説明

イオンチャネル調節化合物の制御放出経口製剤および不整脈を予防するための関連する方法

本発明は、イオンチャネル調節化合物、例えば塩酸ベルナカラントを用いて、不整脈および他の疾患または障害を治療および予防する方法を提供する。さらに、本発明は、不整脈の予防に有効な塩酸ベルナカラントの制御放出経口製剤および投薬量を提供する。本発明のいくつかの方法および製剤は、シトクロムP450 2D6をコードする遺伝子の多型による薬物代謝の改変を有すると特定された被験体の不整脈および他の疾患または障害の治療および予防に適合させたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、米国特許法§119(e)の下、2007年5月4日に出願された米国仮特許出願第60/916,129号、2007年8月1日に出願された米国仮特許出願第61/066,156号、2008年3月5日に出願された米国仮特許出願第61/034,119号、および2008年3月17日に出願された米国仮特許出願第61/037,198号(これら(4つ)の仮出願は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
背景
本発明は、イオンチャネル調節化合物またはその薬学的に許容され得る塩の制御放出経口製剤、例えば、経口投与のための単位剤形に関する。また、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトの不整脈および他の疾患、特に心房性細動の治療および予防における、これらの化合物、製剤、および単位剤形の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の記載
不整脈は、心拍数の異常である。用語「不整脈」は、心臓の拍動をもたらす電気インパルスの開始と伝導の正常なシーケンスからの逸脱をいう。不整脈は、心房または心室で起こり得る。心房性不整脈は、広く知られており、比較的良性であるが、被験体に脳卒中と心不全のリスクを高める。心室性不整脈は、典型的にはあまり一般的ではなく、非常に多くの場合、死に至る。
【0004】
心房性細動は、臨床診療で見られる最も一般的な不整脈である。米国では、220万人が発作性または持続性の心房性細動であると推定されている。心房性細動の有病率は一般集団の0.4%であると推定されており、年齢とともに多くなっている。心房性細動は、通常、特定の心臓関連事象ではなく(心室性不整脈の場合は、そうである)、年齢と一般健康状態と関連している。直接的に生命にかかわるものではないが、心房性不整脈により、不快症状が生じることがあり得、また、脳卒中または鬱血性心不全に至ること、および全般的な罹病率が増大することがあり得る。
【0005】
心房性細動を有する被験体の治療には、一般的に2つの治療戦略が使用されている。一方の戦略は、心房性細動を継続させ、房室(AV)結節を介する伝導を、ジゴキシン、カルシウムチャネル遮断薬またはβ−遮断薬を用いて遅滞させることにより心室の応答速度を制御するものである;これは、レートコントロールと称されている。他方の戦略は、リズムコントロールとして知られており、心房性細動を変換し、次いで正常な洞調律を維持し、かくして慢性心房性細動と関連する罹病率の回避を試みようとするものである。リズムコントロール戦略の主な不都合点は、この戦略に使用される抗不整脈薬の毒性と不整脈誘発可能性に関することである。心房性または心室性不整脈を予防するために現在使用されている薬物のほとんどは、健常組織と損傷組織の両方を含む心筋全体に対して効果を有する。このような薬物は、心臓内のイオンチャネルを全体的に遮断し、長い間に、生命にかかわる心室性不整脈と関連するようになり、広範な被験体集団において死亡率の低下ではなく増大をもたらす。したがって、長い間、不整脈の原因である組織に選択的が高く、心臓のその他の部分は正常に機能するように維持し、かつ心室性不整脈が引き起こされにくい抗不整脈薬の必要性が認識されている。
【0006】
不整脈の原因である組織において選択的なイオンチャネル調節化合物における、具体的な一つの型が、特許文献1に記載されており、これには、塩酸ベルナカラントとして知られるイオンチャネル調節化合物が示されている。塩酸ベルナカラントは、イオンチャネル調節化合物(1R,2R)−2−[(3R)−ヒドロキシピロリジニル]−1−(3,4−ジメトキシフェネトキシ)−シクロヘキサン一塩酸塩に対して、United States Adopted Name(USAN)の委員会によって採用された一般名であり、該化合物は、下記式:
【0007】
【化1】

を有する。塩酸ベルナカラントは、本明細書において「ベルナカラント」と称することがあり得る。
【0008】
塩酸ベルナカラントにより、ナトリウムチャネルの濃度−、電位−および周波数−依存性遮断と、カリウムチャネル(例えば、超高速(IKur)および一過性外向き(Ito)チャネルなど)の遮断との組合せによって、心房性電気的活動が修正される。この複合効果によって、心房の治療抵抗性が長くなり、心房性伝導が速度依存的に遅くなる。この特異なプロフィールにより、心房性細動の転換および心房性細動の予防に適した有効な抗細動アプローチが提供される。
【0009】
塩酸ベルナカラントの開発を含め、不整脈の治療および変換は相当進歩しているが、依然として、当該技術分野において、改善された不整脈の予防法の必要性が存在する。したがって、哺乳動物、好ましくはヒトの不整脈の予防に適した塩酸ベルナカラントの制御放出錠剤製剤の必要性もまた存在している。また、異なる速度で抗不整脈薬を代謝する哺乳動物、例えば、ある種の薬物、例えば、ある種の抗不整脈薬の低代謝と関連しているシトクロムP450(CYP)2D6遺伝子型を有する哺乳動物の不整脈を治療および予防する方法の必要性が存在している。本発明は、これらの必要性を満たし、他の関連する利点を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,057,053号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
簡単な概要
本発明は、例えば、イオンチャネル調節化合物などのシトクロムP450(CYP)2D6によって代謝されるイオンチャネル調節化合物により、さまざまな疾患および障害を治療または予防するための新規な方法を提供する。
【0012】
一実施形態において、本発明は、(a)哺乳動物が、シトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(poor metabolizer)(PM)であるのか、またはシトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(extensive metabolizer)であるかを判定する工程;および(b)該哺乳動物に、構造:
【0013】
【化2】

を有するイオンチャネル調節化合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含み、該構造は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される、哺乳動物の不整脈の治療または予防方法を含む。
【0014】
さらなる実施形態において、本発明は、(a)哺乳動物が、シトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)であるか、シトクロムP450(CYP)2D6高代謝群であるかを判定する工程;および(b)該哺乳動物に、約0.1μg/ml〜約10μg/mlの血漿濃度(Cmax)が少なくともある程度の期間、達成されるのに充分な量のイオンチャネル調節化合物を投与する工程を含み、前記イオンチャネル調節化合物は、式:
【0015】
【化3】

のイオンチャネル調節化合物を含み、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される、哺乳動物の不整脈の治療または予防方法を含む。
【0016】
関連する一実施形態において、本発明は、(a)哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6 PMであると特定する工程;および(b)該哺乳動物に、構造:
【0017】
【化4】

を有するイオンチャネル調節化合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含み、該構造は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される、シトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)である哺乳動物の不整脈の治療または予防方法を提供する。
【0018】
別の関連する実施形態において、本発明は、(a)哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6 EMであると特定する工程;および(b)該哺乳動物に、構造:
【0019】
【化5】

を有するイオンチャネル調節化合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含み、該構造は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される、シトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)である哺乳動物の不整脈の治療または予防方法を含む。
【0020】
さらなる実施形態において、本発明は、(a)不整脈のリスクがある哺乳動物を特定する工程;(b)該哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)であると判定する工程;および(c)該哺乳動物に、構造:
【0021】
【化6】

を有するイオンチャネル調節化合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含み、該構造は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択され、前記化合物が該哺乳動物に長期間投与される、哺乳動物の不整脈の予防方法を含む。
【0022】
特定の一実施形態において、化合物は経口投与される。
【0023】
また別の関連する実施形態において、本発明は、哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)であると判定する工程を含む、シトクロムP450(CYP)2D6によって代謝されるイオンチャネル調節化合物での長期治療から除外される哺乳動物を特定する方法を含む。
【0024】
さらなる実施形態において、本発明は、(a)哺乳動物が、シトクロムP450(CYP)2D6 EMまたはシトクロムP450(CYP)2D6 PMであると特定する工程;および(b)該哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6 EMと特定された場合は、該哺乳動物に、構造:
【0025】
【化7】

を有するイオンチャネル調節化合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含み、該構造は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される、哺乳動物の不整脈の治療または予防方法を提供する。
【0026】
本発明の方法の種々の実施形態によれば、投与は、経口、局所、非経口、舌下、経直腸、経膣、または鼻腔内投与によるものである。
【0027】
特定の実施形態において、非経口投与は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、硬膜外注射、胸骨内注射、または注入である。
【0028】
特定の実施形態において、経口投与は、粉末剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、チューインガム、オブラート、およびロゼンジから選択される経口投薬形態を投与することを含む。
【0029】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、不整脈は心房性不整脈である。一実施形態において、心房性不整脈は心房性細動である。
【0030】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、不整脈は心室性不整脈である。一実施形態において、心室性不整脈は心室性細動である。一(on)実施形態において、心室性細動は急性虚血の際に起こるものである。
【0031】
本発明の方法の関連する実施形態において、不整脈は術後不整脈である。
【0032】
さらなる関連する実施形態において、不整脈は、以前に1回以上の不整脈を経験したことがある哺乳動物の再発性不整脈である。
【0033】
本発明の方法のさらなる実施形態において、投与後の哺乳動物の血漿中のイオンチャネル調節化合物の総濃度は、約1ng/ml〜約10μg/mlの平均トラフ濃度、および/または約1ng/ml〜約10μg/mlの定常状態濃度を有する。関連する一実施形態において、投与後の哺乳動物の血漿中のイオンチャネル調節化合物の総濃度は、約0.3μg/ml〜約3μg/mlの平均トラフ濃度および/または約0.3μg/ml〜約3μg/mlの定常状態濃度を有する。
【0034】
本発明の方法の特定の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、2回以上の用量で投与される。
【0035】
本発明の方法の関連する実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、イオンチャネル調節化合物と、例えば、カルボマー、マルトデキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリオキソアセテートのような、少なくとも1種類の親水性マトリックス系ポリマーとを含む錠剤製剤の1回以上の用量で投与される。
【0036】
本発明の方法の一実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、約50〜1500mg/日の投薬量で投与される。
【0037】
また、本発明は、別の実施形態において、哺乳動物に、イオンチャネル調節化合物と、有効量のシトクロムP450阻害化合物を投与することを含む、哺乳動物においてシトクロムP450によって代謝されるイオンチャネル調節化合物のバイオアベイラビリティを増大させる方法を提供する。
【0038】
関連する一実施形態において、本発明は、(a)不整脈のリスクがある哺乳動物を特定する工程;および(b)該哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)であると判定する工程を含む、シトクロムP450(CYP)2D6によって代謝されるイオンチャネル調節化合物での長期間治療に適した哺乳動物を特定する方法を含む。いくつかの実施形態において、不整脈は、再発性不整脈または術後不整脈である。特定の実施形態において、哺乳動物は、以前に1回以上の不整脈を経験したことがある哺乳動物である。
【0039】
本発明の方法の特定の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は塩酸ベルナカラントである。
【0040】
一実施形態において、本発明は、哺乳動物に、塩酸ベルナカラントと1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む制御放出錠剤製剤の有効量を長期間、経口投与する工程を含む、哺乳動物の不整脈の予防方法を提供する。種々の実施形態において、哺乳動物に投与される塩酸ベルナカラントの量は、600mg/日より多いか、600mg/日〜1800mg/日、または約1000mg/日である。特定の実施形態において、該期間は、48時間より長い、1週間より長い、30日間より長い、または90日間より長い。本発明に従って使用される製剤の特定の実施形態において、1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤の少なくとも1種類は、カルボマー、マルトデキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリオキソアセテートからなる群より選択される親水性マトリックス系ポリマーである。具体的な一実施形態において、制御放出錠剤製剤は、約250mgの塩酸ベルナカラント;約100mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mgのアルファ化デンプン;約75mgのケイ化微晶質セルロース;約67.5mgのラクトース一水和物;約3.75mgのステアリン酸;および約3.75mgのステアリン酸マグネシウムを含む。別の具体的な実施形態において、制御放出錠剤製剤は、約300mgの塩酸ベルナカラント;約120mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約30mgのアルファ化デンプン;約90mgのケイ化微晶質セルロース;約81mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む。別の具体的な実施形態において、制御放出錠剤製剤は、約300mgの塩酸ベルナカラント;約150mgのセトステアリールアルコール;約105mgのケイ化微晶質セルロース;約111mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0041】
本発明の方法の種々の実施形態において、有効量の制御放出錠剤製剤は、哺乳動物に1日2回以上の用量で投与される。一実施形態において、有効量の制御放出錠剤製剤は、哺乳動物に、各用量が約500mgの塩酸ベルナカラントを含む1日2回の用量で投与される。他の実施形態において、有効量の制御放出錠剤製剤は、各用量が約300mgの塩酸ベルナカラントを含む1日2回の用量で投与される。
【0042】
別の関連する実施形態において、本発明は、150mg〜300mgの塩酸ベルナカラントを含む塩酸ベルナカラントの単位剤形を含む。一実施形態において、該単位剤形は約250mgの塩酸ベルナカラントを含む。別の実施形態において、該単位剤形は約250mgの塩酸ベルナカラントを含む。さらなる実施形態において、該単位剤形は約300mgの塩酸ベルナカラントを含む。別の実施形態において、該単位剤形は約500mgの塩酸ベルナカラントを含む。
【0043】
さらなる関連する実施形態において、本発明は、約250mgの塩酸ベルナカラント;約100mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mgのアルファ化デンプン;約75mgのケイ化微晶質セルロース;約67.5mgのラクトース一水和物;約3.75mgのステアリン酸;および約3.75mgのステアリン酸マグネシウムを含む、塩酸ベルナカラントの制御放出錠剤製剤を提供する。
【0044】
別の関連する実施形態において、本発明は、約300mgの塩酸ベルナカラント;約120mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約30mgのアルファ化デンプン;約90mgのケイ化微晶質セルロース;約81mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む、塩酸ベルナカラントの制御放出錠剤製剤を提供する。
【0045】
また別の関連する実施形態において、本発明は、約300mgの塩酸ベルナカラント;約150mgのセトステアリールアルコール;約105mgのケイ化微晶質セルロース;約111mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む、塩酸ベルナカラントの制御放出錠剤製剤を提供する。
【0046】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、不整脈は再発性不整脈である。他の実施形態において、不整脈は術後不整脈である。
【0047】
さらなる実施形態において、本発明は、哺乳動物に有効量の塩酸ベルナカラントを経口投与する工程を含み、前記塩酸ベルナカラントが哺乳動物に約500mgの投薬量で1日2回投与される、哺乳動物の不整脈の再発を予防または遅延させる方法を含む。一実施形態において、塩酸ベルナカラントは哺乳動物に制御放出経口錠剤製剤で投与され、該錠剤の各々は、約250mgの塩酸ベルナカラント;約100mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mgのアルファ化デンプン;約75mgのケイ化微晶質セルロース;約67.5mgのラクトース一水和物;約3.75mgのステアリン酸;および約3.75mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、100mgの活性成分を含む比較用即放錠剤製剤の経時的な溶解プロフィールを示す。
【図2】図2は、30日間にわたり、補正QT時間において経口ベルナカラントの効果がないことを示すグラフである。
【図3】図3は、30日間にわたるプラセボまたは300もしくは600mgを1日2回の経口ベルナカラントによる洞調律の維持を示すグラフである。
【図4A】図4は、高代謝群(EM;図4A)および低代謝群(PM;図4B)における、IV注入後の塩酸ベルナカラントおよびその代謝産物の平均血漿濃度−時間プロフィールを示すグラフを示す。Gは、グルクロニドまたはグルクロン酸抱合型を示す。
【図4B】図4は、高代謝群(EM;図4A)および低代謝群(PM;図4B)における、IV注入後の塩酸ベルナカラントおよびその代謝産物の平均血漿濃度−時間プロフィールを示すグラフを示す。Gは、グルクロニドまたはグルクロン酸抱合型を示す。
【図5A】図5は、EM(図5A)およびPM(図5B)における、経口投与後の塩酸ベルナカラントおよびその代謝産物の平均血漿濃度−時間プロフィールを示すグラフを示す。
【図5B】図5は、EM(図5A)およびPM(図5B)における、経口投与後の塩酸ベルナカラントおよびその代謝産物の平均血漿濃度−時間プロフィールを示すグラフを示す。
【図6】図6は、14C−塩酸ベルナカラントのIV注入または経口投与後の尿および糞便中への放射能の排出を示す棒グラフである。
【図7】図7は、EMとPMにおけるベルナカラントの代謝ダイアグラムを示す。
【図8】図8は、塩酸ベルナカラントのCmax(図8A)およびAUC0〜90(図8B)に対するCYP2D6遺伝子型の効果を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
詳細説明
塩酸ベルナカラントは、静脈内投与されると、ナトリウムチャネルと初期活性化カリウムチャネルを遮断して、心房性治療抵抗性を長期化し、心房性細動(AF)を洞調律に変換させることが以前に示された抗不整脈薬である。最近のAFまたは心房粗動が発生した患者の無作為化対照比較治験において、塩酸ベルナカラントによって61%で心房性不整脈が停止したのに対し、プラセボでの停止割合は5%であった(P<.0005)。
【0050】
本発明は、一部において、経口投与された塩酸ベルナカラントにより不整脈の再発が予防されることが示された臨床試験に基づく。付随の実施例に示すように、症候性のAFを有する患者において、適切な経口投薬量の塩酸ベルナカラント製剤により、AFからの転換後の洞調律を維持することができた。したがって、本発明は、不整脈の予防方法、ならびに経口投与に適合させた塩酸ベルナカラントの単位剤形、および不整脈の予防に有効な経口投与計画を提供する。
【0051】
また、本発明は、治療有効量のイオンチャネル調節化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む制御放出錠剤製剤に関する。特に、本発明は、治療有効量の塩酸ベルナカラントと1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤とを含み、制御放出製剤に適し、経口投与されると、哺乳動物、好ましくはヒトの不整脈の予防に有効な制御放出錠剤製剤に関する。一実施形態において、本発明の制御放出錠剤製剤は、以前に1回以上の不整脈を経験したことがあるか、または不整脈のリスクがあるとみなされる哺乳動物、好ましくはヒトへの投与が意図される。
【0052】
本明細書に記載のように、塩酸ベルナカラントは、主にシトクロムP450(CYP)2D6(CYP2D6とも称される)によって代謝されることがわかっており、化合物2 (本明細書に記載;図7))は、CYP2D6によって媒介される4−O−脱メチル化によって生成される主代謝産物である。他の代謝産物としては、直接グルクロン酸抱合体、3−O−脱メチル化化合物(化合物3;図7)、およびベルナカラント ジアステレオ異性体(化合物4;図7)が挙げられる。
【0053】
CYP2D6は、薬物の薬物動態と体内動態(これらは、代謝に関してCYP2D6に依存性である)に影響を及ぼし得る遺伝子多型の対象である;これらの差により、薬物の有効性または安全性が影響され得る(Kirchheiner,J.およびSeeringer,A.Biochim.Biophys.Acta 1770:489−494(2007))。高代謝群(EM)と称されるほとんどの個体では、薬物は、CYP2D6によって有効に代謝される。しかしながら、イソエンザイムが非有効性となるCYP2D6多型のホモ接合型の組を有する人は、低代謝群(PM)とみなされる;白色人種のおよそ7%およびアジア人種の1%はPMである(Bertilsson,L.Clin.Pharmacokinet.29:192−209(1995))。
【0054】
本発明は、一部において、塩酸ベルナカラントの体内動態および代謝プロフィールが、被験体のシトクロムP450(CYP)2D6遺伝子型に依存するという知見に基づく。付随の実施例に示すように、塩酸ベルナカラントは、注入の間、速やかに広範に分布し、平均定常状態分布容積は、高代謝群(EM)で123.1Lおよび低代謝群(PM)で112.7Lであり、これにより、IV投与ではEMとPMにおいて類似したCmax値が得られたが、経口投与では得られなかった。塩酸ベルナカラントは、CYP2D6 EMにおいて、グルクロン酸抱合により4−O−脱メチル化代謝産物に速やかに広範に代謝されたが、CYP2D6 PMでは、直接グルクロン酸抱合体が主体であった。また、いくつかの副代謝産物が血漿中に、PMにおいてEMよりも高レベルで検出された。PMにおいてクリアランスが遅いことが、3倍および6倍高い全体的薬物曝露に寄与していた(それぞれ、IV投与および経口投与)。未変化塩酸ベルナカラントの尿中回収も同様にPMにおいて高く、血漿中において見られた薬物動態と代謝プロフィールが裏付けられた。
【0055】
塩酸ベルナカラントの薬物動態と代謝はCYP2D6遺伝子型に依存するため、塩酸ベルナカラントが投与される患者の遺伝子型は、特に、塩酸ベルナカラントの長期投与または慢性投与の際(例えば、不整脈または不整脈の再発の予防のため)に臨床的に重要であり得る。したがって、本発明は、患者のCYP2D6遺伝子型(例えば、PMまたはEM)を判定する工程を含む、塩酸ベルナカラントおよび他のイオンチャネル調節化合物により不整脈を治療および予防する方法を提供する。また、本発明は、PM患者またはEM患者いずれかの不整脈の治療または予防に特異的な方法、例えば、これらの各患者集団において治療上有効な血漿レベルを達成する方法、ならびに各患者集団に特異的な投薬計画を提供する。
【0056】
本発明の方法は、本明細書に記載のイオンチャネル調節化合物の1種類以上(例えば、CYP2D6によって代謝されるイオンチャネル調節化合物)での治療が有益である任意の疾患または障害の治療または予防に適用され得る。
【0057】
本発明の方法は、不整脈の治療および予防に特に好都合であるが、他の疾患、例えば、心血管疾患ならびに炎症を伴う疾患および障害などの治療または予防にもまた使用され得る。本発明の方法が適用され得る具体的な疾患および病状の例としては、不整脈、中枢神経系の疾患、心血管疾患、痙攣、てんかん性痙攣、鬱病、不安神経症、統合失調症、パーキンソン病、呼吸器系障害、嚢胞性線維症、喘息、咳、炎症、関節炎、アレルギー、胃腸障害、尿失禁、過敏性腸症候群、心血管疾患、脳虚血または心筋虚血、高血圧、QT延長症候群、脳卒中、片頭痛、眼科系の疾患、真性糖尿病、ミオパシー、ベッカー型ミオトニア、重症筋無力症、先天性パラミオトニア、悪性高熱、高カリウム血性周期性麻痺、トムゼン筋緊張症、自己免疫障害、臓器移植または骨髄移植における移植片拒絶、心不全、低血圧症、アルツハイマー病または他の精神障害、多発性硬化症、脊髄損傷、ならびに脱毛症が挙げられる。
【0058】
本発明の方法によって治療または予防され得る具体的な心血管疾患または障害の例としては、限定されないが、不整脈、心房性不整脈、心房性細動、心房粗動、心室性不整脈、心室性頻脈、心室性細動、心筋梗塞、心筋虚血、冠動脈閉塞によって誘発される不整脈、心筋虚血、心筋炎症、術後不整脈(例えば、CABGなどの心臓の手術後)が挙げられる。いくつかの実施形態において、該方法は、持続性心房性細動(72時間より長く6ヶ月より短い持続期間の心房性細動)または慢性心房性細動を治療または予防するために使用され得る。また、このような方法は、以前に1回以上の不整脈を経験したことがあるか、または不整脈のリスクがあるとみなされる温血動物の不整脈の再発を、例えば、外科治療中またはその後において予防するためにも使用され得る。
【0059】
本明細書で使用されるとき、文脈において別のものであることが明白でない限り、「治療」および例えば「治療される」、「治療すること」などの同様の用語は、有益な結果または所望の結果、例えば好ましくは臨床成績を得るためのアプローチである。治療は、任意選択で、疾患もしくは病状の症状の改善、または疾患もしくは病状(例えば、不整脈)の進行の遅延のいずれかを伴うものであり得る。
【0060】
本明細書で使用されるとき、文脈においてそうでないことが明白でない限り、「予防」および例えば「予防される」、「予防すること」などの同様の用語は、疾患もしくは病状の発生もしくは再発を防ぐため、または疾患もしくは病状の症状の発生もしくは再発を防ぐためのアプローチ、あるいは任意選択で、疾患もしくは病状の発生もしくは再発を遅延させるため、または疾患もしくは病状の症状の発生もしくは再発を遅延させるためのアプローチである。本明細書で使用されるとき、「予防」および同様の用語は、疾患または病状の発生または再発前の該疾患または病状の強度、効果、症状および/または負荷の低減も包含する。
【0061】
本明細書で使用されるとき、物質の「有効量」または「治療有効量」は、所望の生物学的効果、例えば、有益な臨床成績などの有益な結果をもたらすのに充分な量である。例えば、本発明の方法を用いて不整脈を治療する状況において、イオン調節化合物の有効量は、不整脈を正常な律動に変換させるのに必要とされる除細動の閾値を下げるのに充分な量である。
【0062】
A.イオンチャネル調節化合物
一般的に、不整脈または本明細書に具体的に記載したものなどの任意の他の疾患もしくは障害が治療または予防され得る任意のイオンチャネル調節化合物が、本発明の方法、製剤、および単位剤形に使用され得る。
【0063】
上記のように、具体的な一実施形態において、イオンチャネル調節化合物は塩酸ベルナカラントであり、該化合物は下記式:
【0064】
【化8】

を有する。
【0065】
より一般的には、イオンチャネル調節化合物は、下記式(I):
【0066】
【化9】

で表されるベルナカラントの任意の異性体形態または薬学的に許容され得る塩形態であり、該形態は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含する。
【0067】
式(I)のより具体的な形態において、イオンチャネル調節化合物は、それぞれ、式(IIa)および(IIb)で表されるトランス型もしくはシス型:
【0068】
【化10】

またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩である。
【0069】
式(I)のより一般的な表現において、イオンチャネル調節化合物は、下記式(Ia):
【0070】
【化11】

によるものであり、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される。
【0071】
さらなる実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、式(III):
【0072】
【化12】

で表されるもの、またはその異性体もしくは薬学的に許容され得る塩であり、
式中、各場合において独立して、
Xは、−C(R,R14)−Y−、および−C(R13)=CH−から選択され;
Yは、直接結合、O、S、およびC〜Cアルキレンから選択され;
13は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、アリール、およびベンジルから選択され;
およびRは、式(III)においてこれらに直接結合している窒素原子と一緒になって、
、式(IV):
【0073】
【化13】

で表される環を形成している、ここで、式(IV)の環は、図示した窒素とともに、独立して炭素、窒素、酸素、およびイオウから選択される3〜9個のさらなる環内原子で形成されており;隣接する任意の2つの環内原子は、互いに単結合で結合されていても二重結合で結合されていてもよく、さらなる環内炭素原子の任意の1つ以上は、水素、ヒドロキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、オキソ、C〜Cアシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルカルボキシ、C〜Cアルコキシ、C〜C20アルカノイルオキシから選択される1つもしくは2つの置換基で置換されていてもよく、または酸素およびイオウから選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する5員もしくは6員のスピロ複素環が形成されるように置換されていてもよく;隣接する任意の2つのさらなる環内炭素原子はC〜C炭素環に縮合していてもよく、さらなる環内窒素原子の任意の1つ以上は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアシル、C〜CヒドロキシアルキルおよびC〜Cアルコキシアルキルから選択される置換基で置換されていてもよく;あるいは
およびR、式(III)においてこれらに直接結合している窒素原子と一緒になって、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン−3−イル、2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−イル、3−アザビシクロ[3.1.0]−ヘキサン−3−イル、および3−アザビシクロ[3.2.0]−ヘプタン−3−イルから選択される二環式の環系を形成していてもよく;
およびRは、独立して、式(III)に示されるシクロヘキサン環の3−、4−、5−または6−位に結合しており、独立して、水素、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから選択され;
、RおよびR14は、独立して、水素、C〜Cアルキル、アリールおよびベンジルから選択され;
Aは、C〜C12アルキル、C〜C10炭素環、ならびに式(V)、(Vl)、(VII)、(VIII)、(IX)および(X):
【0074】
【化14】

(式中、R、RおよびRは、独立して、臭素、塩素、フッ素、カルボキシ、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、メタンスルホンアミド、ニトロ、スルファミル、トリフルオロメチル、C〜Cアルカノイルオキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜CチオアルキルおよびN(R15,R16)から選択され、R15およびR16は、独立して、水素、アセチル、メタンスルホニル、およびC〜Cアルキルから選択される);
【0075】
【化15】

(式中、R10およびR11は、独立して、臭素、塩素、フッ素、カルボキシ、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、メタンスルホンアミド、ニトロ、スルファミル、トリフルオロメチル、C〜Cアルカノイルオキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cチオアルキル、およびN(R15,R16)から選択され、R15およびR16は、独立して、水素、アセチル、メタンスルホニル、およびC〜Cアルキルから選択される);
【0076】
【化16】

(式中、R12は、臭素、塩素、フッ素、カルボキシ、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、メタンスルホンアミド、ニトロ、スルファミル、トリフルオロメチル、C〜Cアルカノイルオキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cチオアルキル、およびN(R15,R16)から選択され、R15およびR16は、独立して、水素、アセチル、メタンスルホニル、およびC〜Cアルキルから選択され;Zは、CH、CH、O、NおよびSから選択され、ここでZは、CHまたはNである場合は、式(III)に示される「X」に直接結合していてもよく、Nである場合は、R17に直接結合していてもよく、R17は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、アリールおよびベンジルから選択される);
【0077】
【化17】

から選択される環系(それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体、ならびにそれらの混合物を含む)から選択される。
【0078】
式(III)のより具体的な実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、以下の化合物:
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(2−ナフテンエトキシ)]シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(2−ナフテンエトキシ)]シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(1−ナフテンエトキシ)]シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(1−ナフテンエトキシ)]シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(4−ブロモフェネトキシ)]シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(4−ブロモフェネトキシ)]シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−[2−(2−ナフトキシ)エトキシ)]シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−[2−(2−ナフトキシ)エトキシ)]シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−[2−(4−ブロモフェノキシ)エトキシ]]シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−[2−(4−ブロモフェノキシ)エトキシ]]シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(3,4−ジメトキシフェネトキシ)]シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(3,4−ジメトキシフェネトキシ)]シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(1−ピロリジニル)−1−(1−ナフテンエトキシ)]シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(1−ピロリジニル)−1−(1−ナフテンエトキシ)]シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(2−(ベンゾ[b]チオフェン−3−イル)エトキシ)]−シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(2−(ベンゾ[b]チオフェン−3−イル)エトキシ)]シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(2−(ベンゾ[b]チオフェン−4−イル)エトキシ)]−シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(2−(ベンゾ[b]チオフェン−4−イル)エトキシ)]−シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(3−ブロモフェネトキシ)]シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(3−ブロモフェネトキシ)]シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(2−ブロモフェネトキシ)]シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(2−ブロモフェネトキシ)]シクロヘキサン;
(+)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−プロポキシ)]−シクロヘキサン;
(−)−トランス−[2−(4−モルホリニル)−1−(3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−プロポキシ)]シクロヘキサン;
(1R,2R)/(1S,2S)−2−(4−モルホリニル)−1−(3,4−ジクロロフェネトキシ)−シクロヘキサン;
(1R,2R)/(1S,2S)−2−(3−ケトピロリジニル)−1−(1−ナフテンエトキシ)−シクロヘキサン;
(1R,2R)/(1S,2S)−2−(1−アセチルピペラジニル)−1−(2−ナフテンエトキシ)−シクロヘキサン;
(1R,2R)/(1S,2S)−2−(3−ケトピロリジニル)−1−(2,6−ジクロロフェネトキシ)−シクロヘキサン;
(1R,2R)/(1S,2S)−2−[1,4−ジオキサ−7−アザスピロ[4.4]ノン−7−イル]−1−(1−ナフテンエトキシ)シクロヘキサン;
(1R,2S)/(1S,2R)−2−(4−モルホリニル)−1−[(2−トリフルオロメチル)フェネトキシ]−シクロヘキサン;
(1R,2R)/(1S,2S)−2−(3−ケトピロリジニル)−1−[3−(シクロヘキシル)プロポキシ]−シクロヘキサン;
(1R,2R)/(1S,2S)−2−(3−アセトキシピロリジニル)−1−(1−ナフテンエトキシ)−シクロヘキサン;
(1R,2R)/(1S,2S)−2−(3−ヒドロキシピロリジニル)−1−(2,6−ジクロロフェネトキシ)−シクロヘキサン;
(1R,2R)/(1S,2S)−2−(3−ケトピロリジニル)−1−(2,2−ジフェニルエトキシ)−シクロヘキサン;
(1R,2R)/(1S,2S)−2−(3−チアゾリジニル)−1−(2,6−ジクロロフェネトキシ)−シクロヘキサン;および
(1R,2S)/(1S,2R)−2−(3−ケトピロリジニル)−1−(1−ナフテンエトキシ)−シクロヘキサン;
の1つ以上(それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体、ならびにそれらの混合物;およびその薬学的に許容され得る塩を含む)である。
【0079】
本発明のいくつかの化合物は、少なくとも2つの不斉炭素原子を含むものであり、したがって、鏡像異性体およびジアステレオ異性体として存在する。特に記載のない限り、本発明は、本発明のアミノシクロヘキシルエーテル化合物のあらゆる鏡像異性体形態およびジアステレオ異性体形態を含む。純粋な立体異性体、鏡像異性体および/またはジアステレオ異性体の混合物、ならびに本発明の種々の化合物の混合物は、本発明に含まれる。したがって、本発明の化合物は、ラセミ化合物、ラセミ混合物および個々のジアステレオ異性体または鏡像異性体として存在し得、すべての異性体形態は本発明に含まれる。ラセミ化合物またはラセミ混合物は、立体異性体の50:50の混合物を示唆するものではない。
【0080】
語句「各場合において独立して」は、(i)本発明の化合物において任意の変化が1回より多く起こる場合、各場合における該変化の定義は、他の各々場合のその定義とも独立していること;および(ii)2つの異なる変化の任意の1つの特性(例えば、RとRの組内のR)は、その組の他方のものとは無関係に選択されることを意味するものとする。しかしながら、置換基および/または変化の組合せは、かかる組合せによって安定な化合物が得られる場合のみ可能である。
【0081】
本明細書で使用されるとき、以下の用語は、明白な別の記載がない限り、以下の意味を有すると定義する。
【0082】
「酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性および性質を保持しており、生物学的または別の点で望ましくないものでなく、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)、または有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸など)とともに形成される塩をいう。
【0083】
「アシル」は、末端が、特定の数の炭素原子を含有するカルボニル−(C=O)−基である分枝または非分枝の炭化水素断片をいう。例としては、アセチル[CHC=O−、Cアシル]およびプロピオニル[CHCHC=O−、Cアシル]が挙げられる。
【0084】
「アルカノイルオキシ」は、エーテル酸素が分子への結合点であるエステル置換基をいう。例としては、プロパノイルオキシ[(CHCHC=O−O−、Cアルカノイルオキシ]およびエタノイルオキシ[CHC=O−O−、Cアルカノイルオキシ]が挙げられる。
【0085】
「アルコキシ」は、アルキル基、例えば、メトキシ[−OCH、Cアルコキシ]で置換されたO原子をいう。
【0086】
「アルコキシアルキル」は、アルコキシ基で置換されたアルキレン基をいう。例えば、メトキシエチル[CHOCHCH−]およびエトキシメチル(CHCHOCH−]は、ともにCアルコキシアルキル基である。
【0087】
「アルコキシカルボニル」は、カルボニル炭素が分子への結合点であるエステル置換基をいう。例としては、エトキシカルボニル[CHCHOC=O−、Cアルコキシカルボニル]およびメトキシカルボニル[CHOC=O−、Cアルコキシカルボニル]が挙げられる。
【0088】
「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含有し、結合点を1つ有する分枝または非分枝の炭化水素断片をいう。例としては、n−プロピル(Cアルキル)、イソ−プロピル(同様にCアルキル)、およびt−ブチル(Cアルキル)が挙げられる。
【0089】
「アルキレン」は、特定の数の炭素原子を含有し、2つの結合点を有する分枝または非分枝の炭化水素断片である二価の原子団をいう。一例は、プロピレン[−CHCHCH−、Cアルキレン]である。
【0090】
「アルキルカルボキシ」は、末端がカルボン酸基[−COOH]である分枝または非分枝の炭化水素断片をいう。例としては、カルボキシメチル[HOOC−CH−、Cアルキルカルボキシ]およびカルボキシエチル[HOOC−CHCH−、Cアルキルカルボキシ]が挙げられる。
【0091】
「アリール」は、共役π電子系を有する少なくとも1つの環を有する芳香族基をいい、炭素環式アリール、複素環式アリール(ヘテロアリール基としても知られている)およびビアリール基が挙げられ、これらはすべて、任意選択で置換されたものであってもよい。炭素環式アリール基が、本発明の化合物において一般的に好ましく、この場合、フェニル基とナフチル基が好ましい炭素環式アリール基である。
【0092】
「アラルキル」は、結合点の1つがアリール基に対するものであるアルキレン基をいう。アラルキル基の一例は、ベンジル基[CCH−、Cアラルキル基]である。
【0093】
「シクロアルキル」は、炭素原子のみで形成された飽和または不飽和の単環式、二環式、または三環式であり得る環をいう。シクロアルキル基の一例はシクロペンテニル基(C−)であり、これは、5つの炭素(C)の不飽和シクロアルキル基である。
【0094】
「炭素環式」は、アリール環またはシクロアルキル環(ともに上記に定義)のいずれかであり得る環をいう。
【0095】
「炭素環式アリール」は、芳香族環を形成している原子が炭素原子である芳香族基をいう。炭素環式アリール基としては、単環式炭素環式アリール基(フェニルなど)、および二環式炭素環式アリール基(ナフチルなど)が挙げられ、これらはすべて、任意選択で置換されたものであってもよい。
【0096】
「ヘテロ原子」は、非炭素原子をいい、本発明の化合物では、ホウ素、窒素、酸素、イオウおよびリンが好ましいヘテロ原子であり、窒素、酸素およびイオウが特に好ましいヘテロ原子である。
【0097】
「ヘテロアリール」は、1〜9個の炭素原子を有し、残りの原子がヘテロ原子であるアリール基をいい、“Handbook of Chemistry and Physics,”第49版,1968,R.C.Weast編;The Chemical Rubber Co.,Cleveland,OH、に記載の複素環式系が挙げられる。特に、Section C,Rules for Naming Organic Compounds,B.Fundamental Heterocyclic Systemsを参照のこと。好適なヘテロアリールとしては、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリルなどが挙げられる。
【0098】
「ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシ(−OH)基を有する分枝または非分枝の炭化水素断片をいう。例としては、ヒドロキシメチル(−CHOH、Cヒドロキシアルキル)および1−ヒドロキシエチル(−CHOHCH、Cヒドロキシアルキル)が挙げられる。
【0099】
「チオアルキル」は、アルキル基で置換されたイオウ原子をいい、例えば、チオメチル(CHS−、Cチオアルキル)である。
【0100】
イオンチャネルの活性に関する「調節する」は、イオンチャネルの活性が、本発明の化合物もしくは組成物の投与または方法に応答して増大されるか、または低減されるかのいずれかであり得ることを意味する。したがって、イオンチャネルは、より多くのイオンが輸送されるように活性化される場合もあり、該チャネルによってイオンがほとんどまたは全く輸送されないように遮断される場合もある。
【0101】
「薬学的に許容され得る塩」は、該化合物と有機もしくは無機酸(酸付加塩)または有機もしくは無機塩基(塩基付加塩)との組合せから得られる本発明の化合物の塩をいう。本発明の化合物は、遊離塩基または塩形態のいずれかで使用され得、どちらの形態も本発明の範囲に含まれるとみなす。
【0102】
代表的なイオンチャネル調節化合物は、米国特許第7,057,053号および米国特許第7,345,087号(これらは、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる)に、より詳しく開示されている。さらに、本発明のイオンチャネル調節化合物の合成および作製方法は、例えば、米国特許第7,259,184号および米国特許出願第10/838,470号、同第11/757,880号、同第11/690,361号、同第11/719,737号、および同第11/455,280号(これらはすべて、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0103】
B.CYP2D6遺伝子型に基づいたイオンチャネル調節化合物を用いた不整脈の予防方法
いくつかの実施形態において、本発明は、被験体または患者(例えば、哺乳動物または温血動物、例えば、ヒトおよび他の動物)に、CYP2D6遺伝子の遺伝子産物によって代謝されるイオンチャネル調節化合物(限定されないが、塩酸ベルナカラントなど)を提供する工程を含む、疾患または障害、例えば不整脈の治療または予防方法を提供し、該方法は、哺乳動物のCYP2D6遺伝子型(例えば、患者がCYP2D6 PMであるかEMであるか)を判定する工程を含むものであってもよい。
【0104】
上記のように、ほとんどの個体は正常なCYP2D6活性を有し、高代謝群(EM)と称される。しかしながら、一部の個体は、CYP2D6遺伝子の両コピーの変異の不活化のためCYP2D6酵素活性が欠損しており、CYP2D6酵素が必要とされる薬物を代謝することができない。このような個体は、CYP2D6低代謝群(PM)と称される。また、例えば、単一のCYP2D6遺伝子の不活化のため、わずかに低下した活性を有する個体は中間代謝群と称され、遺伝子重複が一部原因で酵素活性の増大を有する個体は高速(rapid)代謝群と称される。
【0105】
本発明の方法は、特に、EMまたはPMに対する治療または予防の方法を例示するものであるが、当業者には、これらの方法を中間代謝群および高速代謝群に適合させ得ることが理解されよう。中間代謝群は、低下したCYP2D6酵素活性を有するため、PMに関する本明細書に記載する方法は、中間代謝群にも適用され得る。また、高速代謝群は、増大したCYP2D6酵素活性を有するため、本明細書に記載の方法は、高速代謝群に適用するために容易に適合させ得る。
【0106】
例えば、本発明の方法の種々の実施形態によれば、CYP2D6遺伝子型は、患者をPM、EM、中間代謝群、または高速代謝群であると特定することにより判定され得る。また、本発明の方法は、一実施形態において、中間代謝群または高速代謝群のいずれかを除外するために使用され得る。したがって、本発明の方法はEMとPMに限定されず、中間代謝群および高速代謝群に対しても実施され得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、PMおよび/または中間代謝群には、EMに投与される量と比べて少ない量のイオンチャネル調節化合物が投与され得る。他の実施形態において、高速代謝群には、EMに投与される量と比べて多い量のイオンチャネル調節化合物が投与され得る。多い量または少ない量とは、任意の1回の時点または任意の1日に投与される総量であってもよく、イオンチャネル調節化合物が投与される期間をいうものであってもよい。
【0108】
上記のように、本発明は、一部において、CYP2D6 PMはEMよりも、高濃度の本発明のイオンチャネル調節化合物を蓄積させるという知見に基づく。したがって、特に、イオンチャネル化合物がCYP2D6によって代謝され、長期間投与される場合は、イオンチャネル化合物を哺乳動物に投与する前に哺乳動物のCYP2D6状態がわかっているか、または判定されていることは望ましい場合があり得る。
【0109】
したがって、一実施形態において、本発明は、シトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)またはシトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)であることがわかっているか、または判定されている哺乳動物に治療有効量の本発明のイオンチャネル調節化合物を投与する工程を含む、哺乳動物の不整脈の治療または予防方法を含む。別の実施形態において、哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)であるか、シトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)であるかを判定する工程、および哺乳動物に治療有効量の本発明のイオンチャネル調節化合物を投与する工程を含む、哺乳動物の不整脈を治療または予防するための方法を開示する。いくつかの実施形態において、PMに投与される治療有効量はEMに投与される治療有効量よりも少ない。特定の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、1回以上の投薬量で経口投与される。関連する実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、長期または慢性的に投与される。
【0110】
他の実施形態において、本発明は、EMまたはPMいずれかの治療に特異的な方法を提供する。一実施形態において、本発明は、哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6 PMであると特定する工程、および哺乳動物に治療有効量の本発明のイオンチャネル調節化合物を投与する工程を含む、シトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)である哺乳動物の不整脈の治療または予防方法を含む。関連する一実施形態において、本発明はまた、哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6 EMであると特定する工程、および哺乳動物に治療有効量の本発明のイオンチャネル調節化合物を投与する工程を含む、シトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)である哺乳動物の不整脈の治療または予防方法を含む。
【0111】
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書に記載の任意の疾患または障害(例えば、不整脈)を治療または予防するために本発明のイオンチャネル調節化合物を投与する患者を特定するための方法を提供する。長期投与または慢性投与などの一部の場合では、PMではない患者のみにイオンチャネル調節化合物を投与することが望ましいことがあり得る。したがって、一実施形態によれば、本発明は、哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)であるか、シトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)であるかを判定する工程、および哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6 EMである場合は、哺乳動物に治療有効量の本発明のイオンチャネル調節化合物を投与する工程を含む、哺乳動物の不整脈の治療または予防方法を提供する。
【0112】
関連する一実施形態において、本発明はまた、哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)であるかどうかを判定する工程、および哺乳動物がPMである場合は、哺乳動物に、シトクロムP450(CYP)2D6によって代謝されるイオンチャネル調節化合物を投与しない工程を含む、哺乳動物をシトクロムP450(CYP)2D6によって代謝されるイオンチャネル調節化合物での治療から除外する方法を含む。この方法は、PMを、本発明の方法によるイオンチャネル調節化合物での治療から除外するために実施され得る。特定の実施形態において、PMは、イオンチャネル調節化合物の長期または(of)慢性投与から除外されるが、イオンチャネル化合物の短期投与からは除外されない。
【0113】
別の態様において、本発明は、哺乳動物に、イオンチャネル調節化合物を有効量のシトクロムP450阻害化合物(例えば、CYP2D6阻害化合物)と組合せて投与する工程を含む、哺乳動物においてシトクロムP450によって代謝されるイオンチャネル調節化合物のバイオアベイラビリティを増大させる方法を含む。この2つの化合物は、同時に投与しても異なる時点で投与してもよい。さまざまなシトクロムP450阻害化合物が当該技術分野で知られており、これらまたは任意の未発見P450阻害化合物の任意のものが、本発明の方法に従って使用され得る。このような化合物は、例えば、タンパク質、ポリペプチド、小分子、ポリヌクレオチド(例えば、単鎖または二本鎖)などであり得る。具体的なP450阻害化合物の例は、米国特許出願公開第20040224960号に示されている。また、P450をコードする遺伝子またはmRNAを標的化する薬剤(CYP2D6遺伝子またはmRNAに特異的に結合するアンチセンスRNAまたはsiRNA分子など)も包含され得る。
【0114】
関連する実施形態において、本発明の方法は、さらに、投与を受けた哺乳動物のイオンチャネル調節剤の血漿濃度または平均トラフ濃度を、投与後またはまたは投与過程の1回以上の時点で測定する工程を含むものであってもよい。この工程は、有効量(本明細書に記載の濃度のいずれか1つなど)を測定または維持するために、イオンチャネル調節のレベルをモニターするのに有用である。
【0115】
1.CYP2D6遺伝子型
用語「シトクロムP450」は、本明細書で使用されるとき、哺乳動物に見られ、種々の生理学的機能を調節する酵素ファミリーの1つをいう。哺乳動物には、この酵素は、種々の組織にわたって見られる。シトクロムP450ファミリーのうち約30種類の酵素は、主に、肝臓内の肝細胞および小腸の小胞体に見られ、腎臓、肺、および脳に少量見られる(E.L.Michalets,Review of Therapeutics,Update:Clinically significant cytochrome P450 drug interactions,Pharmacotherapy,1998,18(1),pp.84−122;T.F.Woolf,Handbook of Drug Metabolism,Marcel Dekker,Inc.,New York,1999)。
【0116】
フェーズI代謝に関与している産物をコードする200を超えるシトクロムP450遺伝子が同定されている。これらのP450遺伝子には多くの形態があり、個々の形態はそれぞれ、上記の類型の化合物の個々の化学物質に対してある程度の特異性を示す。場合によっては、基質(薬物であるか発癌性物質であるとしても)は、1種類より多くのシトクロムP450によって代謝される。シトクロムP450の遺伝子多型により、表現型によって異なる下位集団がもたらされ、これらは、特定の薬物および他の化学物質化合物の代謝能力が異なっている。当業者には理解されるように、このような表現型の違いは、任意の所与の患者に対する薬物の選択に重要な意味を有する。例えば、一部の個体では、特定の薬物の解毒に必要とされる酵素に欠陥を有している場合があり、一方、一部の個体には、薬物を代謝的に活性な形態に転換するのに必要とされる酵素が欠損している場合がある。さらに、生体内変換酵素が欠損している個体は、多くの場合、環境中の化学物質による癌に易罹患性である。これは、該化学物質を解毒できないためである(Eichelbaumら,(1992)Toxicology Letters 64165:155−122参照)。したがって、特定のP450酵素に欠陥がある個体が特定されることは好都合である。
【0117】
シトクロムP450 2D6(またはP45011 D6)は、デブリソキンヒドロキシラーゼとして知られており、ヒト集団において最も充分に特性評価された多型性P450である(例えば、Gonzalezら(1998)Nature 331:442−446参照)。シトクロムP450 2D6遺伝子は、主なフェーズI薬物薬物酵素を表し、多くの薬物の代謝に関与している。CYP2D6は、ヒト肝臓内に存在するP450タンパク質のおよそ1.5%のみに寄与しているが、P450薬物代謝活性のおよそ24%を担っている(Wolf & Smith(2000)Brit Med Bull 55:366−386;Lancet:584−586 (1977);Eur.J.Clin.Pharmacol.16:183−187 (1979);およびGenomics 2:174−179(1988);Nature 331:442−446(1998)参照。
【0118】
この遺伝子座の遺伝子変異により、この遺伝子の種々の酵素活性の改変がもたらされるが、ほとんどの個体は正常な活性を有し(高代謝群;EM)、一部の個体は、わずかに低下した活性を有し(中間代謝群)、一部の個体は、遺伝子重複が一部原因で増大された酵素活性を有する(高速代謝群)。両CYP2D6遺伝子コピーの変異の不活化のため酵素活性を欠く個体は、CYP2D6酵素を必要とされる薬物を代謝することができず、CYP2D6低代謝群(PM)と称される。
【0119】
変異の影響を受けているのがCYP2D6遺伝子の両方か一方のみかに応じて低代謝群または中間代謝群表現型をもたらすCYP2D6遺伝子におけるいくつかの変異は、既に報告されている(例えば、米国特許第5,648,482号;DNA 8:1−13(1989);Biochemistry 27:5447−5454(1988);Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5240−5243(1988)および米国特許出願公開第20030083485号参照)。常染色体劣性形質となり、北米および欧州の白人集団で5〜10%発生率を有するPM表現型の一例が報告されている。PMは、一般的に、ごくわずかな量のシトクロムP450 2D6活性を示す。シトクロムP450 2D6における遺伝子の違いは、環境および職業に基づく疾患の発症のリスク増大関連していることがあり得る(Gonzalez & Gelboin(1993)Toxicology and Environmental Health 40:289−308参照)。
【0120】
患者のCYP2D6遺伝子型、例えば、患者がEMであるかPMであるかは、当該技術分野で知られ任意のさまざまな方法およびアッセイによって判定され得る。特定の実施形態において、この方法は、患者または患者から得た生物学的試料においてCYP2D6酵素活性を調べることを伴うか、あるいは、患者のPMと関連している多型または遺伝子変異を調べることを伴う。特定の実施形態において、患者の代謝プロフィールが、プローブ薬物投与後にバイオアッセイによって評価される(例えば、米国特許第5,891,696号および5,989,844号参照)。例えば、2D6欠陥低薬物代謝群は、プローブ薬物であるデブリソキン、スパルテインまたはデキストロメトルファンの1種類を投与し、次いで、修飾薬物に対する未修飾薬物の比について尿を試験することにより特定される。PMは、未修飾薬物の生理学的蓄積を示し、EMと比べて代謝産物に対するプローブ薬物の代謝比が高い。
【0121】
PMに関連している多型または遺伝子変異の存在は、基礎分子生物学的手法、例えば、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、遺伝子配列決定、およびプライマー伸長などを用いた遺伝子スクリーニングによって測定され得る。変異が不活化された一部のCYP2D6遺伝子が同定されており(Goughら(1990)Nature 347:773−6;およびHeim & Meyer(1990)Lancet 336:529−32参照)、その任意のものの存在を確認することが、患者がPMであるかどうかを判定するために使用され得る。しかしながら、おそらく、多くの他のCYP2D6遺伝子不活化多型変異型が存在し、その任意のもののスクリーニングもまた想定される。また、遺伝子スクリーニングは、遺伝子不活化変異またはかかる変異との関連で見出される密接に関連した多型のいずれかを検出することによっても行なわれ得る。
【0122】
また、被験体のCYP2D6遺伝子型、例えば、被験体がEMであるかPMであるかは、被験体もしくはかかる知識を有する別の個体に問診すること、または医療記録もしくは他の記録を参照することによっても判定され得る。
【0123】
C.イオンチャネル調節化合物の経口製剤を用いた不整脈の予防方法
いくつかの実施形態において、本発明は、不整脈のリスクがある被験体または患者(例えば、哺乳動物または温血動物、例えば、ヒトおよび他の動物)の不整脈を、かかる被験体に、例えば塩酸ベルナカラントなどのイオンチャネル調節化合物の制御放出製剤の有効量を投与することにより予防する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明の方法は、不整脈の発生または再発を予防または遅延させるために使用される。一実施形態において、被験体は、CYP2D6高代謝群である。
【0124】
本発明の方法は、以前に1回以上の不整脈を経験した被験体、または不整脈のリスクがある被験体の不整脈を予防するために使用され得る。例えば、特定の一実施形態において、本発明の方法は、術後不整脈(例えば、CABGなどの心臓の手術後)を予防するために使用される。別の実施形態において、本発明の方法は、以前に1回以上の不整脈を経験したことがある被験体の不整脈の再発、すなわち再発性不整脈を予防するために使用される。特定の実施形態において、該方法はまた、持続性心房性細動(72時間より長く6ヶ月より短い持続期間の心房性細動)および慢性心房性細動を治療または予防するために使用され得る。
【0125】
特定の実施形態において、イオンチャネル調節剤、例えば塩酸ベルナカラントは、被験体に経口で提供される。いくつかの実施形態において、不整脈の予防のため(例えば、90日間にわたって)の塩酸ベルナカラントの有効経口投与(すなわち、経口)投薬量は、300mgより多くを1日2回、すなわち600mg超/日である。例えば、塩酸ベルナカラントの有効経口投薬量は、300mgより多くを1日2回から900mgまでを1日2回の範囲であり得る。他の実施形態において、該有効経口投薬量は、300mgより多くを1日2回から600までを1日2回の範囲であり得る。一実施形態において、塩酸ベルナカラントの有効経口投薬量は、約500mgを1日2回、約600mgを1日2回、約700mgを1日2回、約800mgを1日2回、または約900mgを1日2回である。付随の実施例で示されたように、約500mgを1日2回の投薬量で、AF再発が90日間にわたって有意に予防された。
【0126】
特定の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、例えば、哺乳動物の不整脈を予防するために長期間、慢性的または定期的に投与される。かかる長期または慢性の投与は、例えば、少なくとも90分間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、または2年間より長いものであり得る。一実施形態において、長期間治療を3日間以上の投与と特徴づける。それは、この期間が、イオンチャネル調節化合物が1日2回の経口投与で定常状態血漿レベルに達する概算期間であるためである。
【0127】
疾患または障害、例えば不整脈の予防に関連する関連する実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、少なくとも1週間から1年間投与され、これは、例えば、手術または不整脈の後であり得る。かかる方法は、術後不整脈または不整脈の(or)再発の予防に特に有用である。種々の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は哺乳動物に、2回以上の用量で投与持続期間にわたって投与される。いくつかの実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、本明細書に記載の制御放出製剤、または本明細書に記載の単位剤形を用いて経口投与される。
【0128】
D.投与および投薬の経路
イオンチャネル調節化合物は、本発明の方法に従って任意の治療上有効な投与計画で投与され得る。投薬の量および頻度は、有害効果なく有効な薬剤レベルがもたらされるように選択される。本発明の化合物の治療有効量は、投与経路、治療対象の温血動物の種類、および考慮する具体的な温血動物の身体的特徴に依存する。この量を決定するためのこのような要素およびその関係は、医療技術分野の当業者には周知である。この量および投与方法は、最適な有効性が得られるように調整され得るが、体重、食事、併用薬物適用などの要素、および医療技術分野の当業者にわかる他の要素に依存する。
【0129】
本発明の方法は、イオンチャネル調節化合物を1回、2回またはそれ以上の用量で投与することにより実施され得る。例えば、いくつかの実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、単回用量として、反復用量で、または連続注入によって、ある期間にわたって投与される。一実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、長期間にわたって(例えば、48時間より長く)、または慢性的に投与される。別の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、短期間(例えば、90分未満)で投与される。
【0130】
特定の実施形態において、投与されるイオンチャネル調節化合物の量は、抗不整脈効果のために経口または静脈内投与される場合、一般的に約0.1〜約100mg/kg/日、典型的には約0.1〜10mg/kgの投薬量の範囲である。特定の実施形態において、投薬量は5mg/kgまたは7.5mg/kgである。種々の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、約50〜2500mg/日、100〜2500mg/日、300〜1800mg/日、または500〜1800mg/日の投薬量で投与される。一実施形態において、投薬量は約100〜600mg/日である。別の実施形態では、投薬量は約300〜1200mg/日である。特定の実施形態において、イオンチャネル化合物は、100mg/日、300mg/日、600mg/日、1000mg/日、1200mg/日、または1800mg/日の投薬量を、1日あたり1回以上の用量で投与される(すなわち、この場合、合計用量で所望の日投薬量が達成される)。関連する実施形態において、投薬量は、100mgを1日2回、150mgを1日2回、300mgを1日2回、500mgを1日2回、600mgを1日2回、または900mgを1日2回である。特定の実施形態において、このような投薬量は、不整脈のリスクがある被験体に、かかる不整脈を予防するために経口投与される。特定の実施形態において、このような投薬量は、EM患者に投与される。他の好適な投薬量および投与計画の例は、例えば、米国特許出願第11/667,139号、同第11/832,580号、同第60/916,129号、および同第60/953,431号に記載されている。特定の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は反復投与で投与され、初回投薬量とその後の投薬量は同じであっても異なっていてもよい。
【0131】
いくつかの実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、疾患または障害、例えば不整脈の治療のために、0.1〜10mg/kgまたは0.5〜5mg/kgの単回投薬量で投与される。他の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、疾患または障害、例えば不整脈(その再発を含む)を予防するために、0.1〜50mg/kg/日、0.5〜20mg/kg/日、または5〜20mg/kg/日の投薬量で投与される。
【0132】
例えば不整脈を治療するための反復投与の特定の実施形態において、最初の投薬量は3.0〜5.0mg/kgであり、2回目の投薬量は、0.5〜2.0mg/kgまたは1.0〜2.0mg/kgである。関連する実施形態において、最初の投薬量は2.0mg/kgであり、2回目の投薬量は0.5mg/kgである。別の実施形態では、最初の投薬量が4mg/kgであり、2回目の投薬量が1.0mg/kgである。別の実施形態では、最初の投薬量が2mg/kgであり、2回目の投薬量が3.0mg/kgである。さらなる実施形態では、最初の投薬量が0.5mg/kgであり、2回目の投薬量が1.0mg/kgである。一実施形態において、最初の投薬量は3.0mg/kgであり、2回目の投薬量は2.0mg/kgである。反復投与の他の実施形態において、最初の投薬量と2回目の投薬量は、0.1〜10mg/kgである。例えば、最初の投薬量が0.1〜5mg/kgであり、2回目の投薬量が0.5〜10mg/kgである;最初の投薬量が1〜5mg/kgであり、2回目の投薬量が1〜5mg/kgである;最初の投薬量が1〜3mg/kgであり、2回目の投薬量が1〜5mg/kgである;または最初の投薬量を0.5mg/kgとした後、2回目の投薬量を1.0mg/kgとする。
【0133】
いくつかの実施形態において、特に不整脈を治療するために投与される場合、該化合物が投与された哺乳動物が最初の投薬量後に洞調律に変換されれば、2回目の投薬量は投与されない。いくつかの実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、経口投与されるか、または例えば、ある期間(例えば、10分間〜90分間)にわたる注入によって静脈内投与される。
【0134】
他の関連する実施形態において、イオンチャネル調節化合物は連続注入によって、例えば約0.1〜約10mg/kg/時の投薬量で、ある期間にわたって投与される。該期間は種々であり得るが、いくつかの実施形態において、該期間は、約10分間〜約24時間または約10分間〜約3日間であり得る。
【0135】
特定の実施形態において、本発明の方法は、哺乳動物に、該被験体の血漿中のイオンチャネル調節化合物の総濃度が、約0.1μg/ml〜約20μg/ml、約0.3μg/ml〜約15μg/ml、または約0.3μg/ml〜約20μg/mlのCmaxをある程度の期間有することが達成されるのに充分な量のイオンチャネル調節化合物を投与する工程を伴う。いくつかの実施形態において、経口投薬量は、約0.1μg/ml〜約5μg/mlまたは約0.3μg/ml〜約3μg/mlの血漿濃度(Cmax)が達成されるのに充分な量である。いくつかの実施形態において、静脈内投薬量は、約1μg/ml〜約10μg/mlまたは約2μg/ml〜約6μg/mlの血漿濃度(Cmax)が達成されるのに充分な量である。
【0136】
関連する一実施形態において、被験体の血漿中のイオンチャネル調節化合物の総濃度は、約20μg/ml未満、約10ug/ml未満、約1ug/ml未満、約.5ug/ml未満、約.2ug/ml、または約0.1ug/ml未満の平均トラフ濃度、および/または約20μg/ml未満、約10ug/ml未満、約1ug/ml未満、約.5ug/ml未満、約.2ug/ml、または約0.1ug/ml未満の定常状態濃度を有する。特定の一実施形態において、被験体の血漿中のイオンチャネル調節化合物の総濃度は、約10μg/ml未満の平均トラフ濃度および/または約10μg/ml未満の定常状態濃度を有する。
【0137】
一実施形態において、被験体の血漿中のイオンチャネル調節化合物の総濃度は、約1ng/ml〜約10μg/ml、約100ng/ml〜約1μg/ml、または約0.3μg/ml〜約3μg/mlの平均トラフ濃度を有する。また別の実施形態において、被験体の血漿中のイオンチャネル調節化合物の総濃度は、約1ng/ml〜約10μg/mlの平均トラフ濃度、および/または約1ng/ml〜約10μg/mlの定常状態濃度を有する。一実施形態において、被験体の血漿中のイオンチャネル調節化合物の総濃度は、約0.3μg/ml〜約3μg/mlの平均トラフ濃度、および/または約0.3μg/ml〜約3μg/mlの定常状態濃度を有する。
【0138】
特定の実施形態において、本発明の方法は、哺乳動物に、上記の血漿濃度が少なくともある程度の期間達成されるのに充分な量のイオンチャネル調節化合物を投与する工程を伴う。本発明の特定の実施形態において、イオンチャネル調節化合物の有効量、イオンチャネル調節化合物の血漿濃度、またはイオンチャネル調節化合物の平均トラフ濃度は、例えば、少なくとも15分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも60分間、少なくとも90分間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、または2年間より長く達成または維持される。
【0139】
関連する実施形態において、本発明の方法は、さらに、イオンチャネル調節剤が投与後または投与過程で1回以上投与された哺乳動物において(例えば、PM患者において)、該調節剤の血漿濃度または平均トラフ濃度を測定する工程を含むものであり得る。この工程は、有効量(本明細書に記載の濃度のいずれか1つなど)を測定または維持するために、イオンチャネル調節のレベルをモニターするのに有用であり得る。
【0140】
特定の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、例えば、哺乳動物の不整脈を予防するために長期間、慢性的または定期的に投与される。かかる長期または慢性の投与は、例えば、少なくとも90分間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、または2年間より長いものであり得る。一実施形態において、長期間治療を3日間以上の投与と特徴づける。それは、この期間が、イオンチャネル調節化合物が1日2回の経口投与で定常状態血漿レベルに達する概算期間であるためである。
【0141】
疾患または障害、例えば不整脈の予防に関連する特定の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、少なくとも1週間から1年間投与され、これは、例えば、手術または不整脈の後であり得る。かかる方法は、術後不整脈または不整脈の(or)再発の予防に特に有用である。種々の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は哺乳動物に、2回以上の用量で投与持続期間にわたって投与される。特定の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、長期または慢性使用のために経口投与される。
【0142】
本発明によって認識されるように、上記の血漿レベルまたは平均トラフ(rough)濃度を達成または維持するために投与されるイオンチャネル調節化合物の量は、PM患者に投与される場合、EM患者と比べて異なることがあり得る。それは、PM患者がEM患者ほど速やかにイオンチャネル調節化合物を代謝しないからである。当業者には、単回ボーラスまたは短期間治療(不整脈後の電気除細動のための静脈内投与で記載のものなど)で投与される場合は、通常、PM患者に対する有効投薬量はEM患者に対する有効用量と異ならないことが認識されよう。しかしながら、PM患者に対する有効用量は、長期または慢性の治療(例えば、不整脈または不整脈の再発の予防のため)で、有意に低減され得る。
【0143】
したがって、本発明のいくつかの実施形態において、PM患者には、例えば、1日あたり、EM患者に投与される有効投薬量または有効量より有意に少ない有効投薬量または有効量のイオンチャネル調節化合物が投与される。特別な例では、PM患者に投与される有効量は、EM患者に投与される有効量の75%未満、50%未満、または25%未満である。一般的に、長期投与または慢性投与は、経口投与によって行なわれる。特定の実施形態において、有効投薬量は、上記のイオンチャネル調節化合物の血漿レベルまたは平均トラフ濃度が達成される量である。これは、常套的な手順(例えば、本明細書および米国特許出願第10/838,470号に記載のもの)を用いて容易に決定され得る。
【0144】
本発明の方法の特定の実施形態において、投与は、経口、局所、非経口、舌下、経直腸、経膣、および鼻腔内からなる群より選択される経路によるものである。種々の実施形態において、非経口投与は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、硬膜外注射、胸骨内注射、または注入である。種々の実施形態において、経口投与は、粉末剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、チューインガム、オブラート、およびロゼンジから選択される経口投薬形態を投与することを含む。疾患または障害、例えば不整脈の予防に関連する方法のいくつかの実施形態において、イオンチャネル調節化合物、例えば塩酸ベルナカラントは、被験体に、例えば、制御放出または持続放出製剤などの錠剤で経口で提供される。
【0145】
E.イオンチャネル調節化合物の制御放出製剤
いくつかの実施形態において、本発明は、治療有効量のイオンチャネル調節化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤を含む制御放出製剤(例えば、錠剤)に関する。特に、本発明は、治療有効量の塩酸ベルナカラントと、制御放出製剤に適した1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤を含み、経口投与されると、哺乳動物、好ましくはヒトの不整脈(例えば、不整脈の発生または再発)の予防に有効な制御放出錠剤製剤に関する。
【0146】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の制御放出錠剤製剤は、疾患または障害、例えば不整脈を予防するための、哺乳動物(例えば、不整脈のリスクがあるか、または以前に1回以上の不整脈を経験したことがある哺乳動物)、好ましくはヒトへの投与が意図される。
【0147】
本明細書で使用されるとき、より詳細に後述するように、「薬学的に許容され得る賦形剤」は、活性成分が製剤から制御された様式で放出されることを可能にするのに適した任意の薬学的に許容され得る物質、組成物、またはビヒクルであり得、限定されないが、器官または身体の一部分への活性成分の運搬または輸送に関与する液状もしくは固形の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル封入物質が挙げられる。薬学的に許容され得る賦形剤は、それぞれ、製剤のその他の成分と適合性であるものでなければならない。薬学的に許容され得る賦形剤としての機能を果たす物質の一例としては、限定されないが、糖類(ラクトース、グルコースおよびスクロースなど);デンプン(トウモロコシデンプンおよびイモデンプンなど);セルロースおよびその誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど);トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター、ワックス、動物性および植物性脂肪、パラフィン、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、酸化亜鉛;油類(ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油など);グリコール(プロピレングリコールなど);ポリオール(グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなど);エステル(オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど);寒天;緩衝剤(水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど);アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに医薬用製剤に常套的に使用されている任意の他の適合性のある物質、および本明細書において薬学的に許容され得る賦形剤と特定している任意の物質が挙げられる。
【0148】
本明細書で使用されるとき、「制御放出」は、同じ量の活性成分を含む即放製剤が放出するであろう同じ期間よりも長いに期間にわたる、持続的で調節された様式での製剤からの活性成分の放出をいう。例えば、いくつかの実施形態において、塩酸ベルナカラントを含む即放製剤は、ヒト被験体への投与の15分以内に製剤から活性成分の80%を放出するものであり得るが、同じ量の塩酸ベルナカラントを含む本発明の制御放出製剤は、15分間よりも長い期間内、好ましくは6〜12時間以内に活性成分の80%を放出するものであり得る。制御放出製剤は、それを必要とする哺乳動物に対する投与頻度の低減を可能にするものである。また、制御放出製剤は、該化合物がそれを必要とする哺乳動物に投与されたときの薬物動態または毒性のプロフィールを改善するものであり得る。
【0149】
本発明の制御放出製剤に適した例示的な賦形剤を、以下の表1〜5に、その化学名/商標名、公定地位および機能とともに示す。
【0150】
【表1】

【0151】
【表2】

【0152】
【表3−1】

【0153】
【表3−2】

【0154】
【表4】

【0155】
【表5−1】

【0156】
【表5−2】

本発明の制御放出錠剤製剤は、最終投薬形態が多くの望ましい性質、例えば、限定されないが、良好な打錠特性(例えば、良好な流動性、圧縮性、外観、重量偏差、硬度、摩損度、含有量の均一性および溶解速度特性)、良好なバイオアベイラビリティプロフィール(例えば、本発明の制御放出製剤では、6時間より長いインビボでの活性成分の放出プロフィール)、優れた応力および長期間安定性、小型の錠剤サイズ、ならびに単純だが効率的で費用効果の高い製造性を示すように製剤化される。
【0157】
本発明の制御放出錠剤製剤は、イオンチャネル調節化合物またはその医薬上有効な塩(本明細書では、集合的に「活性成分」と称する)、好ましくは塩酸ベルナカラントを、マトリックス系、例えば限定されないが、親水性マトリックス系、親水性非セルロースマトリックス系、疎水性(プラスチック製マトリックス系)、もしくは親水性/疎水性マトリックス系内;脂肪/ワックス系内;または膜コーティング微粒子系内に組み込むことにより作製され得る。
【0158】
親水性マトリックス系は、親水性のゲル化ポリマー(すなわち、親水性マトリックス系ポリマー)を用いて調製した錠剤が水性環境におかれると、該錠剤からの均一で定常的な活性成分の拡散を示す。系からの活性成分の放出は、通常、ゲルの水和、活性成分の拡散、およびゲルの腐食の組合せであるプロセスによって形成されるゲル拡散バリアによって制御される。
【0159】
疎水性(プラスチック)マトリックス系では、不活性な不溶性ポリマー(すなわち、疎水性マトリックス系ポリマー)およびコポリマーを使用し、活性成分が包埋される多孔質の骨格構造を形成する。制御放出は、マトリックスの毛管状湿潤チャネルおよび細孔中への活性成分の拡散によって、ならびにマトリックス自体の腐食によって行なわれる。
【0160】
親水性/疎水性マトリックス系では、親水性疎水性ポリマーと疎水性ポリマーの組合せを使用し、活性成分が包埋される可溶性/不溶性マトリックスを形成する。活性成分の制御放出は、細孔およびゲルの拡散ならびに錠剤マトリックスの腐食によるものである。親水性ポリマーにより、ゲルの拡散速度が遅延されることが予測される。
【0161】
脂肪/ワックス系では、活性成分を脂肪/ワックス(すなわち、腐食性遅延剤マトリックス)の熱溶解物中に組み込み、固化させ、サイズ調整し、適切な錠剤賦形剤とともに圧縮する。活性成分の制御放出は、細孔への拡散および脂肪/ワックス系の腐食によって行なわれる。吸い上げ剤としての界面活性剤の添加は、系内への水分の浸透によって腐食をもたらすことを補助する。
【0162】
膜コーティング微粒子系としては時限的放出顆粒系が挙げられ、これは、押出し−球状化プロセスまたは慣用的な造粒プロセスによって調製され、特定の活性成分放出特性を有する種々の制御放出粒子種が生成されるような膜コーティングが施されたものである。制御放出粒子は、錠剤に所望の制御放出プロフィールをもたらす適切な賦形剤とともに圧縮され得る。活性成分の放出は、酸性pH(胃)またはアルカリpH(腸)いずれかでの粒子の腐食によるものである。
【0163】
活性成分を含む即放錠剤製剤を、活性成分に、錠剤に満足な打錠特性およびその後の速やかな崩壊および溶解をもたらす適切な賦形剤(例えば、限定されないが、即放充填剤、結合剤、流動促進剤、崩壊剤および滑沢剤)を配合することにより、比較目的のためだけに調製した。
【0164】
本発明の制御放出錠剤製剤は、限定されないが、直接圧縮(活性成分を流動性の賦形剤と乾式ブレンドした後、圧縮)、湿式造粒(粉末ブレンドへの結合剤溶液の適用後、乾燥、サイズ調整、ブレンドおよび圧縮)、乾式造粒または圧密化(スラッギングまたは圧縮機による活性成分または活性成分/粉末ブレンドの高密度化により流動性の圧縮可能な顆粒を得る)、脂肪−ワックス(高温溶融)造粒(溶融脂肪族アルコール中への活性成分の包埋後、冷却、サイズ調整、ブレンドおよび圧縮)、ならびに微粒子の膜コーティング(乾式ブレンド、湿式造粒、混練、押出し、球形化、乾燥、膜コーティングの後、種々の膜コーティング球体種のブレンド、および圧縮)など方法によって製造され得る。
【0165】
本発明にとって特に重要なのは、各錠剤が100mg、250mg、300mg、500mg、または600mgの活性成分を含むような本発明の制御放出錠剤製剤の製造方法である。このような錠剤の製造方法はとしては、限定されないが、以下の方法が挙げられる。
【0166】
a.直接圧縮
b.活性成分とStarch 1500またはPovidone K29/32と精製水の湿式高密度化後、2〜3% w/w/の水分レベルまでのトレイ乾燥、および直接圧縮用賦形剤とのブレンド
c.脂肪/ワックス(熱溶解物)
直接圧縮法の一例の型では、所望量の活性成分と所望量のStarch 1500、Povidone K29/32、Lactose Fast Flo、無水EmcompressまたはCarbopol 71Gを、小さなポリエチレン(PE)袋または500mL容高密度ポリエチレン(HDPE)容器内で手でおよそ1分間混合し、次いで、#30メッシュスクリーンに通す。次いで、得られたブレンドを、ステアリン酸マグネシウムとステアリン酸を除く所望の残りの製剤用賦形剤の所望量とおよそ2分間、小さなPE袋または500mL容HDPE容器のいずれかにおいて混合する。得られた混合物のおよそ1gを、次いで、所望量のステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸と混合し、#30メッシュスクリーンに通し、得られた混合物の残部に添加して戻し、次いで、およそ1分間ブレンドする。次いで、得られたブレンドを、慣用的なベンチトップ打錠機を使用して、225mgもしくは300mg(100mgの活性成分を含む錠剤用)または630mgもしくは675mg(300mgの活性成分を含む錠剤用)の最終錠剤重量の錠剤に圧縮する。
【0167】
直接圧縮法の別の型では、予めスクリーンに通した(#40メッシュ)所望量の活性成分とStarch 1500を4クオートV字型シェル内に入れ、25rpmで3分間ブレンドする。得られたブレンドに、予めスクリーンに通した(#30メッシュ)所望量のProsolv SMCC 90、Lactose Fast Flow、Methocel K4Mおよびステアリン酸(#40メッシュに予め通したもの)を添加し、得られた混合物を、25rpmで5分間混合する。次いで、ステアリン酸マグネシウムを等量の得られた混合物に添加し、次いで、これを小さなポリエチレン袋内でおよそ1分間ブレンドし、手で#30メッシュスクリーンに通し、得られた混合物に戻す。得られた最終混合物を25rpmで2分間ブレンドし、次いで、慣用的な打錠機を使用して、630mgまたは675mg(300mgの活性成分を含む錠剤用)の最終錠剤重量の錠剤に圧縮する。
【0168】
湿式高密度化法の一例の型では、所望量の活性成分を所望量のStarch 1500またはPovidone K29/32と混合し、得られた混合物を#30メッシュスクリーンに通す。精製水をスクリーンに通した混合物に、満足な高密度化エンドポイントに達するまで添加する。得られた湿性塊をトレイ上の#12メッシュスクリーンに通し、60℃で2〜3時間、2〜3%w/wの水分レベルが得られるまで乾燥させる。得られた乾燥顆粒を、#20メッシュスクリーンに通して小さなPE袋または500mL容HDPE容器のいずれかに入れる。スクリーンに通した乾燥顆粒に、ステアリン酸マグネシウムとステアリン酸を除く所望量の残りの製剤用の賦形剤を添加する。内容物をおよそ2分間する。次いで、得られた混合物のおよそ1gを所望量のステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸と混合し、#30メッシュスクリーンに通し、得られた混合物の残部に添加して戻し、次いで、およそ1分間ブレンドする。得られた最終ブレンドを、慣用的な打錠機を使用して、225mgもしくは300mg(100mgの活性成分を含む錠剤用)および630mgまたは675mg(300mgの活性成分を含む錠剤用)の最終錠剤重量の錠剤に圧縮する。
【0169】
脂肪/ワックス(熱溶解)法の一例の型では、所望量の脂肪/ワックス、好ましくは、セトステアリールアルコールおよびセチルアルコールから選択される腐食性遅延剤をステンレス鋼容器内に入れ、次いで、これを、ワックスが完全に液状化する(すなわち、完全に溶融する)まで加熱する。次いで、所望量の活性成分、Lactose Fast FloおよびProsolv SMCC90を、連続撹拌加熱下で、完全に分散するまで溶融ワックスに添加する。あるいはまた、所望量の活性成分のみを溶融ワックス中に分散させる。得られた顆粒様粒子を#20メッシュスクリーンに通して小さなPE袋または500mL容HDPE容器のいずれかに入れる。活性成分のみを含む溶融ワックスの場合は、スクリーンに通した粒子をLactose Fast FloおよびProsolv SMCC 90とおよそ2分間、小さなPE袋または500mL容のHDPE容器のいずれかにおいてブレンドする。各ブレンドのおよそ1gを、所望量のステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸と混合し、#30メッシュスクリーンに通し、ブレンドに戻し、およそ1分間混合する。最終ブレンドを、慣用的な打錠機を使用して、225mg(100mgの活性成分を含む錠剤用)および630mgまたは675mg(100mgの活性成分を含む錠剤用)の重量の錠剤に圧縮する。
【0170】
脂肪/ワックス(熱溶解)法の別の型では、所望量の脂肪/ワックス、好ましくは、セトステアリールアルコールを、およそ70℃でミキサー内で、ワックスが液状化するまで溶融させる。所望量のLactose Fast FloおよびProsolv SMCC90をおよそ1分間、二層構造PE袋内でブレンドし、とっておく。所望量の活性成分を、連続撹拌加熱下およそ70℃で、活性成分が完全に分散するまで溶融ワックスに添加する。次いで、賦形剤のブレンドを、撹拌下、加熱を40℃〜60℃に維持して、分散が完全になるまで溶融ワックスに添加する。得られた顆粒様粒子を周囲温度まで冷却させ、#20メッシュスクリーンに通して二層構造PE袋内に入れる。次いで、スクリーンに通した粒子をステアリン酸と、4クオートV字型シェル内で、25rpmでおよそ2分間ブレンドする。ステアリン酸マグネシウムを等量のステアリン酸ブレンドに添加し、小さなPE袋内でおよそ1分間ブレンドし、手で#20メッシュスクリーンに通し、ステアリン酸ブレンドに戻し、最終混合物を25rpmで3分間ブレンドする。最終ブレンドを、慣用的な打錠機を使用して、630mgまたは675mg(300mgの活性成分を含む錠剤用)の重量の錠剤に圧縮した。
【0171】
特定の実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、典型的には経口投与のための錠剤製剤で1回以上の用量で投与される。錠剤製剤は、例えば制御放出製剤であり得る。特定の実施形態において、錠剤は、100、150、200、250、300、500、または600mgのイオンチャネル調節化合物(塩酸ベルナカラントなど)を含む。
【0172】
本発明のイオンチャネル調節化合物のさまざまな経口投与製剤は、例えば、米国特許出願第11/832,580号および同第60/953,431号に記載されている。このような製剤の任意のものが、本発明に従って使用され得る。一実施形態において、製剤は、イオンチャネル調節化合物と、カルボマー、マルトデキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリオキソアセテートからなる群より選択される少なくとも1種類の親水性マトリックス系ポリマーとを含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、治療有効量のイオンチャネル調節化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む制御放出錠剤製剤で投与される。一実施形態において、薬学的に許容され得る賦形剤は、カルボマー、マルトデキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリオキソアセテートからなる群より選択される親水性マトリックス系ポリマーである。
【0174】
種々の実施形態において、錠剤製剤は、約20mg〜約500mgのイオンチャネル調節化合物を含む。関連する実施形態において、該錠剤は約50mg〜約300mgのイオンチャネル調節化合物を含む。一実施形態において、該錠剤は約100mg〜約300mgのイオンチャネル調節化合物を含む。特定の実施形態において、該錠剤は約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、または約300mgのイオンチャネル調節化合物、例えば塩酸ベルナカラント(vernkalant)を含む。他の関連する実施形態において、該錠剤は約500または約600mgのイオンチャネル調節化合物を含む。
【0175】
特定の一実施形態において、制御放出錠剤製剤は、約300mgの塩酸ベルナカラント;約120mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約30mgのアルファ化デンプン;約90mgのケイ化微晶質セルロース;約81mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0176】
特定の一実施形態において、制御放出錠剤製剤は、約250mgの塩酸ベルナカラント;約100mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mgのアルファ化デンプン;約75mgのケイ化微晶質セルロース;約67.5mgのラクトース一水和物;約3.75mgのステアリン酸;および約3.75mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0177】
特定の一実施形態において、制御放出錠剤製剤は、約500mgの塩酸ベルナカラント(verakalant);約200mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約50mgのアルファ化デンプン;約150mgのケイ化微晶質セルロース;約135mgのラクトース一水和物;約7.5mgのステアリン酸;および約7.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0178】
特定の一実施形態において、制御放出錠剤製剤は、約200mgの塩酸ベルナカラント;約80mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約20mgのアルファ化デンプン;約60mgのケイ化微晶質セルロース;約54mgのラクトース一水和物;約3.0mgのステアリン酸;および約3.0mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容され得る賦形剤は、セチルアルコールまたはセトステアリールアルコールからなる群より選択される腐食性遅延剤である。
【0180】
特定の一実施形態において、制御放出錠剤製剤は、約300mgの塩酸ベルナカラント;約150mgのセトステアリールアルコール;約105mgのケイ化微晶質セルロース;約111mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む。関連する実施形態において、制御放出錠剤製剤は、約200または約250mgの塩酸ベルナカラント、およびその他の賦形剤を300mgの塩酸ベルナカラント製剤で示したものと同じ割合で含む。
【0181】
いくつかの実施形態において、イオンチャネル調節化合物は、治療有効量のイオンチャネル調節化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)を含む持続放出錠剤製剤で投与される。
【0182】
特定の一実施形態において、持続放出錠剤製剤は、約300mgの塩酸ベルナカラント;約323mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約70mgの無水リン酸二カルシウム;および約7.0mgのステアリン酸マグネシウムを含む。関連する実施形態において、制御放出錠剤製剤は、約200または約250mgの塩酸ベルナカラント、およびその他の賦形剤を300mgの塩酸ベルナカラント製剤で示したものと同じ割合で含む。
【0183】
特定の実施形態において、本発明は、150および300mgの塩酸ベルナカラントを含む塩酸ベルナカラントの単位剤形、例えば、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約400mg、約500mg、または約600mgの塩酸ベルナカラントを含む単位剤形を提供する。
【0184】
式(I)、(II)または(III)「の化合物を含む」という本明細書に記載の組成物は、式(I)、(II)または(III)の化合物を1つより多く含む組成物を包含する。
【0185】
数値を示す際に用いる場合、用語「約」は、表示した値を包含する。
【0186】
以下の実施例は、本発明の実施を補助する手引きとして示すものであって、本発明の範囲に対する制限を意図しない。
【実施例】
【0187】
実施例1
経口投与された塩酸ベルナカラントの薬物動態(PK)、安全性、および耐容性
用量漸増計画において反復投与で7日間にわたり、経口投与された塩酸ベルナカラントのPK、安全性、および耐容性を示すため、フェーズI臨床試験が行なわれた。この試験では、これらのパラメータを、CYP2D6高代謝群と遺伝子型判定された40名の健常志願者とCYP2D6低代謝群と遺伝子型判定された15名において調べた。
【0188】
経口投与された塩酸ベルナカラントは、すべての用量レベルにおいて安全であり、充分耐容性があることがわかった。塩酸ベルナカラントおよびその代謝産物の血漿レベルの用量比例的増大が、3〜4日以内に達した定常(stead)状態血漿レベルで見られた。7日間で与えた最大用量は900mgを1日2回(1,800mg/day)であり、静脈内投与による心房性細動の転換に有効であると示されたピーク血中レベルに近い血中塩酸ベルナカラントレベルがもたらされた。制御放出経口製剤により、慢性経口使用療法に適すると思われる期間にわたって持続性の血中薬物レベルがもたらされた。
【0189】
中等度の皮膚の掻痒および刺痛を経験した2名の被験体を除き、すべての治療で、有害事象の発生は軽度であった。重篤な有害事象はみとめられなかった。臨床検査、生命徴候またはECG測定に、臨床的に重要な変化は見られなかった。900mgの塩酸ベルナカラントを1日2回で7日間治療後、Cmax血漿レベルで測定したとき、ベースライン補正QT時間(413±19ms)に変化はなかった(408±25ms)。塩酸ベルナカラントは、900mgまでの用量を1日2回、7日間治療された被験体において充分耐容性があるようであった。
【0190】
実施例2
塩酸ベルナカラントの経口吸収
塩酸ベルナカラントの経口バイオアベイラビリティを、合計24名の健常ヒト志願者被験体での、前向き無作為化プラセボ対照比較二重盲検用量漸増評価試験において実証した。最初の8名の被験体を一晩絶食させ、プラセボ(n=2)または5mg/kgの経口塩酸ベルナカラント(n=6)の投与に無作為化した。第2の群の8例の絶食被験体は、同じ用量(n=6)またはプラセボ(n=2)で評価し、第3の群の8名の被験体は、絶食させ、プラセボ(n=2)または7.5mg/kgの経口塩酸ベルナカラント(n=6)の投与に無作為化した。
【0191】
塩酸ベルナカラントは、単回経口用量後、絶食被験体と非絶食被験体の両方において速やかで広範な吸収を示した。被験体の大部分で、投与の30〜60分以内に最大血漿レベル(Cmax)に達した。絶食志願者のCmaxは、5mg/kg(経口)後で1.8±0.4μg/mlであり、7.5mg/kg(経口)後では1.9±0.5μg/mlであった。非絶食志願者では、Cmaxは、5mg/kg(経口)後で1.3±0.7μg/mlであった。先の静脈内データを用いて計算された経口バイオアベイラビリティは、これらの群において、それぞれ、71±21%、58±19%、および69±50%であった。群間で、Cmax、Tmax、またはバイオアベイラビリティに有意な(ANOVA)差はなかった。
【0192】
すべての有害事象は一過性で軽度であり、5例のみが薬物に関連している可能性があるとみなされた(3名の被験体)。臨床検査試験、生命徴候、ECG間隔の有意な変化、またはホルター記録のなんらかの臨床的に重要な所見はなかった。
【0193】
塩酸ベルナカラントは、ヒトへの経口投与後、治療的血漿レベルまで速やかに広範に吸収され、これは、塩酸ベルナカラントの経口製剤が、心房性細動を含む不整脈慢性経口予防剤に使用され得ることを示す。
【0194】
実施例3
経口塩酸ベルナカラントは、電気除細動後の心房性細動の再発を予防する
持続性心房性細動(AF)を有するヒト被験体における塩酸ベルナカラントの安全性、耐容性、および短期有効性を、無作為化二重盲検多施設プラセボ対照比較漸増用量試験において実証した。
【0195】
症候性のAF (72時間〜6ヶ月の持続期間)を有する221名の被験体を、28日間までのプラセボまたは塩酸ベルナカラントに無作為化した(背景ACE−IまたはARB使用に層別化)。第1段階(Tier)では、被験体には、300mgを1日2回の塩酸ベルナカラントまたはプラセボのいずれかを与え、第2段階では、600mgを1日2回の塩酸ベルナカラントまたはプラセボのいずれかを与えた。投与は病院で開始し、必要な場合は、電気除細動を第3日目に行なった。合計171名の被験体が好成績で心変換され、この試験を継続し、毎週追跡通院した。有効性を、試験中の毎週の12リードECGおよび毎日の電話伝送型モニタリングでのAF再発の非存在として評価した。合計73名の被験体にプラセボを与え、71名および75名の被験体に塩酸ベルナカラントを、それぞれ、300mgを1日2回および600mgを1日2回で与えた。患者構成は、群間で概ね同等であった。全体では、被験体の63.3%が男性であり、が>65歳であり、33.9%が鬱血性心不全の病歴を有し、44.3%が1回以上のAFの既往エピソードを有した。登録時のAFエピソードの持続期間は73±48日間であった。主な使用併用薬物には、ACE−I/ARB(58%)およびβ遮断薬(78%)が含まれた。補正QT時間に対する効果は観察されなかった(図2)。プラセボ群では被験体の57%がAF再発を有したのに対し、300mgを1日2回の塩酸ベルナカラント群では被験体の39%(ログランク検定でp=0.048)、および600mgを1日2回の塩酸ベルナカラント群では被験体の39%(ログランク検定でp=0.060)であった(図3)。
【0196】
投与の開始から30日間の追跡期間の終了まで、重篤な有害事象は、プラセボ被験体の8%、300mgを1日2回の塩酸ベルナカラント被験体の10%、および600mgを1日2回の塩酸ベルナカラント被験体の11%で生じた。最もよく報告された有害事象(>5%およびプラセボ被験体より塩酸ベルナカラント被験体の方が高い発生率)は、徐脈、洞徐脈、および第一度房室ブロックであった。MIによる死亡例(薬物とは無関連とみなされた)が生じた。多形性心室頻拍(Torsades de Pointes)は観察されなかった。
【0197】
この試験では、塩酸ベルナカラントによりAFの短期再発が低減されることが実証された。
【0198】
実施例4
経口塩酸ベルナカラントは、90日間にわたって心房性細動の再発を予防する
持続性症候性の心房性細動(AF;AF持続期間>72時間かつ<6ヶ月)を有する患者における90日間にわたる投与の塩酸ベルナカラント(経口)の安全性、耐容性、薬物動態、および予備有効性を、無作為化二重盲検プラセボ対照比較用量範囲探索試験において実証した。この試験では、プラセボと比べ、500mgを1日2回の塩酸ベルナカラント(経口)を与えた患者群で、統計学的に有意な有効性が実証された。また、中間解析の安全性データにより、塩酸ベルナカラント(経口)は、この投与期間で試験したAF患者集団において充分耐容性があることが示された。
【0199】
塩酸ベルナカラント(経口)錠剤は、塩酸ベルナカラント薬物物質と、錠剤賦形剤(ケイ化微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルメチルエーテルセルロース(ハイプロメロースまたはHPMC)、アルファ化デンプン、ラクトース一水和物、ステアリン酸、およびステアリン酸マグネシウムを含む)とのブレンドから調製した。錠剤は、共通の配合で多種類の重量で圧縮し、150mg、200mg、または300mgの塩酸ベルナカラント薬物物質/錠剤を得た。臨床試験物質を盲検化する目的で、錠剤を不透明な白色ゼラチンカプセル殻内にカプセル封入した。用量強度間で同様のカプセル重量に近づけるため、150mgおよび200mgの錠剤を含有するカプセルにラクトース一水和物をバックフィリングした。塩酸ベルナカラント(経口)錠剤の組成を表6に示す。塩酸ベルナカラント(経口)カプセル封入錠剤の組成を表7に示す。
【0200】
【表6】

【0201】
【表7】

持続性AFを有する心房性細動を、90日間までのプラセボまたは塩酸ベルナカラントに無作為化した。塩酸ベルナカラントで治療した被験体には、150mgを1日2回、300mgを1日2回、または500mgを1日2回のいずれかで与えた。最初の3日間の後、なお心房性細動を有する患者に電気的除細動を与えた。好成績で心変換された患者には、90日間治験の残りの期間、継続してベルナカラント(経口)またはプラセボを与え、投与期間を通してモニタリングした。
【0202】
試験に含めた446名の患者のカプラン−マイヤー解析により、プラセボと比べ、500mgを1日2回の投与群で有意な有効有益性が示された(両側、p<0.05)。心房性細動の再発までの期間の中央値は、500mgを1日2回の投与群90日間より長いのに対して、プラセボ群では39日間であった。500mgを1日2回の投与群(n=110)の患者の52%が正常な心拍数で試験を終了したのに対し、プラセボ(n=118)を与えた患者では39%であった。150mgを1日2回(n=110)および300mgを1日2回(n=108)の投与群の有効性の中間解析では、90日の時点で統計学的有意差は得られなかった。
【0203】
すべての投与群の安全性データは、該試験の維持相に参加しなかった無作為化患者を含む中間安全性集団(n=537)においてベルナカラント(経口)に充分耐容性があったことを示す。解析下の投与期間中、治療群間に重篤な有害事象の発生率に差はなかった。薬物に関連している可能性がある重篤な有害事象は、プラセボ患者の1%、150mgを1日2回の投与群の患者の2%、300mgを1日2回の投与群の患者の0%、および500mgを1日2回の投与群の患者の1%で生じた。薬物に関連する「多形性心室頻拍」(現在使用されている一部の抗不整脈薬の偶発的副作用である充分特性評価された不整脈)の症例はなかった。この期間中、2つの死亡例が見られたが、ともに塩酸ベルナカラント(経口)とは無関連であり、第79日目に頚部癌で死亡した150mgを1日2回の投与群の患者と、虚血発作に苦しんだ後、第86日目に死亡したプラセボ群の患者であった。
【0204】
実施例5
100mgの制御放出錠剤製剤
親水性マトリックス系
100mgの活性成分を親水性マトリックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を、直接圧縮法によって作製する。この製剤では、活性成分、塩酸ベルナカラントをStarch 1500と、小さなポリエチレン袋または500mL容HDPE容器内でおよそ1分間混合し、次いで、#30メッシュスクリーンに通す。スクリーンに通した混合物を、次いで、Prosolv SMCC 90、Lactose Fast FloおよびMethocel K4Mと一緒に元のポリエチレン袋に移し、2分間混合する。次いで、このブレンドの一部(例えば、1g)をステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸と、ポリエチレン袋内で混合し、#30メッシュスクリーンを介してバルクブレンドに移し戻し、1分間ブレンドする。錠剤は、適当なパンチで圧縮され得る。この製剤、親水性製剤#100−1を以下の表8に示す。
【0205】
【表8】

実施例6
100mgの制御放出錠剤製剤
親水性マトリックス系
以下の表9に、100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを親水性マトリックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。この製剤は、本明細書に開示した直接圧縮法により、制御放出剤として制御放出等級Methocel K4Mを用いて調製した。
【0206】
【表9】

また、親水性製剤#100−2も、本明細書に記載の湿式高密度化法によって調整した。
【0207】
実施例7
300mgの制御放出錠剤製剤
親水性マトリックス系
以下の表10に、300mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを親水性マトリックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。この製剤は、親水性製剤#100−3の重量を3倍圧縮することにより調製した。
【0208】
【表10】

実施例8
300mgの制御放出錠剤製剤
親水性マトリックス系
以下の表11に、300mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを親水性マトリックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。親水性製剤#300−2は、Lactose Fast FloとProsolv SMCC 90の量を減らすことによって、親水性製剤#300−1の錠剤計算重量675mgを630mgに減らすことにより調製した。
【0209】
【表11】

実施例9
100mgの制御放出錠剤製剤
親水性(非セルロース)マトリックス系
以下の表12に、100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを親水性(非セルロース)マトリックス系中に含む本発明の3種類の制御放出錠剤製剤を示す。親水性(非セルロース)製剤#100−1と#100−3は、直接圧縮法によって調製した。親水性(非セルロース)製剤#100−2は、本明細書に記載の湿式高密度化法によって調製し、活性成分とデンプンを水と混合した後、乾燥させ、直接圧縮用賦形剤とブレンドした。3種類の製剤はすべて、225mgの錠剤重量を有した。
【0210】
【表12】

また、親水性(非セルロース)製剤#100−2も、本明細書に記載の直接圧縮法によって調製した。
【0211】
実施例10
300mgの制御放出錠剤製剤
親水性(非セルロース)マトリックス系
以下の表13に、300mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを親水性(非セルロース)マトリックス中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。親水性(非セルロース)製剤#300−1は、最終製剤中に存在させるProsolv SMCC 90、Lactose Fast FloおよびCarbopol 71Gの量を減らすことによって最終錠剤計算重量675mgを630mgに減らした後、親水性(非セルロース)製剤#100−2の計算重量を3倍圧縮することにより調製した。
【0212】
【表13】

実施例11
100mgの制御放出製剤
疎水性マトリックス系および脂肪/ワックス系
以下の表14に、100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを疎水性マトリックス系または脂肪/ワックス(熱溶解)系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。これらの製剤は、本明細書に開示した方法によって調製した。実施例1で調製した親水性マトリックス系製剤を、比較目的だけのために示す。
【0213】
【表14】

実施例12
100mgの制御放出製剤
疎水性マトリックス系
以下の表15に、100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを疎水性マトリックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。疎水性製剤#100−2と疎水性製剤#100−3は、制御放出剤としてKollidon SRおよびエチルセルロースStandard 4を用いて調製した。疎水性製剤#100−4は、制御放出ポリマーとしてKollidon SRおよびEudragit RS POを用いて調製した。3種類の製剤はすべて、本明細書に開示した直接圧縮法によって加工処理した。
【0214】
【表15】

以下の表16に、100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを疎水性マトリックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。この製剤、疎水性製剤#100−5は、湿式高密度化法によって調製した。
【0215】
【表16】

実施例13
100mgの制御放出製剤
親水性/疎水性マトリックス系
以下の表17に、100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを親水性/疎水性マトリックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。親水性/疎水性製剤#100−1は、疎水性薬剤としてマルトデキストリン、および親水性制御放出剤としてCarbopol 71Gを用いて調製した。この製剤は、本明細書に開示した直接圧縮法を用いて調製した。
【0216】
【表17】

以下の表18に、100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを親水性/疎水性マトリックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。親水性/疎水性製剤#100−2は、本明細書に開示した湿式高密度化法を使用し、主な疎水性制御放出剤としてKollidon SRとEudragit RS PO、および親水性制御放出剤としてMethocel K4Mを用いて調製した。
【0217】
【表18】

実施例14
300mgの制御放出製剤
親水性/疎水性マトリックス系
以下の表19に、300mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを親水性/疎水性マトリックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。親水性/疎水性製剤#300−1は、親水性/疎水性製剤#100−2の重量を3倍圧縮することにより調製した(製剤中に存在させるMethocel K4M、Povidone K29/32、Kollidon SR、Eudragit RS POおよび無水Emcompressの量を低減および調整することにより、最終錠剤計算重量675mgを630mgに減らした)。
【0218】
【表19】

実施例15
100mgの制御放出製剤
脂肪/ワックス系
以下の表20に、100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを脂肪/ワックス系中に含む本発明の3種類の制御放出錠剤製剤を示す。3種類の製剤はすべて、本明細書に開示した脂肪/ワックス法によって調製し、ステアリン酸マグネシウムとステアリン酸以外のすべての成分をワックス中、すなわちセトステアリールアルコール中に分散させた。
【0219】
【表20】

また、脂肪/ワックス製剤#100−3および#100−4も、活性成分のみを脂肪/ワックス中に分散させる本明細書に記載の脂肪/ワックス法によって調製した。
【0220】
以下の表21に、100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを脂肪/ワックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。この製剤は、活性成分のみを脂肪/ワックス中、すなわちセチルアルコール中に分散させる脂肪/ワックス法によって調製した。
【0221】
【表21】

実施例16
300mgの制御放出製剤
脂肪/ワックス系
以下の表22に、300mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを脂肪/ワックス系中に含む本発明の制御放出錠剤製剤を示す。この製剤は、本明細書に開示した方法によって調製した。
【0222】
【表22】

実施例17
100mgの即放製剤
100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを含む即放錠剤製剤を、比較目的だけのために、本明細書に開示した直接圧縮法によって調製した。この製剤は、小さなPE袋内でブレンドし、続いて、適切な錠剤パンチを用いてシングルパンチベンチ打錠機にて手で圧縮した。活性成分をStarch 1500と小さなPE袋内で混合し、次いで、#30メッシュスクリーンに通した。スクリーンに通した混合物を、次いで、Prosolv SMCC90、Lactose Fast FloおよびExplotabと一緒に元のポリエチレン袋に移し、2分間混合した。次いで、このブレンドの一部(例えば、1g)を、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸とPE袋内で混合し、#30メッシュスクリーンを介してバルクブレンドに移し戻し、1分間ブレンドした。錠剤を、シングルパンチ打錠機にて適当なパンチで圧縮し、7〜12KNの錠剤硬度を得た。この製剤を以下の表23に示す。
【0223】
【表23−1】

【0224】
【表23−2】

実施例18
本発明の制御放出錠剤製剤のインビトロ溶解
本発明の製剤のインビトロ放出プロフィールは、経時的な錠剤製剤の溶解を調べることにより実験的に測定され得る。USPにより承認された溶解または放出の試験方法を用いて、放出速度がインビトロで測定され得る(USP 24;NF 19(2000)pp.1941−1951)。例えば、計量した活性成分含有錠剤を、0.9%NaCl含有水を含む定容量の溶液に添加する。このとき、該溶液の容量は、放出後の活性成分濃度が飽和率20%未満となるようにする。混合物を37℃で維持し、ゆっくり撹拌または振ることによって錠剤を懸濁状態に維持する。次いで、時間の関数としての解存活性成分の放出が、当該技術分野で知られた種々の方法(例えば、分光光度法、HPLC、質量分析など)によって、溶液濃度が一定になるまで、または活性成分の90%より多くが放出されるまで追跡され得る。
【0225】
この実施例は、本発明の実施を補助するための手引きとして示し、本発明の範囲に対する制限を意図するものではない。
【0226】
以下の表24に、100mgの活性成分を含む選択した本発明の制御放出錠剤製剤の放出の平均溶解パーセンテージを示す。表示した溶解パーセンテージは、各製剤について試験した錠剤の数に対する平均値である。
【0227】
【表24】

比較目的だけのため、図1に、100mgの活性成分を含む即放錠剤製剤(実施例13に上記のもの)の放出プロフィール(経時的な累積放出パーセント)を示す。即放錠剤製剤中の活性成分の80%より多くが15分までに溶解した。
【0228】
以下の表25に、300mgの活性成分を含む選択した本発明の制御錠剤製剤の溶解放出パーセンテージを示す。
【0229】
【表25】

実施例19
本発明の製剤のインビボ薬物動態プロフィール
本発明の製剤のインビボ 薬物動態プロフィールを以下のようにして調べた。試験対象の各製剤の薬物動態プロフィールを調べるため、管理された実験において本発明の製剤をイヌに投与した。各群のイヌには、1種類の本発明の制御放出錠剤製剤を経口投与した。血液試料を頚静脈または橈側皮静脈から、投与前(0)、投与の15、30、60、90、120、240、360、480、600および1440分後、または投与前(0)、投与の30、60、90、120、240、360、480、600、720および1440分後に採取した。
【0230】
各時点での血漿試料中の活性成分の濃度レベルは、当業者に知られた標準的な方法を用いて測定した。濃度レベルを標準薬物動態曲線(時間(分)対濃度(ng/mL))上にプロットし、無期限(AUCinf)、Cmax(活性成分のピーク血漿濃度レベル)およびTmax(ピーク血漿濃度レベルが得られたときの製剤投与からの時間)に外挿した曲線下面積を計算した。一般に、制御放出製剤は、即放製剤の薬物動態曲線と比較したとき、広がった薬物動態曲線をもたらすが、Cmaxが最小であるものであるのがよい。換言すると、本発明の各制御放出製剤には、大きなAUCinf/Cmax比が所望される。以下の実施例で認められるように、本発明の制御放出錠剤製剤では、対応する即放製剤よりも長い期間にわたって活性成分が血液中に放出され得ることが実証された。
【0231】
以下の表26に、100mgの活性成分、塩酸ベルナカラントを含む即放錠剤製剤(実施例17に上記のもの);100mgの活性成分を含む本発明の親水性制御放出錠剤製剤(すなわち、親水性製剤#100−2);300mgの活性成分を含む本発明の親水性制御放出錠剤製剤(すなわち、親水性製剤#300−1);100mgの活性成分を含む本発明の脂肪/ワックス制御放出錠剤製剤(すなわち、脂肪/ワックス製剤#100−3);および100mgの活性成分を含む本発明の疎水性制御放出錠剤製剤(すなわち、疎水性製剤#100−3)を与えたイヌにおける、活性成分、塩酸ベルナカラントの血漿濃度を示す。特に記載のない限り、濃度は、μg/mLで示し、n=3のイヌから得た平均である。
【0232】
【表26−1】

【0233】
【表26−2】

上記の濃度平均値から、曲線下面積(AUCinf)、TmaxおよびCmaxを計算し、その比(AUCinf/Cmax)を求め、以下の表27に示す。4種類の制御放出製剤はすべて、即放製剤よりも長いTmaxを有した。AUCinf/Cmax比については、5種類の製剤のうち即放製剤が最も小さい比を有し、一方、親水性製剤と脂肪/ワックス製剤が最良の比を有した。また、親水性製剤#100−2と比べて親水性製剤#300−1の濃度で、AUCinfの用量依存的増大が観察された。
【0234】
【表27】

上記に示されるように、4種類の制御放出錠剤製剤はすべて、即放錠剤(table)製剤よりも長いTmaxを有し、この4種類は、広がった薬物動態曲線を有するがCmaxは最小であった。
【0235】
以下の表28に、300mgの活性成分を含む本発明の親水性制御放出錠剤製剤(すなわち、親水性製剤#300−2);300mgの活性成分を含む本発明の脂肪/ワックス制御放出錠剤製剤(すなわち、脂肪/ワックス製剤#300−1);300mgの活性成分を含む本発明の親水性/疎水性制御放出錠剤製剤(すなわち、疎水性製剤#300−1)、および300mgの活性成分を含む本発明の親水性(非セルロース)錠剤製剤(すなわち、親水性(非セルロース)製剤#300−1)を与えたイヌにおける、活性成分、塩酸ベルナカラントの血漿濃度を示す。特に記載のない限り、濃度は、μg/mLで示し、n=3のイヌから得た平均である。
【0236】
【表28】

上記の濃度平均値から、曲線下面積(AUCinf)、TmaxおよびCmaxを計算し、その比(AUCinf/Cmax)を求め、以下の表29に示す。AUCinf/Cmax比については、親水性製剤#300−2と脂肪/ワックス製剤#300−1が最良の比を有した。
【0237】
【表29】

同等の即放錠剤製剤と比べ、4種類の製剤はすべて、長いTmaxおよび広がった薬物動態曲線を有するがCmaxは最小である。
【0238】
実施例20
ヒトに投与された本発明の制御放出製剤のインビボ薬物動態プロフィール
親水性製剤#300−2および脂肪/ワックス製剤#300−2を、それぞれ1倍用量(300mgの活性成分)として、6名の健常な男女の被験体(6被験体/製剤)に投与した。血液を、投与前(0時間)、投与の0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、16および24時後に採取した。各製剤の薬物動態パラメータの中央値を以下の表30に示す。
【0239】
【表30】

上記の結果に基づき、親水性製剤#300−2を2倍用量(600mgの活性成分)として、6名の健常な男女の被験体に投与した。血液を、投与前(0時間)、投与の0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、16および24時後に採取した。薬物動態パラメータの中央値を以下の表31に示す。
【0240】
【表31】

実施例21
心房性細動/心房粗動の再発の予防
以下の試験は、とりわけ、持続性心房性細動(72時間より長く6ヶ月より短い持続期間の心房性細動)を有するヒト被験体における本発明の製剤の有効性を評価するために行なった。
【0241】
被験体に本発明の製剤を第1日目に投与し、投与の最初の3日間モニタリングした。投与の第3日目になお心房性細動を有した被験体に、洞調律に電気的に変換した。介入(試験薬物適用以外の)なく洞調律に変換された被験体、または好成績で電気的心変換された被験体は、合計28日間の試験治療投与の試験薬物適用を継続した。
【0242】
合計221名の被験体を試験に登録させ、75名の被験体にプラセボを与え、71名の被験体に1日2回、本発明の1倍制御放出錠剤製剤、親水性製剤#300−2を含むカプセル剤1つ(300mgの活性成分を1日2回)を与え、75名の被験体に1日2回、本発明の2倍制御放出錠剤製剤、親水性製剤#300−2を含むカプセル剤1つ(600mgの活性成分を1日2回)を与えた。試験被験体の大部分は男性(61.4%)および白色人種(100%)であり、
平均年齢は64±10歳(32〜83歳の範囲)であった。合計171名の被験体は試験の第3日目までに洞調律に変換され、第28日目まで継続して試験薬物適用を受けた。
【0243】
症候性の持続性心房性細動または心房粗動の再発が最初に記録されるまでの期間は、プラセボを与えた被験体よりも活性成分を与えた被験体で長かった。プラセボ被験体の43.1%が第28日目に洞調律であったのに対し、300mgの活性成分を1日2回で治療された被験体では61.6%であり、600mgの活性成分を1日2回で治療された被験体では62.4%であった。
【0244】
この試験では、親水性製剤#300−2によって心房性細動の短期再発が低減され得ることが実証された。
【0245】
実施例22
塩酸ベルナカラントの体内動態および物質収支
静脈投与後
この試験は、塩酸ベルナカラントの薬物動態と体内動態を調べるため、および健常男性志願者への単回静脈内(IV)および経口用量の14C−塩酸ベルナカラントの投与後の物質収支を推定するに設計した。塩酸ベルナカラントは、主にCYP2D6によって代謝されるため、CYP2D6 EMおよびPMと判定されたサブセット遺伝子型を比較した。
【0246】
方法
参加者
評価前(いずれのものも)書面でインフォームドコンセントを得た8名の健常男性志願者で実施した。全員が計画どおりに試験を終了した。試験コホートは、32歳の年齢中央値(21〜42歳の範囲)を有し、6名の白人、1名の黒人、および1名のアジア人で構成した。体重の中央値は74.1kg(68.9〜85.7kgの範囲)であり、伸張の中央値は178cm(169〜199cmの範囲)であった。最初の遺伝子型判定では、6名がEM、2名がPMと特性評価されたが1名のEMは、予測どおりに表現型の特徴を示さず、その後の再試験後、中間代謝群と判定された。
【0247】
試験設計
このフェーズ1試験では、非盲検(シングルシーケンス)クロスオーバー設計を使用した。参加者は、投与前日に試験センターに入院し(すなわち、第−1日〜第21日)、240mgの14C−塩酸ベルナカラントを、第1日目に100mLの生理食塩水中にて10分間のIV注入で受け、第22日目に、標準的な食事のおよそ1時間後、経口ゲルカプセル剤で250mLの水とともに摂取した。投与された線量の比活性は0.329μCi/mgであり、総放射線量は78.96μCiであった。参加者は、放射能の回収のために尿および糞便試料の採取を確保するため、薬物投与後、センター内に7日間拘束されたままにした。通院患者としてさらに2週間の追跡後、該コホートを、各投与の3週間後(すなわち、第21日目および第42日目)にセンターに戻し、試験終了時評価を行なった。
【0248】
この試験は、ヘルシンキ宣言およびその修正条項の原則ならびに医薬品の臨床試験の実施に関する基準(Good Clinical Practices)を遵守したものであった。プロトコルおよびインフォームドコンセントの書式は、試験地の施設の倫理委員会に承認されたものであった。
【0249】
試料採取
塩酸ベルナカラントおよびその代謝産物は血漿および尿において測定し、総放射能(14C)は、血漿、全血、尿、糞便、唾液、および(適用可能な場合は)嘔吐物において測定した。第1目と第22日目、6mLの血液試料を、血漿塩酸ベルナカラントおよび総14Cの解析用に投与前、IVまたは経口投与終了の5、15、30、および45分後、ならびに1、2、4、6、8、12、18および24時間後、ならびにその後24時間ごとにさらに6日間、ならびに試験終了時評価の際に採取した。IV注入を始めて5分後および注入終了時、さらなる試料を採取した。また、第1目と第22日目、10mLの血液試料を代謝プロファイリング用に、投与の0.5、2、8、および24時間後に採取した。
【0250】
塩酸ベルナカラント、代謝産物、および14Cの測定用の尿は、投与4時間前の間、投与後0〜1、1〜2、2〜4、4〜8、8〜12、および12〜24時間間隔、次いで、さらに6日間、それぞれ24時間間隔で採取した。14C解析用の糞便試料は、投与の12〜24時間前、および投与後の7日間に、それぞれ24時間間隔で採取した。また、尿および糞便被検物は、試験終了時評価の際にも採取した。14C解析用の唾液は、投与前、その後、0.25、0.5、2、および8時間、ならびに味覚異常に関連する治療関連有害事象が起こったときはいずれも採取した。14C解析用の嘔吐物は、経口投与後の7日間にわたる期間のいずれかの時点で嘔吐が起こったときに採取した。
【0251】
安全性評価
有害事象は毎日評価し、強度および治療との関連性によって分類し、辞書MedDRAバージョン6.1に従ってコード化した。生命徴候、身体検査、12リード心電図(ECG)、および臨床検査(例えば、臨床化学検査、血液検査および尿検査)を、スクリーニング時、投与7日後、および試験終了時評価の際に評価した。遠隔測定モニタリングを、投与のおよそ12時間前に開始し、その後、24時間継続した。また、生命徴候および12リードECGは投与15分前に得た;生命徴候評価は、投与の15、30、60、および90分後、ならびに次いで、7日間毎日繰り返し行なった。
【0252】
CYP2D6遺伝子型判定
CYP2D6遺伝子型判定は、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応により、単一ヌクレオチド多型解析によって行なった(Capio Diagnostik AB,Eskilstuna,Sweden)。
【0253】
薬物動態解析
塩酸ベルナカラント、化合物2、化合物3、および化合物4代謝産物、ならびにその対応するグルクロン酸抱合生成物(図7;文字Gで表示)の血漿および尿中の濃度は、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(LC/MS/MS)によって測定した。血漿試料は、まず、30mgのMCX相(Waters,Milford,Mass)を含むSPEカートリッジでの固相抽出に供した。尿試料は直接解析した。グルクロニドの硫酸抱合体の測定には、血漿と尿の試料をβ−グルクロニダーゼ溶液(0.1M酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)中5000単位/mL)での酵素的脱抱合に供し、37℃で30時間(血漿)または20時間(尿)インキュベートした。続いて、尿試料をカラムに直接インジェクトし、血漿試料をさらに、SPEで上記のようにして処理した。100μLのアリコートをAlliance 2690型Separations Module(Waters)内で40℃に維持したCadenza CD−C18カラム(250×4.6mm内径、3μm粒径;Imtakt,京都,日本)にインジェクトした。試料を1.0mL/分の流速で、移動相メタノール(A相)と15mMのギ酸アンモニウム含有水(B相)(30%:70%、v:v)で35分間溶出した後、90%:10%(v.v)までの勾配工程を7分間行なった。ラジオクロマトグラムを、LCカラム溶出液を、ASI Quicksplitアジャスタブルフロースプリッターにより2つの部分に分けることによって記録した。主要部分をFoxy 200フラクションコレクター(Isco,Lincoln,Neb)に指向し、Pico Fluor 30(登録商標)シンチラントを各画分に添加し、放射能をPackard TriCarbTM液体シンチレーション分析装置にて計数した。LCカラム溶出液の他方の部分は、イオンスプレー検出器を備えたAPI 3000型MS(MDX Sciex,Concord,Canada)に指向し、構造の確認と同定を行なった。
【0254】
薬物動態値を、ノンコンパートメント解析を用い、WinNonlinバーsジョン5.0(Pharsight Corp、Mountain View,Calif)によって解析した。パラメータには、薬物濃度−時間曲線下面積(AUC0〜t)(時間0から最後の測定可能な濃度(C)の時間まで台形積分によって計算);時間0から無期限まで外挿したAUC(AUC0〜t+C/kelとして計算、式中、kelは、log C−時間曲線(AUC0〜∞)の最終線形部分の線形回帰によって計算される最終排出速度定数である);排出半減期(t1/2)(ln2/kelとして計算);観測された最大薬物濃度(Cmax)およびこれが内挿なく観察された時間(Tmax);クリアランス(CL)(用量/AUC0〜∞として計算);最終相の見かけ分布容積(Vdz);定常状態での分布容積(Vss);および腎クリアランス(CL)(尿/血漿AUC0〜∞における未変化総塩酸ベルナカラントとして計算)を含めた。経口バイオアベイラビリティ(F)は、IV投与後のAUC0〜∞に対する経口投与後のAUC0〜∞の比から測定し、これを用いて経口クリアランス(CL/F)、経口投与後のVdz(Vdz/F)、および経口投与後のVss(Vss/F)を計算した。
【0255】
これらの薬物動態解析および総放射能の測定値は、投与以降168時間(7日間)にわたる期間のものであった。尿中に排出されたこれらの解析物の量を、時間によって7日間にわたって累積的に計算した。また、尿および糞便(ならびに適用可能な場合は嘔吐物)中の総14Cも、時間によって試験期間にわたって累積的に測定し、物質収支を推定した。
【0256】
統計学的方法
血漿および尿中の塩酸ベルナカラントおよび代謝産物の濃度ならびに血漿、全血、尿、糞便、および唾液中の総14Cを記述的に解析した。定量下限より下の濃度は0とした。また、薬物動態値にも同様に記述統計学を使用した(5名のEMと2名のPMに別々に提示)。中間代謝群は、下位群比較から除外した。安全性パラメータを、コホート全体について記述的にまとめた。
【0257】
結果
薬物動態
IV投与後(図4)および経口投与後(図5)の塩酸ベルナカラントおよびその代謝産物の血漿濃度−時間プロフィールを示す。IV投与では、EMとPMで類似したCmaxが得られた。しかしながら、経口投与では、PMにおいてEMよりも3倍大きいCmaxが見られた。アルファ分布相の後では、EMとPM間で、いくつかの違いが明白であった。塩酸ベルナカラントの血漿濃度は、90分後、EMにおいてずっとより急速に減少した。平均血漿中化合物2G濃度は、EMにおいてPMよりもかなり高かったが、化合物4と化合物4Gの平均濃度はかなり低かった。塩酸ベルナカラントのグルクロン酸抱合は、EMではあまり顕著でなかった。濃度−時間プロフィールは、IV注入後と経口投与後で定性的に類似していた。
【0258】
塩酸ベルナカラントは、遺伝子型とな無関係に、IV注入後、組織内に広範に分布した:平均Vssは、EMで123.1LおよびPMで112.7Lであった;それぞれの平均Vdz値は208.9Lおよび162.2Lであった。対照的に、塩酸ベルナカラントの平均最終t1/2は、IV注入後、PMにおいてEMよりも長かった(5.66時間対2.19時間)(表32)。この差は、PMにおける3.3倍低い血漿CL速度を反映するものであった(19.8L/時対64.9L/時);その結果、塩酸ベルナカラントに対する総曝露は、PMにおいて3倍高かった(AUC0〜∞、11035ng・h/L対3605ng・h/L)。
【0259】
塩酸ベルナカラントは、経口投与後、速やかに吸収され、平均Tmaxは、EMで1.8時間およびPMで1.25時間であった(表32参照)。塩酸ベルナカラントの血漿CLは、PMにおいて再度低速となり、このサブセットにおいて、t1/2は2.5倍長く(4.73時間対1.89時間)、AUC0〜∞は6倍大きかった(9090ng・h/mL対1504ng・h/mL)。塩酸ベルナカラントの経口バイオアベイラビリティ(経口投与後とIV投与後のAUC0〜∞比から測定)は、EMで40.2%およびPMで81.8%であった。
【0260】
また、4−O−脱メチル化化合物2、3−O−脱メチル化化合物3、ベルナカラントジアステレオ異性体化合物4、ならびにそのそれぞれのグルクロニド(ベルナカラントグルクロニドである化合物2G、化合物3G、および化合物4G)などの塩酸ベルナカラントの代謝産物の薬物動態値も測定した。EMにおける主代謝産物は化合物2Gであった。これは、急速に形成され、10分間の注入の終了時までに測定可能となった(図4)。血漿中化合物2G濃度は、EMにおいて、IV注入後1.4時間までに、および経口投与後2.4時間までに最高に達し(図4および5)、それぞれ、3.3時間および3.2時間のt1/2で排出された(表32)。平均Cmaxは、EMにおいてPMよりもおよそ15〜20倍大きく、平均AUC0〜∞は10倍大きかった。対照的に、PMにおける主代謝産物はベルナカラントグルクロニドであり、PMにおいて、Cmax値は2倍大きく、AUC0〜∞値はおよそ4倍大きかった。
【0261】
代謝産物化合物3は、ほとんどの時点で血漿中に検出可能ではなかったが、化合物3Gは測定可能であった。化合物3GのAUC0〜∞は、PMにおいてEMよりもおよそ3倍大きく、サブセット間のCmaxの大きな差ではなく長いt1/2を反映していた。最後に、化合物4と化合物4Gは、たいていPMにおいて確認された。Tmaxとt1/2の値に鑑みると、これらの代謝産物はともに、PMにおいて、他の代謝産物よりもゆっくり生成および排出されるようである。
【0262】
尿中排出
未変化塩酸ベルナカラントは、PMにおいてEMよりも、IV注入後(22.6%対8.5%)および経口投与後(21.9%対3.5%)、尿中回収で大きな割合を占めた。未変化塩酸ベルナカラントの排出速度は、IV注入後、最初の1時間で最大となった(EMとPMで、それぞれ、7.04mg/時および8.33mg/時)。未変化薬物の尿中回収は、EMで24時間以内およびPMで48時間以内に終了した。IV注入後の塩酸ベルナカラントの平均CLは、EMで5.60L/時およびPMで4.43L/時であった。投与後7日間までの塩酸ベルナカラント代謝産物の累積量の比較は、下位群間で観察された血漿濃度の差を裏付ける。EMの尿からは化合物2と化合物2Gが高量で回収され、一方、PMでは、ベルナカラントグルクロニド、化合物3G、化合物4、および化合物4G(高レベルの未変化塩酸ベルナカラントに加えて)が高量で回収された(表33)。
【0263】
総合放射能
血漿の総14Cのt1/2は、14C−塩酸ベルナカラントのIV注入後(9.46時間対4.59時間)および経口投与後(7.78時間対4.21時間)、PMにおいてEMよりも長かった(表3)。それにもかかわらず、PMにおいて、総14Cの平均AUC0〜∞は12%〜14%しか大きくなかった。定性的に類似した結果が、全血中の総14Cで得られたが、CmaxとAUC0〜∞の値が小さいことにより、塩酸ベルナカラントおよびその代謝産物は、循環中の血液細胞によって取り込まれないことが示唆された(表34)。唾液中では、総14Cは、IV注入の0.4時間後および経口投与の2時間後にピークになり、Cmax値は、EM(1498ng・eq/mL対257ng・eq/mL)とPM(1435ng・eq/mL対693ng・eq/mL)の両方において、経口投与後よりもIV投与後の方が高かった。
【0264】
物質収支
尿中14Cの平均回収率は、IV注入後(92.9%対84.3%)と経口投与後(91.4%対81.7%)の両方で、EMにおいてPMよりもわずかに高かった(図6)。しかしながら、1例のPMは、IV投与後の尿のロス(対応する尿中14C回収率は72.2%)および経口投与後の尿試料廃棄(対応する尿中14C回収率は76.5%)が疑われた。低レベルの放射能(ほぼ定量下限の10dpm/mL)が、第42日目の試験終了時評価の際に、3名の被験体で検出され、これは、おそらく14C定量法のバックグラウンドノイズを反映するものであった。14Cの糞便中回収率の平均は、IV注入後では、EMで7.3%およびPMで5.6%であり、経口投与後では、それぞれ、7.7%および6.5%であった。第42日目、糞便試料中に放射能は検出されなかった。
【0265】
14C−塩酸ベルナカラントの投与後の尿中および糞便中の14C回収率を合計し、物質収支の推定値を得た。平均回収率は、IV注入では、EMで99.7%およびPMで89.2%であり、経口投与後では、EMで98.7%およびPMで88.2%であった。PMの方が回収率が低いのは、おそらく、1名の被験体の尿のロスと試料廃棄の疑いが反映されている。
【0266】
安全性
治療により発生した有害事象は、14C−塩酸ベルナカラントのIVおよび経口投与後、8名の被験体のうち6名(75%)で起こったが、いずれもこの理由で中断しなかった。最もよくみられる有害事象である頭痛は、各投与経路後、3名の被験体で報告されたが、IV投与後と経口投与後の両方で頭痛を訴えたのは1名であった。味覚異常は、IV注入後で3名の被験体に認められたが、経口投与後には起こらなかった。1名より多くの被験体が受けたその他の唯一の有害事象は、感覚異常(IV注入後、2名の被験体)および発疹(経口投与後、2名の被験体)であった。検査員は、インフルエンザ関連の疾病と裂肛の症状発生(各1名)(これらは、中等度であったが、試験治療とは無関係であった)以外のすべての有害事象を軽度とランク付けした。IVおよび経口投与後の2名の被験体の頭痛、ならびにIV投与後の3例の味覚異常は、1名より多くの個体で起こった唯一の薬物関連有害事象であった。
【0267】
脈拍数の低下(最大、6拍/分)が、各投与の60分以内に観察された。IV注入の30分後および経口投与の60分間後、拡張期血圧のわずかな一過性の増大が生じた。収縮期血圧には、一貫性のある変化は記録されなかった。ECGでは、臨床的に重要な変化は示されなかった。4名の参加者は、塩酸ベルナカラント投与の前日にECGの異常(心室内伝導遅延が3名および頻脈が1名)を有したが、検査員は、臨床的に有意でないとみなした。有害事象と報告された臨床的に重要な検査所見はなかった。主に通院患者期間の間に4名の参加者に明白であったクレアチンキナーゼレベルの上昇は、運動によるものであった。
【0268】
考察
塩酸ベルナカラントは、速やかに広範に分布および代謝され、これは、この試験において、IV注入の30分後および経口投与の60分後、その主代謝産物と比べて未変化薬物の血漿濃度が低いことにより証明される。回収された代謝産物は、両方の投与経路で定性的に類似しており、個体のCYP2D6遺伝子型に依存性であった。EMでは、塩酸ベルナカラントは、主にCYP2D6によって4−O−脱メチル化代謝産物である化合物2に代謝され、そのほとんどは速やかにグルクロン酸抱合された。また、塩酸ベルナカラントも直接グルクロン酸抱合された(これは、特にPMで顕著である);3−O−脱メチル化による化合物3への代謝、またはキラル反転による化合物4への代謝は、EMとPMにおいて副経路のようであり、EMではさらに重要性が低かった。グルクロニド抱合体は、典型的には不活性であり、速やかに排出されるが、場合によっては、親薬物に戻ってに再利用されることがあり得る(Kroemer H.KおよびKlotz,U.Clin.Pharmacokinet.23:292−310(1992))。しかしながら、塩酸ベルナカラントと化合物2の濃度−時間プロフィールでは、再利用の兆候は示されなかった。さらに、塩酸ベルナカラントは速やかに、主に尿中に排出され、未変化薬物と代謝産物のかなりの回収率が、投与後、最初の数時間以内にに見られた。塩酸ベルナカラントは、EMとPMの両方で、組織内に広範に分布した。平均VdzおよびVssは、総血液容量(70kgの人で、およそ5.2L)よりもおよそ30〜40倍多く、総体水分量(70kgの人で、およそ42L)よりも4〜5倍多かった(Davies,B.およびMorris,T.,Pharm Res.10:1093−1095(1993))。この速やかで広範な分布は、おそらく、IV投与の場合でEMとPM間に見られたCmaxに差がないことが原因であった。
【0269】
塩酸ベルナカラントの代謝は、PMにおいてEMよりも遅く、広範でなく、これは、PMサブセットで血漿AUCと未変化塩酸ベルナカラントの尿中回収率が大きいことに反映されていた。投与後、後になるほど未変化薬物の血漿レベルが高いことと整合して、塩酸ベルナカラントは、PMにおいてよりゆっくりと排出され、該サブセットにおいて、未変化塩酸ベルナカラントのt1/2が約2.5倍長いという結果を伴った。また、代謝産物のプロフィールもEMとPM間で異なった(図7)。予測どおり、EMでの主代謝産物である化合物2Gは、主代謝産物がベルナカラントグルクロニドであるPMではずっと少ない量で生成された。化合物4、化合物4G、および化合物3Gは副代謝産物であったが、それぞれ、PMにおいてEMよりも高量で生成された。
【0270】
塩酸ベルナカラントは、経口投与後、速やかに吸収されたが、経口バイオアベイラビリティは、PMにおいてEMよりもおよそ2倍高く(81.9%対40.2%)、おそらく、低い前全身性(presystemic)クリアランスの結果としてのPMにおける高い薬物曝露に寄与した。
【0271】
IV投与と経口投与の両方で、試験の7日間の臨床部分の終了までの物質収支を示した。EMでは、投与された14C線量の平均回収率は、IV注入後で99.7%および経口投与後で98.7%であった。14Cの平均回収率はPMの方が低いようであったが、このサブセットは構成員が2人だけであり、そのうち1人は、IV投与後の尿のロスおよび経口投与後の尿試料の廃棄が疑われた。物質収支の表示は、投与の7日後での血漿、尿、および糞便中の測定可能な放射能の非存在、ならびに総14Cのt1/2(IV注入後、EMで4.59時間およびPMで9.46時間;経口投与後では、4.21時間および7.78時間)によって支持された。
【0272】
この試験で使用した塩酸ベルナカラントの240mgという用量は、AF患者臨床試験で使用された用量と一致している(Roy,D.ら.,J.Am.Coll.Cardiol.44:2355−2361(2004))。70kgの人で、240mgは3.4mg/kgに相当する。臨床試験では、塩酸ベルナカラントが3mg/kgのIV注入として10分間投与された;15分間の観察期間後、AFが持続している場合は2mg/kgの2回目の10分間注入を行なった。この計画では、AFが洞調律に速やかに変換され、充分耐容性があった。同様に、徐放製剤として300mgを1日2回の経口用量は、充分耐容性があり、AFから転換後の洞調律の維持に有効であることがわかった。11
本発明の試験では、塩酸ベルナカラントの単回用量は充分耐容性があった。頭痛と味覚異常(後者は、IV注入後でのみ見られた)が最もよくみられた有害事象であった。試験中、被験体の生命徴候またはECGにおいて、臨床的に重要な変化は見られなかった。
【0273】
さらなる臨床試験
塩酸ベルナカラントの薬物動態と代謝に対するCYP2D6遺伝子型の効果もまた、2つの無作為化二重盲検プラセボ対照比較多施設フェーズ3試験において解析した。この試験では、年齢が18歳以上で、3時間を越えて45日間以下持続している典型的なAFまたは非典型的AFLを有する患者を、塩酸ベルナカラント3mg/kgまたはプラセボのいずれかの10分間注入し、その後、15分間の観察期間後にAFまたはAFLが存在した場合は、塩酸ベルナカラント2mg/kg(またはプラセボ)の2回目の10分間注入によって治療した。塩酸ベルナカラントおよびその4−O−脱メチル化代謝産物(化合物2)の血漿濃度を、有効なLC−MS/MS法(定量加減が0.005μg/ml)によって測定した。CYP2D6遺伝子型判定は、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応により、単一ヌクレオチド多型解析によって行なった(Capio Diagnostik AB,Eskilstuna,Sweden)。CYPD6遺伝子型は193名の患者において評価した;7名の患者のみがPM遺伝子型を有した。
【0274】
代謝産物である化合物2が低濃度で、最初の注入開始の10〜35分後に採取した血液試料中に存在し、35〜50分までにピーク濃度に達した。2倍用量の塩酸ベルナカラントを与えた6名のCYP2D6 PMでは、塩酸ベルナカラントのCmaxとAUC0〜90が、EMで見られた値と同等であった(図8)。1例のCYP2D6 PMには1倍用量の塩酸ベルナカラントを与え、この被験体のCmaxとAUC0〜90の値は、EMの平均値よりも高かったが、EM間で見られた値の範囲内であった。
【0275】
結論
塩酸ベルナカラントの薬物動態と代謝は、CYP2D6遺伝子型に依存性である。塩酸ベルナカラントは注入の間、速やかに広範に分布し、これにより、IV投与ではEMとPMで類似したCmax値がもたらされたが、経口投与ではそうではなかった。EMと比べて、PMは、未変化塩酸ベルナカラントに対する全体的曝露が長く、薬物排出t1/2が長く、化合物2G濃度が低く、ベルナカラントグルクロニドならびに副代謝産物(化合物4、化合物3、およびそのそれぞれのグルクロニド)の濃度が高かった。このようなクリアランス代替経路により、塩酸ベルナカラントに対する曝露におけるEMとPM間の差の大きさが低減される。
その大きさを考慮すると、この差は、例えば、急性不整脈の即時的治療のためのIVの短期使用では、臨床的にあまり重要でないようであるが、例えば、不整脈の予防のための長期使用または経口投与には重要であり得る。
【0276】
【表32−1】

【0277】
【表32−2】

【0278】
【表32−3】

【0279】
【表33】

【0280】
【表34】

上記の種々の実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態が得られ得る。本明細書で言及および/または出願データシートに列挙した米国特許、米国特許出願公開公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物はすべて、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、必要であれば、種々の特許、出願および公開公報の概念を採用してまたさらなる実施形態を得るために修正してもよい。
【0281】
これらおよび他の変形が、上記の詳細説明に鑑みて本実施形態に対して行なわれ得る。一般に、添付の特許請求の範囲において、用いた用語によって特許請求の範囲の範囲が本明細書および特許請求の範囲に開示した具体的な実施形態に限定されるべきではなく、可能なあらゆる実施形態が、権利付与されるかかる特許請求の範囲の充分な均等の範囲とともに包含されると解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の不整脈を予防する方法であって、該方法は:
(a)該哺乳動物が、シトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)であるか、シトクロムP450(CYP)2D6高代謝群であるかを判定する工程;および
(b)該哺乳動物に、構造:
【化18】

を有するイオンチャネル調節化合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含み、該構造は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される、方法。
【請求項2】
前記組成物が、式:
【化19】

の一塩酸塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
哺乳動物の不整脈を予防する方法であって、該方法は:
(a)該哺乳動物が、シトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)であるのか、またはシトクロムP450(CYP)2D6高代謝群であるかを判定する工程;および
(b)該哺乳動物に、約0.1μg/ml〜約10μg/mlの血漿濃度(Cmax)が少なくともある程度の期間、達成されるのに充分な量のイオンチャネル調節化合物を投与する工程を含み、該イオンチャネル調節化合物は、式:
【化20】

のイオンチャネル調節化合物を含み、該式は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される、方法。
【請求項4】
前記イオンチャネル調節化合物が、式:
【化21】

の一塩酸塩である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
シトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)である哺乳動物の不整脈を予防する方法であって、該方法は:
(a)該哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6 PMであると特定する工程;および
(b)該哺乳動物に、構造:
【化22】

を有するイオンチャネル調節化合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含み、該構造は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される、方法。
【請求項6】
前記組成物が、式:
【化23】

の一塩酸塩を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
シトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)である哺乳動物の不整脈を予防する方法であって、該方法は:
(a)該哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6 EMであると特定する工程;および
(b)該哺乳動物に、構造:
【化24】

を有するイオンチャネル調節化合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含み、該構造は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される、方法。
【請求項8】
前記組成物が、式:
【化25】

の一塩酸塩を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
投与が、経口、局所、非経口、舌下、経直腸、経膣、および鼻腔内からなる群より選択される経路によるものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記非経口投与が、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、硬膜外注射、胸骨内注射、および注入からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記経口投与が、粉末剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、チューインガム、オブラート、およびロゼンジからなる群より選択される経口投薬形態を投与することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記不整脈が心房性不整脈である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記心房性不整脈が心房性細動である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記不整脈が心室性不整脈である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記心室性不整脈が心室性細動である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記心室性細動が急性虚血の際に起こるものである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記不整脈が術後不整脈である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記不整脈が、以前に1回以上の不整脈を経験したことがある哺乳動物の再発性不整脈である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記治療有効量が、前記哺乳動物の血漿中の前記イオンチャネル調節化合物の総濃度が、約1ng/ml〜約10μg/mlの平均トラフ濃度および/または約1ng/ml〜約10μg/mlの定常状態濃度を有することが達成されるのに充分である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記哺乳動物の血漿中の前記イオンチャネル調節化合物の総濃度が、約0.3μg/ml〜約3μg/mlの平均トラフ濃度および/または約0.3μg/ml〜約3μg/mlの定常状態濃度を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記イオンチャネル調節化合物が、2回以上の用量で投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記イオンチャネル調節化合物が、該イオンチャネル調節化合物と、カルボマー、マルトデキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリオキソアセテートからなる群より選択される少なくとも1種類の親水性マトリックス系ポリマーとを含む錠剤製剤の1回以上の用量で投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記イオンチャネル調節化合物が、約50〜1500mg/日の投薬量で投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
哺乳動物においてシトクロムP450によって代謝されるイオンチャネル調節化合物のバイオアベイラビリティを増大させる方法であって、該哺乳動物に、該イオンチャネル調節化合物と、有効量のシトクロムP450阻害化合物を投与する工程を含む、方法。
【請求項25】
シトクロムP450(CYP)2D6によって代謝されるイオンチャネル調節化合物の長期投与に適した哺乳動物を特定する方法であって、該方法は:
(a)不整脈のリスクがある哺乳動物を特定する工程;および
(b)該哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)であると判定する工程
を含む、方法。
【請求項26】
前記不整脈が、再発性不整脈または術後不整脈である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記哺乳動物が、以前に1回以上の不整脈を経験したことがある、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
哺乳動物の不整脈を予防する方法であって、該方法は:
(a)不整脈のリスクがある哺乳動物を特定する工程;
(b)該哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)であると判定する工程;および
(c)該哺乳動物に、構造:
【化26】

を有するイオンチャネル調節化合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程
を含み、該構造は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択され、該化合物が該哺乳動物に長期間投与される、方法。
【請求項29】
前記化合物が経口投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、式:
【化27】

の一塩酸塩を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
シトクロムP450(CYP)2D6によって代謝されるイオンチャネル調節化合物の長期投与から除外される哺乳動物を特定する方法であって、該哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)であると判定する工程を含む、方法。
【請求項32】
哺乳動物の不整脈を予防する方法であって、該方法は:
(a)該哺乳動物を、シトクロムP450(CYP)2D6高代謝群(EM)またはシトクロムP450(CYP)2D6低代謝群(PM)であると特定する工程;および
(b)該哺乳動物がシトクロムP450(CYP)2D6 EMと特定された場合は、該哺乳動物に、構造:
【化28】

を有するイオンチャネル調節化合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程
を含み、該構造は、それらの単離された鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物、またはその溶媒和物もしくは薬学的に許容され得る塩を包含し、式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシから選択される、方法。
【請求項33】
前記組成物が、式:
【化29】

の一塩酸塩を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
哺乳動物に、塩酸ベルナカラントと1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む制御放出錠剤製剤の有効量を一定の期間、経口投与する工程を含む、哺乳動物の不整脈の予防方法。
【請求項35】
前記哺乳動物に投与される塩酸ベルナカラントの量が600mg/日より多い、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記哺乳動物に投与される塩酸ベルナカラントの量が600mg/日〜1800mg/日である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記哺乳動物に投与される塩酸ベルナカラントの量が約1000mg/日である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤の少なくとも1種類が、カルボマー、マルトデキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリオキソアセテートからなる群より選択される親水性マトリックス系ポリマーである、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記制御放出錠剤製剤が、約250mgの塩酸ベルナカラント;約100mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mgのアルファ化デンプン;約75mgのケイ化微晶質セルロース;約67.5mgのラクトース一水和物;約3.75mgのステアリン酸;および約3.75mgのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記制御放出錠剤製剤が、約300mgの塩酸ベルナカラント;約120mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約30mgのアルファ化デンプン;約90mgのケイ化微晶質セルロース;約81mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記制御放出錠剤製剤が、約300mgの塩酸ベルナカラント;約150mgのセトステアリールアルコール;約105mgのケイ化微晶質セルロース;約111mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記哺乳動物に投与される塩酸ベルナカラントの量が約1000mg/日である、請求項39〜41いずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記有効量の制御放出錠剤製剤が前記哺乳動物に1日2回以上の用量で投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記有効量の制御放出錠剤製剤が前記哺乳動物に1日2回の用量で投与され、各用量が約500mgの塩酸ベルナカラントを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記不整脈が再発性不整脈である、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記不整脈が術後不整脈である、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記期間が48時間より長い、請求項34に記載の方法。
【請求項48】
前記期間が1週間より長い、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記期間が30日間より長い、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記期間が90日間より長い、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
哺乳動物の不整脈の再発を予防または遅延させる方法であって、該方法は、該哺乳動物に有効量の塩酸ベルナカラントを経口投与する工程を含み、該塩酸ベルナカラントが該哺乳動物に約500mgの投薬量で1日2回投与される、方法。
【請求項52】
前記塩酸ベルナカラントが前記哺乳動物に制御放出経口錠剤製剤で投与され、該錠剤が各々、約250mgの塩酸ベルナカラント;約100mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mgのアルファ化デンプン;約75mgのケイ化微晶質セルロース;約67.5mgのラクトース一水和物;約3.75mgのステアリン酸;および約3.75mgのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
哺乳動物の不整脈の再発を予防または遅延させる方法であって、該哺乳動物に有効量の塩酸ベルナカラントを経口投与する工程を含み、該塩酸ベルナカラントが該哺乳動物に約300mgの投薬量で1日2回投与される、方法。
【請求項54】
前記塩酸ベルナカラントが前記哺乳動物に制御放出経口錠剤製剤で投与され、各々の錠剤が、約300mgの塩酸ベルナカラント;約120mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約30mgのアルファ化デンプン;約90mgのケイ化微晶質セルロース;約81mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記塩酸ベルナカラントが前記哺乳動物に制御放出経口錠剤製剤で投与され、各々の錠剤が、約300mgの塩酸ベルナカラント;約150mgのセトステアリールアルコール;約105mgのケイ化微晶質セルロース;約111mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
150mg〜500mgの塩酸ベルナカラントを含む、塩酸ベルナカラントの単位剤形。
【請求項57】
約250mgの塩酸ベルナカラントを含む、請求項56に記載の単位剤形。
【請求項58】
約300mgの塩酸ベルナカラントを含む、請求項56に記載の単位剤形。
【請求項59】
約500mgの塩酸ベルナカラントを含む、請求項56に記載の単位剤形。
【請求項60】
約250mgの塩酸ベルナカラント;約100mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mgのアルファ化デンプン;約75mgのケイ化微晶質セルロース;約67.5mgのラクトース一水和物;約3.75mgのステアリン酸;および約3.75mgのステアリン酸マグネシウムを含む、塩酸ベルナカラントの制御放出錠剤製剤。
【請求項61】
約300mgの塩酸ベルナカラント;約120mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約30mgのアルファ化デンプン;約90mgのケイ化微晶質セルロース;約81mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む、塩酸ベルナカラントの制御放出錠剤製剤。
【請求項62】
約300mgの塩酸ベルナカラント;約150mgのセトステアリールアルコール;約105mgのケイ化微晶質セルロース;約111mgのラクトース一水和物;約4.5mgのステアリン酸;および約4.5mgのステアリン酸マグネシウムを含む、塩酸ベルナカラントの制御放出錠剤製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−526102(P2010−526102A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506692(P2010−506692)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/062551
【国際公開番号】WO2008/137778
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(505408756)カーディオム ファーマ コーポレイション (12)
【Fターム(参考)】