説明

エステル化合物、及び皮膚外用剤

【課題】経時安定性が良好で、優れた美白効果を有する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】R1−O(CH2nO−R2
(R1は、水素原子、リノレン酸残基、リノール酸残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;R2は、リノレン酸残基、リノール残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;nは5〜20の整数を示す)で表されるエステル化合物の少なくとも一種を含有する皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に有用な新規なエステル化合物に関する。また、本発明は、該エステル化合物を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の美白用化粧料が提案されている。例えば、炭素数18〜22で、且つ分子構造中の不飽和結合数が2以上の不飽和脂肪酸、その塩、あるいは一価又は二価アルコールとのエステルからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物を含有する美白化粧料が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。また、上記不飽和脂肪酸の1種であるリノレン酸を含有する美白化粧料が提案されている(例えば、特許文献4)。
【0003】
しかし、前記不飽和脂肪酸は、分子内に不飽和結合が複数含まれていることから、色が経時により変化するという問題がある。特許文献5には、前記不飽和脂肪酸の経時による変色の問題が解決された皮膚外用剤として、前記不飽和脂肪酸とともに、チロシナーゼ活性阻害能を有するポリフェノール類の中から選ばれた少なくとも1種を含有する皮膚外用剤が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平1−186809号公報
【特許文献2】特開平5−194176号公報
【特許文献3】特開平5−213735号公報
【特許文献4】特開平9−291021号公報
【特許文献5】特開平5−271046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、経時安定性が良好であり、且つ美白効果に優れる新規な皮膚外用剤を提供することを課題とする。また、本発明は、皮膚外用剤等に有用な、新規なエステル化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、下記一般式(1):
1−O(CH2nO−R2
(R1は、水素原子、リノレン酸残基、リノール酸残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;R2は、リノレン酸残基、リノール残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;nは5〜20の整数を示す)で表されるエステル化合物を提供する。
【0007】
また本発明は他の側面において、
下記一般式(1):
1−O(CH2nO−R2
(R1は、水素原子、リノレン酸残基、リノール酸残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;R2は、リノレン酸残基、リノール残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;nは5〜20の整数を示す)で表されるエステル化合物の少なくとも一種を含有する皮膚外用剤を提供する。
【0008】
本発明の態様として、前記エステル化合物が、ドデカンジオールのリノレン酸モノエステル及び/又はジエステルである前記皮膚外用剤;前記エステル化合物を美白剤として含有する前記皮膚外用剤;及びさらに、アルブチン、ビタミンC又はその誘導体、リノール酸又はその誘導体、及びビタミンE又はその誘導体から選択される一種又は二種以上を含有する前記皮膚外用剤;が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、経時安定性が良好で、且つ優れた美白効果を奏する新規な皮膚外用剤を提供することができる。また、本発明によれば、皮膚外用剤等に有用な、新規なエステル化合物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明の皮膚外用剤は、下記一般式(1)で表されるエステル化合物の少なくとも一種を含有する。
一般式(1)
1−O(CH2nO−R2
1は、水素原子、リノレン酸残基、リノール酸残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;R2は、リノレン酸残基、リノール残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;nは5〜20の整数を示す。
【0011】
本発明の皮膚外用剤は、前記一般式(1)で表される化合物から選択される2種以上の化合物を含有していてもよい。中でも、R1が水素原子であり、R2がリノレン酸残基であり、且つnが12である、ドデカンジオールのリノレン酸モノエステル、及び、R1及びR2の双方が、リノレン酸残基であり、且つnが12である、ドデカンジオールのリノレン酸ジエステルのいずれか一方又は双方を含有しているのが好ましい。なお、リノレン酸は、二重結合の位置の違いによってα−リノレン酸及びγ−リノレン酸の異性体がある。前記リノレン酸残基は、いずれの異性体の残基であってもよく、それらの混合物であってもよい。また、上記脂肪酸残基のうち、シス体及びトランス体の幾何異性体が存在するものについても、いずれの幾何異性体の残基であってもよく、またそれらの混合物であってもよい。
【0012】
上記一般式(1)で表されるエステル化合物は、一般的なエステル化反応を利用して合成することができる。モノエステル体及びジエステル体の混合物として得られる場合は、混合物をカラムクロマトグラフィーで複数のフラクションに分画し、モノエステル体及びジエステル体のフラクションをそれぞれ回収して、本発明に使用してもよい。
【0013】
本発明の皮膚外用剤は、前記一般式(1)で表されるエステル化合物を美白剤として含有していてもよい。前記エステル化合物、特に、ドデカンジオールのリノレン酸モノエステル及びジエステルは、優れた美白効果を有するとともに、リノレン酸のような経時による変色のない、経時安定性の良好な美白剤である。従って、前記エステル化合物を含有する本発明の皮膚外用剤は、経時安定性が良好で、且つ美白効果に優れている。本発明の皮膚外用剤における、前記エステル化合物の含有量は、0.0001〜5質量%であるのが好ましく、0.001〜1質量%であるのがより好ましい。
【0014】
本発明の皮膚外用剤は、前記エステル化合物以外の美白剤をさらに含有していてもよい。組み合わせる美白剤としては特に制限されないが、中でも、アルブチン、ビタミンC又はその誘導体(リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム、ジパルミチン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル等)、リノール酸又はその誘導体(リノール酸及びその塩、エステル等)、ビタミンE又はその誘導体(トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、ビタミンEグルコシド等)から選択される一種又は二種以上と組み合わせるのが好ましい。
【0015】
本発明の皮膚外用剤は、前記エステル化合物とともに、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等に通常使用される各種の成分、即ち、水、アルコール、油剤、界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調整剤、各種薬効剤、動植物・微生物由来の抽出物、香料等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜加えることができる。また、抗酸化剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、紫外線防止剤等の薬効成分を併用して、本発明の効果を更に高める、もしくは他の効果をさらに付加することもできる。
【0016】
本発明の皮膚外用剤は、美肌(美白の概念を含む)、特に美白、を目的とする化粧料として調製するのに適する。化粧料の形態については特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料、メーキャップ化粧料等のいずれの形態の化粧料であってもよい。その他、分散液、軟膏、液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の外用医薬品として調製してもよい。また、本発明の皮膚外用剤は、乳化型皮膚外用剤であってもよく、かかる場合は、W/O型及びO/W型のいずれであってもよい。
【実施例】
【0017】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[製造例]
下記の経路により、ドデカンジオールのリノレン酸モノエステル及びジエステルを得た。
【0018】
【化1】

【0019】
α−リノレン酸メチルエステル(9.8g)、1,12−ドデカンジオール(7.45g)、ジ−n−ブチルすずオキシド(0.22g)およびトルエン(300mL)を温度計、分水器および還流冷却器を付した四つ口フラスコに仕込み、外浴125℃〜132℃で8時間還流脱メタノール反応を行った。反応終了後、シュウ酸(0.46g)およびソルカフロック(1.9g)を加え、外浴126℃〜130℃で2時間還流を行い、さらにPTFEミリポアフィルター(0.5μm)でろ過を行い、ろ液を濃縮し濃縮物を16.2g得た。濃縮物をトルエン50mLに溶解し、ワコーゲルC−200を500g充填したカラム(カラムVol.830mL)にチャージし、最初トルエンを1900mL、次にトルエン−酢酸エチル(3:1)混液を1500mL、低圧で流した(1フラクションは100mL取得した)。フラクション8〜14までを回収して濃縮し、微黄色オイル状の12−リノレノイルドデカンリノレネート(ジエステル体)を4.8g得た。約5℃以下に冷却するとロウ状に固化した。
得られた生成物の分析結果を以下に示す。
FD−MS:m/z=723。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.98(3H,t,J=7.5Hz)、1.22−1.41(16H,m)、1.58−1.69(4H,m)、2.02−2.15(4H,m)、2.29(2H,t,J=7.5Hz)、2.74−2.85(4H,m)、4.05(2H,t,J=6.8Hz)、5.29−5.44(6H,m)。
【0020】
また、フラクション27〜31までを回収して濃縮し、微黄色オイル状の12−ヒドロキシドデカンリノレネート(モノエステル体)を8.0g得た。およそ10℃以下に冷却するとロウ状に固化した。
得られた生成物の分析結果を以下に示す。
FD−MS:m/z=462。
1H−NMR(CDCl3)δ:0.98(3H,t,J=7.5Hz)、1.22−1.41(24H,m)、1.56−1.68(6H,m)、2.01−2.12(4H,m)、2.29(2H,t,J=7.5Hz)、2.76−2.87(4H,m)、3.62−3.68(2H,m)、4.05(2H,t,J=6.8Hz)、5.28−5.42(6H,m)。
【0021】
[細胞培養によるメラニン生成抑制効果(白色化率)及び細胞生育率試験]
マウス由来のB16メラノーマ培養細胞を使用し、メラニン生成抑制効果及び細胞生育率を調べた。
具体的には、2枚の6穴プレートに10%FBS含有MEM培地を適量とり、B16メラノーマ細胞を播種し、37℃、二酸化炭素濃度5%中にて静置した。翌日、上記製造例で得られた12−ヒドロキシドデカンリノレネート(モノエステル体)及び12−リノレノイルドデカンリノレネート(ジエステル体)のそれぞれの50%エチルアルコール溶液を、最終濃度が0(対照)、4μg/mLとなるように検体調製液を添加し混和した。培養5日目に培地を交換し再度検体調製液を添加した。翌日、培地を除去し、1枚のプレートについて、細胞をリン酸緩衝液にて洗浄した後回収し、B16メラノーマ培養細胞の白色化度を以下の基準にて評価した。
又、比較用試験として、従来美白剤として公知のα−リノレン酸を上記エステル体の代わりに用いた以外は、同様の試験を行った。但し、試料溶液の最終濃度は0.25μg/mLとした。
(判定基準)
◎:対照に対してあきらかに白色である。
○:対照に対して白色である。
×:対照と同じ黒色である。
【0022】
残りの1枚のプレートについて、細胞をホルマリン固定後、1%クリスタルバイオレット溶液に添加し染色した。各検体濃度に対する生存細胞生育率をモノセレーター(オリンパス社製)で測定した。
【0023】
[経時安定性試験]
上記で製造した12−ヒドロキシドデカンリノレネート及び12−リノレノイルドデカンリノレネートをそれぞれ、温度40℃の条件で2週間保存し、その後、色の変化を目視にて評価した。また、比較用試験として、リノレン酸を同条件で保存した後、同様に色の変化を目視にて評価した。
(評価基準)
◎:変色無し
○:やや変色有り
△:変色有り
×:強い着色あり
【0024】
細胞培養によるメラニン生成抑制効果(白色化率)および細胞生育率試験、経時安定性試験の結果を併せて下記表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
表1に示す結果から、12-ヒドロキシドデカンリノレネート及び12−リノレノイルドデカンリノレネートはリノレン酸と同様に優れた美白効果を奏すると共に、経時による変色がほとんどないためリノレン酸より経時安定性に優れているといえる。
したがって、12-ヒドロキシドデカンリノレネート及び12−リノレノイルドデカンリノレネートは美白効果と経時安定性が共に良好であり、皮膚外用剤の有効成分として、リノレン酸より優れていることが理解できる。
【0027】
[実施例1:化粧水]
(製法)
A.下記成分(1)〜(10)を混合溶解する。
B.下記成分(11)〜(13)を混合溶解する。
C.BにAを加え乳化し、化粧水を得る。
【0028】
(成分) (質量%)
(1)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.08
(2)スクワラン 0.02
(3)セスキオレイン酸ソルビタン 0.05
(4)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.05
(5)ポリオキシエチレン(8E.O.)アルキレン(12〜15)
エーテルリン酸 0.1
(6)酢酸dl−α−トコフェロール*1 0.05
(7)12−ヒドロキシドデカンリノレネート*2 0.02
(8)防腐剤 適量
(9)香料 適量
(10)エチルアルコール 8.0
(11)ジプロプレングリコール 8.0
(12)グリセリン 4.0
(13)精製水 残量
*1:エーザイ株式会社製
*2:製造例にて製造したもの
【0029】
[実施例2:乳液]
(製法)
A.下記成分(1)〜(11)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(12)〜(18)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に成分(19)を加え混合する。
D.Cを冷却し、成分(20)を加え混合し、乳液を得る。
【0030】
(成分) (質量%)
(1)ステアリン酸 1.0
(2)セタノール 0.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 0.5
(4)流動パラフィン 2.0
(5)スクワラン 3.0
(6)ホホバ油 3.0
(7)パルミチン酸セチル 0.2
(8)12−リノレノイルドデカンリノレネート*1 0.1
(9)防腐剤 適量
(10)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(11)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(12)トリエタノールアミン 0.5
(13)1,3−ブチレングリコール 15.0
(14)グリセリン 3.0
(15)ポリエチレングリコール6000 0.5
(16)リン酸L−アスコルビルマグネシウム*2 3.0
(17)グリチルリチン酸ジカリウム *3 0.1
(18)精製水 残量
(19)カルボキシビニルポリマー(1%溶液) 8.0
(20)香料 適量
*1:製造例にて製造したもの
*2:日本サーファクタント社製
*3:丸善製薬社製
【0031】
[実施例3:クリーム]
(製法)
A.下記成分(1)〜(17)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(18)〜(24)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に成分(25)を加え混合する。
D.Cを冷却し、成分(26)を加え混合し、クリームを得る。
【0032】
(成分) (質量%)
(1)ステアリン酸 2.5
(2)セタノール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)ワセリン 2.0
(5)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル「コスモール168AR」*1
2.0
(6)ミリスチン酸イソトリデシル 5.0
(7)流動パラフィン 8.0
(8)スクワラン 5.0
(9)ミツロウ 1.0
(10)パルミチン酸セチル 2.0
(11)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.5
(13)パルミチン酸レチノール*2 0.1
(14)リノール酸*3 0.1
(15)12−ヒドロキシドデカンリノレネート*4 0.5
(16)12−リノレノイルドデカンリノレネート*4 0.5
(17)防腐剤 適量
(18)トリエタノールアミン 1.2
(19)1,3−ブチレングリコール 8.0
(20)グリセリン 2.0
(21)ポリエチレングリコール20000 0.5
(22)アルブチン*5 3.0
(23)ビタミンEグルコシド*6 1.0
(24)精製水 残量
(25)カルボキシビニルポリマー(1%水溶液) 10.0
(26)香料 適量
*1:日清オイリオグループ社製
*2:和光純薬工業社製
*3:日本油脂社製
*4:製造例にて製造したもの
*5:ENZYCHEM社製
*6:エーピーアイコーポレーション社製
【0033】
[実施例4:美容液]
(製法)
A.下記成分(1)〜(9)を混合溶解する。
B.下記成分(10)〜(18)を混合溶解する。
C.BにAを加え混合し、美容液を得る。
【0034】
(成分) (質量%)
(1)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
(2)メドウホーム油 0.05
(3)ホホバ油 0.05
(4)12−ヒドロキシドデカンリノレネート*1 0.05
(5)防腐剤 適量
(6)香料 適量
(7)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(8)イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油(50E.O.) 1.5
(9)エチルアルコール 5.0
(10)グリセリン 4.0
(11)ジプロピレングリコール 8.0
(12)1,3−ブチレングリコール 8.0
(13)乳酸ナトリウム 0.5
(14)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)液*2 0.5
(15)ヒドロキシエチルセルロース 0.08
(16)アルギン酸ナトリウム 0.05
(17)リン酸L−アスコルビルナトリウム*3 2.0
(18)精製水 残量
*1:製造例にて製造したもの
*2:味の素社製
*3:日本サーファクタント社製
【0035】
[実施例5:マッサージクリーム]
(製法)
A.下記成分(1)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(14)〜(17)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを冷却後、成分(18)を加え混合し、マッサージクリームを得た。
【0036】
(成分) (質量%)
(1)ステアリン酸 2.0
(2)ステアリルアルコール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)セスキオレイン酸ソルビタン 1.0
(5)パルミチン酸セチル 1.0
(6)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル「コスモール168AR」*1
4.0
(7)ワセリン 20.0
(8)流動パラフィン 28.0
(9)ジメチルポリシロキサン(100CS) 0.5
(10)12−ヒドロキシドデカンリノレネート*2 0.5
(11)12−リノレノイルドデカンリノレネート*2 0.5
(12)ニコチン酸トコフェロール*3 0.1
(13)グリチルレチン酸ステアリル*4 0.1
(14)水酸化ナトリウム 0.1
(15)ジプロピレングリコール 7.0
(16)カルボキシビニルポリマー 0.1
(17)精製水 残量
(18)香料 適量
*1:日清オイリオグループ社製
*2:製造例にて製造したもの
*3:エーザイ社製
*4:丸善製薬社製
【0037】
上記製造したいずれの化粧料も、分離や変臭、変色などがなく安定生に優れ、肌に適用した際に、軽やかな伸び広がりを示した。さらに、連続的に皮膚に適用することにより、皮膚を透明感のある白く美しい肌にするものであった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、経時安定性が良好で、且つ優れた美白効果を有する皮膚外用剤を提供することができる。また、皮膚外用剤等に有用な新規なエステル化合物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
1−O(CH2nO−R2
(R1は、水素原子、リノレン酸残基、リノール酸残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;R2は、リノレン酸残基、リノール残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;nは5〜20の整数を示す)で表されるエステル化合物。
【請求項2】
1が水素原子であり、R2がリノレン酸残基であり、及びnが12である、ドデカンジオールのリノレン酸モノエステルである請求項1に記載のエステル化合物。
【請求項3】
1及びR2の双方がリノレン酸残基であり、及びnが12である、ドデカンジオールのリノレン酸ジエステルである請求項1に記載のエステル化合物。
【請求項4】
下記一般式(1):
1−O(CH2nO−R2
(R1は、水素原子、リノレン酸残基、リノール酸残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;R2は、リノレン酸残基、リノール残基、アラキドン酸残基、ドコサヘキサエン酸残基、又はエイコサペンタエン酸残基を表し;nは5〜20の整数を示す)で表されるエステル化合物の少なくとも一種を含有する皮膚外用剤。
【請求項5】
前記エステル化合物が、ドデカンジオールのリノレン酸モノエステル及び/又はジエステルである請求項4に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
前記エステル化合物を美白剤として含有する請求項4又は5に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
さらに、アルブチン、ビタミンC又はその誘導体、リノール酸又はその誘導体、及びビタミンE又はその誘導体から選択される一種又は二種以上を含有する請求項4〜6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−269684(P2007−269684A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96763(P2006−96763)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【出願人】(396020464)株式会社エーピーアイ コーポレーション (39)
【Fターム(参考)】