説明

インクジェット捺染用顔料インク、及びインクジェット捺染方法

【課題】滲み、画像耐久性、出射性に優れたインクジェット捺染プリントに適したインクジェット捺染用顔料インク、及び該インクを用いた捺染方法を提供すること。
【解決手段】顔料、少なくともカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物、多価アルコール、グリコールエーテル及び/または1,2−アルカンジオールを含有し、該水溶性共重合物が固形分として2〜10%、多価アルコールが10〜40質量%、グリコールエーテルと1,2−アルカンジオールの総量が7〜20質量%の範囲であることを特徴とするインクジェット捺染用顔料インク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット捺染用顔料インク、及び該インクを用いたインクジェット捺染方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式による画像の印刷方法はインクの微少液滴を飛翔させ、対象となるメディアに付着させて印刷を行う方法である。インクジェット方式はその機構が比較的簡便、安価であり、高精細、高品位な画像を形成できることが利点である。
【0003】
このインクジェット方式の利点を生かして布帛への印字、所謂インクジェット捺染の応用も行われている。インクジェット捺染は従来の捺染とは異なり、版を作成する必要がなく、手早く階調性に優れた画像を形成できる。更に画像として必要な量のインクしか必要としないため、廃液が少ない等環境的にも優れた画像形成方法である。
【0004】
インクジェット捺染では、布帛に予め専用の前処理を施すのが一般的である。前処理をしないと繊維に沿ってインクが滲み画質が大幅に低下したり、また画像の定着性が不十分となる。
【0005】
しかしながら公知の前処理は、例えば、シリカやアルミナなどの微粒子、PVAやCMCのような水溶性高分子を含んだ溶液を布帛に浸漬後、搾って乾燥する方法が一般的であり、インクジェットの手軽さに比べ、作業が煩雑で作業時間を要する等生産性の問題がある。
【0006】
また、布帛への印字後に繊維への定着を目的として後処理を行う必要があり、生産性の低下や廃液処理の問題など環境への配慮が必要である。
【0007】
このような前処理、後処理の煩雑さや、それに伴うコスト高がインクジェット捺染の大きな課題であり、これらを克服しなければ更なる市場拡大にはつながらない。
【0008】
顔料インクは染料インクに比べて色調や鮮明性の劣るものの、耐光性、耐水性に優れており、染料インクに比べ前処理が無い場合でも滲みにくく、繊維への定着性が優れていること、布帛に対する後処理が簡便なこと、更に布帛の種類に応じて顔料種を選ばないことなど種々の利点がある。
【0009】
このようなことから、現在顔料インクを用いるインクジェット捺染方法が注目されているが、前処理が施されていない布帛に印字した場合、滲みや繊維への定着性を満足するものが得られていない現状がある。前処理の必要が無く、いろいろな布帛に印字した場合でも滲みや定着性などの画質が良好で、生産性が高く、低コストのインクジェット捺染方法が望まれている。
【0010】
反応剤を含有する反応液を布帛に付着させる工程の後で、顔料インクを吐出させることが記載されている(例えば、特許文献1参照)が、反応液を付着させる工程が必要で生産性に問題がある。
【0011】
また、架橋構造を有する重合体で顔料を包含した着色剤をインクジェット捺染に用いることが記載されている(例えば、特許文献2参照)が、印字後の滲みを十分満足するものでは無い。
【0012】
更にワックス及び着色剤を含有させたホットメルトインクをインクジェット捺染に用いる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方法により得られた印捺物はその印捺部分にワックスが残留するため発色が不十分である。また、この方法はホットメルトインクを加熱溶融する手段を必要とするため、工程や装置の複雑化、高コスト化を招くという問題がある。
【特許文献1】特開2003−55886号公報
【特許文献2】特開2002−338859号公報
【特許文献3】特開平9−300606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、滲み、画像耐久性、出射性に優れたインクジェット捺染プリントに適したインクジェット捺染用顔料インク、及び該インクを用いた捺染方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0015】
1.顔料、少なくともカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物、多価アルコール、グリコールエーテル及び/または1,2−アルカンジオールを含有し、該水溶性共重合物が固形分として2〜10%、多価アルコールが10〜40質量%、グリコールエーテルと1,2−アルカンジオールの総量が7〜20質量%の範囲であることを特徴とするインクジェット捺染用顔料インク。
【0016】
2.前記多価アルコールがエチレングリコールまたはプロピレングリコールであることを特徴とする前記1に記載のインクジェット捺染用顔料インク。
【0017】
3.25℃における粘度が3〜20mPa・sであることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット捺染用顔料インク。
【0018】
4.25℃における表面張力が30〜50mN/mであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用顔料インク。
【0019】
5.Tgが35℃以上、酸価が44以上である水系分散型ポリマー微粒子を含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用顔料インク。
【0020】
6.ノズル径10〜50μm、駆動周波数10〜20kHzのインクジェットヘッドを用い、布帛上に前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用顔料インクを用いて記録することを特徴とするインクジェット捺染方法。
【0021】
7.前記布帛がポリエステルを主体とする繊維であることを特徴とする前記6に記載のインクジェット捺染方法。
【0022】
8.前記布帛の表面を40〜90℃に加熱することを特徴とする前記6または7に記載のインクジェット捺染方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、滲み、画像耐久性、出射性に優れたインクジェット捺染プリントに適したインクジェット捺染用顔料インク、及び該インクを用いた捺染方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明について詳述する。
【0025】
本発明のインクジェット捺染用顔料インクは、顔料、少なくともカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物、多価アルコール、グリコールエーテル及び/または1,2−アルカンジオールを含有し、該水溶性共重合物が固形分として2〜10%、多価アルコールが10〜40質量%、グリコールエーテルと1,2−アルカンジオールの総量が7〜20質量%の範囲であることを特徴とする。
【0026】
以下に本発明の構成について詳細に説明する。
【0027】
(顔料)
本発明において使用できる顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶剤分散性顔料等いずれも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、カーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。この顔料はインク中で分散された状態で存在させ、この分散の方式としては、自己分散、界面活性剤を用いた分散、ポリマー分散、マイクロカプセル分散のいずれでもよいが、マイクロカプセル分散がインクの長期保存安定性の点から特に好ましい。
【0028】
不溶性顔料としては特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0029】
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
【0030】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0031】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0032】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0033】
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
【0034】
本発明のインクジェット捺染用顔料インク(単に、インクとも言う)に含有する顔料の分散状態の平均粒子径は、50nm以上、200nm未満であることが好ましい。顔料分散体の平均粒子径が50nm未満あるいは200nm以上では顔料分散体の安定性が悪くなり、インクの保存安定性が劣化しやすくなる。
【0035】
顔料分散体の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができるが、動的光散乱法による測定が簡便でこの粒子径領域の精度が良く多用される。
【0036】
本発明で用いられる顔料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。中でも、サンドミルによる分散により製造されるインクの粒度分布がシャープであり好ましい。また、サンドミル分散に使用するビーズの材質はビーズ破片やイオン成分のコンタミネーションの点から、ジルコニアまたはジルコンが好ましい。更にこのビーズ径としては0.1〜3mmが好ましい。
【0037】
本発明のインクでは、上記分散において高分子分散剤を用いることができる。本発明で言う高分子分散剤とは、分子量が5000以上、200000以下の高分子成分を有する。高分子分散剤の種類としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体及びこれらの塩、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0038】
酸性の高分子分散剤の場合、中和塩基で中和して添加することが好ましい。ここで中和塩基は特に限定されないが、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等の有機塩基であることが好ましい。
【0039】
また、本発明において、高分子分散剤の添加量としては、顔料に対し10〜100質量%であることが好ましい。
【0040】
本発明に用いる顔料分散物は、顔料を樹脂で被覆した所謂カプセル顔料が特に好ましい。顔料を樹脂で被覆する方法としては公知の種々の方法を用いることができるが、好ましくは、展相乳化法や酸析法の他に顔料を重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法から選択することがよい。
【0041】
より好ましい方法としては、水不溶性樹脂をメチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、更に塩基にて樹脂中の酸性基を部分的、もしくは完全に中和後、顔料及びイオン交換水を添加し、分散した後、有機溶剤を除去、必要に応じて加水し作製する製造方法が好ましい。
【0042】
顔料と樹脂の質量比率は、顔料:樹脂比で100:40から100:150の範囲で選択することができる。特に画像耐久性と射出安定性やインク保存性が良好なのは、100:60から100:110の範囲である。
【0043】
(水溶性共重合物)
本発明に係るカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分とする水溶性共重合物(以下、水溶性共重合物とも略記する)について説明する。水溶性共重合物は画像の堅牢性(耐擦過性)を高めるためにインク中では安定に溶解しているが、記録媒体上での乾燥後は耐水性が付与される樹脂が好ましい。
【0044】
このような樹脂としては、樹脂中に疎水性成分と親水性成分を有するものを設計して用いる。この際、親水性成分としては、イオン性のもの、ノニオン性のものどちらを用いてもよいが、より好ましくはイオン性のものであり、更に好ましくはアニオン性のものである。特にアニオン性のものを揮発可能な塩基成分で中和することで、水溶性を付与したものが好ましい。
【0045】
特に水溶性共重合物の少なくとも1種は、酸性基としてカルボキシル基またはスルホン酸基を有しており、且つ酸価が80以上300未満である樹脂が本発明の効果発現上好ましい。
【0046】
このような水溶性共重合物の疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジルなど)、スチレンなどが挙げられる。
【0047】
親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドなどが挙げられ、アクリル酸のような酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることができる。
【0048】
水溶性共重合物の分子量としては、平均分子量で3000から30000のものを用いることができ、より好ましい分子量の範囲は7000から20000である。
【0049】
水溶性共重合物のTgは−30℃から100℃程度のものを用いることができ、より好ましいTgの範囲は−10℃から80℃である。
【0050】
水溶性共重合物のより好ましい酸価としては、90乃至250程度のものを用いることができ、重合方法としては溶液重合を用いることが好ましい。
【0051】
水溶性共重合物の酸性モノマー由来の酸性基は、部分的あるいは完全に塩基成分で中和することが好ましい。この場合の中和塩基としては、アミン類(アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等を用いることができる)を用いることができる。
【0052】
特に沸点が200℃未満のアミン類で中和することは、滲みや画像堅牢性向上の観点から特に好ましい。アルカリ金属塩基(水酸化Na、K等)での中和では乾燥によって溶解性が低下せず滲みとなって画像品質が低下する。水溶性共重合物の添加量としては、本発明の目的を得るためには、2%以上10%以下の量で用いることが好ましい。より好ましくは、3%以上6%以下で用いることが好ましい。
【0053】
本発明において、水溶性共重合物の固形分として2%以上10%以下のを含有することが好ましく用いられる理由として以下のように推察している。
【0054】
前処理を施していない布帛に印字する場合、インク着弾後に繊維に沿ってインクが拡がって滲みとなり、画質低下することを防ぐことが重要である。これにはバインダー樹脂によるインク着弾後の増粘、流動性低下が有効であり、特に本発明のように布帛を加熱することでは非常に有効である。
【0055】
2%未満では増粘の程度が小さく、滲み防止が不十分で高画質が得られない。また、10%以上より多くすると、インクの保存安定性、吐出安定性の不安定化が生じたり、風合いが劣化したりする。
【0056】
(水系分散型ポリマー微粒子)
次に、本発明に係る水系分散型ポリマー微粒子について説明する。
【0057】
ポリマー微粒子は、系で重合された分散物をそのまま、あるいは処理したものを用いてもよいし、溶媒系で重合されたポリマーを水系に分散したものを用いてもよく、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリロニトリル系、ポリブタジエン系、ポリエチレン系、ポリイソブチレン系、ポリエステル系等から選択することができる。
【0058】
インクの物性として、粘度に対するシェア依存性がないことが好ましく、この観点からポリマー微粒子の分散形態として活性剤などの乳化剤を極力低濃度にするか、乳化剤を用いないソープフリー型の分散ポリマー粒子が好ましい。
【0059】
好ましい水系分散型ポリマー微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルを少なくとも単量体成分として重合した共重合体の自己分散型ディスパージョンであり、例えば、アクリル酸エチルなどのアクリル系モノマー単独、もしくはアクリル系モノマーと共重合し得るエチレン性の不飽和モノマーからなる組成物にカルボン酸モノマーとしてアクリル酸やマレイン酸などを乳化重合、もしくは懸濁重合して得られた分散液をアルカリで膨潤後、機械的せん断により粒子を分割して得られるアクリルヒドロゾルである。なお、アクリルヒドロゾルの中でも、樹脂の屈折率を高めて高い光沢感が得られる観点で、モノマー組成にスチレンを含有することが好ましい。
【0060】
前記アルカリとしては、アンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールなどのアミンであることが好ましく、アンモニア、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及び2−メチルアミノエタノールが水系分散型ポリマー微粒子の分散安定性において得に好ましい。
【0061】
前記のアクリルヒドロゾルは、ジョンソンポリマー株式会社のジョンクリル(商標)などが市販されている。
【0062】
水系分散型ポリマー微粒子のガラス転移温度Tgは35℃以上であることが、画像の耐擦過性を高めるために好ましく、より好ましくは49℃以上である。Tgの上限は特に制限されるものではないが、概ね100℃未満であれば柔軟なインク皮膜を得ることができ、プリント物の折り曲げ等による画像のひび割れ故障を防止できる。
【0063】
水系分散型ポリマー微粒子の酸化は、44以上、より好ましくは60以上であることが、インク乾燥皮膜の良好な再分散、溶解性が得られる点で好ましい。酸化の上限は特に制限されるものではないが、より安定な分散物を得やすい観点で110未満が好ましい。
【0064】
水系分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、ヘッドのノズルにおける目詰まりがなく、良好な光沢感が得られる点で300nm以下であることが好ましく、より好ましくは130nm以下である。平均粒子径の下限は、微粒子の製造安定性の観点から30nm以上が好ましい。なお、水系分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。また、水系分散型ポリマー微粒子の分散物を凍結乾燥し、透過型顕微鏡で観察される粒子から平均粒子径を換算することもできる。
【0065】
水系分散型ポリマー微粒子の含有量は0.7%以上、6%以下が好ましく、良好な定着性(耐擦過性、アルコール耐性)とインクの長期保存安定を得やすい。より好ましくは1%以上、3%以下の範囲である。
【0066】
(溶剤)
本発明のインクには、少なくともグリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールから選ばれる水溶性有機溶剤を含有する必要がある。
【0067】
具体的には、グリコールエーテルとしてはエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。また、1,2−アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオールなどが挙げられる。
【0068】
添加量としては7%から20%の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは7%から15%の範囲である。この範囲であれば、滲みと定着性を両立した高品位な画質が得られる。更にこの範囲であれば、インクを長期に保存した場合でも安定して使用することができる。特に1、2−アルカンジオールを含有することが、インクの保存安定性において好ましい。
【0069】
更に本発明のインクには、多価アルコールを含有する必要がある。具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコールが挙げられる。特に滲み、出射性の点からエチレングリコール、プロピレングルコール、グリセリンが好ましい。
【0070】
添加量は10〜40%が好ましいが、滲み、出射性の点から20〜35%が特に好ましい。
【0071】
本発明のインクにはグリコールエーテル、もしくは1,2−アルカンジオール、多価アルコール以外にも溶剤を添加することができる。
【0072】
具体的には、本発明に係る溶媒としては水性液媒体が好ましく用いられ、前記水性液媒体としては、水及び水溶性有機溶剤等の混合溶媒が更に好ましく用いられる。好ましく用いられる水溶性有機溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
【0073】
本発明において、グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールから選ばれる水溶性有機溶剤を7〜20%、多価アルコールを10〜40%含有することが好ましく、用いられる理由としては以下のように推察している。
【0074】
第1は先に説明したがインクの乾燥、増粘を促進し、高画質を実現できる効果があると考えている。但し、あまり急速に増粘すると布帛が収縮し、目的とするプリント物が得られないばかりか、布帛の搬送性が悪くなるなど不都合が生じる。そのためには、微妙なバランスで緩やかに増粘させる必要がある。
【0075】
第2は画像耐久性が良好となるためである。この原因としては、以下のように推察している。グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールは、水混和性溶剤の中では比較的疎水性の部類であり、このことが本発明の顔料として水不溶性樹脂で被服された顔料を用いるインクでは、インクの乾燥過程で顔料を被覆している樹脂を軟化しているものと考えている。
【0076】
(界面活性剤)
界面活性剤として、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることができる。
【0077】
陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
【0078】
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0079】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0080】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、エマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、ニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0081】
本発明のインクでは、上記説明した以外に必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができる。
【0082】
例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号の各公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号の各公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号の各公報等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
【0083】
本発明のインクの粘度としては、25℃で3〜20mPa・sであることが好ましく、4〜10mPa・sが特に好ましい。3mPa・s以下では滲みやすくなり、20mPa・s以上では出射性が劣化する。
【0084】
本発明のインクは、インクの表面張力としては25℃で30から50mN/mであることが好ましく、より好ましくは30から40mN/mである。30以下では滲みやすくなり、50以上では出射性が劣化する。
【0085】
高精細な画像を得るためには、ノズル径が10〜50μmのインクジェットヘッドを用い、駆動電圧10〜20kHzにて記録することが好ましい。粒状性より50μm以下が好ましく、液滴体積が小さくなりすぎて気流の影響を受けるため10μm以上が好ましい。
【0086】
本発明に用いられる布帛としては、ポリエステル、綿、絹、麻、レーヨン、アセテート繊維からなる布帛が好ましい。特にポリエステル繊維を主体とする布帛が好ましく、ポリエステル繊維を主体とする繊維を織物、編物、不織物等いずれの形態にしたものでもよい。布帛としてはポリエステル繊維が100%であることが好ましいが、レーヨン、絹、ポリウレタン、アクリル、ナイロン及び羊毛等との混紡織物または混紡不織物等も使用することができる。また、前記のような布帛を構成する糸の太さとしては10〜100dの範囲が好ましい。
【0087】
本発明では布帛を加熱してプリントする。布帛を加熱することで、インクの乾燥増粘速度が著しく向上し、高画質が得られるようになる。また、画像の耐久性も向上する。加熱温度としては、布帛の記録表面温度を40℃乃至90℃になるように加熱することが好ましい。40℃未満の加熱では画質が不十分であること、十分な画像耐久性が得られないことに加え、乾燥に時間がかかり好ましくない。90℃を超えるとインク射出に大きな影響が出て安定にプリントすることができない。より好ましくは、布帛の記録表面温度を40℃乃至60℃とすることが好ましい。
【0088】
加熱方法としては、メディア搬送系もしくはプラテン部材に発熱ヒーターを組み込み、記録メディア下方より接触式で加熱する方法や、ランプ等により下方、もしくは上方から非接触で加熱方法を選択することができる。
【0089】
本発明では印字後に後処理として120〜180℃に加熱し、最終プリント物とすることができる。
【0090】
本発明のインクを吐出して画像形成を行う際に、使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等などいずれの吐出方式を用いても構わない。
【実施例】
【0091】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
実施例1
〔インクの調製〕
(顔料分散体−1の調製)
顔料分散剤として、スチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、分子量8500、酸価213)3部、ジメチルアミノエタノール1.3部、イオン交換水80.7部を70℃で攪拌混合し溶解した。
【0093】
次いで前記溶液にC.Iピグメントブルー15:3を15部添加し、プレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、シアン顔料の含有量が15質量%の顔料分散体−1を調製した。この顔料分散体に含まれる顔料粒子の平均粒径は122nmであった。なお、粒径測定はマルバーン社製ゼータサイザ1000HSにより行った。
【0094】
(顔料分散体−2の調製)
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、メタクリル酸n−ブチル80g、アクリル酸ブチル5g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5g、アクリル酸10gとメチルエチルケトン50g、開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後更に6時間、加熱還流した。放冷後、揮発した分のメチルエチルケトンを加え、固形分濃度50質量%の樹脂溶液を得た。
【0095】
次に、合成した分散樹脂のメチルエチルケトン50%溶液、100gに、中和剤として20%水酸化ナトリウム水溶液を所定量加えて塩生成基を100%中和し、そこへ攪拌しながらC.I.ピグメントブルー15:3、50gを少しずつ加えた後、ビーズミルで2時間混練した。得られた混練物にイオン交換水400gを加え、攪拌後、減圧下、加温しメチルエチルケトンを留去した。更にイオン交換水を加え、固形分濃度15%の水に不溶な樹脂で被覆した顔料分散体−2を得た。
【0096】
(水溶性共重合物R−1の合成)
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、メタクリル酸nブチルを40g、スチレンを40g、アクリル酸を20gとメチルエチルケトン50g、開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後更に6時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱しメチルエチルケトンを留去した。イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当のジメチルアミノエタノールを溶解し、そこへ上記重合物残渣を溶解した。イオン交換水で調整し固形分20%の樹脂水溶液を得た。
【0097】
(水溶性共重合物R−2の合成)
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、メタクリル酸2−ヒドロキシルエチルを10g、アクリロニトリルを20g、アクリル酸を10gとメチルエチルケトン50g、開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後、更に6時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱し、メチルエチルケトンを留去した。イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当のジメチルアミノエタノールを溶解し、そこへ上記重合物残渣を溶解した。イオン交換水で調整し、固形分20%の樹脂水溶液を得た。
【0098】
(インクの調製)
表1に記載した内容でインクを混合、調製後、3μmフィルターにてろ過し、C−1〜C−17を得た。
【0099】
【表1】

【0100】
表中の略称は以下の通りである。
【0101】
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
GLY:グリセリン
DEGBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
TEGBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
1,2HD:1,2−ヘキサンジオール
アクリル分散粒子A:PDX−7667(ジョンソンポリマー製、酸価82、Tg75℃、固形分濃度45%)
オルフィンE1010:アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学製)。
【0102】
〔評価〕
調製したインクを用いて、以下の評価を行った。
【0103】
(粘度)
調製したインクを25℃にて東機産業(株)コーンプレート型粘度計TVE−33LTで測定した。
【0104】
(表面張力)
調製したインクを25℃協和界面科学(株)CBVP式表面張力計A3にて測定した。
【0105】
(出射安定性)
ノズル直径15μm、駆動周波数10kHz、ノズル数64のピエゾ型ヘッドを用いて、出射性を評価した。駆動電圧は各インク体積が60pLとなるように調整した。25℃、相対湿度50%の環境下において各インク500mlを吐出し続け、インクがなくなるまでに発生した曲がり、欠射について下記評価基準で評価。
【0106】
◎:全ノズル出射
○:1〜3ノズルで曲がりが見られる
△:4〜7ノズルで曲がり、欠射が見られる
×:8〜12ノズルで曲がり、欠射が見られる
××:13ノズル以上で曲がり、欠射が見られる。
【0107】
(画質評価)
インクジェットプリンタNassengerKS−1600IIに接触式ヒーターを取り付け、ポリエステル繊維100%、糸の太さ50dの布帛を10m/hで搬送しながらベタ画像をプリントした。なお、布帛の表面温度が50℃になるようにヒーター温度を調整した。印字後の布帛を150℃で1分後処理を行い、最終プリント物を得た。
【0108】
〈滲み〉
ベタ画像の印字部と非印字部の境界における滲みの発生を目視で下記基準にて評価。
【0109】
◎:印字部と非印字部の境界で滲みが見られない
○:印字部と非印字部の境界で滲みがわずかに見られる
△:印字部と非印字部の境界で滲みが発生
×:印字部と非印字部の境界で滲みが激しく発生。
【0110】
〈画像耐久性〉
◎:水を浸した布で拭いても、拭いた布にも汚れはほとんどない
○:水を浸した布で拭いても、画像は見た目変化は少ないが、拭いた布には色が付いて汚れる
△:乾いた布で拭いても拭いた布にも汚れはほとんどないが、水を浸した布で拭くと画像が乱れる
×:乾いた布で拭いても画像は見た目変化は少ないが、拭いた布に色が付いて汚れる
××:乾いた布(プリントしたものと同じ布)で拭くとプリント画像が乱れる。
【0111】
(布帛搬送性)
○:蛇行、片寄りなく搬送できた
△:やや蛇行しプリント位置にずれが見られる
×:蛇行、片寄りが激しく搬送できなくなった。
【0112】
【表2】

【0113】
表2より、本発明のインクは、滲み、画像耐久性、出射性に優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、少なくともカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物、多価アルコール、グリコールエーテル及び/または1,2−アルカンジオールを含有し、該水溶性共重合物が固形分として2〜10%、多価アルコールが10〜40質量%、グリコールエーテルと1,2−アルカンジオールの総量が7〜20質量%の範囲であることを特徴とするインクジェット捺染用顔料インク。
【請求項2】
前記多価アルコールがエチレングリコールまたはプロピレングリコールであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット捺染用顔料インク。
【請求項3】
25℃における粘度が3〜20mPa・sであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット捺染用顔料インク。
【請求項4】
25℃における表面張力が30〜50mN/mであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用顔料インク。
【請求項5】
Tgが35℃以上、酸価が44以上である水系分散型ポリマー微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用顔料インク。
【請求項6】
ノズル径10〜50μm、駆動周波数10〜20kHzのインクジェットヘッドを用い、布帛上に請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用顔料インクを用いて記録することを特徴とするインクジェット捺染方法。
【請求項7】
前記布帛がポリエステルを主体とする繊維であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット捺染方法。
【請求項8】
前記布帛の表面を40〜90℃に加熱することを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェット捺染方法。

【公開番号】特開2009−35579(P2009−35579A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198696(P2007−198696)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】