説明

インクジェット印刷装置、印刷ヘッドのクリーニング方法のプログラムおよび印刷ヘッドのクリーニング方法

【課題】 ウエットワイプを行う際のクリーニング性の向上を図れ、さらに、ノズルのメニスカスを回復させることができる、インクジェット印刷装置を提供する。
【解決手段】 本発明のインクジェット印刷装置では、ウエットワイプユニット41のワイプブレード42により印刷ヘッド21のノズルプレート23の面上を拭き取り、インク滴等が残らないようにウエットワイプした後、印刷ヘッド21をホームポジションに移動させる。そして、吸引ポンプ35によりキャップ空間31b内に短時間だけ負圧を印加することで、ウエットワイプによりノズル22内に押し込まれた洗浄液とインクの混合液やエアをキャップ空間31b内に吸引する。その後、キャップ空間31b内のインク等を吸引ポンプ35により空吸引して廃棄する。さらに、クリーニング終了時に、ノズル22内のメニスカスの形成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷装置、印刷ヘッドのクリーニング方法のプログラムおよび印刷ヘッドのクリーニング方法に関し、特に印刷ヘッドをウエットワイプするインクジェット印刷装置、印刷ヘッドのリーニング方法のプログラム、および印刷ヘッドのクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印字ヘッドを搭載したキャリッジを往復走査させながら印字を行うインクジェット印刷装置がある。このインクジェット方式の印刷装置は、一般に、インクを噴射する複数のノズルを有する印刷ヘッドを用紙送り方向と直交したライン方向に走査しながらインクを噴射し、用紙を間歇送りしながら印刷を行っていくように構成されている。
【0003】
ところで、インクジェット印刷装置の印刷ヘッドの洗浄を行う場合に、洗浄液を含ませたワイプブレードを使用して印刷ヘッドのウエットワイプを行うと、印刷ヘッドのノズルプレートに付着したインク滴などを効果的に除去できることが知られている。
【0004】
ところで、特許文献1のようにウエットワイプを行う場合は、ワイプブレードでノルズプレートを拭くのであるが、このためにノズルにインク、洗浄液およびエアが押し込まれてしまい、これをうまく除去するのが面倒であった。
【特許文献1】特開2007−50590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、印刷ヘッドのウエットワイプを行う場合は、ワイプブレードでノルズプレートを拭くのであるが、このためにノズルにインク、洗浄液およびエアが押し込まれてしまい、これをうまく除去することは、なかなか困難であった。
【0006】
このため、ウエットワイプによるクリーニング後に、ノズル内のインク、洗浄液およびエアを除去すると共に、ノズルプレート上にインク滴、洗浄液、および乾燥ミストが残らないように仕上げることができるインクジェット印刷装置が望まれていた。すなわち、インク洗浄性の高いワイプブレードで印刷ヘッドをワイピングする場合の、クリーニング性の向上、印字安定性を確保、およびメンテナンス性の向上を図ることが望まれていた。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、ウエットワイプの際にノズル内に押入するインク、洗浄液およびエアを効果的に除去することができ、クリーニング後にノズルプレート上にインク滴等が残らないように仕上げることができ、クリーニング性の向上と印字安定性の向上を図れ、さらに、ノズルのメニスカスを回復させることができる、インクジェット印刷装置、印刷ヘッドのクリーニング方法のプログラムおよび印刷ヘッドのクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のインクジェット印刷装置は、インク噴射するノズルを有する印刷ヘッドを備え、該印刷ヘッドが搭載されたキャリッジを用紙搬送方向と直交する方向へ走査させながらインクをドット噴射させることで印刷を行い、前記印刷ヘッドをウエットワイプによりクリーニングした後に該印刷ヘッドのノズル内にメニスカスを形成するインクジェット印刷装置であって、前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上を洗浄液を使用してワイプブレードによりウエットワイプするウエットワイプユニットと、前記印刷ヘッドのクリーニング位置であるホームポジションと前記ウエットワイプユニットのウエットワイプ位置とに前記キャリッジに搭載された印刷ヘッドを移動させるキャリッジ制御部と、前記印刷ヘッドのホームポジションにおいて前記印刷ヘッドのノズルプレート面に周端部を密着させ前記ノズルプレートとの間でキャップ空間を形成するための凹型形状のキャップと、前記キャップの周端部を前記ノズルプレートに密着または引き離すためのキャップ制御部と、前記キャップ空間内に負圧を印加し、前記ノズル、ノズルプレートおよびキャップ空間内からインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を吸引するための吸引ポンプと、前記吸引ポンプのON、OFF、および吸引ポンプの吸引力を制御する吸引ポンプ制御部と、前記キャップ空間内に、開放時に外部大気を流通させる大気開放弁と、前記大気開放弁の開閉を制御する大気開放弁制御部と、前記印刷ヘッドを所望の周波数で駆動して所望の数のインク滴を吐出させるヘッド駆動部と、前記各制御部に指令信号を送り印刷ヘッドのクリーニングを実行した後に、前記印刷ヘッドのノズルにメニスカスを形成する印刷ヘッドクリーニング制御部とを備えると共に、前記印刷ヘッドクリーニング制御部は、前記印刷ヘッドを前記キャリッジ制御部により前記ウエットワイプ位置まで移動させ、前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上で前記ワイプブレードを移動させてウエットワイプするワイピング制御部と、前記ワイピング制御部による印刷ヘッドのウエットワイプの後に、前記キャリッジ制御部により印刷ヘッドをホームポジションに移動させ、かつ前記キャップ制御部によりキャップ空間を形成した状態にし、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を閉じ、前記ウエットワイプの際に前記ノズル内に押し込まれたインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を排除するために必要な所定の負圧を所定の時間だけ前記キャップ空間に印加するように前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを制御するキャップ内微量吸引制御部と、前記キャップ内微量吸引制御部によるインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液の吸引後に、前記印刷ヘッドのノズルにメニスカスを形成するために前記ヘッド駆動部により前記印刷ヘッドを所望の周波数で駆動して所望の数のインク滴を吐出させるスピット制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成からなる本発明のインクジェット印刷装置では、ウエットワイプでノズルプレート上にインク滴等が残らないようにワイピングした後、印刷ヘッドをホームポジションに移動させ、前記ウエットワイプによりノズル内に押し込まれたインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液をキャップ空間内に吸引し、その後、キャップ空間内のインク等を吸引して廃棄する。さらに、クリーニング終了時に、ノズル内のメニスカスの形成を行う。
【0010】
これにより、ウエットワイプユニットを搭載したインクジェット印刷装置において、クリーニングの安定性の向上、および印字安定性の向上を図ることができる。さらに、ノズルのメニスカスを回復させることができる、このため、ウエットワイピングを効果的に行うことができ、メンテナンス性が向上する。
【0011】
また、本発明のインクジェット印刷装置は、前記印刷ヘッドクリーニング制御部は、前記ワイピング制御部による前記印刷ヘッドのウエットワイプの前に、前記キャリッジにより前記印刷ヘッドをホームポジションに移動させ、かつ前記キャップ制御部により前記キャップ空間を形成した状態にし、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を閉とし、前記印刷ヘッドのノズル内のインク、エア、およびそれらの混合液を吸引するための負圧を前記キャップ空間内に印加するように前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを制御するノズル内インク吸引制御部と、前記ワイピング制御部による前記印刷ヘッドのウエットワイプの前であり、前記ノズル内インク吸引制御部によるノズル内のインク、エア、およびそれらの混合液の吸引後に、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を開放した状態にし、前記キャップ空間内のインク、エア、およびそれらの混合液を吸引するための負圧を前記キャップ空間内に印加するように前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを制御するキャップ内インク吸引制御部と、前記スピット制御部によるインク滴を吐出する前であり、前記キャップ内微量吸引制御部によるインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液の吸引後に、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を開放した状態にし、前記キャップ空間内のインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を吸引するための負圧を前記キャップ空間内に印加するように前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを制御する微量吸引後インク吸引制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成からなる本発明のインクジェット印刷装置では、印刷ヘッドがホームポジションに位置する状態において、ノズル内のインク、エアおよびそれらの混合液をキャップ空間内に吸引し、吸引したキャップ空間内のインク等を吸引して廃棄する。その後、印刷ヘッドをウエットワイプ位置まで移動させ、ウエットワイプでノズルプレート上にインク滴等が残らないようにウエットワイプする。その後、印刷ヘッドをホームポジションに戻し、前記ウエットワイプによりノズル内に押し込まれたインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液をキャップ空間内に吸引し、また、キャップ空間内のインク等を吸引して廃棄する。さらに、クリーニング終了時に、ノズルのメニスカス形成を行う。
【0013】
これにより、ウエットワイプユニットを搭載したインクジェット印刷装置において、クリーニングの安定性の向上、および印字安定性の向上を図ることができる。さらに、ノズルのメニスカスを回復させることができる、このため、ウエットワイピングを効果的に行うことができ、メンテナンス性が向上する。
【0014】
また、本発明のインクジェット印刷装置は、前記ノズル内インク吸引制御部によるインク吸引後であり、前記キャップ内インク吸引制御部による吸引前に、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を閉じ、かつ前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを停止させた状態を継続し、該状態において、大気開放弁の開放時のエアの混入を防ぐため負圧をなくすように所定時間待機する第1の待機時間制御部を設けると共に、前記キャップ内微量吸引制御部によるインク吸引後であり、微量吸引後インク吸引制御部による吸引前に、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を閉じ、かつ前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを停止させた状態において、大気開放弁の開放時のエアの混入を防ぐため負圧をなくすように所定時間待機する第2の待機時間制御部とを設けたことを特徴とする。
【0015】
上記構成からなる本発明のインクジェット印刷装置では、印刷ヘッドがホームポジションに位置する状態において、最初にノズル内のインク、エア、およびそれらの混合液をキャップ空間内に吸引する。その後、大気開放弁を閉のままにして、吸引を停止し所定時間だけ待機する。これにより、キャップ空間内の負圧をなくし、大気開放弁の開放時にエアが混入することを防止する。そして、所定時間経過後に、大気開放弁を開放し、キャップ空間内のインク等を吸引して廃棄する。その後、印刷ヘッドをウエットワイプ位置まで移動し、ウエットワイプでノズルプレート上にインク滴等が残らないようにワイピングする。その後、印刷ヘッドをホームポジションに戻し、前記ウエットワイプによりノズル内に押し込まれたインク、エア、洗浄液、およびそれらの混合液をキャップ空間内に吸引する。その後、大気開放弁を閉のままにして、吸引を停止し所定時間だけ待機する。これにより、キャップ空間内の負圧をなくし、大気開放弁の開放時にエアが混入することを防止する。そして、所定時間経過後に、大気開放弁を開放し、キャップ空間内に溜まるインク等を吸引して廃棄する。さらに、クリーニング終了時に、ノズルのメニスカス形成を行う。
【0016】
これにより、ウエットワイプユニットを搭載したインクジェット印刷装置において、クリーニングの安定性の向上、および印字安定性の向上を図ることができる。さらに、ノズルのメニスカスを回復させることができる、このため、ウエットワイピングを効果的に行うことができ、メンテナンス性が向上する。
【0017】
また、本発明のインクジェット印刷装置は、前記ワイピング制御部は、インクの粘度、インク温度または周囲環境温度を含むパラメータを基に、前記ワイプブレードの移動速度、およびワイピング回数を決定するように構成されたことを特徴とする。
【0018】
上記構成からなる本発明のインクジェット印刷装置では、インクの粘度、インクの温度または周囲環境温度を含むパラメータを基に、ワイプブレードのワイピングスピード、およびワイピング回数を決定する。
【0019】
これにより、常に最適なウエットワイプを行えるようになり、クリーニングの安定性の向上を図ることができる。
【0020】
また、本発明のインクジェット印刷装置は、前記スピット制御部は、メニスカスを形成する際に、前記印刷ヘッド内の圧電素子の駆動周波数を、印刷時のヘッド駆動周波数よりも低くする。
【0021】
上記構成からなる本発明のインクジェット印刷装置では、クリーニング後のメニスカス形成の際に、印刷ヘッド内の圧電素子の駆動周波数を、印刷時の印刷ヘッドの駆動周波数よりも低くする。例えば、通常印刷時は10kH以上の場合に、メニスカス形成時には5kHz程度とする。
【0022】
これにより、キャップ空間内にインクミストを生じさせることなく、メニスカスを適正に形成することができる。
【0023】
また、本発明の印刷ヘッドのクリーニング方法のプログラムは、インク噴射するノズルを有する印刷ヘッドを備え、該印刷ヘッドを用紙搬送方向と直交する方向へ走査させながらインクをドット噴射させることで印刷を行うインクジェット印刷装置であって、前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上を洗浄液を使用してワイプブレードによりウエットワイプするウエットワイプユニットと、前記印刷ヘッドのクリーニング位置であるホームポジションと前記ウエットワイプユニットのウエットワイプ位置とに前記印刷ヘッドを移動させるキャリッジと、前記ホームポジションにおいて前記ノズルプレートの面に周端部を密着させ前記ノズルプレートとの間でキャップ空間を形成するための凹型形状のキャップと、前記キャップ空間内に負圧を印加し、前記キャップ空間内からインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を吸引するための吸引ポンプと、前記キャップ空間内に、開放時に外部大気を流通させる大気開放弁と、を備えるインクジェット印刷装置における印刷ヘッドのクリーニング方法のプログラムであって、前記インクジェット印刷装置内のコンピュータにより、前記印刷ヘッドを前記キャリッジにより前記ウエットワイプ位置まで移動させた状態において、前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上で前記ワイプブレードを移動させてウエットワイプするワイピング制御手順と、前記ワイピング制御手順による印刷ヘッドのウエットワイプの後に、前記キャリッジにより印刷ヘッドをホームポジションに移動させ、かつ前記キャップによりキャップ空間を形成した状態において、前記大気開放弁を閉じると共に、前記ウエットワイプの際に前記ノズル内に押し込まれたインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を排除するために必要な所定の負圧を所定の時間だけ前記キャップ空間に印加するように前記吸引ポンプを制御するキャップ内微量吸引制御手順と、前記キャップ内微量吸引制御手順によるインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液の吸引後に、前記印刷ヘッドのノズルにメニスカスを形成するために前記印刷ヘッドを駆動してインク滴を吐出させるスピット制御手順とが行われることを特徴とする。
【0024】
上記手順を含む本発明の印刷ヘッドのクリーニング方法のプログラムを前記インクジェット印刷装置内のコンピュータで実行することにより、ウエットワイプでノズルプレート上にインク滴等が残らないようにウエットワイプした後、印刷ヘッドをホームポジションに移動させ、前記ウエットワイプによりノズル内に押し込まれた洗浄液とインクの混合液やエアをキャップ空間内に吸引し、その後、キャップ空間内のインクを吸引して廃棄する。さらに、クリーニング終了時に、ノズル内のメニスカスの形成を行う。
【0025】
これにより、ウエットワイプユニットを搭載したインクジェット印刷装置において、クリーニングの安定性の向上、および印字安定性の向上を図ることができる。さらに、ノズルのメニスカスを回復させることができる、このため、ウエットワイピングを効果的に行うことができ、メンテナンス性が向上する。
【0026】
また、本発明の印刷ヘッドのクリーニング方法は、インクを噴射するノズルを有する印刷ヘッドを備え、該印刷ヘッドを用紙搬送方向と直交する方向へ走査させながらインクをドット噴射させることで印刷を行うインクジェット印刷装置であって、前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上を洗浄液を使用してワイプブレードによりウエットワイプするウエットワイプユニットと、前記印刷ヘッドのクリーニング位置であるホームポジションと前記ウエットワイプユニットのウエットワイプ位置とに前記印刷ヘッドを移動させるキャリッジと、前記ホームポジションにおいて前記ノズルプレートの面に周端部を密着させ前記ノズルプレートとの間でキャップ空間を形成するための凹型形状のキャップと、前記キャップ空間内に負圧を印加し、前記キャップ空間内からインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を吸引するための吸引ポンプと、前記キャップ空間内に、開放時に外部大気を流通させる大気開放弁と、前記印刷ヘッドの前記ドット噴射を制御するインク吐出制御手段と、
前記ウエットワイプユニットのウエットワイプを制御するウエットワイプ制御手段と、前記キャリッジの移動を制御するキャリッジ制御手段と、前記キャップの移動を制御するキャップ制御手段と、前記吸引ポンプの吸引力と吸引時間を制御する吸引ポンプ制御手段と、前記大気開放弁の開閉を制御する大気開放弁制御手段とを備えるインクジェット印刷装置における印刷ヘッドのクリーニング方法であって、前記ウエットワイプ制御手段によって前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上で前記ワイプブレードを移動させてウエットワイプするワイピング工程と、前記ワイピング工程の後に、前記キャリッジ制御手段により前記印刷ヘッドを前記ホームポジションへ移動し、前記キャップ制御手段により前記ノズルプレートに前記キャップを密着させ、前記大気開放弁制御手段により前記大気開放弁を閉じ、前記吸引ポンプ制御手段により前記吸引ポンプを、前記ワイピング工程の際に前記ノズル内に押し込まれたインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を排除するために必要な第1の所定の吸引力を第1の所定の時間だけ前記キャップ空間に印加する制御をし、吸引する第1の吸引をする工程と、前記第1の吸引をする工程の後に、前記所定の時間経過させて前記キャップ空間内の負圧を軽減させ、前記大気開放弁制御手段により前記大気開放弁を開け、前記吸引ポンプ制御手段により第2の吸引力によって吸引する制御をし、前記キャップ空間から前記インク、前記エア、前記洗浄液およびそれらの混合液を排除する第2の吸引をする工程と、前記第2の吸引をする工程の後に、前記インク吐出制御手段によって所定の回数のインク噴射を行い前記ノズルにメニスカスを形成する工程とを有することを特徴とする。
【0027】
上記手順を含む本発明の印刷ヘッドのクリーニング方法では、ワイピング工程によりウエットワイプでノズルプレート上にインク滴等が残らないようにウエットワイプした後、第1の吸引をする工程により印刷ヘッドをホームポジションに移動させ、前記ウエットワイプによりノズル内に押し込まれた洗浄液とインクの混合液やエアをキャップ空間内に吸引し、その後、第2の吸引をする工程によりキャップ空間内のインクを吸引して廃棄する。さらに、ノズルにメニスカスを形成する工程によりクリーニング終了時に、ノズル内のメニスカスの形成を行う。
【0028】
これにより、ウエットワイプユニットを搭載したインクジェット印刷装置において、クリーニングの安定性の向上、および印字安定性の向上を図ることができる。さらに、ノズルのメニスカスを回復させることができる、このため、ウエットワイピングを効果的に行うことができ、メンテナンス性が向上する。
【発明の効果】
【0029】
また、本発明のインクジェット印刷装置においては、ウエットワイプを行うウエットワイプユニットの搭載が可能になり、クリーニング性が向上し、印字安定性が向上する。また、メンテナンス性が向上し、ヘッドクリーニング回数を減らすることができるので、インク廃液量を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0031】
最初に、本発明のインクジェット印刷装置全体の概略構成について説明する。
図3は、ウエットワイプ機構を備えるインクジェット印刷装置の構成例を示す図である。図3に示すインクジェット印刷装置は、印字幅が長尺物、例えば、50インチ以上のワイドフォーマットの6色印刷の業務用のインクジェット印刷装置の例である。
【0032】
図3に示すインクジェット印刷装置においては、印刷ヘッド21が待機位置、すなわちホームポジションに位置する状態を示している。印刷ヘッド21は、6色のインクそれぞれに対応する各色用ヘッド21aを備えており、印刷ヘッド21には、インクカートリッジ25からインクチューブ26を通してインクが供給される。また、印刷ヘッド21は、ヘッド冷却ファン29により冷却される。
【0033】
また、印刷ヘッド21の各色の各色用ヘッド21aのそれぞれに対応して、キャップおよび吸引ポンプ35が設けられ、吸引ポンプ35で吸引された廃棄インクは廃液タンク37に収容される。
【0034】
また、印刷ヘッド21はキャリッジ28に搭載され、モータ52で駆動され、キャリジリール51に沿って矢印A方向に駆動されるように構成されている。また、印刷ヘッド21を、ウエットワイプユニット41の位置まで移動して、印刷ヘッド21のノズルプレートに残留するインク液や乾燥ミスト等を拭き取るように構成されている。
【0035】
このウエットワイプユニット41は、ゴム製のワイプブレード42が印刷ヘッド21のノズルプレートに当接し、このワイプブレード42を図上で紙面と直交する平面内で回転駆動させることによりインク液を拭き取るように構成されている。
【0036】
なお、モータ56により回転駆動されるピンチローラ54はプリント用紙の紙送り用のローラであり、ピンチローラ54とグリッドローラ55によりプリント用紙を挟持して搬送する。プラテン53上のプリント用紙に対して、キャリッジ28を矢印A方向に移動させながら、印刷ヘッド21によりインクを吐出して印刷を行う。
【0037】
また、図4は、印刷ヘッドとキャップユニットの構成例を示す図である。図4に示す例は、印刷ヘッド21がホームポジションに位置している状態を示し、印刷ヘッド21中の1色分に対応するキャップユニットの例を示している。図4に示すように、印刷ヘッド21は、主走査方向に配列される1色分の複数のノズル22と、ノズルプレート23とを備えている。
【0038】
また、キャップユニットは、周辺に凸状の周端部31aが形成された凹型形状のゴム製などの柔軟性のあるキャップ31を備え、矢印A方向に移動してノズルプレート23に密着する。また、キャップ31には、吸引ポンプ35に通じるチューブ32と、大気開放弁34に通じるチューブ33とを備えている。
【0039】
印刷ヘッド21のクリーニングの際には、キャップ31の周辺の周端部31aをノズルプレート23に密着させる。これにより、キャップ31とノズルプレート23により形成される閉空間であるキャップ空間31bを形成する。そして、この大気開放弁34を閉じた状態で、モータ36により吸引ポンプ35を駆動する。これにより、キャップ空間31b内に負圧が印加され、ノズル22内に押し込まれたインク、エア、洗浄液等を吸引すると共に、キャップ空間31b内のインクや、洗浄剤等を吸引する。
【0040】
吸引されたインク等は、チューブ32および吸引ポンプ35を通して、廃液タンク37に収容される。なお、吸引ポンプモータ制御装置38は、モータ36の起動、停止、および回転速度を制御するためのモータ制御装置である。また、キャップ31とは異なる位置に、ワイプブレード42を含むウエットワイプユニット41が配置されている。印刷ヘッド21は、キャリッジを移動させることで、ウエットワイプユニット41とキャップ31間の移動をし、夫々の場所でメンテナンスがされる。
【0041】
次に、本発明のインクジェット印刷装置における印刷ヘッドクリーニング制御部の構成例について説明する。
【0042】
図1は、本発明の実施の形態に係わるインクジェット印刷装置の構成例を示す図である。図1に示す例は、本発明に直接関係する部分のみを示したものであり、印刷画像の生成部、プリント用紙の紙送り機構や制御部等の本発明に直接関係しない部分は省略して示している。
【0043】
図1において、印刷ヘッドクリーニング制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含むコンピュータシシテムで構成されており、本発明のインクジェット印刷装置おける印刷ヘッドのクリーニング制御処理を統括する制御部である。この印刷ヘッドクリーニング制御部1は、ワイピング制御部2と、吸引ポンプ制御部4と、大気開放弁制御部5と、キャップ制御部6と、インク吸引制御部7と、スピット制御部14と、キャリッジ制御部15とを有している。
【0044】
ROMにプログラムを格納し、そのプログラムに従い、RAMを一次記憶、ワークエリアとして用い、CPUによって演算し、各種処理を実行する。また、印刷ヘッドクリーニング制御部1は、電子回路により構成することもできる。
【0045】
ワイピング制御部2は、印刷ヘッド21をウエットワイプユニット41の位置まで移動させた状態において、印刷ヘッド21のノズルプレート23に洗浄剤のついたワイプブレード42を押し当て、このワイプブレード42を移動させることにより、ノズルプレート23の表面を拭き取るための制御を行う。
【0046】
ワイピング制御部2は、ワイプモータ制御装置44に指令信号を送り、ワイプモータ制御装置44によりモータ43を回転駆動して、モータ43にギヤ等で連結されたワイプブレード42を移動させる。
【0047】
このワイピング制御部2は、インク温度または周囲環境温度と、インクの粘度と、ワイプブレード42の移動速度であるワイピング速度と、ワイピング回数とを関連付けたテーブル3を備えている。ワイピング制御部2は温度センサ45から受信したインク温度または周囲環境温度の情報を基にテーブル3を参照して、ワイプブレード42の移動速度、およびワイピング回数を制御する。なお、テーブル3は、ヘッドの形状およびワイピング機構の構造に応じて、インクの粘度、インクの温度または周囲環境温度等をパラメータとして実験的に決定される。
【0048】
吸引ポンプ制御部4は、インク吸引制御部7からの回転速度、ON、OFF指令などの指令信号を受信し、この指令信号を基に吸引ポンプモータ制御装置38に制御指令信号を送る。吸引ポンプモータ制御装置38は、吸引ポンプ制御部4から受信した制御指令信号に応じてモータ36の回転速度を制御し、モータ36の回転により吸引ポンプ35を駆動する。吸引ポンプ制御部4は、予め設定された状況に応じた値に基づいて、吸引ポンプ35の吸引力をモータ36の回転数によって制御している。吸引力を可変する他の例としては、大きさ違いのポンプを切り替えたり、ポンプの個数を切り替えたりして、可変することができる。
【0049】
大気開放弁制御部5は、インク吸引制御部7からの大気開放弁を開閉させるための指令信号を受信し、この指令信号を基に大気開放弁駆動部40に制御指令信号を送る。大気開放弁駆動部40は、例えば、ソレノイドで構成され、大気開放弁制御部5から受信した制御指令信号に応じて大気開放弁34を開閉する。図中の矢印B方向に大気開放弁34を移動する。
【0050】
キャップ制御部6は、インク吸引制御部7からの指令信号を受信し、この指令信号を基にキャップ駆動部39に制御指令信号を送る。キャップ駆動部39は、例えば、ソレノイドで構成され、キャップ制御部6から受信した制御指令信号に応じてキャップ31を矢印A方向に移動させ、キャップの周端部31aをノズルプレート23に密着させるか、または、引き離すかの制御を行う。キャップ31をノズルプレート23に密着させた場合は、ノズルプレート23をキャップ31で蓋をした状態となり、ノズルプレート23とキャップ31によりキャップ空間31bが形成される。
【0051】
キャリッジ制御部15は、印刷ヘッドクリーニング制御部1からのキャリッジ28の移動指令信号を受信し、この指令信号を基にキャリッジ28を走行させる。
【0052】
インク吸引制御部7には、ノズル内インク吸引制御部8と、第1の待機時間制御部9と、キャップ内インク吸引制御部10と、キャップ内微量吸引制御部11と、第2の待機時間制御部12と、微量吸引後インク吸引制御部13とを備えている。なお、インク吸引制御部7内の各処理部は、クリーニング工程の進捗に従い、順次に処理を実行する処理部であるため、以下の本発明のインクジェット印刷装置におけるクリーニング工程の説明に合わせて、インク吸引制御部7内の各処理部について説明する。
【0053】
上記構成により、印刷ヘッドクリーニング制御部1は各処理部を制御して、クリーニング工程とメニスカスの形成工程を実行する。
【0054】
この場合、印刷ヘッドクリーニング制御部1はキャリッジ制御部15を制御して、印刷ヘッド21をホームポジションに移動させ、印刷ヘッド21がホームポジションにあることを検知し、キャップ制御部6によりキャップ空間31bを形成した後にクリーニング工程を開始する。
【0055】
インク吸引制御部7は、印刷ヘッドクリーニング制御部1からのクリーニング開始の指令信号により、最初に、大気開放弁34と吸引ポンプ35を制御してキャップ31に負圧を印加して吸引する処理を行なう。この工程において、インク吸引制御部7内のノズル内インク吸引制御部8は、大気開放弁制御部5に大気開放弁34を閉にする指令信号を送り、大気開放弁34を閉にする。また、ノズル内インク吸引制御部8は、大気開放弁34を閉とした状態において、吸引ポンプ制御部4に吸引ポンプ35をONにすると共に、吸引ポンプ35を高速で回転させる指令信号を送る。このように、ノズル内インク吸引制御部8は、印刷ヘッド21のノズル22内のインク、エア、およびそれらの混合液を吸引するように、吸引ポンプ35を制御してキャップ空間31b内に負圧を所定時間印加する処理を行う。この場合のインク吸引においては、インクを大量に吸引するので、吸引ポンプ35を高速で回転させる。
【0056】
上述したノズル内インク吸引制御部8によるノズル22内からのインク及びエア等を吸引する工程に続いて、印刷ヘッドクリーニング制御部1はインク吸引制御部7を制御して、第1の待機時間工程を実行する。この第1の待機時間工程では、大気開放弁34を閉じたままで、かつ吸引ポンプ35を停止させた状態において所定時間待機する工程を実行する。
【0057】
この待機工程において、インク吸引制御部7内の第1の待機時間制御部9は、所定時間を計数し、この所定時間の間、大気開放弁制御部5に大気開放弁34を閉にする指令信号を送り、大気開放弁34を閉にする。また、第1の待機時間制御部9は、吸引ポンプ制御部4に吸引ポンプ35をOFFにする指令信号を送り、吸引ポンプ35をOFFにする。
【0058】
このように、ノズル内インク吸引制御部8によるインク等の吸引の完了後に、大気開放弁34を閉じたままで、かつ吸引ポンプ35を停止させた状態において所定時間待機する処理を行う。この待機時間中に、キャップ空間31b内の負圧を限りなくなくすようにし、大気開放弁34の開放時のエアの混入を防止する。
【0059】
上述した第1の待機時間制御部9による待機工程に続いて、印刷ヘッドクリーニング制御部1はインク吸引制御部7を制御して、ノズル22から吸引されキャップ空間31b内に滞留するインク等を吸引・廃棄する工程を実行する。
【0060】
このキャップ内に滞留するインク等を吸引・廃棄する工程において、インク吸引制御部7内のキャップ内インク吸引制御部10は、大気開放弁制御部5に大気開放弁34を開にする指令信号を送り、大気開放弁34を開にする。また、キャップ内インク吸引制御部10は、吸引ポンプ制御部4に吸引ポンプ35をONにする指令信号を送り、吸引ポンプ35を所定時間の間、ONにする。このように、キャップ内インク吸引制御部10は、第1の待機時間制御部9による待機時間経過後に、大気開放弁34を開放し、吸引ポンプ35を制御してキャップ内のインク等を吸引して、廃棄する処理を行う。なお、大気開放弁34を開放した状態で吸引を行うことを「空吸引」ともいう。この空吸引では、キャップ内に溜まっているインク等を廃棄するため、インクが飛び散らないようにしながら吸引するため、吸引ポンプ35は低速で回転させる。例えば、ノズル内インク吸引制御部8により駆動される吸引ポンプ回転数よりも低く回転させる。
【0061】
そして、印刷ヘッドクリーニング制御部1は、吸引ポンプ35がOFFであり、大気開放弁34が開放されている状態のまま、キャップ31をノズルプレート23から引き離す制御をし、キャップ空間31bを解除する。
【0062】
上述したキャップ内インク吸引制御部10による吸引工程に続いて、印刷ヘッドクリーニング制御部1はキャリッジ制御部15を制御し、印刷ヘッド21をウエットワイプユニット41の位置まで移動させる。この状態において、印刷ヘッドクリーニング制御部1はワイピング制御部2を制御して、印刷ヘッド21のウエットワイプを行なう。このウエットワイプの後に、印刷ヘッドクリーニング制御部1はキャリッジ制御部15を制御して、印刷ヘッド21をホームポジションに移動させる。更に、印刷ヘッドクリーニング制御部1はキャップ31をノズルプレート23へ密着させる制御をし、キャップ空間31bを形成する。
【0063】
上述したワイピング制御部2によるウエットワイプ工程の実行後に、印刷ヘッドクリーニング制御部1はインク吸引制御部7を制御して、ウエットワイプの際にワイプブレード42によりノズル22内に押し込まれたインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を排除するために、必要な時間だけ、必要な負圧をキャップ空間31b内に印加してインク、エア、洗浄液等を微量吸引する工程を実行する。
【0064】
この微量吸引工程において、インク吸引制御部7内のキャップ内微量吸引制御部11は、大気開放弁制御部5に大気開放弁34を閉にする指令信号を送り、大気開放弁34を閉にする。また、キャップ内微量吸引制御部11は、大気開放弁34を閉とした状態において、吸引ポンプ制御部4に吸引ポンプ35を短時間だけONにする指令信号を送る。このように、キャップ内微量吸引制御部11は、ウエットワイプの際にワイプブレード42によりノズル22内に押し込まれたインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を排除するために、必要な時間だけ、必要な負圧をキャップ空間31b内に印加する処理を行う。この微量吸引は、例えば、0.2秒吸引と非常に短い時間で、かつ高い負圧で吸引する。この微量吸引は、ノズル内に押し込まれたインク、エア、洗浄液等を吸引するために行うが、この際に、キャップシートとノズルプレートとの間にキャップ内に溜まったインク液がノズルプレートに接してできるインク柱ができないようにするために微量吸引する。インク柱ができてしまうと、その後の空吸引を工夫してもノズルプレート上にインク滴が残らない可能性が100%とならない。
【0065】
また、ノズル内インク吸引制御部8による吸引量は、ノズル22内にあるゴミやエアを外に出す為に、少なくとも印刷ヘッド21内に滞在しているインクを全て交換する量以上の量のインクを吸引する必要があり、キャップ空間31b内に出たインクによってノズルプレート23を浸す状態としても良い。しかし、キャップ内微量吸引制御部11による吸引する量は、押し込まれた物を外に出すので、印刷ヘッド21内に滞在しているインクを全て交換する必要はない。さらに、キャップ空間31b内にインクが溜まり、その溜まったインクによってノズルプレート23が浸されない量の吸引である必要がある。そのため、ノズル内インク吸引制御部8による吸引量よりキャップ内微量吸引制御部11による吸引量は少ない設定とすることが好ましい。
【0066】
上述した微量吸引工程に続いて、印刷ヘッドクリーニング制御部1はインク吸引制御部7を制御して、第2の待機時間工程を実行する。この第2の待機間工程では、大気開放弁34を閉じたままで、かつ吸引ポンプ35を停止させた状態において所定時間待機する工程を実行する。
【0067】
この待機工程において、インク吸引制御部7内の第2の待機時間制御部9は、所定時間を計数し、この所定時間の間、大気開放弁制御部5に大気開放弁34を閉にする指令信号を送り、大気開放弁34を閉にする。また、第2の待機時間制御部9は、吸引ポンプ制御部4に吸引ポンプ35をOFFにする指令信号を送り、吸引ポンプ35をOFFにする。このように、キャップ内微量吸引制御部11によるインク吸引の完了後に、大気開放弁34を閉じたままで、かつ吸引ポンプ35を停止させた状態において所定時間待機する処理を行う。この待機時間中に、キャップ空間31b内の負圧を限りなくなくすようにし、大気開放弁34の開放時のエアの混入を防止する。
【0068】
上述した第2の待機時間制御部9による待機工程に続いて、印刷ヘッドクリーニング制御部1はインク吸引制御部7を制御して、ノズル22から微量吸引されキャップ空間31b内に滞留するインク、洗浄液等を吸引・廃棄する工程を実行する。
【0069】
この微量吸引後のキャップ内に滞留するインクを吸引・廃棄する工程において、インク吸引制御部7内の微量吸引後インク吸引制御部13は、大気開放弁制御部5に大気開放弁34を開にする指令信号を送り、大気開放弁34を開にする。また、微量吸引後インク吸引制御部13は、吸引ポンプ制御部4に吸引ポンプ35をONにする指令信号を送り、吸引ポンプ35を所定時間、ONにする。このように、微量吸引後インク吸引制御部13は、キャップ内微量吸引制御部11による微量吸引後から第2の待機時間の経過後に、大気開放弁34を開放した状態において、キャップ空間31bに溜まっているインク等を吸引して廃棄する処理を行う。この空吸引では、インクが飛び散らないようにしながらさらに、ノズル22内のインクに振動等による影響を与えないようにしながら、キャップ内に溜まっているインク等を廃棄するため、吸引ポンプ35は低速で回転させる。例えば、キャップ内インク吸引制御部10により駆動される吸引ポンプ回転数よりも低く回転させる。
【0070】
この微量吸引は、ノズルの数によっても押し込まれたインクや洗浄液の量が変わり、またキャップ空間31bの容量、環境によるインクの特性の変化などによって適正な吸引力や回数が変わる。また、さらに改善した例として、これらの条件は予め実験によって求め、この条件に応じて、微量吸引及び空吸引について必要な吸引力、回数を実施することができる。これにより、更に、ノズル内に押し込まれたインクや洗浄液等を完全に排除することができる。
【0071】
上述した微量吸引後インク吸引制御部13により空吸引が行なわれることによりクリーニング工程が完了する。
【0072】
その後、印刷ヘッドクリーニング制御部1はスピット制御部14に対してノズル22にメニスカスを形成するための指令信号を送り、スピット制御部14はヘッド駆動部24に対し印刷ヘッド21から所望の駆動周波数で、所望のインク滴数を吐き出させるための制御指令信号を送信する。ヘッド駆動部24は、スピット制御部14から受信した制御指令信号に従い印刷ヘッド21を駆動してインク滴を吐出させる。これにより、印刷ヘッドのノズル22内にメニスカスを形成する。
【0073】
このように、ヘッド21をクリーニングし、メニスカスを形成するのは、インク流路内にあるエアやゴミを完全に取り除き、形の整ったメニスカスを形成するっことで、長時間の印刷が可能になる。
【0074】
このメニスカスの形成においては、「印刷時のヘッド駆動周波数<スピット時のヘッド駆動周波数」とする。例えば、印刷時のヘッド駆動周波数を10kHzとすると、スピット時のヘッド駆動周波数を5kHz程度とすることが好ましい。
【0075】
また、吐出するインク滴の数は、ドライワイプまたはワイプしないでクリーニング後にメニスカスを形成する際に行なうスピットのインク滴の数に対して、本発明のウエットワイプの場合は多くする。例えば、ドライワイプの場合は数百発のインク滴を吐出させるのに対して、本発明のウエットワイプの場合は10倍以上、例えば、6000発以上、とすることが好ましい。なお、所定個数を超えると、例えば、10000発以上にすると、逆にキャップ空間31b内にミストが舞ってノズルプレートが汚れる。
【0076】
上述した本発明のインクジェット印刷装置の構成により、印刷ヘッドのノズルプレートをウエットワイプし、該ウエットワイプによりノズルに押し込まれたインク、エアおよび洗浄液等を吐き出して、クリーニングを行うと共に、メニスカスを整えるようにする。
【0077】
これにより、本発明のインクジェット印刷装置においては、ウエットワイプユニットを搭載して効果的に印刷ヘッドをクリーニングすることができるため、クリーニング性の向上が図れる。これは、ドライワイプの場合はノズルプレートにインクが固着しやすく、インクが乾燥して固まることがあり、一度固まるとドライワイプでは除けないが、ウエットワイプの場合は除くことができるためである。このように、ノズルプレートをきれいにクリーニングできるため、ヘッドクリーニング回数を減らすことができ、インク廃液量を削減できる。
【0078】
また、ウエットワイプユニットの搭載が可能になり、ノズルプレート及びノズルが乾燥しにくくなることで印字安定性が向上する。また、ノズルプレートが湿っていることでキャッピング不良が低下しクリーニング性の向上が図れる。
【0079】
図2は、本発明のインクジェット印刷装置における印刷ヘッドのクリーニング工程を示すシーケンス図である。以下、図2のシーケンス図を参照して、その処理工程について説明する。
【0080】
(ノズル内からインク及びエアを吸引する工程)
最初に、ノズル内からエアやゴミを吸引する。このために、印刷ヘッド21をホームポジションに移動し、キャップ31を閉とする。すなわち、キャップ31の周端部31aをノズルプレート23に当接させ、印刷ヘッド21のノズルプレート23にキャップ31をかぶせた状態にし、キャップ空間31bを形成する(ステップS1)。
【0081】
次に、ノズル内インク吸引制御部8により、大気開放弁を閉じ(ステップS2)、吸引ポンプONし、ノズル内からインク及びエアを吸引する(ステップS3)。この場合は、インクを大量に吸引するので、ポンプは早く回転させる。
【0082】
その後、第1の待機時間制御部9により、吸引ポンプ35をOFFとし(ステップS4)、第1の待機時間を設け、大気開放弁34の開放時のエアの混入を防ぐため負圧を限りなくなくす(ステップS5)。
【0083】
(キャップ空間内に存在するインクの吸引・廃棄する工程)
続いて、キャップ内インク吸引制御部10により、キャップ空間31b内に存在するインクを吸引し廃棄する。
【0084】
この場合、大気開放弁34を開とし(ステップS6)、吸引ポンプ35をONとし(ステップS7)、キャップ空間内に存在するインク(気泡も含む)を吸引し、廃棄する。その後、吸引ポンプ35をOFFとし(ステップS8)、大気開放弁34は開に維持し(ステップS9)、キャップ31を開く(ステップS10)。
【0085】
(ワイピングを実行する工程)
続いて、ワイピング制御部2により、ウエットワイプを実行する。この場合、印刷ヘッド21をウエットワイプユニット41の位置へ移動し(ステップS11)、ウエットワイプを行う(ステップS12)。
【0086】
このウエットワイプにおいては、ノズルプレート23上にインク滴及び洗浄液滴が残らないように仕上げる。これが最終仕上げ状態となる。このウエットワイプにおいては、インクの粘度、ノズルプレートの撥水性を基に、ワイピングスピードを適正な値にしないと何回ウエットワイプしてもきれいにならない。
【0087】
このため、インクの粘度、インクの温度、または周囲環境温度等をパラメータとして、ワイピングスピードを決定する。例えば、ヘッドの形状およびワイピング機構の構造に応じて、実験的に決定し、インクの粘度、インクの温度、または周囲環境温度等をパラメータとしたテーブルを備えるようにする。また、ウエットワイプ回数も機種、インクの粘度、インクの温度、または周囲環境温度等のパラメータを基に決定する。
【0088】
(微量吸引する工程)
そして、ウエットワイプを完了すると、印刷ヘッド21をキャップユニットへ移動し(ステップS13)、キャップ31を閉じる(ステップS14)。
【0089】
それから、キャップ内微量吸引制御部11により、大気開放弁34を閉じ(ステップS15)、吸引ポンプ35をONし、キャップ空間31b内から微量吸引を行う(ステップS16)。この微量吸引は、例えば、0.2秒吸引と非常に短い時間で、かつ高い負圧で吸引する。
【0090】
この微量吸引は、ノズル22内に前記ウエットワイプにより押し込まれたエア、洗浄液等を吸引するために行うが、この際に、キャップシートとノズルプレートとの間にインク柱ができないようにするために微量吸引する。インク柱ができてしまうと、その後の空吸引を工夫してもノズルプレート上にインク滴が残らない可能性が100%とならない。
【0091】
(微量吸引後のインク液の吸引・廃棄する工程)
微量吸引の後、第2の待機時間制御部12により、吸引ポンプをOFFとし(ステップS17)、待機状態に入る(ステップS18)。この待機状態においては、大気開放弁開放時のエアの混入を防ぐため負圧を限りなくなくす。
【0092】
その後、微量吸引後インク吸引制御部13により、大気開放弁34を開とし(ステップS19)、吸引ポンプ35をONとした空吸引する(ステップS20)。この空吸引では、キャップ空間31b内に溜まっているインクを廃棄するため、吸引ポンプ35は低速で回転させる。例えば、ステップS7の工程よりも回転数を低くする。
【0093】
また更に、キャップ空間31bの容量、各色ヘッド21aのノズルの数、ウエットワイプしたときにノズル内に押し込まれるインクや洗浄液の量の相互の関係により、微量吸引後インク吸引制御部13の1回の吸引により満足に押し込まれたインクや洗浄液を外へ出し切れない場合がある。予め吸引する環境や使用条件に応じて実験により必要な吸引力や吸引何回を求めておき、環境や使用条件に応じて吸引力や吸引回数を制御する。吸引回数の制御は、ステップ16からステップ20を、予め決められた必要回数を繰り返すことでできる。
【0094】
(スピットする工程)
続いて、スピット制御部14により、スピットが行われる(ステップS21)。このスピットでは、印刷ヘッド21を駆動して、ノズル22の出口のインク液面の形状(メニスカス)が、各ノズル22で均一になるようにインク滴を吐出させる。このため、インク滴吐出のために駆動周波数を低くしてインク滴を吐出して、メニスカスを形成する。この場合のヘッド駆動周波数は、「印字時の周波数<メニスカス形成時の周波数」とし、印字時に、10kHz以上の場合は、メニスカス形成時は5kHz以下とすることが好ましい。また、メニスカス形成時のインク滴はドライワイプの場合に比べて多くする。例えば、ドライワイプの場合を数百発とすると、ウエットワイプの場合はその10倍程度の数千発とする。なお、あまり多くすると、逆にキャップ空間内にミストが舞ってノズルプレートが汚れる。
【0095】
以上説明したステップS1からステップS21の工程により、ヘッドのワイピング、クリーニング、およびメニスカスの形成が行われ処理が終了する(ステップS22)。
【0096】
以上説明したように、本発明のインクジェット印刷装置においては、ウエットワイプユニットを搭載して効果的に印刷ヘッドをクリーニングすることができるため、クリーニング性の向上が図れる。また、メンテナンスの手間を低減できるため、ヘッドクリーニング回数を減らすことができ、インク廃液量を削減できる。
【0097】
また、ウエットワイプユニットの搭載が可能になり、ノズルプレート及びノズルが乾燥しにくくなることで印字安定性が向上する。また、ノズルプレートが湿っていることでキャッピング不良が低下しクリーニング性の向上が図れる。
【0098】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明のインクジェット印刷装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態に係わるインクジェット印刷装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明のインクジェット印刷装置における印刷ヘッドのクリーニング工程を示すシーケンス図である。
【図3】ウエットワイプユニットを備えるインクジェット印刷装置の例を示す図である。
【図4】印刷ヘッドとキャップユニットの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 印刷ヘッドクリーニング制御部
2 ワイピング制御部
3 テーブル
4 吸引ポンプ制御部
5 大気開放弁制御部
6 キャップ制御部
7 インク吸引制御部
8 ノズル内インク吸引制御部
9 第1の待機時間制御部
10 キャップ内インク吸引制御部
11 キャップ内微量吸引制御部
12 第2の待機時間制御部
13 微量吸引後インク吸引制御部
14 スピット制御部
15 キャリッジ制御部
21 印刷ヘッド
22 ノズル
23 ノズルプレート
24 ヘッド駆動部
25 インクカートリッジ
26 インクチューブ
28 キャリッジ
29 ヘッド冷却ファン
31 キャップ
31a 周端部
31b キャップ空間
32、33 チューブ
34 大気開放弁
35 吸引ポンプ
36 モータ
37 廃液タンク
38 吸引ポンプモータ制御装置
39 キャップ駆動部
40 大気開放弁駆動部
41 ウエットワイプユニット
42 ワイプブレード
43 モータ
44 ワイプモータ制御装置
45 温度センサ
46 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク噴射するノズルを有する印刷ヘッドを備え、該印刷ヘッドが搭載されたキャリッジを用紙搬送方向と直交する方向へ走査させながらインクをドット噴射させることで印刷を行い、前記印刷ヘッドをウエットワイプによりクリーニングした後に該印刷ヘッドのノズル内にメニスカスを形成するインクジェット印刷装置であって、
前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上を洗浄液を使用してワイプブレードによりウエットワイプするウエットワイプユニットと、
前記印刷ヘッドのクリーニング位置であるホームポジションと前記ウエットワイプユニットのウエットワイプ位置とに前記キャリッジに搭載された印刷ヘッドを移動させるキャリッジ制御部と、
前記印刷ヘッドのホームポジションにおいて前記印刷ヘッドのノズルプレート面に周端部を密着させ前記ノズルプレートとの間でキャップ空間を形成するための凹型形状のキャップと、
前記キャップの周端部を前記ノズルプレートに密着または引き離すためのキャップ制御部と、
前記キャップ空間内に負圧を印加し、前記ノズル、ノズルプレートおよびキャップ空間内からインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を吸引するための吸引ポンプと、
前記吸引ポンプのON、OFF、および吸引ポンプの吸引力を制御する吸引ポンプ制御部と、
前記キャップ空間内に、開放時に外部大気を流通させる大気開放弁と、
前記大気開放弁の開閉を制御する大気開放弁制御部と、
前記印刷ヘッドを所望の周波数で駆動して所望の数のインク滴を吐出させるヘッド駆動部と、
前記各制御部に指令信号を送り印刷ヘッドのクリーニングを実行した後に、前記印刷ヘッドのノズルにメニスカスを形成する印刷ヘッドクリーニング制御部と、
を備えると共に、
前記印刷ヘッドクリーニング制御部は、
前記印刷ヘッドを前記キャリッジ制御部により前記ウエットワイプ位置まで移動させ、前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上で前記ワイプブレードを移動させてウエットワイプするワイピング制御部と、
前記ワイピング制御部による印刷ヘッドのウエットワイプの後に、前記キャリッジ制御部により印刷ヘッドをホームポジションに移動させ、かつ前記キャップ制御部によりキャップ空間を形成した状態にし、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を閉じ、前記ウエットワイプの際に前記ノズル内に押し込まれたインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を排除するために必要な所定の負圧を所定の時間だけ前記キャップ空間に印加するように前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを制御するキャップ内微量吸引制御部と、
前記キャップ内微量吸引制御部によるインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液の吸引後に、前記印刷ヘッドのノズルにメニスカスを形成するために前記ヘッド駆動部により前記印刷ヘッドを所望の周波数で駆動して所望の数のインク滴を吐出させるスピット制御部と、
を備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記印刷ヘッドクリーニング制御部は、
前記ワイピング制御部による前記印刷ヘッドのウエットワイプの前に、前記キャリッジにより前記印刷ヘッドをホームポジションに移動させ、かつ前記キャップ制御部により前記キャップ空間を形成した状態にし、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を閉とし、前記印刷ヘッドのノズル内のインク、エア、およびそれらの混合液を吸引するための負圧を前記キャップ空間内に印加するように前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを制御するノズル内インク吸引制御部と、
前記ワイピング制御部による前記印刷ヘッドのウエットワイプの前であり、前記ノズル内インク吸引制御部によるノズル内のインク、エア、およびそれらの混合液の吸引後に、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を開放した状態にし、前記キャップ空間内のインク、エア、およびそれらの混合液を吸引するための負圧を前記キャップ空間内に印加するように前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを制御するキャップ内インク吸引制御部と、
前記スピット制御部によるインク滴を吐出する前であり、前記キャップ内微量吸引制御部によるインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液の吸引後に、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を開放した状態にし、前記キャップ空間内のインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を吸引するための負圧を前記キャップ空間内に印加するように前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを制御する微量吸引後インク吸引制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
前記ノズル内インク吸引制御部によるインク吸引後であり、前記キャップ内インク吸引制御部による吸引前に、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を閉じ、かつ前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを停止させた状態を継続し、該状態において、大気開放弁の開放時のエアの混入を防ぐため負圧をなくすように所定時間待機する第1の待機時間制御部を設けると共に、
前記キャップ内微量吸引制御部によるインク吸引後であり、微量吸引後インク吸引制御部による吸引前に、前記大気開放弁制御部により前記大気開放弁を閉じ、かつ前記吸引ポンプ制御部により前記吸引ポンプを停止させた状態において、大気開放弁の開放時のエアの混入を防ぐため負圧をなくすように所定時間待機する第2の待機時間制御部とを設けたことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項4】
前記ワイピング制御部は、
インクの粘度、インク温度または周囲環境温度を含むパラメータを基に、前記ワイプブレードの移動速度、およびワイピング回数を決定するように構成されたこと、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項5】
前記スピット制御部は、
メニスカスを形成する際に、前記印刷ヘッド内の圧電素子の駆動周波数を、印刷時のヘッド駆動周波数よりも低くするように構成されたこと、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項6】
インク噴射するノズルを有する印刷ヘッドを備え、該印刷ヘッドを用紙搬送方向と直交する方向へ走査させながらインクをドット噴射させることで印刷を行うインクジェット印刷装置であって、前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上を洗浄液を使用してワイプブレードによりウエットワイプするウエットワイプユニットと、前記印刷ヘッドのクリーニング位置であるホームポジションと前記ウエットワイプユニットのウエットワイプ位置とに前記印刷ヘッドを移動させるキャリッジと、前記ホームポジションにおいて前記ノズルプレートの面に周端部を密着させ前記ノズルプレートとの間でキャップ空間を形成するための凹型形状のキャップと、前記キャップ空間内に負圧を印加し、前記キャップ空間内からインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を吸引するための吸引ポンプと、前記キャップ空間内に、開放時に外部大気を流通させる大気開放弁と、を備えるインクジェット印刷装置における印刷ヘッドのクリーニング方法のプログラムであって、
前記インクジェット印刷装置内のコンピュータにより、
前記印刷ヘッドを前記キャリッジにより前記ウエットワイプ位置まで移動させた状態において、前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上で前記ワイプブレードを移動させてウエットワイプするワイピング制御手順と、
前記ワイピング制御手順による印刷ヘッドのウエットワイプの後に、前記キャリッジにより印刷ヘッドをホームポジションに移動させ、かつ前記キャップによりキャップ空間を形成した状態において、前記大気開放弁を閉じると共に、前記ウエットワイプの際に前記ノズル内に押し込まれたインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を排除するために必要な所定の負圧を所定の時間だけ前記キャップ空間に印加するように前記吸引ポンプを制御するキャップ内微量吸引制御手順と、
前記キャップ内微量吸引制御手順によるインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液の吸引後に、前記印刷ヘッドのノズルにメニスカスを形成するために前記印刷ヘッドを駆動してインク滴を吐出させるスピット制御手順と、
が行われることを特徴とする印刷ヘッドのクリーニング方法のプログラム。
【請求項7】
インクを噴射するノズルを有する印刷ヘッドを備え、該印刷ヘッドを用紙搬送方向と直交する方向へ走査させながらインクをドット噴射させることで印刷を行うインクジェット印刷装置であって、
前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上を洗浄液を使用してワイプブレードによりウェ
ットワイプするウエットワイプユニットと、
前記印刷ヘッドのクリーニング位置であるホームポジションと前記ウエットワイプユニットのウエットワイプ位置とに前記印刷ヘッドを移動させるキャリッジと、
前記ホームポジションにおいて前記ノズルプレートの面に周端部を密着させ前記ノズルプレートとの間でキャップ空間を形成するための凹型形状のキャップと、
前記キャップ空間内に負圧を印加し、前記キャップ空間内からインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を吸引するための吸引ポンプと、
前記キャップ空間内に、開放時に外部大気を流通させる大気開放弁と、
前記印刷ヘッドの前記ドット噴射を制御するインク吐出制御手段と、
前記ウエットワイプユニットのウエットワイプを制御するウエットワイプ制御手段と、
前記キャリッジの移動を制御するキャリッジ制御手段と、
前記キャップの移動を制御するキャップ制御手段と、
前記吸引ポンプの吸引力と吸引時間を制御する吸引ポンプ制御手段と、
前記大気開放弁の開閉を制御する大気開放弁制御手段と、
を備えるインクジェット印刷装置における印刷ヘッドのクリーニング方法であって、
前記ウエットワイプ制御手段によって前記印刷ヘッドのノズルプレートの面上で前記ワイプブレードを移動させてウエットワイプするワイピング工程と、
前記ワイピング工程の後に、前記キャリッジ制御手段により前記印刷ヘッドを前記ホームポジションへ移動し、前記キャップ制御手段により前記ノズルプレートに前記キャップを密着させ、前記大気開放弁制御手段により前記大気開放弁を閉じ、前記吸引ポンプ制御手段により前記吸引ポンプを、前記ワイピング工程の際に前記ノズル内に押し込まれたインク、エア、洗浄液およびそれらの混合液を排除するために必要な第1の所定の吸引力を第1の所定の時間だけ前記キャップ空間に印加する制御をし、吸引する第1の吸引をする工程と、
前記第1の吸引をする工程の後に、前記所定の時間経過させて前記キャップ空間内の負圧を軽減させ、前記大気開放弁制御手段により前記大気開放弁を開け、前記吸引ポンプ制御手段により第2の吸引力によって吸引する制御をし、前記キャップ空間から前記インク、前記エア、前記洗浄液およびそれらの混合液を排除する第2の吸引をする工程と、
前記第2の吸引をする工程の後に、前記インク吐出制御手段によって所定の回数のインク噴射を行い前記ノズルにメニスカスを形成する工程と、
を有することを特徴とする印刷ヘッドのクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−119727(P2009−119727A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296606(P2007−296606)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(395003187)株式会社セイコーアイ・インフォテック (173)
【Fターム(参考)】