説明

エアバッグ装置

【課題】バッグの膨張形状を円柱状以外の任意の形状に設定することができるエアバッグ装置の提供。
【解決手段】車両の緊急時に膨張するバッグ42と、バッグ42を包む包囲体51とを備えるエアバッグ装置であって、包囲体51が中間部と端部との周長が異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の緊急時に膨張するバッグを有するエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の緊急時に膨張するバッグを有するエアバッグ装置として、車両のシートクッションのパッドの下方にバッグが設けられ、バッグが上方に膨張することでパッドを膨出させて乗員の腰の前方移動を規制するものがあり、このようなエアバッグ装置において、バッグの膨張形状を包囲体で制御するものがある(例えば特許文献1参照)。このエアバッグ装置は、包囲体が一定の周長でバッグを包囲するようになっている。
【特許文献1】特開2004−359207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した包囲体は、一定の周長でバッグを包囲するようになっているため、バッグの膨張形状を円柱状にしか制御することができない。
【0004】
したがって、本発明は、バッグの膨張形状を円柱状以外の任意の形状に設定することができるエアバッグ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両の緊急時に膨張するバッグ(例えば実施形態におけるバッグ42)と、該バッグを包む包囲体(例えば実施形態における包囲体51,101)とを備えるエアバッグ装置(例えば実施形態におけるエアバッグモジュール11)であって、前記包囲体は、中間部と端部との周長が異なっていることを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記バッグは、車両のシートクッションに設けられることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記包囲体は、中間部の周長よりも端部の周長が長いことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、車両の緊急時に膨張するバッグを包む包囲体が、中間部と端部との周長が異なっているため、バッグの膨張形状を円柱状以外の任意の形状に設定することができる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、バッグがシートクッションに設けられるものであるため、乗員の腰の前方移動を規制するために好ましい形状にバッグの膨張形状を制御することができ、乗員を良好に拘束することができる。
【0010】
請求項3に係る発明によれば、包囲体の中間部の周長よりも端部の周長が長いため、バッグは、中間部よりも両端側が大きくなるように膨張することになり、乗員の腰の前方移動時に両腿の付け根の部分を効果的に拘束することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第1実施形態のエアバッグ装置を図1〜図7を参照して以下に説明する。
図1は、第1実施形態のエアバッグ装置としてのエアバッグモジュール11が取り付けられる車両用の座席12を示す分解斜視図で、この座席12は、車幅方向に離間して設けられて車両前後方向に延在する一対のシートレール13と、各シートレール13にスライド可能に設けられたスライダ14と、これらスライダ14に支持され略水平に配置されて乗員の主として腰下を支承するシートクッション15と、スライダ14の車両前後方向の後端部に回動可能に設けられ立設状態で乗員の主として背中を支承するシートバック16と、シートバック16のシートクッション15とは反対側に設けられて乗員の主として後頭部を支承するヘッドレスト17とを有している。
【0012】
シートクッション15は、各スライダ14の内側にそれぞれ固定されるパンブラケット20と、左右のパンブラケット20同士を結ぶように車幅方向に延在するコネクティングブラケット21と、両パンブラケット20の上側に載置されて両パンブラケット20に固定されるシートパン22と、シートパン22の上側に載置されることでシートパン22に支持されるクッションパッド(パッド)23とを有している。クッションパッド23は、乗員が着座するもので、ウレタンフォームを表皮で覆って形成されている。
【0013】
そして、図2にも示すように、シートクッション15におけるクッションパッド23を支持するシートパン22の中間所定位置に本実施形態のエアバッグモジュール11は取り付けられることになり、その結果、エアバッグモジュール11はシートクッション15のクッションパッド23の下方に配置される。なお、シートパン22の中間所定位置にはエアバッグモジュール11を取り付けるための取付開口部24が形成されている。そして、図1に示すように取付開口部24の外側にはエアバッグモジュール11の取り付け用の取付穴26が形成され、また取付開口部24にエアバッグモジュール11の取り付け用の逃げ溝27が形成されている。
【0014】
エアバッグモジュール11は、図3に示すように、上部に開口部30を有する有底箱状のケース31と、このケース31内に折り畳まれた状態で収納されるエアバッグ32と、ケース31の開口部30を塞ぐカバー体33とを備えている。
【0015】
ケース31は、金属製とされ、略長方形状の横長の底板部35と、この底板部35の全周縁から立ち上がる角筒状の周壁部36と、周壁部36の上端部の全周縁から外側に延出して開口縁部を構成するフランジ部37を有している。ここで、フランジ部37には、カバー体33を取り付けるための取付穴38が複数形成されており、また、シートパン22への取り付け用の図示略の取付穴が複数形成されている。底板部35には、エアバッグ32を取り付けるための複数の取付穴40と、図4に示すように底板部35の一側において長さ方向に沿って直線状に配置される複数具体的には4カ所の取付穴41a〜41dと、底板部35の反対側において長さ方向に沿って直線状に配置される複数具体的には4カ所の取付穴41e〜41hとを有している。
【0016】
エアバッグ32は、図3に示すように、布製の横長袋状のバッグ42と、取付ブラケット43に保持された状態でバッグ42内に配置されてバッグ42内にガス(流体)を導入可能な略円筒状のインフレータ44とを有している。ここで、取付ブラケット43は、これに形成された取付穴45にボルト46が溶接等で固定されており、このボルト46をバッグ42に形成された取付穴47に挿入した状態でケース31の底板部35の取付穴40に挿入してその先端にナット48を螺合させると、バッグ42がケース31に取り付けられる。
【0017】
そして、第1実施形態のエアバッグ32は、上記したバッグ42を包むように設けられる布製の包囲体51を有している。この包囲体51は、バッグ42を包む前であって平坦面に展開された状態において図5に示す形状をなしている。つまり、包囲体51は、長さ方向の一端の辺部52に対し長さ方向の他端の辺部53が同長さで平行をなしており、しかも位置を合わせている。そして、辺部52の一方の端部から辺部52と所定角度の鋭角をなして他方の辺部53側に辺部54が延出しており、辺部52の一方の端部に近い側の辺部53の一方の端部からも辺部53に対し上記と同じ所定角度の鋭角をなして辺部55が辺部52側に延出していて、これら辺部54,55の先端部同士が交わって底角部56を形成している。辺部52の他方の端部からも辺部52と上記と同じ所定角度の鋭角をなして他方の辺部53側に辺部58が延出しており、辺部53の他方の端部からも辺部53に対し上記と同じ所定角度の鋭角をなして辺部59が辺部52側に延出していて、これら辺部58,59の先端部同士が交わって底角部60を形成している。以上により、包囲体51は両端の辺部52,53の長さが、辺部54,55により形成される底角部56と辺部58,59により形成される底角部60とを結んだ中央部(中間部)の長さよりも長くなっている。
【0018】
辺部54の辺部52側の内側位置には辺部54から所定距離離れて取付穴62aが形成されており、辺部54の底角部56側の内側位置にも辺部54から同じ所定距離離れて取付穴62bが形成されている。また、辺部55の底角部56側の内側位置にも辺部55から同じ所定距離離れて取付穴62cが形成されており、辺部55の辺部53側の内側位置にも辺部55から上記と同じ所定距離離れて取付穴62dが形成されている。さらに、辺部58の辺部52側の内側位置には辺部58から所定距離離れて取付穴62eが形成されており、辺部58の底角部60側の内側位置にも辺部58から同じ所定距離離れて取付穴62fが形成されている。また、辺部59の底角部60側の内側位置にも辺部59から同じ所定距離離れて取付穴62gが形成されており、辺部59の辺部53側の内側位置にも辺部59から上記と同じ所定距離離れて取付穴62hが形成されている。
【0019】
そして、図4に示すように、底板部35の一側において直線状に配列された取付穴41a〜41dに対し、取付穴41aおよび取付穴62aにボルト63aを挿通させてこのボルト63aにナット64aを螺合させ、取付穴41bおよび取付穴62bにボルト63bを挿通させてこのボルト63bにナット64bを螺合させ、取付穴41cおよび取付穴62cにボルト63cを挿通させてこのボルト63cにナット64cを螺合させ、取付穴41dおよび取付穴62dにボルト63dを挿通させてこのボルト63dにナット64dを螺合させることで、包囲体51は一方の辺部54,55側が底板部35に直線状に取り付けられることになる。
【0020】
また、底板部35の他側において直線状に配列された取付穴41e〜41hに対し、取付穴41eおよび取付穴62eにボルト63eを挿通させてこのボルト63eにナット64eを螺合させ、取付穴41fおよび取付穴62fにボルト63fを挿通させてこのボルト63fにナット64fを螺合させ、取付穴41gおよび取付穴62gにボルト63gを挿通させてこのボルト63gにナット64gを螺合させ、取付穴41hおよび取付穴62hにボルト63hを挿通させてこのボルト63hにナット64hを螺合させることで、包囲体51は他方の辺部58,59側が底板部35に直線状に取り付けられることになる。ここで、このように包囲体51を底板部35に取り付けた状態でバッグ42は、包囲体51の両端側から略等長さ突出する状態となる。
【0021】
図3に示すように、カバー体33は、合成樹脂製であり、中間のカバー部70でケース31の開口部30を塞いだ状態でこのカバー部70よりも外側つまり開口部30よりも外側にある全周縁部71がフランジ部37の上に全周にわたって載置される。
【0022】
カバー体33には、ケース31のフランジ部37の取付穴38と位置を合わせて取付穴72が形成されており、フランジ部37のシートパン22への取り付け用の図示略の取付穴と位置を合わせて図1に示す取付穴73が形成されている。また、カバー体33には、中央付近のケース31側の内面にエアバッグ32の膨張時に破断を促進する複数の薄肉のティアライン74,75が複数平行に形成されている。さらに、カバー体33には、フランジ部37との境界付近にティアライン74,75と平行に、屈曲を容易とするための薄肉の一対の屈曲ライン76が内面に、同様の屈曲ライン77が外面に形成されている。なお、外側への屈曲を容易とするために、外面の屈曲ライン77はこれに近接する内面の屈曲ライン76よりも若干外側に形成されている。
【0023】
カバー体33は、複数の取付穴72と、ケース31のフランジ部37に形成された複数の取付穴38とにそれぞれ挿通されるボルト80およびナット81によってケース31に固定される。つまり、ボルト80をカバー体33の取付穴72およびケース31の取付穴38に挿入し、ナット81に螺合させることで、カバー体33がケース31に固定される。
【0024】
上記のようにして、インフレータ44、取付ブラケット43、バッグ42および包囲体51からなるエアバッグ32を収納したケース31にカバー体33を取り付けることでエアバッグモジュール11が構成されることになり、このエアバッグモジュール11がそのケース31の周壁部36においてシートパン22の取付開口部24に上側から挿入され、ケース31のフランジ部37においてシートパン22の取付開口部24の周縁部に載置される。このとき、ボルト80およびナット81は逃げ溝27に入り込む。この状態で、カバー体33の残りの複数の取付穴73と、ケース31の残りの複数の図示略の取付穴と、取付開口部24の外側の取付穴26とにそれぞれ挿通されるボルト85およびナット86によってエアバッグモジュール11がシートパン22に固定される。つまり、ボルト85をカバー体33の取付穴73、ケース31の図示略の取付穴およびシートパン22の取付穴26に挿入し、ナット86に螺合させることで、エアバッグモジュール11がシートパン22に固定される。
【0025】
このようにしてエアバッグモジュール11が取り付けられたシートパン22を上側から覆うように図2に示すクッションパッド23が取り付けられることになるが、クッションパット23の下面には、周囲側の周囲部90でシートパン22のエアバッグモジュール11よりも外側の周囲部91に当接した状態で、エアバッグモジュール11のシートパン22からの突出部分つまりカバー体33を収容するための収容凹部92が形成されている。
【0026】
以上の第1実施形態のエアバッグモジュール11においては、車両衝突時に例えば所定以上の重力加速度が検出される等の展開条件が整うとインフレータ44が点火し、折り畳まれた状態にあったバッグ42がインフレータ44が発生するガスで、カバー体33をティアライン74,75から破き両側それぞれの屈曲ライン76,77で屈曲させることで外側に押し開きながら上方に膨張し、図2に二点鎖線で示すようにクッションパッド23を上方に押圧する。すると、クッションパッド23の中間位置が上側に膨出し膨出部23aを形成することになって、座席12に着座しシートベルトを装着した状態にある乗員の腰下を前側から抑えて腰の前方移動を規制することになる。ここで、包囲体51は、図5に示すように両端部の辺部52,53が中央部の底角部56,60を結んだ距離よりも長い形状をなしているため、中央部と両端部との周長が異なることになり、具体的には、中央部の周長よりも両端部の周長が長くなる。よって、図6に示すように、バッグ42は、この包囲体51で膨張形状が規制されることになり、中央部よりも両端部側が大きく膨張することになる。
【0027】
以上に述べた第1実施形態によれば、車両の緊急時に膨張するバッグ42を包む包囲体51が、中央部と両端部との周長が異なっているため、バッグ42の膨張形状を円柱状以外の任意の形状に設定することができる。具体的に、包囲体51の中央部の底角部56,60を結ぶ位置の周長よりも両端部の辺部52,53の位置の周長が長いため、バッグ42は、図6に示すように、中央部よりも両端部側が大きくなるように略鼓状に膨張することになり、乗員の腰の前方移動時に両腿の付け根の部分を効果的に拘束することができる。このように、乗員の腰の前方移動を規制するために好ましい形状にバッグ42の膨張形状を包囲体51で制御することができ、乗員を良好に拘束することができる。
【0028】
なお、以上に述べた第1実施形態においては、図5に示すように、一方の辺部52の一方の端部から底角部56に向けて一本の直線状の辺部54を延出させ、他方の辺部53の一方の端部から底角部56に向けて一本の直線状の辺部55を延出させ、一方の辺部52の他方の端部から底角部60に向けて一本の直線状の辺部58を延出させ、他方の辺部53の他方の端部から底角部60に向けて一本の直線状の辺部59を延出させる場合を例にとり説明したが、図7に示すように、一方の辺部52の一方の端部から底角部56に向けて、辺部52に対する角度を段階的に大きくする複数本具体的には二本の直線状の辺部54A,54Bを延出させ、他方の辺部53の一方の端部から底角部56に向けて、辺部53に対する角度を段階的に大きくする複数本具体的には二本の直線状の辺部55A,55Bを延出させ、一方の辺部52の他方の端部から底角部60に向けて、辺部52に対する角度を段階的に大きくする複数本具体的には二本の直線状の辺部58A,58Bを延出させ、他方の辺部53の他方の端部から底角部60に向けて、辺部53に対する角度を段階的に大きくする複数本具体的には二本の直線状の辺部59A,59Bを延出させるようにしても良い。この場合、各辺部54A,54B,55A,55B,58A,58B,59A,59Bの両側に取付穴62を形成し、ケース51の底板部35にもこれに合わせて取付穴を形成する。このように構成すれば、バッグ42が端部側から中央部にかけて複数段階でテーパ状に縮径するような膨張形状になる。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態のエアバッグ装置を主に図8〜図11を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0030】
第2実施形態は第1実施形態に対し布製の包囲体が相違している。つまり、第2実施形態の包囲体101は、バッグ42を包む前であって平坦面に展開された状態において図8に示す形状をなしている。包囲体101は、長さ方向の一端の辺部102に対し長さ方向の他端の辺部103が同長さで平行をなしており、しかも位置を合わせている。そして、辺部102の一方の端部から辺部102と所定角度の鈍角をなして他方の辺部103側に辺部104が延出しており、辺部102のこの一方の端部に近い側の辺部103の一方の端部からも辺部103に対し上記と同じ所定角度の鈍角をなして辺部105が辺部102側に延出していて、これら辺部104,105の先端部同士が交わって頂角部106を形成している。辺部102の他方の端部からも辺部102と上記と同じ所定角度の鈍角をなして他方の辺部103側に辺部108が延出しており、辺部103の他方の端部からも辺部103に対し上記と同じ所定角度の鈍角をなして辺部109が辺部102側に延出していて、これら辺部108,109の先端部同士が交わって頂角部110を形成している。以上により、包囲体101は両端の辺部102,103の長さが、辺部104,105により形成される頂角部106と辺部108,109により形成される頂角部110とを結んだ中央部(中間部)の長さよりも短くなっている。
【0031】
辺部104の辺部102側の内側位置には辺部104から所定距離離れて取付穴112aが形成されており、辺部104の頂角部106側の内側位置にも辺部104から同じ所定距離離れて取付穴112bが形成されている。また、辺部105の頂角部106側の内側位置にも辺部105から同じ所定距離離れて取付穴112cが形成されており、辺部105の辺部103側の内側位置にも辺部105から上記と同じ所定距離離れて取付穴112dが形成されている。さらに、辺部108の辺部102側の内側位置には辺部108から所定距離離れて取付穴112eが形成されており、辺部108の頂角部110側の内側位置にも辺部108から同じ所定距離離れて取付穴112fが形成されている。また、辺部109の頂角部110側の内側位置にも辺部109から同じ所定距離離れて取付穴112gが形成されており、辺部109の辺部103側の内側位置にも辺部109から上記と同じ所定距離離れて取付穴112hが形成されている。
【0032】
そして、図9に示すように、底板部35の一側において直線状に配列された取付穴41a〜41dに対し、取付穴41aおよび取付穴112aにボルト63aを挿通させてこのボルト63aにナット64aを螺合させ、取付穴41bおよび取付穴112bにボルト63bを挿通させてこのボルト63bにナット64bを螺合させ、取付穴41cおよび取付穴112cにボルト63cを挿通させてこのボルト63cにナット64cを螺合させ、取付穴41dおよび取付穴112dにボルト63dを挿通させてこのボルト63dにナット64dを螺合させることで、包囲体101は一方の辺部104,105側が底板部35に直線状に取り付けられることになる。
【0033】
また、底板部35の他側において直線状に配列された取付穴41e〜41hに対し、取付穴41eおよび取付穴112eにボルト63eを挿通させてこのボルト63eにナット64eを螺合させ、取付穴41fおよび取付穴112fにボルト63fを挿通させてこのボルト63fにナット64fを螺合させ、取付穴41gおよび取付穴112gにボルト63gを挿通させてこのボルト63gにナット64gを螺合させ、取付穴41hおよび取付穴112hにボルト63hを挿通させてこのボルト63hにナット64hを螺合させることで、包囲体101は他方の辺部108,109側が底板部35に直線状に取り付けられることになる。
【0034】
以上の第2実施形態のエアバッグモジュール11においても、第1実施形態と同様、車両衝突時に例えば所定以上の重力加速度が検出される等の展開条件が整うとインフレータ44が点火し、カバー体33を破断させ外側に押し開きながら膨張し、クッションパッド23を上方に押圧することになるが、第2実施形態の包囲体101は、上記のように両端部の辺部102,103側が頂角部106,110を結ぶ中央部よりも短い形状をなしているため、中央部と両端部との周長が異なることになり、具体的には、中央部の周長よりも両端部の周長が短くなり、その結果、バッグ42は、両端部側よりも中央部が大きく膨張することになる。
【0035】
なお、以上に述べた第2実施形態においては、図8に示すように、一方の辺部102の一方の端部から頂角部106に向けて一本の直線状の辺部104を延出させ、他方の辺部103の一方の端部から頂角部106に向けて一本の直線状の辺部105を延出させ、一方の辺部102の他方の端部から頂角部110に向けて一本の直線状の辺部108を延出させ、他方の辺部103の他方の端部から底角部110に向けて一本の直線状の辺部109を延出させる場合を例にとり説明したが、図11に示すように、一方の辺部102の一方の端部から頂角部106に向けて、辺部102に対する角度を段階的に小さくする複数本具体的には二本の直線状の辺部104A,104Bを延出させ、他方の辺部103の一方の端部から頂角部106に向けて、辺部103に対する角度を段階的に小さくする複数本具体的には二本の直線状の辺部105A,105Bを延出させ、一方の辺部102の他方の端部から頂角部110に向けて、辺部102に対する角度を段階的に小さくする複数本具体的には二本の直線状の辺部108A,108Bを延出させ、他方の辺部103の他方の端部から頂角部110に向けて、辺部103に対する角度を段階的に小さくする複数本具体的には二本の直線状の辺部109A,109Bを延出させるようにしても良い。この場合も、各辺部104A,104B,105A,105B,108A,108B,109A,109Bのそれぞれの両側に取付穴112を形成し、ケース51の底板部35にもこれに合わせて取付穴を形成する。このように構成すれば、バッグ42が端部側から中央部にかけて複数段階でテーパ状に拡径するような膨張形状になる。
【0036】
ここで、第1実施形態および第2実施形態において、バッグ42は、基布の周縁部を縫合することで袋状に形成されるものであるが、具体的には、図12に概略的に示すように、表裏複数枚ずつ、つまり表側複数枚(具体的には二枚)の基布120A,120Bおよび裏側複数枚(具体的には二枚)の基布121A,121Bの周縁部を縫合することで袋状に形成される。このとき、表側を構成する外側の基布120Aと内側の基布120Bとは、それぞれ織り方向が異なる状態で縫合され、裏側を構成する外側の基布121Aと内側の基布121Bとについても、それぞれ織り方向が異なる状態で縫合される。例えば、外側の基布120Aと内側の基布120Bとは織り方向が45度ずれており、外側の基布121Aと内側の基布121Bとについても織り方向が45度ずれている。つまり、バッグ42は、様々な箇所に適用され、場合によっては、その形状安定性等の点から現状の基布以上の強度(耐力)が望まれることがある。その際に、新規に基布を開発するのではなく、現状の基布を重ねて使用することで、安価で容易に性能を満足することができる。但し、重ねる際に全ての基布の織り方向が一致していると膨張した際に周縁部の縫合箇所に応力が集中しやすいため、重なり合う基布同士の織り方向をずらすことが有効である。勿論、外側の基布と内側の基布との織り方向のずれ角の45度は一例であり、これに限らず、例えばさらに半分の22.5度等、任意の角度に設定可能である。
【0037】
そして、表側の複数枚の基布120A,120Bおよび裏側の複数枚の基布121A,121Bの周縁部を縫合する場合に、図13(A)に示すように、すべての基布120A,120B,121A,121Bを重ねてこれらの周縁部をまとめて縫合すれば(図13において縫合箇所を二点鎖線で示す)、安価で迅速にバッグ42を形成できる。あるいは、図13(B)に示すように内側2枚の基布120B,121Bをこれらの周縁部で縫合し、外側2枚の基布120A,121Aをこれらの周縁部で縫合すれば、内外を別々に縫合することになるため、それぞれ異なる形状で形成できる。勿論、バッグ42は5枚以上の基布で構成しても良く、その場合、表裏の枚数が異なっていても良い。さらに形状も任意に変更が可能である。また、このような表裏複数枚ずつの基布からなるバッグは、他のあらゆる箇所への適用が可能であり、個数等も任意に設定可能である。加えて、基布の周縁部の接合は、縫合の他、接着や織り合わせ等によって行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態のエアバッグ装置が適用された座席を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態のエアバッグ装置が適用されたシートクッションを示す側断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態のエアバッグ装置の側断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態のエアバッグ装置のバッグの展開前を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態のエアバッグ装置の包囲体の平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態のエアバッグ装置のバッグの展開時を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態のエアバッグ装置の包囲体の変形例を示す平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態のエアバッグ装置の包囲体の平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態のエアバッグ装置のバッグの展開前を示す分解斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態のエアバッグ装置のバッグの展開時を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態のエアバッグ装置の包囲体の変形例を示す平面図である。
【図12】本発明の第1,第2実施形態のエアバッグ装置のバッグの構成を概略的に示す分解図である。
【図13】本発明の第1,第2実施形態のエアバッグ装置のバッグを示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
11 エアバッグモジュール(エアバッグ装置)
15 シートクッション
23 クッションパッド(パッド)
42 バッグ
51,101 包囲体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の緊急時に膨張するバッグと、
該バッグを包む包囲体とを備えるエアバッグ装置であって、
前記包囲体は、中間部と端部との周長が異なっていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記バッグは、車両のシートクッションに設けられることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記包囲体は、中間部の周長よりも端部の周長が長いことを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−283956(P2007−283956A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115442(P2006−115442)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】