説明

エッジウエブ部を有するガラス基板

可撓性材料によってコーティングされたガラスリボンであって、可撓性コーティングはガラスリボンのエッジから外側に少なくとも1mmは拡がる可撓性ウエブ部を形成する。可撓性ウエブ部は、製造プロセスにおけるガラスリボンのハンドリングを容易にするために用いることができ、さらにガラスリボンの精確な位置決めを容易にする位置合せマークまたは送り穴を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2009年7月29日に出願された、米国特許出願第12/511167号の恩典を主張する。この出願明細書の内容並びに、本明細書に言及される、出版物、特許及び特許文書の全開示は本明細書に参照として含まれる。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、ガラス基板のハンドリング及び/または搬送及び/または位置決めを容易にするためにガラス基板のエッジの少なくとも一方の外側に拡がるウエブ部を有する、薄いガラス基板に向けられる。
【背景技術】
【0003】
薄いガラス基板は、いわゆる「e(電子)ペーパー」及びタッチスクリーンを含む、様々な用途に用いることができる。そのような基板用のガラスは、極めて薄く、一般に約0.3mmよりも薄くすることができる。基板の処理は、個々のガラスシート単位で、またはロールに巻き取られた長いガラスリボンとして基板を搬送することによって一層効率的に、行うことができる。この方法は、1つのロールからガラスリボンを小出しする工程、小出し部分を処理する工程及び、次いで、ガラスリボンを巻取ロールに巻き取る工程を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いわゆる「ロールツウロール」法の一欠点は、薄いガラスリボンの脆弱性である−ハンドリング中のガラスリボンの機械的接触は、かき傷、欠け及び、最悪の場合は、破砕を含む損傷をもたらし得る。シートまたはリボンのいずれの形態においても、ガラスを損傷させずに安全にハンドリングすることができる、ガラス基板が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
損傷を与えないガラス基板のハンドリング及び/または搬送を容易にするウエブ部としてガラス基板の少なくとも一方のエッジから外側に拡がるコーティング材料がその上に配置されているガラス基板が説明される。このハンドリングコーティングのウエブ部は可撓性であることが好ましく、製造工程における処理のため、ガラス基板の内部無コーティング領域に直接触れる必要無しにガラス基板を保持及び/または搬送及び/または位置合せするために用いることができる。ガラスリボンを保持、搬送及び/または位置合せするための方法も説明される。
【0006】
一実施形態において、第1の主表面と第2の主表面及び第1のエッジと第2のエッジを有し、第1のエッジと第2のエッジは幅Wで隔てられている、ガラス基板が説明される。第1のエッジと第2のエッジは互いに実質的に平行であることが好ましい。ガラス基板は第1及び第2の主表面の少なくとも一部分に重ねて配置された可撓性コーティングを有し、コーティングは第1のエッジまたは第2のエッジの少なくとも一方から外側に少なくとも1mmは拡がるウエブ部を有する。
【0007】
ガラス基板はガラスリボンまたは個々のガラスシートの形態にあることができ、0.3mm以下の厚さを有することが好ましい。コーティングはガラス基板の第1のエッジから外側に少なくとも1mmは拡がるウエブ部及び第2のエッジから外側に少なくとも1mmは拡がるウエブ部も有する。可撓性コーティングは第1及び第2の主表面のいずれか一方または両方の一部だけを被覆することができ、あるいは可撓性コーティングは基板の主表面の一方または他方あるいは両方の上でガラス基板の幅Wの全体にわたって拡がることができる。
【0008】
ガラス基板の第1のエッジまたは第2のエッジの少なくとも一方から外側に拡がるウエブ部はスプロケットまたはその他の歯付部材と噛み合うための送り穴を有することができる。歯付部材は、代わりに、ウエブ部と噛み合うエンドレスベルトとすることができる。
【0009】
ガラス基板の第1の主表面の少なくとも一部分を被覆する可撓性コーティングの表面は第2の主表面の少なくとも一部分を被覆する可撓性コーティングの表面の非平坦形状と相補の非平坦形状を有することができる。例えば、一ガラス層の一方の表面上のコーティングの上面部分は、別の隣接するガラス層上のコーティングの下面部分と相補の、ガラス層を位置合せし、好ましくは一方のガラス層の隣接する他のガラス層との接触を防止する、形状を有することができる。
【0010】
可撓性コーティングは、コーティングとガラス基板の間に配された接着剤によって第1の主表面及び/または第2の主表面に接着させることができる。コーティングはさらに、ファイバのような、強化部材を含有することができる。
【0011】
コーティングのウエブ部及び非ウエブ部はガラス基板の位置合せまたは位置決めに用いるための位置合せマークを有することができる。いくつかの実施形態において、ガラス基板の第1の主表面及び第2の主表面の一方は、または両方とも、1つないしさらに多くのラミネート材料層または被着材料層を有することができる。例えば、ガラス基板は、ウエブコーティング材料を施す前に、別の材料で被覆することができる。別の材料は、ガラスの滲出を防止するためのバリア層のような、ラミネート材料とすることができる。さらに、ハンドリングコーティングのウエブ部及び非ウエブ部の施工後、例えば、電子デバイス(例えば半導体デバイス)を含むことができる電気的機能性材料のような、追加の材料をガラス基板上に形成することができる。本明細書に用いられるように、電気的機能デバイスには、有機または無機の半導体材料及び/または導体材料がある。
【0012】
別の実施形態において、第1の主表面と第2の主表面及び第1のエッジと第2のエッジ及び、第1の主表面と第2の主表面に重ねて配置され、第1のエッジと第2のエッジから外側に少なくとも1mmは拡がって、可撓性ウエブ部を形成する、高分子材コーティングを有するガラスリボンが説明される。可撓性ウエブ部は、ローラー(スプロケット)またはエンドレスベルトの歯と噛み合わせるために用いることができる送り穴を有することができる。コーティングの可撓性ウエブ部及び非ウエブ部は、ガラスリボンの位置合せのための線または記号のような位置合せマークを有することができる。
【0013】
また別の実施形態において、ガラスリボンを搬送する方法が開示され、本方法は、
第1のスプールからガラスリボンのある長さを小出しする工程、
−ガラスリボンはガラスリボンのエッジから外側に少なくとも1mmは拡がるウエブ部を含むコーティングを有する、
ガラスリボンを搬送するためにウエブ部を送り装置と噛み合わせる工程、
−送り装置はウエブ部と噛み合うためのローラーまたはエンドレスベルトを備える、
及び
小出しされたガラスリボンを巻取スプール上になきとることによって小出しされたガラスリボンを回収する工程、
を含む。ウエブ部は送り装置に噛み合うための送り穴を有することができる。例えば送り装置はスプロケットを有することができ、スプロケットの歯が送り穴と噛み合ってガラスリボンを搬送する。しかし、送り装置はスプロケットに限定されず、ウエブ部と噛み合わせるためにローラーまたはエンドレスベルトをさらに含むことができる。別の例において、ピンチローラーを用いてハンドリングコーティングのウエブ部及び/または非ウエブ部を挟み込むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、コーティングは位置合せ標識を有することができ、方法は標識を検出する工程及び検出された標識に応答してガラスリボンを位置決めする工程をさらに含む。検出する工程は、そのような作業を実施するための技術上既知の、いずれか適する機械視覚システムによって実施することができる。ガラスリボンが電子デバイスの製造に用いられることになるのであれば、方法はさらに、回収する工程の前に、小出しされた長さの少なくとも一部分上に電気的機能性材料を被着する工程を含むことができる。例えば、ガラスリボンは第1のスプールから巻き出され、所望のコンポーネントがガラスリボン上に被着され、次いで、第2のスプール上にガラスリボンを巻き取ることで、ガラスリボンが回収される。ウエブ部は被着後に、ガラスリボンの内側部分を無損傷のまま残して、ガラスリボンから取り外ことができる。
【0015】
添付図面を参照して、いかなる限定も全く意味せずに、与えられる以下の説明の中で、本発明はさらに容易に理解されるであろうし、本発明のその他の目的、特徴、詳細及び利点がさらに明瞭明白になるであろう。そのようなさらなるシステム、方法、特徴及び利点は全て本説明内に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付される特許請求の範囲によって保護されるとされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1はガラスリボンを搬送するための「ロールツウロール」法の斜視図である。
【図2A】図2Aは、ガラス基板(ガラスシートまたはガラスリボン)のエッジに沿うウエブ部を含むコーティングを有する、ガラス基板の断面図である。
【図2B】図2Bは、ガラス基板(ガラスシートまたはガラスリボン)のエッジに沿うウエブ部を含むコーティングを有する、ガラス基板の断面図である。
【図3A】図3Aは、ガラス基板(ガラスシートまたはガラスリボン)の2つのエッジに沿うウエブ部を含むコーティングを有する、ガラス基板の断面図である。
【図3B】図3Bは、ガラス基板(ガラスシートまたはガラスリボン)の2つのエッジに沿うウエブ部を含むコーティングを有する、ガラス基板の断面図である。
【図4】図4は、ガラス基板の2つのエッジに沿う2つのウエブ部を有するコーティングによって実質的に完全に封入された、ガラス基板の断面図である。
【図5】図5は、ガラス層間の接触を防止する層間の間隙の形成を示すガラスシートのスタック(または巻き取られたガラスリボンのロール)の断面図である。
【図6】図6は、ガラス層の嵌合及び位置合わせを容易にする、コーティングの上面及び下面の相補形状を示すガラスシートのスタック(または巻き取られたガラスリボンのロール)の断面図である。
【図7】図7はウエブ部を含むコーティングを有するガラス基板の一部の上面図であり、ウエブ部は送り穴及び標識マークを有する。
【図8】図8はウエブ部を含むコーティングを有するガラス基板を搬送するために用いられているスプロケットを示す側面図であり、スプロケットの歯はウエブ部の送り穴と噛み合っている。
【図9】図9はコーティングのウエブ部を挟み込んでいるピンチローラーによって搬送されているガラス基板の断面図である。
【図10】図10は、巻出ロール及び巻取ロールを備える、ガラスリボン上のコーティングのウエブ部に噛み合うトラクターアセンブリによって搬送されているガラスリボンの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明においては、限定ではなく説明の目的のため、特定の詳細を開示する実施形態例が本発明の完全な理解を提供するために述べられる。しかし、本開示の恩恵を有している当業者には、本発明が本明細書に開示される特定の詳細に沿わない別の実施形態で本発明が実施され得ることが明らかであろう。さらに、周知のデバイス、方法及び材料の説明は、本発明の説明を曖昧にしないために省略されることがある。最後に、適用可能であれば必ず、同様の参照数字は同様に要素を指す。
【0018】
ガラスは、不撓性であり、かき傷、欠け及び破砕がおこり易い、脆性材料として知られているが、薄い断面を有するガラスは実際上可撓性が極めて高くなり得る。髪の毛ほどの細い光ファイバストランドを考えてみるだけで十分であろう。同様に、薄いシートまたはリボンになっていれば、ガラスは、紙またはプラスチックフィルムとほとんど同じように、ロールに巻き取り、ロールから巻き出すことができる。しかし、ガラスを可撓に作成することができるとしても、ガラスの脆い性質は残り、触れることで損傷を受け得る。いくつかの用途、特に目に見える欠陥が邪魔をし得る用途(例えばディスプレイ用途)に対しては、軽度の、見た目は表面的な欠陥であっても、許容され得ない。高機械的強度が要求される別の用途に対しては、1μmよりさらに小さい欠陥がガラス製品の信頼性を制限し得る。したがって、製造プロセス、例えばガラスシート上への薄膜デバイスの被着におけるガラスシートのハンドリングは、損失及び高コストの原因になり得る。
【0019】
ガラスは個々のシート毎に処理することができるが、本明細書で考えられている方法は図1に示されるようにロールに巻き取られた薄いガラスリボンから始める工程を含む一層効率的な方法である。ガラスリボン10がロール12から巻き出されると、巻き出されたすなわち小出しにされた部分14を処理することができ、次いで第2の「巻取」ロール16に再び巻き取ることができる。この文脈において、語句「処理」はガラスの形成に続く、研削、研磨、洗浄、または別の層及び/またはコンポーネント(電気/電子コンポーネントまたはその部分)のガラス上の被着を含むがこれらには限定されない、いかなる工程も含むことができる。しかし、いくつかの例において、処理装置を通るガラスの搬送にはガラスリボンの精確な位置決めが必要である。例えば、ガラス基板上の薄膜デバイス(例えば、トランジスタ、電界発光層、等)の形成には、複数のステーションまたは装置の配置の間でガラスリボンを位置決めまたは割送りすることが必要になり、位置毎の正確な位置合せが必要になり得る。厚さが0.3mmより薄いかまたは0.1mmより薄いかまたは0.05mmより薄いガラスリボンに関するこの形態の搬送の実施は十分に困難である。デバイスが形成されると、おそらくは以降の製造プロセスにおける、後の使用のため、ガラスリボンまたはガラスリボンの片面または両面の上に形成されたデバイスを損傷させずに、ガラスリボンを積み重ねるかまたは再び巻き取るという問題がある。
【0020】
図2Aは、紙面の奥に拡がる第1の主表面18及び第1の主表面18と表裏をなす第2の主表面20を有するガラス基板10(例えばガラスシートまたはガラスリボン10)を含む、本発明の一実施形態の端面図である。ガラス基板はさらに第1のエッジ22a及び第2のエッジ22bによって境界が定められている。第1の主表面18の少なくとも一部を被覆する区画24a及び、ガラス基板のエッジから外側に少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mm、さらに好ましくは少なくとも3mmは拡がる、ウエブ部24bも含む、コーティング24も示される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のウエブ部はガラス基板のエッジから外側に1cmないしさらに大きく拡がることができる。したがってウエブ部24bは、ガラス自体に物理的に接触する必要無しに、ローラーのような、ハンドリング装置で触れることができるハンドリング面を提供し、さらに、処理装置との位置合せが望ましければ、位置合せ援用部として用いることができる。すなわち、一実施形態において、ガラス基板はガラスリボンのエッジから外側に拡がるコーティングまたはフィルムを有し、コーティングまたはフィルムの拡張部分は、ガラス基板に触れずにまたは損傷を与えずに、ガラス基板を支持または搬送するために用いることができる。例えば、コーティングの拡張部分は、ローラーで挟むか、スプロケットと噛み合わせるか、またはコーティングの拡張部分を確実に保持する別のいずれかの方法でクランプすることができる。ガラス基板のエッジ22a及び22bは図2Aに示されるように平坦形状である必要はなく、丸まったエッジビード形状のような平面ではない形状を有することができる。同様に、コーティングのウエブ部24bも非平坦形状を有することができるであろう。
【0021】
図2Bに示される別の実施形態においては、ガラス基板の主表面18及び20のそれぞれの一部がコーティング24で被覆される。ガラス基板を搬送する工程は、コーティング24の拡張部分24bもガラス基板上の被覆部分24aも挟む工程を含む。
【0022】
図3Aに示されるまた別の実施形態において、ガラスコーティング24は、コーティング24の一部(24a)がガラスリボン10の少なくとも一方の主表面(例えば表面18)に施され、コーティング24の別の部分(24b)がエッジ22a,22bのそれぞれから外側に少なくとも1mmは拡がるように、施され得る。あるいは、図3Bに示されるように、コーティング24をガラスリボン10の主表面のそれぞれの少なくとも一部に施すことができ、2つのウエブ部24bが第1及び第2のエッジのそれぞれから外側に少なくとも1mmは拡がる。
【0023】
いくつかの実施形態においては、コーティング材料が少なくとも一方(第1または第2)の主表面の全体を完全に覆って拡がることが望ましいであろう。このようにすれば、隣接するガラス層の表面の相互の直接接触が防止され、先に説明したように、少なくとも1つの拡張部分(ウエブ)をガラスの位置決めまたは搬送に用いることができる。したがって、一方または両方のエッジから拡がるコーティングによってガラスを封入することができ、コーティングはガラスの一方または両方の主表面を覆うことができる。図4に示されるように、ガラス基板は主表面18,20のいずれも第1のコーティング部24aで覆うコーティング材料24によって封入される。この実施形態において、ガラス基板の両側には、先の実施形態と同様の態様でハンドリングすることができる、2つの拡張コーティングウエブ部24bがある。
【0024】
図5に示されるように、1つのガラス基板層が別のガラス基板層の上に載らないようにし、いずれのガラス層の別のガラス層との物理的接触の回避も可能にするため、連続する層の間に間隙26を形成するようにコーティングの厚さを選択することができる。シート形態の場合、次いで薄ガラスパネルを積み重ねることができ、ガラスのエッジにおけるコーティングの厚さが、1つのパネルのガラスが隣接パネルのガラスに接触しないような、ガラスパネル間の間隙をつくる。リボン形態の場合、同様の効果−1つの巻き層のガラスが先行巻き層のガラスとの接触が防止され得る−をもって、ガラスリボンを巻き取ることができる。巻取りにより、ガラスリボンは約10cmより小さい曲げ半径を有し得る。
【0025】
リボンがスプールまたはその他の巻取具に巻き取られることになるかあるいはシートが別のシートに積み重ねられることになる場合、図6に示されるように、コーティングの表面を物理的に相補的な形状を有するように成形することができる。これらの相補形状は、シートの形態またはリボンの形態のいずれであっても、ガラス層の間の接触を防止するためにはたらくだけでなく、積重ねまたは巻取り中にリボンの1つの層を前の層に重ねて位置合せするためにこれらの相補形状を用いることができる。そのような相補形状には一般に突起及び、その突起を受け入れるような形状につくられた相補窪みが含まれるであろう。例えば、基板の上表面の露出面上の突起28及びリボンの下表面に施されたコーティングの露出表面上の相補的な窪み30によって、積重ねプロセスまたは巻取りプロセス中に相補形状が互いに嵌合して、基板の位置合せに役立つような、基板の付重ねまたは巻取りが可能になる。
【0026】
基板の位置決めを容易にするため、ウエブ部は、図7及び8に示されるように、スプロケットホイールとの噛合いが可能な、送り穴32を有することができる。図8はウエブ部24bと噛み合わされたスプロケットホイール36の歯を示す。ウエブ部は、リボンに沿う特定の位置を示し、好ましくは機械視覚システムで読み取ることができる、印刷されているかまたは機械加工されているマーク(線、円、等)のような、位置合せ標識34も有することができる。さらに、送り穴自体を標識として利用することができる。しかし、標識の使用はウエブ部に限定される必要はなく、標識は長さ方向態様だけでなく、それが望ましければ、リボンの幅にかけて位置を示すためにコーティングのいかなる部分にも配置することができる。すなわち、標識線はリボンを横切ってまたは平行に通ることができる。送り穴及び標識の使用は、ガラスリボンの使用に限定されず、個々のガラスシートまたはパネルにも同様に用いられ得ることに注意すべきである。
【0027】
図9及び10は別のいくつかの搬送方法を示す。例えば、図9はピンチローラー38,40によって搬送されている基板を示し、上部ローラー38及び下部ローラー40が2組ローラーの間にウエブ部24bを挟み込む。
【0028】
図10はベルトの間に基板にウエブ部を挟み込むベルト44を備える2つのトラクターアセンブリ42の側面図を示す。図10は第1のロール12から巻き出されて第2のロール16に巻き取られているガラスリボン10を示す。
【0029】
コーティングはガラス(リボンまたはシート)に、液体としてまたは既成フィルムとして、施すことができる。適する既成フィルムは高分子材、例えばシリコーンまたはポリイミドとすることができる。材料の選択は考えられる処理と両立可能であるように選ぶことができる。例えば、総厚が好ましくは約50μmと100μmの間の範囲にある(例えば、63.5μmの)アクリル系接着剤付カプトン(登録商標)テープが、上述したような態様でガラスに施すことができ、300℃程度の高温におけるガラスリボンの真空処理を可能にする、適する既成テープであることが示されている。いくつかの場合において、金属コーティングを、単独にまたは高分子材と組み合わせて、用いることもできる。例えば、コーティングは積層コーティングとすることができる。既成のフィルムまたはコーティングを、アクリル系接着剤のような、接着剤を用いて施すことができる。
【0030】
高められた強度を与えるため、ウエブ部は強化部材を含有することができる。例えば、既成テープは、コーティング材料の強度をさらに高めるため、ガラスファイバまたは高分子材ファイバ(例えばケブラー(登録商標)ファイバ)を含有することができる。
【0031】
ガラス基板は、ハンドリングコーティングのウエブ部及び非ウエブ部の施工に先立ち、ラミネート材料または被着材料でラミネートするかまたは被覆することができる。例えば、ハンドリングまたは搬送コーティング24を施す前にバリア層または他の保護層を基板に施すことができる。ラミネート材料または被覆材料は、必要に応じて、有機材料または無機材料とすることができる。
【0032】
ハンドリングコーティングが施されてしまえば、電気的機能材料のような、別の材料を基板上に形成することができる。例えば、基板は第1のスプールに巻き取られた(図1を見よ)ハンドリングコーティング24を有するガラスリボンの形態にあることができる。ガラスリボンは第1のスプールから巻き出されて上述した態様で搬送される(例えば図7〜10を見よ)。ガラスリボンは次いで第2のスプールに受け取られて、その上に巻き取られる。第1のスプールと第2のスプールの間のガラスリボンの小出し部分は、ガラスリボン上への1つないしさらに多くの電気的機能材料の被着によるように、さらに処理することができる。そのような被着は従来方法(例えばフォトリソグラフ法)によって達成することができる。例えば、図9は電気的機能材料46がその上に被着されているガラスリボン10を示す。
【0033】
本発明の上述した実施形態は、特にいずれの「好ましい」実施形態も、実施の可能な例に過ぎず、本発明の原理の明瞭な理解のために説明されているに過ぎないことは強調されるべきである。本発明の精神及び原理を実質的に逸脱することなく、多くの変形及び改変が上述した実施形態になされ得る。そのような改変及び変形は本開示及び本発明の範囲内にあって本明細書に含まれ、添付される特許請求の範囲によって保護されるとされる。
【符号の説明】
【0034】
10 ガラスリボン
12 巻出ロール
14 小出し部分
16 巻取ロール
18,20 主表面
22a,22b エッジ
24 コーティング
24a 主表面被覆区画
24b ウエブ部
26 間隙
28 突起
30 窪み
32 送り穴
34 位置合せ標識
36 スプロケットホイール
38,40 ピンチローラー
42 トラクターアセンブリ
44 ベルト
45 電気的機能材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板(10)において、
第1及び第2の主表面(18,20)並びに幅Wで隔てられている第1及び第2のエッジ(22a,22b)、
及び
前記第1の主表面及び前記第2の主表面の少なくとも一部分を覆って被着された可撓性コーティング(24)であって、前記第1のエッジまたは前記第2のエッジの内の少なくとも一方から外側に少なくとも1mmは拡がるウエブ部(24b)を有するコーティング、
を有することを特徴とするガラス基板。
【請求項2】
前記ガラス基板がガラスリボンであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板。
【請求項3】
前記可撓性コーティングが、前記第1のエッジから外側に少なくとも1mmは拡がるウエブ部(24b)及び前記第2のエッジから外側に少なくとも1mmは拡がるウエブ部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のガラス基板。
【請求項4】
前記ガラス基板の厚さが0.3mm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガラス基板。
【請求項5】
前記可撓性コーティングが、前記ガラス基板の前記幅Wの全体にわたって前記第1の主表面及び前記第2の主表面を被覆することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のガラス基板。
【請求項6】
前記ガラス基板の前記第1のエッジまたは前記第2のエッジの前記少なくとも一方から外側に拡がる前記ウエブ部が、送り穴(32)を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のガラス基板。
【請求項7】
前記ガラス基板の前記第1の主表面の少なくとも一部分を被覆する前記可撓性コーティングの表面が、前記第2の主表面の少なくとも一部分を被覆する前記可撓性コーティングの表面の非平坦形状に相補的な非平坦形状を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のガラス基板。
【請求項8】
ガラスリボンを搬送する方法において、
第1のスプール(12)からガラスリボン(10)のある長さ(14)を小出しする工程であって、前記ガラスリボンは前記ガラスリボンのエッジから外側に少なくとも1mmは拡がるウエブ部(24b)を有するコーティング(24)を有するものである工程、
前記ガラスリボンを搬送するために前記ウエブ部をローラー(36)と噛み合わせる工程、及び
巻取スプール(16)上に前記小出しされたガラスリボンを巻き取ることによって前記小出しされたガラスリボンを回収する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記ウエブ部が送り穴(32)を有し、前記ローラーが前記送り穴と噛み合う歯を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティングが位置合せ標識(34)を有し、前記方法が前記標識を検出する工程及び前記検出された標識に応答して前記ガラスリボンを位置決めする工程をさらに含むことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−500923(P2013−500923A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523021(P2012−523021)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/043627
【国際公開番号】WO2011/014606
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】