イオンビーム走査制御方法、及びイオンを均一に注入するためのシステム
本発明の一形態は、帯状のイオンビームのイオンフラックスを調整するための調整方法に関する。この方法は、帯状イオンビームを形成するために、或るイオンビームが或る走査速度にて走査され、複数のダイナミックビームプロファイルがイオンビームが走査されるにつれて測定される。修正された走査速度は、走査されたイオンビームの測定された複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて算出される。イオンビームは、修正された走査速度にて走査され、修正された帯状イオンビームを得ることができる。また、他の方法及びシステムについても説明している。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、概してイオン注入システムに関し、より詳細には、被加工品の全域にわたってイオンビームを均一に走査することができるように構成されたシステム及び方法に関する。
【0002】
〔背景〕
半導体装置や他の製品の製造において、不純物を、半導体ウエハ、表示パネル、あるいは他の被加工品にドーピングするために、イオン注入が用いられる。イオン注入手段あるいはイオン注入システムは、イオンビームを被加工品に照射して被加工品内に、nまたはp型ドープ領域を形成したり、あるいは、保護層(passivation layers)を形成したりする。半導体のドーピングに用いる場合には、イオン注入システムは所望の外部材料(extrinsic material)を形成するために、選択されたイオン種を注入する。具体的には、アンチモン、ヒ素、あるいはリンから生成されたイオンを注入すると、半導体ウエハの領域内にn型外部材料を形成することができ、一方、ホウ素、ガリウム、あるいはインジウムから生成されたイオンを注入すると、p型外部材料を形成することができる。
【0003】
一般的には、被加工品に対して均一にイオンを注入することができるとされている。そのため、従前のシステムは、較正オペレーションを受け、ビームスキャナの電圧波形の調整が行なわれる。これにより、走査方向に沿ってビームの焦光変化の防止、及び/または、他のビームのゆらぎに対する補償が可能となる。これは一般に、2地点法(point-to-point fashion)にて行なわれ、プロファイル領域及び電圧範囲を、プロファイルを等間隔にした一連の離散点に再分割することによっておこなわれる。各離散点に関しては、その位置に測定センサが設けられており、走査ビームフラックスがその位置で測定される。各測定が完了すると、測定センサは次の位置に移動して停止し、次の測定を実行する。このような測定は、各位置にて繰り返され、ポイントビームもしくはビームプロファイルが走査を通して一定であると仮定することによって、プロファイルの非均一性を補償するために最後の走査波形が調整される。
【0004】
しかしながら、イオンビームの幅が、狭く、且つ、標的領域全域に対して比較的一定である場合では従前の2地点走査較正技術が適切である一方で、そのような技術は、イオンビームの幅が広く、及び/または走査方向に沿って幅が変化するような場合には、好ましくないと言える。具体的には、仮にビームの幅が広く、及び/または標的領域全域で幅が変化するような場合であれば、上記の2地点走査較正技術は上手くいかず、ビームセンターから離れたビームによって生成される被加工品ドース(dose)の原因となる。これは、空間電荷拡張(space charge expansion)(例えば、走査またはX方向におけるラテラル相違)となる低エネルギーイオンビームにとって特に問題である。
【0005】
加えて、従前の2地点走査較正技術は、十分なデータをえるためにかなりの時間を要する。従前のシステムにおいて一般的には、上記のような2地点走査較正技術は、X方向に複数のビーム経路が合わさる。各ビーム経路に対して数秒必要であるため、従前のシステムは、1つの較正を行なうために数分かかってしまう。プロタイプや試用体などの限られた数のウエハの後で、イオン注入手段が再較正される場合には、スループットに著しい影響を与えることになる。
【0006】
従って、較正時間が短く、均一なイオン注入を可能にするイオンビーム走査構成技術の改良が求められている。
【0007】
〔要約〕
ここでは、本発明について要約し、本発明の基本的な特徴についての理解を促すものである。尚、ここでの記載が、本発明の範囲を限定するものにはならないことを付言する。更に言えば、要約の目的は、本発明のいくつかの概念を簡易に示すものであり、詳細な説明については後述する。
【0008】
本発明の一実施形態としては、帯状のイオンビームのイオンフラックスを調整するための調整方法に関する。この方法においては、帯状イオンビームを形成する(得る)ために、或るイオンビームが或る走査速度にて走査され、且つ、複数のダイナミックビームプロファイルがイオンビームが走査されるにつれて測定される。修正された走査速度は、走査されたイオンビームの測定された複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて算出される。イオンビームは、修正された走査速度にて走査され、修正された帯状イオンビームを得ることができる。
【0009】
以下に、本発明の詳細及び実施形態について説明し、図面を示す。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の範囲内において様々な変形例を含むものとする。
【0010】
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、スキャナと、並列化手段(parallelizer)と、線量測定システムとを有するイオン注入システムの一実施形態を示す。
【0011】
図1Bは、図1Aに示したスキャナと、走査イオンビームとの一実施形態を示す。
【0012】
図1Cは、図1A及び図1Bに示したスキャナにおける三角形の走査電極電圧波形を示したものである。
【0013】
図1Dは、図1Aに示したシステムを用いて、複数の離散点に同時に1つのイオンビームが照射されている状態を示した斜視図である。
【0014】
図2Aは、被加工品全域にイオンビームの走査がおこなわれている状態を示した端面図である。
【0015】
図2B〜図2Fは、図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して異なる幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【0016】
図3は、従来技術におけるビーム走査較正方法のフローチャートである。
【0017】
図4は、従来技術におけるビーム走査較正方法に関する種々のパラメーターを示したグラフである。
【0018】
図5は、本発明に係るビーム走査較正方法の一つにおけるフローチャートである。
【0019】
図6A〜図6Cは、図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【0020】
図7A〜図7Dは、図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【0021】
図8A〜図8Bは、図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【0022】
図9は、一組の修正因子を算出するための修正アルゴリズムの1つを示したチャートである。
【0023】
〔実施形態の詳細な説明〕
本発明について、以下に説明する。使用する図面には、構成を示すための部材番号を付している。尚、図面の縮尺は、必ずしも正確ではない。
【0024】
図1Aは、一例としてのイオン注入システム10を示している。このイオン注入システム10は、ターミナル12と、ビームライン・アセンブリ14と、末端ステーション16とを備えている。
【0025】
ターミナル12は、イオン源20を有している。イオン源20は、高電圧電源22によって電力供給を受けることによって、イオンビーム24を生成するとともに、当該ビームをビームライン・アセンブリ14へ向ける。イオン源20は、荷電イオンを生成し、イオン源20から引き出されて、イオンビーム24となる。イオンビーム24は、ビームライン・アセンブリ14内のビーム経路に沿って、末端ステーション16へと向かう。
【0026】
ビームライン・アセンブリ14は、ビームガイド32と、質量分析器26と、走査システム35と、並列化手段38とを有している。質量分析器26は、分解アパーチャー34を通して、電荷−質量の比が適切な比となるイオンのみを通過させるような双極子磁場を形成している。イオン注入システム10は、イオン源20と末端ステーション16との間に広がるビームを生成したり形づくったりする様々な構成を有してもよい。この構成によって、イオンビーム24は維持され、且つ、末端ステーション16に支持された被加工品30に向けてイオンビーム24を送る経路となる伸長された内部空間または通路と連結している。このイオンビーム移動経路は、一般的に、空気分子との衝突によってビームがビーム経路から外れるというようなことを回避することができる。
【0027】
イオン注入手段は、多種の走査システムを有することができる。例えば、走査プレートに提供される高電圧電源と組み合わした静電システムがある。プレートに提供される電圧は、ビームを走査することができるように調整される。磁気系において、高電流源は、電磁石のコイルに連結されている。磁場は、ビームを走査するために調整される。本発明の目的によれば、あらゆるタイプの走査システムが同等であり、ここでは図示するために静電システムを用いている。
【0028】
走査システム35は、スキャナ36及び電源50を有している。電源50は、スキャナプレートまたは電極36a及び36bにつながっている。スキャナ36は、質量分析器26からのビーム経路に沿って質量分析イオンビーム24を受け取ることができ、並列化手段38へのビーム経路に沿って走査ビーム24を提供することができるように構成されている。並列化手段38は、その後、走査ビーム24を末端ステーション16に向けて送ることによって、ビーム24が、概して一定の入射角度にて線量測定システム52の測定センサに当たる。
【0029】
スキャナ36は、(例えばイオン注入システム10内の‘ペンシル’ビームのような)比較的狭いプロファイルを有する質量分析されたイオンビーム24を受け取る。また、電源50からスキャナプレート36a及び36bに供給された電圧波形によって、ビーム24をX方向(走査方向)を前後に走査して、ビーム24の幅を‘帯状(リボン状)’ビームとなるように拡げて、被加工品と同じ幅かそれよりも広くさせた有効X方向幅を有するようにする。走査ビーム24は、その後、並列化手段38を通り、並列化手段38がビームを末端ステーション16に向けてZ方向(すなわち、被加工品の表面に対して概して垂直方向)に対して概して平行にする。
【0030】
イオン注入システム10は、多種の末端ステーション16を有していてもよい。例えば、‘一括(バッチ)’タイプの末端ステーションであれば、同時に多種の被加工品を回転支持構造体に支持することができる。これによれば、被加工品30の全てに注入が終わるまで、イオンビームの経路において被加工品30が回転する。一方、‘連続’タイプの末端ステーションであれば、注入のためのビーム経路に沿って被加工品30を支持し、複数の被加工品30は1つずつ注入されてるため、1つの被加工品30の注入が終了した後に、次の被加工品30の注入が始まる。
【0031】
図示した末端ステーション16は、‘連続’タイプ の末端ステーションである。1つの被加工品30が注入のためのビーム経路(例えば、半導体ウエハ、表示パネル、あるいは他の被加工品がビーム24からイオンを注入される)に沿って支持される。そして、線量測定システム52が、注入動作に先立って、較正測定を行なうために被加工品の近傍に位置している。較正の間、ビーム24は、線量測定システム52を通る。線量測定システム52は、1つまたは複数のプロファイラー56を有している。プロファイラー56は、プロファイラー経路58を横断するように構成されている。これにより、走査ビームのプロファイルを測定することができる。図示した線量測定システム52においては、プロファイラー56は、ファラデーカップ(Faraday cup)のような電流密度センサを有していて、走査ビームの電流密度を測定することができる。電流密度センサは、走査ビームに対して概して直交するように移動し、よって、帯状ビームの幅を横断するかたちになる。線量測定システム52は、制御システム54と動作的に連結していて、制御システム54からコマンド信号を受け取り、制御システム54へ測定値を提供して、後述するような本発明に係る較正方法の測定を実行する。
【0032】
図1B−図2Fに関して、スキャナ36の静電態様を図1Bに示す。スキャナ36は、ビーム経路のラテラル側に走査プレートまたは電極36a及び36bの対と、電極36a及び36bに交流電圧を提供する電源50とを有している。この波形60を、図1Cに示している。走査電極36aと走査電極36bとの間の、時間の関数である電位は、これらの間のビーム経路全域に、時間の関数である電界を生じさせる。このとき、ビーム24は、走査方向(図1A、図1B及び図2B〜図2FのX方向)に沿って傾斜もしくは屈折(例えば、走査)する。スキャナ電界が走査電極36a及び36bからの方向である場合(すなわち、走査電極36aの電位が走査電極36bの電位よりもより正である、図1Cの「a」及び「c」のとき)は、プラスに帯電した、ビーム24のイオンは、負のX方向(すなわち、走査電極36bの方向)の横力(lateral force)を受ける。走査電極36aと走査電極36bとの電位が等しい場合(すなわち、スキャナ36においてゼロ電界である、図1Cの「d」のとき)は、ビーム24がスキャナ36に非均一に通る。電界が走査電極36bから走査電極36aに向いている場合(すなわち、図1Cの「e」及び「g」のとき)は、プラスに帯電した、ビーム24のイオンは、正のX方向(すなわち、走査電極36aの方向)の横力を受ける。
【0033】
図1Bには、走査中に並列化手段38への入射に先駆けて複数の離散点にて質量分析器26を通るイオンビーム24の屈折を示したものである。図1Dは、走査され且つ並列化(平行化)されたビーム24が、図1Cに示す時点において被加工品30に衝突している状態を示している。図1Dにおける走査され且つ並列化されたイオンビーム24は、図1Cの「a」時点における電極電圧に関連しており、続いて、該して単一に水平に被加工品30全域をX方向に走査する図1Cの「b」〜「g」時点での走査電圧に対応するビーム24b〜24gが図1Dに示されている。図2Aは、被加工品30全域にわたるビーム24のまっすぐな(直接的)走査について示しており、スキャナ36によるX(高速走査)方向の間、機械的作動(不図示)が正Y(低速度走査)方向に被加工品30を平行移動させる。これにより、ビーム24が被加工品30の露出面全域に与えられる。
【0034】
スキャナ36への入射に先駆けて、イオンビーム24は概して、非ゼロのX寸法及びY寸法がそれぞれ、幅及び高さプロファイルを有している。ここで、ビームのX寸法及びY寸法の一方または双方は、大体は、空間電荷及び他の要素による移動の間に変化する。例えば、ビーム24が被加工品30に向かってビーム経路に沿って移動する場合は、ビーム24は、ビームの幅及び/または高さであったりその比率を変えるような様々な電界及び/または磁界や装置に遭遇する。加えて、プラスに帯電したビームイオンの相互反発も含めて空間電界効果は、ビームをそらせる(例えば、X寸法及びY寸法を大きくする)傾向にあり、これに対する対策が無い。
【0035】
また、スキャナ36のジオメトリー及び動作電圧は、被加工品30に対して提供されるビーム24に関する特定の集光特性を提供する。従って、完璧な対称ビームがスキャナ36に入射するとしても、スキャナ36によるビーム24の曲げがビーム集光を変える。ここで、入射ビームは概して、X方向においてラテラルエッジよりもより集光されており(例えば、図1Dの24a及び24g)、ラテラルエッジとラテラルエッジとの間のポイント(例えば、図1Dの24c、24d、24e)に対してはX方向の集光はわずかである(より広いか、もしくはより発散する)。
【0036】
低エネルギー注入手段は概して数千電子ボルト(keV)から最大およそ80〜100keVのイオンビームを提供することができるように構成されている。一方、高エネルギー注入手段の場合は、質量分析器26と末端ステーション16との間にRF直線加速(リニアック)装置(不図示)を配設することができ、質量分析されたビーム24を加速させて、直流加速も可能であるおおよそ数百keVという高エネルギーにすることができる。高エネルギーイオン注入手段は一般に、被加工品30の深部に注入する際に用いられる。反対に、高電流である低エネルギー(低パービアンス)イオンビーム24は概して、高用量(high dose)で浅い深さのイオン注入の際に用いられ、この場合、イオンビームの高パービアンスは一般にイオンビーム24の均一なメンテナンスを困難にする。
【0037】
図2B〜図2Fは、被加工品30を走査する未較正の入射ビーム24を示したものである。図2B〜図2Fは、それぞれビーム24a、24b、24c、24d、24e、24gの走査事例に対応している。未較正ビームが被加工品30をX方向に走査すると、スキャナ36のX方向の集光が変化し、入射ビーム24が中央に移動するとともに、入射ビーム24のラテラル方向のデフォーカスを強めるようにして、異なるラテラルエッジにビーム24を再度到達することができるように集光が改善される。スキャンしていない場合に関しては、図2DにおいてX方向幅がWCであるビーム24dは被加工品30の中央まで直ぐに進む。しかし、ビーム24が被加工品30の中央から離れるほうにラテラル移動して走査する場合は、スキャナ36の時変(time varying)集光特性は、入射ビームが強いラテラル集光するように導く。例えば、被加工品30の最も外側のエッジにおいては、図2Bに示す入射ビーム24aは、第1の左側幅WL1を有しており、右側では、図2Fに示す入射ビーム24gが第1の右側幅WR1を有している。図2C及び図2Eは、被加工品30のエッジと中央との間でX方向焦点変化を示す2つの中間ビーム24c及び24eを示しており、それぞれ、入射ビーム幅WL2及びWR2を有している。これらのビームは、被加工品に対して異なるドーピングを行なうことから、ビームの較正方法も考慮されている。走査ビームのプロファイルを調整する調整方法のフローチャートは、U.S. Pat. 6,710,359に記載されており、図3に示している。工程300においては、スキャン方向に走査されていないイオンビームの空間分布U(x)が、測定される。この工程では、固定電圧がスキャンプレートの組に対して供給され、これにより、走査されていないイオンビームが標的平面に届くことになる。好ましくは、走査されていないイオンビームは標的平面の中央に位置していていることが好ましく、一般に0ボルトに対応していることが好ましい。走査されていないイオンビームの空間分布U(x)の一例を図4に示す。
【0038】
工程302においては、イオンビームを初期走査速度W0(x)にて走査する。図4に示すように、初期走査速度W0(x)は、一定の走査速度であり、線形ランプ電圧波形に対応する。
【0039】
工程304においては、初期走査ビームプロファイルS0(x)が初期走査速度W0(x)にて走査されたイオンビームを用いて測定される。ビームプロファイラーは、x方向にウエハ平面にわたって変換され、よって、1つの走査ビームプロファイルが提供される。図4に示す初期走査ビームプロファイルS0(x)は、走査の末端近くにおいて、中央よりも高いビーム電流を示している。これは、ウエハの中央よりも外側のエッジに近い位置においてイオン線量が上がるという不都合な結果を生じさせることになる。
【0040】
工程306においては、初期走査ビームプロファイルS0(x)が均一仕様に直面するかどうかということの決定(測定)がなされる。もし、仕様に均一性があれば、初期走査速度W0(x)が、工程308において注入を行なうために用いられる。もし工程306において仕様が均一性でないと決定されると、その走査波形の調整が必要となる。
【0041】
工程310においては、所望のプロファイル修正を生じる走査速度修正C(x)が決定される。走査速度修正C(x)の決定は、走査されていないイオンビームの空間分布U(x)に基づいて行なわれる。走査速度修正C(x)は、初期走査速度W0(x)を修正し、所望の走査ビームプロファイル(通常は均一な走査幅)を提供する。走査速度修正C(x)の一例を、図4に示す。対応する修正された走査速度Wc(x)は、W0(x)/C(x)として求められ、図4に示している。
【0042】
工程312においては、修正走査速度Wc(x)にてビームが走査される。工程314においては、修正ビームプロファイルSc(x)が測定される。修正ビームプロファイルは、初期のビームプロファイルとして同手法にて測定することができる。図4には、修正ビームプロファイルSc(x)の一例を挙げている。プロセスは、続いて工程306に戻って、修正ビームプロファイルSc(x)の均一性が仕様の範囲内にあるかどうかが決定される。均一性が仕様の範囲内にあれば、工程308において注入が行なわれる。一方、もし未だ均一性が仕様の範囲外にあれば、工程306、310、312、314が所望の均一性を有するようになるまで繰り返される。
【0043】
帯状ビームのフラックスプロファイルを調整するための方法の一例のフローチャートを図5に示す。工程500においては、ビームが初速度にて走査され、イオンビームのダイナミックビームプロファイルがイオンピームが走査されている間に測定される。図6A〜図6C及び図7〜図7Bには、詳細は後述するが、この測定ステップの動作に関する一実施形態を示している。工程504においては、追加ダイナミックビームプロファイルが測定されたダイナミックビームプロファイルに基づいて挿入されている。工程506においては、修正アルゴリズムが修正走査速度の算出に用いられる。図8には、詳細は後述するが、修正走査速度の算出に用いることができる或るアルゴリズムを示す。工程508においては、修正走査速度にて走査される。この修正ビームは、不都合なフラックス変化を抑制するために設計されている。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0044】
ダイナミックビームプロファイルの測定方法の一形態を示すグラフが、図6A〜図6C、図7、図8A〜図8Bである。図6A〜図6Cは、ビーム経路602をわたるビーム24の単一パスを示しており、ビームの単一パスに対応するビーム電流信号606をプロファイラー56がどのようにして測定するのかを示している。図示したイオンビーム24は、被加工品30の幅に相当する走査経路幅600を有する走査経路602を走査速度にて走査される。このときの走査速度は、電圧波形60によって決定されている。併せて、プロファイラー56がプロファイラー経路58(図1A参照)をプロファイリング速度にて連続移動し、走査されたイオンビーム24の電流密度を連続測定する。概して、ビームの走査速度は、プロファイラー56のプロファイリング速度よりも十分に早く、よって、プロファイラーは、図7Aに示すように、プロファイラーをわたるビームスィープ(beam sweeps)に対応する複数のビーム電流信号606を測定することができる。これらのビーム電流信号606は、その後、加工され、一連のダイナミックビームプロファイルを作成するために用いられる。これらのダイナミックビームプロファイルは、その後、修正走査速度を算出するために用いられる。
【0045】
図6Aにおいては、スキャナが電極36a及び36bを介してビーム24に対してスキャナを提供することができるように、電流波形のかたちで1つの走査波形60を示していているが、他の波形であってもよい。例えば、磁性波形(magnetic waveforms)、機械的動作波形、あるいはビームを移動させるための他の波形であってもよい。さらには、そのような波形は多様な機能によって特徴づけられ、例えば、線形波形、非線形波形、正弦波形などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
図6Bは、図1Aの線量測定システム52の特徴を示した断面図であり、切断線604にて切断した状態を示す。図6Bに示すように、ビームは走査経路602を横断する。ここで走査経路602はビームによってスキャンされるように分解されるとともに、関連する走査経路幅600を有している。ビーム24が走査経路602を横断する場合には、ビーム24の部分はプロファイラー56を通過する。このときプロファイラー56は、較正の間、走査経路602の適切な場所に位置している。図6Bはまた、単一(一回)の走査におけるいくつかの走査されたイオンビームも示している(例えば、24a、24b、24c、24d、24e、24f、及び24g、また、24cと24dとの間のいくつかの走査された中間ビーム)。加えて、走査されたイオンビーム24はまた、較正が完了する前に、被加工品内において非均一なドーピングを導くことができるビームバリエーションを示してもよい(不図示)。一般的な形態においては、プロファイラー56は、ビーム24が走査経路602を横断している間は、連続的にプロファイラー経路58(図1A参照)を横断する。図示しているプロファイラーは各ビームの領域よりも狭い領域となっているが、本発明はプロファイラーの領域がビームの領域よりも狭い場合であっても、広い場合であっても、等しい場合であっても包含する。
【0047】
図6B〜図6Cに示すように、単一走査スィープにおいて、図示したプロファイラー56が、一連の離散測定点(例えば608)に代表されるビーム電流信号606の形態で電流密度(J)分布を測定する。図示するように、ビーム電流信号606の電流密度は、プロファイラー56(例えば、「24a」「24b」「24c」「24e」「24g」)を通過するビームの箇所がない場合に、無視できる。しかしながら、ビーム電流信号606の電流密度は、プロファイラー56(例えば、「24d」、及び「24c」と「24e」との間の走査された中間ビームに対応する一連の「x」印)を通過するビームの箇所がある場合には、無視できない。尚、当業者であれば、図示したビーム電流信号606の電流密度が本発明の範囲を限定するものではないことを理解することができるだろう、すなわち、他のビーム電流信号によって特徴付けられる他のビームであってもよい。
【0048】
各較正に関して、概してイオン注入システム10が、ユーザーがビーム電流信号606にとっての独自のxレゾルーションを選択することができるように構成されている。このxレゾルーションは、ユニット測定毎の離散測定点608の数である。ユーザーは、メモリの考慮、帯域幅関係、スループット関係、較正速度、較正の的確性、及び/または較正精度などの因子に基づいて特定のxレゾルーションを選択することができる。
【0049】
図7A〜図7Dに示すように、プロファイラーがプロファイル経路を移動すると、複数のビーム電流信号606が1つまたは複数のダイナミックビームプロファイルを提供するために用いられる。具体的には、図7C及び図7Dには、2つのダイナミックビームプロファイル702及び704が示されており、それぞれ、対時間及び対位置にプロットされている。
【0050】
図7Aには、ビーム電流信号606(プロファイラー56によって測定されている)対時間が示されている。「*」印を付している点は、「o」印(図7B参照)を付している点と同様に、走査電圧と等しい箇所である。尚、図示したピークとピークとの間における、時間差(t1、t2、t3、t4)は、時間が経つに従って増えている。時間は、プロファイラー56がプロファイラー経路602の中央に向けて移動するに従って、増加する。典型例においては、ピーク間の時間差は、プロファイラー56がプロファイラー経路602の中央に位置するときに最大となると考えられ、この時間差がシーケンシャルピーク(sequential peaks)の均等割り付けとなるだろう。プロファイラー56がプロファイラー経路602の中央を越えて進むと、プロファイラーがプロファイラー経路の末端に達するまで、時間差は短くなっていく。
【0051】
図7Cは、対時間でプロットされた2つのダイナミックビームプロファイル702及び704を示している。図示するように、各ダイナミックビームプロファイルは、特定の走査電圧での走査されたビームの電流密度に関する情報を含んでいる。図7Dに示すように、ダイナミックビームプロファイルは、プロファイルの位置が時間の関数として知られているため、対xでプロットすることができる。
【0052】
図8Aには、与えられた走査ビームにとっての一連のダイナミックビームプロファイル(例えば702及び704)を示している。これには、ビームを完全にオーバースキャンしている走査電圧に関するプロファイルを含んでいる。ダイナミックビームプロファイルは、プロファイルマトリクスMに格納することができる。プロファイルマトリクスMとは、Mの縦列は、単一走査電圧でのダイナミックビームプロファイルを示し、Mの横列は、各走査電圧にとっての与えられた位置Xでの電流を示している。図8Bに示す帯状プロファイル802は、Mの縦列を加算することによって算出することができる。帯状フラックスプロファイルは、より一層正確な算出方法によって算出され、具体的には、多数のビーム信号をビニング(binning)するとともに、時間をXに変換することにより行なう。
【0053】
各較正に関しては、概してイオン注入システム10が、ユーザーがダイナミックビームプロファイル702及び704にとっての独自のxレゾルーションを選択することができるように構成されている。ユーザーは、メモリの考慮、帯域幅関係、スループット関係、較正速度、較正の的確性、及び/または較正精度などの因子に基づいて特定のxレゾルーションを選択することができる。概して、ダイナミックビームプロファイルのxレゾルーションは、走査速度及びプロファイラー速度によって決定され、以下に関連事項によるプロファイラーのデジタル化速度に関連している。すなわち、ダイナミックビームプロファイルの数が、ビーム走査周波数(beam scanning frequency)によって分割されたデジタル化周波数(digitization frequency)と等しく、xレゾルーションまたはダイナミックビームプロファイル毎のポイント数がビーム走査周波数のビームプロファイリング時間倍と等しい。
【0054】
上述したように、様々な形態において、ビーム24の走査速度は、プロファイラー56のプロファイル速度よりも十分に速い。例えば、ビームの走査速度は、プロファイラーのプロファイル速度に比べて、約20倍から約10,000倍ほど速い。或る実施形態においては、走査速度がプロファイル速度よりも約2000倍ほど速くなっている。尚、当業者であれば、これらの値に限定されるものではないことを理解することができるだろう。
【0055】
加えて、様々な実施形態においては、複数のビームプロファイリングを測定する工程に、ビームの帯状フラックスを修正する必要がないものもある。例えば、ダイナミックビームプロファイルはまた、様々な診断モードにおいて測定することができたり、あるいは、帯状ビームプロファイルを測定するのに適した他のシナリオにおいて測定することもできる。
【0056】
加えて、様々な実施形態においては、複数のダイナミックビームプロファイルを測定するための工程が限られた時間のなかで行なわれるものもある。例えば、或る実施形態では、これを90秒未満で行なう。また、他の実施形態では、60秒未満であったり、30秒未満であったりする。更には、別の実施形態では、15秒未満であったりする。これらの実施形態及び/または他の実施形態においては、上記した限られた時間が、プロファイラー56がプロファイラー経路58を移動するのに関する時間よりも短いものもある。例えば、当該限られた時間が、プロファイラーの10回パス(ten passes)未満である場合や、3回パスである場合もあり、あるいは、1回パスの場合もある。尚、当業者であれば、本発明が、これらの値に限定されるものではないことを理解することができるだろう。すなわち、本発明には、全ての時間的値、及びプロファイラー経路を横断する移動を含む。
【0057】
図5に示したように、較正方法500はまた、別ダイナミックビームプロファイル504を補間する工程も含むことができる。例えば、10個のダイナミックビームプロファイルが測定されたとすれば、ユーザーは、修正走査速度のより正確な決定を可能にするために、それらを100または150のプロファイルに補間することができる。典型的な実施形態としては、この工程には、ダイナミックビームプロファイルと補間されたプロファイルとの双方を含むプロファイルマトリクスMを形成する工程が含まれる。例えば、当該マトリクスの横列のそれぞれは、およそプロファイラー位置でのダイナミックビームプロファイルに関連しており、且つ縦列のそれぞれは、与えられた走査電圧でのダイナミックプロファイルに関連している。別のプロファイルを補間する工程を用いない実施形態においては、プロファイルマトリクスMはダイナミックビームプロファイルを含むだろう。
【0058】
修正方法500はまた、修正走査波形を算出するためにアルゴリズムを使用する工程も含む。或るアルゴリズム900を図9に示す。他のアルゴリズム(例えば、線形または非線形回帰法)であっても用いることは可能である。
【0059】
工程902においては、帯状フラックスプロファイルと所望の帯状フラックスプロファイルとの差が算出される。その結果はベクターDに格納される。典型的には、走査経路において、所望の帯状フラックスプロファイルは、一定の電流密度を有するプロファイルに相当する。このような一定の電流密度は、被加工品の均一なドーピングをもたらすようである。スプリット注入(split implants)においては、所望の帯状フラックスプロファイルが、異なる電流密度を有した一定電流密度領域の2つまたはそれ以上のセグメントになることが可能である。
【0060】
工程904においては、ベクターDは、プロファイルマトリクスMに瞬間走査速度変化の逆数を乗じたものと比例している(例えば、△dt/dV)。工程906においては、プロファイルマトリクスMが逆数となっている。工程908においては、dt/dV+△dt/dVが積分される。新しいdt/dVが正数で、スキャナの帯域幅よりも小さいため、この積分は制約されることになる。工程910においては、修正走査波形が、V(t)を得るためにt(V)を反転させることによって算出され、スケールが適切に調整される。
【0061】
工程912においては、アルゴリズムが集中している場合に決定される。概して集中は、フラックスの非均一率(percent non-uniformity)として定義される。この非均一はユーザー設定可能であり、例えば1.5%未満とすることができる。他の実施形態においては、非均一は0.5%未満(2分の1パーセント)となるだろう。ビームフラックスプロファイルが集中している場合は、較正が完了し、且つ、ビームが、修正帯状ビーム(図5参照)を形成するための修正走査速度で走査することが可能となる。もしアルゴリズムが集中していない場合は、集中が起きるまでか、もしくは較正時間がタイムアウトとなるまで、工程902〜912が繰り返される。
【0062】
1つまたは複数の注入に関する本発明について、これまで説明及び図示したが、本発明の請求項に記載の範囲内において置換及び修正が可能である。上述した構成または構造(ブロック、ユニット、エンジン、組立品、装置、回路、システムなど)によって実行される様々な機能や、これらの構成を説明するために用いた用語(「手段」と言及しているものも含め)は、他の指示がない限り、上記では説明していない構造であっても、上述した機能と同じ機能を有するものであれば、あらゆる構成または構造を採用することができる(すなわち、機能的同等性があれば良い)。また、本発明の特徴について、いくつかの注入のうちの1つだけについて説明していたとしても、その特徴は、他の注入の1つまたは複数の特徴を組み合わせたものであってもよい。更には、用語「含まれる」「含む」「有する」「有している」「ともに」あるいは他の用語においては、「備えている」と類似した用語として含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1A】スキャナと、並列化手段と、線量測定システムとを有するイオン注入システムの一実施形態を示す。
【図1B】図1Aに示したスキャナと、走査イオンビームとの一実施形態を示す。
【図1C】図1A及び図1Bに示したスキャナにおける三角形の走査電極電圧波形を示したものである。
【図1D】図1Aに示したシステムを用いて、複数の離散点に同時に1つのイオンビームが照射されている状態を示した斜視図である。
【図2A】被加工品全域にイオンビームの走査がおこなわれている状態を示した端面図である。
【図2B】図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して或る幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【図2C】図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して或る幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【図2D】図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して或る幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【図2E】図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して或る幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【図2F】図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して或る幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【図3】従来技術におけるビーム走査較正方法のフローチャートである。
【図4】従来技術におけるビーム走査較正方法に関する種々のパラメーターを示したグラフである。
【図5】本発明に係るビーム走査較正方法の一つにおけるフローチャートである
【図6A】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図6B】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図6C】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図7A】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図7B】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図7C】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図7D】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図8A】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図8B】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図9】一組の修正因子を算出するための修正アルゴリズムの1つを示したチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、概してイオン注入システムに関し、より詳細には、被加工品の全域にわたってイオンビームを均一に走査することができるように構成されたシステム及び方法に関する。
【0002】
〔背景〕
半導体装置や他の製品の製造において、不純物を、半導体ウエハ、表示パネル、あるいは他の被加工品にドーピングするために、イオン注入が用いられる。イオン注入手段あるいはイオン注入システムは、イオンビームを被加工品に照射して被加工品内に、nまたはp型ドープ領域を形成したり、あるいは、保護層(passivation layers)を形成したりする。半導体のドーピングに用いる場合には、イオン注入システムは所望の外部材料(extrinsic material)を形成するために、選択されたイオン種を注入する。具体的には、アンチモン、ヒ素、あるいはリンから生成されたイオンを注入すると、半導体ウエハの領域内にn型外部材料を形成することができ、一方、ホウ素、ガリウム、あるいはインジウムから生成されたイオンを注入すると、p型外部材料を形成することができる。
【0003】
一般的には、被加工品に対して均一にイオンを注入することができるとされている。そのため、従前のシステムは、較正オペレーションを受け、ビームスキャナの電圧波形の調整が行なわれる。これにより、走査方向に沿ってビームの焦光変化の防止、及び/または、他のビームのゆらぎに対する補償が可能となる。これは一般に、2地点法(point-to-point fashion)にて行なわれ、プロファイル領域及び電圧範囲を、プロファイルを等間隔にした一連の離散点に再分割することによっておこなわれる。各離散点に関しては、その位置に測定センサが設けられており、走査ビームフラックスがその位置で測定される。各測定が完了すると、測定センサは次の位置に移動して停止し、次の測定を実行する。このような測定は、各位置にて繰り返され、ポイントビームもしくはビームプロファイルが走査を通して一定であると仮定することによって、プロファイルの非均一性を補償するために最後の走査波形が調整される。
【0004】
しかしながら、イオンビームの幅が、狭く、且つ、標的領域全域に対して比較的一定である場合では従前の2地点走査較正技術が適切である一方で、そのような技術は、イオンビームの幅が広く、及び/または走査方向に沿って幅が変化するような場合には、好ましくないと言える。具体的には、仮にビームの幅が広く、及び/または標的領域全域で幅が変化するような場合であれば、上記の2地点走査較正技術は上手くいかず、ビームセンターから離れたビームによって生成される被加工品ドース(dose)の原因となる。これは、空間電荷拡張(space charge expansion)(例えば、走査またはX方向におけるラテラル相違)となる低エネルギーイオンビームにとって特に問題である。
【0005】
加えて、従前の2地点走査較正技術は、十分なデータをえるためにかなりの時間を要する。従前のシステムにおいて一般的には、上記のような2地点走査較正技術は、X方向に複数のビーム経路が合わさる。各ビーム経路に対して数秒必要であるため、従前のシステムは、1つの較正を行なうために数分かかってしまう。プロタイプや試用体などの限られた数のウエハの後で、イオン注入手段が再較正される場合には、スループットに著しい影響を与えることになる。
【0006】
従って、較正時間が短く、均一なイオン注入を可能にするイオンビーム走査構成技術の改良が求められている。
【0007】
〔要約〕
ここでは、本発明について要約し、本発明の基本的な特徴についての理解を促すものである。尚、ここでの記載が、本発明の範囲を限定するものにはならないことを付言する。更に言えば、要約の目的は、本発明のいくつかの概念を簡易に示すものであり、詳細な説明については後述する。
【0008】
本発明の一実施形態としては、帯状のイオンビームのイオンフラックスを調整するための調整方法に関する。この方法においては、帯状イオンビームを形成する(得る)ために、或るイオンビームが或る走査速度にて走査され、且つ、複数のダイナミックビームプロファイルがイオンビームが走査されるにつれて測定される。修正された走査速度は、走査されたイオンビームの測定された複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて算出される。イオンビームは、修正された走査速度にて走査され、修正された帯状イオンビームを得ることができる。
【0009】
以下に、本発明の詳細及び実施形態について説明し、図面を示す。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の範囲内において様々な変形例を含むものとする。
【0010】
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、スキャナと、並列化手段(parallelizer)と、線量測定システムとを有するイオン注入システムの一実施形態を示す。
【0011】
図1Bは、図1Aに示したスキャナと、走査イオンビームとの一実施形態を示す。
【0012】
図1Cは、図1A及び図1Bに示したスキャナにおける三角形の走査電極電圧波形を示したものである。
【0013】
図1Dは、図1Aに示したシステムを用いて、複数の離散点に同時に1つのイオンビームが照射されている状態を示した斜視図である。
【0014】
図2Aは、被加工品全域にイオンビームの走査がおこなわれている状態を示した端面図である。
【0015】
図2B〜図2Fは、図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して異なる幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【0016】
図3は、従来技術におけるビーム走査較正方法のフローチャートである。
【0017】
図4は、従来技術におけるビーム走査較正方法に関する種々のパラメーターを示したグラフである。
【0018】
図5は、本発明に係るビーム走査較正方法の一つにおけるフローチャートである。
【0019】
図6A〜図6Cは、図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【0020】
図7A〜図7Dは、図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【0021】
図8A〜図8Bは、図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【0022】
図9は、一組の修正因子を算出するための修正アルゴリズムの1つを示したチャートである。
【0023】
〔実施形態の詳細な説明〕
本発明について、以下に説明する。使用する図面には、構成を示すための部材番号を付している。尚、図面の縮尺は、必ずしも正確ではない。
【0024】
図1Aは、一例としてのイオン注入システム10を示している。このイオン注入システム10は、ターミナル12と、ビームライン・アセンブリ14と、末端ステーション16とを備えている。
【0025】
ターミナル12は、イオン源20を有している。イオン源20は、高電圧電源22によって電力供給を受けることによって、イオンビーム24を生成するとともに、当該ビームをビームライン・アセンブリ14へ向ける。イオン源20は、荷電イオンを生成し、イオン源20から引き出されて、イオンビーム24となる。イオンビーム24は、ビームライン・アセンブリ14内のビーム経路に沿って、末端ステーション16へと向かう。
【0026】
ビームライン・アセンブリ14は、ビームガイド32と、質量分析器26と、走査システム35と、並列化手段38とを有している。質量分析器26は、分解アパーチャー34を通して、電荷−質量の比が適切な比となるイオンのみを通過させるような双極子磁場を形成している。イオン注入システム10は、イオン源20と末端ステーション16との間に広がるビームを生成したり形づくったりする様々な構成を有してもよい。この構成によって、イオンビーム24は維持され、且つ、末端ステーション16に支持された被加工品30に向けてイオンビーム24を送る経路となる伸長された内部空間または通路と連結している。このイオンビーム移動経路は、一般的に、空気分子との衝突によってビームがビーム経路から外れるというようなことを回避することができる。
【0027】
イオン注入手段は、多種の走査システムを有することができる。例えば、走査プレートに提供される高電圧電源と組み合わした静電システムがある。プレートに提供される電圧は、ビームを走査することができるように調整される。磁気系において、高電流源は、電磁石のコイルに連結されている。磁場は、ビームを走査するために調整される。本発明の目的によれば、あらゆるタイプの走査システムが同等であり、ここでは図示するために静電システムを用いている。
【0028】
走査システム35は、スキャナ36及び電源50を有している。電源50は、スキャナプレートまたは電極36a及び36bにつながっている。スキャナ36は、質量分析器26からのビーム経路に沿って質量分析イオンビーム24を受け取ることができ、並列化手段38へのビーム経路に沿って走査ビーム24を提供することができるように構成されている。並列化手段38は、その後、走査ビーム24を末端ステーション16に向けて送ることによって、ビーム24が、概して一定の入射角度にて線量測定システム52の測定センサに当たる。
【0029】
スキャナ36は、(例えばイオン注入システム10内の‘ペンシル’ビームのような)比較的狭いプロファイルを有する質量分析されたイオンビーム24を受け取る。また、電源50からスキャナプレート36a及び36bに供給された電圧波形によって、ビーム24をX方向(走査方向)を前後に走査して、ビーム24の幅を‘帯状(リボン状)’ビームとなるように拡げて、被加工品と同じ幅かそれよりも広くさせた有効X方向幅を有するようにする。走査ビーム24は、その後、並列化手段38を通り、並列化手段38がビームを末端ステーション16に向けてZ方向(すなわち、被加工品の表面に対して概して垂直方向)に対して概して平行にする。
【0030】
イオン注入システム10は、多種の末端ステーション16を有していてもよい。例えば、‘一括(バッチ)’タイプの末端ステーションであれば、同時に多種の被加工品を回転支持構造体に支持することができる。これによれば、被加工品30の全てに注入が終わるまで、イオンビームの経路において被加工品30が回転する。一方、‘連続’タイプの末端ステーションであれば、注入のためのビーム経路に沿って被加工品30を支持し、複数の被加工品30は1つずつ注入されてるため、1つの被加工品30の注入が終了した後に、次の被加工品30の注入が始まる。
【0031】
図示した末端ステーション16は、‘連続’タイプ の末端ステーションである。1つの被加工品30が注入のためのビーム経路(例えば、半導体ウエハ、表示パネル、あるいは他の被加工品がビーム24からイオンを注入される)に沿って支持される。そして、線量測定システム52が、注入動作に先立って、較正測定を行なうために被加工品の近傍に位置している。較正の間、ビーム24は、線量測定システム52を通る。線量測定システム52は、1つまたは複数のプロファイラー56を有している。プロファイラー56は、プロファイラー経路58を横断するように構成されている。これにより、走査ビームのプロファイルを測定することができる。図示した線量測定システム52においては、プロファイラー56は、ファラデーカップ(Faraday cup)のような電流密度センサを有していて、走査ビームの電流密度を測定することができる。電流密度センサは、走査ビームに対して概して直交するように移動し、よって、帯状ビームの幅を横断するかたちになる。線量測定システム52は、制御システム54と動作的に連結していて、制御システム54からコマンド信号を受け取り、制御システム54へ測定値を提供して、後述するような本発明に係る較正方法の測定を実行する。
【0032】
図1B−図2Fに関して、スキャナ36の静電態様を図1Bに示す。スキャナ36は、ビーム経路のラテラル側に走査プレートまたは電極36a及び36bの対と、電極36a及び36bに交流電圧を提供する電源50とを有している。この波形60を、図1Cに示している。走査電極36aと走査電極36bとの間の、時間の関数である電位は、これらの間のビーム経路全域に、時間の関数である電界を生じさせる。このとき、ビーム24は、走査方向(図1A、図1B及び図2B〜図2FのX方向)に沿って傾斜もしくは屈折(例えば、走査)する。スキャナ電界が走査電極36a及び36bからの方向である場合(すなわち、走査電極36aの電位が走査電極36bの電位よりもより正である、図1Cの「a」及び「c」のとき)は、プラスに帯電した、ビーム24のイオンは、負のX方向(すなわち、走査電極36bの方向)の横力(lateral force)を受ける。走査電極36aと走査電極36bとの電位が等しい場合(すなわち、スキャナ36においてゼロ電界である、図1Cの「d」のとき)は、ビーム24がスキャナ36に非均一に通る。電界が走査電極36bから走査電極36aに向いている場合(すなわち、図1Cの「e」及び「g」のとき)は、プラスに帯電した、ビーム24のイオンは、正のX方向(すなわち、走査電極36aの方向)の横力を受ける。
【0033】
図1Bには、走査中に並列化手段38への入射に先駆けて複数の離散点にて質量分析器26を通るイオンビーム24の屈折を示したものである。図1Dは、走査され且つ並列化(平行化)されたビーム24が、図1Cに示す時点において被加工品30に衝突している状態を示している。図1Dにおける走査され且つ並列化されたイオンビーム24は、図1Cの「a」時点における電極電圧に関連しており、続いて、該して単一に水平に被加工品30全域をX方向に走査する図1Cの「b」〜「g」時点での走査電圧に対応するビーム24b〜24gが図1Dに示されている。図2Aは、被加工品30全域にわたるビーム24のまっすぐな(直接的)走査について示しており、スキャナ36によるX(高速走査)方向の間、機械的作動(不図示)が正Y(低速度走査)方向に被加工品30を平行移動させる。これにより、ビーム24が被加工品30の露出面全域に与えられる。
【0034】
スキャナ36への入射に先駆けて、イオンビーム24は概して、非ゼロのX寸法及びY寸法がそれぞれ、幅及び高さプロファイルを有している。ここで、ビームのX寸法及びY寸法の一方または双方は、大体は、空間電荷及び他の要素による移動の間に変化する。例えば、ビーム24が被加工品30に向かってビーム経路に沿って移動する場合は、ビーム24は、ビームの幅及び/または高さであったりその比率を変えるような様々な電界及び/または磁界や装置に遭遇する。加えて、プラスに帯電したビームイオンの相互反発も含めて空間電界効果は、ビームをそらせる(例えば、X寸法及びY寸法を大きくする)傾向にあり、これに対する対策が無い。
【0035】
また、スキャナ36のジオメトリー及び動作電圧は、被加工品30に対して提供されるビーム24に関する特定の集光特性を提供する。従って、完璧な対称ビームがスキャナ36に入射するとしても、スキャナ36によるビーム24の曲げがビーム集光を変える。ここで、入射ビームは概して、X方向においてラテラルエッジよりもより集光されており(例えば、図1Dの24a及び24g)、ラテラルエッジとラテラルエッジとの間のポイント(例えば、図1Dの24c、24d、24e)に対してはX方向の集光はわずかである(より広いか、もしくはより発散する)。
【0036】
低エネルギー注入手段は概して数千電子ボルト(keV)から最大およそ80〜100keVのイオンビームを提供することができるように構成されている。一方、高エネルギー注入手段の場合は、質量分析器26と末端ステーション16との間にRF直線加速(リニアック)装置(不図示)を配設することができ、質量分析されたビーム24を加速させて、直流加速も可能であるおおよそ数百keVという高エネルギーにすることができる。高エネルギーイオン注入手段は一般に、被加工品30の深部に注入する際に用いられる。反対に、高電流である低エネルギー(低パービアンス)イオンビーム24は概して、高用量(high dose)で浅い深さのイオン注入の際に用いられ、この場合、イオンビームの高パービアンスは一般にイオンビーム24の均一なメンテナンスを困難にする。
【0037】
図2B〜図2Fは、被加工品30を走査する未較正の入射ビーム24を示したものである。図2B〜図2Fは、それぞれビーム24a、24b、24c、24d、24e、24gの走査事例に対応している。未較正ビームが被加工品30をX方向に走査すると、スキャナ36のX方向の集光が変化し、入射ビーム24が中央に移動するとともに、入射ビーム24のラテラル方向のデフォーカスを強めるようにして、異なるラテラルエッジにビーム24を再度到達することができるように集光が改善される。スキャンしていない場合に関しては、図2DにおいてX方向幅がWCであるビーム24dは被加工品30の中央まで直ぐに進む。しかし、ビーム24が被加工品30の中央から離れるほうにラテラル移動して走査する場合は、スキャナ36の時変(time varying)集光特性は、入射ビームが強いラテラル集光するように導く。例えば、被加工品30の最も外側のエッジにおいては、図2Bに示す入射ビーム24aは、第1の左側幅WL1を有しており、右側では、図2Fに示す入射ビーム24gが第1の右側幅WR1を有している。図2C及び図2Eは、被加工品30のエッジと中央との間でX方向焦点変化を示す2つの中間ビーム24c及び24eを示しており、それぞれ、入射ビーム幅WL2及びWR2を有している。これらのビームは、被加工品に対して異なるドーピングを行なうことから、ビームの較正方法も考慮されている。走査ビームのプロファイルを調整する調整方法のフローチャートは、U.S. Pat. 6,710,359に記載されており、図3に示している。工程300においては、スキャン方向に走査されていないイオンビームの空間分布U(x)が、測定される。この工程では、固定電圧がスキャンプレートの組に対して供給され、これにより、走査されていないイオンビームが標的平面に届くことになる。好ましくは、走査されていないイオンビームは標的平面の中央に位置していていることが好ましく、一般に0ボルトに対応していることが好ましい。走査されていないイオンビームの空間分布U(x)の一例を図4に示す。
【0038】
工程302においては、イオンビームを初期走査速度W0(x)にて走査する。図4に示すように、初期走査速度W0(x)は、一定の走査速度であり、線形ランプ電圧波形に対応する。
【0039】
工程304においては、初期走査ビームプロファイルS0(x)が初期走査速度W0(x)にて走査されたイオンビームを用いて測定される。ビームプロファイラーは、x方向にウエハ平面にわたって変換され、よって、1つの走査ビームプロファイルが提供される。図4に示す初期走査ビームプロファイルS0(x)は、走査の末端近くにおいて、中央よりも高いビーム電流を示している。これは、ウエハの中央よりも外側のエッジに近い位置においてイオン線量が上がるという不都合な結果を生じさせることになる。
【0040】
工程306においては、初期走査ビームプロファイルS0(x)が均一仕様に直面するかどうかということの決定(測定)がなされる。もし、仕様に均一性があれば、初期走査速度W0(x)が、工程308において注入を行なうために用いられる。もし工程306において仕様が均一性でないと決定されると、その走査波形の調整が必要となる。
【0041】
工程310においては、所望のプロファイル修正を生じる走査速度修正C(x)が決定される。走査速度修正C(x)の決定は、走査されていないイオンビームの空間分布U(x)に基づいて行なわれる。走査速度修正C(x)は、初期走査速度W0(x)を修正し、所望の走査ビームプロファイル(通常は均一な走査幅)を提供する。走査速度修正C(x)の一例を、図4に示す。対応する修正された走査速度Wc(x)は、W0(x)/C(x)として求められ、図4に示している。
【0042】
工程312においては、修正走査速度Wc(x)にてビームが走査される。工程314においては、修正ビームプロファイルSc(x)が測定される。修正ビームプロファイルは、初期のビームプロファイルとして同手法にて測定することができる。図4には、修正ビームプロファイルSc(x)の一例を挙げている。プロセスは、続いて工程306に戻って、修正ビームプロファイルSc(x)の均一性が仕様の範囲内にあるかどうかが決定される。均一性が仕様の範囲内にあれば、工程308において注入が行なわれる。一方、もし未だ均一性が仕様の範囲外にあれば、工程306、310、312、314が所望の均一性を有するようになるまで繰り返される。
【0043】
帯状ビームのフラックスプロファイルを調整するための方法の一例のフローチャートを図5に示す。工程500においては、ビームが初速度にて走査され、イオンビームのダイナミックビームプロファイルがイオンピームが走査されている間に測定される。図6A〜図6C及び図7〜図7Bには、詳細は後述するが、この測定ステップの動作に関する一実施形態を示している。工程504においては、追加ダイナミックビームプロファイルが測定されたダイナミックビームプロファイルに基づいて挿入されている。工程506においては、修正アルゴリズムが修正走査速度の算出に用いられる。図8には、詳細は後述するが、修正走査速度の算出に用いることができる或るアルゴリズムを示す。工程508においては、修正走査速度にて走査される。この修正ビームは、不都合なフラックス変化を抑制するために設計されている。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0044】
ダイナミックビームプロファイルの測定方法の一形態を示すグラフが、図6A〜図6C、図7、図8A〜図8Bである。図6A〜図6Cは、ビーム経路602をわたるビーム24の単一パスを示しており、ビームの単一パスに対応するビーム電流信号606をプロファイラー56がどのようにして測定するのかを示している。図示したイオンビーム24は、被加工品30の幅に相当する走査経路幅600を有する走査経路602を走査速度にて走査される。このときの走査速度は、電圧波形60によって決定されている。併せて、プロファイラー56がプロファイラー経路58(図1A参照)をプロファイリング速度にて連続移動し、走査されたイオンビーム24の電流密度を連続測定する。概して、ビームの走査速度は、プロファイラー56のプロファイリング速度よりも十分に早く、よって、プロファイラーは、図7Aに示すように、プロファイラーをわたるビームスィープ(beam sweeps)に対応する複数のビーム電流信号606を測定することができる。これらのビーム電流信号606は、その後、加工され、一連のダイナミックビームプロファイルを作成するために用いられる。これらのダイナミックビームプロファイルは、その後、修正走査速度を算出するために用いられる。
【0045】
図6Aにおいては、スキャナが電極36a及び36bを介してビーム24に対してスキャナを提供することができるように、電流波形のかたちで1つの走査波形60を示していているが、他の波形であってもよい。例えば、磁性波形(magnetic waveforms)、機械的動作波形、あるいはビームを移動させるための他の波形であってもよい。さらには、そのような波形は多様な機能によって特徴づけられ、例えば、線形波形、非線形波形、正弦波形などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
図6Bは、図1Aの線量測定システム52の特徴を示した断面図であり、切断線604にて切断した状態を示す。図6Bに示すように、ビームは走査経路602を横断する。ここで走査経路602はビームによってスキャンされるように分解されるとともに、関連する走査経路幅600を有している。ビーム24が走査経路602を横断する場合には、ビーム24の部分はプロファイラー56を通過する。このときプロファイラー56は、較正の間、走査経路602の適切な場所に位置している。図6Bはまた、単一(一回)の走査におけるいくつかの走査されたイオンビームも示している(例えば、24a、24b、24c、24d、24e、24f、及び24g、また、24cと24dとの間のいくつかの走査された中間ビーム)。加えて、走査されたイオンビーム24はまた、較正が完了する前に、被加工品内において非均一なドーピングを導くことができるビームバリエーションを示してもよい(不図示)。一般的な形態においては、プロファイラー56は、ビーム24が走査経路602を横断している間は、連続的にプロファイラー経路58(図1A参照)を横断する。図示しているプロファイラーは各ビームの領域よりも狭い領域となっているが、本発明はプロファイラーの領域がビームの領域よりも狭い場合であっても、広い場合であっても、等しい場合であっても包含する。
【0047】
図6B〜図6Cに示すように、単一走査スィープにおいて、図示したプロファイラー56が、一連の離散測定点(例えば608)に代表されるビーム電流信号606の形態で電流密度(J)分布を測定する。図示するように、ビーム電流信号606の電流密度は、プロファイラー56(例えば、「24a」「24b」「24c」「24e」「24g」)を通過するビームの箇所がない場合に、無視できる。しかしながら、ビーム電流信号606の電流密度は、プロファイラー56(例えば、「24d」、及び「24c」と「24e」との間の走査された中間ビームに対応する一連の「x」印)を通過するビームの箇所がある場合には、無視できない。尚、当業者であれば、図示したビーム電流信号606の電流密度が本発明の範囲を限定するものではないことを理解することができるだろう、すなわち、他のビーム電流信号によって特徴付けられる他のビームであってもよい。
【0048】
各較正に関して、概してイオン注入システム10が、ユーザーがビーム電流信号606にとっての独自のxレゾルーションを選択することができるように構成されている。このxレゾルーションは、ユニット測定毎の離散測定点608の数である。ユーザーは、メモリの考慮、帯域幅関係、スループット関係、較正速度、較正の的確性、及び/または較正精度などの因子に基づいて特定のxレゾルーションを選択することができる。
【0049】
図7A〜図7Dに示すように、プロファイラーがプロファイル経路を移動すると、複数のビーム電流信号606が1つまたは複数のダイナミックビームプロファイルを提供するために用いられる。具体的には、図7C及び図7Dには、2つのダイナミックビームプロファイル702及び704が示されており、それぞれ、対時間及び対位置にプロットされている。
【0050】
図7Aには、ビーム電流信号606(プロファイラー56によって測定されている)対時間が示されている。「*」印を付している点は、「o」印(図7B参照)を付している点と同様に、走査電圧と等しい箇所である。尚、図示したピークとピークとの間における、時間差(t1、t2、t3、t4)は、時間が経つに従って増えている。時間は、プロファイラー56がプロファイラー経路602の中央に向けて移動するに従って、増加する。典型例においては、ピーク間の時間差は、プロファイラー56がプロファイラー経路602の中央に位置するときに最大となると考えられ、この時間差がシーケンシャルピーク(sequential peaks)の均等割り付けとなるだろう。プロファイラー56がプロファイラー経路602の中央を越えて進むと、プロファイラーがプロファイラー経路の末端に達するまで、時間差は短くなっていく。
【0051】
図7Cは、対時間でプロットされた2つのダイナミックビームプロファイル702及び704を示している。図示するように、各ダイナミックビームプロファイルは、特定の走査電圧での走査されたビームの電流密度に関する情報を含んでいる。図7Dに示すように、ダイナミックビームプロファイルは、プロファイルの位置が時間の関数として知られているため、対xでプロットすることができる。
【0052】
図8Aには、与えられた走査ビームにとっての一連のダイナミックビームプロファイル(例えば702及び704)を示している。これには、ビームを完全にオーバースキャンしている走査電圧に関するプロファイルを含んでいる。ダイナミックビームプロファイルは、プロファイルマトリクスMに格納することができる。プロファイルマトリクスMとは、Mの縦列は、単一走査電圧でのダイナミックビームプロファイルを示し、Mの横列は、各走査電圧にとっての与えられた位置Xでの電流を示している。図8Bに示す帯状プロファイル802は、Mの縦列を加算することによって算出することができる。帯状フラックスプロファイルは、より一層正確な算出方法によって算出され、具体的には、多数のビーム信号をビニング(binning)するとともに、時間をXに変換することにより行なう。
【0053】
各較正に関しては、概してイオン注入システム10が、ユーザーがダイナミックビームプロファイル702及び704にとっての独自のxレゾルーションを選択することができるように構成されている。ユーザーは、メモリの考慮、帯域幅関係、スループット関係、較正速度、較正の的確性、及び/または較正精度などの因子に基づいて特定のxレゾルーションを選択することができる。概して、ダイナミックビームプロファイルのxレゾルーションは、走査速度及びプロファイラー速度によって決定され、以下に関連事項によるプロファイラーのデジタル化速度に関連している。すなわち、ダイナミックビームプロファイルの数が、ビーム走査周波数(beam scanning frequency)によって分割されたデジタル化周波数(digitization frequency)と等しく、xレゾルーションまたはダイナミックビームプロファイル毎のポイント数がビーム走査周波数のビームプロファイリング時間倍と等しい。
【0054】
上述したように、様々な形態において、ビーム24の走査速度は、プロファイラー56のプロファイル速度よりも十分に速い。例えば、ビームの走査速度は、プロファイラーのプロファイル速度に比べて、約20倍から約10,000倍ほど速い。或る実施形態においては、走査速度がプロファイル速度よりも約2000倍ほど速くなっている。尚、当業者であれば、これらの値に限定されるものではないことを理解することができるだろう。
【0055】
加えて、様々な実施形態においては、複数のビームプロファイリングを測定する工程に、ビームの帯状フラックスを修正する必要がないものもある。例えば、ダイナミックビームプロファイルはまた、様々な診断モードにおいて測定することができたり、あるいは、帯状ビームプロファイルを測定するのに適した他のシナリオにおいて測定することもできる。
【0056】
加えて、様々な実施形態においては、複数のダイナミックビームプロファイルを測定するための工程が限られた時間のなかで行なわれるものもある。例えば、或る実施形態では、これを90秒未満で行なう。また、他の実施形態では、60秒未満であったり、30秒未満であったりする。更には、別の実施形態では、15秒未満であったりする。これらの実施形態及び/または他の実施形態においては、上記した限られた時間が、プロファイラー56がプロファイラー経路58を移動するのに関する時間よりも短いものもある。例えば、当該限られた時間が、プロファイラーの10回パス(ten passes)未満である場合や、3回パスである場合もあり、あるいは、1回パスの場合もある。尚、当業者であれば、本発明が、これらの値に限定されるものではないことを理解することができるだろう。すなわち、本発明には、全ての時間的値、及びプロファイラー経路を横断する移動を含む。
【0057】
図5に示したように、較正方法500はまた、別ダイナミックビームプロファイル504を補間する工程も含むことができる。例えば、10個のダイナミックビームプロファイルが測定されたとすれば、ユーザーは、修正走査速度のより正確な決定を可能にするために、それらを100または150のプロファイルに補間することができる。典型的な実施形態としては、この工程には、ダイナミックビームプロファイルと補間されたプロファイルとの双方を含むプロファイルマトリクスMを形成する工程が含まれる。例えば、当該マトリクスの横列のそれぞれは、およそプロファイラー位置でのダイナミックビームプロファイルに関連しており、且つ縦列のそれぞれは、与えられた走査電圧でのダイナミックプロファイルに関連している。別のプロファイルを補間する工程を用いない実施形態においては、プロファイルマトリクスMはダイナミックビームプロファイルを含むだろう。
【0058】
修正方法500はまた、修正走査波形を算出するためにアルゴリズムを使用する工程も含む。或るアルゴリズム900を図9に示す。他のアルゴリズム(例えば、線形または非線形回帰法)であっても用いることは可能である。
【0059】
工程902においては、帯状フラックスプロファイルと所望の帯状フラックスプロファイルとの差が算出される。その結果はベクターDに格納される。典型的には、走査経路において、所望の帯状フラックスプロファイルは、一定の電流密度を有するプロファイルに相当する。このような一定の電流密度は、被加工品の均一なドーピングをもたらすようである。スプリット注入(split implants)においては、所望の帯状フラックスプロファイルが、異なる電流密度を有した一定電流密度領域の2つまたはそれ以上のセグメントになることが可能である。
【0060】
工程904においては、ベクターDは、プロファイルマトリクスMに瞬間走査速度変化の逆数を乗じたものと比例している(例えば、△dt/dV)。工程906においては、プロファイルマトリクスMが逆数となっている。工程908においては、dt/dV+△dt/dVが積分される。新しいdt/dVが正数で、スキャナの帯域幅よりも小さいため、この積分は制約されることになる。工程910においては、修正走査波形が、V(t)を得るためにt(V)を反転させることによって算出され、スケールが適切に調整される。
【0061】
工程912においては、アルゴリズムが集中している場合に決定される。概して集中は、フラックスの非均一率(percent non-uniformity)として定義される。この非均一はユーザー設定可能であり、例えば1.5%未満とすることができる。他の実施形態においては、非均一は0.5%未満(2分の1パーセント)となるだろう。ビームフラックスプロファイルが集中している場合は、較正が完了し、且つ、ビームが、修正帯状ビーム(図5参照)を形成するための修正走査速度で走査することが可能となる。もしアルゴリズムが集中していない場合は、集中が起きるまでか、もしくは較正時間がタイムアウトとなるまで、工程902〜912が繰り返される。
【0062】
1つまたは複数の注入に関する本発明について、これまで説明及び図示したが、本発明の請求項に記載の範囲内において置換及び修正が可能である。上述した構成または構造(ブロック、ユニット、エンジン、組立品、装置、回路、システムなど)によって実行される様々な機能や、これらの構成を説明するために用いた用語(「手段」と言及しているものも含め)は、他の指示がない限り、上記では説明していない構造であっても、上述した機能と同じ機能を有するものであれば、あらゆる構成または構造を採用することができる(すなわち、機能的同等性があれば良い)。また、本発明の特徴について、いくつかの注入のうちの1つだけについて説明していたとしても、その特徴は、他の注入の1つまたは複数の特徴を組み合わせたものであってもよい。更には、用語「含まれる」「含む」「有する」「有している」「ともに」あるいは他の用語においては、「備えている」と類似した用語として含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1A】スキャナと、並列化手段と、線量測定システムとを有するイオン注入システムの一実施形態を示す。
【図1B】図1Aに示したスキャナと、走査イオンビームとの一実施形態を示す。
【図1C】図1A及び図1Bに示したスキャナにおける三角形の走査電極電圧波形を示したものである。
【図1D】図1Aに示したシステムを用いて、複数の離散点に同時に1つのイオンビームが照射されている状態を示した斜視図である。
【図2A】被加工品全域にイオンビームの走査がおこなわれている状態を示した端面図である。
【図2B】図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して或る幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【図2C】図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して或る幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【図2D】図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して或る幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【図2E】図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して或る幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【図2F】図1A及び図1Bに示したシステムを用いて、被加工品に対して或る幅のイオンビームを照射した状態を示した部分前面図である。
【図3】従来技術におけるビーム走査較正方法のフローチャートである。
【図4】従来技術におけるビーム走査較正方法に関する種々のパラメーターを示したグラフである。
【図5】本発明に係るビーム走査較正方法の一つにおけるフローチャートである
【図6A】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図6B】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図6C】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図7A】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図7B】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図7C】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図7D】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図8A】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図8B】図5のビーム走査較正方法において用いられる測定プロセスの一つを示したチャートである。
【図9】一組の修正因子を算出するための修正アルゴリズムの1つを示したチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状イオンビームのフラックスを測定するための測定方法であって、
イオンビームを所定の走査速度にて走査する工程と、
上記イオンビームが走査されるにつれて複数のビーム電流信号を測定する工程と、
複数のダイナミックビームプロファイルを算出するために、上記複数のビーム電流信号を用いる工程とを含んでおり、
上記複数のダイナミックビームプロファイルは、上記帯状イオンビームのフラックスを表していることを特徴とする測定方法。
【請求項2】
上記複数のダイナミックビームプロファイルを算出するために、上記複数のビーム電流信号を用いる上記工程には、
走査波形を介して、上記複数のビーム電流信号と、上記複数のダイナミックビームプロファイルとを関連付ける工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
上記複数のビーム電流信号と、上記複数のダイナミックビームプロファイルとを関連付ける上記工程には、
上記ビーム電流信号上の一連の離散点を、上記複数のダイナミックビームプロファイルのうちの1つと関連付ける工程を含んでおり、
上記一連の離散点は、所定の方法によって、上記走査波形と関連付けられることを特徴とする請求項2に記載の測定方法。
【請求項4】
上記一連の離散点は、定電圧、定電流、及び定位置のうちの1つを介して、上記走査波形に関連付けられることを特徴とする請求項3に記載の測定方法。
【請求項5】
帯状イオンビームのフラックスを調整するための調整方法であって、
イオンビームを所定の走査速度にて走査して帯状イオンビームを形成する工程と、
上記イオンビームが走査されるにつれて複数のダイナミックビームプロファイルを測定する工程と、
走査された上記イオンビームから測定された上記複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて修正走査速度を算出する工程とを含むことを特徴とする調整方法。
【請求項6】
上記修正走査速度にて上記イオンビームを走査して、修正帯状イオンビームを得る工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
【請求項7】
上記イオンビームが走査されるにつれて複数のダイナミックビームプロファイルを測定する上記工程には、
所定の走査速度にて走査経路を横断してイオンビームを走査する工程と、
所定のプロファイリング速度にてプロファイラー経路を横断してプロファイラーを移動させる工程とを含んでおり、
上記複数のダイナミックビームプロファイルを限られた時間内に測定することができるように、上記走査速度を上記プロファイリング速度よりも十分に速く構成していることを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
【請求項8】
上記イオンビームが走査されるにつれて複数のダイナミックビームプロファイルを測定する上記工程には、更に、
複数のビーム電流信号を測定する工程と、
一連のダイナミックビームプロファイルを、上記複数のビーム電流信号から得る工程とを含んでおり、
上記ダイナミックビームプロファイルは、限られた時間内で提供されるとともに、修正走査速度の正確な算出を可能にする十分な情報を有していることを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
【請求項9】
上記走査された上記イオンビームから測定された上記複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて修正走査速度を算出する上記工程は、
帯状ビームフラックスプロファイルと所望の帯状ビームフラックスプロファイルとの差を算出する工程(a)と、
瞬間走査速度によって上記ダイナミックビームプロファイルと上記差とを関連付ける工程(b)と、
修正走査速度を算出する工程(c)とを含むことを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
【請求項10】
上記走査された上記イオンビームから測定された上記複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて修正走査速度を算出する上記工程は、更に、
上記帯状ビームフラックスプロファイルが要望に沿っているかを判定する工程と、
上記帯状ビームフラックスプロファイルが要望に沿っていない場合には、要望に沿っていると判断されるまで、上記工程(a)、上記工程(b)、及び上記工程(c)を繰り返すことを特徴とする請求項9に記載の調整方法。
【請求項11】
上記複数のダイナミックビームプロファイルを測定する上記工程は、限られた時間内に行なわれることを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
【請求項12】
上記限られた時間とは、90秒未満であることを特徴とする請求項11に記載の調整方法。
【請求項13】
上記限られた時間とは、15秒未満であることを特徴とする請求項11に記載の調整方法。
【請求項14】
上記限られた時間とは、プロファイラーの3回のパスに相当する時間よりも短いことを特徴とする請求項11に記載の調整方法。
【請求項15】
上記限られた時間とは、プロファイラーの単一パスに相当する時間とほぼ等しいか、それ未満であることを特徴とする請求項11に記載の調整方法。
【請求項16】
測定された上記複数のダイナミックビームプロファイルから追加のダイナミックビームプロファイルを補間する工程を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の調整方法。
【請求項17】
帯状イオンビームのフラックスを調整するための調整方法であって、
帯状ビームを形成するために、所定の走査速度にて走査経路を横断してイオンビームを走査する工程と、
所定のプロファイリング速度にてプロファイラー経路を横断してプロファイラーを移動させる工程とを含んでおり、
上記複数のダイナミックビームプロファイルを限られた時間内に測定して、修正走査速度の正確な算出を可能にするために、上記走査速度を上記プロファイリング速度よりも十分に速く構成していることを特徴とする調整方法。
【請求項18】
複数のビーム電流信号を測定する工程と、
測定された上記複数のビーム電流信号から複数のダイナミックビームプロファイルを形成する工程とを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項19】
上記限られた時間とは、プロファイラーの概して1つのパスに相当する時間とほぼ等しいか、それ未満であることを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項20】
ビームの走査速度は、プロファイラーのプロファイリング速度よりも約20倍から約10,000倍の範囲で速いことを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項21】
測定された上記複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて修正走査速度が算出されることを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項22】
修正帯状イオンビームを得るために、修正走査速度にてイオンビームを走査することを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項23】
測定された帯状イオンビームフラックスプロファイルを算出するために、上記複数のダイナミックビームプロファイルを用いる工程と、
測定された上記帯状ビームフラックスプロファイルが所望の帯状ビームフラックスプロファイルと比較して好ましいものでない場合は、修正走査速度にてビーム経路を横断して上記イオンビームを走査する工程とを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項24】
イオン注入システムにおいて走査されたイオンビームを較正するための較正システムであって、
イオンビームの走査速度に影響を与える制御システムと、
プロファイリング速度にて、走査されたイオンビームのビーム電流を測定するためのビームプロファイラーとを備えており、
上記複数のダイナミックビームプロファイルを限られた時間内に測定して、修正走査速度の正確な算出を可能にするために、走査速度は、プロファイリング速度よりも十分速いことを特徴とする較正システム。
【請求項1】
帯状イオンビームのフラックスを測定するための測定方法であって、
イオンビームを所定の走査速度にて走査する工程と、
上記イオンビームが走査されるにつれて複数のビーム電流信号を測定する工程と、
複数のダイナミックビームプロファイルを算出するために、上記複数のビーム電流信号を用いる工程とを含んでおり、
上記複数のダイナミックビームプロファイルは、上記帯状イオンビームのフラックスを表していることを特徴とする測定方法。
【請求項2】
上記複数のダイナミックビームプロファイルを算出するために、上記複数のビーム電流信号を用いる上記工程には、
走査波形を介して、上記複数のビーム電流信号と、上記複数のダイナミックビームプロファイルとを関連付ける工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
上記複数のビーム電流信号と、上記複数のダイナミックビームプロファイルとを関連付ける上記工程には、
上記ビーム電流信号上の一連の離散点を、上記複数のダイナミックビームプロファイルのうちの1つと関連付ける工程を含んでおり、
上記一連の離散点は、所定の方法によって、上記走査波形と関連付けられることを特徴とする請求項2に記載の測定方法。
【請求項4】
上記一連の離散点は、定電圧、定電流、及び定位置のうちの1つを介して、上記走査波形に関連付けられることを特徴とする請求項3に記載の測定方法。
【請求項5】
帯状イオンビームのフラックスを調整するための調整方法であって、
イオンビームを所定の走査速度にて走査して帯状イオンビームを形成する工程と、
上記イオンビームが走査されるにつれて複数のダイナミックビームプロファイルを測定する工程と、
走査された上記イオンビームから測定された上記複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて修正走査速度を算出する工程とを含むことを特徴とする調整方法。
【請求項6】
上記修正走査速度にて上記イオンビームを走査して、修正帯状イオンビームを得る工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
【請求項7】
上記イオンビームが走査されるにつれて複数のダイナミックビームプロファイルを測定する上記工程には、
所定の走査速度にて走査経路を横断してイオンビームを走査する工程と、
所定のプロファイリング速度にてプロファイラー経路を横断してプロファイラーを移動させる工程とを含んでおり、
上記複数のダイナミックビームプロファイルを限られた時間内に測定することができるように、上記走査速度を上記プロファイリング速度よりも十分に速く構成していることを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
【請求項8】
上記イオンビームが走査されるにつれて複数のダイナミックビームプロファイルを測定する上記工程には、更に、
複数のビーム電流信号を測定する工程と、
一連のダイナミックビームプロファイルを、上記複数のビーム電流信号から得る工程とを含んでおり、
上記ダイナミックビームプロファイルは、限られた時間内で提供されるとともに、修正走査速度の正確な算出を可能にする十分な情報を有していることを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
【請求項9】
上記走査された上記イオンビームから測定された上記複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて修正走査速度を算出する上記工程は、
帯状ビームフラックスプロファイルと所望の帯状ビームフラックスプロファイルとの差を算出する工程(a)と、
瞬間走査速度によって上記ダイナミックビームプロファイルと上記差とを関連付ける工程(b)と、
修正走査速度を算出する工程(c)とを含むことを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
【請求項10】
上記走査された上記イオンビームから測定された上記複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて修正走査速度を算出する上記工程は、更に、
上記帯状ビームフラックスプロファイルが要望に沿っているかを判定する工程と、
上記帯状ビームフラックスプロファイルが要望に沿っていない場合には、要望に沿っていると判断されるまで、上記工程(a)、上記工程(b)、及び上記工程(c)を繰り返すことを特徴とする請求項9に記載の調整方法。
【請求項11】
上記複数のダイナミックビームプロファイルを測定する上記工程は、限られた時間内に行なわれることを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
【請求項12】
上記限られた時間とは、90秒未満であることを特徴とする請求項11に記載の調整方法。
【請求項13】
上記限られた時間とは、15秒未満であることを特徴とする請求項11に記載の調整方法。
【請求項14】
上記限られた時間とは、プロファイラーの3回のパスに相当する時間よりも短いことを特徴とする請求項11に記載の調整方法。
【請求項15】
上記限られた時間とは、プロファイラーの単一パスに相当する時間とほぼ等しいか、それ未満であることを特徴とする請求項11に記載の調整方法。
【請求項16】
測定された上記複数のダイナミックビームプロファイルから追加のダイナミックビームプロファイルを補間する工程を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の調整方法。
【請求項17】
帯状イオンビームのフラックスを調整するための調整方法であって、
帯状ビームを形成するために、所定の走査速度にて走査経路を横断してイオンビームを走査する工程と、
所定のプロファイリング速度にてプロファイラー経路を横断してプロファイラーを移動させる工程とを含んでおり、
上記複数のダイナミックビームプロファイルを限られた時間内に測定して、修正走査速度の正確な算出を可能にするために、上記走査速度を上記プロファイリング速度よりも十分に速く構成していることを特徴とする調整方法。
【請求項18】
複数のビーム電流信号を測定する工程と、
測定された上記複数のビーム電流信号から複数のダイナミックビームプロファイルを形成する工程とを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項19】
上記限られた時間とは、プロファイラーの概して1つのパスに相当する時間とほぼ等しいか、それ未満であることを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項20】
ビームの走査速度は、プロファイラーのプロファイリング速度よりも約20倍から約10,000倍の範囲で速いことを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項21】
測定された上記複数のダイナミックビームプロファイルに基づいて修正走査速度が算出されることを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項22】
修正帯状イオンビームを得るために、修正走査速度にてイオンビームを走査することを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項23】
測定された帯状イオンビームフラックスプロファイルを算出するために、上記複数のダイナミックビームプロファイルを用いる工程と、
測定された上記帯状ビームフラックスプロファイルが所望の帯状ビームフラックスプロファイルと比較して好ましいものでない場合は、修正走査速度にてビーム経路を横断して上記イオンビームを走査する工程とを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の調整方法。
【請求項24】
イオン注入システムにおいて走査されたイオンビームを較正するための較正システムであって、
イオンビームの走査速度に影響を与える制御システムと、
プロファイリング速度にて、走査されたイオンビームのビーム電流を測定するためのビームプロファイラーとを備えており、
上記複数のダイナミックビームプロファイルを限られた時間内に測定して、修正走査速度の正確な算出を可能にするために、走査速度は、プロファイリング速度よりも十分速いことを特徴とする較正システム。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公表番号】特表2009−533820(P2009−533820A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505423(P2009−505423)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/008784
【国際公開番号】WO2007/120623
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(505413587)アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド (53)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/008784
【国際公開番号】WO2007/120623
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(505413587)アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド (53)
【Fターム(参考)】
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