説明

インピーダンス測定装置および接触検査方法

【課題】検査中に発生した接触状態の悪化についての検出確度を向上させる。
【解決手段】第1検出部8は、測定処理前の接触検査処理において定電流Ic1を供給するために電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4a間に電圧を所定電圧値Vc1を上限として印加可能で、かつ測定処理後の接触検査処理において定電流Ic2を供給するために両プローブ3a,4a間に電圧を所定電圧値Vc1よりも低電圧の所定電圧値Vc2を上限として印加可能に構成され、第2検出部9は、測定処理前の接触検査処理において定電流Ic3を供給するために電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4b間に電圧を所定電圧値Vc3を上限として印加可能で、かつ測定処理後の接触検査処理において定電流Ic4を供給するために両プローブ3b,4b間に電圧を所定電圧値Vc3よりも低電圧の所定電圧値Vc4を上限として印加可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象体の各端部に接触させられる一対の電流供給プローブおよび一対の電圧検出プローブの接触不良を検出可能に構成されたインピーダンス測定装置、並びに各電流供給プローブおよび各電圧検出プローブの接触不良を検出可能な接触検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のインピーダンス測定装置として、下記特許文献1に開示された電子部品の検査装置が知られている。この検査装置は、ディスクリート型電子部品の特性を検査する装置であって、電子部品の外部電極に対してそれぞれ2本ずつ押し当てられる端子と、外部電極毎に互いの回路のアースが相互に接続されていないフローティング状態で個別に設けられ、同一の外部電極に接触する2本の端子間に上記の端子または外部電極上の絶縁皮膜を破壊し得る電気信号を印加する電気信号源と、異なる外部電極に接触する端子間に測定信号を流すことにより、電子部品に流れる信号から電子部品の特性を測定する測定器と、電気信号源と測定器とを上記の端子に対して選択的に接続する切換手段とを備えている。
【0003】
この検査装置によれば、電気信号源から同一の外部電極に接触する2本の端子間に、この端子または外部電極上の絶縁皮膜を破壊し得る電気信号を印加することができるため、この電気信号の印加によって絶縁被膜をクリーニングして(接触性を改善して)、端子と外部電極とを導通させた状態で電子部品の特性を検査することができる結果、電子部品の特性を正確に検査することができる。また、この検査装置によれば、上記電気信号の印加の際に、端子と外部電極との間に流れる電流により、端子と外部電極との接触検出(接触性の確認)を行うこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3642456号公報(第3頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようにして、電子部品の特性の検査を実行する前段階で電気信号を印加して絶縁被膜をクリーニングしたとしても、検査中に端子と外部電極と間に流れる電流の電流値の如何によっては絶縁被膜が再形成されて導通状態が悪化し、これに起因して正常な検査を行い得ない場合がある。このため、検査が終了した後においても、電気信号を端子と外部電極との間に印加して、両者間の接触検出(接触性の確認)を行うことが考えられる。
【0006】
しかしながら、上記の検査装置では、接触性を改善し得る電流値の電気信号を印加する構成のため、検査中(測定中)に導通状態が悪化したとしても、検査後(測定後)の電気信号の印加によって、悪化した導通状態(接触性)が改善されることがある。したがって、検査中に発生した接触状態の悪化を検出することができないという解決すべき課題が依然として存在している。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、検査中に発生した接触状態の悪化についての検出確度を向上させ得るインピーダンス測定装置を提供することを主目的とする。また、各電流供給プローブおよび各電圧検出プローブの接触不良を検出可能な接触検査方法を提供することを他の主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載のインピーダンス測定装置は、測定対象体の一方の端部にそれぞれ接触させられる一の電流供給プローブおよび一の電圧検出プローブと、前記測定対象体の他方の端部にそれぞれ接触させられる他の電流供給プローブおよび他の電圧検出プローブと、前記測定対象体の前記各端部に接触させられた一対の前記電流供給プローブ間に測定電流を供給する電流源と、前記測定電流の供給状態において前記測定対象体の前記各端部間に発生する両端間電圧を一対の前記電圧検出プローブを介して検出する電圧計と、前記一の電流供給プローブおよび前記一の電圧検出プローブ間に第1検査電流を供給すると共に、当該第1検査電流の供給状態において当該両プローブ間に発生する第1検査電圧を検出する第1検出部と、前記他の電流供給プローブおよび前記他の電圧検出プローブ間に第2検査電流を供給すると共に、当該第2検査電流の供給状態において当該両プローブ間に発生する第2検査電圧を検出する第2検出部と、前記測定電流および前記両端間電圧に基づいて前記測定対象体のインピーダンスを測定する測定処理、並びに前記第1検査電流および前記第1検査電圧に基づいて前記一の電流供給プローブおよび前記一の電圧検出プローブと前記測定対象体の前記一方の端部との間の接触状態を検出すると共に前記第2検査電流および前記第2検査電圧に基づいて前記他の電流供給プローブおよび前記他の電圧検出プローブと前記測定対象体の前記他方の端部との間の接触状態を検出する接触検査処理を実行する処理部とを備え、前記処理部は、前記測定処理の前後において前記接触検査処理を実行し、前記第1検出部は、前記測定処理の前に実行される前記接触検査処理において前記第1検査電流を供給するために前記一の電流供給プローブおよび前記一の電圧検出プローブ間に第1電圧を第1所定電圧値を上限として印加可能に構成され、当該測定処理の後に実行される前記接触検査処理において前記第1検査電流を供給するために当該一の電流供給プローブおよび当該一の電圧検出プローブ間に第2電圧を当該第1所定電圧値よりも低電圧の第2所定電圧値を上限として印加可能に構成され、前記第2検出部は、前記測定処理の前に実行される前記接触検査処理において前記第2検査電流を供給するために前記他の電流供給プローブおよび前記他の電圧検出プローブ間に第3電圧を第3所定電圧値を上限として印加可能に構成され、当該測定処理の後に実行される前記接触検査処理において前記第2検査電流を供給するために当該他の電流供給プローブおよび当該他の電圧検出プローブ間に第4電圧を当該第3所定電圧値よりも低電圧の第4所定電圧値を上限として印加可能に構成されている。
【0009】
また、請求項2記載のインピーダンス測定装置は、請求項1記載のインピーダンス測定装置において、前記第1所定電圧値および前記第3所定電圧値は、前記測定対象体の前記各端部上の絶縁被膜を破壊し得る電圧値に規定されると共に、前記第2所定電圧値および前記第4所定電圧値は、当該絶縁被膜を破壊し得ない電圧値に規定されている。
【0010】
請求項3記載の接触検査方法は、測定対象体の一方の端部に接触された一の電流供給プローブおよび一の電圧検出プローブ間に第1検査電流を供給しつつ当該両プローブ間に発生する第1検査電圧を検出して、当該第1検査電流および当該第1検査電圧に基づいて当該一の電流供給プローブおよび当該一の電圧検出プローブと前記測定対象体の前記一方の端部との間の接触状態を検出し、かつ当該測定対象体の他方の端部に接触された他の電流供給プローブおよび他の電圧検出プローブ間に第2検査電流を供給しつつ当該両プローブ間に発生する第2検査電圧を検出して、当該第2検査電流および当該第2検査電圧に基づいて当該他の電流供給プローブおよび当該他の電圧検出プローブと当該測定対象体の当該他方の端部との間の接触状態を検出する接触検査方法であって、一対の前記電流供給プローブおよび一対の前記電圧検出プローブを使用した前記測定対象体に対するインピーダンス測定処理の実行の前後において前記接触状態の検出を行うと共に、前記インピーダンス測定処理の実行前における前記接触状態の検査においては、前記第1検査電流を供給するために前記一の電流供給プローブおよび前記一の電圧検出プローブ間に第1電圧を第1所定電圧値を上限として印加すると共に、前記第2検査電流を供給するために前記他の電流供給プローブおよび前記他の電圧検出プローブ間に第3電圧を第3所定電圧値を上限として印加し、前記インピーダンス測定処理の実行後における前記接触状態の検査においては、前記第1検査電流を供給するために前記一の電流供給プローブおよび前記一の電圧検出プローブ間に第2電圧を前記第1所定電圧値よりも低電圧の第2所定電圧値を上限として印加すると共に、前記第2検査電流を供給するために前記他の電流供給プローブおよび前記他の電圧検出プローブ間に第4電圧を前記第3所定電圧値よりも低電圧の第4所定電圧値を上限として印加する。
【0011】
また、請求項4記載の接触検査方法は、請求項3記載の接触検査方法において、前記第1所定電圧値および前記第3所定電圧値は、前記測定対象体の前記各端部上の絶縁被膜を破壊し得る電圧値に規定されると共に、前記第2所定電圧および前記第4所定電圧値は、当該絶縁被膜を破壊し得ない電圧値に規定されている。
【発明の効果】
【0012】
このインピーダンス測定装置およびこの接触検査方法では、測定処理の後に実行する接触検査処理において印加する第2電圧および第4電圧の各上限値(第2所定電圧値および第4所定電圧値)が、測定処理の前に実行する接触検査処理において印加する第1電圧および第3電圧の各上限値(第1所定電圧値および第3所定電圧値)よりも低電圧、具体的には測定対象体の各端部上に形成される絶縁被膜を破壊し得ない電圧値に規定されている。したがって、このインピーダンス測定装置およびこの接触検査方法によれば、測定処理中に、測定対象体の各端部の表面等に絶縁被膜などが形成されるなどの理由により、電流供給プローブおよび電圧検出プローブと、測定対象体の各端部との間の接触状態が不良な状態に陥り、これによって測定処理が正常に行われなかった場合にも、測定処理の後の接触検査処理において印加される第2電圧および第4電圧によってこの絶縁被膜が破壊される事態を回避できるため、この接触検査処理により、接触不良が発生していることを確実に検査することができる。したがって、測定処理中に発生した接触状態の悪化(接触不良の発生)についての検出確度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】インピーダンス測定装置1の構成を示す構成図である。
【図2】インピーダンス測定装置1の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】インピーダンス測定装置1の動作を説明するための他のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る接触検査方法およびこの方法を実行する本発明に係るインピーダンス測定装置1の実施の形態について説明する。
【0015】
まず、インピーダンス測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。
【0016】
インピーダンス測定装置1は、図1に示すように、測定対象体2のインピーダンス(本例では一例として抵抗値R)を測定する装置であって、一対の電流供給プローブ3a,3b、一対の電圧検出プローブ4a,4b、電流源5、一対のスイッチ6a,6b、電圧計7、第1検出部8、第2検出部9、処理部10、記憶部11および出力部12を備えている。
【0017】
一対の電流供給プローブ3a,3bは、図1に示すように、一の電流供給プローブ3aが測定対象体2の一方の端部2aに接触させられ、他の電流供給プローブ3bが測定対象体2の他方の端部2bに接触させられる。一対の電圧検出プローブ4a,4bは、一の電圧検出プローブ4aが測定対象体2の一方の端部2aに接触させられ、他の電流供給プローブ3bが測定対象体2の他方の端部2bに接触させられる。電流源5は、一例として定電流源で構成されて、予め規定された電流値(定電流値)の測定電流I1を出力する。また、電流源5は、一対の出力端子(図示せず)のうちの一方の出力端子がスイッチ6aを介して電流供給プローブ3aに接続されると共に、他方の出力端子がスイッチ6bを介して電流供給プローブ3bに接続されている。
【0018】
電圧計7は、図1に示すように、一例として、増幅部7aおよびA/D変換部7bで構成されている。増幅部7aは、一対の入力端子(図示せず)のうちの一方の入力端子が電圧検出プローブ4aに接続されると共に、他方の入力端子が電圧検出プローブ4bに接続されている。この構成により、増幅部7aは、一対の電圧検出プローブ4a,4bを介して測定対象体2の両端間に発生する両端間電圧V1を入力して、所定の増幅率で増幅して電圧信号V1aとして出力する。A/D変換部7bは、電圧信号V1aを所定の周波数のサンプリングクロック(図示せず)でサンプリングすることにより、電圧信号V1aのレベル、すなわち両端間電圧V1の電圧値を示すデジタルデータD1に変換して出力する。
【0019】
第1検出部8は、図1に示すように、一例として、2種類の定電流源8a,8b、一対のスイッチ8c,8d、増幅部8eおよびA/D変換部8fで構成されている。本例では、定電流源8aとスイッチ8cとが直列に接続されて、この直列回路の一端側(一例として同図ではスイッチ8c側)が電流供給プローブ3aに接続されると共に、他端側(一例として同図では定電流源8a側)が電圧検出プローブ4aに接続されている。また、この定電流源8aとスイッチ8cとで構成される直列回路に、定電流源8bとスイッチ8dとで構成される直列回路が並列に接続されている。定電流源8aは、予め決められた電流値(既知)の定電流Ic1(本発明における第1検査電流)を電流供給プローブ3aと電圧検出プローブ4aとの間に供給し得るように構成されると共に、この定電流Ic1を発生させるために出力し得る電圧(本発明における第1電圧)の上限値(最大値)が第1所定電圧値Vc1(以下、単に「所定電圧値Vc1」ともいう)に規定されている。また、この所定電圧値Vc1は、測定対象体2の一方の端部2aの表面や、電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4aの表面に、接触状態を悪化させる(接触不良を生じさせる)原因となる絶縁被膜が形成されていた場合に、この絶縁被膜を破壊し得る電圧値に設定されている。この構成により、定電流源8aは、この絶縁被覆に起因して定電流Ic1を電流供給プローブ3aと電圧検出プローブ4aとの間に供給できない状態のときには、出力する電圧値を最大で所定電圧値Vc1まで上昇させて、この絶縁被膜を破壊して、接触状態を改善し得る機能を有している。
【0020】
一方、定電流源8bは、予め決められた電流値(既知。定電流Ic1の電流値よりも小さい電流値)の定電流Ic2(本発明におけるもう一つの第1検査電流)を電流供給プローブ3aと電圧検出プローブ4aとの間に供給し得るように構成されると共に、この定電流Ic2を発生させるために出力し得る電圧(本発明における第2電圧)の上限値(最大値)が第2所定電圧値Vc2(所定電圧値Vc1よりも低電圧であって、以下、単に「所定電圧値Vc2」ともいう)に規定されている。このように、定電流源8bは、定電流源8aと比較して、定電流Ic2の電流値および所定電圧値Vc2が低い値に規定されている。このため、測定対象体2の一方の端部2aの表面や、電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4aの表面に、接触不良の原因となる絶縁被膜が形成されていた場合に、定電流源8bは、両プローブ3a,4a間に定電流Ic2を供給すべく、その出力する電圧値を上昇させるが、この出力される電圧によって絶縁被膜が破壊されるのに先立って、定電流Ic2が規定の電流値に達するか、または出力している電圧値が所定電圧値Vc2に達する構成となっている。
【0021】
増幅部8eは、一対の入力端子(図示せず)のうちの一方が電流供給プローブ3aに接続されると共に、他方が電圧検出プローブ4aに接続されて、電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4aの測定対象体2の一方の端部2aとの間の各接触抵抗に起因して両プローブ3a,4a間に発生する第1検査電圧V2(以下、単に「電圧V2」ともいう)を所定の増幅率で増幅して電圧信号V2aとして出力する。A/D変換部8fは、電圧信号V2aをA/D変換部7bと同じサンプリングクロックでサンプリングすることにより、電圧信号V2aのレベル、すなわち電圧V2の電圧値を示すデジタルデータD2に変換して出力する。つまり、第1検出部8は、電圧V2の電圧値を検出してデジタルデータD2として出力する。
【0022】
第2検出部9は、図1に示すように、一例として、2種類の定電流源9a,9b、一対のスイッチ9c,9d、増幅部9eおよびA/D変換部9fで構成されている。本例では、定電流源9aとスイッチ9cとが直列に接続されて、この直列回路の一端側(一例として同図ではスイッチ9c側)が電流供給プローブ3bに接続されると共に、他端側(一例として同図では定電流源9a側)が電圧検出プローブ4bに接続されている。また、この定電流源9aとスイッチ9cとで構成される直列回路に、定電流源9bとスイッチ9dとで構成される直列回路が並列に接続されている。また、定電流源9aは、予め決められた電流値(既知。一例として定電流Ic1と同じ電流値)の定電流Ic3(本発明における第2検査電流)を電流供給プローブ3bと電圧検出プローブ4bとの間に供給し得るように構成されていると共に、この定電流Ic3を発生させるために出力し得る電圧(本発明における第1電圧)の上限値(最大値)が第3所定電圧値Vc3(一例として所定電圧値Vc1と同じ値であって、以下、単に「所定電圧値Vc3」ともいう)に規定されている。また、この所定電圧値Vc3は、測定対象体2の他方の端部2bの表面や、電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4bの表面に、接触状態を悪化させる(接触不良を生じさせる)原因となる絶縁被膜が形成されていた場合に、この絶縁被膜を破壊し得る電圧値に設定されている。この構成により、定電流源9aは、この絶縁被覆に起因して定電流Ic3を電流供給プローブ3bと電圧検出プローブ4bとの間に供給できない状態のときには、出力する電圧値を最大で所定電圧値Vc3まで上昇させて、この絶縁被膜を破壊して、接触状態を改善し得る機能を有している。
【0023】
一方、定電流源9bは、予め決められた電流値(既知。定電流Ic3の電流値よりも小さい電流値であって、一例として定電流Ic2と同じ電流値)の定電流Ic4(本発明におけるもう一つの第2検査電流)を電流供給プローブ3bと電圧検出プローブ4bとの間に供給し得るように構成されていると共に、この定電流Ic4を発生させるための出力し得る電圧(本発明における第2電圧)の上限値(最大値)が第4所定電圧値Vc4(所定電圧値Vc3よりも低電圧。一例として所定電圧値Vc2と同じ値であって、以下、単に、「所定電圧値Vc4」ともいう)に規定されている。このように、定電流源9bは、定電流源9aと比較して、定電流Ic4の電流値および所定電圧値Vc4が低い値に規定されている。このため、測定対象体2の他方の端部2bの表面や、電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4bの表面に、接触不良の原因となる絶縁被膜が形成されていた場合に、定電流源9bは、両プローブ3b,4b間に定電流Ic4を供給すべく、その出力する電圧値を上昇させるが、この出力される電圧によって絶縁被膜が破壊されるのに先立って、定電流Ic4が規定の電流値に達するか、または出力している電圧値が所定電圧値Vc4に達する構成となっている。
【0024】
増幅部9eは、一対の入力端子(図示せず)のうちの一方が電流供給プローブ3bに接続されると共に、他方が電圧検出プローブ4bに接続されて、電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4bの測定対象体2の他方の端部2bとの間の各接触抵抗に起因して両プローブ3b,4b間に発生する第2検査電圧V3(以下、単に「電圧V3」ともいう)を所定の増幅率で増幅して電圧信号V3aとして出力する。A/D変換部9fは、電圧信号V3aをA/D変換部7bと同じサンプリングクロックでサンプリングすることにより、電圧信号V3aのレベル、すなわち電圧V3の電圧値を示すデジタルデータD3に変換して出力する。つまり、第2検出部9は、電圧V3の電圧値を検出してデジタルデータD3として出力する。
【0025】
処理部10は、一例としてCPUで構成されて、測定対象体2のインピーダンス(本例では抵抗値R)を測定する測定処理、および接触検査処理を実行する。この場合、処理部10は、接触検査処理では、電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4aについての測定対象体2の一方の端部2aとの間の各接触状態を検査すると共に、電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4bについての測定対象体2の他方の端部2bとの間の各接触状態を検査する。また、処理部10は、各スイッチ6a,6b,8c,8d,9c,9dに対する制御処理についても実行する。記憶部11は、ROMやRAMなどの半導体メモリで構成されて、処理部10のためのワークメモリとして機能する。また、記憶部11には、処理部10についての動作プログラムが予め記憶されている。出力部12は、一例としてLCDなどの表示装置で構成されて、処理部10によって実行された測定処理および接触検査処理についての処理結果を表示する。
【0026】
次に、インピーダンス測定装置1の動作と併せて、本発明における接触検査処理について説明する。
【0027】
インピーダンス測定装置1では、まず、処理部10が、各スイッチ6a,6b,8c,8d,9c,9dに対する制御処理を実行して、すべてのスイッチをオフ状態に移行させる。次いで、処理部10は、図2に示すように、各電流供給プローブ3a,3bおよび各電圧検出プローブ4a,4bが非接触位置(測定対象体2の各端部2a,2bと接触しない位置)から接触位置(接触する位置)に移動させられた後、時刻t1から時刻t2までの間において、第1回目の接触検査処理(測定処理終了前の接触検査処理)を実行する。処理部10は、この第1回目の接触検査処理と後述する第2回目の接触検査処理とを実施することにより、本発明における接触検査方法を実行することになる。
【0028】
この接触検査処理では、処理部10は、まず、各スイッチ8c,9cのみをオン状態に移行させる。これにより、第1検出部8では、定電流源8aが、スイッチ8cを介して電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4aに接続されて、各プローブ3a,4a間への定電流Ic1の供給を開始する。この場合、定電流源8aは、測定対象体2の一方の端部2aの表面や、電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4aの表面に、接触不良の原因となる絶縁被膜が形成されていて、規定の定電流Ic1を供給し得ないときには、その出力電圧を上昇させる。上記したように、定電流源8aの出力し得る電圧の上限値(所定電圧値Vc1)は、この絶縁被膜を破壊し得るに十分な電圧値に規定されているため、定電流源8aは、絶縁被膜をその出力電圧によって破壊して、電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4aと測定対象体2の一方の端部2aとの間の接触状態を良好な状態(接触抵抗が低い状態)に移行させて、定電流Ic1を両プローブ3a,4a間に確実に供給する。増幅部8eは、測定対象体2の一方の端部2aを介して両プローブ3a,4a間に定電流Ic1が流れることで両プローブ3a,4a間に発生する電圧V2を増幅して電圧信号V2aとして出力する。A/D変換部8fは、この電圧信号V2aをサンプリングして、デジタルデータD2に変換して処理部10に出力する。
【0029】
同様にして、第2検出部9でも、定電流源9aが、スイッチ9cを介して電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4bに接続されて、各プローブ3b,4b間への定電流Ic3の供給を開始する。この場合、定電流源9aも定電流源8aと同様にして、測定対象体2の他方の端部2bの表面や、電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4bの表面に、接触不良の原因となる絶縁被膜が形成されていて、規定の定電流Ic3を供給し得ないときには、その出力電圧を上昇させる。上記したように、定電流源9aの出力し得る電圧の上限値(所定電圧値Vc3)は、この絶縁被膜を破壊し得るに十分な電圧値に規定されているため、定電流源9aは、絶縁被膜をその出力電圧によって破壊して、電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4bと測定対象体2の他方の端部2bとの間の接触状態を良好な状態(接触抵抗が低い状態)に移行させて、定電流Ic3を両プローブ3b,4b間に確実に供給する。増幅部9eは、測定対象体2の他方の端部2bを介して両プローブ3b,4b間に定電流Ic3が流れることで両プローブ3b,4b間に発生する電圧V3を増幅して電圧信号V3aとして出力する。A/D変換部9fは、この電圧信号V3aをサンプリングして、デジタルデータD3に変換して処理部10に出力する。
【0030】
次いで、処理部10は、第1検出部8から出力されたデジタルデータD2に基づいて電圧V2の電圧値を算出すると共に、第2検出部9から出力されたデジタルデータD3に基づいて電圧V3の電圧値を算出し、算出した各電圧V2,V3の電圧値と、各定電流源8a,9aから供給される定電流Ic1,Ic3の電流値(既知)とに基づいて、電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4a間の接触抵抗(電流供給プローブ3aと一方の端部2aとの間の接触抵抗、および電圧検出プローブ4aと一方の端部2aとの間の接触抵抗の合成抵抗)、並びに電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4b間の接触抵抗(電流供給プローブ3bと他方の端部2bとの間の接触抵抗、および電圧検出プローブ4bと他方の端部2bとの間の接触抵抗の合成抵抗)を算出する。続いて、処理部10は、算出した各接触抵抗の抵抗値に基づいて、各プローブ3a,4aと測定対象体2の端部2aとの間、および各プローブ3b,4bと測定対象体2の端部2bとの間の接触状態を検査(判別)する。通常は、上記したように、絶縁被膜に起因する接触不良が発生していたとしても、定電流源8a,9aから出力される電圧により、絶縁被膜が破壊されて接触状態が改善されるため、算出した各接触抵抗の抵抗値は許容値の範囲に入ることから、処理部10は、接触が良好であると判別して、図2に示すように、接触検査処理を終了させて、時刻t3から時刻t5までの間に測定処理を実行する。一方、定電流源8a,9aから出力される電圧が所定電圧値Vc1,Vc3に達しても絶縁被膜が破壊されないときには、算出した各接触抵抗の抵抗値は許容値の範囲を超えることから、この場合には、処理部10は、接触状態が不良と判別して、その旨を出力部12に表示させて、この接触検査処理を終了させる。
【0031】
測定処理では、処理部10は、まず、各スイッチ6a,6bのみをオン状態に移行させ、他のスイッチ8a〜9bをオフ状態に移行させる。これにより、第1検出部8および第2検出部9からの測定対象体2への各定電流Ic1,Ic2,Ic3,Ic4の供給が中断された状態において、電流源5が、各電流供給プローブ3a,3bを介して測定対象体2に対して測定電流I1の供給を開始する。この測定電流I1が測定対象体2に流れることに起因して、測定対象体2の両端間に両端間電圧V1が発生する。電圧計7では、増幅部7aが、電圧検出プローブ4a,4bを介して入力した両端間電圧V1を増幅して電圧信号V1aとして出力し、A/D変換部7bが電圧信号V1aをサンプリングしてデジタルデータD1に変換して処理部10に出力する。処理部10は、電圧計7から出力されたデジタルデータD1と、電流源5から供給される測定電流I1の電流値(既知)とに基づいて、測定対象体2のインピーダンス(抵抗値R)を算出して、記憶部11に記憶する。これにより、測定処理が完了する。
【0032】
続いて、この測定処理の完了後、処理部10は、時刻t6から時刻t7までの間に、第2回目の接触検査処理(測定処理終了後の接触検査処理)を実行する。この接触検査処理では、処理部10は、まず、各スイッチ8d,9dのみをオン状態に移行させ、スイッチ6a,6bおよびスイッチ8c,9cをオフ状態に移行させる。これにより、第1検出部8では、定電流源8bが、スイッチ8dを介して電流供給プローブ3aに接続されて、電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4a間への定電流Ic2の供給を開始する。この場合、定電流源8aは、定電流Ic2の供給に際して、その出力電圧を上昇させるが、上記したように、定電流源8aの定電流Ic1と比較して、定電流Ic2の電流値が低い値に規定されている。このため、測定対象体2の一方の端部2aの表面や、電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4aの表面に絶縁被膜が形成されていた場合に、絶縁被膜が破壊されるのに先立って、規定の電流値に定電流Ic2が達するか、または出力電圧が上限値である所定電圧値Vc2に達する構成となっている。したがって、各プローブ3a,4aと測定対象体2の一方の端部2aとが正常に接触しているとき(接触抵抗が基準値(実験などによって予め規定された抵抗値)よりも小さいとき)には、図2に示すように、測定対象体2の一方の端部2aを介して両プローブ3a,4a間に電流が流れることで両プローブ3a,4a間に発生する電圧V2は基準電圧Vrよりも低い電圧となる。増幅部8eは、この電圧V2を増幅して電圧信号V2aとして出力する。A/D変換部8fは、この電圧信号V2aをサンプリングして、デジタルデータD2に変換して処理部10に出力する。
【0033】
また、第2検出部9では、定電流源9bが、スイッチ9dを介して電流供給プローブ3bに接続されて、電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4b間への定電流Ic4の供給を開始する。この場合、定電流源9bは、定電流Ic4の供給に際して、その出力電圧を上昇させるが、上記したように、定電流源9aの定電流Ic3と比較して、定電流Ic4の電流値が低い値に規定されている。このため、測定対象体2の他方の端部2bの表面や、電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4bの表面に絶縁被膜が形成されていた場合に、絶縁被膜が破壊されるのに先立って、規定の電流値に定電流Ic4が達するか、または出力電圧が上限値である所定電圧値Vc4に達する構成となっている。したがって、各プローブ3b,4bと測定対象体2の他方の端部2bとが正常に接触しているとき(接触抵抗が基準値(実験などによって予め規定された抵抗値)よりも小さいとき)には、図2に示すように、測定対象体2の他方の端部2bを介して両プローブ3b,4b間に電流が流れることで両プローブ3b,4b間に発生する電圧V3は基準電圧Vrよりも低い電圧となる。増幅部9eは、この電圧V3を増幅して電圧信号V3aとして出力する。A/D変換部9fは、この電圧信号V3aをサンプリングして、デジタルデータD3に変換して処理部10に出力する。
【0034】
一方、図3に示すように、測定処理中(同図中では時刻t4)に、各プローブ3a,4aと測定対象体2の一方の端部2aとの間に接触不良が発生した(接触抵抗が絶縁被膜の存在に起因して基準値よりも大きくなった)ときには、第2回目の接触検査処理時において、両プローブ3a,4a間に発生する電圧V2は、所定電圧値Vc2(つまり定電流源8bの出力の最大値)となり、基準電圧Vr以上となる。また、各プローブ3b,4bと測定対象体2の他方の端部2bとの間に接触不良が発生した(接触抵抗が絶縁被膜の存在に起因して基準値よりも大きくなった)ときには、第2回目の接触検査処理時において、両プローブ3b,4b間に発生する電圧V3も、上記した電圧V2の場合と同様にして、所定電圧値Vc4(つまり定電流源9bの出力の最大値)となり、基準電圧Vr以上となる。
【0035】
処理部10は、各検出部8,9から出力されるデジタルデータD2,D3に基づいて、電圧V2の電圧値および電圧V3の電圧値を算出すると共に基準電圧Vrと比較して、各プローブ3,4と測定対象体2の各端部2a,2bとの間に接触状態を判別する。この場合、上記したように、接触状態が正常のときには、電圧V2,V3の各電圧値は基準電圧Vrよりも低くなり、一方、接触不良が発生しているときには、電圧V2,V3の各電圧値は基準電圧Vr以上となる。したがって、処理部10は、電圧V2,V3の各電圧値がいずれも基準電圧Vrよりも低いときには、各プローブ3,4と測定対象体2の各端部2a,2bとの間に接触状態は正常であると判別して、記憶部11から測定対象体2のインピーダンス(抵抗値R)を読み出して、出力部12に表示させる。一方、電圧V2の電圧値が基準電圧Vr以上のときにはプローブ3a,4a側において接触不良が発生していると判別し、また電圧V3の電圧値が基準電圧Vr以上のときにはプローブ3b,4b側において接触不良が発生していると判別して、測定対象体2のインピーダンス(抵抗値R)を出力部12に表示させることなく、その判別結果を記憶部11に記憶させると共に、その旨(接触不良が発生した旨)を出力部12に表示させる。
【0036】
このように、このインピーダンス測定装置1およびこの装置1が実行する接触検査方法では、測定処理の前後において処理部10によって接触検査処理が実行され、測定処理の実行前においては、定電流Ic1を供給するために電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4a間に電圧を所定電圧値Vc1を上限として印加すると共に、定電流Ic3を供給するために電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4b間に電圧を所定電圧値Vc3を上限として印加し、測定処理の実行後においては、定電流Ic2を供給するために電流供給プローブ3aおよび電圧検出プローブ4a間に電圧を所定電圧値Vc1よりも低電圧に規定された所定電圧値Vc2を上限として印加すると共に、定電流Ic4を供給するために電流供給プローブ3bおよび電圧検出プローブ4b間に電圧を所定電圧値Vc3よりも低電圧に規定された所定電圧値Vc4を上限として印加する。この場合、所定電圧値Vc2,Vc4は、各プローブ3,4や測定対象体2の各端部2a,2bに生じた絶縁被膜を破壊し得ない程度の低電圧に規定されている。
【0037】
したがって、このインピーダンス測定装置1およびこの装置1によって実行される接触検査方法によれば、測定処理中に各プローブ3,4および測定対象体2の各端部2a,2bの各表面のいずれかに絶縁被膜などが形成されるなどの理由により、各プローブ3,4と測定対象体2の各端部2a,2bとの間の接触状態が不良な状態に陥り、これによってインピーダンス測定が正常に行われなかった場合にも、測定処理の後に実行する第2回目の接触検査処理において、印加される電圧によってこの絶縁被膜が破壊される事態を回避できるため、この接触検査処理により、接触不良が発生していることを確実に検査することができる。したがって、このインピーダンス測定装置1およびこの接触検査方法によれば、このようにして、測定処理中に発生した接触状態の悪化(接触不良の発生)についての検出確度を向上させることができるため、インピーダンス測定が正常に行われなかった場合に測定された測定対象体2のインピーダンス(抵抗値R)を、正常に測定されたものであるとして出力部12に表示させるといった不具合を確実に防止することができる。
【0038】
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、各プローブ3a,4aと測定対象体2の端部2aとの間に異なる電流値の定電流Ic1,Ic2を供給すべく2つの定電流源8a,8bを配設すると共に、各プローブ3b,4bと測定対象体2の端部2bとの間に異なる電流値の定電流Ic3,Ic4を供給すべく2つの定電流源9a,9bを配設する構成を採用したが、2つの定電流源8a,8bに代えて1つの出力電流可変型の電流源を配設すると共に、2つの定電流源9a,9bに代えて1つの出力電流可変型の電流源を配設する構成を採用することもできる。また、所定電圧値Vc1,Vc3を互いに異なる電圧値に規定することもできるし、所定電圧値Vc2,Vc4を互いに異なる電圧値に規定することもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 インピーダンス測定装置
2 測定対象体
2a 一方の端部
2b 他方の端部
3a,3b 電流供給プローブ
4a,4b 電圧検出プローブ
5 電流源
7 電圧計
8 第1検出部
9 第2検出部
10 処理部
I1 測定電流
Ic1,Ic2,Ic3,Ic4 定電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象体の一方の端部にそれぞれ接触させられる一の電流供給プローブおよび一の電圧検出プローブと、
前記測定対象体の他方の端部にそれぞれ接触させられる他の電流供給プローブおよび他の電圧検出プローブと、
前記測定対象体の前記各端部に接触させられた一対の前記電流供給プローブ間に測定電流を供給する電流源と、
前記測定電流の供給状態において前記測定対象体の前記各端部間に発生する両端間電圧を一対の前記電圧検出プローブを介して検出する電圧計と、
前記一の電流供給プローブおよび前記一の電圧検出プローブ間に第1検査電流を供給すると共に、当該第1検査電流の供給状態において当該両プローブ間に発生する第1検査電圧を検出する第1検出部と、
前記他の電流供給プローブおよび前記他の電圧検出プローブ間に第2検査電流を供給すると共に、当該第2検査電流の供給状態において当該両プローブ間に発生する第2検査電圧を検出する第2検出部と、
前記測定電流および前記両端間電圧に基づいて前記測定対象体のインピーダンスを測定する測定処理、並びに前記第1検査電流および前記第1検査電圧に基づいて前記一の電流供給プローブおよび前記一の電圧検出プローブと前記測定対象体の前記一方の端部との間の接触状態を検出すると共に前記第2検査電流および前記第2検査電圧に基づいて前記他の電流供給プローブおよび前記他の電圧検出プローブと前記測定対象体の前記他方の端部との間の接触状態を検出する接触検査処理を実行する処理部とを備え、
前記処理部は、前記測定処理の前後において前記接触検査処理を実行し、
前記第1検出部は、前記測定処理の前に実行される前記接触検査処理において前記第1検査電流を供給するために前記一の電流供給プローブおよび前記一の電圧検出プローブ間に第1電圧を第1所定電圧値を上限として印加可能に構成され、当該測定処理の後に実行される前記接触検査処理において前記第1検査電流を供給するために当該一の電流供給プローブおよび当該一の電圧検出プローブ間に第2電圧を当該第1所定電圧値よりも低電圧の第2所定電圧値を上限として印加可能に構成され、
前記第2検出部は、前記測定処理の前に実行される前記接触検査処理において前記第2検査電流を供給するために前記他の電流供給プローブおよび前記他の電圧検出プローブ間に第3電圧を第3所定電圧値を上限として印加可能に構成され、当該測定処理の後に実行される前記接触検査処理において前記第2検査電流を供給するために当該他の電流供給プローブおよび当該他の電圧検出プローブ間に第4電圧を当該第3所定電圧値よりも低電圧の第4所定電圧値を上限として印加可能に構成されているインピーダンス測定装置。
【請求項2】
前記第1所定電圧値および前記第3所定電圧値は、前記測定対象体の前記各端部上の絶縁被膜を破壊し得る電圧値に規定されると共に、前記第2所定電圧値および前記第4所定電圧値は、当該絶縁被膜を破壊し得ない電圧値に規定されている請求項1記載のインピーダンス測定装置。
【請求項3】
測定対象体の一方の端部に接触された一の電流供給プローブおよび一の電圧検出プローブ間に第1検査電流を供給しつつ当該両プローブ間に発生する第1検査電圧を検出して、当該第1検査電流および当該第1検査電圧に基づいて当該一の電流供給プローブおよび当該一の電圧検出プローブと前記測定対象体の前記一方の端部との間の接触状態を検出し、かつ当該測定対象体の他方の端部に接触された他の電流供給プローブおよび他の電圧検出プローブ間に第2検査電流を供給しつつ当該両プローブ間に発生する第2検査電圧を検出して、当該第2検査電流および当該第2検査電圧に基づいて当該他の電流供給プローブおよび当該他の電圧検出プローブと当該測定対象体の当該他方の端部との間の接触状態を検出する接触検査方法であって、
一対の前記電流供給プローブおよび一対の前記電圧検出プローブを使用した前記測定対象体に対するインピーダンス測定処理の実行の前後において前記接触状態の検出を行うと共に、
前記インピーダンス測定処理の実行前における前記接触状態の検査においては、前記第1検査電流を供給するために前記一の電流供給プローブおよび前記一の電圧検出プローブ間に第1電圧を第1所定電圧値を上限として印加すると共に、前記第2検査電流を供給するために前記他の電流供給プローブおよび前記他の電圧検出プローブ間に第3電圧を第3所定電圧値を上限として印加し、
前記インピーダンス測定処理の実行後における前記接触状態の検査においては、前記第1検査電流を供給するために前記一の電流供給プローブおよび前記一の電圧検出プローブ間に第2電圧を前記第1所定電圧値よりも低電圧の第2所定電圧値を上限として印加すると共に、前記第2検査電流を供給するために前記他の電流供給プローブおよび前記他の電圧検出プローブ間に第4電圧を前記第3所定電圧値よりも低電圧の第4所定電圧値を上限として印加する接触検査方法。
【請求項4】
前記第1所定電圧値および前記第3所定電圧値は、前記測定対象体の前記各端部上の絶縁被膜を破壊し得る電圧値に規定されると共に、前記第2所定電圧および前記第4所定電圧値は、当該絶縁被膜を破壊し得ない電圧値に規定されている請求項3記載の接触検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−243360(P2010−243360A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93142(P2009−93142)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】