インピーダンス変換回路及びそれを用いた電力増幅装置
【課題】複数の周波数帯のインピーダンス条件に対するインピーダンス変換を低損失に行なうことができるようにする。
【解決手段】インピーダンス変換回路10Aは、入力された高周波信号の位相を調整する位相調整用伝送線路4と、その出力側に接続された第1のスイッチ素子6Aと、該第1のスイッチ素子6Aの出力側に設けられ、高周波信号を第1の高周波信号として出力する第1の出力端子7Aと、位相調整用伝送線路4の出力側に接続され、高周波信号を反射可能な第1の反射量調整用伝送線路5と、その出力側に接続された第2のスイッチ素子6Bと、該第2のスイッチ素子6Bの出力側に設けられ、高周波信号を第2の高周波信号として出力する第2の出力端子7Bとを有している。第1のスイッチ素子6A及び第2のスイッチ素子のbうちの一方がオン状態とされる。
【解決手段】インピーダンス変換回路10Aは、入力された高周波信号の位相を調整する位相調整用伝送線路4と、その出力側に接続された第1のスイッチ素子6Aと、該第1のスイッチ素子6Aの出力側に設けられ、高周波信号を第1の高周波信号として出力する第1の出力端子7Aと、位相調整用伝送線路4の出力側に接続され、高周波信号を反射可能な第1の反射量調整用伝送線路5と、その出力側に接続された第2のスイッチ素子6Bと、該第2のスイッチ素子6Bの出力側に設けられ、高周波信号を第2の高周波信号として出力する第2の出力端子7Bとを有している。第1のスイッチ素子6A及び第2のスイッチ素子のbうちの一方がオン状態とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインピーダンスに整合可能なインピーダンス変換回路及びそれを用いた電力増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる携帯電話等の無線通信電話には、基地局と離れた位置から送信を行なえるように、所望の信号を乗せた高周波信号を増幅するための電力増幅装置が用いられる。電力増幅装置が所定の出力電力を得るには、電力増幅装置に使用される電力増幅素子であるトランジスタの出力インピーダンスを整合させる必要がある。電力増幅装置は無線通信電話のなかでも消費電力が大きいため、無線通信電話の使用時間に大きく影響し、電力増幅装置には高効率化が要求される。このことからトランジスタの出力インピーダンスは所定の出力電力を得られると同時に電力負荷効率が最大となるインピーダンスに整合される必要がある。
【0003】
しかしながら、無線通信電話に使用される伝送経路のインピーダンスは50Ωに規格化されている場合が多く、電力増幅装置にはこの伝送経路と接続するためのインピーダンス整合がなされた整合回路が必要となる。一般に、整合回路に使用されるインピーダンス変換素子であるインダクタ又は容量素子等は周波数に対してインピーダンスの変化量が異なるため、インダクタ又は容量素子等を用いた整合回路は信号の周波数に応じて特性が変化する。このため、広帯域にわたって所定のインピーダンスを維持することは困難である。
【0004】
近年、無線通信電話にはさまざまな送信規格が存在し、送信規格ごとに周波数帯域又は出力電力が異なるため、1つの電力増幅装置だけではすべての送信規格に対して高い電力負荷効率を得ることが困難となってきている。このため、各送信規格に合った複数の電力増幅装置を用いることにより高い電力負荷効率を得られるものの、一方で電力増幅装置ひいては無線通信電話機器の小型化及び低コスト化の妨げとなっている。
【0005】
そこで、従来は、複数の送信規格に適合しながら小型化及び低コスト化を図るため、1つの電力増幅装置によって整合回路のインピーダンス条件を変換できるように、スイッチ素子又はダイオード等のインピーダンスを変換しない素子と容量素子及びインダクタ等のインピーダンスを変換する素子とを組み合わせてインピーダンス変換素子の回路定数を変換することにより、高周波信号の周波数に対してインピーダンスの変化量が常に同一となるように調整している。これにより、周波数帯域及び出力レベルに応じたインピーダンス変換を行なうことができ、複数の送信規格に対して対応が可能となる(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。
【0006】
図9は特許文献1に記載された可変容量ダイオード等によりインピーダンス変換を行なう電力増幅器の一例を示している。図9に示すように、出力整合回路として、例えば、容量素子C7と可変容量ダイオードD1とを組み合わせた可変容量素子、及びインダクタL3と可変容量ダイオードD2とを組み合わせた可変インダクタを用いている。
【0007】
可変容量ダイオード等の素子は、外部電源からダイオードの電圧制御を行なってダイオードの容量値を変更しており、これにより、整合回路は複数の周波数帯のいずれかの周波数帯に対して増幅トランジスタQ1を最大効率で動作可能なインピーダンスに整合される。
【特許文献1】特開平10―224157号公報
【特許文献2】特開平11―127040号公報
【特許文献3】特開平09―181641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の電力増幅器において、整合回路における損失の要因は主に使用される素子の寄生抵抗成分であり、インピーダンス変換素子と可変容量ダイオード等の素子を直列に接続して使用することは、寄生抵抗を足し合わせていることになる。その結果、インピーダンス変換素子における寄生抵抗が増大して、整合回路の損失が増大するという問題がある。
【0009】
例えば、図10(a)に示すように、入力端子Inと出力端子Outとに対して直列に接続されたインダクタンスLと、一端が接地され、他端が出力端子Outと接続されたコンデンサCとを含む回路において、周波数が1GHzにおいて10Ωから50Ωにインピーダンスを変換する場合に、コンデンサCの寄生抵抗を0.1Ωから5Ωまで変化させると、図10(b)に示すように、損失が−1.6dB程度にまで増大する。このように、寄生抵抗の影響は損失を大きく変化させることが確認できる。
【0010】
また、電力増幅器に高い出力電力が要求される場合は、電力増幅器に用いられるトランジスタの出力インピーダンスは低く設定される。このため、低いインピーダンスを持つトランジスタの出力端子に寄生抵抗が大きいインピーダンス変換素子を接続することは、さらなる損失の増大の原因となる。
【0011】
例えば、図11に端子のインピーダンスに対する1Ωの寄生抵抗が与える損失の影響を示す。図11からは、寄生抵抗が与える損失の影響は、端子インピーダンスが5Ωの場合は絶対値が6dB程度と大きく、端子インピーダンスが50Ωの場合は絶対値が0.1dB以下と十分に小さくなり、端子インピーダンスによる損失の変化量が確認できる。
【0012】
このように、可変容量素子等を用いた従来のインピーダンス変換回路は、複数の周波数帯域に対して電力増幅器用のトランジスタの効率は改善できるものの、電力増幅器全体としての損失が増大することにより、効率を改善することは困難である。
【0013】
本発明は、前記従来の問題を解決し、複数の周波数帯のインピーダンス条件に対するインピーダンス変換を低損失に行なうことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するため、本発明は、インピーダンス変換回路を、複数の周波数帯のインピーダンス条件ごとに開閉可能な複数の出力経路を設け、該出力経路ごとに回路定数が異なるインピーダンス変換素子を含む整合回路を設ける構成とする。
【0015】
具体的に、本発明に係る第1のインピーダンス整合回路は、入力された高周波信号の位相を調整して出力する位相調整用伝送線路と、位相調整用伝送線路の出力側に接続された第1のスイッチ素子と、第1のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第1の高周波信号として出力する第1の出力端子と、位相調整用伝送線路の出力側に接続され、高周波信号を反射可能な第1の反射量調整用伝送線路と、第1の反射量調整用伝送線路の出力側に接続された第2のスイッチ素子と、第2のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第2の高周波信号として出力する第2の出力端子とを備え、第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子のうちの一方がオン状態となることを特徴とする。
【0016】
第1のインピーダンス変換回路によると、第1のスイッチ素子がオン状態で且つ第2のスイッチ素子がオフ状態の場合は、第1の高周波信号は、第1の反射量調整用伝送線路がオープンスタブとして機能すると共に、位相調整用伝送線路と第1のスイッチ素子とを介して第1の出力端子に出力される。また、第1のスイッチ素子がオフ状態で且つ第2のスイッチ素子がオン状態の場合は、第2の高周波信号は、位相調整用伝送線路と第1のスイッチ素子と第1の反射量調整用伝送線路とを介して第2の出力端子に出力される。その上、第1のスイッチ素子又は第2のスイッチ素子における寄生抵抗はインピーダンス変換が行なわれた後に接続されるため、各スイッチ素子の寄生抵抗による損失の影響を最小限に抑えることが可能となる。また、インピーダンス変換が行なわれて十分にインピーダンスが高い端子にスイッチ素子を接続することにより、寄生抵抗による損失の増大の影響をも最小限に抑えることができる。
【0017】
第1のインピーダンス整合回路は、第1のスイッチ素子の出力側に接続された第1の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0018】
また、第1のインピーダンス整合回路は、位相調整用伝送線路と第1のスイッチ素子との間に接続され、高周波信号を反射可能な第2の反射量調整用伝送線路をさらに備えていることが好ましい。
【0019】
また、第1のインピーダンス整合回路は、第2のスイッチ素子の出力側に接続された第2の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0020】
また、第1のインピーダンス整合回路は、位相調整用伝送線路の出力側に接続され、高周波信号を反射可能な第3の反射量調整用伝送線路と、第3の反射量調整用伝送線路の出力側に接続された第3のスイッチ素子と、第3のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第3の高周波信号として出力する第3の出力端子とをさらに備え、第1のスイッチ素子、第2のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子のうちの1つがオン状態となることが好ましい。
【0021】
この場合に、第1のインピーダンス変換回路は、第3のスイッチ素子の出力側に接続された第3の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0022】
本発明に係る第2のインピーダンス変換回路は、入力された高周波信号のインピーダンスを変換する第1のインピーダンス変換素子と、第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続され、高周波信号のインピーダンスを変換する第2のインピーダンス変換素子と、第2のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第1のスイッチ素子と、第1のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第1の高周波信号として出力する第1の出力端子と、第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第2のスイッチ素子と、第2のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第2の高周波信号として出力する第2の出力端子とを備え、第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子のうちの一方がオン状態となることを特徴とする。
【0023】
第2のインピーダンス変換回路によると、第1のスイッチ素子がオン状態で且つ第2のスイッチ素子がオフ状態の場合は、第1の高周波信号は、第1のインピーダンス変換素子及び第2のインピーダンス変換素子によりインピーダンスが変換され、その後、第1のスイッチ素子を介して第1の出力端子に出力される。また、第1のスイッチ素子がオフ状態で且つ第2のスイッチ素子がオン状態の場合は、第2の高周波信号は、第1のインピーダンス変換素子によりインピーダンスが変換され、その後第2のスイッチ素子を介して第2の出力端子に出力される。その上、第1のスイッチ素子又は第2のスイッチ素子における寄生抵抗はインピーダンス変換が行なわれた後に接続されるため、各スイッチ素子の寄生抵抗による損失の影響を最小限に抑えることが可能となる。また、インピーダンス変換が行なわれて十分にインピーダンスが高い端子にスイッチ素子を接続することにより、寄生抵抗による損失の増大の影響をも最小限に抑えることができる。
【0024】
第2のインピーダンス変換回路は、第1のスイッチ素子の出力側に接続された第1の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0025】
また、第2のインピーダンス変換回路は、第1のインピーダンス変換素子と第2のスイッチ素子との間に接続され、高周波信号のインピーダンスを変換する第3のインピーダンス変換素子をさらに備えていることが好ましい。
【0026】
また、第2のインピーダンス変換回路は、第2のスイッチ素子の出力側に接続された第2の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0027】
また、第2のインピーダンス変換回路は、第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続され、高周波信号のインピーダンスを変換する第4のインピーダンス変換素子と、第4のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第3のスイッチ素子と、第3のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第3の高周波信号として出力する第3の出力端子とをさらに備え、第1のスイッチ素子、第2のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子のうちの1つがオン状態となることが好ましい。
【0028】
この場合に、第2のインピーダンス変換回路は、第3のスイッチ素子の出力側に接続された第3の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0029】
本発明に係る電力増幅装置は、本発明の第1インピーダンス変換回路又は第2のインピーダンス変換回路と、該インピーダンス変換回路の入力側に接続された増幅素子とを備えていることを特徴とする。
【0030】
本発明の電力増幅装置は、増幅素子とインピーダンス変換回路との間に接続された第4の整合回路(主出力整合回路)をさらに備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るインピーダンス変換回路によると、複数の周波数帯のインピーダンス条件に対するインピーダンス変換を低損失に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1は本発明の第1の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置の回路構成を示している。
【0034】
図1に示すように、第1の実施形態に係る電力増幅装置は、周波数が異なる2種類の高周波信号を高効率に増幅し、高周波信号が入力される入力端子1と、入力された高周波信号の電力を増幅する増幅トランジスタ2と、該増幅トランジスタ2の出力端子と接続された主出力整合回路3Aと、該主出力整合回路3Aの出力端子と接続されたインピーダンス変換回路10Aとから構成されている。
【0035】
増幅トランジスタ2は、例えばNPN型バイポーラトランジスタであり、コレクタが主出力整合回路3Aの入力端子と接続され、べースが入力端子1と接続され、エミッタが接地されている。なお、バイポーラトランジスタには、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)又はバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)等を用いることができる。また、増幅トランジスタ2は、バイポーラトランジスタに限られず、電界効果トランジスタ(FET)を用いることができる。
【0036】
主出力整合回路3Aは、増幅トランジスタ2のコレクタに電力を供給する電源端子31と、増幅トランジスタ2のコレクタに直列に接続され、インピーダンス変換を行なう第1のインダクタ32及び第2のインダクタ33と、一端が電源端子と接続され、他端が第1のインダクタ32及び第2のインダクタ33の接続ノードに接続され、電源回路への電力の漏洩を抑止する第3のインダクタ34と、一端が接地され、他端が第1のインダクタ32及び第2のインダクタ33の接続ノードに接続され、インピーダンス変換を行なう第1の容量素子35と、一端が接地され、他端が第2のインダクタ33の出力側に接続され、インピーダンス変換を行なう第2の容量素子36と、一端が第2のインダクタ33の出力側に接続され、他端が主出力整合回路3Aの出力端子と接続され、後段に対して電源電圧を分離する第3の容量素子37とから構成されている。
【0037】
ここで、主出力整合回路3Aは、その出力端子が無線通信電話で使用される規格化インピーダンスである50Ωのインピーダンスに接続された場合に、増幅トランジスタ2は2種類の高周波信号のうちのいずれか一方に対して高効率となるようにインピーダンス整合される。
【0038】
なお、主出力整合回路3Aの回路構成は、図1に示した構成に限られず、主出力整合回路3Aと同等の機能(整合特性)を持つ限りは他の回路構成としてもよい。
【0039】
インピーダンス変換回路10Aは、その入力端子から第1の出力端子7Aまでの第1の経路と、入力端子から第2の出力端子7Bまでの第2の経路を有している。第1の経路には、該第1の経路に対してインピーダンス変換の位相調整を行なって特性インピーダンスを50Ωに設定する位相調整用伝送線路4と、位相調整用伝送線路4の出力側(位相調整用伝送線路4における主出力整合回路3Aの反対側)に接続され、第1の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第1のFETからなる第1のスイッチ素子6Aとが設けられている。
【0040】
第2の経路には、位相調整用伝送線路4の出力側に接続され、特性インピーダンスが50Ωとなるように反射量の調整を行なう反射量調整用伝送線路5と、反射量調整用伝送線路5の出力側に接続され、第2の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第2のFETからなる第2のスイッチ素子6Bとが設けられている。
【0041】
第1のスイッチ素子6Aには、該第1のスイッチ素子6Aをオンオフを制御する第1の制御端子61が設けられ、第2のスイッチ素子6Bには、該第2のスイッチ素子6Bをオンオフを制御する第2の制御端子62が設けられている。
【0042】
この構成により、第1の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Aを含む電力増幅装置は、第1の高周波信号を増幅する場合において、第1のスイッチ素子6Aをオン状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオフ状態とすることにより、第2の経路における反射量調整用伝送線路5の出力端は開放となるため、該反射量調整用伝送線路5はオープンスタブとなって第1の高周波信号を反射する。さらに、第1の高周波信号は、位相調整用伝送線路4により所定の位相調整が行なわれる。これにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスが第1の高周波信号に対して所望のインピーダンスに変換されて、第1の高周波信号は第1の出力端子7Aから出力される。
【0043】
これに対し、第2の高周波信号を増幅する場合は、第1のスイッチ素子6Aをオフ状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオン状態とすることにより、第2の高周波信号が主出力整合回路3Aを経由し、50Ωの特性インピーダンス特性となる位相調整用伝送線路4と反射量調整用伝送線路5とを経由して第2の出力端子7Bから出力される。ここで、第2の高周波信号は増幅トランジスタ2側には反射されず、従って、第2の経路はインピーダンス変換回路10Aによるインピーダンスの影響を受けることがない。
【0044】
上記した特許文献3によると、スイッチ素子に用いる化合物半導体からなるトランジスタ、すなわち砒化ガリウム(GaAs)からなるFETは、0.5mmのゲート幅に対してオン抵抗は4.8Ωであり、オフ容量は0.25pFである。ここで、電力増幅装置における電力付加効率を50%とし、スイッチ素子の挿入による電力付加効率の低下を2%未満に抑えたい場合は、許容される損失は10LOG(48/50)で求まり、−0.18dBとなる。図12に端子インピーダンスが50Ωである場合の寄生抵抗が与える損失を示す。図12によると、−0.18dBの損失は抵抗値に換算すると2.2Ω以下とすればよく、これはスイッチ素子のゲート幅が1.1mmに相当する。この場合のスイッチ素子のオフ容量は0.55pFとなり、スイッチ素子の出力経路における終端されたインピーダンスが50Ωであれば、電圧定在波比(VSWR)は1.2と小さくなるため、整合回路に与える影響は小さい。また、出力電力が大きい場合には、増幅トランジスタであるFETを多段構成とする必要がある。このとき、多段のFETのオン抵抗を下げるには、各FETのゲート幅を段数と同値の倍数とする。この場合は、FETの1段当たりのオフ容量は増大するものの、段数分だけ逆に減少するため、インピーダンスに与える影響は変わらないとある。
【0045】
ところで、第1のスイッチ素子6A及び第2のスイッチ素子6Bを接続したことによるインピーダンスの変化は、該スイッチ素子6A、6Bを接続することによるインピーダンスの変化をあらかじめ算出しておき、算出結果を用いて主出力整合回路3Aを構成する各インピーダンス変換素子の回路定数を調整することにより、所望のインピーダンスに調整することができる。
【0046】
このように、第1の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Aによると、2つの出力経路を互いに切り替えることにより、2種類の高周波信号を高効率に増幅可能なインピーダンスに制御することが可能となる。
【0047】
図2は第1の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路10Aを含む電力増幅装置を示している。図2に示すように、本変形例に係るインピーダンス変換回路10Aは、第1の経路である第1のスイッチ素子6Aと第1の出力端子7Aとの間に、第1のスイッチ素子6Aに対して共役整合となる整合回路8が接続されており、更なる損失の低減が可能である。
【0048】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0049】
図3は本発明の第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置の回路構成を示している。図3において、図1に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0050】
図3に示すように、第2の実施形態に係る電力増幅装置は、増幅トランジスタ2と、該増幅トランジスタ2の後段に接続された主出力整合回路3Bと、該主出力整合回路3Bの後段に接続されたインピーダンス変換回路10Bとを備えている。
【0051】
第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Bの第1の経路には、第1の経路及び第2の経路に対してインピーダンス変換の位相調整を行なう位相調整用伝送線路4と、該位相調整用伝送線路4の出力側に接続され、第2の高周波信号の反射量を調整する第1の反射量調整用伝送線路5Aと、該第1の反射量調整用伝送線路5Aの出力側に接続され、第1の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第1のFETからなる第1のスイッチ素子6Aとが設けられている。
【0052】
また、第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Bの第2の経路には、位相調整用伝送線路4の出力側に接続され、第1の高周波信号の反射量を調整する第2の反射量調整用伝送線路5Bと、第2の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第2のFETからなる第2のスイッチ素子6Bとが設けられている。
【0053】
この構成により、第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Bを含む電力増幅装置は、第1の高周波信号を増幅する場合において、第1のスイッチ素子6Aをオン状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオフ状態とすることにより、第2の経路における第2の反射量調整用伝送線路5Bの出力端は開放となるため、該第2の反射量調整用伝送線路5Bはオープンスタブとなって第1の高周波信号が反射される。さらに、第1の高周波信号は、位相調整用伝送線路4により所定の位相調整が行なわれる。これにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスが第1の高周波信号に対して所望のインピーダンスに変換されるため、第2の実施形態に係る電力増幅装置は第1の高周波信号を高効率に増幅することが可能である。
【0054】
これに対し、第2の高周波信号を増幅する場合は、第1のスイッチ素子6Aをオフ状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオン状態とすることにより、第1の反射量調整用伝送線路5Aの出力端は開放となるため、該第1の反射量調整用伝送線路5Aはオープンスタブとなって第2の高周波信号が反射される。さらに、第2の高周波信号は、位相調整用伝送線路4により所定の位相調整が行なわれる。これにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスが第2の高周波信号に対して所望のインピーダンスに変換されるため、第2の実施形態に係る電力増幅装置は第2の高周波信号を高効率に増幅することが可能である。
【0055】
このように、第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Bによると、2つの出力経路を互いに切り替えることにより、2種類の高周波信号を高効率に増幅可能なインピーダンスに変換することが可能となる。
【0056】
なお、図示はしていないが、第3の反射量調整用伝送線路、第3のスイッチ素子及び第3の出力端子を第1の位相調整用伝送線路4の出力側に並列に設け、第3の経路を設けることにより、第3の高周波信号に対しても高効率に増幅可能なインピーダンスに変換することが可能となる。さらには、これと同様の第4の経路及び第5の経路を第1の経路と並列に設けることにより、第4及び第5の高周波信号に対しても同様に高効率に増幅可能なインピーダンス変換を行なうことが可能となる。
【0057】
図4は第2の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路10Bを含む電力増幅装置を示している。図4に示すように、本変形例に係るインピーダンス変換回路10Bは、第1の経路である第1のスイッチ素子6Aと第1の出力端子7Aとの間に、第1のスイッチ6Aに対して共役整合となる第1の整合回路8Aを設けている。同様に、第2の経路である第2のスイッチ素子6Bと第2の出力端子7Bとの間にも、第2のスイッチ6Bに対して共役整合となる第2の整合回路8Bを設けている。これにより、更なる損失の低減が可能である。
【0058】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0059】
図5は本発明の第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置の回路構成を示している。図5において、図1に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、第3の実施形態に係る電力増幅装置は、増幅トランジスタ2と、該増幅トランジスタ2の後段に接続された主出力整合回路3Cと、該主出力整合回路3Cの後段に接続されたインピーダンス変換回路10Cとを備えている。
【0061】
第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Cの第1の経路には、容量素子又はインダクタ等からなるインピーダンス変換が可能な素子を含む第1のインピーダンス変換素子9Aと、該第1のインピーダンス変換回路9Aの出力側に接続され、容量素子又はインダクタ等からなるインピーダンス変換が可能な素子を含む第2のインピーダンス変換素子9Bと、該第2のインピーダンス変換素子9Bの出力側に接続され、第1の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第1のFETからなる第1のスイッチ素子6Aとが設けられている。
【0062】
また、第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Cの第2の経路には、第1のインピーダンス変換回路9Aの出力側に接続され、第2の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第2のFETからなる第2のスイッチ素子6Bが設けられている。
【0063】
この構成により、第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Cを含む電力増幅装置は、第1の高周波信号を増幅する場合において、第1のスイッチ素子6Aをオン状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオフ状態とすることにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスは、主出力整合回路3Cと、第1のインピーダンス変換素子9Aと、第2のインピーダンス変換素子9Bとによりインピーダンス変換が行なわれる。
【0064】
これに対し、第2の高周波信号を増幅する場合は、第1のスイッチ素子6Aをオフ状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオン状態とすることにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスは、主出力整合回路3Cと、第1のインピーダンス変換素子9Aとによりインピーダンス変換が行なわれる。
【0065】
このように、第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Cによると、2つの出力経路を互いに切り替えることにより、2種類の高周波信号を高効率に増幅可能なインピーダンスに変換することが可能となる。
【0066】
図6は第3の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路10Cを含む電力増幅装置を示している。図4に示すように、本変形例に係るインピーダンス変換回路10Cは、第1の経路である第1のスイッチ素子6Aと第1の出力端子7Aとの間に、第1のスイッチ6Aに対して共役整合となる第1の整合回路8Aを設けている。同様に、第2の経路である第2のスイッチ素子6Bと第2の出力端子7Bとの間にも、第2のスイッチ6Bに対して共役整合となる第2の整合回路8Bを設けている。これにより、更なる損失の低減が可能である。
【0067】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0068】
図7は本発明の第4の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置の回路構成を示している。図7において、図1及び図5に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0069】
図7に示すように、第4の実施形態に係る電力増幅装置は、増幅トランジスタ2と、該増幅トランジスタ2の後段に接続された主出力整合回路3Dと、該主出力整合回路3Dの後段に接続されたインピーダンス変換回路10Dとを備えている。
【0070】
第4の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Dは、その第2の経路であって第1のインピーダンス変換素子8Aと第2のスイッチ素子6Bとの間に、容量素子又はインダクタ等からなるインピーダンス変換が可能な素子を含む第3のインピーダンス変換素子9Cが設けられている点が第3の実施形態とは異なる。
【0071】
この構成により、第4の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Dを含む電力増幅装置は、第1の高周波信号を増幅する場合において、第1のスイッチ素子6Aをオン状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオフ状態とすることにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスは、主出力整合回路3Dと、第1のインピーダンス変換素子9Aと、第2のインピーダンス変換素子9Bとによりインピーダンス変換が行なわれる。
【0072】
これに対し、第2の高周波信号を増幅する場合は、第1のスイッチ素子6Aをオフ状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオン状態とすることにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスは、主出力整合回路3Dと、第1のインピーダンス変換素子9Aと、第3のインピーダンス変換素子9Cとによりインピーダンス変換が行なわれる。
【0073】
このように、第4の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Dによると、2つの出力経路を互いに切り替えることにより、2種類の高周波信号を高効率に増幅可能なインピーダンスに変換することが可能となる。
【0074】
なお、図示はしていないが、第4のインピーダンス変換素子、第3のスイッチ素子及び第3の出力端子を第1のインピーダンス変換素子9Aの出力側に並列に設け、第3の経路を設けることにより、第3の高周波信号に対しても高効率に増幅可能なインピーダンスに変換することが可能となる。さらには、これと同様の第4の経路及び第5の経路を第1の経路と並列に設けることにより、第4及び第5の高周波信号に対しても高効率に増幅可能なインピーダンス変換を行なうことが可能となる。
【0075】
なお、第3の経路以降に設ける各インピーダンス変換素子は、インピーダンス変換回路10Dの内部であれば、いずれのインピーダンス変換素子の端子と接続しても、インピーダンス変換は可能である。
【0076】
図8は第4の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路10Dを含む電力増幅装置を示している。図8に示すように、本変形例に係るインピーダンス変換回路10Dは、第1の経路である第1のスイッチ素子6Aと第1の出力端子7Aとの間に、第1のスイッチ6Aに対して共役整合となる第1の整合回路8Aを設けている。同様に、第2の経路である第2のスイッチ素子6Bと第2の出力端子7Bとの間にも、第2のスイッチ6Bに対して共役整合となる第2の整合回路8Aを設けている。これにより、更なる損失の低減が可能である。
【0077】
なお、第2〜第4の実施形態に係る主出力整合回路3B〜3Dは、図1に示した主出力整合回路3Aと同等の機能を持つ整合回路であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係るインピーダンス変換回路及びそれを用いた電力増幅装置は、複数の周波数帯のインピーダンス条件に対するインピーダンス変換を低損失に行なうことができ、複数のインピーダンスに整合可能なインピーダンス変換回路及びそれを用いた電力増幅装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図9】従来のインピーダンス変換回路を示す回路図である。
【図10】(a)従来の整合回路の一例を示す回路図である。(b)は従来の整合回路における寄生抵抗に対する寄生抵抗と損失との関係を示す特性図である。
【図11】従来の寄生抵抗を1Ωとした場合の端子のインピーダンスと損失との関係を示す特性図である。
【図12】従来の端子が50Ωの場合の寄生抵抗と損失との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
【0080】
1 入力端子
2 増幅トランジスタ
3A 主出力整合回路
3B 主出力整合回路
3C 主出力整合回路
3D 主出力整合回路
4 位相調整用伝送線路
5 反射量調整用伝送線路
5A 第1の反射量調整用伝送線路
5B 第2の反射量調整用伝送線路
6A 第1のスイッチ素子
6B 第2のスイッチ素子
61 第1の制御端子
62 第2の制御端子
7A 第1の出力端子
7B 第2の出力端子
8 整合回路
8A 第1の整合回路
8B 第2の整合回路
9A 第1のインピーダンス変換素子
9B 第2のインピーダンス変換素子
9C 第3のインピーダンス変換素子
10A インピーダンス変換回路
10B インピーダンス変換回路
10C インピーダンス変換回路
10D インピーダンス変換回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインピーダンスに整合可能なインピーダンス変換回路及びそれを用いた電力増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる携帯電話等の無線通信電話には、基地局と離れた位置から送信を行なえるように、所望の信号を乗せた高周波信号を増幅するための電力増幅装置が用いられる。電力増幅装置が所定の出力電力を得るには、電力増幅装置に使用される電力増幅素子であるトランジスタの出力インピーダンスを整合させる必要がある。電力増幅装置は無線通信電話のなかでも消費電力が大きいため、無線通信電話の使用時間に大きく影響し、電力増幅装置には高効率化が要求される。このことからトランジスタの出力インピーダンスは所定の出力電力を得られると同時に電力負荷効率が最大となるインピーダンスに整合される必要がある。
【0003】
しかしながら、無線通信電話に使用される伝送経路のインピーダンスは50Ωに規格化されている場合が多く、電力増幅装置にはこの伝送経路と接続するためのインピーダンス整合がなされた整合回路が必要となる。一般に、整合回路に使用されるインピーダンス変換素子であるインダクタ又は容量素子等は周波数に対してインピーダンスの変化量が異なるため、インダクタ又は容量素子等を用いた整合回路は信号の周波数に応じて特性が変化する。このため、広帯域にわたって所定のインピーダンスを維持することは困難である。
【0004】
近年、無線通信電話にはさまざまな送信規格が存在し、送信規格ごとに周波数帯域又は出力電力が異なるため、1つの電力増幅装置だけではすべての送信規格に対して高い電力負荷効率を得ることが困難となってきている。このため、各送信規格に合った複数の電力増幅装置を用いることにより高い電力負荷効率を得られるものの、一方で電力増幅装置ひいては無線通信電話機器の小型化及び低コスト化の妨げとなっている。
【0005】
そこで、従来は、複数の送信規格に適合しながら小型化及び低コスト化を図るため、1つの電力増幅装置によって整合回路のインピーダンス条件を変換できるように、スイッチ素子又はダイオード等のインピーダンスを変換しない素子と容量素子及びインダクタ等のインピーダンスを変換する素子とを組み合わせてインピーダンス変換素子の回路定数を変換することにより、高周波信号の周波数に対してインピーダンスの変化量が常に同一となるように調整している。これにより、周波数帯域及び出力レベルに応じたインピーダンス変換を行なうことができ、複数の送信規格に対して対応が可能となる(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。
【0006】
図9は特許文献1に記載された可変容量ダイオード等によりインピーダンス変換を行なう電力増幅器の一例を示している。図9に示すように、出力整合回路として、例えば、容量素子C7と可変容量ダイオードD1とを組み合わせた可変容量素子、及びインダクタL3と可変容量ダイオードD2とを組み合わせた可変インダクタを用いている。
【0007】
可変容量ダイオード等の素子は、外部電源からダイオードの電圧制御を行なってダイオードの容量値を変更しており、これにより、整合回路は複数の周波数帯のいずれかの周波数帯に対して増幅トランジスタQ1を最大効率で動作可能なインピーダンスに整合される。
【特許文献1】特開平10―224157号公報
【特許文献2】特開平11―127040号公報
【特許文献3】特開平09―181641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の電力増幅器において、整合回路における損失の要因は主に使用される素子の寄生抵抗成分であり、インピーダンス変換素子と可変容量ダイオード等の素子を直列に接続して使用することは、寄生抵抗を足し合わせていることになる。その結果、インピーダンス変換素子における寄生抵抗が増大して、整合回路の損失が増大するという問題がある。
【0009】
例えば、図10(a)に示すように、入力端子Inと出力端子Outとに対して直列に接続されたインダクタンスLと、一端が接地され、他端が出力端子Outと接続されたコンデンサCとを含む回路において、周波数が1GHzにおいて10Ωから50Ωにインピーダンスを変換する場合に、コンデンサCの寄生抵抗を0.1Ωから5Ωまで変化させると、図10(b)に示すように、損失が−1.6dB程度にまで増大する。このように、寄生抵抗の影響は損失を大きく変化させることが確認できる。
【0010】
また、電力増幅器に高い出力電力が要求される場合は、電力増幅器に用いられるトランジスタの出力インピーダンスは低く設定される。このため、低いインピーダンスを持つトランジスタの出力端子に寄生抵抗が大きいインピーダンス変換素子を接続することは、さらなる損失の増大の原因となる。
【0011】
例えば、図11に端子のインピーダンスに対する1Ωの寄生抵抗が与える損失の影響を示す。図11からは、寄生抵抗が与える損失の影響は、端子インピーダンスが5Ωの場合は絶対値が6dB程度と大きく、端子インピーダンスが50Ωの場合は絶対値が0.1dB以下と十分に小さくなり、端子インピーダンスによる損失の変化量が確認できる。
【0012】
このように、可変容量素子等を用いた従来のインピーダンス変換回路は、複数の周波数帯域に対して電力増幅器用のトランジスタの効率は改善できるものの、電力増幅器全体としての損失が増大することにより、効率を改善することは困難である。
【0013】
本発明は、前記従来の問題を解決し、複数の周波数帯のインピーダンス条件に対するインピーダンス変換を低損失に行なうことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するため、本発明は、インピーダンス変換回路を、複数の周波数帯のインピーダンス条件ごとに開閉可能な複数の出力経路を設け、該出力経路ごとに回路定数が異なるインピーダンス変換素子を含む整合回路を設ける構成とする。
【0015】
具体的に、本発明に係る第1のインピーダンス整合回路は、入力された高周波信号の位相を調整して出力する位相調整用伝送線路と、位相調整用伝送線路の出力側に接続された第1のスイッチ素子と、第1のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第1の高周波信号として出力する第1の出力端子と、位相調整用伝送線路の出力側に接続され、高周波信号を反射可能な第1の反射量調整用伝送線路と、第1の反射量調整用伝送線路の出力側に接続された第2のスイッチ素子と、第2のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第2の高周波信号として出力する第2の出力端子とを備え、第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子のうちの一方がオン状態となることを特徴とする。
【0016】
第1のインピーダンス変換回路によると、第1のスイッチ素子がオン状態で且つ第2のスイッチ素子がオフ状態の場合は、第1の高周波信号は、第1の反射量調整用伝送線路がオープンスタブとして機能すると共に、位相調整用伝送線路と第1のスイッチ素子とを介して第1の出力端子に出力される。また、第1のスイッチ素子がオフ状態で且つ第2のスイッチ素子がオン状態の場合は、第2の高周波信号は、位相調整用伝送線路と第1のスイッチ素子と第1の反射量調整用伝送線路とを介して第2の出力端子に出力される。その上、第1のスイッチ素子又は第2のスイッチ素子における寄生抵抗はインピーダンス変換が行なわれた後に接続されるため、各スイッチ素子の寄生抵抗による損失の影響を最小限に抑えることが可能となる。また、インピーダンス変換が行なわれて十分にインピーダンスが高い端子にスイッチ素子を接続することにより、寄生抵抗による損失の増大の影響をも最小限に抑えることができる。
【0017】
第1のインピーダンス整合回路は、第1のスイッチ素子の出力側に接続された第1の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0018】
また、第1のインピーダンス整合回路は、位相調整用伝送線路と第1のスイッチ素子との間に接続され、高周波信号を反射可能な第2の反射量調整用伝送線路をさらに備えていることが好ましい。
【0019】
また、第1のインピーダンス整合回路は、第2のスイッチ素子の出力側に接続された第2の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0020】
また、第1のインピーダンス整合回路は、位相調整用伝送線路の出力側に接続され、高周波信号を反射可能な第3の反射量調整用伝送線路と、第3の反射量調整用伝送線路の出力側に接続された第3のスイッチ素子と、第3のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第3の高周波信号として出力する第3の出力端子とをさらに備え、第1のスイッチ素子、第2のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子のうちの1つがオン状態となることが好ましい。
【0021】
この場合に、第1のインピーダンス変換回路は、第3のスイッチ素子の出力側に接続された第3の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0022】
本発明に係る第2のインピーダンス変換回路は、入力された高周波信号のインピーダンスを変換する第1のインピーダンス変換素子と、第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続され、高周波信号のインピーダンスを変換する第2のインピーダンス変換素子と、第2のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第1のスイッチ素子と、第1のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第1の高周波信号として出力する第1の出力端子と、第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第2のスイッチ素子と、第2のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第2の高周波信号として出力する第2の出力端子とを備え、第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子のうちの一方がオン状態となることを特徴とする。
【0023】
第2のインピーダンス変換回路によると、第1のスイッチ素子がオン状態で且つ第2のスイッチ素子がオフ状態の場合は、第1の高周波信号は、第1のインピーダンス変換素子及び第2のインピーダンス変換素子によりインピーダンスが変換され、その後、第1のスイッチ素子を介して第1の出力端子に出力される。また、第1のスイッチ素子がオフ状態で且つ第2のスイッチ素子がオン状態の場合は、第2の高周波信号は、第1のインピーダンス変換素子によりインピーダンスが変換され、その後第2のスイッチ素子を介して第2の出力端子に出力される。その上、第1のスイッチ素子又は第2のスイッチ素子における寄生抵抗はインピーダンス変換が行なわれた後に接続されるため、各スイッチ素子の寄生抵抗による損失の影響を最小限に抑えることが可能となる。また、インピーダンス変換が行なわれて十分にインピーダンスが高い端子にスイッチ素子を接続することにより、寄生抵抗による損失の増大の影響をも最小限に抑えることができる。
【0024】
第2のインピーダンス変換回路は、第1のスイッチ素子の出力側に接続された第1の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0025】
また、第2のインピーダンス変換回路は、第1のインピーダンス変換素子と第2のスイッチ素子との間に接続され、高周波信号のインピーダンスを変換する第3のインピーダンス変換素子をさらに備えていることが好ましい。
【0026】
また、第2のインピーダンス変換回路は、第2のスイッチ素子の出力側に接続された第2の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0027】
また、第2のインピーダンス変換回路は、第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続され、高周波信号のインピーダンスを変換する第4のインピーダンス変換素子と、第4のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第3のスイッチ素子と、第3のスイッチ素子の出力側に設けられ、高周波信号を第3の高周波信号として出力する第3の出力端子とをさらに備え、第1のスイッチ素子、第2のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子のうちの1つがオン状態となることが好ましい。
【0028】
この場合に、第2のインピーダンス変換回路は、第3のスイッチ素子の出力側に接続された第3の整合回路をさらに備えていることが好ましい。
【0029】
本発明に係る電力増幅装置は、本発明の第1インピーダンス変換回路又は第2のインピーダンス変換回路と、該インピーダンス変換回路の入力側に接続された増幅素子とを備えていることを特徴とする。
【0030】
本発明の電力増幅装置は、増幅素子とインピーダンス変換回路との間に接続された第4の整合回路(主出力整合回路)をさらに備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るインピーダンス変換回路によると、複数の周波数帯のインピーダンス条件に対するインピーダンス変換を低損失に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1は本発明の第1の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置の回路構成を示している。
【0034】
図1に示すように、第1の実施形態に係る電力増幅装置は、周波数が異なる2種類の高周波信号を高効率に増幅し、高周波信号が入力される入力端子1と、入力された高周波信号の電力を増幅する増幅トランジスタ2と、該増幅トランジスタ2の出力端子と接続された主出力整合回路3Aと、該主出力整合回路3Aの出力端子と接続されたインピーダンス変換回路10Aとから構成されている。
【0035】
増幅トランジスタ2は、例えばNPN型バイポーラトランジスタであり、コレクタが主出力整合回路3Aの入力端子と接続され、べースが入力端子1と接続され、エミッタが接地されている。なお、バイポーラトランジスタには、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)又はバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)等を用いることができる。また、増幅トランジスタ2は、バイポーラトランジスタに限られず、電界効果トランジスタ(FET)を用いることができる。
【0036】
主出力整合回路3Aは、増幅トランジスタ2のコレクタに電力を供給する電源端子31と、増幅トランジスタ2のコレクタに直列に接続され、インピーダンス変換を行なう第1のインダクタ32及び第2のインダクタ33と、一端が電源端子と接続され、他端が第1のインダクタ32及び第2のインダクタ33の接続ノードに接続され、電源回路への電力の漏洩を抑止する第3のインダクタ34と、一端が接地され、他端が第1のインダクタ32及び第2のインダクタ33の接続ノードに接続され、インピーダンス変換を行なう第1の容量素子35と、一端が接地され、他端が第2のインダクタ33の出力側に接続され、インピーダンス変換を行なう第2の容量素子36と、一端が第2のインダクタ33の出力側に接続され、他端が主出力整合回路3Aの出力端子と接続され、後段に対して電源電圧を分離する第3の容量素子37とから構成されている。
【0037】
ここで、主出力整合回路3Aは、その出力端子が無線通信電話で使用される規格化インピーダンスである50Ωのインピーダンスに接続された場合に、増幅トランジスタ2は2種類の高周波信号のうちのいずれか一方に対して高効率となるようにインピーダンス整合される。
【0038】
なお、主出力整合回路3Aの回路構成は、図1に示した構成に限られず、主出力整合回路3Aと同等の機能(整合特性)を持つ限りは他の回路構成としてもよい。
【0039】
インピーダンス変換回路10Aは、その入力端子から第1の出力端子7Aまでの第1の経路と、入力端子から第2の出力端子7Bまでの第2の経路を有している。第1の経路には、該第1の経路に対してインピーダンス変換の位相調整を行なって特性インピーダンスを50Ωに設定する位相調整用伝送線路4と、位相調整用伝送線路4の出力側(位相調整用伝送線路4における主出力整合回路3Aの反対側)に接続され、第1の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第1のFETからなる第1のスイッチ素子6Aとが設けられている。
【0040】
第2の経路には、位相調整用伝送線路4の出力側に接続され、特性インピーダンスが50Ωとなるように反射量の調整を行なう反射量調整用伝送線路5と、反射量調整用伝送線路5の出力側に接続され、第2の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第2のFETからなる第2のスイッチ素子6Bとが設けられている。
【0041】
第1のスイッチ素子6Aには、該第1のスイッチ素子6Aをオンオフを制御する第1の制御端子61が設けられ、第2のスイッチ素子6Bには、該第2のスイッチ素子6Bをオンオフを制御する第2の制御端子62が設けられている。
【0042】
この構成により、第1の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Aを含む電力増幅装置は、第1の高周波信号を増幅する場合において、第1のスイッチ素子6Aをオン状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオフ状態とすることにより、第2の経路における反射量調整用伝送線路5の出力端は開放となるため、該反射量調整用伝送線路5はオープンスタブとなって第1の高周波信号を反射する。さらに、第1の高周波信号は、位相調整用伝送線路4により所定の位相調整が行なわれる。これにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスが第1の高周波信号に対して所望のインピーダンスに変換されて、第1の高周波信号は第1の出力端子7Aから出力される。
【0043】
これに対し、第2の高周波信号を増幅する場合は、第1のスイッチ素子6Aをオフ状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオン状態とすることにより、第2の高周波信号が主出力整合回路3Aを経由し、50Ωの特性インピーダンス特性となる位相調整用伝送線路4と反射量調整用伝送線路5とを経由して第2の出力端子7Bから出力される。ここで、第2の高周波信号は増幅トランジスタ2側には反射されず、従って、第2の経路はインピーダンス変換回路10Aによるインピーダンスの影響を受けることがない。
【0044】
上記した特許文献3によると、スイッチ素子に用いる化合物半導体からなるトランジスタ、すなわち砒化ガリウム(GaAs)からなるFETは、0.5mmのゲート幅に対してオン抵抗は4.8Ωであり、オフ容量は0.25pFである。ここで、電力増幅装置における電力付加効率を50%とし、スイッチ素子の挿入による電力付加効率の低下を2%未満に抑えたい場合は、許容される損失は10LOG(48/50)で求まり、−0.18dBとなる。図12に端子インピーダンスが50Ωである場合の寄生抵抗が与える損失を示す。図12によると、−0.18dBの損失は抵抗値に換算すると2.2Ω以下とすればよく、これはスイッチ素子のゲート幅が1.1mmに相当する。この場合のスイッチ素子のオフ容量は0.55pFとなり、スイッチ素子の出力経路における終端されたインピーダンスが50Ωであれば、電圧定在波比(VSWR)は1.2と小さくなるため、整合回路に与える影響は小さい。また、出力電力が大きい場合には、増幅トランジスタであるFETを多段構成とする必要がある。このとき、多段のFETのオン抵抗を下げるには、各FETのゲート幅を段数と同値の倍数とする。この場合は、FETの1段当たりのオフ容量は増大するものの、段数分だけ逆に減少するため、インピーダンスに与える影響は変わらないとある。
【0045】
ところで、第1のスイッチ素子6A及び第2のスイッチ素子6Bを接続したことによるインピーダンスの変化は、該スイッチ素子6A、6Bを接続することによるインピーダンスの変化をあらかじめ算出しておき、算出結果を用いて主出力整合回路3Aを構成する各インピーダンス変換素子の回路定数を調整することにより、所望のインピーダンスに調整することができる。
【0046】
このように、第1の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Aによると、2つの出力経路を互いに切り替えることにより、2種類の高周波信号を高効率に増幅可能なインピーダンスに制御することが可能となる。
【0047】
図2は第1の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路10Aを含む電力増幅装置を示している。図2に示すように、本変形例に係るインピーダンス変換回路10Aは、第1の経路である第1のスイッチ素子6Aと第1の出力端子7Aとの間に、第1のスイッチ素子6Aに対して共役整合となる整合回路8が接続されており、更なる損失の低減が可能である。
【0048】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0049】
図3は本発明の第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置の回路構成を示している。図3において、図1に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0050】
図3に示すように、第2の実施形態に係る電力増幅装置は、増幅トランジスタ2と、該増幅トランジスタ2の後段に接続された主出力整合回路3Bと、該主出力整合回路3Bの後段に接続されたインピーダンス変換回路10Bとを備えている。
【0051】
第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Bの第1の経路には、第1の経路及び第2の経路に対してインピーダンス変換の位相調整を行なう位相調整用伝送線路4と、該位相調整用伝送線路4の出力側に接続され、第2の高周波信号の反射量を調整する第1の反射量調整用伝送線路5Aと、該第1の反射量調整用伝送線路5Aの出力側に接続され、第1の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第1のFETからなる第1のスイッチ素子6Aとが設けられている。
【0052】
また、第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Bの第2の経路には、位相調整用伝送線路4の出力側に接続され、第1の高周波信号の反射量を調整する第2の反射量調整用伝送線路5Bと、第2の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第2のFETからなる第2のスイッチ素子6Bとが設けられている。
【0053】
この構成により、第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Bを含む電力増幅装置は、第1の高周波信号を増幅する場合において、第1のスイッチ素子6Aをオン状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオフ状態とすることにより、第2の経路における第2の反射量調整用伝送線路5Bの出力端は開放となるため、該第2の反射量調整用伝送線路5Bはオープンスタブとなって第1の高周波信号が反射される。さらに、第1の高周波信号は、位相調整用伝送線路4により所定の位相調整が行なわれる。これにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスが第1の高周波信号に対して所望のインピーダンスに変換されるため、第2の実施形態に係る電力増幅装置は第1の高周波信号を高効率に増幅することが可能である。
【0054】
これに対し、第2の高周波信号を増幅する場合は、第1のスイッチ素子6Aをオフ状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオン状態とすることにより、第1の反射量調整用伝送線路5Aの出力端は開放となるため、該第1の反射量調整用伝送線路5Aはオープンスタブとなって第2の高周波信号が反射される。さらに、第2の高周波信号は、位相調整用伝送線路4により所定の位相調整が行なわれる。これにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスが第2の高周波信号に対して所望のインピーダンスに変換されるため、第2の実施形態に係る電力増幅装置は第2の高周波信号を高効率に増幅することが可能である。
【0055】
このように、第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Bによると、2つの出力経路を互いに切り替えることにより、2種類の高周波信号を高効率に増幅可能なインピーダンスに変換することが可能となる。
【0056】
なお、図示はしていないが、第3の反射量調整用伝送線路、第3のスイッチ素子及び第3の出力端子を第1の位相調整用伝送線路4の出力側に並列に設け、第3の経路を設けることにより、第3の高周波信号に対しても高効率に増幅可能なインピーダンスに変換することが可能となる。さらには、これと同様の第4の経路及び第5の経路を第1の経路と並列に設けることにより、第4及び第5の高周波信号に対しても同様に高効率に増幅可能なインピーダンス変換を行なうことが可能となる。
【0057】
図4は第2の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路10Bを含む電力増幅装置を示している。図4に示すように、本変形例に係るインピーダンス変換回路10Bは、第1の経路である第1のスイッチ素子6Aと第1の出力端子7Aとの間に、第1のスイッチ6Aに対して共役整合となる第1の整合回路8Aを設けている。同様に、第2の経路である第2のスイッチ素子6Bと第2の出力端子7Bとの間にも、第2のスイッチ6Bに対して共役整合となる第2の整合回路8Bを設けている。これにより、更なる損失の低減が可能である。
【0058】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0059】
図5は本発明の第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置の回路構成を示している。図5において、図1に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、第3の実施形態に係る電力増幅装置は、増幅トランジスタ2と、該増幅トランジスタ2の後段に接続された主出力整合回路3Cと、該主出力整合回路3Cの後段に接続されたインピーダンス変換回路10Cとを備えている。
【0061】
第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Cの第1の経路には、容量素子又はインダクタ等からなるインピーダンス変換が可能な素子を含む第1のインピーダンス変換素子9Aと、該第1のインピーダンス変換回路9Aの出力側に接続され、容量素子又はインダクタ等からなるインピーダンス変換が可能な素子を含む第2のインピーダンス変換素子9Bと、該第2のインピーダンス変換素子9Bの出力側に接続され、第1の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第1のFETからなる第1のスイッチ素子6Aとが設けられている。
【0062】
また、第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Cの第2の経路には、第1のインピーダンス変換回路9Aの出力側に接続され、第2の経路を開閉して高周波信号をオンオフ可能な第2のFETからなる第2のスイッチ素子6Bが設けられている。
【0063】
この構成により、第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Cを含む電力増幅装置は、第1の高周波信号を増幅する場合において、第1のスイッチ素子6Aをオン状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオフ状態とすることにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスは、主出力整合回路3Cと、第1のインピーダンス変換素子9Aと、第2のインピーダンス変換素子9Bとによりインピーダンス変換が行なわれる。
【0064】
これに対し、第2の高周波信号を増幅する場合は、第1のスイッチ素子6Aをオフ状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオン状態とすることにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスは、主出力整合回路3Cと、第1のインピーダンス変換素子9Aとによりインピーダンス変換が行なわれる。
【0065】
このように、第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Cによると、2つの出力経路を互いに切り替えることにより、2種類の高周波信号を高効率に増幅可能なインピーダンスに変換することが可能となる。
【0066】
図6は第3の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路10Cを含む電力増幅装置を示している。図4に示すように、本変形例に係るインピーダンス変換回路10Cは、第1の経路である第1のスイッチ素子6Aと第1の出力端子7Aとの間に、第1のスイッチ6Aに対して共役整合となる第1の整合回路8Aを設けている。同様に、第2の経路である第2のスイッチ素子6Bと第2の出力端子7Bとの間にも、第2のスイッチ6Bに対して共役整合となる第2の整合回路8Bを設けている。これにより、更なる損失の低減が可能である。
【0067】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0068】
図7は本発明の第4の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置の回路構成を示している。図7において、図1及び図5に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0069】
図7に示すように、第4の実施形態に係る電力増幅装置は、増幅トランジスタ2と、該増幅トランジスタ2の後段に接続された主出力整合回路3Dと、該主出力整合回路3Dの後段に接続されたインピーダンス変換回路10Dとを備えている。
【0070】
第4の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Dは、その第2の経路であって第1のインピーダンス変換素子8Aと第2のスイッチ素子6Bとの間に、容量素子又はインダクタ等からなるインピーダンス変換が可能な素子を含む第3のインピーダンス変換素子9Cが設けられている点が第3の実施形態とは異なる。
【0071】
この構成により、第4の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Dを含む電力増幅装置は、第1の高周波信号を増幅する場合において、第1のスイッチ素子6Aをオン状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオフ状態とすることにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスは、主出力整合回路3Dと、第1のインピーダンス変換素子9Aと、第2のインピーダンス変換素子9Bとによりインピーダンス変換が行なわれる。
【0072】
これに対し、第2の高周波信号を増幅する場合は、第1のスイッチ素子6Aをオフ状態とし且つ第2のスイッチ素子6Bをオン状態とすることにより、増幅トランジスタ2の出力インピーダンスは、主出力整合回路3Dと、第1のインピーダンス変換素子9Aと、第3のインピーダンス変換素子9Cとによりインピーダンス変換が行なわれる。
【0073】
このように、第4の実施形態に係るインピーダンス変換回路10Dによると、2つの出力経路を互いに切り替えることにより、2種類の高周波信号を高効率に増幅可能なインピーダンスに変換することが可能となる。
【0074】
なお、図示はしていないが、第4のインピーダンス変換素子、第3のスイッチ素子及び第3の出力端子を第1のインピーダンス変換素子9Aの出力側に並列に設け、第3の経路を設けることにより、第3の高周波信号に対しても高効率に増幅可能なインピーダンスに変換することが可能となる。さらには、これと同様の第4の経路及び第5の経路を第1の経路と並列に設けることにより、第4及び第5の高周波信号に対しても高効率に増幅可能なインピーダンス変換を行なうことが可能となる。
【0075】
なお、第3の経路以降に設ける各インピーダンス変換素子は、インピーダンス変換回路10Dの内部であれば、いずれのインピーダンス変換素子の端子と接続しても、インピーダンス変換は可能である。
【0076】
図8は第4の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路10Dを含む電力増幅装置を示している。図8に示すように、本変形例に係るインピーダンス変換回路10Dは、第1の経路である第1のスイッチ素子6Aと第1の出力端子7Aとの間に、第1のスイッチ6Aに対して共役整合となる第1の整合回路8Aを設けている。同様に、第2の経路である第2のスイッチ素子6Bと第2の出力端子7Bとの間にも、第2のスイッチ6Bに対して共役整合となる第2の整合回路8Aを設けている。これにより、更なる損失の低減が可能である。
【0077】
なお、第2〜第4の実施形態に係る主出力整合回路3B〜3Dは、図1に示した主出力整合回路3Aと同等の機能を持つ整合回路であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係るインピーダンス変換回路及びそれを用いた電力増幅装置は、複数の周波数帯のインピーダンス条件に対するインピーダンス変換を低損失に行なうことができ、複数のインピーダンスに整合可能なインピーダンス変換回路及びそれを用いた電力増幅装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の一変形例に係るインピーダンス変換回路を含む電力増幅装置を示す回路図である。
【図9】従来のインピーダンス変換回路を示す回路図である。
【図10】(a)従来の整合回路の一例を示す回路図である。(b)は従来の整合回路における寄生抵抗に対する寄生抵抗と損失との関係を示す特性図である。
【図11】従来の寄生抵抗を1Ωとした場合の端子のインピーダンスと損失との関係を示す特性図である。
【図12】従来の端子が50Ωの場合の寄生抵抗と損失との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
【0080】
1 入力端子
2 増幅トランジスタ
3A 主出力整合回路
3B 主出力整合回路
3C 主出力整合回路
3D 主出力整合回路
4 位相調整用伝送線路
5 反射量調整用伝送線路
5A 第1の反射量調整用伝送線路
5B 第2の反射量調整用伝送線路
6A 第1のスイッチ素子
6B 第2のスイッチ素子
61 第1の制御端子
62 第2の制御端子
7A 第1の出力端子
7B 第2の出力端子
8 整合回路
8A 第1の整合回路
8B 第2の整合回路
9A 第1のインピーダンス変換素子
9B 第2のインピーダンス変換素子
9C 第3のインピーダンス変換素子
10A インピーダンス変換回路
10B インピーダンス変換回路
10C インピーダンス変換回路
10D インピーダンス変換回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された高周波信号の位相を調整して出力する位相調整用伝送線路と、
前記位相調整用伝送線路の出力側に接続された第1のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第1の高周波信号として出力する第1の出力端子と、
前記位相調整用伝送線路の出力側に接続され、前記高周波信号を反射可能な第1の反射量調整用伝送線路と、
前記第1の反射量調整用伝送線路の出力側に接続された第2のスイッチ素子と、
前記第2のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第2の高周波信号として出力する第2の出力端子とを備え、
前記第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子のうちの一方がオン状態となることを特徴とするインピーダンス変換回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチ素子の出力側に接続された第1の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項3】
前記位相調整用伝送線路と前記第1のスイッチ素子との間に接続され、前記高周波信号を反射可能な第2の反射量調整用伝送線路をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項4】
前記第2のスイッチ素子の出力側に接続された第2の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項5】
前記位相調整用伝送線路の出力側に接続され、前記高周波信号を反射可能な第3の反射量調整用伝送線路と、
前記第3の反射量調整用伝送線路の出力側に接続された第3のスイッチ素子と、
前記第3のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第3の高周波信号として出力する第3の出力端子とをさらに備え、
前記第1のスイッチ素子、第2のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子のうちの1つがオン状態となることを特徴とする請求項3又は4に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項6】
前記第3のスイッチ素子の出力側に接続された第3の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項7】
入力された高周波信号のインピーダンスを変換する第1のインピーダンス変換素子と、
前記第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続され、前記高周波信号のインピーダンスを変換する第2のインピーダンス変換素子と、
前記第2のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第1のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第1の高周波信号として出力する第1の出力端子と、
前記第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第2のスイッチ素子と、
前記第2のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第2の高周波信号として出力する第2の出力端子とを備え、
前記第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子のうちの一方がオン状態となることを特徴とするインピーダンス変換回路。
【請求項8】
前記第1のスイッチ素子の出力側に接続された第1の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項9】
前記第1のインピーダンス変換素子と前記第2のスイッチ素子との間に接続され、前記高周波信号のインピーダンスを変換する第3のインピーダンス変換素子をさらに備えていることを特徴とする請求項7又は8に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項10】
前記第2のスイッチ素子の出力側に接続された第2の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項11】
前記第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続され、前記高周波信号のインピーダンスを変換する第4のインピーダンス変換素子と、
前記第4のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第3のスイッチ素子と、
前記第3のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第3の高周波信号として出力する第3の出力端子とをさらに備え、
前記第1のスイッチ素子、第2のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子のうちの1つがオン状態となることを特徴とする請求項9又は10に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項12】
前記第3のスイッチ素子の出力側に接続された第3の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項13】
前記請求項1〜12のいずれか1項に記載のインピーダンス変換回路と、
前記インピーダンス変換回路の入力側に接続された増幅素子とを備えていることを特徴とする電力増幅装置。
【請求項14】
前記増幅素子と前記インピーダンス変換回路との間に接続された第4の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載の電力増幅装置。
【請求項1】
入力された高周波信号の位相を調整して出力する位相調整用伝送線路と、
前記位相調整用伝送線路の出力側に接続された第1のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第1の高周波信号として出力する第1の出力端子と、
前記位相調整用伝送線路の出力側に接続され、前記高周波信号を反射可能な第1の反射量調整用伝送線路と、
前記第1の反射量調整用伝送線路の出力側に接続された第2のスイッチ素子と、
前記第2のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第2の高周波信号として出力する第2の出力端子とを備え、
前記第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子のうちの一方がオン状態となることを特徴とするインピーダンス変換回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチ素子の出力側に接続された第1の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項3】
前記位相調整用伝送線路と前記第1のスイッチ素子との間に接続され、前記高周波信号を反射可能な第2の反射量調整用伝送線路をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項4】
前記第2のスイッチ素子の出力側に接続された第2の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項5】
前記位相調整用伝送線路の出力側に接続され、前記高周波信号を反射可能な第3の反射量調整用伝送線路と、
前記第3の反射量調整用伝送線路の出力側に接続された第3のスイッチ素子と、
前記第3のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第3の高周波信号として出力する第3の出力端子とをさらに備え、
前記第1のスイッチ素子、第2のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子のうちの1つがオン状態となることを特徴とする請求項3又は4に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項6】
前記第3のスイッチ素子の出力側に接続された第3の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項7】
入力された高周波信号のインピーダンスを変換する第1のインピーダンス変換素子と、
前記第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続され、前記高周波信号のインピーダンスを変換する第2のインピーダンス変換素子と、
前記第2のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第1のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第1の高周波信号として出力する第1の出力端子と、
前記第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第2のスイッチ素子と、
前記第2のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第2の高周波信号として出力する第2の出力端子とを備え、
前記第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子のうちの一方がオン状態となることを特徴とするインピーダンス変換回路。
【請求項8】
前記第1のスイッチ素子の出力側に接続された第1の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項9】
前記第1のインピーダンス変換素子と前記第2のスイッチ素子との間に接続され、前記高周波信号のインピーダンスを変換する第3のインピーダンス変換素子をさらに備えていることを特徴とする請求項7又は8に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項10】
前記第2のスイッチ素子の出力側に接続された第2の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項11】
前記第1のインピーダンス変換素子の出力側に接続され、前記高周波信号のインピーダンスを変換する第4のインピーダンス変換素子と、
前記第4のインピーダンス変換素子の出力側に接続された第3のスイッチ素子と、
前記第3のスイッチ素子の出力側に設けられ、前記高周波信号を第3の高周波信号として出力する第3の出力端子とをさらに備え、
前記第1のスイッチ素子、第2のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子のうちの1つがオン状態となることを特徴とする請求項9又は10に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項12】
前記第3のスイッチ素子の出力側に接続された第3の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載のインピーダンス変換回路。
【請求項13】
前記請求項1〜12のいずれか1項に記載のインピーダンス変換回路と、
前記インピーダンス変換回路の入力側に接続された増幅素子とを備えていることを特徴とする電力増幅装置。
【請求項14】
前記増幅素子と前記インピーダンス変換回路との間に接続された第4の整合回路をさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載の電力増幅装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−281714(P2007−281714A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103576(P2006−103576)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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