説明

インクジェット式記録装置およびインクジェット式記録装置のフラッシング方法

【課題】山積りが発生しやすい濃インクを用いた場合でも、濃インクをプラテンに十分に染み込ませることができるインクジェット式記録装置およびインクジェット式記録方法を提供する。
【解決手段】濃顔料インク及び淡顔料インクを少なくとも備え、記録ヘッドから該濃顔料インク及び該淡顔料インクを吐出させることで記録媒体に印刷を行う際に、記録媒体の外側にはみ出した該濃顔料インク及び該淡顔料インクをプラテンに染み込ませるインクジェット式記録装置において、前記濃顔料インクの吐出と、前記淡顔料インクの吐出とが、前記プラテンの同位置で行なわれ、前記濃顔料インクが、少なくとも、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、水と、水溶性有機化合物と、可塑剤と、を含み、かつ前記プラテンがプラスチック粒子を焼結成型して製造した多孔性プラスチックからなること、及び含浸剤を含浸して含むことを特徴とするインクジェット記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット式記録装置およびインクジェット式記録方法に関し、特に記録ヘッドをガイド軸に沿って移動して、記録ヘッドから顔料インクを吐出させることで記録媒体に印刷を行うインクジェット式記録装置およびインクジェット式記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット記録装置におけるインクの目詰まりを解消するため、いわゆる「フラッシング」が行われている。フラッシングは、インクを記録媒体に吐出する前に、非印字部に対しインクを吐出し、ノズルの通りを良くするものである。なお、吐出されたインクはプラテンのフラッシング部(インク吸収体)に吸収される。このようなフラッシングを行うインクジェット式記録装置は、例えば、特許文献1及び2のように構成されている。
【0003】
図11は従来のインクジェット記録装置におけるフラッシング方法を説明するための図である。従来のインクジェット記録装置は、記録ヘッド101の各ノズル103A〜103Gの目詰まり防止のために、記録ヘッド101が矢印Aの主走査方向に沿って往復移動を数回(4回〜5回)行う毎に、フラッシングを行う。例えば、図11に示すように、記録ヘッド101を記録用紙102の左端縁102Aの外側のプラテン105のフラッシング位置に移動させた後、各ノズル103A〜103Gからインク104A〜104Gを吐出(フラッシング)する。
【0004】
フラッシングされたインク104A〜104Gは、プラテン105のフラッシング部に染み込む。しかしながら、着色剤として顔料を用いたインクを用いた場合、特に温暖季等で室温が上昇した場合は、インク104A〜104Gに含まれている水分が蒸発して、プラテン105上にインク104A〜104Gの顔料固形成分が析出する場合があった。
【0005】
フラッシングは、そのまま記録ヘッド101のノズル103の配列通りの各色ごとの各位置で行われる。このため、前回までに析出したシアン、マゼンタおよびイエローの濃顔料インク104B,104D,104Fの顔料固形成分がプラテン105のフラッシング部に徐々に堆積する。これが進行すると、図11に示すように、やがてプラテン105の表面に顔料インク104B,104D,104F中の顔料固形成分が山のように堆積した、いわゆる山積り106が形成される場合があった。
【0006】
そして、堆積が進み、山積り106が一定以上の高さに達すると、フラッシングの位置に記録ヘッド101が来たとき、記録ヘッド101のノズル面に山積り106の一部が接触し、ノズル103が吐出不良を起こすという問題があった。
【0007】
一方、記録媒体の端縁の余白をゼロにして印刷する、いわゆる「縁無し印刷」が可能なインクジェット式記録装置が開示されている(例えば、特許文献3〜5)。これらの公報に開示された記録装置によると、キャリッジに搭載された記録ヘッドの走査範囲を、記録媒体における左右の両端縁より外側に外れる位置まで移動するように設定して印刷動作を実行するように構成されている。
【0008】
このインクジェット式記録装置で印刷を行う際には、図12(A)に示すように、記録用紙102が矢印Aの副走査方向に搬送され、記録用紙102の前縁100Aが記録ヘッド101の下方に到達したとき、キャリッジが矢印Bの主走査方向に沿って往復動するとともに、記録ヘッド101からインク104を吐出させて記録用紙102への印刷を開始する。この際、記録用紙102における前縁100Aの余白をゼロにして印刷を行うために、記録用紙102の前縁100Aから外側にインク104をはみ出させる。
【0009】
同様に、図12(B)に示すように、記録用紙102の側縁100Bを印刷する際は、記録用紙102の側縁100Bから外側にインク104をはみ出させる。さらに、図12(C)に示すように、記録用紙102における後縁100Cを印刷する際は、記録用紙102の後縁100Cから外側にインク104をはみ出させる。
【0010】
ここで、記録用紙102の前縁100A、側縁100Bや後縁100Cから外側にはみ出したインク104は、図13に示すように、プラテン105に染み込ませる。従来は、この構成で縁無し印刷を行う際に顔料インクを用いた場合、特に温暖期等で室温が上昇した使用環境下では顕著に、プラテン105上に吐出された顔料インク104中の水分が蒸発して、顔料分が析出していた。
【0011】
このため、図14に示すように顔料インク104をプラテン105に十分に染み込ませることができない場合があり、図15に示すようにプラテン105の表面にインク(顔料)102による山積り107が形成される場合があった。
【0012】
このように、プラテン105の表面に山積り107が発生すると、次の記録用紙102に印刷する際に、山積り107に記録用紙102の端面が接触して、記録用紙102の端面が汚れてしまうという問題があった。
【0013】
山積りは、インク組成によっても影響を受ける。例えば、インク組成物の光沢メディア上での光沢感を向上させる目的で、可塑剤を添加する場合がある。しかしながら、可塑剤は一般的に難水溶性の為、インク中に分散されている顔料を凝集させやすく、プラテン上に吐出されたインク組成物の山積りの形成を促進させやすいという問題があった。
【0014】
【特許文献1】特開平7−9712号公報
【特許文献2】特開2003−191502号公報
【特許文献3】特開2000−118058号公報
【特許文献4】特開2005−14423号公報
【特許文献5】特開2003−191545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
インクの山積りについては、プラテン自体を改良し、プラテンのインク吸収能を高める目的で、プラテンに溶剤等を含浸させてその解決を図るものがある。しかしながら、プラテンに溶剤等を含浸させた場合も、初期的には山積りの形成を防止する効果を有するが、含浸させた溶剤がインクによって流されることによって、永続的な効果は期待できず、さらにインク組成物自体山積りが発生しやすいものが存在するため、未だ十分に解決されていなかったのが現状である。
【0016】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、縁無し印刷やフラッシングを行うときに山積りが発生しやすい顔料インクを用いた場合でも、顔料インクをプラテンに十分に染み込ませることができるインクジェット式記録装置およびインクジェット式記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述した目的を達成するために、本発明は、濃顔料インク及び淡顔料インクを少なくとも備え、記録ヘッドをガイド軸に沿って移動して、記録ヘッドから該濃顔料インク及び該淡顔料インクを吐出させることで記録媒体に印刷を行う際に、記録媒体の外側にはみ出した該濃顔料インク及び該淡顔料インクをプラテンに染み込ませるインクジェット式記録装置において、前記濃顔料インクの吐出と、前記淡顔料インクの吐出とが、前記プラテンの同位置で行なわれ、前記濃顔料インクが、少なくとも、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、水と、水溶性有機化合物と、可塑剤と、を含み、かつ前記プラテンがプラスチック粒子を焼結成型して製造した多孔性プラスチックからなること、及び含浸剤を含浸して含むインクジェット記録装置を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、濃顔料インク及び淡顔料インクを用い、記録ヘッドをガイド軸に沿って移動して、記録ヘッドから該濃顔料インク及び該淡顔料インクを吐出させることで記録媒体に印刷を行う際に、記録媒体の外側にはみ出した該濃顔料インク及び該淡顔料インクをプラテンに染み込ませるインクジェット式記録方法であって、前記濃顔料インクの吐出と、前記淡顔料インクの吐出とを、前記プラテンの同位置で行ない、前記濃顔料インクとして、少なくとも、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、水と、水溶性有機化合物と、可塑剤と、を含む、顔料インクを用い、かつ前記プラテンがプラスチック粒子を焼結成型して製造した多孔性プラスチックからなること、及び含浸剤を含浸して含むインクジェット式記録方法を提供するものである。
【0019】
本発明のインクジェット式記録装置およびインクジェット式記録装置のフラッシング方法によれば、いわゆる縁無し印刷やフラッシングを行うときに比較的山積りが発生しやすい顔料インクを用いた場合でも、顔料インクをプラテンに十分に染み込ませることができる。
【0020】
さらに、通常、印字領域から離れた部分に設けたフラッシング領域で、ヘッド目詰まりを防止する為に実施するフラッシングを、縁無し印刷のはみ出し領域で実施した場合には、インクジェットヘッドをフラッシング領域に移動する時間を短縮でき、さらに濃顔料インクと、淡顔料インクの吐出をプラテンの同位置で実施することで、インクをプラテンに十分に染み込ませることができ、山積もりも防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本実施形態のインクジェット式記録装置及びインクジェット式記録方法に用いられるインクは、相互に同一色であるが顔料濃度が異なる濃顔料インク及び淡顔料インクである。「相互に同一色であるが顔料濃度が異なる」とは、同一色でありながら顔料の濃淡(顔料の濃度)により彩色の種類が分類されていることを意味する。従って、「濃顔料インク」とは顔料濃度が比較的高いインクを意味し、「淡顔料インク」とは、該濃顔料インクよりも顔料濃度が低いインクをいう。
【0022】
前記濃顔料インクは、少なくとも、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、水と、水溶性有機化合物と、可塑剤と、を含む。
【0023】
前記淡顔料インクについても、少なくとも、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、水と、水溶性有機化合物と、可塑剤と、を含むことが好ましい。濃顔料インクと組成を同じくすることにより、濃顔料インクとの親和性が高まり、より効果的に山積りの形成を防止することができるためである。
【0024】
本実施形態で用いられる顔料インク組成物において、可塑剤は、印刷画像における光沢メディア上の光沢感を向上させる観点から添加されるものである。可塑剤は、少なくともその一部が水不溶性ポリマーの分子間に入り込み、水不溶性ポリマーの硬い網状構造の原因であるファン・デル・ワールス結合を弱め、広範な温度範囲にわたって柔軟性質を与え、いわゆる可塑化作用をする。このように、水不溶性ポリマーを含むインク組成物に可塑剤を添加することにより、顔料を被覆している水不溶性ポリマーの一部あるいは全体を軟化させ、記録媒体上に印刷した際のインク付着表面の凹凸を抑制して平滑にすることで光沢感を向上させると考えられる。
【0025】
また、可塑剤は水に難溶性であることにより、顔料インクの泡立ちを抑えるという効果も有する。すなわち、顔料インクの液性成分水に溶解しにくい為、顔料インク表面での泡の発生を抑え、更に泡が発生しても速やかに消泡することができる。
【0026】
可塑剤は、印字物の光沢性向上の為に、分子量100〜2,000のものが好ましく、分子量100〜1,000のものがより好ましい。
【0027】
可塑剤は、水不溶性ポリマーに含有させ易くするため、エステル化合物、エーテル化合物、又はスルホン酸アミド化合物であることが好ましく、分子中にエステル又はエーテル結合を2個以上有するエステル又はエーテル化合物及び/又は分子中にエステル又はエーテル結合を1個以上と、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸残基、カルボニル基、エポキシ基及び水酸基からなる群から選ばれる1種以上の官能基を1個以上有するエステル又はエーテル化合物がより好ましい。
【0028】
前述の分子中にエステル又はエーテル結合を2個以上有するエステル又はエーテル化合物のエステル又はエーテル結合は、2〜3個が好ましく、分子中にエステル又はエーテル結合を1個以上と、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸残基、カルボニル基、エポキシ基及び水酸基からなる群から選ばれる1種以上の官能基を1個以上有する化合物のエステル又はエーテル結合は、1〜3個が好ましい。官能基数は、1〜3個が好ましい。リン酸残基とは、リン酸の一部がエステル化又はエーテル化された残りのリン酸基のことをいう。
【0029】
これらの中では、1価カルボン酸又はその塩と多価アルコールから得られるエステル、多価酸(多価カルボン酸、リン酸)又はその塩と1価アルコールから得られるエステル、又は多価アルコールのエーテル化合物が好ましく、脂肪族又は芳香族カルボン酸エステル基を2つ又はリン酸エステル基を3つ有することが更に好ましい。塩としては、アルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0030】
1価カルボン酸としては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の直鎖脂肪族カルボン酸、ピバリン酸等の分岐脂肪族カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、のような不飽和脂肪族カルボン酸)、炭素数6〜12の芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸)が挙げられ、多価酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の炭素数2〜12の脂肪族カルボン酸;フタル酸、トリメリット酸等の炭素数6〜12の芳香族カルボン酸、リン酸等が挙げられる。
【0031】
1価アルコールとしては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコール(例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール)、炭素数6〜12の芳香族アルコール(例えば、フェノール)が挙げられ、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の炭素数2〜12の多価アルコールが挙げられる。脂肪酸やアルコールとしては飽和又は不飽和のいずれのものも使用できる。
【0032】
このような可塑剤の具体例としては、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、リン酸エステル、シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステル、オキシ酸エステル、グリコールエステル、エポキシ系エステル、スルホンアミド、ポリエステル、グリセリルアルキルエーテル、グリセリルアルキルエステル、グリコールアルキルエーテル、グリコールアルキルエステル、トリメチロールプロパンのエーテル又はエステル、ペンタエリスリトールのエーテル又はエステル等が挙げられる。
【0033】
脂肪族カルボン酸エステルとしては、写像性の観点から脂肪族ジ又はトリカルボン酸エステルが好ましい。
【0034】
脂肪族ジカルボン酸エステルの具体例としては、ジメチルアジペート、ジエチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(ブチルジエチレングリコール)アジペート、ジメチルセバケート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジエチルサクシネート、ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート等の脂肪族二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0035】
芳香族カルボン酸エステルの具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ステアリルベンジルフタレート、オクチルデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート、ビス(ジメチルシクロヘキシル)フタレート、ビス(t−ブチルシクロヘキシル)フタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル、ジブチルトリメリテート、ジイソブチルトリメリテート、トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート等のトリメリット酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート等の炭素数1〜5の脂肪族アルコール残基を有するフタル酸ジエステル、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ステアリルベンジルフタレート等の炭素数3〜18のアルキル基を有するベンジルフタレート、及びジブチルトリメリテート、ジイソブチルトリメリテート等の炭素数3〜5の脂肪族アルコール残基を有するトリメリット酸ジエステルが特に好ましい。芳香族カルボン酸エステルは、芳香族ジ又はトリカルボン酸エステルが好ましい。
【0036】
リン酸エステルの具体例としては、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0037】
シクロアルカン(ケン)ジカルボン酸エステルの具体例としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチルエステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキサンエステル類、3,4−シクロヘキセンジカルボン酸ジブチルエステル、3,4−シクロヘキセンカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキセンエステル等が挙げられる。
【0038】
オキシ酸エステルの具体例としては、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸メチル等が挙げられる。
【0039】
グリコールエステルの具体例としては、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキソエート)等が挙げられる。
【0040】
エポキシ系エステルの具体例としては、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が挙げられる。
【0041】
スルホンアミドの具体例としては、o−及びp−トルエンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
【0042】
ポリエステルの具体例としては、ポリ(1,2−ブタンジオールアジペート)、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)等が挙げられる。
【0043】
グリセリルアルキルエーテルの具体例としては、グリセリルモノエーテル、グリセリルジエーテル、グリセリルトリエーテルが挙げられる。これらの中では、炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するグリセリルモノエーテルが好ましい。アルキル基の炭素数は8〜30であるが、好ましくは8〜22、更に好ましくは8〜14である。
【0044】
グリセリルアルキルエステルの具体例としては、グリセリルモノアルキルエステル、グリセリルジアルキルエステル、グリセリルトリアルキルエステルが挙げられる。
【0045】
グリコールアルキルエーテルの具体例としては、グリコールモノアルキルエーテル、グリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
【0046】
グリコールアルキルエステルの具体例としては、グリコールモノアルキルエステル、グリコールジアルキルエステルが挙げられる。
【0047】
トリメチロールプロパンのエーテル又はエステルの具体例としては、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0048】
ペンタエリスリトールのエーテル又はエステルの具体例としては、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ロジン酸ペンタエリスリット等が挙げられる。
【0049】
上記の可塑剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0050】
顔料インクに用いられる水不溶性ポリマーは、可塑剤を含有しやすくし、可塑剤との相互作用により、印字濃度、光沢性、写像性を向上させるために用いられる。
【0051】
前記水不溶性ポリマーは、少なくとも重合性不飽和単量体と重合開始剤を用いて溶液重合法により重合によって得られるポリマーであり、水不溶性ポリマーとは、中和後に25℃の水100gに対する溶解度が1g未満であるポリマーをいう。
【0052】
水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中で、特にビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られる水不溶性ビニルポリマー粒子が好ましい。
【0053】
水不溶性ポリマー粒子として使用する水不溶性ポリマーは、塩生成基含有モノマーと、マクロマー、及び/又は疎水性モノマーとを含むモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ポリマーが好ましい。
【0054】
塩生成基含有モノマーは、得られる分散体の分散安定性を高める観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられる。
【0055】
塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられ、例えば、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。
【0056】
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
【0057】
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
【0058】
マクロマーは、特にポリマー粒子が顔料を含有した場合に、ポリマー粒子の分散安定性を高める観点から用いられる。マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。マクロマーの中では、ポリマー粒子の分散安定性等の観点から、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが好ましい。
【0059】
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
【0060】
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0061】
疎水性モノマーは、印字濃度、光沢性、写像性の向上の観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
【0062】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0063】
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜12の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、例えば、前記のスチレン系モノマー、前記の芳香族基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。ヘテロ原子を含む置換基としては、前記のものが挙げられる。
【0064】
モノマー混合物としては、更に、ノニオン性(メタ)アクリレート系モノマーが含有されても良く、そのの代表例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0065】
水不溶性ポリマーによって被覆される顔料は、発色性、耐水性、耐候性、顔料の分散安定性等の観点から、有機顔料が使用される。
【0066】
水不溶性ポリマーによって被覆される有機顔料は、転相乳化法により得られるものである。すなわち、上記の水不溶性ポリマーをメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジブチルエーテルなどの有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に有機顔料を添加し、次いで中和剤及び水を添加して混練、分散処理を行うことにより水中油滴型の分散体を調整し、得られた分散体から有機溶媒を除去することによって、水分散体として得ることができる。混練、分散処理は、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機などを用いることができる。
【0067】
中和剤は、エチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が好ましく、得られる水分散体のpHが6〜10であることが好ましい。
【0068】
また、被覆する水不溶性ポリマーとしては、重量平均分子量が10000〜150000程度のものが、着色剤、特に顔料を安定的に分散させる点で好ましい。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分析方法により測定することができる。
【0069】
さらに、発色や光沢メディア上での光沢性の観点から、インク組成物中での平均粒子径が50nm〜250nmの範囲であることが好ましく、50nm〜150nmの範囲であることがさらに好ましい。尚、これらの平均粒子径は、Microtrac UPA150(Microtrac社製)や粒度分布測定機LPA3100(大塚電子社製)等の粒径測定によって得ることができる。
【0070】
本実施形態で用いられる顔料としては、カラーインデックスに記載されているピグメントイエロー、ピグメントレッド、ピグメントバイオレット、ピグメントブルー、ピグメントブラック等の顔料が例示できる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,17,24,34,35,37,42,53,55,74,81,83,95,97,98,100,101,104,108,109,110,117,120,128,138,147,150,153,155,174,180,188,198;C.I.ピグメントレッド1,3,5,8,9,16,17,19,22,38,57:1,90,112,122,123,127,146,184,202,207,209;C.I.ピグメントバイオレッド1,3,5:1,16,19,23,38;C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,16;C.I.ピグメントブラック1,7等であり、複数の顔料を用いてインク組成物を形成することもできる。
【0071】
また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水に不溶であればいずれも使用できる。
【0072】
これらの水不溶性ポリマーによって被覆された顔料は、濃顔料インク又は淡顔料インクの用途に応じて、0.1重量%〜15重量%の範囲で顔料インク中に含有されることが好ましい。
【0073】
淡顔料インクが複数種類存在する場合、少なくとも1種類は、顔料濃度が3重量%以下であることが好ましい。顔料濃度が低いほど溶剤の割合が多くなるため、より効果的に山積りの形成を防止することができる。また、淡顔料インクの顔料濃度は、濃顔料インクに対し重量%で1/2以下であることがより好ましい。
【0074】
さらに、顔料と水不溶性ポリマーの比率が、顔料:水不溶性ポリマー=1:0.2〜1:1の比率にあることが、分散安定性や、インクの保存安定性やノズルの目詰まり防止等の観点、光沢メディア上での光沢性の観点から好ましい。詳しくは、水不溶性ポリマーが顔料に対して、20%より少ないと安定分散ができず、顔料の凝集が発生し、顔料に対して100%より多いとブロンズ現象は小さくなってくるが、発色が低下し、光沢メディア上での光沢も劣化するためである。
【0075】
また、発色や光沢メディア上での光沢性の観点から、カラーインク組成物中での顔料粒子の体積平均粒子径が50nm〜250nmの範囲であることが好ましい。なお、これらの体積平均粒子径は、Microtrac UPA150(マイクロトラック社製)や粒度分布測定機LPA3100(大塚電子社製)等の粒径測定によって得ることができる。
【0076】
なお、水不溶性ポリマーによって被覆された顔料は、顔料が水不溶性ポリマーによって完全に被覆されずに、一部の着色剤が露出した形状でもよい。
【0077】
本実施形態で用いられるインク組成物は、主溶媒としての水を含む。水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純粋又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
【0078】
本実施形態に係るインク組成物は、記録媒体への濡れ性を高めて有機顔料の浸透性を高める観点から、浸透促進剤を添加することが好ましい。浸透促進剤としては、1,2−アルカンジオール及び/またはグリコールエーテルを含有することが好ましい。1,2−アルカンジオールの具体的な例としては、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。また、グリコールエーテルの具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は、1種又は2種以上を用いることができ、適切な浸透性及び乾燥性の確保という観点で、インク組成物中に2重量%〜15重量%含まれることが好ましい。
【0079】
さらに、浸透促進剤のその他の好ましい例としては、表面張力調整剤を挙げることができる。表面張力調整剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤やポリエーテル変性シロキサン類が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の例としては、サーフィノール420、440、465、485、104、STG(エアープロダクツ社製品)、オルフィンPD−001、SPC、E1004、E1010(日信化学工業(株)製品)、アセチレノールE00、E40、E100、LH(川研ファインケミカル(株)製品)等が挙げられる。またポリエーテル変性シロキサン類としては、BYK−346、347、348、UV3530(ビックケミー社製品)などが挙げられる。これらは、インク組成物中に1種又は2種以上を用いることができ、表面張力20mN/m〜40mN/mに調整されることが好ましく、インク組成物中には0.1重量%〜3.0重量%含まれる。
【0080】
また、本実施形態で用いられるインク組成物は、インク組成物の乾燥を防いでインクジェットプリンタのヘッドでの目詰りを防止する観点から、湿潤剤を添加することが好ましい。湿潤剤としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレンフリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等の多価アルコール類、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸類、1,2−ジメチル尿素、尿素類、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられる。これらは、インク組成物中に1種又は2種以上を用いることができ、インク組成物の適正な物性値(粘度等)の確保、印刷品質、信頼性の確保という観点で、インク組成物中に10重量%〜50重量%含まれることが好ましい。
【0081】
さらに、本実施形態で用いられるインク組成物には、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、溶解助剤、酸化防止剤等から選ばれる材料を所望により添加することができる。これらの成分は、各種別に一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、添加する必要がなければ添加しなくてもよい。当業者は本発明の効果を損なわない範囲で、選択された好ましい添加剤を好ましい量で用いることができる。
【0082】
pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類等を用いることができるが、好ましくは、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンから選択される少なくとも1種類のpH調整剤を含み、pH6〜10に調整されることが好ましい。pHがこの範囲を外れると、インクジェットプリンタを構成する材料等に悪影響を与えたり、目詰まり回復性が劣化する。
【0083】
防腐剤又は防カビ剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及び1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、及びプロキセルTN(以上商品名)等を例示できるが、これらに限定されない。
【0084】
溶解助剤とは、インク組成物から不溶物が析出する場合に、その不溶物を溶解し、インク組成物を均一な溶液に保つための添加剤である。溶解助剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどのピロリドン類、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類などを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0085】
酸化防止剤の例としては、L−アスコルビン酸及びその塩類等が例示できるが、これらに限定されない。
【0086】
本発明のプラテンは、プラスチック粒子を焼結成形して製造した多孔性プラスチックからなる。前記のプラスチック粒子としては、熱可塑性プラスチック粒子を用いることができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレンやポリプロピレン)、ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリアリレート)、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンスルファイド樹脂、フッ素系樹脂、又は架橋ポリオレフィン系樹脂の粒子、あるいはそれらの粒子混合物を用いることができる。
【0087】
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフルオロアクリルアクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、又はヘキサフルオロプロピレンなどを挙げることができる。
【0088】
架橋ポリオレフィン系樹脂材料とは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、若しくは高密度ポリエチレンなどのポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂に、γ線やX線などの電離性放射線を照射して架橋させるか、あるいは、架橋剤として塩化アルミニウム又はフッ化窒素などの無機化合物や、t−ブチル−クミル−パーオキサイド、ジクミル−パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又はアセチレンパーオキサイドなどの有機過酸化物を用いて化学的に架橋させたものである。
【0089】
前記プラスチック粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、例えば、1,000μm以下であることが好ましい。また、メルトフローレイト(MFR)も、特に限定されるものではないが、例えば、0.01以下の材料を使用すると、均一な孔径を有する焼結多孔性プラスチックを得ることができる点で好適である。
【0090】
本発明で用いる多孔質プラスチックは、前記熱可塑性プラスチック粒子を、静的成形法や動的成形法によって焼結成形することによって製造することができる。
【0091】
前記の静的成形法は、いわゆる型内焼結法であって、例えば、成形型の間隙部に形成されるキャビテイ内に熱可塑性プラスチック粒子を充填した後、成形型と共に、加熱する方法である。
【0092】
前記の動的成形法としては、(1)先端部に成形型を有し、温度調整が可能なシリンダ内に往復運動をするピストン(プランジャー)を内蔵したラム式押出機を用いて行うラム押出法、(2)先端部に成形型を有し、温度調整が可能なシリンダ内にスクリュウを内蔵した射出成形機を用いて行う射出成形法、(3)先端部に成形型を有し、温度調整が可能なシリンダ内にスクリュウを内蔵した押出成形機を用いて行う押出成形法、(4)雌型とその内径部に挿人される雄型よりなる成形型を用い、雌型の内部に形成されるキャビテイ内に原料を充填した後、成形型を加熱する圧縮成形機を用いて行う圧縮成形法、(5)先端部に上下方一対の移動式ベルトあるいは下方の移動式ベルトで構成される成形型を有する温度調整が可能なシリンダでこの成形型内に原料を押出しする連続式プレス機を用いて行う連続式プレス法などである。
【0093】
これら静的成形法や動的成形法などの方法の内から、本発明で用いる多孔質プラスチックの最終的な形状や物性などの要求に応じて、適切な方法を適宜選択することができる。
【0094】
こうして得られた焼結多孔性プラスチックの成形体(成形板)は、外観上は通常のプラスチックの成形体(成形板)のように見えるが、実際には、多方向に相互に連結した無数の孔を有している。また、前記の焼結多孔性プラスチックの成形体は、市販されており、種々の孔径を有する成形体(成形板)を容易に入手することができる〔例えば、ポアレックス・ポーラスプラスチック(Porex technologies社);フィルダス(三菱樹脂社)〕。
【0095】
本発明のプラテンは、帯電防止性を付与することができる。帯電防止処理としては、例えば、前記熱可塑性プラスチック粒子に、カーボンブラックやカーボンファイバー、金属粉、あるいは、表面に金属などが塗布してあるチタン酸カリウムなどの導電剤を、例えば、1重量%〜5重量%(好ましくは1重量%〜2重量%)の量で添加し、その混合物を焼結成形して実施することができる。
【0096】
本発明のプラテンは、含浸剤を、湿潤状態又は乾燥状態で担持することができる。含浸剤としては、代表的には、20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下であるポリオール類を挙げることができる。
【0097】
前記含浸剤として用いる20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下であるポリオール類としては、保湿性や吸湿性が高く、蒸発気化し難いものが好ましく、具体的には、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類を挙げることができる。
【0098】
これらのポリオール類は、それぞれ一種類のみを含浸剤として用いてもよいし、二種類以上を混合して含浸させてもよく、更に又は、水と混合して水溶液として含浸させてもよい。
【0099】
本発明のプラテンは含浸剤として、必要に応じて、更に塩基、消泡剤、防腐剤等を含浸させることができる。
【0100】
前記含浸剤として用いる塩基としては、例えば、アルカノールアミン類や無機塩基、イミダゾール類等を挙げることができる。
【0101】
アルカノールアミン類の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、あるいはモノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等を挙げることができる。例えば、トリエタノールアミンは20℃における蒸気圧が0.1mmHgであるため、本発明による保湿剤と塩基との両特性を備えている。
【0102】
無機塩基の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。
【0103】
イミダゾール類の具体例としては、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ヒドロキシイミダゾール、4−ヒドロキシイミダゾール、5−ヒドロキシイミダゾール等を挙げることができる。
【0104】
前記含浸剤として用いる消泡剤としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール)、エーテル類(例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、ポリオール類(例えば、アルキレンオキサイド化合物)、脂肪酸エステル類(例えば、ステアリン酸イソアミル)、金属石鹸類(例えば、ステアリン酸アルミニウム)、燐酸エステル類、シリコーン類(例えば、変性シリコーンオイル)、又はノニオン性界面活性剤類(例えば、アセチレングリコール系界面活性剤剤)を挙げることができる。
【0105】
前記含浸剤として用いる防腐剤の具体的としては、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン、3,4−イソチアゾリン−3−オン、若しくは4,4−ジメチルオキサゾリジン、アルキルイソチアゾロン、クロルアルキルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、ブロモニトロアルコール、クロルキシレノール等を挙げることができる。
【0106】
以上述べたポリオール類、塩基、消泡剤、防腐剤等の使用形態は、単体でも混合液状態で用いてもよい。その混合比率は捕捉部材への含浸作業性・用いる顔料インク種類等に応じて適宜決定されてよく、目的とする効果を確保できれば特に限定されることはない。
【0107】
本発明のプラテンを構成する焼結多孔性プラスチックは、その表面に着弾・付着したインク滴を表面から内側方向(重力方向)に速やかに浸透させるだけではなく、プラテンの表面の横方向(水平方向)にも拡散させることができる。
【0108】
図1は上述の顔料インクを用いたインクジェット式記録装置10の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態のインクジェット式記録装置10は、記録ヘッド11が矢印Aの主走査方向に沿って往復移動を数回(4〜5回)行う毎に、記録ヘッド11をガイド軸12に沿ってフラッシング部まで移動させて、顔料インク14(14A〜14G)のうちの濃顔料インク14B,14D,14F及び淡顔料インク14C,14E,14Gをプラテン15のフラッシング部にフラッシングするように構成されている。
【0109】
記録ヘッド11にはキャリッジ16が設けられ、このキャリッジ16がガイド軸12に移動自在に支持されている。これにより、記録ヘッド11をガイド軸12に沿って走査することができる。キャリッジ16にはブラックインクカートリッジ17やカラーインクカートリッジ18が着脱自在に装填されている。ブラックインクカートリッジ17の先端は記録ヘッド11のノズル11Aに連通されている。
【0110】
また、カラー顔料インクカートリッジ18にはシアンの濃・淡カートリッジ18A,18B、マゼンタの濃・淡カートリッジ18C,18D及びイエローの濃・淡カートリッジ18E,18Fが備えられ、それぞれのカートリッジ18A,18B,18C,18D,18E,18Fの先端は記録ヘッド11の各ノズル11B,11C,11D,11E,11F,11Gに連通されている。
【0111】
ガイド軸12の下方には、プラテン15がガイド軸12に平行に配置されている。プラテン15は、発泡性樹脂、布、綿、スポンジ等、インク吸収能を有する種々の材質で形成することができる。
【0112】
このように構成されたインクジェット式記録装置10においては、記録ヘッド11が矢印Aの主走査方向に沿って往復移動を数回(4〜5回)行う毎に、記録ヘッド11をガイド軸12に沿って走査してフラッシング位置に移動させた後、第1フラッシング位置P1でフラッシングした濃顔料インク14B,14D,14Fの上に、第2フラッシング位置P2(図2参照)で濃顔料インク14B,14D,14Fと同色の淡顔料インク14C,14E,14Gをフラッシングできる。
【0113】
次に、インクジェット式記録装置10のフラッシング方法を図1〜図3について説明する。図1に示すように記録ヘッド11をガイド軸12に沿って移動して、記録用紙13の外側の第1フラッシング位置P1に記録ヘッド11を配置し、記録ヘッド11の各ノズル11A〜11Gから顔料インク14(14A〜14G)をプラテン15のフラッシング部にフラッシングする。このフラッシングは、記録ヘッド11の各ノズル11A〜11Gが目詰まりすることを防止するために、記録ヘッド11の往復移動が数サイクル(4〜5サイクル)毎に行われる。
【0114】
ここで、この顔料インクを用いたインクジェット式記録装置10の使用環境が、特に温暖期等で室温が上昇した場合には、プラテン15のフラッシング部にフラッシングした顔料インク14(14A〜14G)に含まれている水分が蒸発する。特にシアン、マゼンタおよびイエローの濃顔料インク14B,14D,14Fは、淡顔料インク14C,14E,14Gと比較して顔料固形成分の重量%が高いため、顔料固形成分が析出してくる。
【0115】
さらに加えて、光沢メディアへの印刷において、その印刷物の光沢感を向上させる目的で、インク組成物に可塑剤を添加する場合がある。可塑剤は一般的に難水溶性の為、インク中に分散されている顔料を凝集させやすく、プラテン上に吐出されたインク組成物の山積りを促進させやすい。
【0116】
このため、シアン、マゼンタおよびイエローの濃顔料インク14B,14D,14Fをプラテン15のフラッシング部に十分に染み込ませることができない場合があり、プラテン15のフラッシング部の表面にシアン、マゼンタおよびイエローの濃顔料インク14B,14D,14Fの顔料固形成分が山積リ20として堆積する。
【0117】
そこで、図2に示すように記録ヘッド11を第2フラッシング位置P2に配置して濃顔料インク14B,14D,14Fのプラテン15のフラッシング部と同位置に、例えば濃顔料インク14B,14D,14Fと同色の淡インク14C,14E,14Gをフラッシングする。
【0118】
シアン、マゼンタおよびイエローの淡顔料インク14C,14E,14Gは、濃顔料インク14B,14D,14Fと比較して顔料固形成分の重量%が低い。その分、淡顔料インク14C,14E,14Gは溶剤の割合が多い。よって、濃顔料インク14B,14D,14Fと淡顔料インク14C,14E,14Gを同じ位置でフラッシングすることにより、シアン、マゼンタおよびイエローの濃顔料インク14B,14D,14Fの顔料固形成分が山積りになる前に、シアン、マゼンタおよびイエローの淡顔料インク14C,14E,14Gを組成する溶剤成分が濃顔料インク14B,14D,14Fの顔料固形成分を溶解する。その結果、図3に示すように、濃顔料インク14B,14D,14Fが、シアン、マゼンタおよびイエローの淡顔料インク14C,14E,14Gと一緒に、プラテン15のフラッシング部に染み込む。
【0119】
このため、プラテン15の表面にシアン、マゼンタおよびイエローの濃顔料インク14B,14D,14Fが山積リ20として堆積することを防止できる。従って、山積り20を原因とする記録ヘッドのノズル11A〜11Gの吐出不良を未然に防止できる。
【0120】
また、カラーインクとしてシアンの濃・淡インク14B,14C、マゼンタの濃・淡インク14D,14E、イエローの濃・淡14F,14Gを例に説明したが、カラーインクの濃・淡インクはこれに限定されるものではないし、ブラックインクも同様である。
【0121】
なお、第1フラッシング位置P1において淡顔料インク14C,14E,14Gをフラッシングした後、第2フラッシング位置P2において淡顔料インク14C,14E,14Gと同色の濃顔料インク14B,14D,14Fをフラッシングしてもよい。すなわち、濃顔料インク14B,14D,14F及び淡顔料インク14C,14E,14Gのフラッシング順序は任意であり、適宜選択できる。
【0122】
また、濃顔料インク14B,14D,14F及び淡顔料インク14C,14E,14Gは、交互にフラッシングする形態である必要はなく、具体的には濃顔料インク14B,14D,14Fのフラッシング一回に対して淡顔料インク14C,14E,14Gを複数回フラッシングしてもよく、あるいは淡顔料インク14C,14E,14Gのフラッシング一回に対して濃顔料インク14B,14D,14Fを複数回フラッシングしてもよい。
【0123】
さらに、この実施形態では、一例としてシアンの濃顔料インク14Bの上にシアンの淡顔料インク14Cをフラッシングし、マゼンタの濃顔料インク14Dの上にマゼンタの淡顔料インク14Eをフラッシングし、イエローの濃顔料インク14Fの上にイエローの淡顔料インク14Gをフラッシングするという同じ色相同士を組み合わせているが、濃顔料インク14B,14D,14F及び淡顔料インク14C,14E,14Gとは同色相である必要はない。すなわち、例えばシアンの濃顔料インク14Bとイエローの淡顔料インク14Gとを任意の順序でプラテン15のフラッシング部にフラッシングすればよい。
【0124】
さらにまた、すべてのインクを、プラテン15のフラッシング部の同位置に重ねてフラッシングしてもよい。すなわち、図4〜図6に示すように、プラテン15の同一のフラッシング部に、ブラックインク14Aのフラッシングを実施し(図4)、次にキャリッジの移動に従って、シアンの濃顔料インク14B(図5)から順にフラッシングを実施し、最後にイエローの淡顔料インク14G(図6)をフラッシングするなど、すべてのインクを、プラテンのフラッシング部の同位置に重ねてフラッシングしてもよい。なお、この場合もインクをフラッシングする順序は特に問わない。
【0125】
なお、本実施形態では、記録ヘッド11が数サイクル(4〜5サイクル)往復移動する毎にフラッシングが実施される場合について説明したが、フラッシングのタイミングはこれに限定されず、少なくともプラテン15上の濃顔料インクが乾燥する前に淡顔料インクをフラッシングすればよい。従って、プラテン15上の濃顔料インクが乾燥する前であれば、フラッシングの実施は、記録用紙13に印刷している途中でも、印刷の終了後でもよく、印刷が終了して記録用紙13が排紙された後、記録用紙13が給紙される前でもよい。また、使用環境によっては、記録用紙13を数枚から十数枚印刷した後にフラッシングを実施してもよい。
【0126】
次に、他の実施形態として、上述した顔料インクを用いて縁無し印刷を行う例を説明する。図7および図8に示すように、本実施形態のインクジェット式記録装置は、記録ヘッド11からインクを吐出させて記録用紙13に印刷を行う際に、記録用紙13の外側にはみ出したインク14をプラテン15に染み込ませるように構成されている。
【0127】
この実施形態によれば、キャリッジ16をガイド軸12に沿って矢印Bの主走査方向に移動させることにより、記録ヘッド11をガイド軸12に沿って走査し、併せて記録用紙13を記録ヘッド11の走査方向に直交する副走査方向(矢印A)へ紙送りする際に、それぞれのカートリッジ17、18A〜18Fから各ノズル11A〜11Gを介して顔料インクを吐出することにより記録用紙13にいわゆる縁無し印刷を行うことができる(キャリッジ16及びカートリッジ17,18等の構成については図1参照)。
【0128】
図8(A)に示すように、インクジェット式記録装置で印刷を行う際には、矢印Aの副走査方向に搬送されて記録用紙13の前縁13Aが記録ヘッド11の下方に到達したとき、キャリッジが矢印Bの主走査方向に沿って往復動するとともに、記録ヘッド11から顔料インク14を吐出させて記録用紙13への印刷を開始する。この際、記録用紙13における前縁13Aの余白をゼロにして印刷を行うために、記録用紙13の前縁13Aから外側に顔料インク14をはみ出させる。
【0129】
この状態から記録用紙13が矢印Aの副走査方向に搬送されることにより、図8(B)の状態になると、記録用紙13における側縁13Bの余白をゼロにして印刷を行うために、矢印Bの主走査方向に沿うキャリッジの往復動距離を適宜調整することにより、記録用紙13の側縁13Bから外側に顔料インク14をはみ出させる。
【0130】
さらに、この状態から記録用紙13が矢印Aの副走査方向に搬送されることにより、図8(C)の状態になると、記録用紙13における後縁13Cの余白をゼロにして印刷を行うために、記録用紙13の後縁13Cから外側に顔料インク14をはみ出させる。
【0131】
ここで、記録用紙13の前縁13A、側縁13Bや後縁13Cから外側にはみ出した顔料インク14は、通常、プラテン15に吸収される。
【0132】
しかしながら、この場合も前述のフラッシングと同様に、温暖期等でプリンタの使用環境の温度が上昇した場合には、プラテン15上に記録用紙102からはみ出して吐出されたインクに含まれている水分が蒸発して、顔料が析出する。特に濃顔料インクは、淡顔料インク比較して顔料固形成分の重量%が高いため、顔料固形成分が析出しやすい。さらに、光沢メディアへの印刷において、その印刷物の光沢感を向上させる目的で、インク組成物に可塑剤を添加した場合、可塑剤は一般的に難水溶性のため、インク中に分散されている顔料を凝集させやすく、プラテン上に吐出されたインク組成物の山積りを促進させやすい。
【0133】
このため、図14に示すように、例えば濃顔料インクのみをプラテン15上に記録用紙13からはみ出して吐出された場合、インクが十分に染み込ませることができない場合があり、プラテン15に濃顔料インクの顔料固形成分が山積り107として堆積する。
【0134】
この場合も、前述のフラッシングの時と同様に、濃顔料インクをプラテン15上に記録用紙13からはみ出して吐出された後、プラテン15上の同じ場所に淡顔料インクを重ねて吐出することにより、顔料固形成分が山積りする前に、インク成分をプラテン15に十分染み込ませることができる。
【0135】
具体的には、例えば、図9及び図10に示すように、シアンの濃顔料インク14Bをプラテン15上に記録用紙13からはみ出して吐出された後、プラテン15上の同じ場所にシアンの淡顔料インク14Cを重ねて吐出することにより、顔料固形成分が山積りする前に、インク成分をプラテン15に十分染み込ませることができる。
【0136】
また、記録用紙13への画像の形成に淡顔料インクを使用しない場合でも、プラテン上のはみ出し部分に対してのみ淡顔料インクを吐出してもよい、前記図9及び図10を用いて説明すれば、図9に示すように、記録用紙への印刷に濃顔料インク14Bのみを使用する場合、キャリッジの移動によって、まず濃顔料インク14Bが、記録用紙13上からはみ出してプラテン15上に吐出される。次に、図10に示すように、キャリッジの移動に従って、淡顔料インクのヘッドノズル11Cを、記録用紙13上からプラテン上に移動する。この時、先ほどの濃顔料インク14B上に重ねて、淡顔料インク14Cがプラテン上に吐出される。このように、記録用紙13への印刷記録に濃顔料インクのみを使用する場合に、淡顔料インクをプラテン上のはみ出し部分にのみ吐出することにより、濃顔料インクの山積もりを防止し、プラテンに染みこませることができる。
【0137】
この場合、淡顔料インクの吐出を記録用紙13とプラテンの境界部分で行うため、淡顔料インクが記録用紙13上に若干ながら吐出される懸念がある。しかしながら、印刷記録に濃顔料インクを使用している場合、プラテン上での山積もり防止に使用する淡顔料インクとして濃顔料インクと同一色の淡顔料インクを使用すれば、プラテンとの境界付近の記録用紙13上へ、若干、淡顔料インクが吐出されても、その上に重なって若干吐出された淡顔料インクは殆ど視認することができないため、問題とはならない。
【0138】
また、このようにプラテン15上の濃顔料インクの吐出部分に淡顔料インクを重ねて吐出するタイミングは、少なくともプラテン15上の濃顔料インクが乾燥する前であればよい。従って、プラテン15上の濃顔料インクが乾燥する前であれば、淡顔料インクの吐出は、記録用紙13に印刷している途中でも、印刷の終了後でもよく、印刷が終了して記録用紙13が排紙された後、記録用紙13が給紙される前でもよい。また、使用環境によっては、記録用紙13を数枚から十数枚印刷した後に淡顔料インクの吐出を実施してもよい。
【0139】
以上説明したように、プラテン15の表面にインク(顔料)が山積りになることを防止できるため、次の記録用紙13に印刷する際に、山積りに記録用紙13の端面が接触して、記録用紙13の端面が汚れてしまうことを防止できる。
【0140】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能であり、前述した実施形態において例示した記録ヘッド、ガイド軸、形状、寸法、形態、数、配置個所、厚さ寸法等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0141】
また、プラテン上での山積もり防止に使用する淡顔料インクとして濃顔料インクとは異なる色の淡顔料インクを使用する場合であっても、記録用紙13上に重なって吐出された淡顔料インクが印刷画像に影響を及ぼさない範囲内であれば、プラテンとの境界付近の記録用紙13上へ、若干、淡顔料インクが吐出されても問題とはならない。
【実施例1】
【0142】
1.マゼンタ顔料インクの調製
(1)マゼンタ顔料分散液の調製
反応容器内に、メチルエチルケトン25重量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.04重量部、メタクリル酸(三菱ガス化学株式会社、商品名GE−110(MAA))15重量部、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社、商品名AS−6S)15重量部、2−エチルヘキシルメタクリレート(三菱レイヨン株式会社、商品名アクリエステルEH)30重量部、スチレンモノマー(新日鉄化学株式会社、商品名スチレンモノマー)25重量部、及びメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート15重量部のうちのそれぞれ10重量%ずつを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
【0143】
一方、滴下ロート中に、上記各モノマーの残り90重量%ずつを仕込み、次いで重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27重量部、メチルエチルケトン60重量部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2重量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
【0144】
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、その混合溶液の液温を75℃で2時間維持した後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を該混合溶液に加え、更に75℃で2時間、85℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
【0145】
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離した。標準物質としてポリスチレン、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を求めたところ、121,000であった。
【0146】
得られた共重合体溶液を減圧乾燥させて得られた共重合体30重量部を、メチルエチルケトン75重量部に溶かし、その中にイオン交換水220重量部と水酸化ナトリウム(30%水溶液)を所定量(塩生成基の中和度が65%になる量)加えて共重合体の一部を中和し、更に顔料としてC.I.ピグメントレッド122を70重量部を加え、ビーズミルで混練して、本分散させた。
【0147】
得られた分散液に、イオン交換水240重量部を加え、攪拌した後、減圧下60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した。
【0148】
得られた顔料含有ポリマーの水分散体40部と可塑剤であるジブチルセバケート1部と混合・攪拌することでジブチルセバケートをポリマーに含有させ、メンブランフィルターで濾過することにより、固形分濃度が20%の可塑剤と顔料を含有したポリマーによるマゼンタ顔料分散液を得た。
【0149】
得られた水分散体の平均粒子径を大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−800で測定した結果、98nmであった。
【0150】
(2)濃マゼンタインクの調製
上記(1)で得られたマゼンタ顔料分散液(固形分濃度20重量%)30重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル3重量部、1,2−ヘキサンジオール3重量部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)1重量部、グリセリン15重量部、トリメチロールプロパン3重量部、及びイオン交換水45重量部を混合した。
【0151】
得られた混合液を10μmのメンブランフィルターでろ過して、所望の濃マゼンタインク組成物とした。
【0152】
(3)淡マゼンタインクの製造
上記(1)で得られたマゼンタ顔料分散液(固形分濃度20重量%)15重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル3重量部、1,2−ヘキサンジオール3重量部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)1重量部、グリセリン20重量部、トリメチロールプロパン3重量部、及びイオン交換水55重量部を混合した。
【0153】
得られた混合液を10μmのメンブランフィルターでろ過して、所望の淡マゼンタインク組成物とした。
【0154】
2.シアン顔料インクの調製
(1)シアン顔料分散液の調製
顔料としてC.I.ピグメントブルー15:4を用いた以外は上記1(1)と同様の方法で顔料分散液を調製した。
【0155】
(2)濃シアンインクの調製
上記(1)で得られたシアン顔料分散液(固形分濃度20重量%)20重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル3重量部、1,2−ヘキサンジオール3重量部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)1重量部、グリセリン18重量部、トリメチロールプロパン3重量部、及びイオン交換水42重量部を混合した。
【0156】
得られた混合液を10μmのメンブランフィルターでろ過して、所望の濃シアンインク組成物とした。
【0157】
(3)淡シアンインクの調製
上記(1)で得られたシアン顔料(固形分濃度20重量%)10重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル3重量部、1,2−ヘキサンジオール3重量部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)1重量部、グリセリン23重量部、トリメチロールプロパン3重量部、及びイオン交換水52重量部を混合した。
【0158】
得られた混合液を10μmのメンブランフィルターでろ過して、所望の淡シアンインク組成物とした。
【0159】
3.イエロー顔料インクの調製
(1)イエロー顔料分散液の調製
顔料としてC.I.ピグメントイエロー74を用いた以外は、上記1(1)と同様の方法で顔料分散液を調製した。
【0160】
(2)濃イエローインクの調製
上記(1)で得られたイエロー顔料分散液(固形分濃度20重量%)30重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル3重量部、1,2−ヘキサンジオール3重量部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)1重量部、グリセリン15重量部、トリメチロールプロパン3重量部、及びイオン交換水45重量部を混合した。
【0161】
得られた混合液を10μmのメンブランフィルターでろ過して、所望の濃イエローインク組成物とした。
【0162】
4.ブラック顔料インクの調製
(1)ブラック顔料分散液の調製
カーボンブラック顔料であるカラーブラックFW18(デグサ社製)を用いた以外は、上記1(1)と同様の方法で顔料分散液を調製した。
【0163】
(2)濃ブラックインクの製造
実施例4(1)で得られたブラック顔料分散液(固形分濃度20重量%)30重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル3重量部、1,2−ヘキサンジオール3重量部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)1重量部、グリセリン15重量部、トリメチロールプロパン3重量部、及びイオン交換水45重量部を混合した。
【0164】
得られた混合液を10μmのメンブランフィルターでろ過して、所望の濃ブラックインクとした。
【0165】
5.プラテン部の作成
平均粒径が160μmでメルトフローレイト(MFR)が0.01以下の超高分子量ポリエチレンを、層の厚み比率が最終フイルタ全体の厚みの70%になるように、断面積が長方形の成形金型の間隙部に充填し、160℃〜220℃の温度で30分間加熱し、孔径の大きな大粒径多孔質からなる本発明のプラテンを得た。
【0166】
次にグリセリン98.7%、トリエタノールアミン1%、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(プロキセルXL2;Arch Chemicals株式会社製)を混合して含浸液を調製し、上記で調製した多孔性プラスチックに、この含浸液を重量あたり5g/gで均一に含浸させた。尚、比較には同じ含浸液を、同じ重量あたり5g/gで均一に含浸させた軟質ポリウレタンフォームを用意した。
【0167】
6.評価試験
(1)印刷条件等
前記1.〜4.で調製した顔料インクについて、インクジェットプリンタ(PM−A890;セイコーエプソン社製)を用いて評価を実施した。プラテン部に上記で用意した本発明の多孔性プラスチックをセットしたプリンタと、軟質ポリウレタンフォームをセットしたプリンタを用意した。同インクジェットプリンタはヘッドのノズル列が6列であり、6種類のインクを同時にセット可能である。そこで、インクジェットヘッドの80桁側から、順に、濃ブラックインク、濃シアンインク、淡シアンインク、濃マゼンタインク、淡マゼンタインク、濃イエローインクのそれぞれのインクカートリッジをセットして、連続印刷耐久評価を行った。
【0168】
具体的には、高温・低湿(50℃、相対湿度10%)の環境下において、L版サイズの写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)に対して、全面ベタの縁無し印刷及びフラッシングを連続して行い、プラテン上のインクの堆積状況を調査した。印刷パターンは以下の通りである。
【0169】
(印刷パターン)
1枚目は濃ブラックの全面ベタパターンの縁無し印字、2枚目は濃シアン、3枚目は淡シアン、4枚目は濃マゼンタ、5枚目は淡マゼンタ、6枚目は濃イエローの順でそれぞれ縁無し印刷した。この6枚を1セットとして、繰り返し印刷をどちらかのプリンタに堆積が確認されるまで行った。
【0170】
縁無し印字によって、記録紙からはみ出して印字された、プラテン上のインク固形分による堆積状況を1セットが終わる度に確認したところ、比較のポリウレタンフォームのプラテン上の方が先に堆積が始まった。この時、本発明の多孔性プラスチックのプラテン上には堆積はなかった。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】フラッシングを行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図2】フラッシングを行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図3】フラッシングを行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図4】すべてのインクをプラテンのフラッシング部の同位置に重ねてフラッシングする場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図5】すべてのインクをプラテンのフラッシング部の同位置に重ねてフラッシングする場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図6】すべてのインクをプラテンのフラッシング部の同位置に重ねてフラッシングする場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図7】縁無し印刷を行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図8】縁無し印刷を行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図9】縁無し印刷を行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図10】縁無し印刷を行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図11】従来のフラッシングを行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図12】従来の縁無し印刷を行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図13】従来の縁無し印刷を行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図14】従来の縁無し印刷を行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【図15】従来の縁無し印刷を行う場合のインクジェット式記録方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0172】
10…インクジェット式記録装置、11…記録ヘッド、12…ガイド軸、13…記録用紙、13A…前縁、13B…側縁、13C…後縁、14…顔料インク、15…プラテン、16…キャリッジ、17…ブラックインクカートリッジ、18…カラーインクカートリッジ、20…山積リ、101…記録ヘッド、102…記録用紙、103…ノズル、104…インク、105…プラテン、107…山積リ、P1,P2…フラッシング位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃顔料インク及び淡顔料インクを少なくとも備え、記録ヘッドをガイド軸に沿って移動して、記録ヘッドから該濃顔料インク及び該淡顔料インクを吐出させることで記録媒体に印刷を行う際に、記録媒体の外側にはみ出した該濃顔料インク及び該淡顔料インクをプラテンに染み込ませるインクジェット式記録装置において、前記濃顔料インクの吐出と、前記淡顔料インクの吐出とが、前記プラテンの同位置で行なわれ、前記濃顔料インクが、少なくとも、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、水と、水溶性有機化合物と、可塑剤と、を含み、かつ前記プラテンがプラスチック粒子を焼結成型して製造した多孔性プラスチックからなること、及び含浸剤を含浸して含むインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記淡顔料インクが、少なくとも、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、水と、水溶性有機化合物と、可塑剤と、を含む、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記濃顔料インクとして、イエロー顔料インクと、マゼンタ顔料インクと、シアン顔料インクとを少なくとも備え、前記淡顔料インクとして、ライトマゼンタ顔料インクと、ライトシアン顔料インクとを少なくとも備えた、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記淡顔料インクの少なくとも1種類は、顔料濃度が3重量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記プラスチック粒子が、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンスルファイド樹脂、フッ素系樹脂、又は架橋ポリオレフィン系樹脂の粒子、あるいはそれらの粒子混合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記含浸剤が、20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下であるポリオール類を少なくとも含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
濃顔料インク及び淡顔料インクを用い、記録ヘッドをガイド軸に沿って移動して、記録ヘッドから該濃顔料インク及び該淡顔料インクを吐出させることで記録媒体に印刷を行う際に、記録媒体の外側にはみ出した該濃顔料インク及び該淡顔料インクをプラテンに染み込ませるインクジェット式記録方法であって、前記濃顔料インクの吐出と、前記淡顔料インクの吐出とを、前記プラテンの同位置で行ない、前記濃顔料インクとして、少なくとも、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、水と、水溶性有機化合物と、可塑剤と、を含む顔料インクを用い、かつ前記プラテンがプラスチック粒子を焼結成型して製造した多孔性プラスチックからなること、及び含浸剤を含浸して含むインクジェット式記録方法。
【請求項8】
前記淡顔料インクとして、少なくとも、水不溶性ポリマーに被覆された顔料と、水と、水溶性有機化合物と、可塑剤と、を含む顔料インクを用いる、請求項7に記載のインクジェット式記録方法。
【請求項9】
前記濃顔料インクとして、イエロー顔料インクと、マゼンタ顔料インクと、シアン顔料インクとも用い、前記淡顔料インクとして、ライトマゼンタ顔料インクと、ライトシアン顔料インクとを少なくとも用いる、請求項7又は8に記載のインクジェット式記録方法。
【請求項10】
前記淡顔料インクの少なくとも1種類は、顔料濃度が3重量%以下である、請求項7〜9のいずれか一項に記載のインクジェット式記録方法。
【請求項11】
前記プラテンがプラスチック粒子を焼結成型して製造した多孔性プラスチックからなること、及び含浸剤を含浸して含むことを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項12】
前記プラスチック粒子が、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンスルファイド樹脂、フッ素系樹脂、又は架橋ポリオレフィン系樹脂の粒子、あるいはそれらの粒子混合物である、請求項7〜11のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項13】
前記含浸剤が、20℃における蒸気圧が0.1mmHg以下であるポリオール類を少なくとも含む、請求項7〜12のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−890(P2009−890A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163514(P2007−163514)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】