりも低い。そのため、溶融ハンダ42が絶縁被覆16に付着した場合、絶縁被覆16が溶融し、絶縁被覆16が皮剥された範囲が予め定められた長さよりも長くなってしまう。絶縁被覆16が皮剥された範囲が長くなると、機器へ取り付ける時に用いるコネクタ(図示せず)への収容が困難になったり、ショートや断線等の原因となる。本実施形態では、絶縁被覆16の端部16Aと溶融ハンダ42の間に一定の距離Dを確保しておくことで、上述の事態の発生を防いでいる。
【0027】
その一方、吸引により溶融ハンダ42の液面Eよりも上部に持ち上げられた範囲の溶融ハンダ42は、吸引や周辺大気への放熱によって冷却されている。そのため、この溶融ハンダ42が絶縁被覆16に付着した場合でも、絶縁被覆16が溶融しないか、その速度が十分に遅いために、絶縁被覆16が皮剥された範囲が、予め定められた長さよりも長くなってしまうことが抑制される。
【0028】
作業者は、芯線12を溶融ハンダ42に浸漬させてからの時間を計測しており、この計測時間が規定時間を経過した場合に、芯線12の一端を溶融ハンダ42から引き上げ(ステップS8)、芯線12及びハンダ20を冷却・固定する(ステップS10)。ここで、「規定時間」とは、例えば真空ポンプ54によって、溶融ハンダ42が絶縁被覆16の端部16Aよりも内部にまで浸透するのに必要な時間を意味しており、本実施形態では、約5〜9秒に設定されている。これによって、アルミ被覆電線10へのハンダ20付けが完了する。
【0029】
4.実験結果
図7に、本実施形態の実験結果を示す。この実験では、芯線12の一端を20mmに亘って露出させたアルミ被覆電線10を用いて本実施形態のハンダ付けを行った後、芯線12の一端から5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mmの各位置における断面観測を行った。本実験では、アルミ被覆電線10として「50mm純アルミ線(φ0.32)」を用いた。本実験では、各断面を目視で観測し、断面全面にハンダ20が浸透している場合、「○」と判定した。また、断面内部の少なくとも一部にハンダ20が浸透している場合、「△」と判定した。また、断面内部に全くハンダ20が浸透していない場合、「×」と判定した。本実験では、規定時間を5秒、7秒、9秒と3通りに変化させて実験を行った。図7では、対比のために、吸引工程(図4のステップS4)を行わないで実施されたハンダ付けの結果をあわせて示す。
【0030】
図7に示すように、本実施形態でハンダ付けされたアルミ被覆電線10では、全ての規定時間において、吸引工程を行わないで実施されたハンダ付けよりも、芯線12の一端からより深い位置の芯線12の内部にまでハンダ20が浸透していることが確認された。また、本実施形態でハンダ付けされたアルミ被覆電線10では、全ての規定時間において、絶縁被覆16の端部16A(つまり、20mm)よりも内部にまで、ハンダ20が浸透していることが確認された。
【0031】
5.本実施形態の効果
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)溶融ハンダ42に超音波振動が印加され、露出した芯線12の一端をハンダ槽40に浸した状態で、アルミ被覆電線10の他端から絶縁被覆16の内側の空気を吸引する。これによって、アルミ被覆電線10の一端が浸されている範囲の溶融ハンダ42が芯線12内部に吸引され、溶融ハンダ42を芯線12内部にまで浸透させることができる。
【0032】
(2)ハンダ20を、アルミ被覆電線10の一端側の絶縁被覆16端部16Aよりも内側にまで浸透させ、絶縁被覆16端部16Aに隣接する範囲の芯線12の表面にまで付着させる。これによって、付着したハンダ20と絶縁被覆16の間に芯線の表面が露出することがなく、芯線12の表面に酸化被膜が形成されることを防止することができる。また、付着したハンダ20と絶縁被覆16の間から水蒸気等が芯線12内部に入り込むことがより確実に防止される。
【0033】
(3)溶融ハンダ42がアルミ被覆電線10の一端側の絶縁被覆16端部16Aよりも内側に浸透した場合に、アルミ被覆電線10の一端を溶融ハンダ42から引き上げる。これによって、芯線12に付着したハンダが冷却されて隣接する絶縁被覆16を溶融することがなく、絶縁被覆16の溶融により芯線12が露出することが防止される。
【0034】
(4)本実施形態のアルミ被覆電線10では、一端に付着しているハンダ20が、アルミ被覆電線10の一端側の絶縁被覆16端部16Aよりも内側まで浸透している。これによって、ハンダ付け又は配線後にハンダ20が付着したアルミ被覆電線10の一端側から水蒸気等が芯線12内部に入り込むことが防止され、芯線12の酸化により、アルミ被覆電線10の電気抵抗が後発的に増大することが防止される。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態にも適用可能である。
(1)上記実施形態では、芯線12としてアルミ素線14を用いたが、これに限らず、例えば、銅素線又は銅合金素線の芯線や、これら以外の金属素線からなる芯線を有する電線に適用することも可能である。また、付着させるハンダ20もいわゆる「鉛フリーハンダ」以外を用いることが可能である。
【0036】
(2)上記実施形態では、芯線12の溶融ハンダ42への浸漬に先立ってアルミ被覆電線10の絶縁被覆16の内側を吸引しているが、芯線12の浸漬後に吸引を開始してもよい。同様に、上記の実施形態では、芯線12の浸漬に先立って溶融ハンダ42に超音波振動が印加されているが、芯線12の浸漬後に超音波振動を印加してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10...アルミ被覆電線
12、112...芯線
14...アルミ素線
16...絶縁被覆
16A...絶縁被覆の端部
20、120...ハンダ
30...端子金具
42...溶融ハンダ
46...振動発生器
48...振動板
54...真空ポンプ
112B...芯線内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアルミ素線が撚り合わされた芯線の外側に絶縁被覆を有するアルミ被覆電線のハンダ付け方法であって、
絶縁被覆が除去されて芯線が露出したアルミ被覆電線の一端を溶融ハンダに浸す浸漬工程と、
前記アルミ被覆電線の前記芯線が前記溶融ハンダに浸された状態で前記溶融ハンダに超音波振動を印加する振動印加工程と、
前記振動印加工程中に前記アルミ被覆電線の他端から前記アルミ被覆電線の絶縁被覆の内側の空気を吸引する吸引工程と、
を含むことを特徴とするアルミ被覆電線のハンダ付け方法。
【請求項2】
前記吸引工程では、前記溶融ハンダが前記アルミ被覆電線の一端側の絶縁被覆端部よりも内側に浸透するまで吸引することを特徴とする請求項1に記載のアルミ被覆電線のハンダ付け方法。
【請求項3】
前記溶融ハンダが前記アルミ被覆電線の一端側の絶縁被覆端部よりも内側に浸透した場合に浸漬工程及び前記吸引工程を終了し、前記アルミ被覆電線の一端を前記溶融ハンダから引き上げることを特徴とする請求項2に記載のアルミ被覆電線のハンダ付け方法。
【請求項4】
複数のアルミ素線が撚り合わされた芯線の外側に絶縁被覆を有するアルミ被覆電線の一端の絶縁被覆が除去されて、露出した芯線にハンダ処理が施されているアルミ被覆電線であって、
前記一端に付着しているハンダが、前記アルミ被覆電線の一端側の絶縁被覆端部よりも内側まで浸透していることを特徴とするアルミ被覆電線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−222406(P2011−222406A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92265(P2010−92265)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】