説明

ウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造

【課題】外力が加わっても、破損や収納不良が発生しにくいウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を提供する。
【解決手段】蓋体7の裏面側7aに固定される一対の支持枠部10,10の間に、下面10a側と略面一に水平に延設されると共に、一定の幅で、しかも、弾性変形可能な長さを有して架設される水平部11,11が各々一体となるように設けられている。
そして、容器本体6内に収納される複数の半導体ウエハ4…が、ウエハ接触部9,9の移動抑制突起16,16が設けられた下向きに凸状の弾性変形可能な円弧部14,14に各々当接されて保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハを複数収納する搬送容器のウエハ搬送容器に用いられて、特に内部に収納したウエハが破損しにくい構造を有するウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体シリコンウエハ搬送容器としては、円盤状の半導体シリコンウエハを、内部に複数枚収納して保管或いは移送する容器が知られている(例えば、特許文献1乃至3等参照)。
【0003】
このような従来のものでは、蓋体の内側面に、図19中二点鎖線で示すようなウエハ押さえ部材1が設けられていて、蓋体閉塞状態で、半導体ウエハ4を、押さえて保持するように構成されているものが知られている。
【0004】
このようなウエハ押さえ部材1では、左右一対の蓋体に固定される支持枠部材2,2から、各々真下方向に向けて延設される縦壁部3,3が設けられている。
【0005】
この縦壁部3,3の下端部3a,3aからは、両縦壁部3,3間を接続するように、直線状のウエハ押さえ片本体3bが略水平方向よりもやや斜め上方に向けて傾斜するように延設されている。
【0006】
このウエハ押さえ片本体3bの略中央部には、上方に凸の水平凹部3cが形成されている。また、この水平凹部3cの左,右両側には、前記半導体ウエハ4の上縁部4a,4aを左,右二箇所で保持するように、このウエハ押さえ片本体3b,3bが連設されている。このウエハ押さえ片本体3bには、幅方向から、前記半導体ウエハ4の上縁部4a,4aをガイドして支持する一対のウエハ押さえ突起部5,5が、これらの各ウエハ押さえ片本体3b,3bの略全長に渡り、幅方向両側縁に沿って、一体に形成されている。
【0007】
次に、この従来例の作用効果について説明する。
【0008】
このように構成された従来のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造では、蓋体の閉塞により、図中二点鎖線で示すように、半導体ウエハ4の上縁部4a,4aが前記ウエハ押さえ突起部5,5間に介装されて、前記ウエハ押さえ片本体3bに弾接される。
【0009】
このため、前記シリコンウエハ搬送容器内に収納された前記半導体ウエハ4は、このウエハ押さえ部材1によって弾性支持されて、搬送若しくは保管時に、前記半導体ウエハ4を破損させる虞を減少させることが出来る。
【特許文献1】特開2004−247467号公報(段落0024乃至0044、図1)
【特許文献2】特開2004−158808号公報(段落0018乃至0064、図1)
【特許文献3】特開2005−101518号公報(段落0084乃至0210、図20乃至図22、図30乃至図32、図40,図41)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造では、縦壁部3,3が、前記支持枠部材2,2から直接、略真下に向けて(多くても約2〜10度の傾斜角度)延設されているので、図中二点鎖線で示すようにウエハ押さえ部材1が変形する際にも、この縦壁部3,3が殆ど変形しない。
【0011】
このため、前記ウエハ押さえ片本体3bとこの縦壁部3,3との連結部分である下端部3a,3a近傍に応力が集中してしまい、ウエハ搬送容器が落下等した場合、破損する虞もあった。
【0012】
また、前記水平凹部3cが、側面視で水平直線状に形成されているので、両側に形成されるウエハ押さえ突起部5,5の前記半導体ウエハ4の上縁部4a,4aに対する追従性が良好であるとは言い難かった。
【0013】
このため、半導体ウエハ4を収納したまま、ウエハ搬送容器を落下させると、ウエハ押さえ突起部5,5から前記半導体ウエハ4の上縁部4a,4aが外れたり、隣接する他のウエハ押さえ突起部5,5に飛び移ってしまう虞もあった。
【0014】
そこで、この発明は、外力が加わっても、破損や収納不良が発生しにくいウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、上部に開口部を設けた有底箱状の容器本体の内部に、円板状の半導体ウエハを収納すると共に、該開口部に装着されて該開口部を閉塞する蓋体を設け、該蓋体の内側には、前記容器本体内に収納された半導体ウエハの上縁部に弾接して、保持するウエハ押さえ部材を設けてなるウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造であって、前記ウエハ押さえ部材は、前記半導体ウエハに弾接されるウエハ接触部と、該ウエハ接触部の両側に設けられて、前記蓋体の裏面側に固定される一対の支持枠部との間に、該支持枠部下面側から水平に延設されると共に、一定の幅で、しかも、弾性変形可能な長さを有して架設される水平部を各々設けて、該水平部の内側に連結されて下向きに凸状の円弧部によって、前記ウエハ接触部を支持するウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を特徴としている。
【0016】
また、請求項2に記載されたものでは、前記水平部よりも前記ウエハ接触部が下方に位置すると共に、該水平部の内側端部とウエハ接触部の外側端部との間を上下方向で連結する立ち上がり部を設け、該立ち上がり部には、内向きに一定の傾斜角度が与えられている請求項1記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を特徴としている。
【0017】
更に、請求項3に記載されたものでは、前記ウエハ接触部を支持する円弧部を左右一対形成すると共に、該両円弧部間を上向きに凸状の中央連結部で一体に連結する請求項1又は2記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を特徴としている。
【0018】
そして、請求項4に記載されたものでは、前記中央連結部の上方には、前記蓋体の裏面側から突設されて、所望の位置で、前記ウエハ接触部の変形を停止させるストッパ突起部が設けられている請求項3記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を特徴としている。
【0019】
また、請求項5に記載されたものでは、前記水平部、立ち上がり部、円弧部及び中央連結部は、該水平部と略同一の一定の幅を有して一体に形成されると共に、略一定の厚みを有する請求項3又は4記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を特徴としている。
【0020】
更に、請求項6に記載されたものでは、前記ウエハ接触部は、前記円弧部の幅方向に一対となるように、該円弧部の内側端部近傍位置から下向きに突設されて、介装により半導体ウエハの上縁部を保持する移動抑制突起部を有する請求項1乃至6のうち何れか一項記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を特徴としている。
【0021】
そして、請求項7に記載されたものは、前記ウエハ押さえ部材は、曲げ弾性率1〜2.5GPaの物性を有する材料が用いられて、構成されている請求項1乃至7のうち何れか一項記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
このように構成された本願発明の請求項1記載のものは、該支持枠部下面側から水平に延設された水平部が、前記半導体ウエハを弾接保持するウエハ接触部を上下方向に弾性変形しながら保持する。
【0023】
このため、応力が集中する部分が無くなり、半導体ウエハが収納されたまま、ウエハ搬送容器が落下しても、破損する虞が減少する。
【0024】
また、長いストロークで前記半導体ウエハを保持出来るため追従性が良好で、該半導体ウエハが外れたり、隣接する他のウエハ接触部に飛び移ってしまう虞が減少する。
【0025】
更に、前記立ち上がり部の内側に連結された下向きに凸状の円弧部によって、前記ウエハ接触部が支持されている。
【0026】
このため、従来のやや斜め上方に向けて形成されているものに0比して、下向きに凸状の分、ストロークを長く設定出来、更に、半導体ウエハへの追従性が良好である。
【0027】
また、請求項2に記載されたものは、該立ち上がり部に、内向きに一定の傾斜角度が与えられている。
【0028】
このため、更に応力が集中しにくく、破損の虞を減少させることができる。
【0029】
また、請求項3に記載されたものは、前記ウエハ接触部を支持する円弧部が左右一対形成されて、凸状の中央連結部で一体に連結されている。
【0030】
このため、従来の水平直線状に形成されているもの比して、更に、半導体ウエハへの追従性が良好である。
【0031】
更に、請求項4に記載されたものは、前記ストッパ突起部に前記中央連結部の上面側が当接して、所望の位置で、前記ウエハ接触部の上方への移動を停止させる。
【0032】
このため、更に、前記ウエハ接触部から、該半導体ウエハが外れたり、隣接する他のウエハ接触部に飛び移ってしまう虞が減少する。
【0033】
また、蓋体の裏面側に、該ストッパ突起部が突設されているので、前記中央連結部側に突起が形成される場合に比して、該中央連結部の変形を阻害せずに、この点においても追従性を良好なものとすることができる。
【0034】
しかも、請求項5に記載されたものは、前記水平部、立ち上がり部、円弧部及び中央連結部が、前記水平部と略同一の一定の幅を有して一体に形成されると共に、略一定の厚みを有しているので、応力集中が、更に起こり難い。
【0035】
また、請求項6に記載されたものは、前記ウエハ接触部に設けられた移動抑制突起部によって、前記円弧部の幅方向への半導体ウエハの上縁部の移動が抑制されて、更に、該半導体ウエハが外れたり、隣接する他のウエハ接触部に飛び移ってしまう虞を減少させることができる。
【0036】
しかも、移動抑制突起部の寸法を、前記円弧部の長手方向の寸法に比して小さく設定することにより、半導体ウエハへの追従性を損なうことが無い。
【0037】
そして、請求項7に記載されたものは、前記ウエハ押さえ部材が、曲げ弾性率1〜2.5GPaの物性を有する材料が用いられて、構成されている。
【0038】
例えば、曲げ弾性率1〜2.5GPaの物性を有する材料として、曲げ弾性率1〜2.5GPaの物性を有するポリエステル系の熱可塑性エラストマーが、用いられて、構成されている。
【0039】
このため、前記半導体ウエハへの追従性を損なうことが無いと共に、干渉により、該半導体ウエハを損傷させる虞も減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、図面に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造について説明する。
【0041】
図1乃至図12は、この発明の実施の形態のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を示すものである。
【0042】
まず、構成から説明すると、この実施の形態では、図3中(a)に示すように、ウエハ収納容器20のうち、上部に開口部6aが設けられた有底箱状の容器本体6の内部に、円板状の半導体ウエハ4…が複数枚、収納されるものである。
【0043】
この開口部6aには、この開口部6aを閉塞する蓋体7が設けられている。
【0044】
そして、この蓋体7の裏面側7aには、前記容器本体6内に収納された半導体ウエハ4の上縁部4a,4aに弾接して、保持するウエハ押さえ部材8が設けられている。
【実施例1】
【0045】
この実施例1のウエハ押さえ部材8は、曲げ弾性率1〜2.5GPaの物性を有するポリエステル系の熱可塑性エラストマーが、用いられて、構成されている。
【0046】
すなわち、このウエハ押さえ部材8は、図3中(d)に示すように、前記蓋体7の裏面側7aに固定される一対の支持枠部10,10の間に、複数の橋状体12…が、一定間隔を置いて掛け渡されている。
【0047】
この橋状体12…には、各々前記半導体ウエハ4に弾接されるウエハ接触部9と、このウエハ接触部9の両側に設けられて、前記蓋体7の裏面側7aに、対向面側を開放して一体に形成された取付溝部7b,7bに係合固定される一対の支持枠部10,10との間に、支持枠部10,10の下面10a側と略面一に水平に延設されると共に、一定の幅で、しかも、弾性変形可能な長さを有して架設される水平部11,11が各々一体となるように設けられている。
【0048】
そして、前記容器本体6内に収納される前記複数の半導体ウエハ4…の最大収納枚数、この実施例1では、25枚の半導体ウエハ4…が弾性支持可能とされるように、25本の前記橋状体12…が、図4に示すように、前記角棒状の支持枠部10,10と一体に形成されている。
【0049】
このうち、図1に示すように、前記ウエハ接触部9が、前記水平部11,11よりも下方に位置されていて、この水平部11,11の内側端部11a,11aと、ウエハ接触部9の外側端部との間が、立ち上がり部13,13によって各々上下方向で連結されている。
【0050】
この立ち上がり部13,13には、各々内向きに一定の傾斜角度α(約10〜40度)が与えられている。
【0051】
更に、前記立ち上がり部13,13の内側には、前記ウエハ接触部9,9を支持する下向きに凸状の円弧部14,14が設けられている。
【0052】
このウエハ接触部9,9を支持する円弧部14,14は、左右一対形成されると共に、両円弧部14,14間が上向きに凸状の中央連結部15で一体に連結されている。
【0053】
また、この実施例1では、図2に示すように、この橋状体12の前記水平部11,11、立ち上がり部13,13、円弧部14,14及び中央連結部15が、全て略同一の一定の幅wを有して一体に形成されている。
【0054】
更に、この実施例1では、図1に示すように、この橋状体12の前記水平部11,11、立ち上がり部13,13、円弧部14,14及び中央連結部15が、全て略一定の厚みdを有して一体に形成されている。
【0055】
そして、前記ウエハ接触部9には、前記円弧部14,14の幅方向に一対となるように、この円弧部14,14の内側端部14a,14a近傍位置の一部から下向きに移動抑制突起16,16が各々突設されている。
【0056】
この移動抑制突起16は、介装される半導体ウエハ4の上縁部4aを両側から保持するように、接触面16a,16aを各々傾斜させた正面視略三角形形状を呈して構成されている。
【0057】
更に、この実施例1の移動抑制突起16は、図1に示される様に、前記円弧部14の長手方向長さ寸法L1に比して、円弧部14長手方向長さ寸法L2を、L2/L1=0.1〜0.2の比となるように形成されていて、この円弧部14の弾性変形を阻害しないように構成されている。
【0058】
また、この実施例1では、図3中(b)及び図4に示すように、前記支持枠部10,10の下面側の両端縁近傍には、取付用摘み部10b,10bが、各々一体に突設形成されている。
【0059】
この取付用摘み部10b,10bは、図3中(c)に示すように、蓋体7の裏面側7aに前記ウエハ押さえ部材8を装着する際、把持により、白抜き矢印に示す方向へ、前記円弧部14…等を撓ませて、一対の取付溝部7b,7b内に前記支持枠部10,10を挿入させて係合させるように構成されている。
【0060】
そして、係合後は、この取付溝部7b,7bの両端面に、これらの取付用摘み部10b,10bが両側から当接されて、取付溝部7b延設方向へのスライド移動が不能となるように、挟持するように構成されている。
【0061】
更に、この実施例1では、図3に示すように、前記中央連結部15に対向する前記蓋体7の裏面側7aから突設されて、所望の位置で、前記ウエハ接触部9の変形を停止させるストッパ突起部17が一体に設けられている。
【0062】
次に、この実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造の作用について、図7乃至図10を用いて説明する。なお、図7乃至図10は、説明の為、上,下方向を反対とすると共に、前記中央連結部15の左,右側の何れか一方を表している。
【0063】
この実施例1では、ウエハ搬送容器20内に収納された半導体ウエハ4に、落下等により、前記ウエハ押さえ部材8を押し上げる方向の力が作用すると、図7に示すように通常状態で、前記ウエハ接触部9の移動抑制突起16,16間の円弧部14の上面に、まず、上縁部4aが当接して、これらの移動抑制突起16,16間に保持される。
【0064】
更に、変形が進むと、図8に示すように、半導体ウエハ4の上縁部4aが、前記円弧部14の上方に凸の部分を押圧しながら、上縁部4aの円弧に合わせて、この円弧部14の形*状を弾性変形させる。
【0065】
この際、図9及び図10に示すように、前記支持枠部10の下面10a側から水平に延設された水平部11が、前記半導体ウエハ4を弾接保持するウエハ接触部9を上下方向に弾性変形させながら、前記半導体ウエハ4の保持を維持する。
【0066】
前記水平部11は、このウエハ接触部9の両側で、しかも、面内外方向に両持ち梁のような状態で、曲げ変形しながら加わる力を、円弧部14全域で受けて、ウエハ押さえ部材8全体で分散吸収する。
【0067】
このため、応力が集中する部分が無くなり、半導体ウエハ4が収納されたまま、ウエハ搬送容器20が落下しても、従来の様に縦壁部3が破損する虞が無く、半導体ウエハ4の破損する虞も減少する。
【0068】
また、水平部11の変形に加えて、円弧部14では、中央連結部15が、前記ストッパ突起部17に当接することにより、先当たりしている円弧部14の移動抑制突起16付近を中心として、図10中、白抜き矢印Fに示すような回転方向の力が作用して、この移動抑制突起16が形成されている部分の図中右位置を押し下げる。
【0069】
このため、前記図7に示す様に下方に凸状の状態から、図10に示すように、前記半導体ウエハ4の上縁部4aの外周形状に沿って、上方に凸の状態になるように、円弧部14が弾性変形する。
【0070】
この際、この実施例1では、図1に示される様に、前記円弧部14の長手方向長さ寸法L1に比して、移動抑制突起16の円弧部14長手方向の長さ寸法L2が、L2/L1=0.1〜0.2の比となるように形成されていて、円弧部14は、他の水平部11と略同様の柔軟性を有する。このため、前記移動抑制突起16が形成されていても、円弧部14の弾性変形が阻害されない。
【0071】
従って、更に、長いストロークで前記半導体ウエハ4を保持出来るため追従性が良好であると共に、円弧部14の略全域に渡る長い接触面で、前記半導体ウエハ4の上縁部4aに弾性接触して保持する。よって、半導体ウエハ4が外れたり、隣接する他のウエハ接触部9に飛び移ってしまう虞が減少する。
【0072】
また、前記立ち上がり部13には、図1に示すように、内向きに一定の傾斜角度αが与えられている。
【0073】
このため、この立ち上がり部13も、変形して、応力を吸収するので、更に、応力が集中しにくく、破損の虞を減少させることができる。
【0074】
更に、前記立ち上がり部13の内側に設けられた下向きに凸状の円弧部14によって、前記ウエハ接触部9が支持されている。
【0075】
このため、従来のやや斜め上方に向けて形成されているものに比して、下向きに凸状の分、ストロークを長く設定出来、更に、半導体ウエハへの追従性が良好である。
【0076】
また、前記ウエハ接触部9を支持する円弧部14,14が左右一対形成されて、凸状の中央連結部15で一体に連結されている。
【0077】
このため、従来の水平直線状に形成されているものに比して、更に、半導体ウエハへの追従性が良好である。
【0078】
特に、この実施例1では、図1に示すように、中央連結部15の円弧が、両側面部を、β=約20〜50度の勾配で内側へ向けて上昇させた後、中央で、約R5程度の曲率半径で円滑に接続しているので、半導体ウエハ4の上縁部4a,4aが接触する接触部9,9上の位置を中央寄りの内側位置とすることができる。
【0079】
このため、更に、水平部11,11を長く設定して応力を分散させることが可能である。
【0080】
更に、前記水平部11,11、立ち上がり部13,13、円弧部14,14及び中央連結部15が、前記水平部11,11と略同一の一定の幅を有して一体に形成されると共に、略一定の厚みを有しているので、応力集中が、更に起こり難い。
【0081】
また、前記ウエハ接触部9に設けられた移動抑制突起部16,16によって、前記円弧部14,14の幅方向への半導体ウエハ4の上縁部4aの移動が抑制されて、更に、半導体ウエハ4が外れたり、隣接する他のウエハ接触部9に飛び移ってしまう虞を減少させることができる。
【0082】
このため、半導体ウエハ4の上縁部4aが、前記円弧部14の上方に凸の部分を押圧しながら、圧接される際、移動抑制突起16,16が、円弧部14の幅方向へのこの上縁部4aの移動を阻止して、円弧部14を弾性変形させる際にも保持することにより、圧着面積を有効に増大させることができる。
【0083】
しかも、この実施例1では、前記ウエハ接触部9に設けられた移動抑制突起部16,16が、円弧部14,14の内側端部14a,14a近傍位置の一部から下向きに突設されているため、円弧部14の長手方向に一定の長さを有して形成されているものに比して、この円弧部14の弾性変形を阻害する虞がなく、この点においても追従性を良好なものとすることができる。
【0084】
そして、移動抑制突起部16,16が、単純な形状で、円弧部14に一体に形成されているので、複雑な形状の突起部に比して、樹脂材料等の素材の削りカス等の塵芥が発生しにくい。
【0085】
このため、半導体ウエハ4のウエハ搬送容器の内部に用いても、静電気による塵芥の半導体ウエハ4への付着を減少させることが出来る。
【0086】
更に、この実施例1では、前記ストッパ突起部17に前記中央連結部15の上面側が当接して、所望の位置で、前記ウエハ接触部9の上方への移動を停止させる。
【0087】
このため、落下等により、一時に大きな応力が加わっても、必要以上に前記橋状体12が変形することがない。従って、更に、前記ウエハ接触部9の移動抑制突起16,16間から、半導体ウエハ4が外れたり、隣接する他のウエハ接触部に飛び移ってしまう虞が減少する。
【0088】
また、前記蓋体7の裏面側7aに、このストッパ突起部17が突設されているので、例えば、前記中央連結部15の上面側に、ストッパ突起が一体に形成される場合に比して、中央連結部15の変形を阻害せずに、この点においても追従性を良好なものとすることができる。
【0089】
図5及び図6に、この発明の実施の形態のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造及び比較例を示す。共通条件として、直径400mmの半導体ウエハ4を用いている。
【0090】
図6中、(a)は、水平部が殆ど無い形状、(b)は水平部11を設けた形状、(c)は、立ち上がり部を略垂直に変更した形状、(d)はストッパ突起部117が平坦形状に変更されて、中央連結部115を水平板上としたもの、(e)は、水平部が殆ど無く、ウエハ接触部19を長く設定し、立ち上がり部を略垂直に変更した形状、(f)は立ち上がり部の傾斜角度α2を大きく設定した形状、(g)は、傾斜角度αは小さく、水平部の長さLを大きく設定した形状、(h)は、傾斜角度α3を大きく、水平部の長さLを大きく設定すると共に、ウエハ接触部29の長さを(b)に比して短く設定した形状が示されている。
【0091】
このうち、(a)に比して、(b)では、水平部11が設定されているので、クッション応力値は、低く抑えられる。この水平部11の長さLを約5〜13mmに設定すると、総合判定が、○若しくは△となる。
【0092】
また、立ち上がり部13の傾斜角度αを約10度以上とすると、総合判定が○若しくは△となることが分かる。
【0093】
この実施例1では、曲げ弾性率1〜2.5GPaの物性を有する材料として、曲げ弾性率1〜2.5GPaの物性を有するポリエステル系の熱可塑性エラストマーが、用いられて、構成されている。
【0094】
このため、前記半導体ウエハへの追従性を損なうことが無いと共に、干渉により、該半導体ウエハを損傷させる虞も減少させることができる。
【0095】
図11に示すクッション材料の曲げ弾性率とクッション応力との相関図では、曲げ弾性率(GPa)が、2.5GPa以下なら、判定が○〜△になることがわかる。
【0096】
ここで、測定条件として、この実施例1のウエハ押さえ部材8の形状で、構成された各検体としてウエハ押さえ部材8…の厚みを、通常の厚みとして設定して、◇:水準1として、プロットしている。
【0097】
また、水準1に対して、1.5倍の肉厚を有する厚みの検体を、□:水準2としてプロットしている。
【0098】
更に、水準1に対して、2倍の肉厚を有する厚みの検体を、△:水準3してプロットしている。
【0099】
そして、水準1に対して、3倍の肉厚を有する厚みの検体を、×:水準4としてプロットしている。
【0100】
クッション応力が、10(kgf/mm2)となると、追従性を損ない、前記半導体ウエハ8が、前記ウエハ押さえ部材8から外れやすくなる(図11中紙面向かって右欄中×で示される追従性不良領域、なお、△で示される領域は、追従性良、○で示される領域は、追従性優良である)。
【0101】
このため、このウエハ押さえ部材8を構成する材料の曲げ弾性率(GPa)が、2.5GPa以下であることが好ましいことが分かる。
【0102】
図12に示すクッション材料の曲げ弾性率とウエハ応力との相関図では、曲げ弾性率(GPa)が、1GPa以上、2.5GPa以下なら、判定が○〜△になることがわかる。
【0103】
ここで、水準4の検体は、ウエハ応力が、何れの曲げ弾性率の材質を用いても、不適領域×内(半導体ウエハに損傷を与える虞がある領域)であることが、見て取れる。
【0104】
このように、測定された図11及び図12に示される結果から、実施例1の形状のウエハ押さえ部材8では、構成する材料として、追従性を損なうことなく、しかも、半導体ウエハ4に、損傷を与える虞が無い曲げ弾性率として、曲げ弾性率1以上、2.5GPa以下の物性を有するポリエステル系の熱可塑性エラストマーが、適していることが分かる。
【実施例2】
【0105】
図13及び図14は、この発明の実施の形態の実施例2のウエハ押さえ部材18を示すものである。
【0106】
なお、前記実施例1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0107】
まず、構成上の相違点を中心に説明すると、この実施例2のウエハ押さえ部材18では、一対の各円弧部14,14の立ち上がり部13,13近傍には、前記円弧部14,14の幅方向に一対となるように、この円弧部14,14の内側端部14a,14a近傍位置の一部から下向きに移動抑制突起26,26が、前記移動抑制突起16,16から一定距離離間されて各々下方に向けて突設されている。
【0108】
この実施例2では、図13に示される様に、前記円弧部14の長手方向長さ寸法L1に比して、移動抑制突起26の円弧部14長手方向の長さ寸法L3が、L3/L1=0.1〜0.2の比となるように形成されていて、1つの円弧部14の二対の移動抑制突起16,26の合計の長さ方向寸法であっても、(L2+L3)/L1=0.2〜0.4の比となるように構成されている。
【0109】
次に、この実施例2のウエハ押さえ部材18の作用について説明する。
【0110】
このように構成された実施例2のウエハ押さえ部材18では、右半分を示す図14のように、半導体ウエハ4の上縁部4aが、前記円弧部14の上方に凸の部分を押圧しながら、圧接されると共に、移動抑制突起26,26が、前記移動抑制突起16,16と共に、合計4カ所で、幅方向(紙面前,後方向)へのこの上縁部4aの移動を阻止して、円弧部14を弾性変形させる際にも保持する。
【0111】
このため、ウエハ搬送容器20の落下等、外力が加わっても、更に、半導体ウエハ4のキャッチミスを減少させて破損させる虞をなくすことができる。
【0112】
また、この実施例2では、図13に示される様に、前記円弧部14の長手方向長さ寸法L1に比して、移動抑制突起26の円弧部14延設方向長さ寸法L3が、L3/L1=0.1〜0.2の比となるように形成されていて、(L2+L3)/L1=0.2〜0.4の比となるように構成されている。
【0113】
このため、保持性を向上させつつ、円弧部14の弾性変形を阻害することがない。
【0114】
他の構成、及び作用効果については、前記実施例1と略同一であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0115】
図15は、この発明の実施の形態の実施例3のウエハ押さえ部材28を示すものである。
【0116】
なお、前記実施例1,2と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して、構成上の相違点を中心に説明する。
【0117】
この実施例3のウエハ押さえ部材28は、前記中央連結部15と、前記蓋体7の裏面側7aに設けられたストッパ突起部17との間に、アーチ状を呈して、弾性変形可能なクッション重ね梁21が介在されて設けられている。
【0118】
次に、この実施例3のウエハ押さえ部材28の作用について説明する。
【0119】
このように構成された実施例3のウエハ押さえ部材28では、図15中二点鎖線で示すように、ウエハ搬送容器20の落下等、外力が加わる際、半導体ウエハ4が上方へ移動しても、このクッション重ね梁21が弾性変形しながら受け止めて、更に、破損させる虞をなくすことができる。
【0120】
他の構成、及び作用効果については、前記実施例1,2と略同一であるので、説明を省略する。
【実施例4】
【0121】
図16は、この発明の実施の形態の実施例4のウエハ押さえ部材38を示すものである。
【0122】
なお、前記実施例1乃至3と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して、構成上の相違点を中心に説明する。
【0123】
この実施例4のウエハ押さえ部材38では、円弧部14に設けられる移動抑制突起36,36の内側の接触面36a,36aが、正面視で、湾曲形状となるように構成されている。
【0124】
次に、この実施例4のウエハ押さえ部材38の作用について説明する。
【0125】
このように構成された実施例4のウエハ押さえ部材38では、ウエハ搬送容器20の落下等、外力が加わる際、半導体ウエハ4の上方への移動が生じても、移動抑制突起36,36の内側の接触面36a,36aの湾曲形状に沿って、半導体ウエハ4の円滑にガイドされて、干渉しない。このため、更に、破損させる虞をなくすことができる。
【0126】
他の構成、及び作用効果については、前記実施例1乃至3と略同一であるので、説明を省略する。
【実施例5】
【0127】
図17及び図18は、この発明の実施の形態の実施例5のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造を示すものである。
【0128】
なお、前記実施例1乃至4と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して、構成上の相違点を中心に説明する。
【0129】
この実施例5の蓋体7の裏面側7aには、ウエハ押さえ部材18の水平部11,11の両側面に摺接されて、水平方向へのウエハ押さえ部材18の移動を防止するズレ防止リブ部7c…が、複数本、突設されている。
【0130】
また、この蓋体7の裏面側7aには、前記円弧部14の裏面側に位置して、円弧部14の弾性変形時に、円弧部14の立ち上がり部13近傍の裏面側に当接することにより、過剰な変形を防止するウエハ回転防止リブ部7d,7dが、一対、前記支持枠部10,10の延設方向と平行に突設されている。
【0131】
次に、この実施例5のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造の作用について説明する。
【0132】
このように構成された実施例5のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造では、ウエハ搬送容器20の落下等、外力が加わる際、蓋体7の裏面側7aに突設されたズレ防止リブ部7c…が、ウエハ押さえ部材18の水平部11,11の両側面に摺接されて、水平方向へのウエハ押さえ部材18の移動が防止される。
【0133】
このため、更に、半導体ウエハ4のキャッチミスを無くして、破損させる虞を減少させることができる。
【0134】
また、この実施例5では、蓋体7の裏面側7aに突設されたウエハ回転防止リブ部7d,7dが、前記円弧部14の裏面側に位置して、円弧部14の弾性変形時に、円弧部14の立ち上がり部13近傍の裏面側に当接することにより、過剰な変形が防止される。
【0135】
このため、半導体ウエハ4が、一旦上方へ移動した後に、下方へ移動する際に、前記ウエハ接触部9と、この半導体ウエハ4の上縁部4aとの間に隙間を発生させる可能性を減少させて、半導体ウエハ4の回転を抑制できる。
【0136】
他の構成、及び作用効果については、前記実施例1乃至4と略同一であるので、説明を省略する。
【0137】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態の実施例1乃至5を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0138】
即ち、前記実施の形態の実施例1では、ウエハ押さえ部材8が、ポリエステル系の熱可塑性エラストマーが用いられて構成されているが、オレフィン系、スチレン系等の他の各種熱可塑性エラストマー及びこれらの複合物等であっても良く、また、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等によって構成されていても、弾性変形可能な長さを有して架設される水平部を各々設けるものであれば良く、材質が特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】この発明の最良の実施の形態の実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、ウエハ押さえ部材の構成を説明する橋状体の側面図である。
【図2】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、ウエハ押さえ部材の構成を説明する斜視図及び要部の拡大斜視図である。
【図3】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造が用いられるウエハ搬送容器を下方から見た分解斜視図で、(a)は、ウエハ収納容器の構成を示す斜視図、(b)は、蓋体にウエハ押さえ部材が装着された様子を示し、(c)は、装着時にウエハ押さえ部材が撓められた様子を示し、(d)は、ウエハ押さえ部材の単品斜視図である。
【図4】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、ウエハ押さえ部材の構成を説明する斜視図である。
【図5】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造の形状の相違による比較を説明する表図である。
【図6】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造の形状の相違による比較を説明し、(a)は、水平部が殆ど無い形状、(b)は水平部を設けた形状、(c)は、立ち上がり部を略垂直に変更した形状、(d)はストッパ突起部を平坦形状に変更した形状、(e)は、水平部が殆ど無く、立ち上がり部を略垂直に変更した形状、(f)は立ち上がり部の傾斜角度αを大きく設定した形状、(g)は、傾斜角度αは小さく、水平部の長さLを大きく設定した形状、(h)は、傾斜角度αを大きく、水平部の長さLを大きく設定した形状を示している系統図である。
【図7】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、通常状態でのウエハ押さえ部材の形状を示す側面図である。
【図8】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、応力が加わった状態でのウエハ押さえ部材の形状を示す側面図である。
【図9】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、さらに応力が加わった状態でのウエハ押さえ部材の形状を示す側面図である。
【図10】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、最も応力が加わった状態でのウエハ押さえ部材の形状を示す側面図である。
【図11】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造に用いられるウエハ押さえ部材を構成するクッション材料の曲げ弾性率と、クッション応力との相関図である。
【図12】実施例1のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造に用いられるウエハ押さえ部材を構成するクッション材料の曲げ弾性率と、ウエハ応力との相関図である。
【図13】実施例2のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、ウエハ押さえ部材の構成を説明する橋状体の側面図である。
【図14】実施例2のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、最も応力が加わった状態でのウエハ押さえ部材の形状を示し、図10に相当する側面図である。
【図15】実施例3のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、ウエハ押さえ部材の構成を説明する橋状体の側面図である。
【図16】実施例4のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、ウエハ押さえ部材の要部の構成を説明する縦断面図である。
【図17】実施例5のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、図18中A−A線に沿った位置での断面図である。
【図18】実施例5のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、ウエハ押さえ部材を下方から見た下面図である。
【図19】従来例のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造で、ウエハ押さえ部材の側面図である。
【符号の説明】
【0140】
6 容器本体
6a 開口部
7 蓋体
7a 裏面側
8,18,28,38
ウエハ押さえ部材
9,19,29 ウエハ接触部
9a 外側端部
11,11 水平部
13,13 立ち上がり部
14,14 円弧部
15 中央連結部
16,26,36移動抑制突起
17,117 ストッパ突起部
20 ウエハ搬送容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を設けた有底箱状の容器本体の内部に、円板状の半導体ウエハを収納すると共に、該開口部に装着されて該開口部を閉塞する蓋体を設け、該蓋体の内側には、前記容器本体内に収納された半導体ウエハの上縁部に弾接して、保持するウエハ押さえ部材を設けてなるウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造であって、
前記ウエハ押さえ部材は、前記半導体ウエハに弾接されるウエハ接触部と、該ウエハ接触部の両側に設けられて、前記蓋体の裏面側に固定される一対の支持枠部との間に、該支持枠部下面側から水平に延設されると共に、一定の幅で、しかも、弾性変形可能な長さを有して架設される水平部を各々設けて、該水平部の内側に連結されて下向きに凸状の円弧部によって、前記ウエハ接触部を支持することを特徴とするウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造。
【請求項2】
前記水平部よりも前記ウエハ接触部が下方に位置すると共に、該水平部の内側端部とウエハ接触部の外側端部との間を上下方向で連結する立ち上がり部を設け、該立ち上がり部には、内向きに一定の傾斜角度が与えられていることを特徴とする請求項1記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造。
【請求項3】
前記ウエハ接触部を支持する円弧部を左右一対形成すると共に、該両円弧部間を上向きに凸状の中央連結部で一体に連結することを特徴とする請求項1又は2記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造。
【請求項4】
前記中央連結部の上方には、前記蓋体の裏面側から突設されて、所望の位置で、前記ウエハ接触部の変形を停止させるストッパ突起部が設けられていることを特徴とする請求項3記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造。
【請求項5】
前記水平部、立ち上がり部、円弧部及び中央連結部は、該水平部と略同一の一定の幅を有して一体に形成されると共に、略一定の厚みを有することを特徴とする請求項3又は4記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造。
【請求項6】
前記ウエハ接触部は、前記円弧部の幅方向に一対となるように、該円弧部の内側端部近傍位置から下向きに突設されて、介装により半導体ウエハの上縁部を保持する移動抑制突起部を有することを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか一項記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造。
【請求項7】
前記ウエハ押さえ部材は、曲げ弾性率1〜2.5GPaの物性を有する材料が用いられて、構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか一項記載のウエハ搬送容器のウエハ押さえ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−141106(P2008−141106A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328047(P2006−328047)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(596163747)株式会社ヴァンテック (10)
【Fターム(参考)】