説明

ウィンドウ昇降システム

【課題】運転者が車外にいても、ウィンドウの昇降が可能なウィンドウ昇降システム2を提供する。
【解決手段】車両1を走行させる駆動源11と、車両1に設けられる複数のウィンドウを電動で昇降するパワーウィンドウ装置15とを有する車両1に設けられるウィンドウ昇降システム2であって、車両1の外部のスマートキー13のFOBや携帯電話14の送信機から無線で送信された一括昇降信号dを受信する受信機7と、駆動源11の停止中に、受信機7から一括昇降信号dを入力した場合に、パワーウィンドウ装置15を制御して複数のウィンドウを一括して昇降させる制御装置6とを有する。車両1は、周辺環境に存在する環境エネルギを電力に変換する環境エネルギ発電装置3とその電力を蓄電するバッテリ4とを有し、制御装置6はその電力によって複数のウィンドウを昇降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のウィンドウを電動で昇降させるパワーウィンドウ装置を搭載する車両に設けられるウィンドウ昇降システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるパワーウィンドウ装置としては、通常、IG(イグニション)スイッチがオンのときにウィンドウを昇降可能にするところ、IGスイッチがオフになった後も所定時間に限って昇降可能にするものが提案されている(特許文献1等参照)。ウィンドウを閉め忘れても、所定時間内であれば、IGスイッチをオンすることなく閉めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−16567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、運転者が車両の運転席に座っているときに、運転者にとって、ウィンドウは、側方か、それより後方に位置しているので、開閉の確認を怠りやすく、降車して、ドアロックをした後に、ウィンドウの閉め忘れに気づく場合が往々にしてあった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、運転者が車外にいても、ウィンドウの昇降が可能なウィンドウ昇降システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両を走行させる駆動源と、前記車両に設けられる複数のウィンドウを電動で昇降するパワーウィンドウ装置とを有する車両に設けられるウィンドウ昇降システムであって、
前記車両の外部の送信機から無線で送信された一括昇降信号を受信する受信機と、
前記駆動源の停止中に、前記受信機から前記一括昇降信号を入力した場合に、前記パワーウィンドウ装置を制御して複数の前記ウィンドウを一括して昇降させる制御装置とを有することを特徴としている。
【0007】
これによれば、運転者は、車外にいても、車両の外部の送信機を用いて、一括昇降信号を送信することで、ウィンドウを昇降させることができる。なお、送信機としては、スマートキー(システム)のFOBや携帯電話(スマートホン)を用いることができる。そして、複数のウィンドウを一括して昇降させることができるので、複数のウィンドウが開いていても、運転者は、1回だけ一括昇降信号を送信すればよく、操作が容易である。なお、1回の一括昇降信号に基づいて、複数のウィンドウが昇降すればよいのであって、同時に昇降がスタートし終了する必要はなく、互いの昇降のタイミングは同期していてもいなくてもよい。
【0008】
また、本発明では、運転手による2モーション以上からなる作動によりオンし、前記オンにより前記一括昇降信号を前記制御装置へ出力する一括スイッチを有し、
前記制御装置は、前記駆動源の駆動中に前記一括スイッチから前記一括昇降信号を入力した場合に、前記パワーウィンドウ装置を制御して複数の前記ウィンドウを一括して昇降させることが好ましい。
【0009】
これによれば、運転者は、車内にいる場合でも、一括スイッチを用いて、1回だけ一括昇降信号を出力するだけで、複数のウィンドウを閉めることができる。
【0010】
また、本発明では、前記車両は、
前記車両の周辺環境に存在する環境エネルギを電力に変換する環境エネルギ発電装置と、
前記電力を蓄電するバッテリとを有し、
前記制御装置は、前記電力によって、複数の前記ウィンドウを昇降させることが好ましい。
【0011】
これによれば、車両を走行させる駆動源はその駆動に電力を要し、特にその初動に大電力を要するところ、複数のウィンドウの昇降には、環境エネルギから変換された電力を用いるので、駆動源の初動等に要する電力が使われることはなく、駆動源の初動等を確実に実施することができる。
【0012】
また、本発明では、前記ウィンドウと前記パワーウィンドウ装置と前記バッテリは、ドア毎に設けられ、
同じドア内の前記バッテリから前記パワーウィンドウ装置へ電力が供給されることが好ましい。
【0013】
これによれば、パワーウィンドウ装置に電力を供給するために、ドア内に電源線を引き回すだけでよいので、ハーネスに新たな電源線を引き回す必要が無く、簡単にシステムが構築できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運転者が車外にいても、ウィンドウの昇降が可能なウィンドウ昇降システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るウィンドウ昇降システムを搭載した車両の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るウィンドウ昇降システムを搭載した車両の斜視図である。
【図3】車両のドアの一部を室内側から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るウィンドウ昇降システムによる、駆動源の停止(IGスイッチのオフ)中における、ウィンドウ昇降方法のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るウィンドウ昇降システムによる、駆動源の駆動(IGスイッチのオン)中における、ウィンドウ昇降方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1に、本発明の実施形態に係るウィンドウ昇降システム2を搭載した車両1の構成図を示す。車両1には、車両1を走行させるエンジンやモータ等の駆動源11が搭載されている。この実施形態では、駆動源11は、レシプロエンジンであるとする。駆動源11は、その駆動に電力を要し、特にその始動用のスタータモータの駆動に大電力を要する。このため、この電力を賄うために、メインバッテリ9が設けられている。メインバッテリ9は、駆動源11に電力を供給(放電)するだけでなく、ヘッドライト、方向指示器、エアコンディショナ、パワーウィンドウ装置15等へも電力を供給する。このように、メインバッテリ9は、車両1の走行に欠くことのできない電力を供給している。駆動源11は、IG(イグニション)スイッチ12をオンすることによって始動し、オフすることによって停止することができる。なお、本発明の実施形態としては、駆動源11は、レシプロエンジンに限らず、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の走行用のモータでもよい。このモータが駆動して車両1が走行する際には、大電力を要し、特に走行スタートの際に大電力を要する。
【0018】
車両1は、複数のパワーウィンドウ装置15(15a、15b、サンルーフ15cも含む)を有している。パワーウィンドウ装置15は、それぞれ、ウィンドウやルーフを有している。パワーウィンドウ装置15は、電動で、ウィンドウやルーフを昇降することができる。パワーウィンドウ装置15a(15)は、IGスイッチ12がオンしているときに、車内個別1モーションスイッチ8a(8)がオンされると、メインバッテリ9からの電力の供給により、ウィンドウを昇降させる。パワーウィンドウ装置15b(15)は、IGスイッチ12がオンしているときに、車内個別1モーションスイッチ8b(8)がオンされると、メインバッテリ9からの電力の供給により、ウィンドウを昇降させる。サンルーフ15c(15)は、IGスイッチ12がオンしているときに、車内個別1モーションスイッチ8c(8)がオンされると、メインバッテリ9からの電力の供給により、ルーフを開閉(昇降)させる。車内個別1モーションスイッチ8(8a、8b、8c)は、運転者の1モーションによる作動によりオンする。
【0019】
複数のパワーウィンドウ装置15(15a、15b、サンルーフ15cも含む)は、制御装置6からの制御信号を入力した場合は、IGスイッチ12がオンしているときにはメインバッテリ9に蓄電された電力を用い(放電)、IGスイッチ12がオフしているときにはサブバッテリ4(4a、4b、4c)に蓄電された電力を用いて(放電)、ウィンドウ等を昇降させる。
【0020】
車両1は、スマートキー(システム)13を有している。運転者が、スマートキー13のFOB(フォブ)をポケットやカバン等に携帯していれば、車外において、運転席ドア、助手席ドアやテールゲートのロック・アンロックボタンを押すだけで、運転席ドア等の施錠と解錠ができる。また、運転者が、スマートキー13のFOBをポケットやカバン等に携帯していれば、エンジン始動ノブの操作により、IGスイッチ12をオンし、駆動源11を始動できる。スマートキー(システム)13の本体とFOBは、無線により送受信することによって、車両1にあるスマートキー(システム)13の本体は、スマートキー13が近くにあり、すなわち、運転者が近くにいることを検知し、施錠と解錠を行う。
【0021】
また、スマートキー13のFOBは、送受信機7と、スマートキー13の本体と同様の短距離間の送受信を行うことができる。スマートキー13のFOBは、運転者が車外から一括して複数のウィンドウを昇降できるスイッチ、すなわち、車外一括スイッチとして機能し、運転者が、その車外一括スイッチをオンすると、一括昇降信号dを、送受信機7へ送信する。スマートキー13のFOBによる車外一括スイッチのオンの方法としては、既存のスマートキー13のFOB上のボタンを、ダブルクリックやトリプルクリックや長押しすることによってオンとみなす方法等を用いることができる。
【0022】
また、車両1は、その車両1の周辺環境に存在する環境エネルギを電力に変換する環境エネルギ発電装置3を有している。車両1の周囲には、普段意識されていないものの、さまざまなエネルギ源(環境エネルギ)が存在する。この環境エネルギは微弱であり、微弱な環境エネルギを、利用可能な電力に変換するために、「エネルギ・ハーベスティング(環境発電)技術」、すなわち、環境エネルギ発電装置3が用いられている。環境エネルギ発電装置3としては、太陽電池装置31や、電波発電用アンテナ装置32や、熱電発電装置33や、振動発電装置34等を用いることができる。太陽電池装置31は、太陽光を電力に変換することができる。電波発電用アンテナ装置32は、外部の発信機等により生じた電波をアンテナで受信し利用可能な電力に変換することができる。熱電発電装置33は、駆動源11を構成するエンジンやモータや燃料電池で発生した熱や、ブレーキ等の制動装置やタイヤで発生した摩擦熱や、太陽等からの放射熱や、道路からの輻射熱等の熱エネルギを電力に変換することができる。振動発電装置34は、駆動源11を構成するエンジン等で発生する振動や、タイヤを支えるサスペンションの振動等を、電力に変換することができる。
【0023】
環境エネルギ発電装置3は、対応する環境エネルギが車両1の周辺に存在すれば、車両1の走行停止状態や、駆動源11の駆動停止状態にかかわらず、常時、発電することができる。環境エネルギ発電装置3で発電された電力は、メインバッテリ9と、サブバッテリ4(4a、4b、4c)に蓄電される。これにより、メインバッテリ9は、電力の蓄電量が最大の蓄電量に達していない場合に、補うことができる。サブバッテリ4(4a、4b、4c)に蓄電された電力は、メインバッテリ9とは異なり、車両1の走行に必須ではない動作のための電力、例えば、駆動源11の停止時における諸動作のための電力、より具体的には、ウィンドウ等の昇降や、駆動源11の停止時の車内の換気や、携帯電話等の携帯機器に対する充電のための電力等に利用することができる。なお、サブバッテリ4a(4)に蓄電されている電力は、パワーウィンドウ装置15a(15)を稼働させる電力として利用(放電)される。サブバッテリ4b(4)に蓄電されている電力は、パワーウィンドウ装置15b(15)を稼働させる電力として利用(放電)される。サブバッテリ4c(4)に蓄電されている電力は、サンルーフ15c(15)を稼働させる電力として利用(放電)される。
【0024】
車両1は、ウィンドウ昇降システム2を有している。ウィンドウ昇降システム2は、車内一括2モーションスイッチ(一括スイッチ)5と、制御装置6と、送受信機(受信機、通信システム)7とを有している。
【0025】
車内一括2モーションスイッチ(一括スイッチ)5は、車両1の車内に配置されている。車内一括2モーションスイッチ5は、運転者が、運転席に着座したまま、操作可能な位置に配置されている。車内一括2モーションスイッチ5は、運転者が、車内にいながら、オンすることができ、オンすることで、一括して複数のウィンドウを昇降することができる。車内一括2モーションスイッチ5は、運転者等の不慮の行為によりオンしないように、運転手による2モーション以上からなる作動によりオンするようになっている。例えば、車内一括2モーションスイッチ5として、ボタンにカバーがかけられていてもよい。ボタンを押すことでオンするが、カバーの上からボタンを押すことはできない。カバーをめくり上げるための上方へのモーションと、ボタンを押すための下方へのモーションとによって、車内一括2モーションスイッチ5をオンすることができる。また、例えば、車内一括2モーションスイッチ5として、ボタンの側面に設けられた凹部にかんぬきがかけられていてもよい。ボタンを押すことでオンするが、凹部にかんぬきがかけられたままではボタンを押すことはできない。かんぬきを外すための横方向へのモーションと、ボタンを押すための下方へのモーションとによって、車内一括2モーションスイッチ5をオンすることができる。車内一括2モーションスイッチ5は、そのオンにより、一括昇降信号dを、制御装置6へ出力する。なお、車内一括2モーションスイッチ5としては、2モーションでオンするものに限らず、3モーション以上でオンするものでもよい。
【0026】
制御装置6は、駆動源11の駆動中(IGスイッチ12のオンのとき)に、車内一括2モーションスイッチ5から一括昇降信号dを入力した場合に、パワーウィンドウ装置15(15a、15b、15c)を制御して、複数のウィンドウやサンルーフを一括して昇降(開閉)させる。運転者が車内にいて、IGスイッチ12がオンしているときには、運転者は、車内一括2モーションスイッチ5をオンすることで、複数のウィンドウを閉めることができる。なお、制御装置6やパワーウィンドウ装置15(15a、15b、15c)等の稼働に必要な電力は、メインバッテリ9又はサブバッテリ4から供給される。
【0027】
制御装置6は、駆動源11の停止中(IGスイッチ12のオフのとき)に、送受信機(受信機)7から一括昇降信号dを入力した場合に、パワーウィンドウ装置15(15a、15b、15c)を制御して、複数のウィンドウやサンルーフを一括して昇降(開閉)させる。運転者が車外にいて、IGスイッチ12がオフしているときには、運転者は、スマートキー13のFOBや、携帯電話(スマートホン)14等を、車外一括スイッチとして機能させ、その車外一括スイッチをオンすることで、無線にて、一括昇降信号dを送受信機7へ送信することができる。制御装置6は、送受信機7から、一括昇降信号dを入力し、複数のウィンドウやサンルーフを一括して昇降(開閉)させる。なお、制御装置6やパワーウィンドウ装置15(15a、15b、15c)等の稼働に必要な電力は、サブバッテリ4から供給される。
【0028】
これによれば、運転者は、車外にいて、ウィンドウの閉め忘れに気づいた場合に、スマートキー13のFOBや、携帯電話(スマートホン)14等を、無線送信機付き車外一括スイッチとして用いて、一括昇降信号dを、送受信機7経由で、制御装置6へ送信することで、複数のウィンドウを一括して上昇させることができる。
【0029】
送受信機7は、スマートキー13のFOBや、携帯電話(スマートホン)14と、送受信することができる。携帯電話(スマートホン)14と送受信機7との間で、送受信を成立すると、運転者は、携帯電話(スマートホン)14から、指示(信号)を入力することで、すなわち、携帯電話(スマートホン)14を車外一括スイッチとみなして、それをオンすることで、一括昇降信号dを、携帯電話(スマートホン)14から送受信機7へ送信することができる。
【0030】
図2に、本発明の実施形態に係るウィンドウ昇降システム2を搭載した車両1の斜視図を示す。車両1のボンネットには、太陽電池装置31であるSi(シリコン)太陽電池31aが設けられている。車両1のルーフには、太陽電池装置31である有機薄膜太陽電池31bが設けられている。車両1のテールゲートには、太陽電池装置31であるSi太陽電池31cが設けられている。車両1のスポイラには、太陽電池装置31であるSi太陽電池31dが設けられている。車両1のルーフバーには、電波発電用アンテナ装置32であるアンテナ32bが設けられている。車両1の両サイドには、電波発電用アンテナ装置32であるアンテナ32aとアンテナ32cが設けられている。
【0031】
車両1には、複数のドア17(17a、17b)が設けられている。そのドア17(17a、17b)毎に、昇降可能なウィンドウ16(16a、16b)と、ウィンドウ16(16a、16b)を電動で昇降させることができるパワーウィンドウ装置15(15a、15b)と、パワーウィンドウ装置15(15a、15b)に電力を供給可能なサブバッテリ(バッテリ)4(4a、4b)が設けられている。このため、同じドア17(17a、17b)内のサブバッテリ4(4a、4b)からパワーウィンドウ装置15(15a、15b)へ、電力を供給することができるので、ドア内に電源線を引き回すだけでよい。
【0032】
図3に、車両1のドア17a(17)の一部を室内側から見た斜視図を示す。このドア17a(17)の横に、運転者が座って運転する。運転者が、座ったまま、ウィンドウ16a(16)等の昇降ができるように、ドア17a(17)の内側のハンドレストの上面には、車内個別1モーションスイッチ(8a、8b、8c)が設けられている。また、そのハンドレストの上面には、車内一括2モーションスイッチ5が設けられ、運転者が、降車前に、複数のウィンドウ16(16a等)を一括して閉めることを、容易にしている。車内一括2モーションスイッチ5は、ボタン5bにカバー5aがかけられ、カバー5aの上からボタン5bを押すことができないようになっている。車内一括2モーションスイッチ5は、カバー5aをめくり上げるための上方への第1モーションと、ボタン5bを押すための下方への第2モーションとからなる2モーションによって、オンできるようになっている。
【0033】
図4に、本発明の実施形態に係るウィンドウ昇降システム2による、駆動源11の停止(IGスイッチ12のオフ)中における、ウィンドウ昇降方法のフローチャートを示す。このウィンドウ昇降方法は、IGスイッチ12がオフされることによってスタートする。
【0034】
まず、ステップS1で、制御装置6は、送受信機7をオン(起動)する。送受信機7に、サブバッテリ4から電力を供給させる。送受信機7は、受信待ちの状態になる。また、制御装置6は、IGスイッチ12がオフ状態であるので、フラグを立てる(オンにする)。
【0035】
ステップS2で、制御装置6は、IGスイッチ12や駆動源11からの信号に基づき、IGスイッチ12がオンされたか否か判定する。IGスイッチ12がオンされていれば(ステップS2、Yes)、ステップS3として、制御装置6は、送受信機7をオフし、フラグを下げ(オフにし)て、このウィンドウ昇降システム2によるウィンドウ昇降方法のフローをストップする。IGスイッチ12がオンされていなければ(ステップS2、No)、ステップS4へ進む。
【0036】
ステップS4で、制御装置6は、送受信機7が一括昇降信号dを受信したか否か判定する。また、制御装置6は、フラグがオンしているか否か判定する。一括昇降信号dを受信し、フラグがオンしていれば(ステップS4、Yes)、ステップS5へ進み、一括昇降信号dを受信していなければ(ステップS4、No)、フラグのオン・オフに関わらず、ステップS2へ戻る。なお、送受信機7が一括昇降信号dを受信するのは、運転者が、車両1を降りたところ、ウィンドウ16の閉め忘れに気づき、スマートキー13のFOB等を操作して、一括昇降信号dを送信したような状況である。
【0037】
ステップS5で、制御装置6は、パワーウィンドウ装置15(15a、15b、15c)を制御して、ウィンドウ16(16a、16b)を一括して昇降する。パワーウィンドウ装置15(15a、15b、15c)は、挟み込み検知をすることができ、ウィンドウ16(16a、16b)が上昇して、何かを挟むと、上昇を停止し、降下に転じるとともに、アラーム信号を、制御装置6へ出力する。
【0038】
ステップS6で、制御装置6は、そのアラーム信号を入力したか否か判定する。アラーム信号が入力していれば(ステップS6、Yes)、ステップS7へ進み、アラーム信号が入力していなければ(ステップS6、No)、ステップS2へ戻る。
【0039】
ステップS7で、制御装置6は、送受信機7から、スマートキー13のFOBや携帯電話(スマートホン)14へ、挟み込みが発生したことを知らせるアラームを送信する。スマートキー13のFOBでは、そのアラームを表す発光パターンでインジケータを発光させる等により、運転者に挟み込みの発生を知らせる。携帯電話(スマートホン)14では、そのアラームを画面に表示することにより、運転者に挟み込みの発生を知らせる。この後、ステップS2に戻る。
【0040】
図5に、本発明の実施形態に係るウィンドウ昇降システム2による、駆動源11の駆動(IGスイッチ12のオン)中における、ウィンドウ昇降方法のフローチャートを示す。このウィンドウ昇降方法は、IGスイッチ12がオンされることによってスタートする。なお、前記フラグは、図4のステップS3で、オフになったままである。
【0041】
ステップS11で、制御装置6は、IGスイッチ12や駆動源11からの信号に基づき、IGスイッチ12がオフされたか否か判定する。IGスイッチ12がオフされていれば(ステップS11、Yes)、このウィンドウ昇降システム2によるウィンドウ昇降方法のフローをストップする。IGスイッチ12がオフされていなければ(ステップS11、No)、ステップS12へ進む。
【0042】
ステップS12で、制御装置6は、車内一括2モーションスイッチ5がオンしたか否か判定する。また、制御装置6は、フラグがオフしているか否か判定する。車内一括2モーションスイッチ5がオンし、フラグがオフしていれば(ステップS12、Yes)、ステップS13へ進み、車内一括2モーションスイッチ5がオンしていなければ(ステップS12、No)、フラグのオン・オフに関わらず、ステップS11へ戻る。
【0043】
ステップS13で、制御装置6は、パワーウィンドウ装置15(15a、15b、15c)を制御して、ウィンドウ16(16a、16b)を一括して昇降する。昇降中に、パワーウィンドウ装置15(15a、15b、15c)が、挟み込みを検知した場合は、従来と同様に、車両1のインパネに表示される。そして、ステップS11に戻る。
【0044】
なお、本発明の実施形態としては、駆動源11は、レシプロエンジンとして説明したが、これに限らず、車両1は、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)でもよく、その走行用のモータも駆動源11としてよいのである。ハイブリッド車等の車両1は、この走行用のモータに、数百Vの電圧で電力を供給する高圧バッテリと、それより低電圧の例えば12Vの電圧で電力を供給する低圧バッテリとを搭載している。そして、前記メインバッテリ9をその高圧バッテリとし、前記サブバッテリ4(4a、4b、4c)をその低圧バッテリとしてもよい。また、その高圧バッテリとその低圧バッテリを前記メインバッテリ9とし、それら以外にサブバッテリ4(4a、4b、4c)を車両1に搭載してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 車両
2 ウィンドウ昇降システム
3 環境エネルギ発電装置
4、4a、4b、4c サブバッテリ(バッテリ)
5 車内一括2モーションスイッチ(一括スイッチ)
6 制御装置
7 送受信機(受信機、通信システム)
11 駆動源
13 スマートキー(システム)
14 携帯電話(スマートホン、外部の送信機)
15、15a、15b パワーウィンドウ装置
15、15c サンルーフ
16、16a、16b ウィンドウ
17、17a、17b ドア
d 一括昇降信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を走行させる駆動源と、前記車両に設けられる複数のウィンドウを電動で昇降するパワーウィンドウ装置とを有する車両に設けられるウィンドウ昇降システムであって、
前記車両の外部の送信機から無線で送信された一括昇降信号を受信する受信機と、
前記駆動源の停止中に、前記受信機から前記一括昇降信号を入力した場合に、前記パワーウィンドウ装置を制御して複数の前記ウィンドウを一括して昇降させる制御装置とを有することを特徴とするウィンドウ昇降システム。
【請求項2】
運転手による2モーション以上からなる作動によりオンし、前記オンにより前記一括昇降信号を前記制御装置へ出力する一括スイッチを有し、
前記制御装置は、前記駆動源の駆動中に前記一括スイッチから前記一括昇降信号を入力した場合に、前記パワーウィンドウ装置を制御して複数の前記ウィンドウを一括して昇降させることを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ昇降システム。
【請求項3】
前記車両は、
前記車両の周辺環境に存在する環境エネルギを電力に変換する環境エネルギ発電装置と、
前記電力を蓄電するバッテリとを有し、
前記制御装置は、前記電力によって、複数の前記ウィンドウを昇降させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウィンドウ昇降システム。
【請求項4】
前記ウィンドウと前記パワーウィンドウ装置と前記バッテリは、ドア毎に設けられ、
同じドア内の前記バッテリから前記パワーウィンドウ装置へ電力が供給されることを特徴とする請求項3に記載のウィンドウ昇降システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−87429(P2013−87429A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226124(P2011−226124)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】