説明

インバータ制御駆動装置およびそれを用いた掘削機

【課題】従来の掘削機械では、複数の汎用モータの各インバータの出力周波数を同じにしてもモータのすべりや駆動装置(ギア)のバックラッシュにより、汎用モータから回生電力が発生する。
【解決手段】2個の汎用モータ5a、5bを制御するインバータ8a、8bを、コンバータ部14a、14bと、該コンバータ部14a、14bからの出力電圧を平滑するコンデンサ部15a、15bと、該コンデンサ部15a、15bにより平滑された直流電圧を三相交流に変換する出力ブリッジ部16a、16bと、コンバータ部14a、14bとコンデンサ部15a、15bの間に接続された突入電流抑制抵抗部18a、18bと、該突入電流抑制抵抗部18a、18bに並列接続された第一スイッチ19a、19bと、を有し、第一スイッチ19a、19bは、コンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧が第一規定電圧に達すればONに切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ制御駆動装置およびそれを用いた掘削機に関する。詳しくは、回転軸と、該回転軸を回転させる2個の汎用モータと、各汎用モータに対応して設けられ、汎用モータを駆動制御するインバータと、を備えたインバータ制御駆動装置およびそれを用いた掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルをつくる掘削機械として、回転カッタを複数の汎用モータで駆動制御し、各モータには汎用インバータがそれぞれ備えられているものがあった。
【0003】
この掘削機械は、3台の汎用モータ(三相誘導電動機)の出力軸がそれぞれ減速機を介してピニオンに連結されている。3台のピニオンが回転カッタに連結されているので、3台の汎用モータは同じ回転速度を持つことになる。3台の汎用モータはそれぞれ個別に備えられた汎用インバータ(三相用のインバータ)により駆動制御される。3台のモータの出力軸は同じ負荷に連結されている。この場合、各インバータにおける誤差等に起因して各インバータからの出力周波数に差が生じると同期回転のずれが生じることから、各インバータの出力周波数を同じにし、3台の汎用モータの負荷をバランスさせるものであった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−265784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の掘削機械では、3台の汎用モータの各インバータの出力周波数を同じにすることにより、3台の汎用モータの出力トルクが同じになるという前提にたったものであるが、実際各インバータの出力周波数を同じにしてもモータのすべりや駆動装置(ギア)のバックラッシュにより、汎用モータの出力トルクが同じにならず、3台の汎用モータに流れる電流差が生じ、汎用モータから回生電力が発生する。さらに、この状態で汎用モータが減速されると汎用モータからさらに大きい回生電力が発生し、その回生電力がインバータ内で整流されて、インバータ直流回路の母線電圧が上昇させてしまう。この回生電力による母線電圧の上昇が、母線に接続された整流器やスイッチング素子の定格を超えると、これらの機器に電圧破壊を生じる恐れがあった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、汎用モータに生ずる回生電力に影響を受けず、汎用モータを確実に回転させるとともに、汎用モータに最大限の出力を発揮させることができるインバータ制御駆動装置およびそれを用いた掘削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、2個の汎用モータに対応してそれぞれ設けられ、汎用モータを駆動制御するインバータを備えたインバータ制御駆動装置であって、インバータは、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部と、該コンバータ部からの出力電圧を平滑するコンデンサ部と、該コンデンサ部により平滑された直流電圧を三相交流に変換し、汎用モータに出力する出力ブリッジ部と、コンバータ部とコンデンサ部の間に接続された突入電流抑制抵抗部と、該突入電流抑制抵抗部に並列接続された第一スイッチと、を有し、汎用モータのうちの一方の汎用モータのコンデンサ部と他方の汎用モータのコンデンサ部を並列接続させ、該並列回路内の一方の汎用モータのコンデンサ部と他方の汎用モータのコンデンサ部の間に接続された第二スイッチと、第二スイッチが設けられた並列回路に放電抵抗が並列接続され、該放電抵抗が設けられた並列回路に接続された第三スイッチと、を設け、第一スイッチは、該第一スイッチが接続されている汎用モータのコンデンサ部のコンデンサ電圧が第一規定電圧に達することによりOFFからONに切り替わり、第二スイッチは、2つの汎用モータのコンデンサ部のコンデンサ電圧が第一規定電圧より高い第二規定電圧に達することによりOFFからONに切り替わり、その後ONを継続し、第三スイッチは、第二スイッチがOFFからONに切り替えられた後にOFFからONに切り替えられることを特徴とする。
【0008】
交流電源によりコンデンサ部が充電される初期段階においては、突流電流の影響により、瞬時電圧低下を招くが、本発明によれば、第一スイッチが、第一スイッチが接続されている汎用モータのコンデンサ部のコンデンサ電圧が第一規定電圧に達することによりOFFからONに切り替わるので、突流電流が抑制され瞬時電圧低下が発生することがない。また、第二スイッチが、2つの汎用モータのコンデンサ部のコンデンサ電圧が第一規定電圧より高い第二規定電圧に達することによりOFFからONに切り替わるので、汎用モータのすべりや駆動装置(ギア)のバックラッシュにより2台の汎用モータに流れる電流差が生じ、一方の汎用モータから回生電力が発生しても、その回生電力を他方の汎用モータにより消費することができ、コンデンサ部のコンデンサ電圧の上昇を軽減することができる。さらに、汎用モータが減速される際には汎用モータからさらに大きい回生電力が発生するが、本発明によれば、第三スイッチが、第二スイッチがONに切り替えられた後にOFFからONに切り替えられるので、その回生電力を放電抵抗に流して熱エネルギーに変換することができる。また、交流電源の電源電圧が変動したときも、この放電抵抗により熱エネルギーに変換することができる。これにより、母線電圧が上昇しても、母線に接続された整流器やスイッチング素子の電圧破壊を防止することができる。また、第二スイッチがOFFからONに切り替わった後はその後ONを継続するようにしているので、2つの汎用モータのそれぞれに放電抵抗を設ける必要がなく、1つの放電抵抗で2つの汎用モータの回生電力を消費させることができる。
【0009】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第2の態様に係るものは、2個の汎用モータに対応してそれぞれ設けられ、汎用モータを駆動制御するインバータを備えたインバータ制御駆動装置であって、インバータ部は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部と、該コンバータ部からの出力電圧を平滑するコンデンサ部と、該コンデンサ部により平滑された直流電圧を三相交流に変換し、汎用モータに出力する出力ブリッジ部と、コンバータ部とコンデンサ部の間に接続された突入電流抑制抵抗部と、該突入電流抑制抵抗部に並列接続された第一スイッチと、を有し、汎用モータのうちの一方の汎用モータのコンデンサ部と他方の汎用モータのコンデンサ部を並列接続させ、該並列回路内の汎用モータのコンデンサ部と他方の汎用モータのコンデンサ部の間に接続された第二スイッチと、第二スイッチが設けられた並列回路に放電抵抗が並列接続され、該放電抵抗が設けられた並列回路に接続された第三スイッチと、を設け、第一スイッチは、該第一スイッチが接続されている汎用モータのコンデンサ部のコンデンサ電圧が第一規定電圧に達することによりOFFからONに切り替わり、第二スイッチは、2つの汎用モータの第一スイッチがOFFからONに切り替わることによりOFFからONに切り替わり、その後ONを継続し、第三スイッチは、第二スイッチがOFFからONに切り替えられた後にOFFからONに切り替えられることを特徴とする。
【0010】
交流電源によりコンデンサ部が充電される初期段階においては、突流電流の影響により、瞬時電圧低下を招くが、本発明によれば、第一スイッチが、第一スイッチが接続されている汎用モータのコンデンサ部のコンデンサ電圧が第一規定電圧に達することによりOFFからONに切り替わるので、突流電流が抑制され瞬時電圧低下が発生することがない。また、第二スイッチが、2つの汎用モータの第一スイッチがOFFからONに切り替わることによりOFFからONに切り替わるので、汎用モータのすべりや駆動装置(ギア)のバックラッシュにより2台の汎用モータに流れる電流差が生じ、一方の汎用モータから回生電力が発生しても、その回生電力を他方の汎用モータにより消費することができ、コンデンサ部のコンデンサ電圧の上昇を軽減することができる。さらに、汎用モータが減速される際には汎用モータからさらに大きい回生電力が発生するが、本発明によれば、第三スイッチが、第二スイッチがONに切り替えられた後にOFFからONに切り替えられるので、その回生電力を放電抵抗に流して熱エネルギーに変換することができる。また、交流電源の電源電圧が変動したときも、この放電抵抗により熱エネルギーに変換することができる。これにより、母線電圧が上昇しても、母線に接続された整流器やスイッチング素子の電圧破壊を防止することができる。また、第二スイッチがOFFからONに切り替わった後はその後ONを継続するようにしているので、2つの汎用モータのそれぞれに放電抵抗を設ける必要がなく、1つの放電抵抗で2つの汎用モータの回生電力を消費させることができる。
【0011】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1または2の態様に係るインバータ制御駆動装置であって、回転軸を回転させる各汎用モータの有効電流を検出するモータ電流検出器と、該モータ電流検出器により検出された2つの汎用モータの電流差を検出する電流差検出手段と、を設け、該電流差検出手段により検出された2つの汎用モータの電流差をなくすように、モータ電流検出器により検出された電流値が小さいほうの汎用モータのインバータ出力周波数を増加させるように制御することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、2台の汎用モータにすべりや駆動装置(ギア)のバックラッシュなどが生ずると、汎用モータの出力トルクが同じにならず、2台の汎用モータに流れる電流差が生じ、電流が少ないほうの汎用モータが多いほうの汎用モータに引っ張られるようになり、汎用モータ全体として最大出力を供給することができない。本発明によれば、電流差検出手段により検出された2つの汎用モータの電流差をなくすように、モータ電流検出器により検出された電流値が小さいほうの汎用モータのインバータ出力周波数が増加させるので、各汎用モータの分担割合を均等にすることができ、汎用モータ全体としての最大出力を負荷に与えることができる。
【0013】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1または2の態様に係るインバータ制御駆動装置であって、放電抵抗は、汎用モータの回生電力および交流電源の電源電圧の変動による変動電力を吸収可能な定格電力を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、放電抵抗が、汎用モータの回生電力および交流電源の電源電圧の変動による変動電力を吸収可能な定格電力を有するので、放電抵抗により回生電力を十分消費させることができるとともに、交流電源の電源電圧の上昇時にも放電抵抗により消費させることができる。これにより、汎用モータの回生電力だけでなく、交流電源の電源電圧の変動電力によるコンデンサ部のコンデンサ電圧の上昇も軽減することができる。
【0015】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第1または2の態様に係るインバータ制御駆動装置を用いた掘削機であって、回転軸と一体に回動する太陽歯車と、太陽歯車の外周を覆うように、該太陽歯車に空隙を介して同軸状に配設されている内歯車と、空隙に配設され太陽歯車及び内歯車に噛合する遊星歯車と、回転軸に取り付けられたドリルと、内歯車に取り付けられた掘削刃とを、有し、ドリルおよび掘削刃により掘削することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、回転軸と一体に回動する太陽歯車と、太陽歯車の外周を覆うように、該太陽歯車に空隙を介して同軸状に配設されている内歯車と、空隙に配設され太陽歯車及び内歯車に噛合する遊星歯車と、回転軸に取り付けられたドリルと、内歯車に取り付けられた掘削刃とを有しているので、少ない歯車数で大きな減速比を得ながら掘削することができ、掘削機の小型化も図ることができる。
【0017】
本発明のうち第6の態様に係るものは、第第1または2の態様に係るインバータ制御駆動装置を用いた掘削機であって、汎用モータにより回転される回転軸と一体に回動する太陽歯車と、太陽歯車の外周を覆うように、該太陽歯車に空隙を介して同軸状に配設されている内歯車と、空隙に配設され太陽歯車及び内歯車に噛合する遊星歯車と、回転軸の回転により回動するドリルと、遊星歯車の公転運動により回動する掘削刃とを、有し、ドリルおよび掘削刃により掘削することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、汎用モータにより回転される回転軸と一体に回動する太陽歯車と、太陽歯車の外周を覆うように、該太陽歯車に空隙を介して同軸状に配設されている内歯車と、空隙に配設され太陽歯車及び内歯車に噛合する遊星歯車と、回転軸の回転により回動するドリルと、遊星歯車の公転運動により回動する掘削刃とを有しているので、少ない歯車数で大きな減速比を得ながら掘削することができ、掘削機の小型化も図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、汎用モータに生ずる回生電力に影響を受けず、モータを確実に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)本発明の一実施形態におけるインバータ制御駆動装置が用いられた掘削機の上面図X軸方向の側面図である。 (b)同掘削機の上面図Y軸方向の側面図である。 (c)同掘削機の上面図である。
【図2】図1(b)および図1(c)のA−A断面図である。
【図3】図1(a)のB−B断面図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるインバータ制御駆動装置の回路図を示す図である。
【図5】同インバータ制御駆動装置が用いられた掘削機の地中固結体造成工程を示すフローチャートである。
【図6】図6の地中固結体造成工程のサブルーチンプログラムであるスイッチ制御処理を示す図である。
【図7】(a)本発明の第二実施形態におけるインバータ制御駆動装置が用いられた掘削機の上面図X軸方向の側面図である。 (b)同掘削機の上面図Y軸方向の側面図である。 (c)同掘削機の上面図である。
【図8】図7(a)のC−C断面図である。
【図9】図8のD−D断面図である。
【図10】本発明の第二実施形態におけるインバータ制御駆動装置が用いられた掘削機の掘削刃を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第一実施形態)
以下、本発明のインバータ制御駆動装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1(a)は本発明の一実施形態におけるインバータ制御駆動装置が用いられた掘削機の上面図X軸方向の側面図であり、図1(b)は同掘削機の上面図Y軸方向の側面図であり、図1(c)は同掘削機の上面図である。
【0022】
図1(a)に示すように、掘削機1は、内部に汎用モータ5a、5bを含み断面がU字形(御椀状)の上部ケース2と、上部ケース2にボルトやピンなどの固着手段(図示略)により固着された中空状の中部ケース3と、中部ケース3にボルトやピンなどの固着手段(図示略)により固着された中空状の下部ケース4により覆われている。この下部ケース4には中空状の下部部材7が取り付けられている。
【0023】
出力軸11は、後述するように汎用モータ5a、5bにより回転するもので中空状の下部部材7の下部から突出させている。この出力軸11には、ボルトやピンなどの固着手段(図示略)によりドリル12が取り付けられている。なお、本実施形態でいう固着手段がボルトの場合には、固着される側にボルトに対応する螺子穴が設けられ、反対側にボルトと螺合するナットを設けるようにしてもよい。ドリル12は、中空状で円形断面を有し地上からドリル12の内側の中空部(図示略)にセメントミルクなどを供給することにより、ドリル12の先端部からそのセメントミルクなどを噴射させることができる。このようにして、ドリル12を順次接続しながら掘削し、ドリル12が地中に挿入される。
なお、本実施形態では、ドリル12を順次接続するとしたが、これに限らず、先端のドリル12に継ぎ手(図示略)を順次接続しながら掘削するようにしてもよい。
【0024】
次に、掘削機1の内部構造について図2を用いて説明する。図2は図1(b)および図1(c)のA-A断面図であり、図3は図1(a)のB-B断面図である。
【0025】
三相誘導電動機(誘導電動機)からなる汎用モータ5a、5bは、モータ回転軸6a、6bを回転させるもので、上部ケース3の内部にそれぞれ備えられている(図1(a)および図2参照)。また、汎用モータ5a、5bは、上部に冷却ファン(図示略)が設けられ、冷却ファン(図示略)は汎用モータ5a、5bのファン駆動軸(図示略)より回転するように構成されている。この冷却ファン(図示略)は上部ケース2の上部に備えられている。このように、汎用モータ5a、5bに冷却ファン(図示略)が設けられているので、回転により温度が上がった汎用モータ5a、5bを冷却することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、モータ回転軸6(6a、6b)とファン駆動軸(図示略)を別部材のように説明しているが、もともとモータ回転軸6(6a、6b)とファン駆動軸(図示略)は一体的に構成された汎用モータ5(5a、5b)の回転軸であり、この回転軸は汎用モータ5a、5bの駆動力により駆動される。
【0027】
2つの汎用モータ5a、5bのモータ回転軸6a、6bには、それぞれにモータ回転軸取付ボス(モータ回転軸取付手段(図示略))を用いて圧入された電動機歯車9a、9bが固着されている。このように、電動機歯車9a、9bはモータ回転軸6a、6bと固着されているので、モータ回転軸6a、6bと同心で回転することができる。
【0028】
入力歯車10は、2つの電動機歯車9a、9bと外接するように配され、電動機歯車9a、9bが回転することにより回転することができる(図2および図3参照)。入力歯車10には、入力軸取付ボス(入力軸取付手段(図示略))を用いて圧入された出力軸11が固着されている。
【0029】
次に、本実施形態におけるインバータ制御駆動装置の回路図について図4を参照にして説明する。ここで、図4は、本発明の一実施形態におけるインバータ制御駆動装置の回路図を示す図である。上述したように、2個の汎用モータ5a、5bのそれぞれに対応して設けられたインバータ8a、8bは、それぞれの汎用モータ5a、5bを駆動制御するものである。
【0030】
掘削機1に備えられたインバータ制御駆動装置13は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部14a、14bと、該コンバータ部14a、14bからの出力電圧を平滑するコンデンサ部15a、15bと、該コンデンサ部15a、15bにより平滑された直流電圧を三相交流に変換し、汎用モータ(誘導電動機)5a、5bに出力する出力ブリッジ部16a、16bと、該出力ブリッジ部16a、16bを駆動制御する制御装置(図示略)と、コンバータ部14a、14bとコンデンサ部15a、15bの間に接続された突入電流抑制抵抗部18a、18bと、該突入電流抑制抵抗部18a、18bに並列接続された第一スイッチ19a、19bと、該汎用モータ5a、5bのうちの一方の汎用モータ5(5a、5b)のコンデンサ部15(15aまたは15b)と他方の汎用モータのコンデンサ部15(15aまたは15b)を並列接続させ、該並列回路内に接続された第二スイッチ20と、該第二スイッチ20が設けられた並列回路に放電抵抗21を並列接続させ、該放電抵抗21が設けられた並列回路に接続された第三スイッチ22とを、有している。また、このインバータ制御駆動装置13には、モータ回転軸6a、6bを回転させる各汎用モータ5a、5bの有効電流を検出するモータ電流検出器と、該モータ電流検出器により検出された2つの汎用モータ5a、5bの電流差を検出するための電流差検出手段(図示略)と、コンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧を検出するコンデンサ電圧検出手段(図示略)が設けられている。このモータ電流検出器は、三相誘導電動機からなる汎用モータ5a、5bのU相−V相間電圧とW相を流れる電流を計測して、各汎用モータ5a、5bに流れる有効電流を求めるものである。具体的には、汎用モータ5a、5bのU相−V相間電圧とW相を流れる電流の位相差がπ/2であることから、これらの波形のπ/2〜3π/2の範囲を積分することにより、各汎用モータ5a、5bの有効電流を求めている。ここで、本実施形態では、π/2〜3π/2の範囲を積分したが、これに限らず、π/2+2nπ〜3π/2+2nπ(nは整数)の範囲で積分してもよい。なお、本実施形態では、モータ電流検出器をU相−V相間電圧を計測する電圧計測器35a、35bと、W相を流れる電流を計測する電流計測器36a、36bと、U相−V相間電圧値とW相を流れる電流値を用いて有効電流値を計算する計算機(図示略)により構成させている。しかしながら、必ずしも、モータ電流検出器を上記のような電圧計測器35a、35bと電流計測器36a、36bと計算機(図示略)により構成する必要はなく、汎用モータ5a、5bに流れる有効電流を求めるものであれば、他の構成であってもよい。また、モータ電流検出器は、一体として構成してもよいし、別体のものの組み合わせにより構成してもよい。なお、本実施形態では、電流計測器36a、36bとして、5Hz〜150Hz程度までの周波数帯域において平坦な特性を有するホール素子型の電流計測器を用いている。ここで、このモータ電流検出器(センサー)、電流差検出手段およびコンデンサ電圧検出手段(センサー)の制御処理は、制御装置(図示略)に内蔵されたCPU(図示略)により行われ、このモータ電流(有効電流)、電流差およびコンデンサ電圧は制御装置(図示略)に内蔵されたメモリ(図示略)に記憶されている。本実施形態における有効電流とは、有効電流の値そのものの他、有効電流の値をn倍(nは係数)したものも含まれる。
【0031】
次に、本実施形態におけるインバータ制御駆動装置が用いられた掘削機の動作について図5および図6を用いて説明する。ここで、図5は、本発明の一実施形態におけるインバータ制御駆動装置が用いられた掘削機の地中固結体造成工程を示すフローチャートであり、図6は、図5の地中固結体造成工程のサブルーチンプログラムであるスイッチ制御処理を示す図である。
【0032】
図5に示すように、地中固結体造成工程は、まずS1により、掘削機1の電源スイッチ(図示略)がONかが判断される。この電源スイッチ(図示略)は掘削機1の主電源であり、電源スイッチ(図示略)をONすることにより、後述するスタートスイッチ(図示略)をONにすることができる。ここで、電源スイッチ(図示略)がOFFの場合はS1でNOと判断され、電源スイッチ(図示略)がONになるまでS1の処理が行われる。そして、電源スイッチ(図示略)がONになればS1でYESと判断され、S2に進む。
【0033】
S2において、スタートスイッチ(図示略)がONかが判断される。このスタートスイッチ(図示略)は、掘削機1による掘削を開始させるためのスイッチである。すなわち、このスタートスイッチ(図示略)がONになることにより、交流電流が供給され汎用モータ5a、5bによりドリル12が回転されて掘削が開始される。ここで、スタートスイッチ(図示略)がOFFの場合はS2でNOと判断され、スタートスイッチ(図示略)がONになるまでS2の処理が行われる。そして、スタートスイッチ(図示略)がONになればS2でYESと判断され、S3に進む。このようにして、汎用モータ5a、5bの駆動力によりドリル12が地中内に挿入され、掘削が開始される(S3参照)。そしてS4に進む。
【0034】
S4ではスイッチ制御処理が行われる。このスイッチ制御処理は、汎用モータ5a、5bを円滑に回転させ確実に掘削できるようにするための処理である。なお、スイッチ制御処理の具体的内容は、図6を用いて後述する。そしてS5に進み、S5によりドリル12が所定の深度まで挿入されたかが判断される。ここで、S5によりドリル12が所定の深度まで挿入されていないと判断されると、ドリル12が所定の深度まで挿入されるまでS5→S3→S4→S5の処理が繰り返し行われ、ドリル12により所定の深度まで掘削される。そして、S5により、ドリル12が所定の深度まで挿入されるとS5でYESと判断され、S6に進む。
【0035】
S6において、ドリル12により掘削された削孔からドリル12が引き上げられる。そしてドリル12が引き上げられると、S7に進み、スタートスイッチ(図示略)がOFFにされ、掘削を終了する場合は、S8により電源スイッチ(図示略)がOFFにされる。なお、本実施形態では、説明を簡略化して、ドリル12の引き上げ完了(S6)後に、スタートスイッチ(図示略)をOFF(S7)するように説明したが、これに限らず、ドリル12の引き上げ完了後に、他の場所をドリル12により掘削する場合は、S6の処理の後にさらにS3の処理が行われる。
【0036】
次に、図6の地中固結体造成処理のサブルーチンプログラムであるスイッチ制御処理について説明する。
【0037】
図6のスイッチ制御処置が開始されるのは、スタートスイッチ(図示略)がON(図5S2)になり汎用モータ5a、5bに電流が供給され、ドリル12により掘削が開始(図5S3)された後である。
【0038】
S21において、第一スイッチ19a、19bが接続されている汎用モータ5a、5bのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが第一規定電圧に達したかが判断され、第一スイッチ19a、19bが接続されている汎用モータ5a、5bのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが第一規定電圧に達したと判断された場合は、S22によりその第一規定電圧に達したコンデンサ部15a、15bに対応する第一スイッチ19a、19b(図4参照)がONにされ、S22により第一スイッチ19a、19bがONにされた後にS23の処理が行われる。ここで、ONされる第一スイッチ19a、19bは、汎用モータ5a、5bのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが第一規定電圧に達したと判断された汎用モータ5a、5bに接続されている第一スイッチ19a、19bである。
【0039】
このように、交流電源によりコンデンサ部15a、15bが充電される初期段階においては、突流電流の影響により瞬時電圧低下を招くが、第一スイッチ19a、19bが接続されている汎用モータ5a、5bのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが第一規定電圧に達することにより第一スイッチ19a、19bがOFFからONに切り替わるので、突流電流が抑制され瞬時電圧低下をなくすることができる。ここで、S21により第一スイッチ19a、19bが接続されている汎用モータ5a、5bのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが第一規定電圧に達していないと判断された場合には、スイッチ制御処理は終了する。
【0040】
S23により、第一スイッチ19a、19bが接続されている汎用モータ5a、5bのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが上述した第一規定電圧より高い第二規定電圧に達したかが判断され、いずれのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vも第二規定電圧に達したと判断された場合は、S24により第二スイッチ20(図4参照)がONにされ、S24により第二スイッチ20がONにされた後にS25の処理が行われる。なお、S24により第二スイッチ20がONにされた後は、電源スイッチがOFF(図5のS8)になるまで、第二スイッチ20のONは継続される。
【0041】
このように、2つのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが第一規定電圧より高い第二規定電圧に達することによりOFFからONに切り替わるので、汎用モータ5a、5bのすべりや電動機歯車9a、9bと入力歯車10(駆動装置(ギア))とのバックラッシュにより2台の汎用モータ5a、5bに流れる電流差が生じ、一方の汎用モータ5a、5bのモータから回生電力が発生しても、その回生電力を他方の汎用モータ5a、5bにより消費させることができ、コンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vの上昇を軽減することができる。これにより、エネルギー効率を高めることができる。ここで、S23により、いずれかのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが第二規定電圧に達していないと判断された場合には、スイッチ制御処理は終了する。なお、本実施形態では、2つのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが第一規定電圧より高い第二規定電圧に達したかを判断し、2つのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが第二規定電圧に達したと判断された場合に、S24により第二スイッチ20(図4参照)をONにしたが、これに限らず、2つの第一スイッチ19a、19bがOFFからONに切り替わったかを判断し、2つの第一スイッチ19a、19bがOFFからONに切り替わった場合に、第二スイッチ20(図4参照)をOFFからONに切り替えるようにしてもよい。このようにしても、上述した効果と同様の効果を有することになる。
【0042】
S25により、汎用モータ5a、5bの減速速度(一定時間内の減速速度)が減速規定速度に達したかが判断され、汎用モータ5a、5bの減速速度が減速規定速度に達したと判断された場合は、S26により第三スイッチ22(図4参照)がOFFからONにされる。そして、S26により第三スイッチ22がOFFからONにされた場合、またはS25により汎用モータ5a、5bの減速速度が減速規定速度に達していないと判断された場合には、スイッチ制御処理は終了する。ここで、放電抵抗は、汎用モータ5a、5bの回生電力および交流電源の電源電圧の変動による変動電力を吸収可能な定格電力の放電抵抗が用いられている。
【0043】
このように、汎用モータ5a、5bが減速される際には汎用モータ5a、5bからさらに大きい回生電力が発生するが、汎用モータ5a、5bの減速速度が減速規定速度に達したと判断された場合に、第三スイッチ22がOFFからONに切り替えられるので、その回生電力を放電抵抗に流して熱エネルギーに変換することができる。これにより、母線電圧が上昇しても、母線に接続された整流器やスイッチング素子の電圧破壊を防止することができる。なお、本実施形態では、汎用モータ5a、5bの減速速度が減速規定速度に達したと判断された場合に第三スイッチ22がOFFからONに切り替えられるようにしたが、これに限らず、たとえば、第一スイッチ19a、19bが接続されている汎用モータ5a、5bのコンデンサ部15a、15bのコンデンサ電圧Vが第二規定電圧より高い第三規定電圧に達したと判断された場合に第三スイッチ22がOFFからONに切り替えられるようにしてもよいし、また第二スイッチ20がOFFからONに切り替えられ、所定の時間経過後に第三スイッチ22がOFFからONに切り替えられるようにしてもよい。すなわち、第二スイッチ20がOFFからONに切り替えられた後に、第三スイッチ22がOFFからONに切り替えられるようにすればよい。このようにすることにより、上記同様、回生電力を放電抵抗に流して熱エネルギーに変換することができ、また交流電源の電源電圧が変動したときも、この放電抵抗により熱エネルギーに変換することができる。
【0044】
ここで、本実施形態では、回転軸を回転させる各汎用モータ5a、5bの有効電流を検出するモータ電流検出器と、該モータ電流検出器により検出された2つの汎用モータの電流差を検出する電流差検出手段とが設けられ、該電流差検出手段により検出された2つの汎用モータ5a、5bの電流差をなくすように、モータ電流検出器により検出された電流値が小さいほうの汎用モータ5a、5bのインバータ出力周波数を増加させるように制御している。
【0045】
このように、電流差検出手段により検出された2つの汎用モータ5a、5bの電流差をなくすように、モータ電流検出器により検出された電流値が小さいほうの汎用モータのインバータ出力周波数が増加させているので、各汎用モータ5a、5bの分担割合を均等にすることができ、汎用モータ全体としての最大出力を負荷に与えることができる。
【0046】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態について図面を参照しながら説明する。図7(a)は本発明の一実施形態におけるインバータ制御駆動装置が用いられた掘削機の上面図X軸方向の側面図であり、図7(b)は同掘削機の上面図Y軸方向の側面図であり、図7(c)は同掘削機の上面図である。
【0047】
本発明の第二実施形態と第一実施形態の異なるところは、第一実施形態の下部ケース4の内部は中空状のものであったのに対し、第二実施形態では、その下部ケース4の内部に遊星歯車装置24を備え、出力軸11に取り付けられたドリル12で掘削するとともに、下部部材7を介し遊星歯車装置24の内歯車25に取り付けられた掘削刃26でも掘削できるようにしたところである。なお、図7では、出力軸11に取り付けられたドリル12を省略しているが、第二実施形態でも第一実施形態同様に、ドリル12で掘削が行われる。以下、具体的に説明する。
【0048】
図7に示すように、掘削刃26がボルトとナットからなる固定手段(図示略)により下部部材7に取り付けられている。
【0049】
次に、下部ケース4の内部に備えられた遊星歯車装置24について説明する。ここで、図8は、図7(a)のC-C断面図であり、図9は図8のD-D断面図である。
【0050】
図8および図9に示すように、遊星歯車装置24は、出力軸11(回転軸)に太陽歯車取付ボス(太陽歯車取付手段(図示略))を用いて圧入された太陽歯車27と、該太陽歯車27の外周を覆うように、太陽歯車27に空隙を介して同軸状に配設されている内歯車25と、太陽歯車27と内歯車25の間の空隙に配設され、太陽歯車27及び内歯車25に噛合し、太陽歯車27の周囲で自転する遊星歯車28と、を備えている。遊星歯車28は、回転軸上に配設された太陽歯車27の周囲に等間隔で複数個(本実施形態では、3つ)配設されている。
【0051】
太陽歯車27は、外周面に歯が形成された略円柱状のギア部29と、ギア部29より小径で、出力軸11と嵌合する嵌合部30とを有する。ギア部29は、遊星歯車28と噛み合うように構成され、嵌合部30は、出力軸11の嵌合部31と嵌合することにより出力軸11と一体となって回転する。
【0052】
各遊星歯車28は、中央部分に軸方向に貫通する貫通孔32が形成され、この貫通孔32に挿入されたピン34の周りを自転することができる。ここで、遊星歯車28はニードルベアリング(図示略)を介してピン34に挿入されている。このピン34は、下部ケース4と一体的に構成されたケーシング51にニードルベアリング(図示略)を介して回転自在に取り付けられている。
【0053】
内歯車25は、下部ケース4にベアリング50を介し回転自在に取り付けられている。これにより、各遊星歯車28は、太陽歯車27の回転に伴ってピン34を中心として自転し、その遊星歯車28の自転により内歯車25を回転させることができる。
【0054】
下部部材7は、内歯車25にボルト52などの固着手段により取り付けられている。また、上述したように内歯車25には下部部材7を介し掘削刃26(図10参照)が取り付けられている。このように、掘削刃26は、内歯車25が回転することにより下部部材7を介し内歯車25と同回転で回転することができ、この掘削刃26が回転することにより円形の穴を掘削することができる。そして、この円形の穴の内部では、掘削刃26の内側のドリル12で土を掻き揚げながら掘削され、円柱型の穴を造成することができる。このようにして、掘削刃26の継ぎ手を順次接続しながら掘削し、掘削刃26が地中に挿入される。なお、本実施形態では、掘削刃26が下部部材7を介し内歯車25に取り付けられる態様を示したが、これに限らず、掘削刃26を直接内歯車25に取り付けられるようにしてもよい。すなわち、掘削刃26は直接的または間接的に内歯車25に取り付けられるようにすればよい。ここで、図10は、本発明の第二実施形態におけるインバータ制御駆動装置が用いられた掘削機の掘削刃を示す図である。
【0055】
以上のように、遊星歯車装置24を設け、その遊星歯車装置24の内歯車25に掘削刃26を設けているので、少ない歯車数で大きな減速比を得ながら掘削することができ、掘削機の小型化も図ることができる。
【0056】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態について説明する。なお、本発明の第三実施形態と第二実施形態の異なるところは、第二実施形態では、遊星歯車装置24の遊星歯車28が自転し内歯車25が回転する構成にし、その内歯車25に下部部材7を介し掘削刃26が取り付けられ、その掘削刃26により地中を削るようにしたものであるのに対し、第三実施形態では、遊星歯車装置24の内歯車25は下部ケース4に固定されて回転せず、遊星歯車28が自転しながら公転する構成にし、その遊星歯車28に下部部材7を介し掘削刃26が取り付け、その掘削刃26により地中を削るようにしたところである。なお、第二実施形態と同一構成については説明を省略し、異なるところのみ第2実施形態で使用した図8および図9を参照にしながら説明することとする。
【0057】
図8に示すように、各遊星歯車28の貫通孔32に挿入されるピン34は、下部部材7にニードルベアリング(図示略)を介し回転(自転)可能に取り付けられている。また、下部部材7がベアリング(図示略)を介し下部ケース4に回転可能に取り付けられている。これにより、各遊星歯車28は太陽歯車27の回転に伴ってピン34の位置を中心として自転しながら太陽歯車27の周りを公転し、その遊星歯車28に取り付けられた下部部材7が遊星歯車28の公転速度と同速度で回転される。これにより、下部部材7に取り付けられた掘削刃7が下部部材7と回転速度で回転することができる。
【0058】
このように、下部部材7に取り付けられた掘削刃26が回転することにより円形の穴を掘削することができる。そして、この円形の穴の内部では、掘削刃26の内側のドリル12で土を掻き揚げながら掘削され、円柱型の穴を造成することができる。
【0059】
以上説明したように、遊星歯車装置24を設け、その遊星歯車装置24の内歯車25に掘削刃26を設けているので、少ない歯車数で大きな減速比を得ながら掘削することができ、掘削機の小型化も図ることができる。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。さらに本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲の記載によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 掘削機
2 上部ケース
3 中部ケース
4 下部ケース
5a、5b 汎用モータ
6a、6b モータ回転軸
7 下部部材
8a、8b インバータ
9a、9b 電動機歯車
10 入力歯車
11 出力軸
12 ドリル
13 インバータ制御駆動装置
14a、14b コンバータ部
15a、15b コンデンサ部
16a、16b 出力ブリッジ部
17 制御装置
18a、18b 突入電流抑制抵抗部
19a、19b 第一スイッチ
20 第二スイッチ
21 放電抵抗
22 第三スイッチ
24 遊星歯車機構
25 内歯車
26 掘削刃
27 太陽歯車
28 遊星歯車
29 ギア部
30 嵌合部
31 嵌合部
32 貫通孔
34 ピン
35a、35b 電圧計測器
36a、36b 電流計測器
50 ベアリング
51 ケーシング
52 ボルト



【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の汎用モータに対応してそれぞれ設けられ、前記汎用モータを駆動制御するインバータを備えたインバータ制御駆動装置であって、
前記インバータは、
交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部と、
該コンバータ部からの出力電圧を平滑するコンデンサ部と、
該コンデンサ部により平滑された直流電圧を三相交流に変換し、前記汎用モータに出力する出力ブリッジ部と、
前記コンバータ部とコンデンサ部の間に接続された突入電流抑制抵抗部と、
該突入電流抑制抵抗部に並列接続された第一スイッチと、
前記汎用モータのうちの一方の汎用モータのコンデンサ部と他方の汎用モータのコンデンサ部を並列接続させ、該並列回路内の一方の汎用モータのコンデンサ部と他方の汎用モータのコンデンサ部の間に接続された第二スイッチと、
前記第二スイッチが設けられた並列回路に放電抵抗が並列接続され、該放電抵抗が設けられた並列回路に接続された第三スイッチと、を設け、
前記第一スイッチは、該第一スイッチが接続されている前記汎用モータのコンデンサ部のコンデンサ電圧が第一規定電圧に達することによりOFFからONに切り替わり、
前記第二スイッチは、2つの前記汎用モータのコンデンサ部のコンデンサ電圧が第一規定電圧より高い第二規定電圧に達することによりOFFからONに切り替わり、その後ONを継続し、
前記第三スイッチは、前記第二スイッチがOFFからONに切り替えられた後にOFFからONに切り替えられることを特徴とするインバータ制御駆動装置。
【請求項2】
2個の汎用モータに対応してそれぞれ設けられ、前記汎用モータを駆動制御するインバータを備えたインバータ制御駆動装置であって、
前記インバータ部は、
交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部と、
該コンバータ部からの出力電圧を平滑するコンデンサ部と、
該コンデンサ部により平滑された直流電圧を三相交流に変換し、前記汎用モータに出力する出力ブリッジ部と、
前記コンバータ部とコンデンサ部の間に接続された突入電流抑制抵抗部と、
該突入電流抑制抵抗部に並列接続された第一スイッチと、を有し、
前記汎用モータのうちの一方の汎用モータのコンデンサ部と他方の汎用モータのコンデンサ部を並列接続させ、該並列回路内の一方の汎用モータのコンデンサ部と他方の汎用モータのコンデンサ部の間に接続された第二スイッチと、
前記第二スイッチが設けられた並列回路に放電抵抗が並列接続され、該放電抵抗が設けられた並列回路に接続された第三スイッチと、を設け、
前記第一スイッチは、該第一スイッチが接続されている前記汎用モータのコンデンサ部のコンデンサ電圧が第一規定電圧に達することによりOFFからONに切り替わり、
前記第二スイッチは、2つの前記汎用モータの第一スイッチがOFFからONに切り替わることによりOFFからONに切り替わり、その後ONを継続し、
前記第三スイッチは、前記第二スイッチがOFFからONに切り替えられた後にOFFからONに切り替えられることを特徴とするインバータ制御駆動装置。
【請求項3】
回転軸を回転させる各汎用モータの有効電流を検出するモータ電流検出器と、
該モータ電流検出器により検出された2つの前記汎用モータの電流差を検出する電流差検出手段と、を設け、
該電流差検出手段により検出された2つの前記汎用モータの電流差をなくすように、前記モータ電流検出器により検出された電流値が小さいほうの前記汎用モータのインバータ出力周波数を増加させるように制御することを特徴とする請求項1または2記載のインバータ制御駆動装置。
【請求項4】
前記放電抵抗は、前記汎用モータの回生電力および前記交流電源の電源電圧の変動による変動電力を吸収可能な定格電力を有することを特徴とする請求項1または2記載のインバータ制御駆動装置
【請求項5】
前記汎用モータにより回転される回転軸と一体に回動する太陽歯車と、
前記太陽歯車の外周を覆うように、該太陽歯車に空隙を介して同軸状に配設されている内歯車と、
空隙に配設され前記太陽歯車及び前記内歯車に噛合する遊星歯車と、
前記回転軸に取り付けられたドリルと、
前記内歯車に取り付けられた掘削刃とを、有し、
前記ドリルおよび前記掘削刃により掘削することを特徴とする請求項1または2記載のインバータ制御駆動装置を用いた掘削機。
【請求項6】
前記汎用モータにより回転される回転軸と一体に回動する太陽歯車と、
前記太陽歯車の外周を覆うように、該太陽歯車に空隙を介して同軸状に配設されている内歯車と、
前記空隙に配設され前記太陽歯車及び内歯車に噛合する遊星歯車と、
前記回転軸の回転により回動するドリルと、
前記遊星歯車の公転運動により回動する掘削刃とを、有し、
前記ドリルおよび掘削刃により掘削することを特徴とする請求項1または2記載のインバータ制御駆動装置を用いた掘削機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−139620(P2011−139620A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106058(P2010−106058)
【出願日】平成22年5月5日(2010.5.5)
【出願人】(506343704)株式会社トーメック (12)
【Fターム(参考)】