説明

イベントを感知してフォトン検出を行う画像化装置および方法

【解決手段】画像装置10はフォトン検出器およびこれに接続されたアクセス回路を含む。フォトン検出器は、フォトンを検出し、それに応答した信号を生成する。アクセス回路は、イベント感知モードで動作するように、非常に高いレートでフォトン検出器からの信号を読む。装置10はまた、信号を処理し、対象の画像に関するデータを生成するための信号処理モジュール15を含む。本発明の種々の実施例にしたがって、信号処理モジュール15は空間解像度回路、フォトンエネルギー解像度回路、時間解像度回路、またはこれらの組み合わせを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にフォトンの検出および画像化に関し、一実施例として、特に、画像化におけるイベント感知フォトン検出、および入射ビームと画像化される対象の材料との間の相互作用により形成されるフォトンの検出に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)は医療において広く使用されている。典型的なCTプロセスにおいて、放射線源が、患者のまわりを回転しながら細(thin)X線ビームを放出する。患者の放射線源とは反対側に位置するX線画像検出器は患者の種々の組織、骨によるX線ビーム吸収に関するデータを採取し、記録する。コンピュータはデータを処理し、多数のX線画像を二次元の断面画像に同化する画像を生成する。CT画像は従前のX線写真では分からない多くの軟組織構造を明らかにする。さらに、CT画像は同じ放射線の量を使用するX線写真と比較してより明瞭となった患者の体全体のスライス面を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従前のCTは、小さな正常でない組織、たとえば患者の体の腫瘍に関する詳細な情報を与えるには不十分である。さらに、電子回路にある固有のノイズは従前のCTにおいて画質に悪い影響を与える。X線放射の強度を増加させることは回路の信号対ノイズ比を改良するが、患者への放射線の露出も増加させることになる。放射線の強度が過度に増加することはまた画像の分解能に悪い影響を与える。
【0004】
陽電子放出断層撮影(PET)は、対象、たとえば画像化される患者内にある放射性トレーサーからの陽電子についての陽電子−電子消滅により生成されるフォトンを検出し、患者の断層画像を生成するために、フォトンのエネルギーと軌跡を分析する。単一フォトン放出コンピュータ断層撮影(SPECT)は放射性トレーサーからのフォトン放出のイベントをコンピュータ分析することにより画像を生成する。陽電子−電子消滅はこのようなフォトンの放出源となり得る。PETおよびSPECTは単一フォトンイベントの検出および分析を必要とする。光電子増倍管が一般的に、PETおよびSPECTにおいて、単一フォトンのイベント検出のために使用される。光電子増倍管の低空間分解能はPETおよびSPECTの画質に悪い影響を与える。PETおよびSPECT画像についての他の制約には、時間的および空間解像度、ならびに光電子増倍管および関連した回路の計数率の特性がある。。
【0005】
したがって、電子放出のイベントを正確に検出する装置および方法をもつことは有益となろう。質の高いデータを生成するための、高信号対ノイズ比をもつフォトン検出装置をもつことは望ましいことである。さらに、高空間解像度および高時間解像度の両方をもつ、フォトン放出を検知できることは望ましい。また、放射性トレーサーなしでPETおよびSPECTを形成できることは利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例にしたがって、対象を検査する方法が提供される。本方法は、対象においてフォトンを形成するために、陽電子−電子消滅プロセスを生成すべく、外部から生成された放射線ビームを対象に向けること、フォトンを検出すること、検出されたフォトンに応答する信号を生成すること、および少なくとも信号に基づいて対象の特徴を決定することを含む。限定を意図しない例として、ビームはペンシル型ビーム、ファンビームまたは円錐状ビームであってもよい。外部で生成した放射線ビームを使用して、対象の検査が放射性トレーサーを使用することなく実施され得る。一実施例では、所定の閾値以上のエネルギーレベルに関連した信号のみが考慮され、このことにより信号対ノイズ比は改良される。
【0007】
本方法は動物の体または動物でない対象を検査するために使用することができる。一実施例として、対象は、PET装置または単一フォトン放出コンピュータ断層撮影(SPECT)走査を受ける動物の体の一部である。他の実施例では、対象は、旅客、手荷物、貨物を含む。この場合、本方法は、対象が生成されたデータに基づいて禁制品または爆発物を含むかどうかを判定するために使用することができる。さらに他の実施例として、対象は鉱物岩石を含む。この場合、本方法は、対象がダイヤモンドを含むかどうかを判定するために使用することができる。
【0008】
他の実施例にしたがって、対象を検査する方法が提供される。本方法は、対象内に粒子を生成すること、粒子を検出すること、および検出した粒子に応答して信号を生成することを含む。限定例ではないが、粒子は、放射性同位体を対象に導入することにより、または陽電子−電子消滅プロセスにより生成されてもよい。同様に限定例ではないが、粒子は、陽子、陽電子、中性子または電子であってもよい。本方法はまた、イベント感知モードで生成した信号にアクセスすることを含み、この場合、信号が生成されたときでかつ信号が他の信号と統合される前に信号はアクセスされる。イベント感知モードで、生成した信号にアクセスすることにより、生成した粒子の正確な検出が可能となり、対象の検査システムにおける信号対ノイズ比が改良される。一実施例として、対象は、PET走査、単一フォトン放出コンピュータ断層撮影(SPECT)走査を受ける患者の体の一部である。他の実施例では、対象は、旅客、手荷物、または貨物である。この場合、本方法は、生成したデータに基づき、対象が禁制品または爆発物を含むかどうかを判定するために使用することができる。さらに他の実施例では、対象は鉱物岩石を含む。この場合、本方法は、対象がダイヤモンドを含むかどうかを判定するために使用することができる。
【0009】
他の実施例にしたがって、画像化装置が提供される。画像化装置は、放射線に応答して光フォトンを生成する変換パネル、および変換パネルと整合し、変換パネルからの受信した光フォトンに応答して信号を生成するように構成された光検出器アレーを含む。画像化装置はまた、光検出器アレーに接続されたアクセス回路を含む。アクセス回路はイベント感知モードで動作し、信号が生成されたときでかつ信号が他の信号と統合される前に信号を読み取る。イベント感知モードで信号にアクセスすることにより、放射線の正確な検出が可能となり、画像化装置の信号対ノイズ比が改良される。
【0010】
PETを実施するシステムおよび対象を検査するためのシステムが提供される。本発明の他の態様、特徴は好適な実施例(発明を説明するためのであり、限定に意図はない)から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の種々の実施例が下述のように図を参照して説明される。図において、同一要素が同じスケールで描かれていないが、同じ符号が付されていることに留意されたい。図は本発明の特定の実施例の説明を単に分かりやすくするためのものである。図は本発明の範囲を限定するものではない。さらに、本発明の特定の実施例に関連して説明された態様はその実施例に必ずしも限定されず、本発明の他の実施例でも成し遂げられ得る。
【0012】
図1は、本発明の実施例にしたがった陽電子放出断層撮影(PET)装置10を図示する機能ブロック図である。PETプロセスは、患者11における陽電子−電子消滅により放出されるフォトンを検出することにより、患者11の組織のような対象物の画像を生成する。一実施例にしたがって、陽電子は、患者に投与される生化学的薬剤に混入された陽電子放出放射線同位体の崩壊により発生される。患者11に投与することができる生化学的薬物の例としては、生理食塩水、グルコース、脂肪酸などが挙げられる。静脈注射、経口摂取、埋め込みなどで、生化学的薬剤が患者11に投与できる。図示の例では、陽電子は患者11に投射されたX線ビーム12から生成され、患者の組織と相互作用をする。この例では、装置10は、X線ビーム12を生成する、加速器のような放射線源13を含む。この種のPETはまた加速器に基づく陽電子放出断層撮影(A-PET)と参照されている。X線ビーム12には、ペンシル型ビーム、ファンビーム、または加速器からの円錐状ビームがある。
【0013】
陽電子が患者11の体内を移動し、そこで電子と衝突する。典型的に、陽電子は、患者11の組織内の電子と衝突する前に、ミリメータ(mm)のオーダの距離を移動する。図1は、非常に要約的で特徴的に、患者11の電子52と衝突する陽電子51を示す。陽電子51および電子52は互いに消滅する。この消滅は、図1で特徴的に示されているように、フォトン54とフォトン56という一対のフォトンを生成する。運動量保存により、フォトン54および56は、消滅前の陽電子51と電子52からなる二粒子系の重心と一致する基準座標系において、互いに反対方向に移動する。さらに、フォトン54および56は互いに同じエネルギーをもつ。
【0014】
装置10は一対の放射線検出器、すなわち患者11の両側に配置される、第一の放射線検出器14および第二の放射線検出器16を有する。放射線検出器14および16は、陽電子−電子消滅で、患者11内で生成される対となるフォトンを検出し、検出されたフォトンに応答した電気信号を生成する。たとえば、2001年11月2日に出願の米国特許出願(特許文献1)(「X線画像獲得装置」と題する)が本発明にしたがった放射線検出器14および16のように使用することができるX線画像検出装置を開示する。この米国特許出願第10/013,199号はここの文献として組み込まれる。
【特許文献1】米国特許出願第10/013,199号明細書
【0015】
放射線検出器14および16は、信号処理モジュール15に接続されている。たとえば、1997年11月25に米国出願され、1999年10月19日に発行した米国特許(特許文献2)(「多重モードデジタルX線画像化システム」と題する)は本発明にしたがった信号処理モジュール15のように、使用できる信号処理回路を開示する。この米国特許第5,970,115号はここに文献として組み込まれる。上記特許文献に開示された信号検出および処理回路は、読み取り当たりの多数のイベントの積分検出のために最適化される。特に指定されたパルス感知回路の使用であるが、たとえば、増幅、識別および急速タイミング、イベント感知の改良のためのパルス感知ASICモジュールも使用できる。大きなアモルファスシリコンまたは他の半導体材料、アレーからの最適な信号イベント検出用に設計された多重チャネル回路により、画像化が著しく改良する。本発明の実施例にしたがって、信号処理モジュール15は、たとえば、パルス高分析器、パルス同時分析器、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理ユニット(CPU)、またはマイクロプロセッサ(μP)のような信号プロセッサ、およびたとえば信号プロセッサに接続されるフラッシュメモリーのようなメモリーユニットを含む。信号処理モジュール15の信号プロセッサは、放射線検出器14および16から受信した電気信号を処理・分析するために、メモリーユニット内に記憶されている種々のプログラムを実行し、消滅前の、患者11内における陽電子の位置、経路およびエネルギーに関するデータを生成する。画像信号は、信号処理モジュール15に接続されたディスプレー18に送信される。データおよび画像信号はまた、信号処理モジュール15に記憶され、またはたとえば、ハードディスク、フレキシブルディスク、メモリーテープ、コンパクトディスクROM(CDROM)、デジタルビデオディスク(DVD)などのような外部メモリー装置に記憶されてもよい。
【特許文献2】米国特許第5,970,115号明細書
【0016】
装置10の構成およびフォトン検出機構は、図1に関連した記述したものに限定されない。たとえば、装置10は、陽電子−電子消滅により生成されたフォトンの検出のために対となった放射線検出器14および16を有するものに限定されない。本発明の他の実施例では、装置10は、患者11内で陽電子−電子消滅により生成された対のフォトンを検出するための、患者11を取り囲むリング構造をもつ放射線検出器を含む。さらに、他の実施例では、対となった放射線検出器14および16は、異なる方向で患者11から放出される電子対を検出するために、PETのプロセスの間、患者11を中心に回転する。さらにまた装置10の適用は、患者11の陽電子−電子消滅を検出することに限定されない。本発明の種々の態様として、装置10は、たとえば動物の体、農産物、工業製品、鉱産物、消費財のような他の対象物の構成を分析するために使用することができる。たとえば、装置10の一応用例は、鉱物中のダイヤモンドを検出する場合である。装置10はまた、空港でのセキュリティチェック、大量輸送施設、建物など用にも使用することができる。
【0017】
図2は、本発明の実施例にしたがった放射線検出器20を図示する。パネル20は複数のセル22を含む。放射線検出器20は、本発明にしたがって、図1に示された装置10の放射線検出器14および放射線検出器16として機能する。放射線検出器20はまた、図2に示されたパネル構造に代えリング構造となってもよい。放射線検出器20はフォトン変換パネル22およびフォトン検出アレー26を含む。図2に図示のフォトン変換パネル22およびフォトン検出アレー26は平坦なものである。これは本発明を限定するものではない。たとえば、変換パネル22およびフォトン検出アレー26はまた、放射線検出器20がリング構造をもつように湾曲したものでもよい。フォトン変換パネル22は複数のセルからなる。一実施例では、セル24は、二次元の複数の行部分と複数の列部分とになるように並べられる。セル24(フォトン変換セルとして参照される)は、陽電子−電子消滅プロセスで生成されたX線フォトン、すなわち図1において特徴的に示されているように、患者11内で陽電子51および電子52が互いに沿い消滅するときに生成されるフォトン54および56に応答する光学的なフォトンを生成するように構成されている。
【0018】
陽電子および電子はともに、9.1×10-34キログラム(kg)の質量をもつことから、陽電子−電子消滅の間に生成されるふたつのフォトンのそれぞれのエネルギーはエネルギー保存則により、少なくとも0.5メガ電子ボルト(MeV)をもつ。したがって、変換セル24は好適に、陽電子−電子消滅における0.5MeVの電子に対して感度をもつものである。他の応用例では、変換セル24および関連電子装置は好適に、適切な感度で量子を検出する構成をもつ。本発明の一実施例にしたがって、関連電子装置をもつ変換セル24は、0.5MeVより低いエネルギーをもつフォトンに対して感知しない。したがって、陽電子−電子消滅で生成されず、0.5MeVより低いエネルギーをもつフォトンは変換セル24で信号を生成しない。
【0019】
一実施例にしたがって、変換セル24から変換パネル22を形成するために接着剤が利用される。他の実施例にしたがって、グリッド(図示せず)が、変換セル24を整列し、二次のアレーのX線変換パネル22となるように使用される。X線変換パネル24のアレーを形成するために他の手段も利用することができる。
【0020】
図3は、本発明の実施例にしたがった、図2に図示の変換パネルの変換セル24の略示断面図である。変換セル24は、第一の端部32,第二の端部33、および第一の端部32と第二の端部33との間に少なくとも部分的に伸長する側面部34を有するX線変換体31を含む。一実施例にしたがって、変換体31はロッド(第一の端部32および第二の端部33はそれぞれロッド31の頂部および底部となる)である。本発明にしたがって、変換体31は、入ってくるX線(放射線)フォトンに応答して、光学的なフォトンを生成する材料から作られる。
【0021】
一実施例では、変換体31は少なくとも0.5MeVのエネルギーレベルのX線フォトンを吸収することができる。本発明の一実施例にしたがって、変換体31は、X線放射に応答して、赤外線から紫外線の範囲にあるスペクトルをもつ光学的なフォトンを生成する。これらの特性は、変換体に対して、適切な材料ならびに適切な長さおよび高さを選択することにより達成することができる。本発明の実施例にしたがって、その材料は、高X線放射吸収効率を有するとともに、光学的なフォトンには実質的に透明となるものである。変換体31に対して好適な材料として、ヨウ化セシウム、ビスマス・ゲルマニウム酸塩、カドミウム・タングステン酸塩などがある。一般的に、変換体31が長ければ長いほど、X線放射をより吸収することができる。好適には、変換体31は、X線吸収効率、画像解像度、光収集効率、および放射線吸検出システムの設計の他のパラメータに依存する最適な長さ、高さをもつ。たとえば、変換体31は少なくとも0.5センチメートルの長さまたは高をもつ。一実施例では、変換体31は、約1センチメートルの長さまたは高さをもつ。変換体31は1センチメートルのより長い長さをもってもよい。図2に示されているように、変換体31の長さまたは高さは変換パネル22の厚さを実質的に決定する。
【0022】
一実施例では、変換体31の第一の端部32および第二の端部33は、実質的に、同じ幾何学的形状および寸法をもち、実質的に互いに平行となっている。さらに、変換体31の側面部34は実質的に、第一の端部32および第二の端部33に垂直となる。第一の端部32および第二の端部33の好適な幾何学的形状は四角、矩形、六角形などである。第一の端部32の形状は変換パネル22を使用して形成される画像の空間解像度を決定する。この実施例にしたがい、変換体31の第一の端部32は、約0.1ミリメートルから約0.5ミリメートルの間の範囲にある辺をもつ四角形である。特定の実施例では、変換体31の四角な第一の端部32の側面は、0.127mmである。他の特定の実施例では、変換体31の矩形の第一の端部32の側面は0.194mmである。
【0023】
変換セル24はさらに、変換体31の側面部34に取り付けられた光反射性フィルム36を有する。光反射性フィルム36は変換体31を取り囲み、側面部34へと進む光学的なフォトンを変換体31の内側へと戻るように反射する。したがって、フィルム36は変換体31で生成した光学的なフォトンを平行にし、反射する機能をもつ。特定の実施例では、変換セル24はまた、変換体31の第一の端部32に取り付けられた、X線に対しては透明性をもつ光反射性フィルム38を含む。フィルム38は、第一の端部32に進むこれら光学的なフォトンを変換体31の第二の端部33に戻るように反射し、これにより、図2に示されたような放射線検出器20の変換パネル22の下にある光検出器アレー40に到達する光の強度が増す。一実施例では、変換体31の第一の端部32上のフィルム38は、変換パネル22の第一の端部の全体を覆う、X線に対しては透明性をもつ反射性フィルムの一部である。フィルムは変換パネル22の全変換セル24の第一の端部を覆う。他の実施例として、フィルム38は変換体31の側面部34に取り付けられたフィルム36と一体に形成される。この実施例では、フィルム36およびフィルム38は光反射性ポケット(そこに変換体31が位置する)を形成する。さらに、他の実施例として、変換パネル22内の異なる変換セル24に対するフィルム36はグリッドを形成し、変換セル24はそのグリッドに位置し、これにより、変換パネル22内で、変換セルは二次元アレーを形成する。フィルム36およびフィルム38は市販の光反射性材料で作ることができる。たとえば、適切な接着剤がついた微粉の酸化マグネシウムが光反射性フィルム36およびフィルム38の適切な材料である。装置10の適正な動作には、フィルムが0.5MeV以上のエネルギーをもつX線フォトンに対しては透明となる、変換体31の第一の端部に取り付けられる必要がある。一実施例では、フィルム38は0.5MeVより低いエネルギーのフォトンに対しては不透明である。この実施例では、フィルム38は、陽電子−電子消滅で生成されず、0.5MeVより低いエネルギーをもつフォトンをふるいにかけるフィルターとして機能する。他方、変換体31の側面部34に取り付けられるフィルム36がX線放射に対して透明であるかどうかは、装置15の動作に重大な影響を与えない。
【0024】
図4は、本発明の実施例にしたがった図2の放射線検出器20の光検出器アレー26の平面図である。光検出器アレー26は二次元のアレーに配列した複数の光検出器42を含む。光検出器42は、上に照射される光学的なフォトンに応答して電気信号を生成するように構成されている。特定の実施例では、光検出器42はアモルファスシリコンの光検出器である。光検出器42のそれぞれは、光検出器アレー26を使用して生成される画像の画素を形成する。光検出器アレー26はまた、光検出器42に接続された画素アクセス回路44を含む。画素アクセス回路44は光検出器42にアクセスし、光検出器42からの電気信号を読み取る。
【0025】
好適実施例では、光検出器アレー26の光検出器42は、変換パネル22のセル24と整合する。一実施例では、変換パネル22の各変換セル24は光検出器アレー26のひとつの光検出器42と整合する。この実施例では、変換セル24の寸法は、光検出器42のものとほぼ同じである。放射線検出器20を使用して生成される画像の最大の空間解像度は光検出器アレー26の光検出器42の画素寸法に等しい。これに代る実施例では、変換パネル22の変換セル24は光検出器アレー26の光検出器42よりも大きく、各変換セル24はひとつ以上の光検出器42と整合する。この実施例において、画像の最大空間解像度は変換セル24の寸法により決定される。
【0026】
図4は、光検出器42の側面に位置する画素アクセス回路44を示す。この構成により、画素アクセス回路44は、変換パネル22および光検出器42を通過するX線フォトン、並びに変換パネル22で生成した光学的なフォトンが進行する経路から離れたままとなり、このことは画素アクセス回路44の寿命を延ばす。しかし、本発明はこの構成に限定されない。他の実施例では、光検出器42は基板の一方の側に取り付けられ、画素アクセス回路44は基板の他方の側に配置される。基板は、X線フォトンおよび光学的なフォトンの照射により引き起こされるであろう損傷から画素アクセス回路44を保護する。この配置、構成は、画素の数を減らすことなく、光検出器アレー26の物理的寸法を減少させる。
【0027】
画素アクセス回路44は光検出器アレー26の光検出器42にアクセスし、そこからの電気信号を読み取る。在来のCT(コンピュータ断層撮影)プロセスと比較して、PETプロセスにおける変換パネルを叩くX線フォトンのレートは低い。陽電子−電子消滅で生成されるフォトンが少なくとも0.5MeVのエネルギーをもつことから、フォトン検出イベントに対応する電気信号は、PETプロセスでの放射線検出器20と同様の放射線検出器を使用して、在来のCTプロセスの場合よりも非常に大きなものとなる。陽電子−電子消滅プロセスで生成したフォトンを正確に検出するために、光検出器アレー26は好適には、在来のCTプロセスにおける積分モードとは対照的に、イベント感知モードで動作する。特に、画素アクセス回路44は好適に、放射線検出器20を叩くひとつのフォトンに応答して、光検出器アレー26の画素42の各パルスを感知する。イベント感知モードでの動作はまた、積分モードと比較して、画素アクセス回路44の信号対ノイズ比を改良する。
【0028】
患者11での陽電子−電子消滅イベントを高効率で検出するために、画素アクセス回路44は好適に、患者11での陽電子−電子消滅によるフォトン生成レートに実質的に等しいかそれ以上のアクセスレートまたは信号感知レートをもつ。PETプロセスにおけるフォトン生成レートが比較的低いことから(たとえば単位時間当たり105ないし107個のフォトン生成)、このような信号感知レートを達成する技術が利用される。たとえば、核または素粒子物理学実験室で、泡箱または霧箱に使用されたアクセス回路は一般的に、本発明にしたがった応用例で、十分に高いアクセスレートをもつ。
【0029】
ひとつの実施例にしたがって、画素アクセス回路44は所定の画素アクセスレートをもつ(たとえば、単位マイクロ秒(μs)当たり1アクセスないし10アクセス)。光学的な光フォトンに応答して特定の光検出器42で生成された電荷は、続く画素アクセス動作で、画素アクセス回路44により読み出されるまで、対応する光検出器42のコンデンサーに記憶される。他の実施例では、電気信号が特定の光検出器42から、対応する光検出器42を叩く光学的なフォトンに応答して生じた時に、読み出される。このリアルタイムの読み出し、または信号検知プロセスは、陽電子−電子消滅で生成した対のフォトンを検出するのに優れた時間的解像力を与える。
【0030】
図5は信号処理モジュール15の機能構成を略示するブロック図である。図1に関連して記述したように、信号処理モジュール15は信号プロセッサ51および信号プロセッサに接続されるメモリーユニット52を有する。さらに、信号処理モジュール1は信号プロセッサ51に接続される制御回路55を有する。制御回路55はマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などであってもよい。制御回路55は光検出器アレー26の画素アクセス回路44の動作を制御する。
【0031】
本発明の一態様では、陽電子はA-PETプロセスにおいて、患者11に投射したX線パルスにより生成される。X線パルスの幅およびレートは加速器のパルス幅およびレートにより決定される。たとえば、X線パルスは約100Hzから約1000Hzの間のレートを有し、各パルスは約0.5μsから約100μsの間のパルス幅を有するものでもよい。このようなA-PETプロセスにおいて、制御回路55は、X線パルスがオンの間隔の間のみ、光検出器42から信号を感知して、読み出すように画素アクセス回路44を制御することができる。一実施例にしたがって、制御回路44は画素アクセス回路44の信号感知期間を、加速器により生成されたX線パルスと一致させる。パルスがオンの期間の間にのみ信号を感知することは、パルスがオフの期間の間誤った信号をなくし、放射線検出器20の信号対ノイズ比を改良する。
【0032】
本発明の種々の特定実施例にしたがって、制御回路55はさらに、画素アクセス回路44にパルスがオフの期間の間、光検出器42をリセットするように命じる。この特定の実施例では、特定の光検出器42が、前のパルスがオンの期間でフォトンを検出したかどうかにかかわらず、画素アクセス回路44は光検出器アレー26のすべての光検出器42をリセットする。他の特定の実施例では、光検出器42が、前のパルスがオンの期間でフォトンを検出したときのみ、画素アクセス回路44は、光検出器アレー26の特定の光検出器42をリセットする。
【0033】
本発明の他の態様では、陽電子は、患者11に投与された放射線同位体の崩壊により生成される。このようなPETプロセスにおいて、制御回路55は、所定のレートまたは前述のようにリアルタイムで、連続して感知プロセスでの光検出器42からの信号を感知し、読み取るように、画素アクセス回路44を制御することができる。制御回路55はさらに、画素アクセス回路44が、光検出器をそこからの信号を感知した後にリセットするように命じる。一実施例では、画素アクセス回路44は、光検出器アレー26の光検出器の全部または一部を、所定のレート、たとえば所定の信号感知レートと同じレートでリセットする。他の実施例では、画素アクセス回路44は特定の光検出器42をそこからの信号の読み取り後にリセットする。
【0034】
信号処理モジュール15はまた、空間解像度回路56、フォトンエネルギー解像度回路57,および時間解像度回路58(これらはすべて信号プロセッサ51に接続されている)を含む。空間解像度回路56は、対のフォトンが叩く画素から入ってくるフォトンの経路を計算する。フォトンエネルギー解像度回路57は、光検出器42で生成された信号の強度からフォトンのエネルギーを計算する。時間解像度回路58は、二つのフォトンが叩くイベントの間の時間差を計算する。同じ陽電子−電子消滅プロセスにおいて生成されたふたつのフォトンは互いに反対方向に進み、実質的に同じエネルギーを有し、実質的に同時に生成される。フォトンの経路、エネルギーおよび時間に関するデータは、同じ陽電子−電子消滅で生成されたかどうかを決定するため、陽電子−電子消滅が生じた所および時間を決定するために使用することができる。データはまた、消滅直前の陽電子の位置および速度を決定するためにも使用することができる。陽電子は、患者11内で寿命が非常に短く、患者11内で電子と衝突して消滅する前に1ミリメートル以下しか進めない。したがって、患者11内で生成した陽電子の位置および時間は、データから導くことができる。信号プロセッサ51はさらに、患者11内での陽電子の密度分布を導くことができ、患者11の種々の組織の画像を生成することができる。
【0035】
イベント感知放射線検出器20および信号処理モジュール15により生成した画像は、患者11の断面画像に限定されない。本発明にしたがって、イベント感知放射線検出器20をもつ装置10は、陽電子密度分布データを使用して、他のタイプの画像(容積画像、多数の平面画像、一本または多数本の線または患者11内における任意の形状の円錐表面にそった画像)を生成することができる。
【0036】
図5は、信号処理モジュール15の機能構成のみを示すものである。信号処理モジュール15の物理的構成または回路を限定するものではない。たとえば、空間解像度回路56、エネルギー解像度回路57、および時間解像度回路58は互いに、分離した三つの回路ブロックに限定されるものではない。これらはひとつの回路ブロックに属するものである。それらは信号プロセッサ51の一部であってもよい。
【0037】
本発明にしたがった装置10の応用例はPETに限定されない。特に、放射線検出器20は陽電子−電子消滅で生成されるフォトンの検出に限定されない。放射線検出器20は本発明にしたがってイベントに感度をもち、他のプロセス、たとえば、コンプトン散乱、光電効果、単光子放出、対光子放出生成などで生じたフォトンを検出することができる。また、イベント感度放射線検出器20は他の放射線(中性または荷電粒子、たとえば中性子、電子、陽子、陽電子などを含む)を検出するために修正されてもよい。本発明にしたがって、放射線検出器20およびその変形物は、イベントの発生(イベントの累積効果ではなく)が測定され、分析されるといった種々のプロセスに適用することができる。異なる放射線が異なるエネルギースペクトル、異なる断面をもつことから、アモルファスシリコン光検出器アレー26の前にある変換パネル22の組成および構成を修正することは、たとえば、感度、信号対ノイズ比、エネルギー閾値、空間解像度、エネルギー解像度、時間解像度などのような放射線検出器20の好適な特徴、性能を達成する際に利点となろう。
【0038】
イベント感度放射線検出器20は異なる画像を生成するために、異なる放射線源とともに使用することもできる。一例として、層流コリメータをもつX線源が、加速器に基づく単一光子放出コンピュータ断層撮影(A-PET)画像(従前のCTと比較して、患者11への照射露出が低く、空間分解能が高い)を生成するために患者11に、ペンシル型ビームのラスター走査を実行する。この場合、コリメータが放射線検出器20に隣接して配置され、このことにより、放射線検出器20はある方向に進む放射粒子を検出することができる。粒子の進行方向および粒子を検出した検出器20の位置に基づき、粒子の発生原点が決定される。他の例では、イベント感知放射線検出器20は二つのタイプのイベント、単一光子コンプトン散乱および陽電子−電子消滅を検出、識別することができる。単一光子コンプトン散乱および陽電子−電子消滅は、各コンプトン散乱のイベントがひとつのフォトンを生成し、陽電子−電子消滅は対のフォトンを生成することから、区別することができる。さらに、二つのプロセスは、たとえば異なるエネルギースペクトルおよび異なる弾道といった異なる特徴をもつ光子を生成する。信号処理モジュール15は、コンプトン散乱検出と陽電子−電子消滅検出の両方に対して信号を処理し、患者11の断面画像を生成する。コンプトン散乱が陽電子の発生および陽電子−電子消滅とは独立して患者11内で生じることから、コンプトン散乱の生成およびA-PET画像は患者11の全体的な放射線露出の増加を必要としない。
【0039】
本発明の種々の態様にしたがって、装置10およびその変形の応用例が、限定するものではないが、たとえば動物の体、農産物、工業製品、鉱産物、消費財、空港での手荷物/貨物、大量輸送設備および建物のセキュリティチェックのような他の対象物の構造および/または機能分析を含む。たとえば、装置10の一応用例は鉱物の組成の分析である。異なる組成は典型的に、たとえば、異なる密度、異なる原子番号等のような異なる特徴をもつ。これら異なる特徴は、陽電子−電子の対発生、陽電子−電子消滅およびコンプトン散乱に対し異なる断面をもたらす。たとえば、陽電子−電子に対発生の断面領域は以下に比例する。
【数1】

ここで、Zi鉱物の組成元素の原子番号で、Niは組成元素の原子の数である。異なる断面領域は異なる陽電子−電子消滅およびコンプトン散乱レートを生じさせる。装置10の放射線検出器14および16は異なる陽電子−電子消滅および/またはコンプトン散乱レートを検知し、その応答する信号を生成する。信号処理モジュール15は鉱物の組成や構成に関するデータおよび画像を生成するために信号を処理する。
【0040】
図6は本発明にしたがって対象を検査するためのプロセスを略示したフローチャートである。一例として、対象は患者で、プロセス100は患者に対しPETまたはSPECTを実施する。他の例では、対象はセキュリティチェックを通過する手荷物、貨物で、プロセス100は禁制品または爆発物の検査である。他の例としては、対象は鉱物岩石で、プロセス100はたとえばダイヤモンドのような特別な組成の岩石を検査することである。
【0041】
本発明にしたがって、対象の検査のプロセス100は、フォトンを生成するために、対象にフォトン生成機構を導入する工程101で開始する。一実施例では、フォトン生成機構は対象に投与される陽電子生成同位体を含む。同位体から生成された陽電子は対象内で粒子と衝突し、陽電子−電子衝突またはコンプトン散乱が生じる。他の実施例にしたがって、X線放射が陽電子を生成し、陽電子−電子消滅プロセスによりフォトンが生成される。他の実施例にしたがって、X線放射は対象内の粒子を励起させ、直接フォトンを生成する。
【0042】
検査プロセス100の工程102で、対象で生成したフォトンは対象から伝送されたときに検出される。工程14では、プロセス100は、フォトンの検出イベントに応答して電気信号を生成する。工程105では、電気信号は、アクセス回路を使用しアクセスされる。本発明の実施例にしたがって、アクセス回路は、各フォトン検知イベントに対応する電気信号にアクセスするために、イベント感知モードで動作する。アクセスされた信号は対象の内部構造に関するデータを生成するために工程106で分析される。データは、対象の断層画像を生成し、または対象の特定の組成を検出するために使用することができる。本発明の種々の実施例にしたがって、電気信号を分析することは、フォトンの空間座標系を識別すること、フォトンの発生時を識別すること、フォトンのエネルギーを識別すること、またはこれらの組み合わせを含む。
【0043】
以上のように、イベント感知フォトン検出を行って対象を検査する装置および方法が提供される。本発明にしたがって、装置はアクセス回路および信号処理モジュール(信号フォトンイベントを検出することができるイベント感知モードで動作する)を含む。本発明の一態様では、装置は、PETまたはSPECTプロセスにおいて、フォトンを検出する。特に、本発明にしたがってイベント感知フォトン検出を行うPETプロセスまたはSPECTプロセスは対象への放射線の露出を増加させる必要なく、正確な画像データを与える。イベント感知フォントン検出のための電子回路は、従前のコンピュータ断層撮影で使用された積分信号アクセスモードで動作する回路と比較して、非常に低い固有のノイズしかもたない。したがって、本発明にしたがったイベント感知フォトン検出を行う画像装置は、PETまたはSPECT工程で、不必要で、副次的な悪影響を最小にすることができる。さらに、イベント感知フォトン検出は効率を改善し、PETまたはSPECTプロセスの動作コストを軽減する。
【0044】
本発明の特別な実施例が上述されているが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、当業者に明らかなように、記述した実施例の修正や変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は本発明の一実施例にしたがったPET装置の機能ブロック図である。
【図2】図2は本発明の一実施例にしたがった放射線検出器を図示する。
【図3】図3は本発明の一実施例にしたがった変換セルの略示断面図である。
【図4】図4は本発明の一実施例にしたがったフォトン検出器アレーの平面図である。
【図5】図5は本発明の一実施例にしたがった信号処理モジュールの機能構成を略示するブロック図である。
【図6】図6は本発明の一実施例にしたがった対象物を検査する工程を略示するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を検査する方法であって、
対象内でフォトンを形成するために、陽電子−電子消滅プロセスを生成すべく対象に、外部で生成された放射線ビームを向ける工程と、
そのフォトンを検出する工程と、
検出されたフォトンに応答して信号を生成する工程と、
少なくともその信号に基づき対象の特徴を判定する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
対象が動物の体の少なくとも一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象が動物以外の対象である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対象が旅客、手荷物または貨物であり、対象の特徴を判定する工程が、対象が禁制品または爆発物を含むかいなかを決定することである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
対象が鉱物岩石であり、対象の特徴を判定する工程が、対象がダイヤモンドを含むかいなかを決定することである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
判定する工程が対象に関するデータを生成することである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
データは画像データからなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
データはPETまたはSPECTデータからなる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
対象の特徴が組成、電子密度、原子番号密度、質量密度、形態、外観または機能性である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
外部で生成された放射線ビームを向ける工程がペンシル型ビーム、ファンビームまたは円錐状ビームを対象に向けることである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
信号が生成されたときでかつ信号が他の信号と統合する前に信号にアクセスする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
判定する工程が、空間座標、生成時間、および検出フォトンのエネルギーのひとつまたは組み合わせを識別することからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
フォトンを検出する工程が、陽電子−電子消滅プロセスにおいて生成された第一のフォトンを感知するために第一の検出器を使用すること、および陽電子−電子消滅プロセスにおいて生成された第二のフォトンを感知するために第二の検出器を使用すること含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
対象の特徴を決定する工程が、第一のフォトンおよび第二のフォトンが同じ陽電子−電子消滅プロセスに起因しているかどうかを、少なくとも第一のフォトンが第一の検出器で検出されたとき、および第二のフォトンが第一の検出器で検出されたときに基づいて判定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
対象の特徴を判定する工程が、第一のフォトンに関連したエネルギーレベルおよび第二のフォトンに関連したエネルギーレベルを判定することを含むせ、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
エネルギーレベルを判定することが、ほぼ0.5MeVかそれ以上のエネルギーレベルと関連した信号のみを判断することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
対象の特徴を判定する工程が、陽電子−電子消滅プロセスが生じる第一および第二のフォトンの始点を判定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
対象を検査するシステムであって、
放射線ビームを外部で生成し、該放射線ビームを、対象内でフォトンを形成するために、陽電子−電子消滅プロセスを生成すべく対象に向ける手段と、
そのフォトンを検出する手段と、
検出されたフォトンに応答して信号を生成する手段と、
少なくともその信号に基づき対象の特徴を判定する手段と、
を含むシステム。
【請求項19】
放射線ビームを外部で生成する手段が、ペンシル型ビーム、ファンビームまたは円錐状ビームを生成する手段からなる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
さらに、信号が生成されたときでかつ信号が他の信号と統合する前に信号にアクセスする手段を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
対象の特徴を判定する手段が対象に関するデータを生成する手段からなる、請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
対象を検査する方法であって、
対象内に粒子を生成する工程と、
該粒子を検出する工程と、
検出された粒子に応答して信号を生成する工程と、
信号が生成されたときでかつ信号が他の信号と統合する前に信号に、生成された信号にアクセスする工程と、
対象に関するデータを生成するために、信号を分析する工程と、
を含む方法。
【請求項23】
粒子を生成する工程が、対象にビームを向けることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ビームを向けることが、対象に、ペンシル型ビーム、ファンビーム、または円錐状ビームを向けることからなる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
粒子を生成する工程が放射性同位体を対象に導入することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
粒子が、陽電子−電子消滅プロセスで生成されたフォトンからなる、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
粒子が、陽子、陽電子、中性子または電子からなる、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
分析する工程が、空間座標、生成の時間、検出された粒子のエネルギーのひとつまたは組み合わせを識別することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
対象が、陽電子放出断層撮影(PET)走査または単一フォトン放出コンピュータ断層撮影(SPECT)走査を受ける患者の体の少なくとも一部である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
対象が旅客、手荷物または貨物であり、対象が禁制品または爆発物を含むかいなかを決定する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
対象が鉱物岩石であり、対象がダイヤモンドを含むかいなかを決定する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
対象を検査するシステムであって、
対象内で粒子を生成する手段と、
該粒子を検出する手段と、
検出された粒子に応答して信号を生成する手段と、
信号が生成されたときでかつ信号が他の信号と統合する前に信号に、生成された信号にアクセスする手段と、
対象に関するデータを生成するために、信号を分析する手段と、
を含むシステム。
【請求項33】
粒子を生成する手段が、対象にビームを向ける手段を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
粒子を生成する手段が放射性同位体を対象に導入する手段を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
粒子が、陽電子−電子消滅プロセスで生成されたフォトンからなる、請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
粒子が、陽子、陽電子、中性子または電子からなる、請求項32に記載のシステム。
【請求項37】
分析する手段が、空間座標、生成の時間、検出された粒子のエネルギーのひとつまたは組み合わせを識別する手段を含む、請求項32に記載の
【請求項38】
画像化装置であって、
光フォトンを放射線に応答して生成する変換パネルと、
該変換パネルと整合し、変換パネルから受けた光フォトンに応答して信号を生成する光検出器アレーと、
信号が生成されかつその信号が他の信号と統合する前に信号を読み取るための、光検出器に接続されたアクセス回路と、
該アクセス回路により受信された信号に応答して画像データを生成するための、アクセス回路に接続された信号処理回路と、
を含む画像化装置。
【請求項39】
光検出器アレーが、二次元に配列された、複数のアモルファスシリコン光検出器を有する、請求項38に記載の画像化装置。
【請求項40】
アクセス回路が単位時間当たり約104から108回のレートで、光検出器アレーで生成された信号を読み取る、請求項38に記載の画像化装置。
【請求項41】
アクセス回路が、変換パネルにより放射線が検出されるレート以上で、光検出器アレーで生成された信号を読み取る、請求項38に記載の画像化装置。
【請求項42】
アクセス回路は、光検出器を、そこからひとつ以上読み取った後に、リセットされる、請求項38に記載の画像化装置。
【請求項43】
さらに、変換パネルに隣接して配置される付加変換パネル、および
該付加変換パネルと整合した付加光検出器アレー
を含み
付加変換パネルは放射線に応答して光フォトンを生成し、
付加光検出器アレーは、付加変換パネルから受信した光フォトンに応答して信号を生成する、請求項38に記載の画像化装置。
【請求項44】
信号処理回路は、さらに、変換パネルで検出された信号が、付加変換パネルで検出された放射線と関連するかどうを、少なくとも変換パネルと付加変換パネルに対する放射線源の位置に基づいて判定する、請求項43に記載の画像化装置。
【請求項45】
信号処理回路は、変換パネルで検出された信号が、付加変換パネルで検出された放射線と関連するかどうかを、少なくとも変換パネルで検出された放射線のエネルギーレベルおよび付加変換パネルで検出された放射線のエネルギーレベルに基づいて判定する、請求項43に記載の画像化装置。
【請求項46】
信号処理回路は、変換パネルで検出された信号が、付加変換パネルで検出された放射線と関連するかどうかを、少なくとも変換パネルで検出された第一の粒子の位置および付加変換パネルで検出された第二の粒子の位置に基づいて判定する、請求項43に記載の画像化装置。
【請求項47】
さらに、放射線を生成するために、放射線ビームを対象に向ける加速器を含む、請求項38に記載の画像化装置。
【請求項48】
さらに、対象を支持するプラットフォームを含む、請求項38に記載の画像化装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を検査する方法であって、
対象内でフォトンを形成するために、陽電子−電子消滅プロセスを生成すべく対象に、外部で生成された放射線ビームを向ける工程と、
そのフォトンを検出する工程と、
検出されたフォトンに応答して信号を生成する工程と、
少なくともその信号に基づき対象の特徴を判定する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
対象が動物の体の少なくとも一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象が動物以外の対象である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対象が旅客、手荷物または貨物であり、対象の特徴を判定する工程が、対象が禁制品または爆発物を含むかいなかを判定することである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
対象が鉱物岩石であり、対象の特徴を判定する工程が、対象がダイヤモンドを含むかいなかを判定することである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
対象が放射性同位体である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
判定する工程が対象に関するデータを生成することである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
データは画像データを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
データはPETまたはSPECTデータを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
対象の特徴が組成、電子密度、原子番号密度、質量密度、形態、外観または機能性である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
外部で生成された放射線ビームを向ける工程がペンシル型ビーム、ファンビームまたは円錐状ビームを対象に向けることである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
信号が生成されたときでかつ信号が他の信号と統合する前に信号にアクセスする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
判定する工程が、空間座標、生成時間、および検出フォトンのエネルギーのひとつまたは組み合わせを識別することからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
フォトンを検出する工程が、陽電子−電子消滅プロセスにおいて生成された第一のフォトンを感知するために第一の検出器を使用すること、および陽電子−電子消滅プロセスにおいて生成された第二のフォトンを感知するために第二の検出器を使用すること含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
放射線ビームが、第一の検出器と第二の検出器との間には位置しない放射線源を使用して生成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対象の特徴が、第一の検出器および第二の検出器に対する放射線源の位置を使用して判定される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
対象の特徴が、第一の検出器により検知される第一のフォトンの位置、および第二の検出器により検知される第二のフォトンの位置を使用して判定される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
対象の特徴を判定する工程が、第一のフォトンおよび第二のフォトンが同じ陽電子−電子消滅プロセスに起因しているかどうかを、少なくとも第一のフォトンが第一の検出器で検出されたとき、および第二のフォトンが第一の検出器で検出されたときに基づいて判定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
対象の特徴を判定する工程が、第一のフォトンに関連したエネルギーレベルおよび第二のフォトンに関連したエネルギーレベルを判定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
エネルギーレベルを判定することがさらに、ほぼ0.5MeVかそれ以上のエネルギーレベルと関連した信号のみを判断することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
対象の特徴を判定する工程が、陽電子−電子消滅プロセスが生じる第一および第二のフォトンの始点を判定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
請求項1ないし21のいずれかに記載の方法を実施するシステムであって、
対象内でフォトンを形成するために、陽電子−電子消滅プロセスを生成すべく、外部で生成した放射線ビームを対象に向ける手段と、
そのフォトンを検出する手段と、
検出されたフォトンに応答して信号を生成する手段と、
少なくともその信号に基づき対象の特徴を判定する手段と、
を含むシステム。
【請求項23】
信号を生成する手段が光検出器アレーを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
光検出器アレーが、二次元に配列された、複数のアモルファスシリコン光検出器を含む、請求項23に記載のシステム
【請求項25】
信号を生成する手段がさらに、信号が生成されたときでかつ信号が他の信号と統合する前に信号を読み取る、光検出器に接続されるアクセス回路を含む、請求項23に記載のシステム
【請求項26】
アクセス回路が単位時間当たり約104から108回のレートで、光検出器アレーで生成された信号を読み取る、請求項25に記載のシステム
【請求項27】
対象の特徴を判定する工程が、アクセス回路により読み取られた信号に応答して画像データを生成するための、アクセス回路に接続される信号処理回路を含む、請求項25に記載のシステム

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−502420(P2006−502420A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501610(P2005−501610)
【出願日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/031501
【国際公開番号】WO2004/038365
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(503427245)バリアン・メディカル・システムズ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (25)
【氏名又は名称原語表記】Varian Medical Systems Technologies, Incorporated
【住所又は居所原語表記】3100 Hansen Way,Palo Alto,California 94304,the United States of America
【Fターム(参考)】