説明

エストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体、それからなる食品製剤、化粧品、子宮内膜症治療薬

【課題】 副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体、それからなる食品製剤、化粧品、子宮内膜症治療薬を提供する。
【解決手段】 エストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体は、イソフラボンと脂肪酸とエステル結合してなる誘導体であり、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物とエステル交換用リパーゼを添加し加温、又は、魚類、大豆と納豆菌により発酵し、植物油で抽出して得られる。食品製剤又は化粧品は、イソフラボン誘導体、菊の花エキス含有植物油、松の葉エキス含有植物油からなるものである。子宮内膜症治療薬はエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体に関するものである。また、前記のイソフラボン誘導体、菊の花エキス含有植物油、松の葉エキス含有植物油を含有する組成物からなる食品製剤、化粧品及び子宮内膜症治療薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エストロゲン様作用を呈する化合物が日常生活の中に存在し、内分泌攪乱物質として確認されており、内分泌攪乱物質による生殖機能や子宮に対する悪い影響が科学的に議論されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
子宮内膜症に苦しむ女性も多く、日本だけでも、数十万人とも報告され、子宮内膜症に対する治療薬や改善方法についても研究が進められている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0004】
子宮内膜症と日常生活に潜む内分泌攪乱物質や生活習慣との因果関係にも注目され、日常の食生活の見直しにも、注目されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0005】
植物の中でも、豆科に属する大豆には、イソフラボンが女性エストロゲン様作用を呈することが研究されており、豆乳や大豆加工食品として日常摂取が進められている。
【0006】
一方、イソフラボンの摂取量と安全性についても、研究されているが、結論には至っておらず、厚生労働省の指針で、イソフラボンの純品の過剰摂取に注意が喚起されている(例えば、非特許文献4参照。)。
【0007】
子宮内膜症の治療薬としてプロゲスチロン誘導体であるダナゾールや性腺刺激エストロゲン調節剤であるブセレリンやゴセレリンが利用されているものの、男性化、血栓症、肝臓障害、エストロゲン異常、骨粗鬆症などの副作用が報告されており(例えば、非特許文献5参照。)、より安全性の高い薬剤が求められている。
【0008】
天然に存在するエストロゲン調節作用を有する物質としては、大豆から得られるイソフラボンが知られており、特定保健用食品にも利用されているものの、そのエストロゲン調節作用は軽度であることから、大量の使用が必要である。しかし、大量の摂取については、生殖器に及ぼす副作用の点から危惧されている。
【0009】
クローバー由来のイソフラボンによる子宮内膜症治療に関する発明については、「エストロゲン関連疾患の治療法」の中で、「異常に高活性なステロイド性エストロゲンに関連する疾患の治療、発症予防、改善または予防のための方法であって、クローバーまたはヒヨコ豆のイソフラボンを含む抽出物、あるいは主としてビオカニン、またはビオカニンとホルモノネチン、ダイゼイン、およびゲニステインのグループからの1以上のイソフラボンを約2:1から約5:1の比率で含むクローバーまたはヒヨコ豆の抽出物を、任意に1以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、補助剤および/または希釈剤とともに含む組成物をヒト患者に投与することを含む方法、および該イソフラボン 含有抽出物を含む組成物とその使用法」という発明があるものの、作用を呈する新規の物質の同定には至っておらず、既存の物質に限定されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
また、イソフラボンによる子宮内膜症治療については、「抗ErbB2抗体を用いた非悪性疾病または疾患の治療」の発明があるが、物質の同定には至っていない。(例えば、特許文献2参照。)
【0011】
アカツメクサは、レッドクローバーともいわれ、このアカツメクサによるエストロゲン調節作用に関する発明として、「女性ホルモン産生促進剤及びこれを含有する皮膚外用剤」がみられるものの、既存のイソフラボンについての発明であり、新規の物質には至っていない。(例えば、特許文献3参照。)
【0012】
また、黒イチジクに関するエストロゲン作用に関する発明は、見当たらない。
【0013】
イソフラボンによるエストロゲン作用を利用した化粧品に関する発明としては、「3−ベータ−HSD酵素の少なくとも一の阻害剤を含む局所適用のための化粧品 用及び/又は皮膚用及び/又は製薬用組成物」(例えば、特許文献4参照。)や「局所活性成分の効力のモノアシル−(リゾ)−グリセロリン脂質による増強方法およびその用途」(例えば、特許文献5参照。)の発明があるものの、特定された物質の作用ではない。
【0014】
上記のいずれの発明においても、有用な新規物質として特定された成分や誘導体は同定されておらず、また、その働きについても、確認されていない。
【0015】
これらの現状から、医薬品、化粧品、食品などの産業界では、増加しつつあるエストロゲン関連の疾患、特に、子宮内膜症に対して、副作用が少なく、優れた作用を呈する長期間使用ができる天然の植物由来の成分とそれを利用した医薬品、化粧品、食品が切望されている。
【特許文献1】特表2002−507568公報
【特許文献2】特表2006−516117公報
【特許文献3】特開2004−067590公報
【特許文献4】特開2003−081875公報
【特許文献5】特開2002−128702公報
【非特許文献1】保健衛生安全基準家庭用品規制法関係実務便覧、鶴保 謙四郎:生活衛生 43巻、5号、1999年。
【非特許文献2】子宮内膜症の実態データ、日本子宮内膜症協会、2001年。
【非特許文献3】Tsuchiya、Mら、Fertil.Steril、Vol84、454−458、2005。
【非特許文献4】厚生労働省、特定保健用食品評価書、大豆イソフラボン40、2005年。
【非特許文献5】Szeplaki、Gら、The Journal of allergy and Clinical immunology、Vol115、864−869、2005。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来の天然由来エストロゲン調節作用を有する物質として、イソフラボンが使用されているものの、それらの働きは軽度であり、十分なエストロゲン調節作用と子宮内膜症の改善には、至っていない。また、その使用量についても制限がある。
【0017】
また、化学合成されたエストロゲン調節作用を呈する化合物、たとえば、ダナゾールには男性化、血栓症、肝機能障害、にきび、性器出血などの副作用が認められている。
【0018】
さらに、酢酸ブセレリンは性腺刺激エストロゲン調節作用を呈する製剤であるものの、骨粗鬆症や更年期様症状の発現などの副作用が認められる。
【0019】
これらの合成薬剤には、副作用があるため、利用期間とその使用量には制限がある。
【0020】
この発明は上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体を提供することにある。
【0021】
また、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸を添加し、加温し、植物油で抽出して得られる副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体を提供することにある。
【0022】
食用魚類、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体を提供することにある。
【0023】
さらに、エストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる副作用が弱く、優れた食品製剤を提供することにある。
【0024】
加えて、エストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる副作用が弱く、優れた化粧品を提供することにある。
【0025】
また、イソフラボン誘導体からなる副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用を有する子宮内膜症治療薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エストロゲン調節作用を有する下記の式(1)で示されるイソフラボン誘導体に関するものである。
【0027】
【化1】

【0028】
Xは、水素又は水酸基のいずれか。
Yは、水素又は水酸基のいずれか。
Zは、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つ。
【0029】
請求項2に記載の発明は、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素であり、Zがパルミチン酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(2)で示されるイソフラボン誘導体に関するものである。
【0030】
【化2】

【0031】
請求項3に記載の発明は、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にエイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素であり、Zがエイコサペンタエン酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(3)で示されるイソフラボン誘導体に関するものである。
【0032】
【化3】

【0033】
請求項4に記載の発明は、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素であり、Zがドコサヘキサエン酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(4)で示されるイソフラボン誘導体に関するものである。
【0034】
【化4】

【0035】
請求項5に記載の発明は、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物に安息香酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素であり、Zが安息香酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(5)で示されるイソフラボン誘導体に関するものである。
【0036】
【化5】

【0037】
請求項6に記載の発明は、食用魚類、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる請求項1に記載のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体に関するものである。
【0038】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤に関するものである。
【0039】
請求項8に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品に関するものである。
【0040】
請求項9に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体からなる子宮内膜症治療薬に関するものである。
【0041】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
【0042】
請求項1に記載のイソフラボン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用が発揮される。
【0043】
請求項2に記載の黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にカプリル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるイソフラボン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用が発揮される。
【0044】
請求項3に記載の黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるイソフラボン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用が発揮される。
【0045】
請求項4に記載の黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にエイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるイソフラボン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用が発揮される。
【0046】
請求項5に記載の黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるイソフラボン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用が発揮される。
【0047】
請求項6に記載の食用魚類、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られるイソフラボン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用が発揮される。
【0048】
請求項7に記載のイソフラボン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤によれば、副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用が発揮される。
【0049】
請求項8に記載のイソフラボン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品によれば、副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用が発揮される。
【0050】
請求項9に記載のイソフラボン誘導体からなる子宮内膜症治療薬によれば、副作用が弱く、優れたエストロゲン調節作用が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、この発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0052】
まず、エストロゲン調節作用を有する下記の式(1)で示されるイソフラボン誘導体について説明する。
【0053】
【化6】

【0054】
Xは、水素又は水酸基のいずれか。
Yは、水素又は水酸基のいずれか。
Zは、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つ。
【0055】
そもそも、イソフラボンとは植物や微生物により生合成されるポリフェノールである。
【0056】
ここでいうイソフラボン誘導体とは、式(1)で示されるように、イソフラボン骨格に、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つが結合した誘導体である。
【0057】
前記のイソフラボン誘導体は、母核のイソフラボン分子にパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸のいずれかの物質のカルボン酸基がエステル結合している。
【0058】
前記のイソフラボンは黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子、茎、葉や根に広く分布しているものの、イソフラボンの構造が不安定であるという欠点があり、前記のイソフラボン誘導体が構造的に安定であり、エストロゲン調節作用に優れていることから好ましい。
【0059】
前記のイソフラボン誘導体は、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸のいずれかが結合することにより、その脂溶性が高まる結果、イソフラボン誘導体の構造が安定化され、イソフラボン単体に比してエストロゲン調節作用に優れている。
【0060】
前記のイソフラボン誘導体は細胞の核内エストロゲン受容体などのエストロゲン受容体を修飾することにより、エストロゲン調節作用を呈する。
【0061】
すなわち、エストロゲンが過剰であり、エストロゲン受容体が過剰に反応している場合、前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体に拮抗してエストロゲン作用を抑制して、正常化する。
【0062】
たとえば、子宮内膜症の場合、エストロゲンの作用により、異所性の子宮内膜組織が反応して組織を増殖させ、かつ、炎症性物資を放出させる。その結果、疼痛や出血を伴う子宮内膜症となる。
【0063】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体を修飾してエストロゲンによる過剰な子宮内膜組織の増殖及び炎症を抑制することにより、子宮内膜症を改善させる。
【0064】
一方、エストロゲンが枯渇したり、少なくなっている状態、たとえば、更年期や生理不順の場合には、エストロゲンが欠乏している。エストロゲンは通常の量で、骨組織を構築する作用がある。エストロゲンが欠乏することにより、骨組織が脆弱化して骨粗鬆症を誘発する。
【0065】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲンの低下した更年期状態に、エストロゲン様の作用を発現して骨組織を守る。つまり、前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン受容体と反応してエストロゲンのように働き、骨組織を防御する。
【0066】
また、脂溶性が高い構造であるため、組織内部に侵入しやすく、量が少なくとも、エストロゲン調節作用を呈するという利点がある。また、局所に存在してするエステラーゼにより分解されてイソフラボンと脂肪酸になるため、作用が持続せず、安全性が高い。
【0067】
脳でもエストロゲンは、大切な働きを有している。つまり、神経細胞の保護である。エストロゲンは脳保護作用を呈することから、更年期になった女性には、痴呆症が発現しやすい。
【0068】
前記のイソフラボン誘導体は、脂溶性が高いため血液脳関門を通過しやすく、脳神経細胞の保護に働く。しかし、脳内のエステラーゼにより過剰量は分解されることから過剰摂取による副作用は軽度である。
【0069】
前記のイソフラボン誘導体は脂溶性の高い特徴を有するパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つが結合していることからイソフラボンに比して小腸や皮膚の細胞膜に浸透しやすく、体内に吸収されやすい。
【0070】
前記のイソフラボン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてそれぞれのイソフラボンとそれぞれのパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸のいずれかに分解されるが、それぞれの物質は安全性が確認されていることから、前記のイソフラボン誘導体も安全性が高い。
【0071】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水素で、かつ、Yが水素の場合、骨格となるイソフラボンはホルモノネチンであることから、目的の誘導体はホルモノネチン誘導体である。
【0072】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水素で、かつ、Yが水酸基の場合、骨格となるイソフラボンはビオカニンAであることから、目的の誘導体はビオカニンA誘導体である。
【0073】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水酸基で、かつ、Yが水素の場合、骨格となるイソフラボンは2’−ヒドロキシホルモノネチンであることから、目的の誘導体は2’−ヒドロキシホルモノネチン誘導体である。
【0074】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水酸基で、かつ、Yが水酸基の場合、骨格となるイソフラボンは2’−ヒドロキシビオカニンAであることから、目的の誘導体は2’−ヒドロキシビオカニンA誘導体である。
【0075】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがパルミチン酸の場合、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透して細胞内に吸収されやすく、エストロゲン調節作用が増強されることから好ましい。
【0076】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがエイコサペンタエン酸の場合、エイコサペンタエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性サイトカインや炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、かつ、エストロゲン調節作用を安定的に発揮することから好ましい。特に、疼痛性の高い、かつ、骨粗鬆症を誘導するインターロイキン6の発現を抑制することから、より好ましい。
【0077】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがドコサヘキサエン酸の場合、ドコサヘキサエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、エストロゲン調節作用を発揮することから好ましい。
【0078】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zが安息香酸の場合、安息香酸の残基が抗菌作用を呈することから、炎症部位での細菌感染を抑制しつつ、エストロゲン調節作用を発揮することから好ましい。
【0079】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがカプリン酸の場合、カプリン酸の脂肪酸残基が細胞膜に浸透して細胞内に吸収されやすく、エストロゲン調節作用が増強されることから好ましい。
【0080】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがステアリン酸の場合、ステアリン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透して細胞内に吸収されやすく、エストロゲン調節作用が増強されることから好ましい。
【0081】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがガンマ−リノレン酸の場合、ガンマ−リノレン酸の不飽和飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透して細胞内に吸収されやすく、エストロゲン調節作用が増強されることから好ましい。
【0082】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがドコサペンタエン酸の場合、ドコサペンタエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、エストロゲン調節作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0083】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがアルファ−リポ酸の場合、アルファ−リポ酸の脂肪酸残基が抗酸化作用を呈することから、炎症組織の酸化を抑制し、エストロゲン調節作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0084】
また、イソフラボン誘導体を黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子を原料として加工し、粉砕して有機溶媒や植物油により抽出し、精製することは入手が容易で、経済的であることから、好ましい。
【0085】
ここで抽出に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、エーテルなどが用いられ、このうち、食品加工用エタノール又は含水エタノールはその利用範囲が高いことから好ましい。
【0086】
また、松の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや柿の葉エキスを含有した有機溶媒などを用いることにより、抗酸化作用により目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0087】
抽出に用いる植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられ、また、松の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや柿の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0088】
さらに、イソフラボン誘導体に利用される脂肪酸を植物、豆類、食用魚類より精製し、または、精製油脂を用いることは、好ましい。
【0089】
たとえば、これらの脂肪酸を不二製油、日清製油、ニッスイ製薬、日水漁業、東洋漁業より入手して、結合酵素を用いた生合成により、又は、化学的に合成することができる。
【0090】
これらの原料から生化学的な酵素反応によりイソフラボン誘導体を得る場合には、エステル結合反応を生じる酵素、たとえば、アマノエンザイム製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどが用いられる。
【0091】
また、化学合成反応による場合には、マグネシウム、アルミニウムなどの金属触媒とともに、加温される。これらの原料は、反応槽に入れられ、前記の有機溶媒とともに、反応が行われる。この反応物は、前記の有機溶媒を用いて抽出し、その溶媒を除去して粗生成物として得ることは、精製に要するコストを削減できることから、好ましい。
【0092】
目的とするイソフラボン誘導体を天然の素材から前記の有機溶媒や植物油を用いて抽出し、さらに、精製することにより得ることができる。天然の素材として、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子などの植物、海藻、キノコ、食用動物、食用魚類、軟体動物、昆虫、甲殻類などがある。特に、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子、食用魚類の頭部やウナギの頭部は、含量が高いことから、抽出しやすいという特徴がある。
【0093】
産業上、食用魚類の頭部は食用魚類の加工時に除去され、廃棄物として廃棄されており、利用されていない。この食用魚類の頭部やウナギの頭部を原料として前記の有機溶媒や植物油を用いて抽出、又は、精製することは廃棄物を有効に利用し、廃棄物の量を軽減することから好ましい。
【0094】
前記のイソフラボン誘導体を微生物や酵母を用いた発酵により得ることは食用として安全性が確認されており、食経験も豊富であることから好ましく、この場合、用いる微生物としては納豆菌、乳酸菌、紅麹、枯草菌があり、酵母としてはビール酵母や酒精酵母があり、特に、納豆菌はエステル交換作用に優れていることから好ましい。
【0095】
前記の発酵は黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子、食用魚類、食用魚類の頭部や内臓、大豆や牛乳などの発酵ベースに前記の微生物又は酵母を添加して発酵タンクを用いて実施される。この発酵後、微生物又は酵母と発酵液の混合物から目的とする前記のイソフラボン誘導体を前記の有機溶媒や植物油を用いて抽出することにより得ることができる。
【0096】
植物から抽出する場合、黒イタジク又はアカツメクサの花、種子、果実や実、根、葉や茎などの植物体、緑茶、ギョウジャニンニク、タマネギ、ニンニク、大豆、ギジギシ、カンゾウ、ツリフネソウ、ハナイカダ、大麦若葉、葛の花、トウガラシ、カキ、梨、栗、タラ、ワサビ、ワラビ、稲、小麦、トウモロコシ、ダイコン、菜の花、サクラ、マツ、アオキ、アカネ、アカメガシワ、アケビ、アマチャズル、アマドコロ、アロエ、イカリソウ、イタドリ、イノコズチ、イブキジャコウソウ、ウコギ、ウツボグサ、ウド、ウメ、ウラジロガシ、エビスグサ、オウレン、オオバコ、オケラ、オクラ、オトギリソウ、オナモミ、オミナエシ、カキドオシ、カラスウリ、カラスビシャク、カワラケツメイ、カワラナデシコ、カンアオイ、キクイモ、キキョウ、キササゲ、キハダ、キランソウ、キンミズヒキ、クガイソウ、クサボケ、クズ、クチナシ、コウホネ、コブシ、サイカチ、サボンソウ、サルトリイバラバッケツ、サンシュユ、ジャノヒゲ、シラン、スイカズラ、セリ、センブリ、タムシバ、タラノキ、タンポポ、チガヤ、ツリガネニンジン、ツワブキ、トチノキ、トチバニンジン、ナンテン、ノイバラ、ハコベ、ハトムギ、ハハコグサ、ヒキオコシ、ヒシ、ヒトツバ、ビワ、フキ、フクジュソウ、フジ、マタタビ、メハジキ、ヤマノイモ、ユキノシタ、ヨモギ、リンドウ、レンギョウ、ロウバイ、ワレモコウなどの葉、茎、花、実又は根は、入手しやすいことから好ましい。
【0097】
このうち、黒イチジクは、学名Ficus Caricaであり、南米、中近東、アフリカ、日本、中国大陸に広く分布する樹木である。ここで用いる黒イチジクの実はいずれの産地でも良い。用いる黒イチジクの実は楕円形である。
【0098】
黒イチジクの実は食経験も豊富であり、目的とするイソフラボン誘導体を安定的に供給できることから好ましい。
【0099】
このうち、アカツメクサは、学名Trifolium pratenseであり、ヨーロッパ原産で、ヨーロッパ、南米、中近東、アフリカ、日本、中国大陸に広く分布する多年生草本である。別名は、レッドクローバー、ムラサキツメクサカタバミともいわれる。ここで用いるアカツメクサはいずれの産地でも良い。
【0100】
また、アカツメクサの花や葉は食経験も豊富であり、目的とするイソフラボン誘導体を安定的に供給できることから好ましい。
【0101】
前記の脂溶性イソフラボン誘導体は前記の有機溶媒又は植物油で抽出される。つまり、植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、
【0102】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0103】
また、目的とするイソフラボン誘導体の分離には、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。分離する場合、前記の有機溶媒や植物油が用いられ、松の葉エキス含有植物油を粗精製の段階で用いることにより、松の葉エキスによる抗酸化作用と防腐作用が発揮され、目的とする誘導体が安定に維持されることから好ましい。
【0104】
前記の反応物や組成物から、目的とするイソフラボン誘導体を精製することは純度の高い物質として摂取した場合にその摂取量を減少させることができる点から好ましい。高度に精製される場合、分離用担体又は樹脂が利用され、精製される。この分離用担体又は樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300マイクロmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
【0105】
例えば、逆相担体又は樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。
【0106】
また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体又は樹脂として利用される。
【0107】
アフィニティ担体又は樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体又は樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
【0108】
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体又は樹脂、分配性担体又は樹脂、分子篩用担体又は樹脂及びイオン交換担体又は樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体又は樹脂及び分配性担体又は樹脂はより好ましい。
【0109】
分離用溶媒として前記の有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体又は樹脂が用いられる。また、医薬品製造又は食品製造に利用される担体又は樹脂は好ましい。
【0110】
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2又はXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
【0111】
得られた抽出物は、分離前に分離用担体又は樹脂を膨潤化させるための溶媒に懸濁される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜40倍量が好ましく、3〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜60℃が好ましく、15〜50℃がより好ましい。
【0112】
分離用溶媒には、水、又は、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
【0113】
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸又はそれらの混合液が好ましい。ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコール又は低級アルコールと水の混合液が好ましい。
【0114】
分離された分画を採取後、乾燥又は真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするイソフラボン誘導体を粉末又は濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
【0115】
前記のイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具などに利用される。
【0116】
医薬品としては、子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、痴呆症改善薬、抗がん剤、しわ除去剤、生理痛の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、抗がん剤などとして利用される。
【0117】
前記の食品製剤としては、子宮や乳腺に異常を感じた場合の予防又は改善の目的で、サプリメント、飲料、麺類、調味料として利用され、また、生理痛、不正出血、生殖器のがん、しわ改善、たるみの予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
さらに、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても骨折改善、がんの予防、妊娠の促進の目的などに、ペットサプリメント、ペットフードの形態として利用される。
【0118】
前記の化粧品としては、しわ、肌の活性化、肌の再生を改善する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、エストロゲン異常によるニキビを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0119】
前記の医薬品、食品、化粧品は、エストロゲン異常とそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソフラボン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0120】
また、前記のイソフラボン誘導体を添加したプラスチックを利用してエストロゲン調節作用を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0121】
次に、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素であり、Zがパルミチン酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(2)で示されるイソフラボン誘導体について説明する。
【0122】
【化7】

【0123】
ここでいうイソフラボン誘導体とは、前記のイソフラボン誘導体であり、このうち、X及びYが水素であるため、ホルモネチン誘導体である。Zは、パルミチン酸であるため、ここでいうイソフラボン誘導体は、すなわち、パルミトイルホルモネチンである。
【0124】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水素で、かつ、Yが水素の場合、骨格となるイソイソフラボンに、パルミチン酸のカルボキシル酸がエステル結合した誘導体である。
【0125】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン調節作用を呈し、エストロゲンの過剰を抑制し、エストロゲンが低下した場合には、エストロゲン様作用を呈する。
【0126】
前記のイソフラボン誘導体は細胞内の核内のエストロゲン受容体などのエストロゲン受容体を修飾することにより、エストロゲン調節作用を呈する。
【0127】
すなわち、エストロゲンが過剰であり、エストロゲン受容体が過剰に反応している場合、前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体に拮抗してエストロゲン作用を抑制して、正常化する。
【0128】
たとえば、子宮内膜症の場合、エストロゲンの作用により、異所性の子宮内膜組織が反応して組織を増殖させ、かつ、炎症性物資を放出させる。その結果、疼痛を伴う子宮内膜症となる。
【0129】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体を修飾してエストロゲンによる過剰な子宮内膜組織の増殖及び炎症を抑制することにより、子宮内膜症を改善させる。
【0130】
一方、エストロゲンが枯渇したり、少なくなっている状態、たとえば、更年期の場合には、エストロゲンが欠乏している。エストロゲンは通常の量で、骨組織を構築する作用がある。エストロゲンが欠乏することにより、骨組織が脆弱化して骨粗鬆症を誘発する。
【0131】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲンの低下した更年期状態に、エストロゲン様の作用を発現して骨組織を守る。つまり、前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン受容体と反応してエストロゲンのように働き、骨組織を防御する。
【0132】
前記のイソフラボン誘導体は、脂溶性が高い構造であるため、組織内部に侵入しやすく、量が少なくとも、エストロゲン調節作用を呈するという利点がある。
【0133】
さらに、局所に存在してするエステラーゼにより分解されてイソフラボンと脂肪酸になるため、作用が持続せず、安全性が高い。
【0134】
また、脳でもエストロゲンは、大切な働きを有している。つまり、神経細胞の保護である。つまり、更年期になると、痴呆症が発現しやすい。
【0135】
前記のイソフラボン誘導体は、脂溶性が高いため血液脳関門を通過しやすく、脳神経細胞の保護に働く。しかし、脳内のエステラーゼにより過剰量は分解されることから過剰による副作用は少ない。
【0136】
前記のイソフラボン誘導体は黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0137】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子が原材料として用いられる。それぞれの産地は、いずれでも良い。
【0138】
このうち、農薬の使用履歴が追跡でき、品質が安定し、安価でものが好ましい。
【0139】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は新鮮なもの、乾燥されたもののいずれでも良い。
【0140】
採取された黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は水道水で洗浄されることは好ましい。
【0141】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は粉砕される。粉砕には粉砕機が用いられ、たとえば株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0142】
ここで用いられるパルミチン酸は、ヤシ油、植物油、なたね油、綿実油、とうもろこし油、ベニバナ油、ゴマ油、コメ油、ヒマワリ油、オリーブ油などから得られ、リョーショク、日清製油や不二製油株式会社などのヤシや大豆などの植物より抽出され、精製されたものが、不純物の少ないことから好ましい。
【0143】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0144】
清浄なステンレス製寸胴などに前記の黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物、パルミチン酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0145】
添加する黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物1重量に対し、パルミチン酸は0.02〜2重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.0001〜0.08重量が好ましい。
【0146】
前記の加温の温度として、10〜42℃が好ましく、18〜39℃がより好ましい。
【0147】
前記の加温の時間として、2〜48時間が好ましく、6〜28時間がより好ましい。
【0148】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり40〜140回の速度が好ましい。
【0149】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0150】
生成された脂溶性イソフラボン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、
【0151】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0152】
このうち、松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0153】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0154】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0155】
添加する黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物1重量に対し、添加する植物油は0.4〜4重量が好ましい。
【0156】
分離されたイソフラボン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量はエステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0157】
前記の反応物から、目的とするイソフラボン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0158】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするイソフラボン誘導体を得ることは好ましい。
【0159】
このようにして得られたイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0160】
得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0161】
前記のイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具などに利用される。
【0162】
医薬品としては、子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、痴呆症改善薬、抗がん剤、しわ除去剤、生理痛の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、抗がん剤などとして利用される。
【0163】
前記の食品製剤としては、子宮や乳腺に異常を感じた場合の予防又は改善の目的で、サプリメント、飲料、麺類、調味料として利用され、また、生理痛、不正出血、生殖器のがん、しわ改善、たるみの予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
【0164】
さらに、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても骨折改善、がんの予防、妊娠の促進の目的などに、ペットサプリメント、ペットフードの形態として利用される。
【0165】
前記の化粧品としては、しわ、肌の活性化、肌の再生を改善する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、エストロゲン異常によるニキビを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0166】
前記の医薬品、食品、化粧品は、エストロゲン異常とそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソフラボン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0167】
また、前記のイソフラボン誘導体を添加したプラスチックを利用してエストロゲン調節作用を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0168】
次に、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にエイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素であり、Zがエイコサペンタエン酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(3)で示されるイソフラボン誘導体について説明する。
【0169】
【化8】

【0170】
ここでいうイソフラボン誘導体とは、前記のイソフラボン誘導体であり、このうち、X及びYが水素であるため、ホルモネチン誘導体である。Zは、エイコサペンタエン酸であるため、ここでいうイソフラボン誘導体は、すなわち、エイコサペンタエニルホルモネチンである。
【0171】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水素で、かつ、Yが水素の場合、骨格となるイソイソフラボンに、エイコサペンタエン酸のカルボキシル酸がエステル結合した誘導体である。
【0172】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン調節作用を呈し、エストロゲンの過剰を抑制し、エストロゲンが低下した場合には、エストロゲン様作用を呈する。
【0173】
前記のイソフラボン誘導体は細胞内の核内のエストロゲン受容体などのエストロゲン受容体を修飾することにより、エストロゲン調節作用を呈する。
【0174】
すなわち、エストロゲンが過剰であり、エストロゲン受容体が過剰に反応している場合、前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体に拮抗してエストロゲン作用を抑制して、正常化する。
【0175】
たとえば、子宮内膜症の場合、エストロゲンの作用により、異所性の子宮内膜組織が反応して組織を増殖させ、かつ、炎症性物資を放出させる。その結果、疼痛を伴う子宮内膜症となる。
【0176】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体を修飾してエストロゲンによる過剰な子宮内膜組織の増殖及び炎症を抑制することにより、子宮内膜症を改善させる。
【0177】
一方、エストロゲンが枯渇したり、少なくなっている状態、たとえば、更年期の場合には、エストロゲンが欠乏している。エストロゲンは通常の量で、骨組織を構築する作用がある。エストロゲンが欠乏することにより、骨組織が脆弱化して骨粗鬆症を誘発する。
【0178】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲンの低下した更年期状態に、エストロゲン様の作用を発現して骨組織を守る。つまり、前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン受容体と反応してエストロゲンのように働き、骨組織を防御する。
【0179】
前記のイソフラボン誘導体は、脂溶性が高い構造であるため、組織内部に侵入しやすく、量が少なくとも、エストロゲン調節作用を呈するという利点がある。また、エイコサペンタエン酸の側鎖であるエイコサペンタエニル基が炎症性サイトカインや炎症性プロスタグランジン抑制をすることにより、抗炎症作用を併せもつことから、より好ましい。
【0180】
さらに、局所に存在してするエステラーゼにより分解されてイソフラボンと脂肪酸になるため、作用が持続せず、安全性が高い。
【0181】
また、脳でもエストロゲンは、大切な働きを有している。つまり、神経細胞の保護である。つまり、更年期になると、痴呆症が発現しやすい。
【0182】
前記のイソフラボン誘導体は、脂溶性が高いため血液脳関門を通過しやすく、脳神経細胞の保護に働く。しかし、脳内のエステラーゼにより過剰量は分解されることから過剰による副作用は少ない。
【0183】
前記のイソフラボン誘導体は黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にエイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0184】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子が原材料として用いられる。それぞれの産地は、いずれでも良い。
【0185】
このうち、農薬の使用履歴が追跡でき、品質が安定し、安価でものが好ましい。
【0186】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は新鮮なもの、乾燥されたもののいずれでも良い。
【0187】
採取された黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は水道水で洗浄されることは好ましい。
【0188】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は粉砕される。粉砕には粉砕機が用いられ、たとえば株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0189】
ここで用いられるエイコサペンタエン酸は、食用魚油、海洋性プランクトン、培養された微生物などから得られ、日本水産、焼津水産や東洋水産などの食用魚類より抽出され、精製されたものが、不純物の少ないことから好ましい。
【0190】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0191】
清浄なステンレス製寸胴などに前記の黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物、エイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0192】
添加する黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物1重量に対し、エイコサペンタエン酸は0.01〜3重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.0002〜0.09重量が好ましい。
【0193】
前記の加温の温度として、12〜44℃が好ましく、20〜38℃がより好ましい。
【0194】
前記の加温の時間として、2〜48時間が好ましく、4〜28時間がより好ましい。
【0195】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり35〜150回の速度が好ましい。
【0196】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0197】
生成された脂溶性イソフラボン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、
【0198】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0199】
このうち、松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0200】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0201】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0202】
添加する黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物1重量に対し、添加する植物油は0.3〜5重量が好ましい。
【0203】
分離されたイソフラボン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量はエステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0204】
前記の反応物から、目的とするイソフラボン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0205】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするイソフラボン誘導体を得ることは好ましい。
【0206】
このようにして得られたイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0207】
得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0208】
前記のイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具などに利用される。
【0209】
医薬品としては、子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、痴呆症改善薬、抗がん剤、しわ除去剤、生理痛の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、抗がん剤などとして利用される。
【0210】
前記の食品製剤としては、子宮や乳腺に異常を感じた場合の予防又は改善の目的で、サプリメント、飲料、麺類、調味料として利用され、また、生理痛、不正出血、生殖器のがん、しわ改善、たるみの予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
【0211】
さらに、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても骨折改善、がんの予防、妊娠の促進の目的などに、ペットサプリメント、ペットフードの形態として利用される。
【0212】
前記の化粧品としては、しわ、肌の活性化、肌の再生を改善する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、エストロゲン異常によるニキビを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0213】
前記の医薬品、食品、化粧品は、エストロゲン異常とそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソフラボン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0214】
また、前記のイソフラボン誘導体を添加したプラスチックを利用してエストロゲン調節作用を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0215】
次に、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素であり、Zがドコサヘキサエン酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(4)で示されるイソフラボン誘導体について説明する。
【0216】
【化9】

【0217】
ここでいうイソフラボン誘導体とは、前記のイソフラボン誘導体であり、このうち、X及びYが水素であるため、ホルモネチン誘導体である。Zは、ドコサヘキサエン酸であるため、ここでいうイソフラボン誘導体は、すなわち、ドコサヘキサエニルホルモネチンである。
【0218】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水素で、かつ、Yが水素の場合、骨格となるイソイソフラボンにドコサヘキサエン酸のカルボキシル酸がエステル結合した誘導体である。
【0219】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン調節作用を呈し、エストロゲンの過剰を抑制し、エストロゲンが低下した場合には、エストロゲン様作用を呈する。
【0220】
前記のイソフラボン誘導体は細胞内の核内のエストロゲン受容体などのエストロゲン受容体を修飾することにより、エストロゲン調節作用を呈する。
【0221】
すなわち、エストロゲンが過剰であり、エストロゲン受容体が過剰に反応している場合、前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体に拮抗してエストロゲン作用を抑制して、正常化する。
【0222】
たとえば、子宮内膜症の場合、エストロゲンの作用により、異所性の子宮内膜組織が反応して組織を増殖させ、かつ、炎症性物資を放出させる。その結果、疼痛を伴う子宮内膜症となる。
【0223】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体を修飾してエストロゲンによる過剰な子宮内膜組織の増殖及び炎症を抑制することにより、子宮内膜症を改善させる。
【0224】
一方、エストロゲンが枯渇したり、少なくなっている状態、たとえば、更年期の場合には、エストロゲンが欠乏している。エストロゲンは通常の量で、骨組織を構築する作用がある。エストロゲンが欠乏することにより、骨組織が脆弱化して骨粗鬆症を誘発する。
【0225】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲンの低下した更年期状態に、エストロゲン様の作用を発現して骨組織を守る。つまり、前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン受容体と反応してエストロゲンのように働き、骨組織を防御する。
【0226】
前記のイソフラボン誘導体は、脂溶性が高い構造であるため、組織内部に侵入しやすく、量が少なくとも、エストロゲン調節作用を呈するという利点がある。また、エイコサペンタエン酸の側鎖であるドコサヘキサエニル基が炎症性サイトカインや炎症性プロスタグランジン抑制をすることにより、抗炎症作用を併せもつことから、より好ましい。
【0227】
さらに、局所に存在してするエステラーゼにより分解されてイソフラボンと脂肪酸になるため、作用が持続せず、安全性が高い。
【0228】
また、脳でもエストロゲンは、大切な働きを有している。つまり、神経細胞の保護である。つまり、更年期になると、痴呆症が発現しやすい。
【0229】
前記のイソフラボン誘導体は、脂溶性が高いため血液脳関門を通過しやすく、脳神経細胞の保護に働く。しかし、脳内のエステラーゼにより過剰量は分解されることから過剰による副作用は少ない。
【0230】
前記のイソフラボン誘導体は黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0231】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子が原材料として用いられる。それぞれの産地は、いずれでも良い。
【0232】
このうち、農薬の使用履歴が追跡でき、品質が安定し、安価でものが好ましい。
【0233】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は新鮮なもの、乾燥されたもののいずれでも良い。
【0234】
採取された黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は水道水で洗浄されることは好ましい。
【0235】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は粉砕される。粉砕には粉砕機が用いられ、たとえば株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0236】
ここで用いられるドコサヘキサエン酸は、食用魚油、海洋性プランクトン、培養された微生物などから得られ、日本水産、焼津水産や東洋水産などの食用魚類より抽出され、精製されたものが、不純物の少ないことから好ましい。
【0237】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0238】
清浄なステンレス製寸胴などに前記の黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物、ドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0239】
添加する黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物1重量に対し、ドコサヘキサエン酸は0.02〜4重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.0001〜0.08重量が好ましい。
【0240】
前記の加温の温度として、10〜46℃が好ましく、16〜39℃がより好ましい。
【0241】
前記の加温の時間として、3〜50時間が好ましく、6〜29時間がより好ましい。
【0242】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり38〜190回の速度が好ましい。
【0243】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0244】
生成された脂溶性イソフラボン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、
【0245】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0246】
このうち、松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0247】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0248】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0249】
添加する黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物1重量に対し、添加する植物油は0.3〜5重量が好ましい。
【0250】
分離されたイソフラボン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量はエステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0251】
前記の反応物から、目的とするイソフラボン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0252】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするイソフラボン誘導体を得ることは好ましい。
【0253】
このようにして得られたイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0254】
得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0255】
前記のイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具などに利用される。
【0256】
医薬品としては、子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、痴呆症改善薬、抗がん剤、しわ除去剤、生理痛の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、抗がん剤などとして利用される。
【0257】
前記の食品製剤としては、子宮や乳腺に異常を感じた場合の予防又は改善の目的で、サプリメント、飲料、麺類、調味料として利用され、また、生理痛、不正出血、生殖器のがん、しわ改善、たるみの予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
【0258】
さらに、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても骨折改善、がんの予防、妊娠の促進の目的などに、ペットサプリメント、ペットフードの形態として利用される。
【0259】
前記の化粧品としては、しわ、肌の活性化、肌の再生を改善する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、エストロゲン異常によるニキビを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0260】
前記の医薬品、食品、化粧品は、エストロゲン異常とそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソフラボン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0261】
また、前記のイソフラボン誘導体を添加したプラスチックを利用してエストロゲン調節作用を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0262】
次に、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物に安息香酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素であり、Zが安息香酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(5)で示されるイソフラボン誘導体について説明する。
【0263】
【化10】

【0264】
ここでいうイソフラボン誘導体とは、前記のイソフラボン誘導体であり、このうち、X及びYが水素であるため、ホルモネチン誘導体である。Zは、安息香酸である。
【0265】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水素で、かつ、Yが水素の場合、骨格となるイソイソフラボンに安息香酸のカルボキシル酸がエステル結合した誘導体である。
【0266】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン調節作用を呈し、エストロゲンの過剰を抑制し、エストロゲンが低下した場合には、エストロゲン様作用を呈する。
【0267】
前記のイソフラボン誘導体は細胞内の核内のエストロゲン受容体などのエストロゲン受容体を修飾することにより、エストロゲン調節作用を呈する。
【0268】
すなわち、エストロゲンが過剰であり、エストロゲン受容体が過剰に反応している場合、前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体に拮抗してエストロゲン作用を抑制して、正常化する。
【0269】
たとえば、子宮内膜症の場合、エストロゲンの作用により、異所性の子宮内膜組織が反応して組織を増殖させ、かつ、炎症性物資を放出させる。その結果、疼痛を伴う子宮内膜症となる。
【0270】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体を修飾してエストロゲンによる過剰な子宮内膜組織の増殖及び炎症を抑制することにより、子宮内膜症を改善させる。
【0271】
一方、エストロゲンが枯渇したり、少なくなっている状態、たとえば、更年期の場合には、エストロゲンが欠乏している。エストロゲンは通常の量で、骨組織を構築する作用がある。エストロゲンが欠乏することにより、骨組織が脆弱化して骨粗鬆症を誘発する。
【0272】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲンの低下した更年期状態に、エストロゲン様の作用を発現して骨組織を守る。つまり、前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン受容体と反応してエストロゲンのように働き、骨組織を防御する。
【0273】
前記のイソフラボン誘導体は、脂溶性が高い構造であるため、組織内部に侵入しやすく、量が少なくとも、エストロゲン調節作用を呈するという利点がある。また、安息香酸の側鎖であるベンゼン基が抗菌作用と抗酸化作用を発揮することにより、細菌感染を併発した場合、さらに、酸化障害がある場合にも、効果を発揮することから、より好ましい。
【0274】
さらに、局所に存在してするエステラーゼにより分解されてイソフラボンと安息香酸になるため、作用が持続せず、安全性が高い。
【0275】
また、脳でもエストロゲンは、大切な働きを有している。つまり、神経細胞の保護である。つまり、更年期になると、痴呆症が発現しやすい。
【0276】
前記のイソフラボン誘導体は、脂溶性が高いため血液脳関門を通過しやすく、脳神経細胞の保護に働く。しかし、脳内のエステラーゼにより過剰量は分解されることから過剰による副作用は少ない。
【0277】
前記のイソフラボン誘導体は黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物に安息香酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0278】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子が原材料として用いられる。それぞれの産地は、いずれでも良い。
【0279】
このうち、農薬の使用履歴が追跡でき、品質が安定し、安価でものが好ましい。
【0280】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は新鮮なもの、乾燥されたもののいずれでも良い。
【0281】
採取された黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は水道水で洗浄されることは好ましい。
【0282】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は粉砕される。粉砕には粉砕機が用いられ、たとえば株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0283】
ここで用いられる安息香酸は、植物、培養された微生物などから得られ、精製されたものが、不純物の少ないことから好ましい。
【0284】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0285】
清浄なステンレス製寸胴などに前記の黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物、安息香酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0286】
添加する黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物1重量に対し、安息香酸は0.01〜5重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.0001〜0.07重量が好ましい。
【0287】
前記の加温の温度として、13〜48℃が好ましく、20〜38℃がより好ましい。
【0288】
前記の加温の時間として、4〜56時間が好ましく、8〜27時間がより好ましい。
【0289】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり40〜180回の速度が好ましい。
【0290】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0291】
生成された脂溶性イソフラボン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、
【0292】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0293】
このうち、松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0294】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0295】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0296】
添加する黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物1重量に対し、添加する植物油は0.4〜6重量が好ましい。
【0297】
分離されたイソフラボン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量はエステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0298】
前記の反応物から、目的とするイソフラボン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0299】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするイソフラボン誘導体を得ることは好ましい。
【0300】
このようにして得られたイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0301】
得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0302】
前記のイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具などに利用される。
【0303】
医薬品としては、子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、痴呆症改善薬、抗がん剤、しわ除去剤、生理痛の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、抗がん剤などとして利用される。
【0304】
前記の食品製剤としては、子宮や乳腺に異常を感じた場合の予防又は改善の目的で、サプリメント、飲料、麺類、調味料として利用され、また、生理痛、不正出血、生殖器のがん、しわ改善、たるみの予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
【0305】
さらに、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても骨折改善、がんの予防、妊娠の促進の目的などに、ペットサプリメント、ペットフードの形態として利用される。
【0306】
前記の化粧品としては、しわ、肌の活性化、肌の再生を改善する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、エストロゲン異常によるニキビを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0307】
前記の医薬品、食品、化粧品は、エストロゲン異常とそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソフラボン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0308】
また、前記のイソフラボン誘導体を添加したプラスチックを利用してエストロゲン調節作用を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0309】
次に、食用魚類、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られるエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体について説明する。
【0310】
ここでいうエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体とは、前記のイソフラボン誘導体である。
【0311】
すなわち、イソフラボン骨格に、水素又は水酸基とパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つが結合した誘導体である。
【0312】
前記のイソフラボン誘導体は、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸のいずれかが結合することにより、その脂溶性が高まる結果、イソフラボン誘導体の構造が安定化され、イソフラボン単体に比してエストロゲン調節作用に優れている。
【0313】
前記のイソフラボン誘導体は細胞内の核内のエストロゲン受容体などのエストロゲン受容体を修飾することにより、エストロゲン調節作用を呈する。
【0314】
すなわち、エストロゲンが過剰であり、エストロゲン受容体が過剰に反応している場合、前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体に拮抗してエストロゲン作用を抑制して、正常化する。
【0315】
たとえば、子宮内膜症の場合、エストロゲンの作用により、異所性の子宮内膜組織が反応して組織を増殖させ、かつ、炎症性物資を放出させる。その結果、疼痛を伴う子宮内膜症となる。
【0316】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体を修飾してエストロゲンによる過剰な子宮内膜組織の増殖及び炎症を抑制することにより、子宮内膜症を改善させる。
【0317】
一方、エストロゲンが枯渇したり、少なくなっている状態、たとえば、更年期の場合には、エストロゲンが欠乏している。エストロゲンは通常の量で、骨組織を構築する作用がある。エストロゲンが欠乏することにより、骨組織が脆弱化して骨粗鬆症を誘発する。
【0318】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲンの低下した更年期状態に、エストロゲン様の作用を発現して骨組織を守る。つまり、前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン受容体と反応してエストロゲンのように働き、骨組織を防御する。つまり、脂溶性が高い構造であるため、組織内部に侵入しやすく、量が少なくとも、エストロゲン調節作用を呈するという利点がある。また、局所に存在してするエステラーゼにより分解されてイソフラボンと脂肪酸になるため、作用が持続せず、安全性が高い。
【0319】
また、脳でもエストロゲンは、大切な働きを有している。つまり、神経細胞の保護である。つまり、更年期になることにより、痴呆症が発現しやすい。
【0320】
前記のイソフラボン誘導体は、脂溶性が高いため血液脳関門を通過しやすく、脳神経細胞の保護に働く。しかし、脳内のエステラーゼにより過剰量は分解されることから過剰による副作用は少ない。
【0321】
前記のイソフラボン誘導体は脂溶性の高い特徴を有するパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つが結合していることからイソフラボンに比して小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、体内に吸収されやすい。
【0322】
前記のイソフラボン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてそれぞれのイソフラボンとそれぞれのパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸のいずれかに分解され、それぞれは安全性が確認されていることから、前記のイソフラボン誘導体も安全性が高い。
【0323】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水素で、かつ、Yが水素の場合、骨格となるイソフラボンはホルモノネチンであることから、目的の誘導体はホルモノネチン誘導体である。
【0324】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水素で、かつ、Yが水酸基の場合、骨格となるイソフラボンはビオカニンAであることから、目的の誘導体はビオカニンA誘導体である。
【0325】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水酸基で、かつ、Yが水素の場合、骨格となるイソフラボンは2’−ヒドロキシホルモノネチンであることから、目的の誘導体は2’−ヒドロキシホルモノネチン誘導体である。
【0326】
前記のイソフラボン誘導体のうち、Xが水酸基で、かつ、Yが水酸基の場合、骨格となるイソフラボンは2’−ヒドロキシビオカニンAであることから、目的の誘導体は2’−ヒドロキシビオカニンA誘導体である。
【0327】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがパルミチン酸の場合、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透して細胞内に吸収されやすく、エストロゲン調節作用が増強されることから好ましい。
【0328】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがエイコサペンタエン酸の場合、エイコサペンタエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性サイトカインや炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、かつ、エストロゲン調節作用を安定的に発揮することから好ましい。特に、疼痛性の高い、かつ、骨粗鬆症を誘導するインターロイキン6の発現を抑制することから、より好ましい。
【0329】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがドコサヘキサエン酸の場合、ドコサヘキサエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、エストロゲン調節作用を発揮することから好ましい。
【0330】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zが安息香酸の場合、安息香酸の残基が抗菌作用を呈することから、炎症部位での細菌感染を抑制しつつ、エストロゲン調節作用を発揮することから好ましい。
【0331】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがカプリン酸の場合、カプリン酸の脂肪酸残基が細胞膜に浸透して細胞内に吸収されやすく、エストロゲン調節作用が増強されることから好ましい。
【0332】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがステアリン酸の場合、ステアリン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透して細胞内に吸収されやすく、エストロゲン調節作用が増強されることから好ましい。
【0333】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがガンマ−リノレン酸の場合、ガンマ−リノレン酸の不飽和飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透して細胞内に吸収されやすく、エストロゲン調節作用が増強されることから好ましい。
【0334】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがドコサペンタエン酸の場合、ドコサペンタエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、エストロゲン調節作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0335】
前記のイソフラボン誘導体のうち、X及びYが水素又は水酸基であり、Zがアルファ−リポ酸の場合、アルファ−リポ酸の脂肪酸残基が抗酸化作用を呈することから、炎症組織の酸化を抑制し、エストロゲン調節作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0336】
前記のイソフラボン誘導体は、食用魚類、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られるものである。ここでいう食用魚類としては、食用に用いる魚類のことであり、このうち、ウナギは食経験が豊富である。
【0337】
ウナギの頭部や内臓は食経験もあり、種々の脂肪酸や抗酸化成分を含んでいることから好ましい。
【0338】
また、 漁業では加工過程においてウナギの頭部や内臓は廃棄されることから、廃棄物の有効利用ができることから好ましい。
【0339】
このうち、浜名湖湖畔で養殖されて成長したウナギは、好ましい。また、解体場で屠殺後解体し、頭部及び内臓を切断し、採取することは好ましい。
【0340】
集められたウナギの頭部及び内臓を包丁により裁断し、中山技術研究所製DM−6などにて粉砕することは好ましい。
【0341】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕されることは好ましい。
【0342】
ここでいう大豆は、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地のものも、利用でき、使用に際して中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕されることが好ましい。
【0343】
ここでいう納豆菌とは、納豆や食品の加工用に用いられる枯草菌の一種である。納豆素本舗製の納豆菌は発酵に適していることから、好ましい。
【0344】
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は、食用魚類1重量に対し、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子は0.02〜0.4重量が好ましく、大豆は0.1〜3重量が好ましく、納豆菌は0.001〜0.03重量が好ましい。
【0345】
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
【0346】
また、この発酵は、30〜48℃に加温され、発酵は、24〜72時間行われる。発酵後に、抽出を効率良く実施するために、水道水で希釈される。
【0347】
前記の発酵により生成されたイソフラボン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0348】
前記の菊の花エキス含有植物油は、菊の花の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0349】
菊の花エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0350】
農薬を使用せずに栽培された菊の花が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0351】
前記の松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0352】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0353】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0354】
前記の発酵物1重量に対して松の葉エキス含有植物油の添加量は、0.02〜2重量である。この場合、攪拌による抽出が好ましく、攪拌温度は10〜30℃が好ましく、攪拌時間は0.5〜3時間が好ましい。
【0355】
前記の攪拌後、上層に分離した松の葉エキス含有植物油を採取し、水分を除去することは好ましい。水分を除去するために、東洋技研製TGD−250LF2などの乾燥機が用いられる。
【0356】
分離されたイソフラボン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量は、エステラーゼなどの消化酵素により分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0357】
前記の反応物から、目的とするイソフラボン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0358】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、有機溶媒を除去して目的とするイソフラボン誘導体を得ることは好ましい。
【0359】
分離用溶媒としてはメタノール、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、エーテルなどが用いられ、このうち、食品加工用エタノール又は含水エタノールはその利用範囲が高いことから好ましい。
【0360】
このようにして得られたイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0361】
得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0362】
前記のイソフラボン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたイソフラボン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具などに利用される。
【0363】
医薬品としては、子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、痴呆症改善薬、抗がん剤、しわ除去剤、生理痛の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても子宮内膜症治療薬、骨粗鬆症治療薬、抗がん剤などとして利用される。
【0364】
前記の食品製剤としては、子宮や乳腺に異常を感じた場合の予防又は改善の目的で、サプリメント、飲料、麺類、調味料として利用され、また、生理痛、不正出血、生殖器のがん、しわ改善、たるみの予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
【0365】
さらに、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても骨折改善、がんの予防、妊娠の促進の目的などに、ペットサプリメント、ペットフードの形態として利用される。
【0366】
前記の化粧品としては、しわ、肌の活性化、肌の再生を改善する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、エストロゲン異常によるニキビを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0367】
前記の医薬品、食品、化粧品は、エストロゲン異常とそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソフラボン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0368】
また、前記のイソフラボン誘導体を添加したプラスチックを利用してエストロゲン調節作用を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0369】
次に、前記のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤について説明する。
【0370】
ここでいうエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体とは、粗生成物、混合物、合成された物、有機溶媒や植物油で抽出して精製された純度の高い物質のいずれでもよく、前記のイソフラボン誘導体とは、イソフラボンにパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つがエステル結合した誘導体である。
【0371】
前記のイソフラボン誘導体は細胞内の核内のエストロゲン受容体などのエストロゲン受容体を修飾することにより、エストロゲン調節作用を呈する。
【0372】
すなわち、エストロゲンが過剰であり、エストロゲン受容体が過剰に反応している場合、前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体に拮抗してエストロゲン作用を抑制して、正常化する。
【0373】
たとえば、子宮内膜症の場合、エストロゲンの作用により、異所性の子宮内膜組織が反応して組織を増殖させ、かつ、炎症性物資を放出させる。その結果、疼痛を伴う子宮内膜症となる。
【0374】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体を修飾してエストロゲンによる過剰な子宮内膜組織の増殖及び炎症を抑制することにより、子宮内膜症を改善させる。
【0375】
一方、エストロゲンが枯渇したり、少なくなっている状態、たとえば、更年期の場合には、エストロゲンが欠乏している。エストロゲンは通常の量で、骨組織を構築する作用がある。エストロゲンが欠乏することにより、骨組織が脆弱化して骨粗鬆症を誘発する。
【0376】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲンの低下した更年期状態に、エストロゲン様の作用を発現して骨組織を守る。つまり、前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン受容体と反応してエストロゲンのように働き、骨組織を防御する。つまり、脂溶性が高い構造であるため、組織内部に侵入しやすく、量が少なくとも、エストロゲン調節作用を呈するという利点がある。また、局所に存在してするエステラーゼにより分解されてイソフラボンと脂肪酸になるため、作用が持続せず、安全性が高い。
【0377】
また、脳でもエストロゲンは、大切な働きを有している。つまり、神経細胞の保護である。つまり、更年期の女性には、痴呆症が発現しやすい。
【0378】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン作用を調節することにより、エストロゲン不足に起因した痴呆症にも効果的である。
【0379】
前記のイソフラボン誘導体は脂溶性の高い特徴を有するパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つが結合していることから小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、吸収されやすい特長を有する。
【0380】
ここでいう菊の花エキス含有植物油は菊の花の粉砕物を植物油で抽出して得られる抗酸化作用に優れた植物油である。
【0381】
植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、
【0382】
安理ジャパン製の菊の花エキス含有植物油は品質が高く、不純物が少ないことから、好ましい。
【0383】
松の葉エキス含有植物油は、日本、中国、アジア産の松の葉を粉砕機により粉砕され、植物油により抽出して得られる。
【0384】
松の葉の粉砕された原料を、ヤクルト薬品工業株式会社製のオノズカR−10、Y−NC、アマノエンザイム株式会社製のセルラーゼ A「アマノ」3、セルラーゼ T「アマノ」4などのセルラーゼにより処理することは、抽出効率が向上することから好ましい。
【0385】
前記のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体1重量に対し、添加される菊の花エキス含有植物油は0.01〜0.5重量であり、松の葉エキス含有植物油は0.01〜0.5重量であり、これにより組成物が得られる。
【0386】
イソフラボン誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.01重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0387】
イソフラボン誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.5重量を上回る場合、イソフラボン誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0388】
イソフラボン誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.01重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0389】
イソフラボン誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.5重量を上回る場合、イソフラボン誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0390】
前記の組成物を得るために、混合後も加温されることは好ましい。加温条件として温度は28〜46℃であり、加温時間は6〜49時間である。
【0391】
加温温度が28℃を下回る場合、十分な反応が生じないおそれがある。加温温度が46℃を上回る場合、酸化により生成された反応物が褐色に変色するおそれがある。加温時間が6時間を下回る場合、十分な生成物が得られないおそれがある。加温時間が49時間を上回る場合、酸化により生成された生成物が重合したり、褐色に変色するおそれがある。
【0392】
この組成物は、前記のイソフラボン誘導体を少しずつ、持続的に放出させて、持続性組成物となることから、好ましい。
【0393】
また、このように構成することにより、イソフラボン誘導体が菊の花エキス含有植物油の抗酸化力により安定に維持されて酸化による分解が抑制される。特に、不飽和脂肪酸の二重結合が酸化から守られて構造が維持される。
【0394】
さらに、前記の組成物が他の原料とともに加工され、食品製剤になる。この場合、種々の食品素材又は飲料品素材に添加することによって、例えば、粉末状、錠剤状、液状(ドリンク剤等)、カプセル状等の形状の食品製剤にすることができる。また、基材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤等を適宜添加してもよい。
【0395】
前記の食品製剤は、1日数回に分けて経口摂取される。1日の摂取量は0.2〜10gが好ましく、0.3〜6gがより好ましく、0.5〜4gがさらに好ましい。1日の摂取量が0.2gを下回る場合、十分なエストロゲン調節作用が発揮されないおそれがある。1日の摂取量が10gを上回る場合、コストが高くなるおそれがある。上記の他に、飴、せんべい、クッキー、飲料等の形態で使用することができる。
【0396】
ここでいう食品製剤とは、保健機能食品、健康補助食品、一般食品、病院で用いる病院用食品などの人間が食する食品に加えて、動物用の飼料又はペット用サプリメント、ペットフードである。
【0397】
ここで得られた食品製剤は子宮や乳腺に異常を感じた場合の予防又は改善の目的として、また、サプリメント、飲料、麺類、調味料の形態として利用され、さらに、生理痛、不正出血、生殖器のがん、炎症、骨粗鬆症、皮膚のしわ改善、たるみの予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
【0398】
さらに、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても骨折改善、がんの予防、妊娠の促進の目的などに、ペットサプリメント、ペットフードの形態として利用される。
【0399】
次に、前記のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品について説明する。
【0400】
ここでいうエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体とは、粗生成物、混合物、合成された物、抽出して精製された純度の高い物質のいずれでもよく、前記のイソフラボン誘導体とは、イソフラボンにパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つがエステル結合した誘導体である。
【0401】
前記のイソフラボン誘導体は細胞内の核内のエストロゲン受容体などのエストロゲン受容体を修飾することにより、エストロゲン調節作用を呈する。
【0402】
すなわち、エストロゲンが過剰であり、エストロゲン受容体が過剰に反応している場合、前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体に拮抗してエストロゲン作用を抑制して、正常化する。
【0403】
たとえば、子宮内膜症の場合、エストロゲンの作用により、異所性の子宮内膜組織が反応して組織を増殖させ、かつ、炎症性物資を放出させる。その結果、疼痛を伴う子宮内膜症となる。
【0404】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体を修飾してエストロゲンによる過剰な子宮内膜組織の増殖及び炎症を抑制することにより、子宮内膜症を改善させる。
【0405】
一方、エストロゲンが枯渇したり、少なくなっている状態、たとえば、更年期の場合には、エストロゲンが欠乏している。エストロゲンは通常の量で、骨組織を構築する作用がある。エストロゲンが欠乏することにより、骨組織が脆弱化して骨粗鬆症を誘発する。
【0406】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲンの低下した更年期状態に、エストロゲン様の作用を発現して骨組織を守る。つまり、前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン受容体と反応してエストロゲンのように働き、骨組織を防御する。つまり、脂溶性が高い構造であるため、組織内部に侵入しやすく、量が少なくとも、エストロゲン調節作用を呈するという利点がある。また、局所に存在してするエステラーゼにより分解されてイソフラボンと脂肪酸になるため、作用が持続せず、安全性が高い。
【0407】
また、脳でもエストロゲンは、大切な働きを有している。つまり、神経細胞の保護である。つまり、更年期になることにより、痴呆症が発現しやすい。
【0408】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン作用を調節することにより、エストロゲン不足に起因した痴呆症にも効果的である。
【0409】
前記のイソフラボン誘導体は脂溶性の高い特徴を有するパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つが結合していることから小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、吸収されやすい特長を有する。
【0410】
ここでいう菊の花エキス含有植物油は菊の花の粉砕物に植物油を添加して抽出して得られる油であり、抗酸化作用に優れている。
【0411】
ここで用いる植物油としては、植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0412】
安理ジャパン製の菊の花エキス含有植物油は品質が高く、不純物が少ないことから、好ましい。
【0413】
松の葉エキス含有植物油は、日本、中国、アジア産の松の葉を粉砕機により粉砕され、植物油により抽出して得られる。
【0414】
松の葉の粉砕された原料を、ヤクルト薬品工業株式会社製のオノズカR−10、Y−NC、アマノエンザイム株式会社製のセルラーゼ A「アマノ」3、セルラーゼ T「アマノ」4などのセルラーゼにより処理することは、抽出効率が向上することから好ましい。
【0415】
前記のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体1重量に対し、添加される菊の花エキス含有植物油は0.05〜0.8重量であり、松の葉エキス含有植物油は0.05〜0.8重量であり、これにより組成物が得られる。
【0416】
イソフラボン誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.05重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0417】
イソフラボン誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.8重量を上回る場合、イソフラボン誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0418】
イソフラボン誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.05重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0419】
イソフラボン誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.8重量を上回る場合、イソフラボン誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0420】
前記の組成物を得るために、混合後も加温されることは好ましい。加温条件として温度は30〜45℃であり、加温時間は6〜40時間である。
【0421】
加温温度が30℃を下回る場合、十分な反応が生じないおそれがある。加温温度が45℃を上回る場合、酸化により生成された反応物が褐色に変色するおそれがある。加温時間が6時間を下回る場合、十分な生成物が得られないおそれがある。
【0422】
加温時間が40時間を上回る場合、酸化により生成された生成物が褐色に変色するおそれがある。
【0423】
この組成物は、前記のイソフラボン誘導体を少しずつ、持続的に放出させて、持続性組成物となることから、好ましい。
【0424】
また、このように構成することにより、イソフラボン誘導体が菊の花エキス含有植物油の抗酸化力により安定に維持されて酸化による分解が抑制される。特に、不飽和脂肪酸の二重結合が酸化から守られて構造を維持する。
【0425】
さらに、化粧品として前記の組成物が他の原料とともに加工される。その後、常法に従って油分、界面活性化剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、増粘剤、保湿剤、副素材等とともに用いることができる。
【0426】
化粧水、クリーム、軟膏、ローション、乳液、パック、オイル、石鹸、洗顔料、香料、オーディコロン、浴用剤、シャンプー、リンス等の形態とすることができる。化粧品製剤の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状又は粉末状として用いることができる。
【0427】
化粧品として皮膚に1日数回に分けて塗布される。1日の塗布量は0.01〜10gが好ましく、0.05〜3gがより好ましく、0.1〜2gがさらに好ましい。1日の塗布量が、0.01gを下回る場合、しわやたるみの治療または防止効果が発揮されないおそれがある。1日の塗布量が、10gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。
【0428】
ここでいう化粧品とは、人間に用いる化粧品である基礎化粧品、美白化粧品、毛髪洗浄剤、トリートメント剤、染め剤、育毛剤、養毛剤、ボディウォッシュ、医薬部外品である。その他に、動物に用いる皮膚改善剤又はペット用シャンプー、ボディウォッシュである。
【0429】
化粧品の使用として、しわ、肌の活性化、肌の再生を改善する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、エストロゲンや生理の異常により発生するニキビを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0430】
次に、前記のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体からなる子宮内膜症治療薬について説明する。
【0431】
ここでいうエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体とは、粗生成物、混合物、合成された物、抽出して精製された純度の高い物質のいずれでもよく、前記のイソフラボン誘導体とは、イソフラボンにパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つがエステル結合した誘導体である。
【0432】
前記のイソフラボン誘導体は細胞内の核内のエストロゲン受容体などのエストロゲン受容体を修飾することにより、エストロゲン調節作用を呈する。
【0433】
すなわち、エストロゲンが過剰であり、エストロゲン受容体が過剰に反応している場合、前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体に拮抗してエストロゲン作用を抑制して、正常化する。
【0434】
たとえば、子宮内膜症の場合、エストロゲンの作用により、異所性の子宮内膜組織が反応して組織を増殖させ、かつ、炎症性物資を放出させる。その結果、疼痛を伴う子宮内膜症となる。
【0435】
前記のイソフラボン誘導体はエストロゲン受容体を修飾してエストロゲンによる過剰な子宮内膜組織の増殖及び炎症を抑制することにより、子宮内膜症を改善させる。
【0436】
一方、エストロゲンが枯渇したり、少なくなっている状態、たとえば、更年期の場合には、エストロゲンが欠乏している。エストロゲンは通常の量で、骨組織を構築する作用がある。エストロゲンが欠乏することにより、骨組織が脆弱化して骨粗鬆症を誘発する。
【0437】
前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲンの低下した更年期状態に、エストロゲン様の作用を発現して骨組織を守る。つまり、前記のイソフラボン誘導体は、エストロゲン受容体と反応してエストロゲンのように働き、骨組織を防御する。つまり、脂溶性が高い構造であるため、組織内部に侵入しやすく、量が少なくとも、エストロゲン調節作用を呈するという利点がある。また、局所に存在してするエステラーゼにより分解されてイソフラボンと脂肪酸になるため、作用が持続せず、安全性が高い。
【0438】
前記のイソフラボン誘導体は脂溶性の高い特徴を有するパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つが結合していることから小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、吸収されやすいという特長を有する。
【0439】
医薬品として用いる場合には、不純物による影響を除去することが必要となるために、酵素反応により合成され、溶媒の残留の少ない前記の構造のイソフラボン誘導体を用いることが好ましい。
【0440】
医薬品として経口剤又は非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、歯磨き粉等に配合されて利用される。
【0441】
経口剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラック又は砂糖で被覆することもできる。
【0442】
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を含有させることができる。
【0443】
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。ここで用いる外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
【0444】
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
【0445】
ここでいう子宮内膜症治療薬は、子宮内膜症の改善のための医薬品である。子宮内膜症とはホルモンの異常により異所性の子宮組織が体内に播種され、または、腹腔内に転移し、特にエストロゲンにより組織が増殖し、不正出血して疼痛を伴う。また、不妊症の原因の一つでもある。
【0446】
加えて、家畜、ペットの肥満や脂肪蓄積の改善を目的とした獣医用医薬品としても利用できる。
【0447】
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、以下の説明は例であり、形態を変化させて実施することができる。
【0448】
まず、発酵により得られるエストロゲン調節作用を呈するイソフラボン誘導体について説明する。
【実施例1】
【0449】
浜名湖湖畔で養殖されて成長したウナギ(学名Anguilla japonica)60匹を原料として用いた。成長したウナギを解体場で屠殺後解体し、頭部及び内臓を切断し、採取した。体部は、食用に供し、頭部及び内臓を集めた。
【0450】
集められた頭部及び内臓1.4kgを包丁により裁断し、中山技術研究所製DM−6にて粉砕した。
【0451】
これを清浄な培養用タンクに入れ、水道水2.6Lを添加した。これに無農薬で栽培された静岡県で採取されたアカツメクサの花1.4kgを水道水で洗浄後、乾燥機(西村機械製、GZQ3型)により乾燥し、中山技術研究所製DM−6にて粉砕した。この粉砕物200gを前記の寸胴に添加した。これに、中国産大豆を水洗後、90分間、60℃に加温して粉砕し、大豆粉砕物1.4kgを得た。
【0452】
これに、納豆素本舗製の納豆菌14gを添加した。38℃の温度で、攪拌しながら、39時間発酵した。
【0453】
発酵が終了したタンクに、水道水3.4Lを添加して、攪拌してこれを発酵物とした。
【0454】
前記の発酵物に、理研ビタミン製のヤシ油の1kgを添加して3時間攪拌し、混合した。
【0455】
これを静置して上層に分離したヤシ油により分離される油溶性部分を液体として採取した。水分を除去するために、乾燥機(東洋技研製TGD−250LF2)に供し、油状物質として、目的とするイソフラボン誘導体を得た。これを実施例1の検体とした。
【0456】
以下に、パルミチン酸を共有結合させたイソフラボン誘導体の調製について記載する。
【実施例2】
【0457】
無農薬で栽培された愛知産の黒イチジクの実1kgを購入し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機により乾燥させた。
【0458】
この乾燥した黒イチジクの実1kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕して黒イチジクの実の粉砕物とした。
【0459】
清浄な寸胴に黒イチジクの実の粉砕物1kgを入れ、水道水を8L添加した。これに、リョーショクより購入したパルミチン酸210gを添加して攪拌した。
【0460】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを10g添加し、37℃に加温して、69回/分の速度で12時間攪拌し、これを加温液とした。
【0461】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油1.4kgを添加し、油部分を採取した。
【0462】
この油部分を真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してパルミチン酸を結合させたイソフラボン誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例2の検体とした。
【0463】
以下に、エイコサペンタエン酸を結合させたイソフラボン誘導体の調製について記載する。
【実施例3】
【0464】
無農薬で栽培された中国産のアカツメクサの花3kgを採取し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機により乾燥させた。このアカツメクサの花2.4kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕してアカツメクサの花の粉砕物とした。
【0465】
清浄な寸胴にアカツメクサの花の粉砕物1.8kgを入れ、水道水を18L添加した。これに、日本水産製のエイコサペンタエン酸250gを添加して攪拌した。
【0466】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを18g添加し、33℃に加温して、63回/分の速度で12時間攪拌し、これを加温液とした。
【0467】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、味の素製の大豆油1kgを添加し、油部分を採取した。
【0468】
これを真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してエイコサペンタエン酸を結合させたイソフラボン誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例3の検体とした。
【0469】
以下に、ドコサヘキサエン酸を結合させたイソフラボン誘導体の調製について記載する。
【実施例4】
【0470】
無農薬で栽培された中国産の黒イチジクの実2.8kgを採取し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機(西村機械製、GZQ3型)により乾燥させた。これを原料の黒イチジクの実とした。
【0471】
この黒イチジクの実2.7kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕して黒イチジクの実の粉砕物とした。
【0472】
清浄な寸胴に黒イチジクの実の粉砕物1.2kgを入れ、水道水を12L添加した。これに、日水製薬製のドコサヘキサエン酸360gを添加して攪拌した。
【0473】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを12g添加し、28℃に加温して、70回/分の速度で13時間攪拌し、これを加温液とした。
【0474】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油1kgを添加し、油部分を採取した。
【0475】
これを真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してドコサヘキサエン酸を結合させたイソフラボン誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例4の検体とした。
【0476】
以下に、安息香酸を結合させたイソフラボン誘導体の調製について記載する。
【実施例5】
【0477】
無農薬で栽培された中国産の黒イチジクの実2.7kgを採取し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機(西村機械製、GZQ3型)により乾燥させた。これを原料の黒イチジクの実とした。
【0478】
この黒イチジクの実2.6kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕して黒イチジクの実の粉砕物とした。
【0479】
清浄な寸胴に黒イチジクの実の粉砕物1.2kgを入れ、水道水を12L添加した。これに、岩井ケミカル製の食品添加物である安息香酸260gを添加して攪拌した。
【0480】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを12g添加し、30℃に加温して、66回/分の速度で14時間攪拌し、これを加温液とした。
【0481】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油1kgを添加し、油部分を採取した。
【0482】
これを真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥して安息香酸を結合させたイソフラボン誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例5の検体とした。
【0483】
以下に、イソフラボン誘導体の精製物の製造について説明する。
【実施例6】
【0484】
実施例2で得られたイソフラボン誘導体100gをエタノール500mLに懸濁し、三菱化学製ダイヤイオンの800gを充填したカラムに供した。これを5%エタノール含有水800mLで洗浄した。さらに20%エタノール含有水900mLで洗浄後、50%エタノール含有水900mLで溶出し、次いで90%エタノール含有水の分画を採取した。
【0485】
この分画を減圧乾燥機に供してエタノールと水を留去した後、日本エフディ製の凍結乾燥機によりイソフラボン誘導体の精製物20gを得た。これを実施例6の検体とした。
【0486】
以下に、イソフラボン誘導体の同定試験について説明する。
(試験例1)
【0487】
上記のように得られた実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6で得られたそれぞれのイソフラボン誘導体を精製エタノールに溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析し、さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、AC−250)で解析した。
【0488】
その結果、実施例1の検体からは、イソフラボン誘導体としてイソフラボンに、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸が結合したイソフラボン誘導体が同定された。それぞれのカルボキシル基とイソフラボンがエステル結合していた。
【0489】
また、実施例2及び実施例6の検体からは、イソフラボンに、パルミチン酸が結合したイソフラボン誘導体が同定された。パルミチン酸のカルボン酸とイソフラボンがエステル結合していた。
【0490】
また、実施例3の検体からは、イソフラボンに、エイコサペンタエン酸が結合したイソフラボン誘導体が同定された。エイコサペンタエン酸のカルボン酸とイソフラボンがエステル結合していた。
【0491】
また、実施例4の検体からは、イソフラボンに、ドコサヘキサエン酸が結合したイソフラボン誘導体が同定された。ドコサヘキサエン酸のカルボン酸とイソフラボンがエステル結合していた。
【0492】
また、実施例5の検体からは、イソフラボンに、安息香酸が結合したイソフラボン誘導体が同定された。安息香酸のカルボキシル基とイソフラボンがエステル結合していた。
【0493】
以下に、前記の検体について、骨芽細胞を用いたエストロゲン様試験について説明する。
(試験例2)
健常な女性より得られた骨芽細胞をクラボウより購入して用いた。骨芽細胞の10000個を35mm径の培養シャーレに播種した。これを5%炭酸ガス下、37℃で2日間培養した。培養液としてフェノールレッドを含まないMEM培養液を用いた。溶媒対照としてMEM培養液を用いた。
【0494】
これに実施例1から6で得られた検体を0.1mg/mLずつ添加し、骨芽細胞の数を計数した。
【0495】
その結果、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6で得られた検体添加後、3日後の細胞数は、溶媒対照の値に比して、それぞれ231%、189%、239%、240%、195%及び272%となった。
【0496】
この結果、実施例1から6で得られた検体には、骨芽細胞の増殖作用が観察され、エストロゲン作用が確認された。
【0497】
以下に、イソフラボン誘導体を含有する食品製剤の製造について記載する。
【実施例7】
【0498】
前記の実施例1で得られたイソフラボン誘導体100gを食品加工用混合器(ツカサ製、パウミキサー、シングルタイプ)に入れ、株式会社東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油15gを添加した。これに、株式会社東洋発酵製の松の葉エキス含有大豆油15gを添加し、攪拌しながらこれを36℃で20時間加温して冷却後、組成物約120gを得た。
【0499】
この組成物120gに、食用セルロース300g、アスコルビン酸1.1g及び食用香料9gを食品加工用ミキサー(ツカサ製、パウミキサー、Wタイプ)に添加し、混合した。これを常法により粉末化し、乾燥後、ブタ由来ゼラチン製ハードカプセルに、1粒280mgとして充填し、食品製剤を得た。これを実施例7の検体とした。
【0500】
以下に、食品製剤の試験について説明する。
(試験例3)
実施例7で得られた食品製剤を使用して、54〜70才の健常女性10例を対象に、骨密度試験を行った。すなわち、生理が終了した直後から、実施例7で得られた食品製剤を摂取し、摂取前と後で、骨密度についてDXA法により調べた。
【0501】
すなわち、まず、事前に骨密度を計測した。その後、食品製剤2粒を一日1回、30日間摂取した。最終摂取後、同様に、骨密度を計測した。
【0502】
その結果、実施例7で得られた食品製剤摂取後の骨密度は、摂取前に比して相対比で142%となった。
【0503】
この結果、実施例7で得られた食品製剤には、エストロジェンの低下した時期に、骨密度を増加させるエストロゲン様作用が確認された。なお、前記の食品製剤摂取により、体調に異常は認められなかった。
【実施例8】
【0504】
前記の実施例2で得られたイソフラボン誘導体30gを化粧品加工用混合器(寿工業製、ポーレコンテナミキサー)に入れ、株式会社東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油8gを添加した。これに、株式会社東洋発酵製の松の葉エキス含有大豆油20gを添加し、攪拌しながらこれを39℃で36時間加温して冷却後、組成物約70gを得た。
【0505】
この組成物を前記の混合器に入れ、ミツロウ(アピ製)230g及びスクワラン(日本水産製)0.5gを添加し、混合して、化粧品製剤としてのクリームを得た。これを実施例8の検体とした。同時に、実施例2で得られたイソフラボン誘導体を除いた基材のみの対照クリームを調製した。
【0506】
以下に、化粧品の効果及び副作用について評価した試験例を示す。
(試験例4)
顔面にシワが認められる55〜69才の健常女性7人に対し、顔面の右半分に実施例8で得られたクリーム1gを、左半分に基材のみからなる対照クリームを毎日、30日間塗布した。30日間塗布終了後に、シワの数(インテグラル製、衝撃波測定装置、RVM600)を測定した。
【0507】
その結果、イソフラボン誘導体を含有するクリームを塗布した顔面の右半分足のシワの数は、基材のみを塗布した顔面左半分に比して、42%となった。
【0508】
これらの結果は、実施例8の化粧品はシワを減少させることが判明した。
【0509】
さらに、この化粧品の塗布による皮膚の状態、体調、血液検査などに副作用は認められず、安全性が確認された。
【0510】
以下に、イソフラボン誘導体からなる子宮内膜症治療薬について述べる。
【実施例9】
【0511】
清浄なステンレス製溶解槽に、前記の実施例6で得られたイソフラボン誘導体20g、ラノリン80g、マクロゴールド60g、ミツロウ10g、オゾケライト10gを添加し、37℃で1時間溶解した。これを混練機に供し、混合した。これを再度、溶解槽で溶解して、過熱し、脱気装置により脱気させて、目的とする子宮内膜症治療薬を検体9の軟膏剤として得た。
【0512】
なお、対照として前記の実施例6で得られたイソフラボン誘導体の代わりとしてラノリンを用いた対照となる検体を作製し、対照検体として試験に用いた。
【0513】
以下に、子宮内膜症治療薬を用いた試験について説明する。
(試験例5)
前記の子宮内膜症治療薬を用いた臨床試験を実施した。子宮内膜症患者20名に、前記の実施例9で得られた軟膏剤を腹部に1gを供し、塗布した。塗布は一日一回1gずつとし、30日間毎日行った。
【0514】
塗布前と塗布30日後に、血液検査を実施し、血中インターロイキン−6量を測定した。インターロイキン−6は、炎症のパラメーターであり、子宮内膜症で増加する。
【0515】
その結果、塗布30日後のインターロイキン−6の平均値は塗布前に比し、39%にまで低下した。これらの結果、実施例9の軟膏剤は、子宮内膜症に対して改善効果を発揮することが確認できた。
【0516】
一方、自覚症状、血液検査値、その他の血液生化学検査などには、異常は認められず、実施例9の子宮内膜症治療薬の安全性が確認された。
【0517】
なお、ラノリンなどの基材のみを用いた軟膏剤では、塗布前の値に比してインターロイキン−6量は101%であり、変化は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0518】
本発明であるエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体は、エストロゲンの増加及び減少に起因した疾患、たとえば、子宮内膜症、子宮癌、乳癌、骨粗鬆症、痴呆を防止及び改善し、また、副作用の弱い、優れた働きを示した。
【0519】
また、本発明であるエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体からなる食品製剤は、エストロゲンの増加及び減少に起因した疾患を予防し、国民生活の質的向上に寄与するものである。
【0520】
さらに、エストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体からなる化粧品は、エストロゲン減少に起因するシワに対して改善又は予防効果を示し、美容産業を向上させるものである。
【0521】
加えて、エストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体からなる子宮内膜症治療薬によれば、エストロゲン作用の減少により、子宮内膜症を改善又は予防に貢献させる。この子宮内膜症治療薬は副作用が少なく、優れたエストロゲン調節作用を発揮することにより、医療及び医薬品業界の活性化に寄与するものである。
【0522】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子や食用魚類の頭部や内臓は、廃棄物として処理されている。本発明は、これらの廃棄物を有効に利用する点から廃棄物を減少させ、廃棄物による土壌や海洋の富栄養による環境破壊を予防でき、かつ、漁業や農業資源の有効活用が期待され、さらに、漁業や農業や関連産業の発展に寄与するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エストロゲン調節作用を有する下記の式(1)で示されるイソフラボン誘導体。
【化1】

Xは、水素又は水酸基のいずれか。
Yは、水素又は水酸基のいずれか。
Zは、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、安息香酸、カプリル酸、ステアリン酸、ガンマーリノレン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸から選択されるいずれか一つ。
【請求項2】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソフラボン誘導体のうちXおよびYが水素であり、Zがパルミチン酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(2)で示されるイソフラボン誘導体。
【化2】

【請求項3】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にエイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソフラボン誘導体のうちXおよびYが水素であり、Zがエイコサペンタエン酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(3)で示されるイソフラボン誘導体。
【化3】

【請求項4】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物にドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソフラボン誘導体のうちXおよびYが水素であり、Zがドコサヘキサエン酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(4)で示されるイソフラボン誘導体。
【化4】

【請求項5】
黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子の粉砕物に安息香酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソフラボン誘導体のうちXおよびYが水素であり、Zが安息香酸であるエストロゲン調節作用を有する下記の式(5)で示されるイソフラボン誘導体。
【化5】

【請求項6】
食用魚類、黒イチジクの実又はアカツメクサの花又は葉茎又は種子及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる請求項1に記載のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体。
【請求項7】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤。
【請求項8】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品。
【請求項9】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載のエストロゲン調節作用を有するイソフラボン誘導体からなる子宮内膜症治療薬。

【公開番号】特開2009−1515(P2009−1515A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162284(P2007−162284)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(504447198)
【Fターム(参考)】