エアバッグ装置
【課題】簡易にインフレータが発生するガスからディフューザを保護する。
【解決手段】エアバッグ10は、ガスにより膨張する。ディフューザ40は、エアバッグ10内に配置される。インフレータ2は、ディフューザ40内でガスを発生してディフューザ40を通してエアバッグ10にガスを供給する。内側保護部材50は、ディフューザ40内でインフレータ2を囲い、インフレータ2が発生するガスを開放部54から流出させる。内側保護部材50は、ディフューザ40の内面の一部を覆う。
【解決手段】エアバッグ10は、ガスにより膨張する。ディフューザ40は、エアバッグ10内に配置される。インフレータ2は、ディフューザ40内でガスを発生してディフューザ40を通してエアバッグ10にガスを供給する。内側保護部材50は、ディフューザ40内でインフレータ2を囲い、インフレータ2が発生するガスを開放部54から流出させる。内側保護部材50は、ディフューザ40の内面の一部を覆う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ内にディフューザが配置されたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の緊急時や衝突時に乗員を保護するため、エアバッグ装置が普及している。エアバッグ装置は、インフレータが発生するガスによりエアバッグを膨張展開させる。乗員は、エアバッグにより受け止められる。従来、エアバッグの破損を防止するため、ディフューザが使用されている。ディフューザは、エアバッグ内に配置される。インフレータは、ディフューザ内でガスを発生する。ディフューザは、ガスからエアバッグを保護する。また、ディフューザは、ガスを整流して、エアバッグへガスを供給する。
【0003】
ところが、インフレータが発生するガスにより、ディフューザが破損する虞がある。特に、パイロ型のインフレータでは、高温のガスが発生するため、ディフューザが破損する虞が大きくなる。例えば、ディフューザの縫製部にガスが当たるときには、縫製部の穴が拡がる。拡がった穴が繋がることで、縫製部が破損する虞がある。これに対し、従来、インナーパイプとアウターパイプからなるガス供給機構を備えたカーテンエアバッグ装置が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
従来のカーテンエアバッグ装置では、インフレータをインナーパイプ内に挿入する。アウターパイプは、インナーパイプを覆う。ガスは、インナーパイプの第2供給口から、インナーパイプとアウターパイプの間の中間気室に流入する。その後、ガスは、アウターバッグの第3供給口からエアバッグ内へ供給される。ガスが、アウターバッグの縫製部に直接当たらないため、縫製部の破損が抑制される。ただし、このカーテンエアバッグ装置では、ガス供給機構の構造が複雑になる。そのため、このような機構によりディフューザを保護する場合には、エアバッグの製造に手間と時間がかかる。作業効率も低くなるため、コストも増加する傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−148416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、簡易に、インフレータが発生するガスからディフューザを保護して、ディフューザの破損を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ガスにより膨張するエアバッグと、エアバッグ内に配置されたディフューザと、ディフューザ内でガスを発生してディフューザを通してエアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置であって、ディフューザ内でインフレータを囲い、インフレータが発生するガスを開放部から流出させるとともに、ディフューザの内面の一部を覆う内側保護部材を備えたエアバッグ装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易に、インフレータが発生するガスからディフューザを保護して、ディフューザの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態のエアバッグ装置を示す図である。
【図2】平面上に拡げたエアバッグを示す図である。
【図3】ディフューザと内側保護部材を示す図である。
【図4】ディフューザと内側保護部材を示す図である。
【図5】ディフューザと内側保護部材を示す図である。
【図6】形成前のエアバッグを示す正面図である。
【図7】インフレータを示す側面図である。
【図8】インフレータを取り付けたエアバッグを示す図である。
【図9】膨張展開したエアバッグを示す正面図である。
【図10】図9のディフューザ付近を示す拡大図である。
【図11】形状を変更した内側保護部材を示す図である。
【図12】形状を変更した内側保護部材を示す図である。
【図13】外側保護部材を備えたディフューザを示す図である。
【図14】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図15】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図16】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図17】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図18】ディフューザを取り付けたエアバッグを示す図である。
【図19】他の実施形態のディフューザを示す図である。
【図20】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図21】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図22】ディフューザを取り付けたエアバッグを示す図である。
【図23】インフレータに固定する内側保護部材を示す図である。
【図24】内側保護部材をインフレータに固定する手順を示す図である。
【図25】案内筒と一体に形成された内側保護部材を示す図である。
【図26】案内筒と内側保護部材をインフレータに固定する手順を示す図である。
【図27】接合部のない内側保護部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のエアバッグ装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態のエアバッグ装置は、車両に搭載されて、エアバッグを膨張展開させる。エアバッグにより乗員を受け止めて保護する。以下では、カーテンエアバッグ装置(以下、単にエアバッグ装置という)を例に採り説明する。エアバッグ装置は、車両内の側壁に搭載される。エアバッグは、車両内でカーテン状に展開する。エアバッグは、側壁において乗員を保護する。
【0011】
図1は、本実施形態のエアバッグ装置を示す図である。図1では、車両90に搭載したエアバッグ装置1を車室内から見て示している。車両90の側壁91とエアバッグ装置1は、車両90の後方側を省略して、かつ、車両90の幅方向から見て模式的に示す。エアバッグ装置1は、車両90の内面を透視して示す。
なお、ここでは、車両90における前方、後方、上方、下方を、単に前方、後方、上方、下方という。また、車両90における前後方向と上下方向を、単に前後方向と上下方向という。
【0012】
車両90は、図示のように、車室内の側壁91に、ルーフレール92、フロントピラー93、センターピラー94、及び、リアピラー(図示せず)を備えている。また、車両90は、側壁91に、前部ドア95、後部ドア96、及び、ドア95、96の窓97、98を備えている。側壁91には、フロントピラートリム93Aと、ヘッドライニング92Aの一部が取り付けられている。ヘッドライニング92Aは、ルーフ(図示せず)とルーフレール92を覆う。
【0013】
エアバッグ装置1は、膨張展開可能なエアバッグ(カーテンエアバッグ)10と、円柱状のインフレータ2を備えている。エアバッグ10は、車両90内に前後方向に沿って取り付けられる。エアバッグ10は、細長く折り畳まれた状態で側壁91の上部に配置される。エアバッグ10は、フロントピラートリム93Aとヘッドライニング92A内に配置される。エアバッグ10は、固定手段(図示せず)により、車体99に固定される。
【0014】
インフレータ2は、シリンダタイプのガス発生装置である。このエアバッグ装置1では、パイロ型のインフレータ2を使用する。インフレータ2は、火薬の燃焼によりガスを発生する。インフレータ2は、エアバッグ10内に挿入され、エアバッグ10内でガスを発生する。ガスによりエアバッグ10が膨張する。インフレータ2は、センターピラー94の上方に配置される。インフレータ2は、固定手段(図示せず)により、ヘッドライニング92A内で車体99に固定される。
【0015】
車両緊急時や衝撃検知時に、インフレータ2は、エアバッグ10内にガスを供給する。エアバッグ10は、インフレータ2から供給されるガスにより、側壁91の上部から下方に向かって膨張展開する。その際、エアバッグ10は、フロントピラートリム93Aとヘッドライニング92Aを押し開いて、車室内に展開する。エアバッグ10は、側壁91に沿ってカーテン状に膨張展開する。
【0016】
図2は、平面上に拡げたエアバッグ10を示す図である。
エアバッグ10は、図示のように、前後方向に長い袋体である。エアバッグ10は、乗員側の表基布(表パネル)11と、側壁91側の裏基布(裏パネル)12を有する。また、エアバッグ10は、連結ベルト13と、複数の固定布14と、筒状の挿入部30と、ディフューザ40と、内側保護部材50を有する。挿入部30内には、インフレータ2(図2では図示せず)が挿入される。
【0017】
エアバッグ10の前方部は、連結ベルト13によりフロントピラー93に連結される。エアバッグ10は、固定布14により車体99に取り付けられる。連結ベルト13と固定布14は、ボルト等からなる固定手段(図示せず)により、フロントピラー93とルーフレール92に固定される。基布11、12は、同じ形状に形成された布(例えば、樹脂を被覆した布)からなる。重ねた基布11、12を、外縁接合部15で気密状に接合する。基布11、12は、外縁接合部15で、縫製により接合される。これにより、基布11、12の間に、膨張部20が形成される。膨張部20は、インフレータ2が発生するガスにより膨張する。
【0018】
膨張部20は、前膨張部21、後膨張部22、及び、連結膨張部23からなる。前膨張部21は、エアバッグ10内の前方で膨張して、主に前席の乗員を受け止める。後膨張部22は、エアバッグ10内の後方で膨張して、主に後席の乗員を受け止める。連結膨張部23は、前膨張部21と後膨張部22を連結する。膨張部21、22の間には、非膨張部24が形成されている。
【0019】
膨張部20は、第1〜第4の内部接合部16〜19により区画される。内部接合部16〜19は、外縁接合部15(膨張部20)内に位置する。基布11、12は、内部接合部16〜19で、外縁接合部15と同様に接合される。内部接合部16〜19の先端部は、膨張部20内で環状(環状部16A〜19A)に接合される。複数の内部接合部16〜19は、前後方向に離して配置され、膨張部20にガスの流通部と気室を形成する。第1と第2の内部接合部16、17は、前膨張部21に第1と第2の気室25、26を形成する。第4の内部接合部19は、後膨張部22に第3の気室27を形成する。
【0020】
挿入部30は、エアバッグ10内にガスを供給するための開口部(ガス供給部)である。挿入部30は、エアバッグ10の前後方向の中間に形成され、前膨張部21の後方端部に開口する。基布11、12は、挿入部30において、エアバッグ10の上縁部から斜め上方に突出する。挿入部30の縁部は、先端部の挿入口31を除いて、外縁接合部15から連続して接合される。これにより、筒状の挿入部30が形成される。挿入部30の両端部は開口している。挿入部30の一端部は、エアバッグ10の外部に開放されている。挿入部30の他端部は、膨張部20の内部に繋がる。
【0021】
インフレータ2は、挿入口31に挿入されて、エアバッグ10内に配置される。ただし、挿入部30には、ディフューザ40の一部が予め配置される。挿入部30の内部には、ディフューザ40が配置されるとともに、インフレータ2が挿入される。インフレータ2は、ディフューザ40内に配置される。ディフューザ40は、エアバッグ10内で、挿入部30から膨張部20まで配置される。ディフューザ40内には、内側保護部材50が配置される。
【0022】
図3〜図5は、ディフューザ40と内側保護部材50を示す図である。図3Aは、形成前のディフューザ40と内側保護部材50の展開図である。図3B、図4A、図4B、図5Aに、ディフューザ40と内側保護部材50の形成過程を示す。図5Bは、図5Aの矢視X1−X1線で見たディフューザ40と内側保護部材50の断面図である。図5Cは、図5Aの矢視X2−X2線(及びX3−X3線)で見たディフューザ40と内側保護部材50の断面図である。
【0023】
ディフューザ40は、インフレータ2が発生するガスを整流する整流部材である。ディフューザ40は、図示のように、複数に分岐した筒状部材からなる。ディフューザ40は、可撓性を有する部材、又は、変形自在な部材により形成される。このディフューザ40は、変形自在な基布41からなる。ディフューザ40は、折り返した基布41を縫製により接合することで形成される。ディフューザ40の基布41(図3A参照)は、矩形状の中央部41Aと、傾斜した一対の翼状部41Bと、接合片42A、42Bからなる。一対の翼状部41Bは、中央部41Aの側縁部に形成され、中央部41Aから突出する。
【0024】
内側保護部材50は、ディフューザ40をガスから保護するための部材である。内側保護部材50は、基布を矩形状に形成した保護布51からなる。ディフューザ40の基布41を拡げた状態(図3B参照)で、内側保護部材50を基布41の上に配置する。続いて、内側保護部材50を所定の折り返し線L1で折り返す。内側保護部材50の基布51(図4A参照)は、幅方向の中心線で半分に折り畳まれる。保護布51と基布41は重なる。
【0025】
次に、ディフューザ40の基布41(図4B、図5A参照)を、所定の折り返し線L2で折り返す。基布41は、中心線で半分に折り畳まれる。折り返し線L2の両側の基布41C、41Dは、縁部を揃えて重ねる。一方の基布41Cの翼状部41Bは、他方の基布41Dの翼状部41Bよりも長く形成されている。接合片42A、42Bは、それぞれ矩形状に形成されたタブである。接合片42A、42Bは、基布41C、41Dの長手方向の両端部に設けられる。接合片42A、42Bは、基布41C、41Dの縁部から突出する。基布41C、41Dを重ねたときに、接合片42A、42Bが、それぞれ重なる。内側保護部材50は、ディフューザ40の間に配置される。
【0026】
重ねた基布41C、41Dは、第1と第2の接合部41E、41F(図5A参照)で接合される。接合部41E、41Fは、基布41C、41Dの縁部に沿って設けられる。接合部41E、41Fは、基布41C、41Dの縁部を塞ぐ。重ねた基布41を接合することで、ディフューザ40が筒状に形成される。接合により、ガス流路43が、ディフューザ40内に形成される。また、ディフューザ40は、インフレータ2の収容部44、複数(図5Aでは2つ)のガス放出部45A、45B、ガス放出口46A、46B、及び、2つの連結孔47を有する。ディフューザ40は、連結孔47によりインフレータ2に連結される。
【0027】
収容部44は、一対の翼状部41Bにより筒状に形成される。収容部44の一端部は、インフレータ2の挿入口44Aである。インフレータ2は、挿入口44Aからディフューザ40内(収容部44)に挿入される。収容部44は、インフレータ2の先端部を収容する。ガス流路43は、ディフューザ40の内部空間である。ガス流路43は、収容部44からガス放出部45A、45Bまで形成される。ガス流路43は、ディフューザ40内で2つに分岐して、複数のガス放出部45A、45Bに繋がる。
【0028】
第1と第2のガス放出部45A、45Bは、ディフューザ40の前後方向の端部に設けられている。ガス流路43は、ガスをガス放出部45A、45Bへ案内する。第1と第2のガス放出口46A、46Bは、ガス放出部45A、45Bの端部に位置する開口である。第1と第2の接合片42A、42Bは、それぞれ2つの矩形状片が重なる状態で、ガス放出部45A、45Bの端部に形成されている。接合片42A、42Bは、ガス放出部45A、45Bから突出する。
【0029】
ディフューザ40に第2の接合部41Fを形成する前に、内側保護部材50の縁部が、第2の接合部41Fの位置に配置される。内側保護部材50の保護布51(図5参照)は、ディフューザ40の基布41(41C、41D)の間に配置される。ディフューザ40の基布41を第2の接合部41Fで接合するときに、重ねた保護布51と基布41を同時に接合する。これにより、内側保護部材50がディフューザ40に固定される。また、接合部52が保護布51に形成される。接合部52と接合部41Fは、同時に形成される。保護布51と基布41は、接合部52、41Fで縫い合わされる。第1の接合部41Eは、内側保護部材50の外側に設けられる。
【0030】
保護布51の接合部52は、内側保護部材50の一端部に設けられる。接合部52は、内側保護部材50の対向する縁部を塞ぐ。内側保護部材50は、接合部52のみで接合される。接合部52のない位置では、内側保護部材50の対向する縁部は開放されている。内側保護部材50の折り曲げた部分(折り返し線L1の折り目)は、ディフューザ40の第1の接合部41Eに沿って配置される。内側保護部材50は、第1の接合部41Eを遮蔽するように、ディフューザ40内に配置される。
【0031】
内側保護部材50は、筒状部53と開放部54と遮蔽部55を有する。筒状部53は、内側保護部材50の一端部に設けられる。筒状部53は、保護布51を接合部52で接合することで筒状に形成される。保護布51に形成された筒状部53は、ディフューザ40の収容部44内に配置される。筒状部53は、インフレータ2が挿入される開口部である。インフレータ2の先端部が、筒状部53内に配置される。内側保護部材50(筒状部53)は、ディフューザ40内でインフレータ2を囲む。開放部54は、ガス流路43内において、内側保護部材50の開放された部分からなる。開放部54は、ガス流路43に向かって開放する。内側保護部材50は、インフレータ2が発生するガスを開放部54からディフューザ40内へ流出させる。
【0032】
遮蔽部55は、ディフューザ40に形成された接合部(ここでは、第1の接合部41E)をガスから遮蔽する。遮蔽部55は、内側保護部材50の第1の接合部41E側の部分である。遮蔽部55は、ディフューザ40の収容部44とガス流路43の内部に配置される。また、遮蔽部55は、第1の接合部41Eとインフレータ2の間に配置される。第1の接合部41Eの所定部分が、遮蔽部55により覆われる。遮蔽部55は、第1の接合部41Eに向かうガスを遮り、ディフューザ40の第1の接合部41Eをガスから保護する。
【0033】
インフレータ2が内側保護部材50内でガスを発生すると、ガスは、開放部54からガス流路43へ流出する。ガスは、ガス流路43により、複数のガス放出部45A、45Bへ案内される。ガスは、ガス放出部45A、45Bのガス放出口46A、46Bから放出される。ガス放出部45A、45Bは、ディフューザ40内のガスをエアバッグ10内に放出する。ガスは、複数のガス放出部45A、45Bから、相異なる所定方向(ここでは、反対方向)に向かって放出される。
【0034】
次に、エアバッグ10の形成手順を説明する。
図6は、形成前のエアバッグ10を示す正面図である。
エアバッグ10は、図示のように、挿入部30に、インフレータ2が連結される2つの連結孔32を有する。2つの連結孔32は、ディフューザ40の2つの連結孔47と同様に形成されている。エアバッグ10の形成時には、まず、エアバッグ10用の基布11、12を重ねる。ディフューザ40は、基布11、12の間の所定位置に配置する(図2参照)。その際、連結孔32、47の位置を合わせる。ディフューザ40内には、内側保護部材50を予め取り付けておく。
【0035】
続いて、基布11、12を外縁接合部15で接合する。基布11、12間に膨張部20を形成する。基布11、12を内部接合部16〜19で接合する。連結ベルト13をエアバッグ10に取り付ける。ディフューザ40は、外縁接合部15での接合に伴い、エアバッグ10に取り付けられる。次に、ディフューザ40の取り付けについて、詳しく説明する。
【0036】
基布11、12の接合前に、ディフューザ40の収容部44を、挿入部30の位置に配置する。ガス放出部45A、45Bは、膨張部20の位置に配置する。その後、基布11、12を外縁接合部15で接合する。基布11、12は、ディフューザ40の縁に沿って接合される。これにより、ディフューザ40が、エアバッグ10内に配置される。収容部44は、挿入部30内に配置される。ガス放出部45A、45Bとガス放出口46A、46Bは、膨張部20内に配置される。ガス流路43は、挿入部30から膨張部20まで配置される。
【0037】
外縁接合部15は、ディフューザ40に重ならないように、ディフューザ40の外側に設けられる。ただし、ディフューザ40の接合片42A、42Bのみが、外縁接合部15の位置に配置される。基布11、12を接合するときに、接合片42A、42Bは、外縁接合部15でエアバッグ10(基布11、12)に接合される。接合片42A、42Bは、基布11、12間で、基布11、12とともに接合される。接合片42A、42Bは、基布11、12の縫製と同時に、外縁接合部15で基布11、12に縫い合わされる。接合片42A、42Bは、ガス放出部45A、45Bをエアバッグ10に連結する。接合片42A、42Bにより、ガス放出部45A、45Bの端部が、エアバッグ10に取り付けられる。ガス放出部45A、45Bは、エアバッグ10に留められる。
【0038】
次に、ディフューザ40と挿入部30を、接合部33で縫製により接合する。接合部33は、挿入口31の周囲に形成される。ディフューザ40と挿入部30は、接合により補強される。ディフューザ40と挿入部30は、共同して外力を受ける。その結果、ディフューザ40と挿入部30が破れ難くなる。このように、接合部33は、ディフューザ40と挿入部30を補強する補強部(補強縫製)である。インフレータ2は、ディフューザ40内に挿入される。
【0039】
図7は、インフレータ2を示す側面図である。
インフレータ2は、図示のように、ガスの噴出部2Aと、2つの連結部材2Bを有する。噴出部2Aは、インフレータ2の一端部に位置するガス発生部である。複数のガスの噴出口2Cが、噴出部2Aの外周全体に形成されている。インフレータ2(図7A参照)は、複数の噴出口2Cからガスを放射状に噴出する。連結部材2Bは、ボルトであり、インフレータ2の側方に突出する。例えば、連結部材2Bは、溶接によりインフレータ2に固定される。上記した連結孔32、47は、連結部材2Bの間隔と同じ間隔で形成されている。インフレータ2は、連結部材2Bを利用してルーフレール92に固定される。その際、例えば、連結部材2Bにより、ブラケット(図示せず)をインフレータ2に取り付ける。固定手段(ボルト等)(図示せず)により、ブラケットをルーフレール92に取り付ける。これにより、インフレータ2が車両90に固定される。
【0040】
インフレータ2(図7B参照)には、案内筒3が取り付けられる。案内筒3は、噴出部2Aの周りに配置される。インフレータ2が発生するガスは、案内筒3により、ディフューザ40内へ向けて案内される。案内筒3は、基布により帯状に形成された布状部材3Aからなる。布状部材3Aは、インフレータ2の外周に複数周巻き付けられる。布状部材3Aは、噴出部2Aから突出するように配置される。ガスは、布状部材3Aの開口部から噴出する。ガスは、案内筒3から所定方向に向かって供給される。
【0041】
案内筒3は、布状部材3Aに形成された複数の連結孔3Bを有する。布状部材3Aには、2つの連結孔3Bが、連結部材2Bの間隔と同じ間隔で形成されている。2つの連結孔3Bが、布状部材3Aに複数組形成されている。連結孔3Bに連結部材2Bを通しながら、布状部材3Aがインフレータ2に巻き付けられる。布状部材3Aをインフレータ2に1周巻き付ける毎に、2つの連結部材2Bが2つの連結孔3Bに挿入される。連結部材2Bは、布状部材3A(案内筒3)をインフレータ2に連結する。インフレータ2は、案内筒3とともにディフューザ40に挿入される。
【0042】
図8は、インフレータ2を取り付けたエアバッグ10を示す図である。
ディフューザ40は、図示のように、第3の内部接合部18から離れた位置に配置される。インフレータ2と案内筒3は、ディフューザ40の収容部44に挿入される。インフレータ2の少なくとも噴出部2Aを、収容部44内に配置する。インフレータ2と案内筒3は、内側保護部材50の内側に配置される。案内筒3は、インフレータ2と内側保護部材50の間に配置される。ディフューザ40と挿入部30を、インフレータ2に巻き付ける。同時に、インフレータ2の連結部材2Bを、連結孔32、47に挿入する。連結部材2Bにより、インフレータ2がディフューザ40と挿入部30に連結される。
【0043】
挿入部30とディフューザ40を、バンド4により、インフレータ2に気密状に固定する。これにより、インフレータ2がディフューザ40及び挿入部30に取り付けられる。内側保護部材50は、インフレータ2の噴出部2Aと案内筒3を囲む。その後、エアバッグ装置1は、車両90に搭載される。エアバッグ装置1は、作動信号を受信したときにインフレータ2を作動させる。エアバッグ10が、噴出部2Aから噴出するガスにより膨張展開する。
【0044】
図9は、膨張展開したエアバッグ10を示す正面図である。図9では、エアバッグ10内のガスの流れを矢印で示している。図10は、図9のディフューザ40付近を示す拡大図である。
インフレータ2は、図示のように、車体99に前後方向に沿って取り付けられる。これに伴い、挿入部30とディフューザ40が曲げられる。内側保護部材50は、ディフューザ40のガス流路43に沿って配置される。インフレータ2は、ディフューザ40内でガスを発生する。インフレータ2は、ディフューザ40を通して、エアバッグ10にガスを供給する。ガスにより膨張部20が膨張することで、エアバッグ10が、カーテン状に展開する。
【0045】
ディフューザ40は、エアバッグ10内で最初に膨張する。ガスは、ディフューザ40により膨張部20へ向けて案内される。その際、ガスは、内側保護部材50の一部に当たる。内側保護部材50は、インフレータ2が発生するガスを受けるガス受け部56を有する。ガスは、ガス受け部56に当たった後、内側保護部材50の開放部54から流出する。ディフューザ40が曲げられているため、案内筒3から噴出するガスは、内側保護部材50の所定部分に当たる。ガスは、案内筒3に案内されて、ガス受け部56に直接当たる。
【0046】
内側保護部材50は、ガス受け部56の反対側で接合される。即ち、内側保護部材50の接合部52は、内側保護部材50のガス受け部56を外れた位置に配置される。接合部52は、インフレータ2から供給されるガスが直接当たらない位置に設けられる。これにより、接合部52にガスが直接当たるのが防止される。内側保護部材50は、ディフューザ40内でガスにより拡がり、ディフューザ40の内面の一部を覆う。内側保護部材50は、収容部44の内面、及び、ガス流路43の一部の内面を覆う。ディフューザ40は、ガスの噴出方向において、内側保護部材50によりガスから保護される。ディフューザ40の第1の接合部41Eは、内側保護部材50の遮蔽部55により保護される。
【0047】
ディフューザ40は、膨張部20内で、ガスをガス放出部45A、45Bから放出する。ガスは、膨張部20へ連続して供給される。その際、ガス放出部45A、45Bは、ガスをガス放出口46A、46Bから所定方向へ向かって放出する。ガス放出部45A、45Bは、接合片42A、42Bにより、エアバッグ10に連結される。これにより、ガスの放出時に、ガス放出部45A、45Bの動きが抑制される。ガス放出部45A、45Bの位置は、膨張部20内の所定位置に維持される。ガスの放出方向の変動も小さくなる。その結果、ガスが、ディフューザ40から膨張部20内に安定して放出する。また、ディフューザ40によるエアバッグ10の破損が防止される。
【0048】
ディフューザ40は、複数のガス放出部45A、45Bにより、ガスを膨張部20内で複数方向に分配する。ガスは、ディフューザ40により、前後方向に分配される。ガスは、ディフューザ40により整流されつつ、膨張部20へ供給される。ガスは、前膨張部21へ供給されるとともに、連結膨張部23を通って後膨張部22へ供給される。ガスにより、エアバッグ10(図1参照)が、側壁91を覆うように膨張展開する。エアバッグ10は、前席と後席の乗員を受け止めて、乗員の頭部を中心に保護する。
【0049】
以上説明したように、内側保護部材50により、インフレータ2が発生するガスからディフューザ40を簡易に保護できる。また、インフレータ2がガスを発生するときに、ディフューザ40の破損を、簡易な手段により抑制できる。エアバッグ10の製造に要する手間と時間を削減できるため、作業効率を向上できる。エアバッグ10のコストも削減できる。内側保護部材50をディフューザ40に固定することで、内側保護部材50の位置の変化を防止できる。そのため、内側保護部材50により、ディフューザ40を確実に保護できる。
【0050】
内側保護部材50の接合部とディフューザ40の接合部は、ガスによるダメージを受け易い。内側保護部材50の接合部52を、ガス受け部56を外れた位置に配置するときには、接合部52の破損を抑制できる。内側保護部材50の破損を抑制できるため、内側保護部材50によりディフューザ40を確実に保護できる。ディフューザ40の第1の接合部41Eは、内側保護部材50の遮蔽部55により保護される。そのため、第1の接合部41Eの破損を抑制できる。
【0051】
保護布51を接合して筒状に形成することで、内側保護部材50を簡単に製造できる。インフレータ2を囲む筒状部53により、インフレータ2の周りのディフューザ40をガスから保護できる。また、筒状部53により、ガスの流れを調整できる。保護布51とディフューザ40の基布41を同時に接合することで、保護布51の接合部52を簡単に形成できる。保護布51の接合のための手間と時間を削減できるため、作業効率を向上できる。
【0052】
案内筒3により、インフレータ2が発生するガスをディフューザ40内に案内できる。案内筒3によりガスを一旦受けるため、内側保護部材50が受ける衝撃を緩和できる。案内筒3の布状部材3Aをインフレータ2に巻き付ける際に、連結部材2Bと連結孔3Bにより、布状部材3Aをインフレータ2に仮止めできる。そのため、布状部材3Aをインフレータ2に容易に、かつ、正確に巻き付けることができる。
【0053】
なお、ディフューザ40は、エアバッグ10の基布11、12と同じ素材で作製してもよく、基布11、12とは異なる素材で作製してもよい。ここでは、ディフューザ40は、基布11、12よりも耐熱性が高い基布41からなる。ディフューザ40により、エアバッグ10を、インフレータ2が発生するガスや熱から保護する。ディフューザ40には、1つ、又は、3つ以上のガス放出部及びガス放出口を設けるようにしてもよい。ディフューザ40が複数のガス放出部を有するときには、接合片を複数のガス放出部に設ける。ただし、接合片を一部のガス放出部に設けるようにしてもよい。ディフューザ40の複数のガス放出口は、同じ大きさに形成してもよく、異なる大きさに形成してもよい。
【0054】
内側保護部材50は、エアバッグ10やディフューザ40と同じ素材で作製してもよく、エアバッグ10やディフューザ40とは異なる素材で作製してもよい。ここでは、内側保護部材50は、ディフューザ40の基布41と同じ基布からなる。内側保護部材50に、より高い耐熱性が必要なときには、内側保護部材50を、基布41よりも高い耐熱性を有する基布で作製する。その際、内側保護部材50を、ディフューザ40の必要な部分のみに配置することで、内側保護部材50を小さくできる。これにより、内側保護部材50のコストを抑えつつ、内側保護部材50の耐熱性を高くできる。
【0055】
内側保護部材50は、矩形状以外の形状に形成してもよい。また、内側保護部材50は、ディフューザ40内で短縮又は延長してもよい。
図11、図12に、形状を変更した内側保護部材50A、50Bを示す。
図11に示す内側保護部材50Aでは、先端部57が斜めになっている。内側保護部材50Aは、先細り形状に形成されている。
図12に示す内側保護部材50Bは、上記した内側保護部材50よりも長くなっている。内側保護部材50Bは、ガス流路43から第1のガス放出部45Aまで配置される。内側保護部材50Bの先端部57は、第1のガス放出口46Aに配置される。
【0056】
次に、外側保護部材を追加したディフューザ40について説明する。
図13は、外側保護部材5を備えたディフューザ40を示す図である。図13は、図3Aに対応する展開図である。図13には、形成前のディフューザ40、内側保護部材50、及び、外側保護部材5を示す。
【0057】
ディフューザ40と内側保護部材50については既に説明したため、外側保護部材5に関する事項について説明する。外側保護部材5は、ディフューザ40の周りのエアバッグ10を保護する部材である。また、外側保護部材5は、ディフューザ40を補強する補強部材でもある。外側保護部材5は、図示のように、内側保護部材50と同様に、基布を矩形状に形成した保護布(補強布)5Aからなる。ディフューザ40を形成するときに、外側保護部材5が、ディフューザ40の外面に取り付けられる。
【0058】
図14〜図17は、ディフューザ40の形成過程を示す図である。図14Bは、図14Aの矢印Y1方向から見た図である。図17Bは、図17Aの矢視Y2−Y2線で見た断面図である。図17Cは、図17Aの矢視Y3−Y3線(及びY4−Y4線)で見た断面図である。
ディフューザ40の基布41を拡げた状態(図14参照)で、外側保護部材5が基布41の下に配置される。内側保護部材50は、基布41の上に配置される。外側保護部材5と内側保護部材50は、重なるように配置される。基布41は、外側保護部材5と内側保護部材50の間に配置される。
【0059】
次に、内側保護部材50を折り返し線L1で折り返す(図15A参照)。ディフューザ40の基布41(図15B、図16A参照)を、折り返し線L2で折り返す。基布41を、第1の接合部41Eで接合する。その際、外側保護部材5が、第1の接合部41Eで基布41に接合される。ただし、外側保護部材5は、第1の接合部41Eで基布41に接合しないようにしてもよい。次に、外側保護部材5(図16B、図17A参照)を、所定の折り返し線L3で折り返す。外側保護部材5の保護布5Aは、幅方向の中心線で半分に折り畳まれる。ディフューザ40は、外側保護部材5の間に配置される。保護布5A、51と基布41が重なる。
【0060】
外側保護部材5(図17参照)は、ディフューザ40の外面48に配置される。外側保護部材5は、収容部44を包むように、外面48の一部に配置される。外側保護部材5の折り曲げた部分(折り返し線L3の折り目)は、ディフューザ40の一方の側縁に接する。外側保護部材5の縁部は、第2の接合部41Fの位置に配置される。ディフューザ40の基布41を第2の接合部41Fで接合するときに、重ねた保護布5A、51と基布41を同時に接合する。保護布5A、51と基布41は、第2の接合部41Fで縫い合わされる。外側保護部材5は、第2の接合部41Fでディフューザ40に接合される。これにより、外側保護部材5がディフューザ40に固定される。外側保護部材5は、ディフューザ40とともに、エアバッグ10に取り付けられる。
【0061】
図18は、ディフューザ40を取り付けたエアバッグ10を示す図である。図18では、図10に対応して、ディフューザ40付近のエアバッグ10を示す。
外側保護部材5は、図示のように、挿入部30内で、ディフューザ40とエアバッグ10の間に配置される。外側保護部材5は、エアバッグ10内で、ディフューザ40の外面48の一部を覆う。また、外側保護部材5は、ディフューザ40の内側保護部材50が配置された部分を覆う。インフレータ2、案内筒3、及び、内側保護部材50は、外側保護部材5の内側に配置される。外側保護部材5は、内側保護部材50の全体を囲む。内側保護部材50のガス受け部56は、外側保護部材5により覆われる。外側保護部材5は、ガス受け部56の反対側で、ディフューザ40に接合される。
【0062】
外側保護部材5によりディフューザ40を補強できる。また、外側保護部材5によりディフューザ40の耐熱性を向上できるため、エアバッグ10をガスの熱から保護できる。外側保護部材5により熱の伝達を抑制できるため、エアバッグ10の熱によるダメージを軽減できる。外側保護部材5によりディフューザ40の一部のみを覆うため、外側保護部材5を比較的小さくできる。このように、外側保護部材5によりディフューザ40を補強することで、ディフューザ40とエアバッグ10を簡易に保護できる。
【0063】
外側保護部材5は、エアバッグ10やディフューザ40と同じ素材で作製してもよく、エアバッグ10やディフューザ40とは異なる素材で作製してもよい。ここでは、外側保護部材5は、ディフューザ40の基布41と同じ基布からなる。外側保護部材5に、より高い耐熱性が必要なときには、外側保護部材5を、基布41よりも高い耐熱性を有する基布で作製する。
【0064】
次に、他の実施形態のディフューザについて説明する。
図19は、他の実施形態のディフューザ60を示す図である。図19は、図13に対応する展開図である。図19には、形成前のディフューザ60、内側保護部材50、及び、外側保護部材5を示す。
ディフューザ60は、上記したディフューザ40に替えて、エアバッグ10内に配置される。以下では、ディフューザ60について、ディフューザ40と異なる事項を説明する。ディフューザ60には、内側保護部材50と外側保護部材5が取り付けられる。
【0065】
ディフューザ60は、図示のように、折り返した基布61を接合することで形成される。基布61の長手方向の一端部(図19では右端部)は、三角形状に形成される。基布61は、所定の折り返し線R1で折り返される。基布61は、幅方向の中心線で折り畳まれる。折り返し線R1の両側の基布61A、61Bは、それぞれ細長い矩形状に形成されている。ディフューザ60を形成するときには、内側保護部材50と外側保護部材5をディフューザ60に重ねる。内側保護部材50と外側保護部材5は、それぞれディフューザ60の折り返し前後に、折り返し線R2、R3で折り返す。
【0066】
図20、21は、ディフューザ60の形成過程を示す図である。図20Bは、図20Aの矢印Z1方向から見た図である。図21Cは、図21Bの矢視Z2−Z2線で見た断面図である。図21Dは、図21Bの矢視Z3−Z3線で見た断面図である。図20、図21では、ディフューザ60、内側保護部材50、及び、外側保護部材5は、折り畳まれている。
内側保護部材50(保護布51)(図20参照)は、ディフューザ60(基布61)の間に配置される。ディフューザ60と内側保護部材50は、外側保護部材5(保護布5A)の間に配置される。基布61と保護布51、5Aは重なる。
【0067】
次に、ディフューザ60の基布61(図21参照)を、第1と第2の接合部62A、62Bで接合する。第1の接合部62Aは、ディフューザ60の先端部に位置する。第2の接合部62Bは、ディフューザ60の側部に位置する。まず、基布61を第1の接合部62Aで接合する。内側保護部材50の縁部と外側保護部材5の縁部を、第2の接合部62Bの位置に配置する。基布61を第2の接合部62Bで接合するときに、重ねた保護布5A、51と基布61を同時に接合する。保護布5A、51と基布61は、第2の接合部62Bで縫い合わされる。接合部62A、62Bは、基布61A、61Bの縁部を塞ぐ。
【0068】
重ねた基布61を接合することで、ディフューザ60が筒状に形成される。ディフューザ60は、直線状に延びる筒状部材からなる。ディフューザ60は、挿入部30の形状に対応して直線形状に、かつ、細長い矩形状に形成される。ディフューザ60の先端部は、楔形状に形成される。また、ガス流路63が、ディフューザ60内に形成される。ガス流路63は、ディフューザ60の内部空間、及び、インフレータ2の挿入部である。
【0069】
ディフューザ60は、インフレータ2の挿入口64と、複数(図21Bでは2つ)のガス放出口65A、65Bと、2つの連結孔66を有する。ディフューザ60は、連結孔66によりインフレータ2に連結される。インフレータ2は、挿入口64からディフューザ60内(ガス流路63)に挿入される。ガスは、ガス流路63を通って、ガス放出口65A、65Bから放出される。第1のガス放出口65Aは、基布61にスリット状に形成された開口(図19A参照)からなる。第2のガス放出口65Bは、接合部62A、62Bの間に設けられた非接合部からなる。ガス放出口65A、65Bは、ディフューザ60の先端部に設けられる。ガスは、複数のガス放出口65A、65Bから所定方向に向かって放出される。
【0070】
内側保護部材50は、ガス流路63内に配置される。内側保護部材50の筒状部53は、挿入口64側に配置される。内側保護部材50の開放部54は、ガス放出口65A、65B側に配置される。インフレータ2が内側保護部材50内でガスを発生すると、ガスは、開放部54からガス流路63へ流出する。ガスは、ガス放出口65A、65Bから放出される。外側保護部材5は、ディフューザ60に1周巻き付けるように配置される。外側保護部材5は、ディフューザ60の外面67に隙間なく接する。
【0071】
エアバッグ10(図2参照)は、ディフューザ60がない状態で形成される。エアバッグ10は、縫製と接着により接合される。エアバッグ10の形成後に、ディフューザ60が、エアバッグ10の挿入部30に挿入される。ディフューザ60は、挿入口31から膨張部20まで、挿入部30に沿って真っ直ぐに挿入される。ディフューザ60は、挿入部30から膨張部20まで直線状に配置される。ガス放出口65A、65Bは、膨張部20内に配置される。ディフューザ60と挿入部30は、接合部33で接合される。その後、案内筒3を有するインフレータ2を、上記と同様に、ディフューザ60内に配置する。挿入部30とディフューザ60を、バンド4により、インフレータ2に固定する。
【0072】
図22は、ディフューザ60を取り付けたエアバッグ10を示す図である。図22では、図18に対応して、ディフューザ60付近のエアバッグ10を示す。
内側保護部材50は、ディフューザ60のガス流路63に沿って配置される。内側保護部材50は、インフレータ2と案内筒3を囲む。外側保護部材5は、エアバッグ10内で、ディフューザ60の外面67の一部を覆う。また、外側保護部材5は、ディフューザ60の内側保護部材50が配置された部分を覆う。内側保護部材50のガス受け部56は、外側保護部材5により覆われる。外側保護部材5は、ガス受け部56の反対側で、ディフューザ60に接合される。内側保護部材50の接合部52は、内側保護部材50のガス受け部56を外れた位置に配置される。
【0073】
このディフューザ60では、内側保護部材50による上記した効果が得られる。また、外側保護部材5による上記した効果も得られる。ディフューザ60を、直線状に突出する挿入部30に挿入して、膨張部20まで配置する。そのため、ディフューザ60を、挿入部30からエアバッグ10に容易に挿入できる。ディフューザ60を膨張部20内に確実に配置できる。ディフューザ60の挿入に要する手間や時間が削減されるため、エアバッグ装置1の生産性を向上させることもできる。
【0074】
ディフューザ60は、エアバッグ10の基布11、12と同じ素材で作製してもよく、基布11、12とは異なる素材で作製してもよい。ここでは、ディフューザ60は、基布11、12よりも耐熱性が高い基布61からなる。ディフューザ60には、1つ、又は、3つ以上のガス放出口を設けるようにしてもよい。複数のガス放出口は、同じ大きさに形成してもよく、異なる大きさに形成してもよい。ガス放出口を、ディフューザ60の下端部に設けるようにしてもよい。この場合には、ディフューザ60は、下方に向かってガスを放出する。ディフューザ60には、外側保護部材5を設けずに、内側保護部材50のみを設けてもよい。
【0075】
以上説明したディフューザは、ジャカード織により形成してもよい。インフレータ2は、案内筒3を設けずに、ディフューザ内に配置してもよい。この場合には、内側保護部材50を、ディフューザのガスを受ける部分に配置する。内側保護部材50は、インフレータ2が配置される種々のディフューザに設けることができる。内側保護部材50の接合部52は、単独で形成してもよい。内側保護部材50は、インフレータ2に固定するようにしてもよい。内側保護部材50は、接合部のない筒状部材(例えば、ホースやチューブ)であってもよい。
【0076】
次に、内側保護部材の他の実施形態について説明する。以下説明する複数の内側保護部材は、基本的には、既に説明した内側保護部材50と同様に構成されている。また、各内側保護部材では、内側保護部材50と同じ効果が得られる。そのため、以下では、既に説明した事項とは異なる事項を説明する。既に説明した事項と同じ事項は簡単に説明する。内側保護部材に関して、同じ構成には同じ名称を付す。
【0077】
図23は、インフレータ2に固定する内側保護部材70を示す図である。図23Aは、図7Bに対応するインフレータ2の側面図である。図23Bは、インフレータ2に固定する前の内側保護部材70の展開図である。
インフレータ2は、図示のように、布状部材3Aからなる案内筒3を有する。インフレータ2の連結部材2Bを案内筒3の連結孔3Bに通しながら、布状部材3Aがインフレータ2に巻き付けられる。内側保護部材70は、基布を矩形状に形成した保護布71からなる。内側保護部材70は、複数の連結孔72を有する。2つの連結孔72が、保護布71の両側部に、連結部材2Bの間隔と同じ間隔で形成されている。
【0078】
図24は、内側保護部材70をインフレータ2に固定する手順を示す図である。図24Aに、インフレータ2に固定する途中の内側保護部材70を示す。図24Bに、インフレータ2に固定した後の内側保護部材70を示す。
図示のように、まず、インフレータ2の2つの連結部材2Bを、内側保護部材70の一方の側部に位置する2つの連結孔72に挿入する。次に、内側保護部材70をインフレータ2の外周に1周巻き付ける。その際、保護布71を、インフレータ2を囲うように案内筒3の周りに巻き付ける。最後に、インフレータ2の2つの連結部材2Bを、内側保護部材70の他方の側部に位置する2つの連結孔72に挿入する。これにより、内側保護部材70をインフレータ2に取り付ける。内側保護部材70は、連結部材2Bによりインフレータ2に連結及び固定される。
【0079】
ディフューザ40(又は、ディフューザ60)は、内側保護部材70のない状態に形成する。ディフューザ40をエアバッグ10の挿入部30に配置する。続いて、内側保護部材70とインフレータ2を、ディフューザ40の挿入口44Aに挿入する。内側保護部材70を、インフレータ2及び案内筒3とともに、ディフューザ40内に配置する。インフレータ2と案内筒3は、内側保護部材70の内側に配置される。
【0080】
内側保護部材70は、筒状部73と開放部74と遮蔽部75を有する。内側保護部材70をインフレータ2に巻き付けることで、インフレータ2の周りの内側保護部材70が筒状をなす。これにより、筒状部73が内側保護部材70に形成される。筒状部73は、ディフューザ40内でインフレータ2の先端部(噴出部2A)を囲む。内側保護部材70の先端部77側では、内側保護部材70の縁部が開放している。開放部74は、内側保護部材70の開放された部分からなる。内側保護部材70は、インフレータ2が発生するガスを開放部74から流出させる。遮蔽部75は、ディフューザ40の第1の接合部41Eをガスから遮蔽する。内側保護部材70は、遮蔽部75により第1の接合部41Eを保護する。
【0081】
図25は、案内筒3と一体に形成された内側保護部材80を示す図である。図25Aは、図7Aに対応するインフレータ2の側面図である。図25Bは、インフレータ2に固定する前の案内筒3と内側保護部材80の展開図である。
案内筒3は、図示のように、複数の連結孔3Bを有する布状部材3Aからなる。内側保護部材80は、布状部材3Aの一部を延長した矩形状の保護布81を有する。保護布81は、布状部材3Aの先端部から突出する。
【0082】
図26は、案内筒3と内側保護部材80をインフレータ2に固定する手順を示す図である。図26Aに、インフレータ2に固定する途中の案内筒3と内側保護部材80を示す。図26Bに、インフレータ2に固定した後の案内筒3と内側保護部材80を示す。
図示のように、連結部材2Bを連結孔3Bに通しながら、布状部材3Aをインフレータ2に巻き付ける。案内筒3は、連結部材2Bによりインフレータ2に連結される。布状部材3Aの巻き付け完了に伴い、保護布81が筒状に配置される。内側保護部材80は、保護布81と最外側の布状部材3Aからなる。案内筒3と内側保護部材80は、インフレータ2に同時に取り付けられる。内側保護部材80は、連結部材2Bによりインフレータ2に連結及び固定される。ディフューザ40をエアバッグ10の挿入部30に配置した後、内側保護部材80を、インフレータ2及び案内筒3とともに、ディフューザ40内に配置する。
【0083】
内側保護部材80は、筒状部83と開放部84と遮蔽部85を有する。筒状部83は、布状部材3Aからなり、ディフューザ40内でインフレータ2を囲む。開放部84は、保護布81の開放された部分からなる。内側保護部材80は、インフレータ2が発生するガスを開放部84から流出させる。遮蔽部85は、保護布81からなり、ディフューザ40の第1の接合部41Eをガスから遮蔽する。内側保護部材80は、遮蔽部85により第1の接合部41Eを保護する。なお、内側保護部材80と案内筒3は、連結部材2B以外の固定手段により、インフレータ2に固定するようにしてもよい。例えば、内側保護部材80と案内筒3をインフレータ2に巻き付けた後、バンドにより、内側保護部材80と案内筒3をインフレータ2に連結及び固定する。このように、内側保護部材80と案内筒3は、種々の固定手段により、インフレータ2に固定される。
【0084】
図27は、接合部のない内側保護部材100を示す図である。
内側保護部材100は、図示のように、筒状部材101からなる。筒状部材101は、例えば、筒状の織物である。ディフューザ40を拡げた状態で、筒状の内側保護部材100を、ディフューザ40の基布41の上に配置する。基布41(図5参照)を折り返して、第1と第2の接合部41E、41Fで接合する。その際、内側保護部材100の縁部を第2の接合部41Fの位置に配置する。内側保護部材100は、第2の接合部41Fで基布41に接合される。これにより、内側保護部材100がディフューザ40に固定される。ディフューザ40をエアバッグ10に取り付けた後、インフレータ2をディフューザ40に挿入する。インフレータ2は、内側保護部材100の内側に配置される。
【0085】
内側保護部材100は、筒状部103と開放部104と遮蔽部105を有する。筒状部103は、ディフューザ40内でインフレータ2を囲む。内側保護部材100の先端部107側では、内側保護部材100が斜めに形成されている。内側保護部材100の傾斜部分が開放している。開放部104は、内側保護部材100の傾斜部分からなる。内側保護部材100は、インフレータ2が発生するガスを開放部104から流出させる。遮蔽部105は、ディフューザ40の第1の接合部41Eをガスから遮蔽する。内側保護部材100は、遮蔽部105により第1の接合部41Eを保護する。
【0086】
この内側保護部材100では、ディフューザ40の形成時に、内側保護部材100を折り畳む手間を省くことができる。内側保護部材100は、第2の接合部41F以外の箇所でディフューザ40に接合してもよい。内側保護部材100は筒状部材101からなるため、筒状部103を形成するために内側保護部材100を接合する必要はない。また、インフレータ2の挿入時やエアバッグ装置1の作動時に、内側保護部材100がディフューザ40内でズレなければよい。即ち、内側保護部材100は、ズレない程度にディフューザ40に接合されていればよい。そのため、内側保護部材100とディフューザ40の接合位置は、比較的自由に選択できる。内側保護部材100をディフューザ40に容易に接合することもできる。
【0087】
なお、本発明は、カーテンエアバッグ装置に限定されず、インフレータ2が取り付けられる種々のエアバッグ装置に適用できる。インフレータ2は、パイロ型以外のインフレータ(例えば、ストアードガス型やハイブリッド型のインフレータ)であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1・・・エアバッグ装置、2・・・インフレータ、2A・・・噴出部、2B・・・連結部材、2C・・・噴出口、3・・・案内筒、4・・・バンド、5・・・外側保護部材、5A・・・保護布、10・・・エアバッグ、11・・・表基布、12・・・裏基布、13・・・連結ベルト、14・・・固定布、15・・・外縁接合部、16〜19・・・内部接合部、20・・・膨張部、21・・・前膨張部、22・・・後膨張部、23・・・連結膨張部、24・・・非膨張部、25〜27・・・気室、30・・・挿入部、31・・・挿入口、32・・・連結孔、33・・・接合部、40・・・ディフューザ、41・・・基布、42A、42B・・・接合片、43・・・ガス流路、44・・・収容部、45A、45B・・・ガス放出部、46A、46B・・・ガス放出口、47・・・連結孔、48・・・外面、50・・・内側保護部材、51・・・保護布、52・・・接合部、53・・・筒状部、54・・・開放部、55・・・遮蔽部、56・・・ガス受け部、57・・・先端部、60・・・ディフューザ、61・・・基布、62A、62B・・・接合部、63・・・ガス流路、64・・・挿入口、65A、65B・・・ガス放出口、66・・・連結孔、67・・・外面、70・・・内側保護部材、71・・・保護布、72・・・連結孔、73・・・筒状部、74・・・開放部、75・・・遮蔽部、77・・・先端部、80・・・内側保護部材、81・・・保護布、83・・・筒状部、84・・・開放部、85・・・遮蔽部、90・・・車両、91・・・側壁、92・・・ルーフレール、93・・・フロントピラー、94・・・センターピラー、95・・・前部ドア、96・・・後部ドア、97、98・・・窓、99・・・車体、100・・・内側保護部材、101・・・筒状部材、103・・・筒状部、104・・・開放部、105・・・遮蔽部、107・・・先端部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ内にディフューザが配置されたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の緊急時や衝突時に乗員を保護するため、エアバッグ装置が普及している。エアバッグ装置は、インフレータが発生するガスによりエアバッグを膨張展開させる。乗員は、エアバッグにより受け止められる。従来、エアバッグの破損を防止するため、ディフューザが使用されている。ディフューザは、エアバッグ内に配置される。インフレータは、ディフューザ内でガスを発生する。ディフューザは、ガスからエアバッグを保護する。また、ディフューザは、ガスを整流して、エアバッグへガスを供給する。
【0003】
ところが、インフレータが発生するガスにより、ディフューザが破損する虞がある。特に、パイロ型のインフレータでは、高温のガスが発生するため、ディフューザが破損する虞が大きくなる。例えば、ディフューザの縫製部にガスが当たるときには、縫製部の穴が拡がる。拡がった穴が繋がることで、縫製部が破損する虞がある。これに対し、従来、インナーパイプとアウターパイプからなるガス供給機構を備えたカーテンエアバッグ装置が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
従来のカーテンエアバッグ装置では、インフレータをインナーパイプ内に挿入する。アウターパイプは、インナーパイプを覆う。ガスは、インナーパイプの第2供給口から、インナーパイプとアウターパイプの間の中間気室に流入する。その後、ガスは、アウターバッグの第3供給口からエアバッグ内へ供給される。ガスが、アウターバッグの縫製部に直接当たらないため、縫製部の破損が抑制される。ただし、このカーテンエアバッグ装置では、ガス供給機構の構造が複雑になる。そのため、このような機構によりディフューザを保護する場合には、エアバッグの製造に手間と時間がかかる。作業効率も低くなるため、コストも増加する傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−148416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、簡易に、インフレータが発生するガスからディフューザを保護して、ディフューザの破損を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ガスにより膨張するエアバッグと、エアバッグ内に配置されたディフューザと、ディフューザ内でガスを発生してディフューザを通してエアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置であって、ディフューザ内でインフレータを囲い、インフレータが発生するガスを開放部から流出させるとともに、ディフューザの内面の一部を覆う内側保護部材を備えたエアバッグ装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易に、インフレータが発生するガスからディフューザを保護して、ディフューザの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態のエアバッグ装置を示す図である。
【図2】平面上に拡げたエアバッグを示す図である。
【図3】ディフューザと内側保護部材を示す図である。
【図4】ディフューザと内側保護部材を示す図である。
【図5】ディフューザと内側保護部材を示す図である。
【図6】形成前のエアバッグを示す正面図である。
【図7】インフレータを示す側面図である。
【図8】インフレータを取り付けたエアバッグを示す図である。
【図9】膨張展開したエアバッグを示す正面図である。
【図10】図9のディフューザ付近を示す拡大図である。
【図11】形状を変更した内側保護部材を示す図である。
【図12】形状を変更した内側保護部材を示す図である。
【図13】外側保護部材を備えたディフューザを示す図である。
【図14】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図15】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図16】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図17】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図18】ディフューザを取り付けたエアバッグを示す図である。
【図19】他の実施形態のディフューザを示す図である。
【図20】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図21】ディフューザの形成過程を示す図である。
【図22】ディフューザを取り付けたエアバッグを示す図である。
【図23】インフレータに固定する内側保護部材を示す図である。
【図24】内側保護部材をインフレータに固定する手順を示す図である。
【図25】案内筒と一体に形成された内側保護部材を示す図である。
【図26】案内筒と内側保護部材をインフレータに固定する手順を示す図である。
【図27】接合部のない内側保護部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のエアバッグ装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態のエアバッグ装置は、車両に搭載されて、エアバッグを膨張展開させる。エアバッグにより乗員を受け止めて保護する。以下では、カーテンエアバッグ装置(以下、単にエアバッグ装置という)を例に採り説明する。エアバッグ装置は、車両内の側壁に搭載される。エアバッグは、車両内でカーテン状に展開する。エアバッグは、側壁において乗員を保護する。
【0011】
図1は、本実施形態のエアバッグ装置を示す図である。図1では、車両90に搭載したエアバッグ装置1を車室内から見て示している。車両90の側壁91とエアバッグ装置1は、車両90の後方側を省略して、かつ、車両90の幅方向から見て模式的に示す。エアバッグ装置1は、車両90の内面を透視して示す。
なお、ここでは、車両90における前方、後方、上方、下方を、単に前方、後方、上方、下方という。また、車両90における前後方向と上下方向を、単に前後方向と上下方向という。
【0012】
車両90は、図示のように、車室内の側壁91に、ルーフレール92、フロントピラー93、センターピラー94、及び、リアピラー(図示せず)を備えている。また、車両90は、側壁91に、前部ドア95、後部ドア96、及び、ドア95、96の窓97、98を備えている。側壁91には、フロントピラートリム93Aと、ヘッドライニング92Aの一部が取り付けられている。ヘッドライニング92Aは、ルーフ(図示せず)とルーフレール92を覆う。
【0013】
エアバッグ装置1は、膨張展開可能なエアバッグ(カーテンエアバッグ)10と、円柱状のインフレータ2を備えている。エアバッグ10は、車両90内に前後方向に沿って取り付けられる。エアバッグ10は、細長く折り畳まれた状態で側壁91の上部に配置される。エアバッグ10は、フロントピラートリム93Aとヘッドライニング92A内に配置される。エアバッグ10は、固定手段(図示せず)により、車体99に固定される。
【0014】
インフレータ2は、シリンダタイプのガス発生装置である。このエアバッグ装置1では、パイロ型のインフレータ2を使用する。インフレータ2は、火薬の燃焼によりガスを発生する。インフレータ2は、エアバッグ10内に挿入され、エアバッグ10内でガスを発生する。ガスによりエアバッグ10が膨張する。インフレータ2は、センターピラー94の上方に配置される。インフレータ2は、固定手段(図示せず)により、ヘッドライニング92A内で車体99に固定される。
【0015】
車両緊急時や衝撃検知時に、インフレータ2は、エアバッグ10内にガスを供給する。エアバッグ10は、インフレータ2から供給されるガスにより、側壁91の上部から下方に向かって膨張展開する。その際、エアバッグ10は、フロントピラートリム93Aとヘッドライニング92Aを押し開いて、車室内に展開する。エアバッグ10は、側壁91に沿ってカーテン状に膨張展開する。
【0016】
図2は、平面上に拡げたエアバッグ10を示す図である。
エアバッグ10は、図示のように、前後方向に長い袋体である。エアバッグ10は、乗員側の表基布(表パネル)11と、側壁91側の裏基布(裏パネル)12を有する。また、エアバッグ10は、連結ベルト13と、複数の固定布14と、筒状の挿入部30と、ディフューザ40と、内側保護部材50を有する。挿入部30内には、インフレータ2(図2では図示せず)が挿入される。
【0017】
エアバッグ10の前方部は、連結ベルト13によりフロントピラー93に連結される。エアバッグ10は、固定布14により車体99に取り付けられる。連結ベルト13と固定布14は、ボルト等からなる固定手段(図示せず)により、フロントピラー93とルーフレール92に固定される。基布11、12は、同じ形状に形成された布(例えば、樹脂を被覆した布)からなる。重ねた基布11、12を、外縁接合部15で気密状に接合する。基布11、12は、外縁接合部15で、縫製により接合される。これにより、基布11、12の間に、膨張部20が形成される。膨張部20は、インフレータ2が発生するガスにより膨張する。
【0018】
膨張部20は、前膨張部21、後膨張部22、及び、連結膨張部23からなる。前膨張部21は、エアバッグ10内の前方で膨張して、主に前席の乗員を受け止める。後膨張部22は、エアバッグ10内の後方で膨張して、主に後席の乗員を受け止める。連結膨張部23は、前膨張部21と後膨張部22を連結する。膨張部21、22の間には、非膨張部24が形成されている。
【0019】
膨張部20は、第1〜第4の内部接合部16〜19により区画される。内部接合部16〜19は、外縁接合部15(膨張部20)内に位置する。基布11、12は、内部接合部16〜19で、外縁接合部15と同様に接合される。内部接合部16〜19の先端部は、膨張部20内で環状(環状部16A〜19A)に接合される。複数の内部接合部16〜19は、前後方向に離して配置され、膨張部20にガスの流通部と気室を形成する。第1と第2の内部接合部16、17は、前膨張部21に第1と第2の気室25、26を形成する。第4の内部接合部19は、後膨張部22に第3の気室27を形成する。
【0020】
挿入部30は、エアバッグ10内にガスを供給するための開口部(ガス供給部)である。挿入部30は、エアバッグ10の前後方向の中間に形成され、前膨張部21の後方端部に開口する。基布11、12は、挿入部30において、エアバッグ10の上縁部から斜め上方に突出する。挿入部30の縁部は、先端部の挿入口31を除いて、外縁接合部15から連続して接合される。これにより、筒状の挿入部30が形成される。挿入部30の両端部は開口している。挿入部30の一端部は、エアバッグ10の外部に開放されている。挿入部30の他端部は、膨張部20の内部に繋がる。
【0021】
インフレータ2は、挿入口31に挿入されて、エアバッグ10内に配置される。ただし、挿入部30には、ディフューザ40の一部が予め配置される。挿入部30の内部には、ディフューザ40が配置されるとともに、インフレータ2が挿入される。インフレータ2は、ディフューザ40内に配置される。ディフューザ40は、エアバッグ10内で、挿入部30から膨張部20まで配置される。ディフューザ40内には、内側保護部材50が配置される。
【0022】
図3〜図5は、ディフューザ40と内側保護部材50を示す図である。図3Aは、形成前のディフューザ40と内側保護部材50の展開図である。図3B、図4A、図4B、図5Aに、ディフューザ40と内側保護部材50の形成過程を示す。図5Bは、図5Aの矢視X1−X1線で見たディフューザ40と内側保護部材50の断面図である。図5Cは、図5Aの矢視X2−X2線(及びX3−X3線)で見たディフューザ40と内側保護部材50の断面図である。
【0023】
ディフューザ40は、インフレータ2が発生するガスを整流する整流部材である。ディフューザ40は、図示のように、複数に分岐した筒状部材からなる。ディフューザ40は、可撓性を有する部材、又は、変形自在な部材により形成される。このディフューザ40は、変形自在な基布41からなる。ディフューザ40は、折り返した基布41を縫製により接合することで形成される。ディフューザ40の基布41(図3A参照)は、矩形状の中央部41Aと、傾斜した一対の翼状部41Bと、接合片42A、42Bからなる。一対の翼状部41Bは、中央部41Aの側縁部に形成され、中央部41Aから突出する。
【0024】
内側保護部材50は、ディフューザ40をガスから保護するための部材である。内側保護部材50は、基布を矩形状に形成した保護布51からなる。ディフューザ40の基布41を拡げた状態(図3B参照)で、内側保護部材50を基布41の上に配置する。続いて、内側保護部材50を所定の折り返し線L1で折り返す。内側保護部材50の基布51(図4A参照)は、幅方向の中心線で半分に折り畳まれる。保護布51と基布41は重なる。
【0025】
次に、ディフューザ40の基布41(図4B、図5A参照)を、所定の折り返し線L2で折り返す。基布41は、中心線で半分に折り畳まれる。折り返し線L2の両側の基布41C、41Dは、縁部を揃えて重ねる。一方の基布41Cの翼状部41Bは、他方の基布41Dの翼状部41Bよりも長く形成されている。接合片42A、42Bは、それぞれ矩形状に形成されたタブである。接合片42A、42Bは、基布41C、41Dの長手方向の両端部に設けられる。接合片42A、42Bは、基布41C、41Dの縁部から突出する。基布41C、41Dを重ねたときに、接合片42A、42Bが、それぞれ重なる。内側保護部材50は、ディフューザ40の間に配置される。
【0026】
重ねた基布41C、41Dは、第1と第2の接合部41E、41F(図5A参照)で接合される。接合部41E、41Fは、基布41C、41Dの縁部に沿って設けられる。接合部41E、41Fは、基布41C、41Dの縁部を塞ぐ。重ねた基布41を接合することで、ディフューザ40が筒状に形成される。接合により、ガス流路43が、ディフューザ40内に形成される。また、ディフューザ40は、インフレータ2の収容部44、複数(図5Aでは2つ)のガス放出部45A、45B、ガス放出口46A、46B、及び、2つの連結孔47を有する。ディフューザ40は、連結孔47によりインフレータ2に連結される。
【0027】
収容部44は、一対の翼状部41Bにより筒状に形成される。収容部44の一端部は、インフレータ2の挿入口44Aである。インフレータ2は、挿入口44Aからディフューザ40内(収容部44)に挿入される。収容部44は、インフレータ2の先端部を収容する。ガス流路43は、ディフューザ40の内部空間である。ガス流路43は、収容部44からガス放出部45A、45Bまで形成される。ガス流路43は、ディフューザ40内で2つに分岐して、複数のガス放出部45A、45Bに繋がる。
【0028】
第1と第2のガス放出部45A、45Bは、ディフューザ40の前後方向の端部に設けられている。ガス流路43は、ガスをガス放出部45A、45Bへ案内する。第1と第2のガス放出口46A、46Bは、ガス放出部45A、45Bの端部に位置する開口である。第1と第2の接合片42A、42Bは、それぞれ2つの矩形状片が重なる状態で、ガス放出部45A、45Bの端部に形成されている。接合片42A、42Bは、ガス放出部45A、45Bから突出する。
【0029】
ディフューザ40に第2の接合部41Fを形成する前に、内側保護部材50の縁部が、第2の接合部41Fの位置に配置される。内側保護部材50の保護布51(図5参照)は、ディフューザ40の基布41(41C、41D)の間に配置される。ディフューザ40の基布41を第2の接合部41Fで接合するときに、重ねた保護布51と基布41を同時に接合する。これにより、内側保護部材50がディフューザ40に固定される。また、接合部52が保護布51に形成される。接合部52と接合部41Fは、同時に形成される。保護布51と基布41は、接合部52、41Fで縫い合わされる。第1の接合部41Eは、内側保護部材50の外側に設けられる。
【0030】
保護布51の接合部52は、内側保護部材50の一端部に設けられる。接合部52は、内側保護部材50の対向する縁部を塞ぐ。内側保護部材50は、接合部52のみで接合される。接合部52のない位置では、内側保護部材50の対向する縁部は開放されている。内側保護部材50の折り曲げた部分(折り返し線L1の折り目)は、ディフューザ40の第1の接合部41Eに沿って配置される。内側保護部材50は、第1の接合部41Eを遮蔽するように、ディフューザ40内に配置される。
【0031】
内側保護部材50は、筒状部53と開放部54と遮蔽部55を有する。筒状部53は、内側保護部材50の一端部に設けられる。筒状部53は、保護布51を接合部52で接合することで筒状に形成される。保護布51に形成された筒状部53は、ディフューザ40の収容部44内に配置される。筒状部53は、インフレータ2が挿入される開口部である。インフレータ2の先端部が、筒状部53内に配置される。内側保護部材50(筒状部53)は、ディフューザ40内でインフレータ2を囲む。開放部54は、ガス流路43内において、内側保護部材50の開放された部分からなる。開放部54は、ガス流路43に向かって開放する。内側保護部材50は、インフレータ2が発生するガスを開放部54からディフューザ40内へ流出させる。
【0032】
遮蔽部55は、ディフューザ40に形成された接合部(ここでは、第1の接合部41E)をガスから遮蔽する。遮蔽部55は、内側保護部材50の第1の接合部41E側の部分である。遮蔽部55は、ディフューザ40の収容部44とガス流路43の内部に配置される。また、遮蔽部55は、第1の接合部41Eとインフレータ2の間に配置される。第1の接合部41Eの所定部分が、遮蔽部55により覆われる。遮蔽部55は、第1の接合部41Eに向かうガスを遮り、ディフューザ40の第1の接合部41Eをガスから保護する。
【0033】
インフレータ2が内側保護部材50内でガスを発生すると、ガスは、開放部54からガス流路43へ流出する。ガスは、ガス流路43により、複数のガス放出部45A、45Bへ案内される。ガスは、ガス放出部45A、45Bのガス放出口46A、46Bから放出される。ガス放出部45A、45Bは、ディフューザ40内のガスをエアバッグ10内に放出する。ガスは、複数のガス放出部45A、45Bから、相異なる所定方向(ここでは、反対方向)に向かって放出される。
【0034】
次に、エアバッグ10の形成手順を説明する。
図6は、形成前のエアバッグ10を示す正面図である。
エアバッグ10は、図示のように、挿入部30に、インフレータ2が連結される2つの連結孔32を有する。2つの連結孔32は、ディフューザ40の2つの連結孔47と同様に形成されている。エアバッグ10の形成時には、まず、エアバッグ10用の基布11、12を重ねる。ディフューザ40は、基布11、12の間の所定位置に配置する(図2参照)。その際、連結孔32、47の位置を合わせる。ディフューザ40内には、内側保護部材50を予め取り付けておく。
【0035】
続いて、基布11、12を外縁接合部15で接合する。基布11、12間に膨張部20を形成する。基布11、12を内部接合部16〜19で接合する。連結ベルト13をエアバッグ10に取り付ける。ディフューザ40は、外縁接合部15での接合に伴い、エアバッグ10に取り付けられる。次に、ディフューザ40の取り付けについて、詳しく説明する。
【0036】
基布11、12の接合前に、ディフューザ40の収容部44を、挿入部30の位置に配置する。ガス放出部45A、45Bは、膨張部20の位置に配置する。その後、基布11、12を外縁接合部15で接合する。基布11、12は、ディフューザ40の縁に沿って接合される。これにより、ディフューザ40が、エアバッグ10内に配置される。収容部44は、挿入部30内に配置される。ガス放出部45A、45Bとガス放出口46A、46Bは、膨張部20内に配置される。ガス流路43は、挿入部30から膨張部20まで配置される。
【0037】
外縁接合部15は、ディフューザ40に重ならないように、ディフューザ40の外側に設けられる。ただし、ディフューザ40の接合片42A、42Bのみが、外縁接合部15の位置に配置される。基布11、12を接合するときに、接合片42A、42Bは、外縁接合部15でエアバッグ10(基布11、12)に接合される。接合片42A、42Bは、基布11、12間で、基布11、12とともに接合される。接合片42A、42Bは、基布11、12の縫製と同時に、外縁接合部15で基布11、12に縫い合わされる。接合片42A、42Bは、ガス放出部45A、45Bをエアバッグ10に連結する。接合片42A、42Bにより、ガス放出部45A、45Bの端部が、エアバッグ10に取り付けられる。ガス放出部45A、45Bは、エアバッグ10に留められる。
【0038】
次に、ディフューザ40と挿入部30を、接合部33で縫製により接合する。接合部33は、挿入口31の周囲に形成される。ディフューザ40と挿入部30は、接合により補強される。ディフューザ40と挿入部30は、共同して外力を受ける。その結果、ディフューザ40と挿入部30が破れ難くなる。このように、接合部33は、ディフューザ40と挿入部30を補強する補強部(補強縫製)である。インフレータ2は、ディフューザ40内に挿入される。
【0039】
図7は、インフレータ2を示す側面図である。
インフレータ2は、図示のように、ガスの噴出部2Aと、2つの連結部材2Bを有する。噴出部2Aは、インフレータ2の一端部に位置するガス発生部である。複数のガスの噴出口2Cが、噴出部2Aの外周全体に形成されている。インフレータ2(図7A参照)は、複数の噴出口2Cからガスを放射状に噴出する。連結部材2Bは、ボルトであり、インフレータ2の側方に突出する。例えば、連結部材2Bは、溶接によりインフレータ2に固定される。上記した連結孔32、47は、連結部材2Bの間隔と同じ間隔で形成されている。インフレータ2は、連結部材2Bを利用してルーフレール92に固定される。その際、例えば、連結部材2Bにより、ブラケット(図示せず)をインフレータ2に取り付ける。固定手段(ボルト等)(図示せず)により、ブラケットをルーフレール92に取り付ける。これにより、インフレータ2が車両90に固定される。
【0040】
インフレータ2(図7B参照)には、案内筒3が取り付けられる。案内筒3は、噴出部2Aの周りに配置される。インフレータ2が発生するガスは、案内筒3により、ディフューザ40内へ向けて案内される。案内筒3は、基布により帯状に形成された布状部材3Aからなる。布状部材3Aは、インフレータ2の外周に複数周巻き付けられる。布状部材3Aは、噴出部2Aから突出するように配置される。ガスは、布状部材3Aの開口部から噴出する。ガスは、案内筒3から所定方向に向かって供給される。
【0041】
案内筒3は、布状部材3Aに形成された複数の連結孔3Bを有する。布状部材3Aには、2つの連結孔3Bが、連結部材2Bの間隔と同じ間隔で形成されている。2つの連結孔3Bが、布状部材3Aに複数組形成されている。連結孔3Bに連結部材2Bを通しながら、布状部材3Aがインフレータ2に巻き付けられる。布状部材3Aをインフレータ2に1周巻き付ける毎に、2つの連結部材2Bが2つの連結孔3Bに挿入される。連結部材2Bは、布状部材3A(案内筒3)をインフレータ2に連結する。インフレータ2は、案内筒3とともにディフューザ40に挿入される。
【0042】
図8は、インフレータ2を取り付けたエアバッグ10を示す図である。
ディフューザ40は、図示のように、第3の内部接合部18から離れた位置に配置される。インフレータ2と案内筒3は、ディフューザ40の収容部44に挿入される。インフレータ2の少なくとも噴出部2Aを、収容部44内に配置する。インフレータ2と案内筒3は、内側保護部材50の内側に配置される。案内筒3は、インフレータ2と内側保護部材50の間に配置される。ディフューザ40と挿入部30を、インフレータ2に巻き付ける。同時に、インフレータ2の連結部材2Bを、連結孔32、47に挿入する。連結部材2Bにより、インフレータ2がディフューザ40と挿入部30に連結される。
【0043】
挿入部30とディフューザ40を、バンド4により、インフレータ2に気密状に固定する。これにより、インフレータ2がディフューザ40及び挿入部30に取り付けられる。内側保護部材50は、インフレータ2の噴出部2Aと案内筒3を囲む。その後、エアバッグ装置1は、車両90に搭載される。エアバッグ装置1は、作動信号を受信したときにインフレータ2を作動させる。エアバッグ10が、噴出部2Aから噴出するガスにより膨張展開する。
【0044】
図9は、膨張展開したエアバッグ10を示す正面図である。図9では、エアバッグ10内のガスの流れを矢印で示している。図10は、図9のディフューザ40付近を示す拡大図である。
インフレータ2は、図示のように、車体99に前後方向に沿って取り付けられる。これに伴い、挿入部30とディフューザ40が曲げられる。内側保護部材50は、ディフューザ40のガス流路43に沿って配置される。インフレータ2は、ディフューザ40内でガスを発生する。インフレータ2は、ディフューザ40を通して、エアバッグ10にガスを供給する。ガスにより膨張部20が膨張することで、エアバッグ10が、カーテン状に展開する。
【0045】
ディフューザ40は、エアバッグ10内で最初に膨張する。ガスは、ディフューザ40により膨張部20へ向けて案内される。その際、ガスは、内側保護部材50の一部に当たる。内側保護部材50は、インフレータ2が発生するガスを受けるガス受け部56を有する。ガスは、ガス受け部56に当たった後、内側保護部材50の開放部54から流出する。ディフューザ40が曲げられているため、案内筒3から噴出するガスは、内側保護部材50の所定部分に当たる。ガスは、案内筒3に案内されて、ガス受け部56に直接当たる。
【0046】
内側保護部材50は、ガス受け部56の反対側で接合される。即ち、内側保護部材50の接合部52は、内側保護部材50のガス受け部56を外れた位置に配置される。接合部52は、インフレータ2から供給されるガスが直接当たらない位置に設けられる。これにより、接合部52にガスが直接当たるのが防止される。内側保護部材50は、ディフューザ40内でガスにより拡がり、ディフューザ40の内面の一部を覆う。内側保護部材50は、収容部44の内面、及び、ガス流路43の一部の内面を覆う。ディフューザ40は、ガスの噴出方向において、内側保護部材50によりガスから保護される。ディフューザ40の第1の接合部41Eは、内側保護部材50の遮蔽部55により保護される。
【0047】
ディフューザ40は、膨張部20内で、ガスをガス放出部45A、45Bから放出する。ガスは、膨張部20へ連続して供給される。その際、ガス放出部45A、45Bは、ガスをガス放出口46A、46Bから所定方向へ向かって放出する。ガス放出部45A、45Bは、接合片42A、42Bにより、エアバッグ10に連結される。これにより、ガスの放出時に、ガス放出部45A、45Bの動きが抑制される。ガス放出部45A、45Bの位置は、膨張部20内の所定位置に維持される。ガスの放出方向の変動も小さくなる。その結果、ガスが、ディフューザ40から膨張部20内に安定して放出する。また、ディフューザ40によるエアバッグ10の破損が防止される。
【0048】
ディフューザ40は、複数のガス放出部45A、45Bにより、ガスを膨張部20内で複数方向に分配する。ガスは、ディフューザ40により、前後方向に分配される。ガスは、ディフューザ40により整流されつつ、膨張部20へ供給される。ガスは、前膨張部21へ供給されるとともに、連結膨張部23を通って後膨張部22へ供給される。ガスにより、エアバッグ10(図1参照)が、側壁91を覆うように膨張展開する。エアバッグ10は、前席と後席の乗員を受け止めて、乗員の頭部を中心に保護する。
【0049】
以上説明したように、内側保護部材50により、インフレータ2が発生するガスからディフューザ40を簡易に保護できる。また、インフレータ2がガスを発生するときに、ディフューザ40の破損を、簡易な手段により抑制できる。エアバッグ10の製造に要する手間と時間を削減できるため、作業効率を向上できる。エアバッグ10のコストも削減できる。内側保護部材50をディフューザ40に固定することで、内側保護部材50の位置の変化を防止できる。そのため、内側保護部材50により、ディフューザ40を確実に保護できる。
【0050】
内側保護部材50の接合部とディフューザ40の接合部は、ガスによるダメージを受け易い。内側保護部材50の接合部52を、ガス受け部56を外れた位置に配置するときには、接合部52の破損を抑制できる。内側保護部材50の破損を抑制できるため、内側保護部材50によりディフューザ40を確実に保護できる。ディフューザ40の第1の接合部41Eは、内側保護部材50の遮蔽部55により保護される。そのため、第1の接合部41Eの破損を抑制できる。
【0051】
保護布51を接合して筒状に形成することで、内側保護部材50を簡単に製造できる。インフレータ2を囲む筒状部53により、インフレータ2の周りのディフューザ40をガスから保護できる。また、筒状部53により、ガスの流れを調整できる。保護布51とディフューザ40の基布41を同時に接合することで、保護布51の接合部52を簡単に形成できる。保護布51の接合のための手間と時間を削減できるため、作業効率を向上できる。
【0052】
案内筒3により、インフレータ2が発生するガスをディフューザ40内に案内できる。案内筒3によりガスを一旦受けるため、内側保護部材50が受ける衝撃を緩和できる。案内筒3の布状部材3Aをインフレータ2に巻き付ける際に、連結部材2Bと連結孔3Bにより、布状部材3Aをインフレータ2に仮止めできる。そのため、布状部材3Aをインフレータ2に容易に、かつ、正確に巻き付けることができる。
【0053】
なお、ディフューザ40は、エアバッグ10の基布11、12と同じ素材で作製してもよく、基布11、12とは異なる素材で作製してもよい。ここでは、ディフューザ40は、基布11、12よりも耐熱性が高い基布41からなる。ディフューザ40により、エアバッグ10を、インフレータ2が発生するガスや熱から保護する。ディフューザ40には、1つ、又は、3つ以上のガス放出部及びガス放出口を設けるようにしてもよい。ディフューザ40が複数のガス放出部を有するときには、接合片を複数のガス放出部に設ける。ただし、接合片を一部のガス放出部に設けるようにしてもよい。ディフューザ40の複数のガス放出口は、同じ大きさに形成してもよく、異なる大きさに形成してもよい。
【0054】
内側保護部材50は、エアバッグ10やディフューザ40と同じ素材で作製してもよく、エアバッグ10やディフューザ40とは異なる素材で作製してもよい。ここでは、内側保護部材50は、ディフューザ40の基布41と同じ基布からなる。内側保護部材50に、より高い耐熱性が必要なときには、内側保護部材50を、基布41よりも高い耐熱性を有する基布で作製する。その際、内側保護部材50を、ディフューザ40の必要な部分のみに配置することで、内側保護部材50を小さくできる。これにより、内側保護部材50のコストを抑えつつ、内側保護部材50の耐熱性を高くできる。
【0055】
内側保護部材50は、矩形状以外の形状に形成してもよい。また、内側保護部材50は、ディフューザ40内で短縮又は延長してもよい。
図11、図12に、形状を変更した内側保護部材50A、50Bを示す。
図11に示す内側保護部材50Aでは、先端部57が斜めになっている。内側保護部材50Aは、先細り形状に形成されている。
図12に示す内側保護部材50Bは、上記した内側保護部材50よりも長くなっている。内側保護部材50Bは、ガス流路43から第1のガス放出部45Aまで配置される。内側保護部材50Bの先端部57は、第1のガス放出口46Aに配置される。
【0056】
次に、外側保護部材を追加したディフューザ40について説明する。
図13は、外側保護部材5を備えたディフューザ40を示す図である。図13は、図3Aに対応する展開図である。図13には、形成前のディフューザ40、内側保護部材50、及び、外側保護部材5を示す。
【0057】
ディフューザ40と内側保護部材50については既に説明したため、外側保護部材5に関する事項について説明する。外側保護部材5は、ディフューザ40の周りのエアバッグ10を保護する部材である。また、外側保護部材5は、ディフューザ40を補強する補強部材でもある。外側保護部材5は、図示のように、内側保護部材50と同様に、基布を矩形状に形成した保護布(補強布)5Aからなる。ディフューザ40を形成するときに、外側保護部材5が、ディフューザ40の外面に取り付けられる。
【0058】
図14〜図17は、ディフューザ40の形成過程を示す図である。図14Bは、図14Aの矢印Y1方向から見た図である。図17Bは、図17Aの矢視Y2−Y2線で見た断面図である。図17Cは、図17Aの矢視Y3−Y3線(及びY4−Y4線)で見た断面図である。
ディフューザ40の基布41を拡げた状態(図14参照)で、外側保護部材5が基布41の下に配置される。内側保護部材50は、基布41の上に配置される。外側保護部材5と内側保護部材50は、重なるように配置される。基布41は、外側保護部材5と内側保護部材50の間に配置される。
【0059】
次に、内側保護部材50を折り返し線L1で折り返す(図15A参照)。ディフューザ40の基布41(図15B、図16A参照)を、折り返し線L2で折り返す。基布41を、第1の接合部41Eで接合する。その際、外側保護部材5が、第1の接合部41Eで基布41に接合される。ただし、外側保護部材5は、第1の接合部41Eで基布41に接合しないようにしてもよい。次に、外側保護部材5(図16B、図17A参照)を、所定の折り返し線L3で折り返す。外側保護部材5の保護布5Aは、幅方向の中心線で半分に折り畳まれる。ディフューザ40は、外側保護部材5の間に配置される。保護布5A、51と基布41が重なる。
【0060】
外側保護部材5(図17参照)は、ディフューザ40の外面48に配置される。外側保護部材5は、収容部44を包むように、外面48の一部に配置される。外側保護部材5の折り曲げた部分(折り返し線L3の折り目)は、ディフューザ40の一方の側縁に接する。外側保護部材5の縁部は、第2の接合部41Fの位置に配置される。ディフューザ40の基布41を第2の接合部41Fで接合するときに、重ねた保護布5A、51と基布41を同時に接合する。保護布5A、51と基布41は、第2の接合部41Fで縫い合わされる。外側保護部材5は、第2の接合部41Fでディフューザ40に接合される。これにより、外側保護部材5がディフューザ40に固定される。外側保護部材5は、ディフューザ40とともに、エアバッグ10に取り付けられる。
【0061】
図18は、ディフューザ40を取り付けたエアバッグ10を示す図である。図18では、図10に対応して、ディフューザ40付近のエアバッグ10を示す。
外側保護部材5は、図示のように、挿入部30内で、ディフューザ40とエアバッグ10の間に配置される。外側保護部材5は、エアバッグ10内で、ディフューザ40の外面48の一部を覆う。また、外側保護部材5は、ディフューザ40の内側保護部材50が配置された部分を覆う。インフレータ2、案内筒3、及び、内側保護部材50は、外側保護部材5の内側に配置される。外側保護部材5は、内側保護部材50の全体を囲む。内側保護部材50のガス受け部56は、外側保護部材5により覆われる。外側保護部材5は、ガス受け部56の反対側で、ディフューザ40に接合される。
【0062】
外側保護部材5によりディフューザ40を補強できる。また、外側保護部材5によりディフューザ40の耐熱性を向上できるため、エアバッグ10をガスの熱から保護できる。外側保護部材5により熱の伝達を抑制できるため、エアバッグ10の熱によるダメージを軽減できる。外側保護部材5によりディフューザ40の一部のみを覆うため、外側保護部材5を比較的小さくできる。このように、外側保護部材5によりディフューザ40を補強することで、ディフューザ40とエアバッグ10を簡易に保護できる。
【0063】
外側保護部材5は、エアバッグ10やディフューザ40と同じ素材で作製してもよく、エアバッグ10やディフューザ40とは異なる素材で作製してもよい。ここでは、外側保護部材5は、ディフューザ40の基布41と同じ基布からなる。外側保護部材5に、より高い耐熱性が必要なときには、外側保護部材5を、基布41よりも高い耐熱性を有する基布で作製する。
【0064】
次に、他の実施形態のディフューザについて説明する。
図19は、他の実施形態のディフューザ60を示す図である。図19は、図13に対応する展開図である。図19には、形成前のディフューザ60、内側保護部材50、及び、外側保護部材5を示す。
ディフューザ60は、上記したディフューザ40に替えて、エアバッグ10内に配置される。以下では、ディフューザ60について、ディフューザ40と異なる事項を説明する。ディフューザ60には、内側保護部材50と外側保護部材5が取り付けられる。
【0065】
ディフューザ60は、図示のように、折り返した基布61を接合することで形成される。基布61の長手方向の一端部(図19では右端部)は、三角形状に形成される。基布61は、所定の折り返し線R1で折り返される。基布61は、幅方向の中心線で折り畳まれる。折り返し線R1の両側の基布61A、61Bは、それぞれ細長い矩形状に形成されている。ディフューザ60を形成するときには、内側保護部材50と外側保護部材5をディフューザ60に重ねる。内側保護部材50と外側保護部材5は、それぞれディフューザ60の折り返し前後に、折り返し線R2、R3で折り返す。
【0066】
図20、21は、ディフューザ60の形成過程を示す図である。図20Bは、図20Aの矢印Z1方向から見た図である。図21Cは、図21Bの矢視Z2−Z2線で見た断面図である。図21Dは、図21Bの矢視Z3−Z3線で見た断面図である。図20、図21では、ディフューザ60、内側保護部材50、及び、外側保護部材5は、折り畳まれている。
内側保護部材50(保護布51)(図20参照)は、ディフューザ60(基布61)の間に配置される。ディフューザ60と内側保護部材50は、外側保護部材5(保護布5A)の間に配置される。基布61と保護布51、5Aは重なる。
【0067】
次に、ディフューザ60の基布61(図21参照)を、第1と第2の接合部62A、62Bで接合する。第1の接合部62Aは、ディフューザ60の先端部に位置する。第2の接合部62Bは、ディフューザ60の側部に位置する。まず、基布61を第1の接合部62Aで接合する。内側保護部材50の縁部と外側保護部材5の縁部を、第2の接合部62Bの位置に配置する。基布61を第2の接合部62Bで接合するときに、重ねた保護布5A、51と基布61を同時に接合する。保護布5A、51と基布61は、第2の接合部62Bで縫い合わされる。接合部62A、62Bは、基布61A、61Bの縁部を塞ぐ。
【0068】
重ねた基布61を接合することで、ディフューザ60が筒状に形成される。ディフューザ60は、直線状に延びる筒状部材からなる。ディフューザ60は、挿入部30の形状に対応して直線形状に、かつ、細長い矩形状に形成される。ディフューザ60の先端部は、楔形状に形成される。また、ガス流路63が、ディフューザ60内に形成される。ガス流路63は、ディフューザ60の内部空間、及び、インフレータ2の挿入部である。
【0069】
ディフューザ60は、インフレータ2の挿入口64と、複数(図21Bでは2つ)のガス放出口65A、65Bと、2つの連結孔66を有する。ディフューザ60は、連結孔66によりインフレータ2に連結される。インフレータ2は、挿入口64からディフューザ60内(ガス流路63)に挿入される。ガスは、ガス流路63を通って、ガス放出口65A、65Bから放出される。第1のガス放出口65Aは、基布61にスリット状に形成された開口(図19A参照)からなる。第2のガス放出口65Bは、接合部62A、62Bの間に設けられた非接合部からなる。ガス放出口65A、65Bは、ディフューザ60の先端部に設けられる。ガスは、複数のガス放出口65A、65Bから所定方向に向かって放出される。
【0070】
内側保護部材50は、ガス流路63内に配置される。内側保護部材50の筒状部53は、挿入口64側に配置される。内側保護部材50の開放部54は、ガス放出口65A、65B側に配置される。インフレータ2が内側保護部材50内でガスを発生すると、ガスは、開放部54からガス流路63へ流出する。ガスは、ガス放出口65A、65Bから放出される。外側保護部材5は、ディフューザ60に1周巻き付けるように配置される。外側保護部材5は、ディフューザ60の外面67に隙間なく接する。
【0071】
エアバッグ10(図2参照)は、ディフューザ60がない状態で形成される。エアバッグ10は、縫製と接着により接合される。エアバッグ10の形成後に、ディフューザ60が、エアバッグ10の挿入部30に挿入される。ディフューザ60は、挿入口31から膨張部20まで、挿入部30に沿って真っ直ぐに挿入される。ディフューザ60は、挿入部30から膨張部20まで直線状に配置される。ガス放出口65A、65Bは、膨張部20内に配置される。ディフューザ60と挿入部30は、接合部33で接合される。その後、案内筒3を有するインフレータ2を、上記と同様に、ディフューザ60内に配置する。挿入部30とディフューザ60を、バンド4により、インフレータ2に固定する。
【0072】
図22は、ディフューザ60を取り付けたエアバッグ10を示す図である。図22では、図18に対応して、ディフューザ60付近のエアバッグ10を示す。
内側保護部材50は、ディフューザ60のガス流路63に沿って配置される。内側保護部材50は、インフレータ2と案内筒3を囲む。外側保護部材5は、エアバッグ10内で、ディフューザ60の外面67の一部を覆う。また、外側保護部材5は、ディフューザ60の内側保護部材50が配置された部分を覆う。内側保護部材50のガス受け部56は、外側保護部材5により覆われる。外側保護部材5は、ガス受け部56の反対側で、ディフューザ60に接合される。内側保護部材50の接合部52は、内側保護部材50のガス受け部56を外れた位置に配置される。
【0073】
このディフューザ60では、内側保護部材50による上記した効果が得られる。また、外側保護部材5による上記した効果も得られる。ディフューザ60を、直線状に突出する挿入部30に挿入して、膨張部20まで配置する。そのため、ディフューザ60を、挿入部30からエアバッグ10に容易に挿入できる。ディフューザ60を膨張部20内に確実に配置できる。ディフューザ60の挿入に要する手間や時間が削減されるため、エアバッグ装置1の生産性を向上させることもできる。
【0074】
ディフューザ60は、エアバッグ10の基布11、12と同じ素材で作製してもよく、基布11、12とは異なる素材で作製してもよい。ここでは、ディフューザ60は、基布11、12よりも耐熱性が高い基布61からなる。ディフューザ60には、1つ、又は、3つ以上のガス放出口を設けるようにしてもよい。複数のガス放出口は、同じ大きさに形成してもよく、異なる大きさに形成してもよい。ガス放出口を、ディフューザ60の下端部に設けるようにしてもよい。この場合には、ディフューザ60は、下方に向かってガスを放出する。ディフューザ60には、外側保護部材5を設けずに、内側保護部材50のみを設けてもよい。
【0075】
以上説明したディフューザは、ジャカード織により形成してもよい。インフレータ2は、案内筒3を設けずに、ディフューザ内に配置してもよい。この場合には、内側保護部材50を、ディフューザのガスを受ける部分に配置する。内側保護部材50は、インフレータ2が配置される種々のディフューザに設けることができる。内側保護部材50の接合部52は、単独で形成してもよい。内側保護部材50は、インフレータ2に固定するようにしてもよい。内側保護部材50は、接合部のない筒状部材(例えば、ホースやチューブ)であってもよい。
【0076】
次に、内側保護部材の他の実施形態について説明する。以下説明する複数の内側保護部材は、基本的には、既に説明した内側保護部材50と同様に構成されている。また、各内側保護部材では、内側保護部材50と同じ効果が得られる。そのため、以下では、既に説明した事項とは異なる事項を説明する。既に説明した事項と同じ事項は簡単に説明する。内側保護部材に関して、同じ構成には同じ名称を付す。
【0077】
図23は、インフレータ2に固定する内側保護部材70を示す図である。図23Aは、図7Bに対応するインフレータ2の側面図である。図23Bは、インフレータ2に固定する前の内側保護部材70の展開図である。
インフレータ2は、図示のように、布状部材3Aからなる案内筒3を有する。インフレータ2の連結部材2Bを案内筒3の連結孔3Bに通しながら、布状部材3Aがインフレータ2に巻き付けられる。内側保護部材70は、基布を矩形状に形成した保護布71からなる。内側保護部材70は、複数の連結孔72を有する。2つの連結孔72が、保護布71の両側部に、連結部材2Bの間隔と同じ間隔で形成されている。
【0078】
図24は、内側保護部材70をインフレータ2に固定する手順を示す図である。図24Aに、インフレータ2に固定する途中の内側保護部材70を示す。図24Bに、インフレータ2に固定した後の内側保護部材70を示す。
図示のように、まず、インフレータ2の2つの連結部材2Bを、内側保護部材70の一方の側部に位置する2つの連結孔72に挿入する。次に、内側保護部材70をインフレータ2の外周に1周巻き付ける。その際、保護布71を、インフレータ2を囲うように案内筒3の周りに巻き付ける。最後に、インフレータ2の2つの連結部材2Bを、内側保護部材70の他方の側部に位置する2つの連結孔72に挿入する。これにより、内側保護部材70をインフレータ2に取り付ける。内側保護部材70は、連結部材2Bによりインフレータ2に連結及び固定される。
【0079】
ディフューザ40(又は、ディフューザ60)は、内側保護部材70のない状態に形成する。ディフューザ40をエアバッグ10の挿入部30に配置する。続いて、内側保護部材70とインフレータ2を、ディフューザ40の挿入口44Aに挿入する。内側保護部材70を、インフレータ2及び案内筒3とともに、ディフューザ40内に配置する。インフレータ2と案内筒3は、内側保護部材70の内側に配置される。
【0080】
内側保護部材70は、筒状部73と開放部74と遮蔽部75を有する。内側保護部材70をインフレータ2に巻き付けることで、インフレータ2の周りの内側保護部材70が筒状をなす。これにより、筒状部73が内側保護部材70に形成される。筒状部73は、ディフューザ40内でインフレータ2の先端部(噴出部2A)を囲む。内側保護部材70の先端部77側では、内側保護部材70の縁部が開放している。開放部74は、内側保護部材70の開放された部分からなる。内側保護部材70は、インフレータ2が発生するガスを開放部74から流出させる。遮蔽部75は、ディフューザ40の第1の接合部41Eをガスから遮蔽する。内側保護部材70は、遮蔽部75により第1の接合部41Eを保護する。
【0081】
図25は、案内筒3と一体に形成された内側保護部材80を示す図である。図25Aは、図7Aに対応するインフレータ2の側面図である。図25Bは、インフレータ2に固定する前の案内筒3と内側保護部材80の展開図である。
案内筒3は、図示のように、複数の連結孔3Bを有する布状部材3Aからなる。内側保護部材80は、布状部材3Aの一部を延長した矩形状の保護布81を有する。保護布81は、布状部材3Aの先端部から突出する。
【0082】
図26は、案内筒3と内側保護部材80をインフレータ2に固定する手順を示す図である。図26Aに、インフレータ2に固定する途中の案内筒3と内側保護部材80を示す。図26Bに、インフレータ2に固定した後の案内筒3と内側保護部材80を示す。
図示のように、連結部材2Bを連結孔3Bに通しながら、布状部材3Aをインフレータ2に巻き付ける。案内筒3は、連結部材2Bによりインフレータ2に連結される。布状部材3Aの巻き付け完了に伴い、保護布81が筒状に配置される。内側保護部材80は、保護布81と最外側の布状部材3Aからなる。案内筒3と内側保護部材80は、インフレータ2に同時に取り付けられる。内側保護部材80は、連結部材2Bによりインフレータ2に連結及び固定される。ディフューザ40をエアバッグ10の挿入部30に配置した後、内側保護部材80を、インフレータ2及び案内筒3とともに、ディフューザ40内に配置する。
【0083】
内側保護部材80は、筒状部83と開放部84と遮蔽部85を有する。筒状部83は、布状部材3Aからなり、ディフューザ40内でインフレータ2を囲む。開放部84は、保護布81の開放された部分からなる。内側保護部材80は、インフレータ2が発生するガスを開放部84から流出させる。遮蔽部85は、保護布81からなり、ディフューザ40の第1の接合部41Eをガスから遮蔽する。内側保護部材80は、遮蔽部85により第1の接合部41Eを保護する。なお、内側保護部材80と案内筒3は、連結部材2B以外の固定手段により、インフレータ2に固定するようにしてもよい。例えば、内側保護部材80と案内筒3をインフレータ2に巻き付けた後、バンドにより、内側保護部材80と案内筒3をインフレータ2に連結及び固定する。このように、内側保護部材80と案内筒3は、種々の固定手段により、インフレータ2に固定される。
【0084】
図27は、接合部のない内側保護部材100を示す図である。
内側保護部材100は、図示のように、筒状部材101からなる。筒状部材101は、例えば、筒状の織物である。ディフューザ40を拡げた状態で、筒状の内側保護部材100を、ディフューザ40の基布41の上に配置する。基布41(図5参照)を折り返して、第1と第2の接合部41E、41Fで接合する。その際、内側保護部材100の縁部を第2の接合部41Fの位置に配置する。内側保護部材100は、第2の接合部41Fで基布41に接合される。これにより、内側保護部材100がディフューザ40に固定される。ディフューザ40をエアバッグ10に取り付けた後、インフレータ2をディフューザ40に挿入する。インフレータ2は、内側保護部材100の内側に配置される。
【0085】
内側保護部材100は、筒状部103と開放部104と遮蔽部105を有する。筒状部103は、ディフューザ40内でインフレータ2を囲む。内側保護部材100の先端部107側では、内側保護部材100が斜めに形成されている。内側保護部材100の傾斜部分が開放している。開放部104は、内側保護部材100の傾斜部分からなる。内側保護部材100は、インフレータ2が発生するガスを開放部104から流出させる。遮蔽部105は、ディフューザ40の第1の接合部41Eをガスから遮蔽する。内側保護部材100は、遮蔽部105により第1の接合部41Eを保護する。
【0086】
この内側保護部材100では、ディフューザ40の形成時に、内側保護部材100を折り畳む手間を省くことができる。内側保護部材100は、第2の接合部41F以外の箇所でディフューザ40に接合してもよい。内側保護部材100は筒状部材101からなるため、筒状部103を形成するために内側保護部材100を接合する必要はない。また、インフレータ2の挿入時やエアバッグ装置1の作動時に、内側保護部材100がディフューザ40内でズレなければよい。即ち、内側保護部材100は、ズレない程度にディフューザ40に接合されていればよい。そのため、内側保護部材100とディフューザ40の接合位置は、比較的自由に選択できる。内側保護部材100をディフューザ40に容易に接合することもできる。
【0087】
なお、本発明は、カーテンエアバッグ装置に限定されず、インフレータ2が取り付けられる種々のエアバッグ装置に適用できる。インフレータ2は、パイロ型以外のインフレータ(例えば、ストアードガス型やハイブリッド型のインフレータ)であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1・・・エアバッグ装置、2・・・インフレータ、2A・・・噴出部、2B・・・連結部材、2C・・・噴出口、3・・・案内筒、4・・・バンド、5・・・外側保護部材、5A・・・保護布、10・・・エアバッグ、11・・・表基布、12・・・裏基布、13・・・連結ベルト、14・・・固定布、15・・・外縁接合部、16〜19・・・内部接合部、20・・・膨張部、21・・・前膨張部、22・・・後膨張部、23・・・連結膨張部、24・・・非膨張部、25〜27・・・気室、30・・・挿入部、31・・・挿入口、32・・・連結孔、33・・・接合部、40・・・ディフューザ、41・・・基布、42A、42B・・・接合片、43・・・ガス流路、44・・・収容部、45A、45B・・・ガス放出部、46A、46B・・・ガス放出口、47・・・連結孔、48・・・外面、50・・・内側保護部材、51・・・保護布、52・・・接合部、53・・・筒状部、54・・・開放部、55・・・遮蔽部、56・・・ガス受け部、57・・・先端部、60・・・ディフューザ、61・・・基布、62A、62B・・・接合部、63・・・ガス流路、64・・・挿入口、65A、65B・・・ガス放出口、66・・・連結孔、67・・・外面、70・・・内側保護部材、71・・・保護布、72・・・連結孔、73・・・筒状部、74・・・開放部、75・・・遮蔽部、77・・・先端部、80・・・内側保護部材、81・・・保護布、83・・・筒状部、84・・・開放部、85・・・遮蔽部、90・・・車両、91・・・側壁、92・・・ルーフレール、93・・・フロントピラー、94・・・センターピラー、95・・・前部ドア、96・・・後部ドア、97、98・・・窓、99・・・車体、100・・・内側保護部材、101・・・筒状部材、103・・・筒状部、104・・・開放部、105・・・遮蔽部、107・・・先端部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスにより膨張するエアバッグと、エアバッグ内に配置されたディフューザと、ディフューザ内でガスを発生してディフューザを通してエアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置であって、
ディフューザ内でインフレータを囲い、インフレータが発生するガスを開放部から流出させるとともに、ディフューザの内面の一部を覆う内側保護部材を備えたエアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、ディフューザに形成された接合部を遮蔽してディフューザの接合部を保護する遮蔽部を有するエアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、ディフューザに固定されたエアバッグ装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、インフレータに固定されたエアバッグ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、インフレータを囲む筒状部が形成された保護布からなるエアバッグ装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材の筒状部が、保護布を接合部で接合して筒状に形成されたエアバッグ装置。
【請求項7】
請求項6に記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、インフレータが発生するガスを受けるガス受け部を有し、
保護布の接合部が、内側保護部材のガス受け部を外れた位置に配置されたエアバッグ装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載されたエアバッグ装置において、
ディフューザが、重ねた基布を接合して形成され、
保護布の接合部が、ディフューザの基布を接合するときに、重ねた保護布とディフューザの基布を同時に接合して形成されたエアバッグ装置。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、接合部のない筒状部材からなるエアバッグ装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
エアバッグ内でディフューザの外面の一部を覆う外側保護部材を備えたエアバッグ装置。
【請求項11】
請求項10に記載されたエアバッグ装置において、
外側保護部材が、ディフューザの内側保護部材が配置された部分を覆うエアバッグ装置。
【請求項1】
ガスにより膨張するエアバッグと、エアバッグ内に配置されたディフューザと、ディフューザ内でガスを発生してディフューザを通してエアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置であって、
ディフューザ内でインフレータを囲い、インフレータが発生するガスを開放部から流出させるとともに、ディフューザの内面の一部を覆う内側保護部材を備えたエアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、ディフューザに形成された接合部を遮蔽してディフューザの接合部を保護する遮蔽部を有するエアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、ディフューザに固定されたエアバッグ装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、インフレータに固定されたエアバッグ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、インフレータを囲む筒状部が形成された保護布からなるエアバッグ装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材の筒状部が、保護布を接合部で接合して筒状に形成されたエアバッグ装置。
【請求項7】
請求項6に記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、インフレータが発生するガスを受けるガス受け部を有し、
保護布の接合部が、内側保護部材のガス受け部を外れた位置に配置されたエアバッグ装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載されたエアバッグ装置において、
ディフューザが、重ねた基布を接合して形成され、
保護布の接合部が、ディフューザの基布を接合するときに、重ねた保護布とディフューザの基布を同時に接合して形成されたエアバッグ装置。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
内側保護部材が、接合部のない筒状部材からなるエアバッグ装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
エアバッグ内でディフューザの外面の一部を覆う外側保護部材を備えたエアバッグ装置。
【請求項11】
請求項10に記載されたエアバッグ装置において、
外側保護部材が、ディフューザの内側保護部材が配置された部分を覆うエアバッグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2013−112163(P2013−112163A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260160(P2011−260160)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】
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