説明

インプリント用モールド構造体、並びにインプリント方法、磁気記録媒体及びその製造方法

【課題】剥離層の付着効率が上がり、剥離層の耐久性が改善され、モールド耐久性が向上し、パターン成形性が良好なインプリント用モールド構造体、並びにインプリント方法、磁気記録媒体及びその製造方法の提供。
【解決手段】円板状の基板と、該基板の一の表面上に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有してなるインプリント用モールド構造体であって、前記インプリント用モールド構造体の凹凸側面に剥離層を有し、該剥離層の厚みが1.05t〜1.5t(ただし、tは、剥離層材料の単分子層厚み(nm)を表す)であり、かつ10nm以下であるインプリント用モールド構造体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント用モールド構造体、並びに該インプリント用モールド構造体を用いたインプリント方法、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の磁気記録媒体としてのDTM(ディスクリート・トラック・メディア)、BPM(ビット・パターンド・メディア)では、磁性層加工用のマスク形成が重要な技術の一つとなる。このマスク形成には、ナノインプリントリソグラフィー(NIL)を用いることが一般的である。
ここで、前記NILは、基材上にインプリントレジスト組成物を塗布し、所望の凹凸パターンを有するモールド構造体を前記インプリントレジスト組成物塗布済み基材に密着させ、加圧した後、剥離することにより、モールド構造体の凹凸パターンに対応した凸凹部をインプリントレジスト層に形成する技術である。
【0003】
ところで、磁気記録媒体の用途では、微細かつ広面積に対してNILを行う必要があるため、NIL均一性、及び安定性が重要となる。また磁気ヘッドの位置決めを行うサーボ信号、実際のデータを記録するデータ信号の2種類のパターンを加工する必要がある。DTMではデータ部は同心円パターン、BPMではデータ部はドットパターン等の単純なパターンから構成される。サーボ部はプリアンブル、サーボタイミングマーク、アドレス(セクタ、シリンダ)、バースト等の主に4種類のパターンから構成されており、アドレス(セクタ、シリンダ)、バーストパターン部は粗密信号が混在し、複雑なパターン配列となっている。
このようにディスク全面に対して複雑なパターンが密に形成されていることから、NILの際に、モールド構造体の凹凸パターンがインプリントレジスト層に食い込んでいるので、インプリントレジスト層の破損無く、モールド構造体を剥離することは困難であった。
そこで、例えばモールド構造体表面に剥離剤を付与する方法(特許文献1及び特許文献2参照)、剥離機能を有するインプリントレジスト組成物を用いる方法(特許文献3参照)、などが提案されている。
また、モールド構造体の凹凸パターンの成形性を向上させるため、モールド構造体の凹凸面側の剥離層は剥離層材料の単分子層厚みの形成を前提として進められていた。しかし、単分子層厚みでは剥離層がダメージを受けると復元することができないため、モールド構造体の破損に至ってしまうおそれがあった。
【0004】
したがって剥離層の付着効率が上がり、剥離層の耐久性が改善され、モールド耐久性が向上し、パターン成形性も良好なインプリント用モールド構造体及びその関連技術は未だ提供されておらず、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6309580号明細書
【特許文献2】特開2004−288783号公報
【特許文献3】特開2006−54300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、剥離層の付着効率が上がり、剥離層の耐久性が改善され、モールド耐久性が向上すると共に、パターン成形性も良好なインプリント用モールド構造体、並びに該インプリント用モールド構造体を用いたインプリント方法、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、剥離層材料の単分子層厚み以上の剥離層をインプリント用モールド構造体の表面に形成したところ、剥離層の耐久性を改善することはできたが、パターン成形性は多少劣化することが分かった。
そこで、作製した試料を詳細に解析したところ、剥離剤材料の単分子層厚み、積層厚みによって凹凸部における剥離剤の充填率が変化しており、該剥離層の厚みが10nm以下であり、かつ1.05t〜1.5t(ただし、tは、剥離層材料の単分子層厚み(nm)を表す)を満たすように設定することにより、剥離剤の付着効率が大幅に改善できることを知見した。更に、剥離層を複数層に形成し、該剥離層の合計厚みを10nm以下に設計することで、パターン成形性の劣化がなく、モールド構造体の耐久性を向上させることができることを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 円板状の基板と、該基板の一の表面上に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有してなるインプリント用モールド構造体であって、
前記インプリント用モールド構造体の凹凸側面に剥離層を有し、該剥離層の厚みが10nm以下であり、かつ1.05t〜1.5t(ただし、tは、剥離層材料の単分子層厚み(nm)を表す)を満たすことを特徴とするインプリント用モールド構造体である。
<2> 剥離層が2層以上からなり、該剥離層の合計厚みが10nm以下である前記<1>に記載のインプリント用モールド構造体である。
<3> 2層以上の剥離層における各層が、異なる剥離層材料から形成されている前記<2>に記載のインプリント用モールド構造体である。
<4> モールド構造体の凹部における剥離層厚みAと、モールド構造体の凸部における剥離層厚みBとが、次式、(A/B)×100>100%を満たす前記<1>から<3>のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体である。
<5> 剥離層が、モールド構造体の凹凸側面と化学的に結合している前記<1>から<4>のいずれかに記載のインプリト用モールド構造体である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成されたインプリントレジスト組成物よりなるインプリントレジスト層に押圧して前記インプリント用モールド構造体に形成された凹凸部に基づく凹凸パターンを転写する転写工程を少なくとも含むことを特徴とするインプリント方法である。
<7> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成されたインプリントレジスト層に押圧して前記インプリント用モールド構造体に形成された凹凸パターンを転写する転写工程と、
前記凹凸パターンが転写されたインプリントレジスト層をマスクにして、前記磁気記録媒体の基板の表面に形成された磁性層をエッチングして、前記凹凸パターンに基づく磁性パターン部を前記磁性層に形成する磁性パターン部形成工程と、
前記磁性層上に形成された凹部に非磁性材料を埋め込む非磁性パターン部形成工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
<8> 前記<7>に記載の磁気記録媒体の製造方法によって作製されたことを特徴とする磁気記録媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、剥離層の付着効率が上がり、剥離層の耐久性が改善され、モールド耐久性が向上すると共に、パターン成形性が良好なインプリント用モールド構造体、並びに該インプリント用モールド構造体を用いたインプリント方法、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(インプリント用モールド構造体)
本発明のインプリント用モールド構造体は、円板状の基板と、該基板の一の表面上に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有してなる。
【0011】
前記凸部は、磁気記録媒体のサーボ部及びデータ部に対応して設けられている。
前記データ部は、略同心円状の凸パターンからなり、データを記録する領域である。
前記サーボ部は、凸部面積の異なる複数種類の凸パターンからなる。
前記サーボ部としては、トラッキングサーボ制御用の信号に対応するものであり、例えばプリアンブル、サーボタイミングマーク、アドレスパターン、バーストパターン、などで主に構成されている。
前記プリアンブルパターンは、アドレスパターン領域等から各種制御信号を読み取るための基準クロック信号を生成する部位である。
前記サーボタイミングマークは、アドレス、バーストパターンを読み取るためのトリガー信号である。
前記アドレスマークは、セクタ(角度)情報、トラック(半径)情報で構成されおり、ディスクの絶対位置(アドレス)を示している。
前記バーストパターンは、磁気ヘッドがオントラック状態にあるとき、ヘッド走行位置を微調整し、高精度な位置決めを達成する機能を有している。
【0012】
前記モールド構造体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、石英、金属、及び樹脂のいずれかの材料が好適である。
前記金属としては、例えばNi、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金を用いることができる。これらの中でも、Ni、Ni合金が特に好ましい。
前記樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、低融点フッ素樹脂などが挙げられる。
【0013】
前記インプリント用モールド構造体の凹凸側面(凸部側面)に剥離層を有し、該剥離層の厚みが10nm以下であり、かつ1.05t〜1.5t(ただし、tは、剥離層材料の単分子層厚み(nm)を表す)を満たす。前記剥離層厚みは3nm〜10nmが好ましく、かつ1.07t〜1.3tが好ましい。
前記剥離層の厚みが、上記範囲より薄い場合には、剥離剤としての剥離機能が十分ではなく、多数回NILでの耐久性を確保できず、モールドの凹凸パターン破損や、NIL時のレジストパターン破損が発生することがある。一方、前記剥離剤厚みが、上記範囲より厚い場合には、耐久性の観点では特性改善するが、微細パターン形成時にパターン化したレジストの形状劣化が発生することがある。
【0014】
前記剥離層は2層以上に形成することができ、該剥離層の合計厚みが10nm以下であることが好ましい。NILを繰り返すと基板に吸着した剥離剤がレジストに固着し、基板表面から剥離剤が欠如した状態となる。この欠如箇所には剥離剤が存在しないため、多数回NILを実施するとレジストとモールドとの密着力が高くなり、パターン破損が起こる頻度が高くなる。剥離層を2層以上構造とし、機能を分離することで、剥離層が欠損した箇所の再生が可能となる。また、2層目からの剥離剤は、再生用機能を有していることが好ましい。
この場合、前記2層以上の剥離層の各層が、異なる剥離層材料から形成されていることが好ましい。
前記インプリント用モールド構造体の凹部(凸部と凸部の間、底面)における剥離層厚みが、モールド構造体の凸部における剥離層厚みよりも厚く形成することが好ましい。これは、NILにより形成したレジストパターンは有機物であるため、モールドに比べて機械的強度が低いので、レジストが潜り込むパターン凹部の剥離層の厚みを厚くすることにより、剥離マージンを確保でき、多数回NILで安定した剥離力低減を維持し、安定したレジストパターン形成が可能となるからである。
具体的には、図4に示すように、インプリント用モールド構造体の凹凸部に剥離層101が形成されているが、凹部3bにおける剥離層厚みAが、凸部3aにおける剥離層厚みBよりも厚く形成されており、モールド構造体の凹部3bにおける剥離層厚みAと、前記モールド構造体の凸部3aにおける剥離層厚みBとが、次式、(A/B)×100>100%を満たすことが好ましく、(A/B)×100>103%がより好ましい。前記(A/B)×100が100%以下であると、剥離マージンを確保できず、多数回NILで安定した剥離力低減を維持できず、安定したレジストパターン形成が困難になることがある。
【0015】
ここで、前記剥離層の厚みは、例えば原子間力顕微鏡(AFM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などを用いて測定することができる。
【0016】
前記剥離層は、インプリント用モールド構造体の凹凸側面と化学的に結合していることで剥離層の凹凸側面との付着力を大幅に改善できる。加えて吸着させることで化学的に不活性な分子構造を選択的に最表面に配列可能となる。この効果はNIL後の剥離性改善、耐久性改善に寄与する点で好ましい。
前記化学的結合としては、共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0017】
前記剥離層は、加工対象物に対して剥離機能を有する材料が好ましく、加工対象物に対して剥離機能を有する材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えばフッ素系樹脂、炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、フッ素系シランカップリング剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素系樹脂としては、例えばPTFA、PFA、FEP、ETFE、などが挙げられる。
前記炭化水素系潤滑剤としては、例えばステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ステアリン酸ブチル等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
前記フッ素系潤滑剤としては上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部又は全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。前記パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CFCFCFO)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF)CFO)n又はこれらの共重合体等である。
前記フッ素系シランカップリング剤としては分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜10個のアルコキシシラン基、クロロシラン基を有するものであり、分子量200〜500,000のものが好ましい。前記アルコキシシラン基の例としては、−Si(OCH基、−Si(OCHCH基、−Si(OCH基が挙げられる。前記クロロシラン基としては、-Si(Cl)基などが挙げられる。具体的には、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロデシルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルジメチルクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロオクチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0018】
本発明のインプリント用モールド構造体は、剥離剤の付着効率が大幅に改善でき、パターン成形性の劣化がなく、モールド耐久性を向上させることができるので、以下に説明する磁気記録媒体及びその製造方法などに好適に用いることができる。
【0019】
<インプリント用モールド構造体の製造方法>
前記インプリント用モールド構造体を製造する方法は、本発明のインプリント用モールド構造体を製造する方法であって、
剥離剤液塗布工程を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0020】
<剥離剤液塗布工程>
前記剥離剤液塗布工程は、凹凸部表面に剥離剤液を塗布する工程である。
前記剥離剤としては、上述したものを用いることができる。
前記剥離剤を溶解乃至分散させる溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばウェット方式を採用した場合、フッ素系特殊溶剤が用いられ、例えばVERTREL(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)、HFE7100(住友3M株式会社製)、AK−225(アサヒガラス社製)、などが挙げられる。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばディップ塗布等のウェット方式、ドライ方式、などが挙げられる。また、モールドの剥離剤層に対してNILを実施して形成してもよく、剥離剤層形成後に酸素アッシング、オゾンUV照射を行うことで凸部表面の剥離剤を選択的に分解することで、凹凸パターン上の剥離剤量を調整することも可能である。
【0021】
前記その他の工程としては、原盤作製工程、モールド構造体作製工程、などが挙げられる。
【0022】
以下、本発明のインプリント用モールド構造体を製造する方法について、図2及び図3を参照して説明する
−原盤の作製−
図2は、本発明のモールド構造体を製造する際における原盤の作製の一例を示す断面図である。
図2のAに示すように、まず、Si基板10上に、スピンコート法などによりフォトレジスト液を塗布し、レジスト層21を形成する。
レジスト層21の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、ノボラック系樹脂、などが挙げられる。
次に、図2のBに示すように、Si基板10を回転させながら、データ記録用トラック及びサーボ情報の少なくともいずれかに対応して変調したレーザー光(又は電子ビーム)を照射し、レジスト層全面に所定のパターン、例えば略同心円状の凸パターンからなるデータトラックパターンと、凸部面積の異なる複数種類の凸パターンからなるサーボパターンと、前記データトラックパターンと前記サーボパターンとの間に、半径方向に繋がった略放射状の凸パターンからなる緩衝パターンとを露光する。
次に、図2のCに示すように、レジスト層21を現像処理し、露光部分を除去して残ったレジスト層21によって所望の凹凸パターンを形成する。
次に、図2のDに示すように、形成されたレジスト層21のパターンをマスクにしてRIE(Reactive Ion Etching;反応性イオンエッチング)などにより選択エッチングを行い、基板10に凹凸パターンを形成する。
次に、図2のEに示すように、残余レジスト層21を除去して、凹凸形状を有する原盤11を作製する。
【0023】
−インプリント用モールド構造体の作製−
図3は、本発明のインプリント用モールド構造体を製造する際におけるモールド構造体の作製の一例を示す断面図である。
図3のAに示すように、光硬化性樹脂を含有するインプリントレジスト液を塗布してなるレジスト層24が一方の面に形成された被加工基板としての石英基板30に対して、原盤11を押し当て、原盤11上に形成された凸部のパターンがレジスト層24に転写される。
ここで、本発明における被加工基板の材料は、光透過性を有し、モールド構造体として機能する強度を有する材料であれば、特に制限されることなく、目的に応じて適宜選択され、例えば、石英(SiO)や、樹脂(PET、PEN、ポリカーボネート、低融点フッ素樹脂)等が挙げられる。
また、前記「光透過性を有する」とは、具体的には、被加工基板にレジスト層が形成される一方の面から出射するように、前記被加工基板の他方の面から光を入射した場合に、インプリントレジストが十分に硬化することを意味しており、少なくとも、前記他方の面から前記一方の面への光透過率が50%以上であることを意味する。
また、前記「モールド構造体として機能する強度を有する」とは、磁気記録媒体の基板上に形成されたレジスト層に対して、平均面圧力が1kgf/cmという条件下で押し当て、加圧しても耐えられるような強度を意味する。
次に、図3のBに示すように、レジスト層24に紫外線などを照射して転写されたパターンを硬化させる。
その後、図3のCに示すように、転写されたパターンをマスクにしてRIEなどにより選択エッチングを行い、図3のDに示すようなモールド構造体を作製した。
得られたモールド構造体1の凹凸側面に、剥離層液を塗布し、厚みが10nm以下であり、かつ1.05t〜1.5t(ただし、tは、剥離層材料の単分子層厚み(nm)を表す)を満たす剥離層を形成する。その結果、図4に示すように、モールド構造体の凹部3bにおける剥離層厚みが、モールド構造体の凸部3aにおける剥離層厚みよりも厚く形成される。
【0024】
また、図2のA〜Eで作製した凹凸パターンを有する原盤を用い、該原盤の表面にスパッタリング法により、導電膜を形成し、該導電膜が付与された原盤を、Ni電鋳浴に浸漬させて電鋳処理を行い、Niモールド構造体を作製することもできる。
また、図2のA〜Eで作製した凹凸パターンを有する原盤を用い、樹脂層が形成された基板、あるいは樹脂基板に対して、原盤を押し当てる。その後、加熱して樹脂の粘度を下げた状態とすることで、原盤上に形成された凸部のパターンが樹脂層に転写される。その後、冷却して転写されたパターンを硬化させ、基板から樹脂層を剥離することで、凹凸形状を有する樹脂モールド構造体を作製することもできる。
【0025】
本発明のインプリント用モールド構造体は、該モールド構造体の凸部をレジスト層に対向させて該レジスト層に前記凹凸パターンを転写する転写工程を少なくとも含むインプリント方法に好適に用いられ、以下に説明する本発明の磁気記録媒体の製造方法に特に好適である。
【0026】
(磁気記録媒体の製造方法)
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、本発明のインプリント用モールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成されたインプリントレジスト層に押圧して前記インプリント用モールド構造体に形成された凹凸パターンを転写する転写工程と、
前記凹凸パターンが転写されたインプリントレジスト層をマスクにして、前記磁気記録媒体の基板の表面に形成された磁性層をエッチングして、前記凹凸パターンに基づく磁性パターン部を前記磁性層に形成する磁性パターン部形成工程と、
前記磁性層上に形成された凹部に非磁性材料を埋め込む非磁性パターン部形成工程と、
を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0027】
以下、ディスクリート・トラック・メディア、パターンド・メディア等の磁気記録媒体を作製する磁気記録媒体の製造方法の一例について図面を参照して説明する。
【0028】
図5のAに示すように、アルミニウム、ガラス、シリコン、石英、シリコン等の基板40上に、Fe又はFe合金、Co又はCo合金等の磁性層50を有する磁気記録媒体中間体の磁性層上にポリメタアクリル酸メチル(PMMA)等のインプリントレジスト液を塗布してなるレジスト層24を形成したレジスト層付き磁気記録媒体中間体に対して、表面に凹凸パターンが形成されたモールド構造体1を押し当て、加圧することにより、モールド構造体1上に形成された凹凸パターンをレジスト層24に転写する。
【0029】
次に、図5のBに示すように、レジスト層24にモールド構造体1を押し当てた際には、系を前記インプリントレジスト液のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、レジスト層24が前記インプリントレジスト液のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。また、必要に応じて加熱又はUV照射により硬化処理を行ってもよい。
【0030】
次に、図5のCに示すように、モールド構造体1を剥離すると、レジスト層24に凹凸パターンが形成される。この場合、本発明のモールド構造体を用いているので、パターン成形性の劣化がなく、モールド耐久性も向上している。
次に、図5のDに示すように、凹凸部のパターンが転写されたレジスト層24をマスクにして、ドライエッチングを行い、レジスト層24に形成された凹凸パターン形状に基づく凹凸形状を磁性層50に形成する。
前記ドライエッチングとしては、磁性層に凹凸形状を形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンミリング法、反応性イオンエッチング(RIE)、スパッタエッチング、などが挙げられる。これらの中でも、イオンミリング法、反応性イオンエッチング(RIE)が特に好ましい。
前記イオンミリング法は、イオンビームエッチングとも言われ、イオン源にArなどの不活性ガスを導入し、イオンを生成した。これを、グリッドを通して加速して、試料基板に衝突させてエッチングするものである。前記イオン源としては、カウフマン型、高周波型、電子衝撃型、デュオプラズマトロン型、フリーマン型、ECR(電子サイクロトロン共鳴)型などが挙げられる。
イオンビームエッチングでのプロセスガスとしてはAr、RIEのエッチャントとしてはCO+NH、塩素ガスなどを用いることができる。
【0031】
次に、図5のEに示すように、形成された凹部に非磁性材料70を埋め込み、表面を平坦化した後、必要に応じて、保護膜などを形成して磁気記録媒体100を作製することができる。
前記非磁性材料としては、例えばSiO、カーボン、アルミナ;ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)等のポリマー;円滑油などが挙げられる。
前記保護膜としては、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、スパッタカーボン等が好ましく、該保護膜の上に更に潤滑剤層を設けてもよい。
【0032】
本発明の磁気記録媒体の製造方法により製造された磁気記録媒体は、ディスクリート型磁気記録媒体及びパターンド・メディア型磁気記録媒体の少なくともいずれかであることが好適である。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
<垂直磁気記録媒体の作製>
(1)モールド構造体の作製
8インチSiウェハー上に電子線レジストをスピンコート法により、厚みが100nmになるように塗布した。回転式電子線露光装置にて所望のパターンを露光し、現像することで、凸凹パターン有するレジストSi基板を作製した。凸凹パターンを有するレジストSi基板に対して反応性イオンエッチングを行い、形成された凸凹レジストをマスクとして用い、Si基板上に凸凹形状を形成した。残存するレジストを可溶溶剤にて洗浄することで除去し、乾燥して、原盤を作製した。
【0035】
この実施例に使用したパターンはデータ部とサーボ部に大別される。データ部は凸巾:120nm、凹巾:30nm(TP=150nm)のパターンとした。サーボ部は最内周でのサーボ基本ビット長Bが90nm、総セクタ数が240、プリアンブル(45bit)/サーボマーク(10bit)/SectorCode(8bit)、CylinderCode(32bit)/Burstパターンで構成した。
SAM部は“0000101011”であり、SectorがBinary、CylinderはGray変換を用いる。Burst部は一般的な位相バースト信号(16bit)である。
【0036】
次に、石英基板上にノボラック系レジスト(マイクロレジスト社製、mr−I 7000E)を厚みが100nmになるように、スピンコート法(3,600rpm)にて形成した。
次に、前記原盤をモールド構造体として使用し、ナノインプリントを行った。ナノインプリント後の凹凸レジストパターンを元にエッチャントとしてCHFを用いたRIEで石英モールドを作製した。
−剥離層形成−
作製したモールド構造体の凹凸側面にウェット法により剥離剤層を形成した。剥離剤層材料としてはF13−OTCS(Tridecafluoro−1,1,2,2−tetrahydroOctyl)TriChloroSilane)(Gelest社製)を用い、アサヒクリンAK225(旭ガラス株式会社製)溶媒で0.1質量%の剥離層液を調製した。この剥離層液を用い、Dip法により1mm/secの引き上げ速度により、厚み5.25nm(1.05t;単分子層厚みt=5.0nm)の剥離層を石英モールド上に形成した。
図6Aに剥離層形成前のモールド構造体の凹凸部のAFM評価結果、図6Bに剥離層を形成後のモールド構造体の凹凸部のAFM評価結果を示す。これらの結果から、モールド構造体の凹凸側面に剥離層が形成されていることが分かった。
剥離層を形成したモールド構造体を、90℃、80%RHの環境下に5時間暴露し、モールド構造体表面に剥離層材料を化学的に吸着させた(化学結合処理)。以上により、実施例1のモールド構造体を作製した。
【0037】
(2)磁気記録媒体中間体の作製
2.5インチのガラス基板上に、以下のようにして、軟磁性層、第1非磁性配向層、第2非磁性配向層、磁気記録層、及び保護層をこの順に成膜した。軟磁性膜、第1非磁性配向層、第2非磁性配向層、磁気記録層、及び保護層はスパッタリング法で成膜した。なお、保護層上の潤滑剤層はディップ法で形成した。
まず、軟磁性層材料としてCoZrNbを厚みが100nmとなるように積層した。具体的には、ガラス基板をCoZrNbターゲットと対向させて設置し、Arガスを圧力が0.6Paになるように流入し、DC1,500Wで軟磁性層を成膜した。
次に、第1非磁性配向層としてTiを厚みが5nmとなるように積層した。具体的には、基板上に形成された軟磁性層をTiターゲットと対向設置し、Arガスを圧力が0.5Paになるように流入し、DC1,000Wで放電して、第1非磁性配向層を成膜した。
次に、第2非磁性配向層としてRuを厚みが10nmとなるように積層した。具体的には、基板上に形成された第1非磁性配向層をRuターゲットと対向させて設置し、Arガスを圧力が0.5Paになるように流入し、DC1,000Wで放電して、第2非磁性配向層を成膜した。
次に、磁気記録層としてCoCrPtOを厚みが15nmとなるように積層した。具体的には、基板上に形成された第2非磁性配向層をCoPtCrターゲットと対向させて設置し、Oを0.04%含むArガスを圧力が18Paになるように流入し、DC290Wで放電し、磁気記録層を成膜した。
磁気記録層を形成した後、基板上に形成された磁気記録層をCターゲットと対向させて設置し、Arガスを圧力が0.5Paになるように流入し、DC1,000Wで放電し、厚み4nmの保護層を成膜した。以上により、磁気記録媒体中間体を作製した。得られた磁気記録媒体中間体の保磁力は、334kA/m(4.2kOe)であった。
【0038】
(3)ナノインプリント及び垂直磁気記録媒体の作製
作製した磁気記録媒体中間体に対してアクリル系レジスト(東洋合成工業株式会社製、PAK−01−500)を用い、厚み100nmのレジスト層を形成した。
得られたレジスト層付き磁気記録媒体中間体に対し、上記モールド構造体を対向させて配置し、磁気記録媒体中間体を3MPaの圧力にて10秒間密着させ、紫外線を10mJ/cm照射した後、モールド構造体と磁気記録媒体中間体を剥離して、磁気記録媒体中間体上のレジスト層に凹凸パターンを形成した。
次いで、形成した凹凸パターンをマスクとしてエッチングを行い、凹凸形状を磁気記録層に形成した。以上により、実施例1の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0039】
(実施例2)
実施例1において、剥離層形成工程において、化学結合処理を行わず、モールド構造体の凹部における剥離層厚みAと、モールド構造体の凸部における剥離層厚みBとの比率(凹厚み/凸厚み)を105%から100%に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0040】
(実施例3)
実施例1において、剥離層形成工程においてDip速度を1.5mm/secに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0041】
(実施例4)
実施例1において、剥離層形成工程において、剥離剤F13−OTCSを、F17−DTS〔Heptadecafluoro−1,1,2,2−tetrahydroDecyl)TriChloroSilane〕に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0042】
(実施例5)
実施例1の剥離層形成工程において、剥離剤F13−OTCSを、F17−DTS〔Heptadecafluoro−1,1,2,2−tetrahydroDecyl)TriChloroSilane〕に代え、Dip速度を1.5mm/secに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0043】
(実施例6)
実施例1の剥離層形成工程において、剥離剤F13−OTCSを、F17−DTS〔Heptadecafluoro−1,1,2,2−tetrahydroDecyl)TriChloroSilane〕に代え、Dip速度を0.75mm/secに変更し、剥離層を形成した後、更に剥離剤F17−DTSを用いてDip速度0.75mm/secで剥離層を再形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0044】
(実施例7)
実施例1の剥離層形成工程において、剥離剤F13−OTCSを、F17−DTS〔Heptadecafluoro−1,1,2,2−tetrahydroDecyl)TriChloroSilane〕に代え、Dip速度を0.75mm/secに変更し、剥離層を形成した後、更に、剥離剤PFPEを用いて、Dip速度0.75mm/secで剥離層を再形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0045】
(実施例8)
実施例1の剥離層形成工程において、Dip速度を1.2mm/secに変えて剥離層を形成した後、酸素アッシングを実施して、凸部表面の剥離層を優先的に分解した以外は、実施例1と同様にして、実施例8の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0046】
(比較例1)
実施例1の剥離層形成工程において、Dip速度を0.8mm/secに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0047】
(比較例2)
実施例1の剥離層形成工程において、Dip速度を0.5mm/secに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0048】
(比較例3)
実施例1の剥離層形成工程において、Dip速度を2.3mm/secに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0049】
次に、磁性層加工前の各垂直磁気記録媒中間体について、以下のようにして、評価を実施した。結果を表1及び表2に示す。
【0050】
<剥離層厚みの測定>
Niモールドに対し剥離層を半面積のみに形成した。エリプソメーター(DVA−LF、溝尻光学工業所製)を用い剥離層形成部(din)、未形成部の平均的な厚み(dzero)を計測した。dinからdzeroを減算することで剥離層厚みを求めた(dAA)。
上記測定後のサンプルに対し、溶剤洗浄を実施し、除去可能な剥離剤を取り除き、同じく、エリプソメーターで厚みを測定し、単分子層厚み(dSAM)とした。dAAからdSAMを減算することにより、余剰剥離層厚みを算出した。
【0051】
<凹凸部の剥離層厚みの測定>
剥離剤塗布後のモールドに対して、AFM(日本ビーコ株式会社製、Dimension5000)を用い、モールドパターン計測を行った。無パターン部と、凹凸パターン部凹部高さを比較することで凹凸部の剥離層厚みの比率を算出した。
【0052】
<パターン成形性の評価>
半径15mm、半径20mm、半径25mm、及び半径30mmに対してほぼ等角度間隔で64箇所測定を行った。
剥離剤塗布前のモールド構造体に対して、AFM(日本ビーコ株式会社製、Dimension5000)を用いて、モールドパターン半値幅の評価を行った。1μm角の評価範囲でのパターン半値幅平均値(MWAV)、3σ値(MW3S)を算出した。
次に、剥離剤塗布後のモールドを用いて、NILを実施し、レジストパターンを上記方法で観測した(レジストパターンの場合には溝部の半値幅)。レジストパターンの溝部半値幅平均値(RWAV)、及び3σ値を算出した。
−半値幅平均値の評価基準−
RWAV/MWAVが1.1未満であれば“○”、1.1以上であれば“×”と評価した。
−3σ値の評価基準−
RW3S/MW3Sが1.05未満であれば“○”、1.05以上であれば“×”と判定した。
なお、平均値、及び3σ値の双方が“○”の判断であればOKと判断した。
【0053】
<モールド耐久性の評価>
同一モールド構造体を用いて1,000回インプリントを実施した。1,000回インプリント後のモールド表面、特にデータ部パターンについて走査型電子顕微鏡(日立製作所製、FE−SEM S800)を用いてパターン像を観察し、半径15mm、半径20mm、半径25mm、及び半径30mmに対してほぼ等角度間隔で16箇所測定を行い、下記基準で評価した。
−評価基準−
モールドパターン破損、或いはレジスト付着箇所が観測される視野数が1箇所までは“○”、2箇所以上であれば“×”と評価した。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のインプリント用モールド構造体は、剥離層の付着効率が上がり、剥離層の耐久性が改善され、モールド耐久性が向上し、パターン成形性が良好なので、例えばディスクリート・メディアの作製、及びパターンド・メディアの作製に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明に係るインプリント用モールド構造体の一実施形態における構成を示す部分断面斜視図である。
【図2】図2は、本発明のインプリント用モールド構造体を製造する際における原盤の作製を示す工程図である。
【図3】図3は、本発明のインプリント用モールド構造体の製造する際におけるモールドの作製を示す工程図である。
【図4】図4は、本発明のインプリント用モールド構造体の凹凸部の拡大図である。
【図5】図5は、本発明のインプリント用モールド構造体を用いて磁気記録媒体を製造する方法を示す工程図である。
【図6A】図6Aは、実施例1のインプリント用モールド構造体の凹凸側面に剥離層を形成前のAFM評価結果を示す図である。
【図6B】図6Bは、実施例1のインプリント用モールド構造体の凹凸側面に剥離層を形成後のAFM評価結果を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 インプリント用モールド構造体
2 基板
3 凹凸部
3a 凸部
3b 凹部
24 レジスト層
40 磁気記録媒体の基板
50 磁性層
100 磁気記録媒体
101 剥離層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の基板と、該基板の一の表面上に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有してなるインプリント用モールド構造体であって、
前記インプリント用モールド構造体の凹凸側面に剥離層を有し、該剥離層の厚みが10nm以下であり、かつ1.05t〜1.5t(ただし、tは、剥離層材料の単分子層厚み(nm)を表す)を満たすことを特徴とするインプリント用モールド構造体。
【請求項2】
剥離層が2層以上からなり、該剥離層の合計厚みが10nm以下である請求項1に記載のインプリント用モールド構造体。
【請求項3】
2層以上の剥離層における各層が、異なる剥離層材料から形成されている請求項2に記載のインプリント用モールド構造体。
【請求項4】
モールド構造体の凹部における剥離層厚みAと、モールド構造体の凸部における剥離層厚みBとが、次式、(A/B)×100>100%を満たす請求項1から3のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体。
【請求項5】
剥離層が、モールド構造体の凹凸側面と化学的に結合している請求項1から4のいずれかに記載のインプリト用モールド構造体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成されたインプリントレジスト組成物よりなるインプリントレジスト層に押圧して前記インプリント用モールド構造体に形成された凹凸部に基づく凹凸パターンを転写する転写工程を少なくとも含むことを特徴とするインプリント方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成されたインプリントレジスト層に押圧して前記インプリント用モールド構造体に形成された凹凸パターンを転写する転写工程と、
前記凹凸パターンが転写されたインプリントレジスト層をマスクにして、前記磁気記録媒体の基板の表面に形成された磁性層をエッチングして、前記凹凸パターンに基づく磁性パターン部を前記磁性層に形成する磁性パターン部形成工程と、
前記磁性層上に形成された凹部に非磁性材料を埋め込む非磁性パターン部形成工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の磁気記録媒体の製造方法によって作製されたことを特徴とする磁気記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2009−208447(P2009−208447A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56875(P2008−56875)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】