説明

アンテナ装置および携帯無線機

【課題】本発明は、アンテナ用の特別なスペースを必要とせず、視認性を確保しながら、アンテナを構成することを目的とする。
【解決手段】本発明は、偏光板と、反射板と、前記偏光板の周囲に配置された導電性フレームとから構成される表示パネルと、前記表示パネルの表面に貼付され、動作周波数の略1/2波長の放射スロットが少なくとも1つ以上形成された透明導電膜とを備え、前記反射板の端部側に動作周波数の略1/2波長の給電スロットを設けたことを特徴とするアンテナ装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として無線通信システムの分野で用いられるアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の携帯無線端末は、電話、DTV、GPS、無線LAN、WiMAX、UWB等の多くの無線システムが搭載されてきており、これに伴い必要なアンテナの数も増大している。
【0003】
このような無線システムに適用するアンテナの従来例として、特許文献1に開示された導波管を使用したファンビームアンテナが提案されている 。図17は、従来例1のファンビームアンテナの構成を示す図である。
【0004】
図17に示すファンビームアンテナは、偏平な直方体状に形成された導電性の本体1001を有しており、この本体1001は、その平面形状が概略正方形状に形成され、その上面側に凹所した円柱形の凹所1002が形成されている。この凹所1002は、3/2λg(λg:管内波長)の直径を有している。この凹所1002の底面の中心には、このファンビームアンテナによって電波を送受信するためのプローブ1003が設けられている。凹所1002の上面開口を被蓋するように、本体1001の上面とほぼ同一形状の導電板1004が上面と接触させて配置されている。この導電板1004と凹所1002の底面とを平行平板とする円柱形の導波管が形成されている。中心点1003から3/2λg離れた位置に短絡面を有する導波管と、この導波管内において、中心点1003からそれぞれ1/2λg離れた位置に、互いに等しい角度をなすように形成された複数のスロット1005a、1005b、1005c、1005dとを有することで、ファンビームアンテナを形成している。
【0005】
また、専用スペースを必要としないアンテナの従来例として、特許文献2に開示されたアンテナが提案されている。図18は、従来例2のアンテナの構成を示す図である。
【0006】
図18に示す携帯電話1102のアンテナは、絶縁性を有するシート状の透明基体1103と、この透明基体の表面に面状に形成されるアンテナパターン1101から形成されており、アンテナパターンの導電部が網目構造の導電性薄膜からなり、各網目の輪郭がほぼ等幅の極細帯で構成され、アンテナパターン1101の光線透過率が70%以上にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−232228号公報
【特許文献2】国際公開第2006/106982号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来例1のファンビームアンテナを携帯電話の表面に設置するためには、専用スペースが必要になるという問題があった。また、上記従来例2の携帯電話用アンテナは、アンテナパターンを極細で、ほぼ等幅な網目構造にする必要があるため、視認性が劣化しやすく、また、構造が複雑であるためにコスト、量産性の面で課題があった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、アンテナ用の特別なスペースを必要とせず、視認性を確保した簡易な構成でアンテナ装置および携帯無線機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアンテナ装置は、偏光板と、反射板と、前記偏光板の周囲に配置された導電性フレームとから構成される表示パネルと、前記表示パネルの表面に貼付され、動作周波数の略1/2波長の放射スロットが少なくとも1つ以上形成された透明導電膜と、を備え、前記反射板の端部側に動作周波数の略1/2波長の給電スロットを設けた構成を有する。
【0011】
この構成により、アンテナ用の特別なスペースを必要とせず、視認性を確保しながら、アンテナを実現することができる。
【0012】
また、本発明のアンテナ装置は、前記透明導電膜は、第1の方向に沿って、動作周波数の略1/2波長の放射スロットが少なくとも1つ以上形成されており、前記反射板は、前記第1の方向に沿って、動作周波数の略1/2波長の給電スロットが設けられた構成を有する。
【0013】
この構成により、電界、磁界の向きを合わせることで強結合して給電でき、確実に、アンテナへ給電することが実現できる。
【0014】
また、本発明の携帯無線機は、第1の筐体と第2の筐体とがスライド可能に連結された携帯無線機であって、前記第1の筐体が、偏光板と、反射板と、前記偏光板の周囲に配置された導電性フレームとから構成される表示パネルと、前記表示パネルの表面に貼付された透明導電膜とを備え、前記第2の筐体が、無線回路と、前記無線回路から出力された給電ラインとを備え、前記透明導電膜は、第1の方向に沿って、動作周波数の略1/2波長の放射スロットが少なくとも1つ以上形成されており、前記反射板は、前記第1の方向に沿って、動作周波数の略1/2波長の第1の給電スロットと第2の給電スロットが設けられており、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが収納状態の場合、前記第1の給電スロットが前記給電ラインと電気的に接続され、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが伸長状態の場合、前記第2の給電スロットが前記給電ラインと電気的に接続される構成を有する。
【0015】
この構成により、電界、磁界の向きを合わせることで強結合して給電でき、スライド状態(伸長状態)や閉じ状態(収納状態)に給電点が移動しても、確実に、アンテナへ給電することが実現できる。
【0016】
また、本発明の携帯無線機は、前記収納状態において、前記第2の給電スロットが所定の抵抗値またはリアクタンス値で終端される構成を有する。
【0017】
この構成により、スライド状態(伸長状態)や閉じ状態(収納状態)に給電点が移動しても、前記第2の給電スロットからの電界影響を低減し、ノイズを低減できる。
【0018】
また、本発明の携帯無線機は、前記放射スロットおよび前記給電スロットを筐体長手方向に沿って配置する構成を有する。
【0019】
この構成により、電界、磁界の向きを合わせることで強結合して給電でき、スライド状態(伸長状態)や閉じ状態(収納状態)に給電点が移動しても、確実に、アンテナへ給電することが実現できる。
【0020】
また、本発明の携帯無線機は、前記表示パネル内の断面方向に前記透明導電膜を挿入して壁面を構成し、前記透明導電膜、前記反射板、前記導電性フレーム、および前記壁面とから導波管を形成する構成を有する。
【0021】
この構成により、アンテナ用の特別なスペースを必要とせず、視認性を確保しながら、アンテナ装置および携帯無線機を実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アンテナ用の特別なスペースを必要とせず、視認性を確保しながら、簡易な構成でアンテナ装置および携帯無線機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態における携帯無線機の構成図
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるA−A’線断面図
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるB−B’線断面図
【図4】本発明の第1の実施の形態における表示パネルの基本的な構成図
【図5】本発明の第1の実施の形態における表示パネルを細分解した様子を示す図
【図6】本発明の第2の実施の形態における携帯無線機の構成図
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるA−A’線断面図
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるB−B’線断面図
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるスライド型携帯電話の伸長時の側面図
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるスライド型携帯電話の収納時の側面図
【図11】本発明の第3の実施の形態におけるスライド型携帯電話の伸長時の側面図
【図12】本発明の第3の実施の形態におけるスライド型携帯電話の収納時の側面図
【図13】本発明の第4の実施の形態における携帯無線機の構成図
【図14】本発明の第5の実施の形態における携帯無線機の構成図
【図15】本発明の第5の実施の形態におけるA−A’線断面図
【図16】本発明の第5の実施の形態におけるB−B’線断面図
【図17】従来例1の導波管を使用したファンビームアンテナの構成を示す図
【図18】従来例2の携帯電話上面にアンテナを構成した図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
まず、図1〜図5を参照して、本発明の第1の実施の形態における筐体表面アンテナの構成を説明する。
【0025】
図1は、第1の実施の形態の筐体表面アンテナを有した携帯無線端末の基本的な構成を示しており、図2は、図1におけるA−A’線断面図であり、図3は、図1におけるB−B’線断面図である。
【0026】
また、図4は、表示パネルの基本的な構成を示しており、図5は、図4の表示パネルを細分解した図である。
【0027】
図1〜図3に示すように、携帯無線機101は、透明導電膜102、放射スロット103a〜103e、給電スロット104、給電ライン105、反射板106、導電性フレーム107、液晶パネル108とから構成されている。
【0028】
図1において、携帯無線機101は、表示パネルとして液晶パネル108を有しており、液晶パネル108上には透明導電膜102が貼付されている。ここで、透明導電膜102は、例えば、酸化インジウム(In2O3)に酸化スズ(SnO2)を混ぜた酸化インジウムスズや銀粒子をコーティングした透明導電膜である。
【0029】
図1において、透明導電膜102と、光を反射するための反射板106と、液晶パネル108を固定するための導電性フレーム107とで、導波管が形成される。このとき、透明導電膜102には、複数の放射スロット103a〜103eが形成されている。なお、放射スロットは少なくとも1つ以上形成されていればよい。また、反射板106には、給電ライン105と電磁界結合する給電スロット104が形成される。
【0030】
図4〜図5に示すように、表示パネルは、透明導電膜201、導電性フレーム202、偏光板203a、203b、ガラス基板204、固定用両面テープ205、導光板206、
反射板207、放射スロット208a〜208d、給電スロット209、パネル部211、
バックライト部212、とから構成されている。
【0031】
図4〜図5において、表示パネルである液晶パネル108は、偏光板203a、203bとガラス基板204とで、パネル部211を形成し、導光板206と反射板207とで、バックライト部212を形成している。パネル部211とバックライト部212は、固定用両面テープ205で接着され、導電性フレーム202により固定して液晶パネルとなる。このとき、透明導電膜201と、光を反射するための反射板207と、液晶パネルを固定するための導電性フレーム202とで、導波管が形成される。このとき、透明導電膜201には、複数の放射スロット208a〜209eが形成されている。給電スロット209は、パネル部211とバックライト部212とを固定する固定用両面テープ205に相当する位置に設けている。
【0032】
次に、動作周波数を2.4GHz帯(例えば、無線LANにおける使用周波数)としてアンテナの動作を説明する。ここで、例えば、液晶パネルの比誘電率(εr)を7とする。
【0033】
給電スロット104の長さを23.6mm(動作周波数の1/2λg(λg:管内波長))、幅を1mmに設定し、給電ライン105を給電スロット104と交差させるように配置することで、給電ライン105と給電スロット104が電磁界結合し、導波管に電磁波が入力される。放射スロット103a〜103eの長さを給電スロット104と同様に、動作周波数の1/2λgに設定することで、導波管内を伝搬する電磁波は放射スロット103a〜103eから徐々に放射され、アンテナとして動作することになる。このとき、放射スロット103a〜103eの間隔を調整することにより、指向性を調整することも可能である。
【0034】
以上のように構成することにより、アンテナ用の特別なスペースを必要とせず、視認性を確保しながら、簡易な構成でアンテナ装置および携帯無線機を実現することができる。
【0035】
なお、本実施例では、無線LAN用途に限定して説明したが、WiMAX(World Interoperablility for Microwave Access)やUWB(Ultra Wide Band)など、その他アプリケーションへ応用しても同様の効果が得られる。
【0036】
また、本実施例では、携帯無線端末の形状をストレート端末として説明したが、現在広く使用されている折畳型端末としても同様の効果が得られる。
(第2の実施の形態)
まず、図6〜図10を参照して、本発明の第2の実施の形態における筐体表面アンテナの構成を説明する。
【0037】
図6は、第2の実施の形態の筐体表面アンテナを有したスライド型携帯無線機の基本的な構成を示しており、図7は、図6におけるA−A’線断面図であり、図8は、図6におけるB−B’線断面図である。
【0038】
また、図9は、図6のスライド型携帯無線機の伸長時の側面図であり、図10は、図6のスライド型携帯無線機の収納時の側面図である。
【0039】
図6〜図10に示すように、スライド型携帯無線機301は、上筐体309と下筐体310とから構成されている。ここで、上筐体309には、透明導電膜302、放射スロット303a〜303e、給電スロット304a、304b、反射板306、導電性フレーム307、液晶パネル308が設けられる。一方、下筐体310には、給電ライン305が設けられる。
【0040】
図6において、スライド型携帯無線機301は、表示パネルとして液晶パネル308を有しており、液晶パネル308上には透明導電膜302が貼付されている。このとき、透明導電膜302と、光を反射するための反射板306と、液晶パネル308を固定するための導電性フレーム307とで、導波管が形成される。このとき、透明導電膜302には、複数の放射スロット303a〜303eが形成されている。なお、放射スロットは少なくとも1つ以上形成されていればよい。また、上筐体309にある反射板306には、下筐体310にある給電ライン305と電磁界結合する給電スロット304a、304bが形成される。
【0041】
次に、動作周波数を2.4GHz帯(例えば、無線LANにおける使用周波数)としてアンテナの動作を図9〜図10を用いて説明する。ここで、例えば、液晶パネルの比誘電率(εr)を7とする。
【0042】
給電スロット304a、304b長さを、それぞれ、23.6mm(動作周波数の1/2λg(λg:管内波長))、幅を1mmに設定し、給電ライン305を伸張(スライド)状態や収納(閉じ)状態で給電スロット304a、304bと交差させるように配置される。図10に示す閉じ状態のときは、給電ライン305と給電スロット304aとが電磁界的に結合し、図9に示すスライド状態のときは、給電ライン305と給電スロット304bとが電磁界的に結合することで、導波管に電磁波が入力されることになる。放射スロット303a〜303eの長さを給電スロット304a、304bと同様に、動作周波数の1/2λgに設定することで、導波管内を伝搬する電磁波は放射スロット303a〜303eから徐々に放射され、アンテナとして動作することになる。このとき、放射スロット303a〜303eの間隔を調整することにより、指向性を調整することも可能である。
【0043】
以上のように構成することにより、アンテナ用の特別なスペースを必要とせず、視認性を確保しながら、簡易な構成でアンテナ装置および携帯無線機を実現することができる。
(第3の実施の形態)
まず、図11〜12を参照して、本発明の第3の実施の形態における筐体表面アンテナの構成を説明する。図11は、図6のスライド型携帯無線機の伸長時の側面図であり、図12は、図6のスライド型携帯無線機の収納時の側面図である。図11〜図12に示すように、スライド型携帯無線機301は、上筐体409と下筐体410とから構成されている。ここで、上筐体409には、透明導電膜402、放射スロット403a〜403e、給電スロット404a、404b、反射板406、導電性フレーム407、液晶パネル408が設けられる。一方、下筐体410には、給電ライン405、終端411が設けられる。
【0044】
次に、動作周波数を2.4GHz帯(例えば、無線LANにおける使用周波数)としてアンテナの動作を説明する。ここで、例えば、液晶パネルの比誘電率(εr)を7とする。
【0045】
給電スロット404a、404b長さを、それぞれ、23.6mm(動作周波数の1/2λg(λg:管内波長))、幅を1mmに設定し、給電ライン405を伸張(スライド)状態や収納(閉じ)状態で給電スロット404a、404bと交差させるように配置される。スライド状態のときは、給電ライン405と給電スロット404bとが電磁界的に結合し、閉じ状態のときは、給電ライン405と給電スロット404aとが電磁界的に結合する。
【0046】
スライド状態のときには、給電スロット404aは放射スロットとして動作することで、放射効率を向上することができる。また、収納状態のときには、給電スロット404bは下筐体410と重なるため、放射が抑制されるとともに無線回路へのノイズ影響が懸念される。そのため、収納状態において、給電スロット404bに重なる位置で抵抗あるいはリアクタンス値を有する終端411と電磁界的に結合させることで、放射スロットへの影響やノイズ影響を低減することが可能となる。
【0047】
以上のように構成することにより、スライド状態や閉じ状態に給電点が移動しても、前記第2の給電スロットからの電界影響を低減し、ノイズを低減できる。
(第4の実施の形態)
まず、図13を参照して、本発明の第4の実施の形態における筐体表面アンテナの構成を説明する。図13は、スライド型携帯無線機の伸長時の側面図である。図13に示すように、スライド型携帯無線機501は、上筐体509と下筐体510とから構成されている。ここで、上筐体509には、透明導電膜502、放射スロット503a〜503e、給電スロット504、反射板506、導電性フレーム507、液晶パネル508が設けられる。一方、下筐体510には、給電ライン505、終端511が設けられる。
【0048】
給電スロット504と放射スロット503a〜503eは、上筐体509の長手方向の軸と平行に配置される。
【0049】
次に、動作周波数を2.4GHz帯(例えば、無線LANにおける使用周波数)としてアンテナの動作を説明する。ここで、例えば、液晶パネルの比誘電率(εr)を7とする。
【0050】
給電スロット504の長さを、23.6mm(動作周波数の1/2λg(λg:管内波長))、幅を1mmに設定し、給電ライン504をスライド状態や閉じ状態関係なく、常に、交差させるように配置することで、給電ライン505と給電スロット504とが電磁界的に結合することで、導波管内を伝搬する電磁波は放射スロット503a〜503eから徐々に放射され、アンテナとして動作することになる。このとき、放射スロット503a〜503eの間隔を調整することにより、指向性を調整することも可能である。
【0051】
以上のように構成することにより、電界、磁界の向きを合わせることで強結合して給電でき、スライド状態や閉じ状態に給電点が移動しても、確実に、アンテナへ給電することが実現できる。
(第5の実施の形態)
まず、図14〜図16を参照して、本発明の第5の実施の形態における筐体表面アンテナの構成を説明する。
【0052】
図14は、第5の実施の形態の筐体表面アンテナを有した携帯無線端末の基本的な構成を示しており、図15は、図14におけるA−A’線断面図であり、図16は、図14におけるB−B’線断面図である。
【0053】
図14〜図16に示すように、携帯無線機601は、透明導電膜602、放射スロット603、給電スロット604a、604b、給電ライン605a、605b、反射板607、導電性フレーム608、液晶パネル609a、609b、609c、609d、透明導電膜壁606a、606b、606cとから構成されている。
【0054】
図14において、携帯無線機601は、表示パネルとして液晶パネル609a、609b、609c、609dを有しており、液晶パネル609a、609b、609c、609d上には透明導電膜602が貼付されている。ここで、透明導電膜602、透明導電膜壁606a、606b、606cは、例えば、酸化インジウム(In2O3)に酸化スズ(SnO2)を混ぜた酸化インジウム系の透明導電膜である。
【0055】
図14において、透明導電膜602と、光を反射するための反射板607と、液晶パネル609a、609b、609c、609dを固定するための導電性フレーム608と、液晶パネル内を仕切るための透明導電膜壁606a、606b、606cとで、導波管が形成される。このとき、透明導電膜602には、複数の放射スロット603が形成されている。なお、放射スロットは少なくとも1つ以上形成されていればよい。また、反射板607には、給電ライン605a、605bと電磁界結合する給電スロット604a、604bが形成される。
【0056】
次に、4本のアンテナで、データの送受信を行なう無線通信技術であるMIMO(MULTIPLE INPUT MULTIPLE OUTPUT)としてのアンテナの動作を説明する。ここで、例えば、液晶パネルの比誘電率(εr)を7とする。
【0057】
給電スロット604a、604bの長さを23.6mm(動作周波数の1/2λg(λg:管内波長))、幅を1mmに設定し、給電ライン605a、605bを給電スロット604a、604bと交差させるように配置することで、給電ライン605a、605bと給電スロット604a、604bが電磁界結合し、導波管に電磁波が入力される。放射スロット603の長さを給電スロット604a、604bと同様に、動作周波数の1/2λgに設定することで、導波管内を伝搬する電磁波は放射スロット603から徐々に放射され、アンテナとして動作することになる。このとき、放射スロット603の間隔を調整することにより、指向性を調整することも可能である。
【0058】
以上のように構成することにより、アンテナ用の特別なスペースを必要とせず、視認性を確保しながら、簡易な構成でアンテナ装置および携帯無線機を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の筐体表面アンテナは、アンテナとして専用スペースを必要せず、構成が簡易であるという効果を有し、例えば、携帯電話機などの携帯無線端末に有用である。
【符号の説明】
【0060】
101、601 携帯無線機
102、201、302、402、502、602 透明導電膜
103a、103b、103c、103d、103e 放射スロット
208a、208b、208c、208d 放射スロット
303a、303b、303c、303d、303e 放射スロット
403a、403b、403c、403d、403e 放射スロット
503a、503b、503c、503d、503e 放射スロット
603 放射スロット
104、209、304a、304b、404a、404b 給電スロット
504、604a、604b 給電スロット
105 305、405、505、605a、605b 給電ライン
106、207、306、406、607 反射板
107、202、307、407、608 導電性フレーム
108 308、408、609a、609b、609c、609d 液晶パネル
203a、203b 偏光板
204 ガラス基板
205 固定用両面テープ
206 導光板
211 パネル部
212 バックライト部
301、501 スライド型携帯無線機
309、409、509 上筐体
310、410、510 下筐体
411 終端
606a、606b、606c 透明導電膜壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光板と、反射板と、前記偏光板の周囲に配置された導電性フレームとから構成される表示パネルと、
前記表示パネルの表面に貼付され、動作周波数の略1/2波長の放射スロットが少なくとも1つ以上形成された透明導電膜と、を備え、
前記反射板の端部側に動作周波数の略1/2波長の給電スロットを設けたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記透明導電膜は、第1の方向に沿って、動作周波数の略1/2波長の放射スロットが少なくとも1つ以上形成されており、
前記反射板は、前記第1の方向に沿って、動作周波数の略1/2波長の給電スロットが設けられていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ装置を有することを特徴とする請求項1または2記載の携帯無線機。
【請求項4】
第1の筐体と第2の筐体とがスライド可能に連結された携帯無線機において、
前記第1の筐体は、偏光板と、反射板と、前記偏光板の周囲に配置された導電性フレームとから構成される表示パネルと、前記表示パネルの表面に貼付された透明導電膜とを備え、
前記第2の筐体は、無線回路と、前記無線回路から出力された給電ラインとを備え、
前記透明導電膜は、第1の方向に沿って、動作周波数の略1/2波長の放射スロットが少なくとも1つ以上形成されており、
前記反射板は、前記第1の方向に沿って、動作周波数の略1/2波長の第1の給電スロットと第2の給電スロットが設けられており、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが収納状態の場合、前記第1の給電スロットが前記給電ラインと電気的に接続され、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが伸長状態の場合、前記第2の給電スロットが前記給電ラインと電気的に接続されることを特徴とする携帯無線機。
【請求項5】
前記収納状態において、前記第2の給電スロットが所定の抵抗値またはリアクタンス値で終端されることを特徴とする請求項4記載の携帯無線機。
【請求項6】
前記放射スロットおよび前記給電スロットを筐体長手方向に沿って配置したことを特徴とする請求項4記載の携帯無線機。
【請求項7】
前記表示パネル内の断面方向に前記透明導電膜を挿入して壁面を構成し、
前記透明導電膜、前記反射板、前記導電性フレーム、および前記壁面とから導波管を形成したことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−268190(P2010−268190A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117483(P2009−117483)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】