アンテナ放射素子
本発明の目的は、
高い誘電定数を持った平坦な基盤の1つの表面上に印刷された、基部及び腕部を備える少なくとも1つのダイポールと、
基盤上に印刷された、ダイポールに入力する少なくとも1つの導電線と
を備えるアンテナ放射素子であって、
少なくとも1つの非励振素子が、ダイポールと同じ基盤の表面上に更に印刷され、ダイポールの腕部の上方に配置されることを特徴とする、アンテナ放射素子である。
高い誘電定数を持った平坦な基盤の1つの表面上に印刷された、基部及び腕部を備える少なくとも1つのダイポールと、
基盤上に印刷された、ダイポールに入力する少なくとも1つの導電線と
を備えるアンテナ放射素子であって、
少なくとも1つの非励振素子が、ダイポールと同じ基盤の表面上に更に印刷され、ダイポールの腕部の上方に配置されることを特徴とする、アンテナ放射素子である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射素子を使用する超高周波領域の電波を送信する遠隔通信アンテナの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
GSM、DCS/PCS、UMTS等の移動通信サービスのために、様々な形状の放射素子が開発されてきた。具体的には、直交偏波に45°で相互に交差する2つのダイポールの素子形状が「蝶型」素子と知られている。これらの素子は、電波性能、工業化能力、費用及び堅牢性の点で利点をもたらす。そのために、これらの素子は、2.5GHzより低い用途で多く使用される。このタイプの素子は、放射素子の寸法及びそれらの組み立て方に関して、非常に多数の制限を伴う高周波数帯域では、そのサイズ及び機械的特性のために限界がある。
【0003】
このため、例えば、WIMAXアンテナ(周波数帯域2.3〜2.7GHz及び3.3〜3.8GHz)では、誘電体基盤上に印刷された放射素子が使用される。この解決法の利点は、精密で、反復可能な製造を可能にし、様々な周波数帯域で使用可能なことである。しかし、水平方向の平面では顕著に、放射素子が配置される接地平面が制限されたサイズ(アンテナの作動周波数に相当する波長X0より短い)である場合には特に、帯域幅及びビーム幅に関するこれらの放射素子の機能不全が生じる。特に信号のデジタル処理に関する要求を満足するために、新しいサービスは帯域幅についての要求がより厳しく、可能な限り大きいゲイン、及び、より小型の配置環境内の放射素子の間の非常に高いレベルの絶縁を必要とする。
【0004】
放射素子の帯域幅を広げるための1つの解決法には、放射素子の形状を最適化し、その形状によって放射素子に広帯域特性及びより良い放射パターンの安定性を与えることが含まれる。放射素子の配置環境もまた、接地平面及び側面壁部の形状を改良し、放射パターン(安定性、ビーム幅、交差偏波レベル)及び(放射素子の間、又は、放射素子の縦列の間の)結合パターンを最適化するように特定の形状を追加して、改良されている。
【0005】
しかし、高周波数帯域内の多偏波作動及び大幅に削減された配置環境を必要とする、新しいサービス(マルチメディア、4G電話通信、2〜66GHz広帯域移動アクセスシステム)の登場により、最適化された形状によって有利になったものであっても、存在する放射素子の限界が示された。それにも関わらず、利用者需要が広い帯域幅の高指向性アンテナに圧力をかけている。その上、移動体用途では、放射素子の隣接する縦列を備えたとしても、素子間結合を低くする、高度に小型化する解決法が要求される。従って、これらの素子は、精度、堅実性、費用及び性能の面で完全にする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、電波性能、信頼性及び製作費の観点から従来技術に勝る改良されたアンテナを提案することである。
【0007】
本発明の他の1つの目的は、削減された構造要素にもかかわらず隣接する放射素子の間の結合比がより小さい、極めて小型な(垂直方向、水平方向、又は、直交方向±45°の)多偏波アンテナを提案することである。
【0008】
本発明は、従来技術の知られている放射素子と比較して、帯域幅が拡大され、ゲインが増大されたアンテナ放射素子を更に提案する。
【0009】
本発明は、アンテナ放射素子を製造するための単純で実行容易な方法も提案する。
【0010】
本発明の目的は、
高い誘電定数を持った平坦な基盤の1つの表面上に印刷された、基部及び腕部を備える少なくとも1つのダイポールと、
ダイポールの基盤上に印刷された、ダイポールに入力する少なくとも1つの導電線と、
ダイポールの腕部に平行に配置された、ダイポールの基盤上に印刷された少なくとも1つの非励振素子と
を備え、
少なくとも1つの非励振素子が、放射素子を備える基盤の平面に垂直で、且つ、放射素子のダイポールの腕部に平行である平面内に配置され、非励振素子が放射素子の横列の間に挟まれる少なくとも1つのアンテナ放射素子を備えるアンテナである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここで、用語「非励振素子」は、ダイポールによって、直接的にも間接的にも入力されない、ダイポールの上方に配置される導体素子を意味する。それは、しばしば用語「導波器」と称される。ダイポール上方に非励振素子を追加することによって、ゲイン及び帯域幅が増大する。
【0012】
広帯域インピーダンス、及び、最適化された交差偏波、周波数帯域の拒否等のための放射パターン空間の安定性に関わる、放射素子の形状(ダイポール/非励振素子の配置、湾曲又は先細りした形状、ダイポールのフラクタル設計等)に特に注意が払われた。
【0013】
この放射素子は、具体的には2.5GHzを超える高い周波数を使用する新しい遠隔通信サービスで使用するための充分な精度がある。特に、平坦な基盤上に素子を印刷する技術は、とりわけ無線アンテナのために大きな自由度及び新しい特性を提供する。
【0014】
第1の変形によると、アンテナは、2つの交差するダイポールを備え、ダイポールは、2つの同一直線上にある腕部と、各ダイポールに付随する少なくとも1つの非励振素子とをそれぞれ備え、ダイポール及び非励振素子が、直交する平面を備える基盤上に印刷される。
【0015】
第2の変形によると、アンテナの放射素子が、横列を構成するように、共通する平坦な基盤上に並んで印刷される。
【0016】
1つの実施形態によると非励振素子がフラクタル・パターンを有する。
【0017】
他の1つの実施形態によると、放射素子がフラクタル・パターンを有する。
【0018】
1つの実施形態によると、アンテナは、ダイポールの腕部に平行なダイポールの基盤上に印刷された少なくとも2つの重畳された非励振素子を備える。
【0019】
他の1つの実施形態によると、アンテナは、放射素子を備える基盤の平面に垂直で、且つ、放射素子のダイポールの腕部に平行である平面内に配置され、放射素子の横列の間に挟まれた少なくとも1つの干渉素子を更に備える。干渉素子の機能は、電磁場内に干渉を導入することによって放射素子の間の結合を最小化することである。
【0020】
本発明は、アンテナの電波性能の改良、具体的には、指向性の改良、多帯域作動の帯域幅及び能力の増大、並びに、素子の隣接する縦列の間の減結の改良を可能にする。
【0021】
本発明の更なる目的は、少なくとも1つのダイポール及び少なくとも1つの非励振素子を同じ平坦な誘電体基盤上に印刷する少なくとも1つのステップと、放射素子を備える基盤の平面に垂直な平坦な誘電体基盤上に少なくとも1つの干渉素子を印刷するステップとを備える、そのアンテナの放射素子を製造する方法である。
【0022】
この製造方法の1つの利点は、実施が単純で容易であり、堅実で安価な放射素子を得ることを可能にすることである。このやり方で製造された放射素子は、非励振素子の数、及び、干渉素子の追加にも関わらず、より堅牢でより精度の高いアンテナの組立を可能にする。
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、制限のない、例示のみを目的として与えられる以下の例示的実施形態を通して、また、添付の図面において明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】非励振素子を備える垂直偏波放射素子の概略正面図である。
【図2a】図1a〜1cの放射素子に類似の放射素子を備えるアンテナの部分図である。
【図2b】図2aの素子の1つの詳細図である。
【図3】x軸上のオーム単位のインピーダンスFの関数として、y軸にデシベル単位で反射係数Iを示すグラフである。
【図4】図2のアンテナの垂直方向の平面内の放射パターンを示す、dBi単位の放射強度RがY軸上に与えられ、問題の平面の放射角AがX軸に度(°)の単位で与えられているグラフである。
【図5】図2のアンテナの水平方向の平面内の放射パターンを示す、dBi単位の放射強度RがY軸上に与えられ、問題の平面の放射角AがX軸に度(°)の単位で与えられているグラフである。
【図6】複数の非励振素子を備える放射素子の概略正面図である。
【図7】非励振素子を備える様々な垂直偏波放射素子の概略正面図である。
【図8】フラクタル形状の非励振素子を備える垂直偏波放射素子の概略正面図である。
【図9】非励振素子を備える交差偏波放射素子の概略正面図である。
【図10】図9a及び9bの交差偏波放射素子に類似の交差偏波放射素子を備えるアンテナの部分図である。
【図11】フラクタル形状のダイポール及び非励振素子を備える交差偏波放射素子の配置の概略斜視図である。
【図12】第1の変形による、間隔をあけて配置された非励振素子を備える交差偏波放射素子の配置の概略斜視図である。
【図13】第2の変形による、間隔をあけて配置された非励振素子を備える放射素子の配置の概略斜視図である。
【図14】第1の変形による、放射素子の横列の間に干渉素子が配置される、平坦な垂直偏波放射素子の配置の概略斜視図である。
【図15】第2の変形による、放射素子の横列の間に干渉素子が配置される、平坦な垂直偏波放射素子の配置の実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1aから1cは、垂直偏波放射素子1の平坦な配列の1つの実施形態を表す。放射素子1は、溝穴3によって分離された2つの半ダイポールから作られる半波長ダイポール2を備え、各々は、腕部5を支持する基部4を備える。ダイポール2の2つの腕部5は放射ラインを画定する。ゲイン及び帯域幅を増大させるために、この放射ラインは、ダイポール2と電気的に接続されない非励振又は「導波器」素子6によって形成される他の1つの放射ラインを上方に備える。ダイポール2は、図示されないバランに接続される導電線7によって入力される。ストリップライン・ダイポールであるダイポール2、及び非励振素子6は、例えば、「TACONIC」社製の製品コード「TLX−08」であるガラス及びテフロン板等の低い誘電定数εrr(1<εrr<6)を持った基盤8の表面の1つの面(図1b)上に印刷される。導電線7は、誘電体基盤8の反対の表面(図1c)上に印刷される。
【0026】
図2a及び2bは、図1a〜1cに表されるタイプの12個の放射素子21の横列を備えるアンテナ20の部分を表す。放射素子21は、プリント基板(PCB)23を形成する基盤22上に印刷される。プリント基板23は、削減された表面面積を持ったU字状の接地平面を形成する反射体24上に固定される。この状態では、反射体の壁部を形成する側部縁部25の間の距離は、極めて小型なアンテナ20に対して、例えば0.5kλ0であり、kλ0はアンテナの作動周波数の波長である。1つの放射素子21の拡大図を図2bに与える。各放射素子21は、その腕部27が相互に同じ長さであり、それらの全体の長さがL1ある、ダイポール26を備える。長さL1のダイポール26の腕部27は、長さL1より短い長さL2の非励振素子28を上方に備える。長さの比率R、L2/L1はここでは、例えば0.65に等しい。ダイポール26と非励振素子28との間の距離Dは、λr=λ0/√εrとなるように、導波長2の0.07と0.11との間である。この式で、εrは使用される基盤の誘電定数であり、λ0はアンテナの作動周波数の波長である。この状態では、ダイポール26及び非励振素子28の組み合わせによって、改良された電波性能、具体的には、改良された帯域幅の幅を得ることが可能になる。
【0027】
デシベル単位の反射係数Iは、オーム単位のインピーダンスFの関数として、図3の曲線30によって表される。WIMAX用途の3.3〜3.8GHzの周波数帯域(周波数帯域の幅の14%)では、アンテナは、実線として示される基線31に相当する1.37の定在波比ROSで作動しなくてはならない。アンテナの作動は、所与の周波数範囲で、より具体的には、3.51〜3.696Hzの周波数領域で、曲線30が基線31を充分に下回る位置にあるので、満足できるものである。
【0028】
図4では、垂直方向の電波放射パターン(実線として示される曲線40)が、度(°)の単位の放射角Aの関数として、dBi単位で垂直方向の平面内の放射強度Rを示す。主偏波での中出力(R=−3dBi)で、6°に等しいビーム幅が垂直方向の平面内で達成される。交差偏波では、曲線41(点線として示される)は極めて低いレベルで、主偏波で観察されるものより約33dB低い。
【0029】
水平方向の電波放射パターン(実線として示される曲線50)は図5に表される。dBi単位の水平方向の平面内の放射強度Rが、度(°)の単位の放射角の関数として与えられる。アンテナ20の接地平面24の表面が低いにもかかわらず、ビーム幅は、水平方向の平面内で90°に近い。交差偏波では、曲線51(点線として示される)は極めて低いレベルで、主偏波で観察されるものより約33dB低い。
【0030】
図6は、垂直偏波放射素子60の配列の他の1つの実施形態を表す。放射素子60は、2つの分離したダイポールから作られる半波長ダイポール61を備え、各々が腕部63を支持する基部62を備え、導電線64によって入力される。ダイポール61の2つの腕部63は放射ラインを画定する。ゲイン及び帯域幅を増大させるために、この放射ラインは、下方の非励振素子65及び上方の非励振素子66によってそれぞれ形成される2つの他の放射ラインを上方に備える。重畳された非励振素子65、66は相互に電気的に接続されず、ダイポール61に接続されてもいない。放射素子60は、誘電体基盤である基盤67上に印刷される。
【0031】
図7aから7hは、誘電体基盤上に印刷された非励振素子を上方に備えたダイポールを備える広帯域放射素子が取ることができる形状の実施例を与える。各実施例について、単一の非励振素子を上方に備えたダイポールが表されている。当然、これらの形状は、2つ以上の非励振素子を備える放射素子にも有効である。
【0032】
図7a及び7bは、「蝶ネクタイ型」として知られるフレア状の形状を有するダイポールを持った放射素子70を示す。図7bでは、非励振素子71もこの形状を採用している。
【0033】
図7c及び7dは、「ドッグボーン(dogbone)型」として知られる両端が膨らんだ形状を有するダイポールを持った放射素子72を示す。図7dでは、非励振素子73もこの形状を採用している。
【0034】
図7e及び7fは、「翼型」として知られる両端が湾曲した形状を有するダイポールを持った放射素子74を示す。図7fでは、非励振素子75もこの形状を採用している。
【0035】
図7g及び7hは、基部が、2つの形で、反対の方向に先細りになっている溝穴78、79によって2つの部分に分離されているダイポールを有する放射素子76、77を示す。この種類の先細りの溝穴は、溝穴78、79が、異なる幅を持った複数の区分で形成されるので多区分(multi−sections)であると言われる。
【0036】
帯域幅及び複数の周波数の挙動を改良するために、基盤上への印刷技術によっても、図8に示されるようなフラクタル・パターンを基にした放射素子80、81を製作することが可能になる。例えば、放射素子80の非励振素子82はフラクタル・パターンを採用している。例えば、放射素子81の非励振素子83はフラクタル・パターンを採用し、2つの腕部84もフラクタル・パターンを採用している。2次元内で放射素子の任意の種類の形状を容易に得ることが可能になる。フラクタル・パターンの使用は、広帯域又は多帯域の用途において特に有利である。
【0037】
図9は、2つの直交する平面92、93から作られる基盤91上に印刷された放射素子90を概略的に表す。放射素子90は、直交偏波の±45°で相互に交差する2つのダイポール94、95を備える。ダイポール94、95の交差部は、それらのそれぞれの溝穴の位置で、基盤91の平面92、93の交差部と一致する。ダイポール94、95は、各々に非励振素子96、97を上方に備える。
【0038】
ダイポール94、95は、同一直線上にある導電性の基部98及び腕部99を備え、その両方は、基盤91の平面92、93の表面92a、93a上に印刷される。ダイポール94、95は、平面92の反対の表面92b、93b上に印刷された導電線100によって入力される。
【0039】
アンテナの反射体99上に装着された放射素子90は図10の斜視図に表される。従って、3次元内で放射素子の任意の種類の形状を容易に得ることが可能である。
【0040】
図11は交差偏波放射素子の配置を表す。各放射素子110は、2つのダイポール111と、2つの非励振素子112と、ダイポールに入力する2つの導電線(図示せず)とを備える。基盤の各直交する平面113、114は、隣接する放射素子を印刷するための基盤の役目をするように延出される。ダイポール111は、フラクタル・パターンを使用して構成される腕部115を備える。ダイポール111の上方に配置された非励振素子112もフラクタル・パターンを基にして構成される。従って、3次元内で支持される放射素子を関連させるあらゆる種類の構成を容易及び柔軟に得ることが可能である。このような組立体は、平面が相互に組み込まれるので、良好な機械的抵抗性を利点としてもたらす。
【0041】
水平方向の平面内のビーム幅を削減するための特に有利な構成が、図12に表される。追加の非励振素子120は、ダイポールの腕部に平行に、基盤の直交する平面122、123の上方に配置された水平方向の平面121内に追加される。非励振素子125を上方に備えたダイポール124は、平行なダイポール124の横列を形成するために、基盤の平行な平面123上に印刷される。我々は、特に、ダイポール124によって形成される放射ラインの上に備えられる垂直方向の平面125を備えた垂直方向の平面123のいずれの側にも追加の非励振素子120が存在することを特筆する。水平方向の平面121は、具体的には、基盤122、123上に固定され、その上に追加の非励振素子120が印刷されているプラスチック製の部品であり得る。当然、追加の非励振素子120、すなわち、導波器は上記の任意の形状を採用できる。水平方向の平面121を追加することで、更に、放射素子の配置を堅牢にし、アンテナの機械的抵抗性に寄与する利点がもたらされる。
【0042】
図13は、交差偏波の±45°の放射素子に対する追加の非励振素子130の実施形態の1つの特定の構造を示す。ここで、非励振素子130は、「十字型」の構造を成し、非励振素子135を上方に備えたダイポール134が印刷される誘電体基盤の直交する平面132、133の交差部の上方の水平方向の平面131上に配置される。十字型の主軸136、137は、誘電体基盤の直交する平面132、133とそれぞれ一致する。
【0043】
誘電体基盤上へのこの印刷技術によって、平行な横列に位置合わせされた放射素子140を備える多帯域アンテナを構成することが可能になる。図14の実施例では、放射素子140は、横列を形成する基盤の平行な平面141上に印刷される。平面141に垂直な縦列を形成する平面142は、電磁場内へ干渉を導入することによって放射素子の平行な横列の間の結合を最小化することを目的とする干渉素子143を備える。干渉素子143は金属製であり、平面142の内側に縦列を形成する誘電体基盤の間に挟まれる。この構成は、MIMO用途等の、素子の横列の間に高い絶縁性を必要とするシステムに対して特に有利である。
【0044】
図15に表される1つの変形によると、ここでは十字の形状である干渉素子150が、非励振素子152も備える水平方向の平面151上に印刷できる。水平方向の平面151は、誘電体基盤上に印刷された放射素子の縦列を形成する平面153、及び、横列を形成する直交する平面154の交差部、すなわち、非励振素子156を上方に備えたダイポール155の上に配置される。
【0045】
当然、本発明は説明された実施形態に制限されず、むしろ、本発明の精神から逸脱せずに、当業者に利用できる多くの変形があり得る。具体的には、本発明の範囲から逸脱せずに、放射素子の形状、又は、ダイポール及び/又は非励振素子の形状を修正することが可能である。様々な性質および形状の誘電体基盤を用いることも可能である。最後に、電波周波数作動に適合する任意の印刷方法を想定することも可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射素子を使用する超高周波領域の電波を送信する遠隔通信アンテナの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
GSM、DCS/PCS、UMTS等の移動通信サービスのために、様々な形状の放射素子が開発されてきた。具体的には、直交偏波に45°で相互に交差する2つのダイポールの素子形状が「蝶型」素子と知られている。これらの素子は、電波性能、工業化能力、費用及び堅牢性の点で利点をもたらす。そのために、これらの素子は、2.5GHzより低い用途で多く使用される。このタイプの素子は、放射素子の寸法及びそれらの組み立て方に関して、非常に多数の制限を伴う高周波数帯域では、そのサイズ及び機械的特性のために限界がある。
【0003】
このため、例えば、WIMAXアンテナ(周波数帯域2.3〜2.7GHz及び3.3〜3.8GHz)では、誘電体基盤上に印刷された放射素子が使用される。この解決法の利点は、精密で、反復可能な製造を可能にし、様々な周波数帯域で使用可能なことである。しかし、水平方向の平面では顕著に、放射素子が配置される接地平面が制限されたサイズ(アンテナの作動周波数に相当する波長X0より短い)である場合には特に、帯域幅及びビーム幅に関するこれらの放射素子の機能不全が生じる。特に信号のデジタル処理に関する要求を満足するために、新しいサービスは帯域幅についての要求がより厳しく、可能な限り大きいゲイン、及び、より小型の配置環境内の放射素子の間の非常に高いレベルの絶縁を必要とする。
【0004】
放射素子の帯域幅を広げるための1つの解決法には、放射素子の形状を最適化し、その形状によって放射素子に広帯域特性及びより良い放射パターンの安定性を与えることが含まれる。放射素子の配置環境もまた、接地平面及び側面壁部の形状を改良し、放射パターン(安定性、ビーム幅、交差偏波レベル)及び(放射素子の間、又は、放射素子の縦列の間の)結合パターンを最適化するように特定の形状を追加して、改良されている。
【0005】
しかし、高周波数帯域内の多偏波作動及び大幅に削減された配置環境を必要とする、新しいサービス(マルチメディア、4G電話通信、2〜66GHz広帯域移動アクセスシステム)の登場により、最適化された形状によって有利になったものであっても、存在する放射素子の限界が示された。それにも関わらず、利用者需要が広い帯域幅の高指向性アンテナに圧力をかけている。その上、移動体用途では、放射素子の隣接する縦列を備えたとしても、素子間結合を低くする、高度に小型化する解決法が要求される。従って、これらの素子は、精度、堅実性、費用及び性能の面で完全にする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、電波性能、信頼性及び製作費の観点から従来技術に勝る改良されたアンテナを提案することである。
【0007】
本発明の他の1つの目的は、削減された構造要素にもかかわらず隣接する放射素子の間の結合比がより小さい、極めて小型な(垂直方向、水平方向、又は、直交方向±45°の)多偏波アンテナを提案することである。
【0008】
本発明は、従来技術の知られている放射素子と比較して、帯域幅が拡大され、ゲインが増大されたアンテナ放射素子を更に提案する。
【0009】
本発明は、アンテナ放射素子を製造するための単純で実行容易な方法も提案する。
【0010】
本発明の目的は、
高い誘電定数を持った平坦な基盤の1つの表面上に印刷された、基部及び腕部を備える少なくとも1つのダイポールと、
ダイポールの基盤上に印刷された、ダイポールに入力する少なくとも1つの導電線と、
ダイポールの腕部に平行に配置された、ダイポールの基盤上に印刷された少なくとも1つの非励振素子と
を備え、
少なくとも1つの非励振素子が、放射素子を備える基盤の平面に垂直で、且つ、放射素子のダイポールの腕部に平行である平面内に配置され、非励振素子が放射素子の横列の間に挟まれる少なくとも1つのアンテナ放射素子を備えるアンテナである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここで、用語「非励振素子」は、ダイポールによって、直接的にも間接的にも入力されない、ダイポールの上方に配置される導体素子を意味する。それは、しばしば用語「導波器」と称される。ダイポール上方に非励振素子を追加することによって、ゲイン及び帯域幅が増大する。
【0012】
広帯域インピーダンス、及び、最適化された交差偏波、周波数帯域の拒否等のための放射パターン空間の安定性に関わる、放射素子の形状(ダイポール/非励振素子の配置、湾曲又は先細りした形状、ダイポールのフラクタル設計等)に特に注意が払われた。
【0013】
この放射素子は、具体的には2.5GHzを超える高い周波数を使用する新しい遠隔通信サービスで使用するための充分な精度がある。特に、平坦な基盤上に素子を印刷する技術は、とりわけ無線アンテナのために大きな自由度及び新しい特性を提供する。
【0014】
第1の変形によると、アンテナは、2つの交差するダイポールを備え、ダイポールは、2つの同一直線上にある腕部と、各ダイポールに付随する少なくとも1つの非励振素子とをそれぞれ備え、ダイポール及び非励振素子が、直交する平面を備える基盤上に印刷される。
【0015】
第2の変形によると、アンテナの放射素子が、横列を構成するように、共通する平坦な基盤上に並んで印刷される。
【0016】
1つの実施形態によると非励振素子がフラクタル・パターンを有する。
【0017】
他の1つの実施形態によると、放射素子がフラクタル・パターンを有する。
【0018】
1つの実施形態によると、アンテナは、ダイポールの腕部に平行なダイポールの基盤上に印刷された少なくとも2つの重畳された非励振素子を備える。
【0019】
他の1つの実施形態によると、アンテナは、放射素子を備える基盤の平面に垂直で、且つ、放射素子のダイポールの腕部に平行である平面内に配置され、放射素子の横列の間に挟まれた少なくとも1つの干渉素子を更に備える。干渉素子の機能は、電磁場内に干渉を導入することによって放射素子の間の結合を最小化することである。
【0020】
本発明は、アンテナの電波性能の改良、具体的には、指向性の改良、多帯域作動の帯域幅及び能力の増大、並びに、素子の隣接する縦列の間の減結の改良を可能にする。
【0021】
本発明の更なる目的は、少なくとも1つのダイポール及び少なくとも1つの非励振素子を同じ平坦な誘電体基盤上に印刷する少なくとも1つのステップと、放射素子を備える基盤の平面に垂直な平坦な誘電体基盤上に少なくとも1つの干渉素子を印刷するステップとを備える、そのアンテナの放射素子を製造する方法である。
【0022】
この製造方法の1つの利点は、実施が単純で容易であり、堅実で安価な放射素子を得ることを可能にすることである。このやり方で製造された放射素子は、非励振素子の数、及び、干渉素子の追加にも関わらず、より堅牢でより精度の高いアンテナの組立を可能にする。
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、制限のない、例示のみを目的として与えられる以下の例示的実施形態を通して、また、添付の図面において明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】非励振素子を備える垂直偏波放射素子の概略正面図である。
【図2a】図1a〜1cの放射素子に類似の放射素子を備えるアンテナの部分図である。
【図2b】図2aの素子の1つの詳細図である。
【図3】x軸上のオーム単位のインピーダンスFの関数として、y軸にデシベル単位で反射係数Iを示すグラフである。
【図4】図2のアンテナの垂直方向の平面内の放射パターンを示す、dBi単位の放射強度RがY軸上に与えられ、問題の平面の放射角AがX軸に度(°)の単位で与えられているグラフである。
【図5】図2のアンテナの水平方向の平面内の放射パターンを示す、dBi単位の放射強度RがY軸上に与えられ、問題の平面の放射角AがX軸に度(°)の単位で与えられているグラフである。
【図6】複数の非励振素子を備える放射素子の概略正面図である。
【図7】非励振素子を備える様々な垂直偏波放射素子の概略正面図である。
【図8】フラクタル形状の非励振素子を備える垂直偏波放射素子の概略正面図である。
【図9】非励振素子を備える交差偏波放射素子の概略正面図である。
【図10】図9a及び9bの交差偏波放射素子に類似の交差偏波放射素子を備えるアンテナの部分図である。
【図11】フラクタル形状のダイポール及び非励振素子を備える交差偏波放射素子の配置の概略斜視図である。
【図12】第1の変形による、間隔をあけて配置された非励振素子を備える交差偏波放射素子の配置の概略斜視図である。
【図13】第2の変形による、間隔をあけて配置された非励振素子を備える放射素子の配置の概略斜視図である。
【図14】第1の変形による、放射素子の横列の間に干渉素子が配置される、平坦な垂直偏波放射素子の配置の概略斜視図である。
【図15】第2の変形による、放射素子の横列の間に干渉素子が配置される、平坦な垂直偏波放射素子の配置の実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1aから1cは、垂直偏波放射素子1の平坦な配列の1つの実施形態を表す。放射素子1は、溝穴3によって分離された2つの半ダイポールから作られる半波長ダイポール2を備え、各々は、腕部5を支持する基部4を備える。ダイポール2の2つの腕部5は放射ラインを画定する。ゲイン及び帯域幅を増大させるために、この放射ラインは、ダイポール2と電気的に接続されない非励振又は「導波器」素子6によって形成される他の1つの放射ラインを上方に備える。ダイポール2は、図示されないバランに接続される導電線7によって入力される。ストリップライン・ダイポールであるダイポール2、及び非励振素子6は、例えば、「TACONIC」社製の製品コード「TLX−08」であるガラス及びテフロン板等の低い誘電定数εrr(1<εrr<6)を持った基盤8の表面の1つの面(図1b)上に印刷される。導電線7は、誘電体基盤8の反対の表面(図1c)上に印刷される。
【0026】
図2a及び2bは、図1a〜1cに表されるタイプの12個の放射素子21の横列を備えるアンテナ20の部分を表す。放射素子21は、プリント基板(PCB)23を形成する基盤22上に印刷される。プリント基板23は、削減された表面面積を持ったU字状の接地平面を形成する反射体24上に固定される。この状態では、反射体の壁部を形成する側部縁部25の間の距離は、極めて小型なアンテナ20に対して、例えば0.5kλ0であり、kλ0はアンテナの作動周波数の波長である。1つの放射素子21の拡大図を図2bに与える。各放射素子21は、その腕部27が相互に同じ長さであり、それらの全体の長さがL1ある、ダイポール26を備える。長さL1のダイポール26の腕部27は、長さL1より短い長さL2の非励振素子28を上方に備える。長さの比率R、L2/L1はここでは、例えば0.65に等しい。ダイポール26と非励振素子28との間の距離Dは、λr=λ0/√εrとなるように、導波長2の0.07と0.11との間である。この式で、εrは使用される基盤の誘電定数であり、λ0はアンテナの作動周波数の波長である。この状態では、ダイポール26及び非励振素子28の組み合わせによって、改良された電波性能、具体的には、改良された帯域幅の幅を得ることが可能になる。
【0027】
デシベル単位の反射係数Iは、オーム単位のインピーダンスFの関数として、図3の曲線30によって表される。WIMAX用途の3.3〜3.8GHzの周波数帯域(周波数帯域の幅の14%)では、アンテナは、実線として示される基線31に相当する1.37の定在波比ROSで作動しなくてはならない。アンテナの作動は、所与の周波数範囲で、より具体的には、3.51〜3.696Hzの周波数領域で、曲線30が基線31を充分に下回る位置にあるので、満足できるものである。
【0028】
図4では、垂直方向の電波放射パターン(実線として示される曲線40)が、度(°)の単位の放射角Aの関数として、dBi単位で垂直方向の平面内の放射強度Rを示す。主偏波での中出力(R=−3dBi)で、6°に等しいビーム幅が垂直方向の平面内で達成される。交差偏波では、曲線41(点線として示される)は極めて低いレベルで、主偏波で観察されるものより約33dB低い。
【0029】
水平方向の電波放射パターン(実線として示される曲線50)は図5に表される。dBi単位の水平方向の平面内の放射強度Rが、度(°)の単位の放射角の関数として与えられる。アンテナ20の接地平面24の表面が低いにもかかわらず、ビーム幅は、水平方向の平面内で90°に近い。交差偏波では、曲線51(点線として示される)は極めて低いレベルで、主偏波で観察されるものより約33dB低い。
【0030】
図6は、垂直偏波放射素子60の配列の他の1つの実施形態を表す。放射素子60は、2つの分離したダイポールから作られる半波長ダイポール61を備え、各々が腕部63を支持する基部62を備え、導電線64によって入力される。ダイポール61の2つの腕部63は放射ラインを画定する。ゲイン及び帯域幅を増大させるために、この放射ラインは、下方の非励振素子65及び上方の非励振素子66によってそれぞれ形成される2つの他の放射ラインを上方に備える。重畳された非励振素子65、66は相互に電気的に接続されず、ダイポール61に接続されてもいない。放射素子60は、誘電体基盤である基盤67上に印刷される。
【0031】
図7aから7hは、誘電体基盤上に印刷された非励振素子を上方に備えたダイポールを備える広帯域放射素子が取ることができる形状の実施例を与える。各実施例について、単一の非励振素子を上方に備えたダイポールが表されている。当然、これらの形状は、2つ以上の非励振素子を備える放射素子にも有効である。
【0032】
図7a及び7bは、「蝶ネクタイ型」として知られるフレア状の形状を有するダイポールを持った放射素子70を示す。図7bでは、非励振素子71もこの形状を採用している。
【0033】
図7c及び7dは、「ドッグボーン(dogbone)型」として知られる両端が膨らんだ形状を有するダイポールを持った放射素子72を示す。図7dでは、非励振素子73もこの形状を採用している。
【0034】
図7e及び7fは、「翼型」として知られる両端が湾曲した形状を有するダイポールを持った放射素子74を示す。図7fでは、非励振素子75もこの形状を採用している。
【0035】
図7g及び7hは、基部が、2つの形で、反対の方向に先細りになっている溝穴78、79によって2つの部分に分離されているダイポールを有する放射素子76、77を示す。この種類の先細りの溝穴は、溝穴78、79が、異なる幅を持った複数の区分で形成されるので多区分(multi−sections)であると言われる。
【0036】
帯域幅及び複数の周波数の挙動を改良するために、基盤上への印刷技術によっても、図8に示されるようなフラクタル・パターンを基にした放射素子80、81を製作することが可能になる。例えば、放射素子80の非励振素子82はフラクタル・パターンを採用している。例えば、放射素子81の非励振素子83はフラクタル・パターンを採用し、2つの腕部84もフラクタル・パターンを採用している。2次元内で放射素子の任意の種類の形状を容易に得ることが可能になる。フラクタル・パターンの使用は、広帯域又は多帯域の用途において特に有利である。
【0037】
図9は、2つの直交する平面92、93から作られる基盤91上に印刷された放射素子90を概略的に表す。放射素子90は、直交偏波の±45°で相互に交差する2つのダイポール94、95を備える。ダイポール94、95の交差部は、それらのそれぞれの溝穴の位置で、基盤91の平面92、93の交差部と一致する。ダイポール94、95は、各々に非励振素子96、97を上方に備える。
【0038】
ダイポール94、95は、同一直線上にある導電性の基部98及び腕部99を備え、その両方は、基盤91の平面92、93の表面92a、93a上に印刷される。ダイポール94、95は、平面92の反対の表面92b、93b上に印刷された導電線100によって入力される。
【0039】
アンテナの反射体99上に装着された放射素子90は図10の斜視図に表される。従って、3次元内で放射素子の任意の種類の形状を容易に得ることが可能である。
【0040】
図11は交差偏波放射素子の配置を表す。各放射素子110は、2つのダイポール111と、2つの非励振素子112と、ダイポールに入力する2つの導電線(図示せず)とを備える。基盤の各直交する平面113、114は、隣接する放射素子を印刷するための基盤の役目をするように延出される。ダイポール111は、フラクタル・パターンを使用して構成される腕部115を備える。ダイポール111の上方に配置された非励振素子112もフラクタル・パターンを基にして構成される。従って、3次元内で支持される放射素子を関連させるあらゆる種類の構成を容易及び柔軟に得ることが可能である。このような組立体は、平面が相互に組み込まれるので、良好な機械的抵抗性を利点としてもたらす。
【0041】
水平方向の平面内のビーム幅を削減するための特に有利な構成が、図12に表される。追加の非励振素子120は、ダイポールの腕部に平行に、基盤の直交する平面122、123の上方に配置された水平方向の平面121内に追加される。非励振素子125を上方に備えたダイポール124は、平行なダイポール124の横列を形成するために、基盤の平行な平面123上に印刷される。我々は、特に、ダイポール124によって形成される放射ラインの上に備えられる垂直方向の平面125を備えた垂直方向の平面123のいずれの側にも追加の非励振素子120が存在することを特筆する。水平方向の平面121は、具体的には、基盤122、123上に固定され、その上に追加の非励振素子120が印刷されているプラスチック製の部品であり得る。当然、追加の非励振素子120、すなわち、導波器は上記の任意の形状を採用できる。水平方向の平面121を追加することで、更に、放射素子の配置を堅牢にし、アンテナの機械的抵抗性に寄与する利点がもたらされる。
【0042】
図13は、交差偏波の±45°の放射素子に対する追加の非励振素子130の実施形態の1つの特定の構造を示す。ここで、非励振素子130は、「十字型」の構造を成し、非励振素子135を上方に備えたダイポール134が印刷される誘電体基盤の直交する平面132、133の交差部の上方の水平方向の平面131上に配置される。十字型の主軸136、137は、誘電体基盤の直交する平面132、133とそれぞれ一致する。
【0043】
誘電体基盤上へのこの印刷技術によって、平行な横列に位置合わせされた放射素子140を備える多帯域アンテナを構成することが可能になる。図14の実施例では、放射素子140は、横列を形成する基盤の平行な平面141上に印刷される。平面141に垂直な縦列を形成する平面142は、電磁場内へ干渉を導入することによって放射素子の平行な横列の間の結合を最小化することを目的とする干渉素子143を備える。干渉素子143は金属製であり、平面142の内側に縦列を形成する誘電体基盤の間に挟まれる。この構成は、MIMO用途等の、素子の横列の間に高い絶縁性を必要とするシステムに対して特に有利である。
【0044】
図15に表される1つの変形によると、ここでは十字の形状である干渉素子150が、非励振素子152も備える水平方向の平面151上に印刷できる。水平方向の平面151は、誘電体基盤上に印刷された放射素子の縦列を形成する平面153、及び、横列を形成する直交する平面154の交差部、すなわち、非励振素子156を上方に備えたダイポール155の上に配置される。
【0045】
当然、本発明は説明された実施形態に制限されず、むしろ、本発明の精神から逸脱せずに、当業者に利用できる多くの変形があり得る。具体的には、本発明の範囲から逸脱せずに、放射素子の形状、又は、ダイポール及び/又は非励振素子の形状を修正することが可能である。様々な性質および形状の誘電体基盤を用いることも可能である。最後に、電波周波数作動に適合する任意の印刷方法を想定することも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い誘電定数を持った平坦な基盤の1つの表面上に印刷された、基部及び腕部を備える少なくとも1つのダイポールと、
前記ダイポールの基盤上に印刷された、前記ダイポールに入力する少なくとも1つの導電線と、
前記ダイポールの腕部に平行に配置された、前記ダイポールの基盤上に印刷された少なくとも1つの非励振素子と
を備える少なくとも1つのアンテナ放射素子を備えるアンテナであって、
少なくとも1つの非励振素子が、前記放射素子を備える前記基盤の前記平面に垂直で、且つ、前記放射素子のダイポールの前記腕部に平行である平面内に配置され、前記非励振素子が放射素子の横列の間に挟まれることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
2つの交差するダイポールを備え、前記ダイポールは、2つの同一直線上にある腕部と、各ダイポールに付随する少なくとも1つの非励振素子とをそれぞれ備え、前記ダイポール及び前記非励振素子が、直交する平面を備える基盤上に印刷される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記放射素子が、横列を構成するように、共有の平坦な基盤上に並んで印刷される、請求項1及び2のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記非励振素子がフラクタル・パターンを有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記放射素子がフラクタル・パターンを有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記ダイポールの腕部に平行な前記ダイポールの基盤上に印刷された少なくとも2つの重畳された非励振素子を備える請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記放射素子を備える前記基盤の平面に垂直で、且つ、前記放射素子のダイポールの前記腕部に平行である平面内に配置され、放射素子の前記横列の間に挟まれた少なくとも1つの干渉素子を更に備える請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項8】
少なくとも1つのダイポール及び少なくとも1つの非励振素子を同じ平坦な誘電体基盤上に印刷する少なくとも1つのステップと、前記放射素子を備える前記基盤の平面に垂直な平坦な誘電体基盤上に少なくとも1つの干渉素子を印刷するステップとを備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射素子を構成する方法。
【請求項1】
高い誘電定数を持った平坦な基盤の1つの表面上に印刷された、基部及び腕部を備える少なくとも1つのダイポールと、
前記ダイポールの基盤上に印刷された、前記ダイポールに入力する少なくとも1つの導電線と、
前記ダイポールの腕部に平行に配置された、前記ダイポールの基盤上に印刷された少なくとも1つの非励振素子と
を備える少なくとも1つのアンテナ放射素子を備えるアンテナであって、
少なくとも1つの非励振素子が、前記放射素子を備える前記基盤の前記平面に垂直で、且つ、前記放射素子のダイポールの前記腕部に平行である平面内に配置され、前記非励振素子が放射素子の横列の間に挟まれることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
2つの交差するダイポールを備え、前記ダイポールは、2つの同一直線上にある腕部と、各ダイポールに付随する少なくとも1つの非励振素子とをそれぞれ備え、前記ダイポール及び前記非励振素子が、直交する平面を備える基盤上に印刷される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記放射素子が、横列を構成するように、共有の平坦な基盤上に並んで印刷される、請求項1及び2のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記非励振素子がフラクタル・パターンを有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記放射素子がフラクタル・パターンを有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記ダイポールの腕部に平行な前記ダイポールの基盤上に印刷された少なくとも2つの重畳された非励振素子を備える請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記放射素子を備える前記基盤の平面に垂直で、且つ、前記放射素子のダイポールの前記腕部に平行である平面内に配置され、放射素子の前記横列の間に挟まれた少なくとも1つの干渉素子を更に備える請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項8】
少なくとも1つのダイポール及び少なくとも1つの非励振素子を同じ平坦な誘電体基盤上に印刷する少なくとも1つのステップと、前記放射素子を備える前記基盤の平面に垂直な平坦な誘電体基盤上に少なくとも1つの干渉素子を印刷するステップとを備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射素子を構成する方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2012−529826(P2012−529826A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514474(P2012−514474)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058137
【国際公開番号】WO2010/142756
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.テフロン
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058137
【国際公開番号】WO2010/142756
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.テフロン
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】
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