説明

ウエハ検査装置およびウエハ検査方法、ならびにコンピュータプログラム

【課題】プローブのプリヒート時間を短縮し、プローブおよびウエハへのダメージを防止できるウエハ検査装置を提供する。
【解決手段】上面に半導体ウエハを載置して半導体ウエハを所定の温度に加熱または冷却するステージと、ステージを上下方向に駆動する駆動機構と、ステージの上方に設置され、半導体ウエハのボンディングパッドと接触して信号を伝達するためのプローブ針を有するプローブカードと、半導体ウエハのボンディングパッドをプローブカードのプローブ針に接触させるように駆動機構を制御する位置制御装置と、プローブ針をボンディングパッドに接触させた後の経過時間を計測する計時手段とを備え、位置制御装置は、半導体ウエハを検査する所定の温度と、プローブ針をボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、プローブ針にボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて駆動機構の位置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハに形成された多数のICチップの電気的特性を測定する検査装置および検査方法、ならびにコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、単にウエハという)に形成された多数のICチップ(以下、デバイスという)の電気的特性を測定する検査装置は、例えば、ウエハを搬送するローダ部と、ローダ部から引き渡されたウエハの各デバイスの電気的特性を測定するプローバ部とを備えて構成されている。前記ローダ部には、ウエハをカセット単位で載置するカセット載置部と、ウエハをローダ部へ搬送するピンセットと、ウエハをピンセットで保持して搬送する過程で、そのオリフラを基準にしてウエハの向きを合わせてプリアライメントするサブチャックとが配設されている。さらに、プローバ部にはピンセットからプリアライメント後のウエハを受け取って載置するX、Y、Z及びθ方向で移動可能なメインチャック(ステージ)と、メインチャック上のウエハを正確に位置合わせするアライメント機構と、位置合わせしたのち、ウエハの電極パッドと電気的に導通するように接触するプローブ針を有するプローブカードとが配設されている。
【0003】
また、ウエハ検査装置のテスタにはテストヘッドが付帯し、このテストヘッドは、プローバ部のヘッドプレートに装着されたプローブカードと電気的に接続され、テスタとプローブカード間での信号の授受を仲介している。そして、プローブ装置とテスタ間で信号を授受してウエハに形成されたデバイスの電気的検査を行うようにしてある。
【0004】
ウエハの検査を高温または低温で行う場合、プローブ自体が温度によって伸縮するため、検査を開始する前にプローブを検査する温度に加熱(プリヒート)または冷却する必要がある。
【0005】
プローブを熱源(チャック)に近づけた(接触させない)状態でプリヒートを行うと、プローブが目標の温度に到達するのに数分から数十分を要する。また、チャック上の検査対象であるウエハに接触させた状態でプリヒートを行うと、時間は短縮できるが、プローブカードの熱変形および探針の伸縮によって、プローブまたはウエハにダメージを与える可能性が大きい。
【0006】
プローブカード面に対するステージの相対位置を、プローブ針の伸縮に合わせて温度テストの開始から終了まで略一定に保持する技術が提案されている。例えば、特許文献1は、プローブカードの温度及び接続部材にプローブカードが接触する圧力の少なくとも一方を検出し、得られた値に基づいて加熱ステージの位置を補正する方法が記載されている。
【0007】
しかし、特許文献1の技術では、プローブカードまたはその周辺に温度センサまたは圧力センサを配置して、温度または圧力を検知する必要がある。そのため、プローブカード周辺の構造が複雑になり、ウエハ検査装置のコストが増加し、保守の手間もかかる。
【0008】
また、特許文献2は、ウエハとウエハ・プローブ・ピン・モジュールとを夫々個別の温度制御系で加熱/冷却する加熱/冷却手段を設け、差動トランス等により熱膨張量の差を検出し、差がなくなるようにウエハ・プローブ・ピン・モジュールの側の加熱/冷却手段を負帰還制御して熱膨張量を均等にする技術が記載されている。
【0009】
しかし、特許文献2の技術では、プローブカード側に独立の加熱/冷却手段が必要である。そのため、ウエハ検査装置が複雑になり、ウエハ検査装置のコストが増加し、保守の手間もかかるという欠点がある。
【特許文献1】特開平11−176893号公報
【特許文献2】特開2000−299360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、ウエハ検査を高温または低温で行う場合に、圧力センサや独立の加熱/冷却手段を必要とせずに、プローブと被検査物の接触を正常に保ち、プローブのプリヒート時間を短縮し、かつプローブおよびウエハへのダメージを防止することのできるウエハ検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点に係るウエハ検査装置は、内部に加熱器または冷却器が設けられ、上面に半導体ウエハを載置して前記半導体ウエハを所定の温度に加熱または冷却するステージと、
前記ステージを上下方向に駆動する駆動機構と、
前記ステージの上方に設置され、前記半導体ウエハ上に形成されたボンディングパッドと接触して信号を伝達するためのプローブ針を有するプローブカードと、
前記半導体ウエハのボンディングパッドを前記プローブカードのプローブ針に接触させるように前記駆動機構を制御する位置制御装置と、
前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間を計測する計時手段と、
を備え、
前記位置制御装置は、
前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時手段で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御する、
ことを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記ステージに載置され、所定の温度に加熱または冷却された前記半導体ウエハのボンディングパッドに、前記プローブ針を接触させたのちの経過時間と前記プローブ針の伸縮との関係をあらかじめ計測した結果を記憶するプローブ変化記憶手段を備え、
前記位置制御装置は、
前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時手段で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間と、前記プローブ変化記憶手段に記憶された前記経過時間とプローブ針の伸縮との関係とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御する、
ことを特徴とする。
【0013】
好ましくは、さらに、前回半導体ウエハを検査したときの所定の温度を記憶する前回温度記憶手段と、
前回検査を終了して前記プローブ針を前記半導体ウエハのボンディングパッドから離間させた後の経過時間を計測する離間後計時手段と、
前記前回温度記憶手段に記憶された前回検査時の所定の温度と、前記離間後計時手段で計測される前回検査を終了して前記プローブ針を前記半導体ウエハのボンディングパッドから離間させた後の経過時間とに基づいて前記プローブ針の伸縮を推定する伸縮推定手段と、
を備え、
前記位置制御装置は、
前記伸縮推定手段によって推定される前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させたときの前記プローブ針の伸縮と、前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時手段で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御する、
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の観点に係るウエハ検査方法は、内部に加熱器または冷却器が設けられ、上面に半導体ウエハを載置して前記半導体ウエハを所定の温度に加熱または冷却するステージと、
前記ステージを上下方向に駆動する駆動機構と、
前記ステージの上方に設置され、前記半導体ウエハ上に形成されたボンディングパッドと接触して信号を伝達するためのプローブ針を有するプローブカードと、
前記半導体ウエハのボンディングパッドを前記プローブカードのプローブ針に接触させるように前記駆動機構を制御する位置制御装置と、を備えるウエハ検査装置のウエハ検査方法において、
前記ウエハ検査装置は、前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間を計測する計時手段を備え、
前記ウエハ検査方法は、
前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間を計測する計時工程と、
前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時工程で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御するステージ位置補正工程と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記ウエハ検査装置は、前記ステージに載置され、所定の温度に加熱または冷却された前記半導体ウエハのボンディングパッドに、前記プローブ針を接触させたのちの経過時間と前記プローブ針の伸縮との関係をあらかじめ計測した結果を記憶するプローブ変化記憶手段を備え、
前記ステージ位置補正工程は、
前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時工程で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間と、前記プローブ変化記憶手段に記憶された前記経過時間とプローブ針の伸縮との関係とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御する、
ことを特徴とする。
【0016】
好ましくは、さらに、前回半導体ウエハを検査したときの所定の温度を記憶する前回温度記憶工程と、
前回検査を終了して前記プローブ針を前記半導体ウエハのボンディングパッドから離間させた後の経過時間を計測する離間後計時工程と、
前記前回温度記憶工程で記憶された前回検査時の所定の温度と、前記離間後計時工程で計測される前回検査を終了して前記プローブ針を前記半導体ウエハのボンディングパッドから離間させた後の経過時間とに基づいて前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させたときの前記プローブ針の伸縮を推定する伸縮推定工程と、
をさらに備え、
前記ステージ位置補正工程は、
前記伸縮推定工程で推定される前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させたときの前記プローブ針の伸縮と、前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時工程で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御する、
ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第3の観点に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、
内部に加熱器または冷却器が設けられ、上面に半導体ウエハを載置して前記半導体ウエハを所定の温度に加熱または冷却するステージと、
前記ステージを上下方向に駆動する駆動機構と、
前記ステージの上方に設置され、前記半導体ウエハ上に形成されたボンディングパッドと接触して信号を伝達するためのプローブ針を有するプローブカードと、
前記半導体ウエハのボンディングパッドを前記プローブカードのプローブ針に接触させるように前記駆動機構を制御する位置制御装置と、を備えるウエハ検査装置として機能させるコンピュータプログラムにおいて、
前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間を計測する計時手段と、
前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時手段で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御するステージ位置補正手段と、
して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るウエハ検査装置は、チャックに接触させずにプローブをプリヒートする方法に比べて、プリヒートの時間を数分の1ないし数十分の1に短縮できる。温度または圧力等のセンサを必要とせず、従来技術と同じハードウェア(H/W)構成で実現できるので、追加のH/Wコストがかからない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係るウエハ検査装置の構成図である。図1において、ウエハ検査装置1は、カセットC内に収納されたウエハWを搬送するローダ部3と、このローダ部3から搬送されたウエハWの電気的特性を測定するプローバ部4と、これら両者3、4をそれぞれ駆動制御する位置制御装置2と、この位置制御装置2を操作する操作パネルを兼ねる表示装置6とを備えて構成されている。また、テスタ5にはテストヘッド7が付帯し、このテストヘッド7は、検査時にはプローバ部4のヘッドプレート8に装着されたプローブカード9と電気的に接続し、メンテナンス時等にはプローバ部4から退避できるようにしてある。
【0021】
ローダ部3にはオリフラを基準にしてウエハWをプリアライメントするサブチャック(図示せず)が配設され、ローダ部3からプローバ部4へウエハWを搬送する間にローダ部3内のサブチャックによりウエハWをプリアライメントするようにしてある。
【0022】
プローバ部4は、ウエハWを真空吸着して載置するステージであるメインチャック10と、このメインチャック10を水平面内の直交する2方向X、Y、高さ方向Zおよび水平面内の回転であるθ方向へ移動させる駆動機構11とを備える。また、プローバ部4は、プローブカード9のプローブ針9Aをメインチャック10上のウエハWに対して位置合わせするアライメント機構12を備える。駆動機構11およびアライメント機構12を動作させて、メインチャック10上のウエハWの各デバイスの電極パッドとプローブカード9の複数のプローブ針9Aとを位置合わせして、これら両者を電気的に接触させるようにしてある。また、ウエハ検査装置1にはメインチャック10を加熱または冷却する加熱/冷却装置13が付帯している。
【0023】
例えば、メインチャック10には、冷却装置13とペルチエ素子(図示せず)が付設されている。低温試験を実施する場合には、ペルチエ素子によりメインチャック10の平板状のチャックトップを冷却すると共に、冷却装置13によりメインチャック10の裏面側を冷却する。高温試験を実施する場合などにはペルチエ素子に冷却時とは逆方向に電流を流してチャックトップを加熱するように構成する。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係る位置制御装置2のブロック図である。実施の形態に係る位置制御装置2は、図2に示すように、制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、入力部24、表示部25、送受信部26、出力部27および計時部28から構成される。主記憶部22、外部記憶部23、入力部24、表示部25、送受信部26、出力部27および計時部28はいずれも内部バス20を介して制御部21に接続されている。
【0025】
制御部21はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部23に記憶されているプログラムに従って、位置制御装置2の状態を監視し、入力部24の入力に応じた処理を実行し、処理の結果、表示部25に入力された情報や駆動部の制御の状況等を表示する。
【0026】
主記憶部22はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、制御部21の作業領域として用いられる。
【0027】
外部記憶部23は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc Rewritable)等の不揮発性メモリから構成され、前記の処理を制御部21に行わせるためのプログラムを予め記憶し、また、制御部21の指示に従って、このプログラムやそのほかプログラムが利用するデータを制御部21に供給し、制御部21から供給されたデータを記憶する。外部記憶部23は、例えば、後述するあらかじめ測定された経過時間とプローブ針先端位置変位の関係を記憶する。
【0028】
入力部24はキーボードまたはキースイッチ、およびマウスまたはジョイスティックなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス20に接続するインターフェース装置から構成されている。入力部24を介して、駆動機構11を制御するためのパラメータなどが入力され制御部21に供給される。
【0029】
表示部25は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、入力された駆動機構11を制御するためのパラメータや、駆動機構11の制御の状況、例えば現在のステージの位置座標などを表示する。
【0030】
送受信部26は、モデム又は網終端装置などと接続するシリアルインタフェース又はLAN(Local Area Network)インターフェースから構成されている。制御部21は、送受信部26を介して、テスタ5(図1参照)に必要な情報を送信し、テスタ5から結果情報を受信する。例えば、テスタ5へ検査開始可能になったことを送信し、テスタ5から検査の終了を受信する。
【0031】
出力部27は、シリアルインターフェースまたはパラレルインタフェースから構成されている。場合によっては、プリンタとプリンタインターフェースを含んで構成されている。出力部27は制御部21の指令に従って、駆動機構11への制御指示値の出力を行う。駆動機構11がフィードバック制御を行う場合には、出力部27はまた、メインチャック10の位置や速度などのフィードバック情報を駆動機構11から入力する。
【0032】
計時部28は、例えば水晶発振器を備え、水晶発振器で発振されるクロックパルスをカウントするカウンタおよび時計とから構成される。計時部28は、制御部21の指令によって任意の時間のタイマとして動作し、また、制御部21に現在時刻を供給する。例えば、制御部21は、計時部28のカウンタにある値をセットしてタイマを起動すると、計時部28はクロックパルス発生ごとにカウンタから1を減算し、カウンタの値が0になったときに、制御部21への割り込み信号を発生する。これにより、制御部21は一定の時間を計測することができる。また、計時部28の時計は基準時刻からクロックパルスをカウントし、制御部21はカウント値を計時部28から読み込むことによって、基準時刻からの時間経過、すなわち現在時刻を知ることができる。
【0033】
図3は、例えばウエハWが高温に保持された場合に、プローブ針9AをウエハWのボンディングパッドに接触させたのちの経過時間と、プローブ針9Aの先端位置が変位する関係を表したグラフである。図3の(a)は、プローブカード9およびプローブ針9Aの熱伝導度と熱膨張係数から、推定されるプローブ針9Aの先端位置の変位を表す。図3の(b)は、ウエハ検査装置1において、実際にある温度に保持されたウエハWにプローブ針9Aを接触させて、プローブ針9Aの先端位置を計測した結果の一例を模式的に表したグラフである。実際にプローブ針9Aの先端位置の変位を計測するには、プローブ針9Aを接触させて、一定時間ごとにわずかに離してその先端位置をカメラなどを用いて画像計測する。
【0034】
図3の(b)では、プローブ針9Aの先端位置は、一旦伸びたのちに少し縮んでいる。これは、プローブ針9Aが膨張したのち、プローブカード9が遅れて加熱されて変形することが原因と考えられる。簡易的には、図3の(a)に示すような、解析的に求めた経過時間とプローブ針9Aの先端位置の関係を用いて、駆動機構11の高さを制御することにより、プローブ針9Aをほぼ一定の圧力でウエハWに接触させることができる。より正確には、例えば図3の(b)に示すような実測データに基づいて、メインチャック10(ステージ)の高さを制御することが好ましい。
【0035】
図3に示すような経過時間とプローブ針先端位置の関係は、プローブ針9Aがウエハに接触してからプローブ針9Aの先端位置が充分安定するまで、一定時間ごとのプローブ針9Aの位置(基準点からの距離)の値の列として、外部記憶部23に記憶される。プローブ針9AをウエハWに接触させた初期は、プローブ針9Aの伸縮率が大きいので、初期の時間間隔を短くし、次第に時間間隔を長くしてもよい。その場合、経過時間とプローブ針先端位置変位の関係は、時間間隔と位置を対とするデータで記憶される。
【0036】
プローブカード9とウエハWとが電気的に導通するためには、プローブ針9Aが一定の圧力でウエハWのボンディングパッドに接触するように、図3に示されるプローブ針9Aの先端位置に対して、プローブ針9Aに一定の歪みを与えるように駆動機構11をオーバドライブ制御する。例えば、オーバドライブ量は10μmである。
【0037】
次に、実施の形態1に係るウエハ検査装置1の動作について説明する。図4は、実施の形態1に係るウエハ検査装置1において、プローブ針9Aおよびプローブカード9をプリヒートするためのメインチャック10(ステージ)の制御動作の一例を示すフローチャートである。ウエハWを検査する温度に保持し、駆動機構11とアライメント機構12を制御して、プローブ針9AをウエハWのボンディングパッドに接触させたところから、プリヒートの動作が開始される。
【0038】
まず、制御部21は、計時部28のカウンタに所定の値をセットして、一定時間が経過するまで待つ(ステップA1)。この一定の時間は、前述の経過時間とプローブ針先端位置の関係の、プローブ針9Aの位置の値の列における、隣り合う数値の間の時間間隔である。一定時間は、プローブ針9Aの伸びが駆動機構11の制御の分解能以上で、プローブ針9Aまたはウエハが損傷しない範囲で決められる。例えば、一定時間は10秒である。時間間隔は、前述したように初期は短く、次第に長くなるようにしてもよい。その場合制御部21は、次の時間間隔の値を外部記憶部23から読み込んで、計時部28のカウンタにセットする。
【0039】
次に、制御部21は、外部記憶部23に格納されている経過時間とプローブ針先端位置の関係(例えば図3の(b)で表される関係)から、次の値(補正予測値)を読み込む(ステップA2)。補正予測値がある場合は(ステップA3;Yes)、メインチャック10(ステージ)の高さを補正する値を計算する(ステップA4)。読み込んだ補正予測値は基準点からの距離なので、メインチャック10の高さに変換し、オーバドライブ量を加えて駆動機構11の制御量とする。制御部21は、その制御量を駆動機構11に指令して、メインチャック10(ステージ)の高さを補正する(ステップA5)。そして、一定時間が経過するまで待つステップA1に戻る。
【0040】
ステップA1からステップA5までの動作を繰り返し、経過時間とプローブ針先端位置の関係の補正予測値がなくなったら(ステップA3;No)、すなわちプローブ針9Aの先端位置が充分安定したら、制御部21は、プリヒートが終了したことを送受信部26を経由してテスタ5に通知し、ウエハ検査を開始する(ステップA6)。
【0041】
このようにして、プローブ針9AをウエハWのボンディングパッドに接触させた状態で、プローブ針9AおよびウエハWに損傷を与えることなく、プローブ針9Aおよびプローブカード9をプリヒートすることができる。その結果、ウエハWに接触させずにプローブ針9Aおよびプローブカード9をプリヒートする方法に比べて、プリヒートの時間を数分の1ないし数十分の1に短縮できる。
【0042】
なお、実施の形態1では、ウエハWを加熱する場合について説明したが、ウエハWを冷却する場合も同様にしてプローブ針9Aおよびプローブカード9の冷却時間を短縮することができる。その場合、プローブ針9Aの先端位置の変位は、図3で示される例と上下が逆になるような曲線で表される。ウエハWを冷却する場合も、実際にプローブ針9Aの先端の変位をあらかじめ計測して、経過時間とプローブ針先端位置の関係を外部記憶部23に格納しておくことが好ましい。
【0043】
(実施の形態2)
次に、前回のウエハ検査温度と前回検査が終了した後の経過時間を用いて、正確かつ短時間でプリヒートする場合の実施の形態2について、図5および図6を参照して説明する。実施の形態2に係るウエハ検査装置1および位置制御装置2の構成は、実施の形態1と同様である。
【0044】
図5は、1回目のウエハ検査を終了し、プローブ針9AをウエハWから離間してからの経過時間を含んで、2回目の検査のためのプリヒートを行う場合の経過時間とプローブ針先端位置の変位の例を示す図である。図5において、点Eは1回目の検査を終了してプローブ針9AをウエハWから離間したときを示す。点Sは、一旦離間させたのち、プローブ針9Aを再びウエハWに接触させたときを示す。例えば、1枚目のウエハWの検査を終えて、次のウエハWに交換して、検査を行うような場合である。
【0045】
図5において、グラフの原点(最初にプローブ針9AをウエハWに接触させたとき)から点Eまでは、図3(b)と同様である。ただし、プローブ針9Aの先端位置が安定してから検査を行っている時間を短縮して表している。点Eでプローブ針9AをウエハWから離間させると、プローブ針9Aおよびプローブカード9は自然冷却するので、プローブ針先端位置は元に戻っていく。最初の温度まで充分冷却されないうちに、プローブ針9AをウエハWに接触させると、点Sから右の曲線で表されるように、最初のプリヒートより短い時間でウエハWの温度に近づくので、プリヒート時間は短い。また、2回目のプリヒートにおけるプローブ針先端位置変位は、最初のプリヒートにおけるプローブ針先端位置の変位曲線の途中から始まるような曲線になる。
【0046】
そこで、プローブ針9Aおよびプローブカード9が自然放熱する場合の、時間経過に対するプローブ針先端位置変位がわかれば、前回の検査を終了してプローブ針9Aをウエハから離間させてからの経過時間と、前回のウエハ検査の温度および次のウエハ検査の温度から、次のプリヒートにおけるプローブ針先端位置変位を予測することができる。プローブ針9Aおよびプローブカード9が自然放熱する場合の、時間経過に対するプローブ針先端位置変位の関係は実際に計測して知ることができる。
【0047】
実施の形態2では、プローブ針9Aおよびプローブカード9が自然放熱する場合の、時間経過に対するプローブ針先端位置変位の関係をあらかじめ計測して、外部記憶部23に記憶しておき、前回検査終了してプローブ針9Aをウエハから離間させたのちの経過時間から、次のプリヒートが最初のプリヒートにおけるプローブ針先端位置の変位曲線のどの点から始まるかを推定して、メインチャック10の高さ制御を行う。その結果、プローブ針9AとウエハWの接触が適正に保持され、かつプリヒート時間を短縮することができる。
【0048】
次に、実施の形態2に係るウエハ検査装置1の動作について説明する。図6は、実施の形態2に係るウエハ検査装置1において、プローブ針9Aおよびプローブカード9をプリヒートするためのメインチャック10(ステージ)の制御動作の一例を示すフローチャートである。前回の検査が終了し、次の検査のウエハWを検査する温度に保持し、駆動機構11とアライメント機構12を制御して、プローブ針9AをウエハWのボンディングパッドに接触させたところから、プリヒートの動作が開始される。
【0049】
制御部21は、外部記憶部23に記憶されていた前回検査の温度を読み込む(ステップB1)。つぎにテスタ5から、または入力部24から入力された今回の検査温度を入力する(ステップB2)。そして、前回検査を終了してプローブ針9AをウエハWから離間させた時刻を外部記憶部23から読み込み、今回検査開始時刻を計時部28から読み込んで、両者の差からプローブ針9AをウエハWから離間させてからの経過時間を計測する(ステップB3)。
【0050】
前回検査の温度と前回検査終了後の経過時間から、自然放熱の場合のプローブ針先端位置変異の関係を用いて、現在のプローブ針先端位置変位を推定する(ステップB4)。今回の検査温度における接触後経過時間に対するプローブ針先端位置の関係と、現在のプローブ針先端位置変位の推定値から、今回のプリヒートにおける経過時間に対するプローブ針先端位置変位の関係を計算する(ステップB5)。例えば、今回の検査温度における接触後経過時間に対するプローブ針先端位置変位の関係のどの点から始まるかを推定し、その後の関係(プローブ針先端位置変位の値の列)を、今回のプリヒートにおける経過時間に対するプローブ針先端位置変位の関係とする。
【0051】
以後、所定の時間経過を待つステップB6からステージの高さを補正するステップB10は、実施の形態1のステップA1からA5までと同様なので説明を省略する。
【0052】
今回のプリヒートにおける経過時間に対するプローブ針先端位置変位の関係の補正予測値がなくなったら(ステップB8;No)、すなわちプローブ針9Aの先端位置が充分安定したら、制御部21は、プリヒートが終了したことを送受信部26を経由してテスタ5に通知し、ウエハ検査を開始し(ステップB11)、検査終了を待つ(ステップB12)。
【0053】
テスタ5から検査終了通知を送受信部26を経由して受信したら、制御部21は、ステージを下げて次の動作に備え、今回の検査温度と検査終了時刻(プローブ針9AをウエハWから離間させた時刻)を、外部記憶部23に書き込む(ステップB13)。外部記憶部23に書き込んだ今回の検査温度と検査終了時刻は、次回の検査におけるプリヒート制御のステップB1およびステップB3で読み込まれる。
【0054】
こうして、前回検査してからプローブ針9Aおよびプローブカード9が充分冷却されない(周囲温度にならない)うちに、次のプリヒートを行う場合に、プローブ針9AとウエハWの接触が適正に保持し、かつプリヒート時間を短縮することができる。
【0055】
なお、実施の形態2において、図5では、前回検査温度と今回検査温度が同じである場合を説明したが、前回検査温度と今回検査温度が異なる場合、例えば、前回が低温で今回が高温の場合、または前回が高温で今回が低温、あるいは低温または高温に2段階あるような場合にも、今回検査温度の接触後経過時間に対するプローブ針先端位置変位の関係において、どの点から始まるかを推定することによって、同じようにステージ高さを制御して、プローブ針9AとウエハWの接触が適正に保持し、かつプリヒート時間を短縮することができる。
【0056】
また、ウエハ検査装置の周囲温度または検査温度が異なる場合においても、図3に示すような接触後経過時間に対するプローブ針先端位置変位の関係を適当に補正して、適用することができる。簡易的には、ウエハ検査装置の周囲温度が異なることは、プローブ針先端位置変位曲線の開始点を前後に移動することに相当する。検査温度が異なることは、プローブ針先端位置変位曲線を上下に移動して、かつ温度差を合わせるように開始点を前後に移動することに相当する。
【0057】
その他、前記のハードウエア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更及び修正が可能である。
【0058】
ウエハ検査装置1の位置制御装置2は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読みとり可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する位置制御装置2を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで本発明のウエハ検査装置1を構成してもよい。
【0059】
また、前記の各機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0060】
また、搬送波に上述のコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係るウエハ検査装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る位置制御装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る経過時間とプローブ針先端位置変位の関係の例を表す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るウエハ検査装置において、プリヒートするためのステージの制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2において、1回目のウエハ検査を終了し、プローブ針をウエハから離間してからの経過時間を含んで、2回目の検査のためのプリヒートを行う場合の経過時間とプローブ針先端位置変位の関係の例を表す図である。
【図6】実施の形態2に係るウエハ検査装置において、プリヒートするためのステージの制御動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 ウエハ検査装置
2 位置制御装置
3 ローダ部
4 プローバ部
5 テスタ
6 表示装置
7 テストヘッド
8 ヘッドプレート
9 プローブカード
9A プローブ針
10 メインチャック(ステージ)
11 駆動機構
12 アライメント機構
13 加熱/冷却装置
20 内部バス
21 制御部
22 主記憶部
23 外部記憶部
24 入力部
25 表示部
26 送受信部
27 出力部
28 計時部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に加熱器または冷却器が設けられ、上面に半導体ウエハを載置して前記半導体ウエハを所定の温度に加熱または冷却するステージと、
前記ステージを上下方向に駆動する駆動機構と、
前記ステージの上方に設置され、前記半導体ウエハ上に形成されたボンディングパッドと接触して信号を伝達するためのプローブ針を有するプローブカードと、
前記半導体ウエハのボンディングパッドを前記プローブカードのプローブ針に接触させるように前記駆動機構を制御する位置制御装置と、
前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間を計測する計時手段と、
を備え、
前記位置制御装置は、
前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時手段で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御する、
ことを特徴とするウエハ検査装置。
【請求項2】
前記ステージに載置され、所定の温度に加熱または冷却された前記半導体ウエハのボンディングパッドに、前記プローブ針を接触させたのちの経過時間と前記プローブ針の伸縮との関係をあらかじめ計測した結果を記憶するプローブ変化記憶手段を備え、
前記位置制御装置は、
前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時手段で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間と、前記プローブ変化記憶手段に記憶された前記経過時間とプローブ針の伸縮との関係とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のウエハ検査装置。
【請求項3】
前回半導体ウエハを検査したときの所定の温度を記憶する前回温度記憶手段と、
前回検査を終了して前記プローブ針を前記半導体ウエハのボンディングパッドから離間させた後の経過時間を計測する離間後計時手段と、
前記前回温度記憶手段に記憶された前回検査時の所定の温度と、前記離間後計時手段で計測される前回検査を終了して前記プローブ針を前記半導体ウエハのボンディングパッドから離間させた後の経過時間とに基づいて前記プローブ針の伸縮を推定する伸縮推定手段と、
を備え、
前記位置制御装置は、
前記伸縮推定手段によって推定される前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させたときの前記プローブ針の伸縮と、前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時手段で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウエハ検査装置。
【請求項4】
内部に加熱器または冷却器が設けられ、上面に半導体ウエハを載置して前記半導体ウエハを所定の温度に加熱または冷却するステージと、
前記ステージを上下方向に駆動する駆動機構と、
前記ステージの上方に設置され、前記半導体ウエハ上に形成されたボンディングパッドと接触して信号を伝達するためのプローブ針を有するプローブカードと、
前記半導体ウエハのボンディングパッドを前記プローブカードのプローブ針に接触させるように前記駆動機構を制御する位置制御装置と、を備えるウエハ検査装置のウエハ検査方法において、
前記ウエハ検査装置は、前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間を計測する計時手段を備え、
前記ウエハ検査方法は、
前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間を計測する計時工程と、
前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時工程で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御するステージ位置補正工程と、
を備えることを特徴とするウエハ検査方法。
【請求項5】
前記ウエハ検査装置は、前記ステージに載置され、所定の温度に加熱または冷却された前記半導体ウエハのボンディングパッドに、前記プローブ針を接触させたのちの経過時間と前記プローブ針の伸縮との関係をあらかじめ計測した結果を記憶するプローブ変化記憶手段を備え、
前記ステージ位置補正工程は、
前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時工程で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間と、前記プローブ変化記憶手段に記憶された前記経過時間とプローブ針の伸縮との関係とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載のウエハ検査方法。
【請求項6】
前回半導体ウエハを検査したときの所定の温度を記憶する前回温度記憶工程と、
前回検査を終了して前記プローブ針を前記半導体ウエハのボンディングパッドから離間させた後の経過時間を計測する離間後計時工程と、
前記前回温度記憶工程で記憶された前回検査時の所定の温度と、前記離間後計時工程で計測される前回検査を終了して前記プローブ針を前記半導体ウエハのボンディングパッドから離間させた後の経過時間とに基づいて前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させたときの前記プローブ針の温度を推定する温度推定工程と、
をさらに備え、
前記ステージ位置補正工程は、
前記温度推定工程で推定される前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させたときの前記プローブ針の温度と、前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時工程で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように、位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御する、
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のウエハ検査方法。
【請求項7】
コンピュータを、
内部に加熱器または冷却器が設けられ、上面に半導体ウエハを載置して前記半導体ウエハを所定の温度に加熱または冷却するステージと、
前記ステージを上下方向に駆動する駆動機構と、
前記ステージの上方に設置され、前記半導体ウエハ上に形成されたボンディングパッドと接触して信号を伝達するためのプローブ針を有するプローブカードと、
前記半導体ウエハのボンディングパッドを前記プローブカードのプローブ針に接触させるように前記駆動機構を制御する位置制御装置と、を備えるウエハ検査装置として機能させるコンピュータプログラムにおいて、
前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間を計測する計時手段と、
前記半導体ウエハを加熱または冷却する所定の温度と、前記計時手段で計測された前記プローブ針を前記ボンディングパッドに接触させた後の経過時間とに基づいて、前記プローブカードのプローブ針に前記半導体ウエハのボンディングパッドが所定の歪み量で接触するように位置補正値を加えて前記駆動機構の位置を制御するステージ位置補正手段と、
して機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−88203(P2007−88203A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275150(P2005−275150)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】