説明

ウェハレベルレンズアレイの成形型、ウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニット

【課題】成形される基板部やレンズ部にエアが混入することを防止できるウェハレベルレンズアレイの成形型、ウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットを提供する。
【解決手段】基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部からなるウェハレベルレンズアレイを樹脂で一体に成形するための成形型であって、
該成形型は、前記樹脂を挟み込んでエネルギーを付加することにより該樹脂を成形し硬化させる一対の型部材からなり、該一対の型部材の少なくとも一方の型部材の前記樹脂と接する型面に、成形時に前記型面と前記樹脂との界面に存在する空気を外部に排出するエア抜き孔が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハレベルレンズアレイの成形型、ウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を形成するためのレンズと、を備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化に伴って撮像ユニットの小型化・薄型化が要請されている。また、携帯端末のコストの低下を図るため、製造工程の効率化が望まれている。このような小型かつ多数のレンズを製造する方法としては、基板部に複数のレンズ部を形成した構成であるウェハレベルレンズアレイを製造し、該基板部を切断して複数のレンズをそれぞれ分離させることでレンズモジュールを量産する方法が知られている。
【0004】
また、複数のレンズ部が形成された基板部と複数の固体撮像素子が形成された半導体ウェハとを一体に組み合わせ、レンズ部と固体撮像素子をセットとして含むように基板部とともに半導体ウェハを切断することで撮像ユニットを量産する方法が知られている。
【0005】
従来、ウェハレベルレンズの製造方法としては、例えば次の工程によりウェハレベルレンズアレイを製造する例がある。このような製造方法としては下記特許文献1に示すものがある。
(1)ウェハ上に樹脂を塗布した状態で、1つの転写体(型)の形状を樹脂に転写する。
(2)型の形状を転写する工程を1500〜2400回程度繰り返し、1つのウェハ上に1500〜2400個のレンズ形状を持つマスタレンズアレイを形成する。
(3)マスタレンズアレイのレンズ面に、電鋳によってNi等の金属イオンを堆積させてスタンパ(Ni電鋳型)を製造する。
(4)スタンパを一対のレンズアレイ用成形型として使用し、これら一対のレンズアレイ用成形型のうち下型部材に光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を供給する。
(5)供給された樹脂を上型部材のレンズアレイ用成形型で押圧することによって上型部材及び下型部材の成形面に倣って樹脂を変形させる。
(6)樹脂に光又は熱を照射して硬化させることでレンズアレイを成形する。
【0006】
特許文献2は、真空状態で、光硬化性樹脂にスタンパを押圧して、該光硬化性樹脂に微細パターンを転写する装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2008/153102号
【特許文献2】特開2003−94445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のように、基板部とレンズ部とが同じ材料で一体に成形する場合、型に成形材料を供給したときに成形材料にエアが混入してしまうことが懸念されている。図21A及び図22Aは、下型部材M1と上型部材M2とで成形材料である樹脂10Rを挟み込んだ状態を示している。図21B及び図22Bは、下型部材M1及び上型部材M2で成形されたウェハレベルレンズの構成の例を示している。図21A及び図21Bでは、凸面を有するレンズを成形した場合を示している。また、図22A及び図22Bは、凹面を有するレンズを成形した場合を示している。
図21A及び図22Aに示すように、下型部材M1に樹脂を所定量だけ供給し、その後、下型部材M1と上型部材M2で樹脂を挟み込むこみ、樹脂を下型部材M1及び上型部材M2の表面に形成されたレンズ形状を転写するための凹部や凸部に倣わせて変形させる。このとき、各型M1,M2の、樹脂に接する面における凹部では、樹脂を挟み込んだときにエアが滞留して型M1,M2の間から抜けにくくなる。エアが凹部の内部に残存すると、樹脂を変形させた際に図中Aで示すように樹脂に混入してしまいやすい。樹脂にエアが混入した場合には、図21B及び図22Bに示すように、成形後のウェハレベルレンズのレンズ部にエアが混入した部位において、空洞や変形などの欠陥部Eが生じするため、光学的な機能に影響を与えてしまうことが避けられない。
【0009】
また、特許文献2のように、真空中で基板部とレンズ部とを一体成形する場合には、装置の大型化が避けられない。また、チャンバ内を真空にするための時間がかかり工程時間が長くなってしまう欠点がある。そのうえ、樹脂が真空雰囲気に曝されるため、樹脂材料中の揮発成分が揮発して樹脂の特性が変化してしまう懸念もある。
【0010】
本発明は、基板部とレンズ部とが一体のウェハレベルレンズアレイを成形する際に、成形される基板部やレンズ部にエアが混入することを防止できるウェハレベルレンズアレイの成形型、ウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部からなるウェハレベルレンズアレイを樹脂で一体に成形するための成形型であって、
該成形型は、前記樹脂を挟み込んでエネルギーを付加することにより該樹脂を成形し硬化させる一対の型部材からなり、該一対の型部材の少なくとも一方の型部材の前記樹脂と接する型面に、成形時に前記型面と前記樹脂との界面に存在する空気を外部に排出するエア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型である。
【0012】
この成形型は、成形時に樹脂を挟み込んだときにエアがエア抜き孔を通って、型の外部に排出することができるため、型面と樹脂との界面に滞留したエアを成形型の外部へ抜きやすい。エア抜き孔によってエアが樹脂の内部に残存することを防止でき、樹脂にエアが混入することが抑えられる。このため、レンズ部にエアの混入に起因する欠陥部がない、良好な光学的な機能を有するウェハレベルレンズを成形するのに適している。
【0013】
また、本発明は、基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とからなるウェハレベルレンズアレイを樹脂で一体に成形する製造方法であって、
前記樹脂を挟み込んでエネルギーを付加することにより該樹脂を成形し硬化させる一対の型部材からなり、該一対の型部材の少なくとも一方の型部材の前記樹脂と接する型面にエア抜き孔が設けられ、前記樹脂に前記成形型の前記型面を押し付けた際に、前記エア抜き孔からエアを外部へ逃がしつつ、前記樹脂を変形するウェハレベルレンズアレイの製造方法である。
【0014】
この製造方法は、成形時に、型のエア抜き孔から、型面と樹脂との間に滞留するエアを型の外部へ排出する処理を行うため、樹脂にエアが混入することが抑えられる。このため、レンズ部にエアの混入に起因する欠陥部がない、良好な光学的な機能を有するウェハレベルレンズを得ることができる。
【0015】
また、上記ウェハレベルレンズアレイの成形型は、レンズ部が前記レンズ面の周囲に該レンズ面と同じ向きに突出する周辺部を含み、前記周辺部に対応する前記型面の凹部に少なくとも1つの前記エア抜き孔が設けられた構成とすることが好ましい。又は、前記レンズ部が前記レンズ面の周囲に該レンズ面と反対の向きに突出する周辺部を含み、前記周辺部に対応する前記型面の凹部に少なくとも1つの前記エア抜き孔が設けられた構成とすることが好ましい。
ここで周辺部とは、レンズ部の周囲に設けられたフランジ部又はスペーサを形成するものや、両凹レンズの中心部におけるレンズの厚さを確保するためにレンズ部よりも厚く設けられた部分である。
フランジはレンズをハンドリングする際に、レンズ機能面に触れたり、傷つけたりすることを防止する。また、レンズを鏡筒に組み込む際に鏡筒内での位置決めや保持される部分として機能する。なお、ウェハレベルレンズアレイの状態では、特に凸部に形成されていない場合でも基板部分で切断された状態では、レンズの周辺に残る基板部分がフランジとして機能する。
スペーサは、複数のレンズで光学系を構成する場合に、レンズ同士の間隔を確保するため、又は、レンズ(光学系)と光電変換素子等とを一体にモジュール化する場合にレンズ(光学系)と光電変換素子等との間隔を確保するための部材で、レンズの周辺に一体に設ける場合もある。
周辺部に対応する型面の凹部に少なくとも1つのエア抜き孔を設けることで、レンズの周辺にフランジ部やスペーサを形成するための型面の凹部に気泡が混入することを防止し、フランジ部やスペーサの形状にも欠陥ができないようにする効果がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、成形される基板部やレンズ部にエアが混入することを防止できるウェハレベルレンズアレイの成形型、ウェハレベルレンズアレイの製造方法、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュール及び撮像ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ウェハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すウェハレベルレンズアレイの構成のA−A線断面図である。
【図3】レンズモジュールの構成の一例を示す断面図である。
【図4】撮像ユニットの構成の一例を示す断面図である。
【図5】5A〜5Dは、基板部にレンズ部を成形するための成形型の製作する手順を示す図である。
【図6】6A〜6Cは、成形型で成形材料である樹脂を成形する手順を示す図である。
【図7】7A〜7Cは、成形されたウェハレベルレンズアレイの突起部を取り除くための切削処理又は遮光処理を行った状態を説明する図である。
【図8】8A〜8Cは、他のウェハレベルレンズアレイを成形する例であって、型で成形材料である樹脂を成形する手順を示す図である。
【図9】9A及び9Bは、成形されたウェハレベルレンズアレイに切削処理又は遮光処理を行った状態を説明する図である。
【図10】成形されたウェハレベルレンズアレイのレンズ部と型部材のエア抜き孔の構成の一例を示す図である。
【図11】成形されたウェハレベルレンズアレイのレンズ部と型部材のエア抜き孔の構成の他の例を示す図である。
【図12】成形されたウェハレベルレンズアレイのレンズ部と型部材のエア抜き孔の構成の他の例を示す図である。
【図13】成形されたウェハレベルレンズアレイのレンズ部と型部材のエア抜き孔の構成の他の例を示す図である。
【図14】型部材の凹部の径とエア抜き孔との径を示す図である。
【図15】エア抜き孔に施す処理の一例を示す図である。
【図16】16A及び16Bは、ウェハレベルレンズアレイをダイシングする工程を説明する図である。
【図17】17A及び17Bは、レンズモジュールの製造方法の手順を示す図である。
【図18】レンズモジュールを製造する手順の別の例を示す図である。
【図19】19A及び19Bは、撮像ユニットを製造する手順を示す図である。
【図20】20A及び20Bは、撮像ユニットを製造する手順の別の例を示す図である。
【図21】21Aは一対の型部材で樹脂を成形する手順を示し、21Bは、硬化したウェハレベルレンズアレイの状態を示す図である。
【図22】22Aは一対の型部材で樹脂を成形する手順を示し、22Bは、硬化したウェハレベルレンズアレイの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
先ず、ウェハレベルレンズアレイ、レンズモジュールと撮像ユニットの構成について説明する。
【0019】
図1は、ウェハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。図2は、図1に示すウェハレベルレンズアレイの構成のA−A線断面図である。
ウェハレベルレンズアレイは、基板部1と、該基板部1に配列された複数のレンズ部10とを備えている。複数のレンズ部10は、基板部1に対して1次元又は2次元に配列されている。この構成例では、図1のように、複数のレンズ部10が、基板部1に対して2次元に配列されている構成を例に説明する。レンズ部10は、基板部1と同じ材料から構成され、該基板部1に一体成形されたものである。レンズ部10の形状は、特に限定されず、用途などによって適宜変形される。
【0020】
基板部1の一方の面には、他の部材と重ね合わせるときの間隔を確保するためのスペーサ12が設けられていてもよい。スペーサ12は、基板部1に取り付けた状態で、該基板部1を平面視したときに格子状の部材である。スペーサ12は、例えば、基板部1の面に対して垂直に延設された壁状の部材であって、レンズ部10の周囲の一部又は全部を囲うように設けられる。
【0021】
図3は、レンズモジュールの構成の一例を示す断面図である。
レンズモジュールは、基板部1と、及び該基板部1に一体成形されたレンズ部10とを含んだ構成であり、例えば図1及び図2に示すウェハレベルレンズアレイの基板部1をダイシングし、レンズ部10ごとに分離させたものを用いる。スペーサ12は、ダイシングする境界に位置し、ダイシングによって同時に分離され、各レンズモジュールの基板部1に付属する。
【0022】
図4は、撮像ユニットの構成の一例を示す断面図である。
撮像ユニットは、上述のレンズモジュールと、センサモジュールとを備える。レンズモジュールのレンズ部10は、センサモジュール側に設けられた固体撮像素子Dに被写体像を結像させる。レンズモジュールの基板部1とセンサモジュールの半導体基板Wとが、互いに略同一となるように平面視略矩形状に成形されている。
【0023】
センサモジュールは、半導体基板Wと、半導体基板Wに設けられた固体撮像素子Dを含んでいる。半導体基板Wは、例えばシリコンなどの半導体材料で形成されたウェハを平面視略矩形状に切り出して成形されている。固体撮像素子Dは、半導体基板Wの略中央部に設けられている。固体撮像素子Dは、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである。センサモジュールは、チップ化された固体撮像素子Dを配線等が形成された半導体基板上にボンディングした構成とすることができる。又は、固体撮像素子Dは、半導体基板Wに対して周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、不純物添加工程等を繰り返し、該半導体基板に電極、絶縁膜、配線等を形成して構成されてもよい。
【0024】
レンズモジュールは、その基板部1がスペーサ12を挟んでセンサモジュールの半導体基板Wの上に重ね合わされている。レンズモジュールのスペーサ12とセンサモジュールの半導体基板Wとは、例えば接着剤などを用いて接合される。スペーサ12は、レンズモジュールのレンズ部10がセンサモジュールの固体撮像素子D上で被写体像を結像させるように設計され、レンズ部10がセンサモジュールに接触しないように、該レンズ部10と固体撮像素子Dとの間に所定の距離を隔てる厚みで形成されている。
【0025】
スペーサ12は、レンズモジュールの基板部1とセンサモジュールの半導体基板Wとを所定の距離を隔てた位置関係を保持することができる範囲で、その形状は特に限定されず適宜変形することができる。例えば、スペーサ12は、基板の4隅にそれぞれ設けられる柱状の部材であってもよい。また、スペーサ12は、センサモジュールの固体撮像素子Dの周囲を取り囲むような枠状の部材であってもよい。固体撮像素子Dを枠状のスペーサ12によって取り囲むことで外部から隔絶すれば、固体撮像素子Dにレンズを透過する光以外の光が入射しないように遮光することができる。また、固体撮像素子Dを外部から密封することで、固体撮像素子Dに塵埃が付着することを防止できる。
【0026】
なお、図3に示すレンズモジュールは、レンズ部10が形成された基板部1を1つ備えた構成であるが、レンズ部10が形成された基板部1を複数備えた構成としてもよい。このとき、互いに重ね合わされる基板部1同士がスペーサ12を介して組み付けられる。
【0027】
また、レンズ部10が形成された基板部1を複数備えたレンズモジュールの最下位置の基板部1にスペーサ12を介してセンサモジュールを接合して撮像ユニットを構成してもよい。レンズ部10が形成された基板部1を複数備えたレンズモジュール及び該レンズモジュールを備えた撮像ユニットの製造方法については後述する。
【0028】
以上のように構成された撮像ユニットは、携帯端末等に内蔵される図示しない回路基板にリフロー実装される。回路基板には、撮像ユニットが実装される位置に予めペースト状の半田が適宜印刷されており、そこに撮像ユニットが載せられ、この撮像ユニットを含む回路基板に赤外線の照射や熱風の吹付けといった加熱処理が施され、撮像ユニットが回路基板に溶着される。
【0029】
本発明のウェハレベルレンズアレイに用いられるエネルギー硬化性の樹脂組成物は、熱により硬化する樹脂組成物、あるいは活性エネルギー線の照射(例えば紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂組成物のいずれであってもよい。
【0030】
モールド形状の転写適性等、成形性の観点から硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には常温で液体であり、粘度が1000〜50000mPa・s程度のものが好ましい。
【0031】
一方、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。該観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えばシクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
【0032】
形状転写精度の観点からは硬化反応による体積収縮率が小さい樹脂組成物が好ましい。本発明に用いられる樹脂組成物の硬化収縮率としては10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
【0033】
硬化収縮率の低い樹脂組成物としては、例えば、(1)高分子量の硬化剤(プレポリマ−など)を含む樹脂組成物(例えば特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基(例えばエポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
【0034】
本発明のウェハレベルレンズアレイには、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂組成物が望まれる。
高アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。
このような樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
【0035】
低アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’‐ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
【0036】
本発明の樹脂には屈折率を高める目的やアッベ数を調整する目的のために、無機微粒子をマトリックス中に分散させることが好ましい。無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
特に上記高アッべ数の樹脂に対しては、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂に対しては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)又は有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。無機微粒子の数平均粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えばX線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。無機微粒子の屈折率としては、22℃、589nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。無機微粒子の樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10〜70質量%が更に好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0037】
樹脂組成物に微粒子を均一に分散させるためには、例えばマトリックスを形成する樹脂モノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば特開2007−211164号公報に記載)、あるいは高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いて微粒子を分散させることが望ましい。
【0038】
また、本発明に用いられるには樹脂組成物には、シリコン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0039】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化触媒又は開始剤を配合することができる。具体的には、例えば特開2005−92099号公報(段落番号[0063]〜[0070])等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合あるいはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、あるいは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には硬化反応性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%程度がより好ましい。
【0040】
本発明の硬化性樹脂組成物は上記成分を適宜配合して製造することができる。この際、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には別途溶剤を添加する必要はないが、このケースに当てはまらない場合には溶剤を用いて各構成成分を溶解することにより硬化性樹脂組成物を製造することができる。該硬化性樹脂組成物に使用できる溶剤としては、組成物が沈殿することなく、均一に溶解又は分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。硬化性組成物が溶剤を含む場合には該組成物を基板及び/又は型の上にキャストし溶剤を乾燥させた後にモールド形状転写操作を行うことが好ましい。
【0041】
次に、ウェハレベルレンズアレイの製造方法について詳細に説明する。
図5A〜5Dは、基板部にレンズ部を成形するための型を製作する手順を示す図である。
図5Aに示すように、ガラス基板21上に、コア23の型面を紫外線硬化性樹脂(アクリル又はエポキシ)に転写し、紫外線を照射することでレプリカレンズ22を成形する。こうして、図5Bに示すように、ガラス基板21上に複数のレプリカレンズ22が配列されてなる所望のレンズアレイの形状を模ったマスタレンズアレイを作成する。
【0042】
次に、図5Cに見られるように、のマスタレンズアレイのレンズ面に電鋳によってニッケル(Ni)等の金属イオンを堆積させてスタンパ(Ni電鋳型)102を製造する。
【0043】
図5Dに見られるように、マスタレンズアレイから剥離したスタンパ102にはレンズ転写部102aが設けられる。この例では、レンズ転写部102aは凹部、つまり、凸状のレンズ部の形状に対応する形状としたが、凹状や非球面のレンズ部の形状に対応する形状としてもよい。なお、以下で説明する製造工程で用いる型は、このスタンパ102に特に限定されない。
【0044】
図5Dのように、曲面状の凹部をレンズ転写部102aとする場合には、凹部の最も窪んだ位置にエア抜き孔V1を形成する。
【0045】
図6A〜6Cは、成形型で成形材料である樹脂を成形する手順を示している。以下の説明では、スタンパ102を成形型又は型ともいう。また、ウェハレベルレンズアレイの構成としては図2で示したものを適宜参照する。
【0046】
ここでは、2つの成形型を用意し、一方の型を下型部材102とし、他方の型を上型部材104とする。下型部材102及び上型部材104の凹部であるレンズ転写部102a及び104aにはエア抜き孔V1,V2が設けられている。最初に下型部材102のレンズ転写部102aが設けられた型面に樹脂10Rを供給する。樹脂10Rとして、紫外線硬化性樹脂を用いて説明するが、熱硬化性樹脂であってもよい。
【0047】
下型部材102に樹脂10Rを供給した後、上型部材104を降下させる。そして、図6Bに見られるように、上型部材104のレンズ転写部104aが設けられた型面を樹脂10Rに接触させる。上型部材104のレンズ転写部104aと、樹脂10Rの表面との間には、エアが含まれる。このエアは、下型部材102と上型部材104とで樹脂10Rを挟み込んだことによる樹脂10Rの圧力によって、レンズ転写部104aに形成されたエア抜き孔V2に導かれ、該エア抜き孔V2を通って下型部材102及び上型部材104から排出される。
【0048】
図6Cに示すように、上型部材104と下型部材102とが所定の間隔になるまで、両者を近接させる。上型部材104と下型部材102とを接近させている間、レンズ転写部104aに滞留したエアがなくなるまでエア抜き孔V2から排出され続ける。上型部材104及び下型部材102の移動を停止し、エアを抜き終わった後、紫外線を照射して上型部材104及び下型部材102を閉じた状態で樹脂10Rを硬化させる。硬化後、成形されたウェハレベルレンズアレイを下型部材102及び上型部材104から取り出す。
【0049】
エア抜き孔V1,V2の断面形状は限定されないが、円形であれば孔を加工する際に加工作業が容易である。エア抜き孔V1,V2は、型部材102,104の型面以外の部分で外部に連通していればエア抜き孔として機能するが、型部材102,104内に直線状に設けられた構成とすることが好ましい。こうすると、エアの通過が円滑となるため、後述するエアを抜く処理が行いやすくなる。また、エア抜き孔V1,V2は、レンズ転写部102a,104aが設けられている型面に対して反対側の面に連通する構成とすることが好ましい。こうすると、レンズ転写部102a,104aの凹部に滞留したエアを、エア抜き孔V1,V2を通して円滑に抜くことができる。
【0050】
また、エア抜き孔V1,V2が、図示しない吸引装置に接続された空気排出路に連通する構成としてもよい。こうすれば、吸引装置によってレンズ転写部の凹部側から空気排出路を通じてエアを吸引することで、エアの排出を促進することができる。
【0051】
図7Aから図7Cは、成形されたウェハレベルレンズアレイの突起部を取り除くための切削処理又は遮光処理を行った状態を説明する図である。
エア抜き孔V1,V2には、樹脂10Rの一部が進入し、そのまま硬化してしまうことが考えられる。すると、図7Aに示すように、離型させたウェハレベルレンズアレイのレンズ部には、エア抜き孔V1,V2内で硬化した樹脂の一部が突起部として残ってしまうことがある。このような突起部は切削処理によって取り除くことができる。
【0052】
図7Bは、図7Aのウェハレベルレンズアレイのレンズ部10に形成された突起部10Xを切削処理によって取り除く手順を示している。切削処理では、基板部1の表面に対して平行な切削面で切削処理を行うことで、突起部10Xを取り除く。切削処理は、切削面に平行な刃を備えた切削部材によって、各レンズ部10の突起部10Xを同時に取り除くことができる。このとき、レンズ部10の凸面の頂部の一部が突起部10Xと一緒に切削され、レンズ部10の頂部に平坦部10Fが形成されてもよい。平坦部10Fは、レンズ部10の光軸側から見た状態で、光軸に対して同心円形状に形成される。平坦部10Fが十分に小さい面積であれば、レンズ部1の光学性能に与える影響を小さくすることができる。
【0053】
また、図7Cに見られるように、レンズ部10の突起部10Xを取り除いた後で、突起部10Xが形成されていた部位に遮光処理を行ってもよい。遮光処理としては、例えば、レンズ部10の突起部10Xが形成されていた部位の表面に、黒色の遮光層を塗布する。遮光層の材料としては、入射光を通過させることなく吸収できる性質のものを用いる。
【0054】
レンズ部10の遮光層を形成した部位は入射光を遮光するため、ウェハレベルレンズアレイを撮像モジュールに適用した場合に、画像上に遮光層の位置に対応して黒点状の影が撮像されることが考えられる。この場合、画像処理によって、影の部分を補正してもよい。
【0055】
上記の手順では、レンズ部が基板部1から突出する凸面を含む形状であるウェハレベルレンズアレイを例に説明したが、成形するウェハレベルレンズアレイのレンズ部の形状はこれに限定されない。
【0056】
図8A〜図8Cは、他のウェハレベルレンズアレイを成形する例であって、型で成形材料である樹脂を成形する手順を示す図である。このウェハレベルレンズアレイは、レンズ部が基板部1側に窪んだ凹面と、凹面の周囲に基板部1の表面に対して突出した周辺部とを含む形状である構成である。
【0057】
図8Aに示すように、下型部材202及び上型部材204の、樹脂10Rと接する表面にはそれぞれ、レンズ部を転写するための複数の凹部が設けられている。
下型部材202の凹部は、レンズ部に凹面を転写するためのレンズ転写部202aと、レンズ部の凹面の周囲に設けられる周辺部の形状を転写するためのレンズ周囲転写部202bとを含む。同様に、上型部材204の凹部は、レンズ部に凹面を転写するためのレンズ転写部204aと、レンズ部の凹面の周囲に設けられる周辺部の形状を転写するためのレンズ周囲転写部204bとを含む。
下型部材202及び上型部材204では、樹脂10Rに接する表面に対して、レンズ周囲転写部202b,204bの方が深いため、樹脂10Rに押し付けた際には、エアが滞留しやすいと考えられる。このため、この例では、凹部のレンズ周囲転写部202b,204bに相当する部位にエア抜き孔V1,V2を形成した。
【0058】
成形の手順としては、先ず、図8Aに示すように、下型部材202の凹部が設けられた表面に樹脂10Rを供給し、上型部材204を降下させる。
【0059】
図8Bに示すように、上型部材204を降下させると、最初にレンズ転写部204aが樹脂10Rに接触する。更に上型部材204を降下させると、樹脂10Rの表面とレンズ周囲転写部204bとの間のエアが、樹脂10Rの圧力によってエア抜き孔V2に導かれ、該エア抜き孔V2を通って外部へ排出される。
【0060】
図8Cに示すように、上型部材204と下型部材202とが所定の間隔になるまで、両者を近接させる。上型部材204と下型部材202とを接近させている間、レンズ周囲転写部204bに滞留したエアがなくなるまでエア抜き孔V2から排出され続ける。上型部材204及び下型部材202の移動を停止し、エアを抜き終わった後、紫外線を照射して上型部材204及び下型部材202を閉じた状態で樹脂10Rを硬化させる。硬化後、成形されたウェハレベルレンズアレイを下型部材202及び上型部材204から取り出す。
【0061】
レンズ部の形状にかかわらず、レンズ部を転写するための凹部のうち、最も窪んだ位置に開口するようにエア抜き孔を設けることで、エアを円滑に排出することができる。また、レンズ部の形状によっては、型部材の凹部のうち、最も窪んだ位置を含め、樹脂と接する型面にエア抜き孔を設けることが好ましい。
【0062】
図9Aは、図8Aから図8Cの手順で成形されたウェハレベルレンズアレイの状態を示す図である。
このウェハレベルレンズアレイは、レンズ周辺部20bに突起部Xが形成される。なお、このレンズ部20の形状では、凹面20aが光学面として機能するため、レンズ周辺部20bの突起部20Xが光学性能を劣化させる影響は小さい。しかし、ウェハレベルレンズアレイの外観上の理由や、半導体ウェハや他のウェハレベルレンズアレイとの重ね合わせるうえでの理由、又はその他の理由で、突起部20Xを取り除くことが考えられる。
【0063】
図9Bは、図9Aのウェハレベルレンズアレイのレンズ部20に形成された突起部20Xを切削処理によって取り除く手順を示している。切削処理は、基板部1の表面に対して平行な切削面(図中点線で示す)で切削処理を行うことで、突起部20Xを取り除く。
なお、取り除かれた突起部20Xの部位に上述した遮光処理を更に行ってもよい。
【0064】
エア抜き孔は、成形するレンズ部の形状に応じて、凹部の最も窪んだ位置に開口するように形成する。凹部及びレンズ部の形状は特に限定されず適宜変更可能である。
【0065】
図10は、成形されたウェハレベルレンズアレイのレンズ部と型のエア抜き孔の構成の一例を示す図である。
図10に示すように、レンズ部10は、凹面と凸面とをともに含んだ非曲面形状である。レンズ部10は光軸OSを含むその近傍の同心円上に形成された凹面と、該凹面の周囲に設けられた凸面10aとを含む形状である。型部材102は、凹部のうち、レンズ部10の凸面10aを転写する部位が最も窪んでおり、かかる部位に複数のエア抜き孔V1が設けられる。複数のエア抜き孔V1は、光軸OSを中心とする円の周方向に、略等間隔に形成される。この構成によれば、成形時に、型部材102の凹部のエアがエア抜き孔V1を通じて排出されるため、成形されるレンズ部10の光学性能の劣化を防止できる。
【0066】
図11は、成形されたウェハレベルレンズアレイのレンズ部と型のエア抜き孔の構成の他の例を示す図である。
図11に示すように、レンズ部10は、凹面と凸面とをともに含んだ非曲面形状である。レンズ部10は光軸OSを含むその近傍の同心円上に形成された凸面と、該凸面の周囲に設けられた凹面10aと、該凹面10aの周囲に基板部1表面から突出するレンズ周辺部10cとを含む形状である。型部材102は、凹部のうち、レンズ部10の凸面10bを転写する部位が最も窪んでおり、かかる部位にエア抜き孔V1が設けられている。凹部のうち、レンズ部10の凸面10bを転写する部位に設けられたエア抜き孔V1は、光軸OSと略同じ位置に開口するように設けられている。
【0067】
また、レンズ周辺部10cの形状を転写するレンズ周囲転写部が、基板部1の型面に設けられた凹部の一部を構成している。このレンズ周囲転写部にも複数のエア抜き孔V1が設けられている。レンズ周囲転写部に設けられた複数のエア抜き孔V1は、光軸OSを中心とする円の周方向に、略等間隔に形成される。この構成によれば、成形時に、型部材102の凹部のエアがエア抜き孔V1を通じて排出されるため、成形されるレンズ部10の光学性能の劣化を防止できる。
【0068】
図12は、成形されたウェハレベルレンズアレイのレンズ部と型のエア抜き孔の構成の他の例を示す図である。
図12に示すように、レンズ部10は、凸面10dと、該凸面10dの周囲に基板部1に対して略垂直な壁状のレンズ周辺部10eとをともに含んだ形状である。ここで、凸面10dとレンズ周辺部10eとの基板部1からの高さはほぼ等しいものとする。型部材102の型面には、レンズ部10の凸面10dを転写する部位にエア抜き孔V1が設けられている。凹部のうち、レンズ部10の凸面10dを転写する部位に設けられたエア抜き孔V1は、光軸OSと略同じ位置に開口するように設けられている。
【0069】
また、レンズ周辺部10eの形状を転写するレンズ周囲転写部が、型面に設けられた凹部の一部を構成している。このレンズ周囲転写部にも複数のエア抜き孔V1が設けられている。レンズ周囲転写部に設けられた複数のエア抜き孔V1は、光軸OSを中心とする円の周方向に、略等間隔に形成される。この構成によれば、成形時に、樹脂と型部材102の凹部との間に入り込んだエアがエア抜き孔V1を通じて排出されるため、成形されるレンズ部10の光学性能の劣化を防止できる。
【0070】
図13は、成形されたウェハレベルレンズアレイのレンズ部と型のエア抜き孔の構成の他の例を示す図である。
図13に示すように、基板部1の一方の面に設けられたレンズ部10は、凹面10fからなる形状である。型部材102の型面には、レンズ部10の凹面10fを転写する凸部が設けられている。型面の凸部が設けられていない平坦部分にエア抜き孔V1が設けられている。こうすれば、型部材102の型面を樹脂に押し付けた際に、凸部同士の間に溜まったエアをエア抜き孔V1を通して外部へ排出することができる。
【0071】
図14は、型部材の凹部の径とエア抜き孔との径を示す図である。ここでは、型部材102に設けられた凹部の径をD1とし、凹部に設けられたエア抜き孔V1の径をD2とした。このとき、エア抜き孔の径D2が、凹部の径D1の1/10以下であることが好ましい。また、より好ましくは、エア抜き孔の径D2が、凹部の径D1の1/20以下である。
【0072】
図13に示すように、凹部が(凹状のレンズ面を転写するための)型面の凸同士の間であって、この凹部にエア抜き孔V1を設ける場合は、当該エア抜き孔V1に最も近い凸部の外縁と当該エア抜き孔V1の中心との距離d1と、当該エア抜き孔V1に2番目に近い凸部の外縁と当該エア抜き孔V1の中心との距離d2との和d1+d2をD1とする。この場合、エア抜き孔V1の径をD2とすると、径D2がD1(d1+d2)の1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましい。
【0073】
図15は、成形後にエア抜き孔に施す処理の一例を示す図である。
成形後、型部材102のエア抜き孔V1には、成形材料である樹脂が残って、エア抜き孔V1自体を塞いでしまい、次回の成形時にエアの抜けにくくなることが考えられる。小径の部材をエア抜け孔V1に挿入して残った樹脂を除去してもよい。又は、処理液や溶剤をエア抜け孔V1に注入することで、残った樹脂を除去してもよい。こうすれば、型を良好な状態で、繰り返し成形に使用することができる。
【0074】
次に、ウェハレベルレンズアレイを用いて、更に、レンズモジュール及び撮像ユニットを製造する手順を説明する。
【0075】
図16A及び16Bは、ウェハレベルレンズアレイをダイシングする工程を説明する図である。ウェハレベルレンズアレイの基板部1の一方の表面(同図では下方の面)には、スペーサ12が設けられている。
同図16Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1と、該基板部1と同様にウェハ状に形成された半導体基板Wとの位置合わせが行われる。このとき、ウェハレベルレンズアレイ同士が複数積層したものを半導体基板Wと重ね合わせてもよい。半導体基板Wの一方の面(同図では上側の面)には、基板部1に設けられた複数のレンズ部10の配列と同じ配列で固体撮像素子Dが設けられている。そして、ウェハレベルレンズアレイの基板部1がスペーサ12(図14参照)を介して、該基板部1と同様にウェハ状に形成された半導体基板Wに重ね合わされ、一体に接合される。その後、一体とされたウェハレベルレンズアレイ及び半導体基板Wは、レンズ部10及び固体撮像素子Dそれぞれの配列の列間に規定される切断ラインに沿って、ブレードC等の切断手段を用いて切断され、複数の撮像ユニットに分離される。切断ラインは、例えば基板部1の平面視において格子状である。
【0076】
なお、本例では、撮像ユニットを製造する際のダイジングを例に説明している。一方で、レンズモジュールを製造する際のダイジングは、半導体基板Wに接合させないで、レンズ部10の配列に応じて切断して複数のレンズモジュールに分離する。
【0077】
図17A及び17Bは、レンズモジュールの製造方法の手順を示す図である。この手順では、1つの基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたウェハレベルレンズアレイをダイジングして複数のレンズモジュールに分離する例を説明する。
【0078】
先ず、図17Aに示すように、ウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。
【0079】
次に、図17Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1を、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数のレンズモジュールに分離する。このとき、各切断ライン上に位置するスペーサ12も同時に切断される。スペーサ12は、各切断ラインを境界として分割され、各切断ラインに隣接するレンズモジュールにそれぞれ付属する。こうして、レンズモジュールが完成する。
【0080】
なお、分離されたレンズモジュールは、スペーサ12を介して図示しないセンサモジュールやその他の光学素子を備えた基板に組み付けられてもよい。
【0081】
ウェハレベルレンズアレイの基板部1に予めスペーサ12を一体成形しておき、その後に、スペーサ12ごとウェハレベルレンズアレイの基板部1をダイシング工程で切断してもよい。こうすれば、分離されたレンズモジュールにそれぞれスペーサ12を接合する場合に比べて効率良くレンズモジュールを量産することができ、生産性を向上することができる。
【0082】
図18は、レンズモジュールを製造する手順の別の例を示す図である。この手順では、2つの基板部1と、各基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたウェハレベルレンズアレイをダイジングし、複数のレンズモジュールに分離する例を説明する。
【0083】
先ず、図18に示すように、複数のウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。複数のウェハレベルレンズアレイの各基板部1の一方の面にスペーサ12が成形されている。そして、重ね合わせるウェハレベルレンズアレイの基板部1同士の位置合わせを行い、下方に配置するウェハレベルレンズアレイの基板部1の上面に、重ね合わせるウェハレベルレンズアレイの基板部1の下面を、スペーサ12を介して接合する。ウェハレベルレンズアレイ同士を重ね合わせた状態で、各基板部1に対してスペーサ12の位置が、各基板部1で同じになるようにする。
【0084】
そして、ウェハレベルレンズアレイの基板部1を、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数のレンズモジュールに分離する。このとき、各切断ライン上に重なり合う位置のスペーサ12も同時に切断され、各切断ラインを境界として分割されたスペーサ12が、各切断ラインに隣接するレンズモジュールにそれぞれ付属する。こうして、複数のレンズ部10を備えたレンズモジュールが完成する。この手順では、重ね合わされるそれぞれの基板部1に対するレンズ部10及びスペーサ12の位置が同じであるため、分離された複数のレンズモジュールの構成はいずれも同じになる。また、重ね合わされるそれぞれの基板部1のうち、最上部の基板部1を基準に切断ラインの位置を決定し、切断すればよい。
【0085】
なお、分離されたレンズモジュールは、スペーサ12を介して図示しないセンサモジュールやその他の光学素子を備えた基板に組み付けられてもよい。
【0086】
このように、複数のウェハレベルレンズアレイ同士を重ね合わせ、その後に、ウェハレベルレンズアレイの基板部1をスペーサ12ごとダイシング工程で切断すれば、分離されたレンズモジュールを個別に重ね合わせる場合に比べて、効率よくレンズモジュールを量産することができ、生産性が向上する。
【0087】
図19A及び19Bは、撮像ユニットを製造する手順を示す図である。この手順では、1つの基板部1と該基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたレンズモジュールをセンサモジュールに接合してダイジングし、複数の撮像ユニットに分離する例を説明する。
【0088】
先ず、図19Aに示すように、ウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。基板部1の下側の面にはスペーサ12が一体成形されている。
【0089】
次に、複数の固体撮像素子Dが配列された半導体基板Wを準備する。ウェハレベルレンズアレイの基板部1と、半導体基板Wとの位置合わせを行った後、該基板部1をスペーサ12を介して半導体基板Wの上側の面に接合する。このとき、基板部1に設けられた各レンズ部10の光軸の延長が固体撮像素子Dの中央部とそれぞれ交わるようにする。
【0090】
そして、図19Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1と半導体基板Wとを接合した後、基板部1を、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数の撮像ユニットに分離する。このとき、各切断ライン上に位置するスペーサ12も同時に切断される。スペーサ12は、各切断ラインを境界として分割され、各切断ラインに隣接する撮像ユニットにそれぞれ付属する。こうして、撮像ユニットが完成する。
【0091】
このように、ウェハレベルレンズアレイに予めスペーサ12を成形しておき、その後に、ウェハレベルレンズアレイの基板と固体撮像素子Dを備えた半導体基板Wを重ね合わせて、基板部1及び半導体基板Wをダイシング工程で一緒に切断すれば、分離されたレンズモジュールにそれぞれスペーサ12を介してセンサモジュールを接合して撮像ユニットを製造する場合に比べて、効率良く撮像ユニットを量産することができ、生産性を向上することができる。
【0092】
図20A及び20Bは、撮像ユニットを製造する手順の別の例を示す図である。この手順では、2つの基板部1と各基板部1に複数のレンズ部10が一体成形されたウェハレベルレンズアレイを、固体撮像素子が設けられた半導体基板に接合してダイジングし、それぞれが2つのレンズ部10を備えた複数の撮像ユニットに分離する例を説明する。
【0093】
先ず、図20Aに示すように、2つのウェハレベルレンズアレイを準備する。ウェハレベルレンズアレイは、既に上述した手順で製造することができ、以下の説明では、その手順については説明することなく省略する。重ね合わせる2つの基板部1それぞれの下側の面には、スペーサ12が予め成形されている。そして、重ね合わせるウェハレベルレンズアレイの基板部1同士の位置合わせを行い、下方に配置するウェハレベルレンズアレイの基板部1の上面に、上方に配置するウェハレベルレンズアレイの基板部1の下面を、スペーサ12を介して接合する。ウェハレベルレンズアレイ同士を重ね合わせた状態で、各基板部1に対するスペーサ12の位置が、各基板部1で同じになるようにする。
【0094】
次に、複数の固体撮像素子Dが配列された半導体基板Wを準備する。重ね合わされた状態の複数のウェハレベルレンズアレイの基板部1と、半導体基板Wとの位置合わせを行う。その後、最下部に位置する該基板部1を、スペーサ12を介して半導体基板Wの上側の面に接合する。このとき、基板部1に設けられた各レンズ部10の光軸の延長が固体撮像素子Dの中央部とそれぞれ交わるようにする。
【0095】
そして、図20Bに示すように、ウェハレベルレンズアレイの基板部1と半導体基板Wとを接合した後、基板部1及び半導体基板Wを、図中点線で示される切断ラインに沿って切断し、複数の撮像ユニットに分離する。このとき、各切断ライン上に位置するスペーサ12も同時に切断される。スペーサ12は、各切断ラインを境界として分割され、各切断ラインに隣接する撮像ユニットにそれぞれ付属する。こうして、複数のレンズ部10を備えた撮像ユニットが完成する。
【0096】
このように、複数のウェハレベルレンズアレイ同士をスペーサ12を介して接合しておき、その後に、最下部のウェハレベルレンズアレイの基板部1と固体撮像素子Dを備えた半導体基板Wを重ね合わせて、基板部1及び半導体基板Wをダイシング工程で一緒に切断している。このような手順によれば、分離されたレンズモジュール同士を重ね合わせ、更に、各レンズモジュールとセンサモジュールとを接合していくことで各撮像ユニットを製造する場合に比べて、効率良く撮像ユニットを量産することができ、生産性を向上することができる。
【0097】
本明細書は以下の内容を開示する。
(1)基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部からなるウェハレベルレンズアレイを樹脂で一体に成形するための成形型であって、
該成形型は、前記樹脂を挟み込んでエネルギーを付加することにより該樹脂を成形し硬化させる一対の型部材からなり、該一対の型部材の少なくとも一方の型部材の前記樹脂と接する型面に、成形時に前記型面と前記樹脂との界面に存在する空気を外部に排出するエア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
(2)(1)に記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記型面に凸状のレンズ面を有する前記レンズ部を転写するための凹部が複数設けられ、前記凹部に前記型部材の外部に連通するエア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
(3)(1)又は(2)に記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記レンズ部が前記レンズ面の周囲に該レンズ面と同じ向きに突出する周辺部を含み、前記周辺部に対応する前記型面の凹部に少なくとも1つの前記エア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
(4)(1)に記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記型面に凹状のレンズ面を有する前記レンズ部を転写するための凸部が複数設けられ、前記凸部同士の間の凹部に前記型部材の外部に連通するエア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
(5)(1)又は(4)に記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記レンズ部が前記レンズ面の周囲に該レンズ面と反対の向きに突出する周辺部を含み、前記周辺部に対応する前記型面の凹部に少なくとも1つの前記エア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
(6)(2)から(5)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔は、前記型面の凹部における最深部に設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
(7)(2)から(6)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔が、前記凹部側から型の外部に向かってエアを吸引する吸引装置に接続された空気排出路に連通するウェハレベルレンズアレイの成形型。
(8)(1)から(7)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔が前記型面に対して反対側に連通するウェハレベルレンズアレイの成形型。
(9)(1)から(8)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔が、型部材の内部に直線状に設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
(10)(1)から(9)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔の径が、前記凹部の径の1/10以下であるウェハレベルレンズアレイの成形型。
(11)(1)から(10)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔が円形状の断面であるウェハレベルレンズアレイの成形型。
(12)基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とからなるウェハレベルレンズアレイを樹脂で一体に成形する製造方法であって、
該成形型は、前記樹脂を挟み込んでエネルギーを付加することにより該樹脂を成形し硬化させる一対の型部材からなり、該一対の型部材の少なくとも一方の型部材の前記樹脂と接する型面にエア抜き孔が設けられ、前記樹脂に前記成形型の前記型面を押し付けた際に、前記エア抜き孔からエアを外部へ逃がしつつ、前記樹脂を変形するウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(13)(12)に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記型面に凹部が設けられ、前記エア抜き孔が前記凹部に設けられているウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(14)(12)又は(13)に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記エア抜き孔における前記成形型の外部に連通する側からエア吸引を行うウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(15)(12)から(14)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記樹脂を硬化させた後、離型された前記レンズ部の前記エア抜き孔の位置に相当する部位に残された突起部を取り除くウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(16)(15)に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
各レンズ部に対して前記基板部の表面と平行な切削面で切削処理を行うことで、前記突起部を取り除くウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(17)(15)又は(16)に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記レンズ部の、前記突起部が取り除かれた部位に遮光処理を行うウェハレベルレンズアレイの製造方法。
(18)(12)から(17)のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法によって得られたウェハレベルレンズアレイ。
(19)(18)に記載の前記ウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュール。
(20)(18)に記載のウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュールであって、
前記レンズ部が形成された前記基板部を複数備え、複数の前記基板部同士がそれら間に前記スペーサを挟んで重ね合わされるレンズモジュール。
(21)(19)又は(20)に記載のレンズモジュールを備えた撮像ユニットであって、
撮像素子と、
前記撮像素子が設けられた半導体基板とを備え、
前記基板部と前記半導体基板とが、前記スペーサを介して一体に接合された撮像ユニット。
【産業上の利用可能性】
【0098】
上記ウェハレベルレンズアレイの製造方法は、デジタルカメラ、内視鏡装置、携帯型電子機器等の撮像部に設けられる撮像レンズを製造する際に適用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 基板部
10 レンズ部
12 スペーサ
102,104 型部材
V1,V2 エア抜き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部からなるウェハレベルレンズアレイを樹脂で一体に成形するための成形型であって、
該成形型は、前記樹脂を挟み込んでエネルギーを付加することにより該樹脂を成形し硬化させる一対の型部材からなり、該一対の型部材の少なくとも一方の型部材の前記樹脂と接する型面に、成形時に前記型面と前記樹脂との界面に存在する空気を外部に排出するエア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項2】
請求項1に記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記型面に凸状のレンズ面を有する前記レンズ部を転写するための凹部が複数設けられ、前記凹部に前記型部材の外部に連通するエア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記レンズ部が前記レンズ面の周囲に該レンズ面と同じ向きに突出する周辺部を含み、前記周辺部に対応する前記型面の凹部に少なくとも1つの前記エア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項4】
請求項1に記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記型面に凹状のレンズ面を有する前記レンズ部を転写するための凸部が複数設けられ、前記凸部同士の間の凹部に前記型部材の外部に連通するエア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項5】
請求項1又は4に記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記レンズ部が前記レンズ面の周囲に該レンズ面と反対の向きに突出する周辺部を含み、前記周辺部に対応する前記型面の凹部に少なくとも1つの前記エア抜き孔が設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔は、前記型面の凹部における最深部に設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔が、前記凹部側から型の外部に向かってエアを吸引する吸引装置に接続された空気排出路に連通するウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔が前記型面に対して反対側に連通するウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔が、型部材の内部に直線状に設けられたウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔の径が、前記凹部の径の1/10以下であるウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの成形型であって、
前記エア抜き孔が円形状の断面であるウェハレベルレンズアレイの成形型。
【請求項12】
基板部と、該基板部に配列された複数のレンズ部とからなるウェハレベルレンズアレイを樹脂で一体に成形する製造方法であって、
前記樹脂を挟み込んでエネルギーを付加することにより該樹脂を成形し硬化させる一対の型部材からなる成形型を用い、前記一対の型部材の少なくとも一方の型部材の前記樹脂と接する型面にエア抜き孔が設けられ、前記樹脂に前記成形型の前記型面を押し付けた際に、前記エア抜き孔からエアを外部へ逃がしつつ、前記樹脂を変形するウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記型面に凹部が設けられ、前記エア抜き孔が前記凹部に設けられているウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記エア抜き孔における前記成形型の外部に連通する側からエア吸引を行うウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記樹脂を硬化させた後、離型された前記レンズ部の前記エア抜き孔の位置に相当する部位に残された突起部を取り除くウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
各レンズ部に対して前記基板部の表面と平行な切削面で切削処理を行うことで、前記突起部を取り除くウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法であって、
前記レンズ部の、前記突起部が取り除かれた部位に遮光処理を行うウェハレベルレンズアレイの製造方法。
【請求項18】
請求項12から17のいずれか1つに記載のウェハレベルレンズアレイの製造方法によって得られたウェハレベルレンズアレイ。
【請求項19】
請求項18に記載の前記ウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュール。
【請求項20】
請求項18に記載のウェハレベルレンズアレイの前記基板部をダイシングして、前記レンズ部ごとに分断してなるレンズモジュールであって、
前記レンズ部が形成された前記基板部を複数備え、複数の前記基板部同士がそれら間に前記スペーサを挟んで重ね合わされるレンズモジュール。
【請求項21】
請求項19又は20に記載のレンズモジュールを備えた撮像ユニットであって、
撮像素子と、
前記撮像素子が設けられた半導体基板とを備え、
前記基板部と前記半導体基板とが、前記スペーサを介して一体に接合された撮像ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−88409(P2011−88409A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245718(P2009−245718)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】