説明

インクジェット記録装置

【課題】未使用インク用の記録ヘッドと再利用インク専用の記録ヘッドとを備え、メンテナンス動作で排出されたインクを再利用することができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置1は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの未使用インク用記録ヘッド51〜54と、再利用ブラックインク用の記録ヘッド61とを備える。メンテナンス動作によって各記録ヘッドから排出されたインクは、ポンプ72aによって回収・混合され、回収インク流通路75を流通し、フィルタ73を経て再利用ブラックインクとして再利用インクタンク41に貯留される。再利用インクタンク41及び各インクカートリッジ31〜34から各記録ヘッドへは、インク供給チューブ74を介してインクが各記録ヘッドへ供給される。再利用ブラックインクは、画像記録時に再利用インク用記録ヘッド61から吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置に関するものであり、特に、ノズルのメンテナンス時に吐出されたインクを再利用するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数色のインク(例えば、ブラック(以下、「K」)、シアン(以下、「C」)、マゼンタ(以下、「M」)、イエロー(以下、「Y」))を用いてカラー記録が可能なインクジェット記録装置が実現されている。このようなインクジェット記録装置においては、各色インクをそれぞれ吐出するノズルが記録ヘッドに設けられており、各ノズルからインクを選択的に被記録媒体上へ吐出することにより被記録媒体上に画像を記録するのである。
【0003】
しかし、ノズルにゴミや空気が混入したり、ノズル内のインクが乾燥して固化したりすると、ノズルが詰まってインクを吐出することができなくなる状態(即ち、不吐出状態)に陥ることが知られている。このような不吐出状態を正常な状態へ回復するために、吸引パージ動作や正圧パージ動作、更にはフラッシング動作等の各種メンテナンス動作が行われる。このようなメンテナンス動作実行の際には、ノズル内からゴミや空気、更には固化したインクを強制的に除去するために、新しいインクも強制的に吐出される。このようにして吐出されたインクは、特許文献1、2に記載されているように、廃インク貯留室に貯留されたり廃インク吸収体に吸収されたりすることでそのまま廃棄されていた。
【0004】
しかし、上述のようなメンテナンス動作によって記録に利用されないインクが大量に廃棄されるということは、必然的に記録に利用できるインクが減少してしまうということであり、その分インク代等のランニングコストが高くなるという問題点があった。
【0005】
そこで、例えば、特許文献3に記載されているように、廃インクを回収して記録用インクとして再利用するための技術が案出されている。この特許文献3に記載のようなインクジェット記録装置によれば、C、M、Yに関してはバージンインク(まだ一度も利用されていないインクのことを指す。)を記録用インクとして利用し、KはC、M、Yの各色を混合したプロセスブラックのインクを記録用インクとして用いるといった処理が行われている。そして、このインクジェット記録装置には、記録ヘッドとしてC、M、Yそれぞれの記録ヘッドと、プロセスブラック用の記録ヘッドとが設けられている。そして、メンテナンス動作の際に各記録ヘッドから吐出されたインクは、キャップによって回収される。そして、回収されたインクは、フィルタを介してゴミや気泡を除去された後、希釈液が添加されることによって粘度を調節され、再びプロセスブラックの用の記録ヘッドへと供給されて再利用されるのである。
【特許文献1】特開平4−364960号公報
【特許文献2】特開平8−132640号公報
【特許文献3】特開平11−170573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載されているインクジェット記録装置では、K用の記録ヘッドは1つだけであり(即ち、プロセスブラック用の記録ヘッド)、Kインクとして、C、M、Yの各インクを混同して生成したプロセスブラックを用いているので、インクの混合具合によっては実際のインク色が黒にならないことがある。したがって、そのようなインクを用いて画像を記録すると、画質が劣化するおそれがある。
【0007】
また、ブラックインクとしてC、M、Yの各インクを混合することによって生成したプロセスブラックを利用しているので、例えば、テキスト画像形成やFAX画像形成等のようなモノクロ画像記録によってプロセスブラックを大量に利用するとC、M、Yの各インクが大量に消費されることになる。その結果、C、M、Yの各インクの消費が早くなり、インク切れによってカラー画像記録ができなくなるおそれがある。また、モノクロ画像記録をするだけでカラーインクが消費されるということは、インクコストの増大を招きかねない。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、未使用インク(バージンインク)用の記録ヘッド(以下、V(バージンインク)ヘッドともいう。)以外に、その未使用インクと同色系の再利用インク(リサイクルインク)専用の記録ヘッド(以下、R(リサイクルインク)ヘッドともいう。)を備え、メンテナンス動作等で排出されたインクを再利用することでインクを節約することができるインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載のインクジェット記録装置は、未使用インク(バージンインク)用の記録ヘッド以外に、そのバージンインクと同色系の再利用インク(リサイクルインク)専用の記録ヘッドを備えることを特徴とする。
【0010】
具体的には、上述のインクジェット記録装置は、インクを選択的に吐出可能な複数のノズルからなるノズル列を有する記録ヘッドによって被記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、未使用インクを吐出するための記録ヘッドである未使用インク用記録ヘッド(以下、Vヘッド)と、Vヘッドが吐出するインクと同色の再利用インクを吐出するための記録ヘッドである再利用インク用記録ヘッド(以下、Rヘッド)とを備えている。更に、Vヘッド及びRヘッドから吐出機能回復のために排出されるインクを回収する回収手段と、回収手段によって回収したインクを再利用インクとしてRヘッドへ供給する再利用インク供給手段とを備える。
【0011】
なお、ここでいう「吐出機能回復のために排出されるインク」とは、吸引パージ動作や正圧パージ動作、更にはフラッシング動作等の記録ヘッドにおける各種メンテナンス動作(以下、これらを総称して単に「メンテナンス動作」という。)によって排出されるインクのことを指す。また、ここでいう「同色」という用語には、「同一の色」という意味に加え、「同系色(同一の色でなくともよいが代替色として用いることができる同じような系統の色)」という意味も含む。
【0012】
このようなインクジェット記録装置によれば、メンテナンス動作等で吐出されたインクを再利用することでインクを節約することができる。また、未使用インク用Vヘッドと同色の再利用インク用Rヘッドを備えることで、未使用インクが空になった場合でも、Rヘッドによって再利用インクを用いることで画像記録を行うことができる。また、例えば高画質モードで画像記録を行う場合はVヘッドによって未使用インクを使用し、低画質モードで画像記録を行う場合はRヘッドによって再利用インクを使用するといった具合に、状況に応じて未使用インクと再利用インクとを使い分けることが可能である。また、VヘッドとRヘッドとで同色のインクを同時に吐出して、高速な画像記録を行うこともできる。
【0013】
ところで、コピー機能やファクシミリ機能を有するインクジェット記録装置においてはモノクロ画像記録を行う機会が多いため、Kインクの使用量がC、M、Yといったカラーインクよりも大幅に多いことがある。このような場合、Kインクを頻繁に補充しなければならなくなり、利用者にとっては面倒である。
【0014】
そこで、少なくともC、M、Yの各色の廃インクを混合することによってKインクを生成してこれを再利用インクとして使用すれば、Kインクの再利用率が高くなり、Kインクを補充する頻度を低減することができるので好適である。具体的には、請求項2に記載のインクジェット記録装置のように構成するとよい。つまり、少なくともC、M、Y、Kの各色の未使用インク用のVヘッドと、再利用Kインク用のRヘッドとを備える。そして、回収手段は、少なくともC、M、Yの各色のVヘッドから排出されるインクを混合して回収し、再利用インク供給手段は、混合して回収されたインクを再利用Kインク用のRヘッドへ供給する。
【0015】
なお、上記回収手段は、C、M、Yの各色のVヘッドから排出されるインクだけでなく、未使用Kインク用のVヘッドや再利用Kインク用のRヘッドからメンテナンス動作時に排出されるKインクも混合してもよい。
【0016】
このようなインクジェット記録装置によれば、回収手段によってC、M、Y等の各色のインクを混合して回収したものを再利用Kインクとして用いることができるので、未使用Kインクだけから再利用する場合と比較して、再利用Kインクとして利用できる量が増える。つまり、Kインクの使用量が他のインクの使用量よりも多い場合であっても、Kインクを補充する頻度を低減することができる。
【0017】
また、特許文献3に記載のインクジェット記録装置では、モノクロ画像記録によってプロセスブラックを大量に利用するとC、M、Yの各インクが大量に消費されてしまうという問題があった。これに対して、本発明のインクジェット記録装置では、未使用Kインク用のVヘッドと再利用Kインク用のRヘッドとを併せて備えているので、モノクロ画像記録にKインクを大量に使用する場合は、未使用Kインク又は再利用Kインクの何れかを用いればよく、わざわざ未使用のC、M、Yの各インクを消費してKインクを生成する必要がないので、C、M、Yの各インクを節約することができる。
【0018】
一方、複数色のインク(例えば、C、M、Y、K)を色ごとにそれぞれ独立して再利用するように構成してもよい。このような構成によれば、例えば、カラー画像記録のように、Kインクだけでなく、C、M、Yのカラーインクをよく使用する場合等に、各色のインクを節約することができるので好適である。具体的には、請求項3に記載のインクジェット記録装置のように構成すればよい。つまり、少なくともC、M、Y、Kの各色の未使用Vヘッド及び再利用インク用のRヘッドをそれぞれ備える。そして、回収手段は、少なくとも各色のVヘッドから排出されるインクを色ごとに回収し、再利用インク供給手段は、色ごとに回収されたインクを各色に対応するRヘッドへ供給する。
【0019】
なお、上記回収手段は、各色のVヘッドから排出されるインクだけでなく、各色のVヘッドから排出されるインクと共に、各色のRヘッドから排出されるインクを色ごとに回収するように構成されていてもよい。
【0020】
このようなインクジェット記録装置によれば、メンテナンス動作の際に排出されたC、M、Y、K等の各色のインクが、それぞれの色の再利用インクとして各色のRヘッドで使用されるので、各色のインクを効率よく節約することができる。
【0021】
一方、再利用されるインクは、もともとメンテナンス動作の際に排出されたものであるため、記録ヘッドから排出され再利用インクとして回収される過程において外気に接触することによって、インクの溶剤の一部が揮発する可能性がある。特に、Rヘッドにおけるメンテナンス動作により排出された再利用インクを再び回収して、これを再利用インクとしてRヘッドへ供給すると、同じインクが繰り返し「排出→回収」というサイクルを経ることになり、インクの溶剤がどんどん揮発してインクの粘度が著しく上昇するおそれがある。このような粘度が著しく上昇したインクでは、インクの特性が変化したことによる画質の低下を招くおそれがある。
【0022】
そこで、一度再利用(即ち、メンテナンス動作により排出→再利用インクとして回収)されたインクは、メンテナンス動作時に排出されても再び再利用インクとして回収しないように構成するとよい。具体的には、請求項4に記載のインクジェット記録装置のように構成するとよい。つまり、回収手段は、VヘッドとRヘッドとから排出されるインクをそれぞれ独立に回収し、Rヘッドから回収したインクを廃棄する。
【0023】
このようなインクジェット記録装置によれば、メンテナンス動作時にRヘッドから回収したインクは廃棄される。つまり、再利用インクが繰り返し「排出→回収」というサイクルを経ることがなく、Rヘッドへ供給される再利用インクは、Vヘッドから排出された未使用インクを回収したインクだけになる。したがって、再利用インクの粘度が過度に上昇することを防ぐことができ、再利用インクによる画像記録において、画質を良好に保つことができる。
【0024】
一方、再利用インクを適切な粘度に保つために、適宜な希釈液をインクに添加することで再利用インクの粘度を調節するように構成してもよい。具体的には、請求項5に記載のインクジェット記録装置のように構成するとよい。つまり、再利用インクの粘度を検知する粘度検知手段と、インクを希釈するための希釈液を吐出する希釈液ノズルを有する希釈液添加手段とを備える。そして、希釈液添加手段は、Rヘッド又はVヘッド内部又はこれらに隣接して設けられており、粘度検知手段によって検知された粘度が所定値以上である場合、Vヘッド又はRヘッドから吐出機能回復のためにインクが排出されるときに希釈液ノズルから希釈液を吐出することで、排出されたインクに希釈液を添加する。そして、希釈液を添加されたインクは、回収手段、再利用インク供給手段を経てRヘッドへ供給される。
【0025】
なお、粘度検知手段は、例えば、回収手段によって回収された再利用インクを貯留部等へ供給するための供給路の途中や、貯留部からRヘッドへ再利用インクを供給するための供給路の途中、又はRヘッドの内部等に配置すればよい。
【0026】
このようなインクジェット記録装置によれば、再利用インクの粘度が所定値以上であれば、希釈液を添加することによって再利用インクの粘度を調節することができるので、再利用インクの粘度が著しく上昇することによる画質の低下を防ぐことができる。つまり、再利用インクの粘度を調節できることにより、Rヘッドによるメンテナンス動作の際に排出された再利用インクであっても、繰り返し再利用することができるので、より効率よくインクを節約することができる。
【0027】
また、請求項6に記載のインクジェット記録装置のように、希釈液ノズルがRヘッドのノズル列におけるノズル同士の間、又はRヘッドのノズル列に隣接して設けられているとよい。このようにすれば、メンテナンス動作によってインクが排出される際に、排出されるインクのすぐ傍で希釈液が吐出されるので、排出されたインクと吐出された希釈液とを速やかに混合することができる。また、再利用インクを吐出するRヘッドでは、例えば高画質の記録が要求される場合には使用されないといった制御を行うことが考えられる。このような観点からすれば、高画質の記録を要求されないRヘッドではノズル数をVヘッドより少なくすることも考えられる。つまり、ノズルの数が少なければ、Rヘッドのノズル列におけるノズル同士の間に希釈液ノズルを配置ための空間的余裕が生まれ、インクノズルのすぐ傍に希釈液ノズルを配置することができ、排出されたインクと吐出された希釈液とを速やかに混合することができる。
【0028】
更に、希釈液を添加された再利用インクを攪拌すれば、再利用インクの粘度を均一に保つことができるので好適である。そこで、請求項7に記載のインクジェット記録装置のように構成するとよい。つまり、Vヘッド、Rヘッド及び希釈液添加手段は、画像記録時に被記録媒体の搬送方向と直交する方向に往復移動するキャリッジに搭載されており、Rヘッドは、再利用インクを貯留するためのサブタンクを備えている。そして、サブタンク内には、キャリッジの往復移動によって付勢されることでサブタンク内を移動して再利用インクを攪拌可能な攪拌部材が収納されている。
【0029】
このようなインクジェット記録装置によれば、画像記録時にキャリッジが往復移動するのに伴ってRヘッドのサブタンク内にある攪拌部材(例えば、小型の金属球等)がサブタンク内を移動することで、サブタンクに貯留されている希釈液を添加された再利用インクが攪拌され、再利用インクの粘度を均一にすることができる。
【0030】
ところで、未使用インクと再利用インクとでは、粘度の上昇や不純物の混入といった要因により、再利用インクの方が画像品質の面で劣ると考えられる。そこで、未使用インクと再利用インクとを、設定されている画像品質の高低やそれぞれのインクの有無に応じて適宜使い分けられるように構成することが望ましい。具体的には、請求項8に記載のインクジェット記録装置のように構成されるとよい。つまり、未使用インク及び再利用インクそれぞれのインクの有無を検知するインク検知手段を備える。そして、インク検知手段によって再利用インクが有ることが検知された場合、Rヘッドによって再利用インクを優先して使用し、インク検知手段によって再利用インクが無いことが検知された場合、Vヘッドによって未使用インクを使用して画像記録を行う再利用インク優先記録モードと、インク検知手段によって未使用インクが有ることが検知された場合、Vヘッドによって未使用インクを優先して使用し、インク検知手段によって未使用インクが無いことが検知された場合、Rヘッドによって再利用インクを使用して画像記録を行う未使用インク優先記録モードとが選択可能に構成されている。
【0031】
このようなインクジェット記録装置によれば、例えば、写真等の画像記録を行う場合は、未使用インク優先記録モードを選択し、文章等のその他の画像記録を行う場合は、再利用インク優先記録モードを選択するといった、状況に応じた柔軟な運用を行うことができる。また、それぞれのモードにおいて、優先して使用するべきインクがなくなった場合であっても、他方のインクを用いて画像記録を行うことができるので便利である。
【0032】
また、上記再利用インク優先記録モードと、未使用インク優先記録モードとは、利用者によって選択可能に構成されていると便利である。具体的には、請求項9に記載のように、再利用インク優先記録モードによる画像記録を行うか、又は未使用インク優先記録モードによる画像記録を行うかを利用者が選択するための選択手段を備えるようにすればよい。
【0033】
なお、選択手段は、インクジェット記録装置の本体に設けたキースイッチ等によって構成してもよいし、インクジェット記録装置が接続されるパーソナルコンピュータ等の表示部に利用者へ選択を促す表示を行い、このパーソナルコンピュータが受け付けた指示を受信して各モードを選択するように構成してもよい。
【0034】
このように、再利用インク優先記録モードと未使用インク優先記録モードとを利用者によって選択される手段を有することで、利用者が高い画像品質を望む場合や、なるべくインクを節約したい場合等、種々のニーズにあった画像記録を行うことができるインクジェット記録装置を実現することできる。
【0035】
また、ファクシミリ画像や、文字データのみのいわゆるテキスト画像のように、写真画像ほどの高画質でなくても十分実用に耐えるような画像を記録する場合には、再利用インクを優先して使用すればインクを節約することができて好適である。つまり、請求項10に記載のインクジェット記録装置のように、プリンタ機能及びファクシミリ機能を有しており、プリンタ機能稼働時におけるテキスト画像記録、又はファクシミリ機能稼働時における画像記録を行う場合、再利用インク優先記録モードによって画像記録を行うように構成するとよい。
【0036】
ところで、各記録ヘッドから再利用インクとして回収したインクを貯留しておく場合、再利用インクの消費量より回収量が多過ぎると、いずれ再利用インクを貯留しているタンクが満杯になり、インクがオーバーフローしてしまうおそれがある。
【0037】
そこで、請求項11に記載のインクジェット記録装置のように構成するとよい。つまり、回収手段によって回収された再利用インクを貯留するための再利用インク貯留部と、Vヘッド又はRヘッドの少なくとも何れか一方の記録ヘッドから吐出機能回復のためにインクが排出されたときに再利用インク貯留部が満杯である場合、再利用インク貯留部に貯留されている再利用インクを廃棄する廃棄手段とを備える。
【0038】
このようなインクジェット記録装置によれば、メンテナンス動作によって排出され回収されるインクの量が再利用インクの消費量よりも多い場合であっても、再利用インクがオーバーフローすることがない。
【0039】
次に、請求項12に記載のインクジェット記録装置は、Rヘッドのノズル列が同色のVヘッドのノズル列に近接して且つ平行に配置され、更に、Vヘッドのノズル列におけるノズル位置に対して、このノズル同士の間隔(以下、ピッチともいう。)の半間隔分列方向へずれた位置にRヘッドのノズルが位置するように配置されていることを特徴とする。
【0040】
このようなインクジェット記録装置によれば、ノズルの位置が半ピッチ分ずれたVヘッドとRヘッドとで画像記録時に同時に同色のインクを吐出した場合、Vヘッド又はRヘッドの何れか一方のみでインクを吐出した場合よりも、実質的にノズルのピッチが半分程度の高細密の画像記録を実現することができる。また、ノズルの位置が半ピッチ分ずれたVヘッドとRヘッドとで画像記録時に同時に同色のインクを吐出すれば、より高速で高い品質の画像記録を行うことができる。
【0041】
ところで、上述したように再利用されるインクは、もともとメンテナンス動作の際に排出されたものであるため、記録ヘッドから排出され再利用インクとして回収される過程において外気に接触することによってインクの溶剤の一部が揮発し、未使用インクと比較して密度や粘度が上昇している可能性がある。したがって、再利用インクはその粘性や密度の影響により、流通時の抵抗が未使用インクと比較して大きい。そのため、再利用インクについては、インクの流通経路やノズルが未使用インクと同じ機構では安定してインクを流通及び吐出させることができない。
【0042】
そこで、請求項13に記載のインクジェット記録装置のように構成するとよい。即ち、未使用インク及び再利用インクは、チューブを流通してそれぞれVヘッド及びRヘッドへ供給されるように構成されている。そして、再利用インクをRヘッドへ供給するためのチューブの径は、Vヘッドへ未使用インクを供給するためのチューブの径よりも大きく、更に、Rヘッドのノズル径は、Vヘッドのノズル径よりも大きい。
【0043】
このように、再利用インクの流通経路及びRヘッドのノズルの径を、未使用インクのそれよりも大きくすることで、粘度が上昇した再利用インクについても安定して流通及び吐出させることができる。
【0044】
なお、再利用インクにおいて、記録ヘッドへインクを供給するためのチューブの径及びノズル径を、未使用インクの場合と比較してどの程度大きくすればよいかについては、予想される再利用インクの粘度上昇分に対して、ハーゲン・ポアズイユの式等を適用して適宜な径を算出すればよい。
【0045】
また、再利用インクは、密度や表面張力等の種々の物性が未使用インクとは異なるため、適切な画像記録を行うためにはノズルからインクを吐出させるための制御を未使用インクの場合と変更する必要がある。
【0046】
そこで、請求項14に記載のインクジェット記録装置のように、Rヘッドによって再利用インクを吐出する場合と、Vヘッドによって未使用インクを吐出する場合とで、ノズルからインクを飛翔させるためのエネルギをインクに周期的に印加する際の周波数(以下、駆動周波数ともいう。)を変更するとよい。この駆動周波数の変更量については、予想される再利用インクの密度や粘度の変化分を考慮して、実験や計算等によって求めればよい。
【0047】
一方、一般的なインクジェット記録装置においては、記録ヘッドのノズル面上に付着したインクや塵埃等のインク吐出の妨げになる汚れを除去するために、ゴム等の弾性体で形成されたブレードによりノズル面を拭き取り清掃する処理、即ちワイピング動作が行われる。また、再利用インクは、未使用インクより粘度が高かったり、不純物が多く含まれていたりする場合があり、Rヘッドのノズル面はVヘッドのノズル面より汚れが付着しやすいと考えられる。
【0048】
そこで、請求項15に記載のインクジェット記録装置のように構成するとよい。つまり、Vヘッド及びRヘッドのノズル面の汚れを拭き取る拭き取り手段を備え、拭き取り手段は、Vヘッドのノズル面の拭き取りを先に行い、Rヘッドのノズル面の拭き取りを後に行う。
【0049】
このように、汚れが少ないVヘッドのノズル面よりも汚れが多いRヘッドのノズル面を後に拭き取ることで、ブレードによってRヘッドのノズル面の汚れが引きずられてVヘッドのノズル面へ移ってしまうことを防ぐことができる。したがって、記録ヘッドのノズル面をより清潔に保つことができる。
【0050】
次に、請求項16に記載のインクジェット記録装置は、未使用インク及び再利用インクの残量を表示するためのインク残量表示手段を備えることを特徴とする。
これにより、利用者が未使用インクだけでなく再利用インクの残量も確認することができる。つまり、未使用インクが無くなっても再利用インクが残っていることが確認できれば、未使用インクが無くなったからといって慌ててインクを補充しなければならないといったこともなく、利用者にとって便利である。
【0051】
次に、請求項17に記載のインクジェット記録装置は、請求項1ないし請求項16の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、未使用インクは、染料インクであることを特徴とする。
【0052】
一方、未使用インクとして、染料インク及び顔料インクの両方を用いる場合は、インクの性質の違いにより双方のインク混合することはできない。そこで、請求項18に記載のインクジェット記録装置のように構成するとよい。つまり、染料インク用のVヘッド、顔料インク用のVヘッド、染料インク用のRヘッド及び顔料インク用のRヘッドをそれぞれ備える。そして、回収手段は、染料インク用のVヘッド及び顔料用のVヘッドから排出されたインクをそれぞれ独立に回収する。更に、再利用インク供給手段は、独立に回収されたインクをそれぞれ染料インク用のVヘッド及び顔料インク用のVヘッドへ供給する。
【0053】
このようにすることで、染料インク、顔料インクそれぞれの独立性を保ってインクの再利用を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[インクジェット記録装置1の全体構成の説明]
図1は、本発明を適用するのに好適なインクジェット記録装置1の外形斜視図である。
【0055】
インクジェット記録装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能等を備えた、いわゆる多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、被記録媒体として、紙又はプラスチックフィルム等のシート状の用紙が用いられる。
【0056】
インクジェット記録装置1は、合成樹脂製のハウジング2の底部に、その前側に形成された開口部2aから差し込み可能な給紙カセット3を備える。また、給紙カセット3の上方には、記録済みの用紙が矢印A方向へ排出される排紙部21が設けられており、排紙部21から連通する排紙口は、ハウジング2の前面の開口部2aの上部に共通に設けられている。
【0057】
給紙カセット3は、例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ、はがきサイズ等にカットされた用紙を複数枚収納可能に構成されている。各用紙は、その長辺が用紙搬送方向(副走査方向又はX軸方向)と平行になるように配置される。また、給紙カセット3の前端には、リーガルサイズ等の長い用紙の後端部を支持する補助支持部材3aがX軸方向に延出可能に装着されている。給紙カセット3内に納まるA4サイズ等の用紙を用いる場合には、給紙カセット3の前部に対して補助支持部材3aを給紙の妨げとならないように収納することができる。
【0058】
一方、ハウジング2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取の際に使用される画像読取装置23が配置されている。この画像読取装置23は図示しない枢軸部を介してハウジング2の一側端に対して上下開閉回動可能に構成されている。更に、画像読取装置23の上部には、画像読取装置23の上面を覆う原稿カバー体27が、画像読取装置23の後端に設けられた図示しない枢軸を中心に上下回動可能に装着されている。
【0059】
画像読取りの際は、原稿カバー体27を上側に開けて載置用ガラス板上に原稿が載置された状態で、載置用ガラス板の下方にてY軸方向(主走査方向)に往復移動可能に設けられている原稿読取り用の密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)を原稿紙面に対して走査することによって原稿紙面の画像を読取る。
【0060】
画像読取装置23の上面の原稿カバー体27の前方に各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部29が設けられている。
ハウジング2内部には、プリンタ機能実現するためのインクジェット式の記録ヘッドを搭載し、Y軸方向(主走査方向)へ往復移動可能なキャリッジ(図示なし)及びその他の機構からなる記録部(図示なし)が設けられている。
【0061】
この記録部において、キャリッジはCPU等からなる制御部(図示なし)により制御されることによりY方向(主走査方向)に往復移動することで記録ヘッドを走査する。記録ヘッドは、この走査時にインクを吐出することで記録ヘッドの下方で停止配置されている用紙に画像を記録する。
【0062】
また、記録部におけるキャリッジの待機位置に相当する位置にはメンテナンスユニット(図示なし)が搭載されている。メンテナンスユニット部分では、ブレード等による記録ヘッドノズル面の拭き取りをおこなうワイピング動作や、ノズル内からゴミや空気、更には固化したインクを強制的に除去するためのパージ動作、フラッシング動作等の各種メンテナンス動作が行われる。
【0063】
また、ハウジング2内部には、インク貯蔵部が設けられている。このインク貯蔵部には、フルカラー記録のための4色(ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))の未使用インクを各々収容したインクカートリッジと、メンテナンス動作によって記録ヘッドから回収された再利用インクを貯留するための再利用インクタンクとが収納されている。また、インクカートリッジは、インク貯蔵部に対して上方から着脱可能に構成されており、インクの補充を行う場合は、このインクカートリッジごと交換する。
【0064】
[第1実施形態]
図2は、本発明のインクジェット記録装置1の第1実施形態の要部概略構成を示すブロック図である。
【0065】
図2に示すように、第1実施形態におけるインクジェット記録装置1は、上記インク貯留部にK、C、M、Yの各色の未使用インクをそれぞれ貯留するインクカートリッジ31、32、33、34と、再利用ブラック(以下、「RK」)インクを貯留するための再利用インクタンク41とを備える。また、上記記録部のキャリッジ上にK、C、M、Yの各色の未使用インク用記録ヘッド(Vヘッド)51、52、53、54と、再利用Kインク用の記録ヘッド(Rヘッド)61とを備える。また、上記メンテナンスユニットにキャップ71aと、ポンプ72aと、フィルタ73と、回収インク流通路75とを備える。その他、インク供給チューブ74等を備えている。なお、K、C、M、Yの各色の未使用インクは、全て染料系インクである。
【0066】
キャップ71aは、記録動作を行わないときに各記録ヘッドに装着して各記録ヘッドのノズル面を覆うことで、各記録ヘッド内のインクの乾燥を防ぐためのものである。また、キャップ71aを各記録ヘッドに装着してポンプ72aを駆動することにより、各記録ヘッドのノズルからインクを吸引することができる。この動作によって記録ヘッドのノズル内に滞留している不純物や気泡、固化したインク等を記録ヘッドからキャップ71aへ排出させることができる(パージ動作)。また、また、フラッシング動作により記録ヘッドから吐出されたインクをキャップ71aで受け、キャップ71a内のインクをポンプ72aで回収することができる。なお、キャップ71aでは、各記録ヘッドから排出されたK、C、M、Y、RKの各色のインクを一括して受ける。
【0067】
キャップ71aへ排出されたインクは、ポンプ72aを駆動することにより回収され、回収されたK、C、M、Y、RKの各色のインクは混合される。パージ動作及びフラッシング動作の際に各記録ヘッドから排出されるインクは、各色ほぼ同量であるので、混合されたインクは黒色を呈する。つまり、本実施形態のインクジェット記録装置1では、この混合したインクをRKインクとして画像記録用に再利用するのである。
【0068】
回収されたインクは、回収インク流通路75を流通し、フィルタ73を介して濾過されることによりインクに含まれる不純物及び気泡が除去され、RKインクとして再利用インクタンク41に貯留される。
【0069】
インク貯留部の再利用インクタンク41及び各インクカートリッジ31〜34から、記録部のキャリッジ上のRヘッド61及び各Vヘッド51〜54へは、それぞれインク供給チューブ74によって連通している。このインク供給チューブ74を介して、再利用インクタンク41及び未使用インク用のインクカートリッジ31〜34に貯留されているインクが各記録ヘッドへ供給される。なお、RKインク用のインク供給チューブ74は、他の未使用インク用のインク供給チューブ74と比較して径が太くなっている。これは、RKインクは、メンテナンス動作の際に排出されたインクであるために、インクの溶剤の蒸発等によりインクの粘度が上昇していることを想定しているためである。つまり、RKインク用のインク供給チューブ74の径を他の未使用インク用のインク供給チューブ74の径より太くすることで、粘度が上昇したことによる流通抵抗の増加を低減することができる。これにより、粘度が上昇した再利用インクであっても、インク供給チューブ74内を安定して流通させることができる。
【0070】
図3(a)は、Kインク用のVヘッド51の断面構成図であり、図3(b)は、RKインク用のRヘッド61の断面構成図である。
図3(a)、(b)に示すように、各記録ヘッド51、61には、インク供給チューブ74(図2参照)を介して供給されたインクを貯留するためのサブタンク51b、61bがそれぞれ内蔵されている。そして、これらのサブタンク51b及び61bの下方に、インクを吐出するためのノズル51a、61aがそれぞれ列状に配置されている。なお、Kインク用のVヘッド51以外のVヘッド52〜54もKインク用のVヘッド51と同様の構成を有する。
【0071】
また、Rヘッド61のノズル61aの径(Dr)は、Vヘッド51のノズル51a径(Dv)よりも大きくなっている。これは、Rヘッド61から吐出される再利用Kインクは、インクの溶剤の揮発等により粘度が上昇することにより、その噴射特性が未使用インクとは異なることを想定しているためである。つまり、Rヘッド61のノズル61aの径(Dr)をVヘッド51のノズル51aの径(Dv)よりも大きくすることで、粘度が上昇した再利用インクであっても、安定してインクを吐出させることができる。なお、ノズル61aの径(Dr)をどの程度大きくすればよいかについては、予想される再利用インクの粘度上昇分に対して、ハーゲン・ポアズイユの式等を適用して適宜な径を算出すればよい。具体的には、Vヘッド51のノズル51aの径(Dv)が例えば20μmであれば、Rヘッド61のノズル61aの径(Dr)は、Dvよりも数〜数十μm程度大きくするといった具合に、再利用インクの粘度上昇を考慮したノズル径(Dr)の大きさを適用すればよい。
【0072】
図4は、各記録ヘッドのノズル面におけるノズルの配置状況を示した図である。
図4に示すように、各記録ヘッドのノズル列は、記録ヘッドの走査方向に沿って左からY、M、C、K、RKの順に各ノズル列とも平行に配置されている。ここでRヘッド61におけるRKインク用のノズル列は、隣接するVヘッド51におけるKインク用のノズル列におけるノズル51aの位置に対して、このノズル51a同士の間隔Pの半間隔(0.5P)分列方向へずれた位置にRヘッド61のノズル61aが位置するように配置されている。
【0073】
このように、ノズルの位置が0.5P分ずれていることでVヘッド51とRヘッド61とで画像記録時に同時にKインク及びRKインクを吐出した場合、Vヘッド51又はRヘッド61の何れか一方のみでインクを吐出した場合よりも、実質的にノズルの間隔が半分程度の高細密の画像記録を実現することができる。また、Vヘッド51とRヘッド61とで画像記録時に同時にKインク及びRKインクを吐出すれば、より高速で高い品質の画像記録を行うことができる。
【0074】
[効果]
第1実施形態のインクジェット記録装置1によれば以下のような効果を奏する。即ち、メンテナンス動作等で各記録ヘッドから排出されたインクをRKインクとして再利用することでインクを節約することができる。また、Kインク用Vヘッドと同色のRKインク用Rヘッドを備えることで、Kインクが空になった場合でも、RヘッドによってRKインクを用いることで画像記録を行うことができる。更に、C、M、Y、K、RKの各色のインクを混合して回収したものをRKインクとして用いることができるので、Kインクだけを再利用する場合と比較して、RKインクとして利用できる量が増える。つまり、Kインクの使用量が他のインクの使用量よりも多い場合であっても、Kインクを補充する頻度を低減することができる。
【0075】
[第2実施形態]
図5は、本発明のインクジェット記録装置1の第2実施形態の要部概略構成を示すブロック図である。なお、図2の第1実施形態構成と同様の部分については、同じ符号を付している。
【0076】
図5に示すように、第2実施形態におけるインクジェット記録装置1は、上記インク貯留部にK、C、M、Yの各色の未使用インクをそれぞれ貯留するインクカートリッジ31、32、33、34と、再利用のK、C、M、Yの各色(以下、「RK」、「RC」、「RM」、「RY」)のインクを貯留するための再利用インクタンク41、42、43、44とを備える。また、上記記録部のキャリッジ上にK、C、M、Yの各色の未使用インク用記録ヘッド(Vヘッド)51、52、53、54と、RK、RC、RM、RYの各色の再利用インク用の記録ヘッド(Rヘッド)61、62、63、64とを備える。また、上記メンテナンスユニットにキャップ71bと、ポンプ72a、72bと、フィルタ73と、回収インク流通路75と、廃液フォーム76とを備える。その他、インク供給チューブ74等を備えている。なお、K、C、M、Yの各色の未使用インクは、全て染料系インクである。
【0077】
キャップ71bは、各Vヘッド51〜54から排出されたインクをそれぞれ独立に受け、且つ各Rヘッド61〜64から排出されたインクを一括して受けるように構成されている。
【0078】
メンテナンス動作によって各Vヘッド51〜54からキャップ71bへ排出されたインクは、ポンプ72aによってそれぞれ回収される。この回収されたインクは、各回収インク流通路75を流通し、フィルタ73を介して濾過され、各再利用インクタンク41〜44にそれぞれ貯留される。
【0079】
一方、メンテナンス動作によって各Rヘッド61〜64からキャップ71bへ排出されたインクは、ポンプ72bによって一括して回収され、廃液フォーム76へ廃棄される。そして、廃棄されたインクは廃液フォーム76によって吸収される。
【0080】
インク貯留部の各再利用インクタンク41〜44及び各インクカートリッジ31〜34と、記録部のキャリッジ上の各Rヘッド61〜64及び各Vヘッド51〜54とは、それぞれインク供給チューブ74によって連通している。このインク供給チューブ74を介して、各再利用インクタンク41〜44及び各未使用インク用のインクカートリッジ31〜34に貯留されているインクが各記録ヘッドへ供給される。
【0081】
[効果]
第2実施形態のインクジェット記録装置1によれば以下のような効果を奏する。即ち、
メンテナンス動作の際に排出されたC、M、Y、Kの各色のインクが、それぞれの色の再利用インクとして各Rヘッド61〜64で使用されるので、例えば、カラー画像記録のように、KインクだけでなくC、M、Yのカラーインクをよく使用する場合等に、各色のインクを効率よく節約することができる。
【0082】
また、各Vヘッド51〜54から排出された未使用インクのみが再利用インクとして回収され、各Rヘッド61〜64排出された再利用インクは廃棄されるので、再利用インクが繰り返し「排出→回収」というサイクルを経ることがない。つまり、各Rヘッド61〜64へ供給される再利用インクは、各Vヘッド51〜54から排出された未使用インクを回収したインクだけになる。したがって、インク排出に伴う乾燥等によって再利用インクの粘度が過度に上昇することを防ぐことができ、再利用インクによる画像記録において、画質を良好に保つことができる。
【0083】
[第3実施形態]
図6は、本発明のインクジェット記録装置1の第3実施形態の要部概略構成を示すブロック図である。なお、図2の第1実施形態又は図5の第2実施形態の構成と同様の部分については、同じ符号を付している。
【0084】
図6に示すように、第3実施形態におけるインクジェット記録装置1は、上記インク貯留部にK、C、M、Yの各色の未使用インクをそれぞれ貯留するインクカートリッジ31、32、33、34と、RKインクを貯留するための再利用インクタンク41と、インクに添加することでインクの粘度を調節可能な希釈液を貯留する希釈液タンク78とを備える。また、上記記録部のキャリッジ上にK、C、M、Yの各色のVヘッド51、52、53、54と、RKインク用のRヘッド61と、Rヘッド61に隣接する希釈液吐出ヘッド80とを備える。また、上記メンテナンスユニットにキャップ71cと、ポンプ72a、72bと、フィルタ73と、回収インク流通路75と、廃液フォーム76と、再利用インクの粘度を検知する粘度センサ77とを備える。その他、インク供給チューブ74、希釈液供給チューブ79等を備えている。また、Rヘッド61に内蔵されているサブタンク61b内には、再利用インクを攪拌するための攪拌ボール81が収納されている。なお、K、C、M、Yの各色の未使用インクは、全て染料系インクである。
【0085】
キャップ71cは、Kインク用のVヘッド51及びRヘッド61から排出されたインクと、C、M、Yの各色のVヘッド52〜54から排出されたインクとを、それぞれ独立に受けるように構成されている。
【0086】
また、メンテナンス動作によってKインク用のVヘッド51及びRヘッド61からキャップ71aへインクが排出されると共に、Rヘッド61に隣接する希釈液吐出ヘッド80から希釈液がキャップ71aへ吐出され、この排出されたインクに添加される。この希釈液吐出ヘッド80は、粘度センサ77によって検知した再利用インクの粘度に応じて(例えば、粘度が所定値以上である場合等)、規定量の希釈液を吐出する。
【0087】
希釈液を添加されたインクは、ポンプ72aによって回収される。この回収されたインクは、回収インク流通路75を流通し、フィルタ73を介して濾過され、更に粘度センサ77を経てRKインク用の再利用インクタンク41に貯留される。なお、粘度センサ77は、回収インク流通路75の途中以外に、RKインク用のインク供給チューブ74の途中等、再利用インクが流通する箇所であるなら何れの場所に設けてもよい。
【0088】
一方、メンテナンス動作によってC、M、Yの各色のRヘッド62〜64からキャップ71bへ排出されたインクは、ポンプ72bによって一括して回収され、廃液フォーム76へ廃棄される。
【0089】
希釈液タンク78と希釈液吐出ヘッド80とは、希釈液供給チューブ79によって連通している。この希釈液供給チューブ79を介して、希釈液タンク78に貯留されているインクが希釈液吐出ヘッド80へ供給される。
【0090】
また、Rヘッド61に内蔵されているサブタンク61b内に収納されている攪拌ボール81は、各記録ヘッドを搭載しているキャリッジが画像記録時に往復移動することによって付勢され、サブタンク61b内を移動する。この攪拌ボール81がサブタンク61b内を移動することで、サブタンク61bに貯留されている再利用インクを攪拌することができ、再利用インクと添加された希釈液とをよく混ぜ合わせることができる。なお、この攪拌ボール81には、例えば金属製や樹脂製の球体等を用いればよい。
【0091】
図7は、希釈液吐出ヘッド80の希釈液ノズル80aの配置例を示す図である。
図7(a)は、RKインク用のノズル列におけるノズル61a同士の中間に希釈液ノズル80aが位置するように配置した例を示す。一方、図7(b)は、希釈液用のノズル列をRKインク用のノズル列に対して隣接して配置した例を示す。図7(a)、(b)の何れの配置例においても、メンテナンス動作によってRヘッド61から再利用インクが排出される際に、インクを排出するノズルのすぐ傍で希釈液が吐出されるので、排出されたインクと吐出された希釈液とを速やかに混合することができる。
【0092】
[効果]
第3実施形態のインクジェット記録装置1によれば以下のような効果を奏する。即ち、粘度センサ77によって検知した再利用インクの粘度が所定値以上であれば、希釈液吐出ヘッド80によって希釈液を添加することで再利用インクの粘度を調節することができる。したがって、再利用インクの粘度が著しく上昇することによる画質の低下を防ぐことができる。つまり、再利用インクの粘度を調節できることにより、Rヘッド61によるメンテナンス動作の際に排出された再利用インクであっても、再利用インクの粘度が上昇しすぎることなく繰り返し再利用することができるので、より効率よくインクを節約することができる。
【0093】
また、画像記録時にキャリッジが往復移動するのに伴ってRヘッド61のサブタンク61b内にある攪拌ボール81がサブタンク61b内を移動することで、サブタンク61bに貯留されている希釈液を添加された再利用インクが攪拌され、再利用インクの粘度を均一にすることができる。
【0094】
[第4実施形態]
図8は、本発明のインクジェット記録装置1の第4実施形態の要部概略構成を示すブロック図である。なお、図2の第1実施形態、図5の第2実施形態又は図6の第3実施形態の構成と同様の部分については、同じ符号を付している。
【0095】
図8に示すように、第4実施形態におけるインクジェット記録装置1は、上記インク貯留部にK、C、M、Yの各色の未使用インクを貯留するインクカートリッジ31、32、33、34と、RKインクを貯留するための再利用インクタンク41とを備える。また、上記記録部のキャリッジ上にK、C、M、Yの各色のVヘッド51、52、53、54と、RKインク用のRヘッド61とを備える。また、上記メンテナンスユニットにキャップ71dと、第1ポンプ72c、第2ポンプ72dと、フィルタ73と、回収インク流通路75と、廃液フォーム76とを備える。その他、インク供給チューブ74と、各インクカートリッジ31〜34及び再利用インクタンク41に貯留されているインクの残量をそれぞれ検知するインク残量センサ82と、各記録ヘッドに内蔵されているサブタンクに貯留されているインクの有無を検知する液面センサ83等を備える。なお、K、C、M、Yの各色の未使用インクは、全て染料系インクである。
【0096】
このうち、インク残量センサ82は、周知の光学式センサ等によって構成されている。また、液面センサ83は、各記録ヘッドに内蔵されているサブタンク内のインクの液面の位置を光学的に検知することでサブタンク内のインクの有無を検知する。
【0097】
キャップ71dは、各Vヘッド51〜54から排出されるインクを一括して受け、且つRヘッド61から排出されるインクを個別に受けるように構成されている。
なお、本実施形態のインクジェット記録装置1における、インクの回収、再利用及び廃棄等の一連のサイクルは、上述した他の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0098】
本実施形態のインクジェット記録装置1では、インク残量センサ82及び液面センサ83等を利用して、余剰インク廃棄処理、再利用インク優先記録モード処理及び未使用インク優先記録モード処理の各処理を実行することができる。以下、これらの各処理について図9〜図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0099】
[余剰インク廃棄処理]
図9は、インクジェット記録装置1の制御部(図示なし)による制御に基づいて実行される余剰インク廃棄処理を示すフローチャートである。
【0100】
この余剰インク廃棄処理は、再利用インクの回収量が消費量よりも多い場合等に、再利用インクタンク41が満杯になり、仕舞いに再利用インクがオーバーフローしてしまうことを防ぐために、余分な再利用インクを廃棄するための処理である。
【0101】
まず、ステップ10(以下、単にS10と表記する。他のステップについても同様。)において、各Vヘッド51〜54におけるメンテナンス動作の開始に伴い、第1ポンプ72cによるインクの吸引が開始される。次に、インク残量センサ82による再利用インクタンク41のインク残量検知情報から再利用インクタンク41が満杯であるか否かが判定される(S20)。ここで再利用インクタンク41が満杯でないと判定された場合(S20:N)、第1ポンプ72cによるインクの吸引量が規定量に達したか否かが判定される(S30)。なお、ここでいう規定量とは、メンテナンス動作によって各記録ヘッド51〜54から排出されるべきインクの量に相当する。
【0102】
S30において、第1ポンプ72cによるインクの吸引量が規定量に達していないと判定された場合(S30:N)、第1ポンプ72cによるインクの吸引が継続される。そして、第1ポンプ72cによるインクの吸引量が規定量に達したと判定された場合(S30:Y)、即ち、メンテナンス動作において各記録ヘッドから排出されるインクの回収が完了した場合、第1ポンプ72cが停止されることでメンテナンス動作が完了し(S40)、そのまま余剰インク廃棄処理が終了される。第1ポンプ72cによって回収されたインクは回収インク流通路75を流通して、フィルタ73を経て再利用インクタンク41へ貯留される。
【0103】
一方、S20において再利用タンクが満杯であると判定された場合(S20:Y)、第2ポンプ72dによるインクの吸収が開始される(S60)。これにより、Rヘッド61から強制的にインクが排出されて、再利用インクタンク41内の余剰インクが回収される。そして、第1ポンプ72c及び第2ポンプ72dによるインクの吸引量が規定値に達したか否かが判定される(S60)。なお、ここでいう規定量とは、第1ポンプにおいては、メンテナンス動作によって各記録ヘッド51〜54から排出されるべきインクの量に相当し、第2ポンプ72dにおいては、メンテナンス動作によって各記録ヘッド51〜54から排出されるべきインクの量と同量、若しくはそれ以上の量に相当する。
【0104】
第1ポンプ72c及び第2ポンプ72dによるインクの吸引量が規定値に達していないと判定された場合(S60:N)、インクの吸引が継続される。そして、第1ポンプ72c及び第2ポンプ72dによるインクの吸引量が規定値に達したと判定された場合(S60:Y)、即ち、メンテナンス動作において各記録ヘッドから排出されるインクの回収及び再利用インクタンク41からの余剰インクの回収が完了した場合、第1ポンプ72c及び第2ポンプ72dが停止されてメンテナンス動作が完了し(S70)、そのまま余剰インク廃棄処理が終了される。
【0105】
このようにして、第2ポンプ72dによって再利用インクタンク41から回収されたインクは廃液フォーム76へ廃棄される。一方、第1ポンプ72cによって回収されたインクは回収インク流通路75を流通して、フィルタ73を経て再利用インクタンク41へ貯留される。
【0106】
つまり、この余剰インク廃棄処理では、再利用インクタンク41が満杯である場合、メンテナンス動作によって新たに回収されてくる再利用インクと同量、若しくはそれ以上の量のインクを第2ポンプ72dによって再利用インクタンク41から回収して廃棄することで、再利用インクがオーバーフローするのを防ぐことができる。
【0107】
[再利用インク優先記録モード処理]
図10は、インクジェット記録装置1の制御部による制御に基づいて実行される再利用インク優先記録モード処理を示すフローチャートである。
【0108】
再利用インク優先記録モードは、未使用インクより再利用インクを優先して使用することで、画像品質よりもインクの節約を重視した画像記録を行うための記録モードである。この再利用インク優先記録モードは、利用者がインクジェット記録装置1の上面に配置されている操作パネル部29(図1参照)のキースイッチを操作することによって選択される。また、プリンタ機能稼働時におけるテキスト画像記録、又はファクシミリ機能稼働時における画像記録を行う場合には自動的に再利用インク優先記録モードが選択される。
【0109】
図10に示すように、まず、S100において画像データを受信する等して、画像記録を開始する指令を受信したか否かが判定される。ここで、画像記録を開始する指令を受信していないと判定された場合(S100:N)、この処理が繰り返される。
【0110】
画像記録を開始する指令を受信したと判定された場合(S100:Y)、続いてインク残量センサ82による再利用インクタンク41のインク残量の検知情報と、液面センサ83によるRヘッド61内のサブタンクに貯留されているインクの液面の位置情報とに基づいて、再利用インク(RK)が有るか否かが判定される(S110)。ここで、再利用インク(RK)が有ると判定された場合(S110:Y)、Rヘッド61によって再利用インク(RK)を使用する画像記録が開始される(S120)。
【0111】
一方、S110において、再利用インク(RK)が無いと判定された場合(S110:N)、続いてインク残量センサ82によるインクカートリッジ31のインク残量の検知情報と、液面センサ83によるVヘッド51内のサブタンクに貯留されているインクの液面の位置情報とに基づいて、未使用インク(K)が有るか否かが判定される(S130)。ここで、未使用インク(K)が有ると判定された場合(S130:Y)、Vヘッド51によって未使用Kインクを使用する画像記録が開始される(S140)。
【0112】
一方、S130において、未使用インク(K)が無いと判定された場合(S130:N)、インクカートリッジ31が交換されることによってインクが補充されたか否かが判定される(S150)。ここで、当該インクカートリッジが交換されることによってインクが補充されたと判定された場合(S150:Y)、第1ポンプ72cによって各Vヘッド51〜54からインクが吸引され、再利用インクタンク41へこの吸引したインクが供給される(S160)。
【0113】
次に、インク残量センサ82よる検知情報に基づいて、再利用インクタンク41が満杯になったか否かが判定される(S170)。ここで、再利用インクタンク41が満杯になっていないと判定された場合(S170:N)、インクの吸引が継続される。そして、再利用インクタンク41が満杯になったと判定された場合(S170:Y)、S110の処理へ戻る。
【0114】
一方、S150において、インクカートリッジ31が交換されず、インクが補充されていないと判定された場合(S150:N)、そのまま処理を終了する。
このように、再利用インク優先記録モードでは、再利用Kインクが有れば再利用Kインクを使用して画像記録を行い、再利用インクが無い場合に未使用Kインクを使用して画像記録を行うといった具合に、再利用インクを優先的に使用することでインクの節約を重視した画像記録を行うことができる。
【0115】
なお、上記再利用インク優先記録モード処理の説明では、再利用インク用の記録ヘッドとしてRKインク用のRヘッドのみを備えている場合を想定しているが、例えば図5に示すように、インクジェット記録装置1がK、C、M、Yの各色についてRヘッドを備えているような構成であれば、これら各色に対してこの再利用インク優先記録モード処理を適用することができる。
【0116】
[未使用インク優先記録モード処理]
図11は、インクジェット記録装置1の制御部による制御に基づいて実行される未使用インク優先記録モード処理を示すフローチャートである。
【0117】
未使用インク優先記録モードは、再利用インクより未使用インクを優先して使用することで、インクの節約よりも画像品質を重視した画像記録を行うための記録モードである。この未使用インク優先記録モードは、利用者がインクジェット記録装置1の上面に配置されている操作パネル部29(図1参照)のキースイッチを操作することによって選択される。また、プリンタ機能稼働時における写真画像記録等を行う場合には自動的に未使用インク優先記録モードが選択される。
【0118】
図11に示すように、まず、S200において画像データを受信する等して、画像記録を開始する指令を受信したか否かが判定される。ここで、画像記録を開始する指令を受信していないと判定された場合(S200:N)、この処理が繰り返される。
【0119】
画像記録を開始する指令を受信したと判定された場合(S200:Y)、続いてインク残量センサ82によるインクカートリッジ31のインク残量の検知情報と、液面センサ83によるVヘッド51内のサブタンクに貯留されているインクの液面の位置情報とに基づいて、未使用インク(K)が有るか否かが判定される(S210)。ここで、未使用インク(K)が有ると判定された場合(S210:Y)、Vヘッド51によって未使用インク(K)を使用する画像記録が開始される(S220)。
【0120】
一方、S210において、未使用インク(K)が無いと判定された場合(S210:N)、続いてインク残量センサ82による再利用インクタンク41のインク残量の検知情報と、液面センサ83によるRヘッド61内のサブタンクに貯留されているインクの液面の位置情報とに基づいて、再利用インク(RK)が有るか否かが判定される(S230)。ここで、再利用インク(RK)が有ると判定された場合(S230:Y)、Rヘッド61によって再利用インク(RK)を使用する画像記録が開始される(S240)。
【0121】
一方、S230において、再利用インク(RK)が無いと判定された場合(S230:N)、インクカートリッジ31が交換されることによってKインクが補充されたか否かが判定される(S250)。ここで、インクカートリッジ31が交換されることによってKインクが補充されたと判定された場合(S250:Y)、第1ポンプ72cによって各Vヘッド51〜54からインクが吸引され、再利用インクタンク41へこの吸引したインクが供給される(S260)。
【0122】
次に、インク残量センサ82よる検知情報に基づいて、再利用インクタンク41が満杯になったか否かが判定される(S270)。ここで、再利用インクタンク41が満杯になっていないと判定された場合(S270:N)、インクの吸引が継続される。そして、再利用インクタンク41が満杯になったと判定された場合(S270:Y)、S210の処理へ戻る。
【0123】
一方、S250において、インクカートリッジ31が交換されずKインクが補充されていないと判定された場合(S250:N)、そのまま処理を終了する。
このように、未使用インク優先記録モードでは、未使用Kインクが有れば未使用Kインクを使用して画像記録を行い、未使用インクが無い場合に再利用Kインクを使用して画像記録を行うといった具合に、未使用インクを優先的に使用することで画像品質を重視した画像記録を行うことができる。
【0124】
なお、上記未使用インク優先記録モード処理の説明では、再利用インク用の記録ヘッドとしてRKインク用のRヘッドのみを備えている場合を想定しているが、例えば図5に示すように、インクジェット記録装置1がK、C、M、Yの各色についてRヘッドを備えているような構成であれば、これら各色に対してこの再利用インク優先記録モード処理を適用することができる。
【0125】
[効果]
第4実施形態のインクジェット記録装置1によれば以下のような効果を奏する。即ち、余剰インク廃棄処理を実行することで余剰インクが適宜廃棄されるので、メンテナンス動作によって排出され回収されるインクの量が再利用インクの消費量よりも多い場合であっても、再利用インクがオーバーフローすることがない。
【0126】
また、再利用インク優先記録モードと、未使用インク優先記録モードとが選択可能に構成されていることで、例えば、写真等の画像記録を行う場合は、未使用インク優先記録モードを選択し、文章等のその他の画像記録を行う場合は、再利用インク優先記録モードを選択するといった、状況に応じた柔軟な運用を行うことができる。また、それぞれのモードにおいて、優先して使用するべきインクがなくなった場合であっても、他方のインクを用いて画像記録を行うことができるので便利である。
【0127】
また、利用者が操作パネル部29(図1参照)のキースイッチを操作することによって、再利用インク優先記録モードと未使用インク優先記録モードとを選択することができるので、利用者が高い画像品質を望む場合や、なるべくインクを節約したい場合等、種々のニーズにあった画像記録を行うことができる。
【0128】
また、ファクシミリ画像や、文字データのみのいわゆるテキスト画像のように、写真画像ほどの高画質でなくても十分実用に耐えるような画像を記録する場合には、自動的に再利用インク優先記録モードが選択されるので、インクを節約することができて好適である。
【0129】
[第5実施形態]
図12は、本発明のインクジェット記録装置1の第5実施形態の要部概略構成を示すブロック図である。なお、図2の第1実施形態構成、図5の第2実施形態、図6の第3実施形態又は図8の第4実施形態と同様の部分については、同じ符号を付している。
【0130】
本実施形態のインクジェット記録装置1は、画像記録用のインクとして、染料系インクと顔料系インクとを併用する形式のインクジェット記録装置である。
具体的には、図12に示すように、上記インク貯留部に顔料系の未使用Kインクを貯留するインクカートリッジ31と、C、M、Yの各色の染料系の未使用インクをそれぞれ貯留するインクカートリッジ32、33、34と、再利用のK、C、M、Yの各色(以下、「RK」、「RC」、「RM」、「RY」)のインクを貯留するための再利用インクタンク41、42、43、44とを備える。また、上記記録部のキャリッジ上にK、C、M、Yの各色のVヘッド51、52、53、54と、RK、RC、RM、RYの各色のRヘッド61、62、63、64とを備える。また、上記メンテナンスユニットにキャップ71eと、ポンプ72a、72bと、フィルタ73と、回収インク流通路75と、廃液フォーム76とを備える。その他、インク供給チューブ74等を備えている。
【0131】
キャップ71eは、C、M、Yの各色のVヘッド51〜53から排出されたインクをそれぞれ独立に受け、Kインク用のVヘッド51及びRKインク用のRヘッド61から排出されたインクを一括して受け、更にRC、RM、RYの各色のインク用のRヘッド62〜64から排出されるインクを一括して受けるように構成されている。
【0132】
メンテナンス動作によってRKインク用のRヘッド61及び各Vヘッド51〜54からキャップ71bへ排出されたC、M、Y、K+RKの各色インクは、ポンプ72aによってそれぞれ独立に回収される。この回収されたインクは、各回収インク流通路75を流通し、フィルタ73を経て各再利用インクタンク41〜44にそれぞれ貯留される。
【0133】
一方、メンテナンス動作によってRC、RM、RYの各色のRヘッド62〜64からキャップ71eへ排出されたインクは、ポンプ72bによって一括して回収され、廃液フォーム76に廃棄される。そして、廃棄されたインクは廃液フォーム76によって吸収される。
【0134】
このように、本実施形態のインクジェット記録装置1においては、染料系インクと顔料系インクとが混合されることなく、それぞれ独立性を保ってインクを再利用することができる。
【0135】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り様々な態様にて実施することが可能である。以下にその具体的な例を挙げる。
【0136】
(1)再利用インクは、インクの溶剤の揮発等により密度や表面張力等の種々の物性が未使用インクとは異なるため、適切な画像記録を行うためにはノズルからインクを吐出させるための制御を未使用インクの場合と変更する必要がある。そこで、RヘッドとVヘッドとで、ノズルからインクを飛翔させるためのエネルギをインクに周期的に印加する際の周波数(以下、駆動周波数)を変更する。具体的には、Rヘッドにおいて再利用インクを吐出する場合の駆動周波数を、Vヘッドにおいて未使用インクを吐出する場合の駆動周波数より若干遅くするとよい。この駆動周波数の変更量については、予想される再利用インクの密度や粘度の変化分を考慮して、実験や計算等によって求めればよい。また、インクを飛翔させるためのエネルギを熱によって与える駆動方式や、圧電素子による圧力によって与える駆動方式等、種々の駆動方式の特性を考慮してこの駆動周波数を設定することが望ましい。
【0137】
(2)メンテナンスユニットで実行されるワイピング動作においては、記録ヘッドのノズル面を拭き取るブレードの動かし方を制御することで、Vヘッドのノズル面の拭き取りを先に行い、Rヘッドのノズル面の拭き取りを後に行うようにする。具体的には、図2に示すような記録ヘッドの配置であれば、Y→M→C→K→RKという順番でノズル面を拭き取るようにブレードを動作させればよい。
【0138】
このようにすることで、ブレードによってRヘッドのノズル面の汚れが引きずられてVヘッドのノズル面へ移ってしまうことを防ぐことができる。
(3)未使用インク及び再利用インクの残量を表示するためのインク残量表示手段を備えることで、利用者が未使用インクだけでなく再利用インクの残量も確認することができる。つまり、未使用インクが無くなっても再利用インクが残っていることが確認できれば、未使用インクが無くなったからといって慌ててインクを補充しなければならないといったこともなく、利用者にとって便利である。具体的には、各インクカートリッジ及び再利用インクタンクに、目視によってインク有無を確認できる確認窓等を設ければよい。また、図8に示すインク残量センサ82及び液面センサによるインク残量検知情報に基づいて、操作パネル部29(図1参照)の液晶表示部に各インクの残量を表示してもよい。
【0139】
(4)各記録ヘッドのインク吐出状況等を確認するために、全てのノズルから試験的にインクを吐出して用紙に記録を行う、いわゆるテスト記録を実行する際に、VヘッドのみならずRヘッドにおけるすべてのノズルからインク吐出して用紙に記録を行うように構成するとよい。このようにすれば、Rヘッドにおけるインクの吐出状況を確認できるだけでなく、再利用インクの発色具合を確認することで、再利用インクが利用に耐える品質であるか否か等を判断することもできて便利である。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明を適用するのに好適なインクジェット記録装置1の外形斜視図である。
【図2】本発明のインクジェット記録装置1の第1実施形態の要部概略構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、Kインク用のVヘッド51の断面構成図であり、(b)は、RKインク用のRヘッド61の断面構成図である。
【図4】実施形態にインクジェット記録装置1における各記録ヘッドのノズル列の配置状況を示した図である。
【図5】本発明のインクジェット記録装置1の第2実施形態の要部概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明のインクジェット記録装置1の第3実施形態の要部概略構成を示すブロック図である。
【図7】希釈液吐出ヘッド80の希釈液ノズル80aの配置例を示す図である。
【図8】本発明のインクジェット記録装置1の第4実施形態の要部概略構成を示すブロック図である。
【図9】余剰インク廃棄処理を示すフローチャートである。
【図10】再利用インク優先記録モード処理を示すフローチャートである。
【図11】未使用インク優先記録モード処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明のインクジェット記録装置1の第5実施形態の要部概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0141】
1…インクジェット記録装置、2…ハウジング、2a…開口部、3…給紙カセット、3a…補助支持部材、21…排紙部、23…画像読取装置、27…原稿カバー体、29…操作パネル部、31、32、33、34…インクカートリッジ、41、42、43、44…再利用インクタンク、51、52、53、54…未使用インク用記録ヘッド(Vヘッド)、61、62、63、64…再利用インク用記録ヘッド(Rヘッド)、51a、52a、53a、54a、61a…ノズル、51b、61b…サブタンク、71a、71b、71c、71d、71e…キャップ、72a、72b…ポンプ、72c…第1ポンプ、72d…第2ポンプ、73…フィルタ、74…インク供給チューブ、75…回収インク流通路、76…廃液フォーム、77…粘度センサ、78…希釈液タンク、79…希釈液供給チューブ、80…希釈液吐出ヘッド、80a…希釈液ノズル、81…攪拌ボール、82…インク残量センサ、83…液面センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを選択的に吐出可能な複数のノズルからなるノズル列を有する記録ヘッドによって被記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、
未使用インクを吐出するための記録ヘッドである未使用インク用記録ヘッドと、
前記未使用インク用記録ヘッドが吐出するインクと同色の再利用インクを吐出するための記録ヘッドである再利用インク用記録ヘッドと、
前記未使用インク用記録ヘッド及び前記再利用インク用記録ヘッドから吐出機能回復のために排出されるインクを回収する回収手段と、
前記回収手段によって回収したインクを前記再利用インクとして前記再利用インク用記録ヘッドへ供給する再利用インク供給手段とを備えること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の未使用インク用の前記未使用インク用記録ヘッドと、
再利用ブラックインク用の前記再利用インク用記録ヘッドとを備え、
前記回収手段は、少なくともシアン、マゼンタ、イエローの各色の前記未使用インク用記録ヘッドから排出されるインクを混合して回収し、
前記再利用インク供給手段は、前記混合して回収されたインクを前記再利用ブラックインク用の再利用インク用記録ヘッドへ供給すること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインク用の前記未使用インク用記録ヘッド及び前記再利用インク用記録ヘッドをそれぞれ備え、
前記回収手段は、少なくとも前記各色の未使用インク用記録ヘッドから排出されるインクを色ごとに回収し、
前記再利用インク供給手段は、前記色ごとに回収されたインクを各色に対応する前記再利用インク用記録ヘッドへ供給すること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記回収手段は、前記未使用インク用記録ヘッドと前記再利用インク用記録ヘッドとから排出されるインクをそれぞれ独立に回収し、前記再利用インク用記録ヘッドから回収したインクを廃棄すること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記再利用インクの粘度を検知する粘度検知手段と、
インクを希釈するための希釈液を吐出する希釈液ノズルを有する希釈液添加手段とを備え、
前記希釈液添加手段は、前記再利用インク用記録ヘッド又は前記未使用インク用記録ヘッドの内部又はこれらに隣接して設けられており、前記粘度検知手段によって検知された粘度が所定値以上である場合、前記未使用インク用記録ヘッド又は前記再利用インク用記録ヘッドから吐出機能回復のためにインクが排出されるときに前記希釈液ノズルから希釈液を吐出することで、前記排出されたインクに希釈液を添加すること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載のインクジェット記録装置において、
前記希釈液ノズルは、前記再利用インク用記録ヘッドのノズル列におけるノズル同士の間、又は前記再利用インク用記録ヘッドのノズル列に隣接して設けられていること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のインクジェット記録装置において、
前記未使用インク用記録ヘッド、前記再利用インク用記録ヘッド及び前記希釈液添加手段は、画像記録時に被記録媒体の搬送方向と直交する方向に往復移動するキャリッジに搭載されており、
前記再利用インク用記録ヘッドは、前記再利用インクを貯留するためのサブタンクを備えており、
前記サブタンク内には、前記キャリッジの往復移動によって付勢されることで前記サブタンク内を移動して前記再利用インクを攪拌可能な攪拌部材が収納されていること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記未使用インク及び前記再利用インクそれぞれのインクの有無を検知するインク検知手段を備え、
前記インク検知手段によって前記再利用インクが有ることが検知された場合、前記再利用インク用記録ヘッドによって前記再利用インクを優先して使用し、前記インク検知手段によって前記再利用インクが無いことが検知された場合、前記未使用インク用記録ヘッドによって前記未使用インクを使用して画像記録を行う再利用インク優先記録モードと、
前記インク検知手段によって前記未使用インクが有ることが検知された場合、前記未使用インク用記録ヘッドによって前記未使用インクを優先して使用し、前記インク検知手段によって前記未使用インクが無いことが検知された場合、前記再利用インク用記録ヘッドによって前記再利用インクを使用して画像記録を行う未使用インク優先記録モードとを選択可能に構成したこと
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
請求項8に記載のインクジェット記録装置において、
前記再利用インク優先記録モードによる画像記録を行うか、又は前記未使用インク優先記録モードによる画像記録を行うかを利用者が選択するための選択手段を備えること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項10】
請求項8に記載のインクジェット記録装置において、
プリンタ機能及びファクシミリ機能を有しており、
前記プリンタ機能稼働時におけるテキスト画像記録、又は前記ファクシミリ機能稼働時における画像記録を行う場合、前記再利用インク優先記録モードによって画像記録を行うこと
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記回収手段によって回収された前記再利用インクを貯留するための再利用インク貯留部と、
前記未使用インク用記録ヘッド又は前記再利用インク用記録ヘッドの少なくとも何れか一方の記録ヘッドから吐出機能回復のためにインクが排出されたときに、前記再利用インク貯留部が満杯である場合、前記再利用インク貯留部に貯留されている前記再利用インクを廃棄する廃棄手段とを備えること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記再利用インク用記録ヘッドのノズル列は、同色の前記未使用インク用記録ヘッドのノズル列に近接して且つ平行に配置され、更に、前記未使用インク用記録ヘッドのノズル列におけるノズル位置に対して、このノズル同士の間隔の半間隔分列方向へずれた位置に前記再利用インク用記録ヘッドのノズルが位置するように配置されていること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記未使用インク及び前記再利用インクは、チューブを流通してそれぞれ前記未使用インク用記録ヘッド及び前記再利用インク用記録ヘッドへ供給されるように構成されており、
前記再利用インクを前記再利用インク用記録ヘッドへ供給するためのチューブの径は、前記未使用インク用記録ヘッドへ前記未使用インクを供給するためのチューブの径よりも大きく、
更に、前記再利用インク用記録ヘッドのノズル径は、前記未使用インク用記録ヘッドのノズル径よりも大きいこと
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記再利用インク用記録ヘッドによって前記再利用インクを吐出する場合と、前記未使用インク用記録ヘッドによって前記未使用インクを吐出する場合とで、前記ノズルからインクを飛翔させるためのエネルギをインクに周期的に印加する際の周波数を変更すること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記未使用インク用記録ヘッド及び前記再利用インク用記録ヘッドのノズル面の汚れを拭き取る拭き取り手段を備え、
前記拭き取り手段は、前記未使用インク用記録ヘッドのノズル面の拭き取りを先に行い、前記再利用インク用記録ヘッドのノズル面の拭き取りを後に行うこと
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記未使用インク及び前記再利用インクの残量をそれぞれ表示するためのインク残量表示手段を備えること
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記未使用インクは、染料インクであること
を特徴とする。
【請求項18】
請求項1ないし請求項16の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
染料インク用の前記未使用インク用記録ヘッド、顔料インク用の前記未使用インク用記録ヘッド、染料インク用の前記再利用インク用記録ヘッド及び顔料インク用の前記再利用インク用記録ヘッドをそれぞれ備え、
前記回収手段は、前記染料インク用の未使用インク用記録ヘッド及び前記顔料用の未使用インク用記録ヘッドから排出されたインクをそれぞれ独立に回収し、
前記再利用インク供給手段は、前記独立に回収されたインクをそれぞれ前記染料インク用の未使用インク用記録ヘッド及び前記顔料インク用の未使用インク用記録ヘッドへ供給すること
を特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−305902(P2006−305902A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132195(P2005−132195)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】