ウエーハの加工方法及び該加工方法により加工されたウエーハ
【課題】 環状凸部に発生する欠けを減少させるとともにエッチング液やレジスト液等の処理液を効率良くウエーハ外に排出可能なウエーハの加工方法を提供することである。
【解決手段】 ウエーハの加工方法であって、保持面と該保持面に対して垂直な回転軸を備える保持手段で保護部材が配設されたウエーハの表面側を保持する保持ステップと、研削砥石を回転させつつ回転駆動される該保持手段で保持されたウエーハの裏面に当接させてウエーハのデバイス領域に相当するウエーハの裏面を研削して裏面に円形凹部を形成するとともに、該円形凹部を囲繞する環状凸部を形成する研削ステップとを具備し、該研削ステップでは、該研削砥石と該保持手段とを相対移動させて該研削砥石をウエーハに接近する方向に研削送りするのと同時に該ウエーハの中心方向へ移動させることにより、該環状凸部の上面内周側から該円形凹部のウエーハ中心方向に向かって傾斜するテーパ面を形成することを特徴とする。
【解決手段】 ウエーハの加工方法であって、保持面と該保持面に対して垂直な回転軸を備える保持手段で保護部材が配設されたウエーハの表面側を保持する保持ステップと、研削砥石を回転させつつ回転駆動される該保持手段で保持されたウエーハの裏面に当接させてウエーハのデバイス領域に相当するウエーハの裏面を研削して裏面に円形凹部を形成するとともに、該円形凹部を囲繞する環状凸部を形成する研削ステップとを具備し、該研削ステップでは、該研削砥石と該保持手段とを相対移動させて該研削砥石をウエーハに接近する方向に研削送りするのと同時に該ウエーハの中心方向へ移動させることにより、該環状凸部の上面内周側から該円形凹部のウエーハ中心方向に向かって傾斜するテーパ面を形成することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄く加工されても取り扱いが容易なウエーハの加工方法及び該加工方法により加工されたウエーハに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造プロセスにおいては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配設されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC,LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切削装置で切削することにより、半導体ウエーハが個々の半導体チップ(デバイス)に分割される。
【0003】
分割されるウエーハは、ストリートに沿って切削する前に裏面を研削や研磨して所定の厚さに形成される。近年、電気機器の軽量化、小型化、薄型化を達成するために、ウエーハの厚さをより薄く、例えば50μm程度にすることが要求されている。薄化されたウエーハは、研削によって生成された研削歪を除去するために適宜数μm程度エッチングされる。
【0004】
このように薄く形成されたウエーハは取り扱いが困難になり、搬送等において破損する恐れがある。この問題を解消するために本出願人は、薄化されたウエーハのハンドリングを容易にしたウエーハの加工方法を特開2007−19461号公報で提案した。
【0005】
この方法では、デバイスが形成されたデバイス領域に対応するウエーハの裏面を研削してデバイス領域を所定の厚さへ薄化することでウエーハの裏面に円形凹部を形成するとともに、ウエーハの裏面における外周余剰領域を残存させて環状凸部(環状補強部)を形成することによりウエーハのハンドリングを容易にしている。
【0006】
一方、特開2009−21462号公報は、ウエーハの裏面を研削して円形凹部を形成するとともに該円形凹部を囲繞する環状凸部を形成した後、円形凹部内に再配線層を形成するウエーハの加工方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−319885号公報
【特許文献2】特開2007−19461号公報
【特許文献3】特開2009−21462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、円形凹部を囲繞する環状凸部の側面がウエーハの研削面に対して垂直である場合には、搬送等のハンドリング時に環状凸部の外周エッジが非常に欠け易いという問題がある。
【0009】
特に環状凸部の内周部分に欠けが生じると、後にエッチングを施した際、欠けた部分がよりエッチングされ易くなるために環状凸部が大きく浸食されて、その結果、環状凸部が補強部としての役目を果たせなくなってしまう。
【0010】
また、円形凹部を囲繞する環状凸部の側面がウエーハの研削面に対して垂直であるウエーハの円形凹部内に再配線層を形成する場合、フォトリソグラフィで使用するレジスト液が円形凹部外に排出されにくいという問題がある。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環状凸部に発生する欠けを減少させるとともにエッチング液やレジスト液等の処理液を効率良く円形凹部外に排出可能なウエーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、複数のデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを表面に備えたウエーハを加工するウエーハの加工方法であって、ウエーハの表面側に保護部材を配設する保護部材配設ステップと、保持面と該保持面に対して垂直な回転軸を備える保持手段で該保護部材が配設されたウエーハの表面側を保持する保持ステップと、研削砥石を回転させつつ回転駆動される該保持手段で保持されたウエーハの裏面に当接させてウエーハの該デバイス領域に相当するウエーハの裏面を研削して裏面に円形凹部を形成するとともに、該円形凹部を囲繞する環状凸部を形成する研削ステップとを具備し、該研削ステップでは、該研削砥石と該保持手段とを相対移動させて該研削砥石をウエーハに接近する方向に研削送りするのと同時に該ウエーハの中心方向へ移動させることにより、該環状凸部の上面内周側から該円形凹部のウエーハ中心方向に向かって傾斜するテーパ面を形成することを特徴とするウエーハの加工方法が提供される。
【0013】
好ましくは、ウエーハの加工方法は、仕上げ用研削砥石を用いて円形凹部を研削する仕上げ研削ステップと、円形凹部をエッチングして研削歪みを除去するエッチングステップとを更に具備している
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、環状凸部の内周側にはテーパ面が形成されているため、環状凸部に欠けが生じにくい。また、研削後のエッチング時にはテーパ面によって円形凹部内に供給されたエッチング液を円形凹部外へ排出され易くするとともに、円形凹部上に再配線層を形成する場合等においてレジスト液の円形凹部内からの排出が容易となる。
【0015】
更に、裏面研削によって円形凹部が形成されたウエーハを切削装置で個々のチップへと分割する際には、分割後の各チップのハンドリングを容易にするために、裏面にダイシングテープを貼着しているが、本願発明では環状凸部にテーパ面が形成されているため、ダイシングテープ貼着時に環状凸部と円形凹部との間に気泡が発生されることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のウエーハの加工方法を実施するのに適した研削装置の外観斜視図である。
【図2】半導体ウエーハの表側斜視図である。
【図3】表面に保護テープが貼着された状態の半導体ウエーハの裏面側斜視図である。
【図4】本発明のウエーハの加工方法を示すフローチャートである。
【図5】粗研削ユニットにより実施される円形凹部研削ステップの斜視図である。
【図6】粗研削ユニットにより実施される円形凹部研削ステップの説明図である。
【図7】テーパ面の形成方法を説明する半導体ウエーハの一部破断断面図である。
【図8】環状凸部の内周面にテーパ面を有する円形凹部研削ステップが実施された半導体ウエーハの断面図である。
【図9】仕上げ研削ユニットにより実施される仕上げ研削ステップの斜視図である。
【図10】仕上げ研削ステップを説明する半導体ウエーハの一部破断断面図である。
【図11】仕上げ研削ステップが実施された半導体ウエーハの断面図である。
【図12】エッチングステップの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明実施形態のウエーハの加工方法を詳細に説明する。図1を参照すると、本発明実施形態のウエーハの加工方法を実施するのに適した研削装置の斜視図が示されている。研削装置は、略直方体形状の装置ハウジング2を具備している。装置ハウジング2の右上端には、垂直支持板4が隣接されている。
【0018】
垂直支持板4の内側面には、上下方向に伸びる2対の案内レール6及び8が設けられている。一方の案内レール6には粗研削ユニット10が上下方向に移動可能に装着されており、他方の案内レール8には仕上げ研削ユニット12が上下方向に移動可能に装着されている。
【0019】
粗研削ユニット10は、ユニットハウジング14と、該ユニットハウジング14の下端に回転自在に装着されたホイールマウント16に装着された研削ホイール18と、ユニットハウジング14の下端に装着されホイールマウント16を反時計回り方向に回転する電動モータ20と、ユニットハウジング14が装着された移動基台22から構成される。
【0020】
研削ホイール18は、環状の砥石基台18aと、砥石基台18aの下面に装着された粗研削用の研削砥石18bから構成される。移動基台22には一対の被案内レール24が形成されており、これらの被案内レール24を垂直支持板4に設けられた案内レール6に移動可能に嵌合することにより、粗研削ユニット10が上下方向(Z軸方向)に移動可能に支持されている。
【0021】
26は粗研削ユニット10の移動基台22を案内レール6に沿って移動させ、研削ホイール18を研削送りする研削送り機構である。研削送り機構26は、垂直支持板4に案内レール6と平行に上下方向に配置され回転可能に支持されたボールねじ28と、ボールねじ28を回転駆動するパルスモータ30と、移動基台22に装着されボールねじ28に螺合する図示しないナットから構成される。
【0022】
パルスモータ30によってボールねじ28を正転又は逆転駆動することにより、粗研削ユニット10を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直方向)に移動する。尚、特に図示しないが粗研削ユニット10はY軸移動機構によりY軸方向に移動可能に構成されている。
【0023】
仕上げ研削ユニット12も粗研削ユニット10と同様に構成されており、ユニットハウジング32と、ユニットハウジング32の下端に回転自在に装着されたホイールマウント34に装着された研削ホイール36と、ユニットハウジング32の上端に装着されホイールマウント34を反時計回り方向に駆動する電動モータ38と、ユニットハウジング32が装着された移動基台40とから構成される。研削ホイール36は、環状の砥石基台36aと、砥石基台36aの下面に装着された仕上げ研削用の研削砥石36bから構成される。
【0024】
移動基台40には一対の被案内レール42が形成されており、これらの被案内レール42を垂直支持板4に設けられた案内レール8に移動可能に嵌合することにより、仕上げ研削ユニット12が上下方向に移動可能に支持されている。
【0025】
44は仕上げ研削ユニット12の移動基台40を案内レール8に沿って移動させ、研削ホイール36を研削送りする研削送り機構である。研削送り機構44は、垂直支持板4に案内レール8と平行に上下方向に配設され回転可能に支持されたボールねじ46と、ボールねじ46を回転駆動するパルスモータ48と、移動基台40に装着され、ボールねじ46に螺合する図示しないナットから構成される。
【0026】
パルスモータ48によってボールねじ46を正転又は逆転駆動することにより、仕上げ研削ユニット12は上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直方向)に移動される。
【0027】
研削装置は、垂直支持板4の前側において装置ハウジング2の上面と略面一となるように配設されたターンテーブル50を具備している。ターンテーブル50は比較的大径の円盤状に形成されており、図示しない回転駆動機構によって矢印51で示す方向に回転される。
【0028】
ターンテーブル50には、互いに円周方向に120度離間して3個のチャックテーブル52が水平面内で回転可能に配置されている。チャックテーブル52は、円盤状の枠体54とポーラスセラミック材によって円盤状に形成された吸着チャック56から構成されており、吸着チャック56の保持面上に載置されたウエーハを図示しない吸引手段を作動することにより吸引保持する。
【0029】
このように構成されたチャックテーブル52は、図示しない回転駆動機構によって矢印53で示す方向に回転される。ターンテーブル50に配設された3個のチャックテーブル52は、ターンテーブル50が適宜回転することにより、ウエーハ搬入・搬出領域A、粗研削加工領域B、仕上げ研削加工領域C、及びウエーハ搬入・搬出領域Aに順次移動される。
【0030】
研削装置は、ウエーハ搬入・搬出領域Aに対して一方側に配設され、研削加工前のウエーハをストックする第1のカセット58と、ウエーハ搬入・搬出領域Aに対して他方側に配置され、研削加工後のウエーハをストックする第2のカセット60を具備している。
【0031】
第1のカセット58とウエーハ搬入・搬出領域Aとの間には、第1のカセット58から搬出されたウエーハを載置する仮置きテーブル62が配設されている。ウエーハ搬入・搬出領域Aと第2のカセット60との間にはスピンナ洗浄手段68が配設されている。
【0032】
ウエーハ搬送手段70は、保持アーム72と、保持アーム72を移動する多節リンク機構74から構成され、第1のカセット58内に収納されたウエーハを仮置きテーブル60に搬出するとともに、スピンナ洗浄手段68で洗浄されたウエーハを第2のカセット60に搬送する。
【0033】
ウエーハ搬入手段76は、仮置きテーブル62上に載置された研削加工前のウエーハを、ウエーハ搬入・搬出領域Aに位置付けられたチャックテーブル52上に搬送する。ウエーハ搬出手段78は、ウエーハ搬入・搬出領域Aに位置付けられたチャックテーブル52上に載置されている研削加工後のウエーハを、スピンナ洗浄手段68に搬送する。
【0034】
第1のカセットを58内には、図2に示す半導体ウエーハ11が収納されている。半導体ウエーハ11は、例えば厚さが700μmのシリコンウエーハから成っており、表面11aに複数のストリート13が格子状に形成されているとともに、これら複数のストリート13によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス15が形成されている。
【0035】
このように構成された半導体ウエーハ11は、デバイス15が形成されているデバイス領域17と、デバイス領域17を囲繞する外周余剰領域19を備えている。尚、外周余剰領域19の幅は約2〜3mmに設定されている。半導体ウエーハ11の外周には、シリコンウエーハの結晶方位を示すマークとしてのノッチ21が形成されている。
【0036】
半導体ウエーハ11の表面11aには、保護テープ貼着工程により保護テープ23が貼着される。従って、半導体ウエーハ11の表面11aは保護テープ23によって保護され、図3に示すように、裏面11bが露出する状態となり、裏面11bを上側にして半導体ウエーハ11が複数枚第1のカセット58中に収納されている。
【0037】
図4を参照すると、本発明実施形態に係るウエーハ加工方法のフローチャートが示されている。ウエーハ11の表面11aには複数のデバイス15が形成されているため、ウエーハ11の研削前にステップS10でウエーハ11の表面側に保護部材を配設する。具体的には、例えば図3に示すようにウエーハ11の表面11aに保護テープ23を貼着する。
【0038】
次いで、ステップS11で保持面と保持面に対して垂直な回転軸を備えるチャックテーブル52等の保持手段でウエーハ11の表面側、即ち保護テープ23側を保持する。即ち、ウエーハ搬入・搬出領域Aに位置づけられたチャックテーブル52に対して、ウエーハ搬入手段76でウエーハ11を搬入し、チャックテーブル52の吸着チャック56でウエーハ11の保護テープ23側を吸引保持する。
【0039】
このようにチャックテーブル52でウエーハ11を保持したなら、ターンテーブル50を反時計回り方向に120度回転して粗研削加工領域Bに位置づける。そして、粗研削ユニット10を使用したステップS12の研削ステップを遂行する。
【0040】
即ち、図5及び図6に示すように、チャックテーブル52を矢印53で示す方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削砥石18bを矢印55で示す方向に例えば6000rpmで回転させるとともに、研削送り機構26を駆動して研削ホイール18の研削砥石18をウエーハ11のデバイス領域17に対応する裏面に接触させる。
【0041】
そして、研削ホイール11を所定の研削送り速度で下方に所定量研削送りするとともに、ウエーハ11の中心方向に同時に移動させる。即ち、図7(A)で研削ホイール18を矢印A方向に移動させながらデバイス領域17に対応するウエーハ11の裏面の研削を遂行する。
【0042】
その結果、ウエーハ11の裏面には、図7(B)及び図8に示すように、デバイス領域17に対応する領域が研削除去されて所定厚さ(例えば30μm)の円形状の凹部80が形成されるとともに、外周余剰領域19に対応する領域が残存されて環状凸部(環状補強部)82が形成される。更に、環状凸部82の上面82aの内周側から円形凹部80のウエーハ中心方向に向かって傾斜する環状テーパ面86が形成される。
【0043】
ここで、チャックテーブル52に保持されたウエーハ11と研削ホイール18を構成する研削砥石18bの関係について図6を参照して説明する。チャックテーブル52の回転中心P1と研削砥石18bの回転中心P2は偏心しており、研削砥石18bの外径はウエーハ11のデバイス領域17と外周余剰領域19との境界線84の直径より小さく、境界線84の半径より大きい寸法に設定され、環状に配置された研削砥石18bがチャックテーブル52の回転中心P1を通過するように設定されている。
【0044】
そして、研削砥石18bを垂直方向に研削送りするとともに、矢印57で示すようにウエーハ11の中心方向に同時に移動させる。具体的には、研削ホイール18を垂直方向に例えば5μm/秒で研削送りしながら水平方向に例えば10μm/秒で移動させるのが好ましい。
【0045】
ウエーハ11の粗研削が終了すると、ステップS13へ進んで仕上げ研削砥石36bを用いた仕上げ研削を実施する。即ち図10(A)に示すように仕上げ研削砥石36bを円形凹部80の最外周に位置づけて、図9でチャックテーブル52を矢印53で示す方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削砥石36bを矢印55で示す方向に例えば6000rpmで回転させながら研削ホイール36を所定の研削送り速度で下方に所定量研削送りする。その結果、図10(B)に示すようにテーパ面86の内周側に所定深さの円形凹部80aが形成されるとともに研削歪が残存する。
【0046】
次いで、ステップS14へ進んで、図12に示すようにエッチング液供給手段90からチャックテーブル88で保持されたウエーハ11の円形凹部80a内にエッチング液を供給して、円形凹部80aの底面の研削歪を除去する。
【0047】
エッチング終了後には、円形凹部80a内からエッチング液を排出する必要があるが、図12の一部拡大図に示すように環状凸部82と円形凹部80aとの間にテーパ面86が形成されているため、エッチング液を矢印92で示すように円形凹部80a内から容易に排出することができる。
【0048】
オプションとして、ウエーハ11の円形凹部80aの底面上に再配線層を形成する必要がある場合には、半導体製造プロセスで使用するフォトリソグラフィにより再配線層を形成するが、この時に使用するレジスト液をテーパ面86が形成されているため円形凹部80a内から容易に排出することができる。
【0049】
本実施形態のウエーハの加工方法によると、ウエーハ11の環状凸部82の内周側に環状テーパ面86が形成されているため、環状凸部82部分に欠けが生じにくい。更に、このように研削されたウエーハ11を切削装置で個々のチップへと分割する際には、分割後の各チップのハンドリングを容易にするために裏面に環状フレームに装着されたダイシングテープを貼着しているが、環状凸部82と円形凹部80aとの間にテーパ面86が形成されているため、ダイシングテープ貼着時に環状凸部82と円形凹部80aとの間に気泡が発生することが防止される。
【符号の説明】
【0050】
2 研削装置
10 粗研削ユニット
11 半導体ウエーハ
12 仕上げ研削ユニット
17 デバイス領域
18 研削ホイール
18b 研削砥石
19 外周余剰領域
23 保護テープ
36 仕上げ研削ホイール
52 チャックテーブル
80,80a 円形凹部
82 環状凸部(環状補強部)
86 環状テーパ面
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄く加工されても取り扱いが容易なウエーハの加工方法及び該加工方法により加工されたウエーハに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造プロセスにおいては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配設されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC,LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切削装置で切削することにより、半導体ウエーハが個々の半導体チップ(デバイス)に分割される。
【0003】
分割されるウエーハは、ストリートに沿って切削する前に裏面を研削や研磨して所定の厚さに形成される。近年、電気機器の軽量化、小型化、薄型化を達成するために、ウエーハの厚さをより薄く、例えば50μm程度にすることが要求されている。薄化されたウエーハは、研削によって生成された研削歪を除去するために適宜数μm程度エッチングされる。
【0004】
このように薄く形成されたウエーハは取り扱いが困難になり、搬送等において破損する恐れがある。この問題を解消するために本出願人は、薄化されたウエーハのハンドリングを容易にしたウエーハの加工方法を特開2007−19461号公報で提案した。
【0005】
この方法では、デバイスが形成されたデバイス領域に対応するウエーハの裏面を研削してデバイス領域を所定の厚さへ薄化することでウエーハの裏面に円形凹部を形成するとともに、ウエーハの裏面における外周余剰領域を残存させて環状凸部(環状補強部)を形成することによりウエーハのハンドリングを容易にしている。
【0006】
一方、特開2009−21462号公報は、ウエーハの裏面を研削して円形凹部を形成するとともに該円形凹部を囲繞する環状凸部を形成した後、円形凹部内に再配線層を形成するウエーハの加工方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−319885号公報
【特許文献2】特開2007−19461号公報
【特許文献3】特開2009−21462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、円形凹部を囲繞する環状凸部の側面がウエーハの研削面に対して垂直である場合には、搬送等のハンドリング時に環状凸部の外周エッジが非常に欠け易いという問題がある。
【0009】
特に環状凸部の内周部分に欠けが生じると、後にエッチングを施した際、欠けた部分がよりエッチングされ易くなるために環状凸部が大きく浸食されて、その結果、環状凸部が補強部としての役目を果たせなくなってしまう。
【0010】
また、円形凹部を囲繞する環状凸部の側面がウエーハの研削面に対して垂直であるウエーハの円形凹部内に再配線層を形成する場合、フォトリソグラフィで使用するレジスト液が円形凹部外に排出されにくいという問題がある。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環状凸部に発生する欠けを減少させるとともにエッチング液やレジスト液等の処理液を効率良く円形凹部外に排出可能なウエーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、複数のデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを表面に備えたウエーハを加工するウエーハの加工方法であって、ウエーハの表面側に保護部材を配設する保護部材配設ステップと、保持面と該保持面に対して垂直な回転軸を備える保持手段で該保護部材が配設されたウエーハの表面側を保持する保持ステップと、研削砥石を回転させつつ回転駆動される該保持手段で保持されたウエーハの裏面に当接させてウエーハの該デバイス領域に相当するウエーハの裏面を研削して裏面に円形凹部を形成するとともに、該円形凹部を囲繞する環状凸部を形成する研削ステップとを具備し、該研削ステップでは、該研削砥石と該保持手段とを相対移動させて該研削砥石をウエーハに接近する方向に研削送りするのと同時に該ウエーハの中心方向へ移動させることにより、該環状凸部の上面内周側から該円形凹部のウエーハ中心方向に向かって傾斜するテーパ面を形成することを特徴とするウエーハの加工方法が提供される。
【0013】
好ましくは、ウエーハの加工方法は、仕上げ用研削砥石を用いて円形凹部を研削する仕上げ研削ステップと、円形凹部をエッチングして研削歪みを除去するエッチングステップとを更に具備している
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、環状凸部の内周側にはテーパ面が形成されているため、環状凸部に欠けが生じにくい。また、研削後のエッチング時にはテーパ面によって円形凹部内に供給されたエッチング液を円形凹部外へ排出され易くするとともに、円形凹部上に再配線層を形成する場合等においてレジスト液の円形凹部内からの排出が容易となる。
【0015】
更に、裏面研削によって円形凹部が形成されたウエーハを切削装置で個々のチップへと分割する際には、分割後の各チップのハンドリングを容易にするために、裏面にダイシングテープを貼着しているが、本願発明では環状凸部にテーパ面が形成されているため、ダイシングテープ貼着時に環状凸部と円形凹部との間に気泡が発生されることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のウエーハの加工方法を実施するのに適した研削装置の外観斜視図である。
【図2】半導体ウエーハの表側斜視図である。
【図3】表面に保護テープが貼着された状態の半導体ウエーハの裏面側斜視図である。
【図4】本発明のウエーハの加工方法を示すフローチャートである。
【図5】粗研削ユニットにより実施される円形凹部研削ステップの斜視図である。
【図6】粗研削ユニットにより実施される円形凹部研削ステップの説明図である。
【図7】テーパ面の形成方法を説明する半導体ウエーハの一部破断断面図である。
【図8】環状凸部の内周面にテーパ面を有する円形凹部研削ステップが実施された半導体ウエーハの断面図である。
【図9】仕上げ研削ユニットにより実施される仕上げ研削ステップの斜視図である。
【図10】仕上げ研削ステップを説明する半導体ウエーハの一部破断断面図である。
【図11】仕上げ研削ステップが実施された半導体ウエーハの断面図である。
【図12】エッチングステップの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明実施形態のウエーハの加工方法を詳細に説明する。図1を参照すると、本発明実施形態のウエーハの加工方法を実施するのに適した研削装置の斜視図が示されている。研削装置は、略直方体形状の装置ハウジング2を具備している。装置ハウジング2の右上端には、垂直支持板4が隣接されている。
【0018】
垂直支持板4の内側面には、上下方向に伸びる2対の案内レール6及び8が設けられている。一方の案内レール6には粗研削ユニット10が上下方向に移動可能に装着されており、他方の案内レール8には仕上げ研削ユニット12が上下方向に移動可能に装着されている。
【0019】
粗研削ユニット10は、ユニットハウジング14と、該ユニットハウジング14の下端に回転自在に装着されたホイールマウント16に装着された研削ホイール18と、ユニットハウジング14の下端に装着されホイールマウント16を反時計回り方向に回転する電動モータ20と、ユニットハウジング14が装着された移動基台22から構成される。
【0020】
研削ホイール18は、環状の砥石基台18aと、砥石基台18aの下面に装着された粗研削用の研削砥石18bから構成される。移動基台22には一対の被案内レール24が形成されており、これらの被案内レール24を垂直支持板4に設けられた案内レール6に移動可能に嵌合することにより、粗研削ユニット10が上下方向(Z軸方向)に移動可能に支持されている。
【0021】
26は粗研削ユニット10の移動基台22を案内レール6に沿って移動させ、研削ホイール18を研削送りする研削送り機構である。研削送り機構26は、垂直支持板4に案内レール6と平行に上下方向に配置され回転可能に支持されたボールねじ28と、ボールねじ28を回転駆動するパルスモータ30と、移動基台22に装着されボールねじ28に螺合する図示しないナットから構成される。
【0022】
パルスモータ30によってボールねじ28を正転又は逆転駆動することにより、粗研削ユニット10を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直方向)に移動する。尚、特に図示しないが粗研削ユニット10はY軸移動機構によりY軸方向に移動可能に構成されている。
【0023】
仕上げ研削ユニット12も粗研削ユニット10と同様に構成されており、ユニットハウジング32と、ユニットハウジング32の下端に回転自在に装着されたホイールマウント34に装着された研削ホイール36と、ユニットハウジング32の上端に装着されホイールマウント34を反時計回り方向に駆動する電動モータ38と、ユニットハウジング32が装着された移動基台40とから構成される。研削ホイール36は、環状の砥石基台36aと、砥石基台36aの下面に装着された仕上げ研削用の研削砥石36bから構成される。
【0024】
移動基台40には一対の被案内レール42が形成されており、これらの被案内レール42を垂直支持板4に設けられた案内レール8に移動可能に嵌合することにより、仕上げ研削ユニット12が上下方向に移動可能に支持されている。
【0025】
44は仕上げ研削ユニット12の移動基台40を案内レール8に沿って移動させ、研削ホイール36を研削送りする研削送り機構である。研削送り機構44は、垂直支持板4に案内レール8と平行に上下方向に配設され回転可能に支持されたボールねじ46と、ボールねじ46を回転駆動するパルスモータ48と、移動基台40に装着され、ボールねじ46に螺合する図示しないナットから構成される。
【0026】
パルスモータ48によってボールねじ46を正転又は逆転駆動することにより、仕上げ研削ユニット12は上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直方向)に移動される。
【0027】
研削装置は、垂直支持板4の前側において装置ハウジング2の上面と略面一となるように配設されたターンテーブル50を具備している。ターンテーブル50は比較的大径の円盤状に形成されており、図示しない回転駆動機構によって矢印51で示す方向に回転される。
【0028】
ターンテーブル50には、互いに円周方向に120度離間して3個のチャックテーブル52が水平面内で回転可能に配置されている。チャックテーブル52は、円盤状の枠体54とポーラスセラミック材によって円盤状に形成された吸着チャック56から構成されており、吸着チャック56の保持面上に載置されたウエーハを図示しない吸引手段を作動することにより吸引保持する。
【0029】
このように構成されたチャックテーブル52は、図示しない回転駆動機構によって矢印53で示す方向に回転される。ターンテーブル50に配設された3個のチャックテーブル52は、ターンテーブル50が適宜回転することにより、ウエーハ搬入・搬出領域A、粗研削加工領域B、仕上げ研削加工領域C、及びウエーハ搬入・搬出領域Aに順次移動される。
【0030】
研削装置は、ウエーハ搬入・搬出領域Aに対して一方側に配設され、研削加工前のウエーハをストックする第1のカセット58と、ウエーハ搬入・搬出領域Aに対して他方側に配置され、研削加工後のウエーハをストックする第2のカセット60を具備している。
【0031】
第1のカセット58とウエーハ搬入・搬出領域Aとの間には、第1のカセット58から搬出されたウエーハを載置する仮置きテーブル62が配設されている。ウエーハ搬入・搬出領域Aと第2のカセット60との間にはスピンナ洗浄手段68が配設されている。
【0032】
ウエーハ搬送手段70は、保持アーム72と、保持アーム72を移動する多節リンク機構74から構成され、第1のカセット58内に収納されたウエーハを仮置きテーブル60に搬出するとともに、スピンナ洗浄手段68で洗浄されたウエーハを第2のカセット60に搬送する。
【0033】
ウエーハ搬入手段76は、仮置きテーブル62上に載置された研削加工前のウエーハを、ウエーハ搬入・搬出領域Aに位置付けられたチャックテーブル52上に搬送する。ウエーハ搬出手段78は、ウエーハ搬入・搬出領域Aに位置付けられたチャックテーブル52上に載置されている研削加工後のウエーハを、スピンナ洗浄手段68に搬送する。
【0034】
第1のカセットを58内には、図2に示す半導体ウエーハ11が収納されている。半導体ウエーハ11は、例えば厚さが700μmのシリコンウエーハから成っており、表面11aに複数のストリート13が格子状に形成されているとともに、これら複数のストリート13によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス15が形成されている。
【0035】
このように構成された半導体ウエーハ11は、デバイス15が形成されているデバイス領域17と、デバイス領域17を囲繞する外周余剰領域19を備えている。尚、外周余剰領域19の幅は約2〜3mmに設定されている。半導体ウエーハ11の外周には、シリコンウエーハの結晶方位を示すマークとしてのノッチ21が形成されている。
【0036】
半導体ウエーハ11の表面11aには、保護テープ貼着工程により保護テープ23が貼着される。従って、半導体ウエーハ11の表面11aは保護テープ23によって保護され、図3に示すように、裏面11bが露出する状態となり、裏面11bを上側にして半導体ウエーハ11が複数枚第1のカセット58中に収納されている。
【0037】
図4を参照すると、本発明実施形態に係るウエーハ加工方法のフローチャートが示されている。ウエーハ11の表面11aには複数のデバイス15が形成されているため、ウエーハ11の研削前にステップS10でウエーハ11の表面側に保護部材を配設する。具体的には、例えば図3に示すようにウエーハ11の表面11aに保護テープ23を貼着する。
【0038】
次いで、ステップS11で保持面と保持面に対して垂直な回転軸を備えるチャックテーブル52等の保持手段でウエーハ11の表面側、即ち保護テープ23側を保持する。即ち、ウエーハ搬入・搬出領域Aに位置づけられたチャックテーブル52に対して、ウエーハ搬入手段76でウエーハ11を搬入し、チャックテーブル52の吸着チャック56でウエーハ11の保護テープ23側を吸引保持する。
【0039】
このようにチャックテーブル52でウエーハ11を保持したなら、ターンテーブル50を反時計回り方向に120度回転して粗研削加工領域Bに位置づける。そして、粗研削ユニット10を使用したステップS12の研削ステップを遂行する。
【0040】
即ち、図5及び図6に示すように、チャックテーブル52を矢印53で示す方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削砥石18bを矢印55で示す方向に例えば6000rpmで回転させるとともに、研削送り機構26を駆動して研削ホイール18の研削砥石18をウエーハ11のデバイス領域17に対応する裏面に接触させる。
【0041】
そして、研削ホイール11を所定の研削送り速度で下方に所定量研削送りするとともに、ウエーハ11の中心方向に同時に移動させる。即ち、図7(A)で研削ホイール18を矢印A方向に移動させながらデバイス領域17に対応するウエーハ11の裏面の研削を遂行する。
【0042】
その結果、ウエーハ11の裏面には、図7(B)及び図8に示すように、デバイス領域17に対応する領域が研削除去されて所定厚さ(例えば30μm)の円形状の凹部80が形成されるとともに、外周余剰領域19に対応する領域が残存されて環状凸部(環状補強部)82が形成される。更に、環状凸部82の上面82aの内周側から円形凹部80のウエーハ中心方向に向かって傾斜する環状テーパ面86が形成される。
【0043】
ここで、チャックテーブル52に保持されたウエーハ11と研削ホイール18を構成する研削砥石18bの関係について図6を参照して説明する。チャックテーブル52の回転中心P1と研削砥石18bの回転中心P2は偏心しており、研削砥石18bの外径はウエーハ11のデバイス領域17と外周余剰領域19との境界線84の直径より小さく、境界線84の半径より大きい寸法に設定され、環状に配置された研削砥石18bがチャックテーブル52の回転中心P1を通過するように設定されている。
【0044】
そして、研削砥石18bを垂直方向に研削送りするとともに、矢印57で示すようにウエーハ11の中心方向に同時に移動させる。具体的には、研削ホイール18を垂直方向に例えば5μm/秒で研削送りしながら水平方向に例えば10μm/秒で移動させるのが好ましい。
【0045】
ウエーハ11の粗研削が終了すると、ステップS13へ進んで仕上げ研削砥石36bを用いた仕上げ研削を実施する。即ち図10(A)に示すように仕上げ研削砥石36bを円形凹部80の最外周に位置づけて、図9でチャックテーブル52を矢印53で示す方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削砥石36bを矢印55で示す方向に例えば6000rpmで回転させながら研削ホイール36を所定の研削送り速度で下方に所定量研削送りする。その結果、図10(B)に示すようにテーパ面86の内周側に所定深さの円形凹部80aが形成されるとともに研削歪が残存する。
【0046】
次いで、ステップS14へ進んで、図12に示すようにエッチング液供給手段90からチャックテーブル88で保持されたウエーハ11の円形凹部80a内にエッチング液を供給して、円形凹部80aの底面の研削歪を除去する。
【0047】
エッチング終了後には、円形凹部80a内からエッチング液を排出する必要があるが、図12の一部拡大図に示すように環状凸部82と円形凹部80aとの間にテーパ面86が形成されているため、エッチング液を矢印92で示すように円形凹部80a内から容易に排出することができる。
【0048】
オプションとして、ウエーハ11の円形凹部80aの底面上に再配線層を形成する必要がある場合には、半導体製造プロセスで使用するフォトリソグラフィにより再配線層を形成するが、この時に使用するレジスト液をテーパ面86が形成されているため円形凹部80a内から容易に排出することができる。
【0049】
本実施形態のウエーハの加工方法によると、ウエーハ11の環状凸部82の内周側に環状テーパ面86が形成されているため、環状凸部82部分に欠けが生じにくい。更に、このように研削されたウエーハ11を切削装置で個々のチップへと分割する際には、分割後の各チップのハンドリングを容易にするために裏面に環状フレームに装着されたダイシングテープを貼着しているが、環状凸部82と円形凹部80aとの間にテーパ面86が形成されているため、ダイシングテープ貼着時に環状凸部82と円形凹部80aとの間に気泡が発生することが防止される。
【符号の説明】
【0050】
2 研削装置
10 粗研削ユニット
11 半導体ウエーハ
12 仕上げ研削ユニット
17 デバイス領域
18 研削ホイール
18b 研削砥石
19 外周余剰領域
23 保護テープ
36 仕上げ研削ホイール
52 チャックテーブル
80,80a 円形凹部
82 環状凸部(環状補強部)
86 環状テーパ面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを表面に備えたウエーハを加工するウエーハの加工方法であって、
ウエーハの表面側に保護部材を配設する保護部材配設ステップと、
保持面と該保持面に対して垂直な回転軸を備える保持手段で該保護部材が配設されたウエーハの表面側を保持する保持ステップと、
研削砥石を回転させつつ回転駆動される該保持手段で保持されたウエーハの裏面に当接させてウエーハの該デバイス領域に相当するウエーハの裏面を研削して裏面に円形凹部を形成するとともに、該円形凹部を囲繞する環状凸部を形成する研削ステップとを具備し、
該研削ステップでは、該研削砥石と該保持手段とを相対移動させて該研削砥石をウエーハに接近する方向に研削送りするのと同時に該ウエーハの中心方向へ移動させることにより、該環状凸部の上面内周側から該円形凹部のウエーハ中心方向に向かって傾斜するテーパ面を形成することを特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
仕上げ用研削砥石を用いて前記円形凹部を研削する仕上げ研削ステップと、
仕上げ研削された円形凹部をエッチングして研削歪を除去するエッチングステップと、
を更に具備した請求項1記載のウエーハの加工方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のウエーハの加工方法によって加工されたウエーハ。
【請求項1】
複数のデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを表面に備えたウエーハを加工するウエーハの加工方法であって、
ウエーハの表面側に保護部材を配設する保護部材配設ステップと、
保持面と該保持面に対して垂直な回転軸を備える保持手段で該保護部材が配設されたウエーハの表面側を保持する保持ステップと、
研削砥石を回転させつつ回転駆動される該保持手段で保持されたウエーハの裏面に当接させてウエーハの該デバイス領域に相当するウエーハの裏面を研削して裏面に円形凹部を形成するとともに、該円形凹部を囲繞する環状凸部を形成する研削ステップとを具備し、
該研削ステップでは、該研削砥石と該保持手段とを相対移動させて該研削砥石をウエーハに接近する方向に研削送りするのと同時に該ウエーハの中心方向へ移動させることにより、該環状凸部の上面内周側から該円形凹部のウエーハ中心方向に向かって傾斜するテーパ面を形成することを特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
仕上げ用研削砥石を用いて前記円形凹部を研削する仕上げ研削ステップと、
仕上げ研削された円形凹部をエッチングして研削歪を除去するエッチングステップと、
を更に具備した請求項1記載のウエーハの加工方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のウエーハの加工方法によって加工されたウエーハ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−54808(P2011−54808A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203198(P2009−203198)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
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