説明

インホイールモータ冷却装置

【課題】オイルに対し、常に運転状況に応じた最適な冷却を行なうことができ、且つオイル経路の破損時にもオイルが外部に流出しない安全性の高いインホイールモータ冷却装置を提供する。
【解決手段】貯留されたオイル22をオイルポンプ16に案内する第1冷却油路17と、オイルポンプ16から吐出されたオイル22をモータ30に案内する第2冷却油路18と、第2冷却油路18と並列に接続された第3冷却油路19と、第3冷却油路19のオイルポンプ16の吐出口16bの近傍部に設けられた第1開閉弁27と、第3冷却油路19のケーシング24の戻り口24cの近傍部に設けられた第2開閉弁28と、第3冷却油路19の内部圧力を検出する圧力検出装置25と、第3冷却油路19の内部圧力の低下が検出されると第1、及び第2開閉弁27、28を閉弁させる制御装置26と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のホイールを直接駆動するインホイールモータの冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の駆動装置として車輪のホイール内部にモータを設け、該モータによってホイールを直接駆動する例えば特許文献1や特許文献2に開示されるインホイールモータが知られている。そして特許文献1に開示されるものではホイール内部にオイルクーラが一体的に設けられ、オイルクーラでオイルが冷却されたのち、該オイルによってモータが冷却されている。また、特許文献2に開示されるものでは、モータを収容するハウジングと離間した位置にオイルクーラが設けられ、該オイルクーラでオイルが冷却されたのち、該オイルによってモータが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−67416号公報
【特許文献2】特開2006−304543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、及び特許文献2に開示される技術では、オイルクーラ及びオイルクーラに接続される経路は、外部に面しているため飛び石等との衝突によって破損する虞がある。そしてオイルクーラが破損すると、その構成上、オイルが外部に流出してしまう虞がある。また特許文献1、及び特許文献2に開示される技術では、オイルを冷却するためオイルポンプからオイルクーラに向ってオイルを吐出する際、吐出されるオイルの流量は、オイルポンプの回転軸に連結されるモータの回転数に比例し成り行きとなっている。これによりそれほど冷却の必要のないオイル低温時においても、オイルはモータの回転数に応じてオイルポンプからオイルクーラに向って吐出され、必要以上の冷却が行なわれ過冷却となるため効率が悪化する虞がある。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、オイルに対し、常に運転状況に応じた最適な冷却を行なうことができ、且つオイル経路の破損時にもオイルが外部に流出しない安全性の高いインホイールモータ冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係るインホイールモータ冷却装置の発明の特徴は、車両の電動輪を構成するホイールを回転可能に支承するケーシングと、少なくとも一部が前記ホイール内に搭載され該ホイールを駆動するモータと、を備えた電動輪装置において、前記オイルを冷却するオイル冷却装置と、前記モータの回転軸と連動して回転作動され前記ケーシングの下部に貯留されたオイルを吸入して吐出するオイルポンプと、前記オイルポンプの吸入口と接続され前記ケーシングの下部に貯留された前記オイルを前記オイルポンプに案内する第1冷却油路と、前記オイルポンプの吐出口に接続され、該オイルポンプから吐出されたオイルを前記モータに案内する第2冷却油路と、前記オイルポンプの吐出口に前記第2冷却油路と並列に接続され、前記オイル冷却装置を経由して前記ケーシングに設けられた戻り口に接続された第3冷却油路と、前記第3冷却油路の前記オイルポンプの前記吐出口の近傍部に設けられた第1開閉弁と、前記第3冷却油路の前記ケーシングの前記戻り口の近傍部に設けられた第2開閉弁と、前記第3冷却油路の内部圧力を検出する圧力検出装置と、前記圧力検出装置によって前記第3冷却油路の内部圧力の低下が検出されると前記第1、及び第2開閉弁を閉弁させる制御装置と、を備えたことである。
【0007】
上記課題を解決するため、請求項2に係るインホイールモータ冷却装置の発明の特徴は、請求項1において、前記第3冷却油路の前記オイルポンプと前記オイル冷却装置との間に前記オイルの温度が高温になるほど流量抵抗が小さくなる感温式流量制御弁を備えたことである。
【0008】
上記課題を解決するため、請求項3に係るインホイールモータ冷却装置の発明の特徴は、請求項2において、前記感温式流量制御弁はバイメタル式の流量制御弁であることである。
【0009】
上記課題を解決するため、請求項4に係るインホイールモータ冷却装置の発明の特徴は、請求項1において、前記モータの回転数を検出する回転センサと、前記第3冷却油路の前記オイルポンプと前記オイル冷却装置との間に設けられ前記回転センサによって検出された前記モータの回転数が低回転になるとき流量抵抗が大きくなる流量制御弁と、を備えたことである。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項5に係るインホイールモータ冷却装置の発明の特徴は、請求項2または3において、前記モータの回転数を検出する回転センサと、前記第3冷却油路の前記オイルポンプと前記オイル冷却装置との間に設けられ前記回転センサによって検出された前記モータの回転数が低回転になるとき流量抵抗が大きくなる流量制御弁と、を備えたことである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、第3冷却油路の内部圧力が検出され、検出された内部圧力が一定量低下したときにオイルポンプの吐出口の近傍部に設けた第1開閉弁と、ケーシングの戻り口の近傍部に設けた第2開閉弁と、が閉弁される。これにより第3冷却油路が万一破損した場合には、破損に伴って発生する第3冷却油路の内部圧力の低下によって第1開閉弁と第2開閉弁とが閉弁されるのでオイルの外部への流出は最小限とすることができ、安全性が向上する。そしてこのときモータを冷却する第2冷却油路は第3冷却油路と並列に配置されているので、第3冷却油路が遮断された後も第2冷却油路にオイルを循環させることができ、モータの冷却を行いながら運転が継続できるので信頼性が向上する。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、第3冷却油路のオイルポンプとオイル冷却装置との間に感温式流量制御弁を備え、高温になる程、感温式流量制御弁の流量抵抗が小さくなるようにする。これにより、オイル温度が高く、オイルの冷却が必要なときには大流量のオイルがオイルクーラに流れオイルクーラによって確実に冷却される。またオイル温度が低いときには感温式流量制御弁の流量抵抗は大きいので小流量のオイルがオイルクーラに流入し、オイルクーラによって必要量だけ適切に冷却するので過冷却されることなく効率よく冷却が行なえる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、感温式流量制御弁がバイメタル式の流量制御弁であるので複雑な制御を必要とせず簡易で安価に対応できる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、モータの回転数が検出され、第3冷却油路のオイルポンプとオイル冷却装置との間に流量制御弁が備えられ、検出されたモータの回転数が小さいとき、流量制御弁の流量抵抗が大きくなるよう制御される。これによりモータの回転数が小さいときでも必要な流量のオイルがモータ側に供給されモータを確実に冷却することができる。またモータの回転数が大きい、つまりモータの発熱量が多いと判断されるときには流量制御弁の流量抵抗が小さくなり大流量のオイルがオイルクーラ側に流れ、オイルクーラによって適切に冷却される。そしてモータ側には流量制御弁で制御された必要な流量のオイルが供給されてモータを過冷却することなく適切に冷却することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、第3冷却油路のオイルポンプとオイル冷却装置との間に感温式流量制御弁と流量制御弁とが設けられている。そしてオイル温度が高いと感温式流量制御弁によって流量抵抗が小さくされるとともに、モータの回転数によってさらに詳細に判断がされ流量制御弁によって流量抵抗の調整を行なうことができる。またオイル温度が低いときには感温式流量制御弁によって流量抵抗が大きくされるとともに、モータの回転数によってさらに詳細に判断がされ流量制御弁によって流量抵抗の調整を行なうことができる。これにより運転状況に応じて一層細かい制御が行なえオイルクーラによって必要量だけ確実に冷却がされ、効率がよい。また、感温式流量制御弁、または流量制御弁の一方が故障したときにも、残った他方の制御弁によって流量抵抗の調整が行なえるので信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係るインホイールモータの冷却構造を含む電動輪装置の構成を示した模式図(側面図)である。
【図2】本発明に係るバイメタル式流量制御弁の模式図(断面図)である。
【図3】第2の実施形態に係るインホイールモータの冷却構造を含む電動輪装置の構成を示した模式図(側面図)である。
【図4】第3の実施形態に係るインホイールモータの冷却構造を含む電動輪装置の構成を示した模式図(側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るインホイールモータ冷却装置20を含む車両の電動輪装置の第1の実施形態について図1の模式図に基づいて説明する。図1に示すように電動輪装置10は、電動輪を構成するホイール11と、タイヤ(図示せず)と、ケーシング24と、モータ30と、減速機である遊星歯車機構21と、ブレーキ装置14と、インホイールモータ冷却装置20と、を備えている。
【0018】
ホイール11は、ホイールディスク12及びホイールハブ13で構成されている。ホイール11はケーシング24に回転可能に支承され、ケーシング24内にはモータ30、遊星歯車機構21、及びインホイールモータ冷却装置20の一部等が収容されている。ホイールディスク12は、略カップ型形状を呈し、ディスク部12aとリム部12bとからなる。ホイールディスク12のリム部12bの外縁には、タイヤ(図示せず)が固定されている。そしてホイールディスク12は、ディスク部12aがハブボルトによってホイールハブ13に締結されている。
【0019】
ケーシング24はホイール11が車両の外側に向くように車両のサスペンション機構に取り付けられている。ケーシング24は、内部に空間24dを有する円筒形状を呈している。図1においてケーシング24の右側面中心部には内部に空間を有する円筒状の突部24eが右方に突設されている。また図1においてケーシング24の左側面中心部には円筒壁24fが左方に開口し突設されている。ケーシング24内の左方には、ケーシング24内をモータ室24gと減速機室24hとに区画する支持壁38が設けられている。
【0020】
図1においてモータ30は、支持壁38の右側のモータ室24g内に配置されている。モータ30は、回転シャフト32と、ロータ33と、ステータ34とからなる。回転シャフト32は、両端部でボールベアリングである軸受31の内輪に回転可能に支承されている。回転シャフト32を軸承する軸受31のうち図1において右側の軸受31の外輪はケーシング24の突部24eの円筒内周面に嵌合されている。図1において左側の軸受31の外輪は後述する遊星歯車機構21のキャリア43を構成する環状部材43bの円環内周面に嵌合されている。そして環状部材43bの円環外周面は支持壁38に形成される軸受穴に外輪を嵌合されたボールベアリングである軸受40の内輪に嵌合され支持されている。このように回転シャフト32は両軸受31によってケーシング24に回転可能に軸承されている。
【0021】
ステータ34は、ステータコア34aとステータコイル34bとを含む。ステータコア34aは、外周面をケーシング24の空間24dの内周面に固定され、ステータコイル34bはステータコア34aに巻回されている。モータ30が三相モータである場合、ステータコイル34bは、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルからなる。また、ロータ33は、ステータコア34aおよびステータコイル34bの内周側に配置され回転シャフト32と一体的に形成されている。
【0022】
遊星歯車機構21は、支持壁38の図1において左側の減速機室24h内にモータ30とホイールハブ13との間に介在して配置されている。遊星歯車機構21は、サンギヤ41と、リングギヤ42と、複数のプラネタリギヤ44を回転可能に支承するキャリア43と、によって構成されている。
【0023】
サンギヤ41の回転軸であるサンギヤ軸は、モータ30の回転シャフト32と一体に形成され軸受31によってケーシング24に回転可能に軸承されている。サンギヤ41は、モータ30の回転シャフト32の減速機室24h内に突出する端部に同軸に一体的に形成され、リングギヤ42はサンギヤ41と回転軸線方向で整列して減速機室24hの内周面に固定されている。
【0024】
キャリア43はケーシング24の円筒壁24fに軸部43dを軸受35によって回転可能に支承された本体43aと、前述の環状部材43bと、本体43aと環状部材43bとに両端を固定された4個の回転軸43cとによって構成されている。回転軸43cにはサンギヤ41及びリングギヤ42に噛合するプラネタリギヤ44がメタル軸受45を介してそれぞれ回転可能に支承されている。キャリア43の軸部43dは遊星歯車機構21の出力軸である。
【0025】
なお、本実施形態においてプラネタリギヤ44はサンギヤ41の外周上に等間隔に例えば4つ設けるが、これに限らずいくつ設けてもよく、設ける数は任意である。また軸受35とホイールハブ13との間にはオイルシール47が設けられている。オイルシール47は軸部43dとケーシング24の円筒壁24fの内周面との間に介在しオイル22の外部への流出を封止している。
【0026】
ブレーキ装置14は、ブレーキロータ14aと、ブレーキキャリパ14bと、を有する。ブレーキロータ14aは、ブレーキロータ14aの回転軸と平行で且つ回転軸を通る切断面で切断した断面形状が、鍔部を有するカップ形状を呈している。そしてブレーキロータ14aの内周面がホイールハブ13の外周面に固定され、鍔部に相当するブレーキロータ14aの外周部がブレーキキャリパ14b内を通過するように配置されている。
【0027】
ブレーキキャリパ14bは、一部がケーシング24の外周面に固定されている。ブレーキキャリパ14bは、ブレーキピストン(図示せず)と、ブレーキパッド14c、14dとを含む。ブレーキパッド14c、14dは、ブレーキロータ14aの外周部両面を挟み込むために設けられている。ブレーキキャリパ14bにブレーキオイルが供給されると、ブレーキピストンの作動によってブレーキパッド14c、14dが、ブレーキロータ14aの外周部両面を挟み込み、電動輪にブレーキがかけられる。
【0028】
次にインホイールモータ冷却装置20の構成について説明する。インホイールモータ冷却装置20は、ケーシング24内の下部のオイル溜り24aにモータ30の一部が浸漬するように貯留されているオイル22と、オイルポンプ16と、第1〜第3冷却油路17、18、19と、オイル冷却装置であるオイルクーラ23と、第1、及び第2開閉弁27、28と、感温式流量制御弁としてのバイメタル式流量制御弁29と、圧力検出装置としての圧力センサ25と、制御装置26と、を有している。
【0029】
まずオイルポンプ16について説明する。オイルポンプ16は、一般的なトロコイドポンプでありケーシング24の円筒状の突部24eの内周面に配置されている。オイルポンプ16は、第1冷却油路17を介してオイル22を吸入するための吸入口16cと、第2冷却油路18にオイル22を吐出するための吐出口16aと、第3冷却油路19にオイル22を吐出するための吐出口16bと、を有している。
【0030】
オイルポンプ16の回転軸はモータ30の回転シャフト32と同軸に配置され、回転シャフト32の一端と嵌合されて連結されている。そしてオイルポンプ16の回転軸は回転シャフト32と一体的に回転作動されケーシング24の油溜り24aから第1冷却油路17を介してオイル22の汲み上げを行なう。そして汲み上げられたオイル22は吐出口16aから第2冷却油路18へ吐出されるとともに、吐出口16bから第3冷却油路19へ吐出される。
【0031】
またケーシング24の突部24eを形成する円筒壁においてオイルポンプ16の吸入口16cと吐出口16bとが位置するそれぞれの部位には貫通孔が設けられている。そして該貫通穴と、第1、第3冷却油路17、19の外周面とが油密に嵌合される。
【0032】
次に第1〜第3冷却油路17、18、19について説明する。第1冷却油路17は、ケーシング24の下部の油溜り24aに貯留されたオイル22をオイルポンプ16に案内するための油路である。第1冷却油路17はケーシング24の図1において右方下部に設けられた給油口24bとオイルポンプ16の吸入口16cとの間に油密に接続されている。
【0033】
第2冷却油路18は、オイルポンプ16から吐出されたオイル22をモータ30に案内するための油路である。第2冷却油路18は、回転シャフト32の軸心に一端側から穿設された油路を有する。第2冷却油路18は回転シャフト32の他端側に貫通しても良いし、貫通しなくてもよい。そして回転シャフト32の軸心に穿設された油路から回転シャフト32の外周面に向って第2冷却油路18の一部を構成する噴出口18aが貫通されている。噴出口18aは少なくとも1つ以上設けられている。噴出口18aは噴出口18aから噴出させたオイル22によって発熱部を冷却するためのものであり、冷却させたい発熱部の数や位置に応じて噴出口18aの個数及び位置を決定すればよい。そして回転シャフト32の一端に開口する第2冷却油路18の入口部と、オイルポンプ16の吐出口16aと、は油密に接続される。
【0034】
なお、オイル22は発熱部の冷却だけではなく摺動部の潤滑作用も有する。回転シャフト32の軸内に滞留するオイル22は、モータ30が作動し回転シャフト32が回転軸周りに回転すると、遠心力によって噴出口18aから噴出し、たとえばモータ30(ロータ33及びステータ34)、軸受31、軸受40、及び遊星歯車機構21等に供給されてそれぞれを冷却、及び潤滑する。そしてモータ30等の冷却を行ない温度上昇したオイル22は、重力によってケーシング24内の下部の油溜り24aに落下して貯留される。
【0035】
第3冷却油路19は、第2冷却油路18と並列に接続され、オイルクーラ23を経由してケーシング24にオイル22を戻すための油路である。第3冷却油路19はオイルポンプ16の吐出口16bとケーシング24の下部の戻り口24cに油密に接続されている。ただし、戻り口24cはケーシング24の下部に限らず、オイル22が戻り口24cからケーシング24内に流入し、油溜り24aに貯留されることが可能であればケーシング24のどの位置に設けてもよい。
【0036】
オイルクーラ23は、ケーシング24の外周面に固定されている。オイルクーラ23には、オイルポンプ16の吐出口16bと接続される第3冷却油路19を通過してオイル22が流入してくる流入口、及びケーシング24の戻り口24cに接続される第3冷却油路19にオイル22が流出していく流出口(何れも図示せず)を有している。オイルクーラ23はオイルポンプ16から吐出された高温のオイル22を冷却するものである。オイルクーラ23は一般的な方式のオイルクーラであり、オイル22をオイルクーラ23内に通過させオイルクーラ23の有するフィンによって熱を大気に放出し冷却する。
【0037】
第1開閉弁27は、第3冷却油路19においてオイルポンプ16の吐出口16bの近傍部に設けられている。第1開閉弁27は、制御装置26と接続される常開型の電磁弁であり、第3冷却油路19の内部通路と直列に設けられている。第1開閉弁27に制御装置26から信号が送信されて第1開閉弁27が閉弁すると、第3冷却油路19は閉じオイルポンプ16からの第3冷却油路19へのオイル供給は停止する。
【0038】
第2開閉弁28は、第3冷却油路19においてケーシング24の戻り口24cの近傍部に設けられている。第2開閉弁28も、第1開閉弁27と同様に制御装置26と接続される常開型の電磁弁であり、第3冷却油路19の内部通路と直列に設けられている。第2開閉弁28に制御装置26から信号が送信されて第2開閉弁28が閉弁すると、第3冷却油路19のケーシング24の戻り口24cの近傍部の通路は閉じ、ケーシング24のオイル貯留部からのオイル22の逆流が防止される。
【0039】
感温式流量制御弁としてのバイメタル式流量制御弁29は、バイメタル式流量制御弁29の内部を流れるオイル22の温度に応じて、図2の模式図(断面図)に示すバイメタルバルブ36がL方向、またはS方向に屈曲して作動し、オイル22の温度が高いほどバイメタル式流量制御弁29部の流量抵抗が小さくなるように設定されている。
【0040】
バイメタル式流量制御弁29は、第3冷却油路19においてオイルポンプ16の吐出口16bとオイルクーラ23との間であって、詳細には第1開閉弁27とオイルクーラ23との間に第3冷却油路19の内部通路と直列に設けられている。バイメタル式流量制御弁29は、図2に示す構造を有し、バイメタルバルブ36は熱膨張係数の異なる2種の金属板36a、36bが接合され形成されている。このときバイメタルバルブ36の2種の金属板36a、36bの熱膨張係数36ak、36bkは、36ak>36bkの関係を有する。また2種の金属板36a、36bは常温状態において図2に示す状態である真直状態となっている。
【0041】
なお、常温時にどれだけの量のオイル22をバイメタル式流量制御弁29を通過させてオイルクーラ23に流すかは任意である。例えば常温時にオイルクーラ23にオイル22を全く流さないように設定してもよく実験等によってその都度決定すればよい。また、バイメタル式流量制御弁29は第1開閉弁27とオイルクーラ23との間に設けずオイルポンプ16の吐出口16bと第1開閉弁27との間に設けてもよい。
【0042】
圧力検出装置である圧力センサ25は、本実施形態においては第3冷却油路19においてバイメタル式流量制御弁29とオイルクーラ23との間に設けられている。圧力センサ25は、第3冷却油路19の内部通路内に圧力検出部を有し、第3冷却油路19上に油密に設置され第3冷却油路19の圧力を検出する。そして圧力センサ25は、検出信号を接続される制御装置26に送出する。
【0043】
なお、圧力センサ25は、第3冷却油路19のいずれかの部分に設けられればよく、取り付け位置は任意である。また、圧力センサ25は、圧力の検出ができればよく検出方式はどのようなものでもよい。また、圧力センサは1つに限らず、例えば圧力センサ37をオイルクーラ23とケーシング24の油溜り24aとの間にもう一つ設けてもよい。
【0044】
制御装置26は圧力センサ25から送出された検出信号を監視する。そして制御装置26が第3冷却油路19の内部圧力が予め設定された量を超えて低下したことを認識すると、制御装置26は第3冷却油路19の一部が破損し第3冷却油路19内のオイル22が外部に流出したと判定し、第1、及び第2開閉弁27、28を瞬時に閉弁させ、オイルクーラ23、及びケーシング24のオイル溜り24aと外部との連通路を遮断する。なお、上述のように圧力センサ37をさらに設け、圧力センサ25と圧力センサ37との間の圧力差から第3冷却油路19の内部圧力の低下を検出してもよい。
【0045】
次にインホイールモータ冷却装置20の作動について説明する。なお、図1中において破線(太線)矢印はオイル22の流通経路を示す。取付けブラケット(図示せず)を介して車両に組付けられた電動輪装置10は、車両に搭載されたスイッチング回路(図示せず)によりステータコイル34bに交流電流が供給され、ロータ33が回転し、モータ30は、所定のトルクを出力する。そして、モータ30の出力トルクは、サンギヤ軸を介して遊星歯車機構21へ伝達される。遊星歯車機構21は、サンギヤ軸から受けた出力トルクをサンギヤ41およびプラネタリギヤ44によって変速(減速)してキャリア43の本体43aへ出力する。本体43aは、出力トルクを軸部43dに伝達し、軸部43dはジョイント(図示せず)を介して所定の回転数でホイールハブ13およびホイールディスク12を回転させ、電動輪は、所定の回転数で回転する。
【0046】
そしてモータ30の回転と連動してオイルポンプ16は所定の回転数で回転し、該回転数に応じた流量Qのオイル22をケーシング24の下部の油溜り24aから第1冷却油路17を介して吸い上げる。そしてオイルポンプ16によって吸い上げられたオイル22は第2冷却油路18と、第3冷却油路19に分流されて吐出される。このとき第2冷却油路18と、第3冷却油路19にそれぞれ吐出されるそれぞれのオイル22の流量A、Bは第2冷却油路18と、第3冷却油路19のそれぞれの流量抵抗に反比例して吐出され、Q=A+Bの関係を有する。
【0047】
まず電動輪装置10の運転が開始から短時間であって、モータ30及び各摺動部の発熱が小さい場合について説明する。このとき第3冷却油路19に設けられているバイメタル式流量制御弁29のバイメタルバルブ36は、第3冷却油路19内を流通する略常温のオイル22に接し、図2に示すL方向、及びS方向のいずれにも屈曲しておらず第3冷却油路19内の通路を一部遮っている。よってバイメタルバルブ36を通過しオイルクーラ23に流入するオイル22の量は多くない。このように、冷却の必要のない常温のオイル22を大量にオイルクーラ23に送って過冷却することがないので効率が良い。また過冷却することなく第2冷却油路18に大量のオイル22をまわすことができるので、モータ30等を適切に冷却できるとともにケーシング24の下部の油溜り24aのオイル量を低減でき、モータ30へのオイル22の浸漬量が低減できる。このため、モータ30のロータ33に対するオイル22による回転抵抗(撹拌抵抗)を低減することができ、運転効率の向上を図ることができる。
【0048】
次に、例えば電動輪装置10の運転が継続されモータ30や摺動部各部が発熱した場合について説明する。このときモータ30等の温度上昇を抑制するために冷却用のオイル22が循環され、オイル22とモータ30等との間で熱交換が行なわれることによってオイル22の温度が上昇する。これにより第3冷却油路19には温度の高いオイル22が流れ、第3冷却油路19に設けられているバイメタル式流量制御弁29のバイメタルバルブ36は、該温度の高いオイル22に接し、L方向に屈曲変形し通路を大きくしている。つまり、第3冷却油路19の流量抵抗は小さくなり、オイル22は流れやすくなって、たくさんのオイル22が第3冷却油路19に流れる。このように、高温になったオイル22を第3冷却油路19を介して大量にオイルクーラ23に流入させることができるので効率よくオイル22の冷却ができる。またオイルクーラ23によって充分冷却したオイル22をケーシング24の下部の油溜り24aに大量に供給できるので、冷却されたオイル22を第2冷却油路18に循環させモータ30等の冷却を適切に行なうことができ、高温によるモータ30等の故障が適切に防止できる。
【0049】
次に電動輪装置10の運転中に、砂利等の飛び石が第3冷却油路19及びオイルクーラ23の少なくとも1つに当たって破損させ破損部位からオイル22が流出した場合について説明する。第3冷却油路19からオイル22が流出した場合は、まず第3冷却油路19に設けられた圧力センサ25によって第3冷却油路19内の圧力の低下が検出される。そこで圧力低下の検出方法について説明する。
【0050】
圧力センサ25は第3冷却油路19内においてオイルポンプ16とオイルクーラ23との間に設けられ、電動輪装置10の通常運転中、常に第3冷却油路19内の圧力を検出し制御装置26に検出信号を送出している。制御装置26は通常運転中の第3冷却油路19内の圧力を所定の時間毎に平均化し平均圧力値として保有している。この平均圧力値はオイルポンプ16の回転数に応じて異なっている。そして第3冷却油路19が破損し第3冷却油路19からオイル22が流出すると、第3冷却油路19内の圧力低下が発生する。圧力低下は圧力センサ25によって検出され、検出された単位時間当たりの圧力低下量が、例えば平均圧力値の30%を超えると、制御装置26は第3冷却油路19及びオイルクーラ23の少なくとも1つが破損し、オイル22が外部に流出したと判定する。そして制御装置26は第1開閉弁27、及び第2開閉弁28を直ちに閉弁させる。
【0051】
これにより第3冷却油路19から外部へのオイル22の流出は最小限で食い止められ安全性が確保される。そして、このとき第3冷却油路19を遮断しても、第3冷却油路19と並列に設けられている第2冷却油路18には引続きオイル22を循環させることができるので電動輪装置10の運転が続行でき、信頼性が確保される。このように第3冷却油路19内の平均圧力値と、単位時間当たりの圧力低下量とを比較することにより第3冷却油路19からのオイル22の流出を検出するので、オイルポンプ16の回転数によって変動する第3冷却油路19内の圧力に適切に対応して第3冷却油路19からのオイル22の流出を検出することができる。
【0052】
なお、上記においては、検出された単位時間当たりの圧力低下量が平均圧力値の30%を超えて低下すると、オイル22が外部に流出したと判定したが、判定の閾値とする圧力低下量の大きさは30%に限らず任意に設定すればよい。また、第3冷却油路19においてオイルクーラ23と油溜り24aとの間に設けた圧力センサ37と圧力センサ25とによってそれぞれ圧力を検出し、検出された圧力の差によって第3冷却油路19の破損を検出してもよい。圧力センサ37と圧力センサ25とは第3冷却油路19の破損位置によって異なる圧力値を検出するので、より詳細に第3冷却油路19の破損の情報を得ることができる。
【0053】
なお、上記において感温式流量制御弁としてバイメタル式流量制御弁29を適用したが、これに限らずサーモスタットを利用したサーモスタット式の流量制御弁を適用してもよい。この場合、所定の温度まではサーモスタットを閉弁させておき一定の温度以上になったときに、サーモスタットが開弁して大量にオイルクーラ23のオイル22が流入するようにすればよい。これによっても相応の効果が得られる。
【0054】
上述の説明から明らかなように、第1の実施形態においては、第3冷却油路19の内部圧力が検出され、検出された内部圧力が予め設定した量だけ低下したときにオイルポンプ16の吐出口16bの近傍部に設けた第1開閉弁27と、ケーシング24の戻り口24cの近傍部に設けた第2開閉弁28と、が閉弁される。このように第3冷却油路19が万一破損した場合には、破損に伴って発生する第3冷却油路19の内部圧力の低下によって第1開閉弁27と第2開閉弁28とが閉弁するのでオイル22の外部への流出は最小限とすることができ、安全性が向上する。またこのときモータ30を冷却する第2冷却油路18は第3冷却油路19と並列に配置されているので、第3冷却油路19が遮断された後も第2冷却油路18にオイル22を循環させることができ、モータ30の冷却を行いながら運転が継続できるので信頼性が向上する。
【0055】
また、第1の実施形態においては、第3冷却油路19のオイルポンプ16とオイル冷却装置としてのオイルクーラ23との間に感温式流量制御弁としてのバイメタル式流量制御弁29を備え、オイル22が高温になる程、バイメタル式流量制御弁29の流量抵抗が小さくなるようにした。これにより、オイル温度が高く、オイル22の冷却が必要なときには大流量のオイル22がオイルクーラ23に流れ確実に冷却がされる。またオイル温度が低いときにはバイメタル式流量制御弁29の流量抵抗は大きくなるよう設定されているので小流量のオイル22がオイルクーラ23に流れ必要量だけ適切に冷却される。これにより過冷却されることなく効率よく冷却が行なえる。
【0056】
また、第1の実施形態においては、感温式流量制御弁がバイメタル式の流量制御弁29であるので複雑な制御を要さず安価に対応できる。
【0057】
次に第2の実施形態について図3に基づいて説明する。第2の実施形態の電動輪装置50では、第1の実施形態で設けたバイメタル式流量制御弁29に替えて、第3冷却油路19に、電気制御によって弁を自在に作動させオイル流量の制御を行なう流量制御弁46を設ける。また第2の実施形態では、モータ30の回転数を検出するための回転センサ61を設けている。そして流量制御弁46は回転センサ61によって検出されたモータ30の回転数に応じて流量制御弁46の開弁度合いを制御している。これにより流量制御弁46は、第3冷却油路19を介してオイルクーラ23へ流すオイル流量と、第2冷却油路18を介してモータ30へ流すオイル流量の流量配分を制御する。第2の実施形態においては、第1の実施形態と上記内容のみが異なる。よって異なる部分についてのみ説明し、同様の部分については説明を省略する。また同じ構成部品については同じ符号を付し説明する。
【0058】
図3に基づき、第2の実施形態であるインホイールモータ冷却装置60の構成について説明する。インホイールモータ冷却装置60は、ケーシング24内の下部にモータ30の一部が浸漬するように油溜り24aに貯留されているオイル22と、オイル冷却装置であるオイルクーラ23と、オイルポンプ16と、第1〜第3冷却油路17、18、19と、第1、第2開閉弁27、28と、流量制御弁46と、回転センサ61と、圧力検出装置としての圧力センサ25と、制御装置26と、を有している。
【0059】
ケーシング24内の右方には、中心部に貫通穴を有する円板状の支持壁39が支持壁39の外周部を空間24dの内周面に固定され配置されている。支持壁39の貫通穴にはモータ30の回転シャフト32が貫通しており、回転シャフト32と支持壁39の貫通穴との間には後述する回転センサ61が介在されている。
【0060】
回転センサ61は、モータ30の回転シャフト32の回転数を検出するためのものである。回転センサ61の回転数の検出方式は問わないが、第2の実施形態においては一般的なレゾルバを採用している。レゾルバは回転体と該回転体と隙間を持って対向する非回転体とにそれぞれコイルを設け、回転体側のコイルに交流を流し、回転体と非回転体の相対角度に応じて非回転体のコイルに現れる交流電圧の位相を検出することによって回転を検出する。第2の実施形態において、回転センサ61は、複数の回転体側コイル61aと、複数の非回転体側コイル61bと、交流電圧検出部(図示せず)とによって構成されている。そして交流電圧検出部と制御装置26とが接続され、制御装置26に検出信号である交流電圧の位相信号が送出される。
【0061】
複数の回転体側コイル61aは、回転シャフト32の外周で、回転シャフト32の回転軸線方向において支持壁39の位置と略一致する位置に回転軸を中心として周方向に均等に配置されている。また複数の非回転体側コイル61bは、支持壁39の貫通穴内周面近傍に回転体側コイル61aと対向して、且つ回転体側コイル61aと所定の隙間をもって均等に固定されている。このように回転体側コイル61aと非回転体側コイル61bとが配置され回転シャフト32が交流電流が流された回転体側コイル61aと一体回転することによって交流電圧検出部で位相電圧が検出される。そして検出された位相電圧が制御装置26に送信されて回転シャフト32の位相角度が導出され回転数が演算される。なお、回転センサ61は、レゾルバに限らずエンコーダでもよい。
【0062】
流量制御弁46は制御装置26と接続され、第1の実施形態のバイメタル式流量制御弁29と同じ位置である第3冷却油路19のオイルポンプ16とオイルクーラ23との間であって、詳細には第1開閉弁27とオイルクーラ23との間に設けられている。
【0063】
流量制御弁46は、回転センサ61によって検出されたモータ30の回転数に応じ、電気信号によってバルブの開弁度合いを自在に変更し流通するオイル22の流量を調整する。第2の実施形態においては、モータ30の回転数が小さいときには流量制御弁46のバルブが閉弁方向に作動し流量抵抗が大きくなるように制御される。これによりモータの回転数が小さいときでも必要な流量のオイル22がモータ30側に供給されモータ30を確実に冷却することができる。またモータ30の回転数が大きいときには流量制御弁46のバルブが開弁方向に作動し流量抵抗が小さくなるように制御される。これにより大流量のオイル22がオイルクーラ23側に流れ、オイルクーラ23によって適切に冷却される。そしてモータ30側には流量制御弁46で制御された必要な流量のオイル22が供給されてモータ30を過冷却することなく適切に冷却することができる。またオイル22が過冷却されることなくケーシング24の下部の油溜り24aのオイル残存量を適切に低減できるので、モータ30へのオイル22の浸漬量を低減できる。このため、モータ30のロータ33に対するオイル22の回転抵抗(撹拌抵抗)を低減することができ、効率の向上を図ることができる。
【0064】
なお、第2の実施形態において、第1〜第3冷却油路17、18、19、及びケーシング24の油溜り24aの少なくとも1つに残存するオイル22の温度を検出する温度センサ64を設け(第2の実施形態においては図3に示すように第1冷却油路17に設置)、該温度センサ64が検出した温度に応じて流量制御弁46を制御してもよい。このときも検出したオイル22の温度が高いときには流量制御弁46を大きく開弁して流量抵抗を小さくしオイルクーラ23にオイル22をたくさん流入させ積極的にオイル22を冷却する。また検出したオイル22の温度が低いときには流量制御弁46を閉弁方向に作動して流量抵抗を大きくしオイルクーラ23にオイル22が流入しないように制御する。これによっても第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
次に図4に示す第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の電動輪装置70は、第1の実施形態で採用したバイメタル式流量制御弁29と、第2の実施形態で採用した流量制御弁46とを第3冷却油路19のオイルポンプ16とオイルクーラ23との間に同時に設けるものである。このようにインホイールモータ冷却装置80が構成されるのでオイル温度が高いと、まず感温式流量制御弁であるバイメタル式流量制御弁29の作動によって第3冷却油路19の流量抵抗が小さくされる。このとき同時に回転センサ61、及び温度センサ64によって信号が検出され、検出された信号が制御装置26に送信される。そして制御装置26が、送信されたモータ30の回転数、及びオイル22の温度から判断しバイメタル式流量制御弁29が流量抵抗を小さくしすぎたと判定すると制御装置26は流量制御弁46を作動し流量抵抗を適正な値まで大きくしてオイル22が流れ難くするよう制御する。
【0066】
またオイル温度が低いと、上記と同様に、まず感温式流量制御弁であるバイメタル式流量制御弁29によって流量抵抗が大きくされる。このとき上記と同様、同時に回転センサ61、及び温度センサ64によって信号が検出され、検出された信号が制御装置26に送信される。そして制御装置26が、送信されたモータ30の回転数、及びオイル22の温度から判断しバイメタル式流量制御弁29によって調整された流量抵抗が小さすぎ充分大きくないと判定すると制御装置26は流量制御弁46を作動させ流量抵抗を適正な値までさらに大きくするよう制御する。このように第3の実施形態においては運転状況に応じて一層細かいオイル流量の制御が行なえオイルクーラ23によって必要量だけ確実に冷却を行なうことができ一層効率がよい。
【0067】
また、バイメタル式流量制御弁29、及び流量制御弁46の一方が故障したときにも、残った他方の制御弁によって流量抵抗の調整が行なえるので信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0068】
10、50、70・・・電動輪装置、11・・・ ホイール、12・・・ ホイールディスク、12a・・・ ディスク部、12b・・・リム部、13・・・ ホイールハブ、14・・・ブレーキ装置、16・・・オイルポンプ、17、18、19・・・ 第1、第2、第3冷却油路、20、60、80・・・インホイールモータ冷却装置、21・・・遊星歯車機構、22・・・オイル、23・・・オイルクーラ、24・・・ケーシング、25・・・圧力検出装置(圧力センサ)、26・・・制御装置、27・・・第1開閉弁、28・・・第2開閉弁、29・・・感温式流量制御弁(バイメタル式流量制御弁)、30・・・モータ、31・・・軸受、32・・・回転シャフト、33・・・ロータ、34・・・ステータ、34a・・・ステータコア、34b・・・ステータコイル、35・・・軸受、46・・・流量制御弁、61・・・回転センサ、64・・・温度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電動輪を構成するホイールを回転可能に支承するケーシングと、
少なくとも一部が前記ホイール内に搭載され該ホイールを駆動するモータと、を備えた電動輪装置において、
前記オイルを冷却するオイル冷却装置と、
前記モータの回転軸と連動して回転作動され前記ケーシングの下部に貯留されたオイルを吸入して吐出するオイルポンプと、
前記オイルポンプの吸入口と接続され前記ケーシングの下部に貯留された前記オイルを前記オイルポンプに案内する第1冷却油路と、
前記オイルポンプの吐出口に接続され、該オイルポンプから吐出されたオイルを前記モータに案内する第2冷却油路と、
前記オイルポンプの吐出口に前記第2冷却油路と並列に接続され、前記オイル冷却装置を経由して前記ケーシングに設けられた戻り口に接続された第3冷却油路と、
前記第3冷却油路の前記オイルポンプの前記吐出口の近傍部に設けられた第1開閉弁と、
前記第3冷却油路の前記ケーシングの前記戻り口の近傍部に設けられた第2開閉弁と、
前記第3冷却油路の内部圧力を検出する圧力検出装置と、
前記圧力検出装置によって前記第3冷却油路の内部圧力の低下が検出されると前記第1、及び第2開閉弁を閉弁させる制御装置と、を備えたことを特徴とするインホイールモータ冷却装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第3冷却油路の前記オイルポンプと前記オイル冷却装置との間に前記オイルの温度が高温になるほど流量抵抗が小さくなる感温式流量制御弁を備えたことを特徴とするインホイールモータ冷却装置。
【請求項3】
請求項2において、前記感温式流量制御弁はバイメタル式の流量制御弁であることを特徴とするインホイールモータ冷却装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記モータの回転数を検出する回転センサと、
前記第3冷却油路の前記オイルポンプと前記オイル冷却装置との間に設けられ前記回転センサによって検出された前記モータの回転数が低回転になるとき流量抵抗が大きくなる流量制御弁と、
を備えたことを特徴とするインホイールモータ冷却装置。
【請求項5】
請求項2または3において、
前記モータの回転数を検出する回転センサと、
前記第3冷却油路の前記オイルポンプと前記オイル冷却装置との間に設けられ前記回転センサによって検出された前記モータの回転数が低回転になるとき流量抵抗が大きくなる流量制御弁と、
を備えたことを特徴とするインホイールモータ冷却装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−148378(P2011−148378A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10650(P2010−10650)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】