説明

アンチセンスオリゴヌクレオチドによる骨髄細胞分化初期応答遺伝子88(MYD88)発現の調節

MyD88の発現を下方調節するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド化合物、組成物および方法が提供される。組成物は、MyD88をコードする核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。組成物はまた、MyD88をコードする核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを、他の治療用および/または予防用化合物および/または組成物と組み合わせて含んでもよい。MyD88の発現を下方調節するため、およびMyD88の発現の調節が有益であるであろう疾患の予防または処置のために、これらの化合物および組成物を用いる方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願の背景
関連出願
本願は、2008年8月8日に出願された先の米国仮出願第61/087,243号の利益を主張し、該出願の内容はその全体において参考として組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、骨髄細胞分化初期応答遺伝子88(MyD88)に関する。特に、本発明は、MyD88をコードする核酸に特異的にハイブリダイズしてMyD88の発現および活性を調節するアンチセンスオリゴヌクレオチド、ならびにMyD88に関連するかまたはMyD88の発現の調節が有益であるであろう疾患を処置または予防することにおけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
関連分野の要約
Toll様受容体(TLR)は、免疫系の多くの細胞に存在し、自然免疫応答に関与することが示されてきている(Hornung, V. et al., (2002) J. Immunol. 168:4531-4537)。TLRは、哺乳動物が外来分子を認識してこれに対する免疫応答を開始する重要な手段であり、また、自然免疫応答と獲得免疫応答とが連結する手段を提供する(Akira, S. et al. (2001) Nature Immunol. 2:675-680; Medzhitov, R. (2001) Nature Rev. Immunol. 1:135-145)。脊椎動物において、このファミリーは、TLR1〜TLR11と称される少なくとも11のタンパク質からなり、これらは、細菌、真菌、寄生虫およびウイルス由来の病原体関連分子パターン(PAMP)を認識し、多数の転写因子により媒介される免疫応答を誘導することが知られている。
【0004】
一部のTLRは細胞表面に位置して、細胞外病原体を検出してこれに対する応答を開始し、他のTLRは細胞の内部に位置して、細胞内病原体を検出してこれに対する応答を開始する。表1は、TLRの説明、それらに対する既知のアゴニスト、およびTLRを含むことが知られている細胞型を提供する(Diebold, S.S. et al. (2004) Science 303:1529-1531; Liew, F. et al. (2005) Nature 5:446-458; Hemmi H et al. (2002) Nat Immunol 3:196-200; Jurk M et al., (2002) Nat Immunol 3:499; Lee J et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:6646-6651);(Alexopoulou, L. (2001) Nature 413:732-738)。
【表1】

【0005】
リガンドとTLRとの間の相互作用により媒介されるシグナル伝達経路は、TLRファミリーの殆どのメンバーの間で共有され、toll/IL−1受容体(TIRドメイン)、骨髄細胞分化マーカー88(MyD88)、IL−1R関連キナーゼ(IRAK)、インターフェロン調節因子(IRF)、TNF受容体関連因子(TRAF)、TGFβ活性化キナーゼ1、IκBキナーゼ、IκB、およびNF−κBに関与する(例えばAkira, S. (2003) J. Biol. Chem. 278:38105 および Geller at al. (2008) Curr. Drug Dev. Tech. 5:29-38を参照)。より具体的には、TLR1、2、4、5、6、7、8、9および11について、このシグナル伝達カスケードは、PAMPリガンドが、エンドソーム膜または細胞表面にホモダイマーとして存在する膜結合TLRと相互作用してこれを活性化することにより開始する。活性化に続き、受容体は、TLR3を除く全てのTLRシグナル伝達経路に共通するアダプタータンパク質であるタンパク質MyD88を含むTIRドメインの動員を可能にするための構造変化を経験する。MyD88はIRAK4を動員し、これはIRAK1をリン酸化して活性化する。活性化されたIRAK1はTRAF6に結合し、これはTRAF6へのポリユビキチンの付加を触媒する。ユビキチンの付加は、TAK/TAB複合体を活性化し、これは次いでIRFをリン酸化し、NF−κBの放出および核への輸送をもたらす。核内のNF−κBは、炎症誘発性遺伝子の発現を誘導する(例えばTrinchieri and Sher (2007) Nat. Rev. Immunol. 7:179-190を参照)。
【0006】
TLRの選択的局在と、それから発生するシグナル伝達は、免疫応答におけるそれらの役割についてのいくらかの洞察を提供する。免疫応答は、応答に関与する細胞のサブセットに基づいて、自然応答と獲得応答との両方を伴う。例えば、遅延型過敏などの古典的な細胞媒介性の機能および細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の活性化に関与するヘルパーT(Th)細胞は、Th1細胞である。この応答は、抗原(例えば、ウイルス感染、細胞内病原体および腫瘍細胞)に対する身体の自然応答であり、IFN−γの分泌およびCTLの同時活性化をもたらす。
【0007】
炎症性応答を調節することにおけるこれらの関与の結果として、TLRは、自己免疫、感染性疾患および炎症を含む多くの疾患の発病において役割を果たすことが示されてきている(Papadimitraki et al. (2007) J. Autoimmun. 29: 310-318; Sun et al. (2007) Inflam. Allergy Drug Targets 6:223-235; Diebold (2008) Adv. Drug Deliv. Rev. 60:813-823; Cook, D.N. et al. (2004) Nature Immunol. 5:975-979; Tse and Horner (2008) Semin. Immunopathol. 30:53-62; Tobias & Curtiss (2008) Semin. Immunopathol. 30:23-27; Ropert et al. (2008) Semin. Immunopathol. 30:41-51; Lee et al. (2008) Semin. Immunopathol. 30:3-9; Gao et al. (2008) Semin. Immunopathol. 30:29-40; Vijay-Kumar et al. (2008) Semin. Immunopathol. 30:11-21)。TLRの活性化が免疫応答の開始に関与する一方で、TLRを介した免疫系の制御されないまたは望ましくない刺激は、免疫力が低下した対象において特定の疾患を増悪するか、または望ましくない免疫刺激を引き起こす場合がある。したがって、TLRの発現および/または活性を下方調節することで、疾患への介入のための有用な手段を提供し得る。
【0008】
今日まで、TLRの活性を阻害することを選択的に目的とする研究戦略は、低分子(WO/2005/007672)、抗体(例えばDuffy, K. et al. (2007) Cell Immunol. 248:103-114を参照)、触媒RNAi技術(例えば低分子阻害性RNA)、特定のアンチセンス分子(Caricilli et al. (2008) J. Endocrinology 199:399)および修飾またはメチル化オリゴヌクレオチドによる競合的阻害(例えばKandimalla et al. US2008/0089883; Barrat and Coffman (2008) Immunol. Rev. 223:271-283を参照)に関与してきた。例えば、クロロキンおよびヒドロキシルクロロキンは、エンドソームの成熟を下方調節することによりエンドソームTLRシグナル伝達を遮断することが示されている(Krieg, A. M. (2002) Annu. Rev. Immunol. 20:709)。また、Huangらは、T細胞増殖およびナチュラルキラー細胞活性の腫瘍媒介性抑制を逆転させるためのTLR4のsiRNAの使用(Huang et al. (2005) Cancer Res. 65:5009-5014)、ならびに、細菌誘導性の眼炎を予防するためのTLR9のsiRNAの使用(Huang et al. (2005) Invest. Opthal. Vis. Sci. 46:4209-4216)を示している。
【0009】
さらに、いくつかのグループが、特定の細胞内タンパク質と相互作用し、TLRシグナル伝達の阻害と同時の炎症誘発性サイトカインの産生および放出とをもたらす、近位の「CCT」トリプレットおよび遠位の「GGG」トリプレットの2つのトリプレット配列、ポリ「G」(例えば「GGGG」もしくは「GGG」)または「GC」配列を有する合成オリゴデオキシヌクレオチドを用いている(例えばLenert, P. et al. (2003) DNA Cell Biol. 22(10):621-631; Patole, P. et al. (2005) J. Am. Soc. Nephrol. 16:3273-3280), Gursel, I., et al. (J. Immunol., 171: 1393-1400 (2003), Shirota, H., et al., J. Immunol., 173: 5002-5007 (2004), Chen, Y., et al., Gene Ther. 8: 1024-1032 (2001); Stunz, L.L., Eur. J. Immunol. (2000) 32: 1212-1222; Kandimalla et al. WO2007/7047396を参照)。しかし、グアノシンストリング(guanosine string)を含むオリゴヌクレオチドは、四重体構造を形成し、アプタマーとして作用し、トロンビン活性を阻害することが示されている(Bock LC et al., Nature, 355:564-6, 1992; Padmanabhan, K et al., J Biol Chem., 268(24):17651-4, 1993)。したがって、これらの阻害的なオリゴデオキシヌクレオチド分子の有用性は、患者において達成できない可能性がある。
【0010】
TLR活性の抑制への確実なアプローチは、オリゴヌクレオチドベースのアンタゴニストの使用である(Kandimallaら、WO2007/7047396を参照)。
【0011】
一部の例においては、1つのみまたは幾つかのTLRを阻害することが望ましい場合があり、他の例においては、殆どのまたは全てのTLRを阻害することが望ましい場合がある。後者のアプローチの場合、MyD88は、TLRシグナル伝達経路におけるそのユビキタスな役割により、魅力的な標的である。
【0012】
TLRの発現を「ノックダウン」する潜在的に有用なアプローチは、アンチセンス技術である。KarrasおよびDobie(US7,033,830)は、MyD88を対象とするあるアンチセンス化合物を報告する。しかし、アンチセンス技術の歴史は、遺伝子発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドの発見が比較的単純明快である一方で、臨床的候補としての真の可能性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの最適化はそうではないことを明らかにしてきた。したがって、MyD88を下方調節するためのアンチセンスのアプローチを成功させるのであれば、この結果を最も効率的に達成する最適化されたアンチセンスオリゴヌクレオチドが必要である。かかる最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドは、単独で用いることも、またはKandimallaらのアンタゴニストもしくは他の治療的アプローチと組み合わせて用いることもできる。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、MyD88をコードする核酸を標的とし、mRNA翻訳の阻害を介しておよび/またはRNaseH媒介性機構を介してMyD88の発現を効率的に阻害する、最適化合成アンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0014】
第1の側面において、本発明による最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号4、10、21、29、31、39、46、48、63、66、70、71、72、76、85、116または142を有するものを含む。
【0015】
第2の側面において、本発明は、少なくとも1つの本発明による最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤を含む組成物を提供する。
【0016】
第3の側面において、本発明は、MyD88の発現を阻害する方法を提供する。この方法において、本発明の1つのオリゴヌクレオチドまたは複数のオリゴヌクレオチドは、MyD88のmRNAとin vitroでまたは細胞において特異的に接触またはハイブリダイズさせられる。
【0017】
第4の側面において、本発明は、哺乳動物、特にヒトにおいてMyD88の発現を阻害するための方法を提供し、かかる方法は、哺乳動物に本発明による化合物または組成物を投与することを含む。
【0018】
第5の側面において、本発明は、哺乳動物におけるMyD88媒介性免疫応答を阻害するための方法を提供し、該方法は、哺乳動物に本発明のMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドを薬学的有効量において投与することを含む。
【0019】
第6の側面において、本発明は、MyD88により媒介される疾患を有する哺乳動物を治療的に処置するための方法を提供し、かかる方法は、哺乳動物、特にヒトに、本発明のMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその組成物を薬学的有効量において投与することを含む。
【0020】
第7の側面において、本発明は、MyD88により媒介される疾患または障害を罹患するまたは発症する危険性がある哺乳動物、特にヒトにおいて、疾患または障害を予防するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、当該哺乳動物に本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその組成物を予防有効量において投与することを含む。
【0021】
第8の側面において、本発明は、MyD88の発現を下方調節し、それにより、ある他のアンチセンス分子またはMyD88を活性化する副作用を有する他の化合物もしくは薬物の「オフ・ターゲット(off-target)」な活性を防止するための方法を提供する。例えば、本発明のMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドを、本発明のアンチセンス分子と同じ標的を有さず、かつ本発明によるMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドの存在がなければMyD88媒介性免疫応答を活性化するであろう免疫刺激モチーフを含む、1もしくは2以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは他の核酸を含む化合物または他の薬物と組み合わせて投与してもよい。
【0022】
第9の側面において、本発明は、哺乳動物におけるMyD88の発現および活性を阻害するための方法を提供し、該方法は、哺乳動物に、MyD88のmRNAに対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびMyD88タンパク質のアンタゴニストを投与することを含む。
【0023】
第10の側面において、本発明は、哺乳動物におけるMyD88の発現および他のシグナル伝達分子の活性を阻害するための方法を提供し、該方法は、哺乳動物に、MyD88のmRNAに対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、およびTLR2、4、5、6、7、8もしくは9のアンタゴニスト、キナーゼ阻害剤またはSTATタンパク質阻害剤を投与することを含む。
【0024】
本発明の対象のオリゴヌクレオチドおよび方法はまた、細胞において、または対照哺乳動物において、またはMyD88もしくはMyD88を介した免疫刺激と関連する疾患を罹患する哺乳動物において、MyD88遺伝子の機能を試験するためにも有用である。細胞または哺乳動物にオリゴヌクレオチドを投与し、MyD88のmRNAまたはタンパク質の発現を試験する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドのリニア合成についての合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
【0026】
【図2】図2は、ヒトMyD88を発現するHEK293XL細胞における、本発明による例示的なヒトMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドの活性のグラフ表示である。データは、例2に従って培養および処置されたHEK293細胞において、本発明による例示的なオリゴヌクレオチドがMyD88の発現および活性を阻害する能力を実証する。
【0027】
【図3】図3は、ヒトMyD88を発現するHEK293XL細胞における、本発明による例示的なヒトMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドの活性のグラフ表示である。データは、例2に従って培養および処置されたHEK293細胞において、本発明による例示的なオリゴヌクレオチドがMyD88の発現および活性を阻害する能力を実証する。
【0028】
【図4】図4は、MyD88のmRNAのヌクレオチド配列を示す[配列番号153](Genbankアクセッション番号NM 002468)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、最適化されたMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチド、かかるオリゴヌクレオチドを含む組成物、およびTLR2、4、5、6、7、8または9に媒介される免疫応答を阻害または抑制するためのこれらの使用の方法に関する。
【0030】
具体的には、本発明は、あるゲノムの領域またはそこから転写されるRNA分子に対して相補的であるように設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。これらのMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドは特有の配列を有し、これは、特定の、特に利用可能なmRNA配列を標的として、内因性および/または外因性のTLRリガンドまたはMyD88アゴニストに対する応答におけるMyD88媒介性シグナル伝達の最大限に有効な阻害または抑制をもたらす。
【0031】
本発明によるMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドは、多様な細胞型において、ならびに多様なin vitroおよびin vivoの実験モデルにおいて、天然または人工のTLR2、4、5、6、7、8または9アゴニストにより誘導される免疫応答を阻害する。したがって、本発明によるアンチセンス組成物は、免疫系を研究するための、ならびにヒトおよびマウスなどの多様な動物種の免疫系を比較するためのツールとして有用である。
【0032】
さらに提供されるのは、TLR2、4、5、6、7、8または9の活性化と関連する疾患または状態を有するか、これを有することが疑われるか、またはこれを発症する傾向がある動物、特にヒト、を、本発明のアンチセンス化合物または組成物の1または2以上の治療有効量または予防有効量を投与することにより処置する方法である。これらは、限定されないが、成人および小児のヒトおよび獣医学的適用における、癌、自己免疫障害、喘息、呼吸器アレルギー、食物アレルギー、皮膚アレルギー、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節炎、胸膜炎、慢性感染症、炎症性疾患、炎症性腸症候群、敗血症、マラリア、ならびに細菌、寄生虫およびウイルス感染の処置などの免疫治療適用のために用いることができる。さらに、本発明のMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドは、多様な疾患の予防および/または処置において、単独で、あるいは他の薬物または予防用もしくは治療用組成物、例えば、DNAワクチン、抗原、抗体およびアレルゲンとの組み合わせにおいて、あるいはこれらとの共投与において;および化学療法剤(伝統的な化学療法および近代的な標的化療法の両方)、TLR2、4、5、6、7、8または9のアンタゴニスト、キナーゼ阻害剤、STATタンパク質阻害剤および/またはMyD88アンタゴニストとの組み合わせにおいて、疾患の予防及び処置のために有用である。本発明のMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドは、望ましくないMyD88媒介性免疫刺激特性を有する化合物または薬物との組合せにおいて有用である。
【0033】
本明細書において引用される特許および刊行物は、当該分野における知識のレベルを反映し、本明細書によりその全体において参考として組み込まれる。これらの特許および刊行物の教示と本明細書との間のあらゆる不一致は、後者を優先して解決されるべきである。
【0034】
本発明の前述のおよび他の目的、その多様な特徴、ならびに本発明それ自体は、以下の説明から、付随する図面とともに読まれた場合に、より完全に理解することができ、ここで:
【0035】
用語「2’−O−置換」は、ペントース部分の2’位の、1〜6個の飽和または不飽和の炭素原子を含む−O−低級アルキル基(例えば、限定されないが、2’−O−メチル)による、または2〜6個の炭素原子を有する−O−アリールまたはアリル基による置換を意味し、ここで、かかるアルキル、アリールまたはアリル基は、置換されていなくても、置換されていても(例えば、2’−O−エトキシ−メチル、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシル、カルボアルコキシもしくはアミノ基で);または、ヒドロキシ、アミノもしくはハロ基で置換されているが2’−Hでは置換されていないものであってもよい。一部の態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、その5’末端において2’−O−アルキル化された4または5個のリボヌクレオチド(すなわち、5’ 2−O−アルキル化リボヌクレオチド)、および/またはその3’末端において2’−O−アルキル化された4または5個のリボヌクレオチド(すなわち、3’ 2−O−アルキル化リボヌクレオチド)を含む。例示的な態様において、合成オリゴヌクレオチドのヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合により連結されている。ホスホロチオエート結合は、混合されたRpおよびSpエナンチオマーであってもよく、またはRpもしくはSpのいずれかの形態において立体規則性または実質的に立体規則性であってもよい(Iyer et al. (1995) Tetrahedron Asymmetry 6:1051-1054を参照)。
【0036】
用語「3’」は、方向性に用いる場合、一般に、同一のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの別の領域または位置からポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの3’(ヌクレオチドの3’末端の方へ)の領域または位置を指す。
【0037】
用語「5’」は、方向性に用いる場合、一般に、同一のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの他の領域または位置からポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの5’(ヌクレオチドの5’末端の方へ)の領域または位置を指す。
【0038】
用語「約」は、一般に、正確な数字が臨界的でないことを意味する。したがって、1つもしくは2つのより少数のヌクレオシド残基または1つから数個の付加的なヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、上記の各態様の相当物として考慮される。
【0039】
用語「アゴニスト」は、一般に、細胞の受容体に結合して応答を誘導する物質を指す。アゴニストは、しばしば、リガンドなどの天然に存在する物質の作用を模倣する。
【0040】
用語「アンタゴニスト」は、一般に、アゴニストの効果を減弱する物質を指す。
【0041】
用語「キナーゼ阻害剤」は、一般に、細胞におけるリン酸化依存性の細胞シグナル伝達および/または増殖経路に拮抗またはこれを阻害する分子を指す。キナーゼ阻害剤は、天然に存在するものであっても合成のものであってもよく、経口治療として投与される潜在力を有する低分子を含む。キナーゼ阻害剤は、標的キナーゼ分子の活性化を迅速におよび特異的に阻害する能力を有する。タンパク質キナーゼは、魅力的な薬物標的であり、これは部分的に、これらが広範なシグナル伝達および増殖経路を調節し、多数の異なるタンパク質を含むからである。したがって、これらは、癌、心血管疾患、炎症性障害、糖尿病、黄斑変性症および神経障害を含む、キナーゼシグナル伝達に関与する疾患の処置において多大な可能性を有する。キナーゼ阻害剤の例として、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、Sutent(登録商標)、ダサチニブ、Dasatinib(商標)、Zactima(商標)、Tykerb(商標)およびSTI571が挙げられる。
【0042】
用語「気道炎症」は、一般に、限定されず、喘息を含む、アレルゲンによって引き起こされた呼吸管の炎症を含む。
【0043】
用語「アレルゲン」は、一般に、対象にさらすとアレルギー応答を誘発する分子(通常、タンパク質)の抗原または抗原部分を指す。典型的には、対象は、例えば、ホイール・アンド・フレイア試験(wheal and flare test)または当該分野で知られる任意の方法によって示されるようにアレルゲンに対しアレルギー性である。分子は、分子にさらされた場合に対象の小さな小集団だけがアレルギーの(例えば、IgE)免疫反応を示しても、アレルゲンであるといわれる。
【0044】
用語「アレルギー」は、一般に、限定されないが、食物アレルギー、呼吸器アレルギーおよび皮膚アレルギーを含む。
【0045】
用語「抗原」は、一般に、抗体によって、または、T細胞抗原受容体によって、認識され、選択的に結合する物質を指す。抗原は、限定されないが、ペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの組み合わせを含み得る。抗原は、天然または合成であってよく、一般に、当該抗原に特異的な免疫応答を誘導する。
【0046】
用語「自己免疫障害」は、一般に、「自己」の抗原が免疫系によって攻撃を受ける障害を指す。かかる用語は、限定することなく、エリテマトーデス、多発性硬化症、I型真性糖尿病、過敏性腸症候群、クローン病、関節リウマチ、敗血症性ショック、汎発性脱毛症、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、セリアック病、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、ハシモト病、化膿性汗腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、モルフェア、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直症、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、血管炎、白斑、外陰部痛およびウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性喘息、敗血症性ショックおよび乾癬を含む。
【0047】
用語「癌」は、一般に、限定することなく、異常なまたは制御されない細胞の増殖および/または分裂により引き起こされる任意の悪性の増殖または腫瘍を指す。癌は、ヒトおよび/または動物において起こり得、任意のおよびすべての組織において生じ得る。癌を有する患者を処置することは、異常なまたは制御されない細胞の増殖および/または分裂あるいは転移が影響を及ぼされるような、本発明による化合物、医薬処方物またはワクチンの投与を含み得る。
【0048】
用語「キャリア」は、一般に、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝化剤、安定化剤、可溶化剤、オイル、脂質、脂質含有ベシクル、ミクロスフェア、リポソームカプセルまたは医薬処方物において用いるための当該分野でよく知られた他の材料を包含する。キャリア、賦形剤または希釈剤の特性が特定の適用のための投与経路に依存するであろうことは理解されるであろう。これらの材料を含む薬学的に許容し得る処方物の調製は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に記載されている。
【0049】
用語「共投与(co-administration)」または「共投与される(co-administered)」は、一般に、免疫応答を調節するために十分に時間的に近接した少なくとも2つの異なる物質の投与を指す。共投与は、少なくとも2つの異なる物質の、任意の順序における、単一の用量または別々の用量における、同時投与および数日間間隔まで時間的に間隔をあけた順序を指す。
【0050】
用語「組み合わせて」は、一般に、本発明による化合物と、患者を処置する過程において該化合物のMyD88アンチセンス活性を無効化しない疾患または状態を処置するために有用な別の剤とを投与することを意味する。かかる投与は、同時投与、ならびに数秒から数日間までの間隔で時間的に間隔をあけた順序を含む、任意の順序で行ってよい。かかる組み合わせ処置はまた、本発明による化合物および/または独立して他方の剤の、一回より多くの投与を含んでもよい。本発明の化合物および他方の剤の投与は、同一または異なる経路によってもよい。
【0051】
用語「個体」または「対象」または「脊椎動物」は、一般に、ヒトなどの哺乳動物を指す。
【0052】
用語「リニア合成」は、一般に、オリゴヌクレオチドの一端において開始し、他端まで直線的に進行する合成を指す。リニア合成は、同一または同一でない(長さ、塩基組成および/または組み込まれた化学修飾に関して)のモノマー単位のオリゴヌクレオチドへの組み込みを許容する。
【0053】
用語「哺乳動物」は、温血の脊椎動物を含むことを明示的に意図し、限定することなく、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、雌ウシ、ブタ、ヒツジおよびウサギを含む。
【0054】
用語「ヌクレオシド」は、一般に、糖(通常はリボースまたはデオキシリボース)とプリンまたはピリミジン塩基とからなる化合物を指す。
【0055】
用語「ヌクレオチド」とは、一般に、糖に結合したリン含有基(phosphorous-containing group)を含むヌクレオシドを指す。
【0056】
用語「修飾ヌクレオシド」は、一般に、修飾された複素環式塩基、修飾された糖部分、またはこれらの任意の組み合わせを含むヌクレオシドである。一部の態様において、修飾ヌクレオシドは、本明細書において記載されるように、非天然のピリミジンまたはプリンヌクレオシドである。本発明の目的のために、修飾ヌクレオシド、ピリミジンもしくはプリンの類似体、または天然に存在しないピリミジンもしくはプリンは、交換可能に用いることができ、天然に存在しない塩基および/または天然に存在しない糖部分を含むヌクレオシドを指す。本発明の目的のために、塩基は、それがグアニン、シトシン、アデニン、チミンまたはウラシルでない場合は、非天然のものであると考えられ、糖は、それがβ−リボフラノシドまたは2’−デオキシリボフラノシドでない場合は、非天然のものであると考えられる。
【0057】
用語「修飾オリゴヌクレオチド」は、本明細書において用いられる場合、そのヌクレオチドのうちの少なくとも2つが、一方のヌクレオチドの5’末端と、5’ヌクレオチドリン酸がいくつかの化学基で置換されている別のヌクレオチドの3’末端との間で、合成の結合、すなわちホスホジエステル結合以外の結合を介して共有結合しているオリゴヌクレオチドを記載する。用語「修飾オリゴヌクレオチド」はまた、2’−O−置換、5’−O−置換および/または3’−O−置換リボヌクレオチドなどの修飾された塩基および/または糖を有する少なくとも1つのヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを包含する。
【0058】
用語「核酸」は、あるゲノムの領域またはそれから転写されるRNA分子を包含する。一部の態様において、核酸はmRNAである。
【0059】
用語「ヌクレオチドの結合」は、一般に、2つのヌクレオシドをそれらの糖を介して(例えば、3’−3’、2’−3’、2’−5’、3’−5’)連結する化学結合であって、隣接するヌクレオシド間のリン原子および荷電されているかまたは中性の基(例えば、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたはメチルホスホネート)からなるものを指す。
【0060】
用語「オリゴヌクレオチド」は、複数の結合したヌクレオシド単位から形成されるポリヌクレオシドを指す。ヌクレオシド単位は、ウイルス、細菌、細胞片またはオリゴヌクレオチドベースの組成物(例えば、siRNAおよびmicroRNA)の一部であってよい。かかるオリゴヌクレオチドはまた、ゲノムDNAまたはcDNAを含む現存する核酸のソースから得ることもできるが、好ましくは合成方法により生成される。特定の態様において、各ヌクレオシド単位は、複素環式塩基、およびペントフラノシル、トレハロース、アラビノース、2’−デオキシ−2’−置換ヌクレオシド、2’−デオキシ−2’−置換アラビノース、2’−O−置換アラビノースまたはヘキソース糖基を含む。ヌクレオシド残基は、多数の公知のヌクレオシド間結合のいずれかにより互いに共役させることができる。かかるヌクレオシド間結合として、限定することなく、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、シロキサン、カーボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホルアミデート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエートおよびスルホンヌクレオシド間結合を含む。用語「オリゴヌクレオチドベースの化合物」はまた、1または2以上の立体特異性のヌクレオシド間結合(例えば(R)−または(S)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、またはホスホトリエステル結合)を有するポリヌクレオシドを包含する。本明細書において用いられる場合、用語「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」は、当該結合がリン酸基を含むか否かに拘わらず、あらゆるかかるヌクレオシド間結合を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを含むことを明示的に意図される。ある例示的な態様において、これらのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエートもしくはホスホロジチオエート結合、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0061】
用語「あるゲノム領域またはそれから転写されるRNA分子に対して相補的である」とは、生理学的条件下において、例えば、ワトソン−クリック塩基対形成(オリゴヌクレオチドと一本鎖核酸との間の相互作用)により、またはフーグスティーン塩基対形成(オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸との間の相互作用)により、または、オリゴヌクレオチドの場合はRNAへ結合することおよびシュードノット(pseudoknot)形成を引き起こすことを含む任意の他の手段により、核酸配列に結合するオリゴヌクレオチドを意味することを意図される。ワトソン−クリックまたはフーグスティーン塩基対形成による生理学的条件下における結合は、核酸配列の機能に対する干渉を観察することにより実際に測定される。
【0062】
用語「ペプチド」は、一般に、当該ペプチドがハプテンであってもなくても、生物学的応答、例えば抗体産生またはサイトカイン活性に影響を与えるために十分な長さおよび組成のポリペプチドを指す。用語「ぺプチド」は、修飾アミノ酸(天然に存在するものまたはまたは天然に存在しないもののいずれであっても)を含んでもよく、かかる修飾として、限定されないが、リン酸化、糖鎖付加、ペグ化、脂質化およびメチル化が挙げられる。
【0063】
用語「薬学的に受容可能な」は、本発明による化合物の有効性または本発明による化合物の生物学的活性に干渉しない、非毒性の材料を意味する。
【0064】
用語「生理学的に受容可能な」は、細胞、細胞培養、組織または生体などの生物学的システムと適合性である、非毒性の材料を意味する。好ましくは、生物学的システムは、哺乳動物、特にヒトを含む、脊椎動物などの生体である。
【0065】
用語「予防有効量」は、一般に、望ましくない生物学的効果の発生を予防または低減するために十分な量を指す。
【0066】
用語「治療有効量」または「薬学的有効量」は、一般に、限定することなく疾患または障害の徴候または症状の予防、減少、寛解または消失を含む有益な結果などの所望の生物学的効果に作用するために十分な量を指す。したがって、医薬組成物または方法の各活性成分の合計量は、有意義な患者の利益、例えば、限定することなく、免疫刺激により特徴づけられる慢性状態の治癒、を示すために十分である。したがって、「薬学的有効量」は、それが投与される状況に依存する。薬学的有効量は、1または2以上の予防的または治療的投与において投与することができる。個々の活性成分に対して適用され、単独で投与される場合、当該用語はその成分単独について言及する。組み合わせに対して適用される場合、当該用語は、組み合わせにおいて投与されるか、連続してまたは同時に投与されるかに拘わらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせ量について言及する。
【0067】
用語「処置」は、一般に、症状の緩和または疾患の進行を遅らせることまたは寛解することを含み得る、有益または所望の結果を得ることを意図するアプローチを指す。
【0068】
第1の側面において、本発明は、ヒトMyD88(配列番号153)に対して特異的である核酸に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、MyD88のmRNAのコード配列または5’もしくは3’非翻訳領域の標的領域、および/あるいはそれらの化学修飾の両方に関して最適化されている。この側面の一部の態様において、化合物は、MyD88のmRNA(配列番号153)のコード領域の核酸塩基188〜1078、または5’非翻訳領域の1〜187、または3’非翻訳領域の1079〜2826内のある領域に対して相補的である。
【0069】
本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、MyD88媒介性免疫応答を阻害することが有益であるであろう疾患を処置および/または予防する上で有用である。本発明による有用なMyD88標的化アンチセンスオリゴヌクレオチドとして、天然に存在するヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチドおよび/または骨格修飾オリゴヌクレオチドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられるがこれらに限定されない。しかし、mRNAにコードされるタンパク質の翻訳を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されないが、不十分に活性なアンチセンスオリゴヌクレオチド、不適当なバイオアベイラビリティ、最適以下の薬物動態または薬力学および免疫刺激を含む、望ましくない生物学的効果をもたらす場合がある。したがって、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドの最適な設計は、単純な相補的配列の設計を超えた多くの配慮を必要とする。したがって、本発明によるMyD88標的化アンチセンスオリゴヌクレオチドの調製は、アンチセンス活性に対する二次構造の干渉を限定し、オリゴヌクレオチドの標的特異性を増大し、結合因子もしくは競合因子(例えばタンパク質)との相互作用を最小化し、細胞による取り込み、安定性、バイオアベイラビリティ、薬物動態および薬力学を最適化し、ならびに/または免疫細胞の活性化を阻害、防止もしくは抑制するために必要な変化を組み込むことを意図される。かかる免疫細胞の活性化の阻害、防止または抑制は、アンチセンスオリゴヌクレオチドがMyD88に対するmRNA内に含まれるヌクレオチド配列にハイブリダイズする能力を損なうことなく、多数の方法により達成することができる。かかる方法として、限定することなく、1または2以上の修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド結合の組み込み、ここで、かかる修飾ヌクレオチドは、「CpG」ジヌクレオチドの「C」上の2’−O−メチル、3’−O−メチル、5−メチル、2’−O−メトキシエチル−C、2’−O−メトキシエチル−5−メチル−Cおよび/または2’−O−メチル−5−メチル−C、CpGの「G」上の2’−O−置換−G、2’−O−メチル−Gおよび/または2’−O−メトキシエトキシ−Gであり、かかる修飾ヌクレオチド結合は、「CpG」ジヌクレオチドのCとGとの間の非リン酸または非ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、「CpG」ジヌクレオチドのCとGとの間のメチルホスホネート結合および/または2’−5’ヌクレオチド間結合である。
【0070】
MyD88のコード領域は約0.9kBからなることが決定されており、296アミノ酸のタンパク質に相当する転写物もまたヒトにおいて同定されている(Bonnert et al. (1997) FEBS Lett. 402:81-84)。MyD88をコードする遺伝子の配列は、マウスにおいて(Hardiman et al. (1997) Genomics 45:332-339)、およびヒトについて(Bonnert et al. (1997) FEBS Lett. 402:81-84)報告されている。本発明のオリゴヌクレオチドは、MyD88の発現を阻害するための標的として最も有効に作用する、MyD88の核酸配列のうちの最適に利用可能な部分を対象としている。MyD88遺伝子のこれらの標的領域は、既知のエクソンまたは5’非翻訳領域の部分を含む。さらに、イントロン−エクソン境界、3’非翻訳領域およびイントロンは、MyD88の発現のアンチセンス阻害のための潜在的に有用な標的である。いくつかの代表的なヌクレオチド配列、ヒトMyD88に特異的な非限定的なオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜155を有する。本発明による最適化オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、配列番号4、10、21、29、31、39、46、48、63、66、70、71、72、76、85、116または142を有するものを含む。
【0071】
本発明のオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたは両方の組み合わせからなり、一方のヌクレオチドの5’末端と別のヌクレオチドの3’(または限定された場合において2’)末端とが共有結合している。これらのオリゴヌクレオチドは、少なくとも14ヌクレオチドの長さであるが、好ましくは15〜60ヌクレオチド長、好ましくは20〜50ヌクレオチドの長さである。一部の態様において、これらのオリゴヌクレオチドは、約14〜28個のヌクレオチド、または約16〜25個のヌクレオチド、または約18〜22個のヌクレオチド、または20個のヌクレオチドを含む。これらのオリゴヌクレオチドは、ホスホルアミデートまたはH−ホスホネート化学などの当該分野において認められている方法により調製することができ、これはマニュアルで、または自動合成機により行うことができる。本発明の合成MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、それらがMyD88のmRNAにハイブリダイズする能力を損なうことなく多数の方法で修飾することができる。かかる修飾として、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチド間結合が、アルキルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、リン酸エステル、アルキルホスホノチオエート、ホスホルアミデート、カルバメート、カーボネート、リン酸トリエステル、アセトアミデートもしくはカルボキシメチルエステル、または、これらと、一方のヌクレオチドの5’末端と5’ヌクレオチドのホスホジエステル結合が幾つかの化学基により置き換えられている別のヌクレオチドの3’末端との間の他のヌクレオチド間結合との組み合わせであることが挙げられる。
【0072】
例えば、米国特許第5,149,797号は、ホスホロチオエートのコア領域がメチルホスホネートまたはホスホルアミデートのフランキング領域の間に挿入されている、伝統的なキメラオリゴヌクレオチドを記載する。米国特許第5,652,356号は、オリゴヌクレオチドホスホロチオエートの1または2以上の領域により挟まれた1または2以上の非イオン性オリゴヌクレオチド領域(例えば、アルキルホスホネートおよび/またはホスホルアミデートおよび/またはホスホトリエステルヌクレオシド間結合)を含む、「逆転」キメラオリゴヌクレオチドを開示する。修飾ヌクレオチド間結合を有する多様なオリゴヌクレオチドを、標準的な方法に従って調製することができる。ホスホロチオエート結合は、混合されたRpおよびSpエナンチオマーであってもよく、またはこれらを標準的な手順に従ってRpもしくはSpのいずれかの形態において立体規則性もしくは実質的に立体規則性にしてもよい。
【0073】
自己安定化(self-stabilized)オリゴヌクレオチドもまた、本発明の方法において有用な修飾オリゴヌクレオチドであると考えられる(Tang et al. (1993) Nucleic Acids Res. 20:2729-2735)。これらのオリゴヌクレオチドは、2つの領域を含む:標的にハイブリダイズする領域;および自己安定化オリゴヌクレオチド内の核酸配列に対して相補的なオリゴヌクレオチド配列を有する自己相補的領域。
【0074】
他の修飾として、オリゴヌクレオチド分子の内部または末端におけるものが挙げられ、これは、ヌクレオシド間リン酸結合の分子に対する、コレステロール、コレステリル、またはアミノ基との間に多様な数の炭素残基を有するジアミン化合物などの付加、ならびに、反対の鎖またはゲノムに結合する関連する酵素もしくはタンパク質を切断するかまたはこれと架橋する、末端のリボース、デオキシリボースおよびリン酸の修飾を含む。かかる修飾オリゴヌクレオチドの例として、リボースの替わりにアラビノースなどの修飾塩基および/または糖を有するオリゴヌクレオチド、または、その3’位および5’位の両方においてヒドロキシル基以外(その3’位において)およびリン酸基以外(その5’位において)の化学基と結合している糖を有する3’、5’−置換オリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0075】
糖への修飾の他の例として、リボース部分の2’位への修飾が挙げられる。これは、限定されないが、1〜6個の飽和または不飽和の炭素原子を含む−O−アルキル基による、または−O−アリール、もしくは2〜6個の炭素原子を有する−O−アリル基による2’−O−置換を含み、ここで、かかる−O−アルキル、−O−アリールまたは−O−アリル基は、未置換であっても、例えばハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボアルコキシまたはアミノ基で置換されていてもよい。これらの置換のいずれも、リボースの場合はネイティブな2’−ヒドロキシル基、デオキシリボースの場合は2’1−H−を有する他のヌクレオチドの存在を除外することを意図しない。
【0076】
米国特許第5,652,355号は、DNAコア領域を挟む2’−O−置換リボヌクレオチドの領域を有する、伝統的なハイブリッドオリゴヌクレオチドを開示する。米国特許第5,652,356号は、「逆転」ハイブリッドオリゴヌクレオチドを開示し、これは、2つのオリゴデオキシリボヌクレオチド領域の間に位置する2’−O−置換(または2’OH、未置換)RNA領域を含むオリゴヌクレオチドを含み、「伝統的な」ハイブリッドオリゴヌクレオチドに対して「逆転」した構造である。特に有用な本発明のオリゴヌクレオチドの非限定的な例は、その3’、5’、または3’および5’末端において、2’−O−アルキル化リボヌクレオチドを有し、少なくとも4または5個の近接したヌクレオチドがそのように修飾されている。2’−O−アルキル化基の非限定的な例として、2’−O−メチル、2’−O−エチル、2’−O−プロピル、2’−O−ブチルおよび2’−O−エトキシ−メチルが挙げられる。
【0077】
他の修飾オリゴヌクレオチドは、その3’および/または5’末端においてヌクレアーゼ耐性を付与する嵩高い置換基でキャップされているか、または、ヌクレオチド毎に1つの非架橋酸素において置換を有する。かかる修飾は、一部のまたは全てのヌクレオシド間結合におけるもの、ならびに、オリゴヌクレオチドの一方または両方の末端におけるもの、および/または分子の内部におけるものであってよい。
【0078】
本発明のオリゴヌクレオチドは、本発明のアンチセンス分子と同じ標的ではなく、かつ本発明によるMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドが存在しなければTLR2、4、5、6、7、8または9媒介性免疫応答を活性化するであろう免疫刺激モチーフを含む、1または2以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは他の核酸を含む化合物と組み合わせて投与してもよい。さらに、本発明のオリゴヌクレオチドは、1または2以上のワクチン、抗原、抗体、細胞傷害剤、アレルゲン、抗生物質、TLRアンタゴニスト、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバント、キナーゼ阻害剤、MyD88阻害剤、STATタンパク質阻害剤もしくは共刺激分子またはこれらの組み合わせと組み合わせて投与してもよい。
【0079】
MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドの非限定的なリストを、配列番号1〜配列番号153および以下の表2において示す。本発明による最適化されたアンチセンスオリゴヌクレオチドとして、配列番号4、10、21、29、31、39、46、48、63、66、70、71、72、76、85、116または142を有するものが挙げられる。表2において、オリゴヌクレオチドベースのMyD88アンチセンス化合物は、全てホスホロチオエート(PS)結合を有する。しかし、当業者は、ホスホジエステル(PO)結合、またはPSとPO結合との混合、ならびに他の修飾結合を用いることができることを理解するであろう。
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【0080】
下線のヌクレオチドは、2’−O−メチルリボヌクレオチドであり、他の全ては2’−デオキシリボヌクレオチドである。例示的な本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、「CG」ジヌクレオチドが配列中に含まれる場合、かかるオリゴヌクレオチドは、当該オリゴヌクレオチドの免疫刺激特性を取り除くかまたは防止するように修飾される。
【0081】
第2の側面において、本発明は、少なくとも1つの本発明による最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドと生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤とを含む組成物を提供する。キャリアの特徴は、投与の経路に依存する。かかる組成物は、合成オリゴヌクレオチドおよびキャリアに加えて、希釈剤、充填剤、塩、緩衝化剤、安定化剤、可溶化剤および当該分野において周知の他の材料を含んでもよい。本発明の医薬組成物はまた、MyD88の発現の阻害を増強する他の活性因子および/または剤を含んでもよい。例えば、その各々がMyD88のmRNAの異なる領域を対象とする合成オリゴヌクレオチドの組み合わせを、本発明の医薬組成物において用いてもよい。本発明の医薬組成物は、さらに、アジドチミジン、ジデオキシシチジン、ジデオキシイノシンなどの、ヌクレオチド類似体を含んでもよい。かかるさらなる因子および/または剤は、本発明の合成オリゴヌクレオチドとの相乗的、相加的または増強された効果をもたらすために、または、本発明の合成オリゴヌクレオチドにより引き起こされる副作用を最小化するために、医薬組成物中に含まれてもよい。本発明の医薬組成物は、リポソームの形態であってもよく、その中において、本発明の合成オリゴヌクレオチドは、他の薬学的に受容可能なキャリアに加えて、ミセル、不溶性単層、液晶または水溶液中のラメラ層として凝集した形態で存在する脂質などの両親媒性の剤と組み合わされる。リポソーム製剤に好適な脂質として、限定することなく、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸などが挙げられる。特に有用な脂質キャリアの1つはリポフェクチンである。かかるリポソーム製剤の製造は、例えば米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号および同第4,737,323号において開示される通り、当該分野における技術のレベルの範囲内である。本発明の医薬組成物は、さらに、細胞内へのオリゴヌクレオチドの送達を増強するかまたはポリマーの放出を遅延させる、シクロデキストリンなどの化合物を含んでもよい。
【0082】
第3の側面において、本発明は、MyD88の発現を阻害する方法を提供する。この方法において、本発明のオリゴヌクレオチドまたは複数のオリゴヌクレオチドは、in vitroで、または細胞において、MyD88のmRNAと特異的に接触させられるかまたはハイブリダイズされる。
【0083】
第4の側面において、本発明は、哺乳動物、特にヒトにおいて、MyD88の発現を阻害するための方法を提供し、かかる方法は、哺乳動物に本発明による化合物または組成物を投与することを含む。
【0084】
第5の側面において、本発明は、哺乳動物においてTLR媒介性免疫応答を阻害するための方法を提供し、該方法は、哺乳動物に本発明によるMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドを薬学的有効量において投与することを含み、ここで、投与の経路として、非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣によるもの、遺伝子銃によるもの、経皮貼付剤によるものまたは点眼剤もしくは洗口剤の形態におけるものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0085】
第6の局面において、本発明は、MyD88により媒介される疾患を有する哺乳動物を治療的に処置するための方法を提供し、かかる方法は、哺乳動物、特にヒトに、本発明のMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドを薬学的有効量において投与することを含む。
【0086】
ある態様において、疾患は、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性疾患、感染性障害、マラリア、ライム病、眼感染症、結膜炎、皮膚の障害、乾癬、強皮症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性疲労性症候群、サルコイドーシス、移植拒絶、アレルギー、喘息または病原体により引き起こされる疾患である。好ましい自己免疫障害として、限定することなく、エリテマトーデス、多発性硬化症、I型真性糖尿病、過敏性腸症候群、クローン病、関節リウマチ、敗血症性ショック、汎発性脱毛症、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、セリアック病、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、ハシモト病、化膿性汗腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、モルフェア、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直症、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、血管炎、白斑、外陰部痛およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。ある態様において、炎症性障害として、限定することなく、気道炎症、喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、ベーチェット病、過敏症、炎症性腸疾患、再灌流傷害、関節リウマチ、移植拒絶、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、結膜炎および血管炎が挙げられる。
【0087】
第7の側面において、本発明は、MyD88により媒介される疾患または障害を罹患するかまたは発症する危険性がある哺乳動物、特にヒトにおいて、疾患または障害を予防するための方法を提供する。この側面による方法は、哺乳動物に、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは組成物の予防有効量を投与することを含む。かかる疾患および障害として、限定することなく、脊椎動物における、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性疾患、感染性障害、マラリア、ライム病、眼感染症、結膜炎、皮膚の障害、乾癬、強皮症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性疲労性症候群、サルコイドーシス、移植片拒絶、アレルギー、喘息または病原体により引き起こされる疾患が挙げられ、かかる方法は、脊椎動物、特にヒトに、本発明のMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドを薬学的有効量において投与することを含む。自己免疫障害として、限定することなく、エリテマトーデス、多発性硬化症、I型真性糖尿病、過敏性腸症候群、クローン病、関節リウマチ、敗血症性ショック、汎発性脱毛症、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、セリアック病、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、ハシモト病、化膿性汗腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、モルフェア、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直症、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、血管炎、白斑、外陰部痛およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。炎症性障害として、限定することなく、気道炎症、喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、ベーチェット病、過敏症、炎症性腸疾患、再灌流傷害、関節リウマチ、移植拒絶、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、結膜炎および血管炎が挙げられる。
【0088】
第8の側面において、本発明は、MyD88の発現を下方調節し、それにより特定の他のアンチセンス分子またはMyD88を活性化する副作用を有する他の化合物もしくは薬物の「オフ・ターゲット」な活性を防止するための方法を提供する。MyD88以外の標的の発現を下方調節するように設計された特定のアンチセンスならびに他のDNAおよび/またはRNAベースの化合物、ならびに他の薬物はまた、MyD88のタンパク質を活性化して免疫応答を誘導する場合がある。この活性は、「オフ・ターゲット」効果として言及することができる。本発明によるMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドは、MyD88の発現を下方調節する能力を有し、従って、MyD88を標的としないアンチセンス分子または他の薬物のMyD88媒介性オフ・ターゲット活性を防止する。例えば、本発明によるMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明のアンチセンス分子と同じ標的を有さず、かつ本発明によるMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドが存在しなければMyD88媒介性免疫応答を活性化するであろう免疫刺激モチーフを含む、1または2以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて投与してもよい。したがって、例えば、MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドと同じ分子を標的としない1または2以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはRNAi分子(例えばsiRNA、miRNA、ddRNAおよびeiRNA)と組み合わせて投与してもよい。
【0089】
第9の側面において、本発明は、哺乳動物においてMyD88の発現および活性を阻害するための方法を提供し、該方法は、哺乳動物に、MyD88のmRNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびMyD88タンパク質のアンタゴニストを投与することを含む。この側面によれば、MyD88の発現はアンチセンスオリゴヌクレオチドにより阻害され、一方、残留して発現されるMyD88タンパク質はアンタゴニストにより阻害される。好ましいアンタゴニストとして、抗MyD88抗体またはその結合フラグメントもしくはペプチド模倣物、RNAベースの化合物、オリゴヌクレオチドベースの化合物、および/またはMyD88活性の低分子阻害剤が挙げられる。
【0090】
第10の側面において、本発明は、哺乳動物においてMyD88の発現および他のシグナル伝達分子の活性を阻害するための方法を提供し、該方法は、哺乳動物に、MyD88のmRNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、およびTLR2、4、5、6、7、8もしくは9のアンタゴニスト、キナーゼ阻害剤またはSTATタンパク質阻害剤を投与することを含む。この側面によれば、MyD88の発現はアンチセンスオリゴヌクレオチドに阻害され、一方、他のシグナル伝達カスケードはアンタゴニストにより阻害される。好ましいアンタゴニストとして、抗TLR2、4、5、6、7、8および/もしくは9抗体またはそのその結合フラグメントもしくはペプチド模倣物、RNAベースの化合物、オリゴヌクレオチドベースの化合物、ならびに/あるいはTLR2、4、5、6、7、8および/もしくは9の活性またはシグナル伝達タンパク質の活性の低分子阻害剤が挙げられる。
【0091】
本発明による多様な方法において、MyD88の発現を阻害する上で有効な本発明の合成オリゴヌクレオチドの治療有効量または予防有効量を細胞に投与する。この細胞は、細胞培養、血管新生化組織(neovascularized tissue)培養の一部であっても、またはヒトもしくは他の哺乳動物などの動物の一部または全身であってもよい。投与は任意の好適な経路によるものであってよく、限定することなく、非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣によるもの、遺伝子銃によるもの、経皮貼付剤によるもの、または点眼剤もしくは洗口剤の形態におけるものを含む。MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドの治療用組成物の投与は、当業者により決定されるとおり条件および応答に依存して、公知の手順を用いて、疾患の症状または代用マーカーを減少させるために有効な投与量でかつそのような期間にわたって行うことができる。本発明の治療用MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドの1または2以上の治療有効量を、個体に、一回の処置エピソードとして、同時に、または連続して投与することが望ましい場合がある。上で記載される本発明の方法の一部の例示的な態様において、オリゴヌクレオチドは、局所および/または全身で投与される。用語「局所投与される」とは、身体の規定の範囲または領域への送達を指し、一方、用語「全身投与」とは、全生体への送達を包含することを意味する。
【0092】
本発明による方法のいずれにおいても、MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドは、該MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドの免疫調節効果を減弱しない、疾患または病状を処置するために有用な任意の他の剤と組み合わせて投与することができる。本発明による方法のいずれにおいても、疾患または病状を処置するために有用な剤として、免疫応答の特異性または大きさを増強するための1または2以上のワクチン、抗原、抗体、細胞傷害剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、siRNA、miRNA、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバント、キナーゼ阻害剤もしくはSTAT阻害剤、またはサイトカイン、ケモカイン、タンパク質リガンド、トランス活性化因子、ペプチドおよび修飾アミノ酸を含むペプチドなどの共刺激分子が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、自己免疫疾患の処置において、MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドを、1または2以上の標的化された治療剤および/またはモノクローナル抗体と組み合わせて投与し得ることが企図される。あるいは、剤は、抗原またはアレルゲンをコードするDNAベクターを含んでもよい。これらの態様において、本発明のMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドは、直接的な免疫調節または抑制効果をもたらすことができる。
【0093】
本発明による多様な方法において、投与の経路は、限定することなく、非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣によるもの、遺伝子銃によるもの、経皮貼付剤または点眼剤もしくは洗口剤の形態におけるものであってよい。
【0094】
本発明の合成オリゴヌクレオチドの治療有効量を経口投与する場合、合成オリゴヌクレオチドは、錠剤、カプセル、散剤、溶液またはエリキシル剤の形態となる。錠剤の形態において投与される場合、本発明の医薬組成物は、さらに、ゼラチンなどの固体のキャリアまたはアジュバントを含んでもよい。錠剤、カプセルおよび散剤は、約5〜95%の合成オリゴヌクレオチドを含み、好ましくは約25〜90%の合成オリゴヌクレオチドを含む。液体の形態において投与される場合、水、石油、ピーナッツ油、鉱油、大豆油、ゴマ油などの動物もしくは植物に由来するオイル、または合成オイルなどの液体のキャリアを添加してもよい。医薬組成物の液体形態は、さらに、生理食塩水溶液、デキストロースもしくは他の糖溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコール類を含んでもよい。液体の形態において投与される場合、医薬組成物は、約0.5〜90重量%の合成オリゴヌクレオチド、または約1〜50%の合成オリゴヌクレオチドを含む。
【0095】
本発明の合成オリゴヌクレオチドの治療有効量を非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣により、遺伝子銃により、経皮貼付剤または点眼剤もしくは洗口剤の形態において投与する場合、合成アンチセンスオリゴヌクレオチドは、パイロジェンフリーの、非経口で受容可能な水溶液の形態となる。pH、等張性、安定性などに配慮した、かかる非経口で受容可能な溶液の製造は、当該分野における技術の範囲内である。例示的な非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣によるもの、遺伝子銃によるもの、経皮貼付剤によるもの、または点眼剤もしくは洗口剤の形態におけるもののための医薬組成物は、合成オリゴヌクレオチドに加えて、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウムの注射液、乳酸リンガー注射液または当該分野において公知の他のビヒクルなどの等張性ビヒクルを含むべきである。本発明の医薬組成物はまた、安定化剤、保存剤、緩衝化剤、抗酸化剤または当業者に公知の他の添加物を含んでもよい。
【0096】
非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣により、遺伝子銃により、経皮貼付剤によりまたは点眼剤もしくは洗口剤の形態において投与される場合、0.01%〜10%(重量/容積)の範囲の用量を用いることができる。液体の形態において投与される場合、水、石油、ピーナッツ油、鉱油、大豆油、ゴマ油などの動物もしくは植物に由来するオイル、または合成オイルなどの液体のキャリアを添加してもよい。局所投与は、リポソームまたは徐放性(time-release)経皮貼付剤により行うことができる。
【0097】
本発明の医薬組成物中の合成オリゴヌクレオチドの量は、処置される状態の性質および重篤度、ならびに患者が経験した先行する処置の性質に依存する。本発明の方法を実施するために用いられる多様な医薬組成物は、体重または器官の重量1kg当たり、約10マイクログラム〜約20mgの合成オリゴヌクレオチドを含むべきであることが企図される。
【0098】
本発明の医薬組成物を用いる静脈内治療の期間は、処置される疾患の重篤度、および各々の個々の患者の状態および潜在的な特異体質応答に依存して変化する。
【0099】
一部の疾患は急性の処置に向いており、他の疾患はより長期的な治療を必要とする。疾患における急性および長期的介入はいずれも意義のある目的である。MyD88に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの注射は、特定の疾患を急性期の状況において阻害する有効な手段であり得る。しかし、数週間、数か月または数年の期間にわたる長期的治療のためには、食塩水などのキャリア、遅延放出ポリマーまたはリポソームのいずれかを用いる全身送達(腹腔内、筋肉内、皮下、静脈内)が考慮される可能性がある。
【0100】
一部の慢性疾患において、オリゴヌクレオチドの全身投与が好ましい場合がある。注射の頻度は、持続的注入から、1カ月に1回、1カ月に数回、またはより少ない頻度であり、疾患の経過およびオリゴヌクレオチドの生物学的半減期に基づいて決定される。
【0101】
本発明のオリゴヌクレオチドおよび方法はまた、細胞において、あるいは対照哺乳動物において、あるいはTLR2、4、5、6、7、8もしくは9に関連するかまたはTLR2、4、5、6、7、8もしくは9を介した免疫刺激に関連する疾患を罹患する哺乳動物において、MyD88遺伝子の機能を試験するために有用である。かかる用途において、細胞または哺乳動物に、オリゴヌクレオチドを投与し、MyD88のmRNAまたはタンパク質の発現を試験する。
【0102】
いかなる理論または機構にも限定されることなく、一般に、本発明によるオリゴヌクレオチドの活性は、当該オリゴヌクレオチドの標的核酸(例えば、ゲノムの領域、遺伝子またはそのmRNA転写物の少なくとも一部分)へのハイブリダイゼーションにより標的の機能を撹乱することに依存すると考えられる。生理学的条件下におけるかかるハイブリダイゼーションは、核酸配列の機能への干渉を観察することにより、実際に測定される。したがって、本発明により用いられる例示的なオリゴヌクレオチドは、標的核酸と安定な二本鎖(または、フーグスティーンもしくは他の水素結合対形成機構においては、三重鎖)を形成することができ;RNaseHまたは他のin vivoでの酵素を活性化してそれにより標的RNA分子の効果的な破壊を引き起こすことができ;およびin vivoでの核酸分解(例えばエンドヌクレアーゼおよびエクソヌクレアーゼ活性)に対して耐性であることができる。上記のオリゴヌクレオチドへの多数の修飾および当該分野において公知の他のものは、これらの例示的な特徴の各々に特異的におよび首尾よく取り組む。
【0103】
本発明の多様な処置の方法または使用において、本発明の合成オリゴヌクレオチドの1、2または3以上の治療有効量または予防有効量を、疾患または障害を罹患するかまたは発症する危険性がある対象に投与する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、単独で、あるいは、限定されないが、免疫応答の特異性もしくは強さを増強するための1または2以上のワクチン、抗原、抗体、細胞傷害剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、siRNA、miRNA、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、MyD88アンタゴニスト、アジュバント、キナーゼ阻害剤もしくはSTAT阻害剤、またはサイトカイン、ケモカイン、タンパク質リガンド、トランス活性化因子、ペプチドおよび修飾アミノ酸を含むペプチドなどの共刺激分子を含む他の公知の治療と組み合わせて、本発明の方法により投与することができる。1または2以上の他の治療と共投与される場合、本発明の合成オリゴヌクレオチドは、他の処置と同時に、または連続的に投与することができる。
【0104】
以下の例は、本発明を製造し実施する例示的な態様を説明するものであるが、本発明の範囲を限定することは意図されない。なぜならば、同様の結果を得るために代替的な方法を利用することができるからである。
【0105】
例1:
MyD88特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの調製
本発明による化学的実体を、1μmol〜0.1mMのスケールにおいて、自動DNA合成機(OligoPilot II、AKTA(Amersham)および/またはExpedite 8909(Applied Biosystem))と、その後に図1に要約したリニア合成手順を用いて合成した。
【0106】
5’−DMT dA、dG、dCおよびTホスホルアミダイトを、Proligo(Boulder, CO)から購入した。5’−DMT7−デアザ−dGおよびaraGホスホルアミダイトを、Chemgenes(Wilmington, MA)から入手した。DiDMT−グリセロールリンカー固体支持体を、Chemgenesから入手した。1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンアミダイトをGlen Research(Sterling, VA)から入手し、2’−O−メチルリボヌクレオシド アミダイトをPromega(Obispo, CA)から入手した。本発明による全ての化合物は、ホスホロチオエート骨格修飾されたものであった。
【0107】
全てのヌクレオシドホスホルアミダイトを、31PおよびH NMRスペクトルにより特徴づけた。修飾ヌクレオシドを、製造者により推奨される正常なカップリングサイクルを用いて特異的部位で組み込んだ。合成の後で、化合物を、濃縮水酸化アンモニウムを用いて脱保護し、逆相HPLC、脱トリチル化、およびその後の透析により精製した。ナトリウム塩形態として精製した化合物を、使用の前に凍結乾燥した。CGEおよびMALDI−TOF MSにより、純度を試験した。エンドトキシンレベルは、LAL試験により決定したところ、1.0EU/mg未満であった。
【0108】
例2:
細胞培養の条件および試薬
MyD88アンチセンス活性についてのHEK293細胞培養アッセイ
ヒトTLR9を安定に発現するHEK293XL細胞(Invivogen, San Diego, CA)を、5%COインキュベーターにおいて、10%熱不活化FBSを添加した250μL/ウェルのDMEM中で、48ウェルプレートに播種した。80%コンフルーエンシーにおいて、培養物を400ng/mLの分泌型ヒト胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)レポータープラスミド(pNifty2-Seap(Invivogen))で、4μL/mLのリポフェクタミン(Invitrogen, Carlsbad, CA)の存在下において、培養培地中で、一過性にトランスフェクトした。プラスミドのDNAとリポフェクタミンとを、別々に無血清培地中で希釈し、室温で5分間インキュベートした。インキュベーションの後で、希釈されたDNAおよびリポフェクタミンを混合し、混合物をさらに室温で20分間インキュベートした。100ngのプラスミドDNAおよび1μLのリポフェクタミンを含むDNA/リポフェクタミン混合物の25μLのアリコートを、細胞培養プレートの各ウェルへ添加し、細胞を6時間トランスフェクトした。トランスフェクションの後で、培地を新鮮な培養培地(抗生物質を含まない)で交換し、ヒトMyD88アンチセンス化合物をウェルに添加し、インキュベーションを18〜20時間続けた。細胞を、次いでオリゴヌクレオチドベースのTLR9アゴニストで6時間刺激した。
【0109】
処置の最後に、20μLの培養上清を各ウェルから採取し、SEAP活性についてQuanti Blue法により、製造者(Invivogen)のプロトコルに従ってアッセイした。データは、PBS対照に対するNF−κB活性の増大の倍率として示す。
【0110】
例3:
MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドのin vivoでの活性
in vivoでの活性を決定するために、5〜6週齢のメスC57BL/6マウス(N=3/群)に、本発明による例示的なマウスのMyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドを5mg/kgで、またはPBSを、皮下で1日1回3日間にわたり注射する。MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与に続いて、マウスに0.25mg/kgのTLRアゴニストを皮下で注射する。TLRアゴニストの投与の2時間後に血液を採取し、IL−12濃度をELISAにより決定し、MyD88のin vivoでの阻害を決定する。
【0111】
均等物
当業者は、慣用的な実験のみを用いて、本明細書において記載される具体的な物質および手順に対する多数の均等物を認識するか、または確定することができる。例えば、オリゴヌクレオチドと重なるアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることができる。かかる均等物は、本発明の範囲内であり、以下の特許請求の範囲により含められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MyD88のmRNA(配列番号153)に対して相補的な、長さ20〜50ヌクレオチドの合成アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号4、10、21、29、31、39、46、48、63、66、70、71、72、76、85、116または142を含む配列を有し、ヒトMyD88に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害する、前記合成アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
アルキルホスホネート類、ホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類およびメチルホスホネート類からなる群より選択される少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を有する、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオチド間結合である、請求項2に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
少なくとも1つの2’−O−置換リボヌクレオチドを含む、請求項4に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドと生理学的に受容可能なキャリアとを含む組成物。
【請求項7】
MyD88の発現を阻害するための方法であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
MyD88の発現を阻害するための方法であって、請求項6に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
哺乳動物においてMyD88の発現を阻害するための方法であって、前記哺乳動物に請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、前記方法。
【請求項10】
哺乳動物においてMyD88の発現を阻害するための方法であって、哺乳動物に請求項6に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項11】
哺乳動物においてMyD88媒介性免疫応答を阻害するための方法であって、前記哺乳動物に請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドを薬学的有効量において投与することを含む、前記方法。
【請求項12】
哺乳動物においてMyD88媒介性免疫応答を阻害するための方法であって、前記哺乳動物に請求項6に記載の組成物を薬学的有効量において投与することを含む、前記方法。
【請求項13】
MyD88により媒介される疾患を有する哺乳動物を治療的に処置するための方法であって、前記哺乳動物に請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドを薬学的有効量において投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
MyD88により媒介される疾患を有する哺乳動物を治療的に処置するための方法であって、前記哺乳動物に請求項6に記載の組成物を薬学的有効量において投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
MyD88により媒介される疾患または障害を有する哺乳動物において疾患または障害を予防するための方法であって、前記哺乳動物に請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドを予防有効量において投与することを含む、前記方法。
【請求項16】
MyD88により媒介される疾患または障害を有する哺乳動物において疾患または障害を予防するための方法であって、前記哺乳動物に請求項6に記載の組成物を予防有効量において投与することを含む、前記方法。
【請求項17】
MyD88の発現を下方調節することによりMyD88を活性化する化合物による望ましくないMyD88媒介性免疫刺激を予防するための方法であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドを、該アンチセンスオリゴヌクレオチドが存在しなければMyD88媒介性免疫応答を活性化するであろう免疫刺激モチーフを含む1または2以上の化合物と組み合わせて投与することを含む、前記方法。
【請求項18】
MyD88の発現を下方調節することによりMyD88を活性化する化合物による望ましくないMyD88媒介性免疫刺激を予防するための方法であって、請求項6に記載の組成物を、該組成物が存在しなければMyD88媒介性免疫応答を活性化するであろう免疫刺激モチーフを含む1または2以上の化合物と組み合わせて投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
哺乳動物がヒトである、請求項9〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
疾患が、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性障害、感染性疾患、マラリア、ライム病、眼感染症、結膜炎、皮膚の障害、乾癬、強皮症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性疲労性症候群、サルコイドーシス、移植拒絶、アレルギー、喘息または病原体により引き起こされる疾患から選択される、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
自己免疫障害が、エリテマトーデス、多発性硬化症、I型真性糖尿病、過敏性腸症候群、クローン病、関節リウマチ、敗血症性ショック、汎発性脱毛症、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、セリアック病、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、ハシモト病、化膿性汗腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、モルフェア、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直症、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、血管炎、白斑、外陰部痛およびウェゲナー肉芽腫症から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
炎症性障害が、気道炎症、喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、ベーチェット病、過敏症、炎症性腸疾患、再灌流傷害、関節リウマチ、移植拒絶、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、結膜炎および血管炎から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
化合物が、1または2以上の、MyD88媒介性免疫刺激を活性化するであろう免疫刺激モチーフを含む非MyD88アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項17または18に記載の方法。
【請求項24】
投与の経路が、非経口、筋肉内、皮下、腹腔内、静脈内、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣、遺伝子銃、経皮貼付剤、点眼剤または洗口剤から選択される、請求項7〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
1または2以上のワクチン、抗原、抗体、細胞傷害剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバント、共刺激分子またはこれらの組み合わせをさらに投与することを含む、請求項7〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
哺乳動物においてMyD88の発現および活性を阻害するための方法であって、前記哺乳動物にMyD88のmRNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびMyD88タンパク質のアンタゴニストを投与することを含む、前記方法。
【請求項27】
MyD88アンタゴニストが、抗MyD88抗体またはその結合フラグメントもしくはペプチド模倣物、RNAベースの化合物、オリゴヌクレオチドベースの化合物、およびMyD88活性の低分子阻害剤からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
哺乳動物においてMyD88の発現および活性を阻害するための方法であって、前記哺乳動物にMyD88のmRNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびTLR2、4、5、6、7、8または9タンパク質のアンタゴニストを投与することを含む、前記方法。
【請求項29】
TLRアンタゴニストが、TLR抗体またはその結合フラグメントもしくはペプチド模倣物、RNAベースの化合物、オリゴヌクレオチドベースの化合物、およびTLR活性の低分子阻害剤からなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
哺乳動物においてMyD88の発現および細胞シグナル伝達活性を阻害するための方法であって、前記哺乳動物に、MyD88のmRNAに対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび細胞シグナル伝達の阻害剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項31】
細胞シグナル伝達のアンタゴニストが、キナーゼ阻害剤およびSTATタンパク質阻害剤から選択される、請求項30に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−530293(P2011−530293A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522258(P2011−522258)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/053080
【国際公開番号】WO2010/017436
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】Idera Pharmaceuticals, Inc.
【Fターム(参考)】