説明

アークセンサにおける狙い位置修正方法及びロボット制御システム

【課題】
狙い位置を手動により調整する機能を複数パスの連続溶接に適用することができるアークセンサにおける狙い位置修正方法及びロボット制御システムを提供する。
【解決手段】
先に行われる教示パスにおいて、ティーチペンダント40又は手動狙い調整器70により狙い位置の調整が行われた場合、その調整結果を後の教示パスで利用するか否かをティーチペンダント40により設定する。調整結果を利用すると設定された場合、後に行われる教示パスではCPU22は調整結果に基づいて内部オフセット値を更新すると印加電圧及び更新後の内部オフセット値に基づいてマニピュレータ10を移動制御する。調整結果を利用しないと設定された場合、後に行われる教示パスではCPU22はアークセンサユニット50が検出した印加電圧に基づいて、マニピュレータ10を移動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アークセンサを使用するTIG溶接、或いはアーク倣い中に狙い位置を手動により調整する機能を複数パスの連続溶接に適用することができるアークセンサにおける狙い位置修正方法及びロボット制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接においては、アーク現象を利用して倣いを行う方法が知られている。例えば、アークセンサを使用するTIG溶接では、アークの一定時間の平均電圧と基準電圧の差分(以下、電圧差分値という)を使用して溶接トーチ(TIG電極)に対する上下方向を補正する方法が知られている。これをTIGアークセンサと呼ぶ。なお、上下方向とは、スタンドオフ量が増加する方向及び減少する方向である。TIGアークセンサでは、電圧差分値に対して予め求めた補正係数を適用の上、さらに、予め設定した追従感度やオフセットを加味した値を補正量として教示パスに重畳する。
【0003】
前述したようにTIGアークセンサでは、前記電圧差分値Vd(mV)を使用するが、電圧差分値を実際の距離に換算する補正係数の善し悪しが倣い精度に影響する。前記電圧差分値Vd(mV)を前記補正量Gap(mm)に換算する式は、下記式(1)で与えられる。
【0004】
【数1】

なお、式(1)中のCpv(mV/mm)及びIOFSは、電圧差分値を距離に換算するための補正係数である。Cpvは、物理量変換値(上下)のことであり、溶接トーチ(TIG電極)の上下方向の電圧差分値からずれ量への補正係数である。IOFS(mV)は、内部オフセット値(上下)であり、溶接トーチ(TIG電極)上下方向の物理量変換値の差異を示す補正係数である。
【0005】
前記補正係数は、予め試験溶接区間の溶接中に計測した結果に基づいて算出された値を使用する。具体的には、試験溶接区間において、基準値に対して予め設定した複数のシフト量で溶接トーチ(TIG電極)をシフトした場合の各シフト量における測定電圧(アーク電圧)と基準電圧との電圧差分値(測定値)のデータ平均値を算出する。そして、シフト量とデータ平均値の分布を回帰分析して回帰直線を求めることにより、物理量変換値及び内部オフセット値を取得する。
【0006】
図8は、シフト量(mm)と電圧差(mV)との関係を示し、横軸はシフト量、縦軸は電圧差(電圧差分値)を示す。図8では、説明の便宜上、シフト量−1、−0.5、0、0.5、1(単位:mm)のそれぞれにおいて、平均差分値が図8に示すように得られたものを折れ線で示したものである。この折れ線に近似する回帰直線(すなわち、近似直線)を前述のようにして求めると、同図に示す直線となる。このように回帰直線が得られると、溶接トーチ(TIG電極)がシフトした場合の感度(物理量変換値)と内部オフセット値が求まる。
【0007】
又、式(1)中、OFSvは、オフセット(上下)であり、ティーチペンダントの表示画面(すなわち、設定画面)において、倣い条件命令で設定される微調整パラメータである。又、Svは、追従感度(上下)であり、同じくティーチペンダントの表示画面(すなわち、設定画面)において、倣い条件命令で設定される微調整パラメータである。
【0008】
前記物理量変換値(上下)及び内部オフセット値(上下)は溶接条件に依存する。そのため、溶接する部位が異なる部位であっても、同じ溶接条件であればロボット溶接を行う制御装置のCPU(中央処理演算装置)が共通に読み出せるようにファイル化されている。このファイルは、例えば、基礎データという。
【0009】
ところで、1ワークに100パス以上連続してビードを盛るような長時間の連続TIG溶接を行う場合、TIG電極が摩耗することによりアークが広がることがある。アークが広がると同じワーク〜母材間距離(以下、スタンドオフと呼ぶ。)でもアーク電圧が低くなる。アーク電圧が低くなるとTIGアークセンサによりアーク電圧を基準電圧に合わせるためにスタンドオフを図9(a)のS01で示すように長くするよう溶接トーチTが引き上げられる。そこで、手動操作により基準電圧を下げることでスタンドオフをS02で示すように元に戻す操作を行い、溶接トーチT(TIG電極)の狙い位置を調整する。このような手動操作をTIGアークセンサのオンライン補正(以下、単にオンライン補正)という。
【0010】
なお、ティーチペンダントの表示装置で所定の設定画面を読み出すことでトーチの狙い位置を微調整することができる。また、アーク溶接では、ロボット制御装置に取り付けた手動狙い調整器により、ロボット制御装置に対して、トーチを所望の補正方向に調整移動すべく対応した入力を行い、倣い中のトーチの狙い位置に反映する方法もある。
【0011】
特許文献1及び特許文献2は、本願の出願時の技術水準を示すものである。特許文献1では、アークセンサ倣いと手動操作を切り替えることができる構成が開示されている。特許文献2は、初層の溶接を手動倣いして、手動倣いによる最終溶接時のトーチ軌跡を、RAMに記憶し、以降の溶接は、前記記憶したトーチ軌跡に基づいて全自動溶接を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−141438号公報
【特許文献2】特開平1−249269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
例えば、TIGアークセンサを使用して、100パス連続してTIG溶接を行う場合、溶接区間が第1パスから第100パスまで存在する。これらのパスはすべて独立している。前述した図9(a)に示すように第1パスにおいてオンライン補正でスタンドオフをS02(<S01)となるように調整しても、図9(b)に示すように第2パス以降の区間では元の基準電圧で倣いが行われるためスタンドオフがS01となって長くなってしまう。そのため同じ調整を繰り返す必要がある。従って、区間が100パスあれば100回オンライン補正しなければならず、多大な工数がかかる。
【0014】
【表1】

具体的に説明すると、表1は、TIGアークセンサを使用して連続TIG溶接を行う場合の作業プログラム例である。
【0015】
表1に示すように第1パスにおいてステップ5を通過しステップ6の教示点(溶接終了点)に到達するまでに行ったオンライン補正結果が分かっていれば、第2パスではその結果をそのまま使えばよい。しかし、第1パスと第2パスは独立しているため、第2パスで第1パスのオンライン補正と同じ結果を得るためには、第2パスも第1パスと同じようにオンライン補正しなければならない。又は、第2パスの溶接を行う前にロボットを一時停止し、第1パスのオンライン補正結果をステップ13の倣い条件設定命令に手入力しなければならない。このように区間が100パスあれば100回この作業をしなければならず、多大な工数がかかる問題がある。
【0016】
なお、特許文献1及び特許文献2は、アークセンサ倣いをしながらの狙い位置のオンライン補正を行うものではない。又、特許文献1は、手動操作による補正量については開示がない。又、特許文献2は、トーチ軌跡をRAMに記憶した後以降の溶接では、記憶したトーチ軌跡を再生するというもので、アークセンサ倣いは行わないものである。
【0017】
前記説明では、アークセンサを使用するTIG溶接の場合を例に説明したが、アークセンサを使用してウィービングを行うアーク溶接の場合もオンライン補正後以降のパスにおいても、オンライン補正結果を倣い条件設定命令に手入力しなければならない等の同様な問題がある。
【0018】
本発明の目的は、狙い位置を手動により調整する機能を複数パスの連続溶接に適用することができるアークセンサにおける狙い位置修正方法及びロボット制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、マニピュレータに設けられた溶接トーチと母材間に生じたアーク状態に関する物理量をアークセンサにより検出し、前記物理量および予め定めた内部オフセット値に基づいて、前記溶接トーチの目標の狙い位置に移動すべくロボット制御手段により前記マニピュレータを移動制御するアークセンサにおける狙い位置修正方法において、先に行われる教示パスにおいて、前記狙い位置を手動調整する調整手段により前記狙い位置の調整が行われた場合、その調整結果を後の教示パスで利用するか否かを設定手段により設定し、前記設定手段により前記調整結果を利用すると設定された場合、後に行われる教示パスでは、前記ロボット制御手段は、前記調整結果に基づいて前記内部オフセット値を更新すると共に、後に行われる教示パスでは、前記ロボット制御手段は、前記アークセンサが検出した物理量および更新後の内部オフセット値に基づいて前記マニピュレータを移動制御し、前記設定手段により前記調整結果を利用しないと設定された場合、後に行われる教示パスでは、前記ロボット制御手段は、前記アークセンサが検出した物理量および予め定めた内部オフセット値に基づいて、前記マニピュレータを移動制御することを特徴とするアークセンサにおける狙い位置修正方法を要旨としている。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1において、前記物理量は、前記溶接トーチと前記母材間の印加電圧であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1において、前記物理量は、前記溶接トーチと前記母材間に流れるアーク電流であることを特徴とする。
【0021】
請求項4の発明は、マニピュレータに設けられた溶接トーチと、前記溶接トーチと母材間のアーク状態を示す物理量を検出するアークセンサと、前記物理量および予め定めた内部オフセット値に基づいて、前記溶接トーチの目標の狙い位置に移動すべく前記マニピュレータを移動制御するロボット制御手段と、前記溶接トーチの狙い位置を手動操作で調整可能な調整手段とを備えたロボット制御システムであって、先に行われる教示パスにおいて、前記調整手段により狙い位置の調整が行われた場合、その調整結果を後の教示パスで利用するか否かを設定する設定手段を備え、前記ロボット制御手段は、前記設定手段により前記調整結果を利用すると設定された場合は、後に行われる教示パスでは、前記調整結果に基づいて内部オフセット値を更新すると共に、前記アークセンサが検出した物理量および更新後の内部オフセット値に基づいて前記マニピュレータを移動制御し、前記設定手段により前記調整結果を利用しないと設定された場合、後に行われる教示パスでは、前記アークセンサが検出した物理量および予め定めた内部オフセット値に基づいて、前記マニピュレータを移動制御することを特徴とするロボット制御システムを要旨としている。
【0022】
請求項5の発明は、請求項4において、前記物理量は、前記溶接トーチと前記母材間の印加電圧であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項4において、前記物理量は、前記溶接トーチと前記母材間に流れるアーク電流であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1乃至3の発明によれば、狙い位置を手動により調整する機能を複数パスの連続溶接に適用できるようにしたことによって、オンライン補正時の作業工数を大幅に低減することができる。
【0024】
請求項4乃至6の発明によれば、狙い位置を手動により調整する機能を複数パスの連続溶接に適用できるようにしたことによって、オンライン補正時の作業工数を大幅に低減可能なロボット制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を具体化した一実施形態のアーク溶接ロボット制御装置システムのブロック図。
【図2】アークセンサユニットの電気ブロック図。
【図3】ティーチペンダントの表示装置の設定画面の説明図。
【図4】内部オフセットのオンライン変更による近似直線の変化を示す説明図。
【図5】TIG溶接におけるオンライン補正結果の自動反映の説明図。
【図6】第2実施形態のアークセンサに適用した連続多パス溶接における説明図。
【図7】ティーチペンダントの表示装置の設定画面の説明図。
【図8】物理量変換値と内部オフセットの算出の説明図。
【図9】(a)は、オンライン補正が行われた教示パスにおいて溶接トーチTのスタンドオフの説明図、(b)は、(a)の状態から次の教示パスでの溶接トーチTのスタンドオフの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜5を参照して説明する。
図1には、TIGアークセンサユニットを有して連続TIG溶接が可能なロボット制御システムの概要が示されている。
【0027】
ロボット制御システムは、溶接トーチ11を備えた関節が6軸のマニピュレータ10、マニピュレータ10を制御するロボット制御装置20、TIG溶接を行う溶接トーチ11に電力を供給する溶接電源30、物理量としての印加電圧(アーク電圧)に基づいて溶接の狙い位置の補正量を算出するTIGアークセンサユニット50等を備えている。溶接トーチ11は、タングステンからなるTIG電極であり、ワークWである母材に対して図示しない溶加材にてアーク溶接が可能である。又、システムは、ティーチペンダント40及び手動狙い調整器70を備えている。なお、TIGアークセンサユニット50を、以下、単にアークセンサユニットという。アークセンサユニット50は、アークセンサに相当する。ロボット制御装置20のCPU22はロボット制御手段に相当する。
【0028】
溶接電源30は、マニピュレータ10の先端に取付された溶接トーチ11に対してトーチ側溶接パワーケーブルL1を介して溶接電流(アーク電流)を供給する。又、ワークWは、ワーク側溶接パワーケーブルL2及び溶接電源30を介して電気的に接地されている。
【0029】
溶接電源30は溶接機通信ケーブルL3を介してロボット制御装置20に接続され、ロボット制御装置20と溶接電流・電圧指令等の制御情報の交信が可能である。又、ロボット制御装置20は、アークセンサユニット50とセンサ通信ケーブルL4を介して接続され、アークセンサユニット50が算出した溶接の狙い位置のずれ量、後述する各種データをアークセンサユニット50から受信可能である。又、ロボット制御装置20は、通信ケーブルL5を介して、マニピュレータ10と各種の制御情報の交信が可能である。
【0030】
図2に示すようにアークセンサユニット50は、中央処理装置(CPU52)、各種プログラムを格納するROM54、RAMからなる主記憶回路56、フラッシュメモリ等からなる補助記憶回路60、トーチ側溶接パワーケーブルL1に取付された電圧検出手段としての電圧検出器58等を備えている。電圧検出器58の検出信号(すなわち、アーク状態を表す印加電圧)はアンプ49にて増幅されるとともにA/Dコンバータ48にてデジタル信号に変換されてCPU52に入力される。
【0031】
CPU52は、前記印加電圧を、センサ通信ケーブルL4を介してロボット制御装置20に通知する。又、補助記憶回路60は、例えば、電圧検出器58から入力された各種信号や、ロボット制御装置20から通知された制御情報を一時格納する。ロボット制御装置20は、CPU22からなるシステムコントロール部、マニピュレータ10を制御するモーション制御部、溶接制御部、ロボットの作業プログラムを格納する記憶部24、前記溶接電源30と通信するための溶接電源インターフェイス等を備えている。CPU22は、前記印加電圧を入力すると、入力された印加電圧の一定時間毎の平均電圧を算出するとともに、前記平均電圧と基準電圧の電圧差(すなわち、電圧差分値Vd)を算出する。前記基準電圧は基準値に相当する。
【0032】
ティーチペンダント40は、図示はしないが表示装置及び、各種入力キーを備えたキーボードを備えている。溶接条件(すなわち、溶接電流、溶接電圧)、教示パス等の教示データは、前記ティーチペンダント40のキーボードを操作して入力され、該入力された教示データは前記記憶部24に格納される。
【0033】
又、前記ティーチペンダント40は、図示しない表示装置の設定画面を読み出した状態で、物理量変換値(上下)、内部オフセット値(上下)、オフセット(上下)、追従感度(上下)の入力が可能になっている。入力された物理量変換値(上下)、内部オフセット値(上下)、オフセット(上下)、追従感度(上下)は、作業プログラムの基礎データとして前記記憶部24に格納される。
【0034】
ティーチペンダント40は、調整手段及び設定手段に相当する。
又、手動狙い調整器70は、溶接トーチを上下方向、或いは左右方向へ移動操作可能にジョグキーから構成されている。手動狙い調整器70は、ロボット制御装置20に対して、溶接トーチ11を所望の補正方向(すなわち、本実施形態では、スタンドオフ量が長くなる方向、或いは短くなる方向)に調整移動すべく対応した入力を行い、倣い中のトーチの狙い位置を調整可能である。
【0035】
手動狙い調整器70は、調整手段に相当する。
ロボット制御装置20には、ティーチペンダント40により溶接開始点等の教示位置や、溶接開始指令(溶接電流設定値、シールドガス放流、トーチスイッチON等の処理シーケンス、等)からなるプログラムが登録されているものとする。又、これらの教示されたプログラムは教示データとしてロボット制御装置20内のCPU22がROM(ともに図示しない)に格納されているアルゴリズムに従ってRAM(図示しない)へ格納され、この既ティーチングされた教示データである作業プログラムにより、システムが自動運転される。
【0036】
(実施形態の作用)
さて、上記のように構成されたロボット制御装置システムの作用を説明する。作業プログラムを実行する前に、オペレータは、従来と同様に、前述したオフセット(上下)OFS、追従感度(上下)Sを、ティーチペンダント40の図示しない表示装置の倣い条件設定画面(図示しない)の入力欄に入力する。又、図3に示すように、オペレータは、ティーチペンダント40の図示しないキーボードを操作して、物理量変換値(上下)CPV、内部オフセット値(上下)IOFSの倣い条件設定画面100を、ティーチペンダント40に表示させる。そして、前記倣い条件設定画面100の入力欄101,102に入力する。前記倣い条件設定画面100には、オンライン補正結果の適用の実施を「しない」または「する」ことを選択する選択領域103が設けられている。オペレータは、この選択領域103から、「しない」又は「する」を選択する。本実施形態では、ラジオボタン形式で、「しない」又は「する」の選択が可能となっている。なお、設定画面上の選択の表示は、ラジオボタンに限定するものではなく、例えば、チェックボックスにより、「しない」又は「する」のいずれかを選択するようにしてもよい。前記表示装置の表示面は、タッチパネルで形成されており、上記のように前記倣い条件設定画面100で設定された内容は、書き込みボタン104をオペレータが押下することにより、ロボット制御装置20に送信される。
【0037】
すなわち、上記のように必要な倣い条件設定画面100等で設定されたオフセット(上下)、追従感度(上下)、物理量変換値(上下)、内部オフセット値(上下)、及びオンライン補正結果の適用の有無は、ティーチペンダント40により、基礎データとしてファイル化されてロボット制御装置20に送信される。送信された基礎データは、ロボット制御装置20の記憶部24に格納される。
【0038】
又、ロボット制御装置20が実行する作業プログラムは、複数の教示パスを連続してピードを盛るような長時間の連続TIG溶接を行う作業プログラムである。
上記のような作業プログラムが実行されて、溶接トーチ11が溶接作業を行っている教示パスにおいて、ティーチペンダント40により、オンライン補正がされたものとする。このオンライン補正は、溶接トーチ11による溶接作業を継続しながら、ティーチペンダント40による操作で行われる。ティーチペンダント40の手動操作により数値入力して、オフセット(上下)OFSMVとし、この値により、作業プログラムに予めデフォルト値として書き込まれている基準電圧を下げることでスタンドオフ量を元に戻す操作を行い、溶接トーチ11の狙い位置を調整する。
【0039】
なお、オンライン補正は手動狙い調整器70で行っても良い。この場合は、手動狙い調整器70を操作することにより、溶接トーチ11自体を上下方向に移動させて、このときの移動量を、予め既知となっている換算係数で数値換算してオフセット(上下)OFSMVとする。
【0040】
そして、下記の式(2)で、オンライン補正後の内部オフセット値(上下)IOFSMVを、ロボット制御装置20のCPU22が演算する。なお、式(2)中、OFSOVは、OFSのことである。又、OFSMVは、オンライン補正において、調整手段により、変更されたオフセットである。
【0041】
【数2】

ここで算出したIOFSMVを、前記式(1)のIOFSに代入することにより、当該教示パスにおけるオンライン補正が行われる。
【0042】
この後、当該教示パスでは、即座にオンライン補正の結果が反映されて(すなわち狙い位置が変更されて)、溶接作業を継続する。
次に、オンライン補正が行われた当該教示パスにおいて、倣い終了指令が出されたとする。例えば、前記表1の第1パスにおいて、オンライン補正がされて、第1パスにおいて、表1の第7ステップで倣い終了指令が出されたとする。この倣い終了指令の実行時に、ロボット制御装置20のCPU22は、次の教示パスにおける作業実行のための前記基礎データを読み込みする。この基礎データの読み込みは、作業プログラムにより倣い終了指令が出るたびに行われる。この倣い終了指令は、各教示パスの後段において必ず出るため、オンライン補正の結果の適用が「有(する)」とされている場合は、オンライン補正がされた教示パスの次の教示パス以降の全ての教示パスにおいて、オンライン補正がされた結果が利用される。すなわち、オンライン補正の結果の適用が「有(する)」とされている場合は、前記式(2)で算出したIOFSMVが、前記式(1)のIOFSに代入される。この代入は、実質的に、ティーチペンダント40、又は手動狙い調整器70によって、基準値(本実施形態では、基準電圧)の調整が行われたことに等しいことを意味する。
【0043】
図4には、内部オフセット変更前後での図8で説明した近似直線の変化を示す従って、前記の例では、図5に示すように、第1パス(教示パス)で、オンライン補正がされた場合、第2パス(第2教示パス)以降の全てのパスにおいて、オンライン補正がされた溶接トーチ11の狙い位置(高さ)でアーク溶接の倣いが行われる。
【0044】
なお、オンライン補正の結果の適用が「無(なし)」とされている場合は、CPU22は、作業プログラムに予めデフォルト値として書き込まれている基準電圧(基準値)のデフォルト値を従来と同様に使用する。
【0045】
本実施形態によれば、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のアークセンサにおける狙い位置修正方法は、先に行われる教示パスにおいて、ティーチペンダント40又は手動狙い調整器70(調整手段)により狙い位置の調整が行われた場合、その調整結果を後の教示パスで利用するか否かをティーチペンダント40(設定手段)により設定する。そして、前記調整結果を利用すると設定された場合、調整結果に基づいて内部オフセット値(上下)IOFSを更新すると共に、後に行われる教示パスでは、ロボット制御装置20のCPU22(ロボット制御手段)は、アークセンサユニット50が検出した印加電圧(物理量)および更新後の内部オフセット値(上下)IOFSに基づいてマニピュレータ10を移動制御する。又、調整結果を利用しないと設定された場合、後に行われる教示パスでは、ロボット制御装置20のCPU22(ロボット制御手段)は、アークセンサユニット50が検出した印加電圧および予め定めた内部オフセット値(上下)IOFSに基づいて、マニピュレータ10を移動制御する。
【0046】
この結果、本実施形態によれば、狙い位置を手動により調整する機能を複数教示パスの連続溶接に適用することができる。
本実施形態によれば、TIG−アークセンサユニット50を使用するアーク溶接において、オンライン補正した狙い位置を基礎データの内部オフセット値に自動保存する。続けて次の溶接パスで同じ基礎データを呼び出すと、自動的にオンライン補正した狙い位置を引き継ぐことができる。そして、オンライン補正を1度だけ実行すれば、自動的にオンライン補正した狙い位置を再現できるため、大きな工数低減ができる。
【0047】
(2) 本実施形態のアークセンサにおける狙い位置修正方法は、物理量として溶接トーチ11とワークW(母材)間の印加電圧とすることにより、ロボット制御装置20のCPU22(ロボット制御手段)は、狙い位置の補正量の算出結果に応じて溶接トーチ11とワークWとのスタンドオフ量を変更すべくマニピュレータ10を移動制御することができる。
【0048】
(3) 本実施形態のロボット制御システムは、先に行われる教示パスにおいて、ティーチペンダント40又は手動狙い調整器70(調整手段)により狙い位置の調整が行われた場合、その調整結果を後の教示パスで利用するか否かを設定するティーチペンダント40(設定手段)を備える。ロボット制御装置20のCPU22(ロボット制御手段)は、調整結果を利用すると設定された場合は、後に行われる教示パスでは、前記調整結果に基づいて内部オフセット値(上下)IOFSを更新すると共に、アークセンサユニット50が検出した印加電圧(物理量)および更新後の内部オフセット値(上下)IOFSに基づいてマニピュレータ10を移動制御する。又、ロボット制御装置20のCPU22は、調整結果を利用しないと設定された場合、後に行われる教示パスでは、アークセンサユニット50が検出した印加電圧および予め定めた内部オフセット値(上下)IOFSに基づいて、マニピュレータ10を移動制御する。
【0049】
この結果、本実施形態によれば、狙い位置を手動により調整する機能を複数パスの連続溶接に適用することができる効果を奏するロボット制御装置システムを提供できる。
(4) 本実施形態のシステムは、物理量を、溶接トーチ11とワークW(母材)間の印加電圧とすることにより、ロボット制御装置20のCPU22(ロボット制御手段)は、狙い位置の補正量の算出結果に応じて溶接トーチ11とワークWとのスタンドオフ量を変更すべくマニピュレータ10を移動制御できる。
【0050】
(第2実施形態)
次に第2実施形態を図1、図6、図7を参照して説明する。本実施形態は、図6に示すようにウィービングによるアーク溶接線倣いを複数の教示パスで行うロボット制御システムに具体化したものである。なお、本システムにおいて、前記実施形態と同一構成又は相当する構成については同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0051】
本実施形態では、溶接トーチ11には、図示しない溶加材であるワイヤが挿通されてトーチ電極として使用する。又、本実施形態では、図1に示すようにTIGアークセンサユニット50の代わりにアークセンサユニット50Aを使用する。従って、図1での「TIGアークセンサユニット」を「アークセンサユニット」として読替えするものとする。
【0052】
又、この場合、図1において、溶接トーチ11は、ウィービングを行うマニピュレータ10とし、図2において、アークセンサユニット50は、アークセンサユニット50Aとして機能するものと理解されたい。なお、アークセンサユニット50Aは、第1実施形態の電圧検出器58が省略される代わりに電流検出器59、電流検出器59の検出信号(すなわち、アーク状態を表すアーク電流)を増幅するアンプ49A及び増幅された信号をデジタル信号に変換し、CPU22に入力するA/Dコンバータ48Aを備える。
【0053】
本実施形態では、電流検出器59が検出した検出信号(アーク電流)が、CPU52を介してロボット制御装置20のCPU22に送信される。
本実施形態のシステムにおける、作業プログラムは、片面溶接を行なうGMA溶接によりレ型開先溶接を行う作業プログラムである。このため、溶接進行方向に向かってウィービングを行いながら、振幅中心を境に左振幅区間及び右振幅区間の平均電流差を使って左右方向を、1ウィービング区間の平均電流と基準電流差を使って上下方向を同時に補正するようにされている。
【0054】
CPU22は、前記アーク電流を入力すると、入力されたアーク電流の1ウィービング区間毎の平均電流を算出するとともに、前記平均電流と基準電流の電流差(すなわち、電流差分値)を算出する。前記基準電流は基準値に相当する。
【0055】
そして、本実施形態では、溶接トーチ11の上下方向、及び、溶接進行方向を基準として左右方向のオンライン補正を、ティーチペンダント40、又は手動狙い調整器70により行うことが、第1実施形態と異なっている。
【0056】
(実施形態の作用)
上記のように構成されたロボット制御装置システムの作用を説明する。作業プログラムを実行する前に、オペレータは、従来と同様に、オフセット(上下)OFS、オフセット(左右)OFS、追従感度(上下)S、追従感度(左右)Sを、ティーチペンダント40の図示しない表示装置の倣い条件設定画面の入力欄に入力する。
【0057】
又、オペレータは、ティーチペンダント40の図示しないキーボードを操作して、図7に示すように物理量変換値(上下)CPV、物理量変換値(左右)CPH、内部オフセット値(上下)IOFS、内部オフセット値(左右)IOFSの倣い条件設定画面100を、ティーチペンダント40のCPUに表示させる。そして、倣い条件設定画面100に用意された各入力欄に入力する。前記設定画面には、第1実施形態と同様にオンライン補正結果の適用を「しない」または「する」ことを選択する選択領域112が設けられている。オペレータは、この選択領域から、「しない」又は「する」を選択する。
【0058】
本実施形態では、ラジオボタンが図示されているが、チェックボックスで、「しない」又は「する」を選択するようにしてもよい。本実施形態においても、前記表示装置の表示面は、タッチパネルで形成されており、上記のように前記設定画面で設定された内容は、設定画面の書き込みボタン114をオペレータが押下することにより、ロボット制御装置20に送信される。
【0059】
すなわち、上記のように必要な倣い条件設定画面等で設定されたオフセット(上下)、オフセット(左右)、追従感度(上下)、追従感度(左右)、物理量変換値(上下)、物理量変換値(左右)、内部オフセット値(上下)、内部オフセット値(左右)、及びオンライン補正結果の適用の有無は、ティーチペンダント40により、基礎データとしてファイル化されてロボット制御装置20に送信される。送信された基礎データは、ロボット制御装置20の記憶部24に格納される。又、本実施形態では、ロボット制御装置20が実行する作業プログラムは、複数の教示パスを連続して、すなわち、ワークWの複数の平行に設けられた開先に沿って溶接トーチ11を移動させながら片面溶接を行なうGMA溶接によりレ型開先溶接を行う作業プログラムである。
【0060】
上記のような作業プログラムが実行されて、溶接トーチ11が溶接作業を行っている教示パスにおいて、ティーチペンダント40により、オンライン補正がされたものとする。
このオンライン補正は、溶接トーチ11による溶接作業を、ティーチペンダント40による操作で一時停止させた上で行われる。ティーチペンダント40の手動操作により数値入力して、オフセット(上下)OFSMV、オフセット(左右)OFSMHとする。これらの値により、作業プログラムに予めデフォルト値として書き込まれている基準値としての基準電流を変更することでスタンドオフ量を変更する操作、及び基準電流を変更することで左右方向の1ウィービング区間の平均電流と基準電流との電流差分値を使って、左右方向における溶接トーチ11の狙い位置を調整する。
【0061】
なお、GMA溶接によりレ型開先溶接を行う場合、ウィービングを行いながら左振幅区間及び右振幅区間の平均電流差を使って左右方向を、1ウィービング区間の平均電流と基準電流差を使って上下方向を同時に補正する方法が一般に知られている。この場合、電流差AD(mA) を補正量Gap(mm) に換算する式は式(3)で与えられる。
【0062】
【数3】

なお、式(3)中の変数の意味は、表2、及び表3に示す。又、式(3)中の、「*」は、左右に関する場合は「H」が入り、上下に関する場合は「V」が入る意味である。
【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

そして、第1実施形態の式(2)に変わり、本実施形態では、オンライン補正されると、変更後の内部オフセット値(左右)IOFSMH、内部オフセット値(上下)IOFSMVがそれぞれ式(4)、式(5)で計算され、基礎データに上書きされる。
【0065】
【数4】

【0066】
【数5】

なお、式(4)中、OFSOHは、表6のOFSのことである。又、式(5)中、OFSOVは、表6のOFSのことである。
【0067】
式(4)中、OFSMHは、オンライン補正において、調整手段により、変更されたオフセットである。又、式(5)中、OFSMVは、オンライン補正において、調整手段により、変更されたオフセットである。
【0068】
本実施形態では、上記のようにして、当該教示パスにおけるオンライン補正が行われる。
次に、オンライン補正が行われた当該教示パスにおいて、倣い終了指令が出されたとする。この倣い終了指令の実行時に、ロボット制御装置20のCPU22は、次の教示パスにおける作業実行のための前記基礎データを読み込みする。この基礎データの読み込みは、作業プログラムにより倣い終了指令が出るたびに行われる。この倣い終了指令は、各教示パスの後段において必ず出るため、オンライン補正の結果の適用が「有(する)」とされている場合は、オンライン補正がされた教示パスの次の教示パス以降の全ての教示パスにおいて、オンライン補正がされた結果が利用される。すなわち、オンライン補正の結果の適用が「有(する)」とされている場合は、前記式(4)、式(5)で算出したIOFSMH及びIOFSMVを、前記式(3)のIOFに代入される。この代入は、実質的に、ティーチペンダント40、又は手動狙い調整器70によって、基準値(本実施形態では、基準電流)の調整が行われたことに等しいことを意味する。
【0069】
オンライン補正の結果の適用が「無(なし)」とされている場合は、CPU22は、作業プログラムに予めデフォルト値として書き込まれている基準電流(基準値)のデフォルト値を従来と同様に使用する。
【0070】
本実施形態によれば、下記の特徴がある。
(4) 本実施形態の方法及びシステムでは、オンライン補正の結果の適用が「有(する)」とされている場合は、オンライン補正が行われた当該パスに続いて行われるパスにおいて、アークセンサユニット50Aにより、トーチ上下方向のみならず、左右方向の補正も、同時にオンライン補正の結果を利用することができる。この結果、オンライン補正を1度だけ実行すれば、自動的にオンライン補正した狙い位置をアークセンサ倣いで同じ狙い位置を再現できるため、大きな工数低減ができる。
【0071】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように構成してもよい。
・ 第1実施形態において、前記オフセットOFSMVの補正は、数値入力で行うようしたが、ティーチペンダント40の操作により、数値入力の代わりに、キーボードに設けられた図示しない矢印キーの操作により、溶接トーチ11自体を上下方向に移動させて、このときの移動量を、予め既知となっている換算係数で数値換算してオフセットOFSMVとするようにしてもよい。
【0072】
・ 第1実施形態では、ロボット制御装置20のCPUが印加電圧及び制御情報(例えば、センシング開始命令)に基づいて溶接の狙い位置の補正量を算出するようにした。しかし、溶接の狙い位置の補正量の算出は、ロボット制御装置20のCPU22が行う代わりに、アークセンサユニット50のCPU52が行うようにしてもよい。この場合、印加電圧及びロボット制御装置20からの制御情報(例えば、センシング開始命令)に基づいて溶接の狙い位置の補正量を算出し、センサ通信ケーブルL4を介してロボット制御装置20に通知するようにする。そして、この通知されたデータを、ロボット制御装置20のCPU22が作業プログラム実行時に、参照するようにする。
【0073】
・ 第1実施形態では、倣い終了指令のときに、CPU22は基礎データを読み込むようにしたが、表1において、溶接終了指令のとき、或いは、待避点移動指令のときに基礎データを読み込むようにしてもよい。
【0074】
・ 前記各実施形態では、補正量の算出はロボット制御装置側で行ったが、アークセンサユニット側で行っても良い。
【符号の説明】
【0075】
10…マニピュレータ、11…溶接トーチ、20…ロボット制御装置
22…CPU(ロボット制御手段)、
40…ティーチペンダント(設定手段、調整手段)、
50…TIG−アークセンサユニット、50A…アークセンサユニット、
70…手動狙い調整器(調整手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニピュレータに設けられた溶接トーチと母材間に生じたアーク状態に関する物理量をアークセンサにより検出し、
前記物理量および予め定めた内部オフセット値に基づいて、前記溶接トーチの目標の狙い位置に移動すべくロボット制御手段により前記マニピュレータを移動制御するアークセンサにおける狙い位置修正方法において、
先に行われる教示パスにおいて、前記狙い位置を手動調整する調整手段により前記狙い位置の調整が行われた場合、その調整結果を後の教示パスで利用するか否かを設定手段により設定し、
前記設定手段により前記調整結果を利用すると設定された場合、前記調整結果に基づいて前記内部オフセット値を更新すると共に、後に行われる教示パスでは、前記ロボット制御手段は、前記アークセンサが検出した物理量および更新後の内部オフセット値に基づいて前記マニピュレータを移動制御し、
前記設定手段により前記調整結果を利用しないと設定された場合、後に行われる教示パスでは、前記ロボット制御手段は、前記アークセンサが検出した物理量および予め定めた内部オフセット値に基づいて、前記マニピュレータを移動制御することを特徴とするアークセンサにおける狙い位置修正方法。
【請求項2】
前記物理量は、前記溶接トーチと前記母材間の印加電圧であることを特徴とする請求項1に記載のアークセンサにおける狙い位置修正方法。
【請求項3】
前記物理量は、前記溶接トーチと前記母材間に流れるアーク電流であることを特徴とする請求項1に記載のアークセンサにおける狙い位置修正方法。
【請求項4】
マニピュレータに設けられた溶接トーチと、前記溶接トーチと母材間のアーク状態を示す物理量を検出するアークセンサと、前記物理量および予め定めた内部オフセット値に基づいて、前記溶接トーチの目標の狙い位置に移動すべく前記マニピュレータを移動制御するロボット制御手段と、前記溶接トーチの狙い位置を手動操作で調整可能な調整手段とを備えたロボット制御システムであって、
先に行われる教示パスにおいて、前記調整手段により狙い位置の調整が行われた場合、その調整結果を後の教示パスで利用するか否かを設定する設定手段を備え、
前記ロボット制御手段は、前記設定手段により前記調整結果を利用すると設定された場合は、後に行われる教示パスでは、前記調整結果に基づいて内部オフセット値を更新すると共に、前記アークセンサが検出した物理量および更新後の内部オフセット値に基づいて前記マニピュレータを移動制御し、前記設定手段により前記調整結果を利用しないと設定された場合、後に行われる教示パスでは、前記アークセンサが検出した物理量および予め定めた内部オフセット値に基づいて、前記マニピュレータを移動制御することを特徴とするロボット制御システム。
【請求項5】
前記物理量は、前記溶接トーチと前記母材間の印加電圧であることを特徴とする請求項4に記載のロボット制御システム。
【請求項6】
前記物理量は、前記溶接トーチと前記母材間に流れるアーク電流であることを特徴とする請求項4に記載のロボット制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−251289(P2011−251289A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124691(P2010−124691)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】