説明

ウエザストリップ用のシーラント部材

【課題】自動車ウエザストリップ用の比重の小さなシーラント部材を提供する。
【解決手段】自動車のドア2と自動車の車体開口部周縁6との間をシールするオープニングウエザストリップ等のウエザストリップ10に使用される不乾性のシーラント部材70において、シーラント部材70は、少なくとも粘着性を有するゴム系又は合成樹脂系のベース材料に発泡樹脂の粉体が混入されていることを特徴とするウエザストリップ用のシーラント部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドア、ラッゲージ、スライディングルーフ等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用ウエザストリップに使用されるシーラント部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明について、図2に示すように、自動車のドア2と車体開口部周縁6のシールに使用されるオープニングトリムウエザストリップ用のシーラント部材を例に取り説明するが、バックドア、ラッゲージ、スライディングルーフ等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材のシールに使用されるウエザストリップ用のシーラント部材に対しても同様に使用することができる。
【0003】
従来、ドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、図4に示すように、ドア2におけるドアフレーム等の外周のリテーナーに取付けられるドアウエザストリップ160と、ドアフレーム等の内周のチャンネル3に取付けられるガラスラン150と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110とによりなされる。
なお、上記フランジ7は車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル9と車内側のインナーパネル8等の先端部が溶接等により接合されて形成されている。
【0004】
車体の開口部には、上記のフランジ7に取付けられたオープニングトリムウエザストリップ110があり、ドアウエザストリップ160が車体開口部周縁6をシールする部分よりもさらに車内側でドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。オープニングトリムウエザストリップ110は、断面略U字形の取付基部(トリム部)120により上記のフランジ7に取付けられ、中空シール部130がドアフレームの膨出部2aに当接してシールする。このトリム部120は、フランジ7を把持するために、金属インサート等のインサート部材124が埋設され、保持リップ125を備えている。
【0005】
上記のように、フランジ7は車体開口部周縁を規定しているアウターパネル9と車内側のインナーパネル8等の先端部が溶接等により接合されて形成されており、車体開口部周縁では、アウターパネル9とインナーパネル8はフランジ7の外側で空洞を形成している。この空洞を通って、風切り音、タイヤノイズや路面反射音等の騒音が車体開口部周縁の全周に亘り伝達されるが、フランジ7はスポット溶接による凹凸や、フランジ7端部の板金の凹凸により隙間が生じる。この隙間から上記の騒音が漏れて、車内に伝達されることとなる。
【0006】
このフランジ7から漏れる騒音と、車外からオープニングトリムウエザストリップ110のトリム部120の内部を経由して車内に侵入する雨水、埃、騒音を防止し、フランジ7の端面の防錆をするために、トリム部120の内部に粘性の高い不乾性のシーラント部材170を封入するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このシーラント部材170は、物性を保持するため、充填剤として鉱物系物質を混合していたため、全体として重量が増加して、車輌の軽量化の要請を満足できなかった。即ち、鉱物系物質は比重が2以上の場合が多く、シーラント部材170全体の比重を押し上げて、1.5程度となっていた。
【特許文献1】実公昭50−42291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、本発明は、自動車ウエザストリップ用の比重の小さなシーラント部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするウエザストリップに使用される不乾性のシーラント部材において、
シーラント部材は、少なくとも粘着性を有するベース材料に発泡樹脂の粉体が混入されていることを特徴とするウエザストリップ用のシーラント部材である。
【0009】
請求項1の本発明では、シーラント部材は、少なくとも粘着性を有するベース材料に発泡樹脂の粉体が混入されている。このため、シーラント部材の粘性を維持しつつ、シーラント部材の比重を大きく低下させることができ、車輌の軽量化に貢献することができる。発泡樹脂は粉体であるため、ベース材料に均一に分散することができる。
【0010】
請求項2の本発明は、ベース材料は、ブチル系ゴム、エチレンープロピレン系ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、天然ゴム系、イソプレンゴム系、スチレンーイソプレンゴム系、ポリブテン樹脂系、アクリル系、シリコーン樹脂系、エチレンー酢酸ビニル共重合体系のいずれか2種類以上を含有するウエザストリップ用のシーラント部材である。
【0011】
請求項2の本発明では、ベース材料は、ブチル系ゴム、エチレンープロピレン系ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、天然ゴム系、イソプレンゴム系、スチレンーイソプレンゴム系、ポリブテン樹脂系、アクリル系、シリコーン樹脂系、エチレンー酢酸ビニル共重合体系のいずれか2種類以上を含有するため、充分な粘着性と、防音、防錆作用を有することができる。
【0012】
請求項3の本発明は、シーラント部材は、充填剤として炭酸カルシュウム、珪酸カルシュウム、珪酸マグネシュウム、二酸化珪素、亜鉛華、チタンホワイト、及びクレーのいずれか1種類以上を含有するウエザストリップ用のシーラント部材である。
【0013】
請求項3の本発明では、シーラント部材は、充填剤として炭酸カルシュウム、珪酸カルシュウム、ケイサンマグネシュウム、二酸化珪素、亜鉛華、チタンホワイト、及びクレーのいずれか1種類以上を含有するため、シーラント部材の補強性や加工性を向上させることができる。
【0014】
請求項4の本発明は、シーラント部材は、軟化剤として石油系溶剤、液状ポリブテン、鉱油、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリル酸エステルのいずれか1種類以上を含有するウエザストリップ用のシーラント部材である。
【0015】
請求項4の本発明では、シーラント部材は軟化剤として石油系溶剤、液状ポリブテン、鉱油、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリル酸エステルのいずれか1種類以上を含有するため、シーラント部材を適切な軟らかさにすることができ、ウエザストリップのトリム部へ充填することが容易である。
【0016】
請求項5の本発明に使用されるウエザストリップは、車体開口部開閉部材又は車体開口部周縁のいずれか一方の部材に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に取付けられ、他方の部材である車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
取付基部は、車外側側壁、車内側側壁および底壁から形成される断面略U字形又は断面略J字形をなすとともに、シーラント部材は、断面略U字形又は断面略J字形の取付基部の内面に取付けられ、シーラント部材の内部にフランジの先端を挿入したウエザストリップ用のシーラント部材である。
【0017】
請求項5の本発明に使用されるウエザストリップは、自動車の車体開口部開閉部材又は車体開口部周縁のいずれか一方の部材に設けられているフランジに取付けられる取付基部(トリム部)と、取付基部に一体的に取付けられ、上記の他方の部材である車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して、車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有している。このため、ドアフレームの外周又は車体開口部周縁に取付基部を取付けると、車体開口部開閉部材の閉時にシール部が車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して、車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールすることができる。
【0018】
取付基部(トリム部)は、車外側側壁、車内側側壁および底壁から形成される断面略U字形又は略J字形をなしている。このため、車体開口部開閉部材の外周又は車体ドア開口縁に形成されたフランジを、取付基部の内部に挿入するとともに、車外側側壁、車内側側壁、底壁及びその内面に形成されたシーラント部材又はシールリップによりフランジの先端を保持しているので、フランジが脱落することが無く、フランジの肉厚が変化しても自動車用ウエザストリップを容易に装着することができる。
【0019】
さらに、シーラント部材は、断面略U字形又は断面略J字形の取付基部の内面に取付けられ、シーラント部材の内部にフランジの先端を挿入し、取付基部を取付けている。このため、粘着性の高いシーラント部材でフランジを強固に保持することができる。さらに、フランジの先端をシーラント部材の内部に包み込んで確実に保持する力が強く、フランジがシーラント部材から抜けにくく、フランジから車内への騒音の侵入を防止できる。
【0020】
請求項6の本発明は、車体開口部開閉部材はドアであり、ウエザストリップは、オープニングトリムウエザストリップであるウエザストリップ用のシーラント部材である。
【0021】
請求項6の本発明では、車体開口部開閉部材はドアであり、ウエザストリップは、オープニングトリムウエザストリップであるため、車体開口部周縁のフランジにオープニングトリムウエザストリップを確実に保持して、フランジとオープニングトリムウエザストリップとの隙間から車内に侵入する騒音を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、シーラント材料は、少なくとも粘着性を有するベース材料に発泡樹脂の粉体が混入されているため、シーラント部材の粘性を維持しつつ、シーラント部材の比重を大きく低下させることができ、車輌の軽量化に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態を、オープニングトリムウエザストリップ10の取付基部(トリム部)20に使用されたシーラント部材70を例にとり説明する。本発明は、オープニングトリムウエザストリップ10以外にも、前述のとおり、自動車の車体開口部とその開口部を閉じる車体開口部開閉部材に使用されるウエザストリップのシーラント部材70にも使用することができる。
【0024】
本発明の実施の形態について説明する。
シーラント部材70は、粘着性を有するベース材料がベースとなり、発泡樹脂が混入されている。
ベース材料としては、ガラス転移点が−10℃以下であることが好ましい。ガラス転移点が−10℃以下であると、シーラント部材70が充分な粘着力を有し、フランジ7を強固に保持することができる。
【0025】
このベース材料として、ゴム系では、ブチル系ゴム、エチレンープロピレン系ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、天然ゴム系、イソプレンゴム系、スチレンーイソプレンゴム系等が使用され、合成樹脂系では、ポリブテン樹脂系、アクリル系、シリコーン樹脂系、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)系等が使用され、これ等の基材を適宜2種類以上混合して使用することができる。
なお、シーラント部材には、ベース材料となる上記ポリマーに加えて、軟化剤、粘着付与剤、充填剤及び老化防止剤が含まれている。さらに、フランジの錆を防止する防錆剤を含有させることもできる。
【0026】
ゴム系のベース材料であるブチル系ゴムは、ブチルゴムを主体とする粘着剤であり、エチレンープロピレン系ゴムは、エチレンープロピレンゴムを主体とする粘着剤であり、ポリイソブチレン系ゴムは、ポリイソブチレンゴムを主体とする粘着剤である。天然ゴム系の粘着剤は、天然ゴムを主体とする粘着剤であり、イソプレンゴム系は、イソプレンゴムを主体とする粘着剤である。スチレンーイソプレンゴム系は、スチレンとイソプレンのブロック共重合体である。なお、スチレンとブチレンのブロック共重合体も使用することができる。
【0027】
合成樹脂系のベース材料であるポリブテン樹脂系については、ポリブテン樹脂を主体とする粘着剤であり、アクリル系については、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル共重合体等を主体とする粘着剤である。
シリコーン樹脂系の粘着剤については、シリコーンゴムとシリコーンレジンと有機溶剤から構成されており、耐熱保持性や高温・低温雰囲気中での粘着力が優れている。
エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)系の粘着剤については、エチレンビニルアルコールと酢酸ビニルを共重合させた樹脂を主体とした粘着剤である。
【0028】
発泡樹脂については、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びウレタン等の樹脂の発泡体を使用することができる。
発泡樹脂の粉体は、発泡後の粒径が50μm〜100μmであることが好ましい。この場合は、ベース材料へ発泡樹脂を均一に混入することができ、シーラント部材70の物性を均一にすることができる。なお、50μm未満では、粉体の取扱が面倒であり、100μmを超える場合では、混入後の物性の均一性が低下する。
【0029】
発泡樹脂は、見かけ比重として0.001〜0.1である。この場合は、発泡樹脂の比重が極めて低く、シーラント部材70の比重を低下させる効果が大きく、発泡粒子の強度も大きく、ベース材料に混合も容易である。発泡樹脂の見かけ比重が0.1よりも大きいと、シーラント部材70の比重を低下させるためには、シーラント部材70へ混入する発泡樹脂の量が多くなり、シーラント部材70のシール性が低下し、発泡樹脂の見かけ比重が0.001よりも小さいと、発泡樹脂の強度が低下して、混入中に発泡樹脂が潰れる場合があるからである。また、発泡樹脂の粉体の添加量は、その比重にもよるが25〜55体積%が好ましい。25体積%未満であるとシーラント部材70の見かけ比重が下がらず、充分な軽量化が得られない。また、55体積%よりも大きいとシーラント部材70の粘着性が低下して、安定したシール性が得られなくなる。
【0030】
充填剤は、炭酸カルシュウム、珪酸カルシュウム、ケイサンマグネシュウム、二酸化珪素、亜鉛華、チタンホワイト、及びクレーのいずれか1種類以上を含有することが好ましい。この場合は、シーラント部材70の体積を増加させ、コストを低下させるとともに、補強性や加工性を向上させることができる。
また、充填剤は、耐熱性、電気特性の付与、着色等を目的としても使用される。充填剤は、均一分散しやすく、物理的、化学的特性の低下が少なく、安価なことが必要である。
【0031】
軟化剤は、基材の高分子と良く相溶性があり、組織内分散して結合を緩和し塑性流動させるものや、潤滑性を与えて軟らかくして、被着体を濡らし、粘着させるものである。
軟化剤としては、石油系溶剤、液状ポリブテン、鉱油、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリル酸エステル等が使用することができる。
【0032】
粘着付与剤は、シーラント部材70に粘着力を与えるものであり、凝集力、見掛け粘度の低下、臨界表面張力の低下が起こり、粘着力の向上が得られる。例えば、ロジン、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等を、シーラント部材70に使用することができる。
【0033】
老化防止剤は、シーラント部材70がオゾン、熱や光により酸化して劣化することを防止するものであり、本発明には、通常のゴム製品に使用される老化防止剤を使用することができる。老化防止剤は、フェノール系とアミン系の2種類があり、基材中に発生したラジカルと反応して、基材の酸化を防止することができる。
【0034】
本発明のシーラント部材70の構成は、上記に説明したように、粘着性を有するベース材料、充填剤、軟化剤、粘着付与剤、老化防止剤及び防錆剤を含有している。そして、その中に充填剤の1種類として上記発泡樹脂が混入される。
このシーラント部材70としては、例えば、ゴム系成分としてブチルゴムを使用し、樹脂系成分としてポリブテン樹脂を使用して、ベース材料を形成する。そして、充填剤として、発泡樹脂及び炭酸カルシュウムと珪酸カルシュウムを使用し、軟化剤として石油系溶剤を使用したものである。その使用量は、ベース材料は、20重量%〜50重量%、充填剤は、20重量%〜50重量%、軟化成分は、10重量%〜30重量%程度を使用する。
【0035】
シーラント部材70の第1配合例として、次のようにすることができる。
ベース材料(基材としてブチル系ゴムとポリブテン系樹脂の混合物)比重1.0
40重量部
充填剤(炭酸カルシュウムと珪酸カルシュウムの混合物)比重2.5 50重量部
軟化剤(石油系溶剤)比重1.0 10重量部
粘着付与剤、老化防止剤 各1部以下
上記の中にさらに下記の発泡樹脂を混入する。
発泡樹脂(発泡ポリスチレン)比重0.01 30体積部
【0036】
さらに、シーラント部材70の第2配合例として、次のようにすることができる。
ベース材料(基材としてブチル系ゴムとポリブテン系樹脂の混合物) 40重量部
充填剤(炭酸カルシュウムと珪酸カルシュウムの混合物) 50重量部
軟化剤(石油系溶剤) 10重量部
粘着付与剤、老化防止剤 各1部以下
上記の中にさらに下記の発泡樹脂を混入する。
発泡樹脂(発泡ポリスチレン) 50体積部
【0037】
上記第1の配合例において、シーラント部材70の比重は、1.0となり、従来のシーラント部材70の比重は1.4であるため、全長2.5mのウエザストリップ10に使用した場合には、重量が48g低減することができる。また、第2の配合例においては、シーラント部材70の比重が0.7となり、全長2.5mのウエザストリップ10に使用した場合には、重量が84g低減することとなる。
【0038】
次に、本発明のシーラント部材70をオープニングトリムウエザストリップ10に使用した場合について、図1〜図3に基づき説明する。
図1は、本発明のオープニングトリムウエザストリップ10が図2における車体開口部周縁6に装着された状態の図3におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
図2は自動車のドア2を開いた状態において、オープニングトリムウエザストリップ10の車体開口部周縁6への取付状態を示す斜視図である。図3は、上記車体開口部周縁6に装着されるオープニングトリムウエザストリップ10の正面図である。
【0039】
図2に示すように、自動車の車体1は、車体開口部を有し、その車体開口部は、車体開口部の開閉部材であるドア2により開閉される。車体開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6では、先端が車体1を構成する車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル9とインナーパネル8の先端が合体されて、溶接されて、フランジ7(図1参照)となっている。このフランジ7に車体開口部周縁6とドア2との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10が装着される。
【0040】
オープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のオープニングトリムウエザストリップ10は、図3に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、環状となるようにフランジ7に装着される。装着は、オープニングトリムウエザストリップ10の一方の端末から順次、フランジ7に装着され、装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合することとなる。この端末は、接続部11により型接合されて、環状に形成されていてもよい。
また、オープニングトリムウエザストリップ10の端末同士を装着前に接着して環状にしてもよい。
【0041】
次に、図1に基づき、本発明の実施の形態であるシーラント部材70を使用したオープニングトリムウエザストリップ10の断面形状について説明する。
オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる、断面略U字形の取付基部(トリム部)20と、ドア2のドアフレームの膨出部2aに当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールする中空状のシール部(中空シール部)30を有する。
【0042】
トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23からなる断面略U字形をなし、トリム部20がフランジ7を挟持する力を強くするため、その内部に、インサート部材24を埋設している
インサート部材24は、板金、針金または硬質合成樹脂で形成される。板金または硬質合成樹脂の場合は、短冊状の骨片を幅方向に平行に多数配列し、その短冊状の骨片を長手方向に梯子状あるいは魚骨状に連結したものや、短冊状の骨片をジグザグ状に連続したものが使用される。トリム部20の柔軟性を増大させるために、インサート部材24を埋設後に、短冊状の骨片の連結部分を、1個毎あるいは複数個毎に分離するものも使用することができる。短冊状の骨片をジグザグ状に連続したものは、長手方向にも伸縮性があり、柔軟性を有する。
針金のインサート部材24は、針金をジグザグ状に折り曲げて、長手方向に複数の糸で保持した、いわゆるワイヤーキャリアタイプのものが使用される。
【0043】
トリム部20の内面には、車外側側壁21と車内側側壁22からそれぞれ斜め底壁23方向に複数の車外側保持リップ25と車内側保持リップ26が延設されている。車体開口部周縁6のフランジ7がトリム部20の断面略U字形の内部に挿入されたときに、車外側保持リップ25と車内側保持リップ26がフランジ7の側面を挟持して、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に保持させることができる。
【0044】
本実施の形態では、車外側保持リップ25は短く複数本形成され、車内側保持リップ26は長く一本形成されている。車体開口部周縁6の各部分でフランジ7を構成する板金の枚数が異なるため、フランジ7は、その厚さが変化する。車内側保持リップ26は、フランジ7の厚さの変化につれて柔軟に屈曲し、いずれの厚さにおいても確実にフランジ7を保持することができる。
トリム部20の底壁23と車内側側壁22の連続部分から、車内方向にカバーリップ29が延設され、車内に装着されたガーニッシュ40の先端をカバーして、美観を向上させている。
【0045】
図1に示すように、トリム部20の内部に本発明のシーラント部材70が挿入されている。シーラント部材70は、前述の通り粘着性のあるベース材料がベースとなり、発泡樹脂が混入されるとともに、適宜、充填剤や防錆剤等が混入されている。
ベース材料としては、ガラス転移点が−10℃以下であることが好ましい。ガラス転移点が−10℃以下であると、シーラント部材70が充分な粘着力を有し、フランジ7を強固に保持することができる。
【0046】
このベース材料から構成されるシーラント部材70は、図1に示すようにトリム部20の内面の底壁23に密着して挿入されて、フランジ7の先端がシーラント部材70に挿入されて、シーラント部材70がフランジ7の先端を保持している。
なお、本実施の形態では、フランジ7の側面を複数の車外側保持リップ25と1本の車内側保持リップ26とで保持している。このため、フランジ7の肉厚が変化しても、車内側保持リップ26が変形して保持するので、フランジ7を保持する力が強く、フランジ7とトリム部20の間を確実にシールすることができる。
【0047】
また、粘着性の高いシーラント部材70でフランジ7の先端を保持する。このため、車外側保持リップ25と車内側保持リップ26と合わせてより強くフランジ7を保持することができる。フランジ7の先端がシーラント部材70で包まれるため、フランジ7が錆びるのを防止できるとともに、車外からの騒音の進入防止と、雨水や埃のシールをすることができる。
【0048】
また、オープニングトリムウエザストリップ10は、トリム部20に中空シール部30が一体的に形成されている。本実施の形態では、車外側側壁21の外面に一体的に形成されている。中空シール部30はドア閉時にドア2の膨出部2aに当接して、ドア2と車体開口部周縁6の間をシールする。中空シール部30以外に、リップ状のシールリップを設けてもよい。
【0049】
中空シール部30は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのスポンジ材で形成され、トリム部20は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのソリッド材又は微発泡材で形成されると、耐候性のよい製品を得ることができる。また、この場合は、オープニングトリムウエザストリップ10は全体としてオレフィン系であり、そのまま一緒に粉砕等を行い、リサイクルして使用することができる。
【0050】
なお、トリム部20の形状が断面略J字形にすることもできる。この場合は、車内側側壁22が小さい点と、車外側保持リップ25を有していなく、車外側側壁21にも側壁シーラント部材71が設けられている点が異なり、他の部分は同様である。
トリム部20は、断面略J字形をなして、内部の底壁23密着した部分にシーラント部材70を有し、車内側側壁22は短く形成され、シーラント部材70を保持する長さに形成されている。さらに、車外側側壁21の内面には車外側保持リップ25が形成されていなく、粘着剤または両面接着テープから形成された側壁シーラント部材が設けられている。
【0051】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。
このオープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により成形され、トリム部20に金属または硬質合成樹脂製のインサート部材24を埋設する場合においても、インサート部材24とトリム部20を構成するソリッドゴムと中空シール部30を構成するスポンジゴムを押出成形機で一体に押出すことができる。
【0052】
オープニングトリムウエザストリップ10の成形においては、成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマーが使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、ポリオレフィン系エラストマー等が使用される。スポンジ材としては、上記EPDMゴム、熱可塑性エラストマーを発泡させて使用する。
【0053】
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫、発泡が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、押出成形と同時にあるいは押出成形の後に加熱されて発泡して、冷却され固化される。
この押出成形後、ゴムの場合は加硫後においては、トリム部20はハ字形に開いており、シーラント部材70をトリム部20内に連続的に挿入し、底壁23に圧着する。これによってシーラント部材70をトリム部20内に接着する。その後、必要な場合には、トリム部20のインサート部材24を分離した後に、断面略U字形に曲げる。
その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
【0054】
このようにして製造したオープニングトリムウエザストリップ10は、所定寸法に切断されて、自動車の車体開口縁のフランジ7に取付けられる。
オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付ける場合は、そのままフランジ7にトリム部20を挿入する場合や、トリム部20の断面略U字状の開口が若干開いた状態で仮固定して、フランジ7の先端をシーラント部材70内に挿入し、ロールフォーミング方式で取付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図6におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図2】自動車の側面の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップの正面図である。
【図4】従来のオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における一部断面図である。
【符号の説明】
【0056】
6 車体開口部周縁
10 オープニングトリムウエザストリップ
20 取付基部(トリム部)
21 車外側側壁
22 車内側側壁
23 底壁
30 中空シール部
70 シーラント部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするウエザストリップに使用される不乾性のシーラント部材において、
該シーラント部材は、少なくとも粘着性を有するベース材料に発泡樹脂の粉体が混入されていることを特徴とするウエザストリップ用のシーラント部材。
【請求項2】
上記ベース材料は、ブチル系ゴム、エチレンープロピレン系ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、天然ゴム系、イソプレンゴム系、スチレンーイソプレンゴム系、ポリブテン樹脂系、アクリル系、シリコーン樹脂系、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)系のいずれか2種類以上を含有する請求項1に記載のウエザストリップ用のシーラント部材。
【請求項3】
上記シーラント部材は、充填剤として炭酸カルシュウム、珪酸カルシュウム、珪酸マグネシュウム、二酸化珪素、亜鉛華、チタンホワイト、及びクレーのいずれか1種類以上を含有する請求項1又は請求項2に記載のウエザストリップ用のシーラント部材。
【請求項4】
上記シーラント部材は、軟化剤として石油系溶剤、液状ポリブテン、鉱油、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリル酸エステルのいずれか1種類以上を含有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のウエザストリップ用のシーラント部材。
【請求項5】
上記ウエザストリップは、上記車体開口部開閉部材又は車体開口部周縁のいずれか一方の部材に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に取付けられ、上記の他方の部材である車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して上記車体開口部開閉部材と上記車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
上記取付基部は、車外側側壁、車内側側壁および底壁から形成される断面略U字形又は断面略J字形をなすとともに、上記シーラント部材は、上記断面略U字形又は断面略J字形の上記取付基部の内面に取付けられ、上記シーラント部材の内部にフランジの先端を挿入した請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のウエザストリップ用のシーラント部材。
【請求項6】
上記車体開口部開閉部材はドアであり、上記ウエザストリップは、オープニングトリムウエザストリップである請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のウエザストリップ用のシーラント部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−100792(P2010−100792A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308457(P2008−308457)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】