説明

インク吐出装置およびその制御方法

【課題】輝点のない高品質な着色を行うことができるインク吐出装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】輪郭特定手段およびタイミング制御手段を備え、輪郭特定手段が、着色すべき領域(欠陥画素17)の輪郭部分を特定し、タイミング制御手段が、すくなくとも上記特定された輪郭部分にインク滴16を着弾させるように、インク吐出手段(インク吐出部2)によるインク吐出のタイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出する技術に関するものであり、特に、ノズルを備えるヘッドを用いて、媒体にインクを吐出するインク吐出装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インクを吐出する技術は、民生用のプリンタに転用されるのみならず、液晶用のカラーフィルターパネル(Color Filter Panel、以下「CFパネル」と記載する)生産装置、その他の生産装置にも幅広く転用されるようになってきており、その用途が多様化している。その一例として、インクを吐出する技術を利用して、基板上にパターンを形成するインクジェットパターニング技術が挙げられる。インクジェットパターニング技術は、インク吐出装置から微量のインクを噴射し、基板上に直接微細なパターンを印字する技術である。このインクジェットパターニング技術は、従来のフォトリソグラフィーによる真空プロセスを用いたパターン生成方法に代わり、脱真空プロセスに使用可能な技術として注目が高まっている。
【0003】
そして、このインクジェットパターニング技術を用いたCFパネルを形成するためのインク吐出装置の開発が盛んに進められている。このインク吐出装置は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色からなるインクを、ガラス基板上に形成されているRGB用画素領域内に着弾させることによって各画素を埋め、CFパネルを形成する。このインク吐出装置は、特に、近年益々大面積化が進んでいる液晶用のCFパネル製造において用いられている。そして、このインク吐出装置は、その処理時間が厳重に管理され、一定の短時間で確実に処理を成し遂げることが要求される。さらに、液晶テレビ用途等では、特に高品質なCFパネルが要求される。
【0004】
また、インクジェットパターニング技術は、画素の全面印刷技術としてのみならず、夾雑物の混入または付着に起因して生じる欠陥画素を修復するための技術としても広く用いられている。例えば、隣接画素間でのインクの混色等による欠陥画素の場合、混色が発生した欠陥画素のインク層をレーザ装置等により取り除き、その取り除いた部分に再度指定された色のインクをインクジェットパターニング技術によって吐出して修復する方法が用いられている。
【0005】
インクジェットパターニング技術において、輝点(白抜け)のない高品質な着色をするための技術として、特許文献1には、画素にインク吐出する際に、同一ノズルからインクをずらしながら重ねて吐出し、吐出されたインクの間隔を、吐出の前半部よりも吐出の後半部で狭める方法が示されている。具体的には、図12に示すように、吐出の前半部であるB−C間およびC−D間の幅を広くし、吐出の後半部であるD−E間およびE−F間の幅を狭くして吐出する方法が示されている。この方法により、先に吐出したインクドットに引き込まれるように後から吐出したインクドット液が吸い寄せられる現象を防止することが記載されている。同文献にはまた、インク吐出の開始位置を、吐出対象領域の枠に大きく重なる位置とすることが記載されている。
【特許文献1】特開平8−327816号公報(平成8年12月13日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、境界付近にも輝点のない高品質な着色を行うことは困難であった。特に、上述したような欠陥画素を修復する際には、コーナー部分に輝点が非常に残り易い。これは、本発明らが鋭意検討したところ、欠陥画素の下地が撥水性を帯びていることが原因であった。
【0007】
特許文献1に記載の、吐出されたインクの間隔を吐出の前半部よりも吐出の後半部で狭める第1の方法、および、インク吐出の開始位置を吐出対象領域の枠に大きく重なる位置とする第2の方法では、それぞれ吐出の終端部分および開始部分における輝点をある程度避けることができたが、十分ではなかった。
【0008】
さらに、CFパネルの形成または修復のように、着色すべき領域に隣接して、同一のインクにより着色すべきでない領域が存在する場合には、決められた領域内にのみ着色を行う必要があるので、着色すべき領域からインクがはみ出し得る第2の方法は用いることができない。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、領域内にのみ着色を行う場合において、輝点のない高品質な着色を行うための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るインク吐出装置は、上記課題を解決するために、媒体上に設けられた第1の領域内に、インク吐出孔を介してインクを吐出するインク吐出手段を備えているインク吐出装置であって、第1の領域における輪郭部分を特定する輪郭特定手段と、少なくとも上記特定された輪郭部分に上記インクを着弾させるように、上記インク吐出手段によるインク吐出のタイミングを制御するタイミング制御手段とをさらに備えていることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、まず、上記輪郭特定手段が第1の領域における輪郭部分を特定する。例えば、上記輪郭特定手段は、カメラ等を用いて上記媒体の写真を撮影し、第1の領域の形状を認識する。そして、認識した第1の領域の形状から、周知の画像処理手段を用いて第1の領域の輪郭部分を算出する。
【0012】
次に、上記タイミング制御手段が、すくなくとも上記特定された輪郭部分に上記インクを着弾させるように、上記インク吐出手段によるインク吐出のタイミングを制御する。例えば、上記輪郭特定手段が算出した上記輪郭部分をインクの吐出対象とするようにインク吐出パターンを生成し、当該インク吐出パターンに基づいて、上記インク吐出手段を制御する。
【0013】
以上により、第1の領域の輪郭部分にインクを着弾させることができる。これにより、輝点が生じ易い第1の領域の境界近くにもインクを充填することができ、輝点のない高品質な着色を行うことができるという効果を奏する。
【0014】
上記インク吐出装置では、第1の領域が、上記インクに対する親和性が第1の領域に比べて低い第2の領域に囲まれており、上記タイミング制御手段が、上記インク吐出装置におけるインク着弾精度および吐出時のインク液滴の大きさに基づいて、上記タイミングを制御することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、上記タイミング制御手段は、少なくとも上記インク着弾精度および上記インク液滴の大きさに基づいて、すくなくとも上記特定された輪郭部分に上記インクを着弾させるように上記インク吐出手段によるインク吐出のタイミングを制御する。
【0016】
上記インクが上記媒体上において着弾する可能性のある範囲は、上記インクを着弾させるべき位置を中心とした、上記インクの吐出の際に発生し得るずれ(インク着弾精度)および吐出時における上記インク液滴の大きさに従った範囲となる。したがって、上記インク着弾精度および上記インク液滴の大きさに基づけば、上記インクが上記媒体上において着弾する可能性のある範囲を算出することができ、上記タイミング制御手段は、算出された範囲に基づいて、上記特定された輪郭部分に上記インクを着弾させるように上記インク吐出手段によるインク吐出のタイミングを制御することができる。
【0017】
そして、上記インクが第1の領域内に着弾すれば、該インクは第1の領域の境界を超えて付着しない。すなわち、第1の領域は上記インクに対する親和性が第1の領域に比べて低い第2の領域に囲まれているため、第1の領域内に着弾したインクは、第2の領域において広がりが遮られ、境界または隣接画素へインクが広がらず、第1の領域内に止まる。
【0018】
すなわち、第1の領域が上記インクに対する親和性が第1の領域に比べて低い第2の領域に囲まれており、上記タイミング制御手段が、上記インクが上記媒体上において着弾する可能性のある範囲に基づいて制御を行うことにより、上記インクが第1の領域の境界を超えて付着することを避け得、高品質な着色を行うことができるという効果を奏する。
【0019】
また、上記インク吐出装置は、表示装置用カラーフィルターパネルの欠陥画素を修復するために好適に用いることができる。
【0020】
上述したように、表示装置用カラーフィルターパネルの欠陥画素の下地は撥水性を帯びている場合が多い。これは、欠陥画素部の不要なCF膜を除去する際に、以下の理由により基板面に残渣が残ることが原因であった。
【0021】
まず、CF膜を除去する際には、通常、比較的弱いレーザが短時間用いられる。そのため、不要なCF膜を完全に除去し得ず、残渣が残ってしまう。一方、強力なレーザの適用、およびレーザの長時間の適用は、レーザ加工装置のタクト時間を増加させるだけでなく、カラーフィルターパネル上の画素周囲の縁取りを形成するBM(Black Matrix)膜等にダメージを与える可能性が高まるため好ましくない。
【0022】
また、プラズマ装置等を用いた基板面のプラズマクリーニングによって残渣を完全除去するのは困難である。すなわち、十分に残渣を除去するために長時間プラズマ照射することは、他の膜へのダメージ、特にBM膜へのダメージが懸念されるため好ましくない。詳しく述べれば、まず、BM膜は、任意の画素に吐出されたインクが、該画素に隣接した画素に流れ込むことを防ぐため、撥水性を帯びていることが必要である。そして、長時間のプラズマ照射は、BM膜を親水性に改質する可能性があるため非常に好ましくない。
【0023】
以上のように、欠陥画素にはCF膜の残渣が残り易く、欠陥画素図の下地基板は撥水性を幾分帯びた状態となる。そのため、吐出されたインクの広がりが非常に悪く、特に画素の輪郭部において、着色が行われていない部分(輝点)が生じてしまう。
【0024】
ここで、本発明に係るインク吐出装置は、第1の領域の境界部分においても上記インクを充填し、輝点のない品質の良好な画素膜を形成し得るので、画素の輪郭部において輝点の生じ易い表示装置用カラーフィルターパネルの欠陥画素を修復するために好適に用いることができる。
【0025】
上記インク吐出装置では、上記カラーフィルターパネルが、液晶表示用カラーフィルターパネルであってもよい。
【0026】
本発明に係るインク吐出装置は、品質の良好な画素膜を形成し得るので、高い品質が求められる液晶表示用のカラーフィルターパネルの欠陥画素を修復するためにも好適に用いることができる。
【0027】
本発明に係るインク吐出装置の制御方法は、媒体上に設けられた第1の領域内に、インク吐出孔を介してインクを吐出するインク吐出手段を備えているインク吐出装置の制御方法であって、第1の領域における輪郭部分を特定する輪郭特定工程と、少なくとも上記特定された輪郭部分に上記インクを着弾させるように、上記インク吐出手段によるインク吐出のタイミングを制御するタイミング制御工程とを包含していることを特徴としている。
【0028】
上記構成によれば、上記輪郭特定工程において、第1の領域における輪郭部分を特定し、上記タイミング制御工程において、すくなくとも上記特定された輪郭部分に上記インクを着弾させるように、上記インク吐出手段によるインク吐出のタイミングを制御するので、第1の領域の輪郭部分に上記インクを着弾させることができる。
【0029】
第1の領域の輪郭部分に上記インクが着弾するので、輝点が生じ易い第1の領域の境界近くにも上記インクを充填することができ、輝点のない高品質な着色を行うことができるという効果を奏する。
【0030】
上記インク吐出装置の制御方法では、第1の領域が、上記インクに対する親和性が第1の領域に比べて低い第2の領域に囲まれており、上記タイミング制御工程が、少なくとも上記インク吐出装置におけるインク着弾精度および吐出時のインク液滴の大きさに基づいて、上記タイミングを制御することが好ましい。
【0031】
上述したように、上記インク着弾精度および上記インク液滴の大きさに基づけば、上記インクが上記媒体上において着弾する可能性のある範囲を算出することができるので、上記タイミング制御手段が、上記インク着弾精度および上記インク液滴の大きさに基づいて基づいて制御を行うことにより、上記インクが第1の領域の境界を超えて付着することを避け得、高品質な着色を行うことができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るインク吐出装置は、着色すべき領域の輪郭部分にインクを着弾させることができるので、輝点のない高品質な着色を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の一実施形態について図1ないし図11に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0034】
〔1:インク吐出装置〕
(1−1:要部構成)
図1は、本発明の実施形態を示すものであり、インク吐出装置1の要部構成を示すブロック図である。図1に示すように、インク吐出装置1は、主として、インク吐出部2(インク吐出手段)、インク吐出領域認識部(輪郭特定手段)3、インク吐出順番決定部4、インク吐出液滴数演算部5、インク吐出パターン生成部(インク吐出パターン生成手段)6、ヘッドの角度制御部(角度調整手段)21、ヘッドの移動制御部(移動制御手段)22、インク吐出タイミング制御部(タイミング制御手段)23を備えている。
【0035】
なお、本実施形態では、CFパネル上の欠陥画素を修復するためのインク吐出装置について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
インク吐出部2は、CFパネル上に発生した複数個の欠陥画素17(第1の領域)に対してインクを吐出するためのものである。インク吐出部2の詳細な構成については後述する。
【0037】
インク吐出領域認識部3は、CFパネル上に発生した複数個の欠陥画素17の形状、位置、および輪郭を認識するためのものである。例えば、インク吐出領域認識部3は、観察用カメラ等の撮像部を用いることにより、欠陥画素17の形状および位置を認識する。具体的には、インク吐出領域認識部3が欠陥画素の形状および位置を認識する方法として、実際に撮像部を用いて直接媒体上に点在した欠陥画素の形状、大きさおよび位置を認識する方法や、事前にファイル等を用いて欠陥画素の形状、大きさおよび位置を記述し、それらの情報を電子データとして入手する方法等がある。なお、本発明をCFパネル上の欠陥画素の修復以外の目的に用いる場合、例えば、CFパネル等の形成のために本発明を用いる場合には、インク吐出領域認識部3は、基板上のCFパネル等を形成すべき形状が予め電子データとして入手されていることが好ましい。この場合、以下における「インク吐出領域認識部3が認識した複数個の欠陥画素の形状と位置との情報」を、「インク吐出領域認識部3に予め入力されたCFパネル等を形成すべき形状と位置との情報」と読みかえればよいことを当業者は容易に理解する。
【0038】
また、欠陥画素17の輪郭は、上記観察用カメラ等により直接認識してもよいし、得られた欠陥画素17の形状から算出してもよい。CFパネルの画素などに対しては、その形状に基づいて、その輪郭を容易に算出しえることを当業者は容易に理解する。輪郭の認識についての詳細は後述する。
【0039】
インク吐出順番決定部4は、インク吐出領域認識部3が認識した複数個の欠陥画素17の形状と位置との情報に基づいて、複数個の欠陥画素17を修復する順番を決定するためのものである。つまり、インク吐出順番決定部4は、複数個の欠陥画素の形状と位置との情報に基づいて、後述するヘッド7の走査回数を最小化し、処理時間を最短化することを目的として欠陥画素17の修復順番を決定する。さらに、インク吐出順番決定部4は、ヘッド7の走査方向も決定する。
【0040】
インク吐出液滴数演算部5は、インク吐出領域認識部3によって認識された欠陥画素17の大きさやインク吐出順番決定部4によって決定された修復順番および後述するヘッド7の走査方向に基づいて、欠陥画素17に割り当てられた各ノズル10からのインク液滴量を決定するためのものである。
【0041】
インク吐出パターン生成部6は、インク吐出領域認識部3が認識した欠陥画素17の形状と位置、インク吐出順番決定部4によって決定された欠陥画素17の修復順番並びに後述するヘッド7の走査方向、および、インク吐出液滴数演算部5によって決定されたインク液滴量に基づいて、インクの吐出パターンを生成するためのものである。インク吐出パターン生成部6は、すくなくともインク吐出領域認識部3が認識した欠陥画素17の輪郭部分にインクが積極的に吐出されるように上記吐出パターンを生成する。吐出パターンについての詳細は後述する。
【0042】
さらに、インク吐出パターン生成部6は、生成したインク吐出パターンをインク吐出タイミング信号としてインク吐出部2に出力する。そして、インク吐出部2の各ノズル10は、インク吐出パターン生成部6から出力されたインク吐出タイミング信号に基づいて、複数個の欠陥画素に対してインクを吐出する。
【0043】
ヘッドの角度制御部21は、インク吐出領域認識部3が認識した欠陥画素の形状と位置に基づいて、後述するヘッド7に備えられているノズル列の角度を算出し、ヘッド7に備えられているノズル列の角度の変更を行うためのものである。そして、インク吐出パターン生成部6は、より具体的には、インク吐出領域認識部3が認識した欠陥画素の形状と位置、インク吐出順番決定部4によって決定された欠陥画素の修復順番並びにヘッド7の走査方向、インク吐出液滴数演算部5によって決定されたインク液滴量、インク吐出装置1におけるインク着弾精度、吐出時のインク滴16の大きさ、および、ヘッドの角度制御部21によって決定されたヘッド7に備えられているノズル列の角度に基づいて、インクの吐出パターンを生成する。生成されるインクの吐出パターンについては後に詳述する。
【0044】
ここで、ヘッド7に備えられているノズル列の角度について、以下に説明する。ヘッド7に備えられているノズル列の角度とは、ヘッド7の移動方向に対して斜めに傾けられた角度のことをいう。
【0045】
ヘッド7に備えられているノズル列の角度が大きい場合、例えば、45度以上の場合には、その角度が小さい場合に比べて、個々のノズル間での印字幅はより大きくなり、欠陥画素に割り当てられるノズルの数はより少なくなる。そのため、欠陥画素17を充填するために必要なインク量を確保するためには、ヘッド7を低速で移動させて、ヘッド7が欠陥画素上を通過する時間を長くするか、または、印加する電圧等を制御して、インク吐出部2が大きな液滴を吐出するように制御することが必要となる。逆に、ヘッド7に備えられている両端のノズル間での印字幅はより大きくなるため、両端のノズルを割り当てることにより、大きな欠陥画素に対してもインクの充填が可能となる。
【0046】
一方、ヘッド7に備えられているノズル列の角度が小さい場合には、その角度が大きい場合に比べて、個々のノズル間での印字幅はより小さくなり、欠陥画素17に割り当てられるノズルの数はより多くなる。そのため、ヘッド7を高速で移動させて、ヘッド7が欠陥画素上を通過する時間を短くしても、欠陥画素17を充填するために必要なインク量を確保することが可能となる。逆に、ヘッド7に備えられている両端のノズル間での印字幅は小さくなるため、大きな欠陥画素に対しては両端のノズルを用いてもノズルを割り当てることができない。よって、インク充填時の十分なインクの広がり(濡れ性)が確保できない場合には、大きな欠陥画素に対してはインクの充填が不可能となる。
【0047】
したがって、ヘッド7に備えられているノズル列の好ましい角度は、主として欠陥画素17の大きさによって左右される。つまり、欠陥画素17が小さい場合には、欠陥画素17に多くのノズルを割り当てることができるように、その角度を小さくすることが好ましい。
【0048】
一方、欠陥画素17が大きい場合には、欠陥画素17へのインク充填時のインクの広がり(濡れ性)にもよるが、その角度を大きくし、欠陥画素17の端部にまでノズルを割り当てることが好ましい。
【0049】
ヘッドの移動制御部22は、インク吐出順番決定部4によって決定された修復順番および後述するヘッド7の走査方向に基づいて、ヘッド7を移動させるためのものである。
【0050】
インク吐出タイミング制御部23は、ヘッドの移動制御部22によって後述するヘッド7が移動することにより欠陥画素の位置にヘッド7が到着したら、インク吐出パターン生成部6によって生成されたインク吐出パターンに基づいて、インク吐出部2にインク吐出タイミング信号を送るためのものである。そして、インク吐出部2の各ノズル10は、インク吐出タイミング制御部23から出力されたインク吐出タイミング信号に基づいて、複数個の欠陥画素に対してインクを吐出する。
【0051】
例えば、インク吐出部2は、インク吐出タイミング制御部23からエンコーダ信号が入力され、エンコーダのカウント数が指定された数となった場合に、インクを吐出する仕組みとなっている。具体的には、まず、インク吐出タイミング制御部23は、欠陥画素の位置をエンコーダのカウント数に変換する。次に、インク吐出タイミング制御部23は、その変換した情報を、ヘッド7の移動に先立ってインク吐出部2に入力する。その後、ヘッド7の移動が開始する。最後に、インク吐出部2は、インク吐出タイミング制御部23から入力されたエンコーダのカウント数が指定された数に達したら、インクの吐出を開始する。なお、インク吐出タイミング制御部23が、タイミング信号をコンパレータとCPU(Central Processing Unit)等からなる制御部とに出力する構成としてもよい。ここで、コンパレータは、タイミング信号をゲート信号として検出信号をCPUに出力することになる。また、CPUは、コンパレータからの検出信号を判別できることになる。そして、CPUで判別された結果に基づいて、インク吐出部2の各ノズル10は、複数個の欠陥画素に対してインクを吐出する。
【0052】
(1−2:インク吐出部)
図2はインク吐出部2の構成を模式的に示す図である。インク吐出部2は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色用の3個のヘッド7(ヘッド7R、ヘッド7Gおよびヘッド7B)を有している。各ヘッド7は、ノズル10を備えている。なお、一つの局面において、インク吐出部2は、赤色(R)、緑色(G)または青色(B)のいずれか一色または二色のヘッド7のみを有していてもよい。また、ヘッド7と、ヘッド7に備えられているノズル列とは、平行方向でなくてもよい。
【0053】
各ヘッド7のノズル10が段違いに配置されているのは、各ヘッド7を反時計周りに回転させ、主走査方向に対して斜めに傾けることで、各ヘッド7の両端のノズル10を各ヘッド7の主走査方向と同一方向の直線状になるようにするためである。なお、ヘッド7を主走査方向に対して斜めに傾けることで、各ヘッド7の両端のノズル10が各ヘッド7の主走査方向と同一方向の直線状にならない場合であってもよく、欠陥画素17の形状と位置とに合わせてヘッド7の主走査方向に対する傾きを調整してもよい。
【0054】
図2に示すように、各ヘッド7を主走査方向(図2のV方向)または副走査方向(図2のH方向)に対して斜めに傾けることによって、各ノズル10から吐出されたインクの間隔(図2のIg)は、斜めに傾けない場合に比べて小さくなる。つまり、各ヘッド7を主走査方向(V方向)または副走査方向(H方向)に対して斜めに傾けない場合には、各ノズル10から吐出されたインクの間隔(Ig)は、各ヘッド7における各ノズル10の間隔そのものとなる。これに対して、各ヘッド7を主走査方向(V方向)または副走査方向(H方向)に対して斜めに傾ける場合には、各ノズル10から吐出されたインクの間隔(Ig)は、各ヘッド7における各ノズル10の間隔よりも小さくなる。これにより、欠陥画素に対してより多くのノズルを割り当てることができる。その結果、割り当てられた各ノズル10からのインク吐出量を少なくすることができる。よって、インク吐出部2が高速で移動しても、その移動している間に、所定のインク液滴量を欠陥画素17に対して吐出することができる。したがって、欠陥画素17の形状と位置とに合わせて、各ヘッド7を主走査方向または副走査方向に対して斜めに傾けることが望ましい。
【0055】
(1−3:ヘッド)
図3(a)は、ヘッド7の外観を示す斜視図であり、図3(b)は、ヘッド7と、ヘッド7の各ノズル10からインクを吐出される基板8(CFパネル)とを示す断面図である。また、基板8(CFパネル)は、フィルタ層8aとガラス層8bとの2層からなっている。
【0056】
図3(a)および(b)に示すように、ヘッド7は、ノズル10、筐体11、ノズルプレート12、インク吐出孔13、圧電部材14を備えており、インクを収容している。なお、ノズル10の数は、図2におけるノズル10の数と対応していないが、説明の便宜上、ノズル10の数を4個としている。
【0057】
具体的には、筐体11の開口は、ノズルプレート12によって防がれている。ノズルプレート12には、ノズル10が所定の間隔をあけて備えられている。ノズル10には、直径が約20μmであるインク吐出孔13が形成されている。筐体11の内部には、インク流路15を形成するように圧電部材14が備えられている。ノズル10から基板8にインクが吐出される際には、印加された電圧に応じて圧電部材14が振動することにより、インク流路15に沿って、ノズル10からインク滴16が基板8に吐出される。
【0058】
なお、インクジェットを連続的に使用していると、ヘッドやインクの経時変化もあって、ノズルが不吐出ノズルになる場合が発生する。ここで、不吐出ノズルとは、ノズル中への異物混入等によって、インクを吐出することができない状態に陥ったノズル、または、吐出したインクの着弾精度が指定された範囲を超えるような不安定な吐出状態に陥ったノズルをいう。その場合、一般にはプライム処理やワイピング処理等の不吐回復処理を行い、安定した吐出状態となるようにする。
【0059】
(1−4:インクの吐出パターン)
次にインクの吐出パターンについて詳細に説明する。なお、本発明の効果をわかりやすく説明するために、初めに本発明において用いるものとは異なるインクの吐出パターンと、その作用効果について述べ、最後に、本実施形態において用いるインクの吐出パターンと、その作用効果について述べる。
【0060】
(第1の参考構成)
図4は、インク吐出部2が欠陥画素に対して修復を行う際の、第1の参考構成におけるインク吐出方法を説明する平面図である。ただし、インクの吐出パターン以外の構成については、本発明に係るインク吐出装置と同様であり、インクの吐出パターン以外の構成の説明は、本実施形態に係るインク吐出装置に対しても適用される。
【0061】
図4は1種類のインクを吐出するヘッド7の構成としているが、例えばカラーフィルターの場合、RGBの3種類のインク用に3個のヘッド構成としても良い。図4において、図2に示したインク吐出部2が、CFパネルの画素に対して斜めに傾けられ、そのインク吐出部2が、CFパネルの画素短辺方向である図4での上方向に移動する。
【0062】
図4において、欠陥画素(インクを吐出すべき領域)17はCFパネルに発生した青色(B)の欠陥画素である。この欠陥画素17に対しては、インク吐出部2の青色用のヘッド7Bを用いてインクの吐出を行う。具体的には、青色用のヘッド7Bの一列に並んでいるノズル10のうち、この欠陥画素17の画素長辺方向幅Xに割り当てられた複数のノズル10から、欠陥画素17に対して、インク滴16を一定間隔で吐出する。
【0063】
ここで、図4に示すように、使用するインクとしてはCFパネルの各画素色に対応した赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の3色のインクとする。インク吐出部2に設けられたヘッド7Rおよび7Gおよび7Bは、各インクが内部でそれぞれ混じり合わないように、互いに分離して設けられており、互いに独立にインクの吐出を制御できる構成とする。また、CFパネルの画素は、略矩形領域形状をしており、インクを充填する画素内側はインクの濡れ広がりが良いように親水化が施され、画素の周囲は隣り合う画素にインクが流れ込まないように撥水化処理が施されて隣接画素間を分離している。
【0064】
図5は、図4においてインク吐出部2が欠陥画素17にインクを吐出して数秒経過した際の、欠陥画素17の画素長辺方向におけるインクの膜厚を示す断面図である。図5において、横軸は欠陥画素17の画素長辺方向の相対位置を示しており、縦軸はインクの膜厚を示している。また、画素はそれぞれ画素境界18(第2の領域)によって区切られている。
【0065】
図5に示すように、インク吐出部2が画素短辺方向に移動する際、欠陥画素17の中で先にインクを吐出された部分Aはインクの膜厚が厚くなり、後にインクを吐出された部分Bはインクの膜厚が薄くなる。つまり、インク吐出の時間差により、後に吐出されたインクが、先に吐出されたインクに引き付けられて、画素内で膜厚が不均一になるという問題を生じる。具体的には、部分Aと部分Bとの膜厚のバラツキは±10%になる。
【0066】
すなわち、画素の印字方向としてノズルを画素短辺方向に走査させて画素内にインクを吐出する際に、画素内に多くのノズルを割り当てるため、複数のノズルを有するヘッドを用いてそのヘッドを傾けてインクを吐出する場合、画素に先に到着したノズルから先に吐出したインクに、後に到着した他のノズルから後に吐出したインクが引き付けられるため、インク着弾後の画素の膜厚形状が不均一になる。その結果、品質の良好な膜を形成することができないという問題点を有している。
【0067】
この問題は、欠陥画素のような撥水性を帯びた媒体上において特に顕著となる。図8に示すように、撥水性を帯びた媒体上では、ほぼ矩形状に吐出したものであってもインク溜まりはティアドロップのような形状となる。なお、レーザ加工装置などを用いて、不要な膜を除去した欠陥画素部は、レーザ加工後の不要な膜の残磋やその後の有機汚染などが原因となってインクの濡れ性が悪い撥水性を帯びている場合が一般的である。また、修復後における色むらなどを考慮すると、欠陥画素全体のCF膜を除去する必要があり、特に、RGBの各色膜で混色した場合、混色した膜全体を除去することが望ましいため、レーザ加工に対しても画素形状と同じ矩形形状で不要膜全体を除去することが要求される。そのため、撥水性を帯びた欠陥画素全体に対してインクを着色する必要がある。
【0068】
(第2の参考構成)
上記問題を解決するための一つ方法として、図6(a)および(b)に示すインク吐出方法がある。図6(a)および(b)は、図4と同様に、インク吐出部2が欠陥画素17に対して修復を行う際のインク吐出方法を説明する平面図である。図4に示すインク吐出方法は、インク吐出部2の各ノズル10から吐出されるインク液滴数を一定としているのに対して、図6(a)および(b)に示すインク吐出方法は、インク吐出部2の各ノズル10から吐出されるインク液適数を、欠陥画素17の画素長辺方向幅Xに割り当てられた複数のノズルのうち、一端のノズル10Aでは減少または増加させ、他端のノズル10Bでは増加または減少させる。
【0069】
ここで、図6(a)および(b)に示すインク吐出方法を詳細に説明する。図6(a)は、欠陥画素17に対して斜めに傾けたインク吐出部2が、CFパネルの画素短辺方向である図6(a)での上方向に移動し、欠陥画素17にインク吐出をして欠陥修復を行っていることを示している。図6(a)において、インク吐出部2の各ノズル10のうち、ノズル10Aは欠陥画素17を最初に通過するノズルであり、ノズル10Bは欠陥画素17を最後に通過するノズルを示す。また、ノズル10Aからノズル10Bの間のノズルは、欠陥画素17の画素長辺方向幅Xに割り当てられた複数のノズルを示す。
【0070】
各ノズル10から吐出されるインク液滴数については、例えば、欠陥画素17を最初に通過するノズル10Aからのインク液滴数は6滴とし、ノズル10Aとノズル10Bとの間に位置するノズル10からのインク液滴数は9滴とし、最後に通過するノズル10Bからのインク液滴数は11滴とするというように、各ノズル10から吐出するインク液滴数を段階的に増加させる。
【0071】
図6(b)は、欠陥画素17に対して斜めに傾けたインク吐出部2が、図6(a)とは逆の走査方向、つまり、CFパネルの画素短辺方向である図6(b)での下方向に移動し、欠陥画素17にインク吐出をして欠陥修復を行っていることを示している。図6(b)において、インク吐出部2の各ノズル10のうち、ノズル10Bは欠陥画素17を最初に通過するノズルであり、ノズル10Aは欠陥画素17を最後に通過するノズルを示す。また、ノズル10Bからノズル10Aの間のノズルは、欠陥画素17の画素長辺方向幅Xに割り当てられた複数のノズルを示す。
【0072】
各ノズル10から吐出されるインク液滴数については、例えば、欠陥画素17を最初に通過するノズル10Bからのインク液滴数は6滴とし、ノズル10Bとノズル10Aとの間に位置するノズル10からのインク液滴数は9滴とし、最後に通過するノズル10Aからのインク液滴数は11滴とするというように、各ノズル10から吐出するインク液滴数を段階的に増加させる。
【0073】
なお、本実施の形態では、各ノズル10から吐出するインク液滴数を増加させることで各ノズル10から吐出するインク液滴量を増加させたが、各ノズル10から吐出するインク液滴数を一定として、インク1滴当たりの液量を増加させることで各ノズル10から吐出するインク液滴量を増加させてもよい。
【0074】
図7は、図6(a)および(b)においてインク吐出部2が欠陥画素17にインクを吐出して数秒経過した際の、欠陥画素17の画素長辺方向における膜厚補正前および膜厚補正後のインクの膜厚を示す断面図である。図7において、図5と同様に、横軸は欠陥画素17の画素長辺方向の相対位置を示しており、縦軸はインクの膜厚を示している。また、画素はそれぞれ画素境界18によって区切られている。
【0075】
図7に示すように、インク吐出部2が画素短辺方向に移動する際、欠陥画素17を最初に通過するノズルから欠陥画素17を最後に通過するノズルに向かって吐出するインク液滴数を段階的に増加させることにより、膜厚のバラツキが大きく低減していることが分かる。つまり、欠陥画素17の中で先にインクを吐出された部分A’において、補正前はインクの膜厚が厚くなっていたが、補正後はインクの膜厚が厚くなっていることはない。また、欠陥画素17の中で後にインクを吐出された部分B’において、補正前はインクの膜厚が薄くなっていたが、補正後はインクの膜厚が薄くなっている程度が低減されている。そして、部分A’と部分B’とのインクの膜厚のバラツキが大きく低減している。
【0076】
しかしながら、段階的にインク量を増加減させて膜厚が均等になるようにインク量を制御するだけでは、撥水性を帯びた欠陥画素内では特にそのコーナー部においてインクが十分に広がり難い課題が発生する。
【0077】
(本実施形態の構成)
本実施形態に係るインク吐出装置は、画素コーナー部などインク吐出対象の境界部分においてもインクが広がらず僅かな輝点となり得る部分をなくすため、図6で示した各ノズルからの液滴数を段階的に増加もしくは減少させる方法に加えて、図9に示すように欠陥画素の形状輪郭部を構成する位置に積極的にインクの着弾を図るように、各ノズルから吐出するインク着弾位置を制御する。
【0078】
このように、輪郭部にも積極的にインクを着弾させることによって、インクの充填し難いコーナー部においてもインクを広げることができ、僅かな輝点と成り得る特に欠陥画素のコーナー部分などのインク吐出対象の境界付近においても十分にインクを充填できるものである。
【0079】
なお、図9ではヘッドが傾いている場合を示したが、ヘッドが傾いていない場合でも同様に、インクの着弾位置には輪郭部を形成するように制御することが好ましい。図9ではまた、ヘッドの進行方向を一方向での例で示しているが、進行方向が反転した逆方向の場合でも同様であり、吐出対象物の形状の輪郭を形成する位置にインクを着弾させることが必要である。
【0080】
以上のように、欠陥画素のインク吐出対象部の輪郭部位置にインクを着弾させることで、特にコーナー部などのインクの吐出対象物の境界部分に十分なインクを与えることができ、画素品質として、輝点のない良質なものを生成することができるものである。
【0081】
更に、図10で示すように輪郭部を形成するインクの着弾位置は、装置ステージ精度やインクジェットヘッドの吐出ばらつき精度を加味したインクジェット吐出装置における吐出位置精度a(μm)とインク吐出液滴の大きさ2b(μm)を考慮することが望ましく、インク吐出対象へのインク着弾位置はその境界から少なくともa+b(μm)内側へ吐出することによって欠陥画素の境界部における着弾が他の画素位置やその境界部を越える位置へ着弾することを防ぐことができ、良質な画素修復形成が可能となる。
【0082】
以上を具体的に述べれば、まず、インク吐出領域認識部3が、基板8(CFパネル)上に発生した複数個の欠陥画素の輪郭部分を以下のように認識する。
【0083】
図13は、本実施形態に係る基板8を示す平面図である。図13に示すように、基板8上の画素の輪郭付近には、画素同士間の境界を超えたインクの流入を防ぐため画素境界18上に形成された撥水性のBM(Black Matrix)膜24が存在している。したがって、インク滴17を吐出すべき画素開口部はBM膜24に囲まれた領域となる。欠陥画素部の輪郭を特定し、インクを吐出する対象となるその開口部を特定するためには、BM膜24の幅情報を用いることが好ましい。例えば、画素開口部の面積は下記の式1で表される。
【0084】
画素開口部の面積=(画素長辺長さ−BM幅(画素長辺方向))
×(画素短辺長さ−BM幅(画素短辺方向))………(式1)
インク吐出領域認識部3は、カメラ等を用いて基板8上の欠陥画素17を認識してもよい。すなわち、基板8の画像データ上の各点について所定の色に着色されるか否かを判断し、所定の色に着色されていない部分を欠陥画素17として認識する。その際、BM膜24を併せて認識することにより、欠陥画素17全体の形状を特定してもよい。また、欠陥画素17に対し不要なCF膜を除去したレーザ加工装置(図示せず)から電子データを介して座標値を受け取ってもよい。
【0085】
欠陥画素17の座標データは、図13に示すように画素の中心位置を示すデータとすることもできるがこれに限られない。すなわち、欠陥画素17の座標データは画素の四隅の位置をデータ等、当業者が容易に該座標データから欠陥画素17の輪郭位置を特定し得るデータであればよい。
【0086】
例えば、画素の中心位置を座標データとして取得した場合、予め入力されたレシピ情報(各画素の長辺方向および短辺方向の長さ、BM膜24の画素長辺方向および画素短辺方向のそれぞれの幅)に基づいて欠陥画素17の座標データから、その輪郭部分の位置を特定し得る。例えば、欠陥画素17の長辺方向(以降、第1の方向とする)の上記輪郭部分の位置は下記の式2として表すことができ、欠陥画素17の短辺方向(以降、第2の方向とする)の上記輪郭部分の位置は下記の式3として表すことができる。なお、BM膜24の特定方向の幅を「BM幅」と表す。
【0087】
輪郭部分の第1の方向の位置=欠陥画素座標±(画素長辺の長さ−BM幅(画素長辺
方向))/2………(式2)
輪郭部分の第2の方向の位置=欠陥画素座標±(画素短辺の長さ−BM幅(画素短辺
方向))/2………(式3)
インク吐出領域認識部3は、上記のように認識した欠陥画素17の輪郭部分の位置を示すデータをインク吐出パターン生成部6に出力する。インク吐出パターン生成部6は、上記データに基づいて、すくなくとも上記輪郭部分にインク滴16が吐出されるようにインク吐出パターンを生成する。
【0088】
一実施形態において、上記インク吐出パターンは欠陥画素17の開口部の輪郭部分において密となるような吐出パターンを生成する。一つの局面において、欠陥画素17の開口部をいくつかの分割領域に分割してもよい。図14は欠陥画素17の分割を説明する平面図である。図14で示すように欠陥画素17の開口部を、各ノズル10が通過する位置に基づき均等に分割する。そして、各分割領域について、欠陥画素17の輪郭近傍が重くなるように重み付けを行う。重く重み付けされた分割領域にたいして、吐出するインク滴16が密となるように(同一領域内にと出されるインク滴数が多くなるように)インク吐出パターンを生成する。
【0089】
また、他の局面において、すくなくとも欠陥画素17の輪郭部分にインク滴16が吐出されるようにインク吐出パターンを生成するために、ノズル10の第1の方向の位置が、式2で示される位置に近づいたとき、または、ノズル10の第2の方向の位置が、式3で示される位置に近づいたときインク滴16が吐出されるようにインクパターンを形成する。
【0090】
さらに、一実施形態において、インク吐出パターン生成部6は、上記輪郭部分の位置情報に加えて、インクの吐出の際に発生し得るずれ(着弾精度)および吐出時におけるインク滴16の大きさに基づき、欠陥画素17の開口部内に着弾するように詳細な吐出位置を算出する。インク滴16が「着弾」するとは、ノズル10から吐出されたインク滴16が基板8上の任意の位置に初めて接触することが意図される。「吐出時におけるインク滴16の大きさ」(液滴サイズ)とは、インク滴16が、基板8に着弾押し出され、完全にノズル10から離れてインク滴となった時点における径が意図される。吐出時におけるインク滴16の大きさは、インクの粘度および吐出量等に依存するデータであり、予め実験により求めておくことが好ましいが、インクの粘度および吐出量等から計算してもよい。また、インク着弾精度は、インク吐出装置1における絶対位置精度、繰り返し精度等の装置精度、ならびにヘッド7におけるインク吐出精度等が存在する。これらの精度は、予め実験によって求めておくことが好ましい。
【0091】
具体的には、一つの局面において、インク吐出パターン生成部6は、下記の式4または式5のいずれかを満たす位置に、すくなくともインクを吐出するようにインク吐出パターンを生成する。
【0092】
第1の方向での吐出位置=欠陥画素座標±(画素長辺の長さ−BM幅(画素長辺方向)
−(着弾精度+液滴サイズ))/2………(式4)
第2の方向での吐出位置=欠陥画素座標±(画素短辺の長さ−BM幅(画素短辺方向)
−(着弾精度+液滴サイズ))/2………(式5)
すなわち、欠陥画素17の境界よりも(着弾精度+液滴サイズ)/2の長さだけ内側の位置に着弾するようにインク吐出パターンが生成されるので、装置等に起因するインク着弾位置のずれが生じても、インク滴16は、必ず欠陥画素17の開口部内に着弾する。そして、上述したように、BM膜24は撥水性でありインク滴16の広がりを遮るため、インク滴16は、境界領域および隣接画素にまで広がらない(実験により検証。データ示さず)。これにより、欠陥画素17の境界を超えてインク滴16が付着することを防ぐことができる。
【0093】
そして、インク吐出タイミング制御部23が、上記インク吐出パターンをインク吐出タイミング信号としてインク吐出部2に出力する。当業者であれば、周知慣用技術を用いれば、上記インク吐出パターンに基づいて、インク吐出タイミング信号を容易に生成し得ることを容易に理解する。一実施形態において、インク吐出タイミング制御部23は、ヘッドの移動制御部22から出力されたヘッド7の移動情報を示す信号に基づいて、インク吐出部2の各ノズル10が、どのタイミングで上記インク吐出パターンに対応する位置に到達するかを算出し、その結果に基づいて、インクを吐出するまでのカウント数を指定したインク吐出タイミング信号(エンコーダ信号)をインク吐出部2に出力する。
【0094】
そして、インク吐出部2の各ノズル10は、インク吐出パターン生成部6から出力されたインク吐出タイミング信号に基づいて、複数個の欠陥画素に対してインクを吐出する。以上により、欠陥画素17の輪郭部分にインク滴を着弾させることができる。
【0095】
〔2:インク吐出装置の制御方法〕
本発明のインク吐出装置の制御方法について図11のフローチャートに基づいて説明すれば以下の通りである。
【0096】
ステップ1において、インク吐出領域認識部3が、インク吐出領域の認識を行う(輪郭特定工程)。本ステップでは、インク吐出領域認識部3は、インク吐出領域とともに、その輪郭部分についても認識を行う。
【0097】
ステップ2において、ヘッドの角度制御部21およびインク吐出液滴数演算部5が、インク吐出領域の形状および大きさの少なくとも一方に基づき、それぞれヘッド角度および吐出液滴数を算出する。
【0098】
ステップ3において、インク吐出パターン生成部6が、算出したヘッド角度および吐出液滴数に基づき、すくなくとも上記輪郭部分にインクを吐出するように、吐出パターンを生成する。
【0099】
ステップ4において、インク吐出パターン生成部6が、全てのインク吐出領域について吐出パターンを生成したかを判断する。吐出パターンを生成した場合(YESの場合)には、後述するステップ5に進む。一方、吐出パターンを生成していない場合(NOの場合)には、ステップ2に戻る。
【0100】
ステップ5において、インク吐出順番決定部4が、CFパネルに対するインク吐出順番の決定を行う。
【0101】
ステップ6において、インク吐出パターン生成部6が、インク吐出順番に基づく吐出パターンの累積を行う。
【0102】
ステップ7において、インク吐出タイミング制御部23が、吐出パターンおよびインク吐出タイミングをインク吐出部に入力する(タイミング制御工程)。本ステップでは、インク吐出タイミング制御部23が、すくなくとも上記輪郭部分にインクを吐出するようにステップ2〜3において生成された吐出パターンに基づいてインク吐出タイミングを生成し、吐出パターンおよびインク吐出タイミングをインク吐出部に入力する。
【0103】
ステップ8において、ヘッドの移動制御部22が、インク吐出順番に基づき、ヘッドがCFパネルの吐出位置へ移動する。
【0104】
ステップ9において、インク吐出部2が、インクを吐出する。
【0105】
ステップ10において、インク吐出領域認識部3が、次の吐出位置があるかを判断する。次の吐出位置がある場合(YESの場合)には、ステップ8に戻る。一方、次の吐出位置がない場合(NOの場合)には、インク吐出動作が終了する。
【0106】
上記の制御方法によれば、ステップ1において、インク吐出領域の輪郭部分が特定され、ステップ2〜3において、すくなくとも上記輪郭部分にインクが吐出されるように吐出パターンが生成され、ステップ7において、上記吐出パターンに基づいてインク吐出タイミングを生成し、吐出パターンおよびインク吐出タイミングをインク吐出部に入力し、ステップ9において上記インク吐出タイミングに基づいてインクの吐出が行われる。これにより、すくなくとも上記輪郭部分にインクが吐出され、輝点のない画素を形成することができる。
【0107】
また、一つの局面において、上記の制御方法のステップ2〜3では、インク吐出パターン生成部6が、インク吐出装置1におけるインク吐出精度a(μm)と吐出時のインク滴16の大きさ2b(μm)を考慮して吐出パターンを生成する。これにより、上述したように、欠陥画素17の境界を超えてインク滴16が着弾することを防ぐことができる。
【0108】
また、前述した実施の形態では、CFパネルに生じた欠陥画素の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。マトリクス状またはストライプ状に並んだ複数のインク被吐出部を有するエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置の製造についても本発明を適用することができる。また、プラズマ表示装置の背面基板の製造についても本発明を適用することができ、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造および配線の製造についても本発明を適用することができる。
【0109】
本実施の形態において、インク吐出装置1は、ヘッドの移動制御部22を備えているとしたが、ヘッドの移動制御部22の代わりに媒体の移動制御部を備えていてもよい。つまり、インク吐出装置1は、媒体が移動する構成であってもよい。その場合、ヘッドの移動制御部22以外の構成は、前記実施の形態と同じであり、適宜実施の形態の図面も参照する。
【0110】
このように、本発明に係るインク吐出装置およびその制御方法は、例えば、ヘッドまたは媒体を相対的に移動させる手段を有するインク吐出装置であって、該ヘッドあるいはノズル列が上記インク吐出装置の移動方向に対して斜めに傾けられ、かつノズルの一端から他端に向かってインク吐出量を段階的に増大あるいは減少させる吐出手段を有するという構成を有しているものであれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0111】
また、本発明に係るインク吐出装置およびその制御方法は、例えば、前記媒体は基板であり、基板上の略短形形状の所定領域に吐出するインク吐出装置であって、該所定領域の長手方向は上記インク吐出装置の移動方向とほぼ直角に形成するという構成であってもよい。
【0112】
また、本発明に係るインク吐出装置およびその制御方法は、例えば、前記インク吐出装置は、前記基板の所定領域に対して、該所定領域長手方向の横幅に割り当てられた前記傾けたノズル列のうち所定領域に早く到着し吐出するノズルからのインク吐出量を減少させ、遅く吐出するノズルからのインク吐出量を増加させる吐出手段を有するという構成であってもよい。
【0113】
また、本発明に係るインク吐出装置およびその制御方法は、例えば、前記ヘッドあるいはノズル列の上記基板搬送方向に対して斜めに傾けられた角度は、上記所定領域長手方向の長さによって調整するという構成であってもよい。
【0114】
また、本発明に係るインク吐出装置およびその制御方法は、例えば、前記基板が、液晶表示装置用CFパネルであるという構成であってもよい。
【0115】
また、本発明に係るインク吐出装置およびその制御方法について、インク吐出手段が複数のインク吐出孔を備えている場合について説明したが、インク吐出孔は単独であってもよい。インク吐出孔が単独であっても、上述したインク吐出パターンおよびインク吐出タイミングにてインクを吐出させ得ることを当業者は容易に理解する。
【0116】
本発明はまた、以下のように表現することができる。
【0117】
(第1の構成)
インクの吐出対象物である媒体に対して相対的に移動可能であり、媒体に対してインクを吐出可能とする複数のノズルがノズル列として設けられるヘッドを備えるインク吐出装置であって、前記ヘッドに対して主走査方向での一定速度での移動と、主走査方向に直交した副走査方向での移動可能な移動制御手段と、前記ノズル列の中からインクの吐出対象物に対してインクを噴射するノズルを決定する吐出対象ノズル決定手段と、インクの吐出対象物への適量なインク量を算出し吐出するように制御するインク吐出量制御手段と、吐出対象ノズル群に対してインク吐出量制御手段によって算出されたインクの吐出対象物へのインク量に基づき、インク滴をインクの吐出対象物内に納まるように吐出する際に、少なくともインクの吐出対象物形状の輪郭を形成する位置に、インク滴を着弾させるようにインクの吐出を制御するインク吐出タイミング制御手段とを備えることを特徴とするインク吐出装置。
【0118】
(第2の構成)
前記インク吐出タイミング制御手段ではインク吐出装置におけるインク着弾精度とインク液滴の吐出時の大きさに基づき、インクの吐出対象物の輪郭から内側方向にインクを着弾させることを特徴とするインク吐出装置。
【0119】
(第3の構成)
表示装置用カラーフィルターパネルの欠陥画素修復用に用いられることを特徴とする第1の構成または第2の構成に記載のインク吐出装置。
【0120】
(第4の構成)
上記カラーフィルターパネルが、液晶表示用にあることを特徴とする第3の構成に記載のインク吐出装置。
【0121】
(第5の構成)
インクの吐出対象物である媒体に対して相対的に移動可能であり、媒体に対してインクを吐出可能とする複数のノズルがノズル列として設けられるヘッドを備えるインク吐出装置であって、前記ヘッドに対して主走査方向での一定速度での移動と、主走査方向に直交した副走査方向での移動可能な移動制御手段と、前記ノズル列の中からインクの吐出対象物に対してインクを噴射するノズルを決定する吐出対象ノズル決定手段と、インクの吐出対象物への適量なインク量を算出し吐出するように制御するインク吐出量制御手段と、吐出対象ノズル群に対してインク吐出量制御手段によって算出されたインクの吐出対象物へのインク量に基づき、インク滴をインクの吐出対象物内に納まるように吐出する際に、少なくともインクの吐出対象物形状の輪郭を形成する位置に、インク滴を着弾させるようにインクの吐出を制御するインク吐出タイミング制御手段とを備えることを特徴とするインク吐出制御手段。
【0122】
(第6の構成)
前記インク吐出タイミング制御手段ではインク吐出装置におけるインク着弾精度とインク液滴の吐出時の大きさに基づき、インクの吐出対象物の輪郭から内側方向にインクを着弾させることを特徴とするインク吐出制御手段。
【0123】
上記の構成を有していることにより、膜厚形状が均一で、輝点のない品質が良好な膜を形成し、さらに、欠陥画素の修復時間を短縮することができるインク吐出装置およびその制御方法を提供する。ヘッドの移動制御部22と、インク吐出領域認識部3と、インク吐出タイミング制御部23と、インク吐出液滴数演算部5とを備えていることにより、同一ノズル列内でインク吐出タイミングをずらし、インク吐出量を段階的に増加させることができることに加え、インク吐出対象部の輪郭を形成する位置にも積極的にインク滴を着弾させるように吐出タイミングを制御する。
【0124】
これにより、インク着弾後のインク吐出領域の膜厚形状を全体として均一にすることができ、更にコーナー部を含むインク吐出対象の境界付近でのインク濡れ広がり残りをなくす。その結果、品質の良好な膜を形成することができる。また、ヘッド7は、複数のノズル10を有するノズル列を備えているので、欠陥画素の修復時間を短縮することができる。
【0125】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、CFパネルに生じた欠陥画素の修復に利用することができる。また、本発明は、マトリクス状またはストライプ状に並んだ複数のインク被吐出部を有するEL表示装置の製造についても利用することができる。また、本発明は、プラズマ表示装置の背面基板の製造についても利用することができ、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造、および、配線の製造についても利用することができる。
【0127】
インクジェットパターニング技術が用いられるインク吐出装置により生産されるCFパネルを備えた液晶表示装置は、近年益々大型化しているので、膜厚形状が均一で品質が良好な膜を基板上に形成し、かつ、欠陥画素に対しては正確に位置調整を行い欠陥を修復して、高画質な画像を実現することが求められている。さらに、欠陥画素にインクを吐出することにより欠陥画素を修復する時間を短縮することは極めて重要である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の一実施形態におけるインク吐出装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるインク吐出部を示す模式図である。
【図3】(a)は、本発明の一実施形態におけるヘッドを示す斜視図であり、(b)は、本発明の一実施形態におけるヘッドとCFパネルが形成された基板とを示す断面図である。
【図4】インク吐出方法を説明する平面図である。
【図5】吐出されたインクの膜厚を示す断面図である。
【図6】(a)は、インク吐出方法を説明する平面図であり、(b)は、インク吐出方法を説明する平面図である。
【図7】吐出されたインクの膜厚を示す断面図である。
【図8】撥水性を有す基板上に吐出されたインクの液溜まりを示す平面図である。
【図9】本発明の一実施形態におけるインク吐出方法を説明する平面図である。
【図10】本発明の一実施形態におけるインクの着弾位置を説明する模式図である。
【図11】本発明の一実施形態におけるインク吐出制御方法を示すフローチャートである。
【図12】従来技術におけるインク吐出方法を説明する模式図である。
【図13】本発明の一実施形態におけるカラーフィルターパネルを示す平面図である。
【図14】本発明の一実施形態における欠陥画素を示す平面図である。
【符号の説明】
【0129】
1 インク吐出装置
2 インク吐出部(インク吐出手段)
3 インク吐出領域認識部(輪郭特定手段)
4 インク吐出順番決定部
5 インク吐出液滴数演算部
6 インク吐出パターン生成部
7 ヘッド
7R ヘッド
7G ヘッド
7B ヘッド
8 基板
8a フィルタ層
8b ガラス層
10 ノズル
11 筐体
12 ノズルプレート
13 インク吐出孔
14 圧電部材
15 インク流路
16 インク滴
17 欠陥画素(第1の領域)
18 画素境界(第2の領域)
21 ヘッドの角度制御部
22 ヘッドの移動制御部
23 インク吐出タイミング制御部(タイミング制御手段)
24 BM膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体上に設けられた第1の領域内に、インク吐出孔を介してインクを吐出するインク吐出手段を備えているインク吐出装置であって、
第1の領域における輪郭部分を特定する輪郭特定手段と、
少なくとも上記特定された輪郭部分に上記インクを着弾させるように、上記インク吐出手段によるインク吐出のタイミングを制御するタイミング制御手段とをさらに備えていることを特徴とするインク吐出装置。
【請求項2】
第1の領域が、上記インクに対する親和性が第1の領域に比べて低い第2の領域に囲まれており、
上記タイミング制御手段が、少なくとも上記インク吐出装置におけるインク着弾精度および吐出時のインク液滴の大きさに基づいて、上記タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載のインク吐出装置。
【請求項3】
表示装置用カラーフィルターパネルの欠陥画素を修復するために用いられることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のインク吐出装置。
【請求項4】
上記カラーフィルターパネルが、液晶表示用カラーフィルターパネルであることを特徴とする請求項3に記載のインク吐出装置。
【請求項5】
媒体上に設けられた第1の領域内に、インク吐出孔を介してインクを吐出するインク吐出手段を備えているインク吐出装置の制御方法であって、
第1の領域における輪郭部分を特定する輪郭特定工程と、
少なくとも上記特定された輪郭部分に上記インクを着弾させるように、上記インク吐出手段によるインク吐出のタイミングを制御するタイミング制御工程とを包含していることを特徴とするインク吐出装置の制御方法。
【請求項6】
第1の領域が、上記インクに対する親和性が第1の領域に比べて低い第2の領域に囲まれており、
上記タイミング制御工程が、少なくとも上記インク吐出装置におけるインク着弾精度および吐出時のインク液滴の大きさに基づいて、上記タイミングを制御することを特徴とする請求項5に記載のインク吐出装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−233692(P2008−233692A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75495(P2007−75495)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】